JP6142539B2 - 成形材料 - Google Patents
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Description
(1) カルボジイミド変性ポリオレフィン(a)、ポリプロピレン系樹脂(b)、強化繊維(c)およびテルペン系樹脂(d)を含有してなる成形材料であって、成形材料中のマトリックス樹脂成分に含まれるカルボジイミド基の含有量が、マトリックス樹脂成分100gに対し、0.0005〜140mmolであり、かつ前記強化繊維(c)が多官能化合物(s)によりサイジング処理されており、さらに成分(c)、(d)を有してなる複合体に、成分(a)、(b)からなるポリプロピレン系樹脂成分が接着されており、(d)成分のSP値が6.5〜9であり、かつ成分(s)のSP値よりも低いことを特徴とする成形材料。
(2) カルボジイミド変性ポリオレフィン(a)、ポリプロピレン系樹脂(b)、強化繊維(c)およびテルペン系樹脂(d)を含有してなる成形材料であって、(a)を0.01〜50質量部、(b)を20〜99質量部、(c)を1〜80質量部、(d)を0.01〜25質量部(ただし、(b)と(c)の合計を100質量部とする)含有し、強化繊維(c)が多官能化合物(s)によりサイジング処理されており、成分(c)、(d)を有してなる複合体に、成分(a)、(b)からなるポリプロピレン系樹脂成分が接着されており、(d)成分のSP値が6.5〜9であり、かつ成分(s)のSP値よりも低いことを特徴とする成形材料。
カルボジイミド変性ポリオレフィン(a)は、カルボジイミド基と反応する基を有するポリオレフィン系樹脂(A)と、カルボジイミド基含有化合物(B)とを反応させることにより得られる。具体的には、両者を溶融混練するなどの方法が挙げられる。
反応率(%) = X/Y × 100
X=反応前(A)のカルボジイミド基と反応する基の吸光度−反応後(a)のカルボジイミド基と反応する基の吸光度
Y=反応前(A)のカルボジイミド基と反応する基の吸光度
カルボジイミド基と反応する基を有するポリオレフィン系樹脂(A)は、ポリオレフィンに、カルボジイミド基と反応する化合物を導入することにより得ることができる。
カルボジイミド基と反応する基を有するポリオレフィン系樹脂(A)は、ポリオレフィン主鎖に対し、カルボジイミド基と反応する基を有する化合物をグラフト共重合することによって得ることが可能である。
カルボジイミド基と反応する基を有するポリオレフィン系樹脂(A)は、オレフィンとカルボジイミド基と反応する化合物をラジカル共重合することによっても得ることが可能である。オレフィンとしては、上述のグラフト主鎖となるポリオレフィンを形成する場合のオレフィンと同一のものを採用することが可能である。また、カルボジイミド基と反応する化合物も上述の通りである。
0.1<Mn/{(100−M)×f/M}<6 (1)
(式中、
f :カルボジイミド基と反応する基を有する化合物の分子量(g/mol)
M :カルボジイミド基と反応する基を有する化合物の含有量(wt%)
Mn:カルボジイミド基と反応する基を有するポリオレフィン系樹脂(A)の数平均分子量
である。)
足する範囲であり、最も好ましくは式(3)を満足する範囲である。
0.3<Mn/{(100−M)×f/M}<4 (2)
0.5<Mn/{(100−M)×f/M}<2.5 (3)
カルボジイミド基含有化合物(B)は、好ましくは下記一般式(4)で示される繰り返し単位を有するポリカルボジイミドである。
−N=C=N−R1− (4)
〔式中、R1は2価の有機基を示す〕
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂(b)は、いわゆる、未変性のポリプロピレン系樹脂であり、プロピレンの単独重合体またはプロピレンとα−オレフィン、共役ジエンおよび非共役ジエンなどから選ばれる少なくとも1種との共重合体が挙げられる。
本発明に用いられる強化繊維(c)としては、特に限定されないが、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、ボロン繊維、金属繊維などの高強度、高弾性率繊維が使用できる。これらは1種または2種以上を併用してもよい。中でも、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維などの炭素繊維を用いるのが好ましい。得られる成形品の強度と弾性率とのバランスの観点から、PAN系炭素繊維がさらに好ましい。また、導電性を付与する目的では、ニッケルや銅やイッテルビウムなどの金属を被覆した強化繊維を用いることもできる。
多官能化合物(s)としては、特に限定されないが、エポキシ基、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシ基等の官能基を1分子中に2個以上有する化合物が使用できる。これらは1種または2種以上を併用してもよい。官能基が1分子中に2個未満である化合物を用いた場合、強化繊維とマトリックス樹脂との接着性および耐水劣化性が低くなる。
したがって、官能基の数は、1分子中に2個以上であることが必須であり、さらに好ましくは、3個以上である。すなわち、多官能化合物としては、3官能以上の官能基を有する化合物を用いるのが良い。
テルペン系樹脂(d)とは、テルペン単量体の単独重合体、もしくは、テルペン単量体と芳香族単量体等との共重合体である。重合は、有機溶媒中でフリーデルクラフツ型触媒存在下で行われる。
空隙率(%)=空隙部の全面積/(複合体部の全面積+空隙部の全面積)×100。
まず、参考例、実施例及び比較例において用いる各種特性の測定方法について説明する。
<メルトフローレート(MFR)>
ASTM D1238に従い、2.16kg荷重の下、230℃にて測定を実施した。
数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。測定装置としてWaters社製ゲル浸透クロマトグラフAlliance GPC−2000型を用い、以下のようにして測定した。分離カラムは、TSKgel GMH6−HTを2本およびTSKgel GMH6−HTLを2本使用した。カラムサイズはいずれも直径7.5mm、長さ300mmであり、カラム温度は140℃とした。移動相としては、酸化防止剤としてBHT(武田薬品)0.025質量%を添加したo−ジクロロベンゼン(和光純薬工業)を用い、1.0ml/分で移動させた。試料濃度は15mg/10mLとし、試料注入量は500マイクロリットルとし、検出器として示差屈折計を用いた。分子量は標準ポリスチレン換算にて算出した。標準ポリスチレンは、分子量がMw<1000およびMw>4×106については東ソー社製を用い、1000≦Mw≦4×106についてはプレッシャーケミカル社製を用いた。
カルボジイミド変性ポリプロピレン(a)のカルボジイミド基含有量は、試料を250℃、3分で熱プレスしてシ−トを作製した後に、赤外分光光度計(日本分光製、FT−IR 410型)を用いて、透過法で該シ−トの赤外吸収スペクトルを測定し、下記の検量線に代入して求めた。測定条件は、分解能を2cm−1、積算回数を32回とした。
<炭素繊維のストランド引張強度および引張弾性率の測定>
炭素繊維束に下記組成の樹脂を含浸させ、130℃の温度で35分間硬化させた後、JIS R7601(1986年)に基づいて引張試験を行った。6本のストランドについて測定し、平均値でストランド引張強度と引張弾性率を求めた。
・3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート(ERL−4221、ユニオンカーバイド社製)・・・・・・・・・100質量部
・3フッ化ホウ素モノエチルアミン(ステラケミファ(株)製)・・・・・3質量部
・アセトン(和光純薬工業(株)製)・・・・・・・・・・・・・・・・・4質量部。
炭素繊維の表面酸素濃度比は、X線光電子分光法により、次の手順にしたがって求めた。まず、炭素繊維束を20mmにカットして、銅製の試料支持台に拡げて並べた後、試料チャンバー中を1×108Torrに保った。X線源としてA1Kα1、2を用い、測定した。測定時の帯電に伴うピークの補正値としてC1sの主ピークの運動エネルギー値(K.E.)を1202eVに合わせた。C1sピーク面積を、K.E.として1191〜1205eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求めた。O1sピーク面積を、K.E.として947〜959eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求めた。O1sピーク面積とC1sピーク面積の比から装置固有の感度補正値を用いて原子数比としてO/Cを算出した。X線光電子分光法装置として、国際電気社製モデルES−200を用い、感度補正値を1.74とした。
<テルペン系樹脂の数平均分子量測定>
テルペン系樹脂の数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて測定した。GPCカラムにはポリスチレン架橋ゲルを充填したものを用いた。溶媒にクロロホルムを用い、150℃にて測定した。分子量は標準ポリスチレン換算にて算出した。
テルペン系樹脂の溶融粘度は、粘弾性測定器にて測定した。40mmのパラレルプレートを用い、0.5Hzにて、190℃にて測定した。
テルペン系樹脂のガラス転移温度は、示差熱走査熱量測定(DSC)にて測定した。アルミニウムサンプルパンを用いて、40℃/min昇温にて測定した。
<複合体空隙率>
ASTM D2734(1997)試験法に準拠して、複合体の空隙率(%)を算出した。
A:0〜5%未満
B:5%以上20%未満
C:20%以上40%未満
D:40%以上。
<成形品の繊維分散性評価>
100mm×100mm×2mmの成形品を成形し、表裏それぞれの面に存在する未分散強化繊維束の個数を目視でカウントした。評価は50枚の成形品についておこない、その合計個数について繊維分散性の判定を以下の基準でおこない、A〜Cを合格とした。
A:未分散強化繊維束が1個以下
B:未分散強化繊維束が1個以上5個未満
C:未分散強化繊維束が5個以上10個未満
D:未分散強化繊維束が10個以上。
ASTM D790(1997)に準拠し、3点曲げ試験冶具(圧子10mm、支点10mm)を用いて支持スパンを100mmに設定し、クロスヘッド速度5.3mm/分の試験条件にて曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。試験機として、“インストロン”(登録商標)万能試験機4201型(インストロン社製)を用いた。試験片は、温度23℃、50%RHに調整された恒温恒湿室に24時間放置後に特性評価試験に供した。
6個の成形品について測定し、平均値で曲げ強度を求めた。
A:150MPa以上
B:130MPa以上150MPa未満
C:100MPa以上130MPa未満
D:100MPa未満。
モールドノッチ付きアイゾット衝撃試験用の試験片(厚み3.2mm)を用意し、減圧乾燥器にて、乾燥し、乾燥質量W1(g)を測定した。
(吸水率)=(W2−W1)/W1×100
吸水率は10個の試験片についてで測定し、その平均値を求めた。
ASTM D256(1993)に準拠し、モールドノッチ付きアイゾット衝撃試験を行った。厚み3.2mmの試験片を用い、アイゾット衝撃強度(J/m)を測定した。試験片としては、上記<成形品の熱水浸漬および吸水率の測定>に記載の方法に従って調製した乾燥サンプルおよび吸水サンプルを用い、それぞれ10個の試験片について測定し、その平均値を算出した。アイゾット衝撃試験の判定は以下の基準で行い、A〜Cを合格とした。
A:250J/m以上
B:200J/m以上250J/m未満
C:150J/m以上200J/m未満
D:150J/m未満。
(強度保持率)=(吸水サンプルの衝撃強度)/(乾燥サンプルの衝撃強度)×100
A:90%以上
B:70%以上90%未満
C:50%以上70%未満
D:50%未満。
上記吸水サンプルについて、アイゾッド衝撃試験後の破断サンプルの破断面をSEM(走査型電子顕微鏡)にて観察し、強化繊維表面に樹脂成分の付着があるか否かを、任意の強化繊維を5本選択し、目視判定にておこなった。また判定は以下の基準でおこなった。
A:強化繊維表面のほぼ全ての領域(90%以上)に樹脂の付着が認められる
B:強化繊維表面の50%以上90%未満の領域に樹脂の付着が認められる
C:強化繊維表面に樹脂の付着が認められるのが50%未満である。
各化合物のSP値は、化合物の分子式から、下記に示す式を用いて算出した。
σ(SP値)=(ΣEcoh/ΣV)1/2
参考例、実施例及び比較例において使用した原料を以下に示す。尚、特に断らない限りはいずれも市販品を使用した。
PP1 :ポリプロピレン(ランダムPP)
(商品名F327、プライムポリマー社製、MFR(230℃)7g/10分)
PP2 :ポリプロピレン(ブロックPP)
(商品名J707G、プライムポリマー社製、MFR(230℃)30g/10分)
PP3 :ポリプロピレン(ホモPP)
(商品名J106G、プライムポリマー社製、MFR(230℃)15g/10分)
(s)−1 :グリセロールトリグリシジルエーテル(官能基:エポキシ基、官能基数3)
(s)−2 :ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ基、官能基数2)
(ジャパンエポキシレジン(株)製 jER828)
(s)−3 :酸変性ポリプロピレン(カルボキシル基、官能基数5)
(丸芳化学(株)製 酸変性ポリプロピレンエマルション)
(s)−4 :ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(エポキシ基、官能基数5)
(ナガセケムテックス(株)製 “デナコール”(登録商標)EX−521)
(s)−7 :ポリエチレンイミン(アミノ基、官能基数28)
(シグマ・アルドリッチ社製 ポリエチレンイミンMn1,200)
(s)´−1 :ポリブテン(官能基なし、官能基数0)
(日油(株)製 “エマウェット”(登録商標)200E)
使用した炭素繊維は後に示す参考例7−9に従い調製した。ガラス繊維は、
GF−1 :ガラス繊維(日東紡績製240TEX、総単糸数 1600本)
を使用した。
(d)−1 :テルペン樹脂(ヤスハラケミカル(株)製“YSレジン”(登録商標)PX1250樹脂:主成分としてα−ピネンおよびβ−ピネンを用いて重合された重合体からなる樹脂)
(d)−2 :水添テルペン樹脂(ヤスハラケミカル(株)製“クリアロン”(登録商標)P−105樹脂:主成分としてd−リモネンを用いて重合された重合体を水素添加反応された重合体からなる樹脂)
(e)−1 :エチレン−α−オレフィン共重合体(住友化学(株)製CX5505)
(e)−2 :スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(旭化成工業(株)製“タフテック”(登録商標)H1052)
・参考例1
PP1(プライムポリマー社製、F327)100質量部に、無水マレイン酸(和光純薬社製、以下、MAHと略記)1質量部、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3(日本油脂社製、商品名パーヘキシン(登録商標)25B)0.25質量部を混合し、二軸混練機(日本製鋼所製、TEX−30、L/D=40、真空ベント使用)を用いて、シリンダー温度220℃、スクリュ−回転数200rpm、吐出量80g/分にて押し出し、マレイン酸変性ポリプロピレン(以下、MAH−PP1と略記)を得た。得られたMAH−PP1をキシレンに溶解し、次いで得られたキシレン溶液をアセトンに注ぐことで、MAH−PP1を再沈させて精製した。無水マレイン酸のグラフト量をIRにて測定したところ0.7質量%であった。数平均分子量(Mn)はGPCにて測定したところ、Mn28,000であった。
式中、
f :無水マレイン酸の分子量98(g/mol)
M :無水マレイン酸の含有量0.7(wt%)
Mn:MAH−PP1の数平均分子量28,000
である。
参考例1におけるマレイン酸変性ポリプロピレンの製造において、MAHを0.05質量部、パーヘキシン25Bを0.02質量部とし、二軸混練機のシリンダー温度を260℃としたほかは参考例1と同様にしてマレイン酸変性ポリプロピレン(以下、MAH−PP2と略記)を得た。得られたMAH−PP2の無水マレイン酸のグラフト量をIRにて測定したところ0.03質量%であった。数平均分子量(Mn)はGPCにて測定したところ、Mn29,000であった。
式中、
f :無水マレイン酸の分子量98(g/mol)
M :無水マレイン酸の含有量0.03(wt%)
Mn:MAH−PP2の数平均分子量29,000
である。
PP3(プライムポリマー社製、J106G)を100質量部、MAH 30質量部、ジクミルパーオキサイド(日本油脂社製、商品名パークミル(登録商標)D)5質量部を混合し、トルエン溶液中にて5時間の反応をおこない、マレイン酸変性ポリプロピレン(以下、MAH−PP3と略記)を得た。得られたMAH−PP3の無水マレイン酸のグラフト量をIRにて測定したところ5.0質量%であった。数平均分子量(Mn)はGPCにて測定したところ、Mn18,000であった。MAH−PP3について、Mn/{(100−M)×f/M}の値は、10である。
式中、
f :無水マレイン酸の分子量98(g/mol)
M :無水マレイン酸の含有量5.0(wt%)
Mn:MAH−PP2の数平均分子量18,000
である。
・参考例4
参考例1で製造したMAH−PP1を100質量部およびカルボジイミド基含有化合物(日清紡社製、商品名カルボジライト(登録商標)HMV−8CA、カルボジイミド基当量278、数平均分子量2500)を8.8質量部混合し、二軸混練機(日本製鋼所製、TEX−30、L/D=40、真空ベント使用)を用いてシリンダー温度250℃、スクリュ−回転数200rpm、吐出量80g/分にて押し出し、カルボジイミド変性ポリプロピレン(以下、CDI−PP1と略記)を得た。得られたCDI−PP1のMFR(230℃、2.16kg荷重)は130g/10分であった。IR分析によれば、マレイン酸ピークが消失していたことから反応率は100%であり、カルボジイミド基含有量は27mmol/100gであった。
参考例4と同様に、参考例2で製造したMAH−PP2を100質量部およびカルボジイミド基含有化合物を0.25質量部混合し、二軸混練機を用いて押し出し、カルボジイミド変性ポリプロピレン(以下、CDI−PP2と略記)を得た。得られたCDI−PP2は、カルボジイミド基含有量が0.09mmol/100gであった。
参考例4と同様に、参考例3で製造したMAH−PP3を100質量部およびカルボジイミド基含有化合物を150質量部混合し、二軸混練機を用いて押し出し、カルボジイミド変性ポリプロピレン(以下、CDI−PP3と略記)を得た。押し出した樹脂の様子は、ややゲル化を伴っていた。得られたCDI−PP3は、カルボジイミド基含有量が220mmol/100gであった。
・参考例7
ポリアクリロニトリルを主成分とする共重合体を用いて、紡糸、焼成処理および表面酸化処理を行なうことによって、総単糸数12,000本の連続炭素繊維(以下、CF−1と略記)を得た。この連続炭素繊維の特性は次に示す通りであった。
単繊維径:7μm
単位長さ当たりの質量:0.8g/m
比重:1.8
表面酸素濃度比 [O/C]:0.06
ストランド引張強度:4900MPa
引張弾性率:230GPa。
ポリアクリロニトリルを主成分とする共重合体を用いて、紡糸、焼成処理および表面酸化処理を行なうことによって、総単糸数12,000本の連続炭素繊維(以下、CF−2と略記)を得た。この連続炭素繊維の特性は次に示す通りであった。
単繊維径:7μm
単位長さ当たりの質量:0.8g/m
比重:1.8
表面酸素濃度比 [O/C]:0.12
ストランド引張強度:4900MPa
引張弾性率:230GPa。
ポリアクリロニトリルを主成分とする共重合体を用いて、紡糸、焼成処理および表面酸化処理を行ない、総単糸数12,000本の連続炭素繊維(以下、CF−3と略記)を得た。この連続炭素繊維の特性は次に示す通りであった。
単繊維径:7μm
単位長さ当たりの質量:0.8g/m
比重:1.8
表面酸素濃度比 [O/C]:0.03
ストランド引張強度:4900MPa
引張弾性率:230GPa。
・参考例10
サイジング剤を2質量%になるように水に溶解、または分散させたサイジング剤母液を調製し、参考例7〜9で調製した強化繊維に、浸漬法によりサイジング剤を付与し、230℃で乾燥を行った。付着量は1.0質量%であった。
・実施例1
130℃加熱されたロール上に、(d)テルペン系樹脂として(d)−1テルペン樹脂を加熱溶融した液体の被膜を形成させた。ロール上に一定した厚みの被膜を形成するためキスコーターを用いた。このロール上を、参考例7に従い得られたCF−1に、参考例10に従い多官能化合物として、(s)−1(グリセロールトリグリシジルエーテル)を用いてサイジング処理をした連続炭素繊維束を接触させながら通過させて、連続炭素繊維束に(d)−1を、成分(b)と成分(c)の合計100質量部に対して1.0質量部となるように付着させた。次に、成分(d)が付着した連続炭素繊維束を、180℃に加熱された、ベアリングで自由に回転する、一直線上に配置された10本の直径50mmのロールの上下を、交互に通過させた。この操作により、(d)テルペン系樹脂を繊維束の内部まで含浸させ、複合体を形成した。
(d)テルペン系樹脂を3.0質量部に変更した以外は実施例1と同様にして成形材料を得、成形評価を行なった。特性評価結果を表1に記載した。
(d)テルペン系樹脂を5.0質量部に変更した以外は実施例1と同様にして成形材料を得、成形評価を行なった。特性評価結果を表1に記載した。
(d)テルペン系樹脂を10.0質量部に変更した以外は実施例1と同様にして成形材料を得、成形評価を行なった。特性評価結果を表1に記載した。
(d)テルペン系樹脂として(d)−1の代わりに(d)−2水添テルペン樹脂を用いた以外は実施例3と同様にして成形材料を得、成形評価を行なった。特性評価結果を表1に記載した。
多官能化合物として(s)−1の代わりに(s)−2(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして成形材料を得、成形評価を行なった。特性評価結果を表1に記載した。
多官能化合物として(s)−1の代わりに(s)−3(酸変性ポリプロピレン)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして成形材料を得、成形評価を行なった。特性評価結果を表1に記載した。
多官能化合物として(s)−1の代わりに(s)−4(ポリグリセロールポリグリシジルエーテル)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして成形材料を得、成形評価を行なった。特性評価結果を表1に記載した。
多官能化合物として(s)−1の代わりに(s)−7(ポリエチレンイミン)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして成形材料を得、成形評価を行なった。特性評価結果を表1に記載し た。
(c)強化繊維として、CF−1の代わりに参考例8に従い得られたCF−2を用いたこと以外は、実施例3と同様にして成形材料を得、成形評価を行なった。特性評価結果を表1に記載した。
多官能化合物として(s)−1の代わりに(s)−4を用い、(c)強化繊維として、CF−1の代わりに参考例8に従い得られたCF−2を用いたこと以外は、実施例3と同様にして成形材料を得、成形評価を行なった。特性評価結果を表1に記載した。
(e)エラストマーとして、(e)−1(エチレン−α−オレフィン共重合体)を10質量部用い、ポリプロピレン系樹脂混合物に加えて吐出し、複合体の周囲を被覆するように連続的に配置した以外は実施例3と同様にして成形材料を得、成形評価をおこなった。特性評価結果を表2に記載した。
(e)エラストマーとして、(e)−2(スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体)を10質量部用い、ポリプロピレン系樹脂混合物に加えて吐出し、複合体の周囲を被覆するように連続的に配置した以外は実施例3と同様にして成形材料を得、成形評価をおこなった。特性評価結果を表2に記載した。
(a)成分としてCDI−PP1を4質量部に変更した以外は実施例3と同様にして成形材料を得、成形評価を行なった。特性評価結果を表2に記載した。
(a)成分としてCDI−PP1を16質量部に変更した以外は実施例3と同様にして成形材料を得、成形評価を行なった。特性評価結果を表2に記載した。
(a)成分としてCDI−PP1を24質量部に変更した以外は実施例3と同様にして成形材料を得、成形評価を行なった。特性評価結果を表2に記載した。
(c)強化繊維として、CF−1の代わりに参考例9に従い得られたCF−3を用いたこと以外は、実施例3と同様にして成形材料を得、成形評価を行なった。特性評価結果を表2に記載した。
(a)成分としてCDI−PP1の代わりに、参考例2および参考例5に従い調整したCDI−PP2を8質量部用いたこと以外は、実施例3と同様にして成形材料を得、成形評価を行なった。特性評価結果を表2に記載した。
(a)成分としてCDI−PP1の代わりに、参考例3および参考例6に従い調整したCDI−PP3を8質量部用いたこと以外は、実施例3と同様にして成形材料を得、成形評価を行なった。特性評価結果を表2に記載した。
(c)強化繊維として、CF−1の代わりにGF−1 (ガラス繊維:日東紡績製240TEX、総単糸数 1600本)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして成形材料を得、成形評価を行なった。特性評価結果を表2に記載した。
参考例7で得られたCF−1を、サイジング剤を付着させずに20質量部用い、(d)テルペン系樹脂として(d)−1を5.0質量部、(a)成分としてCDI−PP1を8質量部、(b)成分としてPP2を80質量部用いた以外は、実施例3と同様に成形材料の製造を試みたが、成形材料作製時に炭素繊維が毛羽立ち、ペレット状の成形材料を得ることができなかった。成形評価を試みたが、成形機内へのフィード性が不十分であり、安定して成形品を得ることができなかった。
多官能化合物(s)−1の代わりに、サイジング剤として官能基を有さない(s)´−1(ポリブテン)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして成形材料を得、成形評価を行なった。特性評価結果を表3に記載した。
(a)成分としてCDI−PP1を16質量部に変更した以外は、比較例2と同様にして成形材料を得、成形評価を行なった。特性評価結果を表3に記載した。
(a)成分CDI−PP1の代わりに、参考例1に従い調整したMAH−PP1を8質量部用いたこと以外は、実施例3と同様にして成形材料を得、成形評価を行なった。特性評価結果を表3に記載した。
参考例1に従い調整したMAH−PP1を16質量部に変更した以外は比較例4と同様にして成形材料を得、成形評価を行なった。特性評価結果を表3に記載した。
テルペン系樹脂を添加せず、参考例7に従い得られたCF−1に、参考例10に従い多官能化合物として、(s)−2を用いてサイジング処理をした連続炭素繊維束をそのまま、日本製鋼所(株)TEX−30α型2軸押出機(スクリュー直径30mm、L/D=32)の先端に設置された電線被覆法用のコーティングダイ中に通し、押出機からダイ内に230℃に溶融させたポリプロピレン系樹脂混合物((a)成分として参考例1および参考例4に従い調製したCDI−PP1を8質量部および(b)成分としてPP2を80質量部混合したもの)を吐出させて、複合体の周囲を被覆するように連続的に配置した。この際、サイジング処理をした炭素繊維束の含有率が、成分(b)と成分(c)の合計100質量部に対して20質量部(サイジング含む)になるようにプロピレン系樹脂混合物量を調整した。得られた成形材料を冷却後、カッターで切断してペレット状の成形材料とした。
ポリカルボジイミド変性ポリプロピレンを用い、サイジング剤として多官能化合物を用い、さらにテルペン系樹脂を用いた実施例1〜実施例20においては、成形材料(長繊維ペレット)は取扱い性に優れ、また該成形材料を用いることで繊維分散性に優れ、かつ力学特性に優れ、吸水時でも衝撃強度の低下が少なく、耐水劣化性を有する成形品を得ることができた。
テルペン系樹脂の配合量を成分(b)と成分(c)の合計100質量部に対して5質量部と固定して比較すると、ポリカルボジイミド変性ポリプロピレンを用い、サイジングとして多官能化合物を用いた実施例3および実施例6〜実施例8においては、繊維分散性および力学特性に優れ、かつ吸水時でも衝撃強度の低下が少なく、耐水劣化性を有する成形品を得ることができた。
用いる炭素繊維の表面酸素濃度比O/Cは、0.01〜0.12の範囲において、高いほど、力学特性および耐水劣化性に優れる傾向があった。
実施例18について、CDI−PP2は、その原料であるMAH−PP2のMn/{(100−M)×f/M}の値が、0.09と低いために、グラフトされたMAHの含有量にあわせて製造したCDI−PP2のカルボジイミド基含有量が0.09mmol/100gと低かった。実施例3と比較すると得られた成形品の力学特性には若干劣っていたが、吸水時の衝撃強度低下は少なく、耐水劣化性を有していた。
サイジング剤として多官能化合物を用いたが、ポリカルボジイミド変性ポリプロピレンを用いず、代わりにマレイン酸変性ポリプロピレンを用いた比較例4および比較例5においては、繊維分散性、曲げ強度、乾燥時の衝撃強度などの力学特性に優れた成形品を得ることができるものの、吸水時に大幅に衝撃強度が低下し、耐水劣化性を有する成形品は得られなかった。
2 テルペン系樹脂(d)
3 多官能化合物(s)によりサイジング処理された(c)強化繊維と(d)テルペン系樹脂からなる複合体
4 カルボジイミド変性ポリオレフィン(a)、ポリプロピレン系樹脂(b)からなるポリプロピレン系樹脂成分
Claims (26)
- カルボジイミド変性ポリオレフィン(a)、ポリプロピレン系樹脂(b)、強化繊維(c)およびテルペン系樹脂(d)を含有してなる成形材料であって、成形材料中のマトリックス樹脂成分に含まれるカルボジイミド基の含有量が、マトリックス樹脂成分100gに対し、0.0005〜140mmolであり、かつ前記強化繊維(c)が多官能化合物(s)によりサイジング処理されており、さらに成分(c)、(d)を有してなる複合体に、成分(a)、(b)からなるポリプロピレン系樹脂成分が接着されており、(d)成分のSP値が6.5〜9であり、かつ成分(s)のSP値よりも低いことを特徴とする成形材料。
- カルボジイミド変性ポリオレフィン(a)、ポリプロピレン系樹脂(b)、強化繊維(c)およびテルペン系樹脂(d)を含有してなる成形材料であって、(a)を0.01〜50質量部、(b)を20〜99質量部、(c)を1〜80質量部、(d)を0.01〜25質量部(ただし、(b)と(c)の合計を100質量部とする)含有し、強化繊維(c)が多官能化合物(s)によりサイジング処理されており、成分(c)、(d)を有してなる複合体に、成分(a)、(b)からなるポリプロピレン系樹脂成分が接着されており、(d)成分のSP値が6.5〜9であり、かつ成分(s)のSP値よりも低いことを特徴とする成形材料。
- 前記カルボジイミド変性ポリオレフィン(a)が、該変性ポリオレフィン100グラムに対しカルボジイミド基の含有量が1〜200mmolである、請求項2に記載の成形材料。
- 前記カルボジイミド変性ポリオレフィン(a)は、カルボジイミド基と反応する基を有するポリオレフィン系樹脂(A)と、カルボジイミド基含有化合物(B)を反応させて得られるものである、請求項1〜3のいずれかに記載の成形材料。
- 前記ポリオレフィン系樹脂(A)は、カルボジイミド基と反応する化合物をポリオレフィンに導入したものであって、ポリオレフィン系樹脂(A)が下記式(1)を満たす重合体である、請求項4に記載の成形材料。
0.1<Mn/{(100−M)×f/M}<6 (1)
(式中、
f :カルボジイミド基と反応する基を有する化合物の分子量(g/mol)
M :カルボジイミド基と反応する基を有する化合物の含有量(wt%)
Mn:カルボジイミド基と反応する基を有するポリオレフィン系樹脂(A)の数平均分子量
である。) - 前記ポリオレフィン系樹脂(A)が、無水マレイン酸基を有するポリオレフィン系樹脂である、請求項4または5に記載の成形材料。
- 前記成分(d)が、α−ピネン、β−ピネン、ジペンテンおよびd−リモネンから選択される単量体単位を含む重合体である、請求項1〜6のいずれかに記載の成形材料。
- 前記成分(d)が水素添加反応された水素化テルペン樹脂である、請求項1〜7のいずれかに記載の成形材料。
- 前記成分(d)のガラス転移温度が30〜100℃である、請求項1〜8のいずれかに記載の成形材料。
- 前記成分(d)の数平均分子量が500〜5000である、請求項1〜9のいずれかに記載の成形材料。
- 前記成分(d)の190℃における溶融粘度が、0.05〜1Pa・sである、請求項1〜10のいずれかに記載の成形材料。
- 前記成分(a)〜(d)に加えて、成分(e)として、エラストマーを、成分(b)と成分(c)の合計100質量部に対して0.01〜30質量部さらに含有する、請求項1〜11いずれかに記載の成形材料。
- 前記成分(e)がオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、エステル系エラストマーおよびアミド系エラストマーから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項12に記載の成形材料。
- 前記成分(e)のSP値が6.5〜9.5である、請求項12または13に記載の成形材料。
- 前記成分(e)がエチレン−α−オレフィン共重合体である、請求項13または14に記載の成形材料。
- 強化繊維(c)が炭素繊維である、請求項1〜15のいずれかに記載の成形材料。
- 前記多官能化合物(s)が、3官能以上の官能基を有する化合物である、請求項1〜16のいずれかに記載の成形材料。
- 前記多官能化合物(s)における官能基が、エポキシ基、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基から選択される少なくとも1種である、請求項1〜17のいずれかに記載の成形材料。
- 前記多官能化合物(s)が、脂肪族エポキシ樹脂である、請求項1〜18のいずれかに記載の成形材料。
- 前記多官能化合物(s)が、ポリエチレンイミンである、請求項1〜18のいずれかに記載の成形材料。
- 前記炭素繊維のX線光電子分光法(ESCA)で測定される表面酸素濃度比(O/C)が0.05〜0.5である、請求項16に記載の成形材料。
- 前記成形材料において、成分(c)に対する空隙率が20%以下である、請求項1〜21のいずれかに記載の成形材料。
- 前記成分(c)が軸心方向にほぼ平行に配列されており、かつ該成分(c)の長さが成形材料の長さと同じである、請求項1〜22のいずれかに記載の成形材料。
- 前記複合体が芯構造であり、前記成分(a)および成分(b)からなるポリプロピレン系樹脂組成物が該複合体の周囲を被覆した芯鞘構造である、請求項1〜23に記載の成形材料。
- 前記成形材料が長繊維ペレットである、請求項1〜24のいずれかに記載の成形材料。
- 前記長繊維ペレットの長さが1〜50mmである、請求項1〜25のいずれかに記載の成形材料。
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