JP6978910B2 - 金属接合用樹脂組成物、金属樹脂複合体およびその製造方法 - Google Patents
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このような金属樹脂複合体を製造する方法として、金型内に金属部材を挿入し、その金型内に樹脂を射出成形することにより金属と樹脂を一体化する、金属インサート成形と呼ばれる手法がある。
さらに、特許文献2では、ポリカーボネート樹脂に特定のポリカーボネートオリゴマーを特定量配合する方法が提案されている。しかしながら、これらの方法では、十分な接合強度を得るためには、金型温度をポリカーボネート樹脂のガラス転移温度近傍に設定する必要があり、成形時の冷却時間を長く取る必要がある、または離型時に樹脂部が変形し易いという問題がある。
<1> ポリカーボネート樹脂(A)を含有する樹脂組成物であって、樹脂組成物の流動長(2mmtバーフロー)が350mm以上であることを特徴とする金属接合用樹脂組成物。
<2> 樹脂組成物が、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、ポリカーボネート樹脂(A)以外の他の樹脂(B)を30質量部以上、リン系可塑剤(C)を24質量部以上含有する<1>に記載の金属接合用樹脂組成物。
<3> ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量が22000以下である<1>又は<2>に記載の金属接合用樹脂組成物。
<4> 樹脂組成物の流動長(2mmtバーフロー)が380mm以上である<1>ないし<3>のいずれかに記載の金属接合用樹脂組成物。
<6> 金属表面の凹凸が、開口径が0.01〜1000μm、深さが0.05〜1000μmである<5>に記載の金属樹脂複合体。
<7> 金属表面の凹凸がレーザー処理によって形成されたものである<5>または<6>に記載の金属樹脂複合体。
<8> <1>ないし<4>のいずれかに記載の樹脂組成物を、凹凸表面を有する金属の凹凸を有する面に接合することを特徴する金属樹脂複合体の製造方法。
<9> 樹脂組成物を金属の凹凸を有する面に接合する前に、金属と樹脂が接合する領域の少なくとも一部を加熱することを特徴とする<8>に記載の金属樹脂複合体の製造方法。
本発明の金属接合用樹脂組成物が含有するポリカーボネート樹脂(A)としては、芳香族ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリカーボネート樹脂、芳香族−脂肪族ポリカーボネート樹脂が挙げられるが、好ましくは、芳香族ポリカーボネート樹脂であり、具体的には、芳香族ジヒドロキシ化合物をホスゲン又は炭酸のジエステルと反応させることによって得られる熱可塑性芳香族ポリカーボネート重合体又は共重合体が用いられる。
また、ポリカーボネート樹脂(A)は、複数のポリカーボネート樹脂を混合した混合物であってもよい。
なお、前記したように、ポリカーボネート樹脂(A)は複数のポリカーボネート樹脂を混合した混合物であってもよく、Mvの異なる2種類以上のポリカーボネート樹脂を混合して用いてもよく、この場合には、Mvが上記の好適な範囲外であるポリカーボネート樹脂を混合してもよい。ポリカーボネート樹脂(A)の上記好ましいMvは、ポリカーボネート樹脂混合物の場合には、その混合物から測定されるMvを意味する。
[η]=1.23×10−4Mv0.83
本発明の金属接合用樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)以外の他の樹脂(B)を含有することが好ましく、その含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し30質量部以上が好ましい。他の樹脂(B)を含有することで、樹脂組成物の流動長を350mm以上とすることが容易となる。他の樹脂(B)の含有量の上限は、好ましくは、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、80質量部以下であり、より好ましくは70質量部以下、特には60質量部以下が好ましい。
ポリカーボネート樹脂(A)以外の他の樹脂(B)としては、スチレン系樹脂あるいは熱可塑性ポリエステル樹脂が好ましい。
本発明の金属接合用樹脂組成物は、スチレン系樹脂(B1)を含有することで、樹脂組成物の流動長を350mm以上とすることが容易となる。
ここでスチレン系樹脂(B1)としては、芳香族ビニル単量体(b1)単独、または芳香族ビニル単量体(b1)と必要に応じて共重合可能な他のビニル単量体(b2、b4)及びゴム質重合体(b3)より選ばれる1種以上を重合して得られる樹脂であることが好ましい。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらのその他の単量体(b4)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」と「メタアクリレート」の一方又は双方をさし、「(メタ)アクリル」「(メタ)アクリロ」についても同様である。
上記の(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等が挙げられる。
ブタジエン−(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステル共重合体又はブタジエン−スチレン−(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステル共重合体における(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステルの割合は、ゴム質重合体の量の30質量%以下であることが好ましい。
さらに、具体的には、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン系共重合体(AS樹脂)、スチレン−無水マレイン酸系共重合体(SMA樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム系共重合体(ASA樹脂)、スチレン−ブタジエン−スチレン系共重合体(SBS樹脂)、水添スチレン−ブタジエン−スチレン系共重合体(水添SBS)、水添スチレン−イソプレン−スチレン系共重合体(SEPS)、アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン系共重合体(AAS樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレン系ゴム−スチレン系共重合体(AES樹脂)及びスチレン−IPN型ゴム共重合体等の樹脂、又は、これらの混合物が挙げられる。また、さらにシンジオタクティックポリスチレン等のように立体規則性を有するものであってもよい。また、上記のスチレンに代えて、広く芳香族ビニル系モノマーを用いることができる。
本発明の金属接合用樹脂組成物は、熱可塑性ポリエステル樹脂(B2)を含有することでも、樹脂組成物の流動長を350mm以上とすることが容易となる。
熱可塑性ポリエステル樹脂(B2)としては、ジカルボン酸類又はその反応性誘導体からなるジカルボン酸成分と、ジオール類又はそのエステル誘導体からなるジオール成分とを主成分とする縮合反応により得られる重合体又は共重合体であるが、好ましくは、芳香族ジカルボン酸を主たる酸成分とし、これを脂肪族ジオールを主とするアルコールと重縮合反応させて得られる熱可塑性ポリエステル樹脂を用いる。
また、本発明の金属接合用樹脂組成物は、リン系可塑剤(C)を含有することが好ましく、その含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し24質量部以上が好ましい。リン系可塑剤(C)をこのような量で含有することにより、樹脂組成物の流動長を350mm以上とすることが容易となる。
また、フェニル・ビスフェノール・ポリホスフェート、クレジル・ビスフェノール・ポリホスフェート、フェニル・クレジル・ビスフェノール・ポリホスフェート、キシリル・ビスフェノール・ポリホスフェート、フェニル−p−tert−ブチルフェニル・ビスフェノール・ポリホスフェート、フェニル・イソプロピルフェニル・ビスフェノールポリホスフェート、クレジル・キシリル・ビスフェノール・ポリホスフェート、フェニル・イソプロピルフェニル・ジイソプロピルフェニル・ビスフェノールポリホスフェート等が好ましい例として挙げられる。
本発明の金属接合用樹脂組成物は、上記した以外のその他の添加剤、例えば、離型剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、顔料、染料、難燃剤、耐衝撃改良剤(エラストマーを含む)、強化充填材、帯電防止剤、相溶化剤などの添加剤を含有することができる。これらの添加剤は一種または二種以上を配合してもよい。
なお、ガラス繊維等の繊維状の強化充填材を用いる場合には、押出機のシリンダー途中のサイドフィーダーから供給することも好ましい。
本発明の金属樹脂複合体は、上記した樹脂組成物が、表面に凹凸を有する金属部材に、金属部材の凹凸を有する面側で接合していることを特徴とする。
また、本発明では、樹脂部材が金属部材の凹凸を有する面側全てで接している必要はなく、凹凸を有する面側の一部で接していてもよいことは言うまでもない。
また、金属部材は、そのすべてが金属で構成されているものの他、金属以外の部位で構成された部材の凹凸側の表面を金属、例えばニッケル、クロム、亜鉛、金等によりメッキされた部材であってもよい。
金属部材の厚さとしては、特に制限はないが、0.05〜100mmの範囲であることが好ましく、0.1〜50mmであることがより好ましく、0.12〜10mmであることがさらに好ましい。特に、アルミニウム板および鉄板の場合の厚みは、それぞれ、0.1〜50mmであることが好ましく、0.2〜40mmであることがより好ましい。上記厚さは、金属部材が平板状の場合は、その厚さをいい、また、平板状以外の場合は、金属部材のうち、樹脂部材と凹凸を有する面側で接している金属部位のうち、最も薄い厚さが上記範囲であることが好ましい。
金属部材の表面に微細な凹凸を形成する凹凸化処理としては、特に限定されず、各種の公知の方法が採用可能であるが、例えば、化成処理や化学薬液処理(化学エッチング又は、ケミカルエッチング)、レーザー処理(レーザーエッチング)、ブラストエッチング等による加工が挙げられる。かかる処理を施すことにより、金属部材の表面には微細な凹凸が形成され、この微細な凹凸構造の凹部に上記した樹脂組成物が侵入し、その凹部壁の奥まで侵入して、そのまま固化し凹部から抜けなくなって固定されることにより、強固な接合強度を発現させることができると考えられる。
金属部材がアルミニウムまたはアルミニウム合金である場合、酸性水溶液および/または塩基性水溶液によるエッチング、あるいは、表面に酸化皮膜を形成した後、酸化皮膜を除去し、次いでアンモニア、ヒドラジン、水溶性アミン化合物等により処理する方法等が好ましく挙げられる。また、アルミニウムに対して施す一般的な表面処理法であるアルマイト処理によれば、酸を用いてアルミニウムを陽極で電気分解させることにより、凹凸構造を形成することが可能である。
レーザースキャニングの条件には、出力、スキャン速度、スキャン周波数、スキャン回数、ハッチング幅(処理ピッチ)、パターニング形状等があり、これらの組み合わせで、所望する凹部と凸部から微細な凹凸表面を形成することができる。
また、樹脂粒や金属粒などの砥粒を混入した水を金属部材の表面に向けて加工エアーとともに数十m/秒〜約300m/秒程度の速度で高圧噴射せしめ、エッチング処理するウェットブラストエッチング法等でも可能である。
また、開口部と開口部の間隔は、0.01μm〜1000μmであることが好ましく、より好ましくは0.05μm以上、500μm以下、さらに好ましくは0.1μm以上、200μm以下である。開口部と開口部の間隔は、単位面積あたりの樹脂のアンカー数に関係し、これ以上でも、以下でも十分なアンカー効果を得ることができにくく、接合強度が低くなりやすい。
シランカップリング剤としては、特に限定されないが、例えばメトキシ基、エトキシ基、シラノール基等を有する化合物が挙げられ、シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、クロロプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−(N−スチリルメチル−2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ウレイドアミノプロピルエトキシシランなどが好ましく挙げられる。特に、アルミニウム基体、鉄基体とシランカップリング剤は、Al−O−SiやFe−O−Siの結合を形成して強固に結合し、また、樹脂組成物とシランカップリング剤の有機官能基が反応して強固に結合し、より強固な結合が達成できる。
金属樹脂複合体を製造するには、前記した樹脂組成物を、凹凸表面を有する金属の凹凸を有する面に接合することにより製造できる。
金属部材に樹脂組成物を接合するには、各種の成形法によって可能である。使用する成形機としては、金属部材と樹脂組成物との金属樹脂複合体が形成できれば特に限定されず、例えば、射出成形機、押出成形機、加熱プレス成形機、圧縮成形機、トランスファーモールド成形機、注型成形機等の種々の成形機を使用できるが、これらの中でも射出成形機が特に好ましい。
インサートされる金属部材の大きさは、目的の金属樹脂複合体の大きさ、構造等によって、適宜決めればよい。インサートされる金属部材は、得られる金属樹脂複合体の全体にわたる必要はなく、金属樹脂複合体の一部分であってもよい。
加熱温度は高いほどよいが、通常100〜350℃、好ましくは120〜250℃、さらに好ましくは130〜200℃である。
加熱温度は100℃以上とすることにより、金型温度との差異を大きくでき、加熱の効果がより効果的に発揮され、350℃以下とすることにより、昇温時間を短縮できるため、成形サイクルが向上する傾向にあり、また、樹脂の滞留が発生しにくくなり、成形上、好ましい。
[アルミニウム板の凹凸化処理]
<レーザー処理>
波長1062nmのファイバーレーザー(オムロン社製、「MX−Z2000H」)を用いて、厚さが1.5mmのアルミニウム(JIS A1050)板上に凹凸化を施した。出力は20Wの範囲で、加工したい領域に横方向、縦方向、及び斜め方向に、それぞれ130μm間隔でレーザースキャニングした後、さらに横方向、及び縦方向に65μm間隔でレーザースキャニングした。得られたアルミニウム板の表面をレーザー顕微鏡(「KEYENCE VK−X100」)の対物レンズ10倍で観察し、表面粗さを計測したところ、十点平均粗さRzは134μmであった。また、得られたアルミニウム板表面の断面を走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、「S−4800」)を用いて100倍で観察し、10カ所の凹凸部を計測し、平均することにより開口径及び深さを計測したところ、開口径130μm、深さ100μmであった。
<化学処理>
厚さが1.5mmのアルミニウム板(JIS A1050)に、脱脂後、混酸(塩酸および硫酸その他成分)からなる水溶液(関東化学株式会社製、アルミエッチング液)により化学薬液処理(ケミカルエッチング)し、洗浄工程を経て凹凸表面を有するアルミニウム板を得た。得られたアルミニウム板の表面をレーザー顕微鏡(「KEYENCE VK−X100」)の対物レンズ10倍で観察し、表面粗さを計測したところ、十点平均粗さRzは62μmであった。
上記表1に記したC1成分以外の各成分を、後記表2以下に記した割合(質量比)で配合し、タンブラーにて20分混合した後、1ベントを備えた日本製鋼所社製二軸押出機(「TEX30α」)に上流のフィーダーより供給し、さらにC1成分をバレルの途中より供給しながら、回転数250rpm、吐出量40kg/時間、バレル温度260℃の条件で混練し、ストランド状に押出された溶融樹脂を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、樹脂組成物のペレットを得た。
上述の製造方法で得られたペレットを、80℃で5時間乾燥させた後、日精樹脂工業社製の射出成形機(「NEX80III」、型締め力80T)と、樹脂流動部が螺旋状であり、その厚みが2mm、幅20mmである金型を用い、シリンダー温度240℃、金型温度40℃、射出圧力100MPaの条件で射出成形し、その流動長(バーフロー流動長、単位:mm)を測定した。
上述の製造方法で得られたペレットを80℃で5時間乾燥させた後、日精樹脂工業社製の射出成形機(「NEX80III」、型締め力80T)を用いて、シリンダー温度240℃、金型温度40℃の条件で射出成形し、ISO多目的試験片(4mm厚)を成形した。
耐熱性評価として、上述の方法で得たISO多目的試験片(4mm厚)を用い、ISO75−1に準拠し、荷重1.8MPaの条件で、荷重撓み温度(DTUL、単位:℃)を測定した。
装着したアルミニウム板の凹凸表面側へ、上記で得られた樹脂組成物のペレットを120℃で4時間乾燥したものを用い、図1に示すように、アルミニウム板と樹脂組成物の接合面積が長さ5mm×幅10mmとなるようにインサート成形(長さ45mm×幅10mm×厚3mm)し、図1に示すようなアルミニウム板(金属部材)1と樹脂組成物(樹脂部材)2が結合した金属樹脂複合体を成形した。
インサート成形は、射出成形機としてファナック社製「ファナックα−100」を用い、シリンダー温度270℃、金型温度60℃、射出速度30mm/秒、充填時間0.58秒、保圧110MPa、保圧時間6秒、冷却時間40秒の条件で行った。
表2中、局所加熱「有」のものについては、樹脂の射出前に、金型に予め配置したカートリッジヒーター(120V、350W)で金属表面の接合領域を120秒間加熱し、金属表面の接合領域の温度が90℃になった後に、射出成形して金属樹脂複合体を得た。
得られた金属樹脂複合体を用い、ISO19095に準拠し、接合性の評価を行った。
測定は、引張試験機(インストロン社製、「5544型」)を使用し、接合して一体化されたアルミニウム板1と樹脂組成物部分2とを、ISO19095に準拠した治具に挟み込み、その長軸方向の両端をクランプで挟み、引張速度5mm/分、チャック間距離80mmの条件で引張って、接合強度を評価した。
評価基準は、以下の通りである。
A:樹脂部材が母材破壊した。樹脂は金属凹凸部に100%残存した。
B:樹脂部材の一部が破壊したが、樹脂は金属表面凹凸部に70%以上100%未満残存した。
C:金属表面凹凸部に樹脂が残存せず、界面で剥離した。
上記A、B、Cの内、A及びBは実用上問題のないレベルと判断できる。
接合面の気密性の評価を次の通り行った。
図2(上図は上面図、下図は断面図)に示すように、表面に前記した凹凸化処理が施された、外径55mm、厚み2mmのアルミニウム(JIS A1050)製の円板の中心部に、内径20mmの穴を設けたドーナツ状のアルミニウム円板の内周側の上表面に、前記と同様のインサート成形をして、重ね幅2mmで樹脂組成物を接合し、ISO19095に準拠した試験片を製造した。
東洋精機社製「ボトル耐圧試験機」を使用し、専用の治具にセットし、まず治具槽内を水で満たした後、25℃の水中に浸漬させた。次に治具槽内に送水を開始し、溶着体内部圧力を196kPa刻みで昇圧し、溶着部から圧力が抜けた時点(圧力低下した時点)を破壊最大圧力(耐圧強度、単位:MPa)とした。装置は、株式会社東洋精機製「ボトル耐圧試験機」を使用した。なお、この装置の耐圧強度の測定限界は2.0MPaである。
評価基準は、以下の通りである。
A:耐圧強度が、2.0MPa以上
B:耐圧強度が、1.0MPa以上2.0MPa未満
C:耐圧強度が、1.0MPa未満
これに対し、ポリカーボネート樹脂が流動長350mmを満たさない比較例(比較例1〜4)は接合強度が悪く、局所加熱した場合(比較例1〜3)でも十分な接合強度を得られなかった。
2:樹脂組成物部材
Claims (5)
- 粘度平均分子量が22000以下であるポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、スチレン系樹脂を30質量部以上80質量部以下、リン系可塑剤(C)を24質量部以上60質量部以下含有する樹脂組成物であって、樹脂組成物の流動長(2mmtバーフロー)が350mm以上である樹脂組成物と、レーザー処理によって形成された凹凸を有し、樹脂組成物と接合する領域の少なくとも一部を加熱した金属の表面とを接合した金属樹脂複合体。
- 樹脂組成物の流動長(2mmtバーフロー)が380mm以上である請求項1に記載の金属樹脂複合体。
- 金属表面の凹凸が、開口径が0.01〜1000μm、深さが0.05〜1000μmである請求項1に記載の金属樹脂複合体。
- 粘度平均分子量が22000以下であるポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、スチレン系樹脂を30質量部以上80質量部以下、リン系可塑剤(C)を24質量部以上60質量部以下含有する樹脂組成物であって、樹脂組成物の流動長(2mmtバーフロー)が350mm以上である樹脂組成物を、レーザー処理によって形成された凹凸表面を有する金属の凹凸を有する面に、樹脂組成物との接合領域の金属表面の少なくとも一部を加熱した後、接合することを特徴する金属樹脂複合体の製造方法。
- 加熱する温度が100〜350℃である請求項4に記載の金属樹脂複合体の製造方法。
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