JP3159032B2 - 合金化溶融亜鉛メッキ鋼板 - Google Patents

合金化溶融亜鉛メッキ鋼板

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、合金化溶融亜鉛
メッキ鋼板の改良に関し、プレス成形性特に深絞り性、
耐パウダリング性および耐フレーキング性に優れ、更に
は、スポット溶接性、接着性および化成処理性にも優れ
た合金化溶融亜鉛メッキ鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】合金化溶融亜鉛メッキ鋼板は種々の優れ
た特徴を有するために、各種の防錆鋼板として広く使用
されている。また、高耐食化ニーズから、厚目付けの合
金化溶融亜鉛メッキ鋼板も使用されている。しかし、合
金化溶融亜鉛メッキ鋼板は、一般に、冷延鋼板に比べて
プレス成形性に劣るという欠点を有する。これは、合金
化溶融亜鉛メッキ鋼板は熱拡散処理で製造するため、メ
ッキ付着量が多くなりメッキ層が厚くなるに従いメッキ
層中のFe濃度勾配が大きくなり、地鉄との界面にはF
e濃度が高く脆いΓ相が生成し易くなり、一方、メッキ
層の表面近傍にはFe濃度が低く軟らかいζ相や、極端
な場合にはη相が残存するためである。
【0003】脆いΓ相が厚く生成すると、プレス加工時
にメッキ層が剥離するパウダリングが生じ易くなるた
め、製品にメッキ剥離粉の押しキズ状が発生し、製品歩
留りの低下や金型洗浄の頻度増による生産能率低下等の
弊害が生じる。
【0004】一方、メッキ層の表面にζ相が厚く存在し
たり、η相が残存したりすると、これらの相の摺動抵抗
が大きいため、プレス加工時に型かじりが発生し易く、
いわゆるフレーキングとなって金型ビード部等に堆積
し、製品歩留りの低下や金型洗浄の頻度増による生産能
率の低下をもたらす。
【0005】この問題を解決する方法として、δ1相を
主体とするメッキ層を形成し、摺動抵抗を低減させるこ
とによりプレス成形性に優れた合金化溶融亜鉛メッキ鋼
板が製造され、実用に供されている。しかしながら、δ
1相のメッキ層を形成してもプレス成形性改善効果には
限界があった。
【0006】また、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板には、ス
ポット溶接時に電極である銅が溶融した亜鉛と反応して
脆い合金層を形成し易いために、銅電極の損耗が激し
く、その寿命が短く、冷延鋼板に比べて連続打点性に劣
るという問題がある。
【0007】更に、自動車車体の製造工程においては、
車体の防錆、制振等の目的で各種の接着剤が使用される
が、近年になって合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の接着性は
冷延鋼板の接着性に比較して劣ることが明らかになっ
た。
【0008】上述した問題を解決する方法として、特開
昭53−60332号公報および特開平2−19048
3号公報は、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の表面に電解処
理、浸漬処理、塗布酸化処理、または加熱処理を施すこ
とにより、ZnOを主体とする酸化膜を生成させて溶接
性、または加工性を向上させる技術(以下、先行技術1
という)を開示している。
【0009】特開平4−88196号公報は、合金化溶
融亜鉛メッキ鋼板の表面に、リン酸ナトリウム5〜60
g/lを含むpH2〜6の水溶液中にメッキ鋼板を浸漬
するか、電解処理、また、上記水溶液を散布することに
より、P酸化物を主体とした酸化膜を形成して、プレス
成形性および化成処理性を向上させる技術(以下、先行
技術2という)を開示している。
【0010】特開平3−191093号公報は、合金化
溶融亜鉛メッキ鋼板の表面に電解処理、浸漬処理、塗布
処理、塗布酸化処理または加熱処理により、Ni酸化物
を形成させることによりプレス成形性および化成処理性
を向上させる技術(以下、先行技術3という)を開示し
ている。
【0011】特開昭58−67885号公報は、合金化
溶融亜鉛メッキ鋼板の表面に、製造方法は限定しない
が、例えば、電気メッキまたは化学メッキにより、Ni
およびFe等の金属を生成させて耐食性を向上させる技
術(以下、先行技術4という)を開示している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た先行技術には、下記問題がある。先行技術1は、上述
した各種処理により、メッキ層表面にZnOを主体とす
る酸化物を生成させる方法であるため、通常の溶接性お
よび加工性は向上するが、プレス金型とメッキ鋼板との
摺動抵抗の低減効果は少なく、プレス成形性の改善効果
は少さい。また、ZnO主体の酸化膜がメッキの表面に
存在すると、接着性が劣化するという問題を有する。
【0013】先行技術2は、P酸化物を主体とした酸化
膜を合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の表面に形成する方法で
あるため、プレス成形性および化成処理性の改善効果は
大きいが、スポット溶接性および接着性は劣化するとい
う問題を有する。
【0014】先行技術3は、Ni酸化物単相の皮膜を生
成させる方法であるため、プレス成形性は向上するが、
一方、接着性が低下するという問題を有する。
【0015】先行技術4は、Ni等の金属のみを生成さ
せる方法であるため、耐食性は向上するが、皮膜の金属
的性質が強いためプレス成形性およびスポット溶接性の
改善効果が十分ではない。更に、金属の接着剤に対する
濡れ性が低く、十分な接着性が得られないという問題が
ある。
【0016】従って、この発明の目的は、上述した問題
を解決して、プレス金型との摺動抵抗が小さいことを基
本条件とし、望ましくは更に融点が高く、しかも良好な
接着性を示す化学成分組成を有する皮膜を、合金化溶融
亜鉛メッキ鋼板のメッキ層の表面に形成させることによ
り、プレス成形性に、望ましくは特に深絞り性にも優
れ、用途に応じて適宜、スポット溶接性、接着性および
化成処理性に優れた合金化溶融亜鉛メッキ鋼板を提供す
ることにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述した
問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下の結果を
得た。即ち、メッキ層表層の合金相がζ相またはδ1相
からなる合金化溶融亜鉛メッキ鋼板のメッキ層の表面
に、Fe−Ni−O系皮膜を形成することにより、プレ
ス成形性を改善することができる。
【0018】ここで、上述したように構成すると、プレ
ス成形性に優れた合金化溶融亜鉛メッキ鋼板を得ること
ができるのは以下の通りである。合金化溶融亜鉛メッキ
鋼板のプレス成形性が劣る原因は、メッキ層表層の合金
相がη相やζ相の場合、高面圧下において、軟質かつ融
点の低いη相やζ相がメッキ層と金型との間で凝着現象
を起こすために、摺動抵抗が増大するためである。表層
の合金相がδ1相の場合は、η相やζ相と比較すれば、
硬質であり、高融点であるが、冷延鋼板と比較すれば、
凝着現象を起こし易いことにかわりはない。これを防ぐ
ためにはFe−Zn合金相より硬質且つ高融点の皮膜を
形成することが有効となる。この発明のFe−Ni−O
系皮膜は、硬質且つ高融点であるから、合金化溶融亜鉛
メッキ鋼板の表面にFe−Ni−O系皮膜を形成させる
ことにより、プレス成形時におけるメッキ層表面とプレ
ス金型との摺動抵抗が低下し、合金化溶融亜鉛メッキ鋼
板がプレス金型へ滑り込み易くなり、プレス成形性が向
上する。
【0019】また、メッキ層表層にFe含有量の低いζ
相を形成させる場合には、脆いΓ相の生成を抑制するこ
とができるので、耐パウダリング性も同時に向上させる
ことができる。一方、メッキ層表面にFe含有量の高い
δ1相を形成させる場合には、低融点で軟質のη相の生
成を抑制することができるので、耐フレーキング性も同
時に向上させることができる。
【0020】従来の合金化溶融亜鉛メッキ鋼板は、スポ
ット溶接における連続打点性において、冷延鋼板と比較
して劣る。その原因は、溶接時に溶融した亜鉛と電極の
銅とが接触して反応し、脆い合金層を生成するために、
電極の劣化が激しくなることにある。従って、合金化溶
融亜鉛メッキ鋼板の連続打点性を改善する方法として
は、メッキ表面に、高融点の皮膜を形成することが有効
とされている。本発明者らは、合金化溶融亜鉛メッキ鋼
板のスポット溶接性を改善するために、各種の皮膜につ
いて検討した結果、Ni酸化物皮膜が特に有効であるこ
とを見出した。この理由の詳細は明らかではないが、N
iがZnと反応し高融点のZn−Ni合金を形成するこ
と、Ni酸化物が非常に高融点であり、また、半導体的
性質を持つために電気伝導度が各種皮膜の中でも高いこ
とが理由として考えられる。
【0021】従来の合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の接着性
が、冷延鋼板に比較して劣ることは知られていたが、そ
の原因は明らかになっていなかった。そこで、本発明者
らは、その原因について調査した結果、鋼板表面の酸化
皮膜の組成によって接着性が支配されていることが明ら
かになった。すなわち、冷延鋼板の場合には、鋼板表面
の酸化皮膜はFe酸化物が主体であるのに対し、合金化
溶融亜鉛メッキ鋼板の場合には、Zn酸化物が主体であ
る。この酸化皮膜の組成により接着性が異なっており、
Zn酸化物はFe酸化物に比べて接着性が劣っていた。
従って、本発明のように合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の表
面にFe酸化物を含有する皮膜を形成することによっ
て、接着性を改善することが可能である。
【0022】従来の合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の化成処
理性が、冷延鋼板に比較して劣るのは、鋼板表面のZn
濃度が高いために、形成されるリン酸塩皮膜結晶が粗大
で不均一となること、および、リン酸塩結晶が異なるこ
とに起因する。冷延鋼板の場合、リン酸塩結晶はホスフ
ォフィライト(Zn2 Fe(PO4 3 ・4H2 O)が
主体であるのに対し、鋼板表面のZn濃度が高い場合に
は、リン酸塩結晶はホパイト(Zn3 (PO4 3 ・4
2 O)が主体となり、塗装後の温水2次密着性に劣
る。これはリン酸塩皮膜中のFe濃度が低いため、塗装
後湿潤環境下に曝されると化成処理皮膜が復水し、鋼板
との密着力を失うことが原因である。
【0023】化成処理皮膜の復水を抑制するためには、
リン酸塩結晶中にFeおよびNi等の金属を含有させる
ことが有効である。この発明のFe−Ni−O系皮膜を
形成させることにより、化成処理の際に皮膜中のNiお
よびFeがリン酸塩結晶中に取り込まれ、良好な密着性
を有する化成処理皮膜となり、また、緻密で均一なリン
酸塩の結晶が形成され、温水2次密着性のみならず耐食
性も向上することが判明した。
【0024】上述したように、合金化溶融亜鉛メッキ鋼
板の表面に、少なくとも、NiおよびFeの金属、並び
に、NiおよびFeの酸化物を含む混合皮膜(以下、
「Fe−Ni−O系皮膜」という)が適正に形成されて
いることにより、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板は、プレス
成形性、スポット溶接性、接着性および化成処理性にお
いて優れたものが得られ、また、深絞り性においても優
れたものが得られることを知見した。即ち、上述したF
e−Ni−O系皮膜がメッキ層の表面に形成されている
ことは、この発明の必須要件である。
【0025】この発明は、上述した知見に基づいてなさ
れたものであって、請求項1記載の発明の合金化溶融亜
鉛メッキ鋼板は、Fe:6〜11wt.%並びに残部:Zn
および不可避不純物からなる化学成分組成を有する合金
化溶融亜鉛メッキ層であって、このメッキ層の表層部合
金相がζ相であること、そして、その付着量が20〜1
00g/m2 の範囲内にある合金化溶融亜鉛メッキ鋼板
の少なくとも一方の面のメッキ層表面に、Fe−Ni−
O系皮膜が形成されていることに特徴を有するものであ
る。
【0026】請求項2記載の発明の合金化溶融亜鉛メッ
キ鋼板は、請求項1記載の発明において、Fe−Ni−
O系皮膜の付着量が、この皮膜中の金属元素の合計量換
算で、10〜1500mg/m2 の範囲内にあり、更
に、この皮膜中のFe含有量(wt.%)とNi含有量との
和に対するFe含有量(wt.%)の比率が、0.004〜
0.9の範囲内にあり、且つ、この皮膜中の酸素含有量
が、0.5〜10wt.%の範囲内にあることに特徴を有す
るものである。
【0027】請求項3記載の発明の合金化溶融亜鉛メッ
キ鋼板は、Fe:9〜14wt.%並びに残部:Znおよび
不可避不純物からなる化学成分組成を有する合金化溶融
亜鉛メッキ層であって、このメッキ層の表層部合金相が
δ1相であること、そして、その付着量が20〜100
g/m2 の範囲内にある合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の少
なくとも一方の面のメッキ層表面に、Fe−Ni−O系
皮膜が形成されていることに特徴を有するものである。
【0028】請求項4記載の発明の合金化溶融亜鉛メッ
キ鋼板は、請求項3記載の発明において、Fe−Ni−
O系皮膜の付着量が、この皮膜中の金属元素の合計量換
算で、10〜1500mg/m2 の範囲内にあり、更
に、この皮膜中のFe含有量(wt.%)とNi含有量との
和に対するFe含有量(wt.%)の比率が、0.004〜
0.9の範囲内にあり、且つ、この皮膜中の酸素含有量
が、0.5〜10wt.%の範囲内にあることに特徴を有す
るものである。
【0029】
【発明の実施の形態】次に、この発明の合金化溶融亜鉛
メッキ鋼板の、下層としての合金化溶融亜鉛メッキ層の
性状、および、このメッキ層の表面に形成させる上層と
しての皮膜の性状を上述したように限定した理由を述べ
る。
【0030】(1)合金化溶融亜鉛メッキ層 〔メッキ層表層部合金相がζ相の場合〕Fe含有量が6
wt.%未満では、メッキ層表面にζ相が存在することがな
いので、Fe含有量は6wt.%以上にする。一方、このメ
ッキ層のFe含有量が、11wt.%を超えると、Γ相が厚
くなり易いので避けなければならない。Γ相が厚くなる
と、メッキ層の表面にFe−Ni−O系皮膜を形成させ
ても耐パウダリング性が劣化し、プレス成形性に弊害が
生じる。従って、合金化溶融亜鉛メッキ層のFe含有量
は、6〜11wt.%の範囲内に限定すべきである。
【0031】〔メッキ層表層部合金相がδ1相の場合〕
合金化溶融亜鉛メッキ層のFe含有量が9wt.%未満で
は、メッキ層表面にδ1相が存在することがないので、
Fe含有量は9wt.%以上にする。一方、表層部にδ1相
が形成されても、このメッキ層のFe含有量が、14w
t.%を超えると、Γ相が厚くなり易いので避けなければ
ならない。Γ相が厚くなると、メッキ層の表面にFe−
Ni−O系皮膜を形成させても、耐パウダリング性が劣
化し、プレス成形性に弊害が生じる。従って、合金化溶
融亜鉛メッキ層のFe含有量は、9〜14wt.%の範囲内
に限定すべきである。
【0032】〔合金化溶融亜鉛メッキ層の付着量〕付着
量を20〜100g/m2 の範囲内に限定する理由は、
この付着量が20g/m2 未満では、耐食性に問題があ
り、一方、100g/m2 を超えると、合金化溶融亜鉛
メッキ層のFe含有量を6wt.%以上とする合金化処理を
行なった場合、Γ相が厚く成長しすぎ、本発明を実施し
ても耐パウダリング性に問題があるからである。
【0033】なお、合金化溶融亜鉛メッキ層の成分とし
て、Feのみを限定したが、その他の成分、例えば、A
l、Pb、Cd、Sn、In、Li、Sb、As、B
i、Mg、La、Ce、Ti、Zr、Ni、Co、C
r、Mn、P、SおよびO等が少量添加されるか、また
は、不可避的に混入する程度の含有量であれば、この発
明の効果に実質的な影響を及ぼさない。例えば、特に、
Alに関しては、現行プロセスではメッキおよび合金化
の制御のために、メッキ浴中に、0.1wt.%前後添加さ
れており、メッキ層にも必然的に混入している。
【0034】(2)Fe−Ni−O系皮膜 〔Fe−Ni−O系皮膜の付着量〕Fe−Ni−O系皮
膜の付着量は、金属元素の合計量換算で、10mg/m
2未満では、プレス成形性の向上効果が十分には得られ
ず、一方、これが1500mg/m2 を超えると、上記
効果が飽和する。従って、Fe−Ni−O系皮膜の付着
量は、望ましくは、皮膜中金属の合計量換算で、10〜
1500mg/m2 の範囲内に限定すべきである。Fe
−Ni−O系皮膜の付着量をこの範囲内に調整するため
には、皮膜形成の処理液中の塩濃度を一定に保持する場
合には、処理時間を調整し、設備上、処理時間を一定に
する場合には、処理液の塩濃度を調整し、また、pHお
よび温度を適宜調整して行なう。
【0035】〔Fe−Ni−O系皮膜中のFe含有量と
Ni含有量との和に対するFe含有量の比率〕Fe−N
i−O系皮膜中に適正量のFeが含有されることによ
り、接着性が改善される。これは、接着性は、表面電位
が高い金属ほど良好であり、Feは最も表面電位が高い
金属に属する。従って、Feを多く含有するほど、接着
性は改善される。そして、改善効果を発揮するために
は、少なくとも実質的にFeを含有していることを要す
るから、Fe−Ni−O系皮膜中のFe含有量(wt.%)
とNi含有量(wt.%)との和に対するFe含有量(wt.
%)の比率(以下、「皮膜中Fe/(Fe+Ni)」と
いう)は0超えとする。更に、皮膜中Fe/(Fe+N
i)が0.004以上だと、接着性の改善効果が大きく
なる。一方、実質的にNiを含有していることを要する
から、Fe/(Fe+Ni)は1未満とする。更に、皮
膜中Fe/(Fe+Ni)が、0.9以下であればスポ
ット溶接性の改善効果が一層発揮される。従って、Fe
−Ni−O系皮膜中にはFeが含有されていることが必
要であり、望ましくは、Fe/(Fe+Ni)は、0.
004〜0.9の範囲内に限定すべきである。
【0036】〔Fe−Ni−O系皮膜の酸素含有量〕F
e−Ni−O系皮膜に適正量の酸素が含有されることに
より、プレス成形性およびスポット溶接性が改善され
る。そして、改善効果を発揮するためには、少なくとも
実質的に酸素を含有していることが必要であるから、酸
素含有量は0wt.%超えとする。Fe−Ni−O系皮膜の
酸素含有量が、0.5wt.%以上になるとプレス成形性の
改善効果が大きくなる。一方、その酸素含有量が、10
wt.%以下であればスポット溶接性および化成処理性が一
層向上する。従って、Fe−Ni−O系皮膜中には酸素
が含有されていることが必要であり、その酸素含有量
は、望ましくは、0.5〜10wt.%の範囲内に限定すべ
きである。
【0037】なお、Fe−Ni−O系皮膜中には、下層
のメッキ皮膜中に含まれるZn、Co、Mn、Mo、A
l、Ti、Sn、W、Si、PbおよびTa等成分元素
が取り込まれた酸化物、水酸化物または金属単体が含ま
れていても、上述した効果は奏される。
【0038】また、本発明における、上層としてのFe
−Ni−O系皮膜は、その形成方法により限定されるも
のではなく、置換メッキ、酸化剤含有の水溶液への浸漬
による方法、酸化剤含有の水溶液中での陰極電解処理お
よび陽極電解処理、所定の水溶液の吹付け、ロール塗布
等、レーザーCVD、光CVD、真空蒸着、並びに、ス
パッタ蒸着法等の気相メッキ法を採用することができ
る。
【0039】上述したFe−Ni−O系皮膜は、合金化
溶融亜鉛メッキ鋼板の少なくとも1方の面のメッキ層表
面に形成されているので、車体製造工程のどのような工
程において、どのような車体部分に使用される鋼板であ
るかに応じて、その皮膜を1方の面あるいは両面に形成
されたものを適宜選択することができる。
【0040】
【実施例】次に、本発明を実施例により更に説明する。
板厚0.7mmの冷延鋼板に常法の合金化溶融亜鉛メッ
キ法により、メッキ付着量、メッキ層中Fe含有量およ
びメッキ層表層部の合金相を所定のものに調整して合金
化溶融亜鉛メッキ鋼板を調製した。次いで、このメッキ
層の表面に、Fe−Ni−O系皮膜を次の3種類の形成
方法のいずれかにより形成した。
【0041】〔形成方法A〕酸化剤を含有させた硫酸第
一鉄と硫酸ニッケルの混合溶液中で、合金化溶融亜鉛メ
ッキ鋼板を陰極電解処理することにより、その表面に所
定のFe−Ni−O系皮膜を形成させた。ここで、硫酸
ニッケル濃度を100g/lで一定とし、硫酸鉄濃度を
種々の所定値に変化させ、また、混合溶液のpHを2.
5で一定、温度を50℃で一定とし、酸化剤として過酸
化水素水を用い、その濃度を種々の所定値に変化させる
ことにより皮膜の酸素含有量を調整した。
【0042】〔形成方法B〕塩化ニッケル濃度120g
/lおよび種々の所定濃度の塩化第一鉄を含有する水溶
液を合金化溶融亜鉛メッキ鋼板に噴霧し、空気とオゾン
との混合雰囲気中でFe−Ni−O系皮膜の酸素含有量
を調整しながら乾燥させることにより、その表面に所定
のFe−Ni−O系皮膜を形成させた。
【0043】〔形成方法C〕塩化ニッケル濃度120g
/lおよび種々の所定濃度の塩化第一鉄を含有し、pH
2.5〜3.5、温度50℃の水溶液に合金化溶融亜鉛
メッキ鋼板を浸漬した。浸漬時間の調整によりFe−N
i−O系皮膜の付着量を種々の所定値に変化させた。ま
た、pHの調整により、Fe−Ni−O系皮膜の酸素含
有量を種々の所定値に変化させた。この酸素含有量を更
に調整するために適宜、所定の水溶液中に所定の酸化剤
を添加し、そして、所定の酸化雰囲気中で加熱処理する
等の方法で、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の表面に所定の
Fe−Ni−O系皮膜を形成させた。
【0044】上述した形成方法により合金化溶融亜鉛メ
ッキ鋼板の表面にFe−Ni−O系皮膜を形成させるこ
とにより、本発明供試体および比較用供試体を調製し
た。本発明供試体および比較用供試体の調製は、2次に
分けて行ない、第1次試験(「実施例1」)では、請求
項1および3についての実施例を、そして、第2次試験
(「実施例2」)では、請求項2および4についての実
施例を目的として行なった。
【0045】〔第1次試験〕表1および2に、第1次試
験で調製された本発明供試体および比較用供試体につい
ての合金化溶融亜鉛メッキ層中のFe含有量、メッキ層
中表層部の合金相およびメッキ層付着量、並びに、Fe
−Ni−O系皮膜の形成方法および有無を示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】上記供試体について、プレス成形性、耐パ
ウダリング性、スポット溶接性、接着性および化成処理
性の評価試験を下記の方法で行なった。プレス成形性の
評価は供試体の摩擦係数およびカップ絞り試験による外
形変化率で行なった。
【0049】〔摩擦係数測定試験〕摩擦係数測定は、下
記方法により、供試体とビードとの摩擦係数を測定する
ものである。図1は、摩擦係数測定装置を示す概略正面
図である。同図に示すように、供試体から採取した摩擦
係数測定用試料1が試料台2に固定され、試料台2は、
水平移動可能なスライドテ−ブル3の上面に固定されて
いる。スライドテ−ブル3の下面には、これに接したロ
−ラ4を有する上下動可能なスライドテ−ブル支持台5
が設けられ、これを押上げることにより、ビ−ド6によ
る摩擦係数測定用試料1への押付荷重Nを測定するため
の第1ロ−ドセル7が,スライドテ−ブル支持台5に取
付けられている。上記押付力を作用させた状態で、スラ
イドテ−ブル3の水平移動方向の一方の端部には、スラ
イドテ−ブル3を水平方向へ移動させるための摺動抵抗
力Fを測定するための第2ロ−ドセル8が、スライドテ
−ブル3の一方の端部に取付けられている。なお、潤滑
油として、日本パーカライジング社製Noxrust5
50HNを試料1の表面に塗布して試験を行なった。
【0050】供試体とビ−ドとの間の摩擦係数μは、
式:μ=F/Nで算出した。但し、押付荷重N:400
kgf、試料の引き抜き速度(スライドテ−ブル3の水
平移動速度):100cm/minとした。
【0051】図2は、使用したビ−ドの形状・寸法を示
す概略斜視図である。ビ−ド6の下面が試料1の表面に
押しつけられた状態で摺動する。その下面形状は、幅1
0mm、摺動方向長さ3mmの平面を有し、その前後面
の幅10mmの各々の線に4.5mmRをもつ筒面の1
/4筒面が同図のように接している。
【0052】〔カップ絞り試験〕カップ絞り試験によ
り、試験前後の供試体の外径変化率を下記方法で測定し
た。各供試体から直径110mmの円板をブランキング
し、これに対して、直径53mm、肩半径5mmのダイ
スに、しわ押さえ力3tonにて、直径50mm、肩半
径5mmのポンチを使用して円筒成形を行なった。潤滑
油として、日本パーカライジング社製Noxrust5
50HNを使用した。図3に、カップ絞り試験後の試験
片の概略斜視図を示す。同図において、10はフラン
ジ、Dはフランジの外径、そして11は円筒成形により
試験片に発生した割れである。カップ絞り試験による外
径変化率を、下記(1)式で算出した。 外径変化率(%)={(110−D)/110}×100------(1) 但し、D:試験後のフランジの外径(mm)。
【0053】耐パウダリング性の評価をドロービード試
験による鋼板表面皮膜(合金化溶融亜鉛メッキ層および
Fe−Ni−O系皮膜)の剥離量(以下、「皮膜剥離
量」という)で評価した。
【0054】〔ドロービード試験〕下記方法により、供
試体とビードとのしごきにより鋼板表面の被膜を剥離さ
せ、その剥離量を測定した。各供試体から所定の形状・
寸法の試験片をブランキングし、試験片の非対象面側の
メッキ層およびFe−Ni−O系皮膜を、希塩酸で溶解
剥離し、脱脂し、そして、試験片の重量を測定する。こ
のように調製された試験片を次の試験機に装着する。
【0055】図4に、この試験で使用したドロービード
試験機の概略縦断面図を示す。同図において、12は試
験片、13はビード、13aはビードフレーム、14は
ダイ、そして15は油圧装置である。
【0056】図5は、図4の部分拡大図である。図5に
示すように、試験片12の試験対象面(被検面)をビー
ド13側に向けてビード13およびビードフレーム13
aと、ダイ14との間に試験片12を装着し、次いで、
油圧装置15を作動させて押付け板16を前方に押すこ
とによって、試験片12をビードフレーム13aとダイ
14とで挟圧すると共に、ビード13先端に試験片12
を当接する。油圧による押付け力Pは500kgfであ
る。このようにして、試験片の被検面をビード13の先
端に押し付けた状態で試験片12をビード13長手方向
に直角方向に、速度200mm/minで長さ110m
mの間上方に引き抜く。図6に、ビード先端部の形状寸
法を示す。同図に示すように、ビード13の形状寸法
は、先端半径1.0mmの半球状、ビード高さは4mm
であり、被検面には、潤滑油として日本パーカライジン
グ社製Noxrust550HNを塗布した。
【0057】次いで、試験片12を脱脂し、被検面に粘
着テープを張り付け、そしてこれを剥離し、再度脱脂し
た後、試験片12の重量を測定し、このようにして試験
前後における試験片10の重量差を算定し、皮膜剥離量
を求めた。
【0058】スポット溶接性の評価をスポット溶接の連
続打点数で評価した。 〔連続打点性試験〕スポット溶接性の評価を下記の試験
により行なった。同じNO.の供試体を2枚重ね、それを
両面から1対の電極チップで挟み、加圧通電して電流を
集中させた抵抗溶接(スポット溶接)を、下記溶接条件
で連続的に実施した。 ・電極チップ:先端径6mmのド−ム型、 ・加圧力:250kgf、 ・溶接時間:0.2秒(12サイクル)、 ・溶接電流:11.0KA、 ・溶接速度:1点/sec。 連続打点性の評価としては、スポット溶接時に、2枚重
ねた溶接母材(供試体)の接合部に生じた溶融凝固した
金属部(形状:碁石状、以下、ナゲットという)の径
が、4×t1/2 (t:1枚の板厚)未満になるまでに連
続打点溶接した打点数を用いた。なお、上記打点数を以
下、電極寿命という。
【0059】接着性の評価は、同じNo.の2枚の供試体
の面同士を接着剤で張り合わせた後、これを剥離させる
ときの剥離強度で評価した。 〔接着性試験〕各供試体から下記接着性試験用試験体を
調製した。図7は、その組み立て過程を説明する概略斜
視図である。同図に示すように、幅25mm、長さ20
0mmの2枚の試験片17を、その間に直径0.15m
mのスペーサー18を介して、接着剤19の厚さが0.
15mmとなるように重ね合わせて接着した試験体20
を作成し、150°C×10minの焼き付けを行な
う。次いで、図8に示すように、上記のようにして調製
された試験体をT型に折り曲げ、引張試験機を用いて2
00mm/minの速度で引張試験をし、試験体が剥離
した時の平均剥離強度(n=3回)を測定した。剥離強
度は、剥離時の引張荷重曲線の荷重チャ−トから、平均
荷重を求め、試験片幅25mm当たりの平均荷重(kg
f/25mm)で表わした。同図中、Pは引張荷重を示
す。なお接着剤は塩ビ系のヘミング用アドヒシブを用い
た。
【0060】化成処理性の評価は、リン酸亜鉛皮膜の結
晶状態のミクロ的観察により行なった。 〔化成処理性試験〕各供試体を、自動車塗装下地用の浸
漬型リン酸亜鉛処理液(日本パ−カライジング社製PB
L3080)で通常の条件で処理し、その表面にリン酸
亜鉛皮膜を形成させた。このようにして形成されたリン
酸亜鉛皮膜の結晶状態を走査型電子顕微鏡(SEM)に
より観察した。その結晶状態により3段階に区分した。
評価区分の符号とその内容は、次の通りである。 ○:リン酸亜鉛皮膜の結晶が緻密で小さい。 △:リン酸亜鉛皮膜の結晶がやや粗大で大きい。 ×:リン酸亜鉛皮膜の結晶が粗大である。 第1次試験の結果を表1および2に併記する。
【0061】表1および2の結果から下記事項が明らか
である。本発明の範囲内の合金化溶融亜鉛メッキ鋼板に
ついては、皮膜の摩擦係数が小さく、同時に深絞り性が
向上しているので、プレス成形性は、実用上良好なレベ
ルにある。
【0062】皮膜のしごきによる皮膜剥離量は、実用上
問題がない程度に少なく、耐パウダリング性に優れてい
る。
【0063】スポット溶接の打点数は、実用上問題がな
い程度に多く、スポット溶接性に優れている。
【0064】樹脂による接着後の剥離強度は、実用上問
題がない程度の水準にあり、接着性に優れている。
【0065】化成処理時のリン酸亜鉛皮膜の結晶状態
は、実用上問題がない程度の水準に緻密であり、化成処
理性に優れている。
【0066】これに対して、本発明の範囲外の合金化溶
融亜鉛メッキ鋼板については、摩擦係数、深絞り性、耐
パウダリング性、スポット溶接性、接着性および化成処
理性のいずれかにおいて劣っていた。
【0067】〔第2次試験〕次に、第2次試験の実施条
件および結果について述べる。第2次試験では、Fe−
Ni−O系皮膜の付着量および化学成分組成について、
第1次試験よりも詳細な条件で試験した。
【0068】表3〜8に、第2次試験で調製された、本
発明供試体および比較用供試体についての、合金化溶融
亜鉛メッキ層中のFe含有量、メッキ層中表層部の合金
相およびメッキ層付着量、並びに、Fe−Ni−O系皮
膜の形成方法、皮膜の付着量(但し、皮膜中の金属元素
の合計量換算を意味する。以下、試験結果の説明におい
て同じ)、皮膜中Fe/(Fe+Ni)、および皮膜の
酸素含有量を示す。
【0069】
【表3】
【0070】
【表4】
【0071】
【表5】
【0072】
【表6】
【0073】
【表7】
【0074】
【表8】
【0075】各供試体のFe−Ni−O系皮膜の付着
量、皮膜中Fe/(Fe+Ni)および酸素含有量の測
定方法は下記の通りである。
【0076】〔Fe−Ni−O系皮膜の付着量、および
皮膜中Fe/(Fe+Ni)〕皮膜の定量分析に際し、
ICP法では、上層としてのFe−Ni−O系皮膜中の
成分と下層メッキ層中の成分とを完全に分離することは
困難である。従って、ICP法により、Fe−Ni−O
系皮膜中の元素の内、下層のメッキ層中に含まれていな
い元素のみを定量分析した。更に、Arイオンスパッタ
した後、XPS法によりFe−Ni−O系皮膜中各成分
元素の測定を表面から繰り返すことによって、メッキ層
の深さ方向に対する各成分元素の組成分布を測定した。
この測定方法においては、下層のメッキ層中に含まれて
いないFe−Ni−O系皮膜の元素が最大濃度を示す表
面からの深さ(xとする)に、その元素が検出されなく
なる表面からの深さ(yとする)と上記最大濃度を示す
表面からの深さ(x)との差(y−x)の1/2を加え
た表面からの深さ(x+(y−x)/2)、即ち、最大
濃度を示す表面からの深さ(x)と、その元素が検出さ
れなくなる表面からの深さ(y)との、表面からの平均
深さ((x+y)/2)をFe−Ni−O系皮膜の厚さ
と定義した。そして、ICP法の結果とXPS法の結果
から、Fe−Ni−O系皮膜の付着量および組成を算定
した。次いで、皮膜中Fe/(Fe+Ni)を算定し
た。
【0077】〔皮膜の酸素含有量〕皮膜の酸素含有量
は、オージェ電子分光法(AES)の深さ方向分析結果
から求めた。
【0078】次に、上記供試体について、プレス成形
性、耐パウダリング性、スポット溶接性、接着性および
化成処理性の評価試験を行なった。各試験方法は、第1
次試験での方法と同じである。
【0079】第2次試験の結果を表9〜18に記した。
【0080】
【表9】
【0081】
【表10】
【0082】
【表11】
【0083】
【表12】
【0084】
【表13】
【0085】
【表14】
【0086】
【表15】
【0087】
【表16】
【0088】
【表17】
【0089】
【表18】
【0090】表9〜18の結果より、第1次試験で判明
した事項と同じ事項が明らかとなり、更に、プレス成形
性、耐パウダリング性、スポット溶接性および接着性に
関して、本発明供試体と比較用供試体との差が明確にな
った。また、下記事項が明らかである。
【0091】Fe−Ni−O系皮膜の付着量が本発明の
範囲内であれば、皮膜の付着量の増加とともに、プレス
成形性が良好になる。上層としてのFe−Ni−O系皮
膜の付着量が、10mg/m2 以下では、プレス成形性
の向上効果が小さく、また、1500mg/m2 を超え
ると、前記効果が飽和する。
【0092】Fe−Ni−O系皮膜の付着量が本発明の
範囲内であれば、皮膜の付着量の増加とともに、スポッ
ト溶接性が良好になる。
【0093】Fe−Ni−O系皮膜中Fe/(Fe+N
i)が、0.004wt.%未満では、接着性の改善効果が
小さい。一方、皮膜中Fe/(Fe+Ni)が0.9を
超えると、皮膜中に存在するNi含有量が減少するた
め、スポット溶接性の改善効果が発揮されない。
【0094】Fe−Ni−O系皮膜中の酸素含有量が、
0.5wt.%以下では、プレス成形性およびスポット溶接
性の改善効果が小さくなり、一方、10wt.%を超えると
化成処理性が劣化する。
【0095】
【発明の効果】本発明は、以上のように構成したので、
合金化溶融亜鉛メッキ鋼板のメッキ層の表面に形成され
たFe−Ni−O系皮膜が、亜鉛または亜鉛合金メッキ
層に比べて硬質、且つ、高融点であるために、合金化溶
融亜鉛メッキ鋼板のプレス成形時におけるメッキ層表面
とプレス金型との摺動抵抗が低下し、合金化溶融亜鉛メ
ッキ鋼板がプレス金型へ滑り込み易くなる。また、Fe
−Ni−O系皮膜の存在、特に、Niが所定量含有され
るために溶接時に高融点のZn−Ni合金の形成比率が
確保されるために、電極の損耗が抑制され、その結果ス
ポット溶接性における連続打点性が向上する。更に、接
着性の改善に有効な、表面電位の高いFeを所定量含有
するので、接着板の剥離強度が向上する。更に、化成処
理皮膜は、Fe−Ni−O系皮膜中のNiおよびFeが
リン酸塩結晶中に取り込まれるので密着性に優れ、且
つ、緻密で均一なリン酸塩の結晶形成により温水2次密
着性にも優れたものとなる。従って、本発明によれば、
プレス成形性、スポット溶接性、接着性および化成処理
性に優れた合金化溶融亜鉛メッキ鋼板を提供することが
できる工業上極めて有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】摩擦係数測定装置を示す概略正面図である。
【図2】図1中のビ−ドの形状・寸法を示す概略斜視図
である。
【図3】カップ絞り試験後の試験片の概略斜視図であ
る。
【図4】耐パウラリング性の評価試験に使用したドロー
ビード試験機の概略縦断面図を示す。
【図5】図4の部分拡大図である。
【図6】ビード先端の形状寸法を示す図である。
【図7】接着性試験用試験体の組み立て過程を説明する
概略斜視図である。
【図8】接着性試験における剥離強度測定時の引張荷重
の負荷を説明する概略斜視図である。
【符号の説明】
1 摩擦係数測定用試料 2 試料台 3 スライドテ−ブル 4 ロ−ラ 5 スライドテ−ブル支持台 6 ビ−ド 7 第1ロ−ドセル 8 第2ロ−ドセル 9 レ−ル 10 フランジ 11 割れ 12 試験片 13 ビード 13a ビードフレーム 14 ダイ 15 油圧装置 16 押付け板 17 試験片 18 スペ−サ− 19 接着剤 20 試験体 P 引張荷重 F 摺動抵抗力 N 押付荷重
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浦川 隆之 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 稲垣 淳一 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 山下 正明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−18400(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 2/00 - 2/40

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe:6〜11wt.%並びに残部:Znお
    よび不可避不純物からなる化学成分組成を有し、表層部
    合金相がζ相であるメッキ層を有する合金化溶融亜鉛メ
    ッキ鋼板において、前記メッキ層の付着量は20〜10
    0g/m2 の範囲内にあり、且つ、前記メッキ層の表面
    にはFe−Ni−O系皮膜が形成されていることを特徴
    とする合金化溶融亜鉛メッキ鋼板。
  2. 【請求項2】 前記Fe−Ni−O系皮膜の付着量は、
    前記Fe−Ni−O系皮膜中の金属元素の合計量換算で
    10〜1500mg/m2 の範囲内にあり、更に、前記
    Fe−Ni−O系皮膜中のFe含有量(wt.%)とNi含
    有量(wt.%)との和に対する前記Fe含有量(wt.%)の
    比率は、0.004〜0.9の範囲内にあり、且つ、前
    記Fe−Ni−O系皮膜中の酸素含有量は、0.5〜1
    0wt.%の範囲内にある、請求項1記載の合金化溶融亜鉛
    メッキ鋼板。
  3. 【請求項3】 Fe:9〜14wt.%並びに残部:Znお
    よび不可避不純物からなる化学成分組成を有し、表層部
    合金相がδ1相であるメッキ層を有する合金化溶融亜鉛
    メッキ鋼板において、前記メッキ層の付着量は20〜1
    00g/m2の範囲内にあり、且つ、前記メッキ層の表
    面にはFe−Ni−O系皮膜が形成されていることを特
    徴とする合金化溶融亜鉛メッキ鋼板。
  4. 【請求項4】 前記Fe−Ni−O系皮膜の付着量は、
    前記Fe−Ni−O系皮膜中の金属元素の合計量換算で
    10〜1500mg/m2 の範囲内にあり、更に、前記
    Fe−Ni−O系皮膜中のFe含有量(wt.%)とNi含
    有量(wt.%)との和に対する前記Fe含有量(wt.%)の
    比率は、0.004〜0.9の範囲内にあり、且つ、前
    記Fe−Ni−O系皮膜中の酸素含有量は、0.5〜1
    0wt.%の範囲内にある、請求項3記載の合金化溶融亜鉛
    メッキ鋼板。
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