JP2016196142A - 成形体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】プリプレグのマトリックス樹脂である熱可塑性樹脂の優れた点を生かし、成形品の力学的特性や流動性を十分に発揮できる成形体が求められていた。
【解決手段】2種以上の繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグを積層してなり、当該繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグの種類の違いが、繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグを構成するマトリクス樹脂の構造の違いである成形体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、熱可塑性プリプレグの積層体に関する。2種以上の繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグを積層してなり、当該繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグの種類の違いが、繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグを構成するマトリクス樹脂の構造の違いであることを特徴とする成形体に関するものである。
近年、強化繊維材料である炭素繊維は、各種のマトリックス樹脂と複合化され、得られる繊維強化プラスチックは種々の分野・用途に広く利用されるようになってきた。そして、高度の機械的特性や耐熱性等を要求される航空・宇宙分野や、一般産業分野では、従来、マトリックス樹脂として、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂が使用されてきた。しかし、特に航空・宇宙分野では、これらのマトリックス樹脂は、脆く、耐衝撃性に劣るという欠点を有するため、その改善が求められてきた。また、熱硬化性樹脂の場合、これをプリプレグとしたとき、樹脂のライフタイムが短いために保存管理上に問題があること、製品形状に対して追従性が乏しいこと、成形時間が長く生産性が低いこと等の問題もあった。これに対して、熱可塑性樹脂プリプレグの場合は、複合材料としたときの耐衝撃性が優れ、プリプレグの保存管理が容易で、かつ成形時間が短く、成形コスト低減の可能性もある。
しかしながら、熱可塑性樹脂の中には、ナイロン6やナイロン66などのポリアミド系樹脂は優れた耐化学薬品性、機械的強度、耐熱性、耐摩耗性、成形性を有しているが、欠点として吸湿性、耐衝撃性は今一歩で、これらを改良するためポリオレフィンやABSや各種エラストマーをポリマーアロイした材料である、いわゆるポリアミド系ポリマーアロイ樹脂が開発されてきた。ポリアミド系ポリマーアロイ樹脂は優れた性能を有するポリアミド樹脂の吸湿性、耐衝撃性を改良した材料として、自動車内装・外装部品を始めとして電気、電子、OA、精密機械、スポーツ用品等あらゆる分野に広く使用されるようになってきた。このようにポリアミド樹脂にポリオレフィン、エラストマーをポリマーブレンドすることにより機能性が向上したポリアミド系ポリマーアロイ樹脂を得ることができるようになった(特許文献1、2参照)。
しかしながら、成形材料を製造する過程で、熱可塑性樹脂を連続した強化繊維束に熱をかけ含浸させる時にポリマーアロイ樹脂の相容化状態を保持することは難しく、ポリマーアロイ樹脂含浸した成形品は、ポリアミド系樹脂の優れた耐化学薬品性、機械的強度、耐熱性、耐摩耗性、成形性の点で、単独に使用したものより劣ってしまうといった問題があった。このように、含浸、成形後に熱可塑性樹脂の優れた点をもたせるポリマーアロイや成形体は見出されていないのが現状である。
特開平9−157519号公報 特開2010−168559号公報
本発明は、プリプレグのマトリックス樹脂である熱可塑性樹脂の優れた点を生かし、成形品の力学的特性や流動性を十分に発揮できる成形体を提供することを課題とするものである。
本発明は、2種以上の繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグを積層してなり、当該繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグの種類の違いが、繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグを構成するマトリクス樹脂の構造の違いであることを特徴とする成形体である。即ち、本発明の要旨は、以下の(1)〜(6)に存する。
(1) 2種以上の繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグを積層してなり、当該繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグの種類の違いが、繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグを構成するマトリクス樹脂の構造の違いである成形体。
(2) 各繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグを構成するマトリクス樹脂の内、最も融点が高い樹脂(A)の融点Tmと、最も融点が低い樹脂(B)の分解温度Tpとが、以下の式を満たす、上記(1)に記載の成形体。
Tm<Tp
<Tpの測定条件>
測定サンプルは、事前に120℃で5時間以上、−0.1MPaにて真空乾燥を行う。
TGA(熱量分析)にてAir雰囲気下にて、パージAir流量を60ml/minに固定しサンプルの量15mgを毎分20℃で昇温し、重量減少率が15%を超えた温度を分解温度と規定する。
(3) 各繊維強化熱可塑性プリプレグは、強化繊維が一方向に配向しており、強化繊維1.0〜79.9質量%、サイズ剤0.01〜10.0質量%、マトリックス樹脂の熱可塑性樹脂20.0〜98.9%の組成である上記(1)または(2)に記載の成形体。
(4) 繊維強化熱可塑性プリプレグを構成する強化繊維が、炭素繊維である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の成形体。
(5) 2種以上の繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグを積層した成形体であって、成形体の2つの最外層が同一の繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグである上記(1)〜(4)のいずれかに記載の成形体。
(6) 以下の[1]〜[3]の工程を有する熱可塑性成型体の製造方法。
[1]予熱工程:2種以上の繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグを積層した積層体を、各繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグを構成するマトリクス樹脂の内、最も融点が高い樹脂(A)の融点−5℃から+40℃の温度で加熱して、150〜300℃とする工程
[2]加熱加圧工程:150〜300℃で、成型圧力(成型体面圧)0.1MPa以上10MPa以下の圧力を熱可塑性プリプレグに加える工程、
[3]冷却加圧工程:10〜80℃で、成型圧力(成型体面圧)0.1MPa以上10MPa以下の圧力を熱可塑性プリプレグに加える工程
本発明によれば、特定の環境下(例えば、高温下や吸水下)での曲げ強度の低下を軽減し力学特性や優れた成形品を製造するための繊維強化熱可塑性樹脂組成物を得ることができるので、この熱可塑性樹脂組成物を用いた成形品は、電気・電子機器、OA機器、家電機器または自動車の部品、内部部材および筐体などに好適に用いることができる。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の成形体は、2種以上の繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグを積層してなり、当該繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグの種類の違いが、繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグを構成するマトリクス樹脂の構造の違いである成形体。
本発明における熱可塑性樹脂プリプレグをの基本構成は、例えば、炭素繊維を1〜79.9質量%と、サイズ剤を0.01〜10質量%と、熱可塑性樹脂を20〜98.9質量%である。本発明における成形体は、2種以上の繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグを積層してなる。
(炭素繊維)
本発明におけるプリプレグに用いることができる炭素繊維は、平均単繊維繊度としては0.5〜5.0dtxであるものが好ましい。より好ましくは0.65〜2.5dtxである。また、炭素繊維束を構成するフィラメント数は3000〜100000本が好ましい。さらに好ましくは10000〜70000本である。
炭素繊維表面状態については、電気化学的測定法(サイクリック・ボルタ・メトリー)により求められるipa値が0.05〜0.45μA/cmであることが好ましい。このipa値は、炭素繊維の酸素含有官能基数量と電気二重層形成に関与する表面凹凸度と微細構造の影響を受ける。特に表層のエッチングを大きく受けた炭素繊維やアニオンイオンが黒鉛結晶に層間に入り込んだ層間化合物を形成している場合、大きな値となる。優れた機械的性能を発現する複合材料において、炭素繊維と樹脂との界面は重要であり、特に適当な酸素含有官能基の存在と、小さな電気二重層を形成するような表面を有する炭素繊維が最適な界面を形成することがわかった。
ipa値が低すぎると、基本的に酸素含有官能基の数量は少なく、十分な界面接着性を有しないものとなる。一方、ipa値が高すぎると、表面のエッチングが過剰に生じているか、あるいは層間化合物が形成されている。このような表面は、表面脆弱層に移行し易く、その結果樹脂との十分な界面接着性を有するものとすることができない。より好ましくは、0.07〜0.36μA/cmである。
さらに、本発明においては、X線光電子分光法により求められる炭素繊維表面の酸素含有官能基量(O1S/C1S)が0.05〜0.16の範囲にある炭素繊維であることが望ましい。このような炭素繊維を用いることにより、炭素繊維とマトリックス樹脂との適度な界面接着性を確保できる。
本発明のプリプレグに用いることができる炭素繊維は、撚の有無は問わず、引き揃えに際しては、できるだけ開繊させることが好ましい。
(サイズ剤)
本発明においてプリプレグに用いることができる炭素繊維の表面に付与させるサイズ剤としては、特に規定はなく使用するマトリックス樹脂との親和性または接着性が良く、水分散性または水溶解性の樹脂であることが好ましく、水系樹脂のpHが5.0から9.0の範囲にあることが好ましい。
サイズ剤の付着量は特に限定しないが、炭素繊維のみの質量に対して、0.01〜10重量%が好ましく、0.05〜5重量%がより好ましく、0.1〜2重量%がさらに好ましい。サイズ剤の付着量を0.01重量%以上とすることにより接着性をより向上させることができ、10重量%以下にすることにより熱可塑性樹脂の物性を効果的に発現することができる。
(熱可塑性樹脂)
本発明のプリプレグに用いることができる熱可塑性樹脂は、成形温度(溶融温度)が150〜450℃で成形できるものが好ましく、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアミドイミド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、ABS、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリエステルや、アクリロニトリルとスチレンの共重合体等を用いることができる。
その中でも、電気・電子機器や自動車の部品としての用途から、軽量、かつ、力学特性や成形性のバランスに優れるポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂がより好ましく、耐薬品性や吸湿性にも優れることから、ポリプロピレン樹脂がさらに好ましい。以下、好適な熱可塑性樹脂であるポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂について説明する。ここで言うポリプロピレン樹脂とは、無変性のものも、変性されたものも含まれる。無変性のポリプロピレン樹脂は、具体的には、プロピレンの単独重合体またはプロピレンと少なくとも1種のα−オレフィン、共役ジエン、非共役ジエンなどとの共重合体である。α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4ジメチル−1−ヘキセン、1−ノネン、1−オクテン、1−ヘプテン、1−ヘキセン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等のプロピレンを除く炭素数2〜12のα−オレフィンなどが挙げられる。共役ジエン、非共役ジエンとしては、例えば、ブタジエン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,5−ヘキサジエン等が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。無変性ポリプロピレン樹脂の骨格構造としては、プロピレンの単独重合体、プロピレンと前記その他の単量体のランダムあるいはブロック共重合体、またはプロピレンと他の熱可塑性単量体とのランダムあるいはブロック共重合体等を挙げることができる。例えば、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・1−ブテン共重合体などが好適なものとして挙げられる。プロピレンの単独重合体は成形品の剛性をより向上させる観点から好ましく、プロピレンと前記その他の単量体のランダムあるいはブロック共重合体は成形品の衝撃強度をより向上させる観点から好ましい。
また、変性ポリプロピレン樹脂としては、酸変性ポリプロピレン樹脂が好ましく、重合体鎖に結合したカルボン酸および/またはその塩の基を有するポリプロピレン樹脂がより好ましい。上記酸変性ポリプロピレン樹脂は種々の方法で得ることができ、例えば、ポリプロピレン樹脂に、中和されているか、中和されていないカルボン酸基を有する単量体、および/または、ケン化されているか、ケン化されていないカルボン酸エステルを有する単量体を、グラフト重合することにより得ることができる。
ここで、中和されているか、中和されていないカルボン酸基を有する単量体、および、ケン化されているか、ケン化されていないカルボン酸エステル基を有する単量体としては、例えば、エチレン系不飽和カルボン酸、その無水物、これらのエステル化物などが挙げられる。さらに、オレフィン以外の不飽和ビニル基を有する化合物なども挙げられる。エチレン系不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマール酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸などが例示され、その無水物としては、ナジック酸TM(エンドシス−ビシクロ[2,2,1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸)、無水マレイン酸、無水シトラコン酸などが例示できる。
エチレン系不飽和カルボン酸のエステル化物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウロイル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(タ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジヒドロキシエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート類などが挙げられる。
オレフィン以外の不飽和ビニル基を有する単量体としては、ビニルイソシアナート、イソプロペニルイソシアナート等のイソシアナート基含有ビニル類、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン等の芳香族ビニル類、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、マレイン酸アミド等のアミド基含有ビニル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ソーダ、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等の不飽和スルホン酸類、モノ(2−メタクリロイロキシエチル)アシッドホスフェート、モノ(2−アクリロイロキシエチル)アシッドホスフェート等の不飽和リン酸類等が挙げられる。
また、ポリアミドとしては、ポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ナイロン69)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ナイロン9T、ナイロンMXD6、ナイロン6/66コポリマー、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンセバカミドコポリマー(ナイロン6/610コポリマー)、ナイロン6/6Tコポリマー、ナイロン6/66/610コポリマー、ナイロン6/12コポリマー、ナイロン6T/12コポリマー、ナイロン6T/66コポリマー、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6/6Iコポリマー)、ナイロン66/6I/6コポリマー、ナイロン6T/6Iコポリマー、ナイロン6T/6I/66コポリマー、ナイロン6/66/610/12コポリマー、ナイロン6T/M−5Tコポリマーなどが挙げられる。含浸性の観点から融点が250℃以下であるナイロン6、ナイロン12、ナイロン610、ナイロンMXD6が好ましい。
ポリカーボネート樹脂は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られるものである。2種以上の二価フェノールまたは2種以上のカーボネート前駆体を用いて得られる共重合体であってもよい。反応方法の一例として、界面重合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法、および環状カーボネート化合物の開環重合法などを挙げることができる。かかるポリカーボネート樹脂はそれ自体公知であり、例えば、特開2002−129027号公報に記載のポリカーボネート樹脂を使用できる。
二価フェノールとしては、例えば、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン(ビスフェノールAなど)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、ビスフェノールAが好ましく、耐衝撃特性により優れたポリカーボネート樹脂を得ることができる。一方、ビスフェノールAと他の二価フェノールを用いて得られる共重合体は、高耐熱性または低吸水率の点で優れている。
カーボネート前駆体としては、例えば、カルボニルハライド、炭酸ジエステルまたはハロホルメートなどが使用され、具体的には、ホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメートなどが挙げられる。
上記二価フェノールとカーボネート前駆体からポリカーボネート樹脂を製造するにあたっては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化を防止する酸化防止剤などを使用してもよい。
また、本発明におけるポリカーボネート樹脂には、三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂、芳香族または脂肪族(脂環族を含む)の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂、二官能性アルコール(脂環族を含む)を共重合した共重合ポリカーボネート樹脂、並びにかかる二官能性カルボン酸および二官能性アルコールを共に共重合したポリエステルカーボネート樹脂を含む。これらのポリカーボネート樹脂も公知である。
これらの熱可塑性樹脂には、通常用いられる難燃剤、耐候性改良剤、その他酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、相溶化剤、充填剤、導電性フィラー、カーボンブラック等を適宜添加してもよい。
(プリプレグ)
本発明におけるプリプレグの製造方法は、特に限定されず従来公知の方法をとることができ、例えば、直接溶融した熱可塑性樹脂を複数の炭素繊維をシート状に並べたものに含浸する方法、複数の炭素繊維をシート状に並べたものの片面もしくは両面にフィルム状の熱可塑性樹脂を積層させ、フィルム状の熱可塑性樹脂を溶融して、含浸させる方法、粉体状の熱可塑性樹脂を溶融して、含浸させる方法などがあるが、含浸性や開繊自由度の観点や、得られるプリプレグの外観品位の観点から、複数の炭素繊維をシート状に並べたものの片面もしくは両面にフィルム状の熱可塑性樹脂を積層させて、フィルム状の熱可塑性樹脂を溶融して含浸させる方法が好ましい。特に、得られる熱可塑性プリプレグの反りの発生を防げる観点から、炭素繊維ストランドの両面からフィルム状の熱可塑性樹脂を積層させ、ロール温度150〜400℃、ロール圧力1.0〜100.0MPaの条件下で溶融含浸させる方法が特に好ましい。
(成形体)
本発明の成形体は、前記炭素繊維プリプレグを加熱もしくは加圧加熱後、加圧冷却することによって得られる。本発明における炭素繊維強化複合材料は公知の手法で製造することができる。例として、プレス成形やオートクレーブ成形が上げられる。成形体の積層方法としては、熱可塑性樹脂プリプレグ1種類を構造の異なる熱可塑性樹脂を使用したプリプレグで挟みこむように積層することに限らず、交互に積層する、またはランダムに積層することもできる。また2種類のプリプレグに限らず、3種類以上を使用することもできる。積層方法としては成形体が、目的とした機械的物性や流動性を発現させることができるように積層することが好ましい。例えば、吸水により物性低下が懸念される樹脂Ny6は、吸水を防ぐために低吸水性の樹脂PPやMXD6のプリプレグを外層に使用すると、成形体の吸水率を下げられ物性の低下が軽減できる。
また本発明のプリプレグを積層した成形体としては、強化繊維が一方向に配向したプリプレグを一方向に積層したもの、疑似等方に積層したもの、または直交積層したものであっても良いが、特に積層方法にこだわるものはない。また前記プリプレグには、強化繊維を横切る方向に強化繊維を切断する深さの切込を有しても良い。切込の際に生じる強化繊維の平均繊維長は、短いほどスタンピング成形性に優れ、長いほど機械物性に優れるが、一般には両者のバランスを鑑み10mm以上100mm以下が好ましい。さらには積層したプリプレグ間の全部もしくは一部には熱可塑性樹脂層を含んでいても良い。前記プリプレグ中の強化繊維の体積含有率は、小さいほどスタンピング成形性に優れ、大きいほど機械物性に優れるが、一般には両者のバランスを鑑みて20%以上60%以下が好ましい。
チョップしたプリプレグをランダムに分散させたものでは、強化繊維が一方向に配向したプリプレグを矩形状にカットしたチョップドプリプレグをランダム状に分散させたものである。カットの際に生じる矩形の大きさには特に制限はないが、平均繊維長が10mm以上100mm以下にカットすることが、スタンピング成形性と機械物性に優れるために好ましい。またランダム状に分散させるためには矩形形状は小さい方が好ましく、一辺の長さが5mmから50mmが好ましい。前記プリプレグ中の強化繊維の体積含有率は、小さいほどスタンピング成形性に優れ、大きいほど機械物性に優れるが、一般には両者のバランスを鑑みて20%以上60%以下が好ましい。
繊維束もしくは単繊維を熱可塑性樹脂中に分散させたものでは、繊維長には特に制限はないが、この流動性と機械物性をバランス1mmから20mmが好ましい。強化繊維の体積含有率は、小さいほどスタンピング成形性に優れ、大きいほど機械物性に優れるが、一般には両者のバランスを鑑みて10%以上30%以下が好ましい。
(樹脂の融点Tmと分解温度Tp)
本発明においては、各繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグを構成するマトリクス樹脂の内、最も融点が高い樹脂(A)の融点Tmと、最も融点が低い樹脂(B)の分解温度Tpとが、以下の式を満たすことが好ましい。
Tm<Tp
<Tpの測定条件>
測定サンプルは、事前に120℃で5時間以上、−0.1MPaにて真空乾燥を行う。
TGA(熱量分析)にてAir雰囲気下にて、パージAir流量を60ml/minに固定しサンプルの量15mgを毎分20℃で昇温し、重量減少率が15%を超えた温度を分解温度と規定する。
樹脂の融点Tmは示差走査熱量測定にて以下の方法で測定することができる。測定サンプルは、残留モノマーや残留溶剤、開始剤の分解物といった残留物や水分を3%未満である必要があり、不純物は120℃で5時間以上、−0.1MPaにて真空乾燥を行うことで除去する。成形性の観点より、最もTmの高い樹脂Tmは最もTmの低い樹脂Tp未満である必要がある。また最もTmの高い樹脂と最もTmの低い樹脂のTmの差は、100℃以下であることが好ましく、60℃以下がより好ましい。
(積層樹脂の特徴)
本発明のプリプレグの積層方法は、特定の環境下にて樹脂の優れた点を引き出す積層方法をするので、樹脂の機能性により積層に使用する樹脂は異なる。例えば、高温下での物性発現のためには、外層に用いるプリプレグの樹脂のガラス転移点Tgが、高温下条件より−80℃以内であることが好ましく、−50℃以内であることがより好ましい。また、吸水下での物性の安定性を上げるためには、23℃で10日水中に入れていた時の樹脂吸水した樹脂の強度が、絶乾時の25%以上であることが好ましく、45%以上がより好ましい。
(製造方法)
強化繊維熱可塑性成形体の製造方法が、回分式工程である場合、用いる熱可塑性樹脂により各種温度は異なるが、成型機加熱部温度を最も融点の高い樹脂の融点Tm〜融点Tm+50℃の範囲内に昇温させておき、融点Tm−10℃〜融点Tm+30℃の範囲内になる程度まで予熱を行う。その後、加熱加圧工程として、成型機加熱部温度を保持したまま熱可塑性プリプレグを1分〜10分加圧を行い、その後、冷却加圧工程として、熱可塑性プリプレグを成型機冷却部に移し加圧を行い、強化繊維熱可塑性成型板を得る方法などがある。
一方連続式工程である場合、強化繊維熱可塑性プリプレグを積層させた積層物積層体をスチールベルトに乗せ、用いる熱可塑性樹脂により温度は異なるが、最も融点の高い樹脂の融点−10℃〜融点+30℃まで予熱を行った後、予め融点Tm〜融点Tm+50℃まで昇温させておいた熱ロール間を通すことによって加熱・加圧し、その後冷却加圧させることで熱可塑性成型板を得る方法がある。
その他、例えば、加熱加圧・冷却加圧をベルトプレスで行ったり、予熱を遠赤外線ヒータ方式や電磁誘導方式やジュール加熱方式によって行うなど、適宜材料によって工程を選択することができる。
本発明の繊維強化熱可塑性成形体の製造方法の加熱加圧工程での加圧圧力は、得られる熱可塑性成型体の加熱面辺りの圧力が、0.1MPa以上10MPaであとする必要がある。圧力が小さすぎると熱可塑性プリプレグ内の未含浸部分の空気を系外に完全に追い出すことが困難となるため、そのような成型条件で得られた熱可塑性成型板の機械物性が低下するため好ましくない。一方、圧力が高すぎると加熱加圧工程中に生じる熱可塑性樹脂の流動が増加してしまい、仕込みに対して得られる熱可塑性成型板の繊維体積含有率などがずれてしまうため好ましくない。より好ましい圧力の上限は8MPaである。
加熱加圧工程での加圧時間は、用いる成型型の材質やスケール大きさ等により異なるが、例えば、1分以上10分以下であることが好ましい。加圧時間が短すぎると、加熱加圧工程後の成型機加熱部温度と繊維強化熱可塑性プリプレグの積層体の温度との乖離が著しく、加熱不十分となる傾向にある。
本発明の熱可塑性成形体の製造方法の冷却加圧工程での加圧圧力は、得られる熱可塑性成型体の加熱面辺りの圧力が、0.1MPa以上10MPaである必要がある。圧力が小さすぎると、冷却時に生じる熱可塑性樹脂の熱収縮に追従することができず、系内に微小ボイドが新たに生成される傾向があり、そのような成型条件で得られた熱可塑性成型板は機械物性が低下する傾向にある。一方、圧力が大きすぎると加熱加圧工程中に生じるバリの量が増加してしまい、結果仕込みに対して得られる熱可塑性成型板の繊維体積含有率などがずれてしまう傾向にある。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
以降の実施例および比較例においては、原材料として下記のものを用いた。
(炭素繊維)
炭素繊維(三菱レイヨン株式会社製、製品名:TR50S15L、12000本、密度1.82g/cm
(原料樹脂)
樹脂−1: 変性ポリプロピレン(三菱化学株式会社製 モディックP958)
融点(Tm)165℃、分解温度(空気中)(Tp)290℃
樹脂−2: プロピレン単独重合体(日本ポリプロ株式会社製 ノバテックPP SA06A)
融点(Tm)160℃、分解温度(空気中)(Tp)325℃
樹脂−3: ナイロン6(宇部興産株式会社製 1013B)
融点(Tm)224℃、分解温度(空気中)(Tp)410℃
樹脂−4: MXD6(三菱ガス化学社製 S6007)
融点(Tm)243℃、分解温度(空気中)(Tp)395℃
(一方向プリプレグの製作)
<熱可塑性UDプリプレグ(A)>
炭素繊維TR50S 15L AD(三菱レイヨン株式会社製)からなる一方向に配向した目付100.0g/mの両面に樹脂−1からなる厚さ30μmのフィルムを積層させて積層体を得た。この積層体を180〜230℃に加熱して、熱可塑性樹脂フィルムを炭素繊維のシート状物に溶融含浸させ、熱可塑性UDプリプレグを得た。得られた熱可塑性プリプレグの厚みは114μm、目付けは100.0g/m、繊維堆積含有率は48.0%であった。
<熱可塑性UDプリプレグ(B)>
炭素繊維TR50S 15L GF(三菱レイヨン株式会社製)からなる一方向に配向した目付100.0g/mの両面に樹脂−3からなる厚さ30μmのフィルムを積層させて積層体を得た。この積層体を200〜260℃に加熱して、熱可塑性樹脂フィルムを炭素繊維のシート状物に溶融含浸させ、熱可塑性UDプリプレグを得た。得られた熱可塑性プリプレグの厚みは114μm、目付けは100.0g/m、繊維堆積含有率は48.0%であった。
<熱可塑性UDプリプレグ(C)>
炭素繊維TR50S 15L GF(三菱レイヨン株式会社製)からなる一方向に配向した目付100.0g/mの両面に樹脂−4からなる厚さ30μmのフィルムを積層させて積層体を得た。この積層体を200〜260℃に加熱して、熱可塑性樹脂フィルムを炭素繊維のシート状物に溶融含浸させ、熱可塑性UDプリプレグを得た。得られた熱可塑性プリプレグの厚みは114μm、目付けは100.0g/m、繊維堆積含有率は48.0%であった。
<熱可塑性UDプリプレグ(D)>
炭素繊維TR50S 15L GF(三菱レイヨン株式会社製)からなる一方向に配向した目付100.0g/mの両面に、樹脂−1、樹脂−2、樹脂−3を重量パーセント換算で40%、20%、40%で混錬して得た樹脂−5からなる厚さ40μmのフィルムを積層させて積層体を得た。なお、融点は成分のうち、一番小さい融点をもつ成分の融点を用いることとし、樹脂―5の融点は160℃であった。また分解温度は350℃であった。この積層体を180〜230℃に加熱して、熱可塑性樹脂フィルムを炭素繊維のシート状物に溶融含浸させ、熱可塑性UDプリプレグを得た。得られた熱可塑性プリプレグの厚みは159μm、目付けは145.0g/m、繊維堆積含有率は50.0%であった。
〔実施例1〕
(積層と成形)
前記熱可塑性UDプリプレグ(A)を、繊維軸方向が一致するようにして、12枚積層し、プリプレグ(B)各4枚で繊維軸方向が一致するようにして、挟みこみ、その積層体を成形型に入れた。さらに、予め加熱盤を250℃とした加熱冷却二段プレス機(神藤金属工業所社製、製品名:F−37)に投入し金型の内温が220℃になるまで予熱を行った。続いて、圧力0.3MPaで5分間加熱加圧プレスを行った後、圧力0.4MPaで冷却プレスを行い、成形板1を得た。得られた成形板1の繊維体積含有率Vf、厚み、機械物性は表1に示す。
〔実施例2〕
(積層と成形)
前記熱可塑性UDプリプレグ12枚を、繊維軸方向が一致するようにして、その積層体を成形型に入れた。さらに、予め加熱盤を265℃とした加熱冷却二段プレス機(神藤金属工業所社製、製品名:F−37)に投入し金型の内温が235℃になるまで予熱を行った。続いて、圧力0.3MPaで5分間加熱加圧プレスを行った後、圧力0.4MPaで冷却プレスを行い、成形板3を得た。得られた成形板1の繊維体積含有率Vf、厚み、機械物性は表1に示す。
〔実施例3〕
(積層と成形)
前記熱可塑性UDプリプレグ(B)を、繊維軸方向が一致するようにして、8枚積層し、プリプレグ(A)各6枚で繊維軸方向が一致するようにして、挟みこみ、その積層体を成形型に入れた。さらに、予め加熱盤を250℃とした加熱冷却二段プレス機(神藤金属工業所社製、製品名:F−37)に投入し金型の内温が220℃になるまで予熱を行った。続いて、圧力0.3MPaで5分間加熱加圧プレスを行った後、圧力0.4MPaで冷却プレスを行い、成形板2を得た。得られた成形板1の繊維体積含有率Vf、厚み、機械物性は表2に示す。
〔比較例1〕
(積層と成形)
前記熱可塑性UDプリプレグ(D)を、繊維軸方向が一致するようにして12枚積層した。その積層体をオートクレーブにて0.7MPa加圧下で毎分4℃ずつ加熱し、230℃にて15分間保持し常温まで冷却し、成形板4を得た。得られた成形板1の繊維体積含有率Vf、厚み、機械物性は表1、2に示す。
〔比較例2〕
(積層と成形)
前記熱可塑性UDプリプレグ(B)を、繊維軸方向が一致するようにして19枚積層した。その積層体をオートクレーブにて0.7MPa加圧下で毎分4℃ずつ加熱し、230℃にて15分間保持し常温まで冷却し、成形板4を得た。得られた成形板1の繊維体積含有率Vf、厚み、機械物性は表1、2に示す。
[評価方法]
(繊維体積含有率の測定)
曲げ試験用の試験片の密度をJIS K7112に準じた方法にて測定を行った。その後、炭素繊維及び樹脂フィルムの密度から繊維堆積含有率を算出した。
(0°曲げ試験)
得られた成形板を湿式ダイヤモンドカッターにより、長さ127.0mm(0°方向)×幅12.7mm(90°方向)の寸法に切断して試験片を作製した。得られた試験片にて、万能試験機(Instron社製、製品名:Instron5565)と解析ソフト(製品名:Bluehill)を用い、ASTM D790準拠(圧子R=5.0、L/D=40)で23℃と80℃下での3点曲げ試験を行い、強度を得た。さらに強度は繊維体積含有率が48.0%・厚みは2mm厚となるように補正・換算を行った。120℃で5時間真空乾燥機にて絶乾した。
(吸水サンプル作成方法)
0°曲げ試験に使用する長さ127.0mm(0°方向)×幅12.7mm(90°方向)の試験片を120℃で5時間真空乾燥機にて絶乾した後、23℃で24時間または10日間、水中に浸した。

低吸水性樹脂(A)のプリプレグを外層に用いた実施例1は、低吸水性樹脂(A)と樹脂(B)の混錬樹脂のプリプレグを用いた比較例1に比べ、絶乾時23℃条件下から吸水1日、10日になると、物性の保持率が高く物性が安定している。また同様低吸水性樹脂(C)のプリプレグを外層に用いた実施例2においても、比較例2と比べると同じ傾向が見られる。
力学物性の優れたプリプレグ(B)を外層に用いた実施例3は、力学物性の優れた樹脂(B)と樹脂(B)の混錬樹脂のプリプレグを用いた比較例1に比べ、絶乾時で物性が優れており、さらに80℃でも物性が高い値となる。

Claims (6)

  1. 2種以上の繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグを積層してなり、当該繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグの種類の違いが、繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグを構成するマトリクス樹脂の構造の違いである成形体。
  2. 各繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグを構成するマトリクス樹脂の内、最も融点が高い樹脂(A)の融点Tmと、最も融点が低い樹脂(B)の分解温度Tpとが、以下の式を満たす、請求項1に記載の成形体。
    Tm<Tp
    <Tpの測定条件>Tm<Tp
    測定サンプルは、事前に120℃で5時間以上、−0.1MPaにて真空乾燥を行う。
    TGA(熱量分析)にてAir雰囲気下にて、パージAir流量を60ml/minに固定しサンプルの量15mgを毎分20℃で昇温し、重量減少率が15%を超えた温度を分解温度と規定する。
  3. 各繊維強化熱可塑性プリプレグは、強化繊維が一方向に配向しており、強化繊維1.0〜79.9質量%、サイズ剤0.01〜10.0質量%、マトリックス樹脂の熱可塑性樹脂20.0〜98.9%の組成である請求項1または2に記載の成形体。
  4. 繊維強化熱可塑性プリプレグを構成する強化繊維が、炭素繊維である請求項1〜3のいずれかに記載の成形体。
  5. 2種以上の繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグを積層した成形体であって、成形体の2つの最外層が同一の繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグである請求項1〜4のいずれかに記載の成形体。
  6. 以下の(1)〜(3)の工程を有する熱可塑性成型体の製造方法。
    (1)予熱工程:2種以上の繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグを積層した積層体を、各繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグを構成するマトリクス樹脂の内、最も融点が高い樹脂(A)の融点−5℃から+40℃の温度で加熱して、150〜300℃とする工程
    (2)加熱加圧工程:150〜300℃で、成型圧力(成型体面圧)0.1MPa以上10MPa以下の圧力を熱可塑性プリプレグに加える工程、
    (3)冷却加圧工程:10〜80℃で、成型圧力(成型体面圧)0.1MPa以上10MPa以下の圧力を熱可塑性プリプレグに加える工程
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