JP6203924B2 - 前処理Zn系めっき鋼板、および塗装Zn系めっき鋼板 - Google Patents

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Description

本発明は、前処理Zn系めっき鋼板に関する。また、本発明は、前処理Zn系めっき鋼板を含む塗装Zn系めっき鋼板に関する。
従来、金属板の表面に塗膜を形成した塗装金属板は、建築物の屋根材や外装材、家電製品、自動車などに使用されている。塗装金属板は、金属板の表面を洗浄する工程と、洗浄した金属板の表面に、化成処理液を用いて化成処理皮膜を形成する工程と、化成処理皮膜の表面に、塗膜を形成する工程とにより製造されうる。塗装金属板は、用途に応じて、金属板の種類や塗膜の組成を適宜選択して製造される。
特許文献1には、シランカップリング剤を含有する化成処理液を用いて製造された塗装金属板が記載されている。特許文献1の塗装金属板は、金属板の表面に付着した油汚れをアルカリ脱脂剤などで洗浄し、化成処理液を用いて化成処理皮膜を形成した後、塗膜を形成することで製造される。また、特許文献1に記載の塗装金属板の製造方法では、金属板の表面にアルカリ脱脂剤がなるべく残留しないように水洗している。
特開2009−275287号公報
特許文献1の塗装金属板では、塗装原板として様々な金属板を使用できると説明されている。しかしながら、金属板の表面状態は金属板ごとに異なるため、各金属板で化成処理皮膜の密着性が異なっていた。特に、金属板がZn系めっき鋼板であった場合には、アルカリ脱脂のみを施しても、化成処理皮膜の密着性が十分でないことがある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、密着性に優れる化成処理皮膜を安定して形成することができる前処理Zn系めっき鋼板を提供することを目的とする。また、本発明は、前記前処理Zn系めっき鋼板を含む塗装Zn系めっき鋼板を提供することも目的とする。
本発明者らは、Zn系めっき鋼板の表面に所定量のNiを析出させ、さらに全Niに対する水酸化Niの存在比を所定の比率以上にすることで、上記課題を解決することができることを見出し、さらに検討を加えて本発明を完成させた。
本発明は、以下の前処理Zn系めっき鋼板に関する。
[1]Zn系めっき鋼板と、前記Zn系めっき鋼板の表面に、金属Niおよび水酸化Niを含むNi含有層と、前記Ni含有層の上に形成された、シランカップリング剤および有機樹脂を含有する皮膜と、を有し、前記Zn系めっき鋼板の表面の前記金属NiおよびNi化合物の合計付着量は、Ni換算で0.1〜100mg/mであり、前記Ni含有層の表面における、全Niに対する水酸化Niの存在比は、0.15以上0.50以下であり、前記金属Niの少なくとも一部は、前記皮膜に接触している、前処理Zn系めっき鋼板。
さらに、本発明は、以下の塗装Zn系めっき鋼板に関する。
[2][1]に記載の前処理Zn系めっき鋼板と、前記皮膜の上に形成された塗膜と、を有する、塗装Zn系めっき鋼板。
本発明によれば、化成処理皮膜の密着性に優れる化成処理Zn系めっき鋼板および塗装Zn系めっき鋼板を安定して提供することができる。
1.化成処理Zn系めっき鋼板の製造方法
本発明の化成処理Zn系めっき鋼板の製造方法は、Zn系めっき鋼板の表面に金属NiおよびNi化合物を付着させる工程と、Zn系めっき鋼板の表面に化成処理皮膜を形成する工程と、を有する。以下、各工程について、詳細に説明する。
(1)第1工程
第1工程では、Zn系めっき鋼板の表面に金属Niを析出させ、その金属Niの一部を水酸化Niに変える。たとえば、第1工程は、Zn系めっき鋼板の表面にNi化合物を溶解させた水溶液(処理液)を接触させる工程と、処理液で処理したZn系めっき鋼板の表面に水を接触させる工程とにより実施される。
Zn系めっき鋼板の種類は、特に限定されない。ここで「Zn系めっき鋼板」とは、Znを50質量%以上含むZn系めっき層を有するめっき鋼板を意味する。Zn系めっき鋼板の例には、溶融Znめっき鋼板(GI)、合金化溶融Znめっき鋼板(GA)、溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板など含まれる。Zn系めっき鋼板は、溶融めっき法、電気めっき法または蒸着めっき法により製造されうる。たとえば、溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板は、Al:2.5〜15.0質量%、Mg:2.0〜4.0質量%を含み、残部が実質的にZnである合金めっき浴を用いた溶融めっき法で製造することができる。
Zn系めっき鋼板の基材鋼板としては、低炭素鋼や中炭素鋼、高炭素鋼、合金鋼などが使用される。加工性が必要とされる場合は、低炭素Ti添加鋼、低炭素Nb添加鋼などの深絞り用鋼板が基材鋼板として好ましい。
Zn系めっき鋼板の表面に処理液を用いて金属Niを析出させ、水を用いて金属Niを水酸化Niに変える場合、以下のA工程およびB工程を行えばよい。
[A工程]
A工程では、Zn系めっき鋼板の表面に処理液を接触させて、Zn系めっき鋼板の表面の汚れを除去すると共に、Zn系めっき鋼板の表面に金属Niを析出させる。
処理液は、酸性のNi化合物水溶液である。Ni化合物の例には、硫酸ニッケルアンモニウム・6水和物、硫酸ニッケル・6水和物、水酸化ニッケルなどが含まれる。これらの化合物は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
処理液におけるNi化合物の濃度は、Ni換算で0.5〜10g/Lの範囲内であることが好ましい。Ni化合物のNi換算濃度が0.5g/L未満の場合、金属Niを十分に析出させることができないおそれがある。一方、Ni化合物のNi換算濃度が10g/L超の場合、金属Niの析出量を制御することが困難になるおそれがある。処理液中のNi化合物のNi換算濃度は、誘導結合プラズマ(ICP)分析によって定量することができる。
処理液のpHは、1.5〜5.0の範囲内であることが好ましい。pHは、Ni化合物を溶解させて得た水溶液に、フッ酸、硫酸、ヘキサフルオロケイ酸、ギ酸、硫酸亜鉛、有機酸、アンモニア水などを適宜添加することで調整されうる。処理液のpHを所定の範囲内に調整することによって、Znよりイオン化傾向の小さいNiを、Zn系めっき鋼板の表面に析出させることができる。このとき、イオン化傾向の大きいZnは、処理液中に溶出する。
A工程では、Zn系めっき鋼板の表面に、処理液を3〜30秒間接触させる。処理液をZn系めっき鋼板の表面に接触させる方法は、特に限定されず、公知の方法から適宜選択すればよい。そのような接触方法の例には、ロールコート法やカーテンフロー法、スピンコート法、スプレー法、浸漬引き上げ法などが含まれる。処理液の温度は、35〜80℃の範囲内であることが好ましい。処理液の温度が35℃未満の場合、金属Niを十分に析出させることができないおそれがある。一方、処理液の温度が80℃超の場合、水分の蒸発量が多いため、処理液が劣化するおそれがある。A工程を行うことにより、Zn系めっき鋼板の表面にNi換算付着量で0.1〜300mg/mの金属Niを析出(付着)させることができる。金属Niの析出量は、A工程(析出)からB工程(水洗)に移るタイミング(反応を停止するタイミング)を制御することでも調整されうる。金属Niは、金属Znより表面電位が高いため、極性基を有する化成処理皮膜と親和性が高く、密着性を向上させる。
[B工程]
B工程では、処理液を接触させたZn系めっき鋼板の表面に水を接触させて、Zn系めっき鋼板の表面に析出した金属Niの一部を水酸化Niに水酸化する。水酸化Niは、ヒドロキシ基を有するため、金属Niよりもさらに化成処理皮膜と親和性が高く、密着性を向上させる。
B工程では、処理液を接触させたZn系めっき鋼板の表面に、水を1〜30秒間接触させた後、乾燥させる。水をZn系めっき鋼板の表面に接触させる方法は、特に限定されず、公知の方法から適宜選択すればよい。そのような接触方法の例には、ロールコート法やカーテンフロー法、スピンコート法、スプレー法、浸漬引き上げ法などが含まれる。水の温度は、40〜80℃の範囲内であることが好ましい。水の温度が40℃未満の場合、十分な量の水酸化Niを生成できないおそれがある。一方、水の温度が80℃超の場合、蒸発量が多くなり、製造ラインにおける水量の管理上問題となる。
上記A工程およびB工程により、Zn系めっき鋼板の表面に対して密着性に優れる金属NiおよびNi化合物(水酸化Niだけでなく酸化Niなども含みうる)を、Ni換算で0.1〜100mg/mの付着量で層状または島状に付着させることができる。また、金属NiおよびNi化合物を付着させたZn系めっき鋼板の表面における、全Niに対する水酸化Niの存在比を0.15以上とすることができる。Zn系めっき鋼板の表面に付着させた金属NiおよびNi化合物のNi換算付着量は、蛍光X線分析(XRS)により定量することができる。また、Znめっき鋼板の表面における全Niに対する水酸化Niの存在比は、X線電子分光法(XPS)により確認することができる。具体的には、XPSで測定したNi2pスペクトルを波形解析することで、全Ni数に対するNi−OH基数の割合[Ni−OH]/[Ni]を算出すればよい。
上記A工程およびB工程を終えた後、Zn系めっき鋼板の表面をゴムロールなどで水切りし、さらに乾燥させる。Zn系めっき鋼板を乾燥させる方法は、特に限定されず、常温乾燥、30〜150℃での加熱乾燥またはブロアー乾燥のいずれであってもよい。
(2)第2工程
第2工程では、金属Niおよび水酸化Niを付着させたZn系めっき鋼板の表面に、シランカップリング剤と有機樹脂を含有する化成処理液を塗布して、化成処理皮膜を形成する。
化成処理液は、シランカップリング剤と有機樹脂を含む水系処理液(水溶液)である。化成処理液は、芳香環を有するジイソシアネート化合物、脂肪族ジイソシアネート化合物またはポリカルボジイミド化合物が配合されていてもよい。また、化成処理液の溶媒としては、水に加えて、少量のアルコール、ケトン、セロソルブ系の水溶性有機溶剤などを併用してもよい。
シランカップリング剤の種類は、特に限定されないが、第1級アミノ基を有することが好ましい。化成処理液にポリカルボジイミド化合物が配合されている場合、第1級アミノ基を有するシランカップリング剤は、ポリカルボジイミド化合物と架橋して、バリア性の高い緻密な化成処理皮膜を形成する。シランカップリング剤の例には、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシランなどが含まれる。
有機樹脂の種類は、特に限定されないが、ウレタン樹脂やフェノール樹脂などの水系樹脂が使用される。ウレタン樹脂やフェノール樹脂などの水系樹脂は、極性基を有しているため、密着性向上の観点から好ましい。
有機樹脂の数平均分子量は、1000〜1000000の範囲内であることが好ましい。数平均分子量が1000未満の場合、化成処理皮膜の形成性が不十分なおそれがある。一方、数平均分子量が1000000超の場合、化成処理液の安定性が低下するおそれがある。
有機樹脂のガラス転移温度(Tg)は、0〜100℃の範囲内であることが好ましい。ガラス転移温度が0℃未満の場合、成形加工時に塗膜のカジリが発生しやすくなるおそれがある。一方、ガラス転移温度が100℃超の場合、有機樹脂の凝集力が高くなり、成形加工時の密着性が低下するおそれがある。
化成処理液の固形分濃度は、0.1〜40質量%の範囲内であることが好ましい。固形分濃度が、0.1質量%未満の場合、化成処理皮膜が機能しないおそれがある。一方、固形分濃度が40質量%超の場合、化成処理液の貯蔵安定性が低下するおそれがある。また、化成処理液のpHは、3〜12の範囲内に調整されることが好ましい。
調製した化成処理液(pH=3〜12)を、ロールコート法、スプレー法などにより、Zn系めっき鋼板の表面に塗布し、水洗することなく常温で乾燥させる。化成処理液の塗布量は、乾燥後の化成処理皮膜の付着量が1〜500mg/mの範囲内となるように調整されることが好ましい。化成処理皮膜の付着量が1mg/m未満の場合、塗膜との密着性が低下するおそれがある。一方、化成処理皮膜の付着量が500mg/m超の場合、コストの観点から好ましくない。前述のように、常温で乾燥させることで化成処理皮膜を形成することも可能であるが、連続操業を考慮すると50℃以上の温度で乾燥時間を短縮することが好ましい。ただし、乾燥温度が200℃超の場合、化成処理皮膜に含まれている有機成分が熱分解するおそれがあるため好ましくない。
以上の手順により、Zn系めっき鋼板と、Zn系めっき鋼板の表面に金属NiおよびNi化合物がNi換算で0.1〜100mg/m付着したNi含有層(表面における水酸化Ni/全Ni比が0.15以上)と、Ni含有層の上に形成された化成処理皮膜と、を有する本発明の化成処理Zn系めっき鋼板を製造することができる。
本発明の化成処理Zn系めっき鋼板は、Zn系めっき鋼板の表面に所定量の金属Niを析出させ、かつ析出した金属Niの一部を水酸化Niに変えているため、Zn系めっき鋼板の表面状態に関わらず、金属Niおよび水酸化Niのアンカー効果などによりZn系めっき鋼板に対する化成処理皮膜の密着性が高い。よって、本発明の化成処理Zn系めっき鋼板の製造方法は、化成処理皮膜の密着性に優れる化成処理Zn系めっき鋼板を安定して製造することができる。
2.塗装Zn系めっき鋼板の製造方法
上記のように化成処理Zn系めっき鋼板を作製した後、さらに化成処理Zn系めっき鋼板の表面に塗膜を形成する工程を経て塗装Zn系めっき鋼板を製造してもよい。
(3)第3工程
第3工程では、第2工程後の化成処理皮膜の表面に、塗料を塗布して塗膜を形成する。
塗料のベースとなる樹脂の種類は、特に限定されず、公知の有機樹脂から適宜選択すればよい。有機樹脂の例には、ウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体などのオレフィン系樹脂、ポリスチレンなどのスチレン系樹脂、ポリエステル樹脂、これらの共重合物または変性物、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂などが含まれる。
塗料には、防錆顔料をさらに配合してもよい。防錆顔料としては、イオン交換によってカルシウムイオンを結合させた多孔質シリカ粒子(変性シリカ)が使用される。また、変性シリカに加えて、必要に応じてポリリン酸塩も使用してもよい。ポリリン酸塩の例には、ピロリン酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、トリポリリン酸二水素アルミニウムなどが含まれる。
化成処理皮膜の表面に塗膜を形成する方法は、特に限定されない。たとえば、塗料をロールコート法、カーテンコート法などの方法で化成処理皮膜の表面に塗布し、焼き付ければよい。焼き付け温度は、ベースとなる有機樹脂に応じて、180〜500℃の範囲内で適宜調整すればよい。塗膜は、多層構成としてもよい。
以上の手順により、本発明の化成処理Zn系めっき鋼板と、化成処理皮膜の上に形成された塗膜と、を有する本発明の塗装Zn系めっき鋼板を製造することができる。
本発明の塗装Zn系めっき鋼板は、Zn系めっき鋼板の表面に所定量の金属Niを析出させ、かつ析出した金属Niの一部を水酸化Niに変えているため、Zn系めっき鋼板の表面状態に関わらず、Zn系めっき鋼板に対する化成処理皮膜および塗膜の密着性が高い。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されない。
本実施例では、塗装Zn系めっき鋼板の塗膜密着性を調べることにより、Zn系めっき鋼板に対する化成処理皮膜の密着性を調べた。
1.塗装Zn系めっき鋼板の作製
(1)Zn系めっき鋼板
Zn系めっき鋼板(塗装原板)として、板厚が0.5mmで片面あたりのめっき付着量が50mg/mの溶融Znめっき鋼板(GI)を準備した。
(2)塗装前処理
A.処理液の調製
処理液は、水に、表1に示すNi化合物または塩酸を所定の濃度になるように溶解させ、必要に応じてpHを調整することで調製した。表1に示すDの処理液には、塩酸(37質量%塩化水素水溶液)を2%に希釈したもの使用した。
Figure 0006203924
B.Niの析出
Zn系めっき鋼板の表面に、表2に示す条件で処理液をスプレー法で塗布した(A工程)。次いで、Zn系めっき鋼板の表面に表2に示す条件で水をスプレー法で塗布した後(B工程)、ゴムロールによる水切りおよび常温でのブロアー乾燥を行った。
各Zn系めっき鋼板の表面に付着した金属NiおよびNi化合物のNi換算量を、蛍光X線分析装置(RIX3000;株式会社リガク)を用いて測定した。また、各Zn系めっき鋼板の表面(Ni含有層の表面)における全Niに対する水酸化Niの存在比を、XPS分析装置(ESCA5500MC;アルバック・ファイ株式会社)により測定した。
(3)化成処理
A.化成処理液の調製
水に、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシランおよびカチオン性ウレタン樹脂の混合物(質量比6:4)を配合して、固形分濃度が5質量%の化成処理液を調製した。カチオン性ウレタン樹脂は、以下の手順で調製した。ポリエーテルポリオール160質量部、トリメチロールプロパン5質量部、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン25質量部、イソホロンジイソシアナート95質量部およびメチルエチルケトン130質量部を反応容器に入れ、75℃で30分間加熱してウレタンプレポリマーを得た。次いで、ウレタンプレポリマーに硫酸ジメチル18質量部を配合し、55℃で40分間加熱して、カチオン性ウレタンプレポリマーを得た。次いで、カチオン性ウレタンプレポリマーに、水600質量部を加えて、均一に乳化させた後、メチルエチルケトンを回収して、カチオン性ウレタン樹脂を調製した。
B.化成処理皮膜の形成
各Zn系めっき鋼板の表面に、調製した化成処理液をロールコート法で塗布し、80℃で乾燥させて、皮膜付着量が90mg/mの化成処理皮膜を形成した。
(4)塗装
化成処理皮膜上に、ポリエステル系下塗り塗料を塗布し、到達板温度200℃で焼付けて、膜厚5μmの下塗り塗膜を形成した。次いで、ポリエステル系上塗り塗料を下塗り塗膜の表面に塗布し、到達板温度230℃で焼付けて、膜厚15μmの上塗り塗膜を形成した。
2.化成処理皮膜の密着性の評価
(1)密着性試験
化成処理皮膜の密着性は、塗装Zn系めっき鋼板の180度折り曲げ加工を行った後の、塗膜の残存率により評価した。具体的には、塗膜が外側になるように、塗装Zn系めっき鋼板を180度密着折り曲げ加工した。次いで、曲げ稜線部にセロハンテープを貼り付け、曲げ稜線に対して垂直方向にセロハンテープを剥がし、塗膜の残存率を測定した。塗膜の残存率が90%以上の場合、加工密着性に極めて優れるとして「◎」、塗膜の残存率が70%以上であって90%未満の場合、加工密着性に優れるとして「○」、塗膜の残存率が70%未満の場合、加工密着性に改善が見られないとして「×」と評価した。
(2)結果
各塗装Zn系めっき鋼板について、使用した処理液の種類、Zn系めっき鋼板表面の金属NiおよびNi化合物のNi換算析出量、Ni含有層表面の全Niに対する水酸化Niの割合および密着性試験の結果を表2に示す。
Figure 0006203924
塗膜の剥離が生じていた塗装Zn系めっき鋼板では、Zn系めっき鋼板と化成処理皮膜の界面で剥離が生じていた。塗装Zn系めっき鋼板No.23および24(比較例)では、Zn系めっき鋼板の表面に金属Niを析出させていないため、化成処理皮膜の密着性が悪かった。また、塗装Zn系めっき鋼板No.21および22(比較例)では、金属NiおよびNi化合物のNi換算析出量が0.1mg/m以上であったが、水酸化Ni/全Ni比が0.15未満であったため、化成処理皮膜の密着性が悪かった。一方、塗装Zn系めっき鋼板No.1〜20(実施例)では、金属NiおよびNi化合物のNi換算析出量が0.1〜100mg/mであり、かつ水酸化Ni/全Ni比が0.15以上であったため、化成処理皮膜の密着性が良好であった。
また、塗装原板として板厚が0.5mmで片面当りめっき付着量40g/mの溶融Zn−6質量%Al−3質量%Mgめっき鋼板を用いて、表2に示す各条件で塗装Zn系めっき鋼板を作製し、化成処理皮膜の密着性を評価した。その結果、金属NiおよびNi化合物のNi換算析出量が0.1〜100mg/m以上であり、かつ水酸化Ni/全Ni比が0.15以上の塗装溶融Zn−6質量%Al−3質量%Mgめっき鋼板では、塗装原板として溶融Znめっき鋼板を使用した場合と同様に、密着性の評価が「○」または「◎」と良好であった。
以上の結果から、本発明の製造方法によって作製される化成処理Zn系めっき鋼板は、化成処理皮膜の密着性に優れていることがわかる。
本発明の前処理Zn系めっき鋼板およびそれを有する塗装Zn系めっき鋼板は、化成処理皮膜の密着性に優れているため、建築物の屋根材や外装材、家電製品、自動車などの材料として有用である。

Claims (2)

  1. Zn系めっき鋼板と、
    前記Zn系めっき鋼板の表面に、金属Niおよび水酸化Niを含むNi含有層と、
    前記Ni含有層の上に形成された、シランカップリング剤および有機樹脂を含有する皮膜と、を有し、
    前記Zn系めっき鋼板の表面の前記金属NiおよびNi化合物の合計付着量は、Ni換算で0.1〜100mg/mであり、
    前記Ni含有層の表面における、全Niに対する水酸化Niの存在比は、0.15以上0.50以下であり、
    前記金属Niの少なくとも一部は、前記皮膜に接触している、
    前処理Zn系めっき鋼板。
  2. 請求項1に記載の前処理Zn系めっき鋼板と、
    前記皮膜の上に形成された塗膜と、
    を有する、塗装Zn系めっき鋼板。
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