JP7490994B2 - フィルム、及びフィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体ウェハのダイシング工程において好適に用いることができるフィルム、及びその製造方法に関する。
通常、半導体ウェハの研磨(バックグラインド)は、バックグラインド用粘着シート上に半導体ウェハを設置してチャックテーブル上に吸着固定し、回転ブレードにより研削水を吹き付けながら半導体ウェハの上面を砥石で研磨することにより行われる。その後、研磨された半導体ウェハを所望のサイズに切断することにより、チップやIC部品を得ることができる。このような、半導体ウェハからチップやIC部品を得る一連の工程は、一般にダイシング工程と呼ばれる。
このダイシング工程では、通常、研磨のために半導体ウェハに力がかかるため、固定が不十分であると位置ずれ等の不具合を生じることがある。このような位置ずれを軽減するため、下記特許文献1、2に示すような粘着材付きのバックグラインド用粘着シートが使用されている。
特開2009-141023号公報 特開2008-47558号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載のバックグラインド用粘着シートは、高価である上に、粘着材などに起因した半導体ウェハへの糊残りが起こる点で問題がある。そこで本発明は、上記した問題点を克服することにより、糊残りの軽減とコストを両立し、バックグラインド用途に好適に用いることができるフィルム、及びその製造方法を提供することをその課題とする。
本発明のフィルム及びその製造方法は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。
(1) 以下の特徴1~4を全て満たす領域を領域Aとしたときに、領域Aを有し、前記領域A内に、直径3インチの円が包含されることを特徴とするフィルム。特徴1:両面で表面粗さが異なる。特徴2:フィルム両表面のうち、相対的に表面粗さの大きい面をX面、相対的に表面粗さの小さい面をY面、X面及びY面における最大径が共に0.1mmを超え20.0mm以下の貫通孔を貫通孔αとしたときに、貫通孔αを有する。特徴3:X面及びY面における開孔率が共に0.01%以上50.0%以下である。特徴4:X面同士を擦り合わせて動摩擦係数を測定した際の縦軸を荷重、横軸を変位とするチャート図において、接触面間の相対ずれ運動を開始した点をD、Dから60mm移動した点をD60、DとD60の間における最大荷重をFDmax(g)、DとD60の間における最小荷重をFDmin(g)、FDmax(g)とFDmin(g)との差をΔFD(g)としたときに、ΔFD(g)が0.1g以上200g以下である。
(2) 前記領域Aにおいて、前記FDmax(g)が30g以上350g以下であり、かつ前記FDmin(g)が20g以上200g以下であることを特徴とする、(1)に記載のフィルム。
(3) 前記領域Aにおいて、前記X面同士を擦り合わせた際の動摩擦係数をμ、前記X面同士を擦り合わせた際の静摩擦係数をμとしたときに、μが0.10以上1.20以下であり、かつμが0.10を超え1.50以下であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載のフィルム。
(4) 前記領域Aにおいて、突き刺し強度が0.3N/μm以上0.9N/μm以下であることを特徴とする、(1)~(3)のいずれかに記載のフィルム。
) 主成分がポリエステル樹脂であることを特徴とする、(1)~()のいずれかに記載のフィルム。
) 前記ポリエステル樹脂が、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びポリエチレンナフタレートからなる群より選択される少なくとも1種類の樹脂であることを特徴とする、()に記載のフィルム。
) フィルムがバックグラインド用フィルムであることを特徴とする、(1)~()のいずれかに記載のフィルム。
) (1)~()のいずれかに記載のフィルムを製造するフィルムの製造方法であって、パンチング加工法、マシニング加工法、エッチング加工法、放電加工法、電子ビーム加工法、ドリル加工法、及びレーザー加工法のうち少なくとも一つの加工法によりフィルムに前記領域Aを形成する工程を有することを特徴とする、フィルムの製造方法。
本発明によれば、糊残りの軽減とコストを両立し、バックグラインド用途に好適に用いることができるフィルム、及びその製造方法を提供することができる。
本発明のフィルムにおける領域Aの具体的態様を例示する上面図である。 パンチング加工法で貫通孔を形成する際に生じるバリを表す模式図である。 貫通孔αの形状の具体例、及び各例における最大径を示す模式図である。 X面同士を擦り合わせてJIS-K7125(1999年)に準じて摩擦係数を測定した際における、変位を横軸、摩擦係数を縦軸としたときの模式チャート図である。 貫通孔αのパターンを例示した上面図である。
以下に、本発明のフィルムについて、実施の形態と共に詳細に説明する。本発明のフィルムは、以下の特徴1~4を全て満たす領域を領域Aとしたときに、領域Aを有することを特徴とする。
特徴1:両面で表面粗さが異なる。
特徴2:フィルム両表面のうち、相対的に表面粗さの大きい面をX面、相対的に表面粗さの小さい面をY面、X面及びY面における最大径が共に0.1mmを超え20.0mm以下の貫通孔を貫通孔αとしたときに、貫通孔αを有する。
特徴3:X面及びY面における開孔率が共に0.01%以上50.0%以下である。
特徴4:X面同士を擦り合わせて動摩擦係数を測定した際の縦軸を荷重、横軸を変位とするチャート図において、接触面間の相対ずれ運動を開始した点をD、Dから60mm移動した点をD60、DとD60の間における最大荷重をFDmax(g)、DとD60の間における最小荷重をFDmin(g)、FDmax(g)とFDmin(g)との差をΔFD(g)としたときに、ΔFD(g)が0.1g以上200g以下である。
以下、本発明のフィルムにおける領域Aについて、その具体的態様を例示する図1を参照しながら具体的に説明する。本発明において「領域Aを有する」とは、フィルム面の全体又は一部が領域Aである態様を意味する。領域Aを有するフィルムとしては、図1のAに示すようにフィルム1の全面に領域A2を有する態様や、図1のBやCに示すように領域A2がフィルム1の一部を占めるに留まり、フィルム1に領域Aに該当しない領域3が存在する態様が挙げられる。なお、図1のB、Cにおける領域A2の形状はそれぞれ円形と長方形であるが、本発明の効果を損なわない限り領域A2の形状は特に限定されず、また大きさや形状の異なるものが複数混在してもよい。
フィルムが領域Aを有するか否かは、以下の手順で確認することができる。先ず、フィルムの各面を目視や顕微鏡で観察することにより貫通孔を有する領域を特定する。その後、特定した領域からフィルムサンプルを切り出し、後述の測定により特徴1~4を充足するか否かを評価し、各特徴を全て充足する場合はフィルムが領域Aを有すると判断するものとする。
本発明のフィルムは、後述する特徴1~4を全て満たす領域を領域Aとしたときに、領域Aを有することが重要である。このような態様とすることにより、本発明のフィルムにおける領域Aは、糊残りの軽減とコストを両立し、バックグラインド用途に好適に用いることができるものとなる。その詳細については、各特徴と併せて後述する。
フィルムに領域Aを形成する手段は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、例えば、孔の密度、孔を形成するための針の太さやレーザーの照射径を調整した上で、フィルムの所望の領域にパンチング加工法やレーザー加工法、回転したドリルによるドリル加工法等で貫通孔を形成する方法が挙げられる。パンチング加工法、レーザー加工法、及びドリル加工法等でフィルムに貫通孔を形成する場合、針やレーザー、ドリル等がフィルムを突き抜ける際に、針やレーザー、ドリル等を当てた面と反対側の面で貫通孔周辺に突起が形成されるため、針やレーザー、ドリル等を当てた面よりもその反対側の面の表面粗さが大きくなり、FDmax(g)とFDmin(g)との差(ΔFD(g))を生じる。以下、このようなメカニズムで形成される突起をバリということがある。図2に示すように、例えば針4を用いてパンチング加工法で貫通孔5を形成すると、針4を抜いた後で出口側の面において貫通孔5の周囲にバリ6が形成される。
本発明のフィルムの領域Aは、特徴1を備える。すなわち、本発明のフィルムの領域Aは、両面で表面粗さが異なる。本発明のフィルムにおいて「両面で表面粗さが異なる」とは、任意に選択した同一の面同士を擦り合わせてJIS-K7125(1999年)に準じて測定した動摩擦係数と、反対側の面同士を摺り合わせて同様に測定した動摩擦係数とが互いに異なることをいう。このときにフィルム両表面のうち、動摩擦係数の大きい面を「相対的に表面粗さの大きい面」、動摩擦係数の小さい面を「相対的に表面粗さの小さい面」とし、それぞれX面、Y面とすることができる。
なお、JIS-K7125(1999年)による測定では、80mm×200mmのサンプルが必要であるが、貫通孔があり領域Aに該当する可能性がある部分の面積が小さく当該サイズのサンプルを取得できない場合は、可能な限り大きな面積でサンプルを取得して測定することができる。また、フィルムの全面にわたって均一なパターンで貫通孔が形成されている場合は、当該部分全てについて測定するのではなく、一部をサンプリングして測定してもよい。以下、同様である。
JIS-K7125(1999年)による測定においてフィルム面を擦り合わせる際には、測定サンプルが均一なパターンで貫通孔が形成されているものであれば、進行方向を長手方向とする。仮に、長手方向が特定できない場合には、マイクロ波分子配向計により特定した主配向軸を進行方向として測定することができる。なお、JIS-K7125(1999年)による測定によって得られる他のパラメータの測定についても、同様とすることができる。
また、貫通孔のパターンが不均一な場合においては、進行方向を任意に定めた一方向として測定を行い、その後、30°ずつ回転させながら最初の進行方向との角度が180°となるまで同様の測定を繰り返し、動摩擦係数の差が最も大きくなる方向を進行方向とするものとする。なお、JIS-K7125(1999年)による測定によって得られる他のパラメータの測定についても、同様とすることができる。
両面の表面粗さの差を調節する手段は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、例えば貫通孔を形成するときに生じるバリの高さを高くすることや、バリの量を増やすことが挙げられる。バリの高さを高くするには、例えばパンチング加工法においてフィルムに針を刺すスピードを上げる方法を用いることができ、また、バリの量を増やすには貫通孔の密度を上げる方法を用いることができる。ここでいう貫通孔の密度とは単位面積あたりの貫通孔個数のことを指す。
本発明のフィルムの領域Aは、特徴2を備える。すなわち、本発明のフィルムの領域Aは、X面及びY面における最大径が共に0.1mmを超え20.0mm以下の貫通孔を貫通孔αとしたときに、貫通孔αを有する。ここで最大径とは、貫通孔の外周上に距離が最大となるように取った2点間の距離をいう。
このような態様とすることにより、吸引機構を有するチャックテーブル上に本発明のフィルムにおける領域A部分を設置したときに、貫通孔αを通じて空気が吸引される。そのため、本発明のフィルムにおける領域A部分の上に、さらに半導体ウェハを置いたときに、半導体ウェハを十分に固定することができる。この際、吸着状態の目安となるチャックテーブルの到達真空度は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、強固な吸着を確保する観点から、-60kPa以下であることが好ましい。
貫通孔αの形状は、X面及びY面における最大径が共に0.1mmを超え20.0mm以下であれば本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、例えば、図3のA~Cに順に示すように円形、正三角形、正方形とすることができる。なお、このとき最大径は、図3のA~Cの順に円の直径の長さ、辺の長さ、及び対角線の長さとなる(符号7)。
各面における貫通孔の最大径は、電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて撮影した貫通孔の画像より、貫通孔の外周上に距離が最大となるように取った2点間の距離を測定することにより計測することができる。電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)は、測定が可能なものであれば特に制限されず、例えば日本電子株式会社製電界放出型電子顕微鏡(FE-SEM)6700F型を用いることができる。当該装置を用いる場合、測定時の条件は下記の通りとすることができる。後述の貫通孔面積の測定においても同様である。
・加速電圧:2kV
・観察倍率:少なくとも1つの貫通孔全体が確認できる任意倍率(25~1,000倍)。
フィルムが貫通孔を有さない場合や、貫通孔を有してもその最大径が0.1mm未満であるもののみである場合、チャックテーブル上にフィルムを置いたときの到達真空度は容易に-60kPa以下に低下するが、貫通孔を通じた吸引力が不十分となるため半導体ウェハの固定が不安定になり、半導体ウェハの安定したグラインディングが困難となる。一方、最大径が20.0mmを超える貫通孔のみを有する場合は、貫通孔の径が過度に大きいためにフィルム自体のコシが低下し、チャックテーブル上にフィルムを置いたときに吸引によりシワが入る不具合が発生する。半導体ウェハの固定とフィルムのコシを両立する観点から、貫通孔αのX面及びY面における最大径は、好ましくは0.3mm以上10.0mm未満である。
フィルムに貫通孔αを設け、その最大径を調節する方法は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、例えば、パンチング加工法における針の太さやレーザー加工法におけるレーザーの照射径を調整する方法、ドリル加工法におけるドリル外径を調整する方法が挙げられる。より具体的には、パンチング加工法に用いる針の太さやレーザー加工法に用いるレーザーの照射径、ドリル加工法に用いるドリルの外径を、X面及びY面における最大径の上限を超えない範囲で大きくすることで、貫通孔αを形成し、かつその最大径を大きくすることができる。
また、本発明のフィルムにおける領域Aは、本発明の効果を損なわない範囲で貫通孔α以外の貫通孔を有してもよい。但し、本発明のフィルムの領域Aにおける貫通孔全面積に占める貫通孔αの面積比は、半導体ウェハの固定とフィルムのコシを両立する観点から、60%以上100%以下であることが好ましい。なお、本発明のフィルムの貫通孔面積に占める貫通孔αの面積比は、以下の手順により測定することができる。
先ず、領域Aより採取した100mmのフィルムサンプル中に存在する貫通孔αの合計面積をNα(mm)、貫通孔α以外の貫通孔の合計面積をNβ(mm)とし、NαとNβを計測する。その後、以下の式(i)から全貫通孔面積に占める貫通孔α面積の占める割合を算出する。
貫通孔全面積に占める貫通孔α面積の占める割合(%)=Nα(mm)×100/(Nα(mm)+Nβ(mm))・・・(i)
なお、NαとNβの和は、以下の方法により測定することができる。先ず、コピー機にて等倍率でシートを印刷し、貫通孔部分を黒インキ等で塗りつぶした後に、スキャナーで画像データとして取り込む。この後、画像解析ソフト(例えば、Media Cybernetics社製Image Pro plus Version4.0 for windows等)で画像の二値化処理を行い、貫通孔の輪郭が明確になるようにコントラストを調節する。その後、カウント/サイズ測にて、アウトラインの形式を塗りつぶし、暗い色のオブジェクトを自動抽出に設定し測定を行い、得られた色塗り部分の総面積をNαとNβの和(mm)とする。
また、同等の結果が得られる別の方法として、以下の方法を用いてもよい。先ず、貫通孔の最大径の計測と同様の手法によって100mm分の画像を取得した後、これをA4サイズの紙等に印刷し、イメージアナライザーを用いて画像中に存在する貫通孔αの面積の和、及び貫通孔βの面積の和を求めることにより算出する。なお、イメージアナライザーは、例えば東洋紡績(株)製イメージアナライザーV10等を用いることができる。
本発明のフィルムの領域Aは、半導体ウェハの固定とフィルムのコシを両立する観点から、特徴3を備える。すなわち、本発明のフィルムの領域Aは、X面及びY面における開孔率が共に0.01%以上50.0%以下である。ここでX面における開孔率とは、X面の内、領域Aの面積100%に占める貫通孔部分の面積比をいい、Y面における開孔率についても同様に解釈することができる。各面の開孔率は、前述の方法により測定したNα及びNβの面積より、以下の式(ii)から求めることができる。
開孔率(%)=((Nα(mm)+Nβ(mm))/100(mm))×100(%)・・・(ii)
X面及びY面における開孔率が共に0.01%以上50.0%以下であることによって、ダイシング工程にて半導体ウェハとチャックテーブルの間にフィルムの領域A部分を置いた際の吸着目安となる到達真空度を-60kPa以下とすることができ、かつ半導体ウェハを安定して固定できる。X面及びY面の少なくとも一方における開孔率が0.01%未満であると、半導体ウェハとチャックテーブルの間にフィルムを置いた際に、貫通孔を通じた吸引力が不十分となる。そのため、到達真空度は低くなるが、貫通孔を通じたウェハの吸着力が弱くなり、半導体ウェハを固定する上でズレなどの不具合が生じる。また、X面及びY面の少なくとも一方における開孔率が50.0%を超えると、フィルムのコシが不足してグラインド工程でフィルムにシワが発生し、安定したグラインディングができなくなる。すなわち、X面及びY面における開孔率を共に0.01%以上50.0%以下とすることにより、半導体ウェハの安定したグラインディングとフィルムのコシを両立することができる。上記観点から、領域AにおけるX面及びY面における開孔率は共に0.03%以上30.0%以下であることが好ましく、3.0%以上30.0%以下であることがより好ましい。
但し、X面及びY面における貫通孔αの最大径が5.0mm以下の場合、バックグラインド工程での半導体ウェハ固定性の観点から、X面及びY面における開孔率が共に0.1%以上50.0%以下であることが好ましく、半導体ウェハ固定性のみを考慮すると開孔率は5%以上50.0%以下であることが好ましい。一方、X面及びY面における貫通孔αの最大径が5.0mmを超える場合、バックグラインド工程でのシワ抑制の観点から、X面及びY面における開孔率が共に1.0%以上10.0%以下であることが好ましい。
また、開孔率の上昇に伴い貫通孔のヘリ部分も増加するため、半導体ウェハをグラインディングすると貫通孔のヘリ部分が半導体ウェハに転写されやすくなり、グラインディング後の半導体ウェハの平滑性が低下することがある。そのため、安定したグラインディングよりもグラインディング後の半導体ウェハの平滑性を重要視する場合は、領域AにおけるX面及びY面における開孔率を共に0.02%以上3.0%未満とすることも好ましく、より好ましくは0.02%以上0.5%以下である。
本発明のフィルムの領域Aは、半導体ウェハの固定とフィルムのコシを両立する観点から、特徴4を備える。すなわち、本発明のフィルムの領域Aは、X面同士を擦り合わせて動摩擦係数を測定した際の縦軸を荷重、横軸を変位とするチャート図において、接触面間の相対ずれ運動を開始した点をD、Dから60mm移動した点をD60、DとD60の間における最大荷重をFDmax(g)、DとD60の間における最小荷重をFDmin(g)、FDmax(g)とFDmin(g)との差をΔFD(g)としたときに、ΔFD(g)が0.1g以上200g以下である。このような態様とすることにより、フィルムを半導体ウェハとチャックテーブルの間に置いた際に、到達真空度を-60kPa以下に保ち、かつ半導体ウェハを十分に固定することができる。
以下、D、D60、FDmax、FDmin、及びΔFDについて、図面を参照しながら具体的に説明する。図4は、X面同士を摺り合わせてJIS-K7125(1999年)に準じて摩擦係数を測定した際における、変位を横軸、荷重を縦軸としたときの模式チャート図である。摩擦係数の測定においては、試験機を稼働させて試料(一方の測定サンプル)を引っ張ると、力が直線的に増加して摩擦を与え最大荷重8に達する。さらに試料を引っ張り続けると、一旦荷重は低下して、やがて接触面間の相対ずれ運動を開始するため再び荷重が上昇に転じる。この荷重が上昇に転じる点が、接触面間の相対ずれ運動を開始した点D9となる。その後続けて試料を直線状に60mm移動させると、その間に荷重が変動する。このとき、D9より60mm移動した位置がD6010、D9からD6010までの間における荷重の最大値がFDmax11、最小値がFDmin12、FDmax11とFDmin12との差がΔFD13となる。
ΔFD(g)の下限は小さければ小さいほど好ましいが、通常、どのようなフィルムを用いたとしても測定時の振動などの影響により0.1g未満とすることは困難であるため、0.1gとなる。また、ΔFD(g)が200g以上であることは、例えば、X面が前述のバリによって過度に荒れていることを意味する。このようなフィルムをバックグラインド用途に用いた場合、フィルムと半導体ウェハとの間や、フィルムとチャックテーブルとの間に隙間が生じて空気が漏れるため、到達真空度を-60kPa以下に保つことができず、半導体ウェハの固定も不十分となる。上記観点から、ΔFD(g)は100g以下が好ましく、50g以下がより好ましい。
ΔFD(g)を0.1g以上200g以下又は上記の好ましい範囲とする手段は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、例えば貫通孔α形成時のバリを低減する方法が挙げられる。より具体的には、パンチング加工法を用いる場合、貫通孔形成時に針とフィルムの間及び針の貫通面側に塩化ビニルなど柔軟な合紙を挟んで加工すること、本発明の範囲で貫通孔αの最大径を大きくすること、領域A内において貫通孔αの個数を0.3個/mm以下とすること、針を刺すスピードを遅くすること、及びパンチング加工法よりもバリが形成されにくいレーザー加工法やドリル加工法を用いること等によりバリの低減が可能である。
一方、ΔFD(g)が0.1g以上200g以下の範囲内で高い場合であっても、パンチング加工法やレーザー加工法、ドリル加工法等による加工前のフィルム(基材フィルムということがある。)のヤング率が長手方向、幅方向共に1.0GPa以下であればバリ突起も柔軟であるため、チャックテーブル吸着時に突起が潰れて吸着性の指標となる真空到達度を-60kPa以下に維持することができる。ヤング率は、JIS K7127(1999年)に規定された方法に従って測定することができる。また、パンチング加工等による貫通孔α形成時のバリの柔軟性を高め、到達真空度を低く維持する観点から、最外層に柔軟性の高い層を備える積層フィルムとしてもよい。例えば、グラインド時の半導体ウェハ固定の観点から一定以上のコシを確保するための剛性の高い層と、貫通孔α形成時のバリの固さを低減するための柔軟性が高い層を有する積層フィルムとすることも好ましい。なお、剛性の高い層と柔軟性の高い層の組み合わせの具体例としては、ポリエステル樹脂を主成分とする層とオレフィン樹脂を主成分とする層の組み合わせが挙げられる。なお、ここで長手方向とはフィルムの走行方向、幅方向とはフィルム面内で長手方向と直交する方向をいう。すなわち、フィルムロールにおいては巻き方向が長手方向、コアの中心軸と平行な方向が幅方向となる。
なお、フィルムがロールに巻かれていない状態のように、長手方向や幅方向が不明である場合は、フィルムより100mm×100mmの寸法で任意にサンプルを切り出し、マイクロ波分子配向計により特定した主配向軸を長手方向、これに面内で直交する方向を幅方向とすることができる。マイクロ波分子配向計は、測定が可能なものから適宜選択可能であり、例えばKSシステムズ製(現王子計測機器社)のマイクロ波分子配向計MOA-2001A(周波数4GHz)等を用いることができる。
本発明のフィルムは、半導体ウェハの固定の観点から、領域Aにおいて、最大荷重FDmax(g)が30g以上350g以下であり、最小荷重FDmin(g)が20g以上200g以下であることが好ましい。フィルムが貫通孔αを有する場合、バリが大きいとFDmax(g)だけでなくFDmin(g)も併せて大きくなることがある。半導体ウェハの固定時にフィルムのバリが大きすぎると、フィルムと半導体ウェハとの間やフィルムとチャックテーブルとの間から空気が漏れて半導体ウェハの固定が不十分となることがあるため、ΔFD(g)だけでなくFDmax(g)やFDmin(g)自体も低く抑えることが好ましい。すなわち、FDmax(g)を350g以下、FDmin(g)を200g以下に抑えることにより、バリの大きさを抑えることができ、半導体ウェハの固定時における空気の漏れが抑えられて半導体ウェハが十分に固定される。
上記観点から、領域Aにおいて、FDmax(g)は200g以下がより好ましく、150g以下がさらに好ましい。同様の観点から、FDmin(g)は150g以下であることが好ましく、100g以下がさらに好ましい。また、FDmax(g)やFDmin(g)の下限値は小さいほど好ましいが、シリコンやワックス等による特別な処理がないフィルムである場合、摩擦抵抗の影響で生じる抵抗力を考慮して実現可能な値とした。なお、FDmax(g)やFDmin(g)を上記の好ましい範囲とする手段としては、ΔFD(g)を0.1g以上200g以下又は上記の好ましい範囲とする手段と同様の方法を用いることができる。
本発明のフィルムは、領域Aにおいて、前記X面同士を擦り合わせた際の動摩擦係数をμ、前記X面同士を擦り合わせた際の静摩擦係数をμとしたときに、μが0.10以上1.20以下であり、かつμが0.10を超え1.50以下であることが好ましい。本発明においてはμやμが小さいことは、貫通孔α形成時のバリなどの表面凹凸が少なくX面の平面性が高いことを示す。貫通孔α形成時のバリ等の凹凸を抑えることでΔFD(g)を小さくすることができる。領域Aにおいて、μを0.10以上1.20以下とし、かつμを0.10を超え1.50以下とする手段は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、例えばΔFD(g)を調節するのと同様の方法を用いることができる。本発明においては貫通孔α形成時のバリなどの表面凹凸を少なくする観点から、μが0.10以上0.80以下であり、かつμが0.10を超え1.00以下であることが好ましい。
本発明のフィルムは、フィルムのコシとクッション性を両立する観点から、領域Aにおいて、突き刺し強度が0.3N/μm以上0.9N/μm以下であることが好ましい。領域Aにおいて、突き刺し強度が0.3N/μm以上であることにより、フィルムのコシがあるため、バックグラインド時のシワ発生を抑制することができる。一方、領域Aにおいて、突き刺し強度が0.9N/μm以下であることにより、フィルムのクッション性が確保されるため、ダイシング工程全般における加工時のクッション性が不足せず、半導体ウェハの反りなどを発生が抑えられる。上記観点から、領域Aにおける突き刺し強度が0.4N/μm以上0.8N/μm以下であることがより好ましく、0.5N/μm以上0.8N/μm以下であることがさらに好ましい。なお、突き刺し強度は、引張試験機(例えば、オリエンテック製“テンシロン”UCT-100)を用いた突き刺し試験により測定することができる。
領域Aにおいて、突き刺し強度を0.3N/μm以上0.9N/μm以下又は上記の好ましい範囲とする方法は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、例えばフィルムを構成する樹脂の種類や組成、フィルムの厚みや製膜条件により調節する方法が挙げられる。より具体的には、フィルムとしたときに柔軟性の高い樹脂を使用することや、フィルムが複数の樹脂を含む場合にそのような樹脂の比率を上げることにより、突き刺し強度を低くすることができる。また、フィルムの厚みを厚くすることや、フィルムを二軸延伸することで強度を向上させることができ、このときの延伸倍率に比例してフィルムの強度が上昇する。すなわち、二軸延伸を行い、かつ延伸倍率を大きくすることによっても突き刺し強度を高くすることができる。
本発明のフィルムは、バックグラインド用途に用いる観点から、領域A内に、直径3インチの円が包含されることが好ましい。ここで、「領域A内に、直径3インチの円が包含される」とは、領域Aが直径3インチの円を含む程度の広さを有することをいう。通常、半導体ウェハのバックグラインド工程で用いるチャックテーブルは直径6インチ程度の円形であることが多いため、このような態様とすることにより、フィルムを介して半導体ウェハを吸引し、チャックテーブル上に固定できる程度に空気の通り道を確保することができる。上記観点から、領域A内に、直径6インチの円が包含されることがより好ましい。領域Aの広さの上限は特に制限はないが、チャックテーブルから領域Aがはみ出た場合におけるチャックテーブルの縁付近からの空気の漏れを抑える観点から、領域Aがチャックテーブルよりも面積が狭く、チャックテーブルからはみ出さないことが好ましい。
領域Aの広さは、パンチング加工法やレーザー加工法、ドリル加工法による加工を施すエリアを調節することにより、調整することができる。より具体的には、このような加工を施すエリアを広くすることにより、領域Aを広げることができる。
本発明のフィルムを構成する樹脂は、その効果を奏する範囲において特に限定されず、例えばオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリアミド、及びポリエステル樹脂等を好ましく用いることができる。予め原料組成が不明である場合において、フィルムを構成する樹脂は、例えばフィルムをヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解し、H-NMR及び13C-NMRを用いて各モノマー残基や副生ジエチレングリコールについて含有量を定量することにより分析することができる。
半導体ウェハの固定の観点からは、貫通孔α形成時に生じるバリがチャックテーブルでの真空引きの際に潰れることによって真空度を低く維持できるため、フィルムが柔軟であることが好ましい。そのため、本発明のフィルムの好ましい態様の一つとして、フィルムを構成する樹脂成分全体100質量%に対して、オレフィン系樹脂及びポリ塩化ビニルを合計で50質量%より多く含む態様が上げられる。なお、「オレフィン系樹脂及びポリ塩化ビニルを合計で50質量%より多く含む」とは、これらの両方を合計で50質量%より多く含む態様だけでなく、これらの一方のみを50質量%より多く含む態様も含むものとする。
また、本発明のフィルムの別の好ましい態様として、経済性や生産性の観点から、主成分がポリエステル樹脂である態様が挙げられる。ここでポリエステル樹脂とは、ジカルボン酸単位とグリコール単位が交互に繰り返す構造を有する樹脂をいい、「主成分がポリエステル樹脂である」とは、フィルムを構成する樹脂成分全体100質量%に対して、ポリエステル樹脂が50質量%を超えて含まれることをいう。なお、このときポリエステル樹脂は1種類であっても複数種類であってもよく、後者におけるポリエステル樹脂の含有量は、全てのポリエステル樹脂を合算して算出するものとする。
本発明のフィルムにおけるポリエステル樹脂を得るためのグリコールあるいはその誘導体としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジヒドロキシ化合物、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、スピログリコールなどの脂環族ジヒドロキシ化合物、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族ジヒドロキシ化合物、並びに、それらの誘導体が挙げられる。
また、本発明のフィルムにおけるポリエステル樹脂を得るためのジカルボン酸あるいはその誘導体としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5-ナトリウムスルホンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、パラオキシ安息香酸などのオキシカルボン酸、並びに、それらの誘導体を挙げることができる。ジカルボン酸の誘導体としては例えばテレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸2-ヒドロキシエチルメチルエステル、2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、ダイマー酸ジメチルなどのエステル化物を挙げることができる。
本発明のフィルムにおけるポリエステル樹脂は、特に安価で量産性に優れる理由から、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びポリエチレンナフタレートからなる群より選択される少なくとも1種類の樹脂であることが好ましい。
本発明のフィルムは、本発明の効果を損なわない限り二軸配向していてもよい。フィルムを二軸配向させるには、二軸延伸すればよい。特にポリエチレンテレフタレートを主成分とする場合は後述の方法で延伸することが生産性の観点で好ましい。
本発明のフィルムは領域Aを有しているため、バックグラインド用フィルムとして好適に用いることができる。本発明のフィルムをバックグラインド用途に用いる場合、糊成分ではなく貫通孔αからの吸引により半導体ウェハをチャックテーブル上に固定するため、半導体ウェハへの糊残りを解消し、かつ糊成分に相当する分のコストを抑えることができる。
本発明のフィルムの厚みは、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、20μm以上300μm以下であることが好ましい。20μm未満であるとフィルムのコシが弱く、グラインド時にシワなどが発生し、安定したグラインディングなどができないことがある。また、300μmを超えると、フィルムが分厚すぎてハンドリングが困難になることや、貫通孔α形成時のバリが過度に大きくなることがある。上記観点から、フィルムの厚みは50μm以上150μm以下であることが好ましい。
次いで本発明のフィルムの製造方法について説明する。本発明のフィルムの製造方法は、パンチング加工法、マシニング加工法、エッチング加工法、放電加工法、電子ビーム加工法、ドリル加工法、及びレーザー加工法のうち少なくとも一つの加工法によりフィルムに前記領域Aを形成する工程を有することを特徴とする。
本発明のフィルムの製造方法に用いる加工法の中でも、経済性や量産性の観点からパンチング加工法を用いることが好ましい。パンチング加工法とは、針等を用いて物理的に貫通孔を形成する方法をいう。また、貫通孔形成時のバリを低減させる観点からは、レーザー加工法、又はドリル加工法を用いることが好ましい。レーザー加工法とは、レーザー光を照射して貫通孔を形成する方法をいう。なお、レーザー加工法自体は公知であり、常法により行うことができる。レーザー加工法に用いることができるレーザー光としては、フィルムを穿孔することができるものであれば特に限定されないが、例えば、COレーザー、Nd:YAGレーザー、エキシマーレーザー、半導体励起固体レーザー、及びパルスファイバーレーザー等を挙げることができる。また、ドリル加工法とはドリルを回転させて対象物を切削加工することで貫通孔を形成する方法をいい、例えば、オーエスジー株式会社“ドリル加工TECHNICAL DATA’18.01改訂版”に記載の方法により加工することができる。
以下、本発明のフィルムの製造方法について、具体的に説明する。但し、本発明は本体用に限定されない。
先ず、フィルムに用いられる樹脂を必要に応じて乾燥、予備結晶化させた後、単軸押出機に供給し、溶融押出する。この際、樹脂温度は主成分である樹脂の融点+10℃以上主成分である樹脂の融点+30℃以下に制御することが好ましく、例えばポリエチレンテレフタレートを主成分とする場合は265℃以上295℃以下に制御することが好ましい。次いで、フィルターやギヤポンプを通じて、異物の除去、押出量の均整化を各々行い、Tダイより冷却ドラム上にシート状に吐出する。その際、高電圧をかけた電極を使用して静電気で冷却ドラムとシート状に吐出した樹脂を密着させる静電印加法、キャスティングドラムとシート状に吐出した樹脂との間に水膜を設けるキャスト法、外側から空気を吹き付けるエアーナイフ法、若しくはこれらの方法を複数組み合わせた方法により、シート状に吐出した樹脂を、表面温度を10℃以上35℃以下に調節したキャスティングドラムに密着させ、冷却固化し、無配向フィルムを得る。
次いで、得られた無配向フィルムを長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する、あるいは、幅方向に延伸した後、長手方向に延伸する逐次二軸延伸方法や、フィルムを長手方向と幅方向にほぼ同時に延伸する同時二軸延伸方法、若しくはチューブラー法等により二軸延伸を行うことで二軸配向フィルムを得る。かかる延伸方法における延伸温度は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、主成分である樹脂のガラス転移温度(Tg(℃))以上Tg+30℃以下が好ましい。延伸倍率は各方向とも1.3~7.0倍が好ましく、2.5~4倍がより好ましい。また、平面性向上や厚みムラ軽減の観点から、幅方向と長手方向の面積延伸倍率を5倍以上15倍以下とすることが好ましい。
本発明のフィルムの製造方法では、二軸延伸後にフィルムの熱処理を行ってもよい。熱処理はオーブン中で、又は加熱したロール上など従来公知の任意の方法により行うことができる。熱処理温度は、必要な寸法安定性に合わせて設定することができ、フィルムの寸法安定性を向上させたい場合は、主成分である樹脂がポリエチレンテレフタレートであれば、設定温度を160℃~240℃とするのが好ましく、フィルムを大きく収縮させたい場合は熱処理を上記温度よりも低温で実施するのがよい。また、熱処理は複数のゾーンに分けて段階的に昇温・降温する方法や、熱処理工程で幅方向に1.01倍~1.2倍程度に微延伸する方法も用いることができる。また、熱処理時間は特性を悪化させない範囲において任意とすることができ、好ましくは10~60秒間、より好ましくは15~30秒間行うのがよい。さらに、熱処理はフィルムを長手方向及び/又は幅方向に弛緩させて行ってもよい。
本発明のフィルムの製造方法においては、こうして得られた二軸配向フィルムの上にその他の樹脂層等を設けてもよい。他の樹脂層としては、例えば貫通孔α形成時のバリを低減するような柔軟な樹脂、例えばオレフィン系樹脂を主成分とする層を設けることができる。このような層を設ける手段としては、例えば、公知のドライラミネート法や公知の押出ラミネート法等を用いることができる。
本発明のフィルムの製造方法においては、パンチング加工法、マシニング加工法、エッチング加工法、放電加工法、電子ビーム加工法、ドリル加工法、及びレーザー加工法のうち少なくとも一つの加工法により、より好ましくはパンチング加工法、ドリル加工法、及びレーザー加工法の少なくともいずれかの方法により、貫通孔αを形成させて領域Aを形成する。パンチング加工法については一般的に低コストで大面積の加工が可能である点から量産性、経済性の観点で好ましい。また、ドリル加工法、レーザー加工法は、貫通孔α開孔部のバリを小さくできる点で好ましい。レーザー加工法におけるレーザー光は、フィルムを穿孔することができるものであれば特に限定されないが、例えば、COレーザー、Nd:YAGレーザー、エキシマーレーザー、半導体励起固体レーザー、及びパルスファイバーレーザーを用いることができる。ドリル加工法におけるドリルは公知のものを使用することができ、その外径は、目的とする貫通孔の最大径の大きさに応じて適宜調整することができる。
なお、このときの貫通孔αのパターンは本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、吸引力をより均等化し、チャックテーブル上に半導体ウェハを強固に固定する観点から、均一なパターンとすることが好ましく、例えば図5のA~Cに順に示すように、丸孔60°千鳥型、丸孔45°千鳥型、丸孔並列型等とすることができる。なお、ここでは貫通孔α14が丸孔である態様のみを例示しているが、本発明の効果を損なわない限り、貫通孔α14は図3に示すように他の形状とすることもできる。
こうして得られた領域Aを有するフィルムは、その後スリッター等で不要部分を切除され、同時に所望の幅に切断された後、ロール状に巻き取られて最終製品となる。本発明のフィルムは、特定形状及び特定開孔率である貫通孔α並びに特定の摩擦係数を有するため、糊残りのない安価なバックグラインド用半導体ウェハ固定基材として好適に使用可能である。
以下、実施例に沿って本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。なお、諸特性は以下の方法により測定した。
[特性の評価方法]
(1)フィルム厚み
ダイヤルゲージを用いてフィルム試料の任意の5ヶ所の厚みを測定し、得られた平均値を求め、これをフィルム厚み(μm)とした。なお、フィルム厚みはパンチング加工又はレーザー加工を施す前の基材フィルムにおいて測定した。
(2)X面の特定、X面同士を擦り合わせた際の静摩擦係数μ、及び動摩擦係数μ
先ず、2枚のフィルムサンプルを幅方向80mm、長手方向200mmの長方形に切り出し、JIS-K7125(1999年)に準じて任意に選択した一つの面同士を摺り合わせたときの荷重を測定することにより図4に示すようなチャートを取得し、当該チャートの荷重の値より静摩擦係数及び動摩擦係数を算出した。その後、反対側の面同士を摺り合わせて同様に荷重を測定し、静摩擦係数及び動摩擦係数を算出した。次いで、両者の動摩擦係数を比較し、値が大きかった測定面をX面とした。X面を確定させた後、さらに測定サンプルを変えてX面について同様の測定を2度行い、X面を確定させるための測定と併せて3度の測定結果より、静摩擦係数及び動摩擦係数の平均値をそれぞれ算出し、得られた値を、それぞれX面同士を擦り合わせた際の静摩擦係数μ、X面同士を擦り合わせた際の動摩擦係数μとした。なお、試験機は東洋精機(株)製スリップテスターを使用した。
(3)FDmax(g)、FDmin(g)、ΔFD(g)
(2)に記載の方法で摩擦係数を測定した際に得られたチャート(図4)より、FDmax(g)、FDmin(g)、ΔFD(g)を求めた。具体的手順についてはず4を参照しながら以下に説明する。摩擦係数の測定においては、試験機を稼働させて一方の測定サンプルを引張り、力が直線的に増加して摩擦を与え最大荷重8に達する。さらに試料を引っ張り続けると、一旦荷重は低下して、やがて接触面間の相対ずれ運動を開始するため再び荷重が上昇に転じる。この荷重が上昇に転じる点を、接触面間の相対ずれ運動を開始した点Dとした。そして、その後続けて試料を直線状に60mm移動させると、その間に荷重が変動する。このとき、D9より60mm移動した位置をD6010、D9からD6010までの間における荷重の最大値をFDmax11、最小値をFDmin12、FDmax11とFDmin12との差をΔFD13とした。なお、FDmax(g)、FDmin(g)、ΔFD(g)とも、(2)のX面同士を擦り合わせた際の静摩擦係数μ及び動摩擦係数μと同様に、3度の測定の平均値とした。
(4)ヤング率(GPa)
150mm(長手方向)×10mm(幅方向)の短冊状の基材フィルムサンプルを切り出し、JIS K7127(1999年)に規定された方法に従って、インストロンタイプの引張試験機で長手方向のヤング率(GPa)を測定した。同様の測定を10このサンプルで行い、得られた値を長手方向のヤング率(GPa)とした。また、基材フィルムサンプルを150mm(幅方向)×10mm(長手方向)の短冊状とした以外は同様にして、幅方向のヤング率(GPa)を測定した。なお、測定は下記の条件で行った。
試験機:オリエンテック(株)製 フィルム強伸度自動測定装置“テンシロン”(登録商標)AMF/RTA-100
サンプルサイズ:幅10mm×試長間50mm
引張り速度:300mm/分
測定環境:温度23℃、湿度65%RH。
(5)突き刺し強度(N/μm)
フィルムを長手方向及び幅方向に長さ50mm×幅50mmの正方形に切り出しサンプルとした。引張試験機(オリエンテック製“テンシロン”UCT-100)を用いてクロスヘッドスピード5mm/分で突き刺し試験を行い突き刺し強度(N/μm)の測定を行った。同様の測定を5回行い、得られた値の平均値をフィルムの突き刺し強度(N/μm)とした。なお、測定は室温を25℃63%Rhに制御して行った。
(6)到達真空度(kPa)
DISCO社製ダイサー(DAD3350)にてチャックテーブル上に貫通孔形成後のフィルム、半導体ウェハ(シリコンウェハ)をこの順に設置し、減圧をスタートしてから10秒後に、到達真空度を読み取って得られた値を到達真空度(kPa)とした。なお、到達真空度が-60kPa以下であれば実用上問題ないと判断した。また、-60kPaより大きかった場合、バックグラインド用粘着材がない状態であるとダイシング装置に判断され、常圧に戻る。この現象が起こった際はNGと評価した。
(7)バックグラインド工程での半導体ウェハ固定性
DISCO社製グラインダー(DAG8110)にて、チャックテーブル上にフィルムと共に設置された半導体ウェハ(シリコンウェハ)のバックグラインドを行い、その際の状態より以下の通り判定を行った。
◎:半導体ウェハの位置ずれ及び浮きが、共に観察されなかった。
○:半導体ウェハの浮きは観察されたものの、位置ずれは観察されなかった。
△:半導体ウェハの位置ずれが観察されたものの、到達真空度が-60kPa以下に維持されており、実用上問題はなかった。
×:装置の停止等によりグラインドが不可能となる程度の、半導体ウェハの位置ずれが発生した。
(8)バックグラインド工程でのシワ発生
DISCO社製ダイシング装置(DAD3350)のチャックテーブル上にフィルムと半導体ウェハ(シリコンウェハ)をこの順に設置して、半導体ウェハのバックグラインドを行い、その際の状態より以下の通り判定を行った。
○:到達真空度が-60kPa以下に保たれており、実用上問題がなかった。
△:フィルムにシワが発生したものの到達真空度が-60kPa以下に維持されており、実用上問題はなかった。
×:フィルムのシワが発生し、装置が停止した。
(9)貫通孔αの特定、貫通孔の面積(mm)、NαとNβの和(mm
電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて貫通孔の画像を取得し、画像解析により、各面における貫通孔の最大径及び面積を算出した。
・装置:日本電子株式会社製電界放出型電子顕微鏡(FE-SEM)6700F型
・加速電圧:2kV
・観察倍率:少なくとも1つの貫通孔全体が確認できる任意倍率(25~1,000倍程度)
上記条件にて撮像した100mm分の画像を取得した後、FE-SEM付属の画像解析ソフトにて各貫通孔の最大径を測長し、さらに面を替えて同様の撮像と測長を行った。その後、貫通孔のうち、両面において最大径が0.1mmを超え20.0mm以下であるものを貫通孔α、それ以外の貫通孔を貫通孔βとした。続いて、上記条件にて撮像した各面の100mm分の画像をA4サイズの紙にそれぞれ印刷した後、各貫通孔の輪郭をペンで縁取りし、東洋紡績(株)製イメージアナライザーV10を用いて、各面の画像中に存在する貫通孔α及び貫通孔βについて輪郭を縁取られた内側の面積の和(mm)を求めた(それぞれNα(mm)、Nβ(mm)とした。)。但し、貫通孔の最大径が20.0mmを超える貫通孔βについては、電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)での撮像を行う代わりに、フィルムをそのまま印刷機にかけて紙に貫通孔βを印刷し、東洋紡績(株)製イメージアナライザーV10を用いて貫通孔αと同様にして面積を求めた。
また、NαとNβの和(mm)は以下の手順により求めた。先ず、貫通孔が形成された100mmのシートを用意し、市販されているコピー機にて等倍率でシートを印刷した。その後、印刷した領域内にある貫通孔を黒インキで塗りつぶしてスキャナーで画像データとして取り込み、画像解析ソフト(Media Cybernetics社製Image Pro plus Version4.0 for windows)にて画像の二値化処理を行い、貫通孔の輪郭が明確になるようにコントラストを調節した。続いて、カウント/サイズ測にて、アウトラインの形式を塗りつぶし、暗い色のオブジェクトを自動抽出に設定し測定を行い、得られた色塗り部分の総面積をNαとNβの和(mm)とした。
(10)各面の開孔率(%)
(9)での方法で測定したNαとNβの和(mm)を用いて以下の式(ii)から開孔率(%)を算出した。位置を変えて同様の測定を各面につき合計5箇所(両面合わせて10箇所)で行い、全ての値の平均値を各面の開孔率(%)とした。
開孔率(%)=((Nα(mm)+Nβ(mm))/100mm)×100(%)・・・(ii)
(11)樹脂のガラス転移温度
JIS 7122(1987年)に準拠し、示差走査熱量計(セイコーインスツル製EXSTAR DSC6220)を用いて、窒素雰囲気中で3mgの樹脂を30℃から300℃まで20℃/minの条件で昇温した。次いで、300℃で5分保持した後、40℃/minの条件で30℃まで降温した。さらに、30℃で5分保持した後、30℃から300℃まで20℃/minの条件で昇温した。この昇温時に得られるガラス転移温度を下記式(iii)により算出した。
ガラス転移温度=(補外ガラス転移開始温度+補外ガラス転移終了温度)/2・・(iii)
ここで補外ガラス転移開始温度は、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度とした。補外ガラス転移終了温度は、高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度とした。
[製膜に使用した樹脂等]
製膜に供した樹脂は以下のように準備した。
(ポリエステルA)
ジカルボン酸単位としてテレフタル酸単位を100モル%、グリコール単位としてエチレングリコール単位を100モル%含むポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.65、ガラス転移温度80℃)。
(粒子マスターA)
ポリエステルA中に無機粒子として平均粒子径1.2μmのシリカ粒子を粒子濃度1質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.65)。
(ポリエステルB)
ジカルボン酸単位としてテレフタル酸単位を100モル%、グリコール単位としてブタンジオール単位を100モル%含むポリブチレンテレフタレート樹脂(固有粘度1.20、ガラス転移温度40℃)。
(粒子マスターB)
ポリエステルB中に無機粒子として平均粒子径1.2μmのシリカ粒子を粒子濃度1質量%で含有したポリブチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度1.10)。
(ポリエステルC)
ジカルボン酸単位としてナフタレンジカルボン酸単位を100モル%、グリコール単位としてエチレングリコール単位を100モル%含むポリエチレン2,6-ナフタレート樹脂(固有粘度0.70、ガラス転移温度120℃)。
(粒子マスターC)
ポリエステルC中に無機粒子として平均粒子径1.2μmのシリカ粒子を粒子濃度1質量%で含有したポリエチレン2,6-ナフタレート粒子マスター(固有粘度0.68)。
(ポリエステルD)
ジカルボン酸単位としてテレフタル酸単位を100モル%、グリコール単位としてシクロヘキサンジメタノール単位を20モル%、エチレングリコール単位を80モル%含むポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.74、ガラス転移温度82℃)。
(粒子マスターD)
ポリエステルD中に無機粒子として平均粒子径1.2μmのシリカ粒子を粒子濃度1質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.72)。
(ポリオレフィンA)
プライムポリマー社製“プライムポリプロ”(登録商標)F704NP。
(ポリオレフィンB)
住友化学(株)社製“スミカセン” (登録商標)L GA401。
[貫通孔αの形成方法]
(パンチング加工法)
表面に表2、図5に記載の加工形状、加工パターン、最大径(符号7)、ピッチ(符号15)、及び開孔率となる金属針を設けた金属ロールと、表面がフラットなゴムロールをそれぞれ60℃に加熱して、その間にフィルムを通すことでフィルム全体に貫通孔を形成させた。
(レーザー加工法)
表2、図5に記載の加工形状、加工パターン、最大径(符号7)、ピッチ(符号15)、及び開孔率となるようにCOレーザー発振器を用い、ガルバノスキャナを用いてレーザー光を走査させ、フィルム全体に貫通孔を形成した。
(ドリル加工法)
ビアメカニクス社製の6軸ドリル穴開け機を用いて、あて板で挟んだフィルム全体に表2、図5に記載の加工形状、加工パターン、最大径(符号7)、ピッチ(符号15)、及び開孔率となるように貫通孔を形成した。
(実施例1~13、16~19、27、30、31、比較例1~5)
表1に示すポリエステル種、粒子マスターをそれぞれ真空乾燥機にて180℃で4時間乾燥し、水分を十分に除去した後、単軸の押出機1に表1に示した含有量で供給した。次いで、これらを押出温度280℃で溶融し、フィルターとギヤポンプにより、異物の除去と押出量の均整化を行った後、Tダイより20℃に温度制御した冷却ドラム(最大高さ0.2μmのハードクロムメッキ)上にシート状に吐出し、無配向フィルムを得た。その際、Tダイのリップと冷却ドラム間の距離は35mmに設定し、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して14kVの電圧で静電印加させ、冷却ドラムにシート状物を密着させた。また、シートの冷却ドラムの通過速度は25m/分、シートの冷却ドラムとの接触長さは、2.5mとした。
続いて、該無配向フィルムを60~80℃に加熱したロール群で予熱した後、88℃の加熱ロールを用いて長手方向に3.3倍に延伸し、25℃の温度のロール群で冷却して一軸配向フィルムを得た。さらに、得られた一軸配向フィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、90℃に保たれた予熱ゾーンで予熱し、連続的に100℃に保たれた加熱ゾーンで幅方向に3.3倍に延伸した。その後、テンター内の熱処理ゾーンで230℃にて20秒間の熱処理を施し、さらに230℃で幅方向に5%の弛緩処理を行った後、均一に徐冷して厚さ100μm、幅300mmの二軸配向の基材フィルムとし、これをロール状に巻き取った。得られた基材フィルムに関する各項目の評価結果を表1に示す。
こうして得られた基材フィルムに、表2に記載の加工方法で貫通孔を形成してフィルムを得た。このとき、貫通孔を形成する領域はA4サイズの繰り返しとした。得られたフィルムに関する各項目の評価結果を表3、4に示す。
(実施例14)
原料組成を表1の通りとして、押出温度を260℃、延伸方法を温度60℃での同時二軸延伸としたこと以外は実施例4と同様にフィルムを得た。表1、3、4に基材フィルム及びフィルムの評価結果を示す。
(実施例15)
原料組成を表1の通りとして、押出温度を290℃、無配向フィルムを80~110℃に加熱したロール群で予熱した後、130℃の加熱ロールを用いて長手方向に4.0倍率に延伸し、25℃の温度のロール群で冷却して一軸配向フィルムを得た。次いで、一軸配向フィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、100℃に保たれた予熱ゾーンで予熱し、連続的に140℃に保たれた加熱ゾーンで幅方向に4.2倍率に延伸した。その後、テンター内の熱処理ゾーンで230℃にて20秒間の熱処理を施し、さらに230℃で幅方向に5%の弛緩処理を行ったとしたこと以外は実施例5と同様にフィルムを得た。表1、3、4に基材フィルム及びフィルムの評価結果を示す。
(実施例20~23、28、29)
原料組成、基材フィルムの厚み、加工方法を表1の通りとしたこと、押出温度を220℃としたこと、及び延伸をせずに無配向フィルムを基材フィルムとしたこと以外は、実施例1と同様にフィルムを得た。表1、3、4に基材フィルム及びフィルムの評価結果を示す。なお、基材フィルムの厚みの調節は吐出量により行った。
(実施例24~26)
原料組成と加工条件を表1の通りとしたこと、押出温度を200℃としたこと、及び延伸をせずに無配向フィルムを基材フィルムとしたこと以外は、実施例1と同様にフィルムを得た。表1、3、4に基材フィルム及びフィルムの評価結果を示す。
Figure 0007490994000001
Figure 0007490994000002
Figure 0007490994000003
Figure 0007490994000004
表1~4に示す各実施例及び各比較例のフィルムにおいては、いずれも貫通孔の最大径と形状は同一であり、最大径又は形状が異なる貫通孔が混在していなかった。すなわち、貫通孔全面積に占める貫通孔α面積の占める割合(%)は、全実施例及び比較例1~3では100%、比較例4、5では0%であった。
本発明のフィルムは、特定形状及び特定開孔率である貫通孔α並びに特定の摩擦係数を有するため、糊残りの軽減とコストを両立し、半導体ウェハのバックグラインド用途に好適に用いることができる。
1 フィルム
2 領域A
3 領域Aに該当しない領域
4 針
5 貫通孔
6 バリ
7 最大径
8 最大荷重
9 D
10 D60
11 FDmax
12 FDmin
13 ΔFD
14 貫通孔α
15 ピッチ

Claims (8)

  1. 以下の特徴1~4を全て満たす領域を領域Aとしたときに、領域Aを有し、前記領域A内に、直径3インチの円が包含されることを特徴とするフィルム。
    特徴1:両面で表面粗さが異なる。
    特徴2:フィルム両表面のうち、相対的に表面粗さの大きい面をX面、相対的に表面粗さの小さい面をY面、X面及びY面における最大径が共に0.1mmを超え20.0mm以下の貫通孔を貫通孔αとしたときに、貫通孔αを有する。
    特徴3:X面及びY面における開孔率が共に0.01%以上50.0%以下である。
    特徴4:X面同士を擦り合わせて動摩擦係数を測定した際の縦軸を荷重、横軸を変位とするチャート図において、接触面間の相対ずれ運動を開始した点をD、Dから60mm移動した点をD60、DとD60の間における最大荷重をFDmax(g)、DとD60の間における最小荷重をFDmin(g)、FDmax(g)とFDmin(g)との差をΔFD(g)としたときに、ΔFD(g)が0.1g以上200g以下である。
  2. 前記領域Aにおいて、前記FDmax(g)が30g以上350g以下であり、かつ前記FDmin(g)が20g以上200g以下であることを特徴とする、請求項1に記載のフィルム。
  3. 前記領域Aにおいて、前記X面同士を擦り合わせた際の動摩擦係数をμ、前記X面同士を擦り合わせた際の静摩擦係数をμとしたときに、μが0.10以上1.20以下であり、かつμが0.10を超え1.50以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のフィルム。
  4. 前記領域Aにおいて、突き刺し強度が0.3N/μm以上0.9N/μm以下であることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のフィルム。
  5. 主成分がポリエステル樹脂であることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載のフィルム。
  6. 前記ポリエステル樹脂が、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びポリエチレンナフタレートからなる群より選択される少なくとも1種類の樹脂であることを特徴とする、請求項に記載のフィルム。
  7. フィルムがバックグラインド用フィルムであることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載のフィルム。
  8. 請求項1~7のいずれかに記載のフィルムを製造するフィルムの製造方法であって、パンチング加工法、マシニング加工法、エッチング加工法、放電加工法、電子ビーム加工法、ドリル加工法、及びレーザー加工法のうち少なくとも一つの加工法によりフィルムに前記領域Aを形成する工程を有することを特徴とする、フィルムの製造方法。
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