JP5771061B2 - 皮膜を有する熱可塑性炭素繊維複合材料の製造方法 - Google Patents
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本発明における熱可塑性炭素繊維複合材料とは、熱可塑性樹脂をマトリックスとし、強化繊維として炭素繊維を含む材料である。炭素繊維複合材料は、炭素繊維100重量部に対し熱可塑性樹脂が50〜1000重量部含まれているものであることが好ましい。より好ましくは、炭素繊維100重量部に対し、熱可塑性樹脂50〜400重量部、更に好ましくは、炭素繊維100重量部に対し、熱可塑性樹脂50〜100重量部である。
熱可塑性炭素繊維複合材料における炭素繊維の形態は、とくに限定されず、連続繊維であっても、不連続繊維であっても良い。
本発明においては熱可塑性炭素繊維複合材料と後述の皮膜との間に、熱可塑性樹脂層を設けることが好ましい。炭素繊維と皮膜との密着性は乏しいため、熱可塑性炭素繊維複合材料の炭素繊維が表面に露出した場合、皮膜が剥れるなどの不具合が生じる可能性があるので熱可塑性樹脂層は皮膜を形成しようとする面の50%以上〜全体に設けることが好ましい。
本発明で用いられるインモールドコート用塗料はとくに限定はなく、大日本塗料株式会社からグラスクラッドやプラグラスなどの名称で購入することができるような公知のものが用いられる。その組成は、例えば特開平1−126316号公報に記載されているように、(a)ウレタンアクリレート化合物と、不飽和エポキシアクリレート化合物と、カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートモノマーと、前記以外の少なくとも一種の共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとからなるビヒクル成分に、充填材、顔料、添加剤を加えた塗料本体と、(b)加熱によってラジカルを発生する開始剤および必要に応じて開始剤用促進剤を加えた硬化剤成分とからなるものが好ましく挙げられる。これらウレタンアクリレート化合物、不飽和エポキシアクリレート化合物、カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートモノマー、エチレン性不飽和モノマーはいずれも分子内に不飽和二重結合を有しており、開始剤の熱分解で発生する活性ラジカルにより、重合(硬化反応)を開始し、皮膜を形成する。このとき高温に加熱されている熱可塑性炭素繊維複合材料の熱可塑性樹脂の一部が熱解離し、この活性ラジカルが反応する結果、成形品と塗料が化学結合し、塗料との密着性が発現するものと推察される。ウレタンアクリレート化合物はトルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルジイソシアネートなどのジイソシアネートと、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのジオールおよび下記式(1)
で示されるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとからNCO基/OH基の比が0.9〜1.0になるような割合でイソシアネート末端ポリウレタンオリゴマーを生成させたのち、ほとんどの遊離イソシアネート基が反応するまでヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを反応させることにより製造される。ウレタンアクリレート化合物の重量平均分子量はとくに限定はないが、約500〜10000程度が適当である。なお、前記有機ジイソシアネートとしてはトルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルジイソシアネート等の通常塗料用に使用されている有機ジイソシアネートが使用できるが、特にトルエンジイソシアネートの2,4−および2,6−異性体の混合物が有用である。前記有機ジオールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルキレンジオール、ジカルボン酸又はその無水物のジエステル反応物であるジエステルジオールが代表的に物として挙げられる。
本発明の皮膜を有する熱可塑性炭素繊維複合材料の製造方法において、インモールドコート用塗料に特定の反応性を有する開始剤を添加する。本発明で使用される開始剤はインモールドコート用塗料のビヒクル成分を重合・硬化させる機能を担う。その機構は自らの開裂によりラジカルが発生し、ラジカルが移動しながら連鎖的にビヒクル成分の不飽和結合を結合させることにより重合・硬化せしめる。開始剤の反応性は熱解離によって開始剤が半分に減少するまでの時間、半減期で表現されるが、本発明で使用される開始剤の半減期は代表的な金型温度における140℃において、1秒以上2000秒以下である。具体的にビス(3,5,5−トリメチル−1−オキソヘキシル)ペルオキシド、ピバロイルtert−ブチルペルオキシド、ペルオキシネオヘプタン酸tert−ブチル、7,7−ジメチルペルオキシオクタン酸tert−ブチル、4,4−ビス[(tert−ブチル)ペルオキシ]ペンタン酸ブチル、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、(2−エチルヘキサノイル)(tert−ブチル)ペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシヘキサヒドロテレフタレート、2,2−ビス[4,4−ビス(イソブチルペルオキシ)シクロヘキシル]プロパン、1,1−ビス(1,1−ジメチルエチルペルオキシ)シクロヘキサン、t−アミルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、tert−ブチルペルオキシ(2−エチルヘキシル)カーボネート、tert−ブチル(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)ペルオキシド、2,2−ビス(tert−ブチルジオキシ)ブタン、tert−ブチルベンゾイルペルオキシドが挙げられる。開始剤の半減期は好ましくは10秒以上1500秒以下であり、具体的には4,4−ビス[(tert−ブチル)ペルオキシ]ペンタン酸ブチル、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、(2−エチルヘキサノイル)(tert−ブチル)ペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシヘキサヒドロテレフタレート、2,2−ビス[4,4−ビス(イソブチルペルオキシ)シクロヘキシル]プロパン、1,1−ビス(1,1−ジメチルエチルペルオキシ)シクロヘキサン、t−アミルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、tert−ブチルペルオキシ(2−エチルヘキシル)カーボネート、tert−ブチル(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)ペルオキシド、2,2−ビス(tert−ブチルジオキシ)ブタン、tert−ブチルベンゾイルペルオキシドが挙げられる。開始剤の半減期はさらにより好ましくは30秒以上1000秒以下であり、具体的には、(2−エチルヘキサノイル)(tert−ブチル)ペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシヘキサヒドロテレフタレート、2,2−ビス[4,4−ビス(イソブチルペルオキシ)シクロヘキシル]プロパン、1,1−ビス(1,1−ジメチルエチルペルオキシ)シクロヘキサン、t−アミルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、tert−ブチルペルオキシ(2−エチルヘキシル)カーボネート、tert−ブチル(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)ペルオキシド、2,2−ビス(tert−ブチルジオキシ)ブタン、tert−ブチルベンゾイルペルオキシドが挙げられる。熱可塑性炭素繊維複合材料の熱可塑性樹脂の一部が、後述の成形温度範囲においてある確率で熱解離していると考えられるが、開始剤の半減期が1秒未満であると発生したラジカルの消滅が早すぎて好ましくない。また開始剤の半減期が2000秒を超えるとラジカルが発生しにくく、共に該熱解離部と結合することができず、皮膜と熱可塑性炭素繊維複合材料との密着性が発現できず好ましくない。
本発明における熱可塑性炭素繊維複合材料を成形する方法としては加熱プレス成形、射出成形などが挙げられる。熱可塑性炭素繊維複合材料は成形直前に加熱して可塑化し、金型へ導入する。加熱する方法としては加熱プレス成形の場合は熱風乾燥機や赤外線加熱機などが用いられ、射出成形の場合は備え付けのエクストルーダーが用いられる。熱可塑性炭素繊維複合材料中の熱可塑性樹脂が吸水性を示す場合にはあらかじめ乾燥しておくことが好ましい。加熱する熱可塑性炭素繊維複合材料の温度は含有する熱可塑性樹脂の溶融温度+15℃以上かつ分解温度−30℃であることが好ましい。温度がその範囲以下であると樹脂が溶融しないため成形しにくく、またその範囲を超えると樹脂の分解が進むことがある。かように加熱した熱可塑性炭素繊維複合材料を金型に仕込み、プレス成形や射出成形により成形する。加圧条件としてはプレス成形の場合は0.1〜20MPa、好ましくは0.2〜15MPa、さらに0.5〜10MPaの圧力をかけることが好ましい。圧力が0.1MPa未満ではスプリングバックした複合材料が十分に押し切れず、素材強度が低下することがある。また圧力が20MPaを超えるのは例えば熱可塑性炭素繊維複合材料の大きさが大きい場合、きわめて大きなプレスが必要となり、経済的に好ましくない場合がある。また射出成形の場合には樹脂圧は50〜100MPa程度にもなるため、加圧条件は相応した条件とすることが望まれる。また加圧中の加熱条件は、溶融した熱可塑性樹脂が冷却されて固化し、熱可塑性炭素繊維複合材料が形作られるために、熱可塑性樹脂が結晶性の場合は結晶溶解温度、非晶性の場合はガラス転移温度、それぞれより20℃以下である。本発明で使用される熱可塑性炭素繊維複合材料は加圧時に後述の通り金型を用いるが、その成形工程直前の金型表面温度は前述の通り、熱可塑性炭素繊維複合材料の熱可塑性樹脂が熱解離する確率を高めるために本発明において120〜180℃であり、好ましくは125〜170℃であり、さらにより好ましくは130〜160℃である。表面温度がその範囲未満では熱可塑性樹脂の熱解離が起こりにくく、そのため塗料と熱可塑性炭素繊維複合材料との反応も起こりにくく得られた皮膜との結合が不十分なため皮膜の剥離が起こる場合がある。表面温度がその範囲を超えるとインモールドコート用塗料の反応、硬化が速すぎて後述の被覆成形工程にて塗料が流れにくくなる場合がある。
上記のごとく熱可塑性炭素繊維複合材料を型内で成形したのち皮膜成形工程に処する。具体的に皮膜形成工程においては熱可塑性炭素繊維複合材料の被覆したい側と対面する型との間にインモールドコート用塗料を注入し、熱可塑性炭素繊維複合材料および金型双方の熱で固化して皮膜を形成すると同時に熱可塑性炭素繊維複合材料と接合し、型開・脱型する。インモールドコート用塗料注入の際には、特開平9−76285号公報に記載されているように、インモールドコート専用の注入機を使用することが好ましい。該注入機のインジェクターを介して塗料を型内に注入する際の注入圧力は、射出シリンダー直下で1MPa以上、より好ましくは5MPa以上、さらにより好ましくは10MPa以上である。注入圧力が低過ぎる場合は、金型面と成形品表面との間に熱硬化塗料が十分浸透、流動しないことがある。一方、注入圧力の上限は金型の構造や型締め機の能力に応じて適宜決めればよいが概ね50MPa以下である。
インモールドコート用塗料の注入時間は、通常0.5〜9秒であるが、適宜調節されることが好ましい。注入時間が早すぎると巻き込み泡などの不具合が発生することがある。また遅すぎると塗料が早く重合・硬化して流れなくなったりすることがある。インモールド塗料を注入後、金型を所定時間、所定温度に保持することにより硬化させる。塗料の硬化時間は通常20秒〜6分であり、好ましくは60秒〜4分である。20秒より短いと、インモールド塗料の硬化が不十分で、皮膜の強度が不足して割れるなどの不具合が発生することがある。逆に6分を越えると、硬化は十分であるが、生産性が劣る。
本発明に用いられる金型は、金型表面と皮膜との密着を低減させてあることが好ましい。例えば鋳造金型などの場合、表面がポーラスな状態であると塗料がその中に入り込んだ後に硬化して皮膜を形成するためでアンカー効果により脱型の際に熱可塑性炭素繊維複合材料表面から剥がれる可能性があり好ましくないことがある。さらに金型にはパッキンを設けるなど、注入された塗料が金型から漏洩しないための機構や、塗料注入の際に塗料注入口から最遠の部位に空気を排出する貫通孔を設けることが好ましい。
本発明で得られる皮膜を有する熱可塑性炭素繊維複合材料は、所望の皮膜厚みを有するものであり、皮膜と熱可塑性炭素繊維複合材料との密着性に優れることを特徴とする。皮膜の厚みは、好ましくは、30μmから300μmであり、より好ましくは50μmから250μmであり、さらにより好ましくは70μmから200μmである。熱可塑性樹脂のみの成形品に比べ、複合材料成形品表面は炭素繊維によってその平滑性が乏しいため、皮膜の厚みが30μm未満では、皮膜による熱可塑性炭素繊維複合材料表面の隠蔽が十分とならず斑模様を呈することがある。また皮膜厚みが300μmを超えると塗料が硬化する際の収縮が大きくなってその結果熱可塑性炭素繊維複合材料と皮膜との界面における応力が大きくなって皮膜が剥がれることがある。
炭素繊維(東邦テナックス社製の炭素繊維“テナックス”(登録商標)STS40−24KS(繊維径7μm、引張強度4000MPa)を、開繊させながら長さ20mmにカットし、炭素繊維の供給量を300g/minでテーパ管内に導入し、テーパ管内で空気を炭素繊維に吹き付けて繊維束を部分的に開繊しつつ、テーパ管出口の下部に設置したテーブル上に散布した。またマトリックス樹脂として、2mmにドライカットしたPA66繊維(旭化成せんい製 T5ナイロン 1400dtex)を500g/minでテーパ管内に供給し、炭素繊維と同時に散布することで、平均繊維長20mmの炭素繊維とPA66が混合された、厚み4mm程度のランダムマットを得た。
(塗料の調製)大日本塗料株式会社「グラスクラッドAC18グレー」(主成分:ウレタンアクリレート化合物、エポキシアクリレート、スチレン、充填剤)100重量部にtert−ブチルベンゾイルペルオキシド(140℃での半減期900秒)2重量部を添加し、常温で十分攪拌した。
(成形および被覆)参考例2で得られたランダムマットを195mm×245mmに切り出し、120℃の熱風乾燥機で4時間乾燥した後、赤外線加熱機により300℃まで昇温した。中央に塗料注入口、および、周囲端末に塗料漏洩防止用パッキンを具備した200mm×250mm平板用金型を140℃に設定し、上記材料加熱後二枚を重ねて直ちに同金型内に導入し、プレス圧力2MPa、1分間加圧後、引き続いて上記塗料5mLを、(株)メットジャパン製インモールドコート注入機を用いて注入シリンダー直下の圧力が20MPaで約1秒間注入した。金型を定温のまま2分間加圧し、被覆剤を硬化させ、該炭素繊維複合材料を金型から取り出した。得られた熱可塑性炭素繊維複合材料は、表面の一部に、皮膜下の炭素繊維維束の存在が透けて見えるような筋が目視観察されたが、それ以外の表面は微小な皺が観察されたがほぼ平坦な皮膜が形成され、炭素繊維目は見えなかった。
塗料注入側表面の略平坦部分についてJIS K5600に準拠し剥離試験を行ったところ皮膜は剥離しなかった。また炭素繊維維束がみられる部分は、その繊維存在部分のみ塗膜が剥れた。同JISに準拠して皮膜の厚みを測定したところおよそ100μmであった。
tert−ブチルベンゾイルペルオキシドを(2−エチルヘキサノイル)(tert−ブチル)ペルオキシド(140℃での半減期約30秒)に変えた以外は実施例1と同様にして、皮膜を有する炭素繊維複合材料を作成した。得られた熱可塑性炭素繊維複合材料は、表面の一部に、皮膜下の炭素繊維維束の存在が透けて見えるような筋が目視観察されたが、それ以外の表面は微小な皺が観察されたがほぼ平坦な皮膜が形成され、炭素繊維目は見えなかった。塗料注入側表面の略平坦部分についてJIS K5600に準拠し剥離試験を行ったところ皮膜は剥離しなかった。また炭素繊維維束がみられる部分は、その繊維存在部分のみ塗膜が剥れた。またJIS K5600に準拠し膜厚測定を行ったところ、皮膜の厚みはおよそ100μmであった。
平板用金型を160℃に設定し、注入した塗料を10mLとし、注入時間を2秒としたほかは実施例1と同様にして皮膜を有する炭素繊維複合材料を作成した。得られた熱可塑性炭素繊維複合材料は、表面の一部に、皮膜下の炭素繊維維束の存在が透けて見えるような筋が目視観察されたが、それ以外の表面は微小な皺が観察されたがほぼ平坦な皮膜が形成され、炭素繊維目は見えなかった。塗料注入側表面の略平坦部分についてJIS K5600に準拠し剥離試験を行ったところ皮膜は剥離しなかった。また炭素繊維維束がみられる部分は、その繊維存在部分のみ塗膜が剥れた。JIS K5600に準拠し膜厚測定を行ったところ、皮膜の厚みはおよそ200μmであった。
平板用金型を130℃に設定し、注入した塗料を2mLとし、注入時間を0.4秒としたほかは実施例1と同様にして皮膜を有する炭素繊維複合材料を作成した。得られた熱可塑性炭素繊維複合材料は、表面の一部に、皮膜下の炭素繊維維束の存在が透けて見えるような筋が目視観察されたが、それ以外の表面は微小な皺が観察されたがほぼ平坦な皮膜が形成され、炭素繊維目は見えなかった。塗料注入側表面の略平坦部分についてJIS K5600に準拠し剥離試験を行ったところ皮膜は剥離しなかった。また炭素繊維維束がみられる部分は、その繊維存在部分のみ塗膜が剥れた。JIS K5600に準拠し膜厚測定を行ったところ、皮膜の厚みはおよそ40μmであった。
参考例2で得られたランダムマットを195mm×245mmに切り出し、さらにその上に各辺2割増に切り出した25μm厚のナイロン6フィルム(ユニチカ・エンブレムON(登録商標)25μm厚)2枚をランダムマットとナイロンフィルムの面中心が概ね重なるように設置したほかは実施例1と同様にして皮膜を有する炭素繊維複合材料を作成した。得られた熱可塑性炭素繊維複合材料は、表面に微小な皺が観察されたがほぼ平坦な皮膜が形成され、炭素繊維目は見えなかった。皮膜下の炭素繊維維束の存在が透けて見えるような筋は目視観察されなかった。JIS K5600に準拠し剥離試験、膜厚測定を行ったところ、皮膜は剥離しなかった。また皮膜の厚みはおよそ40μmであった。
3mm厚ナイロン6シート(溶融温度225℃)1枚を設置したほかは実施例5と同様にして皮膜を有する炭素繊維複合材料を作成した。得られた熱可塑性炭素繊維複合材料は、表面に微小な皺が観察されたがほぼ平坦な皮膜が形成され、炭素繊維目は見えなかった。皮膜下の炭素繊維維束の存在が透けて見えるような筋は目視観察されなかった。JIS K5600に準拠し剥離試験、膜厚測定を行ったところ、皮膜は剥離しなかった。また皮膜の厚みはおよそ40μmであった。
ビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート(140℃での半減期約0.6秒)1重量部を2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチラート1重量部と常温で混ぜ合わせペースト状にした。tert−ブチルベンゾイルペルオキシドを該ペーストに替えた以外は実施例1と同様にして皮膜を有する炭素繊維複合材料を作成した。塗料注入側表面には厚みはおよそ100μmの塗料膜が形成されていたが炭素繊維複合材料には全く密着しておらず、すぐに剥離した。
Claims (5)
- 1)表面温度が120℃以上180℃以下である金型を用いて、熱可塑性炭素繊維複合材料からなる成形品を得る工程と、2)得られた成形品の表面に皮膜を形成する皮膜形成工程とを含む、皮膜を有する熱可塑性炭素繊維複合材料の製造方法であって、1)の成形品を得る工程が、加熱プレス成形であり、2)の皮膜形成工程において、140℃における半減期が1秒以上2000秒以下である開始剤を添加したインモールドコート用塗料を金型内に注入して硬化させる、皮膜を有する熱可塑性炭素繊維複合材料の製造方法。
- 皮膜と熱可塑性炭素繊維複合材料間に厚みが5μm以上5mm以下である熱可塑性樹脂層を設ける請求項1に記載の皮膜を有する熱可塑性炭素繊維複合材料の製造方法。
- 開始剤がビス(3,5,5−トリメチル−1−オキソヘキシル)ペルオキシド、ピバロイルtert−ブチルペルオキシド、ペルオキシネオヘプタン酸tert−ブチル、7,7−ジメチルペルオキシオクタン酸tert−ブチル、4,4−ビス[(tert−ブチル)ペルオキシ]ペンタン酸ブチル、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、(2−エチルヘキサノイル)(tert−ブチル)ペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシヘキサヒドロテレフタレート、2,2−ビス[4,4−ビス(イソブチルペルオキシ)シクロヘキシル]プロパン、1,1−ビス(1,1−ジメチルエチルペルオキシ)シクロヘキサン、t−アミルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、tert−ブチルペルオキシ(2−エチルヘキシル)カーボネート、tert−ブチル(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)ペルオキシド、2,2−ビス(tert−ブチルジオキシ)ブタン、およびtert−ブチルベンゾイルペルオキシドからなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項1または2に記載の熱可塑性炭素繊維複合材料の製造方法。
- 熱可塑性炭素繊維複合材料を構成する熱可塑性樹脂が、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリカーボネート、およびポリフェニレンスルフィドからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性炭素繊維複合材料の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の方法によって得られる、皮膜を有する熱可塑性炭素繊維複合材料。
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