JP2019026187A - 乗物用内装材 - Google Patents

Abstract

【課題】衝撃吸収性能に優れ、乗員保護に寄与でき、また通常時には十分な剛性を示す乗物用内装材を提供する。
【解決手段】クリップ取付け座４５０を備えた乗物用内装材１００であって、意匠面部２１と、意匠面部２１における外周縁２１Ｆから室外方向へ延びる立壁部２２と、立壁部２２から平面視外方に延びるフランジ部２３と、を備え、クリップ取付け座４５０は、立壁部２２に隣接しつつ立壁部２２とは別部品で構成され、フランジ部２３から平面視内方へ延びその座面が意匠面部と略平行に配されるとともにクリップ８０が取り付けられる取付座面５８と、取付座面５８から意匠面部２１における室外面２１Ｂに向かって延びる脚部５５，５５と、を備えて構成され、脚部５５，５５は、立壁部２２から離間して設けられることを特徴とする。
【選択図】図４

Description

本発明は、乗物用内装材に関する。

従来、クリップが取り付けられるクリップ取付け座を備えた乗物用内装材として、下記特許文献１に記載のものが知られている。具体的には、ドアトリムの裏面に設けられたクリップ座（クリップ取付け座）が、当該ドアトリムの平面部から立ち上がる立壁部と当該立壁部の先端縁から張り出すフランジ部とに跨って、平面部には達しない位置に設けられている。つまり、クリップ取付け座の脚部が平面部には着地しない姿勢で取り付けられていることにより、平面部に対するつっかえが無く、側突時にクリップ取付け座の周辺部を変形させて外部からの衝撃を効率的に吸収できる構成とされている。

特開２００９−１７３１９７号公報

上記のような乗物用内装材の場合、クリップ取付け座の脚部がドアトリムにおける平面部には着地していないものの立壁部には着地している。このため、側突時など衝撃を受けた際、これら立壁部とクリップ取付け座の脚部との境界に応力が集中し、そこから意匠面の破断が発生してしまう虞がある。また、乗員保護の観点から、側突時にドアトリムの立壁部は潰れることが望ましいところ、クリップ取付け座が立壁部の潰れを妨げてしまう虞がある。

本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、衝撃吸収性能に優れ、乗員保護に寄与でき、また通常時には十分な剛性を示す乗物用内装材を提供することを目的とする。

上記課題を解決するために、本発明は、締結用のクリップが取り付けられるクリップ取付け座を備えた乗物用内装材であって、室内に臨む意匠面部と、前記意匠面部における外周縁から室外方向へ延びる立壁部と、前記立壁部から当該乗物用内装材の平面視外方に延びるフランジ部と、を備え、前記クリップ取付け座は、前記立壁部に隣接しつつ前記立壁部とは別部品で構成され、前記フランジ部から平面視内方へ延びその座面が前記意匠面部と略平行に配されるとともに前記クリップが取り付けられる取付座面と、前記取付座面から前記意匠面部における室外面に向かって延びる脚部と、を備えて構成され、前記脚部は、前記立壁部から離間して設けられるとともに、前記意匠面部の裏側に取り付けられていることを特徴とする。

このような乗物用内装材によると、クリップ取付け座を立壁部に隣接しつつ立壁部とは別部品で構成することにより、当該クリップ取付け座を構成する脚部を、立壁部から離間して設けることができる。このため、例えば立壁部とフランジ部とに跨って密着するように、又は立壁部と一体的に設けられたクリップ取付け座を備えた場合に比べて、側突時に立壁部が潰れやすく乗物室内の乗員を保護することができる。また、脚部が立壁部から離間して設けられることにより、クリップ取付け座と立壁部の接地点を減らすことができ、当該接地点を起点とする立壁部から意匠面部へ続く破断を回避しやすくなる。

上記乗物用内装材において、前記脚部は２本配されているものとすることができる。このような乗物用内装材によると、取付座面を２本の脚部で支える構成とされるため、側突時にクリップ取付け座そのものも潰れやすくなり、衝撃吸収性能の向上に繋がる。なお、通常脚部が２本構成である場合、クリップ取付け座としては剛性が低くなるが、本願発明においては取付座面がフランジ部から延びて形成されているため、間接的にフランジ部に支持されておりその剛性が確保できている。

上記乗物用内装材において、乗物用内装材は、互いに隣り合う第１ボードと第２ボードとから少なくとも構成され、前記第１ボードは、前記第２ボードに向かって延びる延設部を備え、前記第２ボードは、前記立壁部と前記意匠面部とを備えて構成され、前記クリップ取付け座は、前記延設部によって構成され、前記第２ボードの室外面側に配されるとともに、前記脚部が前記第２ボードにおける前記立壁部から離間して設けられ、かつ前記第２ボードにおける前記意匠面部の裏側に締結されるものとすることができる。

このような乗物用内装材によると、クリップ取付け座が第２ボードの室外面側に配されているものの、隣り合う第１ボードから当該第２ボードに向かって延びる延設部によって構成され、かつその脚部が第２ボードにおける立壁部から離間して設けられている。これにより、クリップ取付け座が特に第２ボードの割れの起点となりにくく、乗員保護に繋がる。また、クリップ取付け座は、第１ボードから隣り合う第２ボードに向かって延びる延設部によって構成されるとともに、その脚部が第２ボードにおける意匠面部の裏側に締結されている。このため、クリップ取付け座のドアトリムへの締結が、隣り合う第１ボードと第２ボードの部品合わせの締結部材ともなり、部材の共通化が実現可能となる。

上記乗物用内装材において、前記脚部における下端と前記意匠面部との間には空隙が設けられており、前記脚部には、他部よりも弱体化して構成される脆弱部が設けられているものとすることができる。このような乗物用内装材によると、脚部における下端と意匠面部との間に空隙が設けられていることにより、側突時に当該脚部が意匠面部に対してつっかえにくく、乗員保護に繋がる。また、脚部には脆弱部が設けられているため、側突時に脚部が潰れやすい。

本発明によれば、衝撃吸収性能に優れ、乗員保護に寄与でき、また通常時には十分な剛性を示す乗物用内装材を提供することができる。

本発明に係るドアトリムの正面（室内面）図 図１におけるドアトリムの裏面（室外面）図 第１ボードと第２ボードの境界であって、図２におけるＡ部の部分拡大図 図３におけるクリップ取付け座をＹ１方向から視た図 図３におけるクリップ取付け座をＹ２方向から視た図 図３におけるクリップ取付け座をＹ３方向から視た図 側突時におけるクリップ取付け座の変形態様を示す図（図３におけるＢ−Ｂ線切断箇所に相当）

本発明の一実施形態を図１〜図７を参照しつつ詳細に説明する。本実施形態では、乗物用内装材として、車両に搭載される車両用のドアトリムを一例として説明する。なお、図１，２において、Ｆとは車両前方を、Ｒとは車両後方を意味する。ドアトリム１００は、図１に示すように、その上部をなすアッパーボード（第１ボード）１０と下部をなすロアボード（第２ボード）２０とが互いに隣り合うように配され、かつ組み付けられてなる。ドアトリム１００は、全体として一枚の板状をなし、例えばポリプロピレンなどの合成樹脂によって構成されている。ドアトリム１００の車両上下方向における略中央には、乗員が腕を載置できるアームレスト２が設けられている。また、アームレスト２の下方には、ドアポケット３やスピーカーグリル４等が設けられている。

図２の裏面図に示すように、ドアトリム１００の外周縁１００Ｆに沿って、当該ドアトリム１００をドアインナパネル（不図示）に対し締結するクリップ８０が複数設けられている。このクリップ８０は、ドアトリム１００をドアインナパネルに取り付けるという機能上、図２に示すように、ドアトリム１００の外周縁１００Ｆにより近い位置に設けることが望ましい。各クリップ８０はそれぞれクリップ取付け座に取り付けられており、特に、隣り合うアッパーボード１０とロアボード２０が互いに組み付けられる境界の車両後方端部においては、本願発明に係るクリップ取付け座４５０が用いられている（図２のＡ部参照）。

アッパーボード１０は、図４に示すように、室内における意匠面を構成する意匠面部１１（図４では室内に臨む意匠面とは反対側が図示されている）と、意匠面部１１における外周縁１１Ｆから室外方向へ延びる立壁部１２と、立壁部１２からアッパーボード１０の平面視外方に延びるフランジ部１３と、を備えている。また、ロアボード２０も同様に、室内における意匠面を構成する意匠面部２１（図４では室内に臨む意匠面とは反対側が図示されている）と、意匠面部２１における外周縁２１Ｆから室外方向へ延びる立壁部２２と、立壁部２２からロアボード２０の平面視外方に延びるフランジ部２３と、を備えている。なお、ロアボード２０における立壁部２２には、車両側突時に当該立壁部２２の潰れを促すべく、溝状の脆弱部２６が形成されている。

アッパーボード１０は、図２に示すように、ロアボード２０に向かって延びるフランジ状の延設部１４を、車両前後方向に亘って備え、この延設部１４をロアボード２０における車両上端２９と重畳させて（図４参照）、アッパーボード１０とロアボード２０が互いに組み付けてられている。クリップ取付け座４５０においては、図３，４に示すように、延設部１４の一部がその他の部分（車両前方Ｆ部分）に比して更にロアボード２０に向かって延びて構成される部分（第３延設部４３）を含んでいる。具体的には、ロアボード２０におけるフランジ部２３まで延びる第１延設部４１と、第１延設部４１よりも平面視内方（車両前方Ｆ）において、ロアボード２０における意匠面部２１まで延びる第２延設部４２が設けられており、第３延設部４３は、これら第１延設部４１と第２延設部４２との間に、これら第１延設部４１と第２延設部４２よりも更に車両下方（ロアボード２０における意匠面部２１方向）に延びるように設けられている。なお、第１延設部４１は、ボス４１Ｃによってロアボード２０におけるフランジ部２３にカシメ締結され、第２延設部４２及び第３延設部４３は、それぞれボス４２Ｃ，４３Ｃによって、ロアボード２０における意匠面部２１（裏側である室外面２１Ｂ）にカシメ締結されている（図４参照）。

クリップ取付け座４５０は、図４に示すように、クリップ８０が取り付けられる取付座面５８と、取付座面５８を支える２本の脚部５５，５５を備えて構成されている。具体的には、取付座面５８は、ロアボード２０におけるフランジ部２３に締結される第１延設部４１から連なって平面視内方へ延び、その座面がロアボード２０における意匠面部２１と略平行に配される面とされている（図４，図６参照）。２本の脚部５５，５５は、取付座面５８から意匠面部２１における室外面２１Ｂに向かって、つまり車幅方向に沿った向きに延びている。脚部５５，５５における下端５６，５６は、第３延設部４３へと連なっており、第３延設部４３は意匠面部２１の裏側２１Ｂに締結されている（図４，図６参照）。つまり、第３延設部４３も脚部５５の一部である、と言え、脚部５５は意匠面部２１の裏側２１Ｂに締結されている、とも言える。取付座面５８と脚部５５，５５は第３延設部４３の一部によって形成されている、と言うこともできる。

脚部５５，５５には、他部よりも弱体化（薄肉化）して構成される溝状の脆弱部５４が設けられている。脚部５５，５５は、立壁部２２から離間して設けられている（図３，図５の空隙Ｓ１参照）。また、ロアボード２０における車両上端２９は、車室内側へと緩やかに膨らむ形状とされ（図６参照）、脚部５５，５５における下端５６，５６とロアボード２０における意匠面部２１との間には空隙Ｓ２が設けられている（図４，図６参照）。これにより、クリップ取付け座４５０の脚部５５は、その一部である第３延設部４３が意匠面部２１の裏側２１Ｂに締結されているものの、車両側突時には車幅方向に沿った向きに延びる脚部５５が意匠面部２１につっかえにくく、また後述するように脚部５５，５５自体も潰れやすいため、乗員に危害を及ぼす可能性を軽減した構成とされている。

以上のように、クリップ取付け座４５０は、主にアッパーボード１０から延長される延設部１４である第１延設部４１、第２延設部４２、第３延設部４３、取付座面５８、脚部５５，５５によって構成され、ロアボード２０における裏側（室外面２１Ｂ側）に配されている。つまり、クリップ取付け座４５０は、ロアボード２０における立壁部２２に隣接しつつ立壁部２２とは別部品（アッパーボード１０における延設部１４）で構成されている。なお、車両側突時においては、図７におけるＹ４方向の荷重がかかると、その脚部５５，５５に設けられた溝状の脆弱部５４が起点となって脚部５５，５５、ひいてはクリップ取付け座４５０が潰れ、衝撃を吸収する。なお、第３延設部４３には、切欠部４４が設けられているため（図３，図４参照）、この切欠部４４がない場合に比べて、荷重を逃がしやすく、クリップ取付け座４５０がより潰れやすいものとされている。また、上述したように、脚部５５，５５はロアボード２０における立壁部２２から離間して設けられているため、脚部５５，５５によって妨げられることなく、立壁部２２も潰れやすいものとされている。また、立壁部２２に形成された溝状の脆弱部２６も当該立壁部２２の潰れを促すものとされている。

＜作用・効果＞
以上説明したようなドアトリム１００によれば、クリップ取付け座４５０を立壁部２２に隣接しつつ立壁部２２とは別部品（アッパーボード１０における延設部１４）で構成することにより、当該クリップ取付け座４５０を構成する脚部５５，５５を、立壁部２２から離間して設けることができる。このため、例えば立壁部２２とフランジ部２３とに跨って密着するように、又は立壁部２２と一体的に設けられたクリップ取付け座を備えた場合に比べて、側突時に立壁部２２が潰れやすく乗物室内の乗員を保護することができる。また、脚部５５，５５が立壁部２２から離間して設けられることにより、クリップ取付け座４５０と立壁部２２の接地点を減らすことができ、当該接地点を起点とする立壁部２２から意匠面部２１へ続く破断を回避しやすくなる。

また、取付座面５８を２本の脚部５５，５５で支える構成とされるため、側突時にクリップ取付け座４５０そのものも潰れやすくなり、衝撃吸収性能の向上に繋がる。なお、通常脚部が２本構成である場合、クリップ取付け座４５０としては剛性が低くなるが、本願発明においては取付座面５８がフランジ部２３に締結される第１延設部４１から延びて形成されているため、間接的にフランジ部２３に支持されておりその剛性が確保できている。

また、クリップ取付け座４５０が第２ボード２０の室外面２１Ｂ側に配されているものの、隣り合う第１ボード１０から当該第２ボード２０に向かって延びる延設部１４（第１延設部４１，第２延設部４２，第３延設部４３）によって構成され、かつその脚部５５，５５が第２ボード２０における立壁部２２から離間して設けられている。これにより、クリップ取付け座４５０が特に第２ボード２０（乗員が着座する位置付近に配される内装材）の割れの起点となりにくく、乗員保護に繋がる。また、クリップ取付け座４５０は、第１ボード１０から隣り合う第２ボード２０に向かって延びる延設部１４によって構成されるとともに、その脚部５５，５５が第２ボード２０における意匠面部２１の裏側２１Ｂに締結されている。このため、クリップ取付け座４５０のドアトリム１００への締結が、隣り合う第１ボード１０と第２ボード２０の部品合わせの締結部材ともなり、部材の共通化が実現可能となる。

また、脚部５５，５５における下端５６，５６と意匠面部２１（２１Ｂ）との間に空隙Ｓ２が設けられていることにより、側突時に当該脚部５５，５５が意匠面部２１（２１Ｂ）に対してつっかえにくく、乗員保護に繋がる。また、脚部５５，５５には脆弱部５４，５４が設けられているため、側突時に脚部５５，５５が潰れやすい。

＜他の実施形態＞
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
（１）上記実施形態では乗物として自動車を例示したが、その他にも地上の乗物としての列車や遊戯用車両、飛行用乗物としての飛行機やヘリコプター、海上や海中用乗物としての船舶や潜水艇などの乗物においても上記クリップ取付け座を備えた内装材を適用することができる。

２１…意匠面部、２１Ｂ…意匠面部における室外面、２１Ｆ…意匠面部２１における外周縁、２２…立壁部、２３…フランジ部、５５…脚部、５８…取付座面、８０…クリップ、１００…ドアトリム（乗物用内装材）、４５０…クリップ取付け座

Claims (4)

1. 締結用のクリップが取り付けられるクリップ取付け座を備えた乗物用内装材であって、
   室内に臨む意匠面部と、前記意匠面部における外周縁から室外方向へ延びる立壁部と、前記立壁部から当該乗物用内装材の平面視外方に延びるフランジ部と、を備え、
   前記クリップ取付け座は、前記立壁部に隣接しつつ前記立壁部とは別部品で構成され、前記フランジ部から平面視内方へ延びその座面が前記意匠面部と略平行に配されるとともに前記クリップが取り付けられる取付座面と、前記取付座面から前記意匠面部における室外面に向かって延びる脚部と、を備えて構成され、
   前記脚部は、前記立壁部から離間して設けられるとともに、前記意匠面部の裏側に取り付けられていることを特徴とする乗物用内装材。
2. 前記脚部は２本配されていることを特徴とする請求項１に記載の乗物用内装材。
3. 当該乗物用内装材は、互いに隣り合う第１ボードと第２ボードとから少なくとも構成され、
   前記第１ボードは、前記第２ボードに向かって延びる延設部を備え、
   前記第２ボードは、前記立壁部と前記意匠面部とを備えて構成され、
   前記クリップ取付け座は、前記延設部によって構成され、前記第２ボードの室外面側に配されるとともに、前記脚部が前記第２ボードにおける前記立壁部から離間して設けられ、かつ前記第２ボードにおける前記意匠面部の裏側に締結されることを特徴とする請求項１又は請求項２に記載の乗物用内装材。
4. 前記脚部における下端と前記意匠面部との間には空隙が設けられており、
   前記脚部には、他部よりも弱体化して構成される脆弱部が設けられていることを特徴とする請求項１から請求項３のいずれか一項に記載の乗物用内装材。

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