JPH09183122A - シートモールディングコンパウンドの製造方法 - Google Patents

シートモールディングコンパウンドの製造方法

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JPH09183122A
JPH09183122A JP35319395A JP35319395A JPH09183122A JP H09183122 A JPH09183122 A JP H09183122A JP 35319395 A JP35319395 A JP 35319395A JP 35319395 A JP35319395 A JP 35319395A JP H09183122 A JPH09183122 A JP H09183122A
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JP
Japan
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weight
unsaturated polyester
polyester resin
parts
molding compound
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Application number
JP35319395A
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English (en)
Inventor
Toshio Nagase
敏夫 永瀬
Atsushi Tsukamoto
淳 塚本
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Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】低粘度の不飽和ポリエステル樹脂組成物を離型
フィルムに塗布し、短時間で容易に繊維強化材に含浸せ
しめ、同時に又は引き続いて加熱してシートモールディ
ングコンパウンドを増粘し、熟成工程が不要で短時間で
成形加工に供することが可能なシートモールディングコ
ンパウンドの製造方法を提供する。 【解決手段】(A)不飽和ポリエステル樹脂100重量
部当たり、(B)液状重合性単量体30〜120重量部
及び(C)硬化用触媒0.1〜7重量部を含有する不飽
和ポリエステル樹脂混合物を、離型フィルムに塗布し、
その上に(D)熱可塑性樹脂粉末20〜120重量部及
び(E)繊維強化材20〜70重量部を添加し、次いで
2枚の離型フィルムを貼り合わせて圧延すると同時に又
は引き続いて加熱して増粘を加速させ、巻き取り又はシ
ートカットで回収することを特徴とするシートモールデ
ィングコンパウンドの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シートモールディ
ングコンパウンドの製造方法に関する。さらに詳しく
は、本発明は、増粘剤を含有しない低粘度の不飽和ポリ
エステル樹脂混合物を離型フィルムに塗布したのち、増
粘作用の高い熱可塑性樹脂粉末と繊維強化材をほぼ同時
に添加し、圧延と同時に又は引き続いて加熱して増粘さ
せて得るシートモールディングコンパウンドの製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、不飽和ポリエステル樹脂をベース
としたシートモールディングコンパウンドやバルクモー
ルディングコンパウンドは、強化プラスチック加工業界
において、省力化や量産化、あるいは作業環境の改善な
どの要求を取り入れた機械成形用の新しい工業材料とし
て、着実にその需要を伸ばしてきた。従来のシートモー
ルディングコンパウンドは、不飽和ポリエステル樹脂と
液状重合性単量体の混合物に、充填剤、増粘剤、硬化用
触媒、着色剤、内部離型剤などを配合した不飽和ポリエ
ステル樹脂組成物を、ドクターブレードでフィルムに塗
布し、その上にガラス繊維ロービングを切断して散布
し、さらに不飽和ポリエステル樹脂組成物を塗布したフ
ィルムで挟み、ローラーで押さえて、含浸、脱泡し、巻
き取ることによって製造される。巻き取ったシートモー
ルディングコンパウンドは40〜50℃で熟成すること
により増粘し、フィルムを剥離可能な状態としたのちに
成形に使用する。成形は金型を用いた圧縮成形により、
成形温度120〜180℃、成形圧力30〜100kg/
cm2の高温・高圧で行われることが多い。増粘剤として
は、一般には酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属
の酸化物が使用されるが、かかる増粘剤のみでは増粘効
果が不十分であるため、炭酸カルシウムなどの充填剤の
添加が必須であり、その添加量も不飽和ポリエステル樹
脂100重量部当たり通常100重量部以上が必要であ
る。また、酸化マグネシウムは、不飽和ポリエステル樹
脂が有する遊離のカルボキシル基間に架橋を生ぜしめて
増粘するものであるが、その架橋反応は緩慢であるた
め、酸化マグネシウムは不飽和ポリエステル樹脂配合物
を混合する初期段階から添加し、さらにガラス繊維添加
後に架橋反応による増粘を促進するため40℃程度の温
度に加温して熟成するのに1〜3日間必要であった。ま
た、酸化マグネシウムは、硬化用触媒の分解促進作用を
有するため、中低温活性型の硬化用触媒を使用すること
ができず、使用可能な硬化用触媒は高温活性型に限ら
れ、従ってシートモールディングコンパウンドの成形も
高温で行わねばならなかった。さらに、反応が制御でき
ずに加速されるとシートモールディングコンパウンドが
硬化に近い状態になるため、成形加工の前は40℃を超
える加温は避ける必要があった。このため、シートモー
ルディングコンパウンドの製造には、通常3日間以上を
必要としていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、低粘度の不
飽和ポリエステル樹脂組成物を短時間で容易に繊維強化
材に含浸することができ、しかも熟成工程が不要で短時
間で成形加工に供することが可能なシートモールディン
グコンパウンドの製造方法を提供することを目的として
なされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、増粘剤及び無機
充填剤を含まない低粘度の不飽和ポリエステル樹脂混合
物を離型フィルムに塗布し、高い増粘作用を有する熱可
塑性樹脂粉末と繊維強化材とをその上に添加することに
より、短時間で繊維強化材に不飽和ポリエステル樹脂組
成物を含浸せしめ、しかも含浸と同時に又は引き続いて
40〜70℃に加熱することにより、短時間でシートモ
ールディングコンパウンドを増粘することができ、熟成
工程が不要となることを見いだし、この知見に基づいて
本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、 (1)(A)不飽和ポリエステル樹脂100重量部当た
り、(B)液状重合性単量体30〜120重量部及び
(C)硬化用触媒0.1〜7重量部を含有する不飽和ポ
リエステル樹脂混合物を、室温で2枚の離型フィルムの
一方又は双方に塗布し、その上に(D)熱可塑性樹脂粉
末からなる増粘剤20〜120重量部及び(E)繊維強
化材20〜70重量部を添加し、次いで塗布面を内側に
して2枚の離型フィルムを貼り合わせて圧延すると同時
に又は引き続いて40〜70℃に加熱して増粘を加速さ
せ、巻き取り又はシートカットで回収することを特徴と
するシートモールディングコンパウンドの製造方法、及
び、 (2)熱可塑性樹脂粉末が、アクリル酸エステル、メタ
クリル酸エステル及び芳香族ビニル化合物の中から選ば
れた少なくとも1種の単量体単位を50重量%以上含有
するものである第(1)項記載のシートモールディングコ
ンパウンドの製造方法、を提供するものである。また、
他の態様として、 (3)熱可塑性樹脂粉末が、(a)ガラス転移点が−30
℃以下のアクリル酸エステル系若しくはメタクリル酸エ
ステル系重合体及び/又はジエン系重合体からなるコア
部と、(b)アクリル酸エステル系又はメタクリル酸エス
テル系単量体と遊離カルボキシル基を有するラジカル重
合性不飽和カルボン酸単量体とのガラス転移点が70℃
以上の共重合体よりなるシェル層で構成されるコア/シ
ェル型共重合体粒子に、金属カチオンを付加してイオン
架橋させた共重合体樹脂粉末である第(1)項又は第(2)
項記載のシートモールディングコンパウンドの製造方
法、を挙げることができる。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明方法においては、増粘剤及
び無機充填剤を含有しない不飽和ポリエステル樹脂混合
物を離型フィルムに塗布したのち、熱可塑性樹脂粉末及
び繊維強化材をその上に添加して、不飽和ポリエステル
樹脂組成物が低粘度を保つ間に繊維強化材を含浸し、同
時に又は引き続いて短時間に増粘して、シートモールデ
ィングコンパウンドを完成品又は完成品に近い状態とし
て巻き取るか又はシートカットする。本発明方法におい
て離型フィルムに塗布する不飽和ポリエステル樹脂混合
物は、(A)不飽和ポリエステル樹脂100重量部当た
り、(B)液状重合性単量体30〜120重量部及び(C)
硬化用触媒0.1〜7重量部を含有する。このような不
飽和ポリエステル樹脂混合物は、通常粘度が5Pa・s
以下であり、繊維強化材に対して容易に含浸が進行す
る。また(A)成分、(B)成分及び(C)成分からなる不飽
和ポリエステル樹脂混合物は、特に貯蔵安定性が良好で
あり、数カ月室温で貯蔵しても全く粘度変化がなく、シ
ートモールディングコンパウンドの製造の開始と途中停
止を自由に行うことができる。本発明において、(A)成
分として用いられる不飽和ポリエステル樹脂には特に制
限はなく、従来一般の不飽和ポリエステル樹脂成形品に
慣用されている公知の不飽和ポリエステル樹脂を使用す
ることができる。不飽和ポリエステル樹脂は、不飽和多
塩基酸又は場合により飽和多塩基酸を含む不飽和多塩基
酸と多価アルコールとから得られるものである。不飽和
多塩基酸としては、例えば、フマル酸、マレイン酸、無
水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン
酸、クロロマレイン酸、あるいはこれらのジアルキルエ
ステルなどを挙げることができる。これらの不飽和多塩
基酸はそれぞれ単独で用いることができ、2種以上を組
み合わせて用いることもできる。また、不飽和多塩基酸
の一部を置き換える飽和多塩基酸としては、例えば、フ
タル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、
ヘット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、アジピン酸、セ
バチン酸、アゼライン酸などを挙げることができる。こ
れらの飽和多塩基酸はそれぞれ単独で用いることがで
き、2種以上を組み合わせて用いることもできる。多価
アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジ
エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピ
レングリコール、トリメチレングリコール、1,2−ブ
タンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタン
ジオール、1,2−ペンタンジオール、1,6−ヘキサン
ジオール、シクロヘキサンジオール、ネオペンチルグリ
コール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオ
ール、グリセリンモノアリルエーテル、水素化ビスフェ
ノールA、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシプロポキシ
フェニル)プロパンなどのジオール類、トリメチロール
プロパンなどのトリオール類、ペンタエリスリトールな
どのテトラオール類などを挙げることができる。これら
の多価アルコールは、それぞれ単独で用いることがで
き、2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0006】従来、増粘剤として慣用されてきたアルカ
リ土類金属の酸化物などを使用する場合には、(A)成分
の不飽和ポリエステル樹脂の数平均分子量は約2,50
0以上である必要があったが、本発明に使用する熱可塑
性樹脂粉末を増粘剤とするシートモールディングコンパ
ウンドにおいては、数平均分子量1,000〜2,500
の不飽和ポリエステル樹脂もシートモールディングコン
パウンドとすることが可能になったので、使用できる分
子量の範囲が広がった。本発明においては、(A)成分の
不飽和ポリエステル樹脂は、必要に応じて、耐薬品性改
善などのためにエポキシアクリレート樹脂で、あるいは
インサート加工などでの接着性改善などのためにウレタ
ンアクリレート樹脂で一部を置換することができる。こ
のような目的で使用するエポキシアクリレート樹脂とし
ては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビス
フェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポ
キシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂などにアクリル酸
やメタクリル酸を付加したものを挙げることができる。
また、ウレタンアクリレート樹脂としては、例えば、特
公昭55−30527号公報、特公昭60−26132
号公報及び特公昭60−26133号公報に開示された
エチレングリコールの両端にトリレンジイソシアネート
を付加し、さらに2−ヒドロキシエチルメタクリレート
を両末端に付加したものなどを挙げることができる。
【0007】本発明において、不飽和ポリエステル樹脂
は、通常(B)成分の液状重合性単量体に溶解した状態で
使用する。(B)成分として用いる液状重合性単量体は、
不飽和ポリエステル樹脂に対して溶解性を有し、ラジカ
ル重合性を有するものであれば特に制限なく使用するこ
とができるが、アクリル酸エステル、メタクリル酸エス
テル、芳香族ビニル化合物及び芳香族カルボン酸のアリ
ルアルコールエステルを特に好適に使用することができ
る。液状重合性単量体は、成形加工時に(A)成分の不飽
和ポリエステル樹脂と架橋反応を起こす。アクリル酸エ
ステルとしては、例えば、メチルアクリレート、エチル
アクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピ
ルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチル
アクリレート、sec−ブチルアクリレート、t−ブチ
ルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘ
キシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレー
ト、n−オクチルアクリレートなどを挙げることがで
き、メタクリル酸エステルとしては、例えば、メチルメ
タクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメ
タクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチ
ルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、シク
ロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタク
リレート、n−オクチルメタクリレート、ジエチレング
リコールジメタクリレート、トリメチロールプロパント
リメタクリレートなどを挙げることができる。また、芳
香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メ
チルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、
α−クロロスチレン、ジクロロスチレン、ジビニルベン
ゼンなどを挙げることができる。芳香族カルボン酸のア
リルアルコールエステルとしては、ジアリルフタレー
ト、ジアリルイソフタレート、トリアリルトリメリテー
トなどを挙げることができる。これらの液状重合性単量
体の中で、スチレンを特に好適に使用することができ
る。本発明において、(B)成分の液状重合性単量体は、
1種のみを用いることができ、2種以上を組み合わせて
用いることもできる。その配合量は、(A)成分の不飽和
ポリエステル樹脂100重量部当たり、30〜120重
量部、好ましくは40〜100重量部である。液状重合
性単量体の配合量が、不飽和ポリエステル樹脂100重
量部当たり30重量部未満であると、組成物の粘度が高
く、シートモールディングコンパウンドの作製が困難と
なるおそれがある。液状重合性単量体の配合量が、不飽
和ポリエステル樹脂100重量部当たり120重量部を
超えると、最終成形品が脆くなる傾向がみられる。
【0008】本発明において、不飽和ポリエステル樹脂
混合物には、(C)成分として硬化用触媒を配合する。硬
化用触媒は、加熱により分解してラジカルを発生し、
(A)成分の不飽和ポリエステル樹脂と(B)成分の液状重
合性単量体を架橋、重合して、組成物全体を硬化させる
作用を有するものである。硬化用触媒は、シートモール
ディングコンパウンドの成形に使用する温度に応じて適
宜選択することができる。成形のための加熱温度が40
〜100℃である場合は、60〜80℃における半減期
が2時間以下である触媒、例えば、ビス(4−t−ブチ
ルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートを使用
し、あるいは、触媒と促進剤を併用して触媒の分解温度
を下げて使用することが好ましい。このような、触媒と
促進剤の組合せとしては、例えば、ケトンパーオキシド
とコバルトの有機酸塩、アシルパーオキシドと芳香族3
級アミン、ハイドロパーオキシドとバナジウム塩の組合
せなどを挙げることができる。成形のための加熱温度が
100〜160℃である場合には、通常の高温活性型の
硬化用触媒を使用することが好ましい。このような高温
活性型の硬化用触媒としては、例えば、メチルエチルケ
トンパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチル
ヘキサノエート、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブ
チルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサ
ン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパー
オキシド、t−ブチルハイドロパーオキシドなどを挙げ
ることができる。硬化用触媒は1種のみで用いることが
でき、2種以上を組み合わせて用いることもできる。硬
化用触媒の配合量は、(A)成分の不飽和ポリエステル樹
脂100重量部当たり0.1〜7重量部であり、より好
ましくは1〜5重量部である。硬化用触媒の配合量が、
不飽和ポリエステル樹脂100重量部当たり0.1重量
部未満であると、成形時の硬化が不十分になるおそれが
ある。硬化用触媒の配合量が、不飽和ポリエステル樹脂
100重量部当たり7重量部を超えると、シートモール
ディングコンパウンドの貯蔵安定性が低下するおそれが
ある。
【0009】本発明方法においては、(A)成分、(B)成
分及び(C)成分を含有する不飽和ポリエステル樹脂混合
物を、室温で離型フィルムに塗布する。不飽和ポリエス
テル樹脂混合物は、あらかじめ(A)成分の不飽和ポリエ
ステル樹脂を(B)成分の液状重合性単量体に溶解し、こ
れに、例えば、プラネタリーミキサー、ニーダー、ディ
スパーなどの公知の混合機を用いて、(C)成分の硬化用
触媒を添加し、十分に撹拌混合し均一化して得ることが
できる。この不飽和ポリエステル樹脂混合物を、2枚の
離型フィルムの一方又は双方に、例えば、コーター等に
より0.3〜3mmの一定の厚さに塗布し、その上に(D)
成分の熱可塑性樹脂粉末及び(E)成分の繊維強化材を添
加したのち塗布面を内にして貼合わせ、圧延機により圧
延し、繊維強化材に不飽和ポリエステル樹脂組成物を含
浸して厚さ0.5〜5mmのシートとし、圧延と同時に又
は引き続いて40〜70℃に加熱して、シートモールデ
ィングコンパウンドの粘度の増加を加速して3,000
Pa・s以上とし、両面を離型フィルムで被覆した状態
で巻取りローラーにより巻き取るか、又はシートカット
する等によりシートモールディングコンパウンドを回収
する。
【0010】図1は、本発明のシートモールディングコ
ンパウンドの製造方法の一態様を示す説明図である。混
合機1において、不飽和ポリエステル樹脂を液状重合性
単量体に溶解し、硬化用触媒を加えて均一な不飽和ポリ
エステル樹脂混合物2とする。この不飽和ポリエステル
樹脂混合物をSMCマシーンのコーターバンクに移し、
2枚の離型フィルム3にコーター4により一定の厚さに
塗布し、一方の塗布した不飽和ポリエステル樹脂混合物
の上に、熱可塑性樹脂粉末散布機5より熱可塑性樹脂粉
末6を散布し、さらに繊維強化材7をチョッパー8によ
り切断して散布する。次いで、もう1枚の不飽和ポリエ
ステル樹脂混合物を塗布した離型フィルムを塗布面を内
にして貼り合わせ、加熱された圧延ローラー9を有する
圧延機により、不飽和ポリエステル樹脂組成物の繊維強
化材への含浸と、熱可塑性樹脂粉末による増粘を同時に
行い、シートモールディングコンパウンドを両面を離型
フィルムで被覆した状態で巻き取りローラー10により
巻き取る。本発明方法において、熱可塑性樹脂粉末及び
繊維強化材の添加方法には特に制限はなく、例えば、熱
可塑性樹脂粉末と繊維強化材を同時に散布することがで
き、熱可塑性樹脂粉末と繊維強化材を逐次的に散布する
ことができ、あるいは、あらかじめ繊維強化材を一定長
にカットして熱可塑性樹脂粉末と混合したものを散布す
ることができる。逐次的に散布する場合は、比重の低い
熱可塑性樹脂粉末を散布したのち、比重の高い繊維強化
材を散布することが好ましい。
【0011】本発明方法において、(D)成分として使用
する熱可塑性樹脂粉末は増粘剤として作用する。熱可塑
性樹脂粉末としては、液状重合性単量体を吸収して膨潤
するものであれば特に制限はないが、アクリル酸エステ
ル、メタクリル酸エステル及び芳香族ビニル化合物の中
から選ばれた少なくとも1種の単量体単位を50重量%
以上を含有する熱可塑性樹脂粉末を用いることが好まし
い。熱可塑性樹脂粉末の原料単量体として用いられるア
クリル酸エステルとしては、例えば、メチルアクリレー
ト、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、
イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、
イソブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレー
ト、t−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレー
ト、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシル
アクリレート、n−オクチルアクリレートなどを挙げる
ことができ、メタクリル酸エステルとしては、例えば、
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プ
ロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、
n−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレー
ト、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシ
ルメタクリレート、n−オクチルメタクリレートなどを
挙げることができる。これらの単量体の中で、特にメチ
ルメタクリレートが好適である。また、芳香族ビニル化
合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレ
ン、ジビニルベンゼン及びこれらの単量体のベンゼン核
に、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが
置換された単量体、例えば、ビニルトルエンやイソブチ
ルスチレンなどを挙げることができる。これらの単量体
は1種を用いることができ、2種以上を組み合わせて用
いることができる。熱可塑性樹脂粉末中のこれらの単量
体単位の含有量が50重量%未満であると、熱可塑性樹
脂粉末が十分な増粘効果を示さないおそれがある。
【0012】(D)成分である熱可塑性樹脂粉末は、上記
の単量体と共重合可能な他の単量体単位を含有していて
もよく、共重合可能な他の単量体としては、例えば、ア
クリロニトリルやメタクリロニトリルなどのシアン化ビ
ニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ミリスチン
酸ビニル、オレイン酸ビニル、安息香酸ビニルなどのビ
ニルエステル類;アクリル酸、メタクリル酸、2−エチ
ルプロペン酸、クロトン酸、桂皮酸などの不飽和モノカ
ルボン酸類;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、シト
ラコン酸、クロロマレイン酸などの不飽和ジカルボン酸
類;マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、イ
タコン酸モノブチルなどの不飽和ジカルボン酸のモノエ
ステル類;ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジ
エン、シクロペンタジエンなどの共役ジエン系化合物;
1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、エチリ
デンノルボルネンなどの非共役ジエン系化合物などを挙
げることができる。さらに、熱可塑性樹脂粉末をシート
モールディングコンパウンド作製の過程で増粘剤として
使用する際の溶解性の調整を行うために、熱可塑性樹脂
粉末を構成する重合体を適当に架橋することができる。
架橋構造を与えるための共重合成分としては、例えば、
グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシク
ロヘキシル(メタ)アクリレート、2−アミノエチル(メ
タ)アクリレート、3−アミノプロピル(メタ)アクリレ
ート、2−アミノブチル(メタ)アクリレート、(メタ)ア
クリルアミド、N−2−アミノエチル(メタ)アクリルア
ミド、N−2−アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、
N−3−アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、エチレ
ン基数が1〜14のポリエチレングリコールジメタクリ
レート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、
ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、アリ
ルグリシジルエーテル、トリアリルイソシアヌレートな
どの単量体を挙げることができる。共重合可能な他の単
量体は1種のみで用いることができ、2種以上を組み合
わせて用いることもできる。
【0013】また、本発明に使用するシートモールディ
ングコンパウンドの経時増粘を抑制する目的で、熱可塑
性樹脂粉末粒子表面の重合体間をイオン架橋することが
できる。イオン架橋は、カルボキシル基を含有する重合
体を表面に有する熱可塑性樹脂粉末粒子に、金属カチオ
ンを添加してカルボキシル基間を架橋することにより形
成することができる。イオン架橋は、溶媒の熱可塑性樹
脂粉末粒子への浸透を抑える作用がある一方で、共有結
合による架橋構造とは異なり、加熱すると分子運動の増
大により解離するので、成形加工時は何らの架橋も存在
しない重合体の挙動をとり、良好な流動性を保つ。(D)
成分の熱可塑性樹脂粉末は、シートモールディングコン
パウンドにおいて増粘剤としての効果を発揮するもので
あり、(B)成分である液状重合性単量体との混合により
液状重合性単量体を吸収膨潤して、シートモールディン
グコンパウンドを、所定の温度内で制御された良好な加
工粘度を呈するようにするものである。そのために前述
の好適な組成の選択に加えて、適正な粒子径と粒子表面
状態を有することが好ましい。粒子径については、平均
単一粒子径が0.2〜40μmであることが好ましく、
0.5〜15μmであることがより好ましい。平均単一
粒子径が0.2μm未満であると、微細すぎて液状重合
性単量体の吸収速度が速く、粘度が高くなりすぎて繊維
強化材の混合、含浸などが困難になるおそれがある。平
均単一粒子径が40μmを超えると、液状重合性単量体
の吸収速度が遅くなり、疑似硬化が遅く、連続工程中で
のシートモールディングコンパウンドの作製が困難とな
るおそれがある。ここで、疑似硬化とは、液状成分を吸
収し膨潤して、ゲル状になる性質をいう。熱可塑性樹脂
粉末の形状は球形であることが好ましく、不規則形状の
ものは配合すると粘度が高くなるので、少量しか添加で
きず、少量では粘着性があって疑似硬化現象を呈さない
ので、シートモールディングコンパウンドを作製しにく
い。粒子の表面状態としては多孔質でなく平滑なもの
が、同様に粘度管理の点から好ましい。
【0014】(D)成分である熱可塑性樹脂粉末が備える
べき液状重合性単量体の吸収膨潤性の度合は、シートモ
ールディングコンパウンドが特定の粘度及び貯蔵安定性
を呈する程度が好ましい。すなわち、本発明において
は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する粘度5
Pa・s以下の不飽和ポリエステル樹脂混合物に、(D)
成分である熱可塑性樹脂粉末を添加したのち、40℃で
24時間経過した時点での粘度(25℃で測定)が1,
000〜50,000Pa・sで、かつ調製後30℃で3
0日間経過した時点での粘度(25℃で測定)が、調製
後40℃で24時間経過した時点での粘度の5倍以下で
あることが好ましい。(A)成分、(B)成分、(C)成分及
び(D)成分を含有する不飽和ポリエステル樹脂組成物
が、調製後40℃で24時間経過した時点での粘度(2
5℃で測定)が1,000Pa・s未満であっても、50,
000Pa・sを超えても、シートモールディングコン
パウンドの作製が困難となるおそれがある。また、調製
後30℃で30日間経過した時点での粘度が、調製後4
0℃で24時間経過した時点での粘度の5倍を超える
と、シートモールディングコンパウンドの貯蔵安定性が
低下し、柔軟性が低下して、取り扱いや成形が困難とな
るおそれがある。なお、粘度を測定する際は、25℃の
恒温槽に1時間置いて状態調節を行ったのち、25℃、
相対湿度60%の環境で粘度測定を行う。熱可塑性樹脂
粉末が、架橋性単量体を添加して重合した場合には、架
橋度が高すぎるとシートモールディングコンパウンド形
成の時間が長びくおそれがある。熱可塑性樹脂粉末の架
橋度としては、熱可塑性樹脂粉末を溶剤に溶解した際の
不溶解のゲル成分が50重量%以下となる程度であるこ
とが好ましい。このような熱可塑性樹脂粉末の製造方法
については特に制限はなく、従来ポリ塩化ビニルやポリ
メチルメタクリレートなどの微細樹脂粉末の製造に用い
られている方法、例えば、微細懸濁重合法、乳化重合
法、播種乳化重合法、懸濁重合法などを採用することが
できるが、これらの方法の中で、特に粒子径が極微細と
ならずにかつ平均単一粒子径(重量基準)が0.1〜5
μmの球形のものが得られる重合法が好適である。例え
ば、微細懸濁重合法として、ラジカル重合開始剤として
油溶性開始剤を用い、重合開始前に単量体油滴の粒径を
均質化処理によって予め液滴径を調節し、均質分散重合
させる方法などが好適である。
【0015】本発明方法において、(D)成分である熱可
塑性樹脂粉末は、前記の組成の重合体をシェル層に有す
るコア/シェル型の構造とすることができる。コア成分
が、ガラス転移点が−30℃以下、好ましくは−40℃
以下の(メタ)アクリル酸エステル系重合体及び/又はジ
エン系重合体であると、成形品の機械的強度及び弾性率
が大きく向上するので好ましい。このようなコア/シェ
ル型共重合体の樹脂粒子を製造するには、まず乳化重合
又は微細懸濁重合によりコア部(a)となるガラス転移点
が−30℃以下の重合体からなるゴム状のシードポリマ
ーを調製する。ガラス転移点が−30℃以下の重合体の
例としては、(メタ)アクリル酸エステル系重合体又はジ
エン系重合体を挙げることができる。本発明において、
(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル又
はメタクリル酸エステルを意味するものである。ガラス
転移点が−30℃以下のホモ重合体を与える(メタ)アク
リル酸エステル系単量体としては、例えば、n−プロピ
ルアクリレート(ホモ重合体のガラス転移点−52
℃)、n−ブチルアクリレート(同−54℃)、n−オ
クチルアクリレート(同−65℃)、2−エチルヘキシ
ルアクリレート(同−85℃)、n−デシルメタクリレ
ート(同−65℃)などを挙げることができ、これらは
1種を用いることができ、2種以上を組み合わせて用い
ることができる。これらの中で、特にn−ブチルアクリ
レートと2−エチルヘキシルアクリレートが好ましい。
また、ガラス転移点が−30℃以下のホモ重合体を与え
るジエン系単量体としては、例えば、ブタジエン、イソ
プレン、1,3−ペンタジエン、シクロペンタジエンな
どの共役ジエン系化合物;1,4−ヘキサジエンなどの
非共役ジエン系化合物などが挙げられ、これらは1種又
は2種以上を組み合わせて使用することができるが、こ
れらの中で、特にブタジエン及びイソプレンが好適であ
る。
【0016】本発明においては、前記の(メタ)アクリル
酸エステル系又はジエン系単量体に、所望によりエチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレートなどの架橋性単量体を添加し
て、一層ゴム弾性を有するコア部を調製することも有効
である。次に、このようにして得られたガラス転移点が
−30℃以下の重合体をコア部(a)とし、ガラス転移点
が70℃以上の共重合体からなるシェル層(b)を形成さ
せる。この際用いられるシェル層の原料成分としては、
ホモ重合体がガラス転移点70℃以上を与える単量体を
主に用いることが望ましい。具体的には、例えば、イソ
プロピルメタクリレート(ホモ重合体のガラス転移点8
1℃)、t−ブチルメタクリレート(同107℃)、シ
クロヘキシルメタクリレート(同76℃)、フェニルメ
タクリレート(同110℃)、メチルメタクリレート
(同105℃)などの(メタ)アクリル酸エステル系単量
体;スチレン(同100℃)、4−クロロスチレン(同
110℃)、2−エチルスチレン(同103℃)などの
芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル(同125
℃)、塩化ビニル(同80℃)などを挙げることができ
る。これらは1種を用いることができ、2種以上を組み
合わせて用いることができる。これらの中で、(メタ)ア
クリル酸エステル系単量体、特にメチルメタクリレート
が好適である。シェル層(b)のガラス転移点は70℃以
上であることが好ましく、90℃以上であることがより
好ましい。シェル層のガラス転移点が70℃未満である
と、コア/シェル型共重合体からなる樹脂粒子を重合反
応後に乾燥する際、凝集して塊になりやすい。
【0017】コア部/シェル層の重量比は1/4〜3/
1、好ましくは1/3〜2/1の範囲にあることが好ま
しい。コア部/シェル層の重量比が1/4未満である
と、熱可塑性樹脂粉末の不飽和ポリエステル樹脂組成物
における、増粘剤、低温低圧成形における成形性向上
剤、補強材などとしての機能が低下するおそれがある。
コア部/シェル層の重量比が3/1を超えると、不飽和
ポリエステル樹脂組成物の粘度安定性が低下するおそれ
がある。本発明においては、架橋剤としての金属カチオ
ンが、コア/シェル型共重合体のシェル層に側鎖として
導入されたカルボキシル基とカルボキシル基との間にイ
オン架橋を形成させ、これによる三次元ポリマー構造に
よって、分散媒である不飽和ポリエステル樹脂及び液状
重合性単量体による室温での膨潤性を低下させ、それで
いて加熱により不飽和ポリエステル樹脂及び液状重合性
単量体が、コア/シェル型共重合体に浸透しつつ硬化す
るので、本来の物性を発揮することができる。本発明に
おいては、(D)成分の熱可塑性樹脂粉末は、(A)成分の
不飽和ポリエステル樹脂100重量部に対し、20〜1
20重量部、好ましくは25〜100重量部、さらに好
ましくは25〜90重量部の割合で配合する。熱可塑性
樹脂粉末の配合量が、不飽和ポリエステル樹脂100重
量部当たり20重量部未満であると、粘度が低く、シー
トモールディングコンパウンドの作製が困難となるおそ
れがある。熱可塑性樹脂粉末の配合量が、不飽和ポリエ
ステル樹脂100重量部当たり120重量部を超える
と、増粘が速すぎて繊維強化材の含浸が困難となるおそ
れがある。本発明方法において(E)成分として配合する
繊維強化材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、
ポリエステル繊維、フェノール繊維、ポリビニルアルコ
ール繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維など、強化プラ
スチックの製造に慣用されているものを使用することが
できる。これらの繊維強化材の形態としては、例えば、
チョップドストランド、チョップドストランドマット、
ロービングなどを挙げることができる。繊維強化材とし
てガラス繊維をチョップドストランドとして用いるとき
は、その長さは通常は5〜60mmとすることが好まし
い。繊維強化材は、長さが短い方が成形の際に成形材料
が流動しやすい反面、長さが長い方が成形品の機械的強
度が大きくなる。これらの繊維強化材は、(A)成分の不
飽和ポリエステル樹脂100重量部当たり、20〜70
重量部、好ましくは30〜50重量部を添加する。繊維
強化材の添加量が、不飽和ポリエステル樹脂100重量
部当たり20重量部未満であると、成形品が十分高い強
度を有しないおそれがある。繊維強化材の添加量が、不
飽和ポリエステル樹脂100重量部当たり70重量部を
超えると、成形時のシートモールディングコンパウンド
の流動性が低下するおそれがある。添加の方法として
は、離型フィルム上に塗布された不飽和ポリエステル樹
脂混合物の上に均一に散布することが好ましい。
【0018】本発明方法においては、本発明の目的が損
なわれない範囲で、従来シートモールディングコンパウ
ンドに慣用されている各種添加剤、例えば、内部離型
剤、低収縮化剤、着色剤、消泡剤、減粘剤などを、必要
に応じ配合することができる。 本発明において、不飽和ポリエステル樹脂組成物には、
通常内部離型剤を配合する。使用する内部離型剤には特
に制限はなく、不飽和ポリエステル樹脂用として公知の
内部離型剤、例えば、ステアリン酸などの高級脂肪酸、
ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの高級
脂肪酸塩、アルキルリン酸エステル、ワックスなどを挙
げることができる。これらの中で、ステアリン酸亜鉛は
離型性が良好で、成形品の表面光沢に優れるので、特に
好適に使用することができる。内部離型剤は、(A)成分
の不飽和ポリエステル樹脂100重量部に対し、0.5
〜10重量部が好ましく、より好ましくは2〜6重量部
を配合する。低収縮化剤としては、例えば、ポリスチレ
ン、ポリエチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化
ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカプロラクタム、飽和ポ
リエステル、スチレン−アクリロニトリル共重合体など
の熱可塑性樹脂、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ス
チレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタ
ジエン共重合体などのゴム状重合体などを挙げることが
でき、(B)成分の液状重合性単量体に溶解して用いられ
る。これらの低収縮化剤の添加量は、不飽和ポリエステ
ル樹脂100重量部当たり、通常4〜10重量部でその
目的が達せられる。その点本発明における増粘剤として
の熱可塑性樹脂粉末の使用では20〜120重量部用い
ないと効果が現れないので、著しく量が相違する。本発
明方法においては、熱可塑性樹脂粉末を増粘剤として用
いるので、無機充填剤を必ずしも配合しなくてもシート
モールディングコンパウンドを形成することが可能であ
り、この結果、シートモールディングコンパウンドの成
形時の流動性がよくなり、さらに成形品の透明性や着色
性も優れたものとなる。しかし、粘度の微調整のためや
コスト低減用増量剤として、本発明の効果を損なわない
範囲で充填剤を添加してもよい。そのような場合に添加
される無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、
炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、マイカ、タルク、カ
オリン、クレー、セライト、アスベスト、バーライト、
バライタ、シリカ、ケイ砂、ドロマイト石灰石、セッコ
ウ、アルミニウム微粉、アルミナ、ガラス粉、水酸化ア
ルミニウム、寒水石、酸化ジルコニウム、三酸化アンチ
モン、酸化チタン、二酸化モリブデンなどを挙げること
ができる。これらの無機充填剤は、作業性や得られる成
形品の強度、外観、経済性などを考慮して適宜選ばれる
が、通常炭酸カルシウムや水酸化アルミニウムが用いら
れる。
【0019】本発明方法において、熱可塑性樹脂粉末と
して、平均単一粒径が0.5〜1μmで重量平均分子量
が数千以下のポリメチルメタクリレート樹脂粒子を用い
た場合、(A)成分、(B)成分及び(C)成分からなる不飽
和ポリエステル樹脂混合物100重量部に対して20重
量部以下の添加でも、不飽和ポリエステル樹脂組成物の
粘度は、室温で1時間以内に10倍以上となり、40℃
に加温した場合は、1時間以内に100倍前後の粘度と
なる。しかも、熱可塑性樹脂粉末による増粘作用は、化
学反応を伴わないため、加温した温度によって熱可塑性
樹脂粉末がスチレンなどの液状重合性単量体から受ける
膨潤性によって平衡粘度に達した後は一定粘度を保持す
るために、所望の最終到達粘度の設計と管理が容易とな
る。本発明方法において、100℃以上の加工をするた
めの高温活性型の硬化用触媒を使用した場合には、熱可
塑性樹脂粉末と繊維強化材とを添加した後に50〜70
℃に加熱することが可能であり、これにより1時間以内
に3,000Pa・s以上の粘度とすることができる。従
って、シートモールディングコンパウンドとして使用可
能な離型フィルム剥離性を有するものを1時間以内に作
製することができる。本発明方法において、塗布面を内
側にして2枚の離型フィルムで貼り合わせた後の加熱
は、圧延ロールに掛ける前後で実施することができる
が、塗布した混合物中にはスチレンなどの液状重合性単
量体が含有されているため、気散状態とバランスさせて
加熱する必要があり、50℃前後がより好ましい条件で
ある。
【0020】本発明方法により製造したシートモールデ
ィングコンパウンドは、成形時における粘度の温度依存
性が高いために、加熱加圧硬化時流動性が特に優れてお
り、低圧で加工することが可能である。例えば、シート
モールディングコンパウンドを、成形温度40〜160
℃で、圧縮成形では成形圧力0.1〜10kg/cm2(ゲー
ジ圧)で成形することができる。成形時間は、通常1〜
20分間で成形が可能である。型面にシートモールディ
ングコンパウンドを載置し、その上を例えばポリプロピ
レン製のシート又は上型で閉鎖し、次いで系内を脱気し
てシートモールディングコンパウンドを(下)型に密着さ
せ、大気圧と型内の差圧の力で型にシートモールディン
グコンパウンドを密着させて形をつくる成形方法は、成
形温度40〜160℃、−760〜−50mmHg(0〜7
10Torr)の圧力で行うことができる。また、型面にシ
ートモールディングコンパウンドを設置し、シートモー
ルディングコンパウンドを加圧空気で型面に押しつけて
密着させる圧空成形を、成形温度40〜160℃、圧力
1〜5kg/cm2(ゲージ圧)で行うことができる。本発
明方法により製造したシートモールディングコンパウン
ドによれば、従来の高圧下での大がかりな設備と高価な
金型の制約を解消することができる。
【0021】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限
定されるものではない。なお、粘度の測定は、分取した
(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分からなる不
飽和ポリエステル樹脂組成物のサンプルを、25℃恒温
槽で1時間保存後、さらに45℃恒温槽で1時間保存
後、及びさらに45℃恒温槽で4時間保存後の計3回、
いずれも回転粘度計(HAAKE社、Rheo Str
ess RS−100型)を用いて25℃において測定
した。 実施例1 プロピレングリコール/ネオペンチルグリコール/イソ
フタル酸/フマル酸のモル比が15/35/20/30
である数平均分子量3,300のランダム共重合体から
なる不飽和ポリエステル樹脂100重量部を、スチレン
43重量部に加えて均一に溶解し、t−ブチルパーオキ
シベンゾエート3重量部及びステアリン酸亜鉛[堺化学
工業(株)、SZ−2000]6重量部を、室温で混合し
て不飽和ポリエステル樹脂混合物を得た。SMCマシー
ンを用い、離型フィルムとしてのポリプロピレンフィル
ムに上記の不飽和ポリエステル樹脂混合物を厚さ2mmに
塗布し、その上に平均単一粒径(重量基準)1.2μ
m、重量平均分子量4,100のポリメチルメタクリレ
ート樹脂粉末A[日本ゼオン(株)、ゼオンF−325]
29重量部を散布し、続いて直径13μmのガラス繊維
ロービング[日東紡績(株)]をカット長1インチに切断
して散布し、さらに不飽和ポリエステル樹脂混合物を厚
さ2mmに塗布したもう一方のポリプロピレンフィルムで
不飽和ポリエステル樹脂側を内にして挟んだ。熱可塑性
樹脂粉末Aの散布量は、不飽和ポリエステル樹脂組成物
中の不飽和ポリエステル樹脂100重量部当たり29重
量部であり、ガラス繊維の散布量は、不飽和ポリエステ
ル樹脂組成物中の不飽和ポリエステル樹脂100重量部
当たり43重量部である。45℃に加熱した圧延ロール
により、2枚のポリプロピレンフィルムの間のガラス繊
維に不飽和ポリエステル樹脂組成物を含浸するととも
に、熱可塑性樹脂粉末Aにスチレンを吸収膨潤せしめ、
不飽和ポリエステル樹脂組成物を増粘して、シートモー
ルディングコンパウンドを巻き取った。巻き取ったまま
25℃に放置したシートモールディングコンパウンドか
ら、6時間後に離型フィルムを剥離したところ、離型フ
ィルムは容易に剥離して、フィルムにシートモールディ
ングコンパウンドの成分の付着は認められなかった。3
00mm×300mmの圧縮成形金型を110℃に保ち、3
00mm×33mmに切断したシートモールディングコンパ
ウンドを5枚積層して金型の中央に置き、金型に5kg/
cm2の圧力をかけて10分間圧縮成形を行った。型内に
シートモールディングコンパウンドがゆきわたり、良好
な形状の成形品が得られた。シートモールディングコン
パウンドを25℃で3ケ月間保存して貯蔵安定性をチェ
ックしたのち、同様に圧縮成形を行ったが、離型フィル
ムの剥離性、圧縮成形性ともに、3ケ月前と変化なく良
好であった。なお、不飽和ポリエステル樹脂100重量
部、スチレン43重量部、t−ブチルパーオキシベンゾ
エート3重量部及び熱可塑性樹脂粉末A29重量部より
なる不飽和ポリエステル樹脂組成物を別に調製し、粘度
を測定したところ、25℃で1時間保存後89Pa・
s、さらに45℃で1時間保存後1,140Pa・s、さ
らに45℃で4時間保存後3,800Pa・sであった。 実施例2 熱可塑性樹脂粉末Aの代わりに、平均単一粒径1.8μ
m、重量平均分子量3,900のメチルメタクリレート
/スチレン(重量比95/5)共重合体である熱可塑性
樹脂粉末Bを用いたこと以外は、実施例1と同じ操作を
繰り返した。巻き取ったまま25℃に放置したシートモ
ールディングコンパウンドから、6時間後に離型フィル
ムを剥離したところ、離型フィルムは容易に剥離して、
フィルムにシートモールディングコンパウンドの成分の
付着は認められなかった。300mm×300mmの圧縮成
形金型を110℃に保ち、300mm×33mmに切断した
シートモールディングコンパウンドを5枚積層して金型
の中央に置き、金型に5kg/cm2の圧力をかけて10分
間圧縮成形を行った。型内にシートモールディングコン
パウンドがゆきわたり、良好な形状の成形品が得られ
た。シートモールディングコンパウンドを25℃で3ケ
月間保存して貯蔵安定性をチェックしたのち、同様に圧
縮成形を行ったが、離型フィルムの剥離性、圧縮成形性
ともに、3ケ月前と変化なく良好であった。なお、不飽
和ポリエステル樹脂100重量部、スチレン43重量
部、t−ブチルパーオキシベンゾエート3重量部及び熱
可塑性樹脂粉末B29重量部よりなる不飽和ポリエステ
ル樹脂組成物を別に調製し、粘度を測定したところ、2
5℃で1時間保存後132Pa・s、さらに45℃で1
時間保存後2,700Pa・s、さらに45℃で4時間保
存後6,100Pa・sであった。 比較例1 プロピレングリコール/ネオペンチルグリコール/イソ
フタル酸/フマル酸のモル比が15/35/20/30
である数平均分子量3,300のランダム共重合体から
なる不飽和ポリエステル樹脂100重量部を、スチレン
43重量部に加えて均一に溶解し、t−ブチルパーオキ
シベンゾエート3重量部、ステアリン酸亜鉛[堺化学工
業(株)、SZ−2000]6重量部及び酸化マグネシウ
ム[協和化学(株)、MgO#40]4重量部を、室温で
混合して不飽和ポリエステル樹脂混合物を得た。SMC
マシーンを用い、離型フィルムとしてのポリプロピレン
フィルムに上記の不飽和ポリエステル樹脂混合物を厚さ
2mmに塗布し、その上に直径13μmのガラス繊維ロー
ビング[日東紡績(株)]をカット長1インチに切断して
散布し、さらに不飽和ポリエステル樹脂混合物を厚さ2
mmに塗布したポリプロピレンフィルムで挟んだ。ガラス
繊維の散布量は、不飽和ポリエステル樹脂組成物中の不
飽和ポリエステル樹脂100重量部当たり43重量部で
ある。実施例1と同様にして、45℃に加熱した圧延ロ
ールにより、2枚のポリプロピレンフィルムの間のガラ
ス繊維に不飽和ポリエステル樹脂組成物を含浸せしめ
て、シートモールディングコンパウンドを巻き取った。
巻き取ったまま25℃に放置したシートモールディング
コンパウンドから、6時間後に離型フィルムを剥離しよ
うと試みたが、離型フィルムを剥離することができなか
った。なお、不飽和ポリエステル樹脂100重量部、ス
チレン43重量部、t−ブチルパーオキシベンゾエート
3重量部及び酸化マグネシウム4重量部よりなる不飽和
ポリエステル樹脂組成物を別に調製し、粘度を測定した
ところ、25℃で1時間保存後9Pa・s、さらに45
℃で1時間保存後229Pa・s、さらに45℃で4時
間保存後487Pa・sであった。 比較例2 プロピレングリコール/ネオペンチルグリコール/イソ
フタル酸/フマル酸のモル比が15/35/20/30
である数平均分子量3,300のランダム共重合体から
なる不飽和ポリエステル樹脂100重量部を、スチレン
43重量部に加えて均一に溶解し、t−ブチルパーオキ
シベンゾエート3重量部、ステアリン酸亜鉛[堺化学工
業(株)、SZ−2000]6重量部、炭酸カルシウム
[日東粉化工業(株)、NS−100]186重量部及び
酸化マグネシウム[協和化学(株)、MgO#40]4重
量部を、室温で混合して不飽和ポリエステル樹脂組成物
を得た。この不飽和ポリエステル樹脂組成物を用いて比
較例1と同様にしてシートモールディングコンパウンド
を作製し、巻き取ったまま25℃に放置したシートモー
ルディングコンパウンドから、6時間後に離型フィルム
を剥離しようと試みたが、離型フィルムを剥離すること
ができなかった。なお、不飽和ポリエステル樹脂100
重量部、スチレン43重量部、t−ブチルパーオキシベ
ンゾエート3重量部、炭酸カルシウム186重量部及び
酸化マグネシウム4重量部よりなる不飽和ポリエステル
樹脂組成物を別に調製し、粘度を測定したところ、25
℃で1時間保存後61Pa・s、さらに45℃で1時間
保存後610Pa・s、さらに45℃で4時間保存後1,
120Pa・sであった。実施例1、2及び比較例1、
2の結果を、まとめて第1表に示す。
【0022】
【表1】
【0023】[注] 1)不飽和ポリエステル樹脂:プロピレングリコール/
ネオペンチルグリコール/イソフタル酸/フマル酸=1
5/35/20/30モル%のランダム共重合体、数平
均分子量3,300。 2)熱可塑性樹脂粉末A:ゼオンF−325、ポリメチ
ルメタクリレート樹脂粉末、平均単一粒径1.2μm、
重量平均分子量4,100、日本ゼオン(株)製。 3)熱可塑性樹脂粉末B:メチルメタクリレート/スチ
レン(重量比95/5)共重合体、平均単一粒径1.8
μm、重量平均分子量3,900、日本ゼオン(株)試作
品。 4)ガラス繊維:直径13μm、日東紡績(株)製。 5)ステアリン酸亜鉛:SZ−2000、堺化学工業
(株)製。 6)酸化マグネシウム:MgO#40、協和化学(株)
製。 7)炭酸カルシウム:NS−100、日東粉化工業(株)
製。 第1表の結果から、熱可塑性樹脂粉末をSMCマシーン
で散布した本発明のシートモールディングコンパウンド
は、短時間で増粘し、6時間後にはすでに使用可能の状
態となり、成形圧力5kg/cm2のような低圧でも良好な
成形性を示し、さらに3ケ月保存後も全く変わらない優
れた貯蔵安定性を有することが分かる。これに対して、
熱可塑性樹脂粉末の代わりに従来の増粘剤である酸化マ
グネシウムを用いた比較例1のシートモールディングコ
ンパウンドは、増粘速度が遅く、6時間後では剥離フィ
ルムを剥離することができず、使用可能な状態とはなら
ない。酸化マグネシウムを増粘剤とし、さらに無機充填
剤として多量の炭酸カルシウムを配合した比較例2のシ
ートモールディングコンパウンドも、増粘速度が遅く、
6時間後では剥離フィルムを剥離することができず、使
用可能な状態とはならない。 実施例3(熱可塑性樹脂粉末による不飽和ポリエステル
樹脂の増粘) 不飽和ポリエステル樹脂、液状重合性単量体、硬化用触
媒及び熱可塑性樹脂粉末からなる組成物について、増粘
効果を調べた。実施例1で用いた不飽和ポリエステル樹
脂の粘度は、2Pa・sであった。この不飽和ポリエス
テル樹脂100重量部に、スチレン43重量部及びt−
ブチルパーオキシベンゾエート3重量部に、平均単一粒
径(重量基準)40μm、重量平均重合度30,000
のポリメチルメタクリレート樹脂粉末20重量部を加え
て25℃で均一に混合した。混合30分後の不飽和ポリ
エステル樹脂組成物の粘度は11Pa・sであり、その
まま25℃に保ったところ、粘度は2.5時間後20P
a・s、7時間後90Pa・s、2日後700Pa・s、
6日後1,700Pa・sと増粘した。不飽和ポリエステ
ル樹脂、スチレン、t−ブチルパーオキシベンゾエート
及びポリメチルメタクリレート樹脂粉末よりなる同じ組
成物を、混合30分後より40℃に保ったところ、粘度
は7時間後1,400Pa・s、2日後2,700Pa・
s、6日後3,200Pa・sと増粘した。 実施例4(熱可塑性樹脂粉末による不飽和ポリエステル
樹脂の増粘) 不飽和ポリエステル樹脂、液状重合性単量体、硬化用触
媒及び熱可塑性樹脂粉末からなる組成物について、増粘
効果を調べた。実施例1で用いた不飽和ポリエステル樹
脂100重量部、スチレン43重量部及びt−ブチルパ
ーオキシベンゾエート3重量部に、平均単一粒径(重量
基準)2μm、重量平均重合度20,000のポリメチ
ルメタクリレート樹脂粉末20重量部を加えて25℃で
均一に混合した。混合30分後の不飽和ポリエステル樹
脂組成物の粘度は55Pa・sであり、そのまま25℃
に保ったところ、粘度は2.5時間後800Pa・s、7
時間後2,800Pa・sと増粘した。不飽和ポリエステ
ル樹脂、スチレン、t−ブチルパーオキシベンゾエート
及びポリメチルメタクリレート樹脂粉末よりなる同じ組
成物を、混合30分後より40℃に保ったところ、粘度
は2.5時間後3,900Pa・s、7時間後9,000P
a・sと増粘した。実施例3及び実施例4の結果を、図
2に、不飽和ポリエステル樹脂組成物の増粘曲線として
示す。この図から、不飽和ポリエステル樹脂に熱可塑性
樹脂粉末を配合することにより、短時間で効果的に増粘
し、増粘速度は保持温度を高く、熱可塑性樹脂粉末の粒
径を小さくすると速くなることが分かり、また、不飽和
ポリエステル樹脂の粘度は限りなく上昇するのではな
く、配合した熱可塑性樹脂粉末の性質によって決まる飽
和点に近づくことが推定される。
【0024】
【発明の効果】本発明方法によれば、繊維強化材への不
飽和ポリエステル樹脂組成物の含浸が速やかにでき、短
時間で成形に使用可能な状態まで増粘することができる
ので、シートモールディングコンパウンドをインライン
で製造できる。しかも得られるシートモールディングコ
ンパウンドは、長期間にわたり良好な貯蔵安定性を有す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のシートモールディングコンパ
ウンドの製造方法の一態様を示す説明図である。
【図2】図2は、不飽和ポリエステル樹脂組成物におけ
る熱可塑性樹脂粉末による増粘曲線である。
【符号の説明】
1 混合機 2 不飽和ポリエステル樹脂混合物 3 離型フィルム 4 コーター 5 熱可塑性樹脂粉末散布機 6 熱可塑性樹脂粉末 7 繊維強化材 8 チョッパー 9 圧延ローラー 10 巻き取りローラー

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)不飽和ポリエステル樹脂100重量
    部当たり、(B)液状重合性単量体30〜120重量部
    及び(C)硬化用触媒0.1〜7重量部を含有する不飽
    和ポリエステル樹脂混合物を、室温で2枚の離型フィル
    ムの一方又は双方に塗布し、その上に(D)熱可塑性樹
    脂粉末からなる増粘剤20〜120重量部及び(E)繊
    維強化材20〜70重量部を添加し、次いで塗布面を内
    側にして2枚の離型フィルムを貼り合わせて圧延すると
    同時に又は引き続いて40〜70℃に加熱して増粘を加
    速させ、巻き取り又はシートカットで回収することを特
    徴とするシートモールディングコンパウンドの製造方
    法。
  2. 【請求項2】熱可塑性樹脂粉末が、アクリル酸エステ
    ル、メタクリル酸エステル及び芳香族ビニル化合物の中
    から選ばれた少なくとも1種の単量体単位を50重量%
    以上含有するものである請求項1記載のシートモールデ
    ィングコンパウンドの製造方法。
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