JP6049536B2 - 金属/樹脂複合構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用構造部品、車両搭載用品、電子機器の筐体、家電機器の筐体、構造用部品、機械部品、物流資材、コンテナ、家具、日用雑貨等に用いられるリブ部を有する構造体であって、リブの一部または全部が金属からなり、構造体本体部分が樹脂からなる金属/樹脂複合構造体に関する。
樹脂構造体は、例えば車両用構造部品、車両搭載用品、電子機器の筐体、家電機器の筐体、構造用部品、機械部品、物流資材、コンテナ、家具、日用雑貨等として幅広く用いられている。当該樹脂構造体はこれまで平板樹脂単体で製造されてきたが、近年、強度を同等に保ちつつ、さらに、軽量化を図るため、構造体の一部にリブ構造を造作することが行われている。
しかし、樹脂構造体にリブを造作する場合、リブ部自体の強度を保つために構造体本体に支持されるリブの付け根部分は必然的に肉厚が厚くなる。樹脂成形体は、その特性上、樹脂の肉厚が厚いほど成形収縮が大きいことが知られており、リブ付きの樹脂構造体は、成形時にリブ部の収縮が大きくなり、成形品表面にリブの形状の引けが発生し、寸法安定性および外観を損なう問題が潜在する(非特許文献1参照)。一方、樹脂構造体は、軽量で機械強度に優れることが要求されており、更なる薄肉化、軽量化が求められている。
また、リブ部を有する樹脂構造体は、平板樹脂単体で製造された樹脂構造体と同等の強度を有する物が得られるが、樹脂としての強度の限界から、重量物を載せておくと経時的に変形したり、反ったりする問題が発生する場合がある。
さらに、樹脂構造体は上述のとおり、車両用構造部品や物流資材、コンテナなど、場合によっては突発的な力が加わる用途も存在し、このような力に耐えられるように、十分な強度が要求される。樹脂構造体においてこのような強度を保持するためには、樹脂中に種々の充填剤を添加するか、樹脂厚自体を厚くすることが求められる。しかしながら、充填剤を添加する場合も、樹脂厚を厚くする場合も、樹脂構造体の重量が増えてしまうため、軽量化の要請には耐えられないものとなる。また、樹脂構造体自体が破断するような力が加わった場合には、即座に当該樹脂構造体が割れてしまい、必要な強度が保てないという問題が生じる可能性がある。
また、プラスチック材料において、フィラーなどの充填材で強化したものは、強度が高く固い物であるが、材料の降伏と共に破断し、破断面が鋭くとがったり、破片が無数に発生したりして、用途によっては材料の破片による問題が起こると考えられる。衝突安全性の観点から、強度が高く固い材料であっても、材料の降伏後直ちに破断に至らずおだやかに変形する材料が望まれている。
射出成形辞典(発行元:産業調査会) 232〜233ページ
前記背景技術から鑑みた、本発明が解決しようとする課題は、樹脂構造体において、強度を飛躍的に高め、構造体の寸法安定性および外観に優れ、さらに、突発的な力が加わった場合にも構造体がおだやかに変形し、構造体全体としての強度を保持することができる金属/樹脂複合構造体を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、リブ部を有する構造体であって、リブの一部または全部が表面処理された金属材料からなり、構造体の本体部分が樹脂材料からなり、リブ部と構造体本体部分が接合された金属/樹脂複合構造体によって、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、以下の[1]〜[1]からなる。
[1]本体部分と前記本体部分から突出しているリブ部を有する構造体からなる金属/樹脂複合構造体であって、
前記本体部分が樹脂材料からなり、
前記リブ部が表面処理された金属材料からなり、
前記構造体は、前記リブ部と前記本体部分が接合したインサート射出成形体である、金属/樹脂複合構造体。
[2]前記本体部分は第1の平板であり、前記第1の平板の一方面から突出した前記リブ部を備える、[1]に記載の金属/樹脂複合構造体。
[3]前記リブ部が、前記表面処理された金属材料からなる第2の平板で構成される、[1]または[2]に記載の金属/樹脂複合構造体。
[4]前記リブ部において、前記第2の平板に切欠きが形成されており、
前記リブ部は、複数の前記第2の平板の前記切欠きを組み入れて構成される、[3]に記載の金属/樹脂複合構造体。
[5]前記リブ部が格子状構造である、[1]〜[4]のいずれかに記載の金属/樹脂複合構造体。
[6]前記表面処理は少なくとも、金属材料表面に微細な凹凸形状を形成する処理、又は、金属材料表面にプライマー層を形成する処理のいずれか一方である、[1]〜[5]のいずれかに記載の金属/樹脂複合構造体。
[7]下記特徴(a)を満たす、[1]〜[6]のいずれかに記載の金属/樹脂複合構造体。
特徴(a):前記リブ部を構成する前記金属材料と、前記本体部分を構成する前記樹脂材料との接合強度が10〜60MPaである
[8]前記金属材料が、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金、銅、銅合金、およびチタン合金から選択される1種である、[1]〜[]のいずれかに記載の金属/樹脂複合構造体。
[9]前記樹脂材料100重量部当たり、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、タルク、粘土、およびガラス粉から選ばれる1種以上の充填剤を1〜100重量部を含有する、[1]〜[]のいずれかに記載の金属/樹脂複合構造体。
[10]前記樹脂材料がポリオレフィンである、[1]〜[]のいずれかに記載の金属/樹脂複合構造体。
[11]前記リブ部と前記本体部分の接合部分にプライマー層形成している、[1]〜[10]のいずれかに記載の金属/樹脂複合構造体。
[12]前記本体部分が発泡体である、[1]〜[11]のいずれかに記載の金属/樹脂複合構造体。
[13]前記リブ部を配置した射出金型に、前記樹脂材料を射出成形することにより得られる、[1]〜[1]のいずれかに記載の金属/樹脂複合構造体を製造するための金属/樹脂複合構造体の製造方法。
[14]リブ溝が形成された金型を用いる、[13]に記載の金属/樹脂複合構造体の製造方法。
本発明により、樹脂構造体において、強度を飛躍的に高め、構造体の寸法安定性および外観に優れ、さらに、突発的な力が加わった場合にも構造体全体としての強度を保持することができる金属/樹脂複合構造体を提供することができる。
本発明の格子状の金属インサート、ならびに金属/樹脂複合構造体の構造を示す説明図である。 実施例1、2、6〜11、比較例1、2の金属/樹脂複合構造体を示す説明図である。 実施例3〜5、比較例3〜6の金属/樹脂複合構造体を示す説明図である。 金属/樹脂複合構造体断面の説明図である。 実施例1の構造体の3点曲げ試験結果をまとめたグラフである。 実施例2の構造体の3点曲げ試験結果をまとめたグラフである。 比較例1の構造体の3点曲げ試験結果をまとめたグラフである。 比較例2の構造体の3点曲げ試験結果をまとめたグラフである。 実施例3の構造体の3点曲げ試験結果をまとめたグラフである。 実施例4の構造体の3点曲げ試験結果をまとめたグラフである。 実施例5の構造体の3点曲げ試験結果をまとめたグラフである。 比較例3の構造体の3点曲げ試験結果をまとめたグラフである。 比較例4の構造体の3点曲げ試験結果をまとめたグラフである。 比較例5の構造体の3点曲げ試験結果をまとめたグラフである。 比較例6の構造体の3点曲げ試験結果をまとめたグラフである。 実施例6の構造体の3点曲げ試験結果をまとめたグラフである。 実施例7の構造体の3点曲げ試験結果をまとめたグラフである。 実施例8の構造体の3点曲げ試験結果をまとめたグラフである。 実施例9の構造体の3点曲げ試験結果をまとめたグラフである。 実施例10構造体の3点曲げ試験結果をまとめたグラフである。 実施例11の構造体の3点曲げ試験結果をまとめたグラフである。
本発明の金属/樹脂複合構造体は、リブ部を有する構造体であって、前記リブ部が表面処理された金属材料からなり、前記構造体の本体部分が樹脂材料からなる。
以下、金属/樹脂複合構造体を構成するリブ部および構造体本体部分について説明した後、前記リブ部と前記構造体本体部分の接合態様、金属/樹脂複合構造体の特徴について詳説する。
[リブ部]
本発明の金属/樹脂複合構造体を構成するリブ部は表面処理された金属材料からなる。
本発明で用いることができる金属材料の種類は世の中に存在する全てが対象であるが、好ましくは、線膨張率の大きな金属の種類を用いた方が好ましい。その理由は、後述する樹脂材料の線膨張率は充填剤等を加えて調整しても金属と同等の線膨張率にするには無理があるためである。すなわち、樹脂材料の線膨張率は、最も低いものでも2×10−5−1程度である。このような金属材料のうち、入手の容易さ、価格などを考慮すると、鉄、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金、銅、銅合金、チタンおよびチタン合金を好ましい例として挙げることができ、より好ましくは、アルミニウム、アルミニウム合金が挙げられる。
金属材料を構成するマグネシウム合金としては、ASTMやJISで規格化されている展伸用マグネシウム合金、ダイキャスト法やチクソモールド法の鋳造用マグネシウム合金が挙げられる。また、アルミニウム合金としても、例えば日本工業規格(JIS)で規格化されている展伸用の1000〜7000番系、およびダイカストグレード各種が使用できる。
リブ部を構成する金属材料の構造としては、材料の力がかかる方向の断面係数を大きくすることを意図したものであれば、特にその形態が限定されるものではないが、金属材料の平板を平行に数枚並べたものや、格子状に組んだもの、金属材料を円柱状に加工したものやハニカム状に配置したものなどが例として挙げられる。これらのうち、後述する構造体本体部分との接合態様や強度等を考慮した場合、金属材料の平板を格子状に組んだものを用いることが好ましい。
金属材料の表面処理方法については金属/樹脂複合構造体の製造方法の説明(金属材料表面処理)において説明する。
[構造体本体部分]
本発明の金属/樹脂複合構造体を構成する構造体本体部分は樹脂材料からなる。
本発明で用いることができる樹脂材料は特に限定されないが、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン、4−メチル−1−ペンテン等のポリオレフィンや、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート、液晶ポリエステル等のポリエステル系樹脂や、スチレン系樹脂、ウレタン樹脂の他や、ポリオキシメチレン(POM)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性PPE、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリスルホン(PSU)、変性PSU、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリルブタジエンポリケトン(PK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルニトリル(PEN)、フェノール系樹脂およびフェノキシ樹脂が挙げられる。また、樹脂材料は、上記の樹脂の共重合体や変性体および/または2種類以上ブレンドした樹脂組成物であっても良い。
これらの中でも、特定の目的に対して、上記の樹脂の1種または2種以上が、樹脂中に60重量%以上含まれることが好ましい。成形品のコストパフォーマンス、成形性および軽量性の観点から、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、射出成形を良好におこなうために流動性が高いことが好ましい。そのため、本実施形態におけるポリオレフィンは、ASTM D1238に準拠し、2.16kg荷重の条件で測定されるMFRが、好ましくは4〜200g/10分である。MFRは、プロピレン系重合体では230℃、エチレン系重合体では190℃など、それぞれの樹脂により決められている温度で測定することができる。
ポリオレフィンとしては、エチレン系重合体、プロピレン系重合体など、ポリオレフィンと称される範疇に属するものであればよい。また、それらの中でもオレフィン同士のランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体であってもよい。
また、ポリオレフィンとしては、直鎖状のものであっても、分岐構造を導入したものであってもよい。成形品の強度および耐衝撃性の観点から、ポリアミド(PA)とポリエステルが好ましく用いられる。また、耐熱性および耐薬品性の観点から、ポリアリーレンンスルフィド、中でもポリフェニレンスルフィド(PPS)が好ましく用いられる。成形品外観および寸法安定性の観点から、ポリカーボネート(PC)やスチレン系樹脂が特に好ましく用いられる。
また、本発明において上記樹脂材料は、金属材料と樹脂材料との線膨張率差の調整、および樹脂材料の機械的強度を向上させることを目的として、充填材を含有していることが好ましい。
充填材としては、繊維状充填材、粒状充填材、板状充填材などの充填材を挙げることができる。上記繊維状充填剤としては、例えばガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維などが挙げられる。上記ガラス繊維の具体的例示としては、平均繊維径が6〜14μmのチョップドストランドなどが挙げられる。
また、上記板状、粒状充填材としては、例えば炭酸カルシウム、マイカ、ガラスフレーク、ガラスバルーン、ガラス粉、炭酸マグネシウム、シリカ、タルク、粘土、炭素繊維やアラミド繊維の粉砕物などが挙げられる。
これらの充填材は、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤で処理したものであることが好ましい。
これらの中でも、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、タルク、粘土、およびガラス粉からなる群から選ばれる少なくとも一種の充填材を含むことが好ましい。
これらの充填材を含む場合、その含有量は、上記樹脂材料100質量部に対して、好ましくは1質量部以上100質量部以下であり、より好ましくは5質量部以上90質量部以下であり、とくに好ましくは10質量部以上80質量部以下である。
これらの充填材は、樹脂材料の剛性を高める効果の他、樹脂材料の線膨張係数を低減、制御できる効果がある。本発明にかかると金属/樹脂複合構造体は、金属材料と樹脂材料との複合構造体であり、金属材料と樹脂材料との形状安定性の温度依存性が大きく異なることが多いので、大きな温度変化が起こると金属/樹脂複合構造体に歪みが掛かりやすい。上記充填材を含有することにより、この歪みを低減することができる。
また、充填材の含有量が上記上限値以下であることにより、靱性の低減を抑制することができる。
上記充填剤のみでなく、用途等に応じ、本発明の目的を損なわない範囲で適宜、他の充填材や添加剤を含有しても良い。充填材や添加剤として、例えば、無機充填材、難燃剤、導電性付与剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、制振剤、抗菌剤、防虫剤、防臭剤、着色防止剤、熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、着色剤、顔料、染料、発泡剤、制泡剤およびカップリング剤などが挙げられる。
なお、上記樹脂材料と、上記充填剤およびその他の添加材の配合は公知の手法を用いて行うことができる。
本発明の金属/樹脂複合構造体の構造体本体部分は、上記樹脂材料を後述する方法で射出成形して得られるが、この際、樹脂材料を発泡させて発泡体として用いることもできる。射出発泡体を得る方法としては、化学発泡剤を樹脂に添加する方法や、射出成形機のシリンダー部に直接、窒素ガスや炭酸ガスを注入する方法、あるいは、窒素ガスや炭酸ガスを超臨界状態で射出成形機のシリンダー部に注入するMuCell射出発泡成形法があるが、いずれの方法でも樹脂材料が発泡体である金属/樹脂複合構造体を得る事ができる。また、いずれの方法においても、金型キャビティーの容積より少ない樹脂量を充填し、発泡させることによりキャビティーに充満させるショートショット法や、金型キャビティー容量のの制御方法として、移動側の金型を後退させキャビティーの容積を広げるコアバック法、樹脂充填後に金型内の入れ子やピンを移動させることにより、キャビティーの容量を広げる方法、発泡体の表面状態を良好にするために、カウンタープレッシャーを使用したり、金型を急速加熱冷却を使用することも可能である。また、射出発泡成形以外にも、ガスアシスト成形、ウォーターアシスト成形も使用することが出来る。
[金属/樹脂複合構造体の製造方法]
本発明にかかる金属/樹脂複合構造体は、以下の(1)〜(3)の順番により製造することができる。
(1)金属材料表面処理
(2)リブ部作成
(3)射出成形
以下、各工程について説明する。
<(1)金属材料表面処理>
本発明にかかる金属/樹脂複合構造体のリブ部を構成する金属材料は、上記構造体本体部分を構成する樹脂材料と強固に接合させるために、公知の表面処理技術を用いることができる。
具体的な例としては、(i)金属材料表面に微細な凹凸形状を付与する方法や、(ii)金属材料表面にプライマー層を形成させる方法、さらには、(i)と(ii)の組み合わせがある。
(i)金属材料表面に微細な凹凸形状を付与する方法は、得られる微細凹凸面の形状から大別して以下の3種類の方法がある。
一つ目は侵食性水溶液または侵食性懸濁液に金属を浸漬して得たもので、電子顕微鏡観察により測定して表面は無数の凹部で覆われた形となっており、その凹部の数平均内径は3μm以下である。ここで、上記凹凸の数平均内径とは、凹凸の凹部の内径の平均値をいう。例えば、電子顕微鏡により金属材料表面の凹凸の画像を観察し、凹部が100個以上撮影できる倍率において、全ての凹部についてその内径を計り取る。円形でないものは面積が同等の円として内径を仮定する。仮定した内径も含め、全てを積算して個数で除したものを数平均内径とする。
二つ目は陽極酸化法によって得たもので、表面は主として金属酸化物層となっており、しかもその表面層は無数の数平均内径10〜200nmの開口部で覆われているものである。
三つ目は、機械的切削、例えばダイヤモンド砥粒研削またはブラスト加工によって作成した凹凸有する金型パンチをプレスすることにより金属表面に凹凸を形成する方法や、サンドブラスト、ローレット加工、レーザー加工により金属表面に凹凸形状を作成する物でその凹部の幅は10〜800μmである。
これらのうち、一つ目の侵食性水溶液または侵食性懸濁液に金属を浸漬して得たものが、金属材料を広範囲にわたってまとめて処理することができることから好ましい。
(ii)金属材料表面にプライマー層を形成させる方法の場合、プライマー層は特に限定されないが、通常は樹脂成分を含むプライマー樹脂材料からなる。プライマー樹脂材料は特に限定されず、公知のものを用いることができる。具体的には、公知のポリオレフィン系プライマー、エポキシ系プライマー、ウレタン系プライマーなどを挙げることができる。プライマー層の形成方法は特に限定されないが、例えば、上記のプライマー樹脂材料の溶液や、上記のプライマー樹脂材料のエマルションを、上記表面処理を行った金属部材に塗工して形成することができる。溶液とする際に用いる溶媒としては、トルエン、メチルエチルケトン(MEK)、ジメチルフォスフォルアミド(DMF)などが挙げられる。エマルション用の媒体としては、脂肪族炭化水素媒体や、水などが挙げられる。
上記(i)、(ii)の処理を行うに当たり、前記金属材料は、金属を切断、プレス等による塑性加工、打ち抜き加工、切削、研削、放電加工等の除肉加工によって上述した所定の形状に加工された後になされることが好ましい。要するに、種々の加工法により、後述する射出成形のインサート用として必要な形状に加工されたものを用いることが好ましい。必要な形状に加工された金属材料は、樹脂材料と接着すべき面が厚く酸化や水酸化されていないことが好ましく、長期間の自然放置で表面に酸化皮膜である錆の存在が明らかなものは研磨、化学処理等でこれを取り除くことが好ましい。
なお、本発明にかかる金属/樹脂複合構造体の構造体本体部分を構成する樹脂材料が、上記金属材料と親和性の高い材料、例えばヘテロ原子を含む基、具体的にはエステル基、カルボン酸基、アルデヒド基、ケトン基などの極性基を有する樹脂材料の場合には、上述の(i)の表面処理を行った金属材料を用いて金属/樹脂複合構造体を構成することが可能であるが、樹脂材料がポリオレフィンのように非極性の材料である場合、極性を持つ金属と一体化する場合には、(ii)の表面処理を行うことが好ましく、(i)の表面処理も組み合わせて行うことがより好ましい。
<(2)リブ部作成>
上記(1)によって表面処理された金属材料は、金属/樹脂複合構造体が有するべき性能に併せて、その形状を選択して作成される。
形状については、上述のとおり、金属材料の平板や波板を平行に数枚並べたものや、格子状に組んだもの、放射状に並べたもの、金属材料を円柱状に加工したものやハニカム状に配置したものなどが例として挙げられる。
金属材料同士の組み合わせについては、各部材に切欠きを入れて組み合わせたものや、溶接によって組み合わせたものなど、公知の方法によって行うことが可能である。
<(3)射出成形>
本発明の金属/樹脂複合構造体は、上記(2)によって作成されたリブ部をインサートした射出成形法により製造するのが好ましい。具体的には、以下の(i)、(ii)の工程を含んでいる。
(i)リブ部を、射出成形用の金型内に設置する工程
(ii)上記樹脂材料を、上記リブ部を構成する金属材料の少なくとも一部と接するように、上記金型内に射出成形する工程
なお、金属材料に上記プライマー層が形成されている場合には、上記(ii)の工程において、上記樹脂材料と、プライマー層が接するように金属材料を射出成形用の金型内に設置することを要する。
以下、射出成形方法について説明する。
まず、射出成形用の金型を用意し、その金型を開いてその一方に金属材料を設置する。その後、金型を閉じ、樹脂材料の少なくとも一部が上記金属材料と接するように、上記金型内に上記樹脂材料を射出して固化する。その後、金型を開き離型することにより、金属/樹脂複合構造体を得ることができる。
使用する金型には、上記射出成形方法によって得られた金属/樹脂複合構造体を金型内から離型するためにイジェクターピンを配置することが望ましい。この際、イジェクターピンは、金属/樹脂複合構造体のリブ部が接合した面から押す位置に設置するのが、金属/樹脂複合構造体の構造体本体部分の意匠を害しないため好ましい。また、イジェクターピンが配置される場所は、リブ部を押す位置(リブ上)に設置するのがより好ましい。この位置に設置することで、イジェクターピンの太さの樹脂だまりがリブ部に形成されるため、リブ部の金属材料を樹脂が包み込むように入るため、金属と樹脂とが形状因子的に拘束され、高い接合強度が得られる。
次に、射出条件について説明する。
射出成形時の樹脂材料の温度が、使用する樹脂の融点よりも10〜140℃高いことが好ましい。つまり、射出成形時の上記樹脂材料の温度をT1[℃]とし、使用する樹脂材料の融点をT2[℃]としたとき、上記T1が、T2+10≦T1≦T2+140の範囲であることが好ましい。また、射出成形時の樹脂材料の温度は、使用する樹脂材料の融点よりも、20〜130℃高いことがより好ましく、30〜125℃高いことが特に好ましい。なお、上記樹脂材料の温度は、いわゆる成形温度(シリンダー温度)と認識されても差し支えない。
また、射出成形時の金型の温度が、使用する樹脂材料の融点よりも、10〜150℃低い条件にすることが好ましい。つまり、射出成形時の金型の温度をT3[℃]としたとき、上記T3が、T2−150≦T3≦T2−10の範囲であることが好ましい。また、射出成形時の金型の温度は、使用する樹脂材料の融点よりも、20〜140℃低いことがより好ましく、30〜130℃低いことが特に好ましい。さらに、金型の温度自体を通常よりもやや高めにすることも好ましい。具体的には、50℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましい。
また、成形時の保圧時間は5秒以上120秒以下であることが好ましい。このように、保圧する時間を長めに設定することにより、樹脂材料と、金属材料の接合強度を高くできる効果があると考えられる。ここで、保圧時間とは、射出成形機の充填完了時からノズルの圧力を設定した圧力に保っておく時間をいう。
なお、ここで、本発明において好ましい金属材料の形態である、金属材料の平板を格子状に組んだものを使用した場合について詳細に説明する。
格子状の金属材料は、図1に示したように、縦(長手)方向に位置するリブと横方向に位置するリブとが上下交互に切り欠き部を有し、組み合わさることで格子状の金属材料を形成する。
この際、金型のイジェクターピンは上述のとおり、リブ部上に配置することが望ましいが、さらに好ましくは、格子の交点に金型のイジェクターピンを配置することが望ましい。イジェクターピンをリブの部分、さらには格子の交点に配置することで、上述のとおり、イジェクターピンの太さの樹脂だまりがリブ部に形成され、さらには格子の交点にも形成されるので、格子の交点部分においてより強固に、金属と樹脂とが形状因子的に拘束される。
リブ部を形成する方法としては、上記した切り欠き部を使用する方法以外にも、金属をプレス成形、打ち抜き成形を行い、リブ溝に金属部分がインサートされるように加工したものも使用することができる。金型に設置されているリブ溝は、成形品の取り出しを容易にするため、1°から5°程度の勾配がリブの片側、あるいは両側に与えられる。この勾配があるがゆえに金属インサート側面にも樹脂が入り込み、樹脂と金属との接合面積を実質的に広げて、より強固な接合強度が得られる。
[金属/樹脂複合構造体]
上記製造方法により得られる金属/樹脂複合構造体は、リブ部を有する構造体であって、前記リブ部が金属材料からなり、前記構造体の本体部分が樹脂材料からなり、リブ部と構造体本体部分が強固に接合された形状であることに特徴を有する。
本発明にかかる金属/樹脂複合構造体は、好ましくは、以下の(a),(b),(c)の特徴をそれぞれ任意に満たす。
(a)リブ部を構成する金属材料と、構造体本体部分を構成する樹脂材料との接合強度が10〜60MPa。
(b)前記構造体本体部分を構成する樹脂材料単独の降伏応力あるいは0.2%耐力(どちらもσy1とする)と、構造体本体部分を構成する樹脂材料単独のヤング率(E)と、前記リブ部を構成する金属材料単独の降伏応力あるいは0.2%耐力(どちらもσy2とする)とリブ部を構成する金属材料単独のヤング率(E)、構造体の長手方向に直角の方向の断面における構造体本体部分の断面2次モーメント(I)と断面係数(Z)、リブ部の断面2次モーメント(I)と断面係数(Z)から求められる関係式(σy1・Z/(E・I))/(σy2・Z/(E・I))が10〜500。
(c)前記構造体本体部分に接合した前記リブ部が占める長辺部分および短辺部分の積からなる投影面積(S1)に対する、前記構造体本体部分に接合した前記リブ部の接触面面積の総和(S2)の比(S2/S1)が0.01〜0.5。
以下、特徴(a)〜(c)について説明する。
<特徴(a)>
本発明にかかる樹脂/金属複合構造体は、リブ部を構成する前記表面処理を施した金属材料と、構造体本体部分を構成する樹脂材料との接合強度が10〜60MPa、好ましくは12〜59MPa、より好ましくは15〜58MPaである。
接合強度は、リブ部を構成する金属材料の種類、金属材料の表面処理による微細な凸凹形状の数や内径、樹脂材料の種類や物性、射出接合における温度や保圧時間等の成形条件によって調整することができる。
接合強度は、万能材料試験機AG100kNx(島津製作所製)を使用し、引張試験機に専用の治具を取り付け、室温(23℃)にて、チャック間距離60mm、引張速度10mm/minの条件にて測定を行った。
接合強度が上記範囲にあることにより、金属材料からなるリブ部が樹脂材料からなる構造体本体部分に強固に接合することになり、樹脂/金属複合構造体全体として強度を保つことが可能となる。
<特徴(b)>
本発明にかかる金属/樹脂複合構造体は、前記構造体本体部分を構成する樹脂材料単独の降伏応力あるいは0.2%耐力(どちらもσy1とする)と、構造体本体部分を構成する樹脂材料単独のヤング率(E)と、前記リブ部を構成する金属材料単独の降伏応力あるいは0.2%耐力(どちらもσy2とする)とリブ部を構成する金属材料単独のヤング率(E)、構造体の長手方向に直角の方向の断面における構造体本体部分の断面2次モーメント(I)と断面係数(Z)、リブ部の断面2次モーメント(I)と断面係数(Z)から求められる関係式(σy1・Z/(E・I))/(σy2・Z/(E・I))が10〜500である。
材料の曲げ試験は、材料力学における梁の理論が用いられており、そこでは、材料による因子と形状による因子とが考慮されている。曲げ応力σ(Pa)は、以下のように与えられる。
σ=M/Z (1)
Mは曲げモーメント(Nm)でM=WL/4、Wは荷重(N)、Lは支点間距離(m)である。
たわみ量δ(m)との関係は、
δ=σLZ/12EI (2)
で与えられる。
Eはヤング率(Pa)、Iは断面2次モーメント(m)Zは断面係数(m)、である。EとIとの積を曲げ剛性と言う。
ここで、構造体本体部分のたわみ量δは、δ=σ/12Eであり、構造体リブ部のたわみ量δは、δ=σ/12Eである。
構造体本体部分単独の降伏応力あるいは0.2%耐力をσy1としたとき、σ=σy1であるときのたわみ量δy1は本体部分の材料が降伏するたわみを表す。また、リブ部分単独の降伏応力あるいは0.2%耐力をσy2としたとき、σ=σy2であるときのたわみ量δy2はリブ部分の材料が降伏するあるいは塑性変形を始めるたわみ量を表す。
ここでδとδとの比は、本体部が降伏するたわみ量とリブ部が降伏するあるいは塑性変形を始めるたわみ量との比であり、以下のような関係式として与えられる。
(σy1・Z/(E・I))/(σy2・Z/(E・I)) (3)
この関係式は、複合体本体部とリブ部との接着界面の状況を考慮しないことと、曲げの中心軸の位置が実際と一致しない場合もあるというように様々な仮定を用いて導いているので、厳密に構造体の特性を説明する物ではないが、ある幅を持って構造体の特性を説明することが出来る。
(σy1・Z/(E・I))/(σy2・Z/(E・I))は10〜500が好ましく、より好ましくは20〜400、さらに好ましくは30〜300である。
(σy1・Z/(E・I))/(σy2・Z/(E・I))が10以下のとき、本体部とリブ部の降伏が近いたわみで起こるため、荷重―たわみ曲線は、単一の材料から構成される物と同様の曲線を示す。
(σy1・Z/(E・I))/(σy2・Z/(E・I))が10以上では、リブ部が降伏、あるいは塑性変形を開始した後も、本体部分は降伏していないので、荷重―変位曲線が次のような特徴を持つ。たわみ量の増加と共に荷重が増大し、荷重の最大値を示した後、荷重が急激に低下し、応力の最大値より30〜80%低い荷重を保ちながら、たわみ量が増加してゆく、いわゆる2段階の荷重−たわみ曲線となる。
(σy1・Z/(E・I))/(σy2・Z/(E・I))が500より大きいと、リブ部の曲げ剛性が極端に大きくなり、リブ部の変形がほとんど起こらないまま本体部の材料の圧縮降伏が起こるため、衝突安全という観点からは望ましくない。
〔断面係数Z、断面2次モーメントの算出方法〕
断面係数Z、断面2次モーメントは、材料力学の教科書や機械工学ハンドブックに示されている(例えば、吉沢武男編:大学演習機械要素設計(東京裳華房)371ページ)。
ここでは、構造体本体部分とリブ部とは切り離して、それぞれの断面形状、本数から断面係数Z、断面2次モーメントを算出することとする。リブ部の断面係数の算出に関しては以下の様に仮定する。
縦(長手)方向に位置するリブと横(幅)方向に位置するリブとが存在するが、3点曲げを行うにあたり、横方向に位置するリブは縦方向の曲げに影響を及ぼさないため、縦方向の断面のみから算出する。例として図4に示すような形状に関して、断面係数Z、断面2次モーメントの求め方を示す。
構造体本体部
=BH/12 (4)
=BH/6 (5)
リブ部
=nbh/12 (6)
=nbh/6 (7)
Bは構造体本体部の幅、Hは天板の厚み、bはリブ部の厚さ、hはリブ部の高さ、nはリブの本数であり、図にはn=2の例を示している。
構造体本体部分の厚みを変更すること、リブ部ではリブの幅、深さを変更ずることにより、これらの値を大きく変えることができる。
長方形以外の形状に関しては、教科書や機械工学ハンドブックに記載されている式から求めることが出来る。
〔荷重―たわみ曲線〕
前述の荷重―たわみ曲線と特長として、たわみ量の増加と共に荷重が増大し、荷重の最大値を示した後、荷重が急激に低下し、荷重の最大値より30〜80%低い荷重を保ちながら、たわみ量が増加してゆく、いわゆる2段階の荷重−たわみ曲線となることを、次のように定量的に表す。荷重の最大値Wmaxを示した後、荷重が傾きΔw/Δδが−50〜−∞で低下する。ΔWは、低下前の荷重W1と低下後の荷重W2との差で、Δδは低下前のたわみ量δ1と低下後のたわみ量δ2との差である。低下後の荷重は、荷重の最大値Wmaxより30〜80%の範囲内の値を示す。
<特徴(c)>
本発明にかかる金属/樹脂複合構造体は、好ましくは、前記構造体本体部分に接合した前記リブ部が占める長辺部分および短辺部分の積からなる面積(S1)に対する、前記構造体本体部分に接合した前記リブ部の接触面面積の総和(S2)の比(S2/S1)が0.01〜0.5の条件を満たす。S2/S1は、より好ましくは0.015〜0.45、さらに好ましくは0.02〜0.4である。
例として図2に示す金属/樹脂複合構造体の場合、S1は210mm×150mm=31500mmであり、S2は、(210mm×1mm×2)+(150mm×1mm×3)=870mmであるので、S2/S1=0.028となる。
S2/S1が上記範囲にあることにより、複合化する前の材料強度を損なうことなく、軽量化することが可能となる。
上記特徴(a),(b),(c)を満たすことにより、本発明にかかる金属/樹脂複合構造体は、外力に対する強度が高く、さらに、特記すべき事項として、突発的な力が加わった場合であっても、構造体本体部分およびリブ部において、接合部分の破壊もしくはリブ構造の破壊またはその双方により、総合的に当該衝撃による力を分散させることができるので、構造体全体としての強度を保持することができる。
[金属/樹脂複合構造体の用途]
本発明にかかる金属/樹脂複合構造体は、比較的生産性が高く、形状制御の自由度も高いので、様々な用途に展開することが可能である。
例えば、車両用構造部品、車両搭載用品、電子機器の筐体、家電機器の筐体、構造用部品、機械部品、種々の自動車用部品、電子機器用部品、家具、台所用品などの家財向け用途、医療機器、建築資材の部品、その他の構造用部品や外装用部品などが挙げられる。
より具体的には、ポリオレフィン樹脂だけでは強度が足りない部分を金属がサポートする用にデザインされた部品である。車両関係では、インスツルメントパネル、コンソールボックス、ドアノブ、ドアトリム、シフトレバー、ペダル類、グローブボックス、バンパー、ボンネット、フェンダー、トランク、ドア、ルーフ、座席シート、ラジエータ、オイルパン、ステアリングホイール、ECUボックス、電装部品などが挙げられる。また、建材や家具類として、ガラス窓枠、手すり、カーテンレール、たんす、引き出し、クローゼット、書棚、机、椅子などが挙げられる。また、精密電子部品類として、コネクタ、リレー、ギヤなどが挙げられる。また、輸送容器として、輸送コンテナ、スーツケース、トランクなどが挙げられる。さらに、金属材料の高い熱伝導率と、ポリオレフィンの断熱的性質とを組み合わせ、ヒートマネージメントを最適に設計する次のような機器に使用される部品で、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、電子レンジ、エアコン、照明機器、電気湯沸かし器、テレビ、時計、換気扇などの家電製品類、パソコン、携帯電話、スマートフォン、デジタルカメラ、タブレット型PC、携帯音楽プレーヤー、携帯ゲーム機、充電器、電池など電子情報機器などが挙げられる。
その他の用途として、玩具、スポーツ用具、靴、サンダル、鞄、フォーク、ナイフ、スプーン、皿などの食器類、ボールペンやシャープペン、ファイル、バインダーなどの文具類などが挙げられる。
以上、本発明の金属/樹脂複合構造体の用途について述べたが、これらは本発明の用途の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、参考形態の例を付記する。
1.リブ部を有する構造体であって、
前記リブ部が表面処理された金属材料からなり、
前記構造体の本体部分が樹脂材料からなり、
前記リブ部と前記構造体本体部分が接合されている、金属/樹脂複合構造体。
2.下記特徴(a)を満たす、1.に記載の金属/樹脂複合構造体。
特徴(a):リブ部を構成する金属材料と、構造体本体部分を構成する樹脂材料との接合強度が10〜60MPaである
3.下記特徴(b)を満たす、1.または2.に記載の金属/樹脂複合構造体。
特徴(b):前記構造体本体部分を構成する樹脂材料単独の降伏応力あるいは0.2%耐力(どちらもσ y1 とする)と、
前記構造体本体部分を構成する樹脂材料単独のヤング率(E )と、前記リブ部を構成する金属材料単独の降伏応力あるいは0.2%耐力(どちらもσ y2 とする)と、
前記リブ部を構成する金属材料単独のヤング率(E )と、
前記構造体本体部分の長手方向に直角の方向の断面における構造体本体部分の断面2次モーメント(I )と断面係数(Z )、
前記リブ部の断面2次モーメント(I )と断面係数(Z )、
から求められる関係式(σ y1 ・Z /(E ・I ))/(σ y2 ・Z /(E ・I ))、が10〜500である
4.下記特徴(c)を満たす、1.〜3.のいずれかに記載の金属/樹脂複合構造体。
特徴(c):前記構造体本体部分に接合した前記リブ部が占める長辺部分および短辺部分の積からなる投影面積(S1)に対する、前記構造体本体部分に接合した前記リブ部の接触面面積の総和(S2)の比(S2/S1)が0.01〜0.5である
5.前記リブ部が格子状構造である、1.〜4.のいずれかに記載の金属/樹脂複合構造体。
6.前記金属が、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金、銅、銅合金、およびチタン合金から選択される1種である、1.〜5.のいずれかに記載の金属/樹脂複合構造体。
7.前記樹脂100重量部当たり、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、タルク、粘土、およびガラス粉から選ばれる1種以上の充填剤を1〜100重量部を含有する、1.〜6.のいずれかに記載の金属/樹脂複合構造体。
8.前記樹脂がポリオレフィンである、1.〜7.のいずれかに記載の金属/樹脂複合構造体。
9.前記リブ部と前記構造体本体部分の接合部分にプライマー層が形成している、8.に記載の金属/樹脂複合構造体。
10.前記構造体本体部分が発泡体である、1.〜9.のいずれかに記載の金属/樹脂複合構造体。
11.前記リブ部を配置した射出金型に、前記樹脂を射出成形することにより得られる、1.〜10.のいずれかに記載の金属/樹脂複合構造体の製造方法。
12.前記金属を予め表面処理し、微細な凹凸を形成した後に射出成型に用いる、11.に記載の金属/樹脂複合構造体の製造方法。
13.前記金属を予め表面処理し、さらにプライマーを塗布した後に射出成型に用いる、11.に記載の金属/樹脂複合構造体の製造方法。
以下に、本実施形態を実施例および比較例により説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。尚、以下の図においては、金属/樹脂複合構造体の構造は模式化して示しており、各構造部分の厚みを省略して描いている。
以下、本発明にかかる金属/樹脂複合構造体の強度を3点曲げの測定値により示し、本発明の有効性を確認したものである。
以下、実施例・比較例により得られた金属/樹脂複合構造体の評価・測定方法を示す。
(金属/樹脂複合構造体の荷重―たわみ曲線の測定)
万能材料試験機AG100kNx(島津製作所製)を使用し、引っ張り試験機に専用の治具取り付け、室温(23℃)にて、チャック間距離120mm、移動速度5.0mm/minの条件にて3点曲げ試験を行い、荷重―たわみ曲線を得た。
(2段階の変化を示す荷重―変位曲線の特長)
2段階の荷重−たわみ曲線となることを、次の数値を荷重−たわみ曲線より求めて示す。荷重の最大値Wmaxを示した後、荷重が傾きΔw/Δδが−100〜−∞で低下する。ΔWは、低下前の荷重W1と低下後の荷重W2との差で、Δδは低下前のたわみ量δ1と低下後のたわみ量δ2との差である。低下後の荷重の代表値をW3とする。
(ヤング率、降伏応力、0.2%耐力)
樹脂材料の曲げ試験における曲げ弾性率(ヤング率)は、JIS K7171、降伏応力は、JIS K7161、金属材料のヤング率、降伏応力、0.2%耐力は、JIS Z2241に準拠して測定を行った。に準拠して万能材料試験機AG100kNx(島津製作所製)を使用し測定を行った。
(リブ部の天板表面のひけ)
リブ部を有する部分の天板表面のひけは、蛍光灯の光源の反射が直線的であるかどうか目視によりひけの有無の判断を行った。
(金属の重量比率)
構造体リブ部に用いられる金属の重量と構造体全体の重量との比であり、以下のように表される。重量の測定は、研精工業株式会社製GR−202を使用した。
金属の重量比率=金属の重量/(本体部の重量+金属の重量)×100 で表す。
(金属の体積比率)
構造体リブ部に用いられる金属の形状から求めた体積と構造体全体の形状から求めた体積との比であり、以下のように表される。
金属の体積比率=金属の体積/(本体部の体積+金属の体積)×100 で表す。
(構造体の界面比率)
設計上の形状から求められる構造体全体の表面積と、構造体リブ部に用いられる金属と本体部との界面積との比であり、以下のように表される。
構造体の界面比率=設計上の金属と樹脂との界面積/(本体部の表面積+金属部の表面積)
(金属表面の界面比率)
金属部が樹脂と接している面積の比率を表す物で、以下のように表される。
金属表面の界面比率=設計上の金属と樹脂との界面積/金属部の全表面積
[実施例1]
(アルミニウム合金の表面処理)
市販の1mm厚A5052板材を入手し、切断して、幅5mm×長さ150mm、および、幅5mm×長さ210mmの合金板材を作成し、さらに、長さ方向に50mm間隔で2.5mmの切欠きをいれた。
槽に市販のアルミニウム合金用脱脂剤「NE−6(メルテックス株式会社製)」を水に投入して60℃、濃度7.5%の水溶液とした。これに前記アルミニウム合金板材を7分浸漬し十分に水洗した。続いて別の槽に40℃とした1%濃度の塩酸水溶液を用意し、これに前記の合金板材を1分浸漬して十分に水洗した。次いで別の槽に40℃とした1.5%濃度の苛性ソーダ水溶液を用意し、先ほどの合金板材を2分浸漬して十分に水洗した。続いて別の槽に40℃とした3%濃度の硝酸水溶液を用意し、これに前記合金板材を1分浸漬し水洗した。
次いで別の槽に60℃とした一水和ヒドラジンを3.5%含む水溶液を用意し、これに前記合金板材を2分浸漬し、水洗した。次いで67℃にした温風乾燥機に15分入れて乾燥した。乾燥後、アルミ箔で前記アルミニウム合金板材をまとめて包み、さらにこれをポリ袋に入れて封じ保管した。4日後、その1個を電子顕微鏡観察したところ30〜100nm径の凹部で覆われていることが分かった。また、別の1個を走査型プローブ顕微鏡にかけて粗度データを得た。これによると山谷平均間隔(RSm)は1〜2μm、最大高さ(Rz)は0.3〜0.5μmであった。
(プライマー樹脂材料の塗工)
上記アルミニウム合金の表面処理の方法により処理したアルミニウム合金板材にプライマー樹脂材料を、プライマー層の厚みが10μmとなるようにメイヤーバーを使用し室温で塗工をおこない、200℃のオーブンにて乾燥を行った。プライマー樹脂材料としては、無水マレイン酸変性プロピレン系重合体(三井化学株式会社製、ユニストールR300(登録商標))を用いた。
(射出成形)
日本製鋼所社製射出成型機(JSW J85AD110H)に構造体本体部分からなる天板の厚さ1mmとなるリブ溝付き平板金型を装着し、金型内にプライマー層を形成した前記アルミニウム合金板材を金型のリブ溝に格子状に設置した。次いで、その金型内にポリオレフィンを、シリンダー温度230℃、金型温度55℃、射出速度85mm/sec、保圧22MPa、保圧時間5秒、冷却時間50秒の条件にて射出成形を行った。ポリオレフィンとしては、プロピレン系重合体(プライムポリマー社製、プライムポリプロJ705UG、密度910kg/m、プロピレン系重合体のMFR:9g/10分)を用いた。
得られた金属/樹脂複合構造体について、上記評価を行った。図5に3点曲げを行ったときの荷重−たわみ曲線を示す。評価結果は表1に示す。
[実施例2]
実施例1と同様の方法でインサート金属を準備し、射出成形機に構造体本体部分からなる天板の厚さが2mmとなるリブ溝付き平板金型を装着し、金型内にプライマー層を形成したアルミニウム合金板材を金型のリブ溝に格子状に設置した。次いで、その金型内にポリオレフィンを、シリンダー温度230℃、金型温度55℃、射出速度100mm/sec、保圧15MPa、保圧時間5秒、冷却時間50秒の条件にて射出成形を行った。ポリオレフィンとしては、プロピレン系重合体(プライムポリマー社製、プライムポリプロJ705UG、密度910kg/m、プロピレン系重合体のMFR:9g/10分)を用いた。
得られた金属/樹脂複合構造体について、上記評価を行った。図6に3点曲げを行ったときの荷重−たわみ曲線を示す。評価結果は表1に示す。
[比較例1]
構造体本体部分からなる天板の厚さが1mmとなるリブ溝付き平板金型を射出成形機に装着し、金属インサートを金型に装着せず、樹脂単体でその金型内にポリオレフィンを、シリンダー温度230℃、金型温度55℃、射出速度85mm/sec、保圧22MPa、保圧時間5秒、冷却時間50秒の条件にて射出成形を行った。ポリオレフィンとしては、プロピレン系重合体(プライムポリマー社製、プライムポリプロJ705UG、密度910kg/m、プロピレン系重合体のMFR:9g/10分)を用いた。
得られた樹脂構造体について、上記評価を行った。図7に3点曲げを行ったときの荷重−たわみ曲線を示す。評価結果は表1に示す。
[比較例2]
構造体本体部分からなる天板の厚さが2mmとなるリブ溝付き平板金型を射出成形機に装着し、金属インサートを金型に装着せず、樹脂単体でその金型内にポリオレフィンを、シリンダー温度230℃、金型温度55℃、射出速度100mm/sec、保圧15MPa、保圧時間5秒、冷却時間50秒の条件にて射出成形を行った。ポリオレフィンとしては、プロピレン系重合体(プライムポリマー社製、プライムポリプロJ705UG、密度910kg/m、プロピレン系重合体のMFR:9g/10分)を用いた。
得られた樹脂構造体について、上記評価を行った。図8に3点曲げを行ったときの荷重−たわみ曲線を示す。評価結果は表1に示す。
[実施例3]
実施例1と同様の方法でインサート金属を準備し、構造体本体部分からなる天板の厚さが2mmで天板の外周に1mm幅で高さ5mmの枠を有するリブ溝付き平板金型を射出成形機に装着し、金型内に表面処理を施したアルミニウム合金板材を金型のリブ溝に格子状に設置した。次いで、その金型内に射出発泡成形を行った。射出発泡成形は、シリンダーに超臨界窒素を0.5wt%注入して次いでその金型内にポリオレフィンを、シリンダー温度230℃、金型温度55℃、射出速度100mm/sec、冷却時間50秒の条件にて射出率95%のショートショット法により行った。ポリオレフィンとしては、プロピレン系重合体(プライムポリマー社製、プライムポリプロJ705UG、密度910kg/m、プロピレン系重合体のMFR:9g/10分)を用いた。
得られた樹脂構造体について、上記評価を行った。図9に3点曲げを行ったときの荷重−たわみ曲線を示す。評価結果は表2に示す。
[実施例4]
実施例1と同様の方法でインサート金属を準備し、構造体本体部分からなる天板の厚さが2mmで天板の外周に1mm幅で高さ5mmの枠を有するリブ溝付き平板金型を射出成形機に装着し、金型内に表面処理を施したアルミニウム合金板材を金型のリブ溝に格子状に設置した。次いで、その金型内にポリオレフィンを、シリンダー温度230℃、金型温度55℃、射出速度100mm/sec、冷却時間50秒の条件にて射出成形を行った。ポリオレフィンとしては、ガラス繊維含有プロピレン系重合体(プライムポリマー社製、プライムポリプロV7100、密度1030kg/m、プロピレン系重合体のMFR:18g/10分)を用いた。
得られた樹脂構造体について、上記評価を行った。図10に3点曲げを行ったときの荷重−たわみ曲線を示す。評価結果は表2に示す。
[実施例5]
実施例1と同様の方法でインサート金属を準備し、構造体本体部分からなる天板の厚さが2mmで天板の外周に1mm幅で高さ5mmの枠を有するリブ溝付き平板金型を射出成形機に装着し、金型内に表面処理を施したアルミニウム合金板材を金型のリブ溝に格子状に設置し、射出発泡成形を行った。射出発泡成形は、シリンダーに超臨界窒素を0.5wt%注入して次いでその金型内にポリオレフィンを、シリンダー温度230℃、金型温度55℃、射出速度100mm/sec、冷却時間50秒の条件にて射出率95%のショートショット法により行った。ポリオレフィンとしては、ガラス繊維含有プロピレン系重合体(プライムポリマー社製、プライムポリプロV7100、密度1030kg/m、プロピレン系重合体のMFR:18g/10分)を用いた。
得られた樹脂構造体について、上記評価を行った。図11に3点曲げを行ったときの荷重−たわみ曲線を示す。評価結果は表2に示す。
[比較例3]
構造体本体部分からなる天板の厚さが2mmで天板の外周に1mm幅で高さ5mmの枠を有するリブ溝付き平板金型を射出成形機に装着し、金属インサートを金型に装着せず、射出発泡成形を行った。射出発泡成形は、シリンダーに超臨界窒素を0.5wt%注入して次いでその金型内にポリオレフィンを、シリンダー温度230℃、金型温度55℃、射出速度100mm/sec、冷却時間50秒の条件にて射出率95%のショートショット法により行った。ポリオレフィンとしては、プロピレン系重合体(プライムポリマー社製、プライムポリプロJ705UG、密度910kg/m、プロピレン系重合体のMFR:9g/10分)を用いた。
得られた樹脂構造体について、上記評価を行った。図12に3点曲げを行ったときの荷重−たわみ曲線を示す。評価結果は表2に示す。
[比較例4]
構造体本体部分からなる天板の厚さが2mmで天板の外周に1mm幅で高さ5mmの枠を有するリブ溝付き平板金型を射出成形機に装着し、金属インサートを金型に装着せず、樹脂単体でその金型内にポリオレフィンを、シリンダー温度230℃、金型温度55℃、射出速度100mm/sec、保圧15MPa、保圧時間5秒、冷却時間50秒の条件にて射出成形を行った。ポリオレフィンとしては、ガラス繊維を20%含有するプロピレン系重合体(プライムポリマー社製、プライムポリプロV7100、密度1030kg/m、プロピレン系重合体のMFR:18g/10分)を用いた。
得られた樹脂構造体について、上記評価を行った。図13に3点曲げを行ったときの荷重−たわみ曲線を示す。評価結果は表2に示す。
[比較例5]
構造体本体部分からなる天板の厚さが2mmで天板の外周に1mm幅で高さ5mmの枠を有するリブ溝付き平板金型を射出成形機に装着し、金属インサートを金型に装着せず、射出発泡成形を行った。射出発泡成形は、シリンダーに超臨界窒素を0.5wt%注入して次いでその金型内にポリオレフィンを、シリンダー温度230℃、金型温度55℃、射出速度100mm/sec、冷却時間50秒の条件にて射出率95%のショートショット法により行った。ポリオレフィンとしては、ガラス繊維を20%含有するプロピレン系重合体(プライムポリマー社製、プライムポリプロV7100、密度1030kg/m、プロピレン系重合体のMFR:18g/10分)を用いた。
得られた樹脂構造体について、上記評価を行った。図14に3点曲げを行ったときの荷重−たわみ曲線を示す。評価結果は表2に示す。
[比較例6]
構造体本体部分からなる天板の厚さが2mmで天板の外周に1mm幅で高さ5mmの枠を有するリブ溝付き平板金型を射出成形機に装着し、金属インサートを金型に装着せず、樹脂単体でその金型内にポリオレフィンを、シリンダー温度230℃、金型温度55℃、射出速度100mm/sec、保圧15MPa、保圧時間5秒、冷却時間50秒の条件にて射出成形を行った。ポリオレフィンとしては、プロピレン系重合体(プライムポリマー社製、プライムポリプロJ705UG、密度910kg/m、プロピレン系重合体のMFR:9g/10分)を用いた。
得られた樹脂構造体について、上記評価を行った。図15に3点曲げを行ったときの荷重−たわみ曲線を示す。評価結果は表2に示す。
[実施例6]
(プライマー樹脂材料の塗工)
市販の1mm厚A5052板材を入手し、切断して、幅5mm×長さ150mm、および、幅5mm×長さ210mmの合金板材を作成し、さらに、長さ方向に50mm間隔で2.5mmの切欠きをいれた。
上記アルミニウム合金板材にプライマー樹脂材料を、プライマー層の厚みが10μmとなるようにメイヤーバーを使用し室温で塗工をおこない、200℃のオーブンにて乾燥を行った。プライマー樹脂材料としては、無水マレイン酸変性プロピレン系重合体(三井化学株式会社製、ユニストールR300(登録商標))を用いた。
(射出成形)
日本製鋼所社製射出成型機(JSW J85AD110H)に構造体本体部分からなる天板の厚さが2mmとなるリブ溝付き平板金型を装着し、金型内に上記プライマー樹脂材料による表面処理を施したアルミニウム合金板材を金型のリブ溝に格子状に設置した。次いで、その金型内にポリオレフィンを、シリンダー温度230℃、金型温度55℃、射出速度100mm/sec、保圧15MPa、保圧時間5秒、冷却時間50秒の条件にて射出成形を行った。ポリオレフィンとしては、プロピレン系重合体(プライムポリマー社製、プライムポリプロJ705UG、密度910kg/m、プロピレン系重合体のMFR:9g/10分)を用いた。
得られた金属/樹脂複合構造体について、上記評価を行った。図16に3点曲げを行ったときの荷重−たわみ曲線を示す。評価結果は表3に示す。
[実施例7]
実施例6と同様の方法でインサート金属を準備し、構造体本体部分からなる天板の厚さが2mmとなるリブ溝付き平板金型を射出成形機に装着し、金型内にプライマー樹脂材料による表面処理を施したアルミニウム合金板材を金型のリブ溝に格子状に設置し、射出発泡成形を行った。射出発泡成形は、シリンダーに超臨界窒素を0.5wt%注入して次いでその金型内にポリオレフィンを、シリンダー温度230℃、金型温度55℃、射出速度100mm/sec、冷却時間50秒の条件にて射出率95%のショートショット法により行った。ポリオレフィンとしては、プロピレン系重合体(プライムポリマー社製、プライムポリプロJ705UG、密度910kg/m、プロピレン系重合体のMFR:9g/10分)を用いた。
得られた金属/樹脂複合構造体について、上記評価を行った。図17に3点曲げを行ったときの荷重−たわみ曲線を示す。評価結果は表3に示す。
[実施例8]
実施例6と同様の方法でインサート金属を準備し、構造体本体部分からなる天板の厚さが2mmとなるリブ溝付き平板金型を射出成形機に装着し、金型内にプライマー樹脂材料による表面処理を施したアルミニウム合金板材を金型のリブ溝に格子状に設置した。次いで、その金型内にポリオレフィンを、シリンダー温度230℃、金型温度55℃、射出速度100mm/sec、保圧15MPa、保圧時間5秒、冷却時間50秒の条件にて射出成形を行った。ポリオレフィンとしては、ガラス繊維含有プロピレン系重合体(プライムポリマー社製、プライムポリプロV7100、密度1030kg/m、プロピレン系重合体のMFR:18g/10分)を用いた。
得られた金属/樹脂複合構造体について、上記評価を行った。図18に3点曲げを行ったときの荷重−たわみ曲線を示す。評価結果は表3に示す。
[実施例9]
実施例6と同様の方法でインサート金属を準備し、構造体本体部分からなる天板の厚さが2mmとなるリブ溝付き平板金型を射出成形機に装着し、金型内にプライマー樹脂材料による表面処理を施したアルミニウム合金板材を金型のリブ溝に格子状に設置し射出発泡成形を行った。射出発泡成形は、シリンダーに超臨界窒素を0.5wt%注入して次いでその金型内にポリオレフィンを、シリンダー温度230℃、金型温度55℃、射出速度100mm/sec、冷却時間50秒の条件にて射出率95%のショートショット法により行った。ポリオレフィンとしては、ガラス繊維含有プロピレン系重合体(プライムポリマー社製、プライムポリプロV7100、密度1030kg/m、プロピレン系重合体のMFR:18g/10分)を用いた。
得られた金属/樹脂複合構造体について、上記評価を行った。図19に3点曲げを行ったときの荷重−たわみ曲線を示す。評価結果は表3に示す。
[実施例10]
(アルミニウム合金の表面処理)
市販の1mm厚A5052板材を入手し、切断して、幅5mm×長さ150mm、および、幅5mm×長さ210mmの合金板材を作成し、さらに、長さ方向に50mm間隔で2.5mmの切欠きをいれた。
槽に市販のアルミニウム合金用脱脂剤「NE−6(メルテックス株式会社製)」を水に投入して60℃、濃度7.5%の水溶液とした。これに前記アルミニウム合金板材を7分浸漬し十分に水洗した。続いて別の槽に40℃とした1%濃度の塩酸水溶液を用意し、これに前記の合金板材を1分浸漬して十分に水洗した。次いで別の槽に40℃とした1.5%濃度の苛性ソーダ水溶液を用意し、先ほどの合金板材を2分浸漬して十分に水洗した。続いて別の槽に40℃とした3%濃度の硝酸水溶液を用意し、これに前記合金板材を1分浸漬し水洗した。
次いで別の槽に60℃とした一水和ヒドラジンを3.5%含む水溶液を用意し、これに前記合金板材を2分浸漬し、水洗した。次いで67℃にした温風乾燥機に15分入れて乾燥した。乾燥後、アルミ箔で前記アルミニウム合金板材をまとめて包み、さらにこれをポリ袋に入れて封じ保管した。4日後、その1個を電子顕微鏡観察したところ30〜100nm径の凹部で覆われていることが分かった。また、別の1個を走査型プローブ顕微鏡にかけて粗度データを得た。これによると山谷平均間隔(RSm)は1〜2μm、最大高さ(Rz)は0.3〜0.5μmであった。
(射出成形)
日本製鋼所社製射出成型機(JSW J85AD110H)に構造体本体部分からなる天板の厚さが2mmとなるリブ溝付き平板金型を装着し、金型内に上記表面処理を施したアルミニウム合金板材を金型のリブ溝に格子状に設置した。次いで、その金型内にポリアミドを、シリンダー温度260℃、金型温度70℃、射出速度100mm/sec、保圧20MPa、保圧時間5秒、冷却時間50秒の条件にて射出成形を行った。ポリアミドとしては、ナイロン6(東レ社製、CM1017、密度1183kg/m、ポリアミド系重合体の260℃において2.16kgで測定したMFRは70g/10分)であった。
得られた金属/樹脂複合構造体について、上記評価を行った。図20に3点曲げを行ったときの荷重−たわみ曲線を示す。評価結果は表4に示す。
[実施例11]
実施例10と同様の方法でインサート金属を準備し、射出成形機に構造体本体部分からなる天板の厚さが2mmのリブ溝付き平板金型を射出成形機に装着し、金型内に表面処理を施したアルミニウム合金板材を金型のリブ溝に格子状に設置した。次いで、その金型内にポリアミドを、シリンダー温度260℃、シリンダーに超臨界状態の窒素ガスを0.5wt%注入、金型温度70℃、射出速度100mm/sec、、冷却時間50秒の条件にてMuCell射出発泡成形を行った。ポリアミドとしては、ナイロン6(東レ社製、CM1017、密度1183kg/m、ポリアミド系重合体の260℃において2.16kgで測定したMFRは70g/10分)であった。
得られた金属/樹脂複合構造体について、上記評価を行った。図21に3点曲げを行ったときの荷重−たわみ曲線を示す。評価結果は表4に示す。
なお、以上では、この発明の技術的思想の範囲に含まれるもののいくつかを具体化して、実施例として示したが、この発明はこれに限られるものではなく、上述した数値や形状は、金属/樹脂複合構造体の構造、用途、製造方法を考慮して適宜選択されるべきものである。また、金属/樹脂複合構造体の製造方法についても、射出成形法のみならず、射出圧縮成形法等を用いてもよいのは勿論のことである。
また、本実施例の金属/樹脂複合構造体は、平板上の基板からリブが突出しており、そのリブ先端部の当接面も平板状であるが、基板および当接面は曲面状であってもよいのは勿論のことである。
以上詳述したように、本発明の金属/樹脂複合構造体は、樹脂材料と金属材料とが容易に剥がれることなく一体化されたものである。プライマー層と、射出成形された樹脂材料との界面で、高分子鎖が相互に侵入した共存層を形成することにより高い接合強度を得ることができる。
本発明の金属/樹脂複合構造体は高強度、かつ軽量な構造体を比較的簡便な方法で実現することができる。そのため、本発明の産業の発展への寄与は大きい。

Claims (14)

  1. 本体部分と前記本体部分から突出しているリブ部を有する構造体からなる金属/樹脂複合構造体であって、
    前記本体部分が樹脂材料からなり、
    前記リブ部が表面処理された金属材料からなり、
    前記構造体は、前記リブ部と前記本体部分が接合したインサート射出成形体である、金属/樹脂複合構造体。
  2. 前記本体部分は第1の平板であり、前記第1の平板の一方面から突出した前記リブ部を備える、請求項1に記載の金属/樹脂複合構造体。
  3. 前記リブ部が、前記表面処理された金属材料からなる第2の平板で構成される、請求項1または2に記載の金属/樹脂複合構造体。
  4. 前記リブ部において、前記第2の平板に切欠きが形成されており、
    前記リブ部は、複数の前記第2の平板の前記切欠きを組み入れて構成される、請求項3に記載の金属/樹脂複合構造体。
  5. 前記リブ部が格子状構造である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属/樹脂複合構造体。
  6. 前記表面処理は少なくとも、金属材料表面に微細な凹凸形状を形成する処理、又は、金属材料表面にプライマー層を形成する処理のいずれか一方である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の金属/樹脂複合構造体。
  7. 下記特徴(a)を満たす、請求項1〜6のいずれか1項に記載の金属/樹脂複合構造体。
    特徴(a):前記リブ部を構成する前記金属材料と、前記本体部分を構成する前記樹脂材料との接合強度が10〜60MPaである
  8. 前記金属材料が、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金、銅、銅合金、およびチタン合金から選択される1種である、請求項1〜のいずれか1項に記載の金属/樹脂複合構造体。
  9. 前記樹脂材料100重量部当たり、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、タルク、粘土、およびガラス粉から選ばれる1種以上の充填剤を1〜100重量部を含有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の金属/樹脂複合構造体。
  10. 前記樹脂材料がポリオレフィンである、請求項1〜のいずれか1項に記載の金属/樹脂複合構造体。
  11. 前記リブ部と前記本体部分の接合部分にプライマー層形成している、請求項1〜10のいずれか1項に記載の金属/樹脂複合構造体。
  12. 記本体部分が発泡体である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の金属/樹脂複合構造体。
  13. 前記リブ部を配置した射出金型に、前記樹脂材料を射出成形することにより得られる、請求項1〜1のいずれか1項に記載の金属/樹脂複合構造体を製造するための金属/樹脂複合構造体の製造方法。
  14. リブ溝が形成された金型を用いる、請求項13に記載の金属/樹脂複合構造体の製造方法。
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