JP3319402B2 - 耐食性および表面外観に優れる亜鉛めっき鋼板のクロメート処理方法 - Google Patents
耐食性および表面外観に優れる亜鉛めっき鋼板のクロメート処理方法Info
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、亜鉛めっき鋼板の
クロメート処理方法、特に亜鉛めっき鋼板の反応型クロ
メート処理方法に関する。
クロメート処理方法、特に亜鉛めっき鋼板の反応型クロ
メート処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】亜鉛めっき鋼板には、耐食性向上のため
にクロメート処理が施される。近年、より優れた耐食性
を得るために、クロメート皮膜のクロム付着量を20〜
50mg/m2に増加した厚膜のクロメート処理を施し
たクロメート処理鋼板、あるいはさらに上層に有機樹脂
の塗布皮膜を形成した2層構造のクロメート処理鋼板が
製造されている。
にクロメート処理が施される。近年、より優れた耐食性
を得るために、クロメート皮膜のクロム付着量を20〜
50mg/m2に増加した厚膜のクロメート処理を施し
たクロメート処理鋼板、あるいはさらに上層に有機樹脂
の塗布皮膜を形成した2層構造のクロメート処理鋼板が
製造されている。
【0003】前記クロメート処理鋼板は、無塗装で使用
されることが多いため、耐食性に加えて良好な表面外観
が要求される。
されることが多いため、耐食性に加えて良好な表面外観
が要求される。
【0004】クロメート皮膜を厚膜にした場合、クロム
付着量の変動や処理ムラが目立ちやすくなる。特に、ク
ロメート処理液に鋼板との反応性を促進するアニオンを
添加して厚膜のクロメート皮膜を得る反応型クロメート
処理は、クロム付着量の変動や処理ムラが発生しやす
い。
付着量の変動や処理ムラが目立ちやすくなる。特に、ク
ロメート処理液に鋼板との反応性を促進するアニオンを
添加して厚膜のクロメート皮膜を得る反応型クロメート
処理は、クロム付着量の変動や処理ムラが発生しやす
い。
【0005】クロム付着量の変動や処理ムラは、クロメ
ート処理後の鋼板の耐食性に影響するのみならず、表面
外観不良になり商品価値を損なうので、これらはできる
だけ少ない方が好ましい。
ート処理後の鋼板の耐食性に影響するのみならず、表面
外観不良になり商品価値を損なうので、これらはできる
だけ少ない方が好ましい。
【0006】近年、多種類の電気亜鉛合金めっき鋼板が
開発された。これらの鋼板は、通常の電気亜鉛めっき鋼
板と共通の製造設備を用いて、めっき処理槽のめっき液
を交換して製造される場合が多い。
開発された。これらの鋼板は、通常の電気亜鉛めっき鋼
板と共通の製造設備を用いて、めっき処理槽のめっき液
を交換して製造される場合が多い。
【0007】めっき液を交換する場合、変更前のめっき
液が変更後のめっき液に不純物として混入しないよう
に、めっき液の交換の際に、生産を停止してめっき処理
槽の洗浄を行っている。しかし、入念な洗浄を行って
も、変更前のめっき液の一部が不純物として変更後のめ
っき液中に混入する。
液が変更後のめっき液に不純物として混入しないよう
に、めっき液の交換の際に、生産を停止してめっき処理
槽の洗浄を行っている。しかし、入念な洗浄を行って
も、変更前のめっき液の一部が不純物として変更後のめ
っき液中に混入する。
【0008】例えば、亜鉛−ニッケル合金めっきを亜鉛
めっきに変更する場合、変更前の合金めっき液中のNi
イオンが変更後の亜鉛めっき液中に不純物として混入す
る。亜鉛めっき液中にNiイオンが混入すると、クロメ
ート処理の際に鋼板上面に斑点状の処理ムラが著しく発
生しやすくなる。すなわち、亜鉛めっき液中のNi濃度
が50ppm以下では、クロメート処理時に処理ムラが
発生しないが、Ni濃度が50ppmを超えると図2に
示すような斑点状の軽い処理ムラが発生し、Ni濃度が
100ppmを超えるとさらに酷い斑点状の処理ムラに
なる。
めっきに変更する場合、変更前の合金めっき液中のNi
イオンが変更後の亜鉛めっき液中に不純物として混入す
る。亜鉛めっき液中にNiイオンが混入すると、クロメ
ート処理の際に鋼板上面に斑点状の処理ムラが著しく発
生しやすくなる。すなわち、亜鉛めっき液中のNi濃度
が50ppm以下では、クロメート処理時に処理ムラが
発生しないが、Ni濃度が50ppmを超えると図2に
示すような斑点状の軽い処理ムラが発生し、Ni濃度が
100ppmを超えるとさらに酷い斑点状の処理ムラに
なる。
【0009】処理ムラを防止するために電気めっき後の
鋼板表面の洗浄を強化することが提案されている(例え
ば実開昭62−194762号公報)が、前記の処理ム
ラは洗浄を強化しても改善されない。
鋼板表面の洗浄を強化することが提案されている(例え
ば実開昭62−194762号公報)が、前記の処理ム
ラは洗浄を強化しても改善されない。
【0010】したがって、めっき液を亜鉛−ニッケル合
金めっきから亜鉛めっきに交換し、亜鉛めっき後にクロ
メート処理する場合、処理ムラの発生を防止するには、
交換後の亜鉛めっき液中のNiイオン濃度を50ppm
以下に低減する必要がある。Ni濃度を50ppm以下
に低減するには、長時間に及ぶめっき処理槽の洗浄作業
が必要になり、生産性を著しく損なう。
金めっきから亜鉛めっきに交換し、亜鉛めっき後にクロ
メート処理する場合、処理ムラの発生を防止するには、
交換後の亜鉛めっき液中のNiイオン濃度を50ppm
以下に低減する必要がある。Ni濃度を50ppm以下
に低減するには、長時間に及ぶめっき処理槽の洗浄作業
が必要になり、生産性を著しく損なう。
【0011】クロメート処理後の鋼板表面の処理ムラ発
生の問題は、Niイオンが混入した場合だけでなく、亜
鉛めっき液中にCoイオンが混入した場合でも同様であ
る。
生の問題は、Niイオンが混入した場合だけでなく、亜
鉛めっき液中にCoイオンが混入した場合でも同様であ
る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情を考慮したものであり、例えばめっき液を亜鉛−ニ
ッケル合金めっきから亜鉛めっきに交換した後の微量の
Niイオンを含有する亜鉛めっき液でめっきした鋼板に
反応型クロメート処理を行う場合のように、処理ムラが
発生しやすいクロメート処理であっても、鋼板上面の処
理ムラを低減できるクロメート処理方法を提供すること
を目的とする。
事情を考慮したものであり、例えばめっき液を亜鉛−ニ
ッケル合金めっきから亜鉛めっきに交換した後の微量の
Niイオンを含有する亜鉛めっき液でめっきした鋼板に
反応型クロメート処理を行う場合のように、処理ムラが
発生しやすいクロメート処理であっても、鋼板上面の処
理ムラを低減できるクロメート処理方法を提供すること
を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、クロメー
ト処理液の組成や濃度が変化すると処理ムラの発生状況
が変化する点に着目し、処理液の組成や濃度と処理ムラ
の関係について調査した。その結果、反応を促進するた
めに添加するアニオンの種類や含有量によって処理ムラ
の程度が著しく異なり、SO4 2-濃度を上げると処理ム
ラを防止する効果が大きいことがわかった。本発明は、
この知見にさらに検討を加えた結果得られたものであ
る。
ト処理液の組成や濃度が変化すると処理ムラの発生状況
が変化する点に着目し、処理液の組成や濃度と処理ムラ
の関係について調査した。その結果、反応を促進するた
めに添加するアニオンの種類や含有量によって処理ムラ
の程度が著しく異なり、SO4 2-濃度を上げると処理ム
ラを防止する効果が大きいことがわかった。本発明は、
この知見にさらに検討を加えた結果得られたものであ
る。
【0014】前記課題を解決するための本発明の手段
は、亜鉛めっき鋼板表面に、Cr6+/(Cr3++C
r6+)が0.6〜0.8の範囲内でCr3++Cr6+を4
〜6g/l、SO4 2-を1〜8g/l、NO3 -を8〜1
2g/l、Zn2+を3〜8g/l含むクロメート水溶液
をスプレー処理して、鋼板表面にクロム付着量が20〜
50mg/m2のクロメート皮膜を形成することを特徴
とする耐食性および表面外観に優れる亜鉛めっき鋼板の
クロメート処理方法である。
は、亜鉛めっき鋼板表面に、Cr6+/(Cr3++C
r6+)が0.6〜0.8の範囲内でCr3++Cr6+を4
〜6g/l、SO4 2-を1〜8g/l、NO3 -を8〜1
2g/l、Zn2+を3〜8g/l含むクロメート水溶液
をスプレー処理して、鋼板表面にクロム付着量が20〜
50mg/m2のクロメート皮膜を形成することを特徴
とする耐食性および表面外観に優れる亜鉛めっき鋼板の
クロメート処理方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】反応性クロメート処理では、鋼板
とクロメート処理液の反応によって短時間で所定のクロ
メート皮膜を形成する必要がある。クロメート処理液の
反応性を高めるために、処理液に1種又は2種以上のア
ニオンが添加される。これまで、反応性の観点からなさ
れたアニオンの検討は多いが、処理ムラについては全く
考慮されていない。
とクロメート処理液の反応によって短時間で所定のクロ
メート皮膜を形成する必要がある。クロメート処理液の
反応性を高めるために、処理液に1種又は2種以上のア
ニオンが添加される。これまで、反応性の観点からなさ
れたアニオンの検討は多いが、処理ムラについては全く
考慮されていない。
【0016】本発明者らは、クロメート処理液中のSO
4 2-濃度によって処理ムラが影響を受けるという知見に
基き、SO4 2-濃度と処理ムラの関係を調査した。
4 2-濃度によって処理ムラが影響を受けるという知見に
基き、SO4 2-濃度と処理ムラの関係を調査した。
【0017】調査結果を図1に示す。なお、図1におい
て、外観評点は、鋼板表面を目視観察して処理ムラの程
度を下記の基準に従って5段階に評価したものである。
評点4以上が求められている。 評点5:外観均一で、処理ムラのないもの 評点4:外観均一で、極軽微な処理ムラのあるもの 評点3:軽度の処理ムラのあるもの 評点2:外観不均一で、処理ムラのあるもの 評点1:外観不均一で、処理ムラの酷いもの
て、外観評点は、鋼板表面を目視観察して処理ムラの程
度を下記の基準に従って5段階に評価したものである。
評点4以上が求められている。 評点5:外観均一で、処理ムラのないもの 評点4:外観均一で、極軽微な処理ムラのあるもの 評点3:軽度の処理ムラのあるもの 評点2:外観不均一で、処理ムラのあるもの 評点1:外観不均一で、処理ムラの酷いもの
【0018】この結果より、SO4 2-濃度を1〜8g/
lの範囲内にすると処理ムラを防止できることがわかっ
た。SO4 2-濃度が1.5〜5.0g/lの範囲では処
理ムラ防止効果がより優れることもわかった。
lの範囲内にすると処理ムラを防止できることがわかっ
た。SO4 2-濃度が1.5〜5.0g/lの範囲では処
理ムラ防止効果がより優れることもわかった。
【0019】また反応性を損なうことなく処理ムラを防
止するには、さらにアニオンとしてNO3 -を8〜12g
/l複合添加することが必要であることがわかった。
止するには、さらにアニオンとしてNO3 -を8〜12g
/l複合添加することが必要であることがわかった。
【0020】なお、前記濃度のSO4 2-添加によって処
理ムラを改善できるのは、以下の理由によると考えられ
る。
理ムラを改善できるのは、以下の理由によると考えられ
る。
【0021】亜鉛めっき液中にNiイオンやCoイオン
が混入すると、亜鉛めっき後の電着結晶組織が不均一に
なり、めっき表面に反応性に優れる部分と反応性に劣る
部分ができる。クロメート処理液の反応性向上のために
添加されたアニオンがNO3 -主体の場合、イオン半径の
小さいNO3 -は反応を促進する作用が強いため、めっき
面を不均一にエッチングして処理ムラを発生する。しか
し、アニオンとしてNO3 -に加えて適量のSO4 2-が複
合添加された場合、イオン半径の大きいSO4 2-がNO3
-による不均一なエッチング反応を抑制して均一なエッ
チング反応を行うことができるようになり、処理ムラを
防止できる。しかし、過剰のSO4 2-が添加されると、
Cr付着量増加のために処理ムラが発生し、表面外観が
劣化する。
が混入すると、亜鉛めっき後の電着結晶組織が不均一に
なり、めっき表面に反応性に優れる部分と反応性に劣る
部分ができる。クロメート処理液の反応性向上のために
添加されたアニオンがNO3 -主体の場合、イオン半径の
小さいNO3 -は反応を促進する作用が強いため、めっき
面を不均一にエッチングして処理ムラを発生する。しか
し、アニオンとしてNO3 -に加えて適量のSO4 2-が複
合添加された場合、イオン半径の大きいSO4 2-がNO3
-による不均一なエッチング反応を抑制して均一なエッ
チング反応を行うことができるようになり、処理ムラを
防止できる。しかし、過剰のSO4 2-が添加されると、
Cr付着量増加のために処理ムラが発生し、表面外観が
劣化する。
【0022】以下、本発明の限定理由について説明す
る。 クロム付着量:クロム付着量が20mg/m2未満では
耐食性が低下し、本発明が目的とする優れた耐食性が得
られない。クロム付着量が50mg/m2を超えると、
皮膜の着色が著しくなり外観不良になることに加えて処
理ムラが目立つようになる。したがって、クロム付着量
を20〜50mg/m2にする。
る。 クロム付着量:クロム付着量が20mg/m2未満では
耐食性が低下し、本発明が目的とする優れた耐食性が得
られない。クロム付着量が50mg/m2を超えると、
皮膜の着色が著しくなり外観不良になることに加えて処
理ムラが目立つようになる。したがって、クロム付着量
を20〜50mg/m2にする。
【0023】 Cr3++Cr6+濃度(以下、合計Cr濃度): 合計Cr濃度が4g/l未満になると、クロム付着量が
低下し、所要のクロム付着量を確保できなくなり、耐食
性が低下する。一方、合計Cr濃度が6g/lを超える
と、クロム付着量が50mg/m2を超え、皮膜の着色
や処理ムラが目立つようになる。したがって、合計Cr
濃度を4〜6g/lにする。
低下し、所要のクロム付着量を確保できなくなり、耐食
性が低下する。一方、合計Cr濃度が6g/lを超える
と、クロム付着量が50mg/m2を超え、皮膜の着色
や処理ムラが目立つようになる。したがって、合計Cr
濃度を4〜6g/lにする。
【0024】 Cr6+/(Cr3++Cr6+)(以下、Cr6+比): Cr6+比が0.8を超えると、クロム付着量が低下し、
所要のクロム付着量を確保できなくなり、耐食性が低下
する。一方、Cr6+比が0.6未満になると、クロム付
着量が50mg/m2を超え、皮膜の着色や処理ムラが
目立つようになる。したがって、Cr6+比を0.6〜
0.8にする。
所要のクロム付着量を確保できなくなり、耐食性が低下
する。一方、Cr6+比が0.6未満になると、クロム付
着量が50mg/m2を超え、皮膜の着色や処理ムラが
目立つようになる。したがって、Cr6+比を0.6〜
0.8にする。
【0025】SO4 2-濃度:前記したように、SO4 2-濃
度が1g/lを下回ると、NO3 -による不均一なエッチ
ング作用を抑制するという作用が不十分になり、処理ム
ラを防止することができなくなる。SO4 2-濃度が8g
/lを上回ると、Cr付着量増加のために処理ムラが目
立つようになり表面外観が劣化する。したがって、SO
4 2-濃度を1〜8g/lにする。SO4 2-濃度を1.5〜
5.0g/lにすると処理ムラがより少なくなるので、
より好ましい
度が1g/lを下回ると、NO3 -による不均一なエッチ
ング作用を抑制するという作用が不十分になり、処理ム
ラを防止することができなくなる。SO4 2-濃度が8g
/lを上回ると、Cr付着量増加のために処理ムラが目
立つようになり表面外観が劣化する。したがって、SO
4 2-濃度を1〜8g/lにする。SO4 2-濃度を1.5〜
5.0g/lにすると処理ムラがより少なくなるので、
より好ましい
【0026】NO3 -濃度:NO3 -濃度が8g/lを下回
ると、クロム付着量が低下し、所要のクロム付着量を確
保できなくなり、耐食性が低下する。No3 -濃度が12
g/lを上回ると、処理ムラが目立つようになり、表面
外観が劣化する。したがって、NO3 -濃度を8〜12g
/lにする。
ると、クロム付着量が低下し、所要のクロム付着量を確
保できなくなり、耐食性が低下する。No3 -濃度が12
g/lを上回ると、処理ムラが目立つようになり、表面
外観が劣化する。したがって、NO3 -濃度を8〜12g
/lにする。
【0027】Zn2+:3〜8g/l Zn2+濃度が3g/lを下回ると、処理ムラが目立つよ
うになり、表面外観が劣化する。Zn2+濃度が8g/l
を上回ると、クロム付着量が低下し、所要のクロム付着
量を確保できなくなり、耐食性が低下する。したがっ
て、Zn2+は3〜8g/lにする。
うになり、表面外観が劣化する。Zn2+濃度が8g/l
を上回ると、クロム付着量が低下し、所要のクロム付着
量を確保できなくなり、耐食性が低下する。したがっ
て、Zn2+は3〜8g/lにする。
【0028】本発明が対象とする亜鉛めっき鋼板に特に
制限はないが、特に処理ムラが発生しやすいNiイオン
及び/又はCoイオンを50ppm以上含む亜鉛めっき
液でめっきした鋼板に反応型クロメート処理を施す場合
に好適である。亜鉛めっき液中にNiイオン及び/又は
Coイオンが1000ppm含まれる場合であっても処
理ムラ防止効果があることが確認できた。
制限はないが、特に処理ムラが発生しやすいNiイオン
及び/又はCoイオンを50ppm以上含む亜鉛めっき
液でめっきした鋼板に反応型クロメート処理を施す場合
に好適である。亜鉛めっき液中にNiイオン及び/又は
Coイオンが1000ppm含まれる場合であっても処
理ムラ防止効果があることが確認できた。
【0029】
【実施例】厚さ0.8mmの焼鈍した冷延鋼板を酸洗、
脱脂後、表1のめっき条件で亜鉛めっきを行い、めっき
付着量が20g/m2の亜鉛めっき鋼板を製造した。
脱脂後、表1のめっき条件で亜鉛めっきを行い、めっき
付着量が20g/m2の亜鉛めっき鋼板を製造した。
【0030】
【表1】
【0031】前記で製造した亜鉛めっき鋼板を供試材と
して使用し、下記の(1)〜(5)の工程を経てクロメ
ート処理鋼板を製造した。その際、組成・濃度の異なる
クロメート処理液を使用して、クロム付着量の異なるク
ロメート処理鋼板を得た。 (1)水洗:スプレー、5秒 (2)クロメート処理(反応型クロメート処理):スプ
レー、5秒 (3)乾燥:温風ドライヤー、100℃ (4)有機樹脂塗布処理:塗布量0.5〜1.5g/m
2 (5)焼付:焼付温度120℃
して使用し、下記の(1)〜(5)の工程を経てクロメ
ート処理鋼板を製造した。その際、組成・濃度の異なる
クロメート処理液を使用して、クロム付着量の異なるク
ロメート処理鋼板を得た。 (1)水洗:スプレー、5秒 (2)クロメート処理(反応型クロメート処理):スプ
レー、5秒 (3)乾燥:温風ドライヤー、100℃ (4)有機樹脂塗布処理:塗布量0.5〜1.5g/m
2 (5)焼付:焼付温度120℃
【0032】前記で得たクロメート処理鋼板のクロム付
着量、表面外観、耐食性を調査した。クロム付着量は蛍
光X線で測定した。表面外観は鋼板表面を目視観察して
処理ムラの程度を下記の基準に従って5段階に評価し
た。評点4以上が求められている。 評点5:外観均一で、処理ムラのないもの 評点4:外観均一で、極軽微な処理ムラのあるもの 評点3:軽度の処理ムラのあるもの 評点2:外観不均一で、処理ムラのあるもの 評点1:外観不均一で、処理ムラの酷いもの
着量、表面外観、耐食性を調査した。クロム付着量は蛍
光X線で測定した。表面外観は鋼板表面を目視観察して
処理ムラの程度を下記の基準に従って5段階に評価し
た。評点4以上が求められている。 評点5:外観均一で、処理ムラのないもの 評点4:外観均一で、極軽微な処理ムラのあるもの 評点3:軽度の処理ムラのあるもの 評点2:外観不均一で、処理ムラのあるもの 評点1:外観不均一で、処理ムラの酷いもの
【0033】耐食性は、前記供試材から寸法70×15
0mmの試験材を作成し、JISZ2371に規定の塩
水噴霧試験を100時間行い、発生した白錆面積に応じ
て、下記の基準に従って3段階に評価した。評点が○で
あることが必要である。 ○:白錆発生面積が0% △:白錆発生面積が0%越え40%以下 ×:白錆発生面積が40%越え
0mmの試験材を作成し、JISZ2371に規定の塩
水噴霧試験を100時間行い、発生した白錆面積に応じ
て、下記の基準に従って3段階に評価した。評点が○で
あることが必要である。 ○:白錆発生面積が0% △:白錆発生面積が0%越え40%以下 ×:白錆発生面積が40%越え
【0034】さらに、クロム付着量、外観評点、耐食性
を考慮して、以下の基準で総合評価した。 ◎:クロム付着量が20mg/m2以上、外観評点が5
且つ耐食性評価が○のもの ○:クロム付着量が20mg/m2以上、外観評点が4
且つ耐食性評価が○のもの △:上記以外(クロム付着量が20mg/m2未満又は
外観評点が3以下又は耐食性評価が△〜×のもの)
を考慮して、以下の基準で総合評価した。 ◎:クロム付着量が20mg/m2以上、外観評点が5
且つ耐食性評価が○のもの ○:クロム付着量が20mg/m2以上、外観評点が4
且つ耐食性評価が○のもの △:上記以外(クロム付着量が20mg/m2未満又は
外観評点が3以下又は耐食性評価が△〜×のもの)
【0035】クロメート処理液の成分・組成、および前
記各評価結果を表2に記載した。
記各評価結果を表2に記載した。
【0036】
【表2】
【0037】本発明例の鋼板は、クロム付着量が20〜
50mg/m2の範囲にあり、処理ムラの評点が4以
上、耐食性評点が○で総合評価が○〜◎であり、表面外
観と耐食性に優れる。特にSO4 2-濃度が1.5〜5.
0g/lの範囲内にある試験No.22〜26は、外観
評点が5で総合評価が◎であり、より良好な表面外観が
得られている。
50mg/m2の範囲にあり、処理ムラの評点が4以
上、耐食性評点が○で総合評価が○〜◎であり、表面外
観と耐食性に優れる。特にSO4 2-濃度が1.5〜5.
0g/lの範囲内にある試験No.22〜26は、外観
評点が5で総合評価が◎であり、より良好な表面外観が
得られている。
【0038】本発明範囲を外れる比較例、従来例の鋼板
は、クロム付着量、外観評点、耐食性の少なくとも1つ
が本発明が目的とする範囲を外れており、優れた外観と
優れた耐食性が同時に得られていない。
は、クロム付着量、外観評点、耐食性の少なくとも1つ
が本発明が目的とする範囲を外れており、優れた外観と
優れた耐食性が同時に得られていない。
【0039】本実施例では、表1に示すようにNi又は
Coを50ppm含むめっき液で亜鉛めっきした鋼板に
クロメート処理を施したが、本発明の効果は本実施例に
限定されず、本発明はめっき液中に処理ムラが特に発生
しやすいNiイオン及び/又はCoイオンを50ppm
以上含むめっき液で亜鉛めっきした鋼板に反応型クロメ
ート処理を施す場合において同様の効果を奏する。
Coを50ppm含むめっき液で亜鉛めっきした鋼板に
クロメート処理を施したが、本発明の効果は本実施例に
限定されず、本発明はめっき液中に処理ムラが特に発生
しやすいNiイオン及び/又はCoイオンを50ppm
以上含むめっき液で亜鉛めっきした鋼板に反応型クロメ
ート処理を施す場合において同様の効果を奏する。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、処理ムラの発生しやす
い反応型クロメート処理であっても、処理ムラの発生を
防止でき、耐食性と表面外観に優れるクロメート処理鋼
板を得ることができる。
い反応型クロメート処理であっても、処理ムラの発生を
防止でき、耐食性と表面外観に優れるクロメート処理鋼
板を得ることができる。
【0041】また、めっき液をNiイオン及び/又はC
oイオンを含む亜鉛系合金めっきから亜鉛めっきへ交換
する場合にみられるめっき液交換に伴うNiイオン及び
/又はCoイオンの混入による処理ムラの発生を防止で
きるので、切り替えのための洗浄時間を短縮し、生産性
の向上にも寄与する。
oイオンを含む亜鉛系合金めっきから亜鉛めっきへ交換
する場合にみられるめっき液交換に伴うNiイオン及び
/又はCoイオンの混入による処理ムラの発生を防止で
きるので、切り替えのための洗浄時間を短縮し、生産性
の向上にも寄与する。
【図1】SO4 2-濃度と表面外観、クロム付着量の関係
を示す図
を示す図
【図2】処理ムラの外観を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉本 芳春 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−339746(JP,A) 特開 昭61−143582(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 22/00 - 22/86
Claims (1)
- 【請求項1】 亜鉛めっき鋼板表面に、Cr6+/(Cr
3++Cr6+)が0.6〜0.8の範囲内でCr3++Cr
6+を4〜6g/l、SO4 2-を1〜8g/l、NO3 -を
8〜12g/l、Zn2+を3〜8g/l含むクロメート
水溶液をスプレー処理して、鋼板表面にクロム付着量が
20〜50mg/m2のクロメート皮膜を形成すること
を特徴とする耐食性および表面外観に優れる亜鉛めっき
鋼板のクロメート処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23753698A JP3319402B2 (ja) | 1998-08-24 | 1998-08-24 | 耐食性および表面外観に優れる亜鉛めっき鋼板のクロメート処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP23753698A JP3319402B2 (ja) | 1998-08-24 | 1998-08-24 | 耐食性および表面外観に優れる亜鉛めっき鋼板のクロメート処理方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2000064056A JP2000064056A (ja) | 2000-02-29 |
JP3319402B2 true JP3319402B2 (ja) | 2002-09-03 |
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ID=17016799
Family Applications (1)
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Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3319402B2 (ja) |
-
1998
- 1998-08-24 JP JP23753698A patent/JP3319402B2/ja not_active Expired - Fee Related
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