JP2013117014A - 炭素繊維強化成形品の製造方法および炭素繊維強化成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】力学特性、電気絶縁性、電磁波遮蔽性に優れた炭素繊維強化成形品が得られる、炭素繊維強化成形品の製造方法を提供すること。
【解決手段】熱可塑性樹脂(A)と、該熱可塑性樹脂(A)とのSP値差が3.5以下であるサイジング剤(a)でサイジング処理されてなり、繊維長/繊維直径から算出されるアスペクト比が250〜10,000である炭素繊維(B)を含む成形材料を、金型温度が前記熱可塑性樹脂(A)の熱変形温度より5〜50℃高い条件で成形する、炭素繊維強化成形品の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】熱可塑性樹脂(A)と、該熱可塑性樹脂(A)とのSP値差が3.5以下であるサイジング剤(a)でサイジング処理されてなり、繊維長/繊維直径から算出されるアスペクト比が250〜10,000である炭素繊維(B)を含む成形材料を、金型温度が前記熱可塑性樹脂(A)の熱変形温度より5〜50℃高い条件で成形する、炭素繊維強化成形品の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、炭素繊維強化成形品の製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、軽量かつ、力学特性、電気絶縁性、電磁波遮蔽性に優れた炭素繊維強化成形品の製造方法、およびその製造方法により得られる炭素繊維強化成形品に関する。
強化繊維と熱可塑性樹脂からなる成形品は、軽量で優れた力学特性を有するために、スポーツ用品用途、航空宇宙用途および一般産業用途に広く用いられている。これらの強化繊維には、アルミニウム繊維やステンレス繊維などの金属繊維、アラミド繊維やPBO繊維などの有機繊維、およびシリコンカーバイド繊維などの無機繊維や炭素繊維などが使用されているが、比強度、比剛性および軽量性のバランスの観点から炭素繊維が好適であり、その中でもポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維が好適に用いられる。
炭素繊維で強化した成形品は、炭素繊維が優れた導電性を有することから、優れた電磁波遮蔽性を有する。したがって、ノイズの原因や、他の電子部品に悪影響を及ぼす電磁波を遮蔽することができ、特にパソコン、テレビ、オーディオ機器を始めとする電子・情報機器や、自動車のEV・HEV関連部材に好適に用いることができる。しかしながら、電気配線や端子などの短絡の危険性をはらんでおり、電気絶縁性を必要とする箇所の部材への適用には不向きであった。
本出願人は特許文献1にて、成形品の繊維長、肉厚、表面粗さなどを規定し、優れた力学特性、電磁波遮蔽性、平滑な表面外観を有する炭素繊維強化成形品を提案している。しかしながら、電気絶縁性については十分に満足できるとは言い難いものであった。
また、特許文献2には、電気絶縁性と高熱伝導性を有する絶縁性樹脂組成物を得ることを目的として、熱可塑性樹脂とアルミナを主成分とする繊維の造粒物、電気抵抗が102Ωm以下のフィラーを含む絶縁性樹脂組成物が開示されている。また、電気抵抗が102Ωm以下のフィラーの一例として炭素繊維が例示されている。しかしながら、高い電気絶縁性を発現することが示されているものの、十分な電磁波遮蔽性が得られるとは言い難い。さらに、アルミナの粒造物を多量に添加していることから軽量性が失われている。
特許文献3には、耐傷性、高剛性を得る目的として、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体よりなるゴムラテックス粒子に、酸変性低分子量α−オレフィン(共)重合体を均一に分散させてなるエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体含有架橋ラテックスに、芳香族ビニル系単量体及びシアン化ビニル系単量体を含む単量体混合物を重合して得られるグラフト共重合体と、メタクリル酸エステル系単量体、或いはメタクリル酸エステル系単量体とアクリル酸エステル系単量体及び/又は共重合可能なその他の単量体を重合してなる硬質(共)重合体を配合してなる熱可塑性樹脂成分に対して、無機質充填材を配合してなる複合熱可塑性樹脂組成物、および金型温度を複合熱可塑性樹脂組成物の熱変形温度より5〜50℃高い条件で射出成形して得られる成形品が開示されており、無機充填材として炭素繊維が示されている。しかしながら、十分な電磁波遮蔽性が得られるとは言い難い。
特許文献4には、特定の分子量分布を有するマトリックス樹脂を用いて、導電性繊維の配向制御することにより、2成分かつ、少量の導電性繊維の配合でありながら、導電性と表面外観に優れた成形体を開示している。しかしながら、成形体の導電性に起因する電磁波遮蔽性は有するものの、電気絶縁性が失われてしまっている。さらに、成形体の繊維配向を制御する手法として、金型の温度を高めることに触れてはいるものの、具体的な検討はなされていない。
特許文献5には、特定の構造を有するポリイミドおよび炭素繊維を用い、金型温度を特定の範囲に設定することで、ポリイミドの結晶化度を制御し、耐熱性、寸法精度、生産性に優れる射出成形物が開示されている。しかしながら、十分な電磁波遮蔽性が得られるとは言い難い。
このように、従来技術では熱可塑性樹脂をマトリックスとした炭素繊維強化成形品において、優れた電磁波遮蔽性と電気絶縁性を両立できておらず、優れた電気絶縁性、電磁波遮蔽性、力学特性を有する炭素繊維強化成形品の開発が望まれていた。
本発明は従来技術の有する問題点に鑑み、力学特性、電気絶縁性、電磁波遮蔽性に優れた炭素繊維強化成形品が得られる、炭素繊維強化成形品の製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明は以下の構成からなる。すなわち、
(1)熱可塑性樹脂(A)と、該熱可塑性樹脂(A)とのSP値差が3.5以下であるサイジング剤(a)でサイジング処理されてなり、繊維長/繊維直径から算出されるアスペクト比が250〜10,000である炭素繊維(B)を含む成形材料を、金型温度が前記熱可塑性樹脂(A)の熱変形温度より5〜50℃高い条件で成形する、炭素繊維強化成形品の製造方法。
(2)前記成形材料に含まれる前記炭素繊維(B)の平均繊維長が1.5〜40mmである、(1)に記載の炭素繊維強化成形品の製造方法。
(3)前記成形材料が、前記熱可塑性樹脂(A)100重量部に対し、前記炭素繊維(B)を5〜50重量部含む、(1)または(2)に記載の炭素繊維強化成形品の製造方法。
(4)前記成形材料の形態が長繊維ペレットである、(1)〜(3)のいずれかに記載の炭素繊維強化成形品の製造方法。
(5)(1)〜(4)いずれかに記載の炭素繊維強化成形品の製造方法によって得られる、下記[1]および[2]の要件を満たす炭素繊維強化成形品。
[1]成形品中に分散する前記炭素繊維(B)の平均繊維間距離D[μm]と、前記炭素繊維(B)の繊維含有重量分率Wf[%]との関係が下記式で表される。
83×Wf−1.10<D<116×Wf−0.78
[2]成形品の切断面における単位面積あたりの前記炭素繊維(B)の本数の変動係数が15%以下。
(6)成形品中に分散する前記炭素繊維(B)の重量平均繊維長が0.3〜10mmである、(5)に記載の炭素繊維強化成形品。
(1)熱可塑性樹脂(A)と、該熱可塑性樹脂(A)とのSP値差が3.5以下であるサイジング剤(a)でサイジング処理されてなり、繊維長/繊維直径から算出されるアスペクト比が250〜10,000である炭素繊維(B)を含む成形材料を、金型温度が前記熱可塑性樹脂(A)の熱変形温度より5〜50℃高い条件で成形する、炭素繊維強化成形品の製造方法。
(2)前記成形材料に含まれる前記炭素繊維(B)の平均繊維長が1.5〜40mmである、(1)に記載の炭素繊維強化成形品の製造方法。
(3)前記成形材料が、前記熱可塑性樹脂(A)100重量部に対し、前記炭素繊維(B)を5〜50重量部含む、(1)または(2)に記載の炭素繊維強化成形品の製造方法。
(4)前記成形材料の形態が長繊維ペレットである、(1)〜(3)のいずれかに記載の炭素繊維強化成形品の製造方法。
(5)(1)〜(4)いずれかに記載の炭素繊維強化成形品の製造方法によって得られる、下記[1]および[2]の要件を満たす炭素繊維強化成形品。
[1]成形品中に分散する前記炭素繊維(B)の平均繊維間距離D[μm]と、前記炭素繊維(B)の繊維含有重量分率Wf[%]との関係が下記式で表される。
83×Wf−1.10<D<116×Wf−0.78
[2]成形品の切断面における単位面積あたりの前記炭素繊維(B)の本数の変動係数が15%以下。
(6)成形品中に分散する前記炭素繊維(B)の重量平均繊維長が0.3〜10mmである、(5)に記載の炭素繊維強化成形品。
本発明の製造方法により得られる炭素繊維強化成形品は、電気絶縁性と電磁波遮蔽性を両立し、曲げ特性や耐衝撃特性などの力学特性に優れた成形品である。また、熱可塑性樹脂をマトリックスとしているため、軽量性も兼ね備えている。本発明の炭素繊維強化成形品は、電気・電子機器、OA機器、家電機器、筐体、または自動車の部品、特には電気自動車の電気部品収納容器に極めて有用である。
本発明を詳細に説明する。本発明の炭素繊維強化成形品(以下、単に「成形品」と呼ぶこともある)およびその製造方法において用いられる成形材料は、少なくとも熱可塑性樹脂(A)と、炭素繊維(B)から構成される。まず、これらの構成成分について詳細に記す。なお、本発明において、「成形材料」とは、形態を変えることなく種々の成形方法に直接用いることのできる材料を指す。
本発明において熱可塑性樹脂(A)は、成形温度(溶融温度)が200〜450℃で成形できるものが好ましく、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリアミド、ハロゲン化ビニル樹脂、ポリアセタール、飽和ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリールスルホン、ポリアリールケトン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリールエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンサルファイドスルフォン、ポリアリレート、液晶ポリエステル、フッ素樹脂等が挙げられ、これらはいずれも、電気絶縁体に相当する。かかる群から選ばれる熱可塑性樹脂を単独で用いることもでき、または二種以上の熱可塑性樹脂を組み合わせてポリマーアロイとして用いることもできる。
前記熱可塑性樹脂の中でも、電気・電子機器や自動車の部品としての用途から、軽量、かつ、力学特性や成形性のバランスに優れるポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂がより好ましく、耐薬品性や吸湿性にも優れることから、ポリプロピレン樹脂がさらに好ましい。以下に、好適な熱可塑性樹脂であるポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂について説明する。
本発明においてポリプロピレン樹脂とは、無変性のものも、変性されたものも含まれる。無変性のポリプロピレン樹脂は具体的には、プロピレンの単独重合体またはプロピレンと少なくとも1種のα−オレフィン、共役ジエン、非共役ジエンなどとの共重合体である。α−オレフィンを構成する単量体繰り返し単位には、例えば、エチレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4ジメチル−1−ヘキセン、1−ノネン、1−オクテン、1−ヘプテン、1−ヘキセン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等のプロピレンを除く炭素数2〜12のα−オレフィン、共役ジエン、非共役ジエンを構成する単量体繰り返し単位にはブタジエン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,5−ヘキサジエン等が挙げられ、これらその他の単量体繰り返し単位には、1種類または2種類以上を選択することができる。無変性ポリプロピレン樹脂の骨格構造としては、プロピレンの単独重合体、プロピレンと前記その他の単量体のうちの1種類または2種類以上のランダムあるいはブロック共重合体、または他の熱可塑性単量体との共重合体等を挙げることができる。例えば、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・1−ブテン共重合体などが好適なものとして挙げられる。特に剛性が必要な場合にはプロピレンの単独重合体を用い、衝撃特性が必要な場合にはプロピレンと前記その他の単量体のうちの1種類または2種類以上のランダムあるいはブロックポリプロピレンを用いることが好ましい。
また、変性ポリプロピレン樹脂は、好ましくは酸変性ポリプロピレン樹脂であり、重合体鎖に結合したカルボン酸および/またはその塩の基を有してなるポリプロピレン樹脂である。上記酸変性ポリプロピレン樹脂は種々の方法で得ることができ、例えば、無変性のポリプロピレン樹脂に、中和されているか、中和されていないカルボン酸基を有する単量体、および/またはケン化されているか、ケン化されていないカルボン酸エステルを有する単量体を、グラフト重合することにより得ることができる。ここで、中和されているか、中和されていないカルボン酸基を有する単量体、およびケン化されているか、ケン化されていないカルボン酸エステル基を有する単量体としては、例えば、エチレン系不飽和カルボン酸、その無水物が挙げられ、またこれらのエステル、さらにはオレフィン以外の不飽和ビニル基を有する化合物なども挙げられる。
エチレン系不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマール酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸などが例示され、その無水物としては、ナジック酸TM(エンドシス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸)、無水マレイン酸、無水シトラコン酸などが例示できる。オレフィン以外の不飽和ビニル基を有する単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウロイル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート等の水酸基含有ビニル類、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有ビニル類、ビニルイソシアナート、イソプロペニルイソシアナート等のイソシアナート基含有ビニル類、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン等の芳香族ビニル類、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、マレイン酸アミド等のアミド類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジヒドロキシエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート類、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ソーダ、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等の不飽和スルホン酸類、モノ(2−メタクリロイロキシエチル)アシッドホスフェート、モノ(2−アクリロイロキシエチル)アシッドホスフェート等の不飽和リン酸類等が挙げられる。
これらの単量体は単独で用いることもできるし、また2種類以上のものを用いることもできる。また、これらの中でも、酸無水物類が好ましく、さらには無水マレイン酸が好ましい。
ここで、成形品の力学特性を向上させるため、無変性ポリプロピレン樹脂と変性ポリプロピレン樹脂を共に用いることが好ましく、特に難燃性や力学特性のバランスの観点から、無変性ポリプロピレン樹脂と変性ポリプロピレン樹脂の重量比が95/5〜75/25となるように用いることが好ましい。より好ましくは95/5〜80/20、さらに好ましくは90/10〜80/20である。
また、本発明においてポリアミド樹脂とは、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸を主たる原料とするナイロンであれば特に制限なく使用可能で、ナイロンホモポリマーまたはコポリマーを各々単独または混合物の形で用いることができる。
特に有用なポリアミド樹脂としては、200℃以上の融点を有する耐熱性や強度に優れたナイロン樹脂であり、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン9T、ナイロン66/6T、ナイロン6T/6、ナイロン66/6I、ナイロン12/6T、ナイロン66/6T/6I、ナイロン66/6I/6、ナイロン6T/6I、ナイロン6T/M5T、ナイロンMXD6、およびこれらの混合物ないし共重合体などが挙げられる。更に、成形性、耐熱性、低吸水性などの必要特性に応じて、これらの共重合体、およびこれらのポリアミド樹脂を2種類以上混合した樹脂も本発明で使用できる。また、更に耐衝撃性向上などのために、上記樹脂にエラストマー、もしくはゴム成分を添加した樹脂や、樹脂を混合するときの相溶性制御などのために末端基を変性したり、封止したりした樹脂も、本発明で使用できるポリアミド樹脂に含まれる。
さらに、ポリアミド樹脂の硫酸相対粘度ηrが2.7以下であると、成形時の流動性に優れ、薄肉の成形品が容易に得られることから、好ましい。より好ましくは2.6以下であり、さらに好ましくは2.5以下である。ηrの下限は特に限定されないが、一般的に2.0以上である。ここで硫酸相対粘度ηrは、JIS K6920−2(2000)に示されるとおり、98%硫酸で溶液濃度が1g/100mlになるように溶かした後、25℃の恒温槽内でオストワルド粘度計を用いて流下速度を測定し、98%硫酸に対する試料溶液の粘度比(流下秒数比)で表される。
本発明においてポリカーボネート樹脂とは、主鎖中に炭酸エステル構造を有する重合体であり、脂肪族ポリカーボネート、脂肪族−芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリカーボネートなどが挙げられる。特にコストパフォーマンスの点から、4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパン(ビスフェノールA)の炭酸エステル構造を有するポリカーボネートが好ましく用いられる。
ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、ホスゲン法、エステル交換法あるいは固相重合法など、公知の方法が挙げられる。また三菱エンジニアリングプラスチック(株)製「ユーピロン」「ノバレックス」(登録商標)、帝人化成(株)製「パンライト」(登録商標)、出光石油化学(株)製「タフロン」(登録商標)などとして上市されているものを入手して用いることもできる。
本発明に用いられる炭素繊維(B)は、サイジング処理を施す前の炭素繊維(b)に、サイジング処理を施し、サイジング剤(a)が付与されたものであることが、集束性、耐屈曲性や耐擦過性を改良し、高次加工工程において、毛羽、糸切れの発生を抑制でき、いわゆる糊剤、集束剤として高次加工性を向上させることもできることから、好ましい。
ここで、本発明における炭素繊維(b)には、PAN系、ピッチ系、レーヨン系などが挙げられ、得られる成形品の強度と弾性率とのバランスの観点から、PAN系炭素繊維が好ましい。
さらに炭素繊維(b)としては、X線光電子分光法により測定される繊維表面の酸素(O)と炭素(C)の原子数の比である表面酸素濃度比[O/C]が0.05〜0.5であるものが好ましく、より好ましくは0.08〜0.4であり、さらに好ましくは0.1〜0.3である。表面酸素濃度比が0.05以上であることにより、炭素繊維表面の官能基量を確保でき、より強固な接着性を得ることができる。力学特性向上の観点から、表面酸素濃度比が大きい程、高い接着性が得られるため好ましい。また、表面酸素濃度比の上限には特に制限はないが、炭素繊維の取扱い性、生産性のバランスから一般的に0.5以下とすることが例示できる。
炭素繊維(b)の表面酸素濃度比は、X線光電子分光法により、次の手順にしたがって求めるものである。まず、溶剤で炭素繊維表面に付着しているサイジング剤などを除去した炭素繊維束を20mmにカットして、銅製の試料支持台に拡げて並べた後、X線源としてA1Kα1、2を用い、試料チャンバー中を1×10−8Torrに保つ。測定時の帯電に伴うピークの補正値としてC1sの主ピークの運動エネルギー値(K.E.)を1202eVに合わせる。C1sピーク面積をK.E.として1191〜1205eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求める。O1sピーク面積をK.E.として947〜959eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求める。
ここで、表面酸素濃度比とは、上記O1sピーク面積とC1sピーク面積の比から装置固有の感度補正値を用いて原子数比として算出する。X線光電子分光法装置として、国際電気社製モデルES−200を用い、感度補正値を1.74とする。
表面酸素濃度比[O/C]を0.05〜0.5に制御する手段としては、特に限定されるものではないが、例えば、炭素繊維(b)に表面処理を施す工程において、処理量を増減するといった手法が挙げられる。表面処理方法としては電解酸化処理、薬液酸化処理および気相酸化処理などの手法を挙げることができ、中でも電解酸化処理が好ましい。
また、炭素繊維(b)を炭素繊維束とした場合の単糸数には、特に制限はなく、100〜350,000本の範囲内で使用することができ、とりわけ1,000〜250,000本の範囲内で使用することが好ましい。また炭素繊維(b)の生産性の観点からは、単糸数が多いものが好ましく、20,000〜100,000本の範囲内で使用することが好ましい。
本発明において、炭素繊維(b)に付与するサイジング剤(a)として、化合物は特に限定されないが、サイジング剤(a)と前記熱可塑性樹脂(A)とのSP値差が3.5以下となるものを用いる。より好ましくはSP値差が3.0以下、さらに好ましくは2.8以下である。
ここで、本発明において、SP値とは溶解度パラメーターであり、2成分のSP値が近いほど溶解度が大きくなることが経験的に得られている。本発明においては、SP値が3.5以下になるよう、熱可塑性樹脂(A)およびサイジング剤(a)を選定することで、サイジング剤(a)を付与された炭素繊維(B)が成形工程において樹脂中で分散しやすく、安定的に分散状態を保つことが可能となるため好ましい。これによって、後述する炭素繊維(B)の平均繊維間距離Dを大きくすることができ、高い電気絶縁性を発現することができる。
一方、SP値差が3.5より大きい場合、炭素繊維(B)が樹脂中で均一に分散しなかったり、成形時の剪断や流動によって一度は分散するものの、分散状態が不安定なため、繊維が再凝集することがある。すると、後述する炭素繊維(B)の平均繊維間距離Dが小さくなり、炭素繊維(B)によって導電性のネットワークが形成され、電気絶縁性が失われてしまうため、好ましくない。
なお、SP値の決定法は幾種類か知られているが、比較においては同一の決定法を用いればよい。具体的には、Fedorsの方法を用いることが望ましい。(参照 SP値基礎・応用と計算、2005年3月31日 第1版、発行者 谷口彰敏、発行 株式会社情報機構、66〜67頁)
本発明において、サイジング剤(a)は具体的には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレングリコール、ポリウレタン、ポリエステル、テルペン系樹脂、乳化剤あるいは界面活性剤などが挙げられる。中でもマトリックス樹脂との接着性を発揮しやすいエポキシ樹脂が好ましい。これらは1種または2種以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも機械特性向上の観点から、脂肪族エポキシ樹脂が好ましい。通常、エポキシ樹脂はエポキシ基を多数有すると、架橋反応後の架橋密度が高くなるために、靭性の低い構造になる傾向にあり、強化繊維とマトリックス樹脂間に介在させても、脆いために剥離しやすく、繊維強化による強度向上効果が発現しない場合がある。一方、脂肪族エポキシ樹脂は、柔軟な骨格のため、架橋密度が高くとも靭性の高い構造になりやすい。強化繊維とマトリックス樹脂間に介在させた場合、柔軟で剥離しにくくさせるため、繊維強化による強度向上効果が発現しやすく、好ましい。
脂肪族エポキシ樹脂の具体例としては、例えば、ジグリシジルエーテル化合物では、エチレングリコールジグリシジルエーテル及びポリエチレングリコールジグリシジルエーテル類、プロピレングリコールジグリシジルエーテル及びポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル類等が挙げられる。また、ポリグリシジルエーテル化合物では、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル類、ソルビトールポリグリシジルエーテル類、アラビトールポリグリシジルエーテル類、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル類、トリメチロールプロパングリシジルエーテル類、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル類、脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテル類等が挙げられる。
脂肪族エポキシ樹脂の中でも、3官能以上の多官能脂肪族エポキシ樹脂を用いることが好ましく、さらには、反応性の高いグリシジル基を3個以上有する脂肪族のポリグリシジルエーテル化合物を用いることがより好ましい。この中でも、さらに好ましくは、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールグリシジルエーテル類、ポリプロピレングリコールグリシジルエーテル類が好ましい。脂肪族のポリグリシジルエーテル化合物は、柔軟性、架橋密度、マトリックス樹脂との相溶性のバランスがよく、効果的に接着性を向上させることから好ましい。
サイジング剤(a)の付着量は特に限定しないが、炭素繊維(b)のみの質量に対して、0.01〜10重量%が好ましく、0.05〜5重量%がより好ましく、0.1〜2重量%がさらに好ましい。サイジング剤(a)の付着量を0.01重量%以上とすることにより接着性をより向上させることができ、10重量%以下とすることにより熱可塑性樹脂(A)の物性を効果的に発現することができる。
サイジング処理方法としては特に限定されるものではないが、例えばローラーを介して炭素繊維(b)をサイジング液に浸漬する方法、サイジング液の付着したローラーに炭素繊維(b)を接する方法、サイジング液を霧状にして炭素繊維(b)に吹き付ける方法などがある。また、バッチ式、連続式いずれでもよいが、生産性がよくバラツキが小さくできる連続式が好ましい。この際、炭素繊維(b)に対するサイジング剤(a)の有効成分の付着量が適正範囲内で均一に付着するように、サイジング液濃度、温度、糸条張力などをコントロールすることが好ましい。また、サイジング処理時に炭素繊維(b)を超音波で加振させることはより好ましい。
乾燥温度と乾燥時間は化合物の付着量によって調整すべきであるが、サイジング剤(a)の付与に用いる溶媒の完全な除去、乾燥に要する時間を短くし、一方、サイジング剤(a)の熱劣化を防止し、サイジング処理された炭素繊維(B)が固くなって拡がり性が悪化するのを防止する観点から、乾燥温度は、150℃以上350℃以下であることが好ましく、180℃以上250℃以下であることがより好ましい。
サイジング剤(a)に使用する溶媒は、水、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトン等が挙げられるが、取扱いが容易で防災の観点から水が好ましい。従って、水に不溶、若しくは難溶の化合物をサイジング剤として用いる場合には、乳化剤、界面活性剤を添加し、水分散して用いることが好ましい。具体的には、乳化剤、界面活性剤としては、スチレン−無水マレイン酸共重合体、オレフィン−無水マレイン酸共重合体、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、ポリアクリル酸ソーダ等のアニオン系乳化剤、ポリエチレンイミン、ポリビニルイミダゾリン等のカチオン系乳化剤、ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレンエーテルエステル共重合体、ソルビタンエステルエチルオキサイド付加物等のノニオン系乳化剤等を用いることができるが、相互作用の小さいノニオン系乳化剤が多官能化合物の接着性効果を阻害しにくく好ましい。
次に、後述する本発明の炭素繊維成形品の製造方法に用いられる成形材料について説明する。この成形材料は、前述の熱可塑性樹脂(A)と、該熱可塑性樹脂(A)とのSP値差が3.5以下であるサイジング剤(a)でサイジング処理されてなり、繊維長/繊維直径から算出されるアスペクト比が250〜10,000である炭素繊維(B)を含む。ここで、本発明において、繊維長および繊維直径とは、それぞれ後述の平均繊維長、および平均繊維径を指す。
成形材料に含まれる炭素繊維(B)の繊維長/繊維直径から算出されるアスペクト比は、50〜50,000であることが好ましく、本発明においては250〜10,000である。成形時の炭素繊維(B)の折損を考慮した場合、かかる範囲において、成形品中に分散する炭素繊維(B)のアスペクト比を、力学特性、電気絶縁性、電磁波遮蔽性をバランス良く発現し、かつ、良好な表面外観を得ることができる好適な値に調節することができるため、好ましい。ここで、アスペクト比が250より小さい場合、電気絶縁性は発現するものの、電磁波遮蔽性が十分に得られない場合がある。アスペクト比は400以上が好ましく、500以上がより好ましい。また、アスペクト比が10,000より大きい場合、成形品中に分散する炭素繊維(B)同士が接触したり、後述の炭素繊維同士の平均繊維間距離が小さくなることによって、電気絶縁性が損なわれる場合がある。さらに、成形時に炭素繊維(B)が均一に分散しない場合もあるため、好ましくない。アスペクト比は8,000以下が好ましく、6,000以下がより好ましい。
また本発明において、成形材料に含まれる炭素繊維(B)の平均繊維長は1.5〜40mmであることが好ましい。前記アスペクト比と同様、成形時の炭素繊維(B)の折損を考慮した場合、かかる範囲において、成形品中に分散する炭素繊維(B)の繊維長を、力学特性、電気絶縁性、電磁波遮蔽性をバランス良く発現することができる好適な値に調節することができるため、好ましい。平均繊維長が1.5mm以上であれば、特に優れた電磁波遮蔽性を発現することができる。平均繊維長は3mm以上がより好ましく、4mm以上がさらに好ましい。また、平均繊維長が40mm以下であれば、成形品中における炭素繊維(B)を十分に分散することができ、さらに炭素繊維(B)同士の接触を抑え、電気絶縁性をより効果的に発現することができる。平均繊維長は20mm以下がより好ましく、15mm以下がさらに好ましい。
ここで、本発明における「平均繊維長」とは、重量平均分子量の算出方法を繊維長の算出に適用し、単純に数平均を取るのではなく、繊維長の寄与を考慮した下記の式から算出される平均繊維長を指す。ただし、下記の式は、炭素繊維(B)の繊維径および密度が一定の場合に適用される。
平均繊維長=Σ(Mi2×Ni)/Σ(Mi×Ni)
Mi:繊維長(mm)
Ni:繊維長Miの炭素繊維の個数
平均繊維長=Σ(Mi2×Ni)/Σ(Mi×Ni)
Mi:繊維長(mm)
Ni:繊維長Miの炭素繊維の個数
上記平均繊維長の測定は、次の方法により行うことができる。成形材料を500℃で2時間灰化処理し、成形材料中の炭素繊維を取り出し、この炭素繊維を水中に均一分散させる。炭素繊維が均一分散した分散水をシャーレにサンプリングした後、乾燥させ、光学顕微鏡(50〜200倍)にて観察する。無作為に選んだ1000本の炭素繊維(B)の長さを計測して、上記式から平均繊維長を算出する。
また、本発明において用いられる炭素繊維(B)の平均繊維径は特に限定されないが、得られる成形品の電磁波遮蔽性、力学特性、及び表面外観の観点から、1〜20μmの範囲内から、前記アスペクト比と繊維長から選定することが好ましく、3〜15μmの範囲内であることがより好ましい。
上記平均繊維径の測定は、次の方法により行うことができる。炭素繊維(b)の繊維束断面を走査型電子顕微鏡(5,000倍)にて観察し、無作為に選んだ400本の炭素繊維(b)の繊維径を計測して、数平均を算出する。
本発明において、前記成形材料が熱可塑性樹脂(A)100重量部に対し、炭素繊維(B)を5〜50重量部含むことが好ましい。かかる範囲において、得られる炭素繊維強化成形品中で、後述する炭素繊維(B)の平均繊維間距離Dが好適な値となり、優れた電気絶縁性と電磁波遮蔽性を両立することができる。本発明における成形材料の形態としては、ペレット、スタンパブルシート、プリプレグ、SMC、BMC等を使用することができるが、最も望ましい形態は、射出成形に用いられるペレットである。前記ペレットは、一般的には、所望量の熱可塑性樹脂(A)と炭素繊維(B)のチョップド糸または連続繊維とを押出機中で混練し、押出、ペレタイズすることによって得られたものを指す。このようなペレットは、ペレットの長手方向の長さよりペレット中の繊維長さの方が短くなるが、本発明におけるペレットには長繊維ペレットも含まれ、特に好ましく使用することができる。
かかる長繊維ペレットとは、特公昭63−37694号公報に示されるような、繊維がペレットの長手方向に、ほぼ平行に配列し、ペレット中の繊維長さが、ペレット長さと同一またはそれ以上であるものを指す。
また前記長繊維ペレットにおいて、樹脂は繊維束中に含浸されていても、繊維束に被覆されていてもよい。特に樹脂が被覆された長繊維ペレットの場合、繊維束には被覆されたものと同じか、あるいは被覆された樹脂よりも低粘度(または低分子量)の樹脂が、予め含浸されていてもよい。
長繊維ペレットを成形に用いた場合、ペレットの長手方向の長さよりペレット中の繊維長さの方が短いペレットに比べて、成形品中での炭素繊維長さが長くなるため力学特性に優れるため、より好ましく用いられる。
次に後述する本発明の炭素繊維強化成形品の製造方法によって得られる炭素繊維強化成形品について詳細に記す。
本発明の炭素繊維強化成形品において、電気絶縁性と電磁波遮蔽性がバランス良く発現することから、成形品中に分散する炭素繊維(B)の平均繊維間距離D[μm]と、炭素繊維(B)の繊維含有重量分率Wf[%]との関係が下記式を満たすことが好ましい。
83×Wf−1.10<D<116×Wf−0.78
83×Wf−1.10<D<116×Wf−0.78
本発明において「成形品中に分散する炭素繊維(B)の平均繊維間距離D」とは、成形品中に分散する炭素繊維(B)に対して、それぞれの繊維に最も近接する他の炭素繊維(B)との最短距離の数平均値を表す値である。
一般的に上記繊維含有重量分率の値が大きい程、体積が一定である成形品において炭素繊維(B)は密にパッキングされるため、上記平均繊維間距離の値は小さくなる傾向にある。すると炭素繊維(B)同士の凝集力が働き易く、炭素繊維(B)同士が接触して導電パスが形成されるため、電気絶縁性が失われてしまう。一方、繊維含有重量分率の値が小さい程、炭素繊維(B)の平均繊維間距離の値は大きくなる傾向にある。すると、炭素繊維(B)の分散性が電磁波遮蔽性に与える影響が大きくなり、わずかな分散の偏りから炭素繊維(B)の存在していない空隙が生じ、電磁波遮蔽性の低下や力学特性の低下を招くこととなる。本発明は、炭素繊維(B)の繊維含有重量分率と平均繊維間距離に着目し、力学特性、電気絶縁性、電磁波遮蔽性を両立するために求められる上記式の関係を見出したものである。なお、上記式の係数および指数部の値は、複数の測定結果から実験的に求めた値である。本発明においては、熱可塑性樹脂(A)と炭素繊維(B)との親和性を炭素繊維(B)に付与したサイジング剤のSP値によって調整し、炭素繊維(B)同士の間に熱可塑性樹脂(A)を介在させることができるため、繊維含有重量分率の値が大きい場合でも一定の平均繊維間距離の値を確保することができる。
平均繊維間距離Dの具体的な算出方法は、成形品の断面を光学顕微鏡(200〜400倍)にて観察し、得られた顕微鏡像について画像処理・解析する方法や、顕微鏡像から繊維間距離を直接測定し、数平均値を求める方法などが挙げられる。ここで、ある特定の領域を2次元的に切り出して算出する場合、炭素繊維(B)の成形品中の配向角度によっては、測定される繊維間距離が最近接距離ではない場合もあるため、複数断面について測定を行い、より3次元的なデータを取得することが好ましい。具体的には、5つ以上の断面について測定することが好ましく、10つ以上の断面について測定することがより好ましい。また、繊維間距離を直接測定する場合、1つの断面につき、無作為に選んだ400以上の炭素繊維について測定することが好ましい。
また、繊維含有重量分率Wfとは、成形品全体の重量(WA)の中で、炭素繊維(B)の重量(WB)が占める割合を示す値であり、次式で表される。
上記WA、WBの具体的な測定方法について、WAは成形品の一部を切り出し、重量を測定する。またWBの測定は用いた熱可塑性樹脂(A)の種類によって適した方法を選択することが好ましく、例えば、ポリプロピレン樹脂やポリアミド樹脂を用いた場合、WAの測定に用いた成形品片を500℃で15分間灰化処理を行い、成形品中の炭素繊維(B)を取り出して重量を測定する。また、熱可塑性樹脂(A)にポリカーボネート樹脂を用いた場合、WAの測定に用いた成形品片にテトラヒドロフランを加え、45分間超音波振盪してポリカーボネート樹脂を溶解する。これを吸引濾過して炭素繊維(B)を取り出し、重量を測定する。
ここで、平均繊維間距離Dが83×Wf−1.10以下の場合、炭素繊維(B)同士で接触している箇所が多く、導電性のネットワークを形成してしまうため、電気絶縁性が失われてしまうので好ましくない。一方、平均繊維間距離Dが116×Wf−0.78以上の場合、成形品中で炭素繊維(B)が均一に分散しておらず、成形品中の炭素繊維(B)が少ない領域から電磁波が漏れて電磁波遮蔽性が失われたり、力学特性の低下を引き起こすことから好ましくない。
なお、平均繊維間距離D[μm]と繊維含有重量分率Wf[%]が上記関係式を満たした場合、かかる効果が発現する理由については必ずしも明らかではないが、本発明者らは次のように推定している。すなわち、導電性を有する炭素繊維(B)を一定の距離をおいて分散させることによって、導電性ネットワークが形成されず、本来熱可塑性樹脂(A)の有する電気絶縁性を保つことができ、一方で、炭素繊維(B)の有する誘電損失特性によって、電磁波のエネルギーを熱エネルギーに変換し、高い電磁波遮蔽性を発現すると推定される。
本発明の炭素繊維強化成形品において、炭素繊維(B)が均一分散し、優れた電磁波遮蔽性、力学特性を発現することから、成形品の切断面における単位面積あたりの炭素繊維(B)の本数の変動係数が15%以下であることが好ましい。より好ましくは10%以下である。
本発明において、「成形品の切断面における単位面積あたりの炭素繊維(B)の本数の変動係数」とは、ある成形品の断面において、単位面積あたりに存在する繊維本数の平均値と標準偏差から算出される、成形品中における炭素繊維(B)の均一分散性を示すファクターである。この変動計数の値が小さいほど、分散のばらつきが小さく、成形品中に炭素繊維(B)が均一に存在していることを示す。具体的な算出方法として、例えば、成形品の断面を光学顕微鏡(50〜200倍)にて観察し、40以上の観察部位について単位面積あたりの繊維本数を計数し、変動計数を算出する手法が挙げられる。
ここで、成形品の切断面における単位面積あたりの炭素繊維(B)の本数の変動係数が15%以下である場合、成形品中の炭素繊維(B)が十分に分散し、電磁波遮蔽性や力学特性をより向上させることができる。
本発明において、成形品中に分散する前記炭素繊維(B)の平均繊維長が0.1〜10mmであることが好ましい。平均繊維長が0.1mm以上であれば電磁波遮蔽性をより効果的に発現し得る。平均繊維長は0.3mm以上がより好ましく、0.4mm以上がさらに好ましく、0.5mm以上がさらに好ましい。また、平均繊維長が10mm以下であれば、炭素繊維(B)同士の接触や成形品中での分散不良を低減し、電気絶縁性をより効果的に発現し得るため、好ましい。平均繊維長は8mm以下がより好ましく、6mm以下がさらに好ましい。なお、成形品中に分散する炭素繊維(B)の平均繊維長についても、前記成形材料に含まれる炭素繊維(B)の平均繊維長と同様にして算出することができる。
また、本発明の炭素繊維強化成形品には、本発明の目的を損なわない範囲で、他の充填材や添加剤が含有されていてもよい。これらの例としては、無機充填材、結晶核剤、酸化防止剤、制振剤、抗菌剤、防虫剤、防臭剤、着色防止剤、熱安定剤、離型剤、可塑剤、滑剤、着色剤、顔料、染料、発泡剤、制泡剤、あるいは、カップリング剤などが挙げられる。
続いて、本発明の炭素繊維強化成形品の製造方法について詳細を記す。
本発明の炭素繊維強化成形品の製造方法は、前記熱可塑性樹脂(A)と、前記炭素繊維(B)を含む成形材料を、金型温度が前記熱可塑性樹脂(A)の熱変形温度より5〜50℃高い条件で成形することを特徴とする。好ましい金型の温度範囲は、熱変形温度より10℃〜30℃高い条件である。なお、本発明における熱変形温度とは、熱可塑性樹脂(A)のみで構成される成形品を、ISO 75に準拠し、フラットワイズにて、試験荷重0.45MPaの試験条件にて測定される熱可塑性樹脂(A)の加重たわみ温度を指す。
金型温度をかかる範囲に設定することにより、炭素繊維(B)が分散している溶融した熱可塑性樹脂(A)が金型中で冷却・硬化し、成形品を得る過程において、熱可塑性樹脂(A)と炭素繊維(B)との界面の親和性に起因して、炭素繊維(B)は電気絶縁性を発現し得る繊維間距離を保って、安定な分散状態を形成することができる。これにより、炭素繊維(B)を均一に分散し、成形品中の繊維間距離Dと繊維含有重量分率Wf、変動係数を上記好ましい範囲に容易に制御することができる。
ここで、熱可塑性樹脂(A)と炭素繊維(B)との界面の親和性は、炭素繊維(B)の表層に存在するサイジング剤(a)と熱可塑性樹脂(A)との親和性に依存する。したがって、これらのSP値差を3.5以下にすることで、熱可塑性樹脂(A)と炭素繊維(B)は高い親和性を示し、結果として炭素繊維(B)同士が接触している状態よりも、その間に熱可塑性樹脂(A)を介在している状態の方が安定し、炭素繊維(B)による導電ネットワークを形成せず、一定の繊維間距離を保つことができるため好ましい。
また、金型温度が熱可塑性樹脂(A)の熱変形温度より5℃高い温度未満であると、溶融状態にある熱可塑性樹脂(A)は、炭素繊維(B)が一定の繊維間距離を保った安定な分散状態を形成する前に冷却・硬化されてしまうため、電気絶縁性が低下する。また、金型温度が熱可塑性樹脂(A)の熱変形温度より50℃を超える温度であると、冷却・硬化に時間を要し、成形サイクルが低下したり、金型から成形品をうまく脱型することができない場合があるなど、成形加工性が低下する。さらに、マトリックスである熱可塑性樹脂(A)が熱劣化し、力学特性が低下する場合もある。
本発明において、炭素繊維強化成形品の製造方法は、上記温度の金型を用いた成形方法であれば特に限定されず、射出成形、押出成形、プレス成形など、種々の公知の手法を用いることができるが、成形効率に優れるといった観点から好ましくは射出成形である。
本発明の炭素繊維強化成形品は、インストルメントパネル、ドアビーム、アンダーカバー、ランプハウジング、ペダルハウジング、ラジエータサポート、スペアタイヤカバー、フロントエンドなどの各種モジュール等の自動車部品に好適に用いることができる。さらに電話、ファクシミリ、VTR、コピー機、テレビ、電子レンジ、音響機器、トイレタリー用品、レーザーディスク(登録商標)、冷蔵庫、エアコンなどの家庭・事務電気製品部品も挙げられる。またパーソナルコンピューター、携帯電話などに使用されるような筐体や、パーソナルコンピューターの内部でキーボードを支持する部材であるキーボード支持体に代表されるような電気・電子機器用部材なども挙げられる。特に軽量性と力学特性、電気絶縁性、電磁波遮蔽性がバランス良く優れることから、携帯用電気・電子機器部品や電気自動車の電気部品収納容器、例えばバッテリーケース、インバーターケース、ECUケースとしての使用に特に適している。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定するものではない。
[材料評価手法]
(1)熱変形温度
ISO 75に準拠し、フラットワイズにて、試験荷重0.45MPaの試験条件にて熱変形温度を測定した。
(1)熱変形温度
ISO 75に準拠し、フラットワイズにて、試験荷重0.45MPaの試験条件にて熱変形温度を測定した。
(2)SP値算出方法
SP値は、化合物の分子式から、下記に示す式を用いて算出した。
σ(SP値)=(ΣEcoh/ΣV)1/2
ここでEcohは凝集エネルギー密度のことであり、Vは分子のモル容積である。いずれの値も官能基に依存する定数として、Fedorsが提案しており、本値を採用した。
SP値は、化合物の分子式から、下記に示す式を用いて算出した。
σ(SP値)=(ΣEcoh/ΣV)1/2
ここでEcohは凝集エネルギー密度のことであり、Vは分子のモル容積である。いずれの値も官能基に依存する定数として、Fedorsが提案しており、本値を採用した。
(3)成形品中の平均繊維長
成形したISO型引張ダンベル試験片の中央部を20mm×10mm(4mmt)に切断し、500℃で2時間灰化処理し、試験片中の炭素繊維を取り出した。この炭素繊維を3Lの水とともにビーカーに入れ、超音波洗浄機を用いて炭素繊維を水中に均一分散させた。先端の直径が8mmのスポイトで炭素繊維が均一分散した分散水を1mL吸い取り、10mm×10mmの窪みを持つシャーレにサンプリングした後、乾燥させた。乾燥後の炭素繊維を光学顕微鏡(50〜200倍)にて観察し、無作為に選んだ1000本の長さを計測して、下記式から平均繊維長を算出した。
平均繊維長=Σ(Mi2×Ni)/Σ(Mi×Ni)
Mi:繊維長(mm)
Ni:個数。
成形したISO型引張ダンベル試験片の中央部を20mm×10mm(4mmt)に切断し、500℃で2時間灰化処理し、試験片中の炭素繊維を取り出した。この炭素繊維を3Lの水とともにビーカーに入れ、超音波洗浄機を用いて炭素繊維を水中に均一分散させた。先端の直径が8mmのスポイトで炭素繊維が均一分散した分散水を1mL吸い取り、10mm×10mmの窪みを持つシャーレにサンプリングした後、乾燥させた。乾燥後の炭素繊維を光学顕微鏡(50〜200倍)にて観察し、無作為に選んだ1000本の長さを計測して、下記式から平均繊維長を算出した。
平均繊維長=Σ(Mi2×Ni)/Σ(Mi×Ni)
Mi:繊維長(mm)
Ni:個数。
(4)平均繊維間距離
成形したISO型引張ダンベル試験片の中央部、及び、中央部から両端に向かって10mm間隔で4箇所、ダイヤモンドカッターにて切断した後、断面を研磨し、合計5つのサンプルを作製した。この5つの10mm×4mmの切断面中の炭素繊維を光学顕微鏡(200〜400倍)で観察し、それぞれの切断面について得られた顕微鏡像を画像処理にかけて、400点の繊維間距離を測定し、平均繊維間距離を算出した。
成形したISO型引張ダンベル試験片の中央部、及び、中央部から両端に向かって10mm間隔で4箇所、ダイヤモンドカッターにて切断した後、断面を研磨し、合計5つのサンプルを作製した。この5つの10mm×4mmの切断面中の炭素繊維を光学顕微鏡(200〜400倍)で観察し、それぞれの切断面について得られた顕微鏡像を画像処理にかけて、400点の繊維間距離を測定し、平均繊維間距離を算出した。
(5)変動係数
成形したISO型引張ダンベル試験片の中央部をダイヤモンドカッターにて切断した後、断面を研磨し、サンプルを作製した。この10mm×4mmの切断面を1mm×1mmの区画に区切り(計40区画)、光学顕微鏡(50〜200倍)で観察した。得られた各区画の顕微鏡像から、繊維本数を画像処理によって計数し、繊維本数の変動計数を算出した。
成形したISO型引張ダンベル試験片の中央部をダイヤモンドカッターにて切断した後、断面を研磨し、サンプルを作製した。この10mm×4mmの切断面を1mm×1mmの区画に区切り(計40区画)、光学顕微鏡(50〜200倍)で観察した。得られた各区画の顕微鏡像から、繊維本数を画像処理によって計数し、繊維本数の変動計数を算出した。
(6)曲げ強度
ISO 178に準拠し、3点曲げ試験冶具(圧子半径5mm)を用いて支点距離を64mmに設定し、試験速度2mm/minの試験条件にて曲げ強度を測定した。試験機として、“インストロン(登録商標)”万能試験機5566型(インストロン社製)を用いた。
ISO 178に準拠し、3点曲げ試験冶具(圧子半径5mm)を用いて支点距離を64mmに設定し、試験速度2mm/minの試験条件にて曲げ強度を測定した。試験機として、“インストロン(登録商標)”万能試験機5566型(インストロン社製)を用いた。
(7)体積抵抗値
ISO型引張ダンベル試験片をダイヤモンドカッターにて80mm×10mm(4mmt)の寸法に切断・研磨して体積抵抗測定用試験片を得た。JIS K 6271に準拠し、抵抗計HIOKI3541を用いて、四端子法にて体積抵抗値を測定した。
ISO型引張ダンベル試験片をダイヤモンドカッターにて80mm×10mm(4mmt)の寸法に切断・研磨して体積抵抗測定用試験片を得た。JIS K 6271に準拠し、抵抗計HIOKI3541を用いて、四端子法にて体積抵抗値を測定した。
(8)絶縁抵抗
HIOKI社製絶縁抵抗計(アナログメグオームハイテスタIR4042)を用いて、ISO型引張ダンベル試験片の500Vレンジにおける絶縁抵抗値を測定した。
HIOKI社製絶縁抵抗計(アナログメグオームハイテスタIR4042)を用いて、ISO型引張ダンベル試験片の500Vレンジにおける絶縁抵抗値を測定した。
(9)電磁波遮蔽性
マイクロウェーブ・ファクトリー社製の評価装置を用いて、KEC法に準拠し、近傍電界10MHz〜1GHzの領域において電磁波遮蔽性を測定した。なお、電磁波遮蔽性は下記式により算出した。試験片には、150mm×150mm(3mmt)角板の四辺に導電性ペースト(藤倉化成(株)製ドータイト)を塗布し、十分に導電性ペーストを乾燥させたものを用いた。
SE=20×logE0/EX
SE:電磁波遮蔽性(dB)
E0:遮蔽材が無い場合の空間電界強度
EX:遮蔽材が有る場合の空間電界強度
マイクロウェーブ・ファクトリー社製の評価装置を用いて、KEC法に準拠し、近傍電界10MHz〜1GHzの領域において電磁波遮蔽性を測定した。なお、電磁波遮蔽性は下記式により算出した。試験片には、150mm×150mm(3mmt)角板の四辺に導電性ペースト(藤倉化成(株)製ドータイト)を塗布し、十分に導電性ペーストを乾燥させたものを用いた。
SE=20×logE0/EX
SE:電磁波遮蔽性(dB)
E0:遮蔽材が無い場合の空間電界強度
EX:遮蔽材が有る場合の空間電界強度
(10)繊維含有重量分率Wf
成形したISO型引張ダンベル試験片の中央部から10mm×10mm(4mmt)の小片を切り出し、熱可塑性樹脂(A)の種類に応じた下記手法からWA、WBを求め、下記式よりWfを算出した。
成形したISO型引張ダンベル試験片の中央部から10mm×10mm(4mmt)の小片を切り出し、熱可塑性樹脂(A)の種類に応じた下記手法からWA、WBを求め、下記式よりWfを算出した。
ポリプロピレン樹脂(A−1)、ポリアミド樹脂(A−2):
上記小片の重量を測定した値をWA、上記小片を500℃で15分間灰化処理を行い、成形品中の炭素繊維(B)を取り出して測定した重量をWBとした。
上記小片の重量を測定した値をWA、上記小片を500℃で15分間灰化処理を行い、成形品中の炭素繊維(B)を取り出して測定した重量をWBとした。
ポリカーボネート樹脂(A−3):
上記小片の重量を測定した値をWA、上記小片にテトラヒドロフランを加え、45分間超音波振盪してポリカーボネート樹脂を溶解し、これを吸引濾過して炭素繊維(B)を取り出し、測定した重量をWBとした。
上記小片の重量を測定した値をWA、上記小片にテトラヒドロフランを加え、45分間超音波振盪してポリカーボネート樹脂を溶解し、これを吸引濾過して炭素繊維(B)を取り出し、測定した重量をWBとした。
[参考例1−1]炭素繊維(b−1)の作製
ポリアクリロニトリルを主成分とする共重合体から紡糸、焼成処理、表面酸化処理を行い、総単糸数24,000本、単繊維径7μm、単位長さ当たりの質量1.6g/m、比重1.8g/cm3、表面酸素濃度[O/C]0.06の炭素繊維(b)を得た。この炭素繊維(b)のストランド引張強度は4880MPa、ストランド引張弾性率は225GPaであった。
ポリアクリロニトリルを主成分とする共重合体から紡糸、焼成処理、表面酸化処理を行い、総単糸数24,000本、単繊維径7μm、単位長さ当たりの質量1.6g/m、比重1.8g/cm3、表面酸素濃度[O/C]0.06の炭素繊維(b)を得た。この炭素繊維(b)のストランド引張強度は4880MPa、ストランド引張弾性率は225GPaであった。
[参考例1−2]炭素繊維(b−2)の作製
ポリアクリロニトリルを主成分とする共重合体から紡糸、焼成処理、表面酸化処理を行い、総単糸数24,000本、単繊維径7μm、単位長さ当たりの質量1.6g/m、比重1.8g/cm3、表面酸素濃度[O/C]0.12の炭素繊維(b)を得た。この炭素繊維(b)のストランド引張強度は4880MPa、ストランド引張弾性率は225GPaであった。
ポリアクリロニトリルを主成分とする共重合体から紡糸、焼成処理、表面酸化処理を行い、総単糸数24,000本、単繊維径7μm、単位長さ当たりの質量1.6g/m、比重1.8g/cm3、表面酸素濃度[O/C]0.12の炭素繊維(b)を得た。この炭素繊維(b)のストランド引張強度は4880MPa、ストランド引張弾性率は225GPaであった。
[参考例2]サイジング剤(a)の付与
サイジング剤(a)を2重量%になるように水に溶解、または分散させたサイジング剤母液を調整し、付着量が1.0重量%になるよう、浸漬法により炭素繊維(b)にサイジング剤(a)を付与し、230℃で乾燥を行った。
サイジング剤(a)を2重量%になるように水に溶解、または分散させたサイジング剤母液を調整し、付着量が1.0重量%になるよう、浸漬法により炭素繊維(b)にサイジング剤(a)を付与し、230℃で乾燥を行った。
(実施例1)
熱可塑性樹脂(A)として、ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー(株)製プライムポリプロJ105G)とマレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(三井化学(株)製アドマーQE840)を重量比85/15でペレットブレンドしたもの(A−1)を用い、住友重機械工業社製SE75DUZ−C250型射出成形機を用いて、射出時間:10秒、保圧力:成形下限圧+10MPa、保圧時間:10秒、シリンダー温度:230℃、金型温度:60℃で特性評価用試験片を成形した。次に得られた試験片を上記(1)に示した評価手法に従い、熱可塑性樹脂(A−1)単体の熱変形温度を測定した。
熱可塑性樹脂(A)として、ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー(株)製プライムポリプロJ105G)とマレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(三井化学(株)製アドマーQE840)を重量比85/15でペレットブレンドしたもの(A−1)を用い、住友重機械工業社製SE75DUZ−C250型射出成形機を用いて、射出時間:10秒、保圧力:成形下限圧+10MPa、保圧時間:10秒、シリンダー温度:230℃、金型温度:60℃で特性評価用試験片を成形した。次に得られた試験片を上記(1)に示した評価手法に従い、熱可塑性樹脂(A−1)単体の熱変形温度を測定した。
また、熱可塑性樹脂(A−1)、及び、サイジング剤(a)として、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(a−1)のSP値を上記(2)に示した評価手法に従いそれぞれ求め、SP値差を算出した。
続いて、参考例1−1から得た炭素繊維(b−1)に、上記のサイジング剤(a−1)を参考例2に示した方法で付与し、炭素繊維(B−1)を得た。
単軸押出機の吐出先端部に溶融樹脂の被覆ダイス口を設置した長繊維強化樹脂ペレット製造装置を使用し、押出機シリンダー温度を220℃に設定し、上記に示した熱可塑性樹脂(A−1)をメインホッパーから供給し、スクリュー回転数200rpmで溶融させ、上記炭素繊維(B−1)を、溶融樹脂を吐出するダイス口(直径3mm)へ供給して、樹脂を被覆したストランドを冷却後、ペレタイザーでペレット長10mm長さに切断して長繊維ペレットとした。ここで成形材料中の炭素繊維(B)の繊維長は、ペレット長と実質的に同等として扱った。この時、熱可塑性樹脂(A−1)100重量部に対し、炭素繊維(B−1)が30重量部となるように、炭素繊維(B−1)の引取速度を調整した。
こうして得られた長繊維ペレットを、住友重機械工業社製SE75DUZ−C250型射出成形機を用いて、射出時間:10秒、保圧力:成形下限圧+10MPa、保圧時間:10秒、シリンダー温度:230℃、金型温度:110℃で特性評価用試験片(成形品)を成形した。得られた試験片は、温度23℃、50%RHに調整された恒温恒湿室に24時間放置後に特性評価試験に供した。次に、得られた特性評価用試験片(成形品)を上記(3)〜(10)に示した評価手法に従い評価した。
一連の評価結果はまとめて表1に示した。
(実施例2)
長繊維ペレットを作製する際、熱可塑性樹脂(A−1)100重量部に対し、炭素繊維(B−1)が5重量部となるようにした以外は、実施例1と同様にして成形評価を行った。評価結果はまとめて表1に示した。
長繊維ペレットを作製する際、熱可塑性樹脂(A−1)100重量部に対し、炭素繊維(B−1)が5重量部となるようにした以外は、実施例1と同様にして成形評価を行った。評価結果はまとめて表1に示した。
(実施例3)
長繊維ペレットを作製する際、熱可塑性樹脂(A−1)100重量部に対し、炭素繊維(B−1)が50重量部となるようにした以外は、実施例1と同様にして成形評価を行った。評価結果はまとめて表1に示した。
長繊維ペレットを作製する際、熱可塑性樹脂(A−1)100重量部に対し、炭素繊維(B−1)が50重量部となるようにした以外は、実施例1と同様にして成形評価を行った。評価結果はまとめて表1に示した。
(実施例4)
炭素繊維(b−1)に付与するサイジング剤(a)に、テルペン樹脂(ヤスハラケミカル(株)製YSレジンPX1250樹脂:主成分としてα−ピネン、β−ピネンを用いて重合された重合体からなる樹脂)(a−2)を用いて炭素繊維(B−2)を得た以外は、実施例1と同様にして成形評価を行った。評価結果はまとめて表1に示した。
炭素繊維(b−1)に付与するサイジング剤(a)に、テルペン樹脂(ヤスハラケミカル(株)製YSレジンPX1250樹脂:主成分としてα−ピネン、β−ピネンを用いて重合された重合体からなる樹脂)(a−2)を用いて炭素繊維(B−2)を得た以外は、実施例1と同様にして成形評価を行った。評価結果はまとめて表1に示した。
(実施例5)
得られた長繊維ペレット成形時の射出成形の際の金型温度を145℃とした以外は、実施例1と同様にして成形評価を行った。評価結果はまとめて表1に示した。
得られた長繊維ペレット成形時の射出成形の際の金型温度を145℃とした以外は、実施例1と同様にして成形評価を行った。評価結果はまとめて表1に示した。
(実施例6)
熱可塑性樹脂(A)として、ナイロン6(東レ(株)製“アミラン(登録商標)”CM1007)(A−2)を用い、射出成形機シリンダー温度を280℃、熱変形温度測定用の試験片成形時の金型温度を80℃、長繊維ペレット成形時の金型温度を190℃とし、さらに、長繊維ペレット作製時の押出機シリンダー温度を250℃に設定した以外は、実施例1と同様にして成形評価を行った。評価結果はまとめて表1に示した。
熱可塑性樹脂(A)として、ナイロン6(東レ(株)製“アミラン(登録商標)”CM1007)(A−2)を用い、射出成形機シリンダー温度を280℃、熱変形温度測定用の試験片成形時の金型温度を80℃、長繊維ペレット成形時の金型温度を190℃とし、さらに、長繊維ペレット作製時の押出機シリンダー温度を250℃に設定した以外は、実施例1と同様にして成形評価を行った。評価結果はまとめて表1に示した。
(実施例7)
熱可塑性樹脂(A)として、ポリカーボネート(帝人化成(株)パンライトL−1250Y)(A−3)を用い、射出成形機シリンダー温度を300℃、熱変形温度測定用の試験片成形時の金型温度を100℃、長繊維ペレット成形時の金型温度を150℃とし、さらに、長繊維ペレット作製時の押出機シリンダー温度を280℃に設定した以外は、実施例1と同様にして成形評価を行った。評価結果はまとめて表1に示した。
熱可塑性樹脂(A)として、ポリカーボネート(帝人化成(株)パンライトL−1250Y)(A−3)を用い、射出成形機シリンダー温度を300℃、熱変形温度測定用の試験片成形時の金型温度を100℃、長繊維ペレット成形時の金型温度を150℃とし、さらに、長繊維ペレット作製時の押出機シリンダー温度を280℃に設定した以外は、実施例1と同様にして成形評価を行った。評価結果はまとめて表1に示した。
(実施例8)
サイジング剤(a)を付与する炭素繊維(b)に参考例1−2から得た炭素繊維(b−2)を用いた以外は、実施例1と同様にして成形評価を行った。評価結果はまとめて表1に示した。
サイジング剤(a)を付与する炭素繊維(b)に参考例1−2から得た炭素繊維(b−2)を用いた以外は、実施例1と同様にして成形評価を行った。評価結果はまとめて表1に示した。
(実施例9)
長繊維ペレットを作製する際、ペレット長が2mmの長さになるように切断した以外は、実施例1と同様にして成形評価を行った。評価結果はまとめて表1に示した。
長繊維ペレットを作製する際、ペレット長が2mmの長さになるように切断した以外は、実施例1と同様にして成形評価を行った。評価結果はまとめて表1に示した。
(実施例10)
長繊維ペレットを作製する際、ペレット長が40mmの長さになるように切断した以外は、実施例1と同様にして成形評価を行った。評価結果はまとめて表1に示した。
長繊維ペレットを作製する際、ペレット長が40mmの長さになるように切断した以外は、実施例1と同様にして成形評価を行った。評価結果はまとめて表1に示した。
(比較例1)
炭素繊維(b−1)にサイジング剤(a)を付与しない以外は、実施例1と同様にして成形評価を行った。長繊維ペレットから糸のす抜けが多発し、射出成形機のホッパーにてブリッジングが起こり、成形品を得るのが困難であった。
炭素繊維(b−1)にサイジング剤(a)を付与しない以外は、実施例1と同様にして成形評価を行った。長繊維ペレットから糸のす抜けが多発し、射出成形機のホッパーにてブリッジングが起こり、成形品を得るのが困難であった。
(比較例2)
炭素繊維(b−1)に付与するサイジング剤(a)に、水溶性ナイロン(東レ(株)製AQナイロンP70)(a−3)を用い炭素繊維(B−3)を得た以外は、実施例1と同様にして成形評価を行った。評価結果はまとめて表2に示した。
炭素繊維(b−1)に付与するサイジング剤(a)に、水溶性ナイロン(東レ(株)製AQナイロンP70)(a−3)を用い炭素繊維(B−3)を得た以外は、実施例1と同様にして成形評価を行った。評価結果はまとめて表2に示した。
(比較例3)
得られた長繊維ペレット成形時の射出成形の際の金型温度を60℃とした以外は、実施例1と同様にして成形評価を行った。評価結果はまとめて表2に示した。
得られた長繊維ペレット成形時の射出成形の際の金型温度を60℃とした以外は、実施例1と同様にして成形評価を行った。評価結果はまとめて表2に示した。
(比較例4)
得られた長繊維ペレット成形時の射出成形の際の金型温度を170℃とした以外は、実施例1と同様にして成形評価を行った。成形品を金型から脱型することができず、評価不能であった。
得られた長繊維ペレット成形時の射出成形の際の金型温度を170℃とした以外は、実施例1と同様にして成形評価を行った。成形品を金型から脱型することができず、評価不能であった。
(比較例5)
参考例1−1から得た炭素繊維(b−1)に、サイジング剤(a)として、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(a−1)を参考例2に示した方法で付与して得た炭素繊維(B−1)をカートリッジカッターにて切断し、6mm長の炭素繊維チョップドストランドを得た。次いで、熱可塑性樹脂(A)として、ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー(株)製プライムポリプロJ105G)とマレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(三井化学(株)製アドマーQE840)を重量比85/15でペレットブレンドしたもの(A−1)と上記炭素繊維チョップドストランドとを、熱可塑性樹脂(A−1)100重量部に対し、炭素繊維(B−1)が30重量部となるようにドライブレンドした。これをJSW製TEX−30α型2軸押出機(スクリュー直径30mm、ダイス直径5mm、バレル温度220℃、スクリュー回転数150rpm)を用いて溶融混練し、溶融混練ペレットを得て、成形材料とした。ここで、上記(3)の評価手法において、ISO型引張ダンベル試験片の代わりに、上記溶融混練ペレット1g用いた以外は同様の手法にて溶融混練ペレット中の炭素繊維(B)の平均繊維長を測定した。
参考例1−1から得た炭素繊維(b−1)に、サイジング剤(a)として、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(a−1)を参考例2に示した方法で付与して得た炭素繊維(B−1)をカートリッジカッターにて切断し、6mm長の炭素繊維チョップドストランドを得た。次いで、熱可塑性樹脂(A)として、ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー(株)製プライムポリプロJ105G)とマレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(三井化学(株)製アドマーQE840)を重量比85/15でペレットブレンドしたもの(A−1)と上記炭素繊維チョップドストランドとを、熱可塑性樹脂(A−1)100重量部に対し、炭素繊維(B−1)が30重量部となるようにドライブレンドした。これをJSW製TEX−30α型2軸押出機(スクリュー直径30mm、ダイス直径5mm、バレル温度220℃、スクリュー回転数150rpm)を用いて溶融混練し、溶融混練ペレットを得て、成形材料とした。ここで、上記(3)の評価手法において、ISO型引張ダンベル試験片の代わりに、上記溶融混練ペレット1g用いた以外は同様の手法にて溶融混練ペレット中の炭素繊維(B)の平均繊維長を測定した。
こうして得られた溶融混練ペレットを、住友重機械工業社製SE75DUZ−C250型射出成形機を用いて、射出時間:10秒、保圧力:成形下限圧+10MPa、保圧時間:10秒、シリンダー温度:230℃、金型温度:110℃で特性評価用試験片(成形品)を成形した。得られた試験片は、温度23℃、50%RHに調整された恒温恒湿室に24時間放置後に特性評価試験に供した。次に、得られた特性評価用試験片(成形品)を上記(3)〜(10)に示した評価手法に従い評価した。一連の評価結果はまとめて表2に示した。
(比較例6)
長繊維ペレットを作製する際、ペレット長が100mmの長さになるように切断した以外は、実施例1と同様にして成形評価を行った。流動性が著しく低く、成形品を得られなかった。
長繊維ペレットを作製する際、ペレット長が100mmの長さになるように切断した以外は、実施例1と同様にして成形評価を行った。流動性が著しく低く、成形品を得られなかった。
実施例1〜5および実施例8〜10いずれの材料も、優れた力学特性、電気絶縁性、電磁波遮蔽性を示した。また、実施例6、7の材料から示されるように、マトリックス樹脂を変更しても同様に高い力学特性、電気絶縁性、電磁波遮蔽性を示した。
一方、比較例1では、サイジング剤を付与しなかったため、長繊維ペレットから糸のす抜けが多発し、射出成形機のホッパーにてブリッジングが起こり、成形品を得るのが困難であった。比較例2では、電磁波遮蔽性は満足するものの、炭素繊維とマトリックス樹脂の接着性が不十分のため力学特性が劣り、また、炭素繊維同士が導電性ネットワークを形成したため、電気絶縁性に劣るものであった。比較例3では、力学特性、電磁波遮蔽性は満足するものの、比較例2と同様、電気絶縁性は達成できていない。比較例4では、金型温度が高く、成形品を金型から脱型することができず、評価不能であった。比較例5では、電気絶縁性は満足するものの、十分な電磁波遮蔽性が得られなかった。比較例6では、成形材料中の炭素繊維(B)の繊維長が長すぎたため、流動性が著しく低下し、成形品を得られなかった。
本発明の炭素繊維強化成形品は、優れた力学特性を有し、電気絶縁性と電磁波遮蔽性を両立することができるため、電気・電子機器、OA機器、家電機器、筐体、または自動車の部品、特には電気自動車の電気部品収納容器に好適に用いられる。
Claims (6)
- 熱可塑性樹脂(A)と、該熱可塑性樹脂(A)とのSP値差が3.5以下であるサイジング剤(a)でサイジング処理されてなり、繊維長/繊維直径から算出されるアスペクト比が250〜10,000である炭素繊維(B)を含む成形材料を、金型温度が前記熱可塑性樹脂(A)の熱変形温度より5〜50℃高い条件で成形する、炭素繊維強化成形品の製造方法。
- 前記成形材料に含まれる前記炭素繊維(B)の平均繊維長が1.5〜40mmである、請求項1に記載の炭素繊維強化成形品の製造方法。
- 前記成形材料が、前記熱可塑性樹脂(A)100重量部に対し、前記炭素繊維(B)を5〜50重量部含む、請求項1または2に記載の炭素繊維強化成形品の製造方法。
- 前記成形材料の形態が長繊維ペレットである、請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維強化成形品の製造方法。
- 請求項1〜4いずれかに記載の炭素繊維強化成形品の製造方法によって得られる、下記[1]および[2]の要件を満たす炭素繊維強化成形品。
[1]成形品中に分散する前記炭素繊維(B)の平均繊維間距離D[μm]と、前記炭素繊維(B)の繊維含有重量分率Wf[%]との関係が下記式で表される。
83×Wf−1.10<D<116×Wf−0.78
[2]成形品の切断面における単位面積あたりの前記炭素繊維(B)の本数の変動係数が15%以下。 - 成形品中に分散する前記炭素繊維(B)の平均繊維長が0.3〜10mmである、請求項5に記載の炭素繊維強化成形品。
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