JP3191637B2 - 亜鉛系メッキ鋼板の製造方法 - Google Patents

亜鉛系メッキ鋼板の製造方法

Info

Publication number
JP3191637B2
JP3191637B2 JP21658995A JP21658995A JP3191637B2 JP 3191637 B2 JP3191637 B2 JP 3191637B2 JP 21658995 A JP21658995 A JP 21658995A JP 21658995 A JP21658995 A JP 21658995A JP 3191637 B2 JP3191637 B2 JP 3191637B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel sheet
film
aqueous solution
zinc
galvanized steel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP21658995A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0941186A (ja
Inventor
理孝 櫻井
透 妹川
隆之 浦川
淳一 稲垣
正明 山下
晃 平谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Original Assignee
JFE Engineering Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority to JP21658995A priority Critical patent/JP3191637B2/ja
Application filed by JFE Engineering Corp filed Critical JFE Engineering Corp
Priority to EP95932241A priority patent/EP0738790B1/en
Priority to KR1019950705172A priority patent/KR100206669B1/ko
Priority to PCT/JP1995/001947 priority patent/WO1996010103A1/ja
Priority to AU35344/95A priority patent/AU696903B2/en
Priority to DE69520350T priority patent/DE69520350T2/de
Priority to US08/557,083 priority patent/US5861218A/en
Priority to CN95190370A priority patent/CN1131339C/zh
Priority to TW084111681A priority patent/TW305882B/zh
Publication of JPH0941186A publication Critical patent/JPH0941186A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3191637B2 publication Critical patent/JP3191637B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electroplating Methods And Accessories (AREA)
  • Coating With Molten Metal (AREA)
  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、亜鉛系メッキ鋼
板の改良に関し、特にプレス成形性、スポット溶接性、
接着性および化成処理性に優れた亜鉛系メッキ鋼板の製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】亜鉛系メッキ鋼板は種々の優れた特徴を
有するために、各種の防錆鋼板として広く使用されてい
る。この亜鉛系メッキ鋼板を自動車用防錆鋼板として使
用するためには、耐食性、塗装適合性等のほかに、車体
製造工程において要求される性能として、プレス成形
性、スポット溶接性、接着性および化成処理性に優れて
いることが重要である。
【0003】しかし、亜鉛系メッキ鋼板は、一般に、冷
延鋼板に比べてプレス成形性が劣るという欠点がある。
これは亜鉛系メッキ鋼板とプレス金型との摺動抵抗が、
冷延鋼板の場合に比較して高いことが原因であり、この
摺動抵抗が大きいと、プレス時に、ビード部近傍の亜鉛
メッキ鋼板がプレス金型に流入しにくくなり、鋼板の破
断が起こりやすくなる。
【0004】亜鉛系メッキ鋼板のプレス成形性を向上さ
せる方法としては、一般に、高粘度の潤滑油を塗布する
方法が広く用いられている。しかしこの方法では、潤滑
油が高粘度であるために、次の塗装工程で脱脂不良によ
る塗装欠陥が発生したり、また油切れにより、プレス性
能が不安定になる等の問題がある。従って、亜鉛系メッ
キ鋼板のプレス成形性の改善要求度は高い。
【0005】一方、亜鉛系メッキ鋼板は、スポット溶接
時に電極である銅が、溶融した亜鉛と反応して脆い合金
層を形成しやすいために、銅電極の損耗が激しく、その
寿命が短いので、冷延鋼板に比べて連続打点性に劣ると
いう問題を有する。
【0006】更に、自動車車体の製造工程においては、
防錆、制振等の目的で各種の接着剤が使用されるが、近
年になって亜鉛系メッキ鋼板は冷延鋼板に比較して接着
性が劣ることが明らかになってきた。
【0007】上記問題を解決する方法として、特開平2
−190483号公報は、亜鉛系メッキ鋼板の表面に電
解処理、浸漬処理、塗布酸化処理、または加熱処理を施
すことにより、ZnOを主体とする酸化膜を生成させて
溶接性、または加工性を向上させる技術(以下、先行技
術1という)を開示しており、特開平3−17282号
公報は、Fe、NiおよびCoから選ばれた1種または
2種以上の金属を亜鉛系メッキ鋼板の表面に置換析出さ
せる方法(以下、先行技術2という)を開示しており、
特開平3−191093号公報は、Ni酸化物を生成さ
せてプレス成形性および化成処理性を向上させる技術
(以下、先行技術3という)を開示しており、そして、
特開昭60−63394号公報は、不活性皮膜成分の水
溶液を塗布する方法(以下、先行技術4という)を開示
している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述した先行技術1に
おいては、以下のような問題がある。即ち、先行技術1
では、各種の処理によりメッキ表面にZnOを主体とす
る酸化物を生成させる方法であるため、プレス金型とメ
ッキ鋼板との間の摺動抵抗の低減効果は小さく、プレス
成形性の改善効果が小さい。また、ZnO主体の酸化物
では、接着性を劣化させる。
【0009】先行技術2においては、以下のような問題
がある。Ni、Fe等の金属を析出させる方法では、金
属の接着剤に対する濡れ性が小さいために十分な接着性
が得られない。また、皮膜の金属的性質が強いためにプ
レス成形性、スポット溶接性の改善効果が小さいという
問題がある。また、水溶液のpHが低く、置換析出効率
が低いために十分な付着量を確保できないという問題
や、付着量を確保するために水溶液の温度を高くする必
要が生じ、エネルギー原単位の上昇を招いたり、水溶液
の加熱設備を設けるなど、製造コストが上昇するという
問題がある。
【0010】先行技術3においては、Ni酸化物単相の
皮膜であるため、プレス成形性は向上するが、接着性が
劣化するという問題がある。
【0011】先行技術4においては、不活性皮膜を生成
させる方法であるため、化成処理性や接着性を劣化させ
るという問題がある。
【0012】従って、この発明の目的は、上述した問題
を解決して、プレス成形性、スポット溶接性、接着性お
よび化成処理性に優れた亜鉛系メッキ鋼板の製造方法を
提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述した
問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、亜鉛系メッキ
鋼板のメッキ層の表面に、適正なFe−Ni−O系皮膜
を形成することにより、プレス成形性、スポット溶接
性、接着性および化成処理性を改善することができるこ
とを見出した。
【0014】即ち、従来の亜鉛系メッキ鋼板は、プレス
成形性において、冷延鋼板に比較して劣る。その原因
は、高面圧下において、低融点の亜鉛と金型とが凝着現
象を起こすために、摺動抵抗が増大することにある。こ
れを防ぐためには、亜鉛系メッキ鋼板のメッキ層の表面
に、亜鉛または亜鉛合金メッキ層より硬質で、且つ高融
点の皮膜を形成することが有効である。この発明におけ
るFe−Ni−O系皮膜は、硬質且つ高融点であるか
ら、亜鉛系メッキ鋼板の表面にFe−Ni−O系皮膜を
形成させることにより、プレス成型時におけるメッキ層
表面とプレス金型との摺動抵抗が低下し、亜鉛系メッキ
鋼板がプレス金型へ滑り込み易くなり、プレス成形性が
向上する。
【0015】従来の亜鉛系メッキ鋼板は、スポット溶接
における連続打点性において、冷延鋼板と比較して劣
る。その原因は、溶接時に溶融した亜鉛と電極の銅とが
接触して溶融し、脆い合金層を生成するために、電極の
劣化が激しくなることにある。従って、亜鉛系メッキ鋼
板の連続打点性を改善する方法としては、メッキ表面
に、高融点の皮膜を形成することが有効とされている。
本発明者らは、亜鉛系メッキ鋼板のスポット溶接性を改
善するために、各種の皮膜について検討した結果、Ni
酸化物皮膜が特に有効であることを見出した。この理由
の詳細は明らかではないが、NiがZnと反応し高融点
のZn−Ni合金を形成すること、Ni酸化物が非常に
高融点であり、また、半導体的性質を持つために電気伝
導度が各種皮膜の中でも高いことが理由として考えられ
る。
【0016】従来の亜鉛系メッキ鋼板の接着性が、冷延
鋼板に比較して劣ることは知られていたが、その原因は
明らかになっていなかった。そこで、本発明者らは、そ
の原因について調査した結果、鋼板表面の酸化皮膜の組
成により接着性が支配されていることが明らかになっ
た。すなわち、冷延鋼板の場合には、鋼板表面の酸化皮
膜はFe酸化物が主体であるのに対し、亜鉛系メッキ鋼
板の場合には、Zn酸化物が主体である。この酸化皮膜
の組成により接着性が異なっており、Zn酸化物はFe
酸化物に比べて接着性が劣っていた。従って、本発明の
ように亜鉛系メッキ鋼板の表面にFe酸化物を含有する
皮膜を形成することによって、接着性を改善することが
可能である。
【0017】従来の亜鉛系メッキ鋼板の化成処理性が、
冷延鋼板に比較して劣るのは、鋼板表面のZn濃度が高
いために、形成されるリン酸塩皮膜結晶が粗大で不均一
となること、および、リン酸塩結晶の質が異なることに
起因する。鋼板表面のZn濃度が高い場合には、リン酸
塩結晶はホパイトが主体となり、塗装後の温水2次密着
性に劣る。これは、リン酸塩皮膜中のFe濃度が低いた
め、塗装後湿潤環境下に曝されると、化成処理皮膜が復
水し、鋼板との密着力を失うことが原因である。
【0018】化成処理被膜の復水を抑制するためには、
リン酸塩結晶中にFeおよびNi等の金属を含有させる
ことが有効である。この発明のFe−Ni−O系皮膜を
形成することにより、化成処理の際に皮膜中のNiおよ
びFeがリン酸塩結晶中に取り込まれ、良好な密着性を
有する化成処理皮膜となり、また、緻密で均一なリン酸
塩の結晶が形成され、温水2次密着性のみならず耐食性
も向上することが判明した。
【0019】上述したように、亜鉛系メッキ鋼板の表面
にNiおよびFeの、金属および酸化物からなる混合皮
膜、即ち、Fe−Ni−O系皮膜を適正に形成すること
により、プレス成形性、スポット溶接性、接着性および
化成処理性のいずれにおいても優れたものが得られるこ
とを知見した。
【0020】この発明は、上述した知見に基づいてなさ
れたものであって、この発明の亜鉛系メッキ鋼板の製造
方法は、FeCl2 およびNiCl2 を含有し、Fe含
有量(gr/l)とNi含有量(gr/l)との和に対
するFe含有量(gr/l)の比率が、0.004〜
0.9の範囲内にあり、pHが2.0〜3.5の範囲内
で且つ温度が20〜70℃の範囲内にある水溶液を調製
し、前記水溶液により亜鉛系メッキ鋼板を処理すること
により、前記亜鉛系メッキ鋼板のメッキ層の表面にFe
−Ni−O系皮膜を形成させることに特徴を有するもの
(以下、第1発明という)である。
【0021】この発明の亜鉛系メッキ鋼板の望ましい製
造方法は、第1発明の製造方法において、水溶液に酸化
剤が含有されていることに特徴を有するもの(以下、第
2発明という)である。
【0022】この発明の亜鉛系メッキ鋼板の他の望まし
い製造方法は、第1発明の製造方法により前記亜鉛系メ
ッキ鋼板を処理した後、このようにして得られた前記亜
鉛系メッキ鋼板を、更に、酸化性雰囲気中で50〜60
0℃の温度域に加熱することにより、前記Fe−Ni−
O系皮膜中の酸素含有量を調整することに特徴を有する
もの(以下、第3発明という)である。
【0023】また、この発明の亜鉛系メッキ鋼板の他の
望ましい製造方法は、第1発明の製造方法により前記亜
鉛系メッキ鋼板を処理した後、このようにして得られた
前記亜鉛系メッキ鋼板を、更に、前記水溶液に酸化剤が
含有されている別の水溶液によって処理することによ
り、前記Fe−Ni−O系皮膜中の酸素含有量を調整す
ることに特徴を有するもの(以下、第4発明という)で
ある。
【0024】
【発明の実施の形態】次に、この発明の製造条件を上述
したように限定した理由を説明する。この発明におい
て、亜鉛系メッキ鋼板のメッキ層の表面にFe−Ni−
O系皮膜を形成させるために用いる水溶液(以下、「皮
膜形成水溶液」という)として、FeCl2 およびNi
Cl2 を含有する水溶液を用いるのは、金属塩として塩
化物を用いると、析出効率が高いからである。即ち、同
一塩濃度、同一処理時間で硝酸塩および硫酸塩と比較す
ると、塩化物の金属塩の方がNiおよびFeの付着量が
多く、生産性の向上を図ることができるからである。
【0025】図1は、亜鉛系メッキ鋼板の表面へのNi
付着量と皮膜形成水溶液への浸漬時間との関係を、各種
皮膜形成水溶液について示したグラフである。但し、同
図において、各種皮膜形成水溶液のNi含有量とFe含
有量との和は100gr/lであり、Ni含有量とFe
含有量との比は90:10であり、皮膜形成水溶液は静
止浴の場合である。同図より、塩化物浴は、硫酸浴およ
び硝酸浴よりも析出効率において大幅に優れていること
がわかる。
【0026】】Fe−Ni−O系皮膜を形成させるため
の、亜鉛系メッキ鋼板の皮膜形成水溶液による処理方法
としては、皮膜形成水溶液の吹付け法やロール塗布法等
によっても、浸漬法によるのと同様の効果が得られるF
e−Ni−O系皮膜を形成することができる。但し、電
気メッキ法では、形成される皮膜が金属的になり、この
発明の特徴であるFeーNiーO系皮膜を形成すること
はできず、プレス成形性および接着性の良好な皮膜とは
なり難い。また、電気メッキ法および気相メッキ法等で
は、莫大な設備費を要することおよび操業コストが高い
ことから製造コストの上昇を招くので、一般には望まし
くない。
【0027】この発明に用いる皮膜形成水溶液中のFe
含有量とNi含有量との和(gr/l)に対するFe含
有量(gr/l)の比率(Fe/Fe+Ni)を適正な
範囲内にすることによって、亜鉛系メッキ鋼板の表面に
所望のFeーNiーO系皮膜を形成させることができ
る。皮膜形成水溶液中のFe/Fe+Niが、0.00
4未満では接着性の改善効果がなく、一方、皮膜形成水
溶液中のFe/Fe+Niが0.9を超えるとスポット
溶接性の改善効果が小さくなる。従って、皮膜形成水溶
液中のFe/Fe+Niは、0.004〜0.9の範囲
内にすべきである。
【0028】皮膜形成水溶液のpHを適正な範囲内にす
ることにより、効率良く皮膜を形成することができる。
pHが2.0未満では、水素発生量が極端に多いためN
iおよびFeの析出効率が低く、一定の塩濃度および所
定の浸漬時間では、NiおよびFeの付着量が少なく、
生産性を低下させる。また、皮膜がNiおよびFeの金
属主体となりプレス成形性、スポット溶接性および接着
性の向上効果が得られない。pHが低い場合でも、塩濃
度を高くすれば単位時間当たりのNiおよびFeの付着
量を多くすることが可能ではあるが、液薬コストの上昇
を招く他、スラッジが大量に発生するなど、好ましくな
い。一方、pHが3.5を超えると、皮膜形成水溶液中
のFeの酸化が激しく、スラッジによる鋼板表面欠陥を
発生させる。
【0029】図2は、亜鉛系メッキ鋼板の表面へのNi
付着量と塩化物浴への浸漬時間との関係を、pHを変化
させた場合について示したグラフである。但し、同図に
おいて、塩化物浴のNi含有量とFe含有量との和は1
00gr/lであり、Fe含有量とNi含有量(gr/
l)との比は20:80であり、浴温は50℃の場合で
ある。同図より、浸漬時間の増加と共に、また、pHの
増加と共に、Ni付着量は増加しており、従って、Fe
−Ni−O系皮膜の付着量が増加することがわかる。従
って、皮膜形成水溶液のpHを、2.0〜3.5の範囲
内にすべきである。
【0030】皮膜形成水溶液の温度が高いと反応速度が
大きく、NiおよびFeの析出効率が良く、生産性が増
加する。その温度が20℃未満では、反応速度が遅く、
亜鉛系メッキ鋼板の特性改善に必要なNiおよびFe付
着量を確保するために、長時間を要し、生産性の低下を
招く。一方、その温度が70℃を超えると、皮膜形成水
溶液劣化の進行が速くなったり、皮膜形成水溶液中にス
ラッジが発生する他、皮膜形成水溶液を高温に保持する
ための設備や熱エネルギーを要し、製造コストの上昇を
招く。
【0031】この発明の方法により形成されるFe−N
i−O系皮膜に関しては、亜鉛系メッキ鋼板のメッキ層
の表面への皮膜の付着量、皮膜中のFe含有量とNi含
有量との和に対するFe含有量の比率、および、皮膜中
の酸素含有量を適正な範囲内の値にすることにより、所
望の効果が得られる。
【0032】この発明においては、上述した条件を備え
た皮膜形成水溶液に、更に酸化剤を含有させたもので亜
鉛系メッキ鋼板を処理することにより、Fe−Ni−O
系皮膜中の酸素含有量を調整することができるという作
用がなされる。皮膜形成水溶液に添加する酸化剤の種類
は、特に限定されるものではないが、例えば、硝酸イオ
ン、亜硝酸イオン、塩素酸イオン、臭素酸イオン、過酸
化水素水および過マンガン酸カリウムからなるグループ
から選ばれる1種または2種以上を、合計0.1〜50
gr/l含有させればよい。
【0033】この発明においては、亜鉛系メッキ鋼板に
対して、はじめに、酸化剤を含有しない皮膜形成水溶液
で処理し、このようにして得られた亜鉛系メッキ鋼板
を、更に、酸化性雰囲気中で50〜600℃の温度域に
加熱することにより、Fe−Ni−O系皮膜中の酸素含
有率を調整することができるという作用がなされる。上
記酸化性雰囲気としては、特に限定されるものではない
が、例えば、大気中、または、酸素および/またはオゾ
ンを20vol.%以上含む気体中で処理を行なえばよい。
また、これら酸素含有量を調整するための処理を2種以
上組み合わせて実施しても同様の効果が得られる。
【0034】また、皮膜形成水溶液には、メッキ皮膜中
等に含まれるZn、Co、Mn、Mo、Al、Ti、S
n、W、Si、Pb、Nb、Taなど陽イオンや水酸化
物および酸化物、更に、塩素イオン以外の陰イオンを含
有していてもよい。
【0035】次に、この発明において用いられる亜鉛系
メッキ鋼板は、母材である鋼板の表面に、溶融メッキ
法、電気メッキ法および気相メッキ法等によりメッキ層
を形成させた鋼板である。亜鉛系メッキ層の組成は、純
亜鉛の他、Fe、Ni、Co、Mn、Cr、Al、M
o、Ti、Si、W、Sn、Pb、NbおよびTa等の
金属もしくは酸化物、または、有機物の1種または2種
以上を含有する単層または複層のメッキ層からなる。ま
た、上記メッキ層にSiO2 およびAl2 3 等の微粒
子を含有していてもよい。また、亜鉛系メッキ鋼板とし
て、メッキ層の組成を変化させた複層メッキ鋼板および
機能傾斜メッキ鋼板を使用することもできる。
【0036】上述した限定条件により亜鉛系メッキ鋼板
のメッキ層の表面に形成されるFe−Ni−O系皮膜に
より、プレス成形時の鋼板と金型との凝着現象がなくな
って摺動抵抗が小さくなり、金型への滑り込みが良くな
り、スポット溶接時に電極銅との間に脆い合金層が形成
されるのが抑制されて連続打点性が向上し、そして、F
e酸化物を含有する皮膜の作用により接着性が改善され
るという作用効果が奏される。しかしながら、Fe−N
i−O系皮膜の付着量が10mg/m2 未満では、プレ
ス成形性の向上効果が得られず、一方、1500mg/
2 を超えると、プレス成形性の向上効果が飽和する。
従って、Fe−Ni−O系皮膜の付着量は、10〜15
00mg/m2 の範囲内であることが望ましい。この範
囲内の付着量にするためには、塩濃度が同一の場合には
皮膜形成水溶液での処理時間、例えば、浸漬時間を調整
すること、設備上の理由で浸漬時間を一定とする場合に
は、皮膜形成水溶液の塩濃度を調整すること、および、
皮膜形成水溶液のpHおよび温度を微調整すること等の
方法を適宜行なう。
【0037】Fe−Ni−O系皮膜中の酸素含有量は、
0.5〜10 wt.%の範囲内にあることが望ましい。上
記酸素含有量が0.5 wt.%未満では、皮膜の金属的性
質が強くなるため、プレス成形性およびスポット溶接性
の改善効果が小さくなり、一方、10 wt.%を超える
と、酸化物皮膜の存在によりリン酸塩結晶の生成が抑制
されて、化成処理性が劣化する。
【0038】
【実施例】次に、この発明を実施例により更に説明す
る。この発明の実施例および比較例における亜鉛系メッ
キ鋼板の製造条件を、表1〜4に示し(処理No.1から
69)、各処理No.に示す条件で調製された亜鉛系メッ
キ鋼板のそれぞれを供試体とし、各処理No.に対応させ
て供試体No.を付した。但し、供試体No.の末尾には、
鋼板の亜鉛メッキ方法(以下、「メッキ種」という)に
よる符号をつけた。メッキ種は7種とし、各メッキ種に
対応させて下記のように符号を付した。
【0039】鋼板の各メッキ種は、メッキの方法、組成
および付着量に応じて、下記のように分類した。 (1)GA:合金化溶融亜鉛メッキ鋼板(10wt.%
Fe、残部Zn)であり、付着量は両面共に60g/m2
である。 (2)GI:溶融亜鉛メッキ鋼板であり、付着量は両面
共に90g/m2 である。 (3)EG:電気亜鉛メッキ鋼板であり付着量は両面共
に40g/m2 である。 (4)Zn−Fe:電気Zn−Fe合金メッキ鋼板(1
5wt.%Fe)であり、付着量は両面共に40g/m
2 である。 (5)Zn−Ni:電気Zn−Ni合金メッキ鋼板(1
2wt.%Ni)であり、付着量は両面共に30g/m
2 である。 (6)Zn−Cr:電気Zn−Cr合金メッキ鋼板(4
wt.%Cr)であり、付着量は両面共に20g/m2
である。 (7)Zn−Al:溶融Zn−Al合金メッキ鋼板(5
wt.%Al)であり、付着量は両面共に60g/m2
である。 上記7種の亜鉛系メッキ鋼板を用いて、下記実施例また
は比較例の処理を施した。
【0040】以下、この発明を実施例に基づき、表1〜
4のFe−Ni−O系皮膜形成の処理条件を参照しなが
ら更に詳細に説明する。
【0041】〔実施例1〕FeCl2 およびNiCl2
を含有する水溶液に、所定の亜鉛系メッキ鋼板(Fe−
Ni−O系皮膜が形成されていないもの)を浸漬するこ
とにより、上記鋼板のメッキ層の表面にFe−Ni−O
系皮膜を形成させる処理を施した。表1に、本発明の亜
鉛系メッキ鋼板の製造方法の範囲内である実施例(処理
No.4〜18、23〜28、33〜37)、および、そ
の範囲外である比較例(処理No.1〜3、19〜22、
29〜32、38〜39)の各製造条件を示す。
【0042】
【表1】
【0043】表1には、各処理No.の、酸化剤を含まな
い皮膜形成水溶液のFeCl2 およびNiCl2 の含有
量(gr/l)、pH、温度、皮膜形成水溶液中のFe
/Fe+Ni、並びに、皮膜形成水溶液への鋼板の浸漬
時間を示した。
【0044】〔実施例2〕FeCl2 およびNiCl2
を含有し、更に酸化剤を含有した皮膜形成水溶液に、所
定の亜鉛系メッキ鋼板(Fe−Ni−O系皮膜が形成さ
れていないもの)を浸漬することにより、上記鋼板のメ
ッキ層の表面にFe−Ni−O系皮膜を形成させる処理
を施した。
【0045】
【表2】
【0046】表2に、本発明の亜鉛系メッキ鋼板の製造
方法の範囲内である実施例(処理No.40〜47)の処
理条件を示す。表2には、各処理No.の、皮膜形成水溶
液のFeCl2 、NiCl2 および所定の酸化剤の含有
量(gr/l)、pH、温度、皮膜形成水溶液中のFe
/Fe+Ni、並びに、皮膜形成水溶液への鋼板の浸漬
時間を示した。
【0047】〔実施例3〕FeCl2 およびNiCl2
を含有する水溶液に、所定の亜鉛系メッキ鋼板(Fe−
Ni−O系皮膜がを形成されていないもの)を浸漬する
ことにより、上記鋼板のメッキ層の表面にFe−Ni−
O系皮膜を形成させる処理を施した。次いで、このよう
にして得られた処理鋼板を、所定の酸化性雰囲気中で所
定の温度で加熱処理した。表3に、本発明の亜鉛系メッ
キ鋼板の製造方法の範囲内である実施例(処理No.48
〜54および56〜61)、および、その範囲外である
比較例(処理No.55)の処理条件を示す。
【0048】
【表3】
【0049】表3には、各処理No.の、酸化剤を含まな
い皮膜形成水溶液のFeCl2 およびNiCl2 の含有
量(gr/l)、pH、温度、皮膜形成水溶液中のFe
/Fe+Ni、皮膜形成水溶液への鋼板の浸漬時間、並
びに、酸化性雰囲気の雰囲気種類、加熱温度および加熱
時間を示した。
【0050】〔実施例4〕FeCl2 およびNiCl2
を含有する皮膜形成水溶液に、所定の亜鉛系メッキ鋼板
(Fe−Ni−O系皮膜が形成されていないもの)を浸
漬することにより、上記鋼板のメッキ層の表面にFe−
Ni−O系皮膜を形成させる処理を施した。次いで、こ
のようにして得られた処理鋼板を、上記皮膜形成水溶液
に更に酸化剤のみを添加したFeCl2 およびNiCl
2 を含有する皮膜形成水溶液に浸漬することにより上記
処理鋼板の表面に、更にFe−Ni−O系皮膜を形成さ
せる処理を施した。表4に、本発明の亜鉛系メッキ鋼板
の製造方法の範囲内である実施例(処理No.62〜6
9)の処理条件を示す。
【0051】
【表4】
【0052】表4には、各処理No.の、酸化剤を含まな
い皮膜形成水溶液のFeCl2 およびNiCl2 の含有
量(gr/l)、pH、温度、皮膜形成水溶液中のFe
/Fe+Ni、酸化剤を含まない皮膜形成水溶液への鋼
板の浸漬時間、並びに、酸化剤を含んだ皮膜形成水溶液
中の酸化剤の種類および含有量(gr/l)、および、
酸化剤を含んだ皮膜形成水溶液への浸漬時間示した。
【0053】上述したようにして処理された実施例1〜
実施例4(それぞれ表1〜表4に対応)の各供試体に形
成されたFe−Ni−O系皮膜について、皮膜の付着
量、皮膜中のFe含有量(gr/l)とNi含有量(g
r/l)との和に対するFe含有量(gr/l)の比率
(以下、「皮膜中Fe/Fe+Ni」という)、およ
び、皮膜の酸素含有量を下記のようにして測定した。
【0054】〔皮膜の付着量、および、皮膜中Fe/F
e+Niの測定〕メッキ種が、GI、EG、Zn−C
r、Zn−Alの供試体については、Fe−Ni−O系
皮膜を、下層のメッキ皮膜(Zn系メッキ、以下同じ)
の表層部と共に希塩酸により溶解剥離させ、ICP法に
よりFe、Niおよび金属の定量分析を行なうことによ
って、Fe−Ni−O系皮膜の付着量および組成を測定
した。次いで、皮膜中Fe/Fe+Niを算定した。メ
ッキ種が、GA、Zn−Fe、Zn−Niの供試体につ
いては、下層のメッキ皮膜中にFe−Ni−O系皮膜中
の成分元素を含むので、ICP法では上層のFe−Ni
−O系皮膜中成分元素と下層のメッキ皮膜中成分元素と
を完全に分離することは困難である。そこで、ICP法
により下層のメッキ皮膜中に含まれていないFe−Ni
−O系皮膜の成分元素のみを定量分析した。更に、Ar
イオンスパッタした後、XPS法によりFe−Ni−O
系皮膜中各成分元素の測定を皮膜表面から繰り返すこと
によって、メッキ皮膜中の深さに対する各成分元素の組
成分布を測定した。この測定方法においては、下層のメ
ッキ皮膜中に含まれていないFe−Ni−O系皮膜の成
分元素が最大濃度である深さと、その元素が検出されな
くなった深さの半分の位置との間隔を、Fe−Ni−O
系皮膜の厚さとした。そして、ICP法の結果とXPS
法の結果とから、Fe−Ni−O系皮膜の付着量および
組成を算定した。次いで、皮膜中Fe/Fe+Niを算
定した。
【0055】〔皮膜の酸素含有量の測定〕皮膜の酸素含
有量は、オージェ電子分光法(AES)の深さ方向分析
結果から求めた。
【0056】次いで、亜鉛系メッキ鋼板に対して、Fe
−Ni−O系皮膜を形成したこの発明の実施例の供試体
と、Fe−Ni−O系皮膜を形成しないか、または本発
明の範囲外の方法で製造した比較例の供試体とについ
て、以下に示す方法で摩擦係数測定、スポット溶接にお
ける連続打点性試験、接着性試験および化成処理性試験
を行なった。
【0057】〔摩擦係数の測定〕プレス成形性を評価す
るために、各供試体の摩擦係数を、下記装置により測定
した。図3は、摩擦係数測定装置を示す概略正面図であ
る。同図に示すように、供試体から採取した摩擦係数測
定用試料1が試料台2に固定され、試料台2は、水平移
動可能なスライドテ−ブル3の上面に固定されている。
スライドテ−ブル3の下面には、これに接したロ−ラ4
を有する上下動可能なスライドテ−ブル支持台5が設け
られ、これを押上げることにより、ビ−ド6による摩擦
係数測定用試料1への押付荷重Nを測定するための第1
ロ−ドセル7が,スライドテ−ブル支持台5に取付けら
れている。上記押付力を作用させた状態で、スライドテ
−ブル3の水平移動方向の一方の端部には、スライドテ
−ブル3を水平方向へ移動させるための摺動抵抗力Fを
測定するための第2ロ−ドセル8が、スライドテ−ブル
3の一方の端部に取付けられている。なお、潤滑油とし
て、スギムラ化学社製のプレス洗浄油プレトンR352
Lを用い、摩擦係数測定用試料1の表面に塗布して試験
を行なった。
【0058】供試体とビ−ドとの間の摩擦係数μは、
式:μ=F/Nで算出した。但し、押付荷重N:400
kgf、試料の引き抜き速度(スライドテ−ブル3の水
平移動速度):100cm/minとした。
【0059】図4は、使用したビ−ドの形状・寸法を示
す概略斜視図である。ビ−ド6の下面が試料1の表面に
押しつけられた状態で摺動する。その下面形状は、幅1
0mm、摺動方向長さ3mmの平面を有し、その前後面
の幅10mmの各々の線に4.5mmRをもつ筒面の1
/4筒面が同図のように接している。
【0060】〔連続打点性試験〕スポット溶接性を評価
するために、各供試体について連続打点性試験を行なっ
た。同じNO.の供試体を2枚重ね、それを両面から1対
の電極チップで挟み、加圧通電して電流を集中させた抵
抗溶接(スポット溶接)を、下記溶接条件で連続的に実
施した。 ・電極チップ:先端径6mmのド−ム型、 ・加圧力:250kgf、 ・溶接時間:0.2秒、 ・溶接電流:11.0KA、 ・溶接速度:1点/sec。 連続打点性の評価としては、スポット溶接時に、2枚重
ねた溶接母材(供試体)の接合部に生じた溶融凝固した
金属部(形状:碁石状、以下、ナゲットという)の径
が、4×t1/2 (t:1枚の板厚)未満になるまでに連
続打点溶接した打点数を用いた。なお、上記打点数を以
下、電極寿命という。
【0061】〔接着性試験〕各供試体から次の接着性試
験用試験体を調製した。図5は、その組み立て過程を説
明する概略斜視図である。同図に示すように、幅25m
m、長さ200mmの2枚の供試体10を、その間に直
径0.15mmのスペーサー11を介して、接着剤12の厚さ
が0.15mmとなるように重ね合わせて接着した試験体13
を作成し、150°C×10minの焼き付けを行な
う。このようにして調製された前記試験体を図6に示す
ようにT型に折り曲げ、引張試験機を用いて200mm
/minの速度で引張試験をし、試験体が剥離した時の
平均剥離強度(n=3回)を測定した。剥離強度は、剥
離時の引張荷重曲線の荷重チャ−トから、平均荷重を求
め、単位:kgf/25mmで表わした。図6中、Pは
引張荷重を示す。なお接着剤は塩ビ系のヘミング用アド
ヒシブを用いた。
【0062】〔化成処理性試験〕化成処理性を評価する
ために、次の試験を行なった。各供試体を、自動車塗装
下地用の浸漬型燐酸亜鉛処理液(日本パ−カライジング
社製PBL3080)で通常の条件で処理し、その表面
に燐酸亜鉛皮膜を形成させた。このようにして形成され
た燐酸亜鉛皮膜の結晶状態を走査型電子顕微鏡(SE
M)により観察した。その結果、リン酸亜鉛皮膜が正常
に形成されているものを○、リン酸亜鉛皮膜が形成され
ていないか、あるいは結晶にスケが発生しているものを
×で表わした。
【0063】上述した試験方法で測定された各供試体の
摩擦係数、連続打点数、剥離強度および化成処理成績に
ついて述べる。
【0064】表5〜表9に、実施例1における各供試体
の試験結果を示す。
【0065】
【表5】
【0066】
【表6】
【0067】
【表7】
【0068】
【表8】
【0069】
【表9】
【0070】表5〜9から次のことが明らかである。皮
膜形成水溶液中のFe/Fe+Ni、並びに、皮膜形成
水溶液のpHおよび温度の3条件の内一つでも、この第
1発明の範囲外にある場合(比較例)には、本発明の範
囲内の条件から外れた条件に応じて、供試体の亜鉛系メ
ッキ鋼板の性質(プレス成形性、スポット溶接性、接着
性および化成処理性)が劣っており、すべての性質に優
れたものは得られていない。なお、表6中、供試体No.
38Aおよび39Aの比較例は、上記いずれの性質も優
れてはいるが、皮膜形成処理において水溶液中にスラッ
ジが発生するため、長期間の操業には問題がある。これ
に対して、上記3条件がすべて、この第1発明の範囲内
にある場合(実施例)には、上記すべての性質に優れた
亜鉛系メッキ鋼板が得られている。
【0071】表10に、実施例2における各供試体の試
験結果を示す。同表から次のことが明らかである。この
第2発明の範囲内にある実施例はすべて、上記性質のす
べてに優れた亜鉛メッキ鋼板が得られている。
【0072】
【表10】
【0073】表11に、実施例3における各供試体の試
験結果を示す。同表から次のことが明らかである。この
第3発明の範囲内にある実施例はすべて、上記性質のす
べてに優れた亜鉛メッキ鋼板が得られている。また、こ
の第3発明の範囲外ではあるが、この第1発明の範囲内
にある供試体No.48Aも、上記性質のすべてに優れた
亜鉛メッキ鋼板が得られている。これに対して、比較例
の供試体No.55Aは、酸化雰囲気中の加熱温度がこの
第3発明の範囲を外れて高温過ぎるため、化成処理性に
劣っている。
【0074】
【表11】
【0075】表12に、実施例4における各供試体の試
験結果を示す。同表から次のことが明らかである。この
第4発明の範囲内にある実施例はすべて、上記性質のす
べてに優れた亜鉛メッキ鋼板が得られている。
【0076】
【表12】
【0077】上記試験結果から、下記事項がわかる。本
発明の範囲内の実施例では、摩擦係数が小さくプレス成
形性が良好であった。また、スポット溶接性における連
続打点性試験の結果は、すべて、ほぼ4500点以上で
あり、良好であった。更に、剥離強度は、本発明の実施
例では、すべて、ほぼ10kgf/25mm以上で良好であ
り、また、化成処理性もすべて満足し得るものであっ
た。これに対して、本発明の範囲外である比較例では、
摩擦係数、連続打点性、接着性および化成処理性のいず
れかが劣っていた。
【0078】
【発明の効果】本発明は、以上のように構成したので、
亜鉛系メッキ鋼板のメッキ層の表面に形成されたFe−
Ni−O系皮膜が、亜鉛または亜鉛合金メッキ層に比べ
て硬質、且つ、高融点であるために、亜鉛系メッキ鋼板
のプレス成形時におけるメッキ層表面とプレス金型との
摺動抵抗が低下し、亜鉛系メッキ鋼板がプレス金型へ滑
り込み易くなる。また、Fe−Ni−O系の高融点皮膜
の存在により、スポット溶接における連続打点性が向上
する。更に、Fe−Ni−O系皮膜中のFe酸化物の存
在により、接着板の剥離強度が向上する。また、上記皮
膜の酸素含有量を過多にならないように調整することも
できるので、化成処理性にも優れた亜鉛メッキ鋼板が得
られる。従って、本発明によれば、プレス成形性、スポ
ット溶接性、接着性および化成処理性に優れた亜鉛系メ
ッキ鋼板を提供することができる、工業上極めて有用な
効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】亜鉛系メッキ鋼板の表面へのNi付着量と皮膜
形成水溶液への浸漬時間との関係を、各種皮膜形成水溶
液について示したグラフである。
【図2】亜鉛系メッキ鋼板の表面へのNi付着量と塩化
物浴への浸漬時間との関係を、pHを変化させた場合に
ついて示したグラフである。
【図3】摩擦係数測定装置を示す概略正面図である。
【図4】図3中のビ−ドの形状・寸法を示す概略斜視図
である。
【図5】接着性試験用試験体の組み立て過程を説明する
概略斜視図である。
【図6】接着性試験における剥離強度測定時の引張荷重
の負荷を説明する概略斜視図である。
【符号の説明】
1 摩擦係数測定用試料、 2 試料台、 3 スライドテ−ブル、 4 ロ−ラ、 5 スライドテ−ブル支持台、 6 ビ−ド、 7 第1ロ−ドセル、 8 第2ロ−ドセル、 9 レ−ル、 10 供試体、 11 スペ−サ−、 12 接着剤、 13 接着試験用試験体、 P 引張荷重、 F 摺動抵抗力。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 稲垣 淳一 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 山下 正明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 平谷 晃 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−17282(JP,A) 特開 平4−48082(JP,A) 特開 平3−191093(JP,A) 特開 昭53−115624(JP,A) 特開 平1−119651(JP,A) 特公 昭55−30596(JP,B2) 特公 平4−50387(JP,B2) 特公 平3−10714(JP,B2) 国際公開96/10103(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25D 3/00 - 7/12 C23C 2/00 - 2/40 C23C 22/00 - 22/86 C23C 28/00 - 30/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 FeCl2 およびNiCl2 を含有し、
    Fe含有量(gr/l)とNi含有量(gr/l)との
    和に対するFe含有量(gr/l)の比率が、0.00
    4〜0.9の範囲内にあり、pHが2.0〜3.5の範
    囲内で且つ温度が20〜70℃の範囲内にある水溶液を
    調製し、前記水溶液により亜鉛系メッキ鋼板を処理する
    ことにより、前記亜鉛系メッキ鋼板のメッキ層の表面に
    Fe−Ni−O系皮膜を形成させることを特徴とする亜
    鉛系メッキ鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記水溶液には酸化剤が含有されてい
    る、請求項1記載の亜鉛系メッキ鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1記載の方法により前記亜鉛系メッ
    キ鋼板を処理した後、このようにして得られた前記亜鉛
    系メッキ鋼板を、更に、酸化性雰囲気中で50〜600
    ℃の温度域に加熱することにより、前記Fe−Ni−O
    系皮膜中の酸素含有量を調整することを特徴とする請求
    項1記載の亜鉛系メッキ鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】請求項1記載の方法により前記亜鉛系メッ
    キ鋼板を処理した後、このようにして得られた前記亜鉛
    系メッキ鋼板を、更に、前記水溶液に酸化剤が含有され
    ている別の水溶液によって処理することにより、前記F
    e−Ni−O系皮膜中の酸素含有量を調整することを特
    徴とする請求項1記載の亜鉛系メッキ鋼板の製造方法。
JP21658995A 1994-09-27 1995-08-01 亜鉛系メッキ鋼板の製造方法 Expired - Fee Related JP3191637B2 (ja)

Priority Applications (9)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21658995A JP3191637B2 (ja) 1995-08-01 1995-08-01 亜鉛系メッキ鋼板の製造方法
KR1019950705172A KR100206669B1 (ko) 1994-09-27 1995-09-26 아연계 도금강판 및 그 제조방법
PCT/JP1995/001947 WO1996010103A1 (fr) 1994-09-27 1995-09-26 Tole d'acier galvanisee et son procede d'elaboration
AU35344/95A AU696903B2 (en) 1994-09-27 1995-09-26 Zinciferous plated steel sheet and method for manufacturing same
EP95932241A EP0738790B1 (en) 1994-09-27 1995-09-26 Galvanized steel sheet and process for producing the same
DE69520350T DE69520350T2 (de) 1994-09-27 1995-09-26 Galvanisiertes stahlblech und verfahren zur herstellung
US08/557,083 US5861218A (en) 1994-09-27 1995-09-26 Zinciferous plated steel sheet and method for manufacturing same
CN95190370A CN1131339C (zh) 1994-09-27 1995-09-26 镀锌钢板及其制造方法
TW084111681A TW305882B (ja) 1994-09-27 1995-11-03

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21658995A JP3191637B2 (ja) 1995-08-01 1995-08-01 亜鉛系メッキ鋼板の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0941186A JPH0941186A (ja) 1997-02-10
JP3191637B2 true JP3191637B2 (ja) 2001-07-23

Family

ID=16690795

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP21658995A Expired - Fee Related JP3191637B2 (ja) 1994-09-27 1995-08-01 亜鉛系メッキ鋼板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3191637B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0941186A (ja) 1997-02-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100206669B1 (ko) 아연계 도금강판 및 그 제조방법
JP3346338B2 (ja) 亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法
JP3111903B2 (ja) 亜鉛系メッキ鋼板の製造方法
JP3191637B2 (ja) 亜鉛系メッキ鋼板の製造方法
JPH10212563A (ja) 亜鉛系メッキ鋼板の製造方法
JP3368847B2 (ja) プレス成形性及び接着性に優れた亜鉛系メッキ鋼板
JP3111904B2 (ja) 亜鉛系メッキ鋼板の製造方法
JP3279198B2 (ja) プレス成形性および接着性に優れた亜鉛系メッキ鋼板
JP3191647B2 (ja) 亜鉛系メッキ鋼板の製造方法
JP3111889B2 (ja) 亜鉛系メッキ鋼板
JP3111929B2 (ja) 亜鉛系メッキ鋼板
JP3111888B2 (ja) 亜鉛系メッキ鋼板の製造方法
JP3191635B2 (ja) 亜鉛系メッキ鋼板
JP2819429B2 (ja) プレス成形性、化成処理性に優れた亜鉛系めっき鋼板
JP3368846B2 (ja) プレス成形性、スポット溶接性および接着性に優れた亜鉛系メッキ鋼板の製造方法
JP3111920B2 (ja) プレス成形性および接着性に優れた亜鉛系めっき鋼板
JP3303768B2 (ja) 亜鉛系メッキ鋼板の製造方法
JP3111910B2 (ja) プレス成形性および接着性に優れた亜鉛系メッキ鋼板
JP3191660B2 (ja) 亜鉛系メッキ鋼板およびその製造方法
JP3111887B2 (ja) 亜鉛系メッキ鋼板
JP3111880B2 (ja) 亜鉛系メッキ鋼板の製造方法
JP3191646B2 (ja) 亜鉛系メッキ鋼板の製造方法
JP3191648B2 (ja) 亜鉛系メッキ鋼板の製造方法
JP3159032B2 (ja) 合金化溶融亜鉛メッキ鋼板
JPH0696779B2 (ja) プレス成形性、化成処理性に優れた亜鉛系めっき鋼板

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090525

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090525

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100525

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110525

Year of fee payment: 10

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees