JP2020161818A - フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】繰り返し使用可能なバックグラインド用ウェハ固定基材を提供することにある。【解決手段】ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、及びエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂から選択される一種類の樹脂を主成分とする層をA層、両面における最大径が共に0.10mm以上6.00mm以下の貫通孔を貫通孔αとしたときに、少なくとも一方の最表面にA層が位置し、貫通孔αを有し、両面共に開孔率が0.01%以上50%以下であり、かつ同じ面同士が接するように重ねた際の剥離強度が共に1.0N/15mm以下であることを特徴とする、フィルム。【選択図】図2
Description
本発明は、半導体ウェハ等の半導体関連材料を薄く研磨する工程において、半導体ウェハ等の半導体関連材料を固定するために、繰り返し使用できるフィルムに関する。
従来から、半導体ウェハ等の半導体関連材料は、ダイシング工程において、回転させながら研磨し、切断することにより、チップやIC部品に分離されている。このダイシング工程においては、半導体ウェハ等をダイシング装置の回転盤に固定する必要があり、そのために従来は粘着層を有するポリエチレン(PE)フィルムやポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが採用されている。しかしながら、これらの殆どが粘着層等により半導体ウェハ等とフィルムとを強固に密着させるものであるために使い捨てとなっており、また、大量のフィルム屑の発生や粘着層由来の糊残りも問題となっている。
このような背景から、粘着層と穿孔を有するフィルム(特許文献1)、単位面積あたりの貫通孔の個数や口径を規定したフィルム(特許文献2)、ポリアミド系樹脂を外層、オレフィン系樹脂又はポリアミド系樹脂を内層としたフィルムにレーザー光を照射することで小孔を形成したフィルム等が提案されている(特許文献3)。
しかしながら、特許文献1フィルムでは、実質粘着層により半導体ウェハ等とフィルムとを強固に密着させている。そのため、使い捨てを余儀なくされる上、大量のフィルム屑の発生や糊残りの問題は解決に至らない。特許文献2のフィルムは、単位面積あたりの貫通孔の個数が多すぎるためにフィルムの強度が低く、半導体ウェハ等と密着させる際に破断する可能性があり、扱いに特別な注意を必要とする。また、特許文献3のフィルムは、外層にポリアミド系樹脂を使用しているために吸水率が高く、吸水による寸法変化が大きい。そのため、半導体ウェハ等と密着させる際に経時で密着力が変化する可能性があり、安定した固定ができない。
そこで本発明は、半導体ウェハ等の半導体関連材料(以下、単に半導体ウェハということがある。)を薄く研磨する工程において半導体ウェハを強固に固定することができ、かつ繰り返し使用できるフィルムを提供することをその目的とする。
本発明のフィルムは、上記課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。
(1) ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、及びエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂から選択される一種類の樹脂を主成分とする層をA層、両面における最大径が共に0.10mm以上6.00mm以下の貫通孔を貫通孔αとしたときに、少なくとも一方の最表面にA層が位置し、貫通孔αを有し、両面共に開孔率が0.01%以上50%以下であり、かつ同じ面同士が接するように重ねた際の剥離強度が共に1.0N/15mm以下であることを特徴とする、フィルム。
(2) 両面において、貫通孔全体の個数に占める前記貫通孔αの個数の比率が、60%以上100%以下であることを特徴とする、(1)に記載のフィルム。
(3) 一方の最表面に前記A層が位置し、もう一方の最表面に前記A層以外の層(B層)が位置し、かつ、前記A層側の面をX面、B層側の面をY面としたときに、X面及びY面の押し込み硬さ硬度HITが共に30MPa以上300MPa以下であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載のフィルム。
(4) 前記A層がポリエステル樹脂を主成分とし、かつポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びポリエチレンナフタレートを合計で50質量%より多く含むことを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載のフィルム。
(5) 前記A層がポリオレフィン樹脂を主成分とし、かつポリエチレン及びポリプロピレンを合計で50質量%より多く含むことを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載のフィルム。
(6) 前記B層がポリウレタンを主成分とすることを特徴とする、(3)〜(5)のいずれかに記載のフィルム。
(7) フィルムがバックグラインド用フィルムであることを特徴とする、(1)〜(6)のいずれかに記載のフィルム。
(8) (1)〜(7)のいずれかに記載のフィルムを製造するフィルムの製造方法であって、パンチング加工法、マシニング加工法、エッチング加工法、放電加工法、電子ビーム加工法、ドリル加工法、及びレーザー加工法のうち少なくとも一つの加工法により、フィルムに前記貫通孔αを形成する工程を有することを特徴とする、フィルムの製造方法。
(1) ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、及びエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂から選択される一種類の樹脂を主成分とする層をA層、両面における最大径が共に0.10mm以上6.00mm以下の貫通孔を貫通孔αとしたときに、少なくとも一方の最表面にA層が位置し、貫通孔αを有し、両面共に開孔率が0.01%以上50%以下であり、かつ同じ面同士が接するように重ねた際の剥離強度が共に1.0N/15mm以下であることを特徴とする、フィルム。
(2) 両面において、貫通孔全体の個数に占める前記貫通孔αの個数の比率が、60%以上100%以下であることを特徴とする、(1)に記載のフィルム。
(3) 一方の最表面に前記A層が位置し、もう一方の最表面に前記A層以外の層(B層)が位置し、かつ、前記A層側の面をX面、B層側の面をY面としたときに、X面及びY面の押し込み硬さ硬度HITが共に30MPa以上300MPa以下であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載のフィルム。
(4) 前記A層がポリエステル樹脂を主成分とし、かつポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びポリエチレンナフタレートを合計で50質量%より多く含むことを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載のフィルム。
(5) 前記A層がポリオレフィン樹脂を主成分とし、かつポリエチレン及びポリプロピレンを合計で50質量%より多く含むことを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載のフィルム。
(6) 前記B層がポリウレタンを主成分とすることを特徴とする、(3)〜(5)のいずれかに記載のフィルム。
(7) フィルムがバックグラインド用フィルムであることを特徴とする、(1)〜(6)のいずれかに記載のフィルム。
(8) (1)〜(7)のいずれかに記載のフィルムを製造するフィルムの製造方法であって、パンチング加工法、マシニング加工法、エッチング加工法、放電加工法、電子ビーム加工法、ドリル加工法、及びレーザー加工法のうち少なくとも一つの加工法により、フィルムに前記貫通孔αを形成する工程を有することを特徴とする、フィルムの製造方法。
本発明によれば、半導体ウェハを薄く研磨する工程において半導体ウェハを強固に固定することができ、かつ繰り返し使用できるフィルムを提供することをその目的とする。
以下、本発明のフィルムについて、実施の形態とともに詳細に説明する。
本発明のフィルムは、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、及びエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂から選択される一種類の樹脂を主成分とする層をA層、両面における最大径が共に0.10mm以上6.00mm以下の貫通孔を貫通孔αとしたときに、少なくとも一方の最表面にA層が位置し、貫通孔αを有し、両面共に開孔率が0.01%以上50%以下であり、かつ同じ面同士が接するように重ねた際の剥離強度が共に1.0N/15mm以下であることを特徴とする。以下、本発明の各要件について具体的に説明する。
本発明のフィルムは、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、及びエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂から選択される一種類の樹脂を主成分とする層をA層としたときに、少なくとも一方の最表面にA層が位置することが重要である。ここで「ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、及びエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂から選択される一種類の樹脂を主成分とする層」とは、層を構成する全成分を100質量%としたときに、これらの各樹脂を合計で50質量%より多く含む層をいう。「主成分」については、以下同様に解釈することができる。このとき、上記要件を満たす限り、A層を構成する樹脂は、単一成分であっても、同一カテゴリーに属する複数の樹脂であっても、異なるカテゴリーに属する複数の樹脂であってもよい。また、「少なくとも一方の最表面にA層が位置する」とは、最も外側に位置する層の少なくとも一つがA層であること、若しくはA層のみからなることをいう。
ポリエステル樹脂とは、ジカルボン酸単位とグリコール単位とが繰り返された構造を有するポリマーを意味する。本発明においてポリエステル樹脂を構成しうるジカルボン酸単位としては、例えば、イソフタル酸単位、テレフタル酸単位、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸単位、2,6−ナフタレンジカルボン酸単位、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸単位、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸単位、ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボン酸単位、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸単位、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸単位、マロン酸単位、1,1−ジメチルマロン酸単位、コハク酸単位、グルタル酸単位、アジピン酸単位、セバチン酸単位、及びデカメチレンジカルボン酸単位等が挙げられる。
また、本発明においてポリエステル樹脂を構成しうるグリコール単位としては、例えば、エチレングリコール単位、テトラメチレングリコール単位、ヘキサメチレングリコール単位、ネオペンチルグリコール単位、1,3−プロパンジオール単位、スピログリコール単位等の脂肪族グリコール単位、シクロヘキサンジメタノール単位等の脂環族グリコール単位、ビスフェノール−A単位、ビスフェノール−S単位等の芳香族グリコール単位の他、ポリエチレングリコール単位、ポリプロピレングリコール単位、ポリテトラメチレングリコール単位、エチレングリコール−プロピレングリコール単位等の共重合体単位等が挙げられる。
A層に用いることができるポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、イソフタレート共重合PET(PET/I)、1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合PET(PETG)、スピログリコール共重合PET、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、イソフタレート共重合PBT(PBT/I)、ポリヘキサメチレンテレフタレート(PHT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリプロピレンナフタレート(PPN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCT)、及びポリヒドロキシベンゾエート(PHB)等が挙げられる。なお、これらのポリエステル樹脂は、本発明の効果を損なわない限り、単独で用いることも2種類以上を併用することもできる。
ポリオレフィン系樹脂とは、オレフィン系炭化水素を構成単位とするポリマーであり、A層に用いることができるものとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、ポリシクロオレフィン、ポリヘキセン、ポリオクテン、ポリデセン、及びポリドデセン等が挙げられる。この中でも加工が容易で比較的安価であること等から、ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましい。また、これらのポリオレフィン系樹脂は、本発明の効果を損なわない限り、複数種類を混合しても、他のオレフィン単位を含む共重合体としてもよい。このような共重合体としては、例えば、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−プロピレン−ブテンコポリマー等が挙げられ、このような共重合体とすることにより、結晶性を低下させることができる。
また、本発明のフィルムを構成しうるポリオレフィン系樹脂として、ポリオレフィン系エラストマーも挙げられる。ポリオレフィン系エラストマーとは、ポリオレフィン系樹脂にゴム成分を微分散させたもの等であり、具体例としては、ポリプロピレンやポリエチレンにエチレン−プロピレンゴムを微分散させたもの、及びポリプロピレンやポリエチレンに他のα−オレフィンを共重合させたもの等が挙げられる。α−オレフィンとしては1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、及び4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。
エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂とは、エチレン単位と酢酸ビニル単位を分子鎖中に繰り返し含む共重合体をいう。本発明のフィルムにおけるA層においては、本発明の効果を損なわない限り、他の共重合成分の有無等に特に制限はなく、公知のエチレン−酢酸ビニル共重合体を使用することができる。エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂におけるエチレン−酢酸ビニル単量体の含有量は特に限定されないが、全成分100質量%中、1.5質量%以上40質量%以下が好ましく、より好ましくは3.0質量%以上30質量%以下である。なお、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂中における酢酸ビニル単量体の含有量は、JIS K 7192(1999)に準拠して測定することができる。
本発明のフィルムにおけるA層は、上記要件を充足すれば本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、真空による吸着時のフィルムの変形を抑制する観点から、ポリエステル樹脂を主成分とし、かつポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びポリエチレンナフタレートを合計で50質量%より多く含むことが好ましい。また、本発明のフィルムにおけるA層の別の好ましい態様として、半導体ウェハとの吸着をより強固にする観点から、ポリオレフィン樹脂を主成分とし、かつポリエチレン及びポリプロピレンを合計で50質量%より多く含む態様も挙げられる。
原料組成が予め不明である場合において、フィルムを構成する樹脂は、例えばフィルムをヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解し、1H−NMR及び13C−NMRを用いて各モノマー残基や副生ジエチレングリコールについて含有量を定量することにより分析することができる。
本発明のフィルムは、両面における最大径が共に0.10mm以上6.00mm以下の貫通孔を貫通孔αとしたときに、貫通孔αを有することが重要である。ここで最大径とは、貫通孔の外周上に距離が最大となるように取った2点間の距離をいう。フィルムが貫通孔αを有することにより、吸引機構を有するチャックテーブル上にフィルムを介して半導体ウェハを配置した際に、チャックテーブルからの吸引力が貫通孔αを通じて半導体ウェハに伝わるため、半導体ウェハを強固に固定することができる。この際、吸着状態の目安となるチャックテーブルの到達真空度としては、−60kPa以下であることが好ましい。
各面における貫通孔の最大径は、電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて撮影した貫通孔の画像より、貫通孔の外周上に距離が最大となるように取った2点間の距離を測定することにより計測することができる。電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)は、測定が可能なものであれば特に制限されず、例えば日本電子株式会社製電界放出型電子顕微鏡(FE−SEM)6700F型を用いることができる。当該装置を用いる場合、測定時の条件は下記の通りとすることができる。
・加速電圧:2kV
・観察倍率:少なくとも1つの貫通孔全体が確認できる任意倍率(25〜1,000倍)。
・加速電圧:2kV
・観察倍率:少なくとも1つの貫通孔全体が確認できる任意倍率(25〜1,000倍)。
また、後述する開孔率の測定に用いる貫通孔の総面積は、以下の方法により測定することができる。先ず、コピー機にて等倍率でシートを印刷し、貫通孔部分を黒インキ等で塗りつぶした後に、スキャナーで画像データとして取り込む。この後、画像解析ソフト(例えば、Media Cybernetics社製Image Pro plus Version4.0 for windows等)で画像の二値化処理を行い、貫通孔の輪郭が明確になるようにコントラストを調節する。その後、カウント/サイズ測にて、アウトラインの形式を塗りつぶし、暗い色のオブジェクトを自動抽出に設定し測定を行い、得られた色が塗りつぶされた部分の総面積を貫通孔の総面積(mm2)とする。
また、同等の結果が得られる別の方法として、以下の方法を用いてもよい。貫通孔のうち、両面において最大径が0.10mm以上6.00mm以下であるものを貫通孔α、それ以外の貫通孔を貫通孔βとする。続いて、貫通孔の最大径の測定と同条件にて電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)で撮像した各面の100mm2分の画像をA4サイズの紙にそれぞれ印刷した後、各貫通孔の輪郭をペンで縁取りし、東洋紡績(株)製イメージアナライザーV10を用いて、各面の画像中に存在する貫通孔α及び貫通孔βについて輪郭を縁取られた内側の面積の和(mm2)を求める(それぞれNα(mm2)、Nβ(mm2)とする。)。但し、貫通孔の最大径が6.00mmを超える貫通孔βについては、電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)での撮像を行う代わりに、フィルムをそのまま印刷機にかけて貫通孔βを紙に印刷し、東洋紡績(株)製イメージアナライザーV10を用いて貫通孔αと同様にして面積を求めてもよい。最後に得られたNα(mm2)、Nβ(mm2)を合算して、貫通孔の総面積とする。
フィルムが有する貫通孔の最大径が0.10mm未満である場合や、貫通孔自体を有さない場合は、到達真空度は容易に−60kPa以下に低下するものの、貫通孔を通じた半導体ウェハの吸着力が弱くなるため、半導体ウェハの固定が不安定になり安定したグラインディングも難しくなる。一方、フィルムが有する貫通孔の最大径が6.00mmを超える場合は、貫通孔の径が大きすぎてフィルムのコシが不足し、グラインド工程でフィルムにシワが入る可能性がある。
フィルムに貫通孔αを設け、その最大径を調節する方法は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、例えば、パンチング加工法における針の太さやレーザー加工法におけるレーザーの照射径、ドリル加工法におけるドリルの外径を調整する方法が挙げられる。より具体的には、パンチング加工法に用いる針の太さやレーザー加工法に用いるレーザーの照射径、ドリル加工法におけるドリルの外径を、最大径の上限を超えない範囲で大きくすることで、貫通孔αを形成し、かつその最大径を大きくすることができる。
貫通孔αの形状は、X面及びY面における最大径が共に0.10mm以上6.00mm以下であれば本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、例えば、図1のA〜Cに順に示すように円形、正三角形、正方形とすることができる。なお、これらの各態様における貫通孔α1の最大径2は、図1のA〜Cの順に円の直径の長さ、辺の長さ、及び対角線の長さとなる。
また、貫通孔αのパターンは本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、吸引力をより均等化し、チャックテーブル上に半導体ウェハを強固に固定する観点から、均一なパターンとすることが好ましく、例えば図2のA〜Cに順に示すように、丸孔60°千鳥型、丸孔45°千鳥型、丸孔並列型等とすることができる。なお、ここでは貫通孔α1が丸孔である態様のみを例示しているが、本発明の効果を損なわない限り、貫通孔α1は図1に示すように他の形状とすることもできる。
また、本発明のフィルムは、その効果を阻害しない範囲において、貫通孔α以外の貫通孔を有してもよい。ここで貫通孔α以外の貫通孔とは、少なくとも一方の面における最大径が0.10mm未満又は6.00mmを超える貫通孔をいう。但し、到達真空度を−60kPa以下に維持する観点から、貫通孔全体の個数に占める前記貫通孔αの個数の比率が、60%以上100%以下であることが好ましい。貫通孔全体の個数に占める前記貫通孔αの個数の比率を60%以上100%以下とすることにより、貫通孔αよりも最大径が小さいことによる半導体ウェハの固定力の低下や、貫通孔αよりも最大径が大きいことによるフィルムのコシの低下を軽減することができ、到達真空度を−60kPa以下に維持することが容易となる。上記観点から、貫通孔全体の個数に占める前記貫通孔αの個数の比率は80%以上100%以下であることがより好ましく、100%であることがさらに好ましい。
本発明のフィルムは、両面共に開孔率が0.01%以上50%以下であることが重要である。両面共に開孔率がこの範囲であることによって、半導体ウェハとチャックテーブルの間に置いた際の吸着目安となる到達真空度を容易に−60kPa以下とすることができ、かつフィルム上に半導体ウェハを安定して固定できる。少なくとも片面の開孔率が0.01%未満であると、到達真空度は低くなるが、貫通孔αを通じた半導体ウェハの吸着力が弱くなるため、半導体ウェハ固定性が悪くなる。また、少なくとも片面の開孔率が50%を超えると、フィルムのコシが不足してグラインド工程においてフィルムにシワが発生するため、安定したグラインディングができなくなる。上記観点から、両面共に開孔率が0.03%以上50%以下であることが好ましく、1.0%以上50%以下であることがより好ましく、5.0%以上35%以下であることがより好ましく、6.0%以上35%以下であることがさらに好ましい。
また、開孔率の上昇に伴い貫通孔のヘリ部分も増加するため、半導体ウェハをグラインディングすると貫通孔のヘリ部分が半導体ウェハに転写されやすくなり、グラインディング後の半導体ウェハの平滑性が低下することがある。そのため、安定したグラインディングよりもグラインディング後の半導体ウェハの平滑性を重要視する場合は、両面共に開孔率を0.02%以上1.0%未満とすることも好ましく、より好ましくは0.02%以上0.5%以下である。
本発明フィルムは、同じ面同士が接するように重ねた際の剥離強度が共に1.0N/15mm以下であることが重要である。本発明のフィルムは半導体ウェハのバックグラインド工程において、チャックテーブルと半導体ウェハの間に配置される。同じ面同士が接するように重ねた際の剥離強度のうち少なくとも一方が1.0N/15mmを超えると、半導体ウェハやチャックテーブルとの密着性が過度に強固となるため、加工後に半導体ウェハやチャックテーブルからフィルムを剥がす際に変形や破れが発生する可能性が高くなり、再利用が困難となる。
同じ面同士が接するように重ねた際の剥離強度を共に1.0N/15mm以下とする方法は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、フィルム表面を形成する層(単層フィルムの場合はフィルム自体)の組成を調整する方法が挙げられる。より具体的には、フィルムの表面を形成する層の樹脂を粘着性の高いものとすることや、フィルムの表面を形成する層における粘着性の高い樹脂の含有量を増やすこと等により、同じ面同士が接するように重ねた際の剥離強度を大きくすることができる。
本発明のフィルムの層構成は、本発明の効果を損なわなければA層を有する限り、単層構成であっても、積層構成であってもよい。但し、半導体ウェハの密着力とフィルムとしての強度を両立する観点から、一方の最外層に前記A層が位置し、もう一方の最外層にA層以外の層(B層)が位置することが好ましい。このような態様とすることにより、B層と半導体ウェハが接するように半導体ウェハを配置した際に、A層でフィルムとしての強度を確保しつつ、B層で半導体ウェハとフィルムの密着性等、別の機能を実現することができる。ここで「A層以外の層」とは、A層と主成分が異なる層をいう。より具体的には、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、及びエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂以外の樹脂を主成分とする層、若しくはポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、及びエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂のうち、A層の主成分でない樹脂を主成分とする層をいう。後者の具体例としては、例えば、A層がポリエステル樹脂を主成分とする場合における、ポリオレフィン樹脂を主成分とする層が挙げられる。
一方の最外層に前記A層が位置し、もう一方の最外層にA層以外の層(B層)が位置する場合、本発明のフィルムは、A層側の面をX面、B層側の面をY面としたときに、X面及びY面の押し込み硬さ硬度HITが共に30MPa以上300MPa以下であることが好ましい。X面及びY面の押し込み硬さ硬度HITが共に30MPa以上であることにより、半導体ウェハと重ねたときのシワの発生を軽減することができ、チャックテーブルからの吸引時におけるフィルムの変形やそれに伴う半導体ウェハ固定性の悪化が抑えられる。一方、X面及びY面の押し込み硬さ硬度HITが共に300MPa以下であることにより、フィルムの柔軟性が十分に確保され、貫通孔αを形成する際にその周辺に形成される突起(以下、バリということがある。)等によりフィルムに微細な凹凸があっても、半導体ウェハと重ねたときに半導体ウェハとフィルムとの間に隙間が発生しにくくなる。そのため、減圧時に当該隙間からの空気吸引が抑えられ、半導体ウェハの密着力が向上する。上記観点から、X面及びY面の押し込み硬さ硬度HITは、共に110MPa以上300MPa以下であることが好ましく、X面において110MPa300MPa以下であり、Y面において110MPa以上160MPa以下であることがさらに好ましい。
本発明フィルムがB層を有する場合、半導体ウェハの密着性を向上する観点から、B層がポリウレタンを主成分とすることが好ましい。ポリウレタンとは、主鎖の繰り返し単位中にウレタン結合(−NHCOO−)をもつ重合体の総称であり、主としてジイソシアネートとグリコールとの重付加により合成される。ポリウレタンは一般的に柔軟性に優れるため、このような態様とすることにより、チャックテーブル上にフィルムと半導体ウェハを配置して吸引したときに、貫通孔形成に伴うB層上のバリが潰れる。そのため、半導体ウェハやチャックテーブルとフィルムとの間の隙間が小さくなり、隙間の発生による吸引力低下が抑えられるため、半導体ウェハの密着性が向上する。
本発明フィルムのA層がポリエステル樹脂、又はポリオレフィン樹脂を主成分とする場合は、フィルムの強度を高める観点から、二軸延伸を行うことで、二軸配向フィルムとしてもよい。特に、ポリエステル樹脂を主成分とする場合は、後述の方法で二軸延伸することが生産性の観点で好ましい。
本発明フィルムのA層の厚みは、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、20μm以上300μm以下であることが好ましい。A層の厚みが20μm以上であることにより、フィルムのコシが十分に確保されてグラインド時のシワの発生が軽減されるため、半導体ウェハの安定したグラインディングが容易となる。一方、A層の厚みが300μm以下であることにより、厚みが不必要に大きくならず、ハンドリング性や経済性が向上する他、貫通孔α形成時のバリも抑えられる。上記観点より、A層の厚みは50μm以上150μm以下であることが好ましい。
本発明のフィルムは、半導体ウェハ等の半導体関連材料を強固に固定することができ、かつ繰り返し使用できるため、バックグラインド用フィルムとして好適に用いることができる。
次いで本発明のフィルムの製造方法について説明する。本発明のフィルムの製造方法は、パンチング加工法、マシニング加工法、エッチング加工法、放電加工法、電子ビーム加工法、ドリル加工法、及びレーザー加工法のうち少なくとも一つの加工法により、フィルムに前記貫通孔αを形成する工程を有することを特徴とする。
本発明のフィルムの製造方法に用いる加工法の中でも、経済性や量産性の観点からパンチング加工法を用いることが好ましい。パンチング加工法とは、針等を用いて物理的に貫通孔を形成する方法をいう。また、貫通孔形成時のバリを低減させる観点からは、レーザー加工法又はドリル加工法を用いることが好ましい。レーザー加工法とは、レーザー光を照射して貫通孔を形成する方法をいう。なお、レーザー加工法自体は公知であり、常法により行うことができる。レーザー加工法に用いることができるレーザー光としては、フィルムを穿孔することができるものであれば特に限定されないが、例えば、CO2レーザー、Nd:YAGレーザー、エキシマーレーザー、半導体励起固体レーザー、及びパルスファイバーレーザー等を挙げることができる。また、ドリル加工法とはドリルを回転させて対象物を切削加工することで貫通孔を形成する方法をいい、例えばオーエスジー株式会社“ドリル加工TECHNICAL DATA’18.01改訂版”に記載の方法により加工することができる。
以下、ポリエステル樹脂を主成分とする二軸配向フィルムを例に挙げて、本発明のフィルムの製造方法について具体的に説明する。但し、本発明のフィルムの製造方法は、以下の態様に限定されない。
先ず、必要に応じてポリエステル樹脂を乾燥、予備結晶化させた後、単軸押出機に供給し、溶融押出する。この際、樹脂温度は主成分であるポリエステル樹脂の融点+10℃以上、主成分であるポリエステル樹脂の融点30℃以下に制御することが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする場合は、265℃以上295℃以下に制御することが好ましい。次いで、フィルターやギヤポンプにより、異物の除去や押出量の均整化を各々行い、Tダイより冷却ドラム上にシート状に吐出する。その際、高電圧をかけた電極を使用して静電気で冷却ドラムとシート状物を密着させる静電印加法、キャスティングドラムとシート状物との間に水膜を設けるキャスト法、キャスティングドラム温度を25℃程度にしてシート状物を冷却固化させる方法、若しくはこれらを複数組み合わせた方法により、シート状物をキャスティングドラムに密着させて冷却固化し、無配向フィルムを得る。
次いで、無配向フィルムを長手方向に延伸した後に幅方向に延伸する、或いは幅方向に延伸した後に長手方向に延伸する逐次二軸延伸方法により、又は長手方向と幅方向にほぼ同時に延伸する同時二軸延伸方法などにより延伸を行う。かかる延伸方法における延伸倍率としては、各方向とも1.3〜7.0倍が好ましく採用される。また、平面性や厚みムラの観点から、幅方向と長手方向の面積延伸倍率は、5倍以上15倍以下が好ましい。なお、長手方向とはフィルムが走行する方向をいい、幅方向とは長手方向とフィルム面内で直交する方向をいう。逐次二軸延伸方法における長手方向への延伸は、例えば加熱されたロールの周速差や公知のテンターオーブン等により行うことができ、逐次二軸延伸方法における幅方向への延伸や同時二軸延伸方法における延伸は、公知のテンターオーブン等により行うことができる。
さらに、本発明のフィルムの製造方法においては、二軸延伸後にテンターオーブンや加熱したロール等により熱処理を行ってもよい。熱処理温度は、主成分である樹脂の融点を超えない範囲で、必要な寸法安定性を考慮して設定することができる。より具体的には、フィルムを大きく収縮させたい場合は熱処理温度を低くすればよく、フィルムの寸法安定性を向上させたい場合は設定温度を高くすればよい。主成分がポリエチレンテレフタレートであり、寸法安定性を高めたい場合は、熱処理温度を160℃〜240℃とするのが好ましい。また、熱処理は複数のゾーンに分けて段階的に昇温、降温する方法や、熱処理工程で幅方向に1.01倍〜1.20倍程度に微延伸する方法も用いることができる。また、熱処理時間は特性を悪化させない範囲において任意とすることができ、好ましくは10秒以上60秒以下、より好ましくは15秒以上30秒以下である。さらに、熱処理はフィルムを長手方向や幅方向に弛緩させて行うこともできる。熱処理終了後、室温まで冷却して二軸配向フィルムを得ることができる。
本発明のフィルムの製造方法では、得られた二軸配向フィルムの片面に、さらに別の樹脂を主成分とする層を設けてもよい。別の樹脂を主成分とする層としては、例えば、貫通孔α形成時のバリを低減するような柔軟な樹脂、例えばポリオレフィン系樹脂やウレタン樹脂等を主成分とする層が挙げられる。このような層を形成する方法としては、例えば、公知のドライラミネート法や、押出ラミネート法等が挙げられる。
その後、こうして得られた二軸配向フィルムやそれを含む積層フィルムに、パンチング加工法、マシニング加工法、エッチング加工法、放電加工法、電子ビーム加工法、ドリル加工法、及びレーザー加工法のうち少なくとも一つの加工法により、フィルムに貫通孔αを形成する。加工方法は、上記のものから適宜選択することができるが、経済性や量産性の観点からは、パンチング加工法やドリル加工法を用いることが好ましい。また、貫通孔形成時のバリを低減させる観点からは、レーザー加工法を用いることが好ましい。レーザー加工法自体は公知であり、常法により貫通孔の形成を行うことができる。また、レーザー加工法におけるレーザー光は、フィルムを穿孔することができるものであれば特に限定されないが、例えば、CO2レーザー、Nd:YAGレーザー、エキシマーレーザー、半導体励起固体レーザー、及びパルスファイバーレーザー等を用いることができる。なお、貫通孔αの孔径は、パンチング加工法に用いる針の太さやドリル加工法におけるドリルの外径、レーザー加工法に用いるレーザーの照射径により調整することができる。
以下、実施例に沿って本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。なお、諸特性は以下の方法により測定した。
[特性の評価方法]
(1)フィルム厚み(μm)
フィルムの全体厚みを測定する際は、ダイヤルゲージを用いて、フィルムから切り出した試料の任意の場所(但し、貫通孔及びバリ以外の部分)5ヶ所の厚みを測定し、平均値を求めてフィルム厚み(μm)とした。
(1)フィルム厚み(μm)
フィルムの全体厚みを測定する際は、ダイヤルゲージを用いて、フィルムから切り出した試料の任意の場所(但し、貫通孔及びバリ以外の部分)5ヶ所の厚みを測定し、平均値を求めてフィルム厚み(μm)とした。
(2)貫通孔の最大径(mm)、面積(mm2)、貫通孔の総面積(mm2)
電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて貫通孔の画像を取得し、画像解析により、各面における貫通孔の最大径及び面積を算出した。
・装置:日本電子株式会社製電界放出型電子顕微鏡(FE−SEM)6700F型
・加速電圧:2kV
・観察倍率:少なくとも1つの貫通孔全体が確認できる任意倍率(25〜1,000倍程度)
上記条件にて撮像した100mm2分の画像を取得した後、FE−SEM付属の画像解析ソフトにて各貫通孔の最大径を測長し、得られた値の平均値を貫通孔の最大径(mm)とした。さらに面を替えて同様の撮像と測長を行った。その後、貫通孔のうち、両面において最大径が0.10mm以上6.00mm以下であるものを貫通孔α、それ以外の貫通孔を貫通孔βとした。続いて、上記条件にて撮像した各面の100mm2分の画像をA4サイズの紙にそれぞれ印刷した後、各貫通孔の輪郭をペンで縁取りし、東洋紡績(株)製イメージアナライザーV10を用いて、各面の画像中に存在する貫通孔α及び貫通孔βについて輪郭を縁取られた内側の面積の和(mm2)を求めた(それぞれNα(mm2)、Nβ(mm2)とした。)。但し、貫通孔の最大径が6.00mmを超える貫通孔βについては、電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)での撮像を行う代わりに、フィルムをそのまま印刷機にかけて貫通孔βを紙に印刷し、東洋紡績(株)製イメージアナライザーV10を用いて貫通孔αと同様にして面積を求めた。
電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて貫通孔の画像を取得し、画像解析により、各面における貫通孔の最大径及び面積を算出した。
・装置:日本電子株式会社製電界放出型電子顕微鏡(FE−SEM)6700F型
・加速電圧:2kV
・観察倍率:少なくとも1つの貫通孔全体が確認できる任意倍率(25〜1,000倍程度)
上記条件にて撮像した100mm2分の画像を取得した後、FE−SEM付属の画像解析ソフトにて各貫通孔の最大径を測長し、得られた値の平均値を貫通孔の最大径(mm)とした。さらに面を替えて同様の撮像と測長を行った。その後、貫通孔のうち、両面において最大径が0.10mm以上6.00mm以下であるものを貫通孔α、それ以外の貫通孔を貫通孔βとした。続いて、上記条件にて撮像した各面の100mm2分の画像をA4サイズの紙にそれぞれ印刷した後、各貫通孔の輪郭をペンで縁取りし、東洋紡績(株)製イメージアナライザーV10を用いて、各面の画像中に存在する貫通孔α及び貫通孔βについて輪郭を縁取られた内側の面積の和(mm2)を求めた(それぞれNα(mm2)、Nβ(mm2)とした。)。但し、貫通孔の最大径が6.00mmを超える貫通孔βについては、電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)での撮像を行う代わりに、フィルムをそのまま印刷機にかけて貫通孔βを紙に印刷し、東洋紡績(株)製イメージアナライザーV10を用いて貫通孔αと同様にして面積を求めた。
また、貫通孔の総面積は以下の手順により求めた。先ず、貫通孔が形成された100mm2のシートを用意し、市販されているコピー機にて等倍率でシートを印刷した。その後、印刷した領域内にある貫通孔を黒インキで塗りつぶしてスキャナーで画像データとして取り込み、画像解析ソフト(Media Cybernetics社製Image Pro plus Version4.0 for windows)にて画像の二値化処理を行い、貫通孔の輪郭が明確になるようにコントラストを調節した。続いて、カウント/サイズ測にて、アウトラインの形式を塗りつぶし、暗い色のオブジェクトを自動抽出に設定し測定を行い、得られた色が塗りつぶされた部分の総面積を貫通孔の総面積(Nα+Nβ mm2)とした。
(3)貫通孔全体の個数に占める貫通孔αの個数の比率(%)
(2)で得られた100mm2における貫通孔全体数と貫通孔αの数に対する割合として、次式により求めた。
貫通孔の比率(%)=(貫通孔α数/貫通孔全体数)×100
(4)開孔率(%)
(2)での方法で測定した貫通孔の総面積(mm2)を用いて以下の式から開孔率(%)を算出した。位置を変えて同様の測定を各面につき合計5箇所(両面合わせて10箇所)で行い、各面毎に全ての値の平均値を算出して各面の開孔率(%)とした。
開孔率(%)=((Nα(mm2)+Nβ(mm2))/100mm2)×100(%)
(5)剥離強度(N/15mm)
フィルムを幅15mm×長さ200mmのサイズに2枚切り出して試料とし、同じ面同士が接するように重ねてロールラミネーター(フジプラ社製 “ラミパッカー”(登録商標)LPP6512N)により下記条件で貼り合わせた。続いて、貼り合わせた2枚のフィルムについて、フィルム強伸度自動測定装置(オリエンテック(株)製 “テンシロン”(登録商標) AMF/RTA−100)により下記測定条件で剥離強度を測定し、以下の判定基準で判定した。さらに、測定面を変えて同様の測定を行った。
<貼り合わせ条件>
ラミネート速度:1,000mm/分
ラミネート温度:25℃
<剥離強度の測定条件>
試料サイズ:幅15mm×試長間100mm
引張り速度:200mm/分
剥離角度:90°
測定環境:温度23℃、湿度65%RH
<判定基準>
○:剥離強度が1.0N/15mm以下であった。
×:剥離強度が1.0N/15mmより大きかった。
(2)で得られた100mm2における貫通孔全体数と貫通孔αの数に対する割合として、次式により求めた。
貫通孔の比率(%)=(貫通孔α数/貫通孔全体数)×100
(4)開孔率(%)
(2)での方法で測定した貫通孔の総面積(mm2)を用いて以下の式から開孔率(%)を算出した。位置を変えて同様の測定を各面につき合計5箇所(両面合わせて10箇所)で行い、各面毎に全ての値の平均値を算出して各面の開孔率(%)とした。
開孔率(%)=((Nα(mm2)+Nβ(mm2))/100mm2)×100(%)
(5)剥離強度(N/15mm)
フィルムを幅15mm×長さ200mmのサイズに2枚切り出して試料とし、同じ面同士が接するように重ねてロールラミネーター(フジプラ社製 “ラミパッカー”(登録商標)LPP6512N)により下記条件で貼り合わせた。続いて、貼り合わせた2枚のフィルムについて、フィルム強伸度自動測定装置(オリエンテック(株)製 “テンシロン”(登録商標) AMF/RTA−100)により下記測定条件で剥離強度を測定し、以下の判定基準で判定した。さらに、測定面を変えて同様の測定を行った。
<貼り合わせ条件>
ラミネート速度:1,000mm/分
ラミネート温度:25℃
<剥離強度の測定条件>
試料サイズ:幅15mm×試長間100mm
引張り速度:200mm/分
剥離角度:90°
測定環境:温度23℃、湿度65%RH
<判定基準>
○:剥離強度が1.0N/15mm以下であった。
×:剥離強度が1.0N/15mmより大きかった。
(6)押し込み硬さ硬度(HIT)(MPa)
硬度計(株式会社エリオニクス社製 ENT−2100)を用いて、以下の条件でフィルム各面の押し込み硬さ硬度(HIT)を測定した。測定は100cm2のフィルム中の任意の10箇所について行い、得られた値の平均値を当該測定面の押し込み硬さ硬度(HIT)(MPa)とした。なお、反対側の面についても同様の測定を行った。
<測定条件>
試験モード:負荷−除荷試験
負荷プロセス:直線
除荷プロセス:直線
圧子形状:バーコビッチ
圧子先端補正方式:田中方式
除荷フィッティング方式:直線(70−95)
負荷開始荷重:0mN
負荷終了荷重:0.5mN
負荷分割数:500
負荷ステップ間隔:20msec
最大荷重保持時間:1000msec
最大保持時測定:20
除荷開始荷重:0.5mN
除荷終了荷重:0mN
除荷分割数:500
除荷ステップ間隔:20msec
サンプリング数:1250。
硬度計(株式会社エリオニクス社製 ENT−2100)を用いて、以下の条件でフィルム各面の押し込み硬さ硬度(HIT)を測定した。測定は100cm2のフィルム中の任意の10箇所について行い、得られた値の平均値を当該測定面の押し込み硬さ硬度(HIT)(MPa)とした。なお、反対側の面についても同様の測定を行った。
<測定条件>
試験モード:負荷−除荷試験
負荷プロセス:直線
除荷プロセス:直線
圧子形状:バーコビッチ
圧子先端補正方式:田中方式
除荷フィッティング方式:直線(70−95)
負荷開始荷重:0mN
負荷終了荷重:0.5mN
負荷分割数:500
負荷ステップ間隔:20msec
最大荷重保持時間:1000msec
最大保持時測定:20
除荷開始荷重:0.5mN
除荷終了荷重:0mN
除荷分割数:500
除荷ステップ間隔:20msec
サンプリング数:1250。
(7)到達真空度(kPa)
DISCO社製ダイシング装置(DAD3350)のチャックテーブル上にフィルムと半導体ウェハ(シリコンウェハ)をこの順に設置し、減圧をスタートしてから10秒後に、到達真空度を読み取った。
DISCO社製ダイシング装置(DAD3350)のチャックテーブル上にフィルムと半導体ウェハ(シリコンウェハ)をこの順に設置し、減圧をスタートしてから10秒後に、到達真空度を読み取った。
(8)バックグラインド工程でのウェハ固定性
DISCO社製ダイシング装置(DAD3350)のチャックテーブル上にフィルムと半導体ウェハ(シリコンウェハ)をこの順に設置して、半導体ウェハのバックグラインドを行い、その際の状態より以下の通り判定を行った。
◎:半導体ウェハの位置ずれ及び浮きが、共に観察されなかった。
○:半導体ウェハの浮きは観察されたものの、位置ずれは観察されなかった。
△:半導体ウェハの位置ずれが観察されたものの、到達真空度が−60kPa以下に維持されており、実用上問題はなかった。
×:装置の停止等によりグラインドが不可能となる程度の、半導体ウェハの位置ずれが発生した。
DISCO社製ダイシング装置(DAD3350)のチャックテーブル上にフィルムと半導体ウェハ(シリコンウェハ)をこの順に設置して、半導体ウェハのバックグラインドを行い、その際の状態より以下の通り判定を行った。
◎:半導体ウェハの位置ずれ及び浮きが、共に観察されなかった。
○:半導体ウェハの浮きは観察されたものの、位置ずれは観察されなかった。
△:半導体ウェハの位置ずれが観察されたものの、到達真空度が−60kPa以下に維持されており、実用上問題はなかった。
×:装置の停止等によりグラインドが不可能となる程度の、半導体ウェハの位置ずれが発生した。
(9)バックグラインド工程でのシワ発生
DISCO社製ダイシング装置(DAD3350)のチャックテーブル上にフィルムと半導体ウェハ(シリコンウェハ)をこの順に設置して、半導体ウェハのバックグラインドを行い、その際の状態より以下の通り判定を行った。
○:到達真空度が−60kPa以下に保たれており、実用上問題がなかった。
△:フィルムにシワが発生したものの到達真空度が−60kPa以下に維持されており、実用上問題はなかった。
×:フィルムのシワが発生し、装置が停止した。
DISCO社製ダイシング装置(DAD3350)のチャックテーブル上にフィルムと半導体ウェハ(シリコンウェハ)をこの順に設置して、半導体ウェハのバックグラインドを行い、その際の状態より以下の通り判定を行った。
○:到達真空度が−60kPa以下に保たれており、実用上問題がなかった。
△:フィルムにシワが発生したものの到達真空度が−60kPa以下に維持されており、実用上問題はなかった。
×:フィルムのシワが発生し、装置が停止した。
(製膜に使用した樹脂)
製膜に供した樹脂は以下のように準備した。
(ポリエステルA)
ジカルボン酸単位としてテレフタル酸単位を100モル%、グリコール単位としてエチレングリコール単位を100モル%含むポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.65、ガラス転移温度80℃)。
(粒子マスターA)
ポリエステルA中に無機粒子として平均粒子径1.2μmのシリカ粒子を粒子濃度1質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.65)。
(ポリエステルB)
ポリエステルAを高真空下で220℃に加熱して8時間、固相重合処理することにより得られたポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.80、ガラス転移温度80℃)。
(粒子マスターB)
ポリエステルB中に無機粒子として平均粒子径1.2μmのシリカ粒子を粒子濃度1質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.80)。
(ポリエステルC)
ジカルボン酸単位としてテレフタル酸単位を95モル%、イソフタル酸単位を5モル%、グリコール単位としてエチレングリコール単位を100モル%含む共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.65、ガラス転移温度80℃)。
(粒子マスターC)
ポリエステルC中に無機粒子として平均粒子径1.2μmのシリカ粒子を粒子濃度1質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.65)。
(ポリエステルD)
ジカルボン酸単位としてナフタレンジカルボン酸単位を100モル%、グリコール単位としてエチレングリコール単位を100モル%含むポリエチレン2,6−ナフタレート樹脂(固有粘度0.70、ガラス転移温度120℃)。
(粒子マスターD)
ポリエステルD中に無機粒子として平均粒子径1.2μmのシリカ粒子を粒子濃度1質量%で含有したポリエチレン2,6−ナフタレート粒子マスター(固有粘度0.68)。
(ポリエステルE)
ジカルボン酸単位としてテレフタル酸単位を100モル%、グリコール単位としてシクロヘキサンジメタノール単位を20モル%、エチレングリコール単位を80モル%含むポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.74、ガラス転移温度82℃)。
(粒子マスターE)
ポリエステルE中に無機粒子として平均粒子径1.2μmのシリカ粒子を粒子濃度1質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.72)。
(ポリオレフィンA)
プライムポリマー社製“プライムポリプロ”F704NP。
(エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂A)
三菱ケミカル社製“ノバテック”(登録商標)EVA。
製膜に供した樹脂は以下のように準備した。
(ポリエステルA)
ジカルボン酸単位としてテレフタル酸単位を100モル%、グリコール単位としてエチレングリコール単位を100モル%含むポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.65、ガラス転移温度80℃)。
(粒子マスターA)
ポリエステルA中に無機粒子として平均粒子径1.2μmのシリカ粒子を粒子濃度1質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.65)。
(ポリエステルB)
ポリエステルAを高真空下で220℃に加熱して8時間、固相重合処理することにより得られたポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.80、ガラス転移温度80℃)。
(粒子マスターB)
ポリエステルB中に無機粒子として平均粒子径1.2μmのシリカ粒子を粒子濃度1質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.80)。
(ポリエステルC)
ジカルボン酸単位としてテレフタル酸単位を95モル%、イソフタル酸単位を5モル%、グリコール単位としてエチレングリコール単位を100モル%含む共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.65、ガラス転移温度80℃)。
(粒子マスターC)
ポリエステルC中に無機粒子として平均粒子径1.2μmのシリカ粒子を粒子濃度1質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.65)。
(ポリエステルD)
ジカルボン酸単位としてナフタレンジカルボン酸単位を100モル%、グリコール単位としてエチレングリコール単位を100モル%含むポリエチレン2,6−ナフタレート樹脂(固有粘度0.70、ガラス転移温度120℃)。
(粒子マスターD)
ポリエステルD中に無機粒子として平均粒子径1.2μmのシリカ粒子を粒子濃度1質量%で含有したポリエチレン2,6−ナフタレート粒子マスター(固有粘度0.68)。
(ポリエステルE)
ジカルボン酸単位としてテレフタル酸単位を100モル%、グリコール単位としてシクロヘキサンジメタノール単位を20モル%、エチレングリコール単位を80モル%含むポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.74、ガラス転移温度82℃)。
(粒子マスターE)
ポリエステルE中に無機粒子として平均粒子径1.2μmのシリカ粒子を粒子濃度1質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.72)。
(ポリオレフィンA)
プライムポリマー社製“プライムポリプロ”F704NP。
(エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂A)
三菱ケミカル社製“ノバテック”(登録商標)EVA。
[貫通孔の形成方法]
(パンチング加工)
表面に表2及び図2に記載の加工形状、加工パターン、最大径、ピッチ、開孔率となる金属針を設けた金属ロールとフラットなゴムロールをそれぞれ60℃に加熱して、その間に基材フィルムを通すことで貫通孔を形成した。なお、ここで基材フィルムとは、貫通孔形成の加工を施す前のフィルムをいい、以下同様とする。
(パンチング加工)
表面に表2及び図2に記載の加工形状、加工パターン、最大径、ピッチ、開孔率となる金属針を設けた金属ロールとフラットなゴムロールをそれぞれ60℃に加熱して、その間に基材フィルムを通すことで貫通孔を形成した。なお、ここで基材フィルムとは、貫通孔形成の加工を施す前のフィルムをいい、以下同様とする。
(レーザー加工)
表2及び図2に記載の加工形状、加工パターン、最大径、ピッチ、開孔率となるようにCO2レーザー発振器とガルバノスキャナを用いてレーザー光を走査させ、基材フィルムに貫通孔を形成した。
表2及び図2に記載の加工形状、加工パターン、最大径、ピッチ、開孔率となるようにCO2レーザー発振器とガルバノスキャナを用いてレーザー光を走査させ、基材フィルムに貫通孔を形成した。
(実施例1〜12、15〜16、31〜33、比較例1〜4)
表1に示すポリエステル種、及び粒子マスターを、真空乾燥機を用いて180℃で4時間乾燥して水分を除去した。その後、単軸の押出機に表1に示す組成で供給し、280℃で溶融してフィルターとギヤポンプを通すことで、異物の除去と押出量の均整化を行った。その後、樹脂組成物をTダイより25℃に温度制御したHcr冷却ドラム(以下、単に冷却ドラムということがある。)上にシート状に吐出し、直径0.1mmのワイヤー状電極を用いて10kVの電圧で静電印加することによりシート状物を冷却ドラムに密着させて冷却固化し、無配向フィルムを得た。続いて、該無配向フィルムを60〜80℃に加熱したロール群で予熱した後、90℃に加熱されたロールを用いて長手方向(縦方向)に倍率3.3倍で延伸し、25℃のロール群で冷却して一軸配向フィルムを得た。次いで、一軸配向フィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、90℃の予熱ゾーンで予熱した後、引き続き連続的に100℃に保たれた延伸ゾーンで幅方向に倍率3.5倍で延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンにおいて240℃で20秒間の熱処理を施し、さらに160℃で幅方向に5%の弛緩処理を行った。次いで、均一に徐冷し、厚さ100μmのフィルム(基材フィルム)を得た。その後、表2に記載の加工方法で、表2に記載の加工形状、加工パターンとなるように基材フィルムに貫通孔を形成した。得られたフィルムの評価結果を表2、3に示す。
表1に示すポリエステル種、及び粒子マスターを、真空乾燥機を用いて180℃で4時間乾燥して水分を除去した。その後、単軸の押出機に表1に示す組成で供給し、280℃で溶融してフィルターとギヤポンプを通すことで、異物の除去と押出量の均整化を行った。その後、樹脂組成物をTダイより25℃に温度制御したHcr冷却ドラム(以下、単に冷却ドラムということがある。)上にシート状に吐出し、直径0.1mmのワイヤー状電極を用いて10kVの電圧で静電印加することによりシート状物を冷却ドラムに密着させて冷却固化し、無配向フィルムを得た。続いて、該無配向フィルムを60〜80℃に加熱したロール群で予熱した後、90℃に加熱されたロールを用いて長手方向(縦方向)に倍率3.3倍で延伸し、25℃のロール群で冷却して一軸配向フィルムを得た。次いで、一軸配向フィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、90℃の予熱ゾーンで予熱した後、引き続き連続的に100℃に保たれた延伸ゾーンで幅方向に倍率3.5倍で延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンにおいて240℃で20秒間の熱処理を施し、さらに160℃で幅方向に5%の弛緩処理を行った。次いで、均一に徐冷し、厚さ100μmのフィルム(基材フィルム)を得た。その後、表2に記載の加工方法で、表2に記載の加工形状、加工パターンとなるように基材フィルムに貫通孔を形成した。得られたフィルムの評価結果を表2、3に示す。
(実施例13、14)
オレフィンAを270℃に加熱された単軸押出機に供給し、溶融させた後、フィルターを通すことで異物の除去を行った。その後、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上に樹脂をシート状に吐出し、エアーナイフを用いてシート状物を冷却ドラムに密着させて冷却固化することで、厚み50μmの無配向フィルムを得た。得られた無配向フィルムと実施例1で得られた基剤フィルムとをポリウレタン接着剤(東洋モートン社製AD-502、東洋モートン社製CAT10L、酢酸エチルの15:1.5:25(質量比)混合物)で接着し、40℃で24時間乾燥して積層基剤フィルムを得た。次いで、表2に記載の加工方法により、表2に記載の加工形状、加工パターンとなるように積層基材フィルムに貫通孔を形成した。得られたフィルムの評価結果を表2、3に示す。
オレフィンAを270℃に加熱された単軸押出機に供給し、溶融させた後、フィルターを通すことで異物の除去を行った。その後、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上に樹脂をシート状に吐出し、エアーナイフを用いてシート状物を冷却ドラムに密着させて冷却固化することで、厚み50μmの無配向フィルムを得た。得られた無配向フィルムと実施例1で得られた基剤フィルムとをポリウレタン接着剤(東洋モートン社製AD-502、東洋モートン社製CAT10L、酢酸エチルの15:1.5:25(質量比)混合物)で接着し、40℃で24時間乾燥して積層基剤フィルムを得た。次いで、表2に記載の加工方法により、表2に記載の加工形状、加工パターンとなるように積層基材フィルムに貫通孔を形成した。得られたフィルムの評価結果を表2、3に示す。
(実施例17、18)
ポリエステルB、及び粒子マスターBを、真空乾燥機を用いて180℃で4時間乾燥して水分を除去した。その後、単軸の押出機に表1に示す組成で供給し、285℃で溶融してフィルターとギヤポンプを通すことで、異物の除去と押出量の均整化を行った。次いで、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上に樹脂組成物をシート状に吐出した後、直径0.1mmのワイヤー状電極を用いて10kVの電圧で静電印加することによりシート状物を冷却ドラムに密着させて冷却固化し、無配向フィルムを得た。続いて、該無配向フィルムを60〜80℃に加熱したロール群で予熱した後、85℃に加熱されたロールを用いて長手方向(縦方向)に倍率3.5倍で延伸し、25℃のロール群で冷却して一軸配向フィルムを得た。次いで、一軸配向フィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、90℃の予熱ゾーンで予熱した後、引き続き連続的に140℃に保たれた延伸ゾーンで幅方向に倍率3.4倍で延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンにおいて240℃で20秒間の熱処理を施し、さらに165℃で幅方向に5%の弛緩処理を行った。次いで、均一に徐冷し、厚さ100μmのフィルム(基材フィルム)を得た。その後、表2に記載の加工方法により、表2に記載の加工形状、加工パターンとなるように基材フィルムに貫通孔を形成した。得られたフィルムの評価結果を表2、3に示す。
ポリエステルB、及び粒子マスターBを、真空乾燥機を用いて180℃で4時間乾燥して水分を除去した。その後、単軸の押出機に表1に示す組成で供給し、285℃で溶融してフィルターとギヤポンプを通すことで、異物の除去と押出量の均整化を行った。次いで、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上に樹脂組成物をシート状に吐出した後、直径0.1mmのワイヤー状電極を用いて10kVの電圧で静電印加することによりシート状物を冷却ドラムに密着させて冷却固化し、無配向フィルムを得た。続いて、該無配向フィルムを60〜80℃に加熱したロール群で予熱した後、85℃に加熱されたロールを用いて長手方向(縦方向)に倍率3.5倍で延伸し、25℃のロール群で冷却して一軸配向フィルムを得た。次いで、一軸配向フィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、90℃の予熱ゾーンで予熱した後、引き続き連続的に140℃に保たれた延伸ゾーンで幅方向に倍率3.4倍で延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンにおいて240℃で20秒間の熱処理を施し、さらに165℃で幅方向に5%の弛緩処理を行った。次いで、均一に徐冷し、厚さ100μmのフィルム(基材フィルム)を得た。その後、表2に記載の加工方法により、表2に記載の加工形状、加工パターンとなるように基材フィルムに貫通孔を形成した。得られたフィルムの評価結果を表2、3に示す。
(実施例19、20)
原料組成を表1の通りとし、乾燥温度を150℃、熱処理温度を220℃とした以外は同様にして得られた基材フィルムに、表2に記載の貫通孔の加工方法で、表2に記載の加工形状、加工パターンとなるように貫通孔を形成した。得られたフィルムの評価結果を表2、3に示す。
原料組成を表1の通りとし、乾燥温度を150℃、熱処理温度を220℃とした以外は同様にして得られた基材フィルムに、表2に記載の貫通孔の加工方法で、表2に記載の加工形状、加工パターンとなるように貫通孔を形成した。得られたフィルムの評価結果を表2、3に示す。
(実施例21、22)
ポリエステルD、及び粒子マスターDを、真空乾燥機を用いて180℃で4時間乾燥して水分を除去した。その後、単軸の押出機に表1に示す組成で供給し、290℃で溶融してフィルターとギヤポンプを通すことで、異物の除去と押出量の均整化を行った。次いで、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上に樹脂組成物をシート状に吐出した後、直径0.1mmのワイヤー状電極を用いて10kVの電圧で静電印加することによりシート状物を冷却ドラムに密着させて冷却固化し、無配向フィルムを得た。続いて、該無配向フィルムを100〜120℃に加熱したロール群で予熱した後、135℃に加熱されたロールを用いて長手方向(縦方向)に倍率4.0倍で延伸し、25℃のロール群で冷却して一軸配向フィルムを得た。次いで、一軸配向フィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、125℃の予熱ゾーンで予熱した後、引き続き連続的に140℃に保たれた延伸ゾーンで幅方向に倍率4.5倍で延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンにおいて250℃で20秒間の熱処理を施し、さらに180℃で幅方向に5%の弛緩処理を行った。次いで、均一に徐冷し、厚さ100μmのフィルム(基材フィルム)を得た。その後、表2に記載の加工方法により、表2に記載の加工形状、加工パターンとなるように基材フィルムに貫通孔を形成した。得られたフィルムの評価結果を表2、3に示す。
ポリエステルD、及び粒子マスターDを、真空乾燥機を用いて180℃で4時間乾燥して水分を除去した。その後、単軸の押出機に表1に示す組成で供給し、290℃で溶融してフィルターとギヤポンプを通すことで、異物の除去と押出量の均整化を行った。次いで、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上に樹脂組成物をシート状に吐出した後、直径0.1mmのワイヤー状電極を用いて10kVの電圧で静電印加することによりシート状物を冷却ドラムに密着させて冷却固化し、無配向フィルムを得た。続いて、該無配向フィルムを100〜120℃に加熱したロール群で予熱した後、135℃に加熱されたロールを用いて長手方向(縦方向)に倍率4.0倍で延伸し、25℃のロール群で冷却して一軸配向フィルムを得た。次いで、一軸配向フィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、125℃の予熱ゾーンで予熱した後、引き続き連続的に140℃に保たれた延伸ゾーンで幅方向に倍率4.5倍で延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンにおいて250℃で20秒間の熱処理を施し、さらに180℃で幅方向に5%の弛緩処理を行った。次いで、均一に徐冷し、厚さ100μmのフィルム(基材フィルム)を得た。その後、表2に記載の加工方法により、表2に記載の加工形状、加工パターンとなるように基材フィルムに貫通孔を形成した。得られたフィルムの評価結果を表2、3に示す。
(実施例23、24)
原料組成を表1の通りとし、乾燥温度を120℃、熱処理温度を170℃とした以外は同様にして得られた基材フィルムに、表2に記載の加工方法により、表2に記載の加工形状、加工パターンとなるように貫通孔を形成した。得られたフィルムの評価結果を表2、3に示す。
原料組成を表1の通りとし、乾燥温度を120℃、熱処理温度を170℃とした以外は同様にして得られた基材フィルムに、表2に記載の加工方法により、表2に記載の加工形状、加工パターンとなるように貫通孔を形成した。得られたフィルムの評価結果を表2、3に示す。
(実施例25〜27、34、35)
表1に示したオレフィン種を単軸の押出機に供給し、押出温度270℃で溶融した。その後、フィルターを通して異物の除去を行った後、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出し、エアーナイフを用いて冷却ドラムに密着させて冷却固化することにより、100μmの無配向フィルム(基材フィルム)を得た。次いで、表2に記載の加工方法により、表2に記載の加工形状、加工パターンとなるように基材フィルムに貫通孔を形成した。得られたフィルムの評価結果を表3に示す。
表1に示したオレフィン種を単軸の押出機に供給し、押出温度270℃で溶融した。その後、フィルターを通して異物の除去を行った後、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出し、エアーナイフを用いて冷却ドラムに密着させて冷却固化することにより、100μmの無配向フィルム(基材フィルム)を得た。次いで、表2に記載の加工方法により、表2に記載の加工形状、加工パターンとなるように基材フィルムに貫通孔を形成した。得られたフィルムの評価結果を表3に示す。
(実施例28〜30)
表1に示したエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)を単軸の押出機に供給し、押出温度100℃で溶融した。その後、フィルターを通して異物の除去を行った後、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出し、エアーナイフを用いて冷却ドラムに密着をさせて冷却固化することにより、100μmの無配向フィルムを得た。次いで、表2に記載の加工方法により、表2に記載の加工形状、加工パターンとなるようにフィルムに貫通孔を形成した。得られたフィルムの評価結果を表3に示す。
表1に示したエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)を単軸の押出機に供給し、押出温度100℃で溶融した。その後、フィルターを通して異物の除去を行った後、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出し、エアーナイフを用いて冷却ドラムに密着をさせて冷却固化することにより、100μmの無配向フィルムを得た。次いで、表2に記載の加工方法により、表2に記載の加工形状、加工パターンとなるようにフィルムに貫通孔を形成した。得られたフィルムの評価結果を表3に示す。
(比較例5)
市販品BGテープ(Pシリーズ 75μm:リンテック社製)を用いて、フィルムに貫通孔の加工を施さずに各項目を評価した。評価結果を表3に示す。なお、チャックテーブル上にフィルムとシリコンウェハを設置するときはBGテープ粘着層面が半導体ウェハと接するように設置した。
市販品BGテープ(Pシリーズ 75μm:リンテック社製)を用いて、フィルムに貫通孔の加工を施さずに各項目を評価した。評価結果を表3に示す。なお、チャックテーブル上にフィルムとシリコンウェハを設置するときはBGテープ粘着層面が半導体ウェハと接するように設置した。
本発明によれば、半導体ウェハ等の半導体関連材料を薄く研磨する工程において、半導体ウェハ等の半導体関連材料を固定するために、繰り返し使用できるフィルムを提供することが可能である。
1 貫通孔α
2 最大径
3 ピッチ
2 最大径
3 ピッチ
Claims (8)
- ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、及びエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂から選択される一種類の樹脂を主成分とする層をA層、両面における最大径が共に0.10mm以上6.00mm以下の貫通孔を貫通孔αとしたときに、
少なくとも一方の最表面にA層が位置し、
貫通孔αを有し、
両面共に開孔率が0.01%以上50%以下であり、
かつ同じ面同士が接するように重ねた際の剥離強度が共に1.0N/15mm以下であることを特徴とする、フィルム。 - 両面において、貫通孔全体の個数に占める前記貫通孔αの個数の比率が、60%以上100%以下であることを特徴とする、請求項1に記載のフィルム。
- 一方の最表面に前記A層が位置し、
もう一方の最表面に前記A層以外の層(B層)が位置し、
かつ、前記A層側の面をX面、B層側の面をY面としたときに、X面及びY面の押し込み硬さ硬度HITが共に30MPa以上300MPa以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のフィルム。 - 前記A層がポリエステル樹脂を主成分とし、かつポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びポリエチレンナフタレートを合計で50質量%より多く含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のフィルム。
- 前記A層がポリオレフィン樹脂を主成分とし、かつポリエチレン及びポリプロピレンを合計で50質量%より多く含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のフィルム。
- 前記B層がポリウレタンを主成分とすることを特徴とする、請求項3〜5のいずれかに記載のフィルム。
- フィルムがバックグラインド用フィルムであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のフィルム。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のフィルムを製造するフィルムの製造方法であって、パンチング加工法、マシニング加工法、エッチング加工法、放電加工法、電子ビーム加工法、ドリル加工法、及びレーザー加工法のうち少なくとも一つの加工法により、フィルムに前記貫通孔αを形成する工程を有することを特徴とする、フィルムの製造方法。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019054672 | 2019-03-22 | ||
JP2019054672 | 2019-03-22 |
Publications (1)
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JP2020161818A true JP2020161818A (ja) | 2020-10-01 |
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JP2020045082A Pending JP2020161818A (ja) | 2019-03-22 | 2020-03-16 | フィルム |
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-
2020
- 2020-03-16 JP JP2020045082A patent/JP2020161818A/ja active Pending
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