JPH06246229A - 有機複合被覆鋼板及びその製造方法 - Google Patents

有機複合被覆鋼板及びその製造方法

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JPH06246229A
JPH06246229A JP5038392A JP3839293A JPH06246229A JP H06246229 A JPH06246229 A JP H06246229A JP 5038392 A JP5038392 A JP 5038392A JP 3839293 A JP3839293 A JP 3839293A JP H06246229 A JPH06246229 A JP H06246229A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】亜鉛又は亜鉛系合金めっき層が施された鋼板
と、該鋼板のめっき層上に形成され、金属クロム換算で
1mg/m2 以上200のmg/m2 以下の付着量を有する
クロメ−ト処理層と、クロメ−ト処理層上に厚さ0.1
乃至5μmの範囲で形成された樹脂被膜とを具備し、前
記樹脂被膜の主成分が、エチレンとα,β−エチレン性
不飽和カルボン酸とを主鎖成分とし、カルボキシル基の
60〜80%を金属イオンで中和したエチレン系アイオ
ノマー樹脂である有機複合被覆鋼板。樹脂被膜の塗布に
際しては、乳化剤を含まない水分散型樹脂液を用いる。 【効果】良好な耐食性を維持しつつ、耐黒変性に優れた
有機複合被覆鋼板が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、亜鉛系めっきが施さ
れた鋼板の上にクロメ−ト処理層及び樹脂被膜を形成し
た有機複合被覆鋼板に関する。このような有機複合被覆
鋼板は、家電製品又は建材等に用いられる。
【0002】
【従来の技術】亜鉛又は亜鉛系合金めっき鋼板(以下、
亜鉛系めっき鋼板と略記する)は、耐食性に優れている
ことから、各種の産業分野において広く使用されてい
る。特に、家電製品の用途においては、従来塗装して使
用していた部材を無塗装のまま適用するものが増加して
おり、そのため無塗装での耐食性はもちろんのこと、無
塗装での良好な外観が要求される。
【0003】耐食性に関しては、一次防錆としての一般
のクロメ−ト処理に代えて、塩水噴霧試験で白錆発生時
間が100時間程度の耐食クロメ−ト処理を施すことに
より、ある程度要求が満たされている。しかしながら、
これらクロメ−ト処理鋼板が未塗装状態で保管される場
合、特に高温・湿潤環境下に保管される場合、表面が部
分的にあるいは全体に亘って経時的に黒っぽく変色す
る、いわゆる黒変現象が発生することがあり、外観的に
商品価値を著しく損なうといった問題が生じる。
【0004】黒変は、初期の腐食現象と考えられてお
り、保管中に水分や酸素がクロメ−ト処理被膜を通し、
めっき表層において酸化物、水酸化物あるいは水和酸化
物等を生成して、可視光を吸収・散乱しやすい形態にな
ることが黒く見える原因と考えられている。この反応
は、亜鉛めっき層中に微量残存する鉛、アルミニウム等
が亜鉛のアノ−ド化を促進することによって生じたり、
めっき層表層に付着した異物又は不純物(例えば、SO
4 2-やCl- 等のめっき浴成分、クロメ−ト浴中の不純
物イオン、あるいは油分)の不均一な付着によって一層
促進される。
【0005】このような現象を考慮して、亜鉛系めっき
鋼板の耐黒変性を向上させるため、めっき層中の不純物
の濃度管理や、めっき後の表面の洗浄強化等を行ってい
るが、必ずしも十分な効果が得られていない。このよう
な背景において、めっき又はクロメ−ト処理の観点から
黒変を防止するという要求に答えるべく、以下に示すい
くつかの技術が提案されている。 (1)特開昭60−63385号公報(以下、先行技術
1と記す)
【0006】この公報には、亜鉛めっき浴中の不純物P
2+の濃度を0.2ppm以下に制御することによっ
て、亜鉛の化学的に安定な(002)面を優先析出させ
るように結晶を配向させ、クロメ−ト処理層との反応を
抑制し、黒変を防止する技術が開示されている。 (2)特開昭60−77988号公報(以下、先行技術
2と記す)
【0007】この公報には、亜鉛めっき浴中のNi2+
Pb2+比を5〜500、Ni2+/Zn2+比を1/25以
下とし、かつNi2+濃度を10g/l以下とすることに
より、Pb2+の存在下でも安定な亜鉛の(002)面を
優先析出させる技術が開示されている。 (3)特開昭63−250496号公報(以下、先行技
術3と記す)
【0008】この公報には、亜鉛めっき浴中の[Ni]
分を、[Ni]/([Ni]+[Cr]+[O])の元
素比で30〜60%含有した電解型クロメ−ト処理を施
した亜鉛めっき鋼板が開示されている。 (4)特開平2−8374号公報(以下、先行技術4と
記す)
【0009】この公報には、めっき浴中のPb2+が0.
5ppm以下、Ni2+が100〜300ppm、Ni2+
/Pb2+比が500を超え、このような条件で形成され
ためっき層の上に、シリカゾル等を含有する塗布型クロ
メ−ト処理を施す技術が開示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た先行技術には以下に示すような問題がある。
【0011】すなわち、先行技術1及び2は、めっき層
を安定化して反応型クロメ−ト処理により形成された処
理層の不均一形成を抑制する効果はあるものの、これら
技術によって製造された鋼板では、高温・湿潤の厳しい
腐蝕環境下では必ずしも黒変を抑制することができな
い。
【0012】また、先行技術3及び4は、クロメ−ト処
理又はめっき層とクロメ−ト処理とを改良することによ
って黒変を抑制しようとするものであり、比較的マイル
ドな保管状態においては効果が認められる。しかし、厳
しい環境においては、黒変抑制効果は不十分であり、耐
黒変性やクロム溶出に伴う耐退色性と耐食性とを同時に
満足することができない。さらに、これらの技術におけ
る鋼板は、スリット加工、搬送等の工程においてハンド
リング疵が付きやすく、その部分での耐食性劣化を回避
することができない。
【0013】一方、亜鉛系めっき鋼板として、クロメ−
ト処理層の上に樹脂層を設けたものも開発されている
が、耐黒変性の改善を目的とするものはなく、また実際
に試験すると耐黒変性が悪いのが実情である。
【0014】この発明は、かかる事情に鑑みてなされた
ものであって、良好な耐食性を維持しつつ、耐黒変性に
優れかつ疵等が発生しにくい有機複合被覆鋼板を提供す
ることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段及び作用】この発明は、前
記課題を解決するために、亜鉛又は亜鉛系合金めっき層
が施された鋼板と、該鋼板のめっき層上に形成され、金
属クロム換算で1mg/m2 以上200mg/m2 以下の付
着量を有するクロメ−ト処理層と、クロメ−ト処理層上
に厚さ0.1乃至5μmの範囲で形成された樹脂被膜と
を具備し、前記樹脂被膜の主成分が、エチレンとα,β
−エチレン性不飽和カルボン酸とを主鎖成分とし、カル
ボキシル基の60〜80%を金属イオンで中和したエチ
レン系アイオノマー樹脂であることを特徴とする有機複
合被覆鋼板を提供する。
【0016】また、亜鉛又は亜鉛系合金めっき層が施さ
れた鋼板に、金属クロム換算で200のmg/m2 以下の
付着量を有するクロメ−ト処理層を形成し、さらにその
上にエチレンとα,β−エチレン性不飽和カルボン酸と
を主鎖成分とし、カルボキシル基の60〜80%を金属
イオンで中和したエチレン系アイオノマー樹脂を主成分
とする樹脂と、乳化剤を含まない水とを混合して調製し
た水分散型樹脂液を塗布し、乾燥することによって、厚
さが0.1乃至5μmの範囲の樹脂被膜を形成すること
を特徴とする有機複合被覆鋼板の製造方法を提供する。
【0017】本願発明者らは、亜鉛系めっき鋼板におけ
る上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、亜鉛系
めっき鋼板のめっき層上に、クロメ−ト処理層を形成
し、その上に、乳化剤を用いなくても水分散が可能な特
殊な樹脂層を形成することによって、良好な耐食性を維
持しつつ、耐黒変性に優れかつ疵等が発生しにくい鋼板
が得られることを見出した。すなわち、所定厚さのクロ
メ−ト処理層の上に、特定範囲の厚さを有し、主成分
が、エチレンとα,β−エチレン性不飽和カルボン酸と
を主鎖成分とし、カルボキシル基の60〜80%を金属
イオンで中和したエチレン系アイオノマー樹脂である被
膜を形成することにより、その分子構造に起因したバリ
ヤ効果によって耐黒変性が向上し、かつ耐疵性等も向上
することを見出したのである。本発明は、本願発明者ら
のこのような知見に基づいてなされたものである。
【0018】本発明において、上層として形成される樹
脂被膜の主成分は、エチレンとα,β−エチレン性不飽
和カルボン酸、及び必要に応じてその他の共重合体との
共重合体を主鎖の基本構造とし、カルボキシル基の60
〜80%を金属イオンで中和したエチレン系アイオノマ
ー樹脂である。α,β−エチレン性不飽和カルボン酸に
は、アクリル酸、メタクリル酸、フマ−ル酸、イタコン
酸、マレイン酸等があるが、特に厳しい環境における耐
黒変性、耐食性等の品質に着目すると、メタクリル酸が
特に優れている。共重合体の分子量としては、通常、重
量平均分子量1万〜20万のものが好ましく、5万〜1
5万のものが特に好ましい。
【0019】また、カルボン酸の中和に用いられるイオ
ンとしては、アルカリ金属、及びアルカリ土類金属の金
属イオン、遷移金属の水酸化物等の金属化合物イオンの
他に、有機アミンと遷移金属との錯イオンがあるが、被
膜の耐黒変性、耐食性あるいは薬液安定性の点からナト
リウムイオンが特に好ましい。
【0020】中和度としては、80℃という低い乾燥温
度においても良好な耐黒変性、耐食性を得る観点から、
60〜80%の範囲が好ましい。60%未満では耐黒変
性が不十分であり、80%を超えると粘度が高くなって
薬液安定性が低下し、さらに吸湿性が高くなるため耐黒
変性、耐食性が低下する。
【0021】エチレン系アイオノマー分子中のα,β−
エチレン性不飽和カルボン酸の量が20モル%を超える
と水溶性が高くなり、被膜の黒変性及び耐食性が低下す
るため好ましくなく、その量が3モル%未満になると下
地である鋼板側との付着力が低下し、望ましい被膜が得
られない。従って、その量は3〜20モル%の範囲が好
ましく、10〜15モル%の範囲が一層好ましい。
【0022】本発明においては、樹脂層を構成する樹脂
がイオン架橋構造を有しているため、被膜特性の劣化の
原因になり得る乳化剤を用いることなく水分散型の塗液
にすることが可能であり、容易に鋼板表面へ薄膜コーテ
ィングすることができる。乾燥された被膜は、下地と強
く密着し、かつ化学的に安定であるため、このような被
膜が形成された鋼板は優れた耐黒変性及び耐食性を示
す。また、この鋼板は強固に樹脂被膜が形成されている
ことから、疵が発生しにくい。
【0023】本発明において、樹脂被膜の厚さは0.1
〜5μmの範囲、好ましくは0.3〜3μmの範囲であ
る。0.1μm未満では樹脂被膜の耐黒変性を抑制する
ためのバリヤ効果が全く期待することができないばかり
か、ハンドリング等による擦傷の発生を防止することが
できず好ましくない。また、5μmを超えると、厳しい
加工を受けた際に被膜剥離を招きやすくなるため好まし
くない。なお、本発明における樹脂被膜中には、必要に
応じて、金属酸化物、顔料や染料、その他各種機能付与
のための添加剤を加えても構わない。
【0024】複合化樹脂被膜の形成は、例えば以下の方
法によって行うことができる。すなわち、先ず、上記複
合樹脂を主成分とする組成物の塗液を、ロールコータ
ー、カ−テンロ−ルコ−タ−、あるいはスプレ−等の公
知の塗布方法によって塗布するか、又は上記塗液中にク
ロメ−ト処理を施した亜鉛系めっき鋼板を浸漬した後ロ
−ルや空気吹き付けにより付着量をコントロ−ルして膜
を形成し、次いでこれを乾燥させるといった方法であ
る。乾燥は常温で行っても構わないが、通常、熱風炉や
誘導加熱装置等により鋼板の温度が約60℃以上、好ま
しくは80〜200℃になるように加熱することによっ
てなされる。
【0025】亜鉛系めっき鋼板としては、黒変発生が特
に懸念される電気純亜鉛めっき鋼板、及び電気めっき法
又は溶融めっき法によってめっき層が形成された他の亜
鉛系めっき鋼板、又は亜鉛系合金めっき鋼板が挙げられ
る。
【0026】クロメ−ト処理層は、鋼板に優れた耐食性
を付与すると共に、樹脂被膜の形成を容易ならしめる効
果を有する。この層を形成するクロメート処理として
は、反応型、塗布型、電解型等公知のクロメート処理に
よればよいが、クロム付着量が金属クロム換算で1〜2
00mg/m2 であるクロメート層を形成する必要があ
る。付着量が1mg/m2 未満では耐食性が不十分であ
り、また200mg/m2 を超えると、その量に見合っ
た耐食性向上効果を得ることができないのみならず、鋼
板の変形を伴う曲げ加工などが施された場合に、クロメ
ート処理層の凝集破壊が発生しやすくなる。クロメート
処理層のより好ましい付着量は、金属クロム換算で、鋼
板片面当たり10〜100mg/m2 の範囲内である。
【0027】具体的例を挙げるならば、先ず反応型クロ
メート処理液の組成としては、金属クロム換算で1〜1
00g/lの水溶性クロム化合物と、0.2〜20g/
lの硫酸とを主成分とするものが挙げられ、かつ全クロ
ム中の3価クロムの含有量が50重量%以下、好ましく
は20〜35重量%以下であって、必要に応じてこれら
に適量の金属イオン、例えばZn2+、Co2+,Fe3+
と他の鉱酸例えばリン酸、フッ酸等を加えたものであっ
てもよい。
【0028】塗布型クロメート処理液の具体例として
は、上記反応型クロメート処理と同様の組成の液中に、
分子中に多量のカルボキシル基を含有する水溶性でかつ
上記反応型クロメート処理液と同様の組成の液と相溶性
のある有機高分子樹脂を添加し、pHを2.0〜3.5
に調整したものが挙げられる。この有機高分子として
は、平均分子量1000〜500000であることが好
ましい。その添加量は一般に樹脂分に換算して0.02
〜30g/lの範囲である。いずれにしても、第1層と
してのクロメート層の付着量は、上述したように、金属
クロム換算で1〜200mg/m2 の範囲であればよい。
【0029】
【実施例】以下、比較例と対比しつつこの発明の実施例
について説明する。 (複合化樹脂の合成例)
【0030】メタクリル酸含有量が20モル%のエチレ
ン−メタクリル酸共重合体を水酸化ナトリウムで中和度
70%に中和した樹脂を、170℃に維持された実効容
積18リットルのホモミキサーに、上記樹脂の溶融物を
4kg/hrの流量で、また水を18リットル/hrの
流量でそれぞれ供給し、強力攪拌して水分散型樹脂液を
製造する一方、液面を一定に保つようにこの水分散型樹
脂液を連続的に抜き出した。その結果、乳化剤を含まな
い固形分20.4%の水分散型樹脂液を得た。また、共
重合体の種類、中和金属イオン、中和度の異なる樹脂液
も基本的に同様な条件で合成した。なお、比較例に使用
する樹脂として乳化剤を含む他の樹脂も合成した。なお
樹脂については、後述する表1,2に明示している。 (実施例1〜15)
【0031】板厚0.8mm、めっき量20g/m2
電気亜鉛めっき鋼板又は板厚0.8mm、めっき量60
g/m2 の溶融亜鉛めっき鋼板のめっき層上に、反応型
クロメ−ト処理又は塗布型クロメ−ト処理を施し、乾燥
することによって表1に示す付着量のクロメ−ト処理層
を形成した。
【0032】次いで、クロメ−ト処理層を形成した鋼板
上に、上述のように合成した表1に示す水分散型樹脂液
をロールコーターによって塗布し、その後熱風乾燥炉に
よって鋼板の温度が80℃に到達するまで加熱して塗液
を乾燥させ、樹脂被膜を形成した。以上の手順により、
表1に示す条件のめっき層、クロメ−ト処理層及び樹脂
被膜を有する有機複合被膜鋼板を得た。 (比較例1〜9)
【0033】これら比較例では、実施例と同一の電気亜
鉛めっき鋼板を用い、めっき層上に反応型クロメート処
理により付着量40g/m2 のクロメート処理層を形成
した。樹脂としては、上記したもの以外に種々のものを
使用し、表2に示す条件で、実施例と同様に樹脂被膜を
形成した。なお、表1、2中のクロメート付着量は、金
属クロム換算量を表示する。このような実施例及び比較
例の鋼板について、耐黒変性及び耐食性を以下に示す試
験によって評価した。その結果を表1、表2に併記す
る。 (1)耐黒変性試験
【0034】50℃,95%RHの高温湿潤環境に60
日間放置し、試験前後のL値(JIS Z8730
6.3.2(1980),ハンターの色差式における明
度指数)の変化から耐黒変性を評価した。評価基準は以
下の通りである。 ◎: L値変化が1未満 ○: L値変化が1〜3 Δ: L値変化が3〜5 ×: L値変化が5を超える。 (2)耐食性
【0035】上記環境に60日間放置後の白錆発生の有
・無により評価した。なお、表中「無」は白錆が全く発
生しなかったものを示し、「有」は白錆が点状に明らか
に発生したものを示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】表1から明らかなように、実施例1〜15
では、いずれも良好な耐黒変性及び耐食性を示した。特
にエチレン系アイオノマー樹脂としてエチレンーメタク
リル酸共重合体を用いた実施例1〜10が特に良好な耐
黒変性を示すことが確認された。
【0039】これに対して、表2から明らかなように、
比較例1〜9は不十分な結果となった。すなわち、比較
例1,2は中和度が、比較例3は樹脂被膜の膜厚が、比
較例4〜9は樹脂被膜の樹脂の種類が本発明から外れる
ため、いずれも耐黒変性が悪く、耐食性についても劣っ
ているものが多かった。
【0040】ベース樹脂の中和度について図1に示す。
図1は、実施例1〜3,比較例1,2について、横軸に
中和度をとり、縦軸に耐黒変性の程度をとって、耐黒変
性に及ぼす中和度の影響を示す図である。この図から明
らかなように、中和度60〜80%において特に優れた
耐黒変性を示すことが確認された。
【0041】また、樹脂被膜の膜厚が耐黒変性に及ぼす
影響については、実施例1,9,10と比較例3から、
膜厚が0.3〜3.0μmで特に優れた耐黒変性を示す
が、膜厚が0.05μmと本発明の範囲を外れると耐黒
変性が劣ることが確認された。
【0042】ベース樹脂については、上述したようにエ
チレン系アイオノマー樹脂以外のベース樹脂を使用した
場合には比較例4〜9のように耐黒変性に劣るが、エチ
レン系アイモノマー樹脂をベース樹脂にすることによ
り、実施例1〜15のように良好な耐黒変性が得られ
る。さらに同じエチレン系アイモノマー樹脂であって
も、メタクリル酸以外のα,β−エチレン性不飽和カル
ボン酸を共重合体成分とした実施例11〜15に比較し
て、メタクリル酸を用いた実施例2が特に優れた耐黒変
性を示すことがわかる。
【0043】
【発明の効果】この発明によれば、良好な耐食性を維持
しつつ、耐黒変性に優れた有機複合被覆鋼板及びその製
造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】中和度の耐黒変性に及ぼす影響を示す図。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜鉛又は亜鉛系合金めっき層が施された
    鋼板と、該鋼板のめっき層上に形成され、金属クロム換
    算で1mg/m2 以上200mg/m2 以下の付着量を有す
    るクロメ−ト処理層と、クロメ−ト処理層上に厚さ0.
    1乃至5μmの範囲で形成された樹脂被膜とを具備し、
    前記樹脂被膜の主成分が、エチレンとα,β−エチレン
    性不飽和カルボン酸とを主鎖成分とし、カルボキシル基
    の60〜80%を金属イオンで中和したエチレン系アイ
    オノマー樹脂であることを特徴とする有機複合被覆鋼
    板。
  2. 【請求項2】 前記金属イオンがナトリウムイオンであ
    ることを特徴とする請求項1に記載の有機複合被覆鋼
    板。
  3. 【請求項3】 前記α,β−エチレン性不飽和カルボン
    酸がメタクリル酸であることを特徴とする請求項1又は
    2に記載の有機複合被覆鋼板。
  4. 【請求項4】 亜鉛又は亜鉛系合金めっき層が施された
    鋼板に、金属クロム換算で200のmg/m2 以下の付着
    量を有するクロメ−ト処理層を形成し、さらにその上に
    エチレンとα,β−エチレン性不飽和カルボン酸とを主
    鎖成分とし、カルボキシル基の60〜80%を金属イオ
    ンで中和したエチレン系アイオノマー樹脂を主成分とす
    る樹脂と、乳化剤を含まない水とを混合して調製した水
    分散型樹脂液を塗布し、乾燥することによって、厚さが
    0.1乃至5μmの範囲の樹脂被膜を形成することを特
    徴とする有機複合被覆鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記金属イオンがナトリウムイオンであ
    ることを特徴とする請求項4に記載の有機複合被覆鋼板
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記α,β−エチレン性不飽和カルボン
    酸がメタクリル酸であることを特徴とする請求項4又は
    5に記載の有機複合被覆鋼板の製造方法。
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