JP4726023B2 - バッキングパッド - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワックスレス法による半導体ウエハの研磨に好適なバッキングパッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、半導体ウエハは仕上げ加工工程や、デバイス化での多層配線プロセスにおいて、いわゆる化学的機械的研磨法(Chemical Mechanical Polishing )により鏡面研磨や、層間絶縁膜や導電膜の平坦化が行われている。
この様な研磨では、ウエハを研磨用キャリアに保持する方法としては、次に示すような物及び方法がとられてきた。
▲1▼ウエハの片面にウエハ接着用のワックスを塗布するワックス法、(特開平05-013391など)
▲2▼真空吸着によるワックスレス法
▲3▼多孔質の樹脂、例えばポリウレタン樹脂多孔質体からなるバッキングパッドを用いてウエハを水貼りするワックスレス法とが利用されている。(特開平06-23664など)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前述のウエハ保持方法はそれぞれ書きの様な問題点を有している。
▲1▼ワックス法においては、接着層(ワックス層)の厚さの不均一性がそのまま、研磨後ウエハの平面度、平行度等に反映するため、接着層厚さを均一にすることが重要である。しかし、接着層厚さを均一にする作業は非常に難しい。このため、従来より様々な手法が採られており、例えば特開平5−13391では、ワックスに粒子径の揃った粒子を入れて、ウエハを貼り付け加圧する事で均一厚みになるようにしようとしている。しかし、このような手法で均一にする事が出来たとしても、ワックス法では、ウエハ研磨後にウエハからワックスを除去する必要があるため、ウエハプロセスが複雑になるという問題がある。
【0004】
▲2▼ワックスレス法は、ワックス法の上記欠点を解消したもので、ウエハに対するワックスの塗布、除去が不要になる長所がある。真空吸着によるワックスレス法はこれら長所が有るが、真空吸着する為のピンホールをバッキングプレートに開けておかなければならず、また、それら穴の大きさ形状によっては、研磨面にその形状が反映されてしまうなどの問題点を有している。
【0005】
▲3▼バッキングパッドによるワックスレス法では、一般に独立発泡体を用いたウレタン樹脂多孔質体ものが広く使われ、同発泡体層に水を染み込ませ、ウエハを水貼りにて保持する。この方式では、ウエハを簡単に保持でき、且つ、取り外しも容易である長所が有るが、ウエハを保持する場合、バッキングパッドとウエハとの間に余分な水分が無いように十分に水分を除去する必要がある。この余分な水分除去が良好になされなかった場合、研磨を行った際に不均一な研磨を引き起こす欠点がある。また、近年、加工するウエハの口径が非常に大きくなっており、不用な水分除去はより一層困難となってきている。さらに、研磨される表層の種類によっては、研磨時の摩擦抵抗が大きく、時には水貼りしたパッドが研磨中に剥がれてしまう問題点もある。
【0006】
また、このウエハが剥がれてしまう問題点を解決する為に特開平6−61202では、バッキングプレート状に直接シリコーン樹脂をコーティングして、該シリコーン樹脂層でウエハを保持しようとしている。これは、平坦性、保持力は改善されるが、シリコーン樹脂層をコートするのに前処理が煩雑であったり、シリコーン層が劣化した場合には、再度バックプレートごと交換ないしは、再コーティングが必要となってしまう問題点がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、半導体ウエハをワックスレス法により研磨するのに用いるウエハ固定用のバッキングパッドにおいて、ウエハの脱着が容易で且つ、研磨の平坦性が良く、更に、ウエハ保持力が大きなバッキングパッドを提供するものである。
【0008】
即ち本発明は、半導体ウエハをワックスレス法により研磨するのに用いるウエハ固定用のバッキングパッドにおいて、該パッドがフィルム状であり、ベースフィルムの片面にシリコーンゴムが形成されており、その反対面に粘着剤層ないしは、両面テープが積層された構成となっている事を特徴とするバッキングパッドである。本発明では、ベースフィルムの片面に積層ないしは張合わされた粘着剤層で、研磨装置のバッキングプレートに容易に貼り付ける事が出来、かつ容易に取り替えが可能となる。更に、該粘着層とは反対側にシリコーンゴム層を設ける事により、該シリコーンゴム層でウエハを平面性良く、強固に保持する事が可能となる。
【0009】
更に本発明では該ベースフィルムがポリエステルフィルムである事が好ましい。ベースフィルムにポリエステルフィルムを用いる事で、十分な強度が有り、安価なバッキングパッドを提供する事が出来る。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明におけるポリエステルフィルムは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等を主成分とするものであれば任意に使用できる。このポリエステルフィルムとして、その表面を活性線で処理したり、ポリエステルフィルムの表面に接着性を向上させる化合物を積層したりした易接着性ポリエステルフィルムを使用することができ、この場合は前記シリコーンゴムフィルムにおける接着性向上剤の配合量を少なくすることができる。すなわち、上記の活性線処理、易接着性ポリエステルフィルムの選択および上記接着性向上剤の配合量等の組合わせにより、シリコーンゴム層およびポリエステルフィルムの界面剥離強度が設定されるが、その大きさは4N/20mm以上が好ましく、6N/20mm以上が一層好ましく、8N/20mm以上が更に好ましい。
【0011】
上記の活性線による処理方法としては、コロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理、火炎処理等が例示され、易接着層積層フィルムの易接着成分としては、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアクリル系の化合物、またはこれらの配合物が挙げられる。易接着層を積層する方法は、製膜時に積層するいわゆるインライン法、または製膜したフィルムに積層するいわゆるオフライン法のいずれでもよい。また、易接着層を積層したフィルムの易接着層表面を上記の活性線で処理したもの等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0012】
また、本発明では、該シリコーンゴム層が、シリコーンゴム100重量部に対し多価アルコールのメタクリル酸エステルを0.2〜20重量部配合して得られたシリコーンゴム組成物である事が好ましい。シリコーンゴム層がシリコーンゴム100重量部に対し多価アルコールのメタクリル酸エステルを0.2〜20重量部配合したシリコーンゴム組成物から製造されるため、シリコーンゴムフィルムとポリエステルフィルムの界面剥離強度を前記のように4N/20mm以上、好ましくは6N/20mm以上、特に好ましくは8N/20mm以上に大きくすることが可能であり、そのため上記装置への接着後にシリコーンゴム層がポリエステルフィルムとの界面から剥離することもない。
【0013】
本発明で用いるシリコーンゴムは、平均単位式:Ra Si O(4-a)/2 で表されるオルガノポリシロキサンである。上式中、Rは置換または非置換の一価炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等が挙げられ、好ましくはメチル基、ビニル基、フェニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基である。また、上式中、aは1.9〜2.1の範囲内の数である。シリコーンゴム成分は、上記の平均単位式で表されるが、これを構成する具体的なシロキサン単位としては、例えば、R3 Si O1/2 単位、R2 (HO)Si O1/2 単位、R2 Si O2/2 単位、RSi O3/2 単位およびSi O4/2 単位が挙げられる。
【0014】
本発明でのシリコーンゴム成分の主成分は、R2 Si O2/2 単位とR3 Si O1/2 単位もしくはR2 (HO)Si O1/2 単位を必須とする直鎖状の重合体であり、場合により少量のRSi O3/2 単位および/またはR3 Si O1/2 単位を含有して、一部分岐構造を有することができる。また、シリコーンゴム成分の一部としてR3Si O1/2 単位およびSi O4/2 単位からなる樹脂状の重合体を配合することができる。このようにシリコーンゴム成分は、二種以上の重合体の混合物であってもよい。また、本組成物が付加反応硬化型シリコーンゴム組成物である場合には、上記平均単位式で表されるオルガノポリシロキサン中のRの少なくとも2個はアルケニル基であることが必要である。
【0015】
また、シリコーンゴム成分の分子構造は特に限定されず、例えば、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、分岐鎖状、樹脂状等が挙げられ、シリコーンゴムを形成するためには、直鎖状の重合体か、または直鎖状の重合体を主成分とする混合物である。このようなシリコーンゴム成分としては、例えば、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメトキシシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメトキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメトキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメトキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、R3 Si O1/2 単位とSi O4/2 単位からなるオルガノポリシロキサン共重合体、R2 Si O2/2 単位とRSi O3/2 単位からなるオルガノポリシロキサン共重合体、R3 Si O1/2 単位とR2 Si O2/2 単位とRSi O3/2 単位からなるオルガノポリシロキサン共重合体、これら二種以上の混合物が挙げられる。なお、上記シリコーンゴム成分の25℃における粘度は、特に限定されないが、実用的には100センチストークス以上、特に1,000センチストークス以上が好ましい。
【0016】
本発明に使用される多価アルコールのメタクリル酸エステルは、2個以上のアルコール性水酸基を有する多価アルコールのアルコール性水酸基2個以上をメタクリル酸でエステル化したエステル化合物であり、例えばエチレングリコールジメタクリレート、1,3ブタンジオールジメタクリレート、1,4ブタンジオールジメタクリレート、1,6ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、2,2′ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロン、グリセンジメタクリレート、グリセントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、テトラメチロールメタンジメタクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールテトラメタクリレート等が挙げられ、特に3個以上のメタクリル酸エステルを含む化合物が好ましい。なお、上記の化合物は、いずれか一種を単独で用いてもよく、また二種以上を併用してもよい。
【0017】
上記メタクリル酸エステルの配合量は、シリコーンゴム100重量部に対して0.2〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部であり、0.2重量部未満ではポリエステルフィルムとの接着強度が不十分となり、反対に20重量部を超えると上記接着強度の向上効果が飽和に達し、かつシリコーンゴムの物性が低下する。なお、上記のメタクリル酸エステルは、シリコーンゴム組成物の接着性向上剤となるものであるが、必要に応じて補強性充填剤、顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、離型剤、難燃剤、チクソトロピー性付与剤、充填剤用分散剤、共架橋剤等を配合することができる。
【0018】
シリコーンゴムに上記配合剤を配合する方法は、特に限定されず、例えばシリコーンゴムコンパウンドを作製する際に2本ロール、バンバリーミキサー、ドウミキサー(ニーダー)などのゴム練り機を用いて行ってもよく、またシリコーンゴムを溶剤に溶解し、流延法で製膜する場合は、シリコーンゴムコンパウンドを溶媒に溶解して溶液を作製する際、または得られた溶液に添加配合する方法で実施してもよい。
【0019】
本発明では、該シリコーンゴム層の表面に、ポリ−4−メチルペンテン−1を主成分とする布帛またはフィルムないしは、エチレン・メチルメタクリレート共重合体からなる布帛またはフィルムをカバーシートとして積層した構成が好ましい。これにより、フィルムのシリコーン層表層の汚れ付着を防止する事が出来る。
【0020】
本発明において、ポリエステルフィルムにシリコーンゴム層を積層する方法は、任意であり、例えば、ポリエステルフィルムの表面にシリコーンゴム組成物を溶媒に溶解した溶液を塗工、乾燥してシリコーンゴムの薄膜を形成する方法、ポリエステルフィルムの表面にシリコーンゴム組成物を高圧下で押出してシリコーンゴムの薄膜を形成する方法等が挙げられる。液状シリコーンゴムの場合は、溶剤で希釈することなく塗工する方法でもよい。なお、本発明におけるシリコーンゴムフィルムおよびポリエステルフィルムの厚み構成比は、複合体の用途に応じて任意に設定することができる。
【0021】
架橋方法も特に限定されない。例えば、シリコーンゴム組成物にパーオキサイド化合物を配合し、上記の方法で積層した後、積層体を加熱処理して架橋させてもよく、また紫外線、電子線、γ線等の活性線を照射して架橋させてもよい。これらの架橋処理における各種助剤を添加することは何ら制限されない。そして、本発明では、前記のポリエステルフィルムにシリコーンゴム層およびカバーシートを順に積層した後、上記の架橋処理を行い、しかるのちカバーシートを剥離することにより、ポリエステルフィルムとシリコーンゴムフィルムの複合体を製造する。
【0022】
更に本発明では、ウエハを保持する層であるシリコーンゴム層の表層に、余分な空気、及び水を除去しやすくする目的で、溝加工を施しても良い。該溝加工の形状は特に限定されるものではないが、好ましくは格子状または、バッキングパッド中心からの放射状が好ましい。
【0023】
それぞれの溝と溝との間隔、溝の巾、溝の深さ、溝の断面形状も特に限定するものではないが、好ましくは溝と溝との間隔が30mm以下、より好ましくは20mm以下が良い。また、溝の巾は5mm以下、より好ましくは2mm以下が良い。溝の巾がこれ以上になると、研磨した場合その形状がウエハの表面状態に影響を及ぼしてしまう。更に、溝の深さは、20μm以上が好ましい。
【0024】
【実施例】
実施例1
シリコーンゴムコンパウンドとして、市販の高強度型シリコーンゴムコンパウンド(信越化学工業社製、「KE555−U」)および市販の一般成形用シリコーンゴムコンパウンド(信越化学工業社製、「KE958−U」)を60:40の重量比で配合し、2本ロールを用い、100〜200℃で混練して厚み3mmのゴムシートを成形した。この未加硫のゴムシートを切断して1cm角の細片とし、この細片をトルエンに対する重量比率が23%となるように秤量し、トルエンと共に真空脱泡装置付き攪拌機に投入し、大気圧下で15時間攪拌して上記細片をトルエンに溶解した後、該溶液にトリメチロールプロパントリメタクリレートを、シリコーンゴムコンパウンド100部に対して2部となるように添加し、均一に攪拌した後、真空脱泡装置を駆動し、ゲージ圧が−750mmHgの真空下で更に20分間攪拌し、脱泡した。
【0025】
次いで、上記の溶解、脱泡で得られたシリコーンゴム溶液をロールコーターに供給し、コロナ処理を施した厚み75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績社製 コスモシャインA4100)のコロナ処理面に乾燥後厚みが150μmとなるように塗布し、続いてオーブンに導入し、80℃で乾燥し、そのシリコーンゴム側の面にポリ−4−メチルペンテン−1の共重合体からなる厚みが35μmのマット加工フィルム(三井石油化学社製、「オピュランX−60YMT4」)をそのマット加工面がシリコーンゴムに向くように重ね、圧着ロールを用いて圧力5 kgf/cm2で押さえながら連続して積層し、得られた積層体を更に連続して電子線照射装置(200KV、15Mrad )に導いて架橋処理を施し、しかるのちカバーシートを剥離し、シリコーンゴムフィルムとポリエステルフィルムからなる総厚み225μmの複合体を得、これをロール状に巻取った。さらに、このロールをロールラミネーターを使って、両面接着テープ(寺岡社製 #761)を同フィルムのポリエステル面にラミネートし、バックキングパッドとした。
【0026】
得られたバッキングパッドを研磨機械(岡本工作機械社製 SPP600S)のバッキングプレートに該両面テープを使って貼り合わせ、表面のシリコーンゴム層にシリコンウエハを押し付けてウエハを保持し研磨実験を行った。この時評価に用いたウエハは10000オングストロームの熱酸化膜が付いた6インチシリコンウエハを研磨した。研磨した条件としては、スラリーにセリア系スラリーを用い、定板回転数50rpm、研磨パッドとしてはウレタン系多孔質パッド(ロデール社製 IC1000/S400)であった。研磨荷重を100g/cm2から次第に増やして行きウエハが保持できなくなる荷重を見たところ、1kg/cm2まで加圧してもウエハが外れてしまう事はなかった。
【0027】
実施例2
実施例1で得られたバッキングパッドのシリコーンゴム層表層に、巾1mm、ピッチ10mm、深さ25μmの格子状の溝加工を施した。同パッドを用いて、実施例1と同様の評価を行ったところ、研磨荷重を100g/cm2から次第に増やして行きウエハが保持できなくなる荷重を見たところ、1kg/cm2まで加圧してもウエハが外れてしまう事はなかった。
【0028】
実施例3
実施例1で得られたバッキングパッドのシリコーンゴム層表層に、巾1mm、ピッチ10mm、深さ25μmの放射状の溝加工を施した。同パッドを用いて、実施例1と同様の評価を行ったところ、研磨荷重を100g/cm2から次第に増やして行きウエハが保持できなくなる荷重を見たところ、1kg/cm2まで加圧してもウエハが外れてしまう事はなかった。
【0029】
比較例1
研磨機のバッキングプレートにウレタン発泡系バッキングパッド(ロデール社製 NF200)に置換えて、実施例1と同様に評価を行った。研磨荷重を100g/cm2から次第に増やして行きウエハが保持できなくなる荷重を見たところ、300g/cm2まで加圧するとウエハが外れてしまう事はないが、ウエハが摩擦抵抗に耐えかねて移動し、ウエハ周辺部を支えているガイドにぶつかってしまう現象が発生し、400g/cm2まで加圧すると、遂にはウエハがバッキングパッドから外れてしまう現象が発生してしまった。
【0030】
比較例2
研磨機のバッキングプレートを約80℃程度に加熱し、試料接着用ワックス(ビューラー社製エレクトロンワックス)を約80℃で溶かしバッキングプレート上に薄く均一に広げた後、6インチシリコンウエハを貼り付け、温度が下がった時点にて、実施例1と同様な研磨の評価を行った。
研磨荷重を100g/cm2から次第に増やして行きウエハが保持できなくなる荷重を見たところ、1kg/cm2まで加圧してもウエハが外れてしまう事はなかった。しかし、研磨されたウエハの面内での酸化膜の厚みの均一性が極めて悪いものであった。また、サンプルを脱着する為に、毎回バッキングプレートごと交換せねばならず、極めて作業が煩雑となった。
【0031】
本発明は、ウエハの脱着が容易で且つ、研磨の平坦性が良く、更に、ウエハ保持力が大きなバッキングパッドであった。
【0032】
【発明の効果】
ウエハを保持する力が強く、かつ、ウエハの脱着が容易である。また、片面に粘着層を有するため、バッキングパッドの張り替えも容易である。

Claims (5)

  1. 半導体ウエハをワックスレス法により研磨するのに用いるウエハ固定用のバッキングパッドにおいて、該パッドがフィルム状であり、ベースフィルムの片面にシリコーンゴムが形成されており、その反対面に粘着剤層ないしは、両面テープが積層された構成となっており、該シリコーンゴム層が、シリコーンゴム100重量部に対し多価アルコールのメタクリル酸エステルを0.2〜20重量部配合して得られたシリコーンゴム組成物からなる事を特徴とするバッキングパッド
  2. シリコーンゴム層の表面に、ポリ−4−メチルペンテン−1を主成分とする布帛またはフィルムをカバーシートとして積層した事を特徴とする請求項1記載のバッキングパッド
  3. シリコーンゴム層の表面に、エチレン・メチルメタクリレート共重合体からなる布帛またはフィルムをカバーシートとして積層した事を特徴とする請求項1記載のバッキングパッド
  4. 半導体ウエハをワックスレス法により研磨するのに用いるウエハ固定用のバッキングパッドにおいて、該パッドがフィルム状であり、ベースフィルムの片面にシリコーンゴムが形成されており、その反対面に粘着剤層ないしは、両面テープが積層された構成となっており、該シリコーンゴム層の表面に、ポリ−4−メチルペンテン−1を主成分とする布帛またはフィルムをカバーシートとして積層した事を特徴とするバッキングパッド
  5. 半導体ウエハをワックスレス法により研磨するのに用いるウエハ固定用のバッキングパッドにおいて、該パッドがフィルム状であり、ベースフィルムの片面にシリコーンゴムが形成されており、その反対面に粘着剤層ないしは、両面テープが積層された構成となっており、該シリコーンゴム層の表面に、エチレン・メチルメタクリレート共重合体からなる布帛またはフィルムをカバーシートとして積層した事を特徴とするバッキングパッド
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