JP7030739B2 - 黒色めっき樹脂部品及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用加飾部品、電気製品用筐体部品等に用いられる黒色めっき樹脂部品に関するものである。
車両用加飾部品や電気製品用筐体部品などの分野では、意匠性などの観点から、深みのある漆黒調の黒色の外観を求めるニーズが高まっている。漆黒調の黒色はコバルトクロムめっき、クロムめっき等による黒色めっき層で得ることができる。
漆黒調の黒色の色調には、黄味がかったもの、青味がかったもの、そのいずれでもないもの等があるが、市場ニーズとしては黄味がかりのないものが求められている。本出願人は、先に、3価クロムよりなる黒色めっき層の漆黒調の黒色が、その上に耐食性皮膜として形成するクロメート皮膜を通して見ると黄味がかるという問題に着目し、耐食性皮膜をリン酸クロム又はリン酸モリブデンよりなる被膜とすることにより、黄味がかりを抑制できることを示した(特許文献1)。
特許文献1の実施例1において、耐食性皮膜を通して見た黒色クロムめっき層の色調は、L*a*b*表色系でL*が52.46、a*が0.67、b*が4.38であり、黄味がかりは僅かしかない。しかしながら、市場ニーズとしてはさらに黄味がかりのない黒色が求められている。
特開2017-71100号公報
そこで、本発明の目的は、黄味がなく青味がある3価クロムよりなる黒色クロムめっき層を備えた黒色めっき樹脂部品を提供することにある。
本発明者らは、3価クロムよりなる黒色クロムめっき層の表面領域におけるクロムの状態が黄味がかりに影響することを見出し、鋭意検討の結果、本発明に到った。
[1]めっき樹脂部品
樹脂基材と、樹脂基材上に形成された下地めっき層と、下地めっき層上に形成された3価クロムよりなる膜厚0.15μm以上の黒色クロムめっき層とを含む黒色めっき樹脂部品において、
黒色クロムめっき層中のクロムは金属クロムと酸化クロムと水酸化クロムの状態で存在し、黒色クロムめっき層のL*a*b*表色系におけるb*が-1.7以下であることを特徴とする黒色めっき樹脂部品。
[作用]
黒色クロムめっき層の膜厚が0.15μm以上であると、下地めっき層を十分に隠して漆黒の黒色を得ることができる。
黒色クロムめっき層中のクロム中に存在する水酸化クロムは青味を発現し黄味を減少させるため、黒色クロムめっき層のb*を-1.7以下とすることができ、最近の市場ニーズにあった青味のある漆黒の黒色となる。
[2]めっき樹脂部品の製造方法
樹脂基材と、樹脂基材上に形成された下地めっき層と、下地めっき層上に形成された3価クロムよりなる黒色クロムめっき層とを含む黒色めっき樹脂部品の製造方法において、
下地めっき層形成後の樹脂基材を、チオシアン酸を含む3価クロムめっき浴中に浸して電解めっきすることにより下地めっき層上に黒色クロムめっき層を形成する工程と、
黒色クロムめっき層形成後の樹脂基材を、30℃以上の温水に所定時間浸漬する工程とを含み、
黒色クロムめっき層のL*a*b*表色系におけるb*が-1.7以下となるように、前記3価クロムめっき浴中のチオシアン酸の含有量と、前記温水の温度と、前記温水に浸漬する時間とを調整することを特徴とする黒色めっき樹脂部品の製造方法。
[作用]
チオシアン酸を含む3価クロムめっき浴中で電解めっきすると、黒色クロムめっき層中に水酸化クロム前駆体の析出割合が増える。この黒色クロムめっき層を30℃以上の温水に所定時間浸漬すると、黒色クロムめっき層中の水酸化クロム前駆体が水酸化クロムに構造変化し、該水酸化クロムが青味を発現し黄味を減少させるため、黒色クロムめっき層のb*を-1.7以下とすることができる。
本発明によれば、黄味がなく青味がある3価クロムよりなる黒色クロムめっき層を備えた黒色めっき樹脂部品を提供することができる。
図1は、試料1~21の黒色めっき樹脂部品の模式的な断面図である。 図2は、試料1~13の黒色クロムめっき層における表面変質層の膜厚とa*又はb*との関係を示すグラフ図である。 図3は、試料14~21の黒色クロムめっき層における温水浸漬時間とb*との関係を示すグラフ図である。
1.樹脂基材
樹脂基材の樹脂は、熱可塑性でも熱硬化性でもよく、特に限定されないが、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、PC/ABS樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂等を例示できる。ABS樹脂、PC/ABS樹脂が強度、耐久性等の観点から好ましい。
樹脂基材の上には、次の下地めっき層を電解めっきするときに必要な導電層が形成される。導電層としては、特に限定されないが、無電解ニッケルめっき層を例示できる。
2.下地めっき層
下地めっき層は、ニッケルめっき層を含むものが好ましく、銅めっき層とニッケルめっき層とをこの順で含むものがより好ましい。下地めっき層の最上層がニッケルめっき層であり、そのニッケルめっき層上に黒色クロムめっき層が形成されていることが好ましい。銅めっき層は延性に富むため樹脂基材によく追従し、ニッケルめっき層は黒色クロムめっき層を美感保持するとともに電気化学的に防食する。ニッケルめっき層の具体的構成は、特に限定されず、1層でも複数層でもよい。
3.黒色クロムめっき層
黒色クロムめっき層の膜厚を上記のとおり0.15μm以上とするのは、下地めっき層を十分に隠して漆黒の黒色を得るためである。黒色クロムめっき層の膜厚の上限は、特に限定されないが、1μmが好ましい。1μmを超えると、膜内部応力が大きくなり、割れやすくなる。
表面領域(表面から深さが少なくとも23nmまで)としては、黒色クロムめっき層の内部(母材)に対して変質した表面変質層の領域である態様、黒色クロムめっき層の全域である態様等を例示できる。表面変質層としては、温水、酸素、水素又は水蒸気により変質した層等を例示できる。
[表面領域側から測定した黒色クロムめっき層の色調について]
L*a*b*表色系におけるb*が3.0以下であると、黒色の黄味がなくなり、b*が-1.7以下であると、やや青味がかった黒色を呈するようになり、市場のニーズにより合致する。b*の下限値は、特に限定されないが、-10が好ましい。b*が-10未満では青味が強くて用途が限られるからである。
a*は、特に限定されないが、-3~3が好ましい。a*が-3未満では緑味が強くて用途が限られ、3を越えると赤味が強くて用途が限られるからである。
L*は、特に限定されないが、30~54が好ましい。L*が30未満では、黒味が強くて金属感が減少し、54を越えると黒味が弱くて漆黒感が減少するからである。
黒色クロムめっき層は、Feを含有すると、耐食性が向上するので好ましい。また、黒色クロムめっき層は、Co、Mn又はMoを含有すると、メッキの付着性が向上するので好ましい。
3価クロムめっき浴に使用する3価クロム化合物としては、特に限定されないが、硫酸クロム(Cr2(SO43)、クロムミョウバン(CrK(SO42)、硝酸クロム(Cr(NO33)、塩化クロム(CrCl3)、酢酸クロム(Cr(CH3COO)3)等を例示できる。
4.温水浸漬処理
温水の温度は、前記のとおり30℃以上とするが、50℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、70℃以上が最も好ましい。温水の温度が高いほど、黒色クロムめっき層中の水酸化クロム前駆体が水酸化クロムに構造変化することを促進するからである。
.耐食性皮膜
黒色クロムめっき層の上に耐食性皮膜を備えることが好ましい。耐食性皮膜としては、クロメート皮膜、特許文献1に記載されたリン酸クロム又はリン酸モリブデンよりなる膜等を例示できる。リン酸クロム又はリン酸モリブデンよりなる膜は、膜厚7nm以上が好ましく、20nm以下が好ましい。
.黒色めっき樹脂部品の用途
車両用加飾部品(ラジエータグリル、フェンダ、ガーニッシュ、ホイールキャップ、バックパネル、エアスポイラー、エンブレム等)、電気製品(携帯電話、スマートホン、携帯情報端末、ゲーム機等)用筐体部品等を例示できる。特に風雨にさらされる車両用加飾部品は、高い耐食性能が求められるため、本発明を適用したときの有効性が高い。
実施例より先に、以下の事前検討(試料1~13)を行った。
図1に示す黒色めっき樹脂部品として、表1に主に相違点を示す試料1~13を作製し、黒色クロムめっき層の分析と色測定を行った。
Figure 0007030739000001
[試料1~13の共通事項]
試料1~13の黒色めっき樹脂部品はいずれも、図1に示すように、ABS樹脂製の樹脂基材(導電層としての無電解ニッケルめっき層付き)と、樹脂基材上に形成された銅めっき層、半光沢ニッケルめっき層、光沢ニッケルめっき層、及びマイクロポーラスーニッケルめっき層をこの順で含む下地めっき層と、ニッケルめっき層の上に形成された3価クロムよりなる黒色クロムめっき層とを備えたものである。黒色クロムめっき層の上に耐食性皮膜を形成することが好ましいが、試料1~13では耐食性皮膜を形成していない。
黒色めっき樹脂部品を製造するために、まず樹脂基材表面に導電性を付与するべく、樹脂基材表面の前処理を行なった。前処理では、ABS樹脂基材をクロム酸に浸漬してエッチング処理し、エッチング処理後の表面にPdーSnの金属錯体を付与して活性化後、導電層としての無電解ニッケルめっき層を形成した。
続いて、前処理により導電性を付与した樹脂基材に下地めっき処理を行った。下地めっき処理は、樹脂基板を各種金属めっき浴中に浸して電解めっきすることにより、銅めっき層、半光沢ニッケルめっき層、光沢ニッケルめっき層、マイクロポーラスーニッケルめっき層の順で積層されるように処理を行なった。
次に、下地めっき処理した樹脂基板に黒色クロムめっき処理を行った。黒色クロムめっき処理は、下地めっき処理した樹脂基板を3価クロムめっき浴中に浸して、浴温40℃、pH値3.2、所定の陰極電流密度、所定の陽極電流密度、めっき時間5分の条件下で電解めっきすることにより行い、これによりマイクロポーラスーニッケルめっき層の上に所定の膜厚の黒色クロムめっき層が形成された。使用した3価クロムめっき浴は、以下の成分を配合した水溶液であり(3価クロム化合物はトライクロムアジチブ中に含まれる塩基性硫酸クロムである。)、さらに35%の塩酸を用いてpH値を3.2に調整した。
和光純薬工業製ホウ酸 63g/L
アトテック社製トライクロムアジチブ 400g/L
アトテック社製トライクロムスタビライザー 100ml/L
アトテック社製トライクロムレギュレーター 3ml/L
アトテック社製トライクロムコレクター 2ml/L
アトテック社製トライクロムグラファイトメイキャップ 100ml/L
アトテック社製トライクロムグラファイトメンテナンス 所定の配合
[試料1~13の相違事項]
(1)上記黒色クロムめっき処理において、アトテック社製トライクロムグラファイトメンテナンス(以下「M剤」という。)の配合を、試料1~4では20ml/Lとし、試料5~13では30ml/Lとした。
(2)陰極電流密度及び陽極電流密度を、試料9,12では5A/dm2(表1「中」)とし、試料8,11では2.5A/dm2(表1「低」)とし、試料1~7,10,13では10A/dm2(表1「高」)とした。
この電流密度の相違により、黒色クロムめっき層の膜厚は、試料9,12では0.53μm、試料8,11では0.252μm、試料1~7,10,13では1.10μmとなった。
(3)上記黒色クロムめっき処理の後、黒色クロムめっき層の分析と色測定を行うまでの間の、試料の状態を、試料8~10ではめっき直後とし、試料2,5では真空保存(室温で18日間保存)とし、試料3,6では大気中に放置(室温で18日間放置)とし、試料1,4,7,11~13では加速試験(恒温槽内で、温度80℃、湿度が20%と80%との間を3時間/サイクルで変化する空気中に所定時間静置)とした。加速試験の所定時間は、試料1では90日間とし、試料4,7,11~13では18日間とした。
以上のとおり作製した試料1~13の黒色めっき樹脂部品について、次のように黒色クロムめっき層の分析と色測定を行った。
<黒色クロムめっき層の分析>
黒色クロムめっき層の硬X線光電子分光法(HAXPES)分析を、次の機器で行った。
・ビームライン:大型放射光施設SPring-8 BL16XU(Photon energy:7947.58eV)
・アナライザ:VG Scienta社のR4000(Take-off angle:85°)
ピーク分離は、M.C.Biesinger et al., Appl.Surf.Sci.257,2717(2011)を参考にした(酸化物はブロードな1本として)。Cr2pのピーク分離結果から、全試料において、次のことが判明した。
・黒色クロムめっき層中のクロムは、金属クロム(Cr)と酸化クロム(Cr)と水酸化クロム(Cr(OH))の状態で存在すること。
・金属クロムと酸化クロムと水酸化クロムの組成比は、黒色クロムめっき層の内部と表面領域とで相違し、その表面領域は黒色クロムめっき層の表面から深さが約10~数十nmまでの領域であり、表面変質層と考えられること(めっき直後の試料8~10でも表面変質層と考えられる)。
表面変質層の膜厚を、B.R.Storhmeier, Surf.Interface Anal.15,51(1990)を利用して算出した(Cr/Crとして)。
以上により側定された表面変質層の膜厚と、金属クロムと酸化クロムと水酸化クロムの組成比を表1に示す。また、金属クロムをa、酸化クロムをb、水酸化クロムをcとしたときの、(b+c)/aと、c/bを表1に示す。
<色測定>
黒色クロムめっき層の色調(L*a*b*表色系)を、表面領域側から、分光測色計(コニカミノルタ社製 CM-700d)によって測定した。測定条件は、測定モードSCI、観察条件10°視野、観察光源D65、測定径/照明径=φ3/φ6とした。測定したL*a*b*表色系における各値を表1に示す。
表1に示すこれらの測定結果から、次のことが分かる。
(1)M剤の添加量が多いほど、表面変質層の膜厚が大きくなる。
(2)電流密度が高いほど、表面変質層の膜厚が大きくなる。
(3)黒色クロムめっき処理後の状態が真空保存→大気中放置→加速試験となるにつれ、表面変質層の膜厚が大きくなり、金属クロムaが減少し、酸化クロムと水酸化クロムの和(b+c)が増加する。
(4)試料1~13の表面変質層の膜厚とa*及びb*とを図2にプロットした。図2から、表面変質層の膜厚とb*との強い相関が見られ、表面変質層の膜厚が20~25nmの範囲でb*は急に小さくなる。
そして、試料2,3,5,6,8~12は黒色クロムめっき層のb*が3.0を超えていて黄味がかりがあったが、試料1,4,7,13は黒色クロムめっき層のb*が3.0以下であって黄味がかりがなかった。但し、試料1でb*が-1.63であっても、より青味があると最近の市場ニーズに合致すると思われた。
以上の事前検討(試料1~13)をふまえ、以下の実施例(試料14~21の温水浸漬処理後)を行った。
図1に示す黒色めっき樹脂部品として、表2に主に相違点を示す試料14~21を作製し、黒色クロムめっき層の色測定を行った。
Figure 0007030739000002
試料14~21の黒色めっき樹脂部品はいずれも、図1に示すように、試料1~13と同じ層構成を備えたものである。黒色クロムめっき層の上に耐食性皮膜を形成することが好ましいが、試料14~21でも耐食性皮膜を形成していない。
黒色めっき樹脂部品を製造するために、試料1~13と同様の樹脂基材表面の前処理を行なった。
続いて、前処理により導電性を付与した樹脂基材に、試料1~13と同様の下地めっき処理を行った。
次に、下地めっき処理した樹脂基板に黒色クロムめっき処理を行った。黒色クロムめっき処理は、下地めっき処理した樹脂基板を3価クロムめっき浴中に浸して、浴温25℃、pH値3.5、陰極電流密度10A/dm2、陽極電流密度10A/dm2、めっき時間2.5分の条件下で電解めっきすることにより行い、これによりマイクロポーラスーニッケルめっき層の上に所定の膜厚0.55μmの黒色クロムめっき層が形成された。使用した3価クロムめっき浴は、以下の成分を配合した水溶液であり(3価クロム化合物はトライクロムアジチブ中に含まれる塩基性硫酸クロムである。)、さらに35%の塩酸を用いてpH値を3.5に調整した。
和光純薬工業製ホウ酸 10g/L
アトテック社製トライクロムアジチブ 400g/L
アトテック社製トライクロムスタビライザー 90ml/L
アトテック社製トライクロムレギュレーター 1.0ml/L
アトテック社製トライクロムコレクター 4.5ml/L
アトテック社製トライクロムグラファイトメイキャップ 110ml/L
市販試薬のチオシアン酸 所定の配合(下記)
事前検討(試料1~13)で配合したトライクロムグラファイトメイキャップと、トライクロムグラファイトメンテナンスには、それぞれチオシアン酸(及びそれ以外の成分)が含まれていることが判明した。
そこで、試料14~21では、トライクロムグラファイトメンテナンスを配合しない代わりに、市販試薬のチオシアン酸を配合することとし、3価クロムめっき浴中の(トライクロムグラファイトメイキャップと市販試薬のチオシアン酸とによる)全チオシアン酸が、表2に示すとおりの試料14~21別の含有量となるように、市販試薬のチオシアン酸の配合を調製した。
次に、試料14~21の上記黒色クロムめっき層形成後の樹脂基材を、80℃の温水(蒸留水)に浸漬し、初期(浸漬前)、10分後、30分後、60分後及び120分後のそれぞれにおいて、試料14~21の黒色クロムめっき層の色調(L*a*b*表色系)を、試料1~13と同様に測定した。測定結果を表2に示す。
なお、試料1~13では行ったHAXPES分析を、試料14~21では行っていないが、試料1~13と試料14~21との共通点からして、少なくとも、黒色クロムめっき層中のクロムが、金属クロム(Cr)と酸化クロム(Cr)と水酸化クロム(Cr(OH))の状態で存在することと、表面変質層が存在することは明らかである。
表2に示す測定結果から、次のことが分かる。
(1)試料14~21のb*と温水浸漬時間との関係を、めっき時のチオシアン酸含有量ごとに、図3にプロットした。温水浸漬時間が長くなるほど、b*が小さくなる。また、めっき時のチオシアン酸含有量が多いほど、短い温水浸漬時間でb*が小さくなる。
(2)いずれの試料14~21においても、温水浸漬処理によってb*が3.0以下になり、さらに温水浸漬時間を制御すると、表2に太線で囲んだように、b*を-1.7以下(本発明の範囲)にすることができ、青味のある黒色が得られる。
なお、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することができる。

Claims (2)

  1. 樹脂基材と、樹脂基材上に形成された下地めっき層と、下地めっき層上に形成された3価クロムよりなる膜厚0.15μm以上の黒色クロムめっき層とを含む黒色めっき樹脂部品において、
    黒色クロムめっき層中のクロムは金属クロムと酸化クロムと水酸化クロムの状態で存在し、黒色クロムめっき層のL*a*b*表色系におけるb*が-1.7以下であることを特徴とする黒色めっき樹脂部品。
  2. 樹脂基材と、樹脂基材上に形成された下地めっき層と、下地めっき層上に形成された3価クロムよりなる膜厚0.15μm以上の黒色クロムめっき層とを含む黒色めっき樹脂部品の製造方法において、
    下地めっき層形成後の樹脂基材を、チオシアン酸を含む3価クロムめっき浴中に浸して電解めっきすることにより下地めっき層上に黒色クロムめっき層を形成するめっき工程と、
    黒色クロムめっき層形成後の樹脂基材を、30℃以上の温水に所定時間浸漬する工程とを含み、
    黒色クロムめっき層のL*a*b*表色系におけるb*が-1.7以下となるように、前記3価クロムめっき浴中のチオシアン酸の含有量と、前記温水の温度と、前記温水に浸漬する時間とを調整することを特徴とする黒色めっき樹脂部品の製造方法。
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