JPH09256192A - めっき外観の均一性に優れた電気亜鉛めっき鋼板および表面処理亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

めっき外観の均一性に優れた電気亜鉛めっき鋼板および表面処理亜鉛めっき鋼板の製造方法

Info

Publication number
JPH09256192A
JPH09256192A JP6124796A JP6124796A JPH09256192A JP H09256192 A JPH09256192 A JP H09256192A JP 6124796 A JP6124796 A JP 6124796A JP 6124796 A JP6124796 A JP 6124796A JP H09256192 A JPH09256192 A JP H09256192A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel sheet
appearance
plating
electrogalvanized
uniformity
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP6124796A
Other languages
English (en)
Inventor
Jiyunji Kawafuku
純司 川福
Kuniyasu Araga
邦康 荒賀
Hiroaki Nakano
博昭 中野
Masatoshi Iwai
正敏 岩井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP6124796A priority Critical patent/JPH09256192A/ja
Publication of JPH09256192A publication Critical patent/JPH09256192A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electroplating Methods And Accessories (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 素地鋼板表面の微視的不均一に起因する電気
亜鉛めっき表面の微細な外観不均一部の発生を確実に抑
制し、均一なめっき外観を有すると同時に亜鉛めっき表
面のキラキラ光沢の無い電気亜鉛めっき鋼板の製造方法
を提供する。 【解決手段】 電気めっき法によって鋼板表面に亜鉛め
っき層を形成するに当たり、表面のフェライト平均結晶
粒径が38μm以下である鋼板を用い、フルオロ錯イオ
ンを100〜5000ppm含有する亜鉛めっき浴中で
電気亜鉛めっきを行う方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、めっき原板表面の
微視的不均一に起因するめっき表面の部分的な色調(微
視的な外観色調)・光沢の差やムラがなく均一な外観を
有する電気亜鉛めっき鋼板および表面処理電気亜鉛めっ
き鋼板の製造方法に関するものである。本発明法によっ
て得られるめっき鋼板は、塗装処理を施さなくともめっ
き外観の均一性に優れていることから、自動車などの各
種車体、家電製品やOA機器等の外板材、あるいは建築
材料などとして極めて有用である。
【0002】
【従来の技術】亜鉛めっき鋼板は、亜鉛めっき皮膜が素
地鋼板に対して犠牲防食作用を発揮し優れた耐食性を有
するものであるから、自動車や家庭用電気製品等の外板
材あるいは建築材料等として広く使用されている。この
様な亜鉛めっき鋼板を製造する方法として汎用されてい
るのは以下の二通りの方法である。
【0003】溶融亜鉛めっき法:即ち、溶融亜鉛めっ
き浴中に鋼帯を連続的に浸漬走行させることによって、
鋼板表面に亜鉛めっき皮膜を形成する方法。 電気亜鉛めっき法:即ち、亜鉛イオンを含む酸性溶液
中に鋼板を連続的に浸漬走行させながら、電気化学反応
によって鋼板表面に亜鉛イオンを電析させてめっき皮膜
を析出させる方法。
【0004】このうち溶融亜鉛めっき法は、高付着量の
亜鉛めっき皮膜を容易に形成することができ、しかも耐
食性に優れているという利点を有している反面、溶融亜
鉛浴中に鋼板を浸漬処理するので、浴中に存在するドロ
スなどが亜鉛めっき表面に付着したり、めっき皮膜とし
て凝固する際に発生するスパングル模様が不均一に残存
したりする場合がある為、めっき表面外観の均一性とい
う点ではやや難点がある。
【0005】但し、従来の亜鉛めっき鋼板は、殆んどの
場合、その表面に何らかの塗装を施して使用するとい
う、いわゆる塗装下地用鋼板として採用されていたた
め、亜鉛めっき表面に見られる外観品質上の多少の欠陥
は、その上に施される上塗り塗装によって完全に隠蔽さ
れてしまうため、溶融亜鉛めっき鋼板における上記表面
外観の不具合はほとんど問題視されることがなかったの
が実情である。
【0006】これに対して電気亜鉛めっき法では、めっ
き付着量に比例して電力コストが高くなるため、高付着
量になると製造コスト高を招くという経済上の問題があ
るものの、前述した溶融亜鉛めっき法に起因するドロス
欠陥やスパングル模様の残存といっためっき表面外観上
の不具合がない為、美麗な外観を有する亜鉛めっき製品
が得られるという点で有用である。
【0007】ところが近年、ユーザー側における塗装工
程の省略化が進むにつれ、所望の成形加工後に、塗装せ
ずにそのまま裸(即ち、めっき外観のまま)で使用する
ことが多くなっている。即ち、亜鉛めっき鋼板に各種の
クロメート処理や有機系若しくは無機系の被覆処理など
の化成処理を施すことにより、耐食性のみならず、加工
性、耐指紋性、溶接性、アース性(導電性)等の性能を
兼備した特殊化成処理亜鉛めっき鋼板を、無塗装のまま
で使用するケースが急増してきている。
【0008】そうなると、亜鉛めっき鋼板製造時のめっ
き表面外観が、そのまま最終製品の外観に現れるため、
従来ではあまり問題視されていなかった亜鉛めっき表面
の外観欠陥が無視できなくなり、亜鉛めっき表面の外観
品質に対する要求が非常に厳しいものになる。
【0009】この様に無塗装の裸で使用される用途にお
いては、あまり良好な表面外観の得られない溶融亜鉛め
っき鋼板の使用は不適当であり、必然的に表面外観の美
麗な電気亜鉛めっき鋼板が繁用されることになる。しか
し、裸用途への適用分野が拡大してくるにつれて、従来
の電気亜鉛めっき鋼板の表面品質でさえも、需要者の要
求を満足することができなくなっているのが実情であ
り、従って、電気亜鉛めっき表面に生じる微細な外観ム
ラでさえも改善することが必要となってきている。
【0010】一般に、電気亜鉛めっき鋼板の外観は、被
めっき材である鋼板表面の影響を受け易い。例えば、鋼
板表面の酸化物皮膜層の厚さが均一でないと、該皮膜の
厚い箇所と薄い箇所の間で、亜鉛めっき皮膜形成後の外
観色調に差が生じ、外観ムラが認められる様になる場合
がある。また、鋼板中に含まれるNi,Si,Mn,C
等の元素が鋼板表面に偏析濃化した箇所が存在しても、
同様に亜鉛めっき皮膜形成後の外観ムラが発生する様に
なる。更に、この様な鋼板表面の性状が不均一であるこ
とに起因する外観ムラの他にも、鋼板表面のフェライト
結晶粒径が大きい場合にも、その上に形成される亜鉛め
っき結晶が大きく成長して、外観がキラキラと光って見
える(キラキラ光沢)等の問題が生じる場合がある。
【0011】ところで、電気亜鉛めっき鋼板のめっき表
面に発生するこの様な微細な表面外観の不均一は、電気
亜鉛めっき結晶そのもののミクロ的不均一によるもので
あるが、その発生原因は複雑多岐にわたるため、容易に
その解決を行うことは困難であった。
【0012】具体的には、部分的色調変化や微小流れ状
模様等の微細な外観不均一とは、めっき表面に局部的か
つ不規則に色調の異なる領域が発生したり、長さや形状
の異なるスジ状のムラが不規則に発生する様な現象であ
り、これらは前述した様に被めっき原板である鋼板表面
に存在する微小領域での欠陥や汚れ、鋼中元素の濃化、
酸化皮膜厚さの不均一等による電気亜鉛めっき結晶のミ
クロ的不均一によるものであるが、この様な鋼板の表面
性状を工業的に完全に均一とすることは現実問題として
極めて困難である。
【0013】従来より、広義の意味での電気亜鉛めっき
鋼板の外観を向上させる為の対策としては、被めっき材
の製造条件(熱間圧延後の酸洗条件、冷間圧延後の電解
清浄条件、焼鈍条件など)、電気亜鉛めっきの前処理条
件(電解脱脂条件、酸洗条件)および電解亜鉛めっき条
件、めっき後処理条件などを制御する種々の方法が提案
されている。
【0014】このうち例えば特開昭61−147894
号公報や特開平4−124295号公報には、電気亜鉛
めっき浴中に亜鉛よりも析出電位が低い鉄族イオン(F
e,Ni及び/またはCoイオン)やSnイオンを添加
することにより、鋼板上に先ずこれらの金属イオンを析
出させ、析出した金属元素がその上に成長する亜鉛めっ
き結晶の成長核となって亜鉛イオンの初期析出がミクロ
分散されることにより、亜鉛めっき結晶を微細且つ平滑
にする方法が開示されている。しかしながら、これらの
方法では十分な結晶微細化効果が認められない等の問題
がある。
【0015】特開平4−74887号および特開平4−
74888号公報には、所定の電導助剤を含有させた酸
性亜鉛めっき浴を用い、所定の電流密度で鋼板表面に下
層めっきを施した後、別の酸性亜鉛めっき浴を用いて所
定の電流密度で上層めっき層を形成する方法が開示され
ている。
【0016】この方法によれば、上層電気亜鉛めっき層
を平滑な(0002)面を優先配向させたものとするこ
とにより、めっき表面における可視光線の吸収を抑制
し、明度や光沢の高い電気亜鉛めっき鋼板を得ることが
可能になるとのことである。しかしながらこれらの方法
では、基本的に鋼板表面の微視的不均一に起因するめっ
き表面の微細な不均一部の発生を抑制する効果が乏し
い。
【0017】また、特公昭39−24027号、特公昭
55−41306号、特開昭61−127887号、特
開昭61−127891号、特開昭63−14890号
等には、電気亜鉛めっき浴中に各種官能基を有する各種
分子量の有機化合物を所定濃度で含有させ、表面外観の
優れた電気亜鉛めっき鋼板を得ようとするものである。
これらの方法は、めっき浴中に添加した有機化合物を亜
鉛イオンの電析過程で表面に吸着させて電気亜鉛めっき
の析出反応を抑制し、平滑なめっき外観を得ようとする
ものであり、結果として光沢度の高いめっき外観が得ら
れる。
【0018】つまり、これらの公報で意図する優れため
っき表面外観とは、電気亜鉛めっき層の表面光沢度を高
めることを意味するものであって、本発明で問題として
いるめっき表面の微細不均一部の発生抑制までも期待で
きる訳ではない。即ち、被めっき原板である鋼板表面の
ミクロ的不均一状態が原因となるめっき外観の微細不均
一部の改善に対しては、必ずしも満足な効果は期待でき
ない。また、電気亜鉛めっき表面の光沢度が高まると、
鋼板表面の微視的不均一による電気亜鉛めっき外観不均
一がかえって目立つ様になる場合もあり、何らかの改善
策を講じる必要がある。
【0019】更に、電気亜鉛めっき鋼板の表面光沢度が
高くなると、成形加工時に生じる表面疵が逆に目立ち易
くなる傾向があるため、全ての用途に対して光沢度の向
上が好結果をもたらすわけではない。本発明では、従来
の半光沢ないし無光沢に近い表面光沢度を有した製品の
ままで、且つめっき表面の微細な外観不均一のみを改善
することが望まれるため、めっき表面の光沢度向上のみ
を意図するこれらの方法は、必ずしも最善の策とは言い
難い。
【0020】尚、上記公報のうち特開昭61−1278
91号公報には、電気亜鉛めっき結晶の(0002)面
の優先成長を抑えてランダム結晶化させ、ある程度の表
面凹凸を残した状態の平滑なめっき表面を得る方法が開
示されているが、これらの現象が素地鋼板表面のミクロ
的不均一に由来するめっき表面の微細な外観不均一部の
発生を抑制し得るかどうかについては全く不明である。
【0021】特公平3−31795号には、素地鋼板表
面のフェライト結晶粒度(結晶粒径)と電気亜鉛めっき
浴のpHを規定することにより、外観と光沢の良好な電
気亜鉛めっき鋼板を得る方法が開示されている。具体的
には鋼材表面のフェライト結晶粒度を10〜35μm、
展伸率を1.0〜2.0とすると共に、めっき浴のpH
を1.0〜2.5の範囲とすることによってめっき外観
を改善する方法である。本公報では、電気亜鉛めっきの
結晶が、素地鋼板表面の個々のフェライト結晶粒に対応
してエピタキシャルに成長することに着目し、フェライ
ト結晶粒度を大きく(即ち、フェライト結晶粒径を小さ
く)した素地鋼板を用いることにより、得られる電気亜
鉛めっき結晶のエピタキシャル成長単位を小さくし、そ
の結果として、平滑できめの細かな光沢度の高いめっき
表面を得ようとするものである。
【0022】この様に鋼板表面のフェライト結晶粒度を
調整する方法では、鋼板の結晶粒サイズに対する亜鉛め
っきの光沢度の急峻且つ鋭敏な変化は見られないが、実
際のところ、鋼板表面のフェライト結晶粒度を全ての用
途に好適な範囲に制御することは困難である。
【0023】更に、鋼板表面において部分的にフェライ
ト結晶粒度の異なるものを使用すると、それが原因とな
り、電気亜鉛めっきの外観が部分的に色調や光沢の異な
るものになる恐れがあると共に、この方法を採用したと
しても、鋼板表面のミクロ的不均一状態を原因とする電
気亜鉛めっき表面の微細な外観不均一が改善される訳で
はない。
【0024】特開昭57−110692号公報は、めっ
き面および非めっき面の汚れを除去し、変色を防止する
ことにより、めっき表面外観の優れた電気亜鉛めっき鋼
板を得ようとするものであり、具体的には、亜鉛めっき
処理後にpH12以上のアルカリ性水溶液またはpH
2.5以下の酸性水溶液で鋼板表面を湿潤させる方法で
ある。しかしながら、この方法においても素地鋼板表面
の微視的不均一に起因するめっき表面の外観不均一は改
善できない。
【0025】特開昭63−100193号に開示された
表面外観に優れた電気亜鉛めっき鋼板の製法は、電気亜
鉛めっき処理を行う前に素地鋼板表面に薄い酸化皮膜を
形成させることにより、めっき表面外観のギラツキ(キ
ラキラ)を抑制し、きめの細かな平滑なめっき外観を得
るものである。
【0026】この方法によってもたらされる表面外観改
善の理由としては、前記特公平3−31795号と同様
の記載がなされており、素地鋼板表面の結晶粒と電気亜
鉛めっき結晶がヘテロエピタキシャルの関係にあること
に着目し、素地鋼板表面の結晶粒の影響を受けずにラン
ダムにめっき結晶を成長させるために、素地鋼板表面に
予め所定厚さの酸化皮膜を形成させるものである。しか
しながらこの方法では、該酸化皮膜処理による電気亜鉛
めっき皮膜の加工密着性低下が避けられず、めっき後に
高度の成形加工が施される製品に対しては適用できな
い。
【0027】また該公報に開示されている様に、100
〜300Åの領域で鋼板の幅方向および長手方向にわた
って均一な酸化皮膜処理を連続的に行うことは技術的に
非常に困難であり、酸化皮膜厚みが薄いと外観改善効果
が発揮されず、また酸化皮膜厚さが過度に増大すると電
気亜鉛めっき鋼板の加工密着性が急激に低下してくる。
加うるに最も問題となるのは、酸化皮膜厚みが鋼板表面
で不均一に形成されると、その不均一状態によって電気
亜鉛めっきの結晶粒に変化が生じ、めっき表面外観を却
って劣化させるなど、問題が多い。
【0028】特開平7−76792号、特開平7−76
793号、および特開平7−76794号には、素地鋼
板表面の微細欠陥に起因するめっき外観汚れを改善する
ための方法やめっき皮膜構成に関する記載がある。この
うち、特開平7−76792号に開示の方法によって得
られる電気亜鉛めっき鋼板や特開平7−76794号に
開示された電気亜鉛めっき鋼板は、いずれも電気亜鉛2
層型めっき皮膜を形成するものであり、下層の電気亜鉛
めっき層の結晶粒を微細化し、その上に通常の電気亜鉛
めっき層を形成させたものである。これらの発明におい
て、鋼板表面の微小欠陥によるめっき表面外観汚れを低
減させる効果を発揮しているのは下層亜鉛めっき層であ
り、めっき浴中への有機物添加や高めっき電流密度の採
用により、下層亜鉛めっき層の結晶粒を意図的に微細化
して素地鋼板表面の不均一性を遮蔽し、それによって、
その上層に施される通常の電気亜鉛めっき表面には鋼板
表面の微小欠陥による悪影響を及ばさない様にしてい
る。同様に、下層めっき層の遮蔽効果によって素地鋼板
表面の微小欠陥の防止を図ったのが特開平7−7679
3号であり、同公報には、下層に極薄電気Niめっき層
を施す方法が開示されている。即ち、上記3種類の公報
は、下層めっき層の種類に違いはあるものの、下層めっ
き層の役割はいずれも同じであるということができる。
【0029】しかし、これらの方法で形成される下層め
っき皮膜の厚さは非常に薄いので、素地鋼板の表面欠陥
の程度が著しい場合には上記遮蔽効果は期待しにくく、
また下層めっき層による隠蔽効果は、ある特定の条件下
でのみ得られる電気亜鉛めっき層ないしは電気Niめっ
き層でないと有効に発揮されないことから、下層めっき
処理条件の厳格管理が要求され、工業的生産規模での困
難さを伴うものである。
【0030】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に着
目してなされたものであって、その目的は、単層の電気
亜鉛めっき層を鋼板表面に施すことにより、素地鋼板表
面の微視的不均一に起因する電気亜鉛めっき表面の微細
な外観不均一部の発生を確実に抑制し、均一なめっき外
観を有すると同時に、亜鉛めっき表面のキラキラ光沢の
無い電気亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供しようとする
ものである。
【0031】更に、本発明の他の目的は、耐食性等の改
善を目的として、上記電気亜鉛めっき鋼板の表面にクロ
メート皮膜が形成された表面処理鋼板の製造方法、更に
は、耐食性、耐指紋性、潤滑性等の改善を目的として、
上記クロメート皮膜の上に、有機物若しくは無機物主体
の皮膜が形成されためっき外観の均一な表面処理電気亜
鉛めっき鋼板の製造方法を提供しようとするものであ
る。
【0032】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成すること
のできた本発明に係る電気亜鉛めっき鋼板の製造方法
は、電気めっき法によって鋼板表面に亜鉛めっき層を形
成するに当たり、表面のフェライト平均結晶粒径が38
μm以下である鋼板を用い、フルオロ錯イオンを100
〜5000ppm含有する亜鉛めっき浴中で電気亜鉛め
っきを行うところに要旨を有するものである。
【0033】ここで、より優れためっき外観を効率良く
得ることを目的として、上記フルオロ錯イオンとしてS
iF6 2- イオン及び/又はBF4 -イオンを用いたり、硫
酸系の亜鉛めっき浴を使用することは、本発明の好まし
い実施態様である。
【0034】また、本発明に係る表面処理電気亜鉛めっ
き鋼板の製造方法は、上記要件を満たす電気亜鉛めっき
鋼板のめっき層の表面に、Cr化合物を主体とするクロ
メート処理を行うことにより、鋼板表面に亜鉛めっき層
およびクロメート皮膜を順次形成する点、更に、このク
ロメート皮膜の上に、有機物または無機物を主体とする
塗布処理を施すことにより、鋼板表面に亜鉛めっき層、
クロメート皮膜、および有機物または無機物を主体とす
る皮膜を順次形成する点に夫々要旨を有するものであ
る。ここで、金属Cr付着量換算で5〜200mg/m
2 のクロメート処理を行ったり、或いは有機物または無
機物を主体とする塗布処理を施すに当たり、固形分付着
量換算で0.3〜2.0g/m2 に制御することは、本
発明の好ましい実施態様である。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明に至る経緯を追って
本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明者らは、
上述の様な従来技術の問題点に鑑み、電気亜鉛めっき鋼
板のめっき表面に発生している微視的外観不均一の原因
について調査した。その結果、不均一部分として目視で
認識される部分は、他の正常部分と比べて、光沢度や明
度が微妙に変化していることが確認された。即ち、電気
亜鉛めっき表面に入射される可視光線に対する反射光線
量(正反射量および拡散反射量)が、微視的不均一部と
マクロ的正常部分とで異なっているため、この違いが目
視による色調差、即ち微視的外観不良部分として認識さ
れるとの結論を得た。
【0036】更に、電気亜鉛めっき表面の結晶形態につ
いて調査したところ、微視的外観不均一発生部と他の正
常部分とでは、亜鉛めっきの結晶形態も異なっている場
合が多く、亜鉛めっき結晶の成長時における鋼板とのエ
ピタキシーの程度が異なっているものと推定された。
【0037】また、亜鉛めっき表面のキラキラ光沢の発
生原因は、亜鉛めっき結晶の大きさや結晶配向性に大き
く依存することが明らかになった。即ち、亜鉛の結晶構
造は六方稠密晶であり、一般に鋼板上での亜鉛めっきの
結晶形態は、六方晶の(001)基底面である六角形の
板状結晶が鋼板表面に対してやや傾いた状態で積層す
る。そして、めっき外観が目視でキラキラして見える原
因は、亜鉛めっきの六角形の結晶が個々に粗大化して成
長しており、且つ素地鋼板のフェライト結晶粒毎に、あ
る一定の方向性をもって成長していることによるもので
あることが判明した。
【0038】この様に、電気亜鉛めっき鋼板のめっき表
面に発生する微視的外観不均一やキラキラ光沢の発生原
因は、鋼板表面に形成されるめっき結晶の形態(大きさ
や配向性)の不均一や粗大化により生じることが判明し
たため、本発明者らは、その対策として、亜鉛めっきの
結晶を微細化し、且つ結晶の配向性をランダムにすれ
ば、微視的外観不均一やキラキラ光沢などの欠陥は解消
できると考えた。つまり、電気亜鉛めっき層の結晶成長
を何らかの手段により制御し、原板である鋼板表面の性
状や形態に関係なく、ある一定の性質、具体的には結晶
サイズや結晶配向性を与えることができれば、めっき表
面の微視的な外観不均一やキラキラ光沢の発生を抑制で
きるのではないかと考えた。
【0039】そこで、まず亜鉛めっき結晶を微細化し、
めっき結晶の配向性をランダムにする方法として、電気
亜鉛めっき時の析出過電圧を高めることについて検討し
た。具体的には、フェライト結晶粒サイズを種々変化さ
せると共に、表面性状が微視的に不均一になる様、意図
的に製造された各種冷延鋼板を使用し、電気亜鉛めっき
時の電流密度を増加させて、得られた亜鉛めっき結晶や
亜鉛めっき外観を調査した。
【0040】その結果、この方法によれば、確かに上述
した微視的外観不均一やキラキラ光沢などの欠陥は解消
できることを実験により確認できたが、実操業ラインに
おける連続生産を考えると、析出過電圧を現状よりも大
幅に引き上げることは、設備上或いは製造コストの点で
限界があり、実用化し難いとの結論に至った。
【0041】尚、電気亜鉛めっき皮膜を2層型(多層
型)の亜鉛めっき皮膜とする方法、即ち、鋼板表面に最
初に電析される亜鉛めっき下層部分のみを高析出過電圧
下でめっきし、その後、通常の条件にて上層亜鉛めっき
処理することにより、製造コストの大幅な上昇を防ぎ、
めっき外観の品質をある程度向上させるという方法も考
えられるが、電気めっき設備の複雑化は避けられず、好
ましい方法であるとは言い難い。
【0042】そこで、次に本発明者らは、種々の素地鋼
板を用い、各種化合物を添加した亜鉛めっき浴にて連続
電気めっきラインにより各種電気亜鉛めっき鋼板を作製
し、めっき表面の微視的な外観不均一部の発生の抑制効
果について調査した。その結果、鋼板の結晶粒径を小さ
くし、且つ鉄よりも電位的に貴な金属イオン(Ni,C
o,Cu及び/またはPb;Sn,In,Bi及び/又
はSb)を含有する硫酸酸洗浴で鋼板を酸洗すれば良い
ことを見出し、既に報告している。即ち、上記金属元素
の析出電位は亜鉛よりも低いため、鋼板上には先ずこれ
ら金属元素が析出し、これが亜鉛めっき結晶の成長核と
なって亜鉛の初期析出が分散することにより、亜鉛めっ
き結晶を微細且つ平滑にすることができるのであり、こ
の様な作用を一層有効に発揮させる為に、更に鋼板の結
晶粒径を規定したのである。
【0043】しかしながら、この方法によれば、最終的
に得られる電亜鉛気めっき鋼板の色調は従来の色調とは
異なるものになってしまう場合がある。前述した様に、
本発明の目的は、あくまでも電気亜鉛めっき鋼板の外観
の色調を大幅に変化させないことを前提として、亜鉛め
っき表面の微視的不均一部の発生やキラキラ光沢を防止
する点にある為、得られる電気亜鉛めっき表面の明度や
光沢度が大幅に変化してしまう様な化合物を添加する方
法(例えば、前述した様なめっき浴中に各種有機化合物
を添加することにより、高光沢亜鉛めっきとする方法な
ど)は、たとえ、亜鉛めっき表面の微視的不均一部の発
生やキラキラ光沢を防止し得るとしても、本発明の主旨
からは逸脱するものと見なされ、排除されるべきもので
ある。この観点から言えば、上記の方法は、当然のこと
ながら本発明の目的に合致しないものである。
【0044】本発明では、これらを総合的に勘案した結
果、本発明の目的に最も合致する化合物として、フルオ
ロ錯イオンを選択したのである。即ち、本発明に係わる
電気亜鉛めっき鋼板の製造方法では、亜鉛めっき浴中に
フルオロ錯イオンを含有する点に第1の特徴を有する。
【0045】本発明に用いられるフルオロ錯イオンは、
フッ素がイオン半径の小さい陽性元素のイオン(例えば
3+、Al3+、Si4+等)に配位した構造を有するもの
であり、安定で且つ可溶性である。このなかでも、本発
明の作用を有効に発揮させるには、SiF6 2- 及び/又
はBF4 -イオンの使用が推奨される。
【0046】本発明におけるフルオロ錯イオンの作用機
構については未だ解明できていないが、めっき浴中の亜
鉛イオンが鋼板表面に電析される過程において、鋼板表
面とめっき浴の界面にて、亜鉛イオンと、SiF6 2-
オンやBF4 -イオン等のフルオロ錯イオンが錯体を形成
し、これによって析出時の過電圧や析出形態を変化さ
せ、亜鉛めっき結晶の成長を抑制するためではないかと
思料される。
【0047】尚、本発明では、上記フルオロ錯イオンを
めっき浴中に添加するに当たり、その添加濃度を100
〜5000ppmに制御する必要がある。100ppm
未満の場合には、亜鉛めっき結晶の微細化且つ結晶配向
性のランダム化の効果が乏しい為、亜鉛めっき外観の微
視的不均一の発生抑制効果やキラキラ光沢の抑制効果が
不充分である。好ましい下限値は500ppmであり、
より好ましくは1000ppmである。一方、5000
ppmを超えて添加しても、上記の改善効果が飽和する
ばかりでなく、添加化合物の種類(即ち、フルオロ錯イ
オンと結合するカチオンの種類)によっては、めっき浴
中への溶解性が低下し、溶解せずに浴中に不溶固形粒子
として残存し、これが連続ラインでの電気亜鉛めっき鋼
板製造時にめっき表面での押し疵の原因となって、新た
な外観品質上の不具合を招く場合がある。本発明におけ
る上記フルオロ錯イオンの上限値(5000ppm)
は、この様な観点に基づいて設定されたものであり、好
ましい上限値は3000ppmである。尚、上記の添加
範囲内であれば、フルオロ錯イオンを単独で使用しても
良いし、或いは2種以上を組合わせて使用しても良い。
【0048】本発明に用いられるフルオロ錯イオンの化
合物形態としては、少なくとも上述した所定濃度が得ら
れる程度の溶解度を有していることが必要であり、具体
的には、H2 SiF6、(NH42 SiF6 、Na2
iF6 、K2 SiF6 、MgSiF6 ・6H2 O等のフ
ルオロケイ酸化合物;HBF4 、NaBF4 、NH4
4 、Mg(BF42 、Ba(BF42 ・2H2
O、Al(BF43 等のフルオロホウ酸化合物が挙げ
られる。
【0049】尚、本発明と同様、めっき表面の外観ムラ
を改善することを目的として、めっき浴中に0.01〜
10g/リットルのSiF6 2- イオンを添加する方法が
開示されている(特開平4−110497号)。しかし
ながら、この方法では亜鉛クロム系合金めっき鋼板を対
象しており、純亜鉛めっき鋼板を対象とする本発明と
は、その対象物が全く異なる。両者は、「めっき表面の
外観ムラの改善」という広義の課題のもとでは、一見し
たところ同一構成を採用しているとも考えられるが、対
象が異なれば、電気めっきの成長メカニズムにも変化が
生じ、従って「めっき表面の外観ムラ」の種類も全く異
なってしまい、結果的に、解決しようとする課題が全く
異なってくる。
【0050】即ち、前記公報で課題としているのは、高
耐食性複合電気亜鉛クロム系合金めっき鋼板におけるめ
っき表面の外観向上にある。前記公報は、Zn2+,Cr
3+,鉄族金属2価イオン、及びカチオンポリマーをめっ
き浴中に添加するという従来の方法では均一な外観が得
られ難く、特にめっき処理時にめっき液の流速が低い領
域では筋ムラや色ムラ等の外観ムラが発生しやすいとい
う事情に基づいてなされたものであり、この様な外観ム
ラの発生を防止する為に、めっき浴中に所定濃度のSi
6 2- イオンを添加する方法である。
【0051】これに対して、本発明では純亜鉛めっき鋼
板を対象としている為、前記複合亜鉛めっき鋼板におけ
る電流効率の低下に伴う筋ムラ等の外観ムラは全く生じ
ない。本発明における「外観ムラ」とは、前述した様
に、基板である純亜鉛めっき鋼板の表面性状に起因して
生じるムラ、即ち、鋼板表面の微視的不均一に起因する
亜鉛めっき表面外観の微視的ムラ(例えば、その形態の
一例として灰色色調を有する亜鉛めっき鋼板のところど
ころに、髭状の黒色模様が生じる)およびキラキラ光沢
(鋼板の一部がきらっと光る)を意味し、純亜鉛めっき
鋼板に特有のムラである。そして本発明では、この様な
鋼板の表面性状に起因する外観ムラの防止を目的とし
て、鋼板表面のフェライト平均結晶粒径を制御すると共
に、亜鉛めっき浴中に所定濃度のフルオロ錯イオンを添
加したのである。従って、本発明法は、純亜鉛めっき鋼
板に特有の外観ムラを改善する為に上記構成を採用して
いる点で、亜鉛クロム系合金めっき鋼板のめっき処理時
に生じる外観ムラを改善する為にSiF6 2- イオンをめ
っき浴中に添加する前記公報とは、その目的が全く異な
るものであり、技術的にも全く新規な知見である。
【0052】本発明において、これらのフルオロ錯イオ
ンを添加するめっき浴としては、酸性浴(硫酸浴、塩化
物浴、各種有機酸浴等)、アルカリ浴等が挙げられる
が、酸化イリジウム電極や各種Pb合金電極などの不溶
性陽極を用いた連続ラインでの製造時の操業安定性、生
産性、製造コスト等を総合的に考慮すれば、硫酸系めっ
き浴の使用が好ましい。
【0053】この様に、電気亜鉛めっき浴中へのフルオ
ロ錯イオンの添加は、亜鉛めっき外観の微視的不均一の
発生抑制効果やキラキラ光沢の抑制効果を有することが
分かったが、同時に、めっき原板として使用する素地鋼
板のフェライト結晶粒径が大きいと、亜鉛めっき結晶が
成長し易くなり、特にキラキラ光沢に関してはその効果
が充分に発揮されない場合があることも分かった。
【0054】そこで上記実験に引続いて、本発明者ら
は、鋼板表面のフェライト結晶粒径が異なる種々の鋼板
を使用し、これらの鋼板についてフルオロ錯イオンの添
加効果を調査したところ、素地鋼板表面のフェライト平
均結晶粒径が38μm以下になると、上記フルオロ錯イ
オンの添加効果が顕著に発揮され、亜鉛めっき外観は非
常に良好なものとなることが判明した。従って、本発明
では、表面のフェライト平均結晶粒径が38μm以下で
ある鋼板を使用する点に第2の特徴を有する。好ましく
は30μm以下であり、より好ましいのは20μm以下
である。
【0055】尚、鋼板表面のフェライト平均結晶粒径
は、SEM観察視野像から一定面積内に存在する結晶粒
の個数をカウントし、各結晶粒を円と仮定した場合の結
晶粒1個当たりの平均面積を求め、それによりフェライ
ト平均結晶粒径を算出した。
【0056】この様に、本発明では素地鋼板のフェライ
ト平均結晶粒を38μm以下に制御する必要があるが、
その制御手段については特に規定するものではなく、通
常の方法を採用することができる。また、素地鋼板の種
類についても、一般軟鋼を始め、各種の高張力鋼板など
種々の鋼板を包含し得る。
【0057】更に、本発明では、実操業レベルにおける
耐食性、潤滑性、耐指紋性、耐疵付き性等の性能向上を
目的として、上述した電気亜鉛めっきを行った後に、ク
ロメート処理を施してクロメート皮膜を形成させたり、
或いはクロメート処理後、更に有機物若しくは無機物主
体の塗布処理を行ってこれらの皮膜を形成させることが
望ましい。
【0058】ここで、亜鉛めっき層の上に形成されるク
ロメート皮膜としては、所謂反応型クロメート皮膜、塗
布型クロメート皮膜、電解クロメート皮膜のいずれであ
ってもよい。具体的には、Cr化合物を主成分とするク
ロメート皮膜が形成される訳であるが、更に耐食性、耐
疵付き性、耐黒変性等の性能向上を目的として、必要に
よりシリカ等の各種酸化物や有機シラン化合物を含有さ
せても良く、或いは、更にりん酸塩、硝酸塩、フッ化
物、珪素フッ化物等の各種反応促進剤等を含有させるこ
とも推奨される。尚、クロメート処理を行うに当たって
は、金属Cr付着量換算で5〜200mg/m2 となる
様に制御することが好ましい。
【0059】更に、クロメート処理の後、有機物または
無機物を主体とする塗布処理を施す場合には、固形分付
着量換算でこれらの化合物が0.3〜2.0g/m2
なる様に制御することが好ましい。ここで、該皮膜が有
機系樹脂を主体とする場合には、エポキシ系樹脂、ポリ
エステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エチレン性不飽
和カルボン酸を重合成分として含むエチレン共重合体樹
脂、ポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹
脂等の有機樹脂成分を主体とするものが好ましい。更
に、耐食性、潤滑性、耐疵付き性、加工性、溶接性、電
着塗装性、塗膜密着性等の性能向上を目的として、必要
によりシリカ等の各種酸化物粒子や各種りん酸塩等の無
機顔料、ワックス粒子、有機シラン化合物、ナフテン酸
塩等を含有させても良い。
【0060】一方、上記皮膜が無機物を主体とする場合
には、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチ
ウムなどのケイ酸塩を主体とするものが好ましい。更に
造膜性、耐食性、潤滑性、耐疵付き性、加工性、溶接
性、電着塗装性、塗膜密着性などの性能向上を目的とし
て、必要によりコロイダルシリカ等の各種酸化物粒子や
各種リン酸塩等の無機顔料、ワックス粒子、有機シラン
化合物などを含有させても良い。
【0061】更に、本発明では、素地鋼板表面の清浄化
や活性化を目的として、電気亜鉛めっき処理の前に素地
鋼板のアルカリ脱脂、アルカリ電解脱脂、酸性処理を行
うことも有効である。
【0062】以下、実施例を挙げて本発明をより具体的
に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制
限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る
範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であ
り、それらは何れも本発明の技術的範囲に包含される。
【0063】
【実施例】
実施例 めっき原板となる冷延鋼板を以下の様にして作製した。
まず、均熱炉から1250℃で高温抽出した鋼スラブを
用い、熱間圧延工程における粗デスケーリングミル条件
を意図的に不均一にしてAlキルド熱延鋼板を製造し
た。次に、該熱延鋼板を用い、塩酸酸洗−タンデム冷間
圧延−連続焼鈍工程を経て得られたAlキルド冷延鋼帯
コイル(0.8t ×1250w mm×L)を作製し、め
っき原板として供試した。
【0064】この冷延鋼板は、冷延鋼板のままの状態で
は、目視で見る限りその表面に微視的不均一部の発生を
認めることはできないが、AES分析やEPMA面分析
で該冷延鋼板の表面を詳細に調査すると、表面に形成さ
れた酸化皮膜層には明らかにミクロ的不均一部分が存在
しており、Ni,Si,Mn等の鋼中の不可避的不純物
元素ないしは添加元素が局在的に表面濃化していること
を確認した。
【0065】次に、この冷延鋼板を使用し、下記の手順
で電気亜鉛めっき鋼板を製造した。 [電気亜鉛めっき鋼板の作製手順] (1) アルカリ水溶液浸漬脱脂:3重量%苛性ソーダ水溶液、60℃、2秒 (2) アルカリ水溶液電解脱脂:3重量%苛性ソーダ水溶液、60℃、2秒、 10〜30A/dm2 (3) 水洗 (4) 酸洗 :3〜7重量%硫酸水溶液、40℃、2秒 (5) 水洗 (6) 電気亜鉛めっき :下記の通り (7) 水洗 (以下に示す(8) 〜(10)の後処理は一部のものについて実施) (8) クロメート処理 :反応型クロメート処理、Cr換算付着量10 〜200mg/m2 (9) 水洗 (10)薄膜有機樹脂被覆処理 :架橋型ポリエチレン系樹脂(コロイダルシリ カ、ワックス粒子添加) 固形分付着量 0.3〜1.5g/m2 (11)乾燥
【0066】 [電気亜鉛めっき条件] ・めっきセル :横型めっきセル ・めっき浴組成 :ZnSO4 ・7H2 O 300〜400g/l Na2 SO4 50〜100g/l H2 SO4 25〜35 g/l ・電流密度 :50〜200A/dm2 ・めっき浴温度 :60℃ ・めっき浴流速 :1〜2m/秒 ・電極(陽極) :Pb合金電極 ・めっき付着量 :10〜40g/m2 (片面当たり)
【0067】得られた電気亜鉛めっき鋼板(クロメート
処理材および薄膜有機皮膜処理材を含む)の表面を目視
観察し、微視的外観不均一部の発生頻度やキラキラ光沢
の発生頻度について調べた。 (1) 微視的外観不均一部の発生(表面外観の微視的ムラの程度) ◎:微視的外観不均一部が全く認められない ○: 〃 僅かに認められるが、殆ど目立たない △: 〃 少し発生し、やや目立つ ×: 〃 著しく発生、非常に目立つ (2) キラキラ光沢(表面がキラキラと光って見える程度) ◎:キラキラ光沢が全く認められない ○: 〃 僅かに認められるが、殆ど目立たない △: 〃 少し発生し、やや目立つ ×: 〃 著しく発生、非常に目立つ その結果を表1および表2に示す。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】これらの表からも明らかな様に、電気亜鉛
めっき鋼板のままであっても、クロメート処理や薄膜有
機被覆処理等の各種表面処理を施したものであっても、
本発明で規定する要件を満足する実施例は全て、微視的
外観の均一性に優れており、原板である素地鋼板表面性
状の微視的不均一に起因するめっき外観の微視的不良が
全く発生しないか、或いは殆ど目立たないことが分か
る。また、同時にキラキラ光沢についても解消されてい
ることが分かる。
【0071】これに対して、亜鉛めっき浴中へのフルオ
ロ錯イオンの含有量が本発明の規定要件を満足しない場
合や、素地鋼板表面のフェライト結晶粒径が本発明で規
定する上限値を超える場合には、素地鋼板表面の微視的
不均一発生に起因するめっき外観不良が明らかに発生し
ているか、キラキラ光沢の発生が明らかに認められるこ
とが分かる。
【0072】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、電
気亜鉛めっき鋼板を製造するに当たり、亜鉛めっき浴中
へ所定濃度のフルオロ錯イオンを含有させると共に、め
っき原板として、表面のフェライト結晶粒径を規定した
鋼板を用いることにより、素地鋼板表面の微視的不均一
発生に起因するめっき外観不良や素地鋼板のフェライト
結晶粒径に起因するキラキラ光沢の発生を同時に防止
し、電気亜鉛めっき鋼板(クロメート皮膜処理材や、有
機物または無機物主体の皮膜処理材も含む)の表面外観
を飛躍的に向上させることが可能になった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩井 正敏 兵庫県加古川市金沢町1番地 株式会社神 戸製鋼所加古川製鉄所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気めっき法によって鋼板表面に亜鉛め
    っき層を形成するに当たり、表面のフェライト平均結晶
    粒径が38μm以下である鋼板を用い、フルオロ錯イオ
    ンを100〜5000ppm含有する亜鉛めっき浴中で
    電気亜鉛めっきを行うことを特徴とするめっき外観の均
    一性に優れた電気亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記フルオロ錯イオンがSiF6 2- イオ
    ン及び/又はBF4 -イオンである請求項1に記載の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 硫酸系の亜鉛めっき浴を用いるものであ
    る請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 電気めっき法によって鋼板表面に亜鉛め
    っき層およびクロメート皮膜を順次形成するに当たり、
    請求項1〜3のいずれかに記載の方法で得られた電気亜
    鉛めっき鋼板に対し、クロメート処理を行うことを特徴
    とするめっき外観の均一性に優れた表面処理電気亜鉛め
    っき鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 電気めっき法によって鋼板表面に亜鉛め
    っき層、クロメート皮膜、および有機物または無機物主
    体の皮膜を順次形成するに当たり、請求項4に記載の方
    法で得られた表面処理電気亜鉛めっき鋼板に対し、有機
    物または無機物を主体とする塗布処理を施すことを特徴
    とするめっき外観の均一性に優れた表面処理電気亜鉛め
    っき鋼板の製造方法。
JP6124796A 1996-03-18 1996-03-18 めっき外観の均一性に優れた電気亜鉛めっき鋼板および表面処理亜鉛めっき鋼板の製造方法 Withdrawn JPH09256192A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6124796A JPH09256192A (ja) 1996-03-18 1996-03-18 めっき外観の均一性に優れた電気亜鉛めっき鋼板および表面処理亜鉛めっき鋼板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6124796A JPH09256192A (ja) 1996-03-18 1996-03-18 めっき外観の均一性に優れた電気亜鉛めっき鋼板および表面処理亜鉛めっき鋼板の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09256192A true JPH09256192A (ja) 1997-09-30

Family

ID=13165720

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6124796A Withdrawn JPH09256192A (ja) 1996-03-18 1996-03-18 めっき外観の均一性に優れた電気亜鉛めっき鋼板および表面処理亜鉛めっき鋼板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09256192A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011032528A (ja) * 2009-07-31 2011-02-17 Jfe Steel Corp 化成処理電気亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
CN114846179A (zh) * 2019-12-20 2022-08-02 Posco公司 具有优异的白度的电镀锌钢板及其制造方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011032528A (ja) * 2009-07-31 2011-02-17 Jfe Steel Corp 化成処理電気亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
CN114846179A (zh) * 2019-12-20 2022-08-02 Posco公司 具有优异的白度的电镀锌钢板及其制造方法
EP4079941A4 (en) * 2019-12-20 2022-12-28 Posco ELECTROGALVANIZED STEEL SHEET HAVING SUPERB WHITENESS AND ITS MANUFACTURING METHOD
CN114846179B (zh) * 2019-12-20 2024-03-01 Posco公司 具有优异的白度的电镀锌钢板及其制造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR0175967B1 (ko) 전기아연도금 강판과 그 방법
JPH0324255A (ja) 溶融亜鉛めっき熱延鋼板の製造方法
JPH08188898A (ja) 電気亜鉛めっき鋼板およびその製法
JP2013151734A (ja) 塗装後耐食性と耐エナメルヘア性に優れる高鮮映性塗装下地用電気亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
KR101839265B1 (ko) 표면외관이 우수한 전기아연도금강판용 아연 플래쉬 도금 용액, 이를 이용한 전기아연도금강판의 제조방법 및 전기아연도금강판
JPH07331483A (ja) 電気亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP2812228B2 (ja) 電気亜鉛めっき鋼板およびその製法
JPH09256192A (ja) めっき外観の均一性に優れた電気亜鉛めっき鋼板および表面処理亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP3183630B2 (ja) 電気亜鉛めっき鋼板
JP3293465B2 (ja) 表面外観の均一性に優れた電気亜鉛めっき鋼板
KR100625952B1 (ko) 표면의 외관 및 광택도가 우수한 용융아연도금강판 제조방법
JP2001040494A (ja) 表面外観の優れた電気Znめっき鋼板及びその製造方法
JP3364878B2 (ja) 電気亜鉛系めっき鋼板およびその製法
JP3366321B2 (ja) 電気亜鉛系めっき鋼板およびその製法
KR102218449B1 (ko) 표면외관이 우수한 전기도금강판 및 그 제조방법
JPH0676675B2 (ja) 化成処理性と塗装後性能に優れた亜鉛系めっき鋼板の製造方法
JP3212842B2 (ja) 表面外観の均一性に優れた電気亜鉛めっき鋼板および表面処理電気亜鉛めっき鋼板
JP3102785B1 (ja) 電気亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
JP2827709B2 (ja) 複数のめっき層を有する、耐糸状錆び性、耐食性および溶接性に優れた表面処理鋼板
JPH09316681A (ja) 電気亜鉛めっき浴中水溶性有機添加剤、並びにめっき外観の均一性に優れた電気亜鉛めっき鋼板及び表面処理亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP3122632B2 (ja) 表面外観に優れた電気亜鉛めっき鋼板
JP3277158B2 (ja) 外観に優れた溶融亜鉛めっき鋼板および合金化処理溶融亜鉛めっき鋼板
JP5928991B2 (ja) 電気亜鉛めっき鋼板の製造方法
JPH06246229A (ja) 有機複合被覆鋼板及びその製造方法
JPH07243083A (ja) めっき外観の均一性と塗装後耐食性に優れた電気亜鉛めっき鋼板

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20030603