JPH06198797A - 薄板部材の補強方法 - Google Patents

薄板部材の補強方法

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JPH06198797A
JPH06198797A JP5238465A JP23846593A JPH06198797A JP H06198797 A JPH06198797 A JP H06198797A JP 5238465 A JP5238465 A JP 5238465A JP 23846593 A JP23846593 A JP 23846593A JP H06198797 A JPH06198797 A JP H06198797A
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JP
Japan
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resin composition
thin plate
reinforcing
plate member
liquid
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JP5238465A
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English (en)
Inventor
Yukio Nishiyama
幸夫 西山
Toshitake Nakagawa
寿壮 中川
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Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 0.2〜3.0g/cm2 の樹脂保持力を有
する液状樹脂組成物を補強対象である薄板部材に塗布し
た後、上記液状樹脂組成物自体の有する粘着性を利用し
て補強基材を塗布面に貼付・積層する。つぎに、上記液
状樹脂組成物を硬化させて樹脂層を形成して薄板部材と
補強基材とを上記樹脂層を介して接着し固定する。 【効果】 液状樹脂組成物の塗布,補強基材の積層およ
び液状樹脂組成物の硬化と一連の工程の自動化が実現す
る。また、薄板部材に対して補強基材を接着不良を生じ
ることなく貼付することができ、その結果、腐蝕等が生
じない。さらに、脱脂処理および化成処理等の前処理工
程を経る場合に、塗布した液状樹脂組成物が液だれする
ことなく、また所定の樹脂保持力を有するために貼付し
た補強基材がずれたりすることがない。したがって、こ
の発明の薄板部材の補強方法によれば、耐衝撃性および
腐食性に優れた補強を施すことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動車,家電製品等
の薄板部材の補強および制振作用を付与する薄板部材の
補強方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば、自動車等においては、車
体鋼板に種々の補強が施されている。例えば、ルーフ,
フェンダー,フード,トランク,クォーターパネル,ド
ア等のように比較的面積が広くて平坦な形状でありなが
ら厚みの薄い外板にあっては、構造上外力に対して適度
な剛性を具備させる必要から、種々の補強基材を上記外
板の内側に張り付ける方法が採られている。
【0003】上記補強基材としては、近年、金属,ガラ
スクロス等の基材表面に、常温で粘着性を有する熱硬化
性樹脂組成物を塗布して得られる積層タイプのシート状
補強基材が種々提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記補
強基材を用いての補強方法は、下記に示す〜のよう
な問題を有している。
【0005】粘着性を有するシート状補強基材のた
め、ラインでの自動貼付が極めて困難であり、手作業で
被着体である薄板部材に貼付しなければならない。この
ため、貼付ミスが発生し易く貼付不良による剥がれの発
生がみられることもある。
【0006】シート状補強基材では、被着体の接着面
積に対して100%接着させることは困難で、部分的に
接着されていない部分が発生したりする。特に、貼付時
に空気を巻き込み気泡が生じたりして、なかでも接着面
積が大きいものや曲面を有するものに対して上記傾向が
強い。その結果、貼付不良部分に錆等が発生したりす
る。
【0007】冬期等の低温時ではシート状補強基材の
粘着力が不足し、低温雰囲気下での被着体に対する貼付
作業が困難となる。また、この解決策として、低温下で
の粘着力を向上させるということも考えられるが、この
場合離型紙からシート状補強基材を剥離する時に、粘着
成分が離型紙に残ってしまうという新たな問題が生じ、
その改良にも限界がある。
【0008】そして、上記シート状補強基材の有する問
題点を考慮して、シート状物とは別に液状タイプの補強
材の開発が検討されている。しかし、液状タイプの補強
材は下記に示す〜のような問題を有するために実用
化されていない。
【0009】液状タイプの補強材は、塗装工程を経由
し、塗装焼付工程における熱源で加熱硬化することによ
り補強材として形成される。そして、上記塗装工程前
に、通常、補強部分の腐蝕防止のために脱脂処理,化成
処理等の前処理工程を経なければならない。この前処理
工程では、実際には液状タイプの補強材が塗布された部
材を処理液に浸漬するかまたは処理液を散布する等が行
われるが、このとき、上記塗布した液状物が未硬化のた
めに、垂れたり流失したりしてしまう。そこで、上記液
状物の垂れや流失を防止するために、上記塗布した液状
物を予備硬化(プレキュアー)するという処理が考えら
れるが、硬化時間,硬化装置等の問題により困難である
というのが現状である。
【0010】液状タイプの補強材は、衝撃に対してク
ラックが生じやすく、前記シート状補強基材と比較して
補強性がかなり低下してしまう。また、上記クラックの
発生を抑制するために、硬化後の樹脂層に可撓性を付与
すると、さらに補強性が低下するという問題が生じる。
【0011】この発明は、このような事情に鑑みなされ
たもので、自動化が可能で、耐衝撃性および補強性に優
れ、補強対象物に腐蝕等の生じない薄板部材の補強方法
の提供をその目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、この発明の薄板部材の補強方法は、0.2〜3.0
g/cm2 の樹脂保持力を有する液状樹脂組成物を薄板
部材に塗布した後、上記塗布面と略同形状の補強基材を
上記液状樹脂組成物自体の有する粘着性を利用して塗布
面上に積層し、上記液状樹脂組成物を硬化させて樹脂層
を形成し、上記樹脂層を介して補強基材を接着し固定す
るという構成をとる。
【0013】
【作用】すなわち、この発明の薄板部材の補強方法は、
所定の樹脂保持力を有する液状樹脂組成物を補強対象で
ある薄板部材に塗布した後、上記液状樹脂組成物自体の
有する粘着性を利用して補強基材を塗布面に貼付・積層
する。つぎに、通常は、塗装焼付工程の熱源により上記
液状樹脂組成物を硬化させて樹脂層を形成して薄板部材
と補強基材とを上記樹脂層を介して接着し固定するもの
である。このため、液状樹脂組成物の塗布工程,補強基
材の積層工程および硬化工程と自動化が容易となる。ま
た、薄板部材に対して液状樹脂組成物および補強基材を
未接着部分を形成することなく貼付することができ、腐
蝕等が生じない。さらに、樹脂のチクソ性および補強基
材による樹脂層表面のカバーにより液状樹脂組成物が液
だれしたり、補強基材がずれたりすることがなく、耐衝
撃性および制振性に優れた補強を施すことができる。
【0014】つぎに、この発明について詳しく説明す
る。
【0015】この発明の薄板部材の補強方法には、補強
対象物である薄板部材表面に塗布する液状樹脂組成物
と、さらにこの塗布面に貼付する補強基材とが用いられ
る。なお、この発明において、常温とは25℃をいう。
【0016】上記液状樹脂組成物は、例えば、熱硬化性
樹脂と、硬化剤と、各種充填剤と、チクソ性を付与する
ためのチクソ性賦与剤とを用いて得られる。この液状樹
脂組成物とは、40〜50℃程度で液状の状態をとるも
のも含む。
【0017】上記熱硬化性樹脂としては、薄板部材が金
属板である場合、それに対する接着性が良好である等の
ことから、グリシジルエーテル型,グリシジルエステル
型,グリシジルアミン型,線状脂肪族エポキサイド型,
脂環族エポキサイド型等の各種エポキシ樹脂およびその
変性エポキシ樹脂が好ましく用いられる。これらは単独
でもしくは2種以上併せて用いられる。さらに、他の熱
硬化性樹脂、例えばメラミン系,ポリエステル系,フェ
ノール系,尿素系樹脂等を用いることもできる。
【0018】上記硬化剤としては、加熱により硬化作用
を発揮する通常の加熱活性硬化剤があげられ、一般に温
度80〜200℃の範囲で活性可能なものであればよ
い。具体的には、上記エポキシ樹脂の主硬化剤として
は、ジシアンジアミド、4,4′−ジアミノジフェニル
スルホン、フェノール、各種の酸あるいは酸無水物、ポ
リアミドアミン等があげられ、さらに硬化促進剤とし
て、2−n−ヘプタデシルイミダゾール等のようなイミ
ダゾール誘導体、イソフタル酸またはアジピン酸ジヒド
ラジド、グアニジン系、N,N−ジアルキルチオ尿素誘
導体等が用いられる。
【0019】上記硬化剤および硬化促進剤の使用量は、
熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、エポキ
シ樹脂100重量部(以下「部」と略す)に対して硬化
剤が3〜30部、硬化促進剤が10部以下の割合に設定
することが好ましい。
【0020】上記各種充填剤としては、例えば炭酸カル
シウム,タルク,シリカ,アルミナ,酸化チタン等があ
げられる。上記各種の充填剤の配合量は、この発明の薄
板部材の補強方法に従って、この充填剤を配合した液状
熱硬化性樹脂組成物を薄板部材の補強用として用いたと
き、加熱硬化後に上記薄板部材に対する接着力を損なわ
ない程度、通常、樹脂成分100部に対して150部以
下に設定するのが好ましい。
【0021】上記チクソ性賦与剤としては、アエロジ
ル,アスベスト繊維等があげられるが、なかでも有機ベ
ントナイトを用いることが好ましい。上記チクソ性賦与
剤の配合量としては、樹脂成分100部に対して2〜2
0部に設定するのが好ましい。このように、チクソ性賦
与剤を配合することにより液状熱硬化性樹脂組成物にチ
クソ性が賦与され、例えば補強部分が加熱硬化時に垂直
状態であったり、場合によっては天井面に液状樹脂組成
物が塗布されていたりする場合には、液状熱硬化性樹脂
組成物の液垂れ、補強基材のずれ防止とともに硬化する
までの間、補強基材を保持する力が付与されることとな
る。そして、上記有機ベントナイトを用いると、液状熱
硬化性樹脂組成物の発泡状態が極めて良好となり、また
優れたチクソ性を賦与して樹脂の硬化時、補強基材のず
れや脱落の発生が確実に防止されるようになり、最も好
ましい。
【0022】上記液状熱硬化性樹脂組成物には、上記成
分以外に、特に加熱により分解発泡する発泡剤を用いる
ことが好ましい。
【0023】上記発泡剤としては、アゾジカルボンアミ
ド,アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物、ジ
ニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合
物、パラトルエンスルホニルヒドラジド、4,4′−オ
キシベンゼンスルホニルヒドラジド等のヒドラジド系化
合物等が用いられる。これらは単独でもしくは2種以上
併せて用いることができる。そして、このような発泡剤
の分解温度としては、得られた薄板部材補強用の補強基
材の保存性や安定性を考慮すると100℃以上が好まし
い。
【0024】さらに、上記発泡剤とともに必要に応じて
発泡助剤を併用してもよい。上記発泡助剤としては、亜
鉛華の無機物、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸および尿
素化合物等があげられる。
【0025】上記発泡剤の配合量は、樹脂成分100部
に対して0.5〜10部に設定することが好ましい。す
なわち、発泡剤の配合量が、0.5部未満では発泡によ
る補強性の効果が少なく、また10部を超えると樹脂組
成物が発泡過剰となり、かえって補強性が低下してしま
う傾向がみられるからである。
【0026】また、上記発泡助剤の配合量は、樹脂成分
100部に対して0.2〜7部に設定することが好まし
い。すなわち、発泡助剤の配合量が、0.2部未満では
その発泡効果が乏しく、逆に7部を超えると上記発泡剤
と同様かえって補強性が低下してしまう傾向がみられる
からである。
【0027】さらに、上記液状熱硬化性樹脂組成物が加
熱硬化後、樹脂発泡による樹脂強度の低下を抑制する目
的で、ガラス等の無機質短繊維、ビニロン,ナイロン等
の有機質短繊維、銀,ステンレス等の金属短繊維等の短
繊維を用いてもよい。
【0028】このように、上記発泡剤を配合することに
より、樹脂組成物の発泡硬化後、その厚みが増大し、補
強特性が向上するとともに、弾性率の低下による収縮応
力が低減するという効果が生じる。すなわち、被着体で
ある薄板部材に補強基材を貼付して先に塗布した熱硬化
性樹脂組成物を硬化し補強する場合、上記補強基材の収
縮応力により、薄板部材に歪みが生じることがある。し
かし、上記のように熱硬化性樹脂組成物が発泡硬化する
と、発泡しない場合に比較して弾性率が低下し、その結
果、収縮応力が低減され、被着体である薄板部材に歪み
が生じないという好結果が付与されることとなる。
【0029】この発明に用いられる液状樹脂組成物、例
えば液状熱硬化性樹脂組成物は、上記各成分を配合し、
攪拌混合することにより得られる。このようにして得ら
れる液状熱硬化性樹脂組成物は、樹脂保持力が0.2〜
3.0g/cm2 となるよう設定する必要がある。すな
わち、樹脂保持力が0.2g/cm2 未満では、補強対
象物である薄板部材に液状熱硬化性樹脂組成物を塗布し
た場合、液状熱硬化性樹脂組成物が流れ落ちてしまい、
逆に3.0g/cm2 を超えると被着体への塗布が困難
で、塗布時に、いわゆる「す」や樹脂欠落部等の塗装欠
点が生じるからである。
【0030】なお、この発明における「樹脂保持力」
は、つぎのようにして測定し決定される。すなわち、図
1および図2に示すように、100mm×100mmの
鋼板1表面の略中央部に、上記液状樹脂組成物を任意の
厚みで30mm×30mm(=9cm2 )に塗布し樹脂
層2を形成する。ついで、この樹脂層2の片面に同形状
の補強基材(ガラスクロス)3(重量:0.198g)
を貼着する。つぎに、図3に示すように、補強基材3を
下方に向けた状態で鋼板1の端部を、支持棒5に取り付
けられたクランプ4で挟持し、この逆さ状態のまま18
0℃のオーブン中で加熱硬化する。上記の工程を、樹脂
層2の厚み0.5〜10mm(=0.05〜1cm)間
において、樹脂層2の厚みの薄い方(0.5mm)から
厚みの厚い方に順に、0.5mm(=0.05cm)間
隔で行い(例えば0.5mm,1.0mm,1.5m
m,・・・,10mm)、補強基材3が脱落する樹脂層
2の厚み(塗布時の厚み)(A)を測定し記録する。そ
して、上記補強基材3が脱落した時の樹脂層2の厚み
(A)より0.5mm(=0.05cm)薄い樹脂層2
の厚み(塗布時の厚み)をもって、これからこの厚みの
もっている液状樹脂組成物の総重量を求める。この値を
用い下記の式から算出される値をこの液状樹脂組成物の
有する樹脂保持力(g/cm2 )とする。
【0031】
【数1】
【0032】上記液状樹脂組成物の塗布面に貼付される
補強基材としては、エアーによる吸引保持の可能な材
質、すなわち自動化での取り扱いが可能な、適当な剛直
性を有するものが好ましい。例えば、アルミニウム薄
板,ステンレス薄板等の金属薄板、樹脂等で目止め処理
されたガラスクロスのような織布または不織布、有機質
フィルムと織布,有機フィルムと不織布等との積層品等
があげられる。そして、このような補強基材としては、
厚み50〜500μm程度のものを用いるのが好まし
い。
【0033】この発明の薄板部材の補強方法は、例えば
つぎのようにして行われる。すなわち、液状樹脂組成物
として液状熱硬化性樹脂組成物を用いる場合、まず前記
のように各成分を配合し攪拌混合することにより液状熱
硬化性樹脂組成物を作製する。そして、補強対象物であ
る薄板部材に上記液状熱硬化性樹脂組成物を、常法によ
り吐出ガン等のアプリケーターを用い帯状に補強基材の
所定の範囲に塗布する。このとき、上記液状熱硬化性樹
脂組成物は、吐出塗布が容易になるよう加温処理しても
よい。加温温度は、通常、30〜50℃に設定するのが
好ましく、上記温度以上加温すると塗布するまでに液状
熱硬化性樹脂組成物が加温用タンク内で反応する場合が
ある。ついで、塗布面に、塗布形状と略同形状に切断処
理した補強基材を載置し軽く圧着貼付して積層する。貼
付後、前処理を経て塗装焼付工程の熱源で加熱して上記
液状熱硬化性樹脂組成物を硬化するという一連の工程を
経由することにより薄板部材の補強が施される。
【0034】上記液状熱硬化性樹脂組成物の薄板部材に
対する塗布厚みは、所望の補強度合い等により考慮され
るが、厚み0.3〜2.0mm(=0.03〜0.2c
m)に設定するのが好ましい。
【0035】また、上記液状熱硬化性樹脂組成物中に発
泡剤を配合する場合は、加熱硬化後、発泡倍率が1.2
〜2.5倍となるよう設定することが好ましい。
【0036】さらに、上記液状熱硬化性樹脂組成物の加
熱硬化後の弾性率が、鋼板の歪み性,耐衝撃性の向上と
いう観点から2.0×1010dyne/cm2 となるよ
う設定されるのが好ましい。
【0037】上記補強基材の載置方法において、例えば
エアー等の吸引により補強基材を吸引した治具を、液状
樹脂組成物の塗布面上に移動させ、載置し圧着貼付する
ことにより自動化が図れる。このような載置方法による
補強方法では、製造ラインでの自動塗布および貼付が可
能となる。
【0038】
【発明の効果】以上のように、この発明の薄板部材の補
強方法は、所定の樹脂保持力を有する液状樹脂組成物を
薄板部材に塗布した後、上記液状樹脂組成物自体の有す
る粘着性を利用して補強基材を塗布面に貼付・積層す
る。つぎに、上記液状樹脂組成物を硬化させて樹脂層を
形成して薄板部材と補強基材とを上記樹脂層を介して接
着し固定するものである。このため、液状樹脂組成物の
塗布,補強基材の積層および液状樹脂組成物の硬化と一
連の工程の自動化が実現する。また、薄板部材に対して
液状樹脂組成物および補強基材を接着不良を生じること
なく貼付することができ、その結果、腐蝕等が生じな
い。さらに、樹脂のチクソ性および補強基材による樹脂
層表面のカバーにより脱脂処理および化成処理等の前処
理工程を経る場合に、塗布した液状樹脂組成物が液だれ
することなく、また所定の樹脂保持力を有するために貼
付した補強基材がずれたりすることがない。したがっ
て、この発明の薄板部材の補強方法によれば、耐衝撃性
および制振性に優れた補強を施すことができる。
【0039】つぎに、実施例について比較例と併せて説
明する。
【0040】
【実施例1】まず、可撓性エポキシ樹脂(エピコート#
871,油化シェル社製)70部、ビスフェノールA型
エポキシ樹脂(エピコート#1001,油化シェル社
製)20部および液状イソプレンゴム10部を混合釜に
入れ溶解混合して得られた樹脂組成物100部に、タル
ク80部およびチクソ性賦与剤である有機ベントナイト
12部、ヒドラジド系発泡剤5部、ジシアンジアミド5
部およびイミダゾール系硬化剤0.5部を入れ、さらに
攪拌混合することにより薄板部材の塗布用の液状熱硬化
性樹脂組成物を作製した。得られた液状熱硬化性樹脂組
成物の樹脂保持力を前記の方法により求めた。なお、液
状熱硬化性樹脂組成物の密度は1.4g/cm3 であ
る。その結果、樹脂保持力は0.8g/cm2 であっ
た。
【0041】
【実施例2〜7】下記の表1に示す各成分を同表に示す
配合割合で配合した。それ以外は、実施例1と同様に示
す液状熱硬化性樹脂組成物を作製した。得られた液状熱
硬化性樹脂組成物の樹脂保持力を同表に併せて示した。
【0042】
【表1】
【0043】
【比較例1,2】下記の表2に示す各成分を同表に示す
配合割合で配合した。それ以外は、実施例1と同様に示
す液状熱硬化性樹脂組成物を作製した。得られた液状熱
硬化性樹脂組成物の樹脂保持力を同表に併せて示した。
【0044】
【表2】
【0045】〔鋼板の歪み試験〕このようして作製した
実施例および比較例の液状熱硬化性樹脂組成物を、厚み
0.8mmの200×300mmの大きさの鋼板表面
に、常法により吐出ガンを利用して、幅50mmの帯状
に塗布した。塗布後、後記の表3および表4に示す補強
基材(大きさ:50×100mm)を軽く圧着貼付し
た。そして、貼付した後、温度180℃の雰囲気下で3
0分間加熱し熱硬化性樹脂組成物を硬化させた。つい
で、これを室温まで冷却し、試験鋼板の塗布面を目視
し、鋼板に歪みが発生していないかを下記の3段階に評
価した。
【0046】 ○…歪み無し。 △…わずかな歪みが認められる。 ×…歪みが認められる。
【0047】〔曲げ強度試験〕上記のようにして作製し
た実施例および比較例の液状熱硬化性樹脂組成物を、厚
み0.8mmの80×150mmの大きさの鋼板表面
に、常法により吐出ガンを利用して、幅50mmの帯状
に塗布した。塗布後、後記の表3および表4に示す補強
基材(大きさ:50×150mm)を軽く圧着貼付し
た。そして、貼付した後、温度180℃の雰囲気下で3
0分間加熱し熱硬化性樹脂組成物を硬化させた。つい
で、これを室温まで冷却して試験片を作製した。そし
て、先端間の距離100mmで平行に配置させた、先端
が曲率半径5mmの逆U字型断面を呈する2枚の垂直平
板(幅50mm)を有する支持台上で、上記幅80mm
の試験片を水平に支持した。つぎに、その中央部に上部
から曲率半径10mmのU字型断面を呈する垂直平板
(幅50mm)で荷重を加えたときの最大曲げ応力(k
g/80mm幅)を測定した。
【0048】〔ずれ試験〕上記のようにして作製した実
施例および比較例の液状熱硬化性樹脂組成物を、厚み
0.8mmの80×250mmの大きさの鋼板表面に、
常法により吐出ガンを利用して塗布した。塗布後、後記
の表3および表4に示す補強基材(大きさ:50×15
0mm)を軽く圧着貼付した。貼付した後、前処理液に
浸漬処理後、上記補強基材の貼付された鋼板を垂直に立
てた状態で温度180℃の雰囲気下で30分間加熱し熱
硬化性樹脂組成物を硬化させた。このときの補強基材と
鋼板との間で加熱硬化時に生じたずれの長さを測定し
た。この測定値に基づき下記に示す3段階で評価した。
【0049】 ○…ずれの長さが0〜3mm。 △…ずれの長さが3〜10mm。 ×…ずれの長さが10mm以上。
【0050】〔錆試験〕上記のようにして作製した実施
例および比較例の液状熱硬化性樹脂組成物を、厚み0.
8mmの80×250mmの大きさの鋼板表面に、常法
により吐出ガンを利用して塗布した。塗布後、後記の表
3および表4に示す補強基材(大きさ:50×150m
m)を軽く圧着貼付した。貼付した後、上記補強基材の
貼付された鋼板を電着塗装後、焼付硬化して試験片を作
製した。そして、上記試験片を複合腐蝕試験にかけた
後、目視により外観を下記のように3段階で評価した。
なお、上記複合腐蝕試験は、塩水噴霧〜熱風乾燥〜塩水
浸漬〜常温乾燥を1サイクルとして30サイクル行っ
た。
【0051】 ○…錆発生無し。 △…周辺部に僅かに錆が発生。 ×…錆が発生。
【0052】また、上記薄板部材の補強方法において、
自動塗布および貼付作業性が良好か否かを評価した。さ
らに、実施例および比較例の液状熱硬化性樹脂組成物の
硬化体の弾性率を測定した。そして、液状熱硬化性樹脂
組成物の発泡倍率を測定した。これらを後記の表3およ
び表4に併せて示した。
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】上記表3および表4の結果から、実施例品
は、曲げ強度が高く、鋼板の歪み試験,ずれ試験および
錆試験のいずれも良好な結果が得られた。また、弾性率
も比較例に比べて低いことから収縮応力が低減している
ことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】樹脂保持力の測定方法を示す説明図である。
【図2】上記図1のA−A′断面図である。
【図3】樹脂保持力の測定方法を示す説明図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年11月30日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正内容】
【0036】さらに、上記液状熱硬化性樹脂組成物の加
熱硬化後の弾性率が、鋼板の歪み性,耐衝撃性の向上と
いう観点から2.0×1010dyne/cm2 以下とな
るよう設定されるのが好ましい。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正内容】
【0054】上記表3および表4の結果から、実施例品
は、曲げ強度が高く、鋼板の歪み試験,ずれ試験および
錆試験のいずれも良好な結果が得られた。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 0.2〜3.0g/cm2 の樹脂保持力
    を有する液状樹脂組成物を薄板部材に塗布した後、上記
    塗布面と略同形状の補強基材を上記液状樹脂組成物自体
    の有する粘着性を利用して塗布面上に積層し、上記液状
    樹脂組成物を硬化させて樹脂層を形成し、上記樹脂層を
    介して補強基材を接着し固定することを特徴とする薄板
    部材の補強方法。
  2. 【請求項2】 液状樹脂組成物が加熱発泡性を有し、か
    つ発泡倍率が1.2倍以上である請求項1記載の薄板部
    材の補強方法。
  3. 【請求項3】 液状樹脂組成物の硬化により形成された
    樹脂層が、弾性率2.0×1010dyne/cm2 以下
    に設定されている請求項1または2記載の薄板部材の補
    強方法。
JP5238465A 1992-09-25 1993-09-24 薄板部材の補強方法 Pending JPH06198797A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009090522A (ja) * 2007-10-05 2009-04-30 Kobe Steel Ltd 複合板および複合成形体

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JP2009090522A (ja) * 2007-10-05 2009-04-30 Kobe Steel Ltd 複合板および複合成形体

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