JPH11181581A - 耐黒変性および耐食性に優れた有機樹脂被覆クロメート処理電気亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents

耐黒変性および耐食性に優れた有機樹脂被覆クロメート処理電気亜鉛めっき鋼板およびその製造方法

Info

Publication number
JPH11181581A
JPH11181581A JP35330297A JP35330297A JPH11181581A JP H11181581 A JPH11181581 A JP H11181581A JP 35330297 A JP35330297 A JP 35330297A JP 35330297 A JP35330297 A JP 35330297A JP H11181581 A JPH11181581 A JP H11181581A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel sheet
organic resin
chromate
electrogalvanized
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP35330297A
Other languages
English (en)
Inventor
Kotaro Okamoto
幸太郎 岡本
Takayuki Urakawa
隆之 浦川
Masaru Sagiyama
勝 鷺山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NKK Corp, Nippon Kokan Ltd filed Critical NKK Corp
Priority to JP35330297A priority Critical patent/JPH11181581A/ja
Publication of JPH11181581A publication Critical patent/JPH11181581A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Chemical Treatment Of Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐黒変性および耐食性に優れ且つ外観の良好
なたシリカ含有有機樹脂被覆電気亜鉛めっき鋼板および
その製造方法を提供する。 【解決手段】 電気亜鉛めっき鋼板を、Niイオンおよ
びCoイオンの少なくとも1つが、0.001〜10g
/lの量で添加され、且つ、8〜11未満のpH値を有
する弱アルカリ性溶液に接触させ、電気亜鉛めっき層の
表面にNiおよびCoの少なくとも1つを0.01〜1
0mg/m2 の量で析出させて電気亜鉛めっき層の表面に金
属層を形成し、次いで、クロメート処理を施した後、ク
ロメート被膜の上に、0.1〜5μmの厚さのシリカ含
有有機樹脂被膜を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、耐黒変性、耐食
性および外観に優れた有機樹脂被覆を有するクロメート
処理電気亜鉛めっき鋼板およびその製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】白錆の発生防止、耐食性の向上などを目
的として、電気亜鉛めっき層の上にクロメート被膜が形
成されたクロメート処理電気亜鉛めっき鋼板が、各方面
で使用されている。このようなクロメート処理電気亜鉛
めっき鋼板は、耐食性、塗料密着性、耐傷付き性などを
更に向上させることを目的として、クロメート被膜の上
に有機樹脂被膜が形成されることが多い。
【0003】しかしながら、このようなクロメート処理
電気亜鉛めっき鋼板を、高温湿潤環境下で長期間保管し
た場合に、しばしば、鋼板表面の一部または全部がダー
クグレーまたは褐色に変色する現象(以下、「黒変現
象」という)の生ずることがある。
【0004】黒変現象の生じたクロメート処理電気亜鉛
めっき鋼板は、鋼板の商品価値を著しく低下させるので
好ましくない。そこで、従来から黒変現象の発生防止手
段に関して、種々研究がなされており、例えば、次のよ
うな発明が提案されている。
【0005】 特開昭60−77988号:亜鉛めっ
き浴中のNiイオンを、不純物として含まれるPbイオ
ンの量の5〜500倍の範囲内で、且つ、Znイオンの
量の1/25以下で且つ20g/l以下の量で含有する電
気亜鉛めっき浴を使用し、このような電気亜鉛めっき浴
によって鋼板を電気亜鉛めっきし、次いで、クロメート
処理を行うことにより耐黒変性を改善する方法(以下、
先行技術1という)。
【0006】 特開平2−8374号:Niイオン
を、100〜300ppmの範囲内の量で含有し、不純
物として含まれるPbイオンの含有量が0.5ppm以
下で且つめっき浴中のNiイオン/Pbイオン比が50
0超である電気亜鉛めっき浴を使用し、このような電気
亜鉛めっき浴によって鋼板を電気亜鉛めっきし、次い
で、クロメート処理を行うことによって耐黒変性を改善
する方法(以下、先行技術2という)。
【0007】 特公平5−220445号:電気亜鉛
めっき層の表面上にクロメート被膜が形成された電気亜
鉛めっき鋼板のクロメート被膜の上に、エチレン系アイ
オノマー樹脂およびシリカを主成分とした有機樹脂被膜
を形成することにより、電気亜鉛めっき鋼板に耐食性、
耐黒変性、耐傷付き性などを付与する方法(以下、先行
技術3という)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述した先行技術1、
2によれば、クロメート処理電気亜鉛めっき鋼板の耐黒
変性は改善されるが、めっき被膜中にNiが含有されて
いることによって、電気亜鉛めっき鋼板の表面外観、特
に、白色度が低下する。
【0009】このような問題に関して、例えば、特開昭
63−4099号公報には、亜鉛めっき浴中にNiイオ
ンが300ppm以上存在すると、リン酸塩処理が施さ
れた亜鉛めっき鋼板の白色度が50以下に低下するため
に、亜鉛めっき浴中のNiイオン濃度をできるだけ低く
維持する必要のあること、その対策として、亜鉛粉末を
使用してNiイオンを除去する方法が提案されている。
【0010】また、特開平1−129991号公報に
は、電気亜鉛めっき鋼板のリン酸塩処理後の色調を白く
保持するためには、亜鉛めっき浴中のNiイオン濃度を
10ppm以下に管理する必要のあることが記載されて
いる。
【0011】上述したように、亜鉛めっき浴中にNiが
含有されていると、このめっき浴で製造された亜鉛めっ
き被膜中にはNiが含有され、表面外観特に白色度を低
下させる。このような表面外観の低下は、上記亜鉛めっ
き浴によって、電気亜鉛めっきした後に、クロメート処
理および有機樹脂被覆処理を行う有機樹脂被覆クロメー
ト処理電気亜鉛めっき鋼板の外観を劣化させることに直
結する。
【0012】一般に、電気亜鉛めっき鋼板の製造は、同
一設備および同一めっき浴によりクロメート処理、リン
酸塩処理、後処理無しの工程によって行われるので、電
気亜鉛めっき鋼板の耐黒変性を改善するために、めっき
浴中にNiを添加すると、クロメート処理材のみなら
ず、それ以外のめっき鋼板の外観をも劣化させることに
なる。従って、めっき浴中へのNi添加には従来から問
題があった。
【0013】また、先行技術3には、有機樹脂被覆鋼板
の耐食性および耐傷付き性は一般に優れてはいるが、耐
黒変性が劣るために、このような、耐食性、耐黒変性な
どを具備した鋼板として、クロメート被膜の上にエチレ
ン系アイオノマー樹脂およびシリカを主成分とした有機
樹脂が被覆された鋼板が開示されている。しかしなが
ら、上記方法は、特殊な樹脂の使用を前提としており、
必ずしも一般的に使用し得る方法ではない。
【0014】従って、この発明の目的は、上述した問題
を解決し、外観特性が劣化することなく、耐黒変性およ
び耐食性の優れた有機樹脂被覆クロメート処理電気亜鉛
めっき鋼板およびその製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載した発明
の有機樹脂被覆クロメート処理電気亜鉛めっき鋼板は、
鋼板と、前記鋼板の表面上に形成された電気亜鉛めっき
層と、前記電気亜鉛めっき層の表面に、NiおよびCo
の少なくとも1つを0.01mg/m2 以上、10mg/m2
下の範囲内の量で析出させることによって形成された金
属層と、前記金属層の上に形成された金属Cr換算で5
mg/m2 以上の付着量のクロメート被膜と、前記クロメー
ト被膜の上に形成された0.1〜5μmの厚さのシリカ
含有有機樹脂被膜とからなることに特徴を有するもので
ある。
【0016】請求項2に記載した発明の有機樹脂被覆ク
ロメート処理電気亜鉛めっき鋼板の製造方法は、鋼板に
電気亜鉛めっきを施して、少なくとも一方の表面上に電
気亜鉛めっき層が形成された電気亜鉛めっき鋼板を調製
し、前記電気亜鉛めっき鋼板を、NiイオンおよびCo
イオンの少なくとも1つが、0.001g/l以上、10
g/l以下の量で添加された、pH値が8以上、11未満の
弱アルカリ性溶液に接触させることによって、前記電気
亜鉛めっき層の表面に、NiおよびCoの少なくとも1
つを0.01mg/m2 以上、10mg/m2 以下の範囲内の量
で析出させ、次いで、クロメート処理を施すことによっ
て、前記NiおよびCoの少なくとも1つが析出された
電気亜鉛めっき層の表面上に、金属Cr換算で5mg/m2
以上の付着量のクロメート被膜を形成せしめ、次いで、
水分散性樹脂をシランカップリング剤を介してシリカと
複合させた有機樹脂複合シリケート処理液、および、シ
リカと水溶性または水分散性有機樹脂とを主成分とする
処理液の少なくとも一方を、前記クロメート被膜の表面
上に塗布し次いで乾燥することによって、0.1〜5μ
mの厚さのシリカ含有有機樹脂被膜を形成せしめること
に特徴を有するものである。
【0017】請求項3に記載の発明は、請求項2に記載
の方法における弱アルカリ性溶液が、ピロリン酸ナトリ
ウム系溶液またはトリポリリン酸ナトリウム系溶液、ま
たは、前記ピロリン酸ナトリウム系溶液と前記トリポリ
リン酸ナトリウム系溶液との混合液であることに特徴を
有するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】次に、この発明の耐黒変性に優れ
た亜鉛めっき鋼板について、以下に説明する。この発明
の耐黒変性に優れた電気亜鉛めっき鋼板は、鋼板と、鋼
板の表面上に形成された電気亜鉛めっき層と、電気亜鉛
めっき層の上に形成された金属層と、金属層の上に形成
されたクロメート被膜と、クロメート被膜の上に形成さ
れたシリカ含有有機樹脂被膜とからなる基本構造を有し
ている。
【0019】上述した基本構造において、この発明の特
徴は、電気亜鉛めっき層の表面にNiおよびCoの少な
くとも1つを0.01mg/m2 以上、10mg/m2 以下の範
囲内の量で析出させることによって、上記金属層が電気
亜鉛めっき層の表面上に形成されていること、および、
クロメート被膜の上に、0.1〜5μmの厚さのシリカ
含有有機樹脂被膜が形成されていることにある。
【0020】即ち、電気亜鉛めっき層の表面に、Niお
よびCoの少なくとも1つを、0.01mg/m2 以上、1
0mg/m2 以下の範囲内の量で析出させ、電気亜鉛めっき
層の表面上に金属層を形成することによって、クロメー
ト処理材の耐黒変性を改善することができ、白色度に優
れた電気亜鉛めっき鋼板が得られる。
【0021】NiおよびCoの少なくとも1つの析出量
が0.01mg/m2 未満では、クロメート処理材の耐黒変
性を顕著に改善することはできない。一方、Niおよび
Coの少なくとも1つの析出量が10mg/m2 を超える
と、白色度の低下、ムラ発生等の外観の劣化が生じる。
従って、電気亜鉛めっき層の表面へのNiおよびCoの
少なくとも1つの析出量は0.01mg/m2 以上、10mg
/m2 以下の範囲内に限定すべきであり、これによって、
クロメート処理材の耐黒変性を改善するというNiおよ
び/またはCoの効果が十分に発揮されると共に、上記
成分に起因する外観の劣化を、実質的に無視できる程度
に抑制することができる。
【0022】電気亜鉛めっき層の表面へのNiおよびC
oの少なくとも1つの、より好ましい析出量は、0.0
1mg/m2 以上、1mg/m2 以下の範囲内であり、更により
好ましくは、0.01mg/m2 以上、0.2mg/m2 以下の
範囲内である。
【0023】金属層の上に形成されるクロメート被膜
は、金属Cr換算で5mg/m2 以上とすべきである。クロ
メート被膜量が、金属Cr換算で5mg/m2 未満では、十
分な耐食性が得られない。クロメート被膜量の上限は特
に規定されるものではないが、被膜量が金属Cr換算で
200mg/m2 を超えても、より以上の耐食性向上効果は
期待できない。従って、クロメート被膜量は200mg/m
2 以下とすることが好ましい。
【0024】クロメート被膜の上に、0.1〜5μmの
厚さのシリカ含有有機樹脂被膜が形成されていることに
よって、電気亜鉛めっき鋼板に優れた耐食性が付与され
る。シリカ含有有機樹脂被膜の厚さが0.1μm未満で
は、所望の耐食性が得られないのみならず、ハンドリン
グ時に傷つきやすくなり、実際の使用において不都合が
生ずる。一方、シリカ含有有機樹脂被膜の厚さが5μm
を超えると、鋼板の溶接性が劣化する。耐食性、耐傷付
き性、溶接性などを好適にバランスさせるための、シリ
カ含有有機樹脂被膜の好ましい厚さは、0.3〜3μm
である。
【0025】次に、この発明の、耐黒変性および耐食性
に優れた有機樹脂被覆電気亜鉛めっき鋼板の製造方法に
ついて以下に説明する。黒変現象の詳細は、必ずしも明
らかではないが、亜鉛表面の酸化によって生ずる現象で
あると考えられており、従って、亜鉛めっき層の表面を
改質することによって、黒変現象を抑制することができ
ると判断される。即ち、めっき被膜中にNiが含有され
ていると、耐黒変性が改善されることから、亜鉛めっき
層の表面にNiを析出させることによって、耐黒変性を
改善することができると判断される。
【0026】何れの処理方法によっても、電気亜鉛めっ
き層の表面にNiを析出させて、耐黒変性を改善するこ
とができるわけではなく、限られた処理条件に従って、
電気亜鉛めっき層の表面にNiを析出させることによ
り、耐黒変性を改善することができる。その方法につい
て、以下に詳述する。
【0027】本発明者等は、電気亜鉛めっき層の表面に
Niを析出させる方法に関して鋭意研究を重ねた結果、
黒変現象の防止に有効なNiの析出は、ピロリン酸ナト
リウム系溶液またはトリポリリン酸ナトリウム系溶液ま
たは両者の混合液によってのみ可能であることを知見し
た。
【0028】周知のように、Niは両性金属であり、N
iイオンは酸性溶液およびアルカリ性溶液中において、
より大きい溶解度を有する。そこで、酸性溶液およびア
ルカリ性溶液の双方を使用して、Niの析出処理を行っ
た。
【0029】先ず、酸性浴を使用し、電気亜鉛めっき層
の表面へのNiの析出を試みた結果、上記Niの析出は
可能であることが確認された。しかしながら、酸性浴を
使用してNiを析出させた場合には、その後のクロメー
ト処理におけるクロメート付着量が極端に低下し、ま
た、耐黒変性改善効果も不十分であった。
【0030】一方、強アルカリ浴、例えば、水酸化ナト
リウム系溶液を用いて、電気亜鉛めっき層の表面へのN
iの析出を試みたが、同めっき層の表面に十分な量のN
iを析出させることはできなかった。
【0031】また、強アルカリ性または強酸性の溶液中
では、電気亜鉛めっき層自体が急速に溶解される結果、
めっき焼けなどの外観異常の生ずることがあり、且つ、
電気亜鉛めっき層の減少を招き、電気亜鉛めっき鋼板本
来の防食作用が損なわれる問題が生ずる。
【0032】そこで、本発明者等は、中性乃至弱アルカ
リ性の処理液を使用してNiを析出させる方法につき研
究を行った。その結果、pH8以上11未満のピロリン酸
ナトリウム系溶液またはトリポリリン酸ナトリウム系溶
液またはこれらの混合液を使用したところ、かなり高濃
度のNiイオンが溶解されることを見出した。即ち、電
気亜鉛めっき鋼板にこのような溶液を接触させたとこ
ろ、電気亜鉛めっき層の表面に、十分な量のNiが均一
に析出していることが確認され、クロメート処理後の耐
黒変性が著しく改善されることが確認された。
【0033】更に、Niと同様、Coイオンも、pH8以
上11未満の弱アルカリ性のピロリン酸ナトリウム系溶
液またはトリポリリン酸ナトリウム系溶液またはこれら
の混合液に溶解でき、従って、この溶液に電気亜鉛めっ
き鋼板を接触させることによって金属Coが析出し、ク
ロメート処理後の耐黒変性を大きく改善し得ることが確
認された。
【0034】前述したように、Niおよび/またはCo
の析出量は、0.01mg/m2 以上、10mg/m2 以下の範
囲内に維持しなければならないが、Niおよび/または
Coの析出量をこの範囲内に維持するためには、pH値が
8以上11未満の弱アルカリ性溶液であるピロリン酸ナ
トリウム系溶液またはトリポリリン酸ナトリウム系溶液
またはこれらの混合液中に、0.001g/l以上、10
g/l以下のNiイオンおよび/またはCoイオンを添加
すればよい。
【0035】弱アルカリ性溶液である、ピロリン酸ナト
リウム系溶液またはトリポリリン酸ナトリウム系溶液ま
たはこれらの混合液に対する、Niイオンおよび/また
はCoイオンの添加量が0.001g/l未満では、十分
な耐黒変性を発揮させることができず、一方、上記添加
量が10g/lを超えると鋼板の耐食性低下を招く。
【0036】電気亜鉛めっき層の表面に対し、Niおよ
び/またはCoを、前述したより好ましい析出量であ
る、0.01mg/m2 以上、1mg/m2 以下の範囲内、更に
より好ましい析出量である、0.01mg/m2 以上、0.
2mg/m2 以下の範囲内で析出させるためには、pH値が8
以上、11未満の弱アルカリ性溶液であるピロリン酸ナ
トリウム系溶液またはトリポリリン酸ナトリウム系溶液
またはこれらの混合液に対するNiイオンおよび/また
はCoイオンの添加量を、0.01g/l以上、0.2g/
l以下とすることが好ましい。
【0037】上記NiおよびCoの少なくとも1つが析
出された亜鉛めっき層の表面上に、金属Cr換算で5mg
/m2 以上の付着量のクロメート皮膜を形成するためのク
ロメート処理は、クロメート処理後に水洗を行う反応型
クロメート法、クロメート処理後に水洗を行わない塗布
型クロメート法または電解クロメート法の何れの方法で
行ってもよい。
【0038】次いで、水分散性樹脂をシランカップリン
グ剤を介してシリカと複合させた有機樹脂複合シリケー
ト処理液、および、シリカと水溶性または水分散性有機
樹脂とを主成分とする処理液の少なくとも一方を、前記
クロメート被膜の表面上に塗布し次いで乾燥することに
よって、0.1〜5μmの厚さのシリカ含有有機樹脂被
膜を形成せしめる。
【0039】クロメート被膜の上に、シリカ含有有機樹
脂被膜を形成するための有機樹脂としては、アクリル
系、ポリオレフィン系、ウレタン系、エポキシ系、ポリ
エステル系などの種々の水溶性、水分散性の有機樹脂を
単独にまたは混合して使用することができる。上記樹脂
に対するシリカの添加方法としては、水分散性樹脂にシ
ランカップリング剤を介して複合化させる方法、また
は、コロイダルシリカやヒユームドシリカを水分散性有
機樹脂水溶液中に分散させる方法を使用することができ
る。
【0040】シリカ含有有機樹脂処理液の塗布方法とし
ては、ロールコーターやスプレーを使用する既知の方法
で行えばよい。また、被膜の乾燥温度は、使用する樹脂
や皮膜の厚さなどによって異なるが、それぞれの樹脂が
十分に被膜化できる温度を選択すればよい。
【0041】前述したように、シリカ含有有機樹脂被膜
の厚さは、0.1〜5μmの範囲内とすることが必要で
あり、このような厚さのシリカ含有有機樹脂被膜中のシ
リカ含有量は、被膜中の重量%で50%以下とすること
が好ましい。上記シリカ含有量が50%を超えると、よ
り以上の耐食性向上効果が期待できないのみならず、シ
リカ含有有機樹脂被膜が脆くなり、厳しい加工を施した
場合に、被膜剥離が発生しやすくなる。
【0042】
【実施例】次に、この発明の耐黒変性および耐食性に優
れた有機樹脂被覆クロメート処理電気亜鉛めっき鋼板の
製造方法を、実施例により、比較例と対比しながら更に
詳細に説明する。表1に示すめっき条件に従って、鋼板
に電気亜鉛めっきを施し、電気亜鉛めっき鋼板を調製し
た。
【0043】
【表1】
【0044】次いで、上記電気亜鉛めっき鋼板を本発明
の範囲内の成分組成およびpH値を有する処理液中に浸漬
させることによって金属析出処理を行い、かくして、電
気亜鉛めっき鋼板の亜鉛めっき層の表面に、Niおよび
Coの少なくとも1つを本発明の範囲内の量で析出さ
せ、もって、電気亜鉛めっき層の表面上に金属層を形成
した。上記金属析出処理における、処理液の成分組成、
pH値、処理時間、Niおよび/またはCoの析出量を
表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】次いで、電気亜鉛めっき層の表面にNiお
よびCoの少なくとも1つからなる金属層が形成された
上記電気亜鉛めっき鋼板に、表3に示すクロメート処理
条件に従ってクロメート処理を施し、表2に示す付着量
のクロメート被膜を形成した。次いで、クロメート被膜
の上に、シリカ含有有機樹脂被膜を形成した。表2にそ
の有機樹脂種、シリカ種、被膜中のシリカ量および有機
樹脂被膜厚さを示す。
【0047】
【表3】
【0048】かくして、本発明の範囲内の金属層、クロ
メート被膜および有機樹脂被膜を有する電気亜鉛めっき
鋼板の供試体(以下、「本発明供試体」という)No.
1〜30を調製した。
【0049】比較のために、上述した条件に従って調製
された電気亜鉛めっき鋼板を、成分組成およびpH値の少
なくとも1つが本発明の範囲を外れた処理液中に浸漬さ
せることによって金属析出処理を行い、電気亜鉛めっき
鋼板の亜鉛めっき層の表面に、NiおよびCoの少なく
とも1つを析出させることによって、電気亜鉛めっき層
の表面上に金属層を形成し、次いで、表3に示すクロメ
ート条件に従って、クロメート処理を行い、かくして、
表2に併せて示す本発明の範囲外の電気亜鉛めっき鋼板
の供試体(以下、「比較用供試体」という)No.1〜
5を調製した。表2に、そのめっき条件、処理液の成分
組成、pH値、処理時間、Niおよび/またはCoの析
出量、クロメート処理の種類およびクロメート付着量、
シリカ含有有機樹脂被膜の有機樹脂種、シリカ種、被膜
中のシリカ量および有機樹脂被膜厚さを示す。
【0050】このように調製された本発明供試体No.
1〜30および比較用供試体No. 1〜5の各々につい
て、下記方法により黒変試験および外観変化の検査を行
った。 (1) 黒変試験方法:供試体の白色度をJISZ8730
に準拠したLab系で測定した。次いで、供試体を積み
重ねた状態で、80°Cの温度および95%の相対湿度
の雰囲気中に24時間放置し、湿潤試験後に、供試体の
白色度を上述した方法で再び測定した。次いで、湿潤試
験前後における測定された白色度の変化量(ΔL)を求
めた。このようにして求められた白色度の変化量(Δ
L)に基づき、各供試体の耐黒変性を、下記基準により
評価した。評価結果を表2に併せて記す。
【0051】 ○:ΔL≧−2であって、耐黒変性に優れてる。 ×:ΔL<−2であって、耐黒変性に劣っている。 (2) 耐食性試験方法:供試体に対し、JISZ2371
に準拠した塩水噴霧試験を実施し、120時間経過後に
おける白錆の発生面積率を測定して、下記基準により評
価した。評価結果を表2に併せて記す。
【0052】 ◎:白錆発生面積率10%未満。 ×:白錆発生面積率10%以上。 (3) 外観判定基準:供試体の白色度を上記と同様にJI
SZ8730に準拠したLab系で測定した。次いで、
上述した金属析出処理を行っていない、基準供試体とし
ての電気亜鉛めっき鋼板の白色度を同様の方法で測定し
た。次いで、各供試体の各々の白色度の測定値と基準供
試体の白色度の測定値の差を求めた。このようにして求
められた差の値に基づいて、各供試体の外観を、下記に
より評価した。評価結果を、表2に併せて記す。
【0053】 ◎:金属析出処理による白色度の低下が1未満で特に優
れてる。 ○:金属析出処理による白色度の低下が1以上2未満で
優れている。 △:金属析出処理による白色度の低下が2以上4未満で
許容範囲内である。
【0054】 ×:金属析出処理による白色度の低下が4以上で劣って
いる。 表2から明らかなように、本発明供試体No.1〜30
の何れも、耐黒変性および耐食性に優れており、しか
も、十分なクロメート付着量が確保されていた。また、
金属析出量が0.01〜0.21mg/m2 の範囲内の本発
明供試体No.1〜4、9〜24、26、27および2
9においては、クロメート処理後の外観が特に優れてお
り、白色度の低下が1未満と著しく少なかった。金属析
出量が0.5〜1.4mg/m2 の範囲内の本発明供試体N
o.5、6、25、28および30においては、クロメ
ート処理後の外観が良好であり、白色度の低下が1以上
2未満と少なかった。金属析出量が4.2〜8.30mg
/m2 の範囲内の本発明供試体No.7および8において
は、クロメート処理後の外観が許容範囲内であり、白色
度の低下が2以上4未満であった。
【0055】これに対し、処理液中にNi、Coイオン
が含有されておらず、亜鉛めっき層表面にほとんどNi
が析出されていない比較用供試体No. 1は、耐黒変性が
劣っていた。本発明範囲を外れて低いpH値の処理液を使
用した比較用供試体No. 2および処理液のpH値およびク
ロメート付着量が本発明範囲を外れて低い比較用供試体
No. 3は、耐黒変性、耐食性および外観のすべてが劣っ
ていた。本発明範囲を外れて高いpH値の処理液を使用
し、亜鉛めっき層表面にNi、Coが析出されていない
比較用供試体No. 4は、耐黒変性が劣っていた。Ni、
Coイオンが含有されておらず、亜鉛めっき層表面にN
i、Coが析出されていない比較用供試体No. 5は、耐
黒変性が劣っていた。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、外観特性が劣化することなく、耐黒変性および耐食
性に優れたシリカ含有有機樹脂被覆クロメート処理電気
亜鉛めっき鋼板が得られる、工業上有用な効果がもたら
れる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板と、前記鋼板の表面上に形成された
    電気亜鉛めっき層と、前記電気亜鉛めっき層の表面に、
    NiおよびCoの少なくとも1つを0.01mg/m2
    上、10mg/m2 以下の範囲内の量で析出させることによ
    って形成された金属層と、前記金属層の上に形成された
    金属Cr換算で5mg/m2 以上の付着量のクロメート被膜
    と、前記クロメート被膜の上に形成された0.1〜5μ
    mの厚さのシリカ含有有機樹脂被膜とからなることを特
    徴とする、耐黒変性および耐食性に優れた有機樹脂被覆
    クロメート処理電気亜鉛めっき鋼板。
  2. 【請求項2】 鋼板に電気亜鉛めっきを施して、少なく
    ともその一方の表面上に電気亜鉛めっき層が形成された
    電気亜鉛めっき鋼板を調製し、前記電気亜鉛めっき鋼板
    を、NiイオンおよびCoイオンの少なくとも1つが、
    0.001g/l以上、10g/l以下の量で添加された、
    pH値が8以上、11未満の弱アルカリ性溶液に接触させ
    ることによって、前記電気亜鉛めっき層の表面に、Ni
    およびCoの少なくとも1つを0.01mg/m2 以上、1
    0mg/m2 以下の範囲内の量で析出させて金属層を形成
    し、 次いで、クロメート処理を施すことによって、前記金属
    層の表面上に、金属Cr換算で5mg/m2 以上の付着量の
    クロメート被膜を形成せしめ、 次いで、水分散性樹脂をシランカップリング剤を介して
    シリカと複合させた有機樹脂複合シリケート処理液、お
    よび、シリカと水溶性または水分散性有機樹脂とを主成
    分とする処理液の少なくとも一方を、前記クロメート被
    膜の表面上に塗布し次いで乾燥することによって、0.
    1〜5μmの厚さのシリカ含有有機樹脂皮膜を形成せし
    めることを特徴とする、耐黒変性および耐食性に優れた
    有機樹脂被覆クロメート処理電気亜鉛めっき鋼板の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 前記弱アルカリ性溶液が、主としてピロ
    リン酸ナトリウムまたはトリポリリン酸ナトリウム、ま
    たは、前記ピロリン酸ナトリウムと前記トリポリリン酸
    ナトリウムとの混合液である請求項2記載の方法。
JP35330297A 1997-12-22 1997-12-22 耐黒変性および耐食性に優れた有機樹脂被覆クロメート処理電気亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 Pending JPH11181581A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35330297A JPH11181581A (ja) 1997-12-22 1997-12-22 耐黒変性および耐食性に優れた有機樹脂被覆クロメート処理電気亜鉛めっき鋼板およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35330297A JPH11181581A (ja) 1997-12-22 1997-12-22 耐黒変性および耐食性に優れた有機樹脂被覆クロメート処理電気亜鉛めっき鋼板およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11181581A true JPH11181581A (ja) 1999-07-06

Family

ID=18429929

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP35330297A Pending JPH11181581A (ja) 1997-12-22 1997-12-22 耐黒変性および耐食性に優れた有機樹脂被覆クロメート処理電気亜鉛めっき鋼板およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11181581A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1433877B1 (en) Pretreatment method for coating
KR900003473B1 (ko) 크로메이트처리 아연계 도금강판과 그 제조방법
US4637838A (en) Process for phosphating metals
US4784731A (en) Chromate treatment of a metal coated steel sheet
US6649275B1 (en) Zinc phosphate-treated galvanized steel sheet excellent in corrosion resistance and color tone
US6280535B2 (en) Manufacturing process on chromate-coated lead-containing galvanized steel sheet with anti-black patina property and anti-white rust property
JP3136683B2 (ja) 亜鉛系メッキ鋼板のクロメート処理方法
US9435047B2 (en) Process for corrosion protection of iron containing materials
JP3309788B2 (ja) 耐黒変性に優れたクロメート処理電気亜鉛めっき鋼板の製造方法
JPH11181581A (ja) 耐黒変性および耐食性に優れた有機樹脂被覆クロメート処理電気亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
JPS63130796A (ja) 耐食性と塗料密着性に優れた複合化成処理鋼板およびその製造方法
JP2785982B2 (ja) 耐黒変性に優れた高耐食性溶融亜鉛系めっき鋼板
JP3345775B2 (ja) 耐食性および耐黒変性に優れたクロメート処理電気亜鉛めっき鋼板の製造方法
KR100509183B1 (ko) 내식성 및 색조가 우수한 아연 인산염 처리 도금 강판
JP4419555B2 (ja) 表面処理鋼板の製造方法
JP3329241B2 (ja) 耐黒点性、耐黒変性および耐食性に優れたクロメート処理電気亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP2701145B2 (ja) メツキ鋼板のクロメート化成処理方法
JP2576724B2 (ja) 亜鉛系メッキ鋼板のクロメート処理方法
JPH11279772A (ja) 耐黒変性に優れた溶融亜鉛系めっき鋼板及びその製造方法
JP3367454B2 (ja) 有機樹脂フィルム密着性および耐エッジクリープ性に優れたクロメート処理亜鉛系めっき鋼板の製造方法
JPH101798A (ja) 電解クロメート処理方法
JPS63137179A (ja) 積層リン酸塩皮膜の形成方法
JPH0544094A (ja) 亜鉛系メツキ鋼板のクロメート処理方法
JP2004346341A (ja) 切断端面耐食性および表面性状に優れた亜鉛系めっき塗装鋼板およびその製法
JPH0688190A (ja) 塗装仕上り性、プレス性、化成処理性に優れた溶融合金化亜鉛めっき鋼板