JP2004042649A - 発泡樹脂積層防音板およびその製造方法 - Google Patents

発泡樹脂積層防音板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 形状・施工場所・重量に制限を受けることがないとともに、積層板全体として薄く、プレス加工などの塑性加工性がよく、加熱発泡工程を経た最終の使用状態で十分な制振性能などを備え、防音性能を発揮する発泡樹脂積層防音板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 発泡樹脂積層防音板1は、少なくとも、加熱により発泡温度にて発泡される未発泡状態の発泡可能樹脂3aと硬質板2とを備える積層板である。
【選択図】    図1

Description

 本発明は、金属や工業用プラスチック等の硬質板と発泡樹脂とを備える積層板に関するものである。
 従来から、金属や工業用プラスチック等の硬質板に制振性能・遮音性能を付与する積層防音板として、様々な構造が提案されている。
 例えば、前記硬質板と、この硬質板と同等の曲げ剛性を有する拘束板とで制振材を挟んで積層板とした拘束型制振構造がある。この積層板は、硬質板と拘束板とで制振材を両側から挟んで積層し、その状態で加熱や加圧を行い部材間を接着し積層一体化して製造される。そして、この積層板はプレス加工などの塑性加工により所定形状とされる。
 上記の拘束型制振構造において、従来は拘束板としては金属等が用いられるが、製造が容易であったり、安価なコストを実現できることから、樹脂等の高分子材料が用いられることが望まれる。しかし、樹脂等の高分子材料は、硬質板と同等の剛性を得るために弾性係数を大きくすると、伸び率が低くなり成形性が損なわれてしまう。そのため、拘束板として樹脂等を用いる場合、上記の製造工程において、硬質板を所定形状にプレス加工してから、制振材および拘束板が接着される必要がある。
 一方、前記硬質板に制振材を貼り付けて積層板とした非拘束型制振構造がある。この非拘束型制振構造において、制振材として樹脂等を用いる場合、制振性能を高めるためには、硬質板の板厚の1〜2倍程度の厚さの制振材を貼る必要がある。仮に、制振材が貼られた状態で積層板のプレス加工が行われると、プレス加工後の形状・寸法精度を大きく損なってしまう。そこで、この場合、硬質板を所定形状にプレス加工してから、制振材を貼り付ける作業が行われる。
特許第2869702号公報
 しかしながら、上記従来の積層板であると、いずれの構造であっても、硬質板を所定形状にプレス加工してから樹脂を接着するものであるため、施工が可能な場所や形状に制約を受けるという問題がある。
 また、上記従来の積層板であると、積層板全体として厚さが厚くなってしまい、積層板を構成した後、所定の形状にプレス加工することが非常に難しいという問題がある。
 例えば、自動車の製造工程においては、制振材としての樹脂は、硬質板がプレス加工により所定形状とされた後に、組み立て工程の途中で所定の位置に設置され、その後の焼き付け塗装工程での加熱及び制振材の自重により熱融着される。そのため、樹脂が施工可能なのは、底面上面に限られ、側面や屋根裏面に制振材を施工するが困難である。また、自重により押付けられながら接着されるため、樹脂を軽量化すると接着力が弱くなってしまう。
 本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、形状・施工場所・重量に制限を受けることがないとともに、積層板全体として薄く、プレス加工などの塑性加工性がよく、加熱発泡工程を経た最終の使用状態で十分な制振性能などを備え、防音性能を発揮する発泡樹脂積層防音板およびその製造方法を提供することを目的とする。
 本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
 第1の発明の発泡樹脂積層防音板は、少なくとも、加熱により発泡温度にて発泡される未発泡状態の発泡可能樹脂と硬質板とを備える積層板であることを特徴している。
 第2の発明の発泡樹脂積層防音板は、少なくとも、加熱により発泡温度にて発泡される未発泡状態の第一の発泡可能樹脂と、加熱により発泡温度にて発泡される未発泡状態の第二の発泡可能樹脂と、硬質板とを備える積層板であることを特徴としている。
 第3の発明の発泡樹脂積層防音板は、少なくとも、加熱により発泡温度にて発泡される未発泡状態の第一の発泡可能樹脂と、該第一の発泡可能樹脂と発泡温度が異なり加熱により発泡温度にて発泡される未発泡状態の第二の発泡可能樹脂と、硬質板とを備える積層板であることを特徴としている。
 第4の発明の発泡樹脂積層防音板は、少なくとも、加熱により発泡温度にて発泡される未発泡状態の第一の発泡可能樹脂と、該第一の発泡可能樹脂と融点が異なり加熱により発泡温度にて発泡される未発泡状態の第二の発泡可能樹脂と、硬質板とを備える積層板であることを特徴としている。
 第5の発明の発泡樹脂積層防音板は、加熱により発泡しない非発泡材料と、前記発泡可能樹脂と、前記硬質板とを、この順に積層した積層板であることを特徴としている。
 第6の発明の発泡樹脂積層防音板は、非発泡材料が、加熱により発泡しない非発泡樹脂であることを特徴としている。
 第7の発明の発泡樹脂積層防音板は、前記発泡可能樹脂と、加熱により発泡しない非発泡樹脂と、硬質板とを、この順に積層した積層板であることを特徴としている。
 第8の発明の発泡樹脂積層防音板は、前記発泡可能樹脂は、前記発泡温度よりも低い温度で加熱されて熱融着され積層板とされていることを特徴としている。
 第9の発明の発泡樹脂積層防音板は、前記非発泡樹脂は、前記発泡温度よりも低い温度で加熱され熱融着され積層板とされていることを特徴としている。
 第10の発明の発泡樹脂積層防音板は、前記非発泡樹脂の融点が、前記発泡可能樹脂の融点より高温であることを特徴としている。
 第11の発明の発泡樹脂積層防音板は、前記非発泡樹脂は、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂であることを特徴としている。
 第12の発明の発泡樹脂積層防音板は、前記発泡可能樹脂が、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂であることを特徴としている。
 第13の発明の発泡樹脂積層防音板は、前記熱可塑性樹脂の融点が、100℃〜260℃であることを特徴としている。
 第14の発明の発泡樹脂積層防音板は、前記発泡可能樹脂は、加熱により分解する発泡剤を樹脂に混練して形成されたことを特徴としている。
 第15の発明の発泡樹脂積層防音板は、前記発泡温度を、120℃〜300℃に設定したことを特徴としている。
 第16の発明の発泡樹脂積層防音板は、前記発泡樹脂積層防音板が、前記発泡温度まで加熱されて発泡可能樹脂が発泡樹脂とされたことを特徴としている。
 第17の発明の発泡樹脂積層防音板は、第16の発明において、前記発泡可能樹脂は、前記発泡樹脂積層防音板が所定形状に加工された後に、加熱により発泡樹脂とされたことを特徴としている。
 第18の発明の発泡樹脂積層防音板の製造方法は、少なくとも、加熱により発泡温度にて発泡される未発泡状態の発泡可能樹脂と硬質板とを積層する積層工程と、前記発泡可能樹脂の発泡温度より低い温度で硬質板とを積層一体化する工程を有することを特徴としている。
 第19の発明の発泡樹脂積層防音板の製造方法は、前記積層工程と、前記積層一体化する工程と、前記発泡可能樹脂の発泡温度に加熱して前記発泡可能樹脂を発泡樹脂とする加熱工程とを有することを特徴としている。
 第20の発明の発泡樹脂積層防音板の製造方法は、前記積層工程と、前記積層一体化する工程と、積層一体化された状態で所定形状に加工される成形工程と、前記加熱工程とを有することを特徴としている。
 第21の発明の発泡樹脂積層防音板の製造方法は、前記加熱工程が、焼き付け塗装の加熱処理と同時に行われることを特徴としている。
 以上で説明したように、第1の発明によると、発泡可能樹脂を未発泡状態に保持したままの状態であれば、積層板の厚さを薄くできるため、プレス加工などにより積層板を所定形状とし、その後、加熱して発泡温度として発泡可能樹脂を発泡樹脂とし、厚みを増大させることが可能である。そのため、積層板として形状・施工場所・重量に制限を受けることなく、寸法・形状精度を確保して所定形状にプレス加工することができると共に、発泡可能樹脂の厚みを増大することで剛性付与効果や制振性能を高めることができ、防音性能を発揮することができる。なお、発泡可能樹脂に金属粉末が添加されると、樹脂は高密度となるため、遮音性能が高まり、また、導電性物質を用いれば溶接性が向上する。
 第2の発明によると、第一の発泡可能樹脂、第二の発泡可能樹脂を未発泡状態に保持したままの状態であれば、積層板の厚さを薄くできるため、プレス加工などにより積層板を所定形状とし、その後、加熱して発泡温度として発泡可能樹脂を発泡樹脂とし、厚みを増大させることが可能である。そのため、積層板として形状・施工場所・重量に制限を受けることなく、寸法・形状精度を確保して所定形状にプレス加工することができると共に、発泡可能樹脂の厚みを増大することで剛性付与効果や制振性能や吸音性能、遮音性能を高めることができ、防音性能を発揮することができる。なお、発泡可能樹脂に金属粉末が添加されると、樹脂は高密度となるため、遮音性能が高まり、また、導電性物質を用いれば溶接性が向上する。
 さらに、第一の発泡可能樹脂として、加熱により独立気泡を形成可能な樹脂を用い、第二の発泡可能樹脂として、加熱により連続気泡を形成可能な樹脂を用いると、第一の発泡樹脂(発泡後の発泡可能樹脂)と硬質板とで挟まれた、第二の発泡樹脂が吸音材と柔らかいバネの役割を果たし、優れた遮音性能を持った2重壁構造を実現することができる。また、第一及び第二の発泡樹脂が音の圧力により振動するときに熱エネルギに変換されるので、吸音特性も備える。
 また、第一及び第二の発泡可能樹脂として、加熱により連続気泡を形成可能な樹脂を用いると、少なくとも2種類の吸音特性を持った吸音材を2重に重ねたことになり、吸音特性を向上させることができる。特に、第一と第二の発泡状態を適宜変更することにより、吸音特性を目的に応じて最適化することも可能である。
 第3の発明によると、例えば、第一の発泡可能樹脂の発泡温度より第二の発泡可能樹脂の発泡温度を低く設定して、ある加熱温度で第二の発泡可能樹脂のみを発泡させて発泡樹脂とし、その後、より高い加熱温度で第一の発泡可能樹脂を発泡させて発泡樹脂とするように、別々に発泡させることが可能である。また、第二の発泡可能樹脂として熱硬化性樹脂を用いれば、第二の発泡可能樹脂を加熱により発泡させ、その後、第一の発泡可能樹脂を発泡する温度まで加熱しても、発泡樹脂となった第二の発泡可能樹脂は軟化・溶融や新たな発泡が起こらないので、第一の発泡可能樹脂、第二の発泡可能樹脂が硬質板から脱落することがなく、一体となって発泡樹脂積層防音板として保持できる。
 第4の発明によると、第一の発泡可能樹脂と第二の発泡可能樹脂の融点とが異なるため、例えば、第二の発泡可能樹脂に熱硬化性樹脂を用いて、発泡温度まで加熱しても、第二の発泡可能樹脂が軟化しないので、第一の発泡可能樹脂と第二の発泡可能樹脂とが硬質板から脱落することなく積層一体化した状態が保持され、加熱処理終了後に所要の防音性能を得ることができる。
 第5、第6の発明によると、発泡可能樹脂は、発泡温度まで加熱されて発泡樹脂とされることで、発泡樹脂全体として弾性係数を低減することができる。そうすると、発泡樹脂(発泡後の発泡可能樹脂)は非発泡材料と硬質板とに挟まれた状態で空気バネの役割を果たし、2重壁構造を実現することができ、高い遮音性能を得ることができる。
 なお、発泡可能樹脂の損失係数を0.05〜5とすると、振動エネルギーを十分吸収することができ、硬質板と非発泡樹脂との共振を抑制して、十分な遮音性能を得ることができる。また、発泡可能樹脂は、発泡樹脂とされるときに、気泡寸法を大きくすることで、発泡樹脂全体として弾性係数を低減することができる。なお、気泡寸法を大きくできなくても、発泡可能樹脂として加熱により連続気泡を形成可能な樹脂を用いると、隣接する気泡間に亀裂が生じるために発泡樹脂全体として弾性係数を著しく低下させ且つ吸音性を付与することができる。
 更には、非発泡材料に非発泡樹脂を用い、この非発泡樹脂や発泡可能樹脂に金属粉末が添加されると、樹脂は高密度となるため、遮音性能が高まり、また、導電性物質を用いれば溶接性が向上する。また、非発泡樹脂に潤滑剤が添加されると、プレス成形時の金型との接触摩擦を低減して非発泡樹脂の破断を防止することができる。なお、非発泡樹脂の表面に潤滑専用のフィルムを貼ったり、潤滑のためのコーティングを行うことでも、同様の効果を得ることができる。
 第7の発明によると、発泡可能樹脂は、発泡温度まで加熱されて発泡樹脂とされると、厚みが増大され高い曲げ剛性を得ることができ、拘束型制振構造の拘束板の役割を十分果たすことができる。
 なお、非発泡樹脂の損失係数を0.05〜5とすると、振動エネルギーを十分吸収することができ、拘束型制振構造として高い制振性能を得ることができる。また、発泡可能樹脂として、加熱により独立気泡を形成可能な樹脂を用いると、高倍率に発泡させても発泡樹脂全体として弾性係数が発泡倍率の1乗に反比例して低下するに留めることができる。
更には、発泡可能樹脂や非発泡樹脂に金属粉末が添加されると、樹脂は高密度となるため、遮音性能が高まり、また、導電性物質を用いれば溶接性が向上する。また、発泡可能樹脂に潤滑剤が添加されると、プレス成形時の金型との接触摩擦を低減して発泡可能樹脂の破断を防止することができる。なお、発泡可能樹脂の表面に潤滑専用のフィルムを貼ったり、潤滑のためのコーティングを行うこと
 でも、同様の効果を得ることができる。
 第8の発明によると、発泡可能樹脂を、未発泡状態に保持したまま熱融着し積層板とすることができる。
 第9の発明によると、発泡可能樹脂を未発泡状態に保持したまま、非発泡樹脂を熱融着し積層板とすることができる。
 第10の発明によると、発泡可能樹脂を発泡温度まで加熱しても非発泡樹脂が溶融しないため、加熱発泡処理終了後も発泡樹脂とされた発泡可能樹脂と非発泡樹脂と硬質板とが積層一体化された状態が保持される。
 第11の発明によると、非発泡樹脂に熱硬化性樹脂を用いると、一度加熱すれば、積層板を発泡温度まで加熱しても、非発泡樹脂は軟化しないため、発泡可能樹脂と非発泡樹脂と硬質板とが積層一体化された状態が保持され、加熱処理終了後に所要の防音性能を得ることができる。また、積層板が非発泡樹脂、発泡可能樹脂、硬質板の順に積層されている場合、拘束型制振構造の拘束板として十分な剛性を得ることができる。さらに、非発泡樹脂に熱可塑性樹脂を用いると、高温に加熱することで硬質板と分離することができるため、リサイクル性を高めることができる。
 第12の発明によると、発泡可能樹脂に熱可塑性樹脂を用いれば、発泡可能樹脂は、発泡温度まで加熱されると、分解・ガス発生が起こると共に軟化が進行するので、十分に発泡することができる。さらに、発泡可能樹脂に熱硬化性樹脂を用いれば、複数の発泡可能樹脂の組み合わせの場合、一方の発泡可能樹脂に熱硬化性樹脂を用い発泡温度まで加熱すると、発泡とともに硬化し、次に、他方の発泡可能樹脂の発泡温度まで加熱しても一方の発泡可能樹脂(発泡後)が溶融することがない。
 第13の発明によると、120℃〜300℃で加熱することで、発泡可能樹脂を発泡させることができる。なお、前記発泡可能樹脂としては、ポリエステル系、ナイロン系、ポリオレフィン系等が挙げられる。
 第14の発明によると、樹脂に発泡剤を混練することにより、加熱により発泡される発泡可能樹脂を形成することができる。なお、発泡剤を練り込むためには、樹脂の融点を発泡剤の分解温度よりも20℃〜30℃低く設定することが好ましい。
 第15の発明によると、120℃〜300℃で加熱することで、発泡可能樹脂を劣化させることなく発泡させることができる。
 第16、第17の発明によると、加熱により発泡可能樹脂が発泡樹脂となり、剛性付与効果によって硬質板が補強され、高い制振性能・遮音性能を得ることができる。
 第18の発明によると、積層工程において発泡可能樹脂を未発泡状態に保持したまま積層板として積層一体化することができる。
 第19の発明によると、その後、加熱工程において加熱して発泡可能樹脂を発泡樹脂とし、厚みを増大させて曲げ剛性を高めることにより拘束型制振構造として制振性能を高めたり、発泡とともに厚みを増大させバネ定数を低下させて2重壁遮音構造として遮音性能を高めることが可能である。そのため、硬質板を発泡樹脂にて補強したり、積層板としての制振性能や遮音性能を高め、防音性能を発揮することができる。
 第20の発明によると、成形工程においてプレス加工などにより積層板が所定形状とされてから、加熱工程において発泡可能樹脂が発泡樹脂とされる。そのため、積層板として形状・施工場所・重量に制限を受けることなく、寸法・形状精度を確保して所定形状に加工することができると共に、制振性能・遮音性能高め、防音性能を発揮することができる。
 第21の発明によると、発泡可能樹脂を発泡させる加熱工程のための機構や作業が不要であるため、作業効率が良く、製造コストを大幅に低減することができる。
 次に、発明の実施の形態を、添付の図面を参照して具体的に説明する。
本発明の第一実施形態としての発泡樹脂積層防音板1の模式図が、図1に示される。この図1(a)に示すように、この発泡樹脂積層防音板1は、発泡温度まで加熱されて発泡される発泡可能樹脂3aと、加熱されても発泡しない非発泡樹脂4と、高い剛性を有する硬質板2(例えば、鋼板、アルミ合金板など)とがこの順に積層され一体化されている。
 上記の発泡樹脂積層防音板1は、加熱・加圧することにより、発泡可能樹脂3aと非発泡樹脂4の間、および非発泡樹脂4と硬質板2との間が熱融着により接着されている。この熱融着されるときの温度は、発泡可能樹脂3aの発泡温度、好ましくは発泡可能樹脂3aの融点よりも低く設定されている。なお、この接着は、熱融着によるものと限定されず、例えば、接着剤を塗って加圧されることで互いに接着されてもよい。
 上記の発泡樹脂積層防音板1は、発泡可能樹脂3aの発泡温度よりも低い温度、好ましくは発泡可能樹脂3aの融点より低い温度で加熱されるため、未発泡状態を保持して積層板とされる。そして、この発泡樹脂積層防音板1を発泡温度まで加熱して、図1(b)に示すように、発泡可能樹脂3aを発泡樹脂3bとし、厚みを増大させることが可能である。
 上記の構成において、発泡可能樹脂3aを未発泡状態に保持したままの状態であれば、積層板全体を薄くできるため、加工(塑性加工、例えば、プレス加工、曲げ加工など)により発泡樹脂積層防音板1を所定形状とすることが可能である。そのため、発泡樹脂積層防音板1として形状・施工場所・重量に制限を受けることなく、寸法・形状精度を確保して所定形状に加工することができると共に、発泡可能樹脂3aの厚みを発泡させることにより増大することで剛性付与効果を高めることができ、拘束型制振構造の拘束板の役割を十分果たすことができるので制振性能を高めることができる。
 なお、非発泡樹脂4の損失係数を0.05〜5とすると、振動エネルギーを十分吸収することができ、拘束型制振構造として高い制振性能を得ることができる。また、非発泡樹脂4の融点は、発泡可能樹脂3aの融点よりも高温であることが好ましい。そうすると、発泡可能樹脂3aの発泡温度まで加熱しても、積層一体化された状態を保持することが可能である。さらに、発泡可能樹脂3aとして、加熱により独立気泡を形成可能な樹脂を用いると、高倍率に発泡させても発泡樹脂全体の弾性係数が発泡倍率の1乗に反比例して低下するに留めることができる。
 更には、上記の発泡可能樹脂3aや非発泡樹脂4に金属粉末が添加されると、樹脂3a・4は高密度となるため、遮音性能が高まるとともに、導電性物質を用いれば溶接性が向上できる。また、上記の発泡可能樹脂3aに潤滑剤が添加されると、プレス成形時の金型との接触摩擦を低減して樹脂の破断を防止することができる。なお、発泡可能樹脂3aの表面に潤滑専用のフィルムを貼ったり、潤滑のためのコーティングを行うことでも、同様の効果を得ることができる。
 また、上記の非発泡樹脂4が制振樹脂であれば、さらに制振性が付与される。更には、非発泡樹脂4は発泡樹脂3aを硬質板2に一体化するための接着剤層であってもよい。
 本発明の第二実施形態としての発泡樹脂積層防音板1の模式図が、図2に示される。この図2(a)に示すように、この発泡樹脂積層防音板1は、発泡温度ま
で加熱されて発泡される第一の発泡可能樹脂3aと、第一の発泡可能樹脂3aと発泡温度の異なる第二の発泡可能樹脂3cと、高い剛性を有する硬質板2とがこの順に積層され一体化されている。
 上記の発泡樹脂積層防音板1は、加熱・加圧することにより、第一の発泡可能樹脂3aと第二の発泡可能樹脂3cとの間、および第二の発泡可能樹脂3cと硬質板2との間が熱融着により接着されている。この熱融着されるときの温度は、上記発泡温度よりも低く設定されている。なお、この接着は、熱融着によるものと限定されず、例えば、接着剤を塗って加圧されることで互いに接着されてもよい。
 上記の発泡樹脂積層防音板1は、第一の発泡可能樹脂3a、第二の発泡可能温度3cの発泡温度よりも低い温度で加熱され熱融着されるため、未発泡状態を保持して積層板とされる。そして、この発泡樹脂積層防音板1を発泡温度まで加熱して、図2(b)に示すように、第一の発泡可能樹脂3aを第一の発泡樹脂3b、第二の発泡可能樹脂3cを第二の発泡樹脂3dとし、厚みを増大させることが可能である。
 このとき、第一の発泡可能樹脂3aと第二の発泡可能樹脂3cとの発泡温度の関係は、第一の発泡可能樹脂3aの発泡温度より第二の発泡可能樹脂3cの発泡温度を低く設定している。また、第一の発泡可能樹脂3aの融点より第二の発泡可能樹脂3cの融点を低く設定している。従って、まず、ある加熱温度で第二の発泡可能樹脂3cのみを発泡樹脂3dとし、その後、より高い加熱温度で第一の発泡可能樹脂3aを発泡樹脂3bとするように、別々に発泡させることが可能である。この場合、第二の発泡可能樹脂3cを硬質板2に接着するときの加熱温度で、第二の発泡可能樹脂3cを発泡可能な発泡温度に設定することが好ましい。例えば、第二の発泡可能樹脂3cとして熱硬化性樹脂を用いれば、第二の発泡可能樹脂3cを加熱により発泡させ、その後、第一の発泡可能樹脂3aを発泡する温度まで加熱しても、発泡樹脂3dとなった第二の発泡可能樹脂3cは軟化・溶融や新たな発泡が起こらないので、第一の発泡可能樹脂3a、第二の発泡可能樹脂3cが硬質板2から脱落することがなく、一体となって発泡樹脂積層防音板として保持できる。
 なお、発泡温度ではなく第1の発泡可能樹脂と第二の発泡可能樹脂の融点を異ならせることも好ましく、この場合、第一の発泡可能樹脂3aと第二の発泡可能樹脂3cとの融点の関係は、第一の発泡可能樹脂3aの融点より第二の発泡可能樹脂3cの融点を高く設定している。従って、まず、第二の発泡可能樹脂3cを硬質板に積層し、その後、第1の発泡可能樹脂3aを積層させ、加熱接着させる。このとき、例えば、第二の発泡可能樹脂3cとして熱硬化性樹脂を用いれば、第二の発泡可能樹脂3cを加熱しても軟化することがなく、第一の発泡可能樹脂3a、第二の発泡可能樹脂3cを発泡する温度まで加熱しても、発泡樹脂3dとなった第二の発泡可能樹脂3cは、軟化・溶融が起こらないので、第一の発泡可能樹脂3a、第二の発泡可能樹脂3cが硬質板2から脱落することがなく、一体となって発泡樹脂積層防音板として保持できる。
 また、発泡により第一の発泡可能樹脂3aの厚みを増大することで剛性付与効果を高め、発泡樹脂とした状態で第二の発泡可能樹脂3cの粘性を高くし、さらに、等価弾性係数を低くして、第二の発泡可能樹脂3cの剪断変形に伴う熱エネルギへの変換効率を高めることで、優れた拘束型の制振構造とすることができる。
 上記の構成において、第一の発泡可能樹脂3a、第二の発泡樹脂3cを未発泡状態に保持したままの状態であれば、積層板全体は薄い状態のため、プレス加工により発泡樹脂積層防音板1を所定形状とすることが可能である。そのため、発泡樹脂積層防音板1として形状・施工場所・重量に制限を受けることなく、寸法・形状精度を確保して所定形状にプレス加工することができると共に、第一の発泡可能樹脂3aの厚みを増大することで剛性付与効果を高めることができ、拘束型制振構造の拘束板の役割を十分果たすことができるので制振性能を高めることができる。
 なお、発泡後の第二の発泡可能樹脂3cの損失係数を0.05〜5とすると、振動エネルギーを十分吸収することができ、拘束型制振構造として高い制振性能を得ることができる。また、第一の発泡可能樹脂3a、第二の発泡樹脂3cとして、加熱により独立気泡を形成可能な樹脂を用いると、高倍率に発泡させても等価弾性係数が発泡倍率の1乗に反比例して低下するに留めることができる。
 なお、第一の発泡可能樹脂3aとして、加熱により独立気泡を形成可能な樹脂を用い、第二の発泡可能樹脂3cとして、加熱により連続気泡を形成可能な樹脂を用いると、等価弾性係数を著しく低下させることができ、優れた拘束型制振構造とすることができる。さらに、この第二の発泡可能樹脂3cの発泡倍率を調整して連続気泡の状態を調節すれば、吸音性を付与でき、結果として、広い周波数範囲で遮音性能を高めた発泡樹脂積層防音板を得ることができる。
 なお、第一及び第二の発泡可能樹脂として加熱により連続気泡を形成可能な樹脂を用い、第一および第二の発泡倍率を調整することにより、目的に応じて最適な吸音特性を備えた発泡樹脂積層防音板を得ることができる。
 更には、上記の第一の発泡可能樹脂3aや第二の発泡可能樹脂3cに金属粉末が添加されると、樹脂3a・4は高密度となるため、遮音性能が高まり、また、導電性物質を用いると溶接性が向上する。また、上記の発泡可能樹脂3aに潤滑剤が添加されると、プレス成形時の金型との接触摩擦を低減して樹脂の破断を防止することができる。なお、発泡可能樹脂3aの表面に潤滑専用のフィルムを貼ったり、潤滑のためのコーティングを行うことでも、同様の効果を得ることができる。
 ここで、上記の発泡樹脂積層防音板1の製造工程について、図3(a)〜図3(d)を参照して説明する。
 まず、発泡可能樹脂フィルムが形成される。まず、発泡可能樹脂3aを構成する材料が混練される。この材料は、樹脂と発泡剤とを含んでおり、必要に応じて、接着強度・制振強度・潤滑性を付与する物質や、金属粉末が添加されている。
 これらの材料が十分混練された後、フィルム・シート化されて発泡可能樹脂フィルムとされ、コイル状に巻かれる。
 なお、このとき、上記材料に含まれる樹脂の融点が、発泡剤の分解温度よりも20℃〜30℃低く設定されていることが好ましい。そうすると、混練されることで樹脂の温度が上昇しても、発泡が起こることを防止することができる。
 次に、非発泡樹脂フィルムが形成される。まず、非発泡樹脂4を構成する材料が混練される。この材料は、樹脂に、必要に応じて、接着強度・制振強度・潤滑性を付与する材質や、金属粉末が添加されている。これらの材料が十分混練された後、フィルム・シート化されて非発泡樹脂フィルムとされ、コイル状に巻かれる。
 なお、上記の発泡可能樹脂フィルムおよび非発泡樹脂フィルムは、熱融着や接着剤で貼り付けることにより一体化された後にコイル状に巻かれてもよい。上記何れの場合であっても、発泡可能樹脂3aは未発泡状態であり厚みが薄いため、コイル状にすることが可能である。そのため、コイル状での搬送が可能であり、施工場所でコイルから引き伸ばすことができるため施工場所が制限されない。
(積層工程)
 図3(a)に示すように、コイル状とされた硬質板2をコイルから引き伸ばしながら、上記非発泡樹脂フィルムおよび発泡可能樹脂フィルムを引き伸ばして、非発泡樹脂4と発泡可能樹脂3aとを硬質板2にこの順に積層する。
(積層一体化工程)
 そして、図3(b)に示すように、積層された状態で加熱し、熱融着により一体化され、発泡樹脂積層防音板1とされる。このとき、加熱に伴い加圧してもよい。また、接着する方法は熱融着に限定されず、例えば、接着剤を塗布して加圧することにより接着され一体化してもよい。
 なお、このとき、発泡可能樹脂3aおよび非発泡樹脂4の熱融着温度は、発泡温度よりも低く設定されている。そのため、熱融着のための加熱温度を発泡温度よりも低く設定することができ、加熱しても発泡可能樹脂3aが発泡するということがなく、熱融着することができる。
 また、上記のように硬質板2・非発泡樹脂フィルム4・発泡可能樹脂フィルム3aが同時に一体化されなくてもよい。即ち、先ず、硬質板2に非発泡樹脂フィルム4が接着され、その後、非発泡樹脂フィルム4に発泡可能樹脂フィルム3aが接着されることで一体化されてもよい。そうすると、1回の積層工程は、2つのコイルから引き伸ばされて行われるので、3つのコイルから引き伸ばされて行われるよりも簡易に行うことができる。
 また、既に発泡可能樹脂フィルムと非発泡樹脂フィルムとが積層一体化されたフィルムとして1つのコイルとされている場合には、2つのコイルから引き伸ばすことで、硬質板2に発泡可能樹脂フィルム3aと非発泡樹脂フィルム4とを同時に積層させることができる。
(成形工程)
 上述したように製造された発泡樹脂積層防音板1は、更に、図3(c)に示すように積層一体化された状態でプレス加工して所定形状とされる。このとき、発泡可能樹脂3aは未発泡状態であるので、厚みが薄く、プレス加工が容易である。従って、積層板として形状・施工場所に制限を受けることなく、寸法・形状精度を確保して所定形状にプレス加工することができる。なお、成型工程はプレス加工に限定されず、曲げ加工などの塑性加工であればよい。また、平板状で使用されるような加工の必要のない場合は、この工程を省略することも可能である。
(加熱工程)
 そして、図3(d)に示すように、発泡温度まで加熱されることで、発泡可能樹脂3aを発泡させ、発泡樹脂3bとされる。このように、発泡可能樹脂3aは発泡樹脂3bとされて厚みを増すことで、曲げ剛性を高めることができる。
 このとき、非発泡樹脂4の融点が、発泡温度よりも高温であることが好ましい。そうすると、発泡樹脂積層防音板1を発泡温度まで加熱しても、非発泡樹脂4が溶融しないため、加熱工程終了後も発泡樹脂3bと非発泡樹脂4と硬質板2とが積層一体化された状態が保持される。
 また、非発泡樹脂4は、熱硬化性樹脂であることが好ましい。そうすると、発泡樹脂積層防音板1が発泡温度まで加熱されると、非発泡樹脂4は硬化するため、発泡可能樹脂3aと非発泡樹脂4と硬質板2とが積層一体化された状態が保持され、加熱処理終了後に所要の防音性能を得ることができる。さらに、非発泡樹脂4は、熱可塑性樹脂であることが好ましい。そうすると、高温に加熱することで硬質板と分離することができるため、リサイクル性を高めることができる。
 また、発泡可能樹脂3aは、熱可塑性樹脂であることが好ましい。そうすると、発泡樹脂積層防音板1が発泡温度まで加熱されると、分解・ガス発生が起こると共に発泡可能樹脂3aの軟化が進行するので、十分に発泡することができる。さらに、発泡可能樹脂3aは、熱硬化性樹脂であることが好ましい。そうすると、第一の発泡可能樹脂−第二の発泡可能樹脂−硬質板の組み合わせであれば、一方の発泡可能樹脂に熱硬化性樹脂を用い発泡温度まで加熱すると、発泡とともに硬化し、次に、他方の発泡可能樹脂の発泡温度まで加熱しても一方の発泡可能樹脂(発泡後)が溶融や発泡することがない。
 また、第一の発泡可能樹脂3aと第二の発泡可能樹脂3cの融点は異なることが好ましい。そうすると、第二の発泡可能樹脂3aに熱硬化性樹脂を用いることにより、発泡温度まで加熱しても、第二の発泡可能樹脂3cが軟化しないので、第一の発泡可能樹脂3aと第二の発泡可能樹脂3cとが硬質板2から脱落することなく積層一体化した状態が保持され、加熱処理終了後に所要の防音性能を得ることができる。
 このとき、発泡可能樹脂3aを構成する熱可塑性樹脂は、ポリエステル系、ナイロン系、ポリオレフィン系等が挙げられ、ポリエステルテレフタレート(PET)の融点は250℃〜260℃、ナイロンの融点は179℃〜260℃、ポリエチレンの融点は100℃〜140℃、ポリプロピレンの融点が160℃〜170℃であるので、融点が100℃〜260℃であることが好ましい。そうすると、120℃〜300℃で加熱することで、発泡可能樹脂3aを発泡させて発泡樹脂3bとすることができる。なお、上記融点の範囲であれば熱硬化性樹脂も使用することができる。また、非発泡樹脂4も同様に上記樹脂を使用することができる。
 また、熱硬化性樹脂としては、発泡可能樹脂3aとして使用する場合、非発泡樹脂4として使用する場合とも、発泡可能樹脂3aか非発泡樹脂4のどちらに使用されるか、及び、使用される温度条件に応じて決められ、特に限定されないが、ポリウレタン、熱硬化型ポリエステル樹脂またはエポキシ樹脂が用いられることが好ましい。なお、熱硬化性樹脂を発泡樹脂3bとして使用する場合は、その融点が100℃〜260℃であることが好ましい。そうすると、120℃〜300℃で加熱することで、発泡可能樹脂3aを発泡させ、発泡樹脂3bとすることができる。
 更には、上記発泡温度は、120℃〜300℃に設定されていることが好ましい。本発明における発泡可能樹脂はその融点より40℃程度高温で加熱すると劣化しやすいため、発泡温度は発泡可能樹脂の融点より最大40℃高い温度以下に設定しておく必要がある。そうすると、120℃〜300℃で加熱することで、発泡可能樹脂3aを劣化させることなく発泡させることができる。
 なお、上記実施の形態では、積層工程・積層一体化工程で、発泡可能樹脂・非発泡可能樹脂がフィルム・シートであるものを説明したが、これに限らず、発泡可能樹脂・非発泡可能樹脂のうちの何れか一方(この場合、他方はフィルム・シートでよい)、または両方を溶融状態または溶媒に溶解させた状態で、硬質板の表面もしくはフィルム・シートで積層されているものの表面に、ロールやスプレーなどで塗布するものでもよい。この場合は、積層工程と積層一体化工程は同時に行われる。また、塗布させた場合には、塗布後に乾燥する工程があることが好ましい。
 以上で説明したように、本実施形態の発泡樹脂積層防音板1は、加熱により発泡温度にて発泡される未発泡状態の発泡可能樹脂3aと硬質板2とを備える。これにより、発泡可能樹脂3aを未発泡状態に保持したままの状態でプレス加工により積層板を所定形状とし、その後、加熱して発泡温度として発泡可能樹脂3aを発泡樹脂3bとし、厚みを増大させることが可能である。そのため、発泡させる前の積層板が薄くでき、積層板として形状・施工場所・重量に制限を受けることなく、寸法・形状精度を確保して所定形状にプレス加工することができると共に、発泡可能樹脂3aの厚みを発泡により増大することで剛性付与効果や制振性能を高めることができる。
 なお、本実施形態においては、発泡可能樹脂3aと非発泡樹脂4と硬質板2とがこの順に積層された発泡樹脂積層防音板1について説明しているが、これに限定されるものではない。即ち、硬質板に、加熱により発泡温度にて発泡される発泡可能樹脂のみが積層一体化されている発泡樹脂積層防音板であってもよい。そうすると、発泡させる前の積層板が薄くでき、形状・施工場所・重量に制限を受けることなく、発泡可能樹脂3aの厚みを発泡により増大することで剛性付与効果を高め、十分な制振性能を発揮する非拘束型制振構造を実現することができる。
 また、図4(a)に示すように、非発泡樹脂4と発泡可能樹脂3aと硬質板2とがこの順に積層一体化されているものでもよい。そうすると、図4(b)に示すように、発泡可能樹脂3aは、発泡温度まで加熱されて発泡樹脂3bとされることで、発泡樹脂3b全体として弾性係数を低減することができる。そうすると、発泡樹脂3bは非発泡樹脂4と硬質板2とに挟まれた状態で空気バネの役割を果たし、2重壁構造を実現することができ、高い遮音性能を得ることができる。
 なお、上記の発泡可能樹脂3aの損失係数を0.05〜5とすると、振動エネルギーを十分吸収することができ、非発泡樹脂4と硬質板2が空気バネと結合されている2重壁構造としての共振を抑制することができるので、2重壁構造として高い遮音性を得ることができる。また、発泡可能樹脂3aは、発泡樹脂3bとされるときに、気泡寸法を大きくすることで、発泡樹脂全体として弾性係数を低減することができる。なお、気泡寸法を大きくできなくても、発泡可能樹脂3aとして加熱により連続気泡を形成可能な樹脂を用いると、隣接する気泡間に亀裂が生じるために発泡樹脂全体として弾性係数を著しく低下させることができる。
 さらに、隣接する気泡間に生じる亀裂を気泡内部のガスが流動する際に、摩擦または流動抵抗が生じるので、ガスの振動エネルギが熱エネルギに変換されることで吸音性能を付与することができる。これによれば、連続気泡を備える発泡樹脂を硬質板の表面に積層すれば、吸音性を高めた発泡樹脂積層防音板を提供することができる。また、非発泡樹脂または独立気泡を備える発泡樹脂と硬質板との間に連続気泡を備える発泡樹脂が配置されることにより、制振性に優れ遮音性を兼ね備えた発泡樹脂積層防音板を提供することができる。
 また、非発泡樹脂4に潤滑剤が添加されると、プレス成形時の金型との接触摩擦を低減して非発泡樹脂4の破断を防止することができる。なお、非発泡樹脂4の表面に潤滑専用のフィルムを貼ったり、潤滑のためのコーティングを行うことでも、同様の効果を得ることができる。
 なお、上記図4の例においては、非発泡樹脂ではなく非発泡材料例えば、金属板や金属箔などを用いることも可能である。
 なお、上記で説明した発泡樹脂積層防音板1の製造工程において、加熱工程が、焼き付け塗装の加熱処理と同時に行われてもよい。そうすると、発泡可能樹脂3aを発泡させる加熱工程のための機構や作業が不要であるため、作業効率が良く、製造コストを大幅に低減することができる。
 なお、上記発泡可能樹脂の材質、発泡剤の量、発泡の進行状態などによって気泡の大きさや数を調整することが可能であり、これによって、発泡樹脂の厚さや制振性能を調整することが可能である。これら、条件は要求される積層板の性能などに応じて選択される。
本発明の第一実施形態例を示す発泡樹脂積層防音板の模式的構成図であり、(a)は発泡可能樹脂が未発泡状態の模式的構成図であり、(b)は発泡可能樹脂を発泡樹脂とした状態の模式的構成図である。 本発明の第二実施形態例を示す発泡樹脂積層防音板の模式的構成図であり、(a)は発泡可能樹脂が未発泡状態の模式的構成図であり、(b)は発泡可能樹脂を発泡樹脂とした状態の模式的構成図である。 本発明の第一実施形態例の製造方法を説明する模式的構成図である。 本発明の他の実施形態例を示す発泡樹脂積層防音板の模式的構成図であり、(a)は発泡可能樹脂が未発泡状態の模式的構成図であり、(b)は発泡可能樹脂を発泡樹脂とした状態の模式的構成図である。
符号の説明
1 発泡樹脂積層防音板
2 硬質板
3a 発泡可能樹脂

Claims (21)

  1.  少なくとも、加熱により発泡温度にて発泡される未発泡状態の発泡可能樹脂と硬質板とを備える積層板であることを特徴とする発泡樹脂積層防音板。
  2.  少なくとも、加熱により発泡温度にて発泡される未発泡状態の第一の発泡可能樹脂と、加熱により発泡温度にて発泡される未発泡状態の第二の発泡可能樹脂と、硬質板とを備える積層板であることを特徴とする発泡樹脂積層防音板。
  3.  少なくとも、加熱により発泡温度にて発泡される未発泡状態の第一の発泡可能樹脂と、該第一の発泡可能樹脂と発泡温度が異なり加熱により発泡温度にて発泡される未発泡状態の第二の発泡可能樹脂と、硬質板とを備える積層板であることを特徴とする発泡樹脂積層防音板。
  4.  少なくとも、加熱により発泡温度にて発泡される未発泡状態の第一の発泡可能樹脂と、該第一の発泡可能樹脂と融点が異なり加熱により発泡温度にて発泡される未発泡状態の第二の発泡可能樹脂と、硬質板とを備える積層板であることを特徴とする発泡樹脂積層防音板。
  5.  加熱により発泡しない非発泡材料と、前記発泡可能樹脂と、前記硬質板とを、この順に積層した積層板であることを特徴とする請求項1に記載の発泡樹脂積層防音板。
  6.  前記非発泡材料が、加熱により発泡しない非発泡樹脂であることを特徴とする請求項5に記載の発泡樹脂積層防音板。
  7.  前記発泡可能樹脂と、加熱により発泡しない非発泡樹脂と、硬質板とを、この順に積層した積層板であることを特徴とする請求項1に記載の発泡樹脂積層防音板。
  8.  前記発泡可能樹脂は、前記発泡温度よりも低い温度で加熱されて熱融着され積層板とされていることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の発泡樹脂積層防音板。
  9.  前記非発泡樹脂は、前記発泡温度よりも低い温度で加熱されて熱融着され積層板とされていることを特徴とする請求項6〜8の何れか1項に記載の発泡樹脂積層防音板。
  10.  前記非発泡樹脂の融点が、前記発泡可能樹脂の融点より高温であることを特徴とする請求項6〜9の何れか1項に記載の発泡樹脂積層防音板。
  11.  前記非発泡樹脂は、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項6〜10の何れか1項に記載の発泡樹脂積層防音板。
  12.  前記発泡可能樹脂が、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の発泡樹脂積層防音板。
  13.  前記熱可塑性樹脂の融点が、100℃〜260℃であることを特徴とする請求項11または12に記載の発泡樹脂積層防音板。
  14.  前記発泡可能樹脂は、加熱により分解する発泡剤を樹脂に混練して形成されたことを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の発泡樹脂積層防音板。
  15.  前記発泡温度を、120℃〜300℃に設定したことを特徴とする請求項1〜14の何れか1項に記載の発泡樹脂積層防音板。
  16.  請求項1〜15に記載の発泡樹脂積層防音板が、前記発泡温度まで加熱されて発泡可能樹脂が発泡樹脂とされたことを特徴とする発泡樹脂積層防音板。
  17.  前記発泡可能樹脂は、前記発泡樹脂積層防音板が所定形状に加工された後に、加熱により発泡樹脂とされたことを特徴とする請求項16に記載の発泡樹脂積層防音板。
  18.  少なくとも、加熱により発泡温度にて発泡される未発泡状態の発泡可能樹脂と硬質板とを積層する積層工程と、
    前記発泡可能樹脂の発泡温度より低い温度で硬質板とを積層一体化する工程を有することを特徴とする発泡樹脂積層防音板の製造方法。
  19.  前記積層工程と、前記積層一体化する工程と、前記発泡可能樹脂の発泡温度に加熱して前記発泡可能樹脂を発泡樹脂とする加熱工程とを有することを特徴とする請求項18に記載の発泡樹脂積層防音板の製造方法。
  20.  前記積層工程と、前記積層一体化する工程と、積層一体化された状態で所定形状に加工される成形工程と、前記加熱工程とを有することを特徴とする請求項19に記載の発泡樹脂積層防音板の製造方法。
  21.  前記加熱工程が、焼き付け塗装の加熱処理と同時に行われることを特徴とする請求項19または20に記載の発泡樹脂積層防音板の製造方法。

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