JP2020078945A - 樹脂金属複合体及びその製造方法 - Google Patents

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宇尾野 宏之
Hiroyuki Uono
宏之 宇尾野
山中 康史
Yasushi Yamanaka
康史 山中
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Abstract

【課題】ポリエステル樹脂と金属基体との接合性が著しく優れた樹脂金属複合体を提供する。【解決手段】アルミニウム基体上にポリエステル樹脂(A)よりなる層を最表層として有する積層体とポリエステル樹脂組成物(C)からなる部材とを、振動溶着、超音波溶着、熱板溶着又はスピン溶着により溶着させてなり、ポリエステル樹脂組成物(C)が、ポリエステル系樹脂を50質量%以上の割合で含有し、該ポリエステル系樹脂100質量部に対し、離型剤を0.05〜2質量部、及び、強化充填剤を5〜90質量部含有することを特徴とする、樹脂金属複合体。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂金属複合体及びその製造方法に関し、詳しくは、ポリエステル樹脂と金属との接合性が著しく優れた樹脂金属複合体及びその製造方法に関する。
近年の自動車部品や民生部品では軽量化やリサイクル等の環境面から、金属を使用していた部品の樹脂化や、樹脂製品の小型化等が進んでいる。ポリエステル樹脂は、機械的強度、耐薬品性及び電気絶縁性等に優れており、また優れた耐熱性、成形性、リサイクル性を有していることから、各種の機器部品に広く用いられている。特にポリブチレンテレフタレート樹脂に代表される熱可塑性ポリエステル樹脂は機械的強度や成形性に優れ、また難燃化が可能であることから、火災安全性の必要とされる電気電子機器部品等に広く使用されている。
電気電子機器部品や自動車部品等は、通常、アルミニウムや鉄などの金属等と複合化され樹脂金属複合体として使用されることが多い。金属との複合化は強度向上の他、静電防止、熱伝導性、電磁波シールド性の観点からも有利である。
このような樹脂金属複合体を製造するには、例えば、特許文献1にあるように、金属基体上に熱可塑性樹脂をインモールド成形することにより、金属と一体成形することが行われる。しかし、金属基体に対しインモールド成形により熱可塑性ポリエステル樹脂を成形した複合体は、熱可塑性ポリエステル樹脂と金属基体との接着性が悪いという欠点がある。
また、樹脂と金属の複合体を得る方法としては、金属部品に表面処理を施した部品に射出成形により樹脂を接合する方法(例えば、特許文献2参照)が提案されている。しかし、この方法では、金属部品に特定の表面処理を施す必要があり、作業が煩雑になることから非効率的であり、さらには、安定的な接合強度を得ることが困難である。
加えて、特許文献1、2の技術では、例えば、複雑な形状を有する樹脂と金属を複合化する際、形状的な要因で溶着できなかったり、溶着できた場合でも十分な溶着強度を得られなかったりするといった問題もある。
特開平6−29669号公報 特開2008−173967号公報
本発明の目的(課題)は、ポリエステル樹脂と金属基体との接合性が著しく優れた樹脂金属複合体を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、金属基体上にポリエステル樹脂を最表層とする積層体と、ポリエステル樹脂組成物とをインサート成形することにより、ポリエステル樹脂と金属基体との接合性が著しく優れた樹脂金属複合体が達成できることを見出した。
また、本発明の別の態様として、金属基体上にポリエステル樹脂よりなる層を最表層として有する積層体とポリエステル樹脂組成物からなる部材とを、振動溶着、超音波溶着、熱板溶着又はスピン溶着により溶着させることによって、本発明の課題が解決されることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、以下のとおりである。
[1]金属基体上にポリエステル樹脂(A)よりなる層を最表層として有する積層体とポリエステル樹脂組成物(B)を備えるインサート成形体であることを特徴とする樹脂金属複合体。
[2]ポリエステル樹脂組成物(B)が、ポリエステル系樹脂(b)としてポリブチレンテレフタレート樹脂及びポリエチレンテレフタレート樹脂を含み、ポリエチレンテレフタレート樹脂の含有量が、ポリブチレンテレフタレート樹脂及びポリエチレンテレフタレート樹脂の合計100質量%に対して5〜50質量%である、上記[1]に記載の樹脂金属複合体。
[3]ポリエステル樹脂組成物(B)が、ポリエステル系樹脂(b)としてポリブチレンテレフタレート樹脂及び/又は変性ポリブチレンテレフタレート樹脂を含み、変性ポリブチレンテレフタレート樹脂の含有量が、ポリブチレンテレフタレート樹脂及び変性ポリブチレンテレフタレート樹脂の合計100質量%に対して10質量%以上である、上記[1]に記載の樹脂金属複合体。
[4]ポリエステル樹脂組成物(B)が、ポリエステル系樹脂(b)として、ポリブチレンテレフタレート樹脂及びポリカーボネート樹脂を含み、ポリカーボネート樹脂の含有量が、ポリブチレンテレフタレート樹脂及びポリカーボネート樹脂の合計100質量%に対して10〜50質量%である、上記[1]に記載の樹脂金属複合体。
[5]ポリエステル樹脂組成物(B)が、ポリエステル系樹脂(b)として、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン及び/又はブタジエンゴム含有ポリスチレン並びにポリカーボネート樹脂を含有し、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン及び/又はブタジエンゴム含有ポリスチレン並びにポリカーボネート樹脂の合計100質量%基準で、ポリブチレンテレフタレート樹脂を30〜90質量%、ポリスチレン及び/又はブタジエンゴム含有ポリスチレンを1〜50質量%、ポリカーボネート樹脂を1〜50質量%含有する、上記[1]に記載の樹脂金属複合体。
[6]前記金属基体がアルミニウム、鉄、銅、錫、ニッケル、亜鉛、マグネシウム及びそれらを含む合金からなる群から選択される、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂金属複合体。
[7]前記ポリエステル樹脂(A)が、ポリブチレンテレフタレート樹脂及びポリエチレンテレフタレート樹脂を含み、ポリブチレンテレフタレート樹脂の含有量が、ポリブチレンテレフタレート樹脂及びポリエチレンテレフタレート樹脂の合計100質量%に対して50〜90質量%である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の樹脂金属複合体。
[8]金属基体上にポリエステル樹脂(A)よりなる層を最表層として有する積層体上に、ポリエステル樹脂組成物(B)を射出成形することを特徴とする、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の樹脂金属複合体の製造方法。
[9]射出成形に先立って積層体を加熱することを特徴とする、上記[8]に記載の樹脂金属複合体の製造方法。
[10]金属基体上にポリエステル樹脂(A)よりなる層を最表層として有する積層体とポリエステル樹脂組成物(C)からなる部材とを、振動溶着、超音波溶着、熱板溶着又はスピン溶着により溶着させてなることを特徴とする、樹脂金属複合体。
[11]金属基体上にポリエステル樹脂(A)よりなる層を最表層として有する積層体とポリエステル樹脂組成物(C)からなる部材とを、振動溶着、超音波溶着、熱板溶着又はスピン溶着により溶着させることを特徴とする樹脂金属複合体の製造方法。
本発明の樹脂金属複合体は、優れた接合性、溶着性を発現し、接合強度、溶着強度に優れた接合・溶着成形品を達成することができる。
実施例で作製した樹脂金属複合体の概略図である。(a)は複合体を上から見た図であり、(b)は側面から見た図である。
本発明の第1の発明の樹脂金属複合体は、金属基体上にポリエステル樹脂(A)よりなる層を最表層として有する積層体とポリエステル樹脂組成物(B)を備えるインサート成形体であることを特徴とする。
また、本発明の第1の発明の樹脂金属複合体の製造方法は、金属基体上にポリエステル樹脂(A)よりなる層を最表層として有する積層体上に、ポリエステル樹脂組成物(B)を射出成形することを特徴とする。
本発明の第2の発明の樹脂金属複合体は、金属基体上にポリエステル樹脂(A)よりなる層を最表層として有する積層体とポリエステル樹脂組成物(C)からなる部材とを、振動溶着、超音波溶着、熱板溶着又はスピン溶着により溶着させてなることを特徴とする。
さらに、本発明の第2の発明の樹脂金属複合体の製造方法は、金属基体上にポリエステル樹脂(A)よりなる層を最表層として積層してなる積層体とポリエステル樹脂組成物(C)からなる部材とを、振動溶着、超音波溶着、熱板溶着又はスピン溶着により溶着させることを特徴とする。
以下、本発明の内容について詳細に説明する。以下の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定して解釈されるものではない。
[第1の発明の樹脂金属複合体]
本発明の第1の発明の樹脂金属複合体は、金属基体上に最表層としてポリエステル樹脂(A)を積層した積層体とポリエステル樹脂組成物(B)とをインサート成形により一体的に接合した樹脂と金属の複合体であり、金属とポリエステル樹脂とが強固に結合した樹脂金属複合体である。本発明は、強固な接合・溶着が困難であったポリエステル樹脂と、金属でありながら、金属基体上にポリエステル樹脂層を最表層として積層した積層体を用い、それにポリエステル樹脂組成物(B)をインサート成形することにより、金属とポリエステル樹脂とがしっかり接合され、一体化し強固に結合した樹脂金属複合体を初めて可能とするものである。
[ポリエステル樹脂組成物(B)]
インサート成形に用いられるポリエステル樹脂組成物(B)は、結晶化温度が200℃以下であるものが好ましい。結晶化温度(Tc)を低めにコントロールすることにより、インサート成形による積層体との接合性が向上する傾向にある。結晶化温度(Tc)はより好ましくは195℃以下、さらに好ましくは190℃以下である。また、その下限は、通常160℃、好ましくは165℃以上である。なお、結晶化温度(Tc)はDSCにより測定され、その詳細は実施例に記載されるとおりである。
ポリエステル樹脂組成物(B)としては、ポリエステル系樹脂(b)を主成分として含むものが好ましい。主成分であるポリエステル系樹脂(b)は、ポリエステル樹脂を含有するものであり、好ましくはポリエステル樹脂を50質量%以上の割合で含有するものである。
ポリエステル樹脂は、好ましくはジカルボン酸化合物とジヒドロキシ化合物の重縮合、オキシカルボン酸化合物の重縮合あるいはこれらの化合物の重縮合等によって得られる熱可塑性ポリエステル樹脂であり、ホモポリエステル、コポリエステルの何れであってもよい。
ポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸化合物としては、芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体が好ましく使用される。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸、ビフェニル−3,3’−ジカルボン酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルフォン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルイソプロピリデン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、アントラセン−2,5−ジカルボン酸、アントラセン−2,6−ジカルボン酸、p−ターフェニレン−4,4’−ジカルボン酸、ピリジン−2,5−ジカルボン酸等が挙げられ、テレフタル酸が好ましく使用できる。
これらの芳香族ジカルボン酸は2種以上を混合して使用しても良い。これらは周知のように、遊離酸以外にジメチルエステル等をエステル形成性誘導体として重縮合反応に用いることができる。
なお、少量であればこれらの芳香族ジカルボン酸と共にアジピン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸や、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸を1種以上混合して使用することができる。
ポリエステル樹脂を構成するジヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、へキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−メチルプロパン−1,3−ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の脂肪族ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール等の脂環式ジオール等、およびそれらの混合物等が挙げられる。なお、少量であれば、分子量400〜6,000の長鎖ジオール、すなわち、ポリエチレングリコール、ポリ−1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等を1種以上共重合せしめてもよい。
また、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、ジヒドロキシジフェニルエーテル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の芳香族ジオールも用いることができる。
また、上記のような二官能性モノマー以外に、分岐構造を導入するためトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の三官能性モノマーや分子量調節のため脂肪酸等の単官能性化合物を少量併用することもできる。
ポリエステル樹脂としては、通常は主としてジカルボン酸とジオールとの重縮合からなるもの、即ち樹脂全体の50質量%、好ましくは70質量%以上がこの重縮合物からなるものを用いる。ジカルボン酸としては芳香族カルボン酸が好ましく、ジオールとしては脂肪族ジオールが好ましい。
中でも好ましいのは、酸成分の95モル%以上がテレフタル酸であり、アルコール成分の95質量%以上が脂肪族ジオールであるポリアルキレンテレフタレートである。その代表的なものはポリブチレンテレフタレート樹脂及びポリエチレンテレフタレート樹脂である。これらはホモポリエステルに近いもの、即ち樹脂全体の95質量%以上が、テレフタル酸成分及び1,4−ブタンジオール又はエチレングリコール成分からなるものであるのが好ましい。
ポリエステル樹脂の固有粘度は、0.5〜2dl/gであるものが好ましい。成形性及び機械的特性の点からして、0.6〜1.5dl/gの範囲の固有粘度を有するものが好ましい。固有粘度が0.5dl/gより低いものを用いると、ポリエステル樹脂組成物(B)が機械的強度の低いものとなりやすい。また2dl/gより高いものでは、樹脂組成物(B)の流動性が悪くなり成形性が悪化したり、得られる樹脂金属複合体の接合強度が低下する場合がある。
なお、ポリエステル樹脂の固有粘度は、テトラクロロエタンとフェノールとの1:1(質量比)の混合溶媒中、30℃で測定する値である。
ポリエステル樹脂の末端カルボキシル基量は、適宜選択して決定すればよいが、通常、60eq/ton以下であり、50eq/ton以下であることが好ましく、30eq/ton以下であることがさらに好ましい。50eq/tonを超えると、樹脂組成物の溶融成形時にガスが発生しやすくなる。末端カルボキシル基量の下限値は特に定めるものではないが、通常、10eq/tonである。
なお、ポリエステル樹脂の末端カルボキシル基量は、ベンジルアルコール25mLにポリエステル樹脂0.5gを溶解し、水酸化ナトリウムの0.01モル/lベンジルアルコール溶液を用いて滴定により測定する値である。末端カルボキシル基量を調整する方法としては、重合時の原料仕込み比、重合温度、減圧方法などの重合条件を調整する方法や、末端封鎖剤を反応させる方法等、従来公知の任意の方法により行えばよい。
ポリエステル系樹脂(b)は、ポリエステル系樹脂(b)中の50質量%以上がポリブチレンテレフタレート樹脂であることが好ましい。
また、ポリエステル系樹脂(b)は、ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂とを含有することも好ましい。ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂とを含有する場合の含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂の合計100質量%に対して、ポリエチレンテレフタレート樹脂が、好ましくは5〜50質量%であり、より好ましくは10〜45質量%であり、さらに好ましくは15〜40質量%である。ポリエチレンテレフタレート樹脂の含有量が5質量%未満であると、金属と樹脂組成物との接合強度が低下する傾向にあり、50質量%を超えると、成形性が著しく低下する場合があり好ましくない。
ポリエチレンテレフタレート樹脂は、全構成繰り返し単位に対するテレフタル酸及びエチレングリコールからなるオキシエチレンオキシテレフタロイル単位を主たる構成単位とする樹脂であり、オキシエチレンオキシテレフタロイル単位以外の構成繰り返し単位を含んでいてもよい。ポリエチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸又はその低級アルキルエステルとエチレングリコールとを主たる原料として製造されるが、他の酸成分及び/又は他のグリコール成分を併せて原料として用いてもよい。
テレフタル酸以外の酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸及びこれらの構造異性体、マロン酸、コハク酸、アジピン酸等のジカルボン酸及びその誘導体、p−ヒドロキシ安息香酸、グリコール酸等のオキシ酸又はその誘導体が挙げられる。
また、エチレングリコール以外のジオール成分としては、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環式グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族ジヒドロキシ化合物誘導体等が挙げられる。
さらに樹脂金属複合体の接合強度の観点から、ポリブチレンテレフタレート樹脂としては、イソフタル酸、ダイマー酸、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)等のポリアルキレングリコール等が共重合された変性ポリブチレンテレフタレート樹脂も好ましい。
変性ポリブチレンテレフタレート樹脂として、イソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂を用いる場合は、全カルボン酸成分に占めるイソフタル酸成分の割合は、カルボン酸基として1〜30モル%であることが好ましく、2〜20モル%がより好ましく、3〜15モル%がさらに好ましい。このような共重合割合とすることにより、接合性、耐性、射出成形性及び靭性のバランスに優れる傾向となり好ましい。
変性ポリブチレンテレフタレート樹脂として、ポリテトラメチレングリコールを共重合したポリエステルエーテル樹脂を用いる場合は、共重合体中のテトラメチレングリコール成分の割合は3〜40質量%であることが好ましく、5〜30質量%がより好ましく、10〜25質量%がさらに好ましい。このような共重合割合とすることにより、接合性と耐熱性とのバランスに優れる傾向となり好ましい。
変性ポリブチレンテレフタレート樹脂として、ダイマー酸共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂を用いる場合は、全カルボン酸成分に占めるダイマー酸成分の割合は、カルボン酸基として0.5〜30モル%であることが好ましく、1〜20モル%がより好ましく、3〜15モル%がさらに好ましい。このような共重合割合とすることにより、接合性、長期耐熱性及び靭性のバランスに優れる傾向となり好ましい。
上記した変性ポリブチレンテレフタレート樹脂の中でも、ポリテトラメチレングリコールを共重合したポリエステルエーテル樹脂、イソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂が、樹脂金属複合体の接合強度の観点から好ましい。
ポリエステル系樹脂(b)としては、ポリブチレンテレフタレート樹脂及び/又は上記変性ポリブチレンテレフタレート樹脂を含むものも好ましく、この場合の含有割合は、ポリブチレンテレフタレート樹脂と変性ポリブチレンテレフタレート樹脂の合計100質量%に対して、変性ポリブチレンテレフタレート樹脂が10質量%以上であることが好ましく、より好ましくは20〜90質量%であり、さらに好ましくは25〜80質量%であり、特に好ましくは30〜70質量%である。変性ポリブチレンテレフタレート樹脂の含有量が10質量%未満であると、樹脂金属複合体の接合強度が低下する傾向にあり好ましくない。
ポリエステル系樹脂(b)は、ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂とを含有することも好ましい。ポリカーボネート樹脂を特定量含有することにより、樹脂金属複合体の接合性が向上しやすくなり好ましい。
ポリカーボネート樹脂は、ジヒドロキシ化合物又はこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲン又は炭酸ジエステルと反応させることによって得られる、分岐していてもよい熱可塑性重合体又は共重合体である。
ポリカーボネート樹脂の原料のジヒドロキシ化合物としては、芳香族ジヒドロキシ化合物が好ましく、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられ、好ましくはビスフェノールAが挙げられる。また、上記の芳香族ジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムが1個以上結合した化合物を使用することもできる。
ポリカーボネート樹脂としては、上述した中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導される芳香族ポリカーボネート樹脂、又は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導される芳香族ポリカーボネート共重合体が好ましい。また、シロキサン構造を有するポリマー又はオリゴマーとの共重合体等の、芳香族ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体であってもよい。更には、上述したポリカーボネート樹脂の2種以上を混合して用いてもよい。
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、5,000〜30,000であることが好ましく、10,000〜28,000であることがより好ましく、14,000〜24,000であることがさらに好ましい。粘度平均分子量が5,000より低いものを用いると、得られる接合・溶着用部材が機械的強度の低いものとなりやすい。また30,000より高いものでは、樹脂組成物の流動性が悪くなり成形性が悪化したり、樹脂金属複合体の接合性が低下する場合がある。
なお、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、溶媒としてメチレンクロライドを用い、温度25℃で測定された溶液粘度より換算される粘度平均分子量[Mv]である。
ポリカーボネート樹脂の、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の質量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)は、2〜5であることが好ましく、2.5〜4がより好ましい。Mw/Mnが過度に小さいと、溶融状態での流動性が増大し成形性が低下する傾向にある。一方、Mw/Mnが過度に大きいと、溶融粘度が増大し成形困難となる傾向がある。
また、ポリカーボネート樹脂の末端ヒドロキシ基量は、熱安定性、加水分解安定性、色調等の点から、100質量ppm以上であることが好ましく、より好ましくは200質量ppm以上、さらに好ましくは400質量ppm以上、最も好ましくは500質量ppm以上である。但し、通常1,500質量ppm以下、好ましくは1,300質量ppm以下、さらに好ましくは1,200質量ppm以下、最も好ましくは1,000質量ppm以下である。ポリカーボネート樹脂の末端ヒドロキシ基量が過度に小さいと、樹脂金属複合体の接合性が低下しやすい傾向にあり、また、成形時の初期色相が悪化する場合がある。末端ヒドロキシ基量が過度に大きいと、滞留熱安定性や耐湿熱性が低下する傾向がある。
ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、ホスゲン法(界面重合法)及び溶融重合法(エステル交換法)のいずれの方法で製造したポリカーボネート樹脂も使用することができる。中でも、ポリカーボネート樹脂としては、溶融重合法で製造したポリカーボネート樹脂が、樹脂金属複合体の接合性の点から好ましい。
溶融重合法では、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換反応を行う。
芳香族ジヒドロキシ化合物は、前述の通りである。
一方、炭酸ジエステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−tert−ブチルカーボネート等の炭酸ジアルキル化合物;ジフェニルカーボネート;ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネートなどのジアリールカーボネートが挙げられる。中でも、ジアリールカーボネートが好ましく、ジフェニルカーボネートが特に好ましい。なお、炭酸ジエステルは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの比率は所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であるが、ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステルを等モル量以上用いることが好ましく、中でも1.01モル以上用いることがより好ましい。なお、上限は通常1.30モル以下である。このような範囲にすることで、末端ヒドロキシ基量を好適な範囲に調整できる。
ポリカーボネート樹脂では、その末端ヒドロキシ基量が、熱安定性、加水分解安定性、色調等に大きな影響を及ぼす傾向がある。このため、公知の任意の方法によって末端ヒドロキシ基量を必要に応じて調整してもよい。エステル交換反応においては、通常、炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物との混合比率、エステル交換反応時の減圧度などを調整することにより、末端ヒドロキシ基量を調整したポリカーボネート樹脂を得ることができる。なお、この操作により、通常は得られるポリカーボネート樹脂の分子量を調整することもできる。
炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物との混合比率を調整して末端ヒドロキシ基量を調整する場合、その混合比率は前記の通りである。
また、より積極的な調整方法としては、反応時に別途、末端停止剤を混合する方法が挙げられる。この際の末端停止剤としては、例えば、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類などが挙げられる。なお、末端停止剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
溶融重合法によりポリカーボネート樹脂を製造する際には、通常、エステル交換触媒が使用される。エステル交換触媒は任意のものを使用できる。中でも、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を用いることが好ましい。また補助的に、例えば塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物などの塩基性化合物を併用してもよい。なお、エステル交換触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
溶融重合法において、反応温度は通常100〜320℃である。また、反応時の圧力は通常2mmHg以下(267Pa以下)の減圧条件である。具体的操作としては、この範囲の条件で、ヒドロキシ化合物等の副生成物を除去しながら、溶融重縮合反応を行えばよい。
溶融重縮合反応は、バッチ式、連続式の何れの方法でも行うことができる。バッチ式で行う場合、反応基質、反応媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。ただし、ポリカーボネート樹脂及びポリカーボネート樹脂組成物の安定性等を考慮すると、溶融重縮合反応は連続式で行うことが好ましい。
溶融重合法においては、必要に応じて、触媒失活剤を用いても良い。触媒失活剤としてはエステル交換触媒を中和する化合物を任意に用いることができる。その例を挙げると、イオウ含有酸性化合物及びその誘導体などが挙げられる。なお、触媒失活剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
触媒失活剤の使用量は、前記のエステル交換触媒が含有するアルカリ金属又はアルカリ土類金属に対して、通常0.5当量以上、好ましくは1当量以上であり、また、通常10当量以下、好ましくは5当量以下である。更には、ポリカーボネート樹脂に対して、通常1質量ppm以上であり、また、通常100質量ppm以下、好ましくは20質量ppm以下である。
ポリエステル系樹脂(b)として、ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂とを含有する場合の含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂の合計100質量%に対して、ポリカーボネート樹脂が、好ましくは10〜50質量%であり、より好ましくは15〜45質量%であり、さらに好ましくは20〜40質量%である。ポリカーボネート樹脂の含有量が10質量%未満であると、樹脂金属複合体の接合強度が低下する傾向にあり、50質量%を超えると、成形性が著しく低下する場合があり好ましくない。
ポリエステル系樹脂(b)としては、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン及び/又はブタジエンゴム含有ポリスチレン並びにポリカーボネート樹脂を含有することも、樹脂金属複合体の接合性の観点から好ましい。
ポリカーボネート樹脂は、前述の通りである。
ポリスチレンとしては、スチレンの単独重合体、あるいは他の芳香族ビニルモノマー、例えばα−メチルスチレン、パラメチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン等を、例えば50質量%以下の範囲で共重合したものであってもよい。
ブタジエンゴム含有ポリスチレンとしては、ブタジエン系ゴム成分を共重合またはブレンドしたものであり、ブタジエン系ゴム成分の量は、通常1質量%以上50質量%未満であり、好ましくは3〜40質量%、より好ましくは5〜30質量%、さらに好ましくは、5〜20質量%である。ゴム成分としてアクリル系のゴム成分を含有するポリスチレンも考えられるが、靱性面にて乏しくなるので、ブタジエン系ゴム成分を含有するポリスチレンの方がより好ましい。ブタジエンゴム含有ポリスチレンとしては、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)が特に好ましい。
ポリスチレン又はブタジエンゴム含有ポリスチレンの中では、ブタジエンゴム含有ポリスチレンが好ましく、特にハイインパクトポリスチレン(HIPS)が好ましい。
ポリスチレン又はブタジエンゴム含有ポリスチレンとしては、質量平均分子量が50,000〜500,000であることが好ましく、中でも100,000〜400,000、特に150,000〜300,000が好ましい。分子量が50,000より小さいと、成形品でブリードアウトが見られたり、成形時に分解ガスが発生して十分なウエルド強度が得られにくく、また分子量が500,000より大きいと、十分な流動性や樹脂金属複合体の接合・溶着強度の向上が図りにくい。
ポリスチレン又はブタジエンゴム含有ポリスチレンは、200℃、98Nで測定されたメルトフローレート(MFR)が、0.1〜50g/10分であることが好ましく、0.5〜30g/10分であることがより好ましく、1〜20g/10分であることがさらに好ましい。MFRが0.1g/10分より小さいと、ポリエステル樹脂と相溶性が不十分となり、射出成形時に層剥離の外観不良が生じる場合がある。またMFRが50g/10分より大きいと、耐衝撃性が大きく低下し好ましくない。
特に、ポリスチレンである場合は、MFRは1〜50g/10分であることが好ましく、3〜35g/10分であることがより好ましく、5〜20g/10分であることがさらに好ましい。ブタジエンゴム含有ポリスチレンである場合は、MFRは0.1〜40g/10分であることが好ましく、0.5〜30g/10分であることがより好ましく、1〜20g/10分であることがさらに好ましい。
ポリエステル系樹脂(b)として、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン及び/又はブタジエンゴム含有ポリスチレン並びにポリカーボネート樹脂を含む場合、得られるポリエステル樹脂組成物(B)は、その結晶化温度(Tc)が200℃以下であることが好ましい。すなわち、ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂とのエステル交換反応を適度に抑制し、結晶化温度を適度に低下させることにより、樹脂金属複合体の接合性をより向上させることができる。結晶化温度(Tc)はより好ましくは195℃以下、さらに好ましくは190℃以下である。また、その下限は、通常160℃、好ましくは165℃以上である。
なお、結晶化温度(Tc)は示差走査熱量測定(DSC)により測定される。具体的には、示差走査熱量測定(DSC)機を用い、30〜300℃まで昇温速度20℃/minで昇温し、300℃で3分保持した後、降温速度20℃/minにて降温した際に観測される発熱ピークのピークトップ温度として測定される。
ポリエステル系樹脂(b)として、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン及び/又はブタジエンゴム含有ポリスチレン並びにポリカーボネート樹脂を含む場合の含有量は、以下の通りである。
ポリブチレンテレフタレート樹脂の含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン及び/又はブタジエンゴム含有ポリスチレン並びにポリカーボネート樹脂の合計100質量%基準で、30〜90質量%であることが好ましく、40〜80質量%がより好ましく、50〜70質量%がさらに好ましい。含有量が30質量%未満であると、耐熱性が低下する場合があり、90質量%を超えると、接合性が低下しやすくなり好ましくない。
ポリスチレン及び/又はブタジエンゴム含有ポリスチレンの含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン及び/又はブタジエンゴム含有ポリスチレン並びにポリカーボネート樹脂の合計100質量%基準で、1〜50質量%であることが好ましく、3〜45質量%がより好ましく、5〜40質量%がさらに好ましい。含有量が1質量%未満では、接合性、靱性が乏しくなる場合があり、50質量%を超えると、耐熱性が大きく低下しやすくなり好ましくない。
ポリカーボネート樹脂の含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン及び/又はブタジエンゴム含有ポリスチレン並びにポリカーボネート樹脂の合計100質量%基準で、1〜50質量%であることが好ましく、3〜45質量%がより好ましく、5〜40質量%がさらに好ましい。含有量が1質量%未満では、接合性が低下したり、ポリスチレン及び/又はブタジエンゴム含有ポリスチレンの分散が不良となり、成形品の表面外観が低下しやすくなる。50質量%を超えると、ポリブチレンテレフタレート樹脂とのエステル交換が進み、滞留熱安定性が低下する場合があり好ましくない。
また、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン及び/又はブタジエンゴム含有ポリスチレン並びにポリカーボネート樹脂の合計100質量%中、ポリスチレン及び/又はブタジエンゴム含有ポリスチレンとポリカーボネート樹脂との合計含有量は10〜55質量%であることが好ましく、20〜50質量%が好ましく、25〜45質量%がより好ましい。このような含有量とすることにより、耐熱性と接合性のバランスに優れる傾向となり好ましい。
さらに、ポリスチレン及び/又はブタジエンゴム含有ポリスチレンとポリカーボネート樹脂成分の含有割合は、質量比で5:1〜1:5であることが好ましく、4:1〜1:4であることがより好ましい。このような含有割合とすることにより、耐熱性と樹脂金属複合体の接合性のバランスに優れる傾向にあり好ましい。
ポリエステル系樹脂(b)としては、ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリスチレン及び/又はブタジエンゴム含有ポリスチレンとを含有することも、樹脂金属複合体の接合性の観点から好ましい。
ポリスチレン及び/又はブタジエンゴム含有ポリスチレンは、前述の通りである。
ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリスチレン及び/又はブタジエンゴム含有ポリスチレンとを含有する場合の含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリスチレン及び/又はブタジエンゴム含有ポリスチレンとの合計100質量%に対して、ポリスチレン及び/又はブタジエンゴム含有ポリスチレンが、好ましくは10〜50質量%であり、より好ましくは15〜45質量%であり、さらに好ましくは20〜40質量%である。ポリスチレン及び/又はブタジエンゴム含有ポリスチレンの含有量が10質量%未満であると、樹脂金属複合体の接合強度が低下する傾向にあり、50質量%を超えると、成形時に層剥離し外観不良を生じる場合があり好ましくない。
ポリエステル樹脂組成物(B)が2種以上の樹脂成分のブレンド物である場合は、相溶系であることが好ましい。相溶系とすることにより、樹脂金属複合体の接合性がより向上する傾向にある。なお、本発明において相溶系とは、実用的に相溶状態であればよく、具体的には射出成型時に目視により剥離が生じない組成であることをいう。
ポリエステル樹脂組成物(B)は、安定剤を含有することが好ましい。
安定剤としては、リン系安定剤、フェノール系安定剤、硫黄系安定剤等、種々の安定剤が挙げられる。特に好ましいのはヒンダードフェノール系安定剤やリン系安定剤である。
ヒンダードフェノール系安定剤としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド]、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート等が挙げられる。
中でも、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。このようなフェノール系安定剤としては、具体的には、例えば、BASF社製、商品名(以下同じ)「イルガノックス1010」、「イルガノックス1076」、ADEKA社製「アデカスタブAO−50」、「アデカスタブAO−60」等が挙げられる。
ヒンダードフェノール系安定剤の含有量は、ポリエステル系樹脂(b)100質量部に対して好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上であり、また、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.8質量部以下、さらに好ましくは0.6質量部以下である。
リン系安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜リン酸エステル、リン酸エステル等が挙げられ、中でも有機ホスフェート化合物、有機ホスファイト化合物又は有機ホスホナイト化合物が好ましく、特には有機ホスフェート化合物が好ましい。
有機ホスフェート化合物としては、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
O=P(OH)(OR3−n …(1)
(一般式(1)中、Rはアルキル基又はアリール基を表す。nは0〜2の整数を表す。なお、nが0のとき、2つのRは同一でも異なっていてもよく、nが1のとき、2つのRは同一でも異なっていてもよい。)
上記一般式(1)において、Rはアルキル基又はアリール基を表す。Rは、炭素数が1以上、好ましくは2以上であり、通常30以下、好ましくは25以下のアルキル基、又は、炭素数が6以上、通常30以下のアリール基であることがより好ましいが、Rは、アリール基よりもアルキル基が好ましい。なお、Rが2以上存在する場合、R同士はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
一般式(1)で示されるリン系安定剤として、より好ましくは、Rが炭素原子数8〜30の長鎖アルキルアシッドホスフェート化合物が挙げられる。炭素原子数8〜30のアルキル基の具体例としては、オクチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、トリアコンチル基等が挙げられる。
長鎖アルキルアシッドホスフェートとしては、例えば、オクチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、デシルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、オクタデシルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、ベヘニルアシッドホスフェート、フェニルアシッドホスフェート、ノニルフェニルアシッドホスフェート、シクロヘキシルアシッドホスフェート、フェノキシエチルアシッドホスフェート、アルコキシポリエチレングリコールアシッドホスフェート、ビスフェノールAアシッドホスフェート、ジメチルアシッドホスフェート、ジエチルアシッドホスフェート、ジプロピルアシッドホスフェート、ジイソプロピルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジラウリルアシッドホスフェート、ジステアリルアシッドホスフェート、ジフェニルアシッドホスフェート、ビスノニルフェニルアシッドホスフェート等が挙げられる。
これらの中でも、オクタデシルアシッドホスフェートが好ましく、このものはADEKA社製の商品名「アデカスタブAX−71」として、市販されている。
上記一般式(1)で表されるリン系安定剤の含有量は、好ましくは、ポリエステル系樹脂(b)100質量部に対し、0.001〜1質量部である。含有量が0.001質量部未満であると、接合・溶着用部材の熱安定性や相溶性の改良が期待しにくく、成形時の分子量の低下や色相悪化が起こりやすく、1質量部を超えると、過剰量となりシルバーの発生や、色相悪化が更に起こりやすくなる傾向がある。より好ましい含有量は、0.01〜0.6質量部であり、さらに好ましくは0.05〜0.4質量部である。
ポリエステル樹脂組成物(B)は、更に、離型剤を含有することが好ましい。離型剤としては、ポリエステル樹脂に通常使用される既知の離型剤が利用可能であるが、中でも、ポリオレフィン系化合物、脂肪酸エステル系化合物及びシリコーン系化合物から選ばれる1種以上の離型剤が好ましい。
ポリオレフィン系化合物としては、パラフィンワックス及びポリエチレンワックスから選ばれる化合物が挙げられ、中でも、質量平均分子量が、700〜10,000、更には900〜8,000のものが好ましい。また、側鎖に水酸基、カルボキシル基、無水酸基、エポキシ基などを導入した変性ポリオレフィン系化合物も特に好ましい。
脂肪酸エステル系化合物としては、グリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル類等の脂肪酸エステル類やその部分鹸化物等が挙げられ、中でも、炭素原子数11〜28、好ましくは炭素原子数17〜21の脂肪酸で構成されるモノ又はジ脂肪酸エステルが好ましい。具体的には、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノベヘネート、グリセリンジベヘネート、グリセリン−12−ヒドロキシモノステアレート、ソルビタンモノベヘネート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
また、シリコーン系化合物としては、樹脂との相溶性等の点から、変性されている化合物が好ましい。変性シリコーンオイルとしては、ポリシロキサンの側鎖に有機基を導入したシリコーンオイル、ポリシロキサンの両末端及び/又は片末端に有機基を導入したシリコーンオイル等が挙げられる。導入される有機基としては、エポキシ基、アミノ基、カルボキシル基、カルビノール基、メタクリル基、メルカプト基、フェノール基等が挙げられ、好ましくはエポキシ基が挙げられる。変性シリコーンオイルとしては、ポリシロキサンの側鎖にエポキシ基を導入したシリコーンオイルが特に好ましい。
離型剤の含有量は、ポリエステル系樹脂(b)100質量部に対し、0.05〜2質量部であることが好ましい。0.05質量部未満であると、溶融成形時の離型不良により表面性が低下する傾向があり、一方、2質量部を超えると、樹脂組成物の練り込み作業性が低下し、また成形品表面に曇りが見られる場合がある。離型剤の含有量は、好ましくは0.07〜1.5質量部、更に好ましくは0.1〜1.0質量部である。
ポリエステル樹脂組成物(B)は、更に、強化充填材を含有することも好ましい。
強化充填材としては、常用のプラスチック用無機充填材を用いることができる。好ましくはガラス繊維、炭素繊維、玄武岩繊維、ウォラストナイト、チタン酸カリウム繊維などの繊維状の充填材を用いることができる。また炭酸カルシウム、酸化チタン、長石系鉱物、クレー、有機化クレー、ガラスビーズなどの粒状または無定形の充填材;タルクなどの板状の充填材;ガラスフレーク、マイカ、グラファイトなどの鱗片状の充填材を用いることもできる。
中でも、樹脂金属複合体の接合性、機械的強度、剛性および耐熱性の点からガラス繊維を用いるのが好ましい。
強化充填材は、カップリング剤等の表面処理剤によって、表面処理されたものを用いることがより好ましい。表面処理剤が付着したガラス繊維は、耐久性、耐湿熱性、耐加水分解性、耐ヒートショック性に優れるので好ましい。
表面処理剤としては、従来公知の任意のものを使用でき、具体的には、例えば、アミノシラン系、エポキシシラン系、アリルシラン系、ビニルシラン系等のシラン系カップリング剤が好ましく挙げられる。
これらの中では、アミノシラン系表面処理剤が好ましく、具体的には例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランが好ましい例として挙げられる。
また、表面処理剤として、ノボラック型等のエポキシ樹脂、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂等も好ましく挙げられる。中でもビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。
シラン系表面処理剤とエポキシ樹脂は、それぞれ単独で用いても複数種で用いてもよく、両者を併用することも好ましい。
ガラス繊維は、樹脂金属複合体の接合性の点から、断面における長径と短径の比が1.5〜10である異方断面形状を有するガラス繊維であることも好ましい。
断面形状は、断面が長円形、楕円形、まゆ型形状のものが好ましく、特に長円形断面が好ましい。また、長径/短径比が2.5〜8、更には3〜6の範囲にあるものが好ましい。さらに、成形品中のガラス繊維断面の長径をD2、短径をD1、平均繊維長をLとするとき、アスペクト比((L×2)/(D2+D1))が10以上であることが好ましい。このような扁平状のガラス繊維を使用すると、成形品の反りが抑制され、特に箱型の接合体を製造する場合に効果的である。
強化充填材の含有量は、ポリエステル系樹脂(b)100質量部に対し、0〜100質量部である。強化充填材の含有量が100質量部を上回ると、流動性や樹脂金属複合体の接合性が低下するので好ましくない。強化充填材のより好ましい含有量は、5〜90質量部であり、より好ましくは15〜80質量部、さらに好ましくは30〜70質量部、特には35〜60質量部である。
ポリエステル樹脂組成物(B)は、更に、エラストマーを含有することも好ましい。
エストマーとしては、ポリエステル樹脂に配合してその耐衝撃性を改良するのに用いられている熱可塑性エラストマーを用いればよく、例えばゴム性重合体やゴム性重合体にこれと反応する化合物を共重合させたものを用いる。
エラストマーの具体例としては、例えばポリブタジエン、ポリイソプレン、ジエン系共重合体(スチレン・ブタジエン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、アクリル・ブタジエンゴム等)、エチレンと炭素数3以上のα−オレフィンとの共重合体(エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体等)、エチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体(エチレン・メタクリレート共重合体、エチレン・ブチルアクリレート共重合体等)、エチレンと脂肪族ビニル化合物との共重合体、エチレンとプロピレンと非共役ジエンとのターポリマー、アクリルゴム(ポリブチルアクリレート、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)、ブチルアクリレート・2−エチルヘキシルアクリレート共重合体等)、シリコーン系ゴム(ポリオルガノシロキサンゴム、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキル(メタ)アクリレートゴムとからなるIPN型複合ゴム)等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
尚、本発明において(メタ)アクリレートはアクリレートとメタクリレートを意味し、(メタ)アクリル酸はアクリル酸とメタクリル酸を意味する。
また、エラストマーの他の例としては、ゴム性重合体に単量体化合物を重合した共重合体が挙げられる。この単量体化合物としては例えば、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸化合物等が挙げられる。また、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル化合物;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド化合物;マレイン酸、フタル酸、イタコン酸等のα,β−不飽和カルボン酸化合物やそれらの無水物(例えば無水マレイン酸等)も挙げられる。これらの単量体化合物は単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
エラストマーは、アクリル及び/又はブタジエン成分を含有するエラストマーが好ましく、ブタジエン系及び/又はアクリル系ゴム性重合体にこれと反応する単量体化合物を共重合させたものが好ましい。
アクリル及び/又はブタジエン成分を含有する耐衝撃性改良剤の具体例としては、例えばアクリロニトリル・ブタジエン共重合体、アクリル・ブタジエンゴム、また、これらゴム性重合体に単量体化合物を重合した共重合体が挙げられる。この単量体化合物としては例えば、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸化合物等が挙げられる。また、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル化合物;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド化合物;マレイン酸、フタル酸、イタコン酸等のα,β−不飽和カルボン酸化合物やそれらの無水物(例えば無水マレイン酸等)も挙げられる。これらの単量体化合物は単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
アクリル及び/又はブタジエン成分を含有するエラストマーは、耐衝撃性改良の点から、コア/シェル型グラフト共重合体タイプのものが好ましく、ブタジエン成分含有ゴム及び/又はアクリル成分含有ゴム性重合体をコア層とし、その周囲にアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物から選ばれる単量体を共重合して形成されたシェル層からなる、コア/シェル型グラフト共重合体が特に好ましい。
コア/シェル型グラフト共重合体の例としては、ブチルアクリレート−メチルメタクリレート共重合体、ブタジエン−メチルメタクリレート・スチレン共重合体、シリコーン・アクリル−メチルメタクリレート共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン重合体(MBS)、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン重合体(MABS)、メチルメタクリレート−ブタジエン重合体(MB)、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム共重合体、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム−スチレン共重合体等が挙げられる。これらのゴム性重合体は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、コア、シェルともにアクリル酸エステルであるアクリル系コア/シェル型のエラストマーが、耐衝撃性、耐熱老化性、耐光性の点から好ましい。
アクリル及び/又はブタジエン成分を含有するエラストマー中のアクリル及び/又はブタジエン成分の含有量は、好ましくは50〜95質量%、より好ましくは60〜90質量%、さらに好ましくは70〜85質量%ある。アクリル及び/又はブタジエン成分の含有量が50質量%未満であると、耐衝撃性に劣る傾向となり、90質量%を超えると、難燃性や耐候性が悪化する傾向となるため好ましくない。
エラストマーの平均粒子径は、3μm以下であることが好ましく、2μm以下がより好ましく、1μm以下であることがさらに好ましく、800nm以下が特に好ましい。また、下限は通常50nmであり、好ましくは100nm、より好ましくは150nm、さらに好ましくは200nm、特に好ましくは300nm以上、最も好ましくは400nm以上、特に500nm以上である。このような粒子径の(C)エラストマーを使用することにより、面衝撃性等の耐衝撃性、耐湿熱性、離型性等の成形性が良好となる傾向にあり好ましい。
なお、エラストマーの平均粒子径は、光学顕微鏡、SEM(走査型電子顕微鏡)、TEM(透過型電子顕微鏡)等により、ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物成形体断面のモルフォロジーを観察することで測定できる。
具体的には、SEM、STEM、TEM分析装置を用い、成形体断面のコア部(深さ20μm未満の表層部を除く部分で、断面の中心部、樹脂組成物流動方向に平行な断面。)を、20kVの加速電圧下で、倍率3,000〜100,000倍の倍率により観察される。
また、エラストマーのガラス転移温度は、−30℃以下であることが好ましく、−35℃以下であることがより好ましく、−40℃以下であることがさらに好ましく、−50℃以下であることが特に好ましい。このようなガラス転移温度を有する(C)エラストマー原料を使用することにより、成形体の表層部において、エラストマーの配向によりエラストマーの扁平度(後述のエラストマーの長径と短径の比)が向上しやすく、耐衝撃特性が大幅に良好となる傾向にあり好ましい。
なお、エラストマーのガラス転移温度は、動的粘弾性測定により得られる損失正接(tanδ)のピーク温度を求めることにより測定することができる。具体的には、200℃で加熱した熱プレス機を用いて、(C)エラストマー原料を、0.7mm厚×10cm×10cmの型枠にて3分間プレス成形し、水冷後に0.7mm厚×5.5mm×25mmの測定用試験片を切り出し、50〜−100℃の温度範囲で、昇温速度3℃/min、周波数110Hzの条件で動的粘弾性測定を行い、得られるtanδのピーク温度を求め、ガラス転移温度とする。
エラストマーとして好ましく用いられるアクリル系コア/シェル型エラストマーの製造方法には乳化重合方法があり、これはコア重合とシェル重合とを含む方法である。
前記コア重合は、アクリル酸エステル単量体を重合して行われ、この時、アクリル酸エステルの分子構造には二重結合が一つ存在するため、重合完了後に二重結合が存在せず、優れた耐候性を示し、またガラス転移温度が低いために良好な耐衝撃性を示す。アクリル酸エステル単量体以外にも、エラストマーとしてゴム構造を形成し、耐衝撃性を付与するため、ならびにガラス転移温度を制御するために一定範囲の架橋剤を用いる。一定範囲にて配合された架橋剤は、重合中のラテックスの安定性を維持させるだけでなく、加工中、ならびに樹脂組成物中でも、コア構造が球形から扁平形態へ容易に変形しやすいように作用する。
前記シェル重合は、通常塩化ビニル樹脂と相溶性に優れたメタクリル酸エステルを単量体として用い、コア表面でグラフト重合を進行させることによって行われる。エラストマーの分散性を高めるために、シェルはアクリロニトリル単量体を少量含んでいてもよい。
乳化重合によるアクリル系コア/シェル型エラストマーの公知の製造方法には大きく2種類の方法がある。第1の方法は米国特許第5,612,413号に開示されたものであって、粒子の大きさが小さい種(Seed)を重合し、単量体を2〜4工程に分けて投入して種を成長させた後、シェル成分単量体を投入してコア表面を囲うことによってコア・シェル構造を完成させる多段階乳化重合方法である。第2の方法は欧州特許第0527605号に開示されたものであって、100nm以下の大きさのコア・シェル構造を有するラテックスを重合し、凝集過程(Agglomeration)を通じて所望の大きさの粒子に成長させた後、凝集粒子上にカプセル化シェルを形成させることによってコア・シェル構造を形成する微細凝集(Microagglomeration)方法である。
エラストマーのガラス転移温度は、エラストマーの架橋密度が高ければ大きくなり、ゴムの架橋密度が低ければ低くなる。従って、架橋密度の程度はエラストマーを製造する際の架橋剤の使用量によって調整可能であり、架橋剤を極めて少量用いることで、ガラス転移温度の低いエラストマーを製造することができる。しかし、架橋剤の使用量があまりに少ない場合は、重合中にラテックスの安定性が低下するため、ガラス転移温度の制御が困難になる場合があるので、好ましくない。
本発明の好ましいアクリル系コア/シェル型エラストマーは、例えば、種(seed)を重合し、コア成分単量体を2〜4回に分けて重合してコアゴム粒子を成長させた後、シェル成分単量体を投入してシェルでコア表面を囲うことによって製造される、粒径が400〜900nmの大粒径エラストマーである。
このために前記大粒径エラストマーは、それらの各々のコアが、i)アルキル基の炭素数が2〜8であるアクリル酸エステル95〜99.999質量部;及びii)架橋剤0.001〜5.0質量部を含むことが好ましい。
前記アクリル酸エステルは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート及び2−エチルヘキシルアクリレートからなる群より選択される1種以上の単量体、及びこれら単量体のホモ重合体または共重合体を含むことが好ましく、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、又はこれらの混合物を含むアクリル酸エステルであることがさらに好ましい。
また、前記架橋剤は、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート及びジビニルベンゼンからなる群より選択される1種以上の単量体、及びこれら単量体のホモ重合体または共重合体を用いることが好ましい。1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート又はこれらの混合物を含むことがより好ましい。前記架橋剤は、本発明の各々のエラストマーで全単量体に対して0.001〜5質量部を用いることが好ましい。架橋剤の含有量が全単量体に対して0.001質量部未満であると、加工中のハンドリングが乏しく、5質量部を超えると、エラストマーのコアが脆性を示し、衝撃補強効果が低下する場合がある。
また、前記大粒径エラストマーは、シェルが、i)アルキル基の炭素数が1〜4であるメタクリル酸エステル80〜100質量部を含み、ii)シェル成分のガラス転移温度を調整するために、さらにエチルアクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレートを10質量部以下の割合で添加することができ、iii)マトリックスとシェルとの相溶性を増加させるために、さらにアクリロニトリル、メタクリロニトリルのようなニトリル化合物を10質量部以下の割合で添加することもできる。
また、好ましいアクリル系コア/シェル型エラストマー(大粒径エラストマー)のコアは、全単量体に対して70〜95質量%のゴム成分単量体を含むことが好ましい。70質量%未満であると、ゴム含有量が小さくなって耐衝撃補強性が低下しやすく、95質量%を超えるとシェル成分がコアを完全に囲うことができないために、マトリックス中のゴムの分散がよく行われなくなり、耐衝撃性が低下する場合がある。
重合後のエラストマーは、電解質で凝析させた後にろ過して得ることでき、前記電解質としては塩化カルシウム等が好ましい。
本発明において好ましく用いられる、低ガラス転移温度及び平均粒子径が大きい、好ましくは400nm以上のアクリル系コア/シェル型エラストマーを製造する工程をより詳細に説明する。その製造方法は以下の工程を主として含む。
前記低ガラス転移温度を有する大粒径エラストマーは、
i)アルキル基の炭素数が2〜8であるアクリル酸エステル95〜99.999質量部;架橋剤0.001〜5質量部;重合開始剤0.001〜5質量部;乳化剤0.001〜10質量部;及びイオン交換水1000質量部;を含む混合物を、60〜80℃の温度で架橋反応させて種(seed)を製造する1次重合工程と、
ii)アルキル基の炭素数が2〜8であるアクリル酸エステル95〜99.999質量部;架橋剤0.001〜5質量部;乳化剤0.001〜6質量部;及びイオン交換水80質量部;を含むエマルジョン混合物を前記i)工程で製造した種に連続投入すると同時に、重合開始剤0.001〜5質量部を投入し重合してコアラバーを製造する2次重合工程と、
iii)アルキル基の炭素数が2〜8であるアクリル酸エステル95〜99.999質量部;架橋剤0.001〜5質量部;乳化剤0.001〜6質量部;及びイオン交換水80質量部;を含むエマルジョン混合物を前記ii)工程で製造した2次重合物に連続投入すると同時に、重合開始剤0.001〜5質量部を投入し重合してコアラバーを製造する3次重合工程と、
iv)アルキル基の炭素数が1〜4であるアクリル酸エステル80〜100質量部;エチルアクリレート、メチルアクリレート及びブチルアクリレートからなる群より選択されるアクリル酸エステル10質量部以下;アクリロニトリル及びメタクリロニトリルからなる群より選択されるニトリル成分10質量部以下;乳化剤0.001〜4質量部;及びイオン交換水150質量部;を含むエマルジョン混合物を前記iii)段階で製造したコアに連続投入すると同時に、重合開始剤0.001〜5質量部を投入し重合してシェルを形成させる4次重合工程とを含む方法で製造される。
前記大粒径エラストマーの製造に用いられる重合開始剤は、架橋反応を起こすことのできるいかなる化合物も用いることができ、具体的には、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、ベンゾイルパーオキサイド、アゾビスブチロニトリル、ブチルヒドロパーオキサイド及びクメンヒドロパーオキサイド等を用いることができる。
また、前記大粒径エラストマーの製造に用いられる乳化剤は、不飽和脂肪酸カリウム塩、オレイン酸カリウム塩、ソジウムラウリルスルフェート、ソジウムドデシルベンゼンスルフェート等のイオン系乳化剤と非イオン系乳化剤等を用いることができる。
このようにして製造されたた大粒径エラストマーにイオン交換水を投入し、固形分含有率を10質量%と低くした後、10質量%の塩化カルシウム溶液を混合物に投入してポリマー粒子を凝析させる。凝析スラリーは90℃まで昇温して熟成させ冷却する。その後、冷却されたスラリーをイオン交換水で洗浄しろ過することで、本発明において好ましく用いられる、アクリル系コア/シェル型エラストマーを得ることができる。
エラストマーの含有量は、ポリエステル系樹脂(b)100質量部に対し、5〜20質量部であることが好ましい。エラストマーの含有量が5質量部未満では、耐衝撃性の改良効果が小さく、20質量部を超えると耐熱老化性や剛性、さらには流動性、難燃性が低下しやすい。エラストマーのより好ましい含有量は、7質量部以上であり、16質量部以下、さらには13質量部以下である。
ポリエステル樹脂組成物(B)は、上記した以外の他の添加剤あるいは他の熱可塑性樹脂を含有していてもよい。
その他の添加剤としては、難燃剤、難燃助剤、滴下防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤等が挙げられる。
その他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。ポリエステル系樹脂(b)における、その他の熱可塑性樹脂の割合は、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
ポリエステル樹脂組成物(B)の製造方法としては、樹脂組成物調製の常法に従って行うことができる。通常は各成分及び所望により添加される種々の添加剤を一緒にしてよく混合し、次いで一軸又は二軸押出機で溶融混練する。また各成分を予め混合することなく、ないしはその一部のみを予め混合し、フィーダーを用いて押出機に供給して溶融混練し、本発明の樹脂組成物を調製することもできる。
なお、ガラス繊維等の繊維状の強化充填材を用いる場合には、押出機のシリンダー途中のサイドフィーダーから供給することも好ましい。
溶融混練に際しての加熱温度は、通常220〜300℃の範囲から適宜選ぶことができる。温度が高すぎると分解ガスが発生しやすく、それ故、剪断発熱等に考慮したスクリュー構成の選定が望ましい。
[積層体]
上記したポリエステル樹脂組成物(B)をインサート成形により接合する相手材である積層体は、金属基体上にポリエステル樹脂(A)よりなる層を最表層として有する積層体(以下、単に「積層体」という場合がある。)である。
積層体の金属基体の金属としては、アルミニウム、鉄、銅、錫、ニッケル、亜鉛等の各種金属、及びこれらの金属を含む合金が挙げられる。また、マグネシウムやその合金も挙げられる。この中でもアルミニウム、鉄が好ましく、アルミニウムがより好ましい。アルミニウムとしては、純Al及び各種のAl合金が挙げられる。鉄としては、鉄、鋼、ステンレス等の鉄及び各種の鉄合金が挙げられる。マグネシウムとしては、純マグネシウム及びマグネシウム合金が挙げられる。
金属基体の形状としては、特に制限はないが、板状、シート状、フィルム等が好ましく挙げられる。
金属基体の厚さとしては、0.05〜10mmの範囲であることが好ましく、0.1〜5mmがより好ましく、0.12〜2mmがさらに好ましい。アルミニウム板、鉄板の場合の厚みは、0.1〜3mmがよく、0.2〜2.5mmの範囲が好ましい。
金属基体は、化成処理や各種の表面処理をすることが好ましい。かかる処理を施すことにより、金属基体と樹脂層との密着性(接着性または接着強度)を向上させることができる。
アルミニウム基体の場合の好ましい化成処理としては、リン酸クロメート等による化成処理、陽極酸化処理等が挙げられる。
上記化成処理により形成される薄膜の厚みは、特に限定されないが、5〜300nmがよい。化成処理薄膜の厚みが5nm未満だと加工性が劣る場合があり、300nmを超えると薄膜の形成が困難となる場合がある。
また、化成処理薄膜が陽極酸化処理薄膜の場合は、0.05〜2μmの範囲が好ましく、0.1〜2μmの範囲がより好ましい。陽極酸化被膜の厚さが0.05μm未満であると密着性を向上させることができない場合がある。陽極酸化被膜の厚さは、処理条件、特に通電条件と通電時間を調節することによって、上記範囲の厚さとすることができる。
上記陽極酸化処理としては、例えば、電解液としてリン酸、リン酸−硫酸、リン酸−シュウ酸、リン酸−クロム酸を用いる処理薄膜等があげられる。この中でも、リン酸アルマイト処理によるのが好ましい。
また、金属基体の表面の処理としては、化成処理以外に、単層メッキ、複層メッキまたは合金メッキを施したり、浸漬クロム酸処理、リン酸クロム酸処理を施す方法があげられる。電気メッキ、無電解めっきのいずれでもよいが、特に金属基体が鉄の場合、亜鉛、スズ、ニッケル、銅メッキが好ましく、亜鉛メッキがより好ましい。
また、電解クロム酸処理を施すことにより、上記金属板の表面にクロム水和酸化物からなる単層皮膜や、金属クロム層(下層)とクロム水和酸化物層(上層)からなる二層皮膜を形成することも好ましい。
上記した表面処理が好ましく施された金属基体、特にアルミニウム基体、鉄基体には、シランカップリング剤により表面処理されることが好ましい。
シランカップリング剤としては、特に限定されないが、例えばメトキシ基、エトキシ基、シラノール基等を有する化合物が挙げられ、シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、クロロプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−(N−スチリルメチル−2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ウレイドアミノプロピルエトキシシランなどが好ましく挙げられる。特に、アルミニウム基体、鉄基体とシランカップリング剤は、Al−O−SiやFe−O−Siの結合を形成して強固に結合し、また、ポリエステル樹脂(A)とシランカップリング剤の有機官能基が反応して強固に結合し、より強固な結合が達成できる。
また、上記以外の表面処理として、金属表面に凹凸を付与するために、例えば、各種化学エッチング、レーザ照射、ブラストエッチング等の方法及び、これらを複数組み合わせて用いることも好ましい。これらの処理により、金属表面に、例えば直径0.01μm〜300μmの凹凸からなる均一及び/又は不均一な形状を付与することが可能である。
さらに、金属基体上には、上記した化成処理、シランカップリング剤処理及び凹凸付与処理の有無によらず、接着剤層を設けることが好ましい。
接着剤としては、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤等を用いることが好ましい。中でも、アルミニウム基体、鉄基体とポリエステル樹脂(A)の組み合わせによる積層体の場合は、熱硬化型ポリエステル系接着剤を用いることが特に好ましい。
金属基体には、好ましくは上記化成処理やシランカップリング剤処理、さらには接着剤層を設けた上で、ポリエステル樹脂(A)よりなる層が最表層として形成される。ポリエステル樹脂(A)層は、密着性を向上させる目的でコロナ処理、火炎処理などの表面処理を施すことも好ましい。
このポリエステル樹脂(A)としては、ポリエステル樹脂組成物(B)を構成する前記したポリエステル系樹脂(b)と同様のものが使用できる。中でも、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンイソフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリ−1,4−シクロヘキサジメチレンテレフタレート樹脂、これらの共重合ポリエステル樹脂等、及びこれらの混合物等が好ましく挙げられる。
ポリエステル樹脂(A)の固有粘度は、0.5〜2dl/gであるものが好ましく、0.6〜1.5dl/gの範囲の固有粘度を有するものが好ましい。
なお、ポリエステル樹脂(A)の固有粘度は、テトラクロロエタンとフェノールとの1:1(質量比)の混合溶媒中、30℃で測定する値である。
特に、ポリエステル樹脂(A)としては、ポリブチレンテレフタレート樹脂及びポリエチレンテレフタレート樹脂を含むものが好ましく、その場合、ポリブチレンテレフタレート樹脂の含有量が、ポリブチレンテレフタレート樹脂及びポリエチレンテレフタレート樹脂の合計100質量%に対して50〜90質量%であることが好ましく、55〜85質量%であることがより好ましく、60〜80質量%であることがさらに好ましい。
ポリエステル樹脂(A)には、必要に応じて各種の樹脂添加剤や他の樹脂を配合することができ、前記したポリエステル樹脂組成物(B)に含有できるとした各種の成分等が同様に使用できる。
ポリエステル樹脂(A)よりなる層を金属基体上に設ける方法は特に制限されるものではなく、コートハンガーダイ、T−ダイ、I−ダイ、インフレーションダイなどを使用しての押出成形法、カレンダー成形法など、従来から知られている方法によって製造することができ、また成膜済みのポリエステル樹脂(A)フィルムを積層してもよい。積層に際しては、例えば、ポリエステル樹脂(A)フィルムを、ポリエステル樹脂(A)の融点以下に加熱したニップロール等によって加圧積層すればよい。そして、積層した後は、直ちに空冷又は水冷によって冷却する。ポリエステル樹脂(A)フィルムは未延伸でも、二軸延伸されていてもよい。
前述のとおり、ポリエステル樹脂(A)層は、直接金属基体上に設けてもよいが、化成処理層、シランカップリング剤処理層、接着剤層のいずれか一つまたは複数の層を介して行うことが好ましい。
ポリエステル樹脂(A)層の厚さは、好ましくは3〜1000μmであり、5〜800μmがより好ましく、5〜600μmがさらに好ましく、10〜400μmの範囲が特に好ましい。
また、ポリエステル樹脂(A)層は、多層構造となっていてもよい。この場合には、先ず最初のポリエステル樹脂層のみを金属基体上へ積層することが好ましい。複数のポリエステル樹脂層を積層一体化してから金属基体上に積層する方法では、表面に皺が発生しやすく表面性が低下してしまう虞がある。
最初のポリエステル樹脂層を金属基体上に積層した後、さらにポリエステル樹脂層を形成する方法は特に制限されないが、各種の接着剤を塗布した上で積層することが好ましい。接着剤としては、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤、また熱硬化型のものや紫外線等のエネルギー線硬化型等の各種接着剤等が適用できる。
[インサート成形]
インサート成形は、従来公知の方法を採用することができるが、好ましくは、金属基体上にポリエステル樹脂(A)よりなる層を最表層として有する積層体を成形用金型に予め装着し、ポリエステル樹脂組成物(A)よりなる層上に、上記ポリエステル樹脂組成物(B)を充填して複合体とする方法である。ポリエステル樹脂組成物(B)を金型に充填するための成形法としては、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法等があるが、射出成形法が一般的である。また、樹脂にインサートする積層体は、その特性を生かし且つ樹脂の欠点を補う目的で使用されるため、成形時に樹脂と接触したとき、形が変化しないようにすることが好ましい。
インサートされる積層体の大きさは、目的の樹脂金属複合体の大きさ、構造等によって、適宜決めればよい。インサートされる積層体は、得られる複合体の全体にわたる必要はなく、複合体の一部分であってもよい。
得られる樹脂金属複合体の大きさ、形状、厚み等は特に限定されるものではなく、板状(円板、多角形など)、柱状、箱形状、椀形状、トレイ状などいずれでもよい。大型複合体、複雑な複合体の場合は、複合体の全ての部分の厚みが均一である必要はなく、また、複合体に補強リブが設けられていてもよい。
インサート成形時に、溶融したポリエステル樹脂組成物(B)の温度と積層体の温度を可能な限り近くすることが接合強度を向上させる上で有用である。特に方法は限定されないが、積層体をあらかじめ加熱しておくことが望ましい。また加熱方法は特に限定されないが、例えば積層体をインサート成形する前に誘導加熱や、IHヒーター、ホットプレート、加熱炉等で加熱したものをインサートする方法、積層体を金型にインサート後に積層体におけるポリエステル樹脂組成物(B)との接合領域付近をハロゲンランプ、ドライヤー等で外部から加熱する方法、金型内部に配置したカートリッジヒーター等で加熱する方法等が挙げられる。特に、ポリエステル樹脂組成物(B)との接合領域のみを局所的に加熱することが最も有用である。なお、「局所的に加熱」とは、加熱手段によっては、接合領域を含んだ周辺まで加熱されるが積層体の接合領域より遠い部分は加熱しないことを含む。
加熱温度は高いほど良いが、通常100℃以上、350℃以下、好ましくは120℃以上、250℃以下、さらに好ましくは130℃以上、200℃以下である。
加熱温度は低すぎる場合、金型温度と差異が小さく加熱の効果が出ず、高すぎる場合には昇温に時間を有するため、成形サイクルの悪化や、樹脂の過度な滞留が発生する傾向にあり成形上好ましくない。
[第2の発明の樹脂金属複合体]
本発明の第2の発明の樹脂金属複合体は、金属基体上に最表層としてポリエステル樹脂(A)よりなる層を有する積層体とポリエステル樹脂組成物(C)からなる第二の部材とを、振動溶着、超音波溶着、熱板溶着又はスピン溶着により溶着させてなる樹脂と金属の複合体であり、金属とポリエステル樹脂とが強固に結合した樹脂金属複合体である。本発明は、強固な溶着が困難であったポリエステル樹脂と金属でありながら、金属基体上にポリエステル樹脂層を最表層として積層した積層体を用い、それにポリエステル樹脂組成物(C)を上記方法で溶着することにより、金属とポリエステル樹脂とがしっかり溶着され、一体化し強固に結合した金属複合体を初めて可能とするものである。
[ポリエステル樹脂組成物(C)]
第2の発明に用いられるポリエステル樹脂組成物(C)は、ポリエステル系樹脂(b)を含むものであれば特に制限はなく、好ましくは、ポリエステル系樹脂(b)を主成分として含むものである。ポリエステル樹脂組成物(C)としては、第1の発明のポリエステル樹脂組成物(B)と同じものを使用することができる。第2の発明のポリエステル樹脂組成物(C)における好ましい樹脂組成、結晶化温度も、ポリエステル樹脂組成物(B)に記載の通りである。
[ポリエステル樹脂組成物(C)からなる第二の部材]
本発明の第2の発明において、第二の部材として用いられるポリエステル樹脂組成物(C)からなる部材は、上記したポリエステル樹脂組成物(C)を、ポリエステル樹脂組成物について一般に採用されている成形法を任意に採用し、製造することができる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法、ブロー成形法等が挙げられる。中でも射出成形が好ましい。射出成形法としては、例えば、高速射出成形法や射出圧縮成形法等を用いることができる。
第二の部材の形状は特に制限されないが、部材同士を振動溶着、超音波溶着、熱板溶着、スピン溶着により接合して用いるため、通常、少なくとも面接触できる部分、例えば平面部や曲面部を有する形状であることが好ましい。
[振動溶着、超音波溶着、熱板溶着、スピン溶着]
本発明の第2の発明の金属樹脂複合体は、金属基体上にポリエステル樹脂(A)よりなる層を最表層として積層してなる積層体とポリエステル樹脂組成物(C)からなる第二の部材とを、振動溶着、超音波溶着、熱板溶着又はスピン溶着により溶着させてなるものである。これらの溶着を行う際の溶着条件は、特に限定されず、成形品の形状等に応じて適宜設定することができる。
上記の溶着法の中でも、積層体とポリエステル樹脂組成物(C)からなる第二の部材とを当接して、当接面に摩擦熱を発生させて溶着する方法が好ましい。当接面に摩擦熱を発生させて溶着する方法としては、振動溶着法、超音波溶着法、スピン溶着法が挙げられる。
振動溶着とは、積層体をポリエステル樹脂組成物(C)からなる第二の部材とを重ね合わせ、重ね合わせにより形成される当接面を上下に圧接させた状態とし、この状態で横方向に振動を与えて発生する摩擦熱によって溶着させる方法である。
超音波溶着とは、積層体をポリエステル樹脂組成物(C)からなる第二の部材とを重ね合わせ、重ね合わせにより形成される当接面を上下に圧接させた状態とし、この状態で、超音波により当接面に縦方向の振動を発生させその摩擦熱によって溶着させる方法である。
スピン溶着とは、積層体をポリエステル樹脂組成物(C)からなる第二の部材とを重ね合わせ、重ね合わせにより形成される当接面を上下に圧接させた状態とし、この状態で、溶着される積層体又は第二の部材の一方を高速回転させることにより摩擦熱を発生させて溶着させる方法である。
[樹脂金属複合体]
このようにして得られる、本発明の樹脂金属複合体の大きさ、形状、厚み等は特に限定されるものではなく、板状(円板、多角形など)、柱状、箱形状、椀形状、トレイ状などいずれでもよい。大型複合体、複雑な複合体の場合は、複合体の全ての部分の厚みが均一である必要はなく、また、複合体に補強リブが設けられていてもよい。
本発明の金属樹脂複合体は、優れた金属−樹脂溶着性・接合性を示すため、一般家電製品を始め、OA機器に組み込まれる電気電子部品(ハウジング、ケース、カバー等)、機械機構部品、自動車等の輸送機器用の電装部品(各種コントロールユニット、イグニッションコイル部品、センサー部品、モーター部品など)やその他部品(パワーモジュール、昇圧型DC/DCコンバータ、降圧型DC/DCコンバータ、コンデンサー、インシュレーター、モーター端子台、バッテリー、電動コンプレッサー、バッテリー電流センサー及びジャンクションブロック等を収納するケース)の材料として、好適に用いられる。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例
に限定して解釈されるものではない。
(ポリエステル樹脂(A)アルミニウム積層体の製造)
厚さが0.4mmのアルミニウム板(JIS A1050)に、20%リン酸溶液による陽極酸化処理を施し、厚さが0.5μmのリン酸アルマイト処理被膜を形成した。この被膜の上に、シランカップリング剤を20mg/m塗布し、塗布面を250℃に加熱した。さらに、熱硬化型ポリエステル系接着剤を塗布し加熱乾燥後、ポリブチレンテレフタレート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名「ノバデュラン(登録商標)5020S」、固有粘度:1.24dl/g、融点:224℃、ガラス転移温度:80℃)とポリエチレンテレフタレート樹脂(三菱化学社製、商品名「ノバペット(登録商標)PBK1」、固有粘度:0.64dl/g)とを70:30の質量比でブレンドしたブレンド物を用い、押出機にて別途製造した厚さが150μmのフィルムを重ね、一対の加圧ロールによって加圧して積層し、第二部材用のポリエステル樹脂アルミニウム積層体を得た。
また、比較のために、ポリエステル樹脂(A)の被覆のないステンレス板(SUS304、厚さ:1.5mm)およびアルミニウム板(A2017、厚さ:1.5mm)を別途用意した。
(ポリエステル樹脂組成物の製造)
インサート成形に使用したポリエステル樹脂組成物(B)の原料成分としては、以下の表1の記載の成分を用いた。
上記表1に記載した各成分の中、以下の表2の樹脂組成a〜fとして記載した量(いずれも質量部)でブレンドし、これを30mmのベントタイプ2軸押出機(日本製鋼所社製、二軸押出機TEX30α)を使用して、ガラス繊維はサイドフィーダーより供給し、バレル温度270℃にて溶融混練してストランド状に押し出した後、ストランドカッターによりペレット化し、樹脂組成a〜fのポリブチレンテレフタレート樹脂組成物(B)のペレットを得た。
得られた上記樹脂組成a〜fのポリブチレンテレフタレート樹脂組成物(B)ペレットは、120℃で5時間乾燥した後、インサート成形に使用した。
(結晶化温度)
得られたポリエステル樹脂組成物の結晶化温度(Tc)は、示差走査熱量測定(DSC)機(パーキンエルマー社製「Pyris Diamond」)を用い、30〜300℃まで昇温速度20℃/minで昇温し、300℃で3分保持した後、降温速度20℃/minにて降温した際に観測される発熱ピークのピークトップ温度として、測定した。
(実施例1〜6)
ISO19095に準拠し、上記で得られたポリエステル樹脂(A)アルミニウム積層体を長さ45mm×幅12mm×厚み1.5mmの大きさに切断し、金型キャビティー内に装着した。装着した積層体のポリエステル樹脂(A)側へ上記で得られたポリエステル樹脂組成物(B)を、積層体と樹脂組成物(B)の接合面積が長さ5mm×幅10mmとなるようにインサート成形(長さ45mm×幅10mm×厚3mm)し、図1に示すようなポリエステル樹脂(A)アルミニウム積層体1とポリエステル樹脂組成物(B)部分2が結合した樹脂金属複合体を成形した。成形には、射出成形機としてファナック社製「ファナックα−100」を用い、シリンダー温度270℃、金型温度100℃、射出速度30mm/秒、充填時間0.58秒、保圧80MPa、保圧時間6秒、冷却時間20秒の条件で行った。
(実施例7)
樹脂組成物(B)を射出する直前まで、金属と樹脂接合領域を金型内部から加熱可能なカートリッジヒーター(500W、120V)を用いて加熱し金属表面温度を150℃まで昇温したのちに、実施例4と同様の方法で樹脂金属複合体を成形した。
(実施例8)
超音波溶着機を用いて、実施例1と同様のポリエステル樹脂(A)アルミニウム積層体1に対して、事前に製作した樹脂組成dからなるポリエステル樹脂組成物(C)成形体(長さ45mm×幅10mm×厚さ3mm)を溶着した。
具体的な溶着条件としては、超音波溶着機(ブランソン社製「BRANSON 8700」、出力1500W、20kHz)を用い、エアシリンダー圧力20kPa、溶着時間0.2秒で、積層体側から上記ポリエステル樹脂組成物(C)成形体との接合領域にホーンを押し当てて溶着を行った。
(接合性評価)
得られた樹脂金属複合体を用い、ISO19095に準拠し、接合性の評価を行った。測定は、引張試験機(インストロン社製「5544型」)を使用し、接着して一体化された積層体1とポリエステル樹脂組成物(B)部分2とを、その長軸方向の両端をクランプで挟み、引張速度5mm/分、チャック間距離50mmの条件で引張って評価した。この際、接合部の強度が大きく、遂には母材破壊を引き起こした場合は、母材破壊と表3に記した。接合強度が弱く、積層体1とポリエステル樹脂組成物(B)部分2との界面で剥離した場合は、界面剥離と表3に記した。
表3において、実施例4も実施例7も母材破壊であるが、接合強度を比較すると実施例4は620N、実施例7は1000Nと異なった。実施例4は母材破壊程度が若干部分的であったのに対して、実施例7では積層体を射出成形前に加熱することで、より強固な接合となり、完全な母材破壊に至ったと考えられる。
(比較例1、2)
実施例1において、上記第一部材を前記したポリエステル樹脂の被覆のないアルミニウム板又はステンレス板に変更した以外は同様にして、インサート成形を行った。
実施例1と同様に行った接合性の結果を、表3に示す。
表3の結果から明らかなように、実施例1〜8のインサート成形された樹脂金属複合体は、母材破壊を起こすまでの高い接合性を発揮した。また、アルミニウム板、ステンレス板とインサート成形した比較例1、2は、接合強度が弱く界面剥離を起こした。
本発明の樹脂金属複合体は、ポリエステル樹脂と金属基体との接着性が著しく優れるので、特に自動車等の輸送機器用の電装部品(センサー部品、ECUケース、モーター部品、電池部品)、電気電子機器部品、産業機械用部品、その他民生用部品等に好適に使用できる。
1:ポリエステル樹脂(A)アルミニウム積層体
2:ポリエステル樹脂組成物(B)

Claims (11)

  1. アルミニウム基体上にポリエステル樹脂(A)よりなる層を最表層として有する積層体とポリエステル樹脂組成物(B)を備えるインサート成形体であって、
    ポリエステル樹脂組成物(B)が、ポリエステル系樹脂を50質量%以上の割合で含有し、該ポリエステル系樹脂100質量部に対し、離型剤を0.05〜2質量部、及び、強化充填剤を5〜90質量部含有することを特徴とする樹脂金属複合体
  2. 前記積層体が、アルミニウム基体上に接着剤層を設けた上に、ポリエステル樹脂(A)よりなる層を最表層として有する、請求項1に記載の樹脂金属複合体。
  3. 前記ポリエステル樹脂(A)が、ポリブチレンテレフタレート樹脂5090質量%及びポリエチレンテレフタレート樹脂1050質量%を含有するポリエステル樹脂組成物である、請求項1又は2に記載の樹脂金属複合体。
  4. 輸送機器用の電装部品である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂金属複合体。
  5. アルミニウム基体上にポリエステル樹脂(A)よりなる層を最表層として有する積層体上に、ポリエステル樹脂組成物(B)を射出成形することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂金属複合体の製造方法。
  6. 射出成形に先立って積層体を加熱することを特徴とする、請求項5に記載の樹脂金属複合体の製造方法。
  7. 樹脂金属複合体が輸送機器用の電装部品である、請求項5又は6に記載の樹脂金属複合体の製造方法。
  8. アルミニウム基体上にポリエステル樹脂(A)よりなる層を最表層として有する積層体とポリエステル樹脂組成物(C)からなる部材とを、振動溶着、超音波溶着、熱板溶着又はスピン溶着により溶着させてなり、
    ポリエステル樹脂組成物(C)が、ポリエステル系樹脂を50質量%以上の割合で含有し、該ポリエステル系樹脂100質量部に対し、離型剤を0.05〜2質量部、及び、強化充填剤を5〜90質量部含有することを特徴とする、樹脂金属複合体
  9. 輸送機器用の電装部品である請求項8に記載の樹脂金属複合体。
  10. アルミニウム基体上にポリエステル樹脂(A)よりなる層を最表層として有する積層体とポリエステル樹脂組成物(C)からなる部材とを、振動溶着、超音波溶着、熱板溶着又はスピン溶着により溶着させることを特徴とする、請求項8に記載の樹脂金属複合体の製造方法。
  11. 樹脂金属複合体が輸送機器用の電装部品である、請求項10に記載の樹脂金属複合体の製造方法。
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