JP2004042649A - 発泡樹脂積層防音板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 発泡樹脂積層防音板1は、少なくとも、加熱により発泡温度にて発泡される未発泡状態の発泡可能樹脂3aと硬質板2とを備える積層板である。
【選択図】 図1
Description
例えば、前記硬質板と、この硬質板と同等の曲げ剛性を有する拘束板とで制振材を挟んで積層板とした拘束型制振構造がある。この積層板は、硬質板と拘束板とで制振材を両側から挟んで積層し、その状態で加熱や加圧を行い部材間を接着し積層一体化して製造される。そして、この積層板はプレス加工などの塑性加工により所定形状とされる。
上記の拘束型制振構造において、従来は拘束板としては金属等が用いられるが、製造が容易であったり、安価なコストを実現できることから、樹脂等の高分子材料が用いられることが望まれる。しかし、樹脂等の高分子材料は、硬質板と同等の剛性を得るために弾性係数を大きくすると、伸び率が低くなり成形性が損なわれてしまう。そのため、拘束板として樹脂等を用いる場合、上記の製造工程において、硬質板を所定形状にプレス加工してから、制振材および拘束板が接着される必要がある。
また、上記従来の積層板であると、積層板全体として厚さが厚くなってしまい、積層板を構成した後、所定の形状にプレス加工することが非常に難しいという問題がある。
例えば、自動車の製造工程においては、制振材としての樹脂は、硬質板がプレス加工により所定形状とされた後に、組み立て工程の途中で所定の位置に設置され、その後の焼き付け塗装工程での加熱及び制振材の自重により熱融着される。そのため、樹脂が施工可能なのは、底面上面に限られ、側面や屋根裏面に制振材を施工するが困難である。また、自重により押付けられながら接着されるため、樹脂を軽量化すると接着力が弱くなってしまう。
また、第一及び第二の発泡可能樹脂として、加熱により連続気泡を形成可能な樹脂を用いると、少なくとも2種類の吸音特性を持った吸音材を2重に重ねたことになり、吸音特性を向上させることができる。特に、第一と第二の発泡状態を適宜変更することにより、吸音特性を目的に応じて最適化することも可能である。
なお、発泡可能樹脂の損失係数を0.05〜5とすると、振動エネルギーを十分吸収することができ、硬質板と非発泡樹脂との共振を抑制して、十分な遮音性能を得ることができる。また、発泡可能樹脂は、発泡樹脂とされるときに、気泡寸法を大きくすることで、発泡樹脂全体として弾性係数を低減することができる。なお、気泡寸法を大きくできなくても、発泡可能樹脂として加熱により連続気泡を形成可能な樹脂を用いると、隣接する気泡間に亀裂が生じるために発泡樹脂全体として弾性係数を著しく低下させ且つ吸音性を付与することができる。
更には、非発泡材料に非発泡樹脂を用い、この非発泡樹脂や発泡可能樹脂に金属粉末が添加されると、樹脂は高密度となるため、遮音性能が高まり、また、導電性物質を用いれば溶接性が向上する。また、非発泡樹脂に潤滑剤が添加されると、プレス成形時の金型との接触摩擦を低減して非発泡樹脂の破断を防止することができる。なお、非発泡樹脂の表面に潤滑専用のフィルムを貼ったり、潤滑のためのコーティングを行うことでも、同様の効果を得ることができる。
なお、非発泡樹脂の損失係数を0.05〜5とすると、振動エネルギーを十分吸収することができ、拘束型制振構造として高い制振性能を得ることができる。また、発泡可能樹脂として、加熱により独立気泡を形成可能な樹脂を用いると、高倍率に発泡させても発泡樹脂全体として弾性係数が発泡倍率の1乗に反比例して低下するに留めることができる。
更には、発泡可能樹脂や非発泡樹脂に金属粉末が添加されると、樹脂は高密度となるため、遮音性能が高まり、また、導電性物質を用いれば溶接性が向上する。また、発泡可能樹脂に潤滑剤が添加されると、プレス成形時の金型との接触摩擦を低減して発泡可能樹脂の破断を防止することができる。なお、発泡可能樹脂の表面に潤滑専用のフィルムを貼ったり、潤滑のためのコーティングを行うこと
でも、同様の効果を得ることができる。
本発明の第一実施形態としての発泡樹脂積層防音板1の模式図が、図1に示される。この図1(a)に示すように、この発泡樹脂積層防音板1は、発泡温度まで加熱されて発泡される発泡可能樹脂3aと、加熱されても発泡しない非発泡樹脂4と、高い剛性を有する硬質板2(例えば、鋼板、アルミ合金板など)とがこの順に積層され一体化されている。
で加熱されて発泡される第一の発泡可能樹脂3aと、第一の発泡可能樹脂3aと発泡温度の異なる第二の発泡可能樹脂3cと、高い剛性を有する硬質板2とがこの順に積層され一体化されている。
これらの材料が十分混練された後、フィルム・シート化されて発泡可能樹脂フィルムとされ、コイル状に巻かれる。
図3(a)に示すように、コイル状とされた硬質板2をコイルから引き伸ばしながら、上記非発泡樹脂フィルムおよび発泡可能樹脂フィルムを引き伸ばして、非発泡樹脂4と発泡可能樹脂3aとを硬質板2にこの順に積層する。
そして、図3(b)に示すように、積層された状態で加熱し、熱融着により一体化され、発泡樹脂積層防音板1とされる。このとき、加熱に伴い加圧してもよい。また、接着する方法は熱融着に限定されず、例えば、接着剤を塗布して加圧することにより接着され一体化してもよい。
上述したように製造された発泡樹脂積層防音板1は、更に、図3(c)に示すように積層一体化された状態でプレス加工して所定形状とされる。このとき、発泡可能樹脂3aは未発泡状態であるので、厚みが薄く、プレス加工が容易である。従って、積層板として形状・施工場所に制限を受けることなく、寸法・形状精度を確保して所定形状にプレス加工することができる。なお、成型工程はプレス加工に限定されず、曲げ加工などの塑性加工であればよい。また、平板状で使用されるような加工の必要のない場合は、この工程を省略することも可能である。
そして、図3(d)に示すように、発泡温度まで加熱されることで、発泡可能樹脂3aを発泡させ、発泡樹脂3bとされる。このように、発泡可能樹脂3aは発泡樹脂3bとされて厚みを増すことで、曲げ剛性を高めることができる。
2 硬質板
3a 発泡可能樹脂
Claims (21)
- 少なくとも、加熱により発泡温度にて発泡される未発泡状態の発泡可能樹脂と硬質板とを備える積層板であることを特徴とする発泡樹脂積層防音板。
- 少なくとも、加熱により発泡温度にて発泡される未発泡状態の第一の発泡可能樹脂と、加熱により発泡温度にて発泡される未発泡状態の第二の発泡可能樹脂と、硬質板とを備える積層板であることを特徴とする発泡樹脂積層防音板。
- 少なくとも、加熱により発泡温度にて発泡される未発泡状態の第一の発泡可能樹脂と、該第一の発泡可能樹脂と発泡温度が異なり加熱により発泡温度にて発泡される未発泡状態の第二の発泡可能樹脂と、硬質板とを備える積層板であることを特徴とする発泡樹脂積層防音板。
- 少なくとも、加熱により発泡温度にて発泡される未発泡状態の第一の発泡可能樹脂と、該第一の発泡可能樹脂と融点が異なり加熱により発泡温度にて発泡される未発泡状態の第二の発泡可能樹脂と、硬質板とを備える積層板であることを特徴とする発泡樹脂積層防音板。
- 加熱により発泡しない非発泡材料と、前記発泡可能樹脂と、前記硬質板とを、この順に積層した積層板であることを特徴とする請求項1に記載の発泡樹脂積層防音板。
- 前記非発泡材料が、加熱により発泡しない非発泡樹脂であることを特徴とする請求項5に記載の発泡樹脂積層防音板。
- 前記発泡可能樹脂と、加熱により発泡しない非発泡樹脂と、硬質板とを、この順に積層した積層板であることを特徴とする請求項1に記載の発泡樹脂積層防音板。
- 前記発泡可能樹脂は、前記発泡温度よりも低い温度で加熱されて熱融着され積層板とされていることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の発泡樹脂積層防音板。
- 前記非発泡樹脂は、前記発泡温度よりも低い温度で加熱されて熱融着され積層板とされていることを特徴とする請求項6〜8の何れか1項に記載の発泡樹脂積層防音板。
- 前記非発泡樹脂の融点が、前記発泡可能樹脂の融点より高温であることを特徴とする請求項6〜9の何れか1項に記載の発泡樹脂積層防音板。
- 前記非発泡樹脂は、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項6〜10の何れか1項に記載の発泡樹脂積層防音板。
- 前記発泡可能樹脂が、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の発泡樹脂積層防音板。
- 前記熱可塑性樹脂の融点が、100℃〜260℃であることを特徴とする請求項11または12に記載の発泡樹脂積層防音板。
- 前記発泡可能樹脂は、加熱により分解する発泡剤を樹脂に混練して形成されたことを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の発泡樹脂積層防音板。
- 前記発泡温度を、120℃〜300℃に設定したことを特徴とする請求項1〜14の何れか1項に記載の発泡樹脂積層防音板。
- 請求項1〜15に記載の発泡樹脂積層防音板が、前記発泡温度まで加熱されて発泡可能樹脂が発泡樹脂とされたことを特徴とする発泡樹脂積層防音板。
- 前記発泡可能樹脂は、前記発泡樹脂積層防音板が所定形状に加工された後に、加熱により発泡樹脂とされたことを特徴とする請求項16に記載の発泡樹脂積層防音板。
- 少なくとも、加熱により発泡温度にて発泡される未発泡状態の発泡可能樹脂と硬質板とを積層する積層工程と、
前記発泡可能樹脂の発泡温度より低い温度で硬質板とを積層一体化する工程を有することを特徴とする発泡樹脂積層防音板の製造方法。 - 前記積層工程と、前記積層一体化する工程と、前記発泡可能樹脂の発泡温度に加熱して前記発泡可能樹脂を発泡樹脂とする加熱工程とを有することを特徴とする請求項18に記載の発泡樹脂積層防音板の製造方法。
- 前記積層工程と、前記積層一体化する工程と、積層一体化された状態で所定形状に加工される成形工程と、前記加熱工程とを有することを特徴とする請求項19に記載の発泡樹脂積層防音板の製造方法。
- 前記加熱工程が、焼き付け塗装の加熱処理と同時に行われることを特徴とする請求項19または20に記載の発泡樹脂積層防音板の製造方法。
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