JP6203924B2 - 前処理Zn系めっき鋼板、および塗装Zn系めっき鋼板 - Google Patents
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[1]Zn系めっき鋼板と、前記Zn系めっき鋼板の表面に、金属Niおよび水酸化Niを含むNi含有層と、前記Ni含有層の上に形成された、シランカップリング剤および有機樹脂を含有する皮膜と、を有し、前記Zn系めっき鋼板の表面の前記金属NiおよびNi化合物の合計付着量は、Ni換算で0.1〜100mg/m2であり、前記Ni含有層の表面における、全Niに対する水酸化Niの存在比は、0.15以上0.50以下であり、前記金属Niの少なくとも一部は、前記皮膜に接触している、前処理Zn系めっき鋼板。
[2][1]に記載の前処理Zn系めっき鋼板と、前記皮膜の上に形成された塗膜と、を有する、塗装Zn系めっき鋼板。
本発明の化成処理Zn系めっき鋼板の製造方法は、Zn系めっき鋼板の表面に金属NiおよびNi化合物を付着させる工程と、Zn系めっき鋼板の表面に化成処理皮膜を形成する工程と、を有する。以下、各工程について、詳細に説明する。
第1工程では、Zn系めっき鋼板の表面に金属Niを析出させ、その金属Niの一部を水酸化Niに変える。たとえば、第1工程は、Zn系めっき鋼板の表面にNi化合物を溶解させた水溶液(処理液)を接触させる工程と、処理液で処理したZn系めっき鋼板の表面に水を接触させる工程とにより実施される。
A工程では、Zn系めっき鋼板の表面に処理液を接触させて、Zn系めっき鋼板の表面の汚れを除去すると共に、Zn系めっき鋼板の表面に金属Niを析出させる。
B工程では、処理液を接触させたZn系めっき鋼板の表面に水を接触させて、Zn系めっき鋼板の表面に析出した金属Niの一部を水酸化Niに水酸化する。水酸化Niは、ヒドロキシ基を有するため、金属Niよりもさらに化成処理皮膜と親和性が高く、密着性を向上させる。
第2工程では、金属Niおよび水酸化Niを付着させたZn系めっき鋼板の表面に、シランカップリング剤と有機樹脂を含有する化成処理液を塗布して、化成処理皮膜を形成する。
上記のように化成処理Zn系めっき鋼板を作製した後、さらに化成処理Zn系めっき鋼板の表面に塗膜を形成する工程を経て塗装Zn系めっき鋼板を製造してもよい。
第3工程では、第2工程後の化成処理皮膜の表面に、塗料を塗布して塗膜を形成する。
(1)Zn系めっき鋼板
Zn系めっき鋼板(塗装原板)として、板厚が0.5mmで片面あたりのめっき付着量が50mg/m2の溶融Znめっき鋼板(GI)を準備した。
A.処理液の調製
処理液は、水に、表1に示すNi化合物または塩酸を所定の濃度になるように溶解させ、必要に応じてpHを調整することで調製した。表1に示すDの処理液には、塩酸(37質量%塩化水素水溶液)を2%に希釈したもの使用した。
Zn系めっき鋼板の表面に、表2に示す条件で処理液をスプレー法で塗布した(A工程)。次いで、Zn系めっき鋼板の表面に表2に示す条件で水をスプレー法で塗布した後(B工程)、ゴムロールによる水切りおよび常温でのブロアー乾燥を行った。
A.化成処理液の調製
水に、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシランおよびカチオン性ウレタン樹脂の混合物(質量比6:4)を配合して、固形分濃度が5質量%の化成処理液を調製した。カチオン性ウレタン樹脂は、以下の手順で調製した。ポリエーテルポリオール160質量部、トリメチロールプロパン5質量部、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン25質量部、イソホロンジイソシアナート95質量部およびメチルエチルケトン130質量部を反応容器に入れ、75℃で30分間加熱してウレタンプレポリマーを得た。次いで、ウレタンプレポリマーに硫酸ジメチル18質量部を配合し、55℃で40分間加熱して、カチオン性ウレタンプレポリマーを得た。次いで、カチオン性ウレタンプレポリマーに、水600質量部を加えて、均一に乳化させた後、メチルエチルケトンを回収して、カチオン性ウレタン樹脂を調製した。
各Zn系めっき鋼板の表面に、調製した化成処理液をロールコート法で塗布し、80℃で乾燥させて、皮膜付着量が90mg/m2の化成処理皮膜を形成した。
化成処理皮膜上に、ポリエステル系下塗り塗料を塗布し、到達板温度200℃で焼付けて、膜厚5μmの下塗り塗膜を形成した。次いで、ポリエステル系上塗り塗料を下塗り塗膜の表面に塗布し、到達板温度230℃で焼付けて、膜厚15μmの上塗り塗膜を形成した。
(1)密着性試験
化成処理皮膜の密着性は、塗装Zn系めっき鋼板の180度折り曲げ加工を行った後の、塗膜の残存率により評価した。具体的には、塗膜が外側になるように、塗装Zn系めっき鋼板を180度密着折り曲げ加工した。次いで、曲げ稜線部にセロハンテープを貼り付け、曲げ稜線に対して垂直方向にセロハンテープを剥がし、塗膜の残存率を測定した。塗膜の残存率が90%以上の場合、加工密着性に極めて優れるとして「◎」、塗膜の残存率が70%以上であって90%未満の場合、加工密着性に優れるとして「○」、塗膜の残存率が70%未満の場合、加工密着性に改善が見られないとして「×」と評価した。
各塗装Zn系めっき鋼板について、使用した処理液の種類、Zn系めっき鋼板表面の金属NiおよびNi化合物のNi換算析出量、Ni含有層表面の全Niに対する水酸化Niの割合および密着性試験の結果を表2に示す。
Claims (2)
- Zn系めっき鋼板と、
前記Zn系めっき鋼板の表面に、金属Niおよび水酸化Niを含むNi含有層と、
前記Ni含有層の上に形成された、シランカップリング剤および有機樹脂を含有する皮膜と、を有し、
前記Zn系めっき鋼板の表面の前記金属NiおよびNi化合物の合計付着量は、Ni換算で0.1〜100mg/m2であり、
前記Ni含有層の表面における、全Niに対する水酸化Niの存在比は、0.15以上0.50以下であり、
前記金属Niの少なくとも一部は、前記皮膜に接触している、
前処理Zn系めっき鋼板。 - 請求項1に記載の前処理Zn系めっき鋼板と、
前記皮膜の上に形成された塗膜と、
を有する、塗装Zn系めっき鋼板。
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