JP3594745B2 - シリコーンゴムフィルム複合体の製造法 - Google Patents

シリコーンゴムフィルム複合体の製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、シリコーンゴムフィルム複合体の製造法に関し、より詳しくはシリコーンゴムフィルムとポリエステルフィルムとの積層体からなり、シリコーンゴムフィルムとポリエステルフィルムとの界面接着力が優れ、かつシリコーンゴムフィルムの表面粗度が任意に設定されたシリコーンゴムフィルム複合体を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
シリコーンゴムフィルムは、優れた耐熱性とクッション性を有しているため、産業上の広い分野でシール材やクッション材等に使用されている。しかしながら、シリコーンゴムフィルムは、他の素材との接着性に乏しく、シリコーンゴムフィルムを装置や部品に組み込む場合に高価な接着剤を必要とした。また、シリコーンゴムフィルムは、柔軟であるため、組み込み作業時の作業性に劣る等の欠点も有していた。このような問題を解決する手段として、シリコーンゴムフィルムと同様に耐熱性に優れ、かつシリコーンゴムフィルムよりも接着性が良好で、低価格の汎用接着剤で接着可能なポリエステルフィルムと複合することが知られており、この方法はシリコーンゴムフィルムがポリエステルフィルムで補強されるため、組み込み作業時の作業性は向上するが、シリコーンゴムフィルムとポリエステルフィルムの接着性が悪いため実用的でない。
【0003】
シリコーンゴムと他の素材との接着性を向上する手段として、シリコーンゴムにアリルグリシジルエーテル、グリシジルアクリレートを配合すること(特開昭54−162751号公報参照)、ヘキサビニルジシロキサン、ジメチルテトラビニルジシロキサン等のオルガノシロキサンを配合すること(特開平3−111452号公報参照)、アルケニルカーボネート基含有化合物および/またはメルカプトアセテート基含有化合物を配合すること(特開平8−120177号公報参照)等が提案されているが、これらを配合したシリコーンゴムからなるフィルムをポリエステルフィルムに積層しても、両フィルム間の界面接着力はまだ不十分であって、実用的な複合体が得られていない。
【0004】
一方、上記のシリコーンゴムフィルム複合体は、使用目的により、その表面粗度を種々に変えたい場合がある。例えば、コンパクトディスクのドライブテーブル上に取付けるための緩衝用ゴムテープにおいては、コンパクトディスクのグリップ性と離脱性をバランスさせるため、表面粗度を適度に設定する必要がある。このような目的でシリコーンゴムフィルム複合体の表面粗度をコントロールする手段として、表面粗度の異なるフィルムや布帛からなるカバーシートを未架橋状態のシリコーンゴムフィルム表面に重ね合わせてカバーシートの表面形態をシリコーンゴムフィルムに転写する方法が知られている。例えば、一般のゴムシートの表面に微細な凹凸を付与する手段として、マット加工やエンボス加工を施したポリエステルフィルムや塩化ビニルフィルム、またはナイロンタフタやポリエステルタフタ等のフィラメント織物をカバーシートに用いた目付けが広く行われている。
【0005】
ところで、上記のカバーシートは、上記シリコーンゴムフィルムの未架橋時にその表面に重ね合わされ、架橋後に剥離されるが、前記のようにシリコーンゴムフィルムにポリエステルフィルムとの界面接着力を向上させる接着力向上剤が配合されている場合は、架橋後にカバーシートを剥離しようとしても、シリコーンゴムフィルムとカバーシート間の接着力が向上しているため、カバーシートの剥離が困難になり、かといって架橋処理前にカバーシートを剥離したのでは、シリコーンゴムフィルムがカバーシートに付着するという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、シリコーンゴムフィルムとポリエステルフィルムの積層体からなり、各種の装置や部品に組み込む際に安価な汎用接着剤で接着加工を行うことができ、組み込み作業の際の作業性が良好で、かつ界面接着力に優れたシリコーンゴムフィルム複合体であって、しかもシリコーンゴムフィルムの表面粗度を光沢面や梨地等の任意の粗度に設定することができるシリコーンゴムフィルム複合体の製造法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は、請求項1に記載のように、ポリエステルフィルムにシリコーンゴム100重量部に対し多価アルコールのメタクリル酸エステルを0.2〜20重量部配合して得られたシリコーンゴム組成物からなるシリコーンゴムフィルムおよび該シリコーンゴムフィルムに対して離型性が良好で架橋処理後の界面剥離強度が3N/20mm以下のカバーシートを順に積層し、次いで架橋処理を行い、しかるのち上記のカバーシートを剥離することを特徴とするシリコーンゴムフィルム複合体の製造法である。
【0008】
上記のカバーシートとしては、請求項2に記載のようにポリ−4−メチルペンテン−1を主成分とする布帛またはフィルムが好適である。また、請求項3に記載のように、エチレン・メチルメタクリレート共重合体からなる布帛またはフィルムが好適に使用可能である。
【0009】
この発明では、架橋後のシリコーンゴムフィルムとカバーシートの界面剥離強度が3N/20mm以下に低くなるため、架橋処理後にカバーシートを容易に剥離することができる。そして、得られた複合体は、シリコーンゴムフィルムとポリエステルフィルムの複合体であるから、任意の装置に組み込む際、ポリエステルフィルム面を接着剤で接着することにより、上記装置の所望箇所に容易に接着でき、かつポリエステルフィルムの存在により、組み込み時の作業性もシリコーンゴムフィルム単体に比べて良好である。
【0010】
そして、シリコーンゴムフィルムがシリコーンゴム100重量部に対し多価アルコールのメタクリル酸エステルを0.2〜20重量部配合したシリコーンゴム組成物から製造されるため、シリコーンゴムフィルムとポリエステルフィルムの界面剥離強度を後記のように4N/20mm以上、好ましくは6N/20mm以上、特に好ましくは8N/20mm以上に大きくすることが可能であり、そのため上記装置への接着後にシリコーンゴムフィルムがポリエステルフィルムとの界面から剥離することもない。したがって、シリコーンゴムフィルムの優れた耐熱性およびクッション性を活かしてシール材やクッション材として有効に利用できる。
【0011】
この発明で用いるシリコーンゴムは、平均単位式:Ra Si O(4−a)/2 で表されるオルガノポリシロキサンである。上式中、Rは置換または非置換の一価炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等が挙げられ、好ましくはメチル基、ビニル基、フェニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基である。また、上式中、aは1.9〜2.1の範囲内の数である。シリコーンゴム成分は、上記の平均単位式で表されるが、これを構成する具体的なシロキサン単位としては、例えば、RSi O1/2 単位、R(HO)Si O1/2 単位、RSi O2/2 単位、RSi O3/2 単位およびSi O4/2 単位が挙げられる。
【0012】
シリコーンゴム成分の主成分は、RSi O2/2 単位とRSi O1/2 単位もしくはR(HO)Si O1/2 単位を必須とする直鎖状の重合体であり、場合により少量のRSi O3/2 単位および/またはRSi O1/2 単位を含有して、一部分岐構造を有することができる。また、シリコーンゴム成分の一部としてRSi O1/2 単位およびSi O4/2 単位からなる樹脂状の重合体を配合することができる。このようにシリコーンゴム成分は、二種以上の重合体の混合物であってもよい。また、本組成物が付加反応硬化型シリコーンゴム組成物である場合には、上記平均単位式で表されるオルガノポリシロキサン中のRの少なくとも2個はアルケニル基であることが必要である。
【0013】
また、シリコーンゴム成分の分子構造は特に限定されず、例えば、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、分岐鎖状、樹脂状等が挙げられ、シリコーンゴムを形成するためには、直鎖状の重合体か、または直鎖状の重合体を主成分とする混合物である。このようなシリコーンゴム成分としては、例えば、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメトキシシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメトキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメトキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメトキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、RSi O1/2 単位とSi O4/2 単位からなるオルガノポリシロキサン共重合体、RSi O2/2 単位とRSi O3/2 単位からなるオルガノポリシロキサン共重合体、RSi O1/2 単位とRSi O2/2 単位とRSi O3/2 単位からなるオルガノポリシロキサン共重合体、これら二種以上の混合物が挙げられる。なお、上記シリコーンゴム成分の25℃における粘度は、特に限定されないが、実用的には100センチストークス以上、特に1,000センチストークス以上が好ましい。
【0014】
この発明に使用される多価アルコールのメタクリル酸エステルは、2個以上のアルコール性水酸基を有する多価アルコールのアルコール性水酸基2個以上をメタクリル酸でエステル化したエステル化合物であり、例えばエチレングリコールジメタクリレート、1,3ブタンジオールジメタクリレート、1,4ブタンジオールジメタクリレート、1,6ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、2,2′ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロン、グリセンジメタクリレート、グリセントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、テトラメチロールメタンジメタクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールテトラメタクリレート等が挙げられ、特に3個以上のメタクリル酸エステルを含む化合物が好ましい。なお、上記の化合物は、いずれか一種を単独で用いてもよく、また二種以上を併用してもよい。
【0015】
上記メタクリル酸エステルの配合量は、シリコーンゴム100重量部に対して0.2〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部であり、0.2重量部未満ではポリエステルフィルムとの接着強度が不十分となり、反対に20重量部を超えると上記接着強度の向上効果が飽和に達し、かつシリコーンゴムの物性が低下する。なお、上記のメタクリル酸エステルは、シリコーンゴム組成物の接着性向上剤となるものであるが、必要に応じて補強性充填剤、顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、離型剤、難燃剤、チクソトロピー性付与剤、充填剤用分散剤、共架橋剤等を配合することができる。
【0016】
シリコーンゴムに上記配合剤を配合する方法は、特に限定されず、例えばシリコーンゴムコンパウンドを作製する際に2本ロール、バンバリーミキサー、ドウミキサー(ニーダー)などのゴム練り機を用いて行ってもよく、またシリコーンゴムを溶剤に溶解し、流延法で製膜する場合は、シリコーンゴムコンパウンドを溶媒に溶解して溶液を作製する際、または得られた溶液に添加配合する方法で実施してもよい。
【0017】
この発明におけるポリエステルフィルムは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等を主成分とするものであれば任意に使用できる。このポリエステルフィルムとして、その表面を活性線で処理したり、ポリエステルフィルムの表面に接着性を向上させる化合物を積層したりした易接着性ポリエステルフィルムを使用することができ、この場合は前記シリコーンゴムフィルムにおける接着性向上剤の配合量を少なくすることができる。すなわち、上記の活性線処理、易接着性ポリエステルフィルムの選択および上記接着性向上剤の配合量等の組合わせにより、シリコーンゴフィルムおよびポリエステルフィルムの界面剥離強度が設定されるが、その大きさは4N/20mm以上が好ましく、6N/20mm以上が一層好ましく、8N/20mm以上が更に好ましい。
【0018】
上記の活性線による処理方法としては、コロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理、火炎処理等が例示され、易接着層積層フィルムの易接着成分としては、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアクリル系の化合物、またはこれらの配合物が挙げられる。易接着層を積層する方法は、製膜時に積層するいわゆるインライン法、または製膜したフィルムに積層するいわゆるオフライン法のいずれでもよい。また、易接着層を積層したフィルムの易接着層表面を上記の活性線で処理したもの等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0019】
カバーシートとして用いられるポリ−4−メチルペンテン−1を主成分とするフィルムまたは布帛は、ポリ−4−メチルペンテン−1成分を20モル%以上含む組成のものであればよく、その構造や製法は任意である。また、ホモポリマーまたは他のα−オレフィンとの共重合体のいずれでもよく、さらにこれらのポリマーと他のα−オレフィンとの混合物であってもよい。ただし、カバーシートは、柔軟なものの方が取扱い容易であるため、ホモポリマーよりは共重合体またはブレンド変性をし、柔軟化したものの方が好ましい。
【0020】
上記同様にカバーシートに用いられるエチレン・メチルメタクリレート共重合体は、その構造や製造法は特に限定されないが、メチルメタクリレートの共重合割合が5〜30モル%のものが好ましい。そして、このエチレン・メチルメタクリレート共重合体は、ポリエチレン等の他のポリオレフィン系樹脂とブレンドして用いることもできる。これらのカバーシートとシリコーンゴムフィルムの接着強度は、カバーシートの組成やシリコーンゴムフィルムにおける接着性向上剤の配合量等によって決定されるが、その大きさは3N/20mm以下、特に2.5N/20mm以下が好ましく、3N/20mmを超えると、カバーシートの剥離を円滑に行うことができず、カバーシートを剥離しながらシリコーンゴムフィルム複合体をロールに巻き取ることが困難になる。
【0021】
上記のカバーシートは、未架橋シリコーンゴムの可塑性を利用してカバーシートの表面形状を未架橋シリコーンゴムフィルムの表面に転写してシリコーンゴムフィルムの表面粗度を制御するものである。したがって、カバーシートの表面粗度は、シリコーンゴムフィルムに要求される表面粗度に応じて任意の手段で付与される。例えば、フィルムを用いる場合は、表面を鏡面に仕上げたフィルムの外、レジンの重合時や成膜時にポリマーに対して不活性の微粒子を配合する方法およびマット加工やエンボス加工等が挙げられる。また、布帛を用いる場合は、タフタのようなフィラメント織物が好ましく、経糸および緯糸の太さ、密度等によって表面粗度を種々に制御することができる。なお、厚みは、特に限定されないが、取扱い性と経済性の点から、0.015〜0.10mm程度の薄地のものが好ましい。
【0022】
この発明において、ポリエステルフィルムにシリコーンゴムフィルムを積層する方法は、任意であり、例えば、ポリエステルフィルムの表面にシリコーンゴム組成物を溶媒に溶解した溶液を塗工、乾燥してシリコーンゴムの薄膜を形成する方法、ポリエステルフィルムの表面にシリコーンゴム組成物を高圧下で押出してシリコーンゴムの薄膜を形成する方法等が挙げられる。液状シリコーンゴムの場合は、溶剤で希釈することなく塗工する方法でもよい。なお、本発明におけるシリコーンゴムフィルムおよびポリエステルフィルムの厚み構成比は、複合体の用途に応じて任意に設定することができる。
【0023】
架橋方法も特に限定されない。例えば、シリコーンゴム組成物にパーオキサイド化合物を配合し、上記の方法で積層した後、積層体を加熱処理して架橋させてもよく、また紫外線、電子線、γ線等の活性線を照射して架橋させてもよい。これらの架橋処理における各種助剤を添加することは何ら制限されない。そして、この発明では、前記のポリエステルフィルムにシリコーンゴムフィルムおよびカバーシートを順に積層した後、上記の架橋処理を行い、しかるのちカバーシートを剥離することにより、ポリエステルフィルムとシリコーンゴムフィルムの複合体を製造する。
【0024】
【発明の実施の形態】
実施形態1
シリコーンゴム100重量部に対し多価アルコールのメタクリル酸エステルを0.2〜20重量部配合し、混練して得られたシリコーンゴム組成物をトルエン等の溶媒に溶解してシリコーンゴム溶液とし、このシリコーンゴム溶液を厚みが0.003〜0.25mmの市販のポリエステルフィルムの表面に塗布、乾燥し、このシリコーンゴムフィルム面にポリ−4−メチルペンテン−1の共重合体からなる厚みが好ましくは0.015〜0.10mmの種々の表面粗度のフィルム(カバーシート)を、その表面粗度を制御した面がシリコーンゴムフィルムに接するように重ねて圧着し、上記カバーシートの凹凸をシリコーンゴムフィルムの表面に転写し、しかるのち電子線照射によって架橋し、更に上記のカバーシートを剥離して好ましくは全厚みが0.03〜0.5mmのシリコーンゴムフィルム複合体を得る。このときの剥離強度は、弱くて3N/20mm以下であるため、剥離は容易である。また、架橋処理を電子線照射によって行うため、厚みが均一な複合体を経済的に製造することができる。
【0025】
得られたシリコーンゴムフィルム複合体は、シリコーンゴムフィルムとポリエステルフィルムの界面における剥離強度が4N/20mm以上であり、ポリエステルフィルムの面を接着面として使用することにより、市販の汎用接着剤で所望の機材に容易に接着することができ、しかもシリコーンゴムフィルムとポリエステルフィルムの界面における接着力が強いため、この界面から外力で剥離されることがなく、実用的である。例えば、シリコーンゴムフィルムを機材に接着する際に広く使用されている両面粘着テープを用いた場合、上記界面での接着力が強いため、外力を加えたときに界面で剥離が生じることはなく、両面粘着テープによる接着部で剥離が生じる。
【0026】
そして、シリコーンゴムフィルムの表面にカバーシートからの転写により鏡面や梨地等の任意の凹凸が形成され、例えば梨地状の微細な凹凸面を形成すると、コンパクトディスク等のドライブテープルにシリコーンゴムフィルム面を上にして接着して用いたとき、コンパクトディスクのグリップ力とクッション性が良好になる。また、シリコーンゴムフィルムとポリエステルフィルムとからなる複合体であり、シリコーンゴムフィルム単体に比べて腰が強いため、任意の装置に組み込む際の作業性に優れる。したがって、シリコーンゴムフィルムの優れた耐熱性とクッション性を十分に活かしてクッション材として使用可能になる。
【0027】
実施形態2
液状シリコーンゴム組成物を用い、これを希釈することなく直ちに多価アルコールのメタクリル酸エステルを添加、攪拌し、しかるのちポリエステルフィルムの表面に塗布した後、乾燥することなく、その表面にポリ−4−メチルペンテン−1の共重合体からなるフィラメント糸を経糸、緯糸に用いたタフタをカバーシートとして重ね、圧着して上記タフタ表面の経糸・緯糸が作る凹凸をシリコーンゴムフィルムの表面に転写し、しかるのち電子線照射によって架橋し、更に上記のカバーシートを剥離して好ましくは全厚みが0.03〜0.5mmのシリコーンゴムフィルム複合体を得る。上記カバーシートの剥離強度は3N/20mm以下で、その剥離は、実施形態1と同様に容易である。また、得られたシリコーンゴムフィルム複合体は、シリコーンゴムフィルム表面にカバーシートから転写された織り目状の凹凸を備え、かつシリコーンゴムフィルムとポリエステルフィルムの界面剥離強度が4N/20mm以上で、実施形態1のシリコーンゴムフィルム複合体と同様に使用できる。
【0028】
実施形態3
前記実施形態1のポリ−4−メチルペンテン−1の共重合体からなるカバーシートに代えてエチレン・メチルメタクリレート共重合体からなるフィルム(厚み0.015〜0.10mm)をカバーシートに用いる以外は、実施形態1と同様にして全厚みが0.03〜0.5mmのシリコーンゴムフィルム複合体を得る。上記カバーシートの剥離強度は3N/20mm以下で、その剥離は、実施形態1と同様に容易である。また、得られたシリコーンゴムフィルム複合体は、シリコーンゴムフィルムの表面にカバーシートから転写された凹凸を備え、かつシリコーンゴムフィルムとポリエステルフィルムの界面剥離強度が4N/20mm以上で、実施形態1のシリコーンゴムフィルム複合体と同様に使用できる。
【0029】
実施形態4
実施形態2のカバーシート(ポリ−4−メチルペンテン−1の共重合体からなるフィラメント糸を経糸、緯糸とするタフタ)に代えてエチレン・メチルメタクリレートからなるフィラメント糸を経糸、緯糸とするタフタをカバーシートに用い、他は実施形態2と同様にしてシリコーンゴムフィルム複合体を得る。上記カバーシートの剥離強度は3N/20mm以下で、その剥離は、実施形態1と同様に容易である。また、得られたシリコーンゴムフィルム複合体は、シリコーンゴムフィルム表面にカバーシートから転写された織り目状の凹凸を備え、かつシリコーンゴムフィルムとポリエステルフィルムの界面剥離強度が4N/20mm以上で、実施形態1のシリコーンゴムフィルム複合体と同様に使用できる。
【0030】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を詳述する。なお、以下の記載で「部」は重量部を示す。
【0031】
実施例1
シリコーンゴムコンパウンドとして、市販の高強度型シリコーンゴムコンパウンド(信越化学工業社製、「KE555−U」)および市販の一般成形用シリコーンゴムコンパウンド(信越化学工業社製、「KE958−U」)を60:40の重量比で配合し、2本ロールを用い、100〜200℃で混練して厚み3mmのゴムシートを成形した。この未加硫のゴムシートを切断して1cm角の細片とし、この細片をトルエンに対する重量比率が23%となるように秤量し、トルエンと共に真空脱泡装置付き攪拌機に投入し、大気圧下で15時間攪拌して上記細片をトルエンに溶解した後、該溶液にトリメチロールプロパントリメタクリレートを、シリコーンゴムコンパウンド100部に対して2部となるように添加し、均一に攪拌した後、真空脱泡装置を駆動し、ゲージ圧が−750mmHgの真空下で更に20分間攪拌し、脱泡した。
【0032】
次いで、上記の溶解、脱泡で得られたシリコーンゴム溶液をロールコーターに供給し、コロナ処理を施した厚み0.038mmのポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面に乾燥後厚みが0.15mmとなるように塗布し、続いてオーブンに導入し、80℃で乾燥し、そのシリコーンゴム側の面にポリ−4−メチルペンテン−1の共重合体からなる厚みが0.035mmのマット加工フィルム(三井石油化学社製、「オピュランX−60YMT4」)をそのマット加工面がシリコーンゴムに向くように重ね、圧着ロールを用いて圧力5 kgf/cmで押さえながら連続して積層し、得られた積層体を更に連続して電子線照射装置(200KV、15Mrad )に導いて架橋処理を施し、しかるのちカバーシートを剥離し、シリコーンゴムフィルムとポリエステルフィルムからなる総厚み0.188mmの複合体を得、これをロール状に巻取った。
【0033】
上記のシリコーンゴムフィルムとカバーシート間の界面剥離強度は、1.5N/20mmと低く、カバーシートの剥離を円滑に行うことができた。また、シリコーンゴムフィルムの表面は、梨地状の凹凸面に形成されており、カバーシートのマット加工面の転写が良好に実施されていた。一方、シリコーンゴムフィルムとポリエステルフィルム間の界面剥離強度は、測定時にシリコーンゴムフィルムの破壊が生じる程度に高く、10N/20mm以上であった。なお、積層体の剥離強度は、JIS K6854に準じ、T型剥離法で行った。
【0034】
そして、この実施例1のシリコーンゴムフィルム複合体は、ポリエステルフィルム面を接着面として使用すると、汎用の接着剤で機材に接着することが可能であり、かつシリコーンゴムフィルムとポリエステルフィルム間の接着力が強いので、外力により両者の界面で剥離することがなく、実用性に優れていた。例えば、ポリエステルフィルム側を両面粘着テープで任意の機材に接着した場合、シリコーンゴムフィルムを剥離しようとしても、剥離は、シリコーンゴムフィルムとポリエステルフィルムとの間に起きないで、両面粘着テープによる接着部に起きた。また、上記の複合体は、シリコーンゴムフィルムの単体に比べて腰が強く、装置や部品に組み込む際の取扱いが容易で、作業性に優れていた。
【0035】
比較例1
実施例1において、トリメチロールプロパントリメタクリレートの添加を省略する以外は実施例1と同様にして比較例1のシリコーンゴムフィルム複合体を製造した。この複合体におけるシリコーンゴムフィルムとカバーシート間の界面剥離強度およびシリコーンゴムフィルムとポリエステルフィルム間の界面剥離強度は、それぞれ0.2N/20mmおよび0.4N/20mmであり、カバーシートの剥離は円滑にできたが、シリコーンゴムフィルムとポリエステルフィルムの界面剥離強度が著しく低いため、複合体を装置や部品に組み込んだ際に弱い外力で簡単に界面剥離が生じ、実用性に欠けていた。
【0036】
比較例2〜4
実施例1のカバーシート(ポリ−4−メチルペンテン−1の共重合体からなるマット加工フィルム)に代えてエンボス加工を施したポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンタフタを用いる以外は実施例1と同様にしてシリコーンゴムフィルムの積層体を得た。シリコーンゴムフィルムとカバーシートの界面剥離強度は、ポリエチレンフィルムを用いた比較例2で5N/20mm、ポリ塩化ビニルフィルムを用いた比較例3で15N/20mm、またナイロンタフタを用いた比較例4で20N/20mmと強く、いずれもカバーシートの剥離が不可能であった。
【0037】
実施例2および3
実施例1のカバーシートに代えてポリ−4−メチルペンテン−1の共重合体からなるグロスタイプのフィルム(三井石油化学社製、「オピュランX−66Y」)を用いる以外は実施例1と同様にして実施例2の複合体を、また上記実施例2のグロスタイプのフィルムにエンボス加工を施す以外は実施例2と同様にして実施例3の複合体をそれぞれ製造した。これらの複合体は、シリコーンゴムフィルムとポリエステルフィルムの界面剥離強度が実施例1と同様に強く、またシリコーンゴムフィルムとカバーシートの界面剥離強度が弱く、実用性が高かった。なお、シリコーンゴムフィルムの表面は、カバシートの表面に対応し、実施例2は鏡面に形成され、実施例3は実施例1よりも表面粗度の高いものであった。
【0038】
実施例4
実施例1において、トリメチロールプロパントリメタクリレートの添加量を1部とし、かつポリエステルフィルムとして表裏両面にポリエステル系の接着性向上剤を積層した易接着性ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いる以外は、実施例1と同様にしてシリコーンゴムフィルム複合体を製造した。この複合体のシリコーンゴムフィルムとポリエステルフィルムの界面剥離強度は12N/20mm以上で、実施例1の複合体と同様に実用性の高いものであった。また、シリコーンゴムフィルムとカバーシートの界面剥離強度は1.0N/20mmと低く、スムーズな剥離が可能であった。
【0039】
比較例5
実施例4におけるトリメチロールプロパントリメタクリレートの添加を省略する以外は実施例4と同様にして比較例5のシリコーンゴムフィルム複合体を製造した。この複合体のシリコーンゴムフィルムとポリエステルフィルムの界面剥離強度は0.8N/20mmと低く、実用性の低いものであった。
【0040】
実施例5
実施例1におけるトリメチロールプロパントリメタクリレートの添加量を4部とし、かつポリエステルフィルムの非コロナ面にシリコーンゴム組成物の溶液を塗布、乾燥する以外は、実施例1と同様にしてシリコーンゴムフィルム複合体を製造した。シリコーンゴムフィルムとポリエステルフィルムの界面剥離強度は、8N/20mm以上で、実用性に優れていた。また、シリコーンゴムフィルムとカバーシートの界面剥離強度は2.2N/20mmであり、実用可能であった。
【0041】
実施例6
実施例4において、シリコーンゴムコンパウンドとして、市販の高強力型シリコーンゴムコンパウンド(信越化学工業社製、「KE575−U」)、市販の一般成形用シリコーンゴムコンパウンド(信越化学工業社製、「KE956−U」)および市販の導電型シリコーンゴムコンパウンド(信越化学工業社製、「KE3603−U」)を用い、これらを70:10:20の比率で混練する以外は、実施例4と同様にしてシリコーンゴムフィルム複合体を製造した。シリコーンゴムフィルムとポリエステルフィルムの界面剥離強度は、11N/20mm以上で、実用性に優れていた。また、シリコーンゴムフィルムとカバーシートの界面剥離強度は1.1N/20mmであり、スムーズな剥離が可能であった。
【0042】
比較例6
実施例6においてトリメチロールプロパントリメタクリレートの添加を省略する以外は実施例6と同様にしてシリコーンゴムフィルム複合体を製造した。シリコーンゴムフィルムとポリエステルフィルムの界面剥離強度は0.8N/20mmと低く、実用性に劣るものであった。
【0043】
比較例7
実施例6において、そのトリメチロールプロパントリメタクリレートに代えてトリメチロールプロパントリアクリレートを用いる以外は、実施例6と同様にしてシリコーンゴムフィルム複合体を製造した。シリコーンゴムフィルムとポリエステルフィルムの界面剥離強度は1.6N/20mmと低く、実用性に劣るものであった。
【0044】
実施例7
実施例6において、ポリエステルフィルムとして、片面にポリエステル系の易接着層を積層した厚み0.012mmの易接着性ポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、その易接着層にシリコーンゴム溶液を乾燥後厚みが0.2mmとなるように塗布する以外は、実施例6と同様にしてシリコーンゴムフィルム複合体を製造した。シリコーンゴムフィルムとポリエステルフィルムの界面剥離強度は、15N/20mm以上で、実用性に優れていた。
【0045】
実施例8
実施例5のトリメチロールプロパントリメタクリレートに代え、エチレングリコールジメタクリレートを4部添加する以外は、実施例5と同様にしてシリコーンゴムフィルム複合体を製造した。シリコーンゴムフィルムとポリエステルフィルムの界面剥離強度は、7N/20mm以上で、実用性に優れていた。
【0046】
実施例9
実施例1のカバーシート(ポリ−4−メチルペンテン−1の共重合体からなるマット加工フィルム)に代えてエチレン・メチルメタクリレート共重合体(住友化学工業社製、「アクリフト」)からなる厚み0.050mmのマット加工フィルムをカバーシートに用いる以外は、実施例1と同様にしてシリコーンゴムフィルム複合体を製造した。シリコーンゴムフィルムに対するカバーフィルムの界面剥離強度は1.0N/20mmと実施例1に比べて低く、円滑に剥離することができた。また、ポリエステルフィルムの界面剥離強度は10N/20mm以上と高く、実施例1と同様に実用性の高いものであった。
【0047】
実施例10、11
実施例9のカバーシートに代えてエチレン・メチルメタクリレート共重合体(住友化学工業社製、「アクリフトCM」)とポリエチレンとのブレンド品からなるグロスタイプのフィルムを用いる以外は実施例9と同様にして実施例10の複合体を、また上記のフィルムにエンボス加工を施す以外は実施例10と同様にして実施例11の複合体をそれぞれ製造した。これらの複合体は、シリコーンゴムフィルムに対するポリエステルフィルムの界面剥離強度が実施例9と同様に強く、またカバーシートの界面剥離強度が実施例9に比べて弱く、実用性が高かった。なお、シリコーンゴムフィルムの表面は、カバシートの表面に対応し、実施例10は鏡面に形成され、界面剥離強度は同じく鏡面が形成された実施例2よりも低く、また実施例11は実施例9よりも表面粗度が高く形成され、剥離強度は同じくエンボス加工を行った実施例3よりも低かった。
【0048】
実施例12
実施例5のカバーシート(ポリ−4−メチルペンテン−1の共重合体からなるマット加工フィルム)に代えてエチレン・メチルメタクリレート共重合体(住友化学工業社製、「アクリフト」)からなる厚み0.050mmのマット加工フィルムをカバーシートに用いる以外は、実施例5と同様にしてシリコーンゴムフィルム複合体を製造した。シリコーンゴムフィルムに対するカバーフィルムの界面剥離強度は1.3N/20mmと実施例5に比べて低く、円滑に剥離することができた。また、ポリエステルフィルムの界面剥離強度は8N/20mmと高く、実用性の高いものであった。
【0049】
下記の表1に上記実施例および比較例の構成の一部と剥離強度を示す。ただし、表中の「実」は実施例を、「比」は比較例を示す。また、TMPTMはトリメチロールプロパントリメタクリレートを、TMPTAはトリメチロールプロパントリアクリレートを、またEDMAはエチレングリコールメタクリレートをそれぞれ示す。また、カバーシートのA1 、A2 、A3 はポリ−4−メチルペンテン−1の共重合体を主成分とし、A1 はマット加工フィルム、A2 はグロスタイプのフィルム、A3 はそのエンボス加工フィルムをそれぞれ示し、B1 、B2 、B3 はエチレン・メチルメタクリレート共重合体を主成分とし、B1 はマット加工フィルム、B2 はポリエチレンとのブレンド品からなるグロスタイプのフィルム、B3 はそのエンボス加工フィルムをそれぞれ示す。また、剥離強度で「以上」を付したものは、測定時にシリコーンゴムフィルムが破損したことを意味する。また、強度Aはシリコーンゴムフィルムの対ポリエステルフィルムの剥離強度を、強度Bは対カバーシートの剥離強度をそれぞれ示す。なお、※を付した実施例と比較例は、シリコーンゴム組成物が3種類のコンパウンドの混練物であり、残りは2種類のコンパウンドの混練物である。
【0050】
Figure 0003594745
【0051】
【発明の効果】
請求項1〜3に記載された発明で製造されるシリコーンゴムフィルム複合体は、ポリエステルフィルムとの複合体であるから、ポリエステルフィルム面を接着面として装置や部品に組み込む際、シリコーンゴムフィルム単体では接着力が弱くて使用できないような汎用接着剤を用いることができ、かつシリコーンゴムフィルム単体に比べて腰が強いため、組み込み作業が容易となって能率が向上する。更に、上記のシリコーンゴムフィルム複合体は、シリコーンゴムフィルムとポリエステルフィルムの界面接着力が強いので、装置や部品に組み込んだ後に外力で剥離することがなく、産業上の広い分野でシール材や緩衝材として好適に使用できる。
【0052】
また、シリコーンゴムフィルムの表面粗度を制御するために用いられるカバーシートのシリコーンゴムフィルムに対する界面接着強度が3N/20mm以下で、離型性が良好であるため、このカバーシートをシリコーンゴムフィルムに積層してカバーシート表面の凹凸をシリコーンゴムフィルム表面に転写し、次いで架橋処理を行い、しかるのちシリコーンゴムフィルム表面からカバーシートを剥離する際、その剥離が容易であり、シリコーンゴム表面を損傷することがなく、市場の要求に合わせた種々の表面粗度のシリコーンゴムフィルム複合体を任意に、かつ経済的に製造することができる。
【0053】
特に、請求項2記載の発明によればカバーシートの界面剥離強度を2.5N/20mm以下に下げることができ、また請求項3記載の発明によれば、カバーシートの界面剥離強度を1.5N/20mm以下に下げることができる。

Claims (3)

  1. ポリエステルフィルムにシリコーンゴム100重量部に対し多価アルコールのメタクリル酸エステルを0.2〜20重量部配合して得られたシリコーンゴム組成物からなるシリコーンゴムフィルムおよび該シリコーンゴムフィルムに対して離型性が良好で架橋処理後の界面剥離強度が3N/20mm以下のカバーシートを順に積層し、次いで架橋処理を行い、しかるのち上記のカバーシートを剥離することを特徴とするシリコーンゴムフィルム複合体の製造法。
  2. カバーシートとしてポリ−4−メチルペンテン−1を主成分とする布帛またはフィルムを用いる請求項1記載のシリコーンゴムフィルム複合体の製造法。
  3. カバーシートとしてエチレン・メチルメタクリレート共重合体からなる布帛またはフィルムを用いる請求項1記載のシリコーンゴムフィルム複合体の製造法。
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