JP2018163273A - 基板貼り付き防止フィルム、プラテン及び基板搬送方法 - Google Patents

基板貼り付き防止フィルム、プラテン及び基板搬送方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 粘着性の高い基板のプラテンへの貼り付きを防止する際、基板の形状欠陥やゴミの放出がないようにし、ランニングコスト上の負担が小さく、取り付けや交換も容易で、基板の位置ずれに対しても効果的に対応可能にする。【解決手段】 プラテン2の各基板用真空吸着孔21に対応する位置に基板吸着穴11を有する樹脂製の基板貼り付き防止フィルム1が、プラテン2の基板載置領域Rを覆った状態で配置される。プラテン2内のセンサ3は、基板貼り付き防止フィルム1に設けられたマーク12のずれを検出する。基板貼り付き防止フィルム1が位置ずれしている場合、基板Wの搬入動作は中止される。基板貼り付き防止フィルム1は、フィルム用真空吸着孔25を通してプラテン2に真空吸着される。【選択図】 図1

Description

この出願の発明は、各種製品の製造工程における基板の取り扱いに関するものであり、特にプラテン上に基板を載置して取り扱う技術に関するものである。
各種製品の製造では、土台となる板状部材(本願において基板と総称する)をしばしば取り扱う。基板は、プリント基板や液晶基板のように最終的な製品においても残存して取り込まれることもあるが、製造の過程で除去されて残存しない場合もある。
このような基板を取り扱う製造工程では、基板は、プラテンと呼ばれる部材の表面にしばしば載置される。本願において、プラテンとは、基板が載置される台状の部材の総称である。
例えば、基板に微細形状を造り込むフォトリソグラフィでは、基板に所定のパターンの光を照射して基板を露光する露光装置が使用される。露光装置はプラテンを備えており、プラテンに載置された基板に対し、マスク等を使用して所定のパターンの光を照射する構成となっている。
特開2001−133986号公報
上述したようなプラテンを備えた装置において、基板がプラテンに貼り付いてしまうことがあり、プラテンから基板を取り去る作業等が困難になってしまう課題がある。一例を挙げると、微細回路が形成されるプリント基板では、ソルダレジストのような粘着性の高い被膜が基板の表面に形成されていることがある。被膜はプラテンに接触する基板の裏面にも形成されていることが多く、プラテンに載置されると、粘着力によって貼り付いてしまい易い。この場合、処理終了後に基板をプラテンから取り去る際、取り去りができなくなってしまったり、無理に引き離すことで被膜が剥がれてしまったりすることがある。被膜が剥がれると、その部分で形状欠陥が生じたり、剥がれた被膜の破片がゴミとなったりする問題が発生し得る。
このような点を考慮し、表面の粘着性の高い基板を取り扱う装置では、フッ素系コーティングのような非粘着性処理した金属板をプラテンに取り付け、その上に基板を載置する構成が採用されている。
しかしながら、非粘着性処理をした金属板は、表面の硬度が低いために長期間使用すると表面の非粘着層が剥がれたり、基板の縁が押し付けられる結果、凹みや溝が形成されたりしてしまう問題がある。金属板の表面非粘着層に凹みや溝が形成されると、それが基板側に転写されてしまうことがあり、製品の外観を損ねたり、性能を低下させたりすることがある。このため、金属板はある程度の期間使用すると交換する必要がある。しかしながら、この種の表面処理をした金属板は高価であり、ランニングコスト上の負担が大きい。
また、基板はしばしば平坦性の高い表面に載置される必要があり、このため平坦性の高い表面を持ったプラテンが必要になる。この点、非粘着性の表面処理を金属板は、平坦性が悪い場合が多く、平坦性の高いプラテンの表面に対してネジ止めのような手段で矯正しながら固定する方法が採られることが多い。このため、取り付けや交換に手間がかかってしまい、作業性が悪い。
このような問題を考慮し、非粘着性処理をした金属板の代わりにPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムのような樹脂フィルムに非粘着性処理を施したものを使用することが考えられる。しかしながら、発明者の研究によると、この種の樹脂フィルムはネジ止めができないため、真空吸着のような方法でプラテンに固定する必要があるが、固定が十分でない場合があり、プラテン上でずれてしまい易い。樹脂フィルムがずれると、その上の基板も位置ずれするため、露光処理のような高い位置精度が要求される処理を行う場合には不良品の原因となり易い。
この出願の発明は、上記のような従来技術の課題を解決するために為されたものであり、粘着性の高い基板を取り扱う場合でもプラテンに基板が貼り付かないようにし、この際にも、基板の形状欠陥やゴミの放出といった問題がないようにすることを目的としている。また、その上で、ランニングコスト上の負担が小さく、且つ取り付けや交換も容易で、基板の位置ずれに対しても効果的に対応可能にすることを目的としている。
上記課題を解決するため、この出願の請求項1記載の発明は、処理される基板が載置されるプラテンの基板載置領域を覆う基板貼り付き防止フィルムであって、プラテンの基板用真空吸着孔に対応する位置に基板を真空吸着するための基板吸着穴を有し、基板吸着穴を外れた位置にプラテンに対する位置ずれを検出するためのマークが設けられているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項2記載の発明は、前記請求項1の構成において、前記基板吸着穴は、前記プラテンが有する基板用真空吸着孔より小さいという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項3記載の発明は、前記請求項1の構成において、前記基板吸着穴は、前記プラテンが有する基板用真空吸着孔より大きいという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項4記載の発明は、前記請求項1乃至3いずれかに記載の基板貼り付き防止フィルムで基板載置領域が覆われるプラテンであって、基板を真空吸着する基板用真空吸着孔と、基板貼り付き防止フィルムを真空吸着するフィルム用真空空着孔とを有しており、
基板用真空吸着孔とフィルム用真空吸着孔とは、互いに別系統の排気路に連通しているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項5記載の発明は、前記請求項1乃至3いずれかに記載の基板貼り付き防止フィルムで基板載置領域が覆われたプラテンに基板を搬送する方法であって、基板の搬送前に前記マークがずれていないかセンサにより点検し、ずれている場合には搬送を中止するという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項6記載の発明は、前記請求項5の構成において、基板の搬送前に前記フィルム用真空吸着孔が閉鎖されているか点検し、閉鎖されていない場合には搬送を中止するという構成を有する。
以下に説明する通り、この出願の請求項1記載の基板貼り付き防止フィルムによれば、プラテンの基板用真空吸着孔に対応する位置に基板を真空吸着するための基板吸着穴を有しているので、基板の貼り付き防止のためにプラテンの基板載置領域を覆った際にも基板の真空吸着を阻害することがない。また、基板吸着穴を外れた位置にプラテンに対する位置ずれを検出するためのマークが設けられているので、マークのずれを検出することで防止フィルムの位置ずれを検出することができる。
また、請求項2記載の基板貼り付き防止フィルムによれば、上記効果に加え、基板吸着穴がプラテンの基板用真空吸着孔よりも小さいので、基板の裏面が柔らかい場合にも跡が残りにくいという効果が得られる。
また、請求項3記載の基板貼り付き防止フィルムによれば、上記効果に加え、基板吸着穴がプラテンの基板用真空吸着孔よりも大きいので、ずれの許容度が大きくなるという効果が得られる。
また、請求項4記載のプラテンによれば、基板用真空吸着孔とフィルム用真空吸着孔とが互いに別系統の排気管に連通しているので、基板の吸着保持動作から独立させて防止フィルムの真空吸着を行うことができる。
また、請求項5記載の基板搬送方法によれば、マークがずれていないかセンサにより点検し、ずれている場合には搬送を中止するので、真空吸着ができないのに基板をプラテンに載置してしまうエラーを未然に防止することができる。
また、請求項6記載の発明によれば、上記効果に加え、基板貼り付き防止フィルムがプラテンに真空吸着されているのを確認してから基板が搬送されるので、基板を載置する際の弾みで基板貼り付き防止フィルムがずれてしまう問題が防止される。
実施形態に係る基板貼り付き防止フィルム及びこの基板貼り付き防止フィルムが使用される実施形態のプラテンの斜視概略図である。 基板貼り付き防止フィルムの使用状態を示す正面断面概略図である。 実施形態の基板貼り付き防止フィルム及びプラテンの使用例としての露光装置の正面概略図である。 コントローラに実装されたシーケンスプログラムの概略を示したフローチャートである。 図3の露光装置の動作を示す概略図である。 基板吸着穴のサイズに応じた技術的意義について示した正面断面概略図である。
次に、この出願の発明を実施するための形態(以下、実施形態)について説明する。
図1は、実施形態に係る基板貼り付き防止フィルム及びこの基板貼り付き防止フィルムが使用される実施形態のプラテンの斜視概略図である。図2は、基板貼り付き防止フィルムの使用状態を示す正面断面概略図である。
図1及び図2に示す基板貼り付き防止フィルム1は、処理される基板が載置されるプラテン2の基板載置領域を覆うフィルムである。この基板貼り付き防止フィルム(以下、防止フィルムと略称する)1は、PETのような透明な樹脂製であり、厚さは50〜350μm程度である。
プラテン2は、この実施形態では方形の台状となっており、上面に基板が載置されるものである。載置される基板も方形であることが想定されており、したがって基板載置領域は方形である。尚、基板載置領域は、プラテン2の上面において、載置された基板が占める領域という意味である。寸法形状の異なる基板が載置されることもあり得るが、最も大きな基板が占めるであろう領域が基板載置領域である。図1において、基板載置領域Rを破線で示す。
図1に示すように、防止フィルム1も方形となっており、基板載置領域Rより大きいサイズである。但し、防止フィルム1は、プラテン2の上面より小さいサイズである。
また、プラテン2は、載置された基板を真空吸着して位置を固定させるものとなっている。図1に示すように、プラテン2の基板載置領域Rには、基板用真空吸着孔21が形成されている。基板用真空吸着孔21は、複数、均等間隔をおいて設けられている。各基板用真空吸着孔21は、プラテン2内に設けられた基板用連通路22を通して基板用排気管23に接続されている。基板用排気管23は不図示の真空ポンプにつながっており、基板用排気管23には基板用開閉バルブ24が設けられている。
防止フィルム1も、図1に示すように複数の穴11を有する。この穴11は、基板を真空吸着するための穴であり、以下、基板吸着穴という。基板吸着穴11は、防止フィルム1がプラテン2の基板載置領域Rを覆った状態において、プラテン2の基板用真空吸着孔21に対応する位置に設けられている。即ち、防止フィルム1の基板吸着穴11は、プラテン2の基板用真空吸着孔21と同数設けられており、同じ配置で設けられている。この実施形態では、基板用真空吸着孔21は、プラテン2の輪郭と同じ向きの縦横の碁盤の目状に設けられている。防止フィルム1の基板吸着穴11も碁盤の目状であり、プラテン2の基板用真空吸着孔21と同じ間隔で同じ位置に設けられている。
このような防止フィルム1は、プラテン2に対して真空吸着されて位置が固定され、基板の貼り付き防止の機能を果たすものとなっている。即ち、プラテン2は、防止フィルム1を真空吸着する真空吸着孔(以下、フィルム用真空吸着孔)25を有している。
基板用真空吸着孔21とフィルム用真空吸着孔25とは、互いに別系統の排気管に連通している。プラテン2には、基板用排気管23とは別にフィルム用排気管27が接続されている。図2に示すように、プラテン2内には、基板用連通路22とは別にフィルム用連通路26が形成されており、フィルム用連通路26はフィルム用真空吸着孔25とフィルム用排気管27とを接続している。フィルム用排気管27には、フィルム用開閉バルブ28が設けられている。
このような防止フィルム1は、プラテン2上で生じ得るずれを考慮してマーク12が設けられている。
マーク12は、この実施形態では複数設けられている。具体的には、図1に示すように、マーク12は方形の各隅に設けられている。各マーク12は円形であり、この実施形態では、光を反射する反射部となっている。黒、銀等の色の反射部を印刷や膜付け等の方法で形成されたものを各マーク12とし得る。
一方、プラテン2は、防止フィルム1の位置ずれの有無を判断できるよう各マーク12のずれを検出するセンサ3を備えている。図2に示すように、プラテン2には貫通孔29が設けられており、センサ3は貫通孔29に設けられている。センサ3としては、この実施形態では、ファイバセンサが使用されている。ファイバセンサは、ファイバの先端に光出射部と光入射部とを備えたものであり、出射された光の反射光を捉えることで対象物(ここではマーク12)の検出を行うものである。
貫通孔29及びセンサ3が配置された位置は、正しい位置に防止フィルム1が配置された際に各マーク12を臨む位置となっている。例えば、図1に示すように防止フィルム1の方形の輪郭の中心とプラテン2の上面の方形の輪郭の中心とが同一鉛直線上になり、各方形の辺がそれぞれ同じ方向である位置及び姿勢が正しい位置である。即ち、この実施形態において、「ずれ」は回転方向のずれも含む。この位置に配置された際、ファイバセンサ3からの光はマーク12に反射して戻って捉えられ、これによりマーク12が検出される。つまり、貫通孔29及びセンサ3は、防止フィルム1の四つのマーク12が成す方形と同一の形状寸法の方形の角の位置に設けられている。
次に、このような実施形態の防止フィルム1及びプラテン2の使用例について説明する。実施形態の防止フィルム1及びプラテン2は、基板を取り扱う各種の装置において使用可能であるが、以下の説明では、一例として基板を露光する露光装置を採り上げる。
図3は、実施形態の防止フィルム1及びプラテン2の使用例としての露光装置の正面概略図である。図3に示す露光装置は、プラテン2と、プラテン2に載置された基板Wに対して所定のパターンの光を照射して露光する光照射ユニット4と、プラテン2に対して基板Wを搬入し、露光後に基板Wをプラテン2から搬出する搬送系5とを備えている。
光照射ユニット4は、露光の方式に応じて適宜のものが選択されて搭載される。図3の例は、コンタクト方式となっており、光照射ユニット4は、基板Wと同程度の大きさのマスク41と、プラテン2に載置された基板Wをマスク41に密着させるプラテン駆動機構20と、マスク41を通して所定のパターンの光照射する照射光学系42等を備えた構成とされる。マスク41は、フレーム411に保持された状態となっている。プロキシミティ方式の場合、マスク駆動機構がマスクを基板Wから僅かに離れた位置に配置するよう構成される他は、コンタクト方式と基本的に同様である。投影露光方式の場合には、光照射ユニットは、マスクを透過した光を基板W上に結像させる投影光学系とされる。この他、DMDのような空間光変調素子を使用して照射パターンをマスク無しで直接形成するDI露光の方式が採用されることもあり得る。
搬送系5としては、図3の例では、コンベア51,52と搬送ハンド53,54とを組み合わせた例となっている。コンベア51,52及び搬送ハンド53,54の組は、プラテン2を挟んで搬入側と搬出側に設けられている。各搬送ハンド53,54は、下側で基板Wを真空吸着により保持する吸着パッド531,541を備えている。各搬送ハンド53,54には、基板Wを保持した搬送ハンドを水平方向及び上下方向に移動させるハンド駆動機構530,540が付設されている。
尚、露光装置は、プラテン2に配置された不図示のアライメント手段を備えている。アライメント手段は、プラテン2に配置された基板Wのアライメントマークを撮影するカメラ、アライメントマークの撮影結果に従ってプラテン2を駆動して基板Wのアライメントを行うプラテン駆動機構20等によって構成されている。
また、装置は、各部を制御するコントローラ6を備えている。コントローラ6には、所定の手順で各部を動作させるシーケンスプログラムが実装されている。この例では、特に、プラテン2の各センサ3からの信号がコントローラ6に入力され、これら信号はシーケンスプログラムに対して制御情報として与えられるようになっている。
より具体的には、この実施形態では、各センサ3は反射光の有無を検出している。反射光を捉えていれば、センサ3の出力はオンであり、捉えていなければオフとされる。各センサ3からは、オン、オフのいずれかの信号がコントローラ6に送られる。
図4は、コントローラ6に実装されたシーケンスプログラムの概略を示したフローチャートである。シーケンスプログラムは、一つのロットの各基板Wについて、搬入動作、露光、搬出動作を繰り返すようプログラミングされている。この際、搬入動作を開始する前に、各センサ3からの信号を確認し、いずれかのセンサ3からオフ信号が送られているか判断する。送られていれば、搬入動作を停止するようシーケンスプログラムはプログラミングされている。この場合、シーケンスプログラムは、エラー信号を出力して終了する。
次に、基板W搬送方法の発明の実施形態の説明も兼ね、図3に示す露光装置の動作について図5を参照して説明する。図5は、図3の露光装置の動作を示す概略図である。
シーケンスプログラムが実行されているコントローラ6は、搬入側コンベア51に信号を送り、図5(1)に示すように搬入側の搬送ハンド(搬入ハンド)53の下方の搬入待機位置まで基板Wを搬送する。この時点で、コントローラ6は、各センサ3からの入力信号を確認する。いずれの信号もオンである場合、コントローラ6は、搬入ハンド53のハンド駆動機構530に信号を送り、図5(2)に示すように、基板Wをプラテン2まで搬送させる。基板Wは、防止フィルム1に覆われたプラテン2の基板載置領域Rに載置される。
次に、コントローラ6は、基板用開閉バルブ24を開く。これにより、基板Wは各基板用真空吸着孔21を通した負圧によりプラテン2に対して真空吸着される。その後、プラテン駆動機構20が動作し、図5(3)に示すように、マスク41が基板Wに密着した状態とされる。
この状態で、コントローラ6は、不図示のアライメント手段に信号を送り、基板Wのアライメントを行わせる。アライメントが終了すると、コントローラ6は、光照射ユニット4に信号を送り、所定のパターンで光を照射させる。これにより、基板Wが露光される。所定時間の露光が終了すると、コントローラ6は、搬出側の搬送ハンド(搬出ハンド)54に信号を送り、基板Wの搬出動作を行わせる。基板Wは、搬出側コンベア52に搬出され、搬出側コンベア52から次の工程に送られる。そして、次の基板Wが搬入待機位置に位置すると、同様の動作が繰り返される。
上記動作において、搬入待機位置に基板Wが位置した時点で、いずれかのセンサ3からの信号がオフであった場合、上記のようにエラー信号が出力され、基板Wの搬入動作は行われない。この場合、装置は停止状態となる。尚、この場合、当該基板Wの前の基板Wは、既にプラテン2から搬出されて搬出側コンベア53に位置している場合がある。この場合は、搬出側コンベア53の搬出動作だけは装置の停止後も行われることもあり得る。
上記露光装置において、コントローラ6は、装置の可動中、フィルム用開閉弁28に対して常に開信号を送っている。このため、防止フィルム1は、装置の稼働中、プラテン2に常時真空吸着された状態となっている。
上述した実施形態の防止フィルム1によれば、プラテン2の基板用真空吸着孔21に対応する位置に基板Wを真空吸着するための基板吸着穴11を有しているので、基板Wの貼り付き防止のためにプラテン2の基板載置領域Rを覆った際にも基板Wの真空吸着を阻害することがない。そして、実施形態の防止フィルム1では、基板吸着穴11を外れた位置にプラテン2に対する位置ずれを検出するためのマーク12が設けられているので、マーク12のずれを検出することで防止フィルム1の位置ずれを検出することができる。
もしマーク12が設けられておらず、防止フィルム1の位置ずれが検出できないと、防止フィルム1が位置ずれしてプラテン2の基板用真空吸着孔21を塞いだ状態で基板Wを載置してしまうことがあり得る。この場合、載置された基板Wに対して真空吸着力が働かないか、真空吸着が不十分な状態となる。この結果、基板Wのアライメントができなくなる等の深刻な問題が生じる。
一方、実施形態の防止フィルム1は、上記のようにマーク12を備えているので、マーク12のずれを検出する何らかの手段を設けることで、容易に防止フィルム1の位置ずれを検出でき、真空吸着ができないのに基板Wをプラテン2に載置してしまうエラーを未然に防止することができる。
また、実施形態のプラテン2はフィルム用真空吸着孔25を備えており、防止フィルム1を真空吸着するものであるので、防止フィルム1をネジ止めする必要がない。このため、PETのような安価な樹脂フィルムを使用することができ、ランニングコスト上の負担が大幅に軽減される。その上、真空吸着をオフするだけで取り外しができ、取り付けについても、所定の位置にセットして真空吸着をオンにするだけで良く、極めて簡便である。
さらに、実施形態のプラテン2は、基板用真空吸着孔21とフィルム用真空吸着孔25とが互いに別系統の排気管23,27に連通しているので、基板Wの吸着保持動作から独立させて防止フィルム1を常時真空吸着することができる。基板用真空吸着孔21とフィルム用真空吸着孔25とが互いに別系統の排気管に連通していないと、基板Wの真空吸着の際に防止フィルム1の真空吸着もオンになるので、それまでは防止フィルム1は真空吸着されないことになり、位置ずれし易い。両者の真空吸引を常時動作させておくことも考えられるが、真空吸引されている吸着孔に基板Wを載置することになるので、載置動作が不安定になる問題がある。実施形態のプラテン2では、このような問題がないという点で、実施形態のプラテン2は優位性を有している。
また、防止フィルム1のマーク12を検出するセンサ3がプラテン2に設けられている点は、プラテン2を搭載した装置の構造を簡略化する意義がある。防止フィルム1のマーク12を検出する手段としては、プラテン2以外の場所にセンサ3を設ける構成も考えられる。例えば、プラテン2の上方にセンサ(例えばカメラのようなイメージセンサ)を配置し、上方からマーク12のずれを監視する構成も考えられる。
しかしながら、プラテン2の上方には、プラテン2に載置した基板Wを取り扱ったり又は処理したりするための構造物が配置されることが多い。前述した露光装置における光照射ユニット4は、その一例である。このような構造物のためにプラテン2の上方にはセンサ3のような位置ずれ検出手段を配置することが難しいか、不可能である場合が多い。例えば前述した露光装置では、プラテン2の上方にカメラを配置し、光照射ユニット4の動作の際には退避させる進退機構を付設する構成が考えられるが、構造的に大がかりであり、動作も複雑で時間がかかるものとなる。これに比べると、センサ3を備えた実施形態のプラテン2は、装置全体の構造や動作を簡略化させることができ、この点で優位性を有する。
また、実施形態の防止フィルム1は、基板吸着穴11が設けられた領域の外側にマーク12を有している。「基板吸着穴が設けられた領域」とは、基板Wが載置された際に基板Wによって覆われる防止フィルム1の領域に相当している。この領域の外側にマーク12が設けられているということは、基板Wが載置された状態でもマーク12は基板Wによって覆われないことを意味する。この構造は、マーク12の常時検出が容易に行えるという意義を有する。
仮に、マーク12が基板Wによって覆われる位置に位置していると、実施形態のプラテン2におけるセンサ3は、反射光を捉えるものであるので、マーク12がずれていても基板Wからの反射光を捉えることでオン信号を出力してしまう。即ち、防止フィルム1がずれていてもずれていないと判断することになってしまう。基板Wと重なった状態でもマーク12が検出できるように、カラーイメージセンサのような高性能のセンサ3を使用することも考えられるが、コスト高となる問題もあるし、イメージデータ処理が煩雑になったり、時間を要したりする問題もある。したがって、基板Wによって覆われない位置にマーク12が形成されている実施形態の防止フィルム1は、簡易な構成で容易にずれを検出できるようにしたという意義を有する。
尚、図3に示す露光装置では、マスク41のフレーム411がプラテン2の上方に存在している。基板Wの露光中はマスクが基板Wに接触し、プラテン2のすぐ上にフレーム411が位置する。露光中は防止フィルム1のマーク12の背後にフレームがある状態では、マーク12がずれていてもフレーム411での反射光をセンサ3が捉えてしまうことがあり得る。したがって、図3に示す露光装置では、フレーム411がプラテン2から離れた状態においてセンサ3からの信号を確認するようにするのが望ましい。
但し、フレーム411がセンサ3及び貫通孔29から外れた位置に位置する場合や、フレームが無い構成(例えば投影露光方式の場合)では、そのような配慮は不要で、防止フィルム1の位置ずれを常時監視することができる。
また、この実施形態では、防止フィルム1は複数のマーク12を備えている。このため、位置ずれを確実に検出することができる。一つのみのマーク12であっても位置ずれの検出は可能であるが、当該マーク12を中心にした回転方向の位置ずれは検出することができない。このような位置ずれによってもプラテン2の基板用真空吸着孔21は塞ぎ得るので、検出できるようにすることが好ましい。複数のマーク12を設けて検出することで、これは容易に行える。上記の例では、マーク12は四つであったが、二つでも良く、三つでも良い。
上述した基板搬送方法の実施形態において、フィルム用真空吸着孔25の閉鎖を確認してから基板Wの搬送を行うようにすると、より好ましい。具体的には、フィルム用排気管27上に圧力センサを設けておき、圧力センサの出力がコントローラ6に入力されるようにする。コントローラ6上のシーケンスプログラムは、圧力センサの出力からフィルム用真空吸着孔25の閉鎖を点検し、閉鎖されている(即ち、防止フィルム1が真空吸着されている)ことを確認してから基板Wの搬送動作を行うようプログラミングされる。
マーク12は正しく検出されて防止フィルム1のずれはないものの、何らかのエラーで防止フィルム1の真空吸着が働いていないことがあり得る。この状態で基板Wが搬送されてプラテン1に載置されると、載置した弾みで防止フィルム1がずれてしまうことがあり得る。これが生じると、防止フィルム1が基板用真空吸着孔21を塞いでしまい基板Wの真空吸着ができなくなってしまったり、基板Wの位置ずれが生じたりする。上記のように、防止フィルム1の真空吸着オンを予め確認しておけば、このような問題は発生しない。
上述した実施形態の防止フィルム1において、基板吸着穴11は、プラテン2の基板用真空吸着孔21よりも小さくなっている。この点は、ソルダレジスト付きの基板のような柔らかな表面の基板の場合に特に意義がある。逆に、基板吸着穴11がプラテン2の基板用真空吸着孔21より大きい場合、防止フィルム1のずれの許容度を大きくする意義がある。これらの点について、図6を使用して説明する。図6は、基板吸着穴のサイズに応じた技術的意義について示した正面断面概略図である。
基板Wは、柔らかな面を有している場合がある。典型的な例はソルダレジスト付き基板の場合で、ソルダレジストが裏面にも被着している場合が多い。一方、樹脂シートに穴開け加工をして基板吸着穴11を形成すると、どうしてもバリのようになって周縁が尖ったものになり易い。このため、ソルダレジスト付き基板のような柔らかな表面の基板Wがある程度の力で押し付けられると、基板Wの表面に基板吸着穴11の周縁の跡が残り易い。跡が残ると、製品として見栄えが悪い上、性能上の問題が生じる場合もあり得る。
実施形態の防止フィルム1は、前述したように厚さ50〜350μm程度の樹脂フィルムであり、柔軟性を有している。このため、基板Wが載置されて真空吸着された際、図6(A)に示すように、真空吸引力により基板吸着穴11の周縁は基板用真空吸着孔21の奧側に撓む。このため、真空吸着穴11の周縁による跡が基板Wの裏面に付きにくい。基板吸着穴11がより小さい方が撓み量が多くなるため、この効果はより確実になるが、あまり小さくなると、真空吸引の際のコンダクタンスが小さくなるので、注意を要する。基板吸着穴11が円形の場合、直径2mmより小さくしないようにすることが実用的には好ましい。
逆に、基板吸着穴11がプラテン2の基板用真空吸着孔21より大きい場合、図6(B)に示すように、防止フィルム1が多少ずれた場合でも、基板用真空吸着孔21を塞いでしまうことはない。即ち、ずれの許容度が高くなる。この場合、基板吸着穴11が大きい方がずれの許容度も大きくなるが、基板吸着穴11が大きくなると、その分だけプラテン2を覆わない領域が大きくなるので、基板Wの貼り付き防止効果の局所的な低下が無視し得なくなる。したがって、基板吸着穴11及び基板用真空吸着孔21が円形の場合、基板吸着穴11の直径が基板用真空吸着孔21の直径に対して2mm大きい程度までとすることが実用的には好ましい。
尚、基板吸着穴11が基板用真空吸着孔21より大きい場合、ソルダレジスト付き基板の場合には上記の問題が生じ得るが、ソルダレジストを焼結等によってソルダレジストの硬度を高めておくことで問題が発生しないようにすることができる。
上記実施形態では、防止フィルム1は全体に透明で、マーク12は反射部であったが、その逆もあり得る。例えばコーティング等の方法により防止フィルム1を全体に不透明としつつ、部分的に透明な箇所を残して設けてそれをマーク12としても良い。また、部分的に切り抜いてマーク12としても良い。この場合は、センサ3が反射光を捉えていない状態が正常で、反射光を捉えた場合、位置ずれが生じたと判断することになる。
また、センサ3としては、上記のようなファイバタイプの光電センサの他、磁気センサや近接センサのような他の方式のセンサを利用することも可能である。
さらに、本願発明の防止フィルム1及びプラテン2は、前述した露光装置の他、基板を処理する各種装置に使用することができる。処理装置に限らず、各種検査、試験等のために基板を取り扱う際にも、本願発明の防止フィルム1及びプラテン2を使用することができる。この点は、基板搬送方法の発明についても同様である。
1 基板貼り付き防止フィルム
11 基板吸着穴
12 マーク
2 プラテン
21 基板用真空吸着孔
22 基板用連通路
23 基板用排気管
24 基板用開閉弁
25 フィルム用真空吸着孔
26 フィルム用連通路
27 フィルム用排気管
28 フィルム用開閉弁
29 貫通孔
3 センサ
4 光照射ユニット
5 搬送系
6 コントローラ
W 基板
R 基板載置領域
しかしながら、非粘着性処理をした金属板は、表面の硬度が低いために長期間使用すると表面の非粘着層が剥がれたり、基板の縁が押し付けられる結果、凹みや溝が形成されたりしてしまう問題がある。金属板の表面非粘着層に凹みや溝が形成されると、それが基板側に転写されてしまうことがあり、製品の外観を損ねたり、性能を低下させたりすることがある。このため、金属板はある程度の期間使用すると交換する必要がある。しかしながら、この種の表面処理をした金属板は高価であり、ランニングコスト上の負担が大きい。
また、基板はしばしば平坦性の高い表面に載置される必要があり、このため平坦性の高い表面を持ったプラテンが必要になる。この点、非粘着性の表面処理をした金属板は、平坦性が悪い場合が多く、平坦性の高いプラテンの表面に対してネジ止めのような手段で矯正しながら固定する方法が採られることが多い。このため、取り付けや交換に手間がかかってしまい、作業性が悪い。
上記課題を解決するため、この出願の請求項1記載の発明は、処理される基板が載置されるプラテンの基板載置領域を覆う基板貼り付き防止フィルムであって、プラテンの基板用真空吸着孔に対応する位置に基板を真空吸着するための基板吸着穴を有し、基板吸着穴を外れた位置にプラテンに対する位置ずれを検出するためのマークが設けられているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項2記載の発明は、前記請求項1の構成において、前記基板吸着穴は、前記プラテンが有する基板用真空吸着孔より小さいという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項3記載の発明は、前記請求項1の構成において、前記基板吸着穴は、前記プラテンが有する基板用真空吸着孔より大きいという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項4記載の発明は、前記請求項1乃至3いずれかに記載の基板貼り付き防止フィルムで基板載置領域が覆われるプラテンであって、基板を真空吸着する基板用真空吸着孔と、基板貼り付き防止フィルムを真空吸着するフィルム用真空吸着孔とを有しており、
基板用真空吸着孔とフィルム用真空吸着孔とは、互いに別系統の排気路に連通しているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項5記載の発明は、前記請求項1乃至3いずれかに記載の基板貼り付き防止フィルムで基板載置領域が覆われたプラテンに基板を搬送する方法であって、基板の搬送前に前記マークがずれていないかセンサにより点検し、ずれている場合には搬送を中止するという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項6記載の発明は、前記請求項5の構成において、基板の搬送前に前記フィルム用真空吸着孔が閉鎖されているか点検し、閉鎖されていない場合には搬送を中止するという構成を有する。

Claims (6)

  1. 処理される基板が載置されるプラテンの基板載置領域を覆う基板貼り付き防止フィルムであって、プラテンの基板用真空吸着孔に対応する位置に基板を真空吸着するための基板吸着穴を有し、基板吸着穴を外れた位置にプラテンに対する位置ずれを検出するためのマークが設けられていることを特徴とする基板貼り付き防止フィルム。
  2. 前記基板吸着穴は、前記プラテンが有する基板用真空吸着孔より小さいことを特徴とする請求項1記載の基板貼り付き防止フィルム
  3. 前記基板吸着穴は、前記プラテンが有する基板用真空吸着孔より大きいことを特徴とする請求項1記載の基板貼り付き防止フィルム
  4. 請求項1乃至3いずれかに記載の基板貼り付き防止フィルムで基板載置領域が覆われるプラテンであって、基板を真空吸着する基板用真空吸着孔と、基板貼り付き防止フィルムを真空吸着するフィルム用真空空着孔とを有しており、
    基板用真空吸着孔とフィルム用真空吸着孔とは、互いに別系統の排気路に連通していることを特徴とするプラテン。
  5. 請求項1乃至3いずれかに記載の基板貼り付き防止フィルムで基板載置領域が覆われたプラテンに基板を搬送する方法であって、基板の搬送前に前記マークがずれていないかセンサにより点検し、ずれている場合には搬送を中止することを特徴とする基板搬送方法。
  6. 基板の搬送前に前記フィルム用真空吸着孔が閉鎖されているか点検し、閉鎖されていない場合には搬送を中止することを特徴とする請求項5記載の基板搬送方法。
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