JP2009090522A - 複合板および複合成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 心材発泡樹脂3bの両面に金属板2a、2bが接合され、心材発泡樹脂3bが発泡された複合板1aの、金属板2a、2bの板厚が0.05〜0.3mmであり、心材発泡樹脂3bの発泡後における特性として、発泡倍率が2〜20倍、厚みが1〜100mm、ヤング率が0.2〜470MPaであることとする。
【選択図】図2
Description
1.発泡樹脂を積層した複合板の厚さを薄くできる。このため、複合板のプレス成形が容易となる。
2.そのため、複合板として形状・施工場所・重量に制限を受けることなく、寸法・形状精度を確保して所定形状にプレス成形することができる。
3.また、発泡樹脂の厚みを増大することで、複合成形体の曲げ剛性向上や、制振、防音性能を向上させることができる。
以上のような複合成形板の構成を前提にして、本発明では、特徴的に、心材発泡樹脂が発泡した複合板、あるいは、この複合板を成形加工した複合成形体の、心材発泡樹脂3bの板厚、発泡倍率やヤング率などの特性を規定する。即ち、心材発泡樹脂3b(発泡後)における特性として、発泡倍率が2〜20倍、厚みが1〜100mm、ヤング率が0.2〜470MPaであることとする。これによって、自動車車体パネルなどの比較的大きな面積を有する複合板や複合成形体の、使用状態での曲げ剛性および曲げ強度を更に向上させる。
心材発泡樹脂3bの発泡倍率(発泡後の樹脂厚さ/発泡前の樹脂厚さ)は2倍〜20倍の範囲とする。この発泡倍率が2倍未満では、曲げ剛性か曲げ強度が同じ金属板単体に比して軽量とはならず、複合板や複合成形体を使う意味がなくなる。一方、この発泡倍率が20倍を超えると、複合板や複合成形体の使用状態での曲げ剛性および曲げ強度が著しく低下する。したがって、心材発泡樹脂3bの発泡倍率は2倍〜20倍、好ましくは2〜10倍の範囲とする。心材発泡樹脂3bがこの発泡倍率を満たさないと、金属板の板厚や、心材発泡樹脂の発泡後における他の特性(厚み、ヤング率)が規定範囲内としても、複合板や複合成形体の曲げ剛性および曲げ強度を向上させることが困難となる。
心材発泡樹脂3bの厚み(発泡後の厚み)は1〜100mmの範囲とする。未発泡状態の発泡性樹脂3aの厚みは0.5〜5.0mmが好適に用いられるので、この未発泡状態の発泡性樹脂3aの最小厚み0.5mmの、上記最小の発泡倍率2倍である1mmを心材発泡樹脂3bの厚みの下限とする。一方、この未発泡状態の発泡性樹脂3aの最大厚み5mmの、上記最大の発泡倍率20倍である100mmを心材発泡樹脂3bの厚みの上限とする。
心材発泡樹脂(発泡後)3bのヤング率は0.2〜470MPaの範囲とする。これは20℃での未発泡状態におけるヤング率が780〜1400MPaのポリオレフィン系発泡性樹脂の、前記2倍〜20倍の発泡倍率にて発泡させた際のヤング率に相当している。ここで、ポリオレフィン系発泡性樹脂の内、ポリプロピレンとポリエチレンなどの混合物であるランダムPPは、780MPa側の比較的低いヤング率を有し、ホモPPは、1400MPa側の比較的高いヤング率を有する。
発泡性樹脂3aを構成する樹脂は、熱可塑性樹脂の場合には、融点が100℃〜260℃であることが好ましい。融点がこの範囲であると、120℃〜300℃で加熱することで、発泡性樹脂3aを発泡させて、心材発泡樹脂3bとすることができる。心材発泡樹脂としてはポリオレフィン系を用いることが好ましい。ただ、使用温度によってその他の樹脂に変更可能である。例えば、樹脂に加熱分解型の発泡剤を配合し混練したものであって、ポリオレフィン系として、ポリプロピレン(ホモPPなど)、ポリエチレン、あるいはこれらの混合物(ランダムPPなど)、更には、ポリスチレン系、ポリエステル系、ビニール系などをそれぞれ単体で用いても良いし、これらを混ぜ合わせたポリマーブレンドや、無機系や金属系のフィラーを配合したものであってもよい。
接着用樹脂4は、発泡性樹脂3aと金属板2a、2bとの接着が可能な接着用樹脂からなる。心材発泡樹脂としてポリオレフィン系樹脂を主成分として用いた場合には、接着用樹脂4として、ポリエチレンやポリプロピレンを主成分とする熱可塑性樹脂が好適に用いられる。この接着用樹脂4には、当然ながら、発泡性樹脂3aと金属板2a、2bとの十分な接着強度が必要である。
これら発泡性樹脂、接着用樹脂は、フィルム・シートであるものに限らない。発泡性樹脂、接着用樹脂のうち、何れか一方(この場合、他方はフィルム・シートでよい)、または両方を、溶融状態または溶媒に溶解させた状態のものを、ロールやスプレーなどで塗布することによっても可能である。なお、この塗布の場合には、塗布後に乾燥する工程があることが好ましい。
樹脂応用例として、樹脂の種類や添加剤を含有させることで、複合成形体の特性をより高機能、多機能とすることができる。例えば、発泡性樹脂、接着用樹脂として、制振性の高い樹脂を用いれば、制振性能や遮音性能が高まる。また、導電性物質を用いれば溶接性能が高まる。上記の発泡性樹脂3aや接着用樹脂4に導電性物質として金属粉末が添加されると、樹脂は高密度となる。このため、遮音性能が高まるとともに、導電性物質を用いれば溶接性が向上できる。
積層される金属板2a、2bの各板厚は、各々0.05〜0.3mmの範囲の薄板とする。金属板2a、2bの板厚が、片側一方だけでも0.05mm未満では、心材発泡樹脂の発泡後における前記特性(発泡倍率、厚み、ヤング率)が規定範囲内としても、前記した自動車車体パネルなどの比較的大きな面積を有する複合板や複合成形体の使用状態での曲げ剛性および曲げ強度が著しく低下する。一方、金属板2a、2bの板厚が、片側一方だけでも0.3mmを超えると、重量が重くなり、軽量化が犠牲となって、複合板や複合成形体とする意味が失われる。
ここで、材料である複合板や、この軽量複合板をプレス成形および心材樹脂を発泡させた複合パネルの製造方法について、前記した図1〜3も用いて、以下に説明する。
発泡性樹脂3aを構成する樹脂材料を先ず混練する。この材料は、樹脂と熱分解型発泡剤とを含んでおり、必要に応じて、接着強度、制振強度、潤滑性を付与する物質や、金属粉末が添加される。これらの材料が十分混練された後、フィルムあるいはシート化される。フィルム化される場合にはコイル状に巻かれる。このとき、上記材料に含まれる樹脂の融点が、発泡剤の分解温度よりも20℃〜30℃低く設定されていることが好ましい。そうすると、混練されることで樹脂の温度が上昇しても、発泡が起こることを防止することができる。
接着用樹脂4を構成する樹脂材料を先ず混練する。この材料は、樹脂に、必要に応じて、接着強度・制振性付与する材質や、導電性を付与するための金属粉末が添加されている。これらの材料が十分混練された後、フィルム化あるいはシート化される。フィルム化の場合には、コイル状に巻かれて別途積層されるか、金属板の表面に塗布される。なお、上記の発泡性樹脂のフィルムあるいはシートと接着用樹脂が熱融着されて、一体化された後にコイル状に巻かれてもよい。既に発泡性樹脂フィルムと接着用樹脂フィルムとが、それぞれ別のコイルとされている場合には、これら2つのコイルから各々引き伸ばすことで、アルミニウム合金板2に、接着用樹脂フィルム4と発泡性樹脂フィルム3aとを同時に積層させることができる。何れの場合であっても、発泡性樹脂3aは未発泡状態であり厚みが薄いため、コイル状にすることが可能である。そのため、コイル状での搬送が可能であり、施工場所でコイルから引き伸ばすことができるため施工場所が制限されない。
切り板とされた金属板2a、2bと、同じく切り板とされた接着用樹脂フィルム4、発泡性樹脂フィルム3aとを、順に積層して、積層板となす方法が最も簡便である。ただ、設備的に可能であれば、連続的に積層してもよい。即ち、金属板2a、2bのいずれか一方か両方をコイルから巻き出し、一方で、上記発泡性樹脂フィルムおよび接着用樹脂フィルムを、各々コイルから巻き出して、引き伸ばしながら、金属板2a、2bのいずれか一方からか、金属板2a、2bの間に同時に積層してもよい。
製造された積層板1や複合板1aは、前記した通り、成形されて、所定の複合成形体(パネル)1b形状とされる。成形加工の方法としては、張出成形、絞り成形、曲げ成形などのプレス成形や曲げ加工を用いることができる。
成形加工によって所定形状とされたパネル1bは、発泡温度まで加熱されることで、発泡性樹脂3aを発泡させ、発泡樹脂3bとされる。なお、積層板1を先ず発泡させ、発泡後の複合板1aを成形加工することにより複合成形体1bを得ても良い。また、発泡前の積層板1を成形加工した後で、加熱して発泡させることにより複合成形体1bを得ても、どちらでも良い。更に、ホットプレスを用いて、積層板1を金型内でプレス成形と加熱発泡とを同時に又は連続して行うことにより、複合成形体1bを得ることもできる。
1.金属板2a、2bには、アルミニウム合金板はAA1050合金のO材、AA3004合金のO材、AA5182合金のO材を用いた。また、金属板2a、2bが鋼板の場合には通常の軟鋼板を用いた。
2.接着用樹脂4a、4bは、各例とも共通して、融点:140℃、厚み0.05mmのポリオレフィン系のホットメルト接着樹脂を用いた。
3.心材発泡性樹脂3aは、各例とも共通して、融点140℃のポリオレフィンをベース樹脂とし、これに熱分解温度が170〜180℃の発泡剤を混錬して、厚みを種々変えたシートに押し出したものを用いた。このポリオレフィン系心材発泡性樹脂3aはは、未発泡状態での20℃におけるヤング率が780MPaである。
4.積層板1は、各例とも共通して、長さ(L方向):600mm、幅(LT方向):1100mmとした四角の平面形状として製作し、幅(LT方向)20mm、長さ(L方向)120mmの短冊状試験片とした。
5.この際、金属板2a、2bの板厚、心材発泡樹脂3bの発泡倍率、心材発泡樹脂3bの厚み、心材発泡樹脂3bのヤング率は、後述する通り種々変えた。
6.心材樹脂3aの発泡は、各例とも共通して、積層板1を175℃×6分間加熱して放冷する、各例とも同じ条件とした。
複合板1aの心材発泡樹脂3bのヤング率は、JISK7113法に準じた引張試験機により測定される、張力−歪み曲線における、引張応力とこれに対応するひずみの比である、常温での引張弾性率として求めた。具体的には、各複合板1aから心材発泡樹脂3bのみを抽出して(金属板を取り除いて)、JISK7113法に規定される1号試験片形状に加工し、引張試験を行った。これによって求めた張力−歪み曲線におけるΔσとΔεとから、ヤング率=引張弾性率(E:kgf/mm2 )=Δσ/Δεの式を計算して求めた。ここで、Δσ:張力−歪み曲線における、直線上の2点間の元の断面積による応力の差、Δε:張力−歪み曲線における、同じ2点間の歪みの差である。但し、ここで、張力−歪み曲線に直線部分が無い場合には、張力−歪み曲線の変形開始点における接線の傾斜(勾配)を引張弾性率として求めた。
複合板1aの曲げ剛性および曲げ強度は、複合板1aの3点曲げ試験(L方向)を行い、測定した荷重−変位曲線から、曲線の立ち上がり角度が最大となる角度(最大角度)が最大曲げ剛性、荷重最大値を曲げ強度として求めた。
曲げ試験機としては、島津製作所の島津オートグラフAG−50KNGを使用し、治具のローラに対して垂直になるように専用の治具を用いて複合板試験片をセットした。これらの専用治具は、島津オートグラフ専用3点曲げ治具(ASTM−E399準拠)である。複合板1a試験片の長さは120mm、幅は20mm、荷重点は試験片の長さ方向中心位置、支点間距離は100mmとした。負荷速度は2mm/min、フルスケール荷重0.5kN、フルスケール変位10mmとした。
図4、5に、心材発泡樹脂3bの発泡倍率(縦軸)および表面の金属板2a、2bの板厚(横軸:mm)との関係において、未発泡状態の心材樹脂3aの厚みを変化させた場合の、複合板1bの曲げ剛性が最大となる発泡倍率を示す。図4は、前記金属板としてAA1050アルミニウム合金板(O材)、図5は前記金属板として軟鋼板を用いている。
図6、7、8に、アルミニウム合金板の種類を変えた場合の、複合板1bの、曲げ強度が最大となる発泡倍率を示す。図6、7、8は、心材発泡樹脂3bの発泡倍率(縦軸)および表面の金属板2a、2bの板厚(横軸:mm)との関係において、心材発泡樹脂3bの厚みを種々変えた場合の、曲げ強度が最大となる発泡倍率を示す。図6は、金属板としてAA1050アルミニウム合金板(O材)、図7はAA3004アルミニウム合金板(O材)、図7はAA5182アルミニウム合金板(O材)を用いている。
図9、10に、心材発泡樹脂3bの発泡後の厚み(縦軸)および表面の金属板2a、2bの板厚(横軸:mm)との関係において、曲げ剛性が最大となる心材発泡樹脂3bの発泡後の厚みを示す。図9は、金属板としてAA1050アルミニウム合金板(O材)、図10は金属板として軟鋼板を用いている。
図11、12、13に、心材発泡樹脂3bの発泡後のヤング率(縦軸:MPa)および表面の金属板2a、2bの板厚(横軸:mm)との関係において、心材発泡樹脂3bの厚みを種々変えた場合の、曲げ強度が最大となるヤング率を示す。図11は、金属板としてAA1050アルミニウム合金板(O材)、図12はAA3004アルミニウム合金板(O材)、図13はAA5182アルミニウム合金板(O材)を用いている。
図14、15に、心材発泡樹脂3bの発泡後のヤング率(縦軸:MPa)および表面の金属板2a、2bの板厚(横軸:mm)との関係において、心材発泡樹脂3bの厚みを種々変えた場合の、曲げ剛性が最大となるヤング率を示す。図14は、金属板としてAA1050アルミニウム合金板(O材)、図15は金属板として軟鋼板を用いている。
Claims (4)
- 心材発泡樹脂の両面に金属板が接合され、心材発泡樹脂が発泡された複合板であって、前記金属板の板厚が0.05〜0.3mmであり、前記心材発泡樹脂の発泡後における特性として、発泡倍率が2〜20倍、厚みが1〜100mm、ヤング率が0.2〜470MPaであることを特徴とする複合板。
- 前記複合板の心材発泡樹脂の発泡後における前記発泡倍率が2〜10倍、前記厚みが1〜40mmであることを特徴とする請求項1に記載の複合板。
- 前記複合板の心材発泡樹脂がポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の複合板。
- 請求項1ないし3に記載の複合板を成形加工した複合成形体。
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