JP3309788B2 - 耐黒変性に優れたクロメート処理電気亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents
耐黒変性に優れたクロメート処理電気亜鉛めっき鋼板の製造方法Info
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、耐黒変性に優れ
たクロメート処理電気亜鉛めっき鋼板の製造方法に関す
るものである。
たクロメート処理電気亜鉛めっき鋼板の製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】電気亜鉛めっき鋼板を無塗装で使用する
場合、通常、クロメート処理によって電気亜鉛めっき層
の上にクロメート被膜が形成される。このようなクロメ
ート被膜が形成されたクロメート処理電気亜鉛めっき鋼
板の耐食性は著しく改善されるが、これを、高温湿潤環
境下で保管中に、その表面の一部または全部が灰白色ま
たは褐色に変色する現象(以下、「黒変現象」という)
の生ずることがある。黒変現象の生じたクロメート処理
電気亜鉛めっき鋼板は、その商品価値を著しく低下させ
る。
場合、通常、クロメート処理によって電気亜鉛めっき層
の上にクロメート被膜が形成される。このようなクロメ
ート被膜が形成されたクロメート処理電気亜鉛めっき鋼
板の耐食性は著しく改善されるが、これを、高温湿潤環
境下で保管中に、その表面の一部または全部が灰白色ま
たは褐色に変色する現象(以下、「黒変現象」という)
の生ずることがある。黒変現象の生じたクロメート処理
電気亜鉛めっき鋼板は、その商品価値を著しく低下させ
る。
【0003】黒変現象の詳細は必ずしも明らかではない
が、黒変は、亜鉛表面の腐食現象であり、めっき皮膜中
のPbが黒変を促進させ、Niは逆に黒変を抑制する作
用がある旨の報告がある。このような黒変現象の発生防
止手段に関しては、従来から種々研究がなされており、
例えば、特開昭60−77988号公報には、亜鉛めっ
き浴中のNiイオンを、不純物として含まれるPbイオ
ンの量の5〜500倍の範囲内、Znイオンの量の1/
25以下で且つ10g/l以下の量で含有する電気亜鉛め
っき浴を使用し、このような電気亜鉛めっき浴によって
鋼板を電気亜鉛めっきし、次いで、クロメート処理を施
すことにより耐黒変性を改善する方法(以下、先行技術
1という)が開示されている。
が、黒変は、亜鉛表面の腐食現象であり、めっき皮膜中
のPbが黒変を促進させ、Niは逆に黒変を抑制する作
用がある旨の報告がある。このような黒変現象の発生防
止手段に関しては、従来から種々研究がなされており、
例えば、特開昭60−77988号公報には、亜鉛めっ
き浴中のNiイオンを、不純物として含まれるPbイオ
ンの量の5〜500倍の範囲内、Znイオンの量の1/
25以下で且つ10g/l以下の量で含有する電気亜鉛め
っき浴を使用し、このような電気亜鉛めっき浴によって
鋼板を電気亜鉛めっきし、次いで、クロメート処理を施
すことにより耐黒変性を改善する方法(以下、先行技術
1という)が開示されている。
【0004】また、特開平2−8374号公報には、N
iイオンを、100〜300ppmの範囲内の量で含有
し、不純物として含まれるPbイオンの含有量が0.5
ppm以下で且つめっき浴中のNiイオン/Pbイオン
比が500超である電気亜鉛めっき浴を使用し、このよ
うな電気亜鉛めっき浴によって鋼板を電気亜鉛めっき
し、次いで、クロメート処理を施すことによって耐黒変
性を改善する方法(以下、先行技術2という)が開示さ
れている。
iイオンを、100〜300ppmの範囲内の量で含有
し、不純物として含まれるPbイオンの含有量が0.5
ppm以下で且つめっき浴中のNiイオン/Pbイオン
比が500超である電気亜鉛めっき浴を使用し、このよ
うな電気亜鉛めっき浴によって鋼板を電気亜鉛めっき
し、次いで、クロメート処理を施すことによって耐黒変
性を改善する方法(以下、先行技術2という)が開示さ
れている。
【0005】上述した先行技術1、2によれば、クロメ
ート処理電気亜鉛めっき鋼板の耐黒変性は改善される
が、めっき皮膜中にNiが含有されていることによっ
て、電気亜鉛めっき鋼板の表面外観、特に、白色度が低
下する。
ート処理電気亜鉛めっき鋼板の耐黒変性は改善される
が、めっき皮膜中にNiが含有されていることによっ
て、電気亜鉛めっき鋼板の表面外観、特に、白色度が低
下する。
【0006】このような問題に関して、特開昭63−4
099号公報には、亜鉛めっき浴中にNiイオンが30
0ppm以上存在すると、リン酸塩処理が施された亜鉛
めっき鋼板の白色度が50以下に低下するために、亜鉛
めっき浴中のNiイオン濃度をできるだけ低く維持する
必要があり、その対策として、亜鉛粉末を使用してNi
イオンを除去する方法(以下、先行技術3という)が開
示されている。
099号公報には、亜鉛めっき浴中にNiイオンが30
0ppm以上存在すると、リン酸塩処理が施された亜鉛
めっき鋼板の白色度が50以下に低下するために、亜鉛
めっき浴中のNiイオン濃度をできるだけ低く維持する
必要があり、その対策として、亜鉛粉末を使用してNi
イオンを除去する方法(以下、先行技術3という)が開
示されている。
【0007】また、特開平1−129991号公報に
は、電気亜鉛めっき鋼板のリン酸塩処理後の色調を白く
保持するためには、亜鉛めっき浴中のNiイオン濃度を
10ppm以下に管理する方法(以下、先行技術4とい
う)が開示されている。
は、電気亜鉛めっき鋼板のリン酸塩処理後の色調を白く
保持するためには、亜鉛めっき浴中のNiイオン濃度を
10ppm以下に管理する方法(以下、先行技術4とい
う)が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】一般に、電気亜鉛めっ
き鋼板の製造は、同一設備および同一めっき浴によりク
ロメート処理、リン酸塩処理、後処理無しの工程によっ
て行われる。従って、先行技術3および先行技術4のよ
うに、電気亜鉛めっき鋼板の耐黒変性を改善するため
に、めっき浴中にNiを添加すると、クロメート処理材
のみならず、それ以外のめっき鋼板の外観をも劣化させ
ることになる。従って、めっき浴中へのNi添加には従
来から問題があった。
き鋼板の製造は、同一設備および同一めっき浴によりク
ロメート処理、リン酸塩処理、後処理無しの工程によっ
て行われる。従って、先行技術3および先行技術4のよ
うに、電気亜鉛めっき鋼板の耐黒変性を改善するため
に、めっき浴中にNiを添加すると、クロメート処理材
のみならず、それ以外のめっき鋼板の外観をも劣化させ
ることになる。従って、めっき浴中へのNi添加には従
来から問題があった。
【0009】一方、溶融亜鉛めっき鋼板の耐黒変性は、
電気亜鉛めっき鋼板よりも大きく劣ることが知られてい
る。その理由は、溶融亜鉛めっき鋼板の表面には、電気
亜鉛めっき鋼板に比較して、厚く不均一なZn酸化膜が
生成しており、且つ、めっき浴中のAlが酸化物として
めっき表面に存在しているので、黒変現象が進行しやす
いためである。
電気亜鉛めっき鋼板よりも大きく劣ることが知られてい
る。その理由は、溶融亜鉛めっき鋼板の表面には、電気
亜鉛めっき鋼板に比較して、厚く不均一なZn酸化膜が
生成しており、且つ、めっき浴中のAlが酸化物として
めっき表面に存在しているので、黒変現象が進行しやす
いためである。
【0010】このような溶融亜鉛めっき鋼板の黒変対策
として、例えば、特公平3−49982号公報には、溶
融亜鉛めっき鋼板の表面に電気亜鉛めっきを施す技術
(以下、先行技術5という)が開示されており、電気亜
鉛めっき鋼板の耐黒変性は、溶融亜鉛めっき鋼板に比較
して良好であることが示唆されている。更に、先行技術
5には、溶融亜鉛めっき後の溶融亜鉛めっき鋼板を、N
iイオンまたはCoイオンを1〜20g/l含有するpH1
〜4またはpH11〜13.5の溶液に浸漬し、Niまた
はCoを0.3〜15mg/m2 付着させる方法が開示され
ている。
として、例えば、特公平3−49982号公報には、溶
融亜鉛めっき鋼板の表面に電気亜鉛めっきを施す技術
(以下、先行技術5という)が開示されており、電気亜
鉛めっき鋼板の耐黒変性は、溶融亜鉛めっき鋼板に比較
して良好であることが示唆されている。更に、先行技術
5には、溶融亜鉛めっき後の溶融亜鉛めっき鋼板を、N
iイオンまたはCoイオンを1〜20g/l含有するpH1
〜4またはpH11〜13.5の溶液に浸漬し、Niまた
はCoを0.3〜15mg/m2 付着させる方法が開示され
ている。
【0011】また、特開平2−267279号公報に
は、同じく溶融亜鉛めっき鋼板を、グルコン酸NaとE
DTA、NTA,クエン酸塩等のような錯化剤を含有す
るNi、Co処理液に接触させることにより、耐黒変性
を改善する方法(以下、先行技術6という)が開示され
ている。
は、同じく溶融亜鉛めっき鋼板を、グルコン酸NaとE
DTA、NTA,クエン酸塩等のような錯化剤を含有す
るNi、Co処理液に接触させることにより、耐黒変性
を改善する方法(以下、先行技術6という)が開示され
ている。
【0012】先行技術5および6によれば、溶融亜鉛め
っき鋼板の耐黒変性は改善される。しかしながら、電気
亜鉛めっき鋼板の耐黒変性は改善されない。その理由
は、前述したように、電気亜鉛めっき層の表面には、溶
融亜鉛めっき層のような厚い酸化膜やAl酸化物が存在し
ないために、Ni、Co処理液のような酸、アルカリ液
中ではめっき表面が過剰に侵食されて活性化しすぎる結
果、電気亜鉛めっき層の表面に不均一な酸化皮膜が生成
するためであると考えられる。
っき鋼板の耐黒変性は改善される。しかしながら、電気
亜鉛めっき鋼板の耐黒変性は改善されない。その理由
は、前述したように、電気亜鉛めっき層の表面には、溶
融亜鉛めっき層のような厚い酸化膜やAl酸化物が存在し
ないために、Ni、Co処理液のような酸、アルカリ液
中ではめっき表面が過剰に侵食されて活性化しすぎる結
果、電気亜鉛めっき層の表面に不均一な酸化皮膜が生成
するためであると考えられる。
【0013】以上述べたように、電気亜鉛めっき鋼板と
溶融亜鉛めっき鋼板とでは、その表面状態特に酸化状態
が異なることから、黒変現象のような亜鉛めっき層表面
の軽微な酸化現象を抑制する手段は相違すると考えら
れ、電気亜鉛めっき鋼板に適した黒変防止対策が必要と
されている。しかしながら、未だ、電気亜鉛めっき鋼板
に適した黒変防止対策は確立されていない。
溶融亜鉛めっき鋼板とでは、その表面状態特に酸化状態
が異なることから、黒変現象のような亜鉛めっき層表面
の軽微な酸化現象を抑制する手段は相違すると考えら
れ、電気亜鉛めっき鋼板に適した黒変防止対策が必要と
されている。しかしながら、未だ、電気亜鉛めっき鋼板
に適した黒変防止対策は確立されていない。
【0014】従って、この発明の目的は、上述した問題
を解決し、電気亜鉛めっき鋼板に適した黒変防止対策が
施され、同一設備且つ同一めっき浴でクロメート処理、
リン酸塩処理、後処理無し等の電気亜鉛めっき鋼板を製
造する場合に、クロメート処理材の耐黒変性を著しく改
善すると共に、クロメート処理材以外のリン酸塩処理材
等に関しては外観の劣化することがない、耐黒変性に優
れた電気亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供することにあ
る。
を解決し、電気亜鉛めっき鋼板に適した黒変防止対策が
施され、同一設備且つ同一めっき浴でクロメート処理、
リン酸塩処理、後処理無し等の電気亜鉛めっき鋼板を製
造する場合に、クロメート処理材の耐黒変性を著しく改
善すると共に、クロメート処理材以外のリン酸塩処理材
等に関しては外観の劣化することがない、耐黒変性に優
れた電気亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供することにあ
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
鋼板に電気亜鉛めっきを施して、少なくとも一方の表面
上に電気亜鉛めっき層が形成された電気亜鉛めっき鋼板
を調製し、前記電気亜鉛めっき鋼板を、Niイオンおよ
びCoイオンの少なくとも1つが、0.001g/l以
上、10g/l以下の量で添加され、pH値が8以上、
11未満の弱アルカリ性溶液に接触させることによっ
て、前記電気亜鉛めっき層の表面に、NiおよびCoの
少なくとも1つを0.01mg/m 2 以上、10mg/
m 2 以下の範囲内の量で析出させて前記電気めっき層の
表面に金属層を形成し、次いで、クロメート処理を施
し、前記弱アルカリ性溶液は、ピロリン酸ナトリウム系
溶液またはトリポリリン酸ナトリウム系溶液、または、
前記ピロリン酸ナトリウム系溶液と前記トリポリリン酸
ナトリウム系溶液との混合液であることに特徴を有する
ものである。
鋼板に電気亜鉛めっきを施して、少なくとも一方の表面
上に電気亜鉛めっき層が形成された電気亜鉛めっき鋼板
を調製し、前記電気亜鉛めっき鋼板を、Niイオンおよ
びCoイオンの少なくとも1つが、0.001g/l以
上、10g/l以下の量で添加され、pH値が8以上、
11未満の弱アルカリ性溶液に接触させることによっ
て、前記電気亜鉛めっき層の表面に、NiおよびCoの
少なくとも1つを0.01mg/m 2 以上、10mg/
m 2 以下の範囲内の量で析出させて前記電気めっき層の
表面に金属層を形成し、次いで、クロメート処理を施
し、前記弱アルカリ性溶液は、ピロリン酸ナトリウム系
溶液またはトリポリリン酸ナトリウム系溶液、または、
前記ピロリン酸ナトリウム系溶液と前記トリポリリン酸
ナトリウム系溶液との混合液であることに特徴を有する
ものである。
【0016】
【0017】
【0018】
【発明の実施の形態】次に、この発明の方法によって製
造された耐黒変性に優れた電気亜鉛めっき鋼板につい
て、以下に説明する。この発明の方法によって製造され
た耐黒変性に優れた電気亜鉛めっき鋼板は、鋼板と、鋼
板の表面上に形成された電気亜鉛めっき層と、電気亜鉛
めっき層の上に形成された金属層と、金属層の上に形成
されたクロメート被膜とからなる基本構造を有してい
る。
造された耐黒変性に優れた電気亜鉛めっき鋼板につい
て、以下に説明する。この発明の方法によって製造され
た耐黒変性に優れた電気亜鉛めっき鋼板は、鋼板と、鋼
板の表面上に形成された電気亜鉛めっき層と、電気亜鉛
めっき層の上に形成された金属層と、金属層の上に形成
されたクロメート被膜とからなる基本構造を有してい
る。
【0019】上述した基本構造において、この発明の特
徴は、電気亜鉛めっき層の表面にNiおよびCoの少な
くとも1つを0.01mg/m2 以上、10mg/m2 以下の範
囲内の量で析出させることによって、上記金属層が電気
亜鉛めっき層の表面上に形成されていることにある。
徴は、電気亜鉛めっき層の表面にNiおよびCoの少な
くとも1つを0.01mg/m2 以上、10mg/m2 以下の範
囲内の量で析出させることによって、上記金属層が電気
亜鉛めっき層の表面上に形成されていることにある。
【0020】即ち、電気亜鉛めっき層の表面に、Niお
よびCoの少なくとも1つを、0.01mg/m2 以上、1
0mg/m2 以下の範囲内の量で析出させ、電気亜鉛めっき
層の表面上に金属層を形成することによって、クロメー
ト処理材の耐黒変性を改善することができ、白色度に優
れた電気亜鉛めっき鋼板が得られる。
よびCoの少なくとも1つを、0.01mg/m2 以上、1
0mg/m2 以下の範囲内の量で析出させ、電気亜鉛めっき
層の表面上に金属層を形成することによって、クロメー
ト処理材の耐黒変性を改善することができ、白色度に優
れた電気亜鉛めっき鋼板が得られる。
【0021】NiおよびCoの少なくとも1つの析出量
が0.01mg/m2 未満では、クロメート処理材の耐黒変
性を顕著に改善することはできない。一方、Niおよび
Coの少なくとも1つの析出量が10mg/m2 を超える
と、白色度の低下、ムラの発生等の外観の劣化が生じ
る。従って、電気亜鉛めっき層の表面へのNiおよびC
oの少なくとも1つの析出量は0.01mg/m2 以上、1
0mg/m2 以下の範囲内に限定すべきであり、これによっ
て、クロメート処理材の耐黒変性を改善するというNi
および/またはCoの効果が十分に発揮されると共に、
上記成分に起因する外観の劣化を、実質的に無視できる
程度に抑制することができる。
が0.01mg/m2 未満では、クロメート処理材の耐黒変
性を顕著に改善することはできない。一方、Niおよび
Coの少なくとも1つの析出量が10mg/m2 を超える
と、白色度の低下、ムラの発生等の外観の劣化が生じ
る。従って、電気亜鉛めっき層の表面へのNiおよびC
oの少なくとも1つの析出量は0.01mg/m2 以上、1
0mg/m2 以下の範囲内に限定すべきであり、これによっ
て、クロメート処理材の耐黒変性を改善するというNi
および/またはCoの効果が十分に発揮されると共に、
上記成分に起因する外観の劣化を、実質的に無視できる
程度に抑制することができる。
【0022】電気亜鉛めっき層の表面へのNiおよびC
oの少なくとも1つの、より好ましい析出量は、0.0
1mg/m2 以上、1mg/m2 以下の範囲内であり、更に好ま
しくは、0.01mg/m2 以上、0.2mg/m2 以下の範囲
内である。
oの少なくとも1つの、より好ましい析出量は、0.0
1mg/m2 以上、1mg/m2 以下の範囲内であり、更に好ま
しくは、0.01mg/m2 以上、0.2mg/m2 以下の範囲
内である。
【0023】上述したように、この発明の方法によって
製造された耐黒変性に優れた電気亜鉛めっき鋼板は、電
気亜鉛めっき層の表面にNiおよびCoの少なくとも1
つが上述した所定量で析出され、電気亜鉛めっき層の表
面上に金属層が形成されていることを除き、従来の電気
亜鉛めっき鋼板と同一である。従って、その他の構成要
素に関する説明を省略する。
製造された耐黒変性に優れた電気亜鉛めっき鋼板は、電
気亜鉛めっき層の表面にNiおよびCoの少なくとも1
つが上述した所定量で析出され、電気亜鉛めっき層の表
面上に金属層が形成されていることを除き、従来の電気
亜鉛めっき鋼板と同一である。従って、その他の構成要
素に関する説明を省略する。
【0024】次に、この発明の、耐黒変性に優れた電気
亜鉛めっき鋼板の製造方法について以下に説明する。黒
変現象は、亜鉛表面の酸化によって生ずる現象であると
考えられており、従って、亜鉛めっき層の表面を改質す
ることによって、黒変現象を抑制することができると判
断される。即ち、亜鉛めっき被膜中へのNiの添加は耐
黒変性に好ましい影響を及ぼすことから、亜鉛めっき層
の表面にNiを析出させることによって、耐黒変性を改
善することができると判断される。
亜鉛めっき鋼板の製造方法について以下に説明する。黒
変現象は、亜鉛表面の酸化によって生ずる現象であると
考えられており、従って、亜鉛めっき層の表面を改質す
ることによって、黒変現象を抑制することができると判
断される。即ち、亜鉛めっき被膜中へのNiの添加は耐
黒変性に好ましい影響を及ぼすことから、亜鉛めっき層
の表面にNiを析出させることによって、耐黒変性を改
善することができると判断される。
【0025】何れの処理方法によっても、電気亜鉛めっ
き層の表面にNiを析出させて、耐黒変性を改善するこ
とができるわけではなく、限られた処理条件に従って、
電気亜鉛めっき層の表面にNiを析出させることによ
り、耐黒変性を改善することができる。その方法につい
て、以下に詳述する。
き層の表面にNiを析出させて、耐黒変性を改善するこ
とができるわけではなく、限られた処理条件に従って、
電気亜鉛めっき層の表面にNiを析出させることによ
り、耐黒変性を改善することができる。その方法につい
て、以下に詳述する。
【0026】本発明者等は、電気亜鉛めっき層の表面に
Niを析出させる方法に関して鋭意研究を重ねた結果、
黒変現象の防止に有効なNiの析出は、ピロリン酸ナト
リウム系溶液またはトリポリリン酸ナトリウム溶液また
は両者の混合液によってのみ可能であることを知見し
た。
Niを析出させる方法に関して鋭意研究を重ねた結果、
黒変現象の防止に有効なNiの析出は、ピロリン酸ナト
リウム系溶液またはトリポリリン酸ナトリウム溶液また
は両者の混合液によってのみ可能であることを知見し
た。
【0027】周知のように、Niは両性金属であり、N
iイオンは酸性溶液およびアルカリ性溶液中において、
より大きい溶解度を有する。そこで、酸性溶液およびア
ルカリ性溶液の双方を使用して、Niの析出処理を行っ
た。
iイオンは酸性溶液およびアルカリ性溶液中において、
より大きい溶解度を有する。そこで、酸性溶液およびア
ルカリ性溶液の双方を使用して、Niの析出処理を行っ
た。
【0028】先ず、酸性浴を使用し、電気亜鉛めっき層
の表面へのNiの析出を試みた結果、上記Niの析出は
可能であることが確認された。しかしながら、酸性浴を
使用してNiを析出させた場合には、その後のクロメー
ト処理におけるクロメート付着量が極端に低下し、ま
た、耐黒変性改善効果も不十分であった。一方、強アル
カリ浴、例えば、水酸化ナトリウム系溶液を用いて、電
気亜鉛めっき層の表面へのNiの析出を試みたが、同め
っき層の表面に十分な量のNiを析出させることはでき
なかった。
の表面へのNiの析出を試みた結果、上記Niの析出は
可能であることが確認された。しかしながら、酸性浴を
使用してNiを析出させた場合には、その後のクロメー
ト処理におけるクロメート付着量が極端に低下し、ま
た、耐黒変性改善効果も不十分であった。一方、強アル
カリ浴、例えば、水酸化ナトリウム系溶液を用いて、電
気亜鉛めっき層の表面へのNiの析出を試みたが、同め
っき層の表面に十分な量のNiを析出させることはでき
なかった。
【0029】そこで、本発明者等は、中性乃至弱アルカ
リ性の処理液を使用してNiを析出させる方法につき研
究を行った。前述したように、先行技術7(特開平2−
267279号公報)には、溶融亜鉛めっき鋼板を、グ
ルコン酸NaとEDTA、NTA,クエン酸塩等のよう
な錯化剤を含有するNi、Co処理液に接触させること
により耐黒変性を改善する方法が開示されているが、こ
の方法では、溶融亜鉛めっき鋼板の耐黒変性は改善され
ても、電気亜鉛めっき鋼板の耐黒変性を改善することは
できない。
リ性の処理液を使用してNiを析出させる方法につき研
究を行った。前述したように、先行技術7(特開平2−
267279号公報)には、溶融亜鉛めっき鋼板を、グ
ルコン酸NaとEDTA、NTA,クエン酸塩等のよう
な錯化剤を含有するNi、Co処理液に接触させること
により耐黒変性を改善する方法が開示されているが、こ
の方法では、溶融亜鉛めっき鋼板の耐黒変性は改善され
ても、電気亜鉛めっき鋼板の耐黒変性を改善することは
できない。
【0030】その理由は、電気亜鉛めっき鋼板に対して
は、使用した処理液の成分、および、それら成分の存在
状態に大きな影響を与えるpHが適切でなく、従って、析
出したNiおよび/またはCoの存在状態と電気亜鉛め
っき層の表面状態とが、電気亜鉛めっき鋼板の黒変防止
に不適切であったためであると考えられる。
は、使用した処理液の成分、および、それら成分の存在
状態に大きな影響を与えるpHが適切でなく、従って、析
出したNiおよび/またはCoの存在状態と電気亜鉛め
っき層の表面状態とが、電気亜鉛めっき鋼板の黒変防止
に不適切であったためであると考えられる。
【0031】そこで、電気亜鉛めっき鋼板に対しもっと
も適切な、処理液の成分系とpH値の検討を進めた。その
結果、pH8以上11未満のピロリン酸ナトリウム系溶液
またはトリポリリン酸ナトリウム系溶液またはこれらの
混合液を使用した場合には、かなり高濃度のNiイオン
が溶解されることを見出した。
も適切な、処理液の成分系とpH値の検討を進めた。その
結果、pH8以上11未満のピロリン酸ナトリウム系溶液
またはトリポリリン酸ナトリウム系溶液またはこれらの
混合液を使用した場合には、かなり高濃度のNiイオン
が溶解されることを見出した。
【0032】電気亜鉛めっき鋼板にこのような溶液を接
触させたところ、電気亜鉛めっき層の表面に、十分な量
のNiおよび/またはCoを析出させることが可能であ
り、NiおよびCoが均一に析出していることが確認さ
れた。また、クロメート皮膜も均一に生成していた。こ
れによって、電気亜鉛めっき鋼板の場合でも、クロメー
ト処理後の耐黒変性が著しく改善されることが確認され
た。
触させたところ、電気亜鉛めっき層の表面に、十分な量
のNiおよび/またはCoを析出させることが可能であ
り、NiおよびCoが均一に析出していることが確認さ
れた。また、クロメート皮膜も均一に生成していた。こ
れによって、電気亜鉛めっき鋼板の場合でも、クロメー
ト処理後の耐黒変性が著しく改善されることが確認され
た。
【0033】更に、Niと同様、Coイオンも、pH8以
上11未満の弱アルカリ性のピロリン酸ナトリウム系溶
液またはトリポリリン酸ナトリウム系溶液またはこれら
の混合液に溶解でき、この溶液に電気亜鉛めっき鋼板を
接触させることによって金属Coが析出し、クロメート
処理後の耐黒変性を大きく改善し得ることが確認され
た。
上11未満の弱アルカリ性のピロリン酸ナトリウム系溶
液またはトリポリリン酸ナトリウム系溶液またはこれら
の混合液に溶解でき、この溶液に電気亜鉛めっき鋼板を
接触させることによって金属Coが析出し、クロメート
処理後の耐黒変性を大きく改善し得ることが確認され
た。
【0034】前述したように、Niおよび/またはCo
の析出量は、0.01mg/m2 以上、10mg/m2 以下の範
囲内に維持しなければならないが、Niおよび/または
Coの析出量をこの範囲内に維持するためには、pH値が
8以上11未満の弱アルカリ性溶液であるピロリン酸ナ
トリウム系溶液またはトリポリリン酸ナトリウム系溶液
またはこれらの混合液中に、0.001g/l以上、10
g/l以下のNiイオンおよび/またはCoイオンを添加
すればよい。
の析出量は、0.01mg/m2 以上、10mg/m2 以下の範
囲内に維持しなければならないが、Niおよび/または
Coの析出量をこの範囲内に維持するためには、pH値が
8以上11未満の弱アルカリ性溶液であるピロリン酸ナ
トリウム系溶液またはトリポリリン酸ナトリウム系溶液
またはこれらの混合液中に、0.001g/l以上、10
g/l以下のNiイオンおよび/またはCoイオンを添加
すればよい。
【0035】弱アルカリ性溶液である、ピロリン酸ナト
リウム系溶液またはトリポリリン酸ナトリウム系溶液ま
たはこれらの混合液に対する、Niイオンおよび/また
はCoイオンの添加量が0.001g/l未満では、十分
な耐黒変性を発揮させることができず、一方、上記添加
量が10g/lを超えると鋼板の耐食性低下を招く。
リウム系溶液またはトリポリリン酸ナトリウム系溶液ま
たはこれらの混合液に対する、Niイオンおよび/また
はCoイオンの添加量が0.001g/l未満では、十分
な耐黒変性を発揮させることができず、一方、上記添加
量が10g/lを超えると鋼板の耐食性低下を招く。
【0036】電気亜鉛めっき層の表面に対し、Niおよ
び/またはCoを、前述したより好ましい析出量であ
る、0.01mg/m2 以上、1mg/m2 以下の範囲内、更に
より好ましい析出量である、0.01mg/m2 以上、0.
2mg/m2 以下の範囲内で析出させるためには、pH値が8
以上11未満の弱アルカリ性溶液であるピロリン酸ナト
リウム系溶液またはトリポリリン酸ナトリウム系溶液ま
たはこれらの混合液に対するNiイオンおよび/または
Coイオンの添加量を、0.005g/l以上、0.2g/
l以下とすることが好ましい。
び/またはCoを、前述したより好ましい析出量であ
る、0.01mg/m2 以上、1mg/m2 以下の範囲内、更に
より好ましい析出量である、0.01mg/m2 以上、0.
2mg/m2 以下の範囲内で析出させるためには、pH値が8
以上11未満の弱アルカリ性溶液であるピロリン酸ナト
リウム系溶液またはトリポリリン酸ナトリウム系溶液ま
たはこれらの混合液に対するNiイオンおよび/または
Coイオンの添加量を、0.005g/l以上、0.2g/
l以下とすることが好ましい。
【0037】上述したように、この発明の、耐黒変性に
優れた電気亜鉛めっき鋼板の製造方法は、電気亜鉛めっ
き層の表面にNiおよびCoの少なくとも1つを所定量
で析出させ、もって、電気亜鉛めっき層の表面上に金属
層を形成するステップを除き、従来の電気亜鉛めっき鋼
板の製造方法と同一である。従って、その他のステップ
の説明を省略する。
優れた電気亜鉛めっき鋼板の製造方法は、電気亜鉛めっ
き層の表面にNiおよびCoの少なくとも1つを所定量
で析出させ、もって、電気亜鉛めっき層の表面上に金属
層を形成するステップを除き、従来の電気亜鉛めっき鋼
板の製造方法と同一である。従って、その他のステップ
の説明を省略する。
【0038】
【実施例】次に、この発明の耐黒変性に優れた電気亜鉛
めっき鋼板の製造方法を、実施例により、比較例と対比
しながら更に詳細に説明する。表1に示すめっき条件に
従って、鋼板に電気亜鉛めっきを施し、電気亜鉛めっき
鋼板を調製した。
めっき鋼板の製造方法を、実施例により、比較例と対比
しながら更に詳細に説明する。表1に示すめっき条件に
従って、鋼板に電気亜鉛めっきを施し、電気亜鉛めっき
鋼板を調製した。
【0039】
【表1】
【0040】次いで、上記電気亜鉛めっき鋼板を本発明
の範囲内の成分組成およびpH値を有する処理液中に浸漬
させることによって金属析出処理を行い、かくして、電
気亜鉛めっき鋼板の亜鉛めっき層の表面に、Niおよび
Coの少なくとも1つを本発明の範囲内の量で析出さ
せ、もって、電気亜鉛めっき層の表面上に金属層を形成
した。上記金属析出処理における、処理液の成分組成、
pH値、処理時間、Niおよび/またはCoの析出量を
表2に記す。
の範囲内の成分組成およびpH値を有する処理液中に浸漬
させることによって金属析出処理を行い、かくして、電
気亜鉛めっき鋼板の亜鉛めっき層の表面に、Niおよび
Coの少なくとも1つを本発明の範囲内の量で析出さ
せ、もって、電気亜鉛めっき層の表面上に金属層を形成
した。上記金属析出処理における、処理液の成分組成、
pH値、処理時間、Niおよび/またはCoの析出量を
表2に記す。
【0041】
【表2】
【0042】次いで、電気亜鉛めっき層の表面にNiお
よびCoの少なくとも1つからなる金属層が形成された
上記電気亜鉛めっき鋼板に、表4に示すクロメート条件
に従って、クロメート処理を行い、かくして、本発明の
範囲内の金属層を有する電気亜鉛めっき鋼板の供試体
(以下、「本発明供試体」という)No.1〜21を調
製した。適用されたクロメート処理の種類およびクロメ
ート付着量を表2に併せて記す。
よびCoの少なくとも1つからなる金属層が形成された
上記電気亜鉛めっき鋼板に、表4に示すクロメート条件
に従って、クロメート処理を行い、かくして、本発明の
範囲内の金属層を有する電気亜鉛めっき鋼板の供試体
(以下、「本発明供試体」という)No.1〜21を調
製した。適用されたクロメート処理の種類およびクロメ
ート付着量を表2に併せて記す。
【0043】比較のために、上述した条件に従って調製
された電気亜鉛めっき鋼板を、成分組成およびpH値の少
なくとも1つが本発明の範囲を外れた処理液中に浸漬さ
せることによって金属析出処理を行い、電気亜鉛めっき
鋼板の亜鉛めっき層の表面に、NiおよびCoの少なく
とも1つを析出させることにより、電気亜鉛めっき層の
表面上に金属層を形成し、次いで、表4に示すクロメー
ト条件に従って、クロメート処理を行い、かくして、表
3に示す本発明の範囲外の電気亜鉛めっき鋼板の供試体
(以下、「比較用供試体」という)No.1〜6を調製
した。表4に、めっき条件、処理液の成分組成、pH
値、処理時間、Niおよび/またはCoの析出量、クロ
メート処理の種類およびクロメート付着量を併せて示
す。
された電気亜鉛めっき鋼板を、成分組成およびpH値の少
なくとも1つが本発明の範囲を外れた処理液中に浸漬さ
せることによって金属析出処理を行い、電気亜鉛めっき
鋼板の亜鉛めっき層の表面に、NiおよびCoの少なく
とも1つを析出させることにより、電気亜鉛めっき層の
表面上に金属層を形成し、次いで、表4に示すクロメー
ト条件に従って、クロメート処理を行い、かくして、表
3に示す本発明の範囲外の電気亜鉛めっき鋼板の供試体
(以下、「比較用供試体」という)No.1〜6を調製
した。表4に、めっき条件、処理液の成分組成、pH
値、処理時間、Niおよび/またはCoの析出量、クロ
メート処理の種類およびクロメート付着量を併せて示
す。
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】なお、表2および表3における処理液中の
NiおよびCoは、硫酸塩(6,7水塩)で添加した。
このように調製された本発明供試体No.1〜21およ
び比較用供試体No. 1〜6の各々について、下記方法に
より黒変試験および外観変化の検査を行った。
NiおよびCoは、硫酸塩(6,7水塩)で添加した。
このように調製された本発明供試体No.1〜21およ
び比較用供試体No. 1〜6の各々について、下記方法に
より黒変試験および外観変化の検査を行った。
【0047】(1) 黒変試験方法:供試体の白色度をJI
SZ8730に準拠したLab系で測定した。次いで、
供試体を積み重ねた状態で、50°Cの温度および95
%の相対湿度において、湿潤試験を60日間行い、当該
湿潤試験後に、供試体の白色度を上述した方法で再び測
定した。次いで、湿潤試験前後における測定された白色
度の変化量(ΔL)を求めた。このようにして求められ
た白色度の変化量(ΔL)に基づき、各供試体の耐黒変
性を、下記基準により評価した。評価結果を表2に併せ
て記す。
SZ8730に準拠したLab系で測定した。次いで、
供試体を積み重ねた状態で、50°Cの温度および95
%の相対湿度において、湿潤試験を60日間行い、当該
湿潤試験後に、供試体の白色度を上述した方法で再び測
定した。次いで、湿潤試験前後における測定された白色
度の変化量(ΔL)を求めた。このようにして求められ
た白色度の変化量(ΔL)に基づき、各供試体の耐黒変
性を、下記基準により評価した。評価結果を表2に併せ
て記す。
【0048】 ○:ΔL≧−2であって、耐黒変性に優れていた。 ×:ΔL<−2であって、耐黒変性に劣っていた。 (2) 外観判定基準:供試体の白色度を上記と同様にJI
SZ8730に準拠したLab系で測定した。次いで、
上述した金属析出処理を行っていない、基準供試体とし
ての電気亜鉛めっき鋼板の白色度を同様の方法で測定し
た。次いで、各供試体の各々の白色度の測定値と基準供
試体の白色度の測定値の差を求めた。このようにして求
められた差の値に基づいて、各供試体の外観を、下記に
より評価した。評価結果を、表2に併せて記す。
SZ8730に準拠したLab系で測定した。次いで、
上述した金属析出処理を行っていない、基準供試体とし
ての電気亜鉛めっき鋼板の白色度を同様の方法で測定し
た。次いで、各供試体の各々の白色度の測定値と基準供
試体の白色度の測定値の差を求めた。このようにして求
められた差の値に基づいて、各供試体の外観を、下記に
より評価した。評価結果を、表2に併せて記す。
【0049】 ◎:金属析出処理による白色度の低下が1未満であっ
た。 ○:金属析出処理による白色度の低下が1以上2未満で
あった。 △:金属析出処理による白色度の低下が2以上4未満で
あった。
た。 ○:金属析出処理による白色度の低下が1以上2未満で
あった。 △:金属析出処理による白色度の低下が2以上4未満で
あった。
【0050】 ×:金属析出処理による白色度の低下が4以上であっ
た。 表2から明らかなように、本発明供試体No.1〜21
の何れも、耐黒変性に優れており、しかも、十分なクロ
メート付着量が確保されていた。また、金属析出量が
0.01〜0.2mg/m2 の範囲内の本発明供試体No.
1〜4、9、11〜12、14〜16、18、20およ
び21においては、クロメート処理後の外観が優れてお
り、白色度の低下が1未満と著しく少なかった。金属析
出量が0.5〜1mg/m2 の範囲内の本発明供試体No.
5、6、10、13、17および19においては、クロ
メート処理後の外観が良好であり、白色度の低下が1以
上2未満と少なかった。金属析出量が4.5〜9.4mg
/m2 の範囲内の本発明供試体No.7および8において
は、クロメート処理後の外観が許容範囲内であり、白色
度の低下が2以上4未満であった。
た。 表2から明らかなように、本発明供試体No.1〜21
の何れも、耐黒変性に優れており、しかも、十分なクロ
メート付着量が確保されていた。また、金属析出量が
0.01〜0.2mg/m2 の範囲内の本発明供試体No.
1〜4、9、11〜12、14〜16、18、20およ
び21においては、クロメート処理後の外観が優れてお
り、白色度の低下が1未満と著しく少なかった。金属析
出量が0.5〜1mg/m2 の範囲内の本発明供試体No.
5、6、10、13、17および19においては、クロ
メート処理後の外観が良好であり、白色度の低下が1以
上2未満と少なかった。金属析出量が4.5〜9.4mg
/m2 の範囲内の本発明供試体No.7および8において
は、クロメート処理後の外観が許容範囲内であり、白色
度の低下が2以上4未満であった。
【0051】これに対し、処理液のpH値が本発明範囲を
超えて高く、Ni、Coの析出量が0の比較用供試体N
o.1においては、耐黒変性に劣っていた。処理液のpH
値が本発明範囲を外れて低い比較用供試体No.2およ
び3においては、耐黒変性および外観が共に劣ってい
た。処理液のpH値が本発明範囲を外れて低く、Ni、C
oの析出量が0または殆ど0の比較用供試体No.4お
よび5においは、耐黒変性に劣っていた。また、処理液
のNiイオン含有量が本発明の範囲を超えて多く、Ni
の析出量が本発明の範囲を超えて多い比較用供試体N
o.6においは、外観が劣っていた。
超えて高く、Ni、Coの析出量が0の比較用供試体N
o.1においては、耐黒変性に劣っていた。処理液のpH
値が本発明範囲を外れて低い比較用供試体No.2およ
び3においては、耐黒変性および外観が共に劣ってい
た。処理液のpH値が本発明範囲を外れて低く、Ni、C
oの析出量が0または殆ど0の比較用供試体No.4お
よび5においは、耐黒変性に劣っていた。また、処理液
のNiイオン含有量が本発明の範囲を超えて多く、Ni
の析出量が本発明の範囲を超えて多い比較用供試体N
o.6においは、外観が劣っていた。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、クロメート処理材に関しては、耐黒変性が改善さ
れ、クロメート処理材以外のリン酸塩処理材等に関して
は、外観の劣化がない、耐黒変性に優れた電気亜鉛めっ
き鋼板を得ることができ、また、鋼板に特定のめっき浴
を用いて亜鉛めっき処理を行い、次いで、クロメート処
理、リン酸塩処理等の後処理を行うことによって得られ
る亜鉛めっき鋼板の製造のみならず、鋼板に上述した同
一のめっき浴を用いて亜鉛めっき処理を行い、上述した
後処理を行わないことによって得られる、後処理なしの
電気亜鉛めっき鋼板の製造も可能な製造ラインにおい
て、クロメート処理材に関しては、耐黒変性を改善する
ことができ、クロメート処理材以外のリン酸塩処理材等
に関しては、外観の劣化を防止することが可能な、耐黒
変性に優れた亜鉛めっき鋼板およびその製造方法を提供
することができ、かくして、工業上有用な効果がもたら
される。
ば、クロメート処理材に関しては、耐黒変性が改善さ
れ、クロメート処理材以外のリン酸塩処理材等に関して
は、外観の劣化がない、耐黒変性に優れた電気亜鉛めっ
き鋼板を得ることができ、また、鋼板に特定のめっき浴
を用いて亜鉛めっき処理を行い、次いで、クロメート処
理、リン酸塩処理等の後処理を行うことによって得られ
る亜鉛めっき鋼板の製造のみならず、鋼板に上述した同
一のめっき浴を用いて亜鉛めっき処理を行い、上述した
後処理を行わないことによって得られる、後処理なしの
電気亜鉛めっき鋼板の製造も可能な製造ラインにおい
て、クロメート処理材に関しては、耐黒変性を改善する
ことができ、クロメート処理材以外のリン酸塩処理材等
に関しては、外観の劣化を防止することが可能な、耐黒
変性に優れた亜鉛めっき鋼板およびその製造方法を提供
することができ、かくして、工業上有用な効果がもたら
される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−236788(JP,A) 特開 平4−198488(JP,A) 特開 平2−267279(JP,A) 特開 昭55−91997(JP,A) 特開 昭62−170485(JP,A) 特開 平6−293973(JP,A) 特開 平5−195249(JP,A) 特開 平4−350174(JP,A) 特開 平2−101176(JP,A) 特開 昭62−20881(JP,A) 特開 昭61−110779(JP,A) 特開 昭63−213682(JP,A) 特開 昭62−20880(JP,A) 特開 平2−43374(JP,A) 特開 平2−43376(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25D 5/26 C23C 28/00 C25D 3/22
Claims (1)
- 【請求項1】 鋼板に電気亜鉛めっきを施して、少なく
とも一方の表面上に電気亜鉛めっき層が形成された電気
亜鉛めっき鋼板を調製し、前記電気亜鉛めっき鋼板を、
NiイオンおよびCoイオンの少なくとも1つが、0.
001g/l以上、10g/l以下の量で添加され、p
H値が8以上、11未満の弱アルカリ性溶液に接触させ
ることによって、前記電気亜鉛めっき層の表面に、Ni
およびCoの少なくとも1つを0.01mg/m 2 以
上、10mg/m 2 以下の範囲内の量で析出させて前記
電気めっき層の表面に金属層を形成し、次いで、クロメ
ート処理を施し、前記弱アルカリ性溶液は、ピロリン酸
ナトリウム系溶液またはトリポリリン酸ナトリウム系溶
液、または、前記ピロリン酸ナトリウム系溶液と前記ト
リポリリン酸ナトリウム系溶液との混合液であることを
特徴とする、耐黒変性に優れたクロメート処理電気亜鉛
めっき鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32911797A JP3309788B2 (ja) | 1996-12-02 | 1997-11-28 | 耐黒変性に優れたクロメート処理電気亜鉛めっき鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8-321920 | 1996-12-02 | ||
JP32192096 | 1996-12-02 | ||
JP32911797A JP3309788B2 (ja) | 1996-12-02 | 1997-11-28 | 耐黒変性に優れたクロメート処理電気亜鉛めっき鋼板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10219494A JPH10219494A (ja) | 1998-08-18 |
JP3309788B2 true JP3309788B2 (ja) | 2002-07-29 |
Family
ID=26570632
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32911797A Expired - Fee Related JP3309788B2 (ja) | 1996-12-02 | 1997-11-28 | 耐黒変性に優れたクロメート処理電気亜鉛めっき鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3309788B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017155261A (ja) | 2016-02-29 | 2017-09-07 | 株式会社神戸製鋼所 | 外観に優れた表面処理亜鉛系めっき鋼板 |
JP6856451B2 (ja) | 2016-08-05 | 2021-04-07 | 株式会社神戸製鋼所 | 表面処理金属板、及び表面処理金属板の製造方法 |
-
1997
- 1997-11-28 JP JP32911797A patent/JP3309788B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10219494A (ja) | 1998-08-18 |
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Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
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LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |