JP3111910B2 - プレス成形性および接着性に優れた亜鉛系メッキ鋼板 - Google Patents
プレス成形性および接着性に優れた亜鉛系メッキ鋼板Info
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、亜鉛系メッキ鋼
板の改良に関し、特にプレス成形性および接着性に優れ
た亜鉛系メッキ鋼板に関するものである。
板の改良に関し、特にプレス成形性および接着性に優れ
た亜鉛系メッキ鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】亜鉛系メッキ鋼板は種々の優れた特徴を
有するために、各種の防錆鋼板として広く使用されてい
る。この亜鉛系メッキ鋼板を自動車用防錆鋼板として使
用するためには、耐食性などの性能が要求されるだけで
なく、車体製造工程において、プレス成形性および接着
性にも優れていることが要求される。
有するために、各種の防錆鋼板として広く使用されてい
る。この亜鉛系メッキ鋼板を自動車用防錆鋼板として使
用するためには、耐食性などの性能が要求されるだけで
なく、車体製造工程において、プレス成形性および接着
性にも優れていることが要求される。
【0003】しかし、亜鉛系メッキ鋼板は、一般に、冷
延鋼板に比べてプレス成形性に劣るという欠点を有す
る。これは亜鉛系メッキ鋼板が、冷延鋼板に比較してプ
レス金型との間の摺動抵抗が大きいことが原因である。
即ち、この摺動抵抗が大きいと、ビードと亜鉛系メッキ
鋼板との間で激しく摺動する部分で亜鉛系メッキ鋼板が
プレス金型に流入しにくくなり、鋼板の破断が起こりや
すくなる。
延鋼板に比べてプレス成形性に劣るという欠点を有す
る。これは亜鉛系メッキ鋼板が、冷延鋼板に比較してプ
レス金型との間の摺動抵抗が大きいことが原因である。
即ち、この摺動抵抗が大きいと、ビードと亜鉛系メッキ
鋼板との間で激しく摺動する部分で亜鉛系メッキ鋼板が
プレス金型に流入しにくくなり、鋼板の破断が起こりや
すくなる。
【0004】亜鉛系メッキ鋼板のプレス成形性を向上さ
せる方法としては、一般に、高粘度の潤滑油を鋼板に塗
布する方法が広く行われている。しかしこの方法では、
潤滑油の高粘性のために、脱脂不良による塗装欠陥が塗
装工程で発生したり、また、プレス時の油切れにより、
プレス性能が不安定になる等の問題がある。従って、亜
鉛系メッキ鋼板のプレス成形性が改善されることが強く
要請されている。
せる方法としては、一般に、高粘度の潤滑油を鋼板に塗
布する方法が広く行われている。しかしこの方法では、
潤滑油の高粘性のために、脱脂不良による塗装欠陥が塗
装工程で発生したり、また、プレス時の油切れにより、
プレス性能が不安定になる等の問題がある。従って、亜
鉛系メッキ鋼板のプレス成形性が改善されることが強く
要請されている。
【0005】また、自動車車体の製造工程においては、
車体の防錆、制振等の目的で各種の接着剤が使用される
が、近年になって亜鉛系メッキ鋼板の接着性は、冷延鋼
板の接着性に比較して劣ることが明らかになってきた。
車体の防錆、制振等の目的で各種の接着剤が使用される
が、近年になって亜鉛系メッキ鋼板の接着性は、冷延鋼
板の接着性に比較して劣ることが明らかになってきた。
【0006】上述した問題を解決する方法として、特開
昭53−60332号公報および特開平2−19048
3号公報は、亜鉛系メッキ鋼板の表面に電解処理、浸漬
処理、塗布酸化処理、または加熱処理を施すことによ
り、ZnOを主体とする酸化膜を生成させて溶接性、ま
たは加工性を向上させる技術(以下、「先行技術1」と
いう)を開示している。
昭53−60332号公報および特開平2−19048
3号公報は、亜鉛系メッキ鋼板の表面に電解処理、浸漬
処理、塗布酸化処理、または加熱処理を施すことによ
り、ZnOを主体とする酸化膜を生成させて溶接性、ま
たは加工性を向上させる技術(以下、「先行技術1」と
いう)を開示している。
【0007】特開平4−88196号公報は、亜鉛系メ
ッキ鋼板の表面に、リン酸ナトリウム5〜60g/lを
含むpH2〜6の水溶液中にメッキ鋼板を浸漬するか、
電解処理、または、上記水溶液を散布して、P酸化物を
主体とした酸化膜を形成することにより、プレス成形性
および化成処理性を向上させる技術(以下、「先行技術
2」という)を開示している。
ッキ鋼板の表面に、リン酸ナトリウム5〜60g/lを
含むpH2〜6の水溶液中にメッキ鋼板を浸漬するか、
電解処理、または、上記水溶液を散布して、P酸化物を
主体とした酸化膜を形成することにより、プレス成形性
および化成処理性を向上させる技術(以下、「先行技術
2」という)を開示している。
【0008】特開平3−191093号公報は、亜鉛系
メッキ鋼板の表面に電解処理、浸漬処理、塗布処理、塗
布酸化処理または加熱処理により、Ni酸化物を生成さ
せることによりプレス成形性および化成処理性を向上さ
せる技術(以下、「先行技術3」という)を開示してい
る。
メッキ鋼板の表面に電解処理、浸漬処理、塗布処理、塗
布酸化処理または加熱処理により、Ni酸化物を生成さ
せることによりプレス成形性および化成処理性を向上さ
せる技術(以下、「先行技術3」という)を開示してい
る。
【0009】特開昭58−67885号公報は、亜鉛系
メッキ鋼板の表面に、その方法を限定するものではない
が、例えば、電気メッキまたは化学メッキにより、Ni
およびFe等の金属を生成させることにより耐食性を向
上させる技術(以下、先行技術4という)を開示してい
る。
メッキ鋼板の表面に、その方法を限定するものではない
が、例えば、電気メッキまたは化学メッキにより、Ni
およびFe等の金属を生成させることにより耐食性を向
上させる技術(以下、先行技術4という)を開示してい
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た先行技術には、下記問題がある。先行技術1は、上述
した各種処理により、メッキ層表面にZnOを主体とす
る酸化物を生成させる方法であるため、通常の溶接性お
よび加工性は向上するが、プレス金型とメッキ鋼板との
摺動抵抗が十分小さくならないため、プレス成形性の改
善効果は小さい。更に、ZnO主体の酸化物が鋼板表面
に存在すると、接着性を更に劣化させることが明らかと
なってきた。
た先行技術には、下記問題がある。先行技術1は、上述
した各種処理により、メッキ層表面にZnOを主体とす
る酸化物を生成させる方法であるため、通常の溶接性お
よび加工性は向上するが、プレス金型とメッキ鋼板との
摺動抵抗が十分小さくならないため、プレス成形性の改
善効果は小さい。更に、ZnO主体の酸化物が鋼板表面
に存在すると、接着性を更に劣化させることが明らかと
なってきた。
【0011】先行技術2は、P酸化物を主体とした酸化
膜を亜鉛系メッキ鋼板の表面に形成する方法であるた
め、プレス成形性および化成処理性の改善効果は大きい
が、接着性は劣化するという問題を有する。
膜を亜鉛系メッキ鋼板の表面に形成する方法であるた
め、プレス成形性および化成処理性の改善効果は大きい
が、接着性は劣化するという問題を有する。
【0012】接着性に注目して、接着性に優れた皮膜
を、メッキ皮膜の表面に形成させることが考えられ、先
行技術3は、Ni酸化物単相の皮膜を形成する方法なの
で、プレス成形性の向上はあるものの、接着性が未だ十
分ではないという問題を有する。
を、メッキ皮膜の表面に形成させることが考えられ、先
行技術3は、Ni酸化物単相の皮膜を形成する方法なの
で、プレス成形性の向上はあるものの、接着性が未だ十
分ではないという問題を有する。
【0013】先行技術4は、Ni等の金属のみを生成さ
せる方法であるため、耐食性は向上するが、皮膜の金属
的性質が強いため接着剤に対する濡れ性が低く、十分な
接着性を得ることができないという問題を有する。
せる方法であるため、耐食性は向上するが、皮膜の金属
的性質が強いため接着剤に対する濡れ性が低く、十分な
接着性を得ることができないという問題を有する。
【0014】従って、この発明の目的は、上述した問題
を解決して、プレス金型との摺動抵抗を小さくし、しか
も、各種の接着剤使用による剥離強度を大きくすること
により、プレス成形性および接着性に優れた亜鉛系メッ
キ鋼板を提供することにある。
を解決して、プレス金型との摺動抵抗を小さくし、しか
も、各種の接着剤使用による剥離強度を大きくすること
により、プレス成形性および接着性に優れた亜鉛系メッ
キ鋼板を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述した
問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、Fe酸化物、
Ni酸化物、Ni水酸化物および金属Niを含有してな
る混合皮膜(以下、「Fe−Ni−O系皮膜」という)
が表面に形成されており、且つ、Fe−Ni−O系皮膜
の内の表層部はFe酸化物、Ni酸化物およびNi水酸
化物からなる層(この明細書で「酸化物系層」という)
で構成され、この酸化物系層の厚さが適正な厚さに制御
された亜鉛系メッキ鋼板の中には、優れたプレス成形性
および接着性を示すものが存在することを知見した。
問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、Fe酸化物、
Ni酸化物、Ni水酸化物および金属Niを含有してな
る混合皮膜(以下、「Fe−Ni−O系皮膜」という)
が表面に形成されており、且つ、Fe−Ni−O系皮膜
の内の表層部はFe酸化物、Ni酸化物およびNi水酸
化物からなる層(この明細書で「酸化物系層」という)
で構成され、この酸化物系層の厚さが適正な厚さに制御
された亜鉛系メッキ鋼板の中には、優れたプレス成形性
および接着性を示すものが存在することを知見した。
【0016】即ち、従来の亜鉛系メッキ鋼板は、プレス
成形性において、冷延鋼板に比較して劣っている。即
ち、亜鉛系メッキ鋼板は、冷延鋼板よりも、プレス金型
との摺動抵抗が大きい。その理由は、亜鉛系メッキ鋼板
は高面圧下において、低融点の亜鉛が金型と凝着現象を
起こすためである。これを防ぐためには、亜鉛系メッキ
鋼板のメッキ層の表面に、亜鉛または亜鉛合金メッキ層
より硬質且つ高融点の皮膜を形成することが有効である
と考察した。本発明者等は、上述した考察に基づき、更
に研究を進めた結果、適正なFe−Ni−O系皮膜を亜
鉛系メッキ鋼板のメッキ層の表面に形成させることによ
り、プレス成形時におけるメッキ層表面とプレス金型と
の摺動抵抗を低下させることができ、従って、亜鉛系メ
ッキ鋼板がプレス金型へ滑り込み易くなり、プレス成形
性が向上することを見出した。
成形性において、冷延鋼板に比較して劣っている。即
ち、亜鉛系メッキ鋼板は、冷延鋼板よりも、プレス金型
との摺動抵抗が大きい。その理由は、亜鉛系メッキ鋼板
は高面圧下において、低融点の亜鉛が金型と凝着現象を
起こすためである。これを防ぐためには、亜鉛系メッキ
鋼板のメッキ層の表面に、亜鉛または亜鉛合金メッキ層
より硬質且つ高融点の皮膜を形成することが有効である
と考察した。本発明者等は、上述した考察に基づき、更
に研究を進めた結果、適正なFe−Ni−O系皮膜を亜
鉛系メッキ鋼板のメッキ層の表面に形成させることによ
り、プレス成形時におけるメッキ層表面とプレス金型と
の摺動抵抗を低下させることができ、従って、亜鉛系メ
ッキ鋼板がプレス金型へ滑り込み易くなり、プレス成形
性が向上することを見出した。
【0017】また、従来の亜鉛系メッキ鋼板の接着性
は、冷延鋼板に比較して劣っていることは知られていた
が、その原因は明らかになっていなかった。そこで、本
発明者らは、その理由解明の研究を進めた結果、鋼板表
面の酸化皮膜の組成によって接着性が支配されているこ
とが明らかになった。すなわち、冷延鋼板の場合には、
鋼板最表面の酸化皮膜はFe酸化物が主体であるのに対
し、亜鉛系メッキ鋼板の場合には、Zn酸化物が主体で
ある。一方、Zn酸化物はFe酸化物に比べて接着性に
劣ることが明らかとなった。また、亜鉛系メッキ鋼板で
は、表面の酸化皮膜の組成により接着性が異なり、酸化
皮膜の表面にZn酸化物が多いほど接着性に劣ることが
明らかとなった。更に、亜鉛系メッキ層の表面にFe−
Ni−O系皮膜を形成し、しかも、その皮膜の表面に金
属Niが露出していない場合に接着性が一層向上するこ
とが明らかとなった。
は、冷延鋼板に比較して劣っていることは知られていた
が、その原因は明らかになっていなかった。そこで、本
発明者らは、その理由解明の研究を進めた結果、鋼板表
面の酸化皮膜の組成によって接着性が支配されているこ
とが明らかになった。すなわち、冷延鋼板の場合には、
鋼板最表面の酸化皮膜はFe酸化物が主体であるのに対
し、亜鉛系メッキ鋼板の場合には、Zn酸化物が主体で
ある。一方、Zn酸化物はFe酸化物に比べて接着性に
劣ることが明らかとなった。また、亜鉛系メッキ鋼板で
は、表面の酸化皮膜の組成により接着性が異なり、酸化
皮膜の表面にZn酸化物が多いほど接着性に劣ることが
明らかとなった。更に、亜鉛系メッキ層の表面にFe−
Ni−O系皮膜を形成し、しかも、その皮膜の表面に金
属Niが露出していない場合に接着性が一層向上するこ
とが明らかとなった。
【0018】この発明は、上述した知見に基づいてなさ
れたものであって、この発明の亜鉛系メッキ鋼板は、少
なくとも1方の面のメッキ層表面に、Fe酸化物、Ni
酸化物、Ni水酸化物および金属Niを含有してなるF
e−Ni−O系皮膜が形成された亜鉛系メッキ鋼板であ
って、Fe−Ni−O系皮膜の内の表層部はFe酸化
物、Ni酸化物およびNi水酸化物からなる酸化物系層
で構成され、この酸化物系層の厚さが、0.5〜5nm
の範囲内にあり、且つ、Fe−Ni−O系皮膜中のFe
含有量(wt.%)とNi含有量(wt.%)との和に
対するFe含有量(wt.%)の比率が、0.004〜
0.9の範囲内にあることに特徴を有するものである。
れたものであって、この発明の亜鉛系メッキ鋼板は、少
なくとも1方の面のメッキ層表面に、Fe酸化物、Ni
酸化物、Ni水酸化物および金属Niを含有してなるF
e−Ni−O系皮膜が形成された亜鉛系メッキ鋼板であ
って、Fe−Ni−O系皮膜の内の表層部はFe酸化
物、Ni酸化物およびNi水酸化物からなる酸化物系層
で構成され、この酸化物系層の厚さが、0.5〜5nm
の範囲内にあり、且つ、Fe−Ni−O系皮膜中のFe
含有量(wt.%)とNi含有量(wt.%)との和に
対するFe含有量(wt.%)の比率が、0.004〜
0.9の範囲内にあることに特徴を有するものである。
【0019】
【発明の実施の形態】次に、この発明の亜鉛系メッキ鋼
板のメッキ層の表面に形成されたFe−Ni−O系皮膜
の組成、並びに、Fe−Ni−O系皮膜の内の表層部に
形成されたFe酸化物、Ni酸化物およびNi水酸化物
からなる酸化物系層の厚さを上述したように限定した理
由を述べる。図2に、この発明の亜鉛系メッキ鋼板の、
表面に直角方向断面の構造を示す。21は鋼板、22は
亜鉛系メッキ層、23はFe−Ni−O系皮膜、そして
24はFe酸化物、Ni酸化物およびNi水酸化物から
なる酸化物系層である。
板のメッキ層の表面に形成されたFe−Ni−O系皮膜
の組成、並びに、Fe−Ni−O系皮膜の内の表層部に
形成されたFe酸化物、Ni酸化物およびNi水酸化物
からなる酸化物系層の厚さを上述したように限定した理
由を述べる。図2に、この発明の亜鉛系メッキ鋼板の、
表面に直角方向断面の構造を示す。21は鋼板、22は
亜鉛系メッキ層、23はFe−Ni−O系皮膜、そして
24はFe酸化物、Ni酸化物およびNi水酸化物から
なる酸化物系層である。
【0020】前述したように、亜鉛系メッキ鋼板のメッ
キ層22の表面に、Fe酸化物、Ni酸化物、Ni水酸
化物および金属NiからなるFe−Ni−O系皮膜23
が形成され、このFe−Ni−O系皮膜23の内の表層
部に適正な厚さのFe酸化物、Ni酸化物およびNi水
酸化物からなる酸化物系層24が存在すると、プレス成
形性および接着性が向上する。ここで、Fe−Ni−O
系皮膜23とは、前述したように、Fe酸化物、Ni酸
化物および金属Niのみならず、Ni水酸化物をも含む
ものであるとした理由は、亜鉛系メッキ鋼板等の表面
に、Fe酸化物、Ni酸化物および金属Niからなる皮
膜を形成させる場合には、その形成方法の如何を問わ
ず、不可避的にNi水酸化物が上記皮膜に随伴して形成
されるからである。なお、図1はFe−Ni−O系皮膜
が両表面に形成されている場合を示したが、その用途に
応じ片面だけにその皮膜が形成された亜鉛系メッキ鋼板
でもよい。
キ層22の表面に、Fe酸化物、Ni酸化物、Ni水酸
化物および金属NiからなるFe−Ni−O系皮膜23
が形成され、このFe−Ni−O系皮膜23の内の表層
部に適正な厚さのFe酸化物、Ni酸化物およびNi水
酸化物からなる酸化物系層24が存在すると、プレス成
形性および接着性が向上する。ここで、Fe−Ni−O
系皮膜23とは、前述したように、Fe酸化物、Ni酸
化物および金属Niのみならず、Ni水酸化物をも含む
ものであるとした理由は、亜鉛系メッキ鋼板等の表面
に、Fe酸化物、Ni酸化物および金属Niからなる皮
膜を形成させる場合には、その形成方法の如何を問わ
ず、不可避的にNi水酸化物が上記皮膜に随伴して形成
されるからである。なお、図1はFe−Ni−O系皮膜
が両表面に形成されている場合を示したが、その用途に
応じ片面だけにその皮膜が形成された亜鉛系メッキ鋼板
でもよい。
【0021】この発明におけるFe−Ni−O系皮膜
は、Fe−Ni−O系皮膜内に、下層の亜鉛系メッキ層
に不可避的に含有される成分元素、即ち、Zn、Co、
Mn、Mo、Al、Ti、Si、W、Sn、Pb、Nb
およびTa等の成分元素が、酸化物、水酸化物および/
または金属単体の形態で取り込まれていてもよい。この
ような場合でも、上述したFe−Ni−O系皮膜の効果
は奏されるからである。
は、Fe−Ni−O系皮膜内に、下層の亜鉛系メッキ層
に不可避的に含有される成分元素、即ち、Zn、Co、
Mn、Mo、Al、Ti、Si、W、Sn、Pb、Nb
およびTa等の成分元素が、酸化物、水酸化物および/
または金属単体の形態で取り込まれていてもよい。この
ような場合でも、上述したFe−Ni−O系皮膜の効果
は奏されるからである。
【0022】しかしながら、このFe−Ni−O系皮膜
の内の表層部の酸化物系層の厚さが、0.5nm未満で
は、上記酸化物系層の表面に部分的に金属Niが存在す
るようになり、接着性向上の効果が認められない。一
方、皮膜の厚さが、5nmを超えて厚くなると、その酸
化物系層の凝集破壊が生じるため、プレス成形性の向上
効果が得られず、更に、リン酸塩結晶の生成が抑制され
て、化成処理性も劣化する。従って、亜鉛系メッキ鋼板
のメッキ層の表面に形成させるFe−Ni−O系皮膜の
内の表層部の酸化物系層の厚さを、0.5〜5nmの範
囲内に限定すべきである。
の内の表層部の酸化物系層の厚さが、0.5nm未満で
は、上記酸化物系層の表面に部分的に金属Niが存在す
るようになり、接着性向上の効果が認められない。一
方、皮膜の厚さが、5nmを超えて厚くなると、その酸
化物系層の凝集破壊が生じるため、プレス成形性の向上
効果が得られず、更に、リン酸塩結晶の生成が抑制され
て、化成処理性も劣化する。従って、亜鉛系メッキ鋼板
のメッキ層の表面に形成させるFe−Ni−O系皮膜の
内の表層部の酸化物系層の厚さを、0.5〜5nmの範
囲内に限定すべきである。
【0023】更に、このFe−Ni−O系皮膜中にFe
酸化物が含まれることにより皮膜の接着性の改善効果が
顕れる。しかしながら、Fe−Ni−O系皮膜中のFe
含有量(wt.%)とNi含有量(wt.%)との和に
対するFe含有量(wt.%)の比率(以下、「皮膜中
Fe/(Fe+Ni)」という)が0.004未満で
は、接着性の改善に寄与するFe酸化物の量が少な過ぎ
るために接着性改善の効果がない。一方、皮膜中Fe/
(Fe+Ni)が0.9を超えると、Ni含有量が減少
するためにスポット溶接性が劣化する。従って、Fe−
Ni−O系皮膜中のFe/(Fe+Ni)を、0.00
4〜0.9の範囲内にすべきである。
酸化物が含まれることにより皮膜の接着性の改善効果が
顕れる。しかしながら、Fe−Ni−O系皮膜中のFe
含有量(wt.%)とNi含有量(wt.%)との和に
対するFe含有量(wt.%)の比率(以下、「皮膜中
Fe/(Fe+Ni)」という)が0.004未満で
は、接着性の改善に寄与するFe酸化物の量が少な過ぎ
るために接着性改善の効果がない。一方、皮膜中Fe/
(Fe+Ni)が0.9を超えると、Ni含有量が減少
するためにスポット溶接性が劣化する。従って、Fe−
Ni−O系皮膜中のFe/(Fe+Ni)を、0.00
4〜0.9の範囲内にすべきである。
【0024】上述したように、表面に、Fe−Ni−O
系皮膜が形成され、この皮膜の内の表層部に厚さ0.5
〜5nmの範囲内の酸化物系層が形成されることによ
り、亜鉛系メッキ鋼板のプレス成形性および接着性が向
上するが、更に望ましくは、Fe−Ni−O系皮膜の付
着量を、皮膜中金属の合計量換算で10mg/m2 以上
にすることにより、プレス成形性および接着性が一層向
上し、且つ、スポット溶接性が確保される。一方、その
付着量が、前記合計量換算で1500mg/m2超で
は、亜鉛系メッキ鋼板のプレス成形性および接着性が飽
和し、且つ、化成処理時にリン酸塩結晶の生成が抑制さ
れて化成処理性が劣化するので、Fe−Ni−O系皮膜
の付着量の、皮膜中金属の合計量換算で1500mg/
m2 以下にすることが望ましい。
系皮膜が形成され、この皮膜の内の表層部に厚さ0.5
〜5nmの範囲内の酸化物系層が形成されることによ
り、亜鉛系メッキ鋼板のプレス成形性および接着性が向
上するが、更に望ましくは、Fe−Ni−O系皮膜の付
着量を、皮膜中金属の合計量換算で10mg/m2 以上
にすることにより、プレス成形性および接着性が一層向
上し、且つ、スポット溶接性が確保される。一方、その
付着量が、前記合計量換算で1500mg/m2超で
は、亜鉛系メッキ鋼板のプレス成形性および接着性が飽
和し、且つ、化成処理時にリン酸塩結晶の生成が抑制さ
れて化成処理性が劣化するので、Fe−Ni−O系皮膜
の付着量の、皮膜中金属の合計量換算で1500mg/
m2 以下にすることが望ましい。
【0025】この発明のFe−Ni−O系皮膜の形成方
法は、特に限定されるものではなく、所定の化学成分組
成を有する水溶液を用いる置換メッキ、酸化剤含有の水
溶液への浸漬による方法、酸化剤含有の水溶液中での陰
極電解処理および陽極電解処理、所定の水溶液の吹付
け、ロール塗布等、並びに、レーザーCVD、光CV
D、真空蒸着およびスパッタ蒸着法等の気相メッキ法を
採用することができる。
法は、特に限定されるものではなく、所定の化学成分組
成を有する水溶液を用いる置換メッキ、酸化剤含有の水
溶液への浸漬による方法、酸化剤含有の水溶液中での陰
極電解処理および陽極電解処理、所定の水溶液の吹付
け、ロール塗布等、並びに、レーザーCVD、光CV
D、真空蒸着およびスパッタ蒸着法等の気相メッキ法を
採用することができる。
【0026】本発明者らは、この発明のFe−Ni−O
系皮膜を形成させるための下記方法を完成させた。即
ち、NiイオンおよびFeイオンの総量イオン濃度が
0.1mol/l以上、温度が40〜70℃、pH2.
0〜4.0の塩酸性水溶液に、5〜50秒間浸漬する。
系皮膜を形成させるための下記方法を完成させた。即
ち、NiイオンおよびFeイオンの総量イオン濃度が
0.1mol/l以上、温度が40〜70℃、pH2.
0〜4.0の塩酸性水溶液に、5〜50秒間浸漬する。
【0027】なお、上述した各種方法により形成させた
Fe−Ni−O系皮膜の内の表層部の酸化物系層の厚
さ、並びに、Fe−Ni−O系皮膜の化学成分組成およ
び電子状態を測定するための方法は特に限定されず、例
えば、下記方法が挙げられる。即ち、Arイオンスパッ
タリングと組み合わせたX線光電子分光法(XPS)に
より、被検体の表面から深さ方向分析を行なう方法、角
度分解XPSにより被検体の表面から深さ方向分析を行
なう方法、シンクロトロン放射光(SOR)により入射
X線のエネルギーを変えXPSを用いて被検体の表面か
ら深さ方向分析を行なう方法、オージェ電子分光法(A
ES)または2次イオン質量分析法(SIMS)など
で、被検体の表面から深さ方向分析を行なう方法などが
挙げられる。
Fe−Ni−O系皮膜の内の表層部の酸化物系層の厚
さ、並びに、Fe−Ni−O系皮膜の化学成分組成およ
び電子状態を測定するための方法は特に限定されず、例
えば、下記方法が挙げられる。即ち、Arイオンスパッ
タリングと組み合わせたX線光電子分光法(XPS)に
より、被検体の表面から深さ方向分析を行なう方法、角
度分解XPSにより被検体の表面から深さ方向分析を行
なう方法、シンクロトロン放射光(SOR)により入射
X線のエネルギーを変えXPSを用いて被検体の表面か
ら深さ方向分析を行なう方法、オージェ電子分光法(A
ES)または2次イオン質量分析法(SIMS)など
で、被検体の表面から深さ方向分析を行なう方法などが
挙げられる。
【0028】例えば、Arイオンスパッタリングと組み
合わせられたXPSで測定する場合、所定の深さまでス
パッタした後、被測定各元素のスペクトル強度から相対
感度因子補正により、その深さでの組成を求めることが
できる。この分析を表面から繰り返すことにより、メッ
キ皮膜中の深さ方向に対する組成分布を測定することが
できる。この測定法において、水酸化物または酸化物と
してのNiは、ある深さで最大濃度となった後、減少し
一定となる。水酸化物または酸化物としてのNi濃度
が、最大濃度より深い位置で、最大濃度と一定濃度との
和の1/2となる深さを、Fe−Ni−O系皮膜の内の
表層部の酸化物系層の厚さとする。
合わせられたXPSで測定する場合、所定の深さまでス
パッタした後、被測定各元素のスペクトル強度から相対
感度因子補正により、その深さでの組成を求めることが
できる。この分析を表面から繰り返すことにより、メッ
キ皮膜中の深さ方向に対する組成分布を測定することが
できる。この測定法において、水酸化物または酸化物と
してのNiは、ある深さで最大濃度となった後、減少し
一定となる。水酸化物または酸化物としてのNi濃度
が、最大濃度より深い位置で、最大濃度と一定濃度との
和の1/2となる深さを、Fe−Ni−O系皮膜の内の
表層部の酸化物系層の厚さとする。
【0029】本発明において用いられる亜鉛系メッキ鋼
板とは、母材である鋼板上に溶融メッキ法、電気メッキ
法、または気相メッキ法等の方法でメッキ層を形成させ
た鋼板であり、また、亜鉛系メッキ層の化学成分組成
は、純亜鉛のほか、Co、Ni、Fe、Mn、Mo、A
l、Ti、Si、W、Sn、Pb、NbおよびTa等の
金属もしくは酸化物、または、有機物等の内、一種また
は二種以上を所定量含有する単層または複層のメッキ層
からなるものであればよい。また、前記メッキ層にSi
O2 、Al2 O3 等の微粒子を含有してもよい。その
他、亜鉛系メッキ鋼板として、メッキ層の成分元素は同
じであって組成の異なる複数の層からなる複層メッキ鋼
板や、メッキ層の構成元素は同じであってメッキ層の厚
さ方向に組成を変化させた機能傾斜メッキ鋼板を使用す
ることも可能である。
板とは、母材である鋼板上に溶融メッキ法、電気メッキ
法、または気相メッキ法等の方法でメッキ層を形成させ
た鋼板であり、また、亜鉛系メッキ層の化学成分組成
は、純亜鉛のほか、Co、Ni、Fe、Mn、Mo、A
l、Ti、Si、W、Sn、Pb、NbおよびTa等の
金属もしくは酸化物、または、有機物等の内、一種また
は二種以上を所定量含有する単層または複層のメッキ層
からなるものであればよい。また、前記メッキ層にSi
O2 、Al2 O3 等の微粒子を含有してもよい。その
他、亜鉛系メッキ鋼板として、メッキ層の成分元素は同
じであって組成の異なる複数の層からなる複層メッキ鋼
板や、メッキ層の構成元素は同じであってメッキ層の厚
さ方向に組成を変化させた機能傾斜メッキ鋼板を使用す
ることも可能である。
【0030】上述したFe−Ni−O系皮膜は、亜鉛系
メッキ鋼板の少なくとも1方の面のメッキ層表面に形成
されているので、車体製造工程のどのような工程におい
て、どのような車体部分に使用される鋼板であるかに応
じて、その皮膜を1方の面あるいは両面に形成されたも
のを適宜選択することができる。
メッキ鋼板の少なくとも1方の面のメッキ層表面に形成
されているので、車体製造工程のどのような工程におい
て、どのような車体部分に使用される鋼板であるかに応
じて、その皮膜を1方の面あるいは両面に形成されたも
のを適宜選択することができる。
【0031】
【実施例】次に、本発明を実施例により更に詳細に説明
する。先ず、Fe−Ni−O系皮膜を形成処理する前の
亜鉛系メッキ鋼板(以下、原板という)を調製した。調
製された原板は、下記7つのメッキ種を施されたものか
らなり、メッキの方法、メッキ組成およびメッキ付着量
に応じて下記の記号を付した。
する。先ず、Fe−Ni−O系皮膜を形成処理する前の
亜鉛系メッキ鋼板(以下、原板という)を調製した。調
製された原板は、下記7つのメッキ種を施されたものか
らなり、メッキの方法、メッキ組成およびメッキ付着量
に応じて下記の記号を付した。
【0032】GA:合金化溶融亜鉛メッキ鋼板(10w
t.%Fe、残部Zn)であり、付着量は両面共に60
g/m2 である。 GI:溶融亜鉛メッキ鋼板であり、付着量は両面共に9
0g/m2 である。 EG:電気亜鉛メッキ鋼板であり付着量は両面共に40
g/m2 である。 Zn−Fe:電気Zn−Fe合金メッキ鋼板(15w
t.%Fe)であり、付着量は両面共に40g/m2 で
ある。 Zn−Ni:電気Zn−Ni合金メッキ鋼板(12w
t.%Ni)であり、付着量は両面共に30g/m2 で
ある。 Zn−Cr:電気Zn−Cr合金メッキ鋼板(4wt.
%Cr)であり、付着量は両面共に20g/m2 であ
る。 Zn−Al:溶融Zn−Al合金メッキ鋼板(5wt.
%Al)であり、付着量は両面共に60g/m2 であ
る。
t.%Fe、残部Zn)であり、付着量は両面共に60
g/m2 である。 GI:溶融亜鉛メッキ鋼板であり、付着量は両面共に9
0g/m2 である。 EG:電気亜鉛メッキ鋼板であり付着量は両面共に40
g/m2 である。 Zn−Fe:電気Zn−Fe合金メッキ鋼板(15w
t.%Fe)であり、付着量は両面共に40g/m2 で
ある。 Zn−Ni:電気Zn−Ni合金メッキ鋼板(12w
t.%Ni)であり、付着量は両面共に30g/m2 で
ある。 Zn−Cr:電気Zn−Cr合金メッキ鋼板(4wt.
%Cr)であり、付着量は両面共に20g/m2 であ
る。 Zn−Al:溶融Zn−Al合金メッキ鋼板(5wt.
%Al)であり、付着量は両面共に60g/m2 であ
る。
【0033】このように調製された亜鉛系メッキ鋼板の
メッキ層の表面に、Fe−Ni−O系皮膜を次の方法で
形成させた。即ち、NiイオンおよびFeイオンを含有
し、NiイオンとFeイオンとの総量イオン濃度が0.
5〜2.0mol/lの範囲内にあり、pHが2.5、
且つ、液温が50〜60℃の範囲内にある塩酸性水溶液
中に、上記7メッキ種により調製された亜鉛系メッキ鋼
板を浸漬した。浸漬時間を5〜20秒の範囲内で各種時
間に変化させることにより、Fe−Ni−O系皮膜の付
着量を所定値に変化させた。また、Fe−Ni−O系皮
膜の内の表層部の酸化物系層の厚さを調整するため、水
溶液中に、過酸化水素などの酸化剤を添加し、上記亜鉛
系メッキ鋼板のメッキ層の表面に、所定のFe−Ni−
O系皮膜を形成させた。
メッキ層の表面に、Fe−Ni−O系皮膜を次の方法で
形成させた。即ち、NiイオンおよびFeイオンを含有
し、NiイオンとFeイオンとの総量イオン濃度が0.
5〜2.0mol/lの範囲内にあり、pHが2.5、
且つ、液温が50〜60℃の範囲内にある塩酸性水溶液
中に、上記7メッキ種により調製された亜鉛系メッキ鋼
板を浸漬した。浸漬時間を5〜20秒の範囲内で各種時
間に変化させることにより、Fe−Ni−O系皮膜の付
着量を所定値に変化させた。また、Fe−Ni−O系皮
膜の内の表層部の酸化物系層の厚さを調整するため、水
溶液中に、過酸化水素などの酸化剤を添加し、上記亜鉛
系メッキ鋼板のメッキ層の表面に、所定のFe−Ni−
O系皮膜を形成させた。
【0034】このようにして得られた各亜鉛系メッキ鋼
板について、Fe−Ni−O系皮膜の内の表層の酸化物
系層の厚さおよびその付着量を測定した。表1および表
2に、本発明の範囲内の亜鉛系メッキ鋼板(以下、「本
発明供試体」という)No.1〜45についての、また、
表3に、本発明の範囲外の亜鉛系メッキ鋼板(以下「比
較用供試体」という)No.1〜16についての測定結果
を示す。
板について、Fe−Ni−O系皮膜の内の表層の酸化物
系層の厚さおよびその付着量を測定した。表1および表
2に、本発明の範囲内の亜鉛系メッキ鋼板(以下、「本
発明供試体」という)No.1〜45についての、また、
表3に、本発明の範囲外の亜鉛系メッキ鋼板(以下「比
較用供試体」という)No.1〜16についての測定結果
を示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】なお、Fe−Ni−O系皮膜の内の表層部
の酸化物系層の厚さ、および、Fe−Ni−O系皮膜の
付着量は下記の方法で測定した。 〔Fe−Ni−O系皮膜の内の表層部の酸化物系層の厚
さの測定方法〕前述したArイオンスパッタリングとX
PSとの組み合わせにより測定した。供試体表面所定の
深さまでArイオンスパッタした後、XPSによりFe
−Ni−O系皮膜中各元素の測定を表面から繰り返すこ
とによって、Fe−Ni−O系皮膜中の深さ方向に対す
る各元素の組成分布を測定した。特に、FeおよびNi
については、Fe2p電子およびNi2p電子のXPS
スペクトルの結合エネルギ−の違いから、Ni水酸化物
を含んだNi酸化物と、金属Niとの状態を区別し、深
さ方向に対する各状態のNi組成分布を測定した。ここ
で、相対感度因子補正によってNi酸化物の組成を求め
た。但し、Ni水酸化物を含んだNi酸化物と、金属N
iとの相対感度因子は同じであるとした。この測定法に
おいて、水酸化物または酸化物としてのNiは、ある深
さで最大濃度となった後、減少し一定となる。水酸化物
または酸化物としてのNi濃度が、最大濃度より深い位
置で、最大濃度と一定濃度との和の1/2となる深さ
を、Fe−Ni−O系皮膜の内の表層部の酸化物系層の
厚さとした。なお、スパッタ速度の標準試料には、Ta
2 O5 を用いた。そのスパッタ速度は6nm/minで
あった。
の酸化物系層の厚さ、および、Fe−Ni−O系皮膜の
付着量は下記の方法で測定した。 〔Fe−Ni−O系皮膜の内の表層部の酸化物系層の厚
さの測定方法〕前述したArイオンスパッタリングとX
PSとの組み合わせにより測定した。供試体表面所定の
深さまでArイオンスパッタした後、XPSによりFe
−Ni−O系皮膜中各元素の測定を表面から繰り返すこ
とによって、Fe−Ni−O系皮膜中の深さ方向に対す
る各元素の組成分布を測定した。特に、FeおよびNi
については、Fe2p電子およびNi2p電子のXPS
スペクトルの結合エネルギ−の違いから、Ni水酸化物
を含んだNi酸化物と、金属Niとの状態を区別し、深
さ方向に対する各状態のNi組成分布を測定した。ここ
で、相対感度因子補正によってNi酸化物の組成を求め
た。但し、Ni水酸化物を含んだNi酸化物と、金属N
iとの相対感度因子は同じであるとした。この測定法に
おいて、水酸化物または酸化物としてのNiは、ある深
さで最大濃度となった後、減少し一定となる。水酸化物
または酸化物としてのNi濃度が、最大濃度より深い位
置で、最大濃度と一定濃度との和の1/2となる深さ
を、Fe−Ni−O系皮膜の内の表層部の酸化物系層の
厚さとした。なお、スパッタ速度の標準試料には、Ta
2 O5 を用いた。そのスパッタ速度は6nm/minで
あった。
【0039】更に、最表層に存在する上記酸化物系層に
よる、当該酸化物系層よりも下層部分に存在する金属N
iから発生した光電子の吸収量の、入射X線のエネルギ
−に対する依存性に基づき、上記酸化物系層の厚さの確
認も行なった。
よる、当該酸化物系層よりも下層部分に存在する金属N
iから発生した光電子の吸収量の、入射X線のエネルギ
−に対する依存性に基づき、上記酸化物系層の厚さの確
認も行なった。
【0040】上述した各供試体No.1〜45、および、
比較用供試体No.1〜16のプレス成形性および接着
性、並びに、スポット溶接性および化成処理性について
評価試験を行ない、表1〜3に試験結果を併記した。
比較用供試体No.1〜16のプレス成形性および接着
性、並びに、スポット溶接性および化成処理性について
評価試験を行ない、表1〜3に試験結果を併記した。
【0041】プレス成形性は、供試体とプレス機のビー
ドとの摩擦係数で、接着性は、剥離強度で評価した。な
お、スポット溶接性および化成処理性の評価も、それぞ
れ、連続打点数およびリン酸亜鉛皮膜結晶の形成状態で
評価した。各評価試験方法は下記の通りである。
ドとの摩擦係数で、接着性は、剥離強度で評価した。な
お、スポット溶接性および化成処理性の評価も、それぞ
れ、連続打点数およびリン酸亜鉛皮膜結晶の形成状態で
評価した。各評価試験方法は下記の通りである。
【0042】〔摩擦係数測定試験〕プレス成形性を評価
するために、各供試体の摩擦係数を、下記装置により測
定した。図2は、摩擦係数測定装置を示す概略正面図で
ある。同図に示すように、供試体から採取した摩擦係数
測定用の試料1が試料台2に固定され、試料台2は、水
平移動可能なスライドテ−ブル3の上面に固定されてい
る。スライドテ−ブル3の下面には、これに接したロ−
ラ4を有する上下動可能なスライドテ−ブル支持台5が
設けられ、これを押上げることにより、ビ−ド6による
摩擦係数測定用の試料1への押付荷重Nを測定するため
の第1ロ−ドセル7が,スライドテ−ブル支持台5に取
付けられている。上記押付力を作用させた状態で、スラ
イドテ−ブル3の水平移動方向の一方の端部には、スラ
イドテ−ブル3を水平方向へ移動させるための摺動抵抗
力Fを測定するための第2ロ−ドセル8が、スライドテ
−ブル3の一方の端部に取付けられている。なお、潤滑
油として、日本パーカライジング社製ノックスラスト5
50HNを、試料1の表面に塗布して試験を行なった。
するために、各供試体の摩擦係数を、下記装置により測
定した。図2は、摩擦係数測定装置を示す概略正面図で
ある。同図に示すように、供試体から採取した摩擦係数
測定用の試料1が試料台2に固定され、試料台2は、水
平移動可能なスライドテ−ブル3の上面に固定されてい
る。スライドテ−ブル3の下面には、これに接したロ−
ラ4を有する上下動可能なスライドテ−ブル支持台5が
設けられ、これを押上げることにより、ビ−ド6による
摩擦係数測定用の試料1への押付荷重Nを測定するため
の第1ロ−ドセル7が,スライドテ−ブル支持台5に取
付けられている。上記押付力を作用させた状態で、スラ
イドテ−ブル3の水平移動方向の一方の端部には、スラ
イドテ−ブル3を水平方向へ移動させるための摺動抵抗
力Fを測定するための第2ロ−ドセル8が、スライドテ
−ブル3の一方の端部に取付けられている。なお、潤滑
油として、日本パーカライジング社製ノックスラスト5
50HNを、試料1の表面に塗布して試験を行なった。
【0043】供試体とビ−ドとの間の摩擦係数μは、
式:μ=F/Nで算出した。但し、押付荷重N:400
kgf、試料の引き抜き速度(スライドテ−ブル3の水
平移動速度):100cm/minとした。
式:μ=F/Nで算出した。但し、押付荷重N:400
kgf、試料の引き抜き速度(スライドテ−ブル3の水
平移動速度):100cm/minとした。
【0044】図3は、使用したビ−ドの形状・寸法を示
す概略斜視図である。ビ−ド6の下面が試料1の表面に
押しつけられた状態で摺動する。その下面形状は、幅1
0mm、摺動方向長さ3mmの平面を有し、その前後面
の幅10mmの各々の線に4.5mmRをもつ筒面の1
/4筒面が同図のように接している。
す概略斜視図である。ビ−ド6の下面が試料1の表面に
押しつけられた状態で摺動する。その下面形状は、幅1
0mm、摺動方向長さ3mmの平面を有し、その前後面
の幅10mmの各々の線に4.5mmRをもつ筒面の1
/4筒面が同図のように接している。
【0045】〔接着性試験〕各供試体から次の接着性試
験用試験体を調製した。図4は、その組み立て過程を説
明する概略斜視図である。同図に示すように、幅25m
m、長さ200mmの2枚の供試体10を、その間に直
径0.15mmのスペーサー11を介して、接着剤12
の厚さが0.15mmになるように重ね合わせて接着し
た試験体13を作成し、150°C×10minの焼き
付けを行なう。このようにして調製された前記試験体を
図5に示すようにT型に折り曲げ、引張試験機を用いて
200mm/minの速度で引張試験をし、試験体が剥
離した時の平均剥離強度(n=3回)を測定した。剥離
強度は、剥離時の引張荷重曲線の荷重チャ−トから、平
均荷重を求め、単位:kgf/25mmで表わした。図
5中、Pは引張荷重を示す。なお接着剤は塩ビ系のヘミ
ング用アドヒシブを用いた。剥離強度が12kgf/2
5mm以上のものが接着性が良好である。
験用試験体を調製した。図4は、その組み立て過程を説
明する概略斜視図である。同図に示すように、幅25m
m、長さ200mmの2枚の供試体10を、その間に直
径0.15mmのスペーサー11を介して、接着剤12
の厚さが0.15mmになるように重ね合わせて接着し
た試験体13を作成し、150°C×10minの焼き
付けを行なう。このようにして調製された前記試験体を
図5に示すようにT型に折り曲げ、引張試験機を用いて
200mm/minの速度で引張試験をし、試験体が剥
離した時の平均剥離強度(n=3回)を測定した。剥離
強度は、剥離時の引張荷重曲線の荷重チャ−トから、平
均荷重を求め、単位:kgf/25mmで表わした。図
5中、Pは引張荷重を示す。なお接着剤は塩ビ系のヘミ
ング用アドヒシブを用いた。剥離強度が12kgf/2
5mm以上のものが接着性が良好である。
【0046】〔連続打点性試験〕スポット溶接性を評価
するために、各供試体について連続打点性試験を行なっ
た。同じNO.の供試体を2枚重ね、それを両面から1対
の電極チップで挟み、加圧通電して電流を集中させた抵
抗溶接(スポット溶接)を、下記溶接条件で連続的に実
施した。 ・電極チップ:先端径6mmのド−ム型、 ・加圧力:250kgf ・溶接時間:12サイクル ・溶接電流:11.0KA ・溶接速度:1点/sec 連続打点性の評価としては、スポット溶接時に、2枚重
ねた溶接母材(供試体)の接合部に生じた溶融凝固した
金属部(形状:碁石状、以下、ナゲットという)の径
が、4×t1/2 (t:1枚の板厚)未満になるまでに連
続打点溶接した打点数を用いた。なお、上記打点数を電
極寿命とし、電極寿命が5000点以上の場合は◎、5
000未満3000点以上の場合は○、3000未満1
500点以上の場合は△、1500点未満の場合は×で
示した。
するために、各供試体について連続打点性試験を行なっ
た。同じNO.の供試体を2枚重ね、それを両面から1対
の電極チップで挟み、加圧通電して電流を集中させた抵
抗溶接(スポット溶接)を、下記溶接条件で連続的に実
施した。 ・電極チップ:先端径6mmのド−ム型、 ・加圧力:250kgf ・溶接時間:12サイクル ・溶接電流:11.0KA ・溶接速度:1点/sec 連続打点性の評価としては、スポット溶接時に、2枚重
ねた溶接母材(供試体)の接合部に生じた溶融凝固した
金属部(形状:碁石状、以下、ナゲットという)の径
が、4×t1/2 (t:1枚の板厚)未満になるまでに連
続打点溶接した打点数を用いた。なお、上記打点数を電
極寿命とし、電極寿命が5000点以上の場合は◎、5
000未満3000点以上の場合は○、3000未満1
500点以上の場合は△、1500点未満の場合は×で
示した。
【0047】〔化成処理性〕化成処理性を評価するため
に、次の試験を行なった。各供試体を、自動車塗装下地
用の浸漬型リン酸亜鉛処理液(日本パ−カライジング社
製PBL3080)で通常の条件で処理し、その表面に
リン酸亜鉛皮膜を形成させた。このようにして形成され
たリン燐酸亜鉛皮膜の結晶状態を走査型電子顕微鏡(S
EM)により観察した。その結果、リン酸亜鉛皮膜が正
常に形成されているものを○、リン酸亜鉛皮膜が形成さ
れていないか、あるいは結晶にスケが発生しているもの
を×で表わした。
に、次の試験を行なった。各供試体を、自動車塗装下地
用の浸漬型リン酸亜鉛処理液(日本パ−カライジング社
製PBL3080)で通常の条件で処理し、その表面に
リン酸亜鉛皮膜を形成させた。このようにして形成され
たリン燐酸亜鉛皮膜の結晶状態を走査型電子顕微鏡(S
EM)により観察した。その結果、リン酸亜鉛皮膜が正
常に形成されているものを○、リン酸亜鉛皮膜が形成さ
れていないか、あるいは結晶にスケが発生しているもの
を×で表わした。
【0048】表1〜3に示した試験結果から下記事項が
わかる。本発明の範囲外にある比較用供試体について、 Fe−Ni−O系皮膜が形成されていないものは、
そのメッキ種が、記号:GA、GI、EG、Zn−F
e、Zn−Ni、Zn−CrまたはZn−Alのいずれ
で表わされる場合であっても、プレス成形性および/ま
たは接着性において劣っている(比較用供試体NO.1〜
7参照)。 皮膜中Fe/(Fe+Ni)は、本発明の範囲内に
あるが、Fe−Ni−O系皮膜の内の表層部の酸化物系
層が本発明の範囲を超えて厚いもの(比較用供試体No.
11および15)は、プレス成形性に劣っている。 皮膜中Fe/(Fe+Ni)は、本発明の範囲内に
あるが、Fe−Ni−O系皮膜の内の表層部の酸化物系
層が本発明の範囲外に薄いもの(比較用供試体No.10
および14は、プレス成形性および接着性共に劣ってい
る。 Fe−Ni−O系皮膜の内の表層部の酸化物系層の
厚さは本発明の範囲内にあるが、皮膜中Fe/(Fe+
Ni)が本発明の範囲外に小さいもの(比較用供試体N
o.8および12)は、接着性に劣っている。 皮膜中Fe/(Fe+Ni)およびFe−Ni−O
系皮膜の内の表層部の酸化物系層の厚さ共に、本発明の
範囲を超えて大きいもの(比較用供試体No.9、13お
よび16)は、プレス成形性に劣っている。
わかる。本発明の範囲外にある比較用供試体について、 Fe−Ni−O系皮膜が形成されていないものは、
そのメッキ種が、記号:GA、GI、EG、Zn−F
e、Zn−Ni、Zn−CrまたはZn−Alのいずれ
で表わされる場合であっても、プレス成形性および/ま
たは接着性において劣っている(比較用供試体NO.1〜
7参照)。 皮膜中Fe/(Fe+Ni)は、本発明の範囲内に
あるが、Fe−Ni−O系皮膜の内の表層部の酸化物系
層が本発明の範囲を超えて厚いもの(比較用供試体No.
11および15)は、プレス成形性に劣っている。 皮膜中Fe/(Fe+Ni)は、本発明の範囲内に
あるが、Fe−Ni−O系皮膜の内の表層部の酸化物系
層が本発明の範囲外に薄いもの(比較用供試体No.10
および14は、プレス成形性および接着性共に劣ってい
る。 Fe−Ni−O系皮膜の内の表層部の酸化物系層の
厚さは本発明の範囲内にあるが、皮膜中Fe/(Fe+
Ni)が本発明の範囲外に小さいもの(比較用供試体N
o.8および12)は、接着性に劣っている。 皮膜中Fe/(Fe+Ni)およびFe−Ni−O
系皮膜の内の表層部の酸化物系層の厚さ共に、本発明の
範囲を超えて大きいもの(比較用供試体No.9、13お
よび16)は、プレス成形性に劣っている。
【0049】これに対して、本発明の範囲内にある本発
明供試体No.1〜45については、亜鉛系メッキ種が、
記号:GA、GI、EG、ZnFe、ZnNi、ZnC
rまたはZnAlのいずれで表わされるメッキ種であっ
ても、プレス成形性および接着性おいて優れている。
明供試体No.1〜45については、亜鉛系メッキ種が、
記号:GA、GI、EG、ZnFe、ZnNi、ZnC
rまたはZnAlのいずれで表わされるメッキ種であっ
ても、プレス成形性および接着性おいて優れている。
【0050】
【発明の効果】本発明は、以上のように構成したので、
亜鉛系メッキ鋼板のメッキ層の表面に形成されたFe−
Ni−O系皮膜が、亜鉛または亜鉛合金メッキ層より硬
質で、且つ、高融点であるために、亜鉛系メッキ鋼板の
プレス成形時におけるメッキ層表面とプレス金型との摺
動抵抗が低下し、亜鉛系メッキ鋼板がプレス金型へ滑り
込み易くなる。更に、上記Fe−Ni−O系皮膜によ
り、接着板の剥離強度が向上する。かくして、プレス成
形性および接着性に優れた亜鉛系メッキ鋼板を提供する
ことができる、工業上有用な効果がもたらされる。
亜鉛系メッキ鋼板のメッキ層の表面に形成されたFe−
Ni−O系皮膜が、亜鉛または亜鉛合金メッキ層より硬
質で、且つ、高融点であるために、亜鉛系メッキ鋼板の
プレス成形時におけるメッキ層表面とプレス金型との摺
動抵抗が低下し、亜鉛系メッキ鋼板がプレス金型へ滑り
込み易くなる。更に、上記Fe−Ni−O系皮膜によ
り、接着板の剥離強度が向上する。かくして、プレス成
形性および接着性に優れた亜鉛系メッキ鋼板を提供する
ことができる、工業上有用な効果がもたらされる。
【図1】この発明の亜鉛系メッキ鋼板の、表面に直角方
向断面の構造を示す図である。
向断面の構造を示す図である。
【図2】摩擦係数測定装置を示す概略正面図である。
【図3】図1中のビ−ドの形状・寸法を示す概略斜視図
である。
である。
【図4】接着性試験用試験体の組み立て過程を説明する
概略斜視図である。
概略斜視図である。
【図5】接着性試験における剥離強度測定時の引張荷重
の負荷を説明する概略斜視図である。
の負荷を説明する概略斜視図である。
【符号の説明】 1 試料、 2 試料台、 3 スライドテ−ブル、 4 ロ−ラ、 5 スライドテ−ブル支持台、 6 ビ−ド、 7 第1ロ−ドセル、 8 第2ロ−ドセル、 9 レ−ル、 10 供試体、 11 スペ−サ−、 12 接着剤、 13 接着試験用試験体、 21 鋼板 22 亜鉛系メッキ層 23 Fe−Ni−O系皮膜 24 酸化物系層 P 引張荷重、 F 摺動抵抗力。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 稲垣 淳一 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 山下 正明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 平10−259468(JP,A) 特開 平10−259467(JP,A) 国際公開96/10103(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 2/00 - 2/40 C23C 22/00 - 22/86 C23C 28/00 - 30/00 C25D 3/00 - 7/12
Claims (1)
- 【請求項1】 少なくとも1方の面のメッキ層表面に、
Fe酸化物、Ni酸化物、Ni水酸化物および金属Ni
を含有してなるFe−Ni−O系皮膜が形成された亜鉛
系メッキ鋼板であって、前記Fe−Ni−O系皮膜の内
の表層部はFe酸化物、Ni酸化物およびNi水酸化物
からなる酸化物系層で構成され、前記酸化物系層の厚さ
が、0.5〜5nmの範囲内にあり、且つ、前記Fe−
Ni−O系皮膜中のFe含有量(wt.%)とNi含有
量(wt.%)との和に対するFe含有量(wt.%)
の比率が、0.004〜0.9の範囲内にあることを特
徴とする、プレス成形性および接着性に優れた亜鉛系メ
ッキ鋼板。
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Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7-269919 | 1995-10-18 | ||
JP26991995 | 1995-10-18 | ||
JP08275002A JP3111910B2 (ja) | 1995-10-18 | 1996-10-17 | プレス成形性および接着性に優れた亜鉛系メッキ鋼板 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09170087A JPH09170087A (ja) | 1997-06-30 |
JP3111910B2 true JP3111910B2 (ja) | 2000-11-27 |
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ID=26548986
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JP08275002A Expired - Fee Related JP3111910B2 (ja) | 1995-10-18 | 1996-10-17 | プレス成形性および接着性に優れた亜鉛系メッキ鋼板 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP3111910B2 (ja) |
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JP6203924B2 (ja) * | 2016-10-05 | 2017-09-27 | 日新製鋼株式会社 | 前処理Zn系めっき鋼板、および塗装Zn系めっき鋼板 |
-
1996
- 1996-10-17 JP JP08275002A patent/JP3111910B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
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JPH09170087A (ja) | 1997-06-30 |
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