JP3191660B2 - 亜鉛系メッキ鋼板およびその製造方法 - Google Patents

亜鉛系メッキ鋼板およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、亜鉛系メッキ鋼
板の改良に関し、プレス成形性、スポット溶接性、接着
性および化成処理性に優れた亜鉛系メッキ鋼板およびそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】亜鉛系メッキ鋼板は種々の優れた特徴を
有するために、各種の防錆鋼板として広く使用されてい
る。この亜鉛系メッキ鋼板を自動車用防錆鋼板として使
用するためには、耐食性、塗装適合性等のほかに、車体
製造工程において要求される性能として、プレス成形
性、スポット溶接性、接着性および化成処理性に優れて
いることが重要である。
【0003】しかし、亜鉛系メッキ鋼板は、一般に、冷
延鋼板に比べてプレス成形性が劣るという欠点がある。
これは亜鉛系メッキ鋼板とプレス金型との摺動抵抗が、
冷延鋼板の場合に比較して高いことが原因であり、この
摺動抵抗が大きいと、ビードとの摺動の激しい部分で鋼
板がプレス金型に流入しにくくなり、鋼板の破断が起こ
り易くなるからである。
【0004】亜鉛系メッキ鋼板のプレス成形性を向上さ
せる方法としては、一般に、高粘度の潤滑油を塗布する
方法が広く用いられている。しかしこの方法では、潤滑
油が高粘度であるために、次の塗装工程で脱脂不良によ
る塗装欠陥が発生したり、また油切れにより、プレス性
能が不安定になる等の問題がある。従って、亜鉛系メッ
キ鋼板のプレス成形性の改善要求度は高い。
【0005】一方、亜鉛系メッキ鋼板は、スポット溶接
時に電極である銅が、溶融した亜鉛と反応して脆い合金
層を形成しやすいために、銅電極の損耗が激しく、その
寿命が短いので、冷延鋼板に比べて連続打点性に劣ると
いう問題を有する。
【0006】更に、自動車車体の製造工程においては、
防錆、制振等の目的で各種の接着剤が使用されるが、近
年になって亜鉛系メッキ鋼板は冷延鋼板に比較して接着
性が劣ることが明らかになってきた。
【0007】上記問題を解決する方法として、特開平2
−190483号公報は、亜鉛系メッキ鋼板の表面に電
解処理、浸漬処理、塗布酸化処理、または加熱処理を施
すことにより、ZnOを主体とする酸化膜を生成させて
溶接性、または加工性を向上させる技術(以下、先行技
術1という)を開示しており、特開平3−17282号
公報は、Fe、NiおよびCoから選ばれた1種または
2種以上の金属を亜鉛系メッキ鋼板の表面に置換析出さ
せる方法(以下、先行技術2という)を開示しており、
特開平3−191093号公報は、Ni酸化物を生成さ
せてプレス成形性および化成処理性を向上させる技術
(以下、先行技術3という)を開示しており、そして、
特開昭60−63394号公報は、不活性皮膜成分の水
溶液を塗布する方法(以下、先行技術4という)を開示
している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述した先行技術1に
おいては、以下のような問題がある。即ち、先行技術1
では、各種の処理によりメッキ表面にZnOを主体とす
る酸化物を生成させる方法であるため、プレス金型とメ
ッキ鋼板との間の摺動抵抗の低減効果は小さく、プレス
成形性の改善効果が小さい。また、ZnO主体の酸化物
では、接着性を劣化させる。
【0009】先行技術2においては、以下のような問題
がある。Ni、Fe等の金属を析出させる方法では、金
属の接着剤に対する濡れ性が小さいために十分な接着性
が得られない。また、皮膜の金属的性質が強いためにプ
レス成形性およびスポット溶接性の改善効果が小さいと
いう問題がある。また、水溶液のpHが低く、置換析出
効率が低いために十分な付着量を確保できないという問
題や、付着量を確保するために水溶液の温度を高くする
必要が生じ、エネルギー原単位の上昇を招いたり、水溶
液の加熱設備を設けるなど製造コストが上昇するという
問題がある。
【0010】先行技術3においては、Ni酸化物単相の
皮膜であるため、プレス成形性は向上するが、接着性が
劣化するという問題がある。
【0011】先行技術4においては、不活性皮膜を生成
させる方法であるため、プレス成形性向上には有効であ
るが、化成処理性や接着性を劣化させるという問題があ
る。
【0012】従って、この発明の目的は、上述した問題
を解決して、プレス成形性、スポット溶接性、接着性お
よび化成処理性に優れた亜鉛系メッキ鋼板およびその製
造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述した
問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下の結果を
得た。亜鉛系メッキ鋼板のメッキ層の表面に、島状また
はモザイク状にFe−Ni−O系皮膜を形成することに
より、プレス成形性、スポット溶接性および接着性を改
善することができることを見出した。
【0014】従来の亜鉛系メッキ鋼板は、プレス成形性
において、冷延鋼板に比較して劣る。その原因は、高面
圧下において、低融点の亜鉛と金型とが凝着現象を起こ
すために、摺動抵抗が増大することにある。これを防ぐ
ためには、亜鉛系メッキ鋼板のメッキ層の表面に、亜鉛
または亜鉛合金メッキ層より硬質で、且つ高融点の皮膜
を形成することが有効である。この発明におけるFe−
Ni−O系皮膜は、硬質且つ高融点であるから、亜鉛系
メッキ鋼板の表面に、島状またはモザイク状にFe−N
i−O系皮膜を形成させることにより、プレス成型時に
おけるメッキ層表面とプレス金型との摺動抵抗が低下
し、亜鉛系メッキ鋼板がプレス金型へ滑り込み易くな
り、プレス成形性が向上する。
【0015】従来の亜鉛系メッキ鋼板は、スポット溶接
における連続打点性において、冷延鋼板と比較して劣
る。その原因は、溶接時に溶融した亜鉛と電極の銅とが
接触して溶融し、脆い合金層を生成するために、電極の
劣化が激しくなることにある。従って、この発明におい
ては、島状またはモザイク状にFe−Ni−O系皮膜が
形成されているので、スポット溶接時の銅電極と亜鉛と
の接触面積が減少していることが、スポット溶接性向上
に寄与している。更に、亜鉛系メッキ鋼板の連続打点性
を改善する方法としては、メッキ表面に、高融点の皮膜
を形成することが有効とされている。本発明者らは、亜
鉛系メッキ鋼板のスポット溶接性を改善するために、各
種の皮膜について検討した結果、NiまたはNi酸化物
皮膜が特に有効であることを見出した。この理由の詳細
は明らかではないが、NiがZnと反応し高融点のZn
−Ni合金を形成すること、NiおよびNi酸化物が非
常に高融点であり、また、Ni酸化物が半導体的性質を
持つために電気伝導度が各種皮膜の中でも高いことが理
由として考えられる。
【0016】従来の亜鉛系メッキ鋼板の接着性が、冷延
鋼板に比較して劣ることは知られていたが、その原因は
明らかになっていなかった。そこで、本発明者らは、そ
の原因について調査した結果、鋼板表面の酸化皮膜の組
成により接着性が支配されていることが明らかになっ
た。すなわち、冷延鋼板の場合には、鋼板表面の酸化皮
膜はFe酸化物が主体であるのに対し、亜鉛系メッキ鋼
板の場合には、Zn酸化物が主体である。この酸化皮膜
の組成により接着性が異なっており、Zn酸化物はFe
酸化物に比べて接着性が劣っていた。従って、この本発
明のように亜鉛系メッキ鋼板の表面にFe酸化物を含有
する皮膜を形成することによって、接着性を改善するこ
とが可能である。
【0017】従来の亜鉛系メッキ鋼板の化成処理性が、
冷延鋼板に比較して劣るのは、鋼板表面のZn濃度が高
いために、形成されるリン酸塩皮膜結晶が粗大で不均一
となること、および、リン酸塩皮膜の結晶組織および組
成の相違に起因する。鋼板表面のZn濃度が高い場合に
は、リン酸塩結晶はホパイトが主体となり、塗装後の温
水2次密着性に劣る。これは、リン酸塩皮膜中のFe濃
度が低いため、塗装後湿潤環境下に曝されると、化成処
理皮膜が復水し、鋼板との密着力を失うことが原因であ
る。
【0018】化成処理被膜の復水を抑制するためには、
リン酸塩結晶中にFeおよびNi等の金属を含有させる
ことが有効である。この発明のFe−Ni−O系皮膜を
形成することにより、化成処理の際に皮膜中のNiおよ
びFeがリン酸塩結晶中に取り込まれ、良好な密着性を
有する化成処理皮膜となる。また、Fe−Ni−O系皮
膜は、島状またはモザイク状に分布して形成されている
ので、亜鉛系メッキ層全体を覆ってはいない。従って、
化成処理皮膜と亜鉛系メッキ層との直接反応も同時に起
こっているため、亜鉛系メッキ層自体との密着力も確保
されている。
【0019】上述したように、亜鉛系メッキ鋼板の表面
にNiおよびFeの、金属および酸化物からなる混合皮
膜、即ち、Fe−Ni−O系皮膜が島状またはモザイク
状に分布して形成されていることにより、プレス成形
性、スポット溶接性、接着性および化成処理性のいずれ
においても優れたものが得られることを知見した。
【0020】この発明は、上述した知見に基づいてなさ
れたものであって、この発明の亜鉛系メッキ鋼板は、少
なくとも1方の面のメッキ層表面にFe−Ni−O系皮
膜を有する亜鉛系メッキ鋼板であって、Fe−Ni−O
系皮膜は島状またはモザイク状に分布し、Fe−Ni−
O系皮膜の付着量がFe−Ni−O系皮膜中の金属元素
の合計換算量で10〜1500mg/m2 の範囲内にあ
り、且つ、Fe−Ni−O系皮膜の表面被覆率が30〜
90%の範囲内にあることに特徴を有するもの(以下、
「第1発明」という)である。
【0021】この発明の望ましい亜鉛系メッキ鋼板は、
第1発明の鋼板において、Fe−Ni−O系皮膜のFe
含有量(wt.%)とNi含有量(wt.%)との和に
対するFe含有量(wt.%)の比率が、0.004〜
0.9の範囲内にあり、且つ、Fe−Ni−O系皮膜中
の酸素含有量は、0.5〜10wt.%の範囲内にある
ことに特徴を有するもの(以下、「第2発明」という)
である。
【0022】この発明の亜鉛系メッキ鋼板の製造方法
は、FeイオンおよびNiイオンを含有しpHが1〜
3.5の範囲内にあるミスト状の溶液を、亜鉛系メッキ
鋼板の少なくとも1方の面のメッキ層表面に吹き付け、
次いで、その亜鉛系メッキ鋼板を1秒以上、20〜70
℃の温度範囲内で保持した後、このようにして得られた
亜鉛系メッキ鋼板に加熱処理を施すことにより、付着量
が金属元素の合計換算量で10〜1500mg/m2
範囲内にあり、被覆率が30〜90%の範囲内にあり、
且つ、分布形態が島状またはモザイク状であるFe−N
i−O系皮膜を、前記メッキ層表面に形成させることに
特徴を有するもの(以下、「第3発明」という)であ
る。
【0023】この発明の亜鉛系メッキ鋼板の望ましい製
造方法は、第3発明の方法において、ミスト状の溶液中
のFe含有量(g/l)とNi含量量(g/l)との和
に対するFe含有量(g/l)の比率が、0.004〜
0.9の範囲内にあることに特徴を有するもの(以下、
「第4発明」という)である。
【0024】この発明の亜鉛系メッキ鋼板の他の望まし
い製造方法は、第3または第4発明の方法において、F
e−Ni−O系皮膜を形成するに際し、亜鉛系メッキ鋼
板の加熱処理を80〜500℃の温度で行なうことに特
徴を有するもの(以下、第5発明という)である。
【0025】この発明の亜鉛系メッキ鋼板の他の製造方
法について述べる。この発明の重要な特徴には、形態が
島状またはモザイク状のFe−Ni−O系皮膜を所定の
亜鉛系メッキ鋼板のメッキ層表面に形成されたもの、お
よび、その形成方法にある。上記島状またはモザイク状
のFe−Ni−O系皮膜を適正に形成させるために、亜
鉛系メッキ鋼板に下記予備処理を施すことにより、Fe
−Ni−O系皮膜が形成され易い微小部分と形成され難
い微小部分とを、メッキ層表面に作っておく。次いで、
このような微小部分が表面に形成された亜鉛系メッキ鋼
板に、Fe−Ni−O系皮膜を形成させるというもので
ある。この皮膜の形成方法は、付着量が金属元素の合計
換算量で10〜1500mg/m2 の範囲内にあり、且
つ、被覆率が30〜90%の範囲内となるようにするこ
とに特徴を有するものである。
【0026】亜鉛系メッキ鋼板の予備処理方法は、下記
の方法である。 亜鉛系メッキ鋼板を調質圧延することによりメッキ
層表面に微細な凹凸を形成させる(以下、「第6発明」
という)。 亜鉛系メッキ鋼板を調質圧延することによりメッキ
層表面に新生面を形成させる(以下、「第7発明」とい
う)。 亜鉛系メッキ鋼板を酸性溶液に浸漬するか、また
は、酸性溶液中で陽極電解することによりメッキ層表面
に存在する空気酸化皮膜の一部を溶解させてメッキ層表
面に活性な部分と不活性な部分とを形成させる(以下、
「第8発明」という)。 亜鉛系メッキ鋼板をアルカリ性溶液中に浸漬する
か、または、アルカリ性溶液中で陽極電解することによ
りメッキ層表面に存在する空気酸化皮膜の一部を溶解さ
せて前記メッキ層表面に活性な部分と不活性な部分とを
形成させる(以下、第9発明という)。
【0027】この発明の亜鉛系メッキ鋼板の望ましい製
造方法は、第6〜第9発明のいずれかの方法において、
Fe−Ni−O系皮膜の形成処理方法として、陰極電解
法を用いるものであって、電解液が、硫酸ニッケル、硫
酸第一鉄および硫酸第二鉄を合計で0.3〜2.0mo
l/lの範囲内で含有し、且つ、pHが1〜2の範囲内
にあることを満たすもの(以下、「第10発明」とい
う)である。
【0028】この発明の亜鉛系メッキ鋼板の望ましい製
造方法は、第10発明の方法において用いる電解液が、
Fe含有量(g/l)とNi含有量(g/l)との和に
対する前記Fe含有量(g/l)の比率が、0.004
〜0.9の範囲内にあり、且つ、硫酸第一鉄(mol/
l)と硫酸第二鉄(mol/l)との和に対する硫酸第
二鉄(mol/l)のモル比が、0.5〜1.0未満の
範囲内にあることを満たすもの(以下、「第11発明」
という)である。
【0029】この発明の亜鉛系メッキ鋼板の望ましい製
造方法は、第6〜第9発明のいずれかの方法において、
Fe−Ni−O系皮膜の形成処理に水溶液を用いる方法
であって、この水溶液が、FeCl2 およびNiCl2
を含有し、pHが2.0〜3.5の範囲内にあり、且
つ、温度が20〜70℃の範囲内にあることを満たすも
の(以下、「第12発明」という)である。
【0030】この発明の亜鉛系メッキ鋼板の望ましい製
造方法は、第12発明の方法において、Fe−Ni−O
系皮膜の形成処理に用いる水溶液が、Fe含有量(g/
l)とNi含有量(g/l)との和に対する前記Fe含
有量(g/l)の比率が、0.004〜0.9の範囲内
にあることを満たすもの(以下、「第13発明」とい
う)である。
【0031】
【発明の実施の形態】図1は、この発明の亜鉛系メッキ
鋼板の一実施態様の縦断面を示す模式図である。同図に
示すように、この発明の亜鉛系メッキ鋼板は、鋼板1
と、鋼板1の少なくとも一方の表面に形成された亜鉛系
メッキ層2と、亜鉛系メッキ層2の表面に形成された島
状またはモザイク状に分布したFe−Ni−O系皮膜3
とからなっている。
【0032】この発明の亜鉛系メッキ鋼板のFe−Ni
−O系皮膜を上述したように限定した理由を説明する。
Fe−Ni−O系皮膜の付着量を、金属元素の合計換算
量で10〜1500mg/m2 とすべき理由は、この付
着量が10mg/m2 未満では、プレス成形性、スポッ
ト溶接性および接着性の向上効果が得られない。一方、
この付着量が1500mg/m2 を超えると、上記効果
が飽和するばかりでなく、酸化物皮膜の存在によりリン
酸塩結晶の生成が抑制されて、化成処理性が劣化するか
らである。
【0033】亜鉛系メッキ層2の表面を覆う島状または
モザイク状に分布したFe−Ni−O系皮膜3の被覆率
は、鋼板片面当たり30〜90%の範囲内に限定すべき
理由は下記の通りである。Fe−Ni−O系皮膜3の被
覆率がが、鋼板1片面当たり30%未満では、プレス成
形性およびスポット溶接性の向上効果が得られない。一
方、Fe−Ni−O系皮膜3の被覆率が、鋼板1片面当
たり90%を超えると、リン酸塩結晶が亜鉛系メッキ鋼
板と直接反応する面積が少なくなり、亜鉛系メッキ層3
との密着性が劣るからである。
【0034】ここで、Fe−Ni−O系皮膜の形態が島
状またはモザイク状であることが必須要件である。その
理由は、この皮膜が亜鉛系メッキ層全体を被覆している
と、化成処理皮膜を形成させた場合に、亜鉛系メッキ層
との直接の反応が起こらないため、化成処理皮膜と亜鉛
系メッキ層自体との密着力が確保されず、化成処理皮膜
と亜鉛系メッキ層自体との密着力に劣るためである。
【0035】Fe−Ni−O系皮膜3としては、皮膜中
のFe比率(Fe/(Fe+Ni))を0.004〜
0.9の範囲内とするのが望ましい。その理由は、この
Fe/(Fe+Ni)が0.004未満では、接着性の
改善効果が小さく、一方、0.9を超えると、スポット
溶接性の改善効果が小さくなるためである。
【0036】Fe−Ni−O系皮膜中の酸素含有量を、
0.5〜10wt.%の範囲内とするのが望ましい。そ
の理由は、この酸素含有量が0.5wt.%未満では、
皮膜の金属的性質が強くなるため、プレス成形性の改善
効果が小さくなり、一方、10wt.%を超えると、酸
化物皮膜の存在によりリン酸塩結晶の生成が抑制され
て、化成処理性が低下傾向を示すからである。
【0037】次に、この発明において用いられる亜鉛系
メッキ鋼板とは、母材である鋼板の表面に、溶融メッキ
法、電気メッキ法および気相メッキ法等の方法でメッキ
層を形成させた鋼板であり、亜鉛系メッキ層の組成は、
純亜鉛の他、Fe、Ni、Co、Mn、Cr、Al、M
o、Ti、Si、W、Sn、Pb、NbおよびTa等の
金属もしくは酸化物、または、有機物の1種または2種
以上を含有する単層または複層のメッキ層からなるもの
である。また、上記メッキ層にSiO2 およびAl2
3 等の微粒子を含有していてもよい。また、亜鉛系メッ
キ鋼板として、メッキ層の組成を変化させた複層メッキ
鋼板および機能傾斜メッキ鋼板を使用することもでき
る。
【0038】次に、この発明の亜鉛系メッキ鋼板の製造
方法の第1実施態様について説明する。この第1実施態
様は、亜鉛系メッキ鋼板の少なくとも1方の面のメッキ
層表面に、FeおよびNiイオンを含有するpH1〜
3.5のミスト状の溶液を吹き付け、1秒間以上、20
〜70℃で保持後、この鋼板を加熱することにより、上
記メッキ層表面に、付着量が金属元素の合計換算量で1
0〜1500mg/m2、被覆率30〜90%の島状ま
たはモザイク状に分布したFe−Ni−O系皮膜を形成
させるというものである。
【0039】ミスト状の溶液のpHを1〜3.5の範囲
内に限定する理由は、pHがこの範囲外では溶液が亜鉛
系メッキ鋼板の表面に付着した際に置換析出反応が起こ
らず、Fe−Ni−O系皮膜中に金属Niおよび金属F
eを形成することができないからである。ミスト状の溶
液を吹き付けた後、1秒以上、20〜70℃の温度に保
持する理由は、置換反応が起こる時間を確保して、Fe
−Ni−O系皮膜中にNiおよびFeを取り込むためで
ある。ミスト状の溶液は、置換析出効率が高い塩化物浴
が望ましく、置換反応が確保されるならば、硫酸浴、硝
酸浴等その他の溶液を用いてもよい。また、置換析出効
率の向上をはかるため、または加熱時に塩が分解し易い
ように、酸化剤、界面活性剤等の添加剤を加えてもよ
い。
【0040】Fe−Ni−O系皮膜の付着量を金属元素
の合計換算量で10〜1500mg/m2 、被覆率を3
0〜90%の範囲内とするためには、吹き付けるミスト
の液滴の大きさおよび吹き付け量、または、溶液の濃度
を調整すればよい。
【0041】ミスト状の溶液が吹き付けられた亜鉛系メ
ッキ鋼板の加熱処理温度を、80〜500℃の範囲内に
限定するのは、この温度が80℃未満では、塩類が分解
しないため適正なFe−Ni−O系皮膜にならす、一
方、500℃を超えると、鋼板およびメッキ層の特性が
変化するとういう問題が生じ、望ましくないからであ
る。
【0042】この発明の亜鉛系メッキ鋼板の製造方法の
第2実施態様について説明する。この第2実施態様は、
亜鉛系メッキ鋼板を調質圧延してメッキ層表面に微細な
凹凸を形成させ、次いで、少なくとも1方の面のメッキ
層表面にFe−Ni−O系皮膜形成処理を施し、付着量
が金属元素の合計換算量で10〜1500mg/m2
被覆率が30〜90%の島状またはモザイク状に分布し
たFe−Ni−O系皮膜を形成させるというものであ
る。
【0043】亜鉛系メッキ鋼板を調質圧延するのは、形
状矯正および表面平滑化のためであり、この発明では表
面に微細な凹凸が形成された圧延ロールを用いて行な
う。図2は、表面に微細な凹凸が形成された圧延ロール
を用いて亜鉛系メッキ鋼板を調質圧延した場合の鋼板断
面の模式図である。同図に示すように、鋼板1の亜鉛系
メッキ層2の表面に微細な凸部2aおよび凹部2bが形
成される。次いで、微細な凹凸が形成された亜鉛系メッ
キ鋼板の表面に、Fe−Ni−O系皮膜の形成処理を施
すことにより、凸部2a上にのみFe−Ni−O系皮膜
が生成し、かくして、島状またはモザイク状のFe−N
i−O系皮膜が形成される。これは、Fe−Ni−O系
皮膜の生成反応性が凸部の方が凹部よりも高いことによ
る。Fe−Ni−O系皮膜の形成処理を電解法で行なう
場合は、電解電流が凸部に集中することに起因し、水溶
液浸漬法で行なう場合は、反応するイオンの溶液中での
拡散挙動の相違に起因する。
【0044】この発明の亜鉛系メッキ鋼板の製造方法の
第3実施態様について説明する。この第3実施態様は、
亜鉛系メッキ鋼板を調質圧延してメッキ層表面に新生面
を形成させ、次いで、少なくとも1方の面のメッキ層表
面にFe−Ni−O系皮膜形成処理を施し、付着量が金
属元素の合計換算量で10〜1500mg/m2 、被覆
率が30〜90%の島状またはモザイク状に分布したF
e−Ni−O系皮膜を形成させるというものである。亜
鉛系メッキ鋼板を調質圧延するのは、形状矯正および表
面平滑化のためであり、この発明では、特に、表面が比
較的平滑な圧延ロールによって行なう。図3は、表面が
比較的平滑な圧延ロールによって亜鉛系メッキ鋼板を調
質圧延した場合の鋼板断面の模式図である。同図に示す
ように鋼板1の亜鉛系メッキ層2の表面に元々存在して
いた微細な凹凸の内、凸部がロールと接触することによ
って、新生面が現れた凸部2aおよび新生面が露出しな
い凹部2bが形成される。次いで、上述した凸部に新生
面が現れた亜鉛系メッキ鋼板の表面に、Fe−Ni−O
系皮膜の形成処理を施すことにより、凸部2a上の新生
面にのみFe−Ni−O系皮膜が生成し、かくして、島
状またはモザイク状のFe−Ni−O系皮膜が形成され
る。これは、Fe−Ni−O系皮膜の生成反応性が凸部
の方が凹部よりも高いことによる。この場合も、第2実
施態様における場合と同様、Fe−Ni−O系皮膜の形
成処理を電解法で行なう場合は、電解電流が凸部に集中
することに起因し、水溶液浸漬法で行なう場合は、反応
するイオンの溶液中での拡散挙動の相違に起因する。
【0045】この発明の亜鉛系メッキ鋼板の製造方法の
第4実施態様について説明する。この第4実施態様は、
亜鉛系メッキ鋼板を酸性溶液に浸漬するか、または、酸
性溶液中で陽極電解することによりメッキ層表面に存在
する空気酸化皮膜の一部を溶解させて活性な部分と不活
性な部分とを形成させ、次いで、Fe−Ni−O系皮膜
の形成処理を施すことにより、付着量が金属元素の合計
換算量で10〜1500mg/m2 、被覆率が30〜9
0%の島状またはモザイク状に分布したFe−Ni−O
系皮膜を形成させるというものである。
【0046】図4は、亜鉛系メッキ鋼板を酸性溶液中に
浸漬するか、または、酸性溶液中で陽極電解することに
より、メッキ層表面の空気酸化皮膜の一部を溶解させ
て、メッキ層表面に、活性な部分と不活性な部分とを形
成させた場合の断面模式図である。同図に示すように、
亜鉛系メッキ層2の表面に、空気酸化皮膜が残存する不
活性部分4と、空気酸化皮膜が薄い状態で残留する活性
部分5とが生成する。次いで、上述した活性な部分と不
活性な部分が存在する亜鉛系メッキ鋼板に、Fe−Ni
−O系皮膜の形成処理を施すことにより、活性部分5に
のみFe−Ni−O系皮膜3が形成され、かくして、島
状またはモザイク状のFe−Ni−O系皮膜が形成され
る。これは、Fe−Ni−O系皮膜の生成反応性が活性
部の方が高いことによる。Fe−Ni−O系皮膜の形成
処理を電解法で行なう場合は、電解電流が活性部に集中
することに起因し、水溶液浸漬法で行なう場合は、活性
部の反応性が高いことに起因する。
【0047】この発明の亜鉛系メッキ鋼板の製造方法の
第5実施態様について説明する。この第5実施態様は、
第4実施態様の製造方法で、酸性溶液の替わりにアルカ
リ性溶液を用いたものであり、その効果は全く同様であ
る。即ち、亜鉛系メッキ鋼板をアルカリ性溶液に浸漬す
るか、または、アルカリ性溶液中で陽極電解することに
よりメッキ層表面に存在する空気酸化皮膜の一部を溶解
させて活性な部分と不活性な部分とを形成させ、次い
で、Fe−Ni−O系皮膜の形成処理を施すことによ
り、付着量が金属元素の合計換算量で10〜1500m
g/m2 、被覆率が30〜90%の島状またはモザイク
状に分布したFe−Ni−O系皮膜を形成させるという
ものである。
【0048】亜鉛系メッキ鋼板をアルカリ性溶液中に浸
漬するか、または、アルカリ性溶液中で陽極電解するこ
とによりメッキ層表面に存在する空気酸化皮膜の一部を
溶解させて活性な部分と不活性な部分とを形成させた場
合も、図4に示した状態と同様な断面状態となる。そし
て、Fe−Ni−O系皮膜の形成処理を施すことによ
り、活性部分にのみFe−Ni−O系皮膜が形成され、
かくして、島状またはモザイク状のFe−Ni−O系皮
膜が形成される。これは、Fe−Ni−O系皮膜の生成
反応性が活性部の方が高いことによる。この場合も第4
実施態様の場合と同様、Fe−Ni−O系皮膜の形成処
理を電解法で行なう場合は、電解電流が活性部に集中す
ることに起因し、水溶液浸漬法で行なう場合は、活性部
の反応性が高いことに起因する。
【0049】ここで、Fe−Ni−O系皮膜の形成処理
にあたり、硫酸ニッケル、硫酸第一鉄および硫酸第二鉄
を合計で、0.3〜2.0mol/l含有するpH1〜
2の電解液を用いて陰極電解することにより、Fe−N
i−O系皮膜を形成させることができる。更に、上記電
解液中のFe含有量(g/l)とNi含有量(g/l)
との和に対するFe含有量(g/l)の比率を、0.0
04〜0.9の範囲内に調整し、且つ、硫酸第一鉄(m
ol/l)と硫酸第二鉄(mol/l)との和に対する
前記硫酸第一鉄(mol/l)のモル比を、0.5〜
1.0未満の範囲内に調整することが望ましい。このよ
うな条件が望ましい理由は、電解液中のFe比率(Fe
/(Fe+Ni))が0.004未満では、Fe−Ni
−O系皮膜中のFe含有量が低くなり、接着性改善効果
が小さくなり、一方、0.9を超えるとFe−Ni−O
系皮膜中のFe含有量が高くなり、スポット溶接性改善
効果が小さくなるからである。また、硫酸第二鉄のモル
比(硫酸第二鉄/硫酸第一鉄+硫酸第二鉄)が、0.5
未満では、Fe−Ni−O系皮膜中の酸素濃度が低くな
り、一方、このモル比が高いほどFe−Ni−O系皮膜
中に鉄酸化物が取り込まれ易くなり、酸素濃度が上昇す
るからである。但し、硫酸第二鉄だけでは、メッキ焼け
を起こすので望ましくない。
【0050】また、上記Fe−Ni−O系皮膜の形成処
理にあたり、FeCl2 およびNiCl2 を含有するp
H2.0〜3.5、温度20〜70℃の水溶液で処理す
ることにより、Fe−Ni−O系皮膜を形成させること
が望ましい。更に、上記水溶液中のFe含有量(g/
l)とNi含有量(g/l)との和に対するFe含有量
(g/l)の比率を、0.004〜0.9に調整するこ
とが望ましい。
【0051】
【実施例】次に、この発明を実施例により更に詳細に説
明する。本発明の範囲内で行なった実施例、および、本
発明の範囲外で行なった比較例を下記のようにして実施
した。実施例および比較例で使用した亜鉛系メッキ鋼板
は、メッキの方法、組成および付着量に応じて、下記記
号A〜Gの7種のメッキ種のものを適宜選定した。 A:合金化溶融亜鉛メッキ鋼板(10wt.%Fe、残
部Zn)であり、付着量は両面共に60g/m2 である。 B:溶融亜鉛メッキ鋼板であり、付着量は両面共に90
g/m2 である。 C:電気亜鉛メッキ鋼板であり付着量は両面共に40g
/m2 である。 D:電気Zn−Fe合金メッキ鋼板(15wt.%F
e)であり、付着量は両面共に40g/m2 である。 E:電気Zn−Ni合金メッキ鋼板(12wt.%N
i)であり、付着量は両面共に30g/m2 である。 F:電気Zn−Cr合金メッキ鋼板(4wt.%Cr)
であり、付着量は両面共に20g/m2 である。 G:溶融Zn−Al合金メッキ鋼板(5wt.%Al)
であり、付着量は両面共に60g/m2 である。
【0052】本発明の実施例に関しては、下記I)〜
V)の方法により、上記メッキ種の亜鉛系メッキ鋼板の
メッキ層表面に島状またはモザイク状に分布したFe−
Ni−O系皮膜を形成させた。
【0053】I)この発明の第1実施態様に基づき、F
e−Ni−O系皮膜が島状およびモザイク状に分布した
亜鉛系メッキ鋼板を製造した。FeおよびNiイオンを
含有するミスト状の溶液を亜鉛系メッキ鋼板に吹き付
け、次いで、この鋼板に加熱処理を施すことにより上記
皮膜を形成させた。その他の主要条件はつぎの通りであ
る。 溶液の成分:塩化ニッケルおよび塩化鉄 溶液中の金属イオン含有量:1〜10g/l 溶液の吹き付け量:所定の付着量が得られるように調整 溶液の吹き付け後の保持時間:1〜30秒 加熱処理温度:200〜350℃ 加熱処理時間:1分
【0054】II)この発明の第2実施態様に基づき、
Fe−Ni−O系皮膜が島状およびモザイク状に分布し
た亜鉛系メッキ鋼板を製造した。亜鉛系メッキ鋼板を調
質圧延することにより亜鉛系メッキ層の表面に微細な凹
凸(凹凸のピッチ:50〜300μm )を形成させ、次
いで、下記に示す1.陰極電解法または2.水溶液浸漬
法の方法でFe−Ni−O系皮膜の形成処理を施した。 1.陰極電解法 電解液 :硫酸ニッケル、硫酸第一鉄および硫酸第二鉄含有溶液 電解液濃度:0.3〜2.0mol/l(但し、成分合計濃度) pH :1〜2 電解液中のFe比率(Fe/(Fe+Ni)):0.004〜0.9 電解液中の硫酸第二鉄モル比 (硫酸第二鉄/硫酸第一鉄+硫酸第二鉄):0.5〜1.0 2.水溶液浸漬法 水溶液および成分濃度:塩化ニッケル=120g/l 塩化第一鉄=種々濃度に変化させた。 pH :2.5〜3.5 水溶液中のFe比率(Fe/(Fe+Ni)):0.004〜0.9 浸漬時間 :1〜30秒
【0055】III)この発明の第3実施態様に基づ
き、Fe−Ni−O系皮膜が島状およびモザイク状に分
布した亜鉛系メッキ鋼板を製造した。亜鉛系メッキ鋼板
を調質圧延することにより亜鉛系メッキ層の表面に新生
面を形成させ(新生面のピッチ:10〜50μm )を形
成させ、次いで、Fe−Ni−O系皮膜の形成処理を行
なった。皮膜の形成は、II)で示した2.水溶液浸漬
法で行なった。
【0056】IV)この発明の第4実施態様に基づき、
Fe−Ni−O系皮膜が島状およびモザイク状に分布し
た亜鉛系メッキ鋼板を製造した。亜鉛系メッキ鋼板をp
H:3の硫酸酸性溶液に2〜5秒浸漬し、亜鉛系メッキ
層の表面に存在する空気酸化皮膜の一部を溶解して、上
記メッキ層の表面に活性な部分と不活性な部分を形成さ
せ、次いで、Fe−Ni−O系皮膜の形成処理を行なっ
た。皮膜の形成は、II)で示した1.陰極電解法およ
び2.水溶液浸漬法で行なった。
【0057】V)この発明の第5実施態様に基づき、F
e−Ni−O系皮膜が島状およびモザイク状に分布した
亜鉛系メッキ鋼板を製造した。亜鉛系メッキ鋼板をp
H:12のNaOHアルカリ性水溶液中に2〜5秒浸漬
し、亜鉛系メッキ層の表面に存在する空気酸化皮膜の一
部を溶解して、上記メッキ層の表面に活性な部分と不活
性な部分を形成させ、次いで、Fe−Ni−O系皮膜の
形成処理を行なった。皮膜の形成は、II)で示した
1.陰極電解法および2.水溶液浸漬法で行なった。
【0058】一方、比較例に関しては、上述した本発明
の範囲外の条件でFe−Ni−O系皮膜を形成させる
か、または、この皮膜の形成処理を施さない亜鉛系メッ
キ鋼板であり、それぞれについて調製した。
【0059】表1〜表5に、実施例および比較例につい
て、亜鉛系メッキ層のメッキ種(記号表示)およびその
付着量、Fe−Ni−O系皮膜の形成方法(記号表
示)、金属元素の合計換算量による付着量および被覆率
を、表4および表5に示す実施例および比較例について
は更に、この皮膜中のFe比率(Fe/(Fe+N
i))およびその酸素含有量を示す。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
【表4】
【0064】
【表5】
【0065】Fe−Ni−O系皮膜の付着量、被覆率、
皮膜中Fe比率および皮膜中酸素含有量の測定は下記の
とおりである。
【0066】〔皮膜の付着量、および、皮膜中Fe/
(Fe+Ni)の測定〕メッキ種が、記号Bの溶融亜鉛
メッキ、記号Cの電気亜鉛メッキ、記号Fの電気Zn−
Cr合金メッキ、および、記号Gの溶融Zn−Al合金
メッキの供試体については、Fe−Ni−O系皮膜を、
下層のメッキ皮膜(Zn系メッキ、以下同じ)の表層部
と共に希塩酸により溶解剥離させ、ICP法によりF
e、Niおよび金属の定量分析を行なうことによって、
Fe−Ni−O系皮膜の付着量および組成を測定した。
次いで、皮膜中Fe/(Fe+Ni)を算定した。
【0067】メッキ種が、記号Aの合金化溶融亜鉛メッ
キ、記号Dの電気Zn−Fe合金メッキ、および、記号
Eの電気Zn−Ni合金メッキの供試体については、下
層のメッキ皮膜中にFe−Ni−O系皮膜中の成分元素
を含むので、ICP法では上層のFe−Ni−O系皮膜
中成分元素と下層のメッキ皮膜中成分元素とを完全に分
離することは困難である。従って、ICP法によりFe
−Ni−O系皮膜中の元素の内、下層のメッキ皮膜中に
含まれていない元素のみを定量分析した。更に、Arイ
オンスパッタした後、XPS法によりFe−Ni−O系
皮膜中各成分元素の測定を表面から表面から繰り返すこ
とによって、メッキ層の深さに対する各成分元素の組成
分布を測定した。この測定方法においては、下層のメッ
キ皮膜中に含まれていないFe−Ni−O系皮膜の元素
が最大濃度である深さとその元素が検出されなくなった
深さとの半分の位置と、表面との間隔をFe−Ni−O
系皮膜の厚さとした。そして、ICP法の結果とXPS
法の結果から、Fe−Ni−O系皮膜の付着量および組
成を算定した。次いで、皮膜中Fe/(Fe+Ni)を
算定した。
【0068】〔被覆率の測定〕島状またはモザイク状に
形成されたFe−Ni−O系皮膜の被覆率の測定は以下
のように行なった。AES分析法(オージェ電子分光
法)またはEPMA分析法により、Fe−Ni−O系皮
膜を形成させたメッキ表面のマッピング分析を行ない、
表面のNi、FeおよびOの分布状態を測定し、Fe−
Ni−O系皮膜の付着量が金属元素の合計換算量で10
mg/m2 以上の強度が得られる点を被覆されている点
とみなし、全測定点数に対する被覆されている点の割合
を求めることにより、被覆率を算出した。図5は、EP
MAによりFe−Ni−O系皮膜中のNiの分布状態を
分析し、画像処理した顕微鏡写真の一例を示す。これは
EPMAで被検面600×600μm の範囲を3μm ピ
ッチで、加速電圧5keV の条件で測定したものである。
白色部分がFe−Ni−O系皮膜において10mg/m
2 以上のNi強度が得られている部分である。白色部は
島状またはモザイク状に分布しており、Fe−Ni−O
系皮膜が島状またはモザイク状に形成されていることを
示している。
【0069】〔皮膜の酸素含有量の測定〕皮膜の酸素含
有量は、AESの深さ方向分析結果から求めた。
【0070】以上の実施例および比較例の供試体(No.
1〜72)について、プレス成形性、スポット溶接性お
よび化成処理性についての評価を、更に、供試体No.1
〜48については化成処理皮膜と亜鉛系メッキ層自体と
の密着性について、また、供試体No.49〜72につい
ては接着性についても評価した。
【0071】〔摩擦係数の測定〕プレス成形性を評価す
るために、各供試体の摩擦係数を、下記装置により測定
した。図6は、摩擦係数測定装置を示す概略正面図であ
る。同図に示すように、供試体から採取した摩擦係数測
定用試料6が試料台7に固定され、試料台7は、水平移
動可能なスライドテ−ブル8の上面に固定されている。
スライドテ−ブル8の下面には、これに接したロ−ラ9
を有する上下動可能なスライドテ−ブル支持台10が設
けられ、これを押上げることにより、ビ−ド11による
摩擦係数測定用試料6への押付荷重Nを測定するための
第1ロ−ドセル12が、スライドテ−ブル支持台10に
取付けられている。上記押付力を作用させた状態で、ス
ライドテ−ブル8の水平移動方向の一方の端部には、ス
ライドテ−ブル8を水平方向へ移動させるための摺動抵
抗力Fを測定するための第2ロ−ドセル13が、スライ
ドテ−ブル8の一方の端部に取付けられている。なお、
潤滑油として、スギムラ化学社製のプレス洗浄油プレト
ンR352Lを用い、摩擦係数測定用試料6の表面に塗
布して試験を行なった。
【0072】供試体とビ−ドとの間の摩擦係数μは、
式:μ=F/Nで算出した。但し、押付荷重N:400
kgf、試料の引き抜き速度(スライドテ−ブル3の水
平移動速度):100cm/minとした。
【0073】図7は、使用したビ−ドの形状・寸法を示
す概略斜視図である。ビ−ド11の下面が試料6の表面
に押しつけられた状態で摺動する。その下面形状は、幅
10mm、摺動方向長さ3mmの平面を有し、その前後
面の幅10mmの各々の線に4.5mmRをもつ筒面の
1/4筒面が同図のように接している。
【0074】〔連続打点性試験〕スポット溶接性を評価
するために、各供試体について連続打点性試験を行なっ
た。同じNO.の供試体を2枚重ね、それを両面から1対
の電極チップで挟み、加圧通電して電流を集中させた抵
抗溶接(スポット溶接)を、下記溶接条件で連続的に実
施した。 ・電極チップ:先端径6mmのド−ム型、 ・加圧力:250kgf、 ・溶接時間:0.2秒、 ・溶接電流:11.0KA、 ・溶接速度:1点/sec。 連続打点性の評価としては、スポット溶接時に、2枚重
ねた溶接母材(供試体)の接合部に生じた溶融凝固した
金属部(形状:碁石状、以下、ナゲットという)の径
が、4×t1/2 (t:1枚の板厚)未満になるまでに連
続打点溶接した打点数を用いた。なお、上記打点数を以
下、電極寿命という。
【0075】〔化成処理皮膜密着性試験〕供試体を自動
車塗装下地用の浸漬型燐酸亜鉛処理剤で処理し、更に2
0μmの塗膜厚のED塗装を行なった。図8に示すよう
に、100×25mmサイズの供試体15の間に0.1
5mmのスペーサー16を介して接着剤17の厚さが
0.15mm、接着面積が25×10mmとなるように
試験体を作製し、170℃×30分の焼き付けを行なっ
た。接着剤はエポキシ系の構造用接着剤を用いた。な
お、供試体は板厚0.8mmの各種鋼板であるが、材質
によっては強度が小さく、引張試験を行なう際に母材破
断を生じる可能性があるため、供試体には板厚2mmの
鋼板を補強板19とし、試験体とした。この試験体を引
張試験機を用いて200mm/minの速度で引っ張
り、剥離時の平均剥離強度を測定するとともに、剥離面
を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。剥離
は、強度が最も弱い箇所で発生する。GA(記号A)を
用いた場合には、剥離はGAメッキ皮膜と鋼板との界面
で発生し、剥離強度はGAメッキ皮膜と鋼板との界面密
着強度となる。GI(記号B)、EG(記号C)、Zn
−Fe(記号D)、Zn−Ni(記号E),Zn−Cr
(記号F)、Zn−Al(記号G)を用いた場合には、
接着剤内部の凝集破壊となり、剥離強度は接着剤自体の
強度となる。本発明の皮膜が亜鉛系メッキ層全体を被覆
していると、化成処理皮膜と亜鉛系メッキ層自体との密
着力が確保されず、剥離強度が低下する。剥離強度が無
処理材と同等のものを○、剥離強度が無処理材より低下
しているものを×で表わした。
【0076】〔接着性試験〕各供試体から次の接着性試
験用試験体を調製した。図9は、その組み立て過程を説
明する概略斜視図である。同図に示すように、幅25m
m、長さ200mmの2枚の供試体10を、その間に直
径0.15mmのスペーサー11を介して、接着剤12の厚さ
が0.15mmとなるように重ね合わせて接着した試験体13
を作成し、150°C×10minの焼き付けを行な
う。このようにして調製された前記試験体を図10に示
すようにT型に折り曲げ、引張試験機を用いて200m
m/minの速度で引張試験をし、試験体が剥離した時
の平均剥離強度(n=3回)を測定した。剥離強度は、
剥離時の引張荷重曲線の荷重チャ−トから、平均荷重を
求め、単位:kgf/25mmで表わした。図10中、
Pは引張荷重を示す。なお接着剤は塩ビ系のヘミング用
アドヒシブを用いた。
【0077】〔化成処理性試験〕化成処理性を評価する
ために、次の試験を行なった。各供試体を、自動車塗装
下地用の浸漬型燐酸亜鉛処理液(日本パ−カライジング
社製PBL3080)で通常の条件で処理し、その表面
に燐酸亜鉛皮膜を形成させた。このようにして形成され
た燐酸亜鉛皮膜の結晶状態を走査型電子顕微鏡(SE
M)により観察した。その結果、リン酸亜鉛皮膜が正常
に形成されているものを○、リン酸亜鉛皮膜が形成され
ていないか、あるいは結晶にスケが発生しているものを
×で表わした。
【0078】上述した試験方法で測定された各供試体の
試験結果を、表1〜表5に併記した。これらの表から次
のことが明らかである。
【0079】本発明の範囲内の実施例では、摩擦係数が
小さくプレス成形性が良好であった。特に、この発明に
おいては、Fe−Ni−O系皮膜が島状またはモザイク
状に分布しているので、その付着量が同じであって他の
条件も同じとみなせる場合には、この皮膜によるメッキ
層表面の被覆率が増加するにつれて、摩擦係数が小さく
なっており、プレス成形性の向上に一層寄与する。
【0080】また、スポット溶接性における連続打点性
試験の結果は、実施例においてはすべて、5000点以
上であり、非常に良好であった。
【0081】化成処理性についても実施例では燐酸亜鉛
皮膜の結晶が正常に形成されており良好である。
【0082】化成処理皮膜と亜鉛系メッキ層自体との密
着性については、Fe−Ni−O系皮膜が亜鉛系メッキ
層全体を被覆していると、化成処理皮膜と亜鉛系メッキ
層自体との密着力が確保されず、剥離強度が低下するの
で、Fe−Ni−O系皮膜による被覆率が100%であ
るNo.17の比較例では密着性が確保されていない。こ
れに対して、実施例ではすべてそれが確保されている。
【0083】剥離強度は、実施例の殆んどにおいて、1
2kgf/25mm以上で良好である。
【0084】本発明の範囲外である比較例では、摩擦係
数、連続打点性、接着性および化成処理性のいずれかに
おいて劣っている。
【0085】
【発明の効果】本発明は、以上のように構成したので、
亜鉛系メッキ鋼板のメッキ層の表面に形成されたFe−
Ni−O系皮膜の性能が向上し、亜鉛または亜鉛合金メ
ッキ層に比べて硬質、且つ、高融点であり、しかも、こ
の皮膜が島状またはモザイク状に分布しているので、プ
レス成形時におけるメッキ層表面とプレス金型との摺動
抵抗の低下が著しく、亜鉛系メッキ鋼板がプレス金型へ
滑り込み易くなり、プレス成形性が向上する。また、高
融点あるFe−Ni−O系皮膜の存在により、スポット
溶接における連続打点性が向上する。更に、Fe−Ni
−O系皮膜中のFe酸化物の存在により、接着板の剥離
強度が増加し接着性が向上する。また、上記皮膜が島状
またはモザイク状に分布していることも加わり、化成処
理性も一層向上する。かくして、この発明によれば、プ
レス成形性、スポット溶接性、接着性および化成処理性
に優れた亜鉛系メッキ鋼板を提供することができる、工
業上極めて有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の亜鉛系メッキ鋼板の一実施例の縦断
面を示す模式図である。
【図2】表面に微細な凹凸が形成された圧延ロールを用
いて亜鉛系メッキ鋼板を調質圧延した後、Fe−Ni−
O系皮膜の形成処理を施した場合の、この発明の亜鉛系
メッキ鋼板の実施例の縦断面を示す模式図である。
【図3】表面が比較的平滑な圧延ロールによって亜鉛系
メッキ鋼板を調質圧延した後、Fe−Ni−O系皮膜の
形成処理を施した場合の、この発明の亜鉛系メッキ鋼板
の実施例の縦断面を示す模式図である。
【図4】亜鉛系メッキ鋼板を酸性溶液中に浸漬するか、
または、酸性溶液中で陽極電解することにより、メッキ
層表面の空気酸化皮膜の一部を溶解させて、メッキ層表
面に、活性な部分と不活性な部分とを形成させた場合
の、この発明の亜鉛系メッキ鋼板の実施例の縦断面を示
す模式図である。
【図5】EPMAによるFe−Ni−O系皮膜中のNi
の分布状態を示す顕微鏡写真の例である。
【図6】摩擦係数測定装置を示す概略正面図である。
【図7】図5中のビ−ドの形状・寸法を示す概略斜視図
である。
【図8】本発明の亜鉛系メッキ鋼板の特性の一つである
化成処理皮膜と亜鉛系メッキ層自体との密着力の評価方
法を示す概略斜視図である。
【図9】接着性試験における剥離強度測定時の引張荷重
の負荷を説明する概略斜視図である。
【図10】接着試験における剥離強度測定時の引張荷重
の負荷を説明する概略斜視図である。
【符号の説明】
1 鋼板、 2 亜鉛系メッキ層、 2a 凸部、 2b 凹部、 3 Fe−Ni−O系皮膜、 4 不活性部分、 5 活性部分、 6 摩擦係数測定用試料、 7 試料台、 8 スライドテ−ブル、 9 ロ−ラ、 10 スライドテ−ブル支持台、 11 ビ−ド、 12 第1ロ−ドセル、 13 第2ロ−ドセル、 14 レ−ル、 15 供試体、 16 スペ−サ−、 17 接着剤、 18 接着試験用試験体、 19 補強板 P 引張荷重、 F 摺動抵抗力、 N 押付け荷重。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 稲垣 淳一 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 山下 正明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 平8−158066(JP,A) 国際公開96/10103(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25D 3/00 - 7/12 C23C 2/00 - 2/40 C23C 22/00 - 22/86 C23C 28/00 - 30/00

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1方の面のメッキ層表面にF
    e−Ni−O系皮膜を有する亜鉛系メッキ鋼板であっ
    て、前記Fe−Ni−O系皮膜は島状またはモザイク状
    に分布し、前記Fe−Ni−O系皮膜の付着量が前記F
    e−Ni−O系皮膜中の金属元素の合計換算量で10〜
    1500mg/m2 の範囲内にあり、且つ、前記Fe−
    Ni−O系皮膜の表面被覆率が30〜90%の範囲内に
    あることを特徴とする亜鉛系メッキ鋼板。
  2. 【請求項2】 前記Fe−Ni−O系皮膜のFe含有量
    (wt.%)とNi含有量(wt.%)との和に対する
    前記Fe含有量(wt.%)の比率は、0.004〜
    0.9の範囲内にあり、且つ、前記Fe−Ni−O系皮
    膜中の酸素含有量は、0.5〜10wt.%の範囲内に
    ある請求項1記載の亜鉛系メッキ鋼板。
  3. 【請求項3】 FeイオンおよびNiイオンを含有しp
    Hが1〜3.5の範囲内にあるミスト状の溶液を、亜鉛
    系メッキ鋼板の少なくとも1方の面のメッキ層表面に吹
    き付け、次いで、前記亜鉛系メッキ鋼板を1秒以上、2
    0〜70℃の温度範囲内で保持した後、このようにして
    得られた前記亜鉛系メッキ鋼板に加熱処理を施すことに
    より、付着量が金属元素の合計換算量で10〜1500
    mg/m2 の範囲内にあり、被覆率が30〜90%の範
    囲内にあり、且つ、分布形態が島状またはモザイク状で
    あるFe−Ni−O系皮膜を、前記メッキ層表面に形成
    させることを特徴とする亜鉛系メッキ鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記ミスト状の溶液中のFe含有量(g
    /l)とNi含量量(g/l)との和に対する前記Fe
    含有量(g/l)の比率は、0.004〜0.9の範囲
    内にある、請求項3記載の亜鉛系メッキ鋼板の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記加熱処理における前記亜鉛系メッキ
    鋼板の温度は80〜500℃である、請求項3または4
    記載の亜鉛系メッキ鋼板の製造方法。
  6. 【請求項6】 亜鉛系メッキ鋼板を調質圧延することに
    よりメッキ層表面に微細な凹凸を形成させ、次いで、こ
    のようにして微細な凹凸が形成された前記メッキ層表面
    を有する前記亜鉛系メッキ鋼板に対してFe−Ni−O
    系皮膜の形成処理を施すことにより、島状またはモザイ
    ク状に分布したFe−Ni−O系皮膜を前記亜鉛系メッ
    キ鋼板の少なくとも1方の面の前記メッキ層表面に形成
    させ、しかも、付着量が金属元素の合計換算量で10〜
    1500mg/m2 の範囲内にあり、且つ、被覆率が3
    0〜90%の範囲内にあるFe−Ni−O系皮膜を形成
    させることを特徴とする亜鉛系メッキ鋼板の製造方法。
  7. 【請求項7】 亜鉛系メッキ鋼板を調質圧延することに
    よりメッキ層表面に新生面を形成させ、次いで、このよ
    うにして新生面が形成された前記メッキ層表面を有する
    前記亜鉛系メッキ鋼板に対してFe−Ni−O系皮膜の
    形成処理を施すことにより、島状またはモザイク状に分
    布したFe−Ni−O系皮膜を前記亜鉛系メッキ鋼板の
    少なくとも1方の面の前記メッキ層表面に形成させ、し
    かも、付着量が金属元素の合計換算量で10〜1500
    mg/m2 の範囲内にあり、且つ、被覆率が30〜90
    %の範囲内にあるFe−Ni−O系皮膜を形成させるこ
    とを特徴とする亜鉛系メッキ鋼板の製造方法。
  8. 【請求項8】 亜鉛系メッキ鋼板を酸性溶液に浸漬する
    か、または、酸性溶液中で陽極電解することによりメッ
    キ層表面に存在する空気酸化皮膜の一部を溶解させて前
    記メッキ層表面に活性な部分と不活性な部分とを形成さ
    せ、次いで、このようにして活性な部分と不活性な部分
    とが形成された前記メッキ層表面を有する前記亜鉛系メ
    ッキ鋼板に対してFe−Ni−O系皮膜の形成処理を施
    すことにより、島状またはモザイク状に分布したFe−
    Ni−O系皮膜を前記亜鉛系メッキ鋼板の少なくとも1
    方の面の前記メッキ層表面に形成させ、しかも、付着量
    が金属元素の合計換算量で10〜1500mg/m2
    範囲内にあり、且つ、被覆率が30〜90%の範囲内に
    あるFe−Ni−O系皮膜を形成させることを特徴とす
    る亜鉛系メッキ鋼板の製造方法。
  9. 【請求項9】 亜鉛系メッキ鋼板をアルカリ性溶液中に
    浸漬するか、または、アルカリ性溶液中で陽極電解する
    ことによりメッキ層表面に存在する空気酸化皮膜の一部
    を溶解させて前記メッキ層表面に活性な部分と不活性な
    部分とを形成させ、次いで、このようにして活性な部分
    と不活性な部分とが形成された前記メッキ層表面を有す
    る前記亜鉛系メッキ鋼板に対してFe−Ni−O系皮膜
    の形成処理を施すことにより、島状またはモザイク状に
    分布したFe−Ni−O系皮膜を前記亜鉛系メッキ鋼板
    の少なくとも1方の面の前記メッキ層表面に形成させ、
    しかも、付着量が金属元素の合計換算量で10〜150
    0mg/m2 の範囲内にあり、且つ、被覆率が30〜9
    0%の範囲内にあるFe−Ni−O系皮膜を形成させる
    ことを特徴とする亜鉛系メッキ鋼板の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記Fe−Ni−O系皮膜の前記形成
    処理は、陰極電解によるものであって、前記陰極電解の
    電解液は、硫酸ニッケル、硫酸第一鉄および硫酸第二鉄
    を合計で0.3〜2.0mol/lの範囲内で含有し、
    且つ、pHが1〜2の範囲内にあることを満たすもので
    ある、請求項6〜9のいずれか一つに記載の亜鉛系メッ
    キ鋼板の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記電解液は、これに含有されるFe
    含有量(g/l)とNi含有量(g/l)との和に対す
    る前記Fe含有量(g/l)の比率が、0.004〜
    0.9の範囲内にあり、且つ、硫酸第一鉄(mol/
    l)と硫酸第二鉄(mol/l)との和に対する前記硫
    酸第一鉄(mol/l)のモル比が、0.5〜1.0未
    満の範囲内にあることを満たすものである、請求項10
    記載の亜鉛系メッキ鋼板の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記Fe−Ni−O系皮膜の前記形成
    処理は、処理液として水溶液を用いるものであって、前
    記水溶液は、FeCl2 およびNiCl2 を含有し、p
    Hが2.0〜3.5の範囲内にあり、且つ、温度が20
    〜70℃の範囲内であることを満たすものである、請求
    項6〜9のいずれか一つに記載の亜鉛系メッキ鋼板の製
    造方法。
  13. 【請求項13】 前記Fe−Ni−O系皮膜の前記形成
    処理は、処理液として水溶液を用いるものであって、前
    記水溶液は、FeCl2 およびNiCl2 を含有し、F
    e含有量(g/l)とNi含有量(g/l)との和に対
    する前記Fe含有量(g/l)の比率が、0.004〜
    0.9の範囲内にあり、pHが2.0〜3.5の範囲内
    にあり、且つ、温度が20〜70℃の範囲内であること
    を満たすものである、請求項6〜9のいずれか一つに記
    載の亜鉛系メッキ鋼板の製造方法。
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