JP3754783B2 - 複合ゴムフィルムおよびその製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、シリコーンゴムを主成分とするゴムフィルムとポリエステルフィルムとの積層体からなり、上記ゴムフィルムとポリエステルフィルムとの層間接着力の優れた複合ゴムフィルムおよびその製造法に関し、各種分野のシール材やクッション材として使用可能な複合ゴムフィルムを提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
シリコーンゴムフィルムは、優れた耐熱性とクッション性を有しているため、産業上の広い分野でシール材やクッション材等に使用されている。しかしながら、シリコーンゴムフィルムは、他の素材との接着性に乏しく、シリコーンゴムフィルムを装置や部品に組み込む場合に高価な接着剤を使用する必要があった。また、シリコーンゴムフィルムは、柔軟であるため、組み込み作業時の作業性に劣る等の欠点も有していた。このような問題を解決する手段として、シリコーンゴムフィルムと同様に耐熱性に優れ、かつシリコーンゴムフィルムよりも接着性が良好であって、低価格の汎用接着剤で接着可能なポリエステルフィルムと複合することが知られており、この方法はシリコーンゴムフィルムがポリエステルフィルムで補強されるため、組み込み作業時の作業性は向上するが、シリコーンゴムフィルムとポリエステルフィルムの接着性が悪いため実用化されていない。
【0003】
シリコーンゴムと他の素材との接着性を向上する手段として、シリコーンゴムにアリルグリシジルエーテル、グリシジルアクリレートを配合すること(特開昭54−162751号公報参照)、ヘキサビニルジシロキサン、ジメチルテトラビニルジシロキサン等のオルガノシロキサンを配合すること(特開平3−111452号公報参照)、アルケニルカーボネート基含有化合物および/またはメルカプトアセテート基含有化合物を配合すること(特開平8−120177号公報参照)等が提案されているが、これらを配合したシリコーンゴムフィルムをポリエステルフィルムに積層しても、両フィルム間の層間接着力はまだ不十分であって、実用的な複合体が得られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、シリコーンゴムを主成分とするゴムフィルムとポリエステルフィルムの積層体からなり、各種の装置や部品に組み込む際に安価な汎用接着剤で接着加工を行うことができ、組み込み作業の際の作業性が良好で、しかも層間接着力に優れていて実用的な複合ゴムフィルムを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、ポリエステルフィルムの少なくとも片面にシリコーンゴムを主成分とするゴムフィルムを積層してなる複合ゴムフィルムにおいて、上記のゴムフィルムが接着性改良剤として多価アルコールのアクリル酸エステルおよび多価アルコールのメタクリル酸エステルの少なくとも一方を配合した組成物からなり、かつ電子線照射で架橋され、上記のゴムフィルムおよびポリエステルフィルムの層間剥離強度が4N/20mm以上であることを特徴とする複合ゴムフィルムである。ただし、上記のゴムフィルムは、シリコーンゴムを主成分とするもの、すなわちゴム成分がシリコーンゴムのみのゴム組成物および全ゴム成分の50重量%以上がシリコーンゴムのゴム組成物からなるものである。
【0006】
上記の複合ゴムフィルムは、請求項3に記載のごとく、ポリエステルフィルムの少なくとも片面にシリコーンゴムを主成分とし、接着性改良剤として多価アルコールのアクリル酸エステルおよび多価アルコールのメタクリル酸エステルの少なくとも一方を配合した未加硫のゴム組成物を積層し、次いで電子線照射で架橋することによって製造することができる。
【0007】
この発明の複合ゴムフィルムは、シリコーンゴムを主成分とするゴムフィルムとポリエステルフィルムの複合体であるから、任意の装置に組み込む際、ポリエステルフィルム面を接着剤で接着することにより、上記装置の所望箇所に容易に接着でき、かつポリエステルフィルムの存在により、組み込み時の作業性もゴムフィルム単体に比べて良好である。そして、ゴムフィルムとポリエステルフィルムの層間剥離強度が4N/20mm以上、好ましくは6N/20mm以上、特に好ましくは8N/20mm以上、すなわちシリコーンゴムを主成分とするゴムフィルムの強度以上であるから、上記装置への接着後にゴムフィルムがポリエステルフィルムとの層間で剥離することもない。したがって、シリコーンゴムを主成分とするフィルムの優れた耐熱性およびクッション性を活かしてシール材やクッション材として有効に利用することができる。ただし、上記層間剥離強度が4N/20mm未満では、ポリエステルフィルム面を基材に接着した後に外力が作用すると、層間に剥離が生じるため、実用に供し得ない。
【0008】
この発明で用いるシリコーンゴムは、平均単位式:Ra Si O(4-a)/2 で表されるオルガノポリシロキサンである。上式中、Rは置換または非置換の一価炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等が挙げられ、好ましくはメチル基、ビニル基、フェニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基である。また、上式中、aは1.9〜2.1の範囲内の数である。シリコーンゴム成分は、上記の平均単位式で表されるが、これを構成する具体的なシロキサン単位としては、例えば、R3 Si O1/2 単位、R2 (HO)Si O1/2 単位、R2 Si O2/2 単位、RSi O3/2 単位およびSi O4/2 単位が挙げられる。
【0009】
シリコーンゴム成分の主成分は、R2 Si O2/2 単位とR3 Si O1/2 単位もしくはR2 (HO)Si O1/2 単位を必須とする直鎖状の重合体であり、場合により少量のRSi O3/2 単位および/またはR3 Si O1/2 単位を含有して、一部分岐構造を有することができる。また、シリコーンゴム成分の一部としてR3 Si O1/2 単位およびSi O4/2 単位からなる樹脂状の重合体を配合することができる。このようにシリコーンゴム成分は、二種以上の重合体の混合物であってもよい。また、本組成物が付加反応硬化型シリコーンゴム組成物である場合には、上記平均単位式で表されるオルガノポリシロキサン中のRの少なくとも2個はアルケニル基であることが必要である。
【0010】
また、シリコーンゴム成分の分子構造は特に限定されず、例えば、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、分岐鎖状、樹脂状等が挙げられ、シリコーンゴムを形成するためには、直鎖状の重合体か、または直鎖状の重合体を主成分とする混合物である。このようなシリコーンゴム成分としては、例えば、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメトキシシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメトキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメトキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメトキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、R3 Si O1/2 単位とSi O4/2 単位からなるオルガノポリシロキサン共重合体、R2 Si O2/2 単位とRSi O3/2 単位からなるオルガノポリシロキサン共重合体、R3 Si O1/2 単位とR2 Si O2/2 単位とRSi O3/2 単位からなるオルガノポリシロキサン共重合体、これら二種以上の混合物が挙げられる。なお、上記シリコーンゴム成分の25℃における粘度は、特に限定されないが、実用的には100センチストークス以上、特に1,000センチストークス以上が好ましい。
【0011】
この発明では、上記のシリコーンゴムに他のゴムを混用して特性を改善することができる。他のゴムは、天然ゴムまたは合成ゴムのいずれでもよく、合成ゴムとしてはブタジエン系、イソプレン系、スチレン系、ニトリル系、エチレンプロピレン系、フッ素系等が例示され、付加すべき特性に応じて選択される。ただし、シリコーンゴム以外のゴムの配合量は、全ゴム成分の50重量%未満にすべきであり、配合量が50重量%以上になると、シリコーンゴムを主成分とするゴムフィルムの耐熱性が低下する。
【0012】
上記のシリコーンゴムを主成分とするゴムフィルムには、ポリエステルフィルムとの接着性を改善するため、接着性改良剤が配合される。この接着性改良剤は、ラジカル反応に対して活性な官能基を含む化合物であり、アクリル酸誘導体、メタクリル酸誘導体、アリル誘導体等が例示されるが、これらの誘導体の中で不飽和結合を2個以上、特に3個以上有する化合物が好ましい。これらの化合物は、ゴムの共架橋剤として広く使用されている化合物であり、多価アルコールのアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル、多価カルボン酸のアリルエステル、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート等が挙げられるが、特に多価アルコールのアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルが好ましい。
【0013】
上記多価アルコールのアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルは、2個以上のアルコール性水酸基を有する多価アルコールのアルコール性水酸基2個以上をアクリル酸やメタクリル酸でエステル化したエステル化合物であり、例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3ブタンジオールジアクリレート、1,3ブタンジオールジメタクリレート、1,4ブタンジオールアクリレート、1,4ブタンジオールメタクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、2,2′ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2′ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロン、グリセリンジメタクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、テトラメチロールメタンジアクリレート、テトラメチロールメタンジメタクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールテトラアクリレート、テトラメチロールテトラメタクリレート等が挙げられ、特に3個以上のアリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを含む化合物が好ましい。なお、上記の化合物は、アクリル酸およびメタクリル酸のそれぞれの単独エステル化合物を例示したが、アクリル酸とメタクリル酸の混合エステルの形であってもよい。
【0014】
また、多価カルボン酸のアリルエステルとしてはフタル酸ジアリレート、トリメリット酸ジアリレート、ピロメリット酸テトラアリレート等が挙げられる。
【0015】
上記ゴムフィルムの接着性改良剤は、いずれか一種を単独で用いてもよく、また二種以上を併用してもよい。また、この発明に用いられる接着性改良剤は、上記の例示化合物に限定されるものではない。
【0016】
上記接着性改良剤の配合量は、全ゴム成分100重量部に対して0.2〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部であり、0.2重量部未満ではポリエステルフィルムとの接着強度が不十分となり、反対に20重量部を超えると上記接着強度の向上効果が飽和に達し、かつゴム成分の物性が低下する。なお、必要に応じて補強性充填剤、顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、離型剤、難燃剤、チクソトロピー性付与剤、充填剤用分散剤等を配合することができる。
【0017】
この発明においては、上記の接着性改良剤による接着性向上効果を促進させるための接着性向上促進剤として、過酸化物を配合することができ、この配合によりゴムフィルムとポリエステルフィルムの層間剥離強度が一層向上する。ただし、上記過酸化物の配合量は、ゴム成分100重量部に対して0.05〜10重量部、特に1〜8重量部が好ましく、0.05重量部未満では接着性向上効果の発現が促進されず、また10重量部を超えた場合は、上記の促進効果が飽和し、かつゴムフィルムの物性が低下する。
【0018】
なお、上記の過酸化物は、アシル系またはアルキル系のいずれでもよく、ベンゾイルパーオキサイド、モノクロルベンゾイルパーオキサイド、2,4ジクロルベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジーt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド等が例示される。
【0019】
シリコーンゴムを主成分とするゴムに上記配合剤を配合する方法は、特に限定されず、例えばゴムコンパウンドを作製する際に2本ロール、バンバリーミキサー、ドウミキサー(ニーダー)などのゴム練り機を用いて行ってもよく、またゴムを溶剤に溶解し、流延法で製膜する場合は、ゴムコンパウンドを溶媒に溶解して溶液を作製する際、または得られた溶液に添加配合してもよい。
【0020】
この発明におけるポリエステルフィルムは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等を主成分とするものであれば任意に使用できる。このポリエステルフィルムとして、その表面を活性線で処理したり、ポリエステルフィルムの表面に接着性を向上させる化合物からなる易接着層を積層した易接着性ポリエステルフィルムを使用してもよく、この易接着性ポリエステルフィルムの使用により、前記ゴムフィルムに対する接着性改良剤の配合量を下げることができる。
【0021】
上記の活性線による処理方法としては、コロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理、火炎処理等が例示され、積層により接着性を向上させる易接着層用の化合物としては、請求項2、4に記載のごとく、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアクリル系のポリマーまたはこれらの混合物が挙げられる。この易接着層を積層する方法は、製膜時に積層するいわゆるインライン法、または製膜したフィルムに積層するいわゆるオフライン法のいずれでもよい。また、易接着層を積層したフィルムの易接着層表面を上記の活性線で処理することもできる。
【0022】
また、この発明のポリエステルフィルムは、多層構造のものでもよい。例えば、上記のポリエステルフィルムに低融点のポリエステルフィルムを積層し、高融点側のフィルム面にゴムフィルムを積層した複合ゴムフィルムは、低融点側のフィルム面を基材に熱接着することが可能になり、複合ゴムフィルムの用途分野が拡大される。
【0023】
この発明の複合ゴムフィルムは、前記のとおりポリエステルフィルムの少なくとも片面にシリコーンゴムを主成分とする未加硫のゴム組成物を積層し、次いで加硫処理をすることにより製造されるが、この製造法は、上記の加硫処理によりゴムの架橋反応が進むと同時に、ゴムフィルムとポリエステルフィルム間に接着力が発現することが特長である。ゴムフィルムが未加硫状態では、ゴムフィルムとポリエステルフィルム間の接着力が低く、また加硫したゴムフィルムとポリエステルフィルムとを積層しても接着力が発現しない。そして、ゴムフィルムに接着性改良剤や接着性向上促進剤を配合したり、またポリエステルフィルムを活性線で処理したり、またポリエステルフィルムに易接着層を積層したりしても、その接着性向上効果は、上記とおり未加硫状態で積層し、この積層後に加硫することにより初めて発現する。
【0024】
この発明において、ポリエステルフィルムに未加硫のゴムフィルムを積層する方法は、特に限定されない。例えば、ポリエステルフィルムの表面にゴム組成物を溶媒に溶解した溶液を塗工、乾燥してゴムの薄膜を形成する方法、ポリエステルフィルムの表面にゴム組成物を高圧下で押出してゴムの薄膜を形成する方法等が挙げられる。液状ゴムの場合は、溶剤で希釈することなく塗工する方法でもよい。なお、本発明におけるゴムフィルムおよびポリエステルフィルムの厚み構成比は、複合体の用途に応じて任意に設定することができる。
【0025】
架橋は、ゴム組成物を上記の方法で積層した後、電子線を照射して行われる。この架橋処理における各種助剤を添加することは何ら制限されない。
【0026】
上記複合ゴムフィルムは、使用目的によりゴムフィルムの表面粗さを種々に変えたい場合がある。例えば、コンパクトディスクのドライブテーブル上に取付けるための緩衝用ゴムテープでは、コンパクトディスクのグリップ性と離脱性をバランスさせるため、表面粗度を適度に設定する必要がある。このような目的でゴムフィルムの表面粗度を制御する手段として、表面粗度の異なるフィルムや布帛からなるカバーシートを未架橋状態のゴムフィルム表面に重ねてカバーシートの表面形態をゴムフィルム表面に転写することが知られている。例えば、一般のゴムシートの表面に微細な凹凸を付与する手段として、マット加工やエンボス加工を施したポリエチレンフィルムや塩化ビニルフィルム、またはナイロンタフタやポリエステルタフタ等のフィラメント織物をカバーシートに用いた目付けが広く行われている。
【0027】
ところで、上記のカバーシートは、ゴムシートの架橋時にその表面に重ねられて架橋終了後に剥離されるが、この発明のようにゴムフィルムにポリエステルフィルムとの間の層間剥離強度を向上させるために接着性改良剤等が配合されている場合は、架橋後にカバーシートを剥離しようとしても、ゴムシートとカバーシート間の剥離強度も向上しているためカバーシートの剥離が困難になり、かといって架橋処理前にカバーシートを剥離すると、ゴムフィルムのゴムが欠けてカバーシートに付着するという問題がある。
【0028】
したがって、カバーシートでゴムフィルムの表面粗度を制御する場合は、カバーシートの剥離性を向上させるための表面処理を行うことが好ましい。また、カバーシートとして、ゴムフィルムに対する接着力が低い素材、例えばポリ−4−メチルペンテン−1またはエチレン・メチルメタクリレート共重合体からなるフィルムを用いてもよい。また、ゴムフィルムを多層化し、接着性改良剤の配合量をポリエステル側よりもカバーシート側で少なくすることができる。また、架橋を電子線照射で行う場合は、その照射をポリエステルフィルム側から行うことも一方法であり、この場合はゴムフィルムとポリエステルフィルムの層間接着力も向上する点で好ましい。
【0029】
なお、カバーシートにナイロンタフタやポリエステルタフタ等のフィラメント織物を用いて目付けする場合、ゴム組成物が織目からしみ出してポリエステルフィルムの裏面を汚染するのを防ぐため、上記の織物に目止め処理することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
実施形態1
シリコーンゴム100重量部に対し多価アルコールのメタクリル酸エステルを0.2〜20重量部配合し、混練して得られたシリコーンゴム組成物をトルエン等の溶媒に溶解してシリコーンゴム溶液とし、このシリコーンゴム溶液を厚みが0.003〜0.25mmの市販のポリエステルフィルムの表面に乾燥後の全厚みが好ましくは0.03〜0.5mmとなるように塗布、乾燥し、しかるのち電子線照射によって架橋し、シリコーンゴムフィルムとポリエステルフィルムの層間剥離強度が4N/20mm以上の複合ゴムフィルムを得る。なお、この実施形態は、架橋を電子線照射によって行うので、厚みが均一な複合体を経済的に製造できる点で好ましい。
【0031】
得られた複合ゴムフィルムは、ポリエステルフィルムの面を接着面として使用することにより、市販の汎用接着剤で所望の機材に容易に接着することができ、しかもシリコーンゴムフィルムとポリエステルフィルムの層間接着力が強いため、この層間から外力で剥離されることがなく、実用的である。例えば、シリコーンゴムフィルムを機材に接着する際に広く使用されている両面粘着テープを用いた場合、上記の層間接着力が強いため、外力を加えた際に層間で剥離することはなく、両面粘着テープによる接着部で剥離が生じる。また、シリコーンゴムフィルムとポリエステルフィルムとからなる複合ゴムフィルムであり、シリコーンゴムフィルム単体に比べて腰が強いため、任意の装置に組み込む際の作業性に優れる。したがって、シリコーンゴムフィルムの優れた耐熱性とクッション性を十分に活かしてシール材やクッション材として使用可能になる。
【0032】
実施形態2
液状シリコーンゴム組成物を用い、これを希釈することなく直ちにメタクリル酸エステルを添加、攪拌し、しかるのちポリエステルフィルムの表面に塗布した後、乾燥することなく電子線照射によって架橋し、複合ゴムフィルムを製造する。得られた複合ゴムフィルムは、シリコーンゴムフィルムとポリエステルフィルムの層間剥離強度が4N/20mm以上であり、実施形態1の複合ゴムフィルムと同様に使用できる。
【0033】
実施形態3
ポリエステルフィルムの表裏両面に接着性向上用のポリエステル系ポリマーを積層し、得られた易接着性ポリエステルフィルムの表面に実施形態1のシリコーンゴム溶液を塗布、乾燥し、このゴムフィルムの表面にカバーシートとしてポリビニルアルコールで目止めしたナイロンタフタを重ねて圧接させ、得られた積層体にポリエステルフィルム側から電子線を照射してプレ架橋を行い、次いでカバーシートを剥離したのちゴムフィルム側から電子線を照射してポスト架橋を行って複合ゴムフィルムを製造する。得られた複合ゴムフィルムは、シリコーンゴムフィルムとポリエステルフィルムの層間剥離強度が4N/20mm以上で、実施形態1の複合ゴムフィルムと同様に実用性が高い。
【0035】
実施形態4
シリコーンゴム100重量部に対して多価アルコールのメタクリル酸エステルを0.2〜20重量部配合し、混練してゴムシートを成形し、このゴムシートを用いてトッピング法により上記実施形態3の易接着性ポリエステルフィルムの表面にシリコーンゴムフィルムを積層し、しかるのち電子線照射で架橋して層間剥離強度が4N/20mm以上の複合フィルムを製造する。
【0036】
実施形態5
実施形態1のシリコーンゴム組成物に該シリコーンゴムよりも少量の天然ゴムまたはブタジエン系、イソプレン系、スチレン系、ニトリル系、エチレンプロピレン系、フッ素系等の合成ゴムを含むゴム組成物を加えて混練し、溶媒に溶解し、得られたゴム溶液を実施形態3の易接着性ポリエステルフィルムの表面に塗布、乾燥し、以下実施形態3と同様にカバーシートを重ねて圧接し、電子線照射によるプレ架橋とポスト架橋を順に行って層間剥離強度4N/20mm以上の複合ゴムフィルムを製造する。
【0037】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を詳述する。なお、以下の記載で「部」は重量部を示す。
【0038】
実施例1
シリコーンゴムコンパウンドとして、市販の高強度型シリコーンゴムコンパウンド(信越化学工業社製、「KE555−U」)および市販の一般成形用シリコーンゴムコンパウンド(信越化学工業社製、「KE958−U」)を60:40の重量比で配合し、2本ロールを用い、100℃で混練して厚み3mmのゴムシートを成形した。この未加硫のゴムシートを切断して1cm角の細片とし、この細片をトルエンに対する重量比率が23%となるように秤量し、トルエンと共に真空脱泡装置付き攪拌機に投入し、大気圧下で15時間攪拌して上記細片をトルエンに溶解した後、該溶液にトリメチロールプロパントリメタクリレートを、シリコーンゴムコンパウンド100部に対して2部となるように添加し、均一に攪拌した後、真空脱泡装置を駆動し、ゲージ圧−750mmHgの真空下で更に20分間攪拌し、脱泡した。
【0039】
次いで、上記の溶解、脱泡で得られたシリコーンゴム溶液をロールコーターに供給し、あらかじめコロナ処理を施した厚み0.038mmのポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面に乾燥後厚みが0.15mmとなるように塗布し、続いてオーブンに導入し、80℃で乾燥し、更に電子線照射装置(200KV、15Mrad )に導き、ゴム側から電子線を照射して架橋処理を施し、シリコーンゴムフィルムにポリエステルフィルムが積層された複合ゴムフィルムを製造した。
【0040】
得られた複合ゴムフィルムにおけるシリコーンゴムフィルムとポリエステルフィルムの層間剥離強度をJIS K6854に準じT型剥離法で測定したところ、途中でシリコーンゴムフィルムが破損し、剥離強度は10N/20mm以上と判断された。したがって、この複合ゴムフィルムのポリエステルフィルム面を両面粘着テープで機材に接着した際、接着性が良好であると共に、外力で上記の層間が剥離することはなく、かつポリエステルフィルムの存在により作業性に優れており、実用性の高いものであった。
【0041】
比較例1
実施例1において、トリメチロールプロパントリメタクリレートの添加を省略する以外は実施例1と同様にして比較例1の複合ゴムフィルムを製造した。この比較例1の層間剥離強度を前記同様に測定したところ、0.4N/20mmと低く、この複合ゴムフィルムは装置に組み込んだ際に層間から剥離し易く、実用性に劣るものであった。
【0042】
実施例2
実施例1におけるトリメチロールプロパントリメタクリレートの添加量を4部とし、かつシリコーンゴム溶液をポリエステルフィルムの非コロナ面に塗布、乾燥する以外は、実施例1と同様にして実施例2の複合ゴムフィルムを製造した。層間剥離強度は、8N/20mmと強く、実用性に優れていた。
【0043】
比較例2
実施例2におけるトリメチロールプロパントリメタクリレートの添加を省略する以外は、実施例2と同様にして比較例2の複合ゴムフィルムを製造した。その層間剥離強度は0.08N/20mmと低く、実用性に劣るものであった。
【0044】
実施例3
実施例1のシリコーンゴム溶液を調製する際、トリメチロールプロパントリメタクリレートの添加量を1部にする以外は実施例1と同様にしてシリコーンゴム溶液を得た。一方、ポリエチレンテレフタレートフィルムの表裏両面に接着性向上用のポリエステル系ポリマー(テレフタル酸、イソフタル酸、3−スルホイソフタル酸のナトリウム塩、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびネオペンチルグリコールよりなるポリエステル)を積層した厚み0.038mmの易接着性ポリエステルフィルムを用意する。そして、この易接着性ポリエステルフィルムに上記のシリコーンゴム溶液を乾燥後厚みが0.16mmとなるように塗布し、続いてオーブンに導入して80℃で乾燥し、そのゴム表面にカバーシートとしてポリビニルアルコールで目止め処理を施したナイロンタフタを重ね、圧着ロールを用いて圧力5 kgf/cm2 で押さえながら連続的に積層する。
【0045】
次いで、得られた積層体を電子線照射装置に導入し、ポリエステルフィルム側から200KV、3Mrad の電子線照射によるプレ架橋を行ってゴムフィルムとポリエステルフィルムとを接着し、上記のカバーシートを剥離した。続いて、得られたシリコーンゴムフィルムとポリエステルフィルムの複合体を再び電子線照射装置に導入し、ゴムフィルム側から200KV、15Mrad の電子線照射によるポスト架橋を行い、総厚み0.20mmの複合ゴムフィルムを得てロール状に巻き取った。ゴムフィルムとポリエステルフィルムの層間剥離強度は、測定時にゴムフィルムが破損して12N/20mm以上と判断される程度に強く、実施例1の複合ゴムフィルムと同様に実用性の高いものであった。
【0046】
比較例3
実施例3におけるトリメチロールプロパントリメタクリレートの添加を省略する以外は実施例3と同様にして比較例3の複合ゴムフィルムを製造した。この複合ゴムフィルムの層間剥離強度は0.8N/20mmと低く、実用性の劣るものであった。
【0047】
実施例4〜6
実施例3のトリメチロールプロパントリメタクリレートに代えて種々の接着性改良剤を用い、配合量を変える以外は実施例3と同様にして複合ゴムフィルムを製造した。得られた複合ゴムフィルムの層間剥離強度は、下記の表1に示すように強く、実用性の高いものであった。
【0048】
表1
実施例4 実施例5 実施例6
接着性改良剤 A C D
配合量(部) 4 3 2
層間剥離強度(N/20mm) 10以上 8 12以上
ただし、表中の接着性改良剤A、C、Dは下記の化合物を示す。
A:トリメチロールプロパントリアクリレート
C:エチレングリコールジメタクリレート
D:ペンタエリスリトールテトラアクリレート
【0049】
実施例7
実施例3において、シリコーンゴムコンパウンドとして、市販の高強力型シリコーンゴムコンパウンド(信越化学工業社製、「KE575−U」)、市販の一般成形用シリコーンゴムコンパウンド(信越化学工業社製、「KE956−U」)および市販の導電型シリコーンゴムコンパウンド(信越化学工業社製、「KE3603−U」)を用い、これらを70:10:20の比率で混練する以外は、実施例3と同様にして実施例7の複合ゴムフィルムを製造した。この複合ゴムフィルムの層間剥離強度は、測定時にシリコーンゴムフィルムが破損して11N/20mm以上と判断される程度に強く、実用性に優れていた。
【0050】
比較例4
実施例7におけるトリメチロールプロパントリメタクリレートの添加を省略する以外は、実施例7と同様にして比較例4の複合フィルムを製造した。その層間剥離強度は0.8 N/20mmと低く、実用性に劣るものであった。
【0051】
実施例8
実施例3において、シリコーンゴムコンパウンドを市販の高強力型シリコーンゴムコンパウンド(信越化学工業社製、「KE522−U」)単独に、ゴムフィルムの厚みを0.035mmに、ポリエステルフィルムの厚みを0.10mmに、またカバーシートをマット加工したポリエチレンフィルムにそれぞれ変更する以外は、実施例3と同様にして実施例8の複合ゴムフィルムを製造した。その層間剥離強度は、測定時にゴムフィルムが破損して12N/20mm以上と判断される程度に強く、実用性に優れていた。
【0052】
比較例5
実施例8において、そのトリメチロールプロパントリメタクリレートの添加を省略する以外は、実施例8と同様にして比較例5の複合ゴムフィルムを製造した。その層間剥離強度は0.7N/20mmと低く、実用性に欠けていた。
【0053】
実施例9
実施例3において、ポリエステルフィルムの接着性向上用ポリエステル系ポリマーを市販の水分散型ポリウレタン樹脂(大日本化学工業社製「ハイドランHW350」)および市販の水分散型ポリエステル樹脂(東洋紡績社製「バイロナールMD1200」)の60:40重量比の混合物に、ポリエステルフィルムの厚みを0.05mmに、カバーシートをポリ−4−メチルペンテン1の共重合体からなる厚み0.035mmのマット加工フィルム(三井石油化学社製「オピュランX−60YMT4)にそれぞれ変更する以外は、実施例3と同様にして複合ゴムフィルムを製造した。その層間剥離強度は、測定時にゴムフィルムが破損して11N/20mm以上と判断される程度に強く、実用性に優れていた。
【0055】
実施例10
シリコーンゴムコンパウンドとして、市販の高強度型シリコーンゴムコンパウンド(信越化学工業社製、「KE555−U」)および市販の一般成形用シリコーンゴムコンパウンド(信越化学工業社製、「KE958−U」)を70:30の重量比で配合し、これにトリメチロールプロパントリメタクリレート3部を加え、2本ロールを用い、100℃で混練して厚み3 mm のゴムシートを成形した。一方、ポリエチレンテレフタレートフィルムの表裏両面に実施例3の接着性向上用のポリエステル系ポリマーを積層した厚み0.075 mm の易接着性ポリエステルフィルムを用意する。そして、この易接着性ポリエステルフィルムに上記のゴムシートを、トッピング法でゴム層厚みが0.30 mm となるように積層し、これを電子線照射装置(750KV、15Mrad )に導き、ポリエステルフィルム側から電子線を照射して架橋処理を施し、シリコーンゴムフィルムおよびポリエステルフィルムの複合ゴムフィルムを製造した。得られた複合フィルムの層間剥離強度は、10N/20mm以上と判断される程度に強く、実用性に優れていた。
【0056】
実施例11
シリコーンゴム以外のゴムとしてEPDM(エチレン含有量34%、日本合成ゴム社製「EP21」)を用い、このEPDM100部につきポリエチレングリコール(分子量4000)を2.5部、ステアリン酸を0.5部、2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩(大内新興化学工業社製「ノクラックMBZ」)を1.5部、4,4−(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(大内新興化学工業社製「ノクラックCD」)を0.7部、フェノールホルムアルデヒドを2.0部、MAFカーボンを30.0部、FTカーボンを40.0部、ポリブテンを15.0部、N,N′−mフェニレンジマレイミドを1.5部添加し、常法により混練した。
【0057】
市販の高強度型シリコーンゴムコンパウンド(信越化学工業社製、「KE555−U」)および上記のEPDMコンパウンドを80/20の重量比で常法により混練し、得られたゴム混合物を用い、実施例3と同じ方法で複合フィルムを得た。この複合ゴムフィルムの層間剥離強度は、11N/20mm以上と判断される程度に強く、かつ耐候性が向上し、実用性に優れていた。
【0058】
【発明の効果】
請求項1、2に記載の発明は、シリコーンゴムを主成分とするゴムフィルムとポリエステルフィルムの複合体であるから、ポリエステルフィルム面を接着面として装置に組み込む場合、単体のゴムフィルムでは接着力が弱くて使用できないような安価な汎用接着剤を使用することができ、かつ単体のゴムフィルムに比べて腰が強いため、組み込み作業時の作業性が向上する。更に、シリコーンゴムを主成分とするゴムフィルムとポリエステルフィルムの層間接着力が強く、外力で相関剥離が生じないため、広い分野でシール材やクッション材として好適に使用することができる。
【0059】
請求項3、4記載の発明によれば、請求項1、2に記載された複合ゴムフィルムを容易に、かつ経済的に製造することができる。
Claims (4)
- ポリエステルフィルムの少なくとも片面にシリコーンゴムを主成分とするゴムフィルムを積層してなる複合ゴムフィルムにおいて、上記のゴムフィルムが接着性改良剤として多価アルコールのアクリル酸エステルおよび多価アルコールのメタクリル酸エステルの少なくとも一方を配合した組成物からなり、かつ電子線照射で架橋され、上記のゴムフィルムおよびポリエステルフィルムの層間剥離強度が4N/20mm以上であることを特徴とする複合ゴムフィルム。
- ポリエステルフィルムがポリエステル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、ポリアクリル系ポリマーまたはこれらの混合物からなる接着性向上用の易接着層を積層したものである請求項1記載の複合ゴムフィルム。
- 請求項1に記載された複合ゴムフィルムを製造する方法において、ポリエステルフィルムの少なくとも片面にシリコーンゴムを主成分とし、接着性改良剤として多価アルコールのアクリル酸エステルおよび多価アルコールのメタクリル酸エステルの少なくとも一方を配合した未加硫のゴム組成物を積層し、次いで電子線照射で架橋することを特徴とする複合ゴムフィルムの製造法。
- ポリエステルフィルムがポリエステル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、ポリアクリル系ポリマーまたはこれらの混合物からなる接着性向上用の易接着層を積層したものである請求項3記載の複合ゴムフィルムの製造法。
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