JP6894034B2 - ワーク吸着保持方法、ワークステージ及び露光装置 - Google Patents
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Description
ワークステージは、ワークの保持を確実にするためにワークを吸着する機構を備えている場合が多く、この機構には真空により吸着を行う真空吸着機構が採用されることが多い。ワークステージのワーク保持面には、真空吸着孔が形成され、真空吸着孔に連通した真空排気路がワークステージ内に設けられる。真空排気路には真空ポンプが接続され、ワークが真空吸着孔を塞いで配置された状態で真空吸着孔を通して真空吸引することで、ワークがワークステージに保持される。
例えば、基板に対して回路パターンの露光を行うプリント基板用露光装置では、基板を露光光学系に対して所定の位置に保持するため、ワークステージが使用される。このようなプリント基板用露光装置は、ポリイミドやポリエステル等で形成された薄いフレキシブルな基板に対して露光を行う場合がある。この種の基板は、前工程での熱処理の影響を受けやすく、横から見ると湾曲していたり、波打つように湾曲していたりする。また、ガラスエポキシのようなリジッドな基板の場合でも、基板が多層構造の場合は、素材間の熱膨張係数の違いなどから、積層のための処理を繰り返すにしたがって基板の周辺部に反りや湾曲が発生し易い。
本願の発明は、上記各課題を解決するために為されたものであり、変形が生じたワークについても十分に吸着、保持することができるようにするとともに、この際、ワークを損傷させる問題がなく、且つ異なるサイズのワークに対しても対応が容易で、さらに安価なコストで実現できるようにすることを目的としている。
ワークステージは、
ワーク保持面にワーク用真空吸着孔を有するステージ本体と、
ワーク保持面に設定された保持位置でワークが当接した際にワーク用真空吸着孔を真空吸引してワークを吸着する排気系とを備えており、
ワーク保持面には収縮シートが設けられており、
収縮シートは、ワーク用真空吸着孔が設けられた領域の外側において当該領域を取り囲む形状であって、保持位置においてワーク保持面にワークが当接した際にワークとステージ本体のワーク保持面との間に挟み込まれた状態で当該ワークの周辺部に沿って延びる形状であり、
収縮シートは、ワーク保持面に当接したワークが真空吸着される際に厚さ方向に収縮してワークと密着する弾性による柔軟性を有しており、当該柔軟性はワークの周辺部の変形に応じて異なる厚さに収縮してワークの変形をなぞった状態となる収縮性であり、当該変形及び異なる厚さへの収縮は、ワークの周辺部の周方向における変形及び異なる厚さへの収縮を含んでおり、
収縮シートは、ワークの厚さ方向の最大変形量を超える厚さを有しており、
収縮した収縮シートにより、ワークステージのワーク保持面と変形している状態のワークとの間の空間を埋めることでワーク用真空吸着孔を臨む空間を封止するという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項2記載の発明は、板状のワークを保持するワークステージであって、
ワーク保持面にワーク用真空吸着孔を有するステージ本体と、
ワーク保持面に設定された保持位置でワークが当接した際にワーク用真空吸着孔を真空吸引してワークを吸着する排気系とを備えたワークステージであって、
ワーク保持面には収縮シートが設けられており、
収縮シートは、ワーク用真空吸着孔が設けられた領域の外側において当該領域を取り囲む形状であって、保持位置においてワーク保持面にワークが当接した際にワークとステージ本体のワーク保持面との間に挟み込まれた状態で当該ワークの周辺部に沿って延びる形状であり、
収縮シートは、ワーク保持面に当接したワークが真空吸着される際に厚さ方向に収縮してワークと密着する弾性による柔軟性を有しており、当該柔軟性はワークの周辺部の変形に応じて異なる厚さに収縮してワークの変形をなぞった状態となる収縮性であり、当該変形及び異なる厚さへの収縮は、ワークの周辺部の周方向における変形及び異なる厚さへの収縮を含んでおり、
収縮シートは、ワークの厚さ方向の最大変形量を超える厚さを有しており、
収縮シートは、着脱可能にワーク保持面に取り付けられており、
収縮シートは枠状の形状を有しており、ワークを保持した際に当該ワークが占める領域である保持領域の内側に収縮シートの内側の縁が位置しており、保持領域の外側に収縮シートの外側の縁が位置しているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項3記載の発明は、前記請求項2の構成において、前記収縮シートは、前記保持位置で前記ワーク保持面に当接した前記ワークの周辺部の全周において前記ワークと重なる形状を有しているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項4記載の発明は、前記請求項2の構成において、前記収縮シートは、前記保持位置で前記ワーク保持面に当接した前記ワークの周辺部において一部に重ならない領域を有する形状であり、当該重ならない領域の周方向の長さは、10mm以下であるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項5記載の発明は、前記請求項2、3又は4の構成において、前記ワーク保持面に当接したワークが真空吸着される際に厚さ方向に収縮した前記収縮シートの平均の厚さは、0.5mm以下であるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項6記載の発明は、請求項2乃至5いずれかの構成において、前記ステージ本体は、前記ワーク用真空吸着孔が設けられた領域の外側において平坦面を有しており、前記収縮シートは当該平坦面に設けられているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項7記載の発明は、露光装置の発明であって、
光源と、
光源からの光を所定のパターンの像として投影する光学系と、
請求項2乃至6いずれかに記載のワークステージと
を備えており、前記保持位置は、光学系による所定のパターンの像の投影位置であるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項8記載の発明は、前記請求項7の構成において、
前記ワーク保持面に当接したワークが真空吸着される際に厚さ方向に収縮した前記収縮シートの平均の厚さは、前記光学系が前記像を投影する際の焦点深度の1/2以下であるという構成を有する。
また、請求項5記載の発明によれば、上記効果に加え、収縮した収縮シートの平均の厚さが0.5mm以下であるので、真空吸着されたワークの湾曲が小さくなる。
また、請求項6記載の発明によれば、上記効果に加え、収縮シートがステージ本体の平坦面に設けられているので、異なる形状及び又はサイズのワークへの対応が容易であるという効果が得られる。
また、請求項7記載の発明によれば、ワークを露光する露光装置において上記効果を得ることができる。
また、請求項8記載の発明によれば、上記効果に加え、収縮した収縮シートの平均の厚さが光学系の焦点深度の1/2以下であるので、像のボケを防止しつつ上記効果を得ることができる。
図1は実施形態のワークステージの正面断面概略図、図2は図1に示すワークステージの斜視概略図、図3は図1に示すワークステージの主要部の斜視概略図である。
図1〜図3に示す実施形態のワークステージは、板状のワークWを保持するステージであり、ステージ本体1を備えている。ステージ本体1は、平面視が方形の台状の部材である。この実施形態では、ステージ本体1は水平な姿勢でワークWを保持するものとなっており、水平な平坦面である上面がワーク保持面となっている。
図1に示すように、ステージ本体1内には、各ワーク用真空吸着孔21に連通したワーク用排気路22が形成されている。ワークステージは、不図示の真空ポンプを含む排気系2を備えており、排気系2のワーク用排気管23は、ワーク用排気路22に接続されている。
収縮シート3は、ステージ本体1の上面に載置された状態で設けられている。載置位置は、ワークWの保持位置との関係で所定の位置となっている。
この実施形態では、ワークWは方形の板状である。保持位置は、例えば、保持されたワークWがステージ本体1の中心と同心の方形の領域を占める位置として設定される。保持位置を、図2及び図3において方形の想像線Rで示す。ワークWは、想像線Rにその輪郭が一致するように精度良く載置される。想像線Rで囲まれた領域を以下、保持領域という。
このような収縮シート3としては、この実施形態では、シリコーン製のものが使用されている。厚さは、好ましくは0.1〜10mm、より好ましくは0.5〜2mm程度である。
この際、図5(2)に示すように、ワークWの周辺部と重なっている収縮シート3は、変形しているワークWの形状に応じて厚さ方向に収縮する。収縮後の収縮シート3の断面形状は、変形しているワークWの断面形状をなぞったような形状となり、ワークWと収縮シート3とは互いに密着する。この結果、収縮シート3の内側の空間は、ワークWと収縮シート3との密着により閉じた空間(封止された空間)となり、真空のリークが防止される。
尚、収縮シート3がワークWの変形に応じた圧縮は、塑性変形ではなく弾性変形であることが必要である。但し、収縮シート3は、次のワークWを真空吸着するまでに元の状態に復元していれば良いので、いわゆる低反発弾性を示すものであっても良い。
枠体31は、アルミ、ステンレスといった金属製の板状の部材である。この実施形態では、額縁状の収縮シート3に合わせて枠体31も額縁状となっている。枠体31は、内側の縁に沿って厚さが薄くなっていて段差が形成されており、この部分において収縮シート3の外側の縁が固定されている。固定は、例えば接着材による接着で行われる。
この際、クランプ機構のようにワークWを反対側から押さえ付ける必要はないので、ワークWが損傷することはない。また、収縮シート3をワークWの周縁においてワークWとステージ本体1との間に介在させるというシンプルな構造で上記効果を達成しているので、大がかりにならず、コスト的にも安価なものとなっている。
尚、枠体31をネジ止めでステージ本体1に着脱可能に固定する構造であっても実施は可能であるが、真空吸着により位置を固定する構造の方が交換の作業は簡便である。
尚、収縮シート3とワークWとの重なる領域は、ワークWの周縁を含むことが望ましいが、周縁よりも少し内側の周辺部で重なっていても実施可能である。但し、収縮シート3がワーク用真空吸着孔21に重なってしまうとワークWの真空吸着を阻害することになるので、ワーク用真空吸着孔21には重ならないようにすることが必要である。
図6は、実施形態の露光装置の正面断面概略図である。図6に示す露光装置は、一例としてプリント基板用露光装置となっている。
図6に示す露光装置は、ワークWを所定位置で保持するワークステージ4と、ワークステージ4に保持されたワークWに所定のパターンの光を照射して露光する露光系5と、搬送系6とを備えている。露光系は、光源と、光源からの光を所定のパターンの像として投影する光学系とを含む。
各搬送コンベア61,62に協働して動作するものとして、ワークステージ4の両側には搬送ハンド63,64が設けられている。搬送ハンド63,64についても、説明の都合上、右側の搬送ハンド63を第一搬送ハンドとし、左側の搬送ハンド64を第二搬送ハンドとする。
尚、ワークステージ4には、昇降機構40が設けられている。昇降機構40は、ワークWの受け渡しの際に駆動される他、露光系5に対するワークWの距離の調節の目的でも使用される。昇降機構40は、サーボモータを含む直動機構で構成されており、制御部によって制御される。
まず、第一搬送コンベア61がワークWを第一搬送ハンド63の下方位置まで搬送する。そして、第一搬送ハンド63が下降し、ワークWを吸着、保持する。第一搬送ハンド63は、所定距離上昇した後、水平方向に移動してワークステージ4の上方位置に達する。その後、第一搬送ハンド63は所定距離下降し、ワークWをワークステージ4上に載置する。
第一搬送ハンド63は、当初の待機位置に戻る。並行して、露光系5が動作し、ワークWに対して所定のパターンの光が照射されて露光が行われる。所定時間の露光の後、第二搬送ハンド64がワークステージ4の上方に位置した後、所定距離下降し、ワークWを吸着する。ワークWの吸着から少しタイミングを遅らせて、ワーク用排気管23上の開閉バルブが閉じられ、大気開放バルブが開けられてワーク用排気路22が大気開放される。これにより、ワークWの真空吸着が解除される。
上記実施形態は、プリント基板用露光装置であったが、この他、液晶ディスプレイ用の露光装置等、板状のワークWを対象物とするものであれば、他の露光装置についても同様に実施できる。また、露光装置以外のワークステージ4の使用例としては、基板検査装置、シルク印刷装置、穴あけ装置等が挙げられる。
実施形態のワークステージは、ステージ本体1とワークWとの間に収縮シート3が挟み込まれた状態になるので、その部分では、収縮シート3の厚み分だけ、光学系に近づいた状態となる。したがって、収縮した収縮シート3の厚さが焦点深度の1/2より厚いと、像のボケが生じ易くなる。収縮シート3が間に介在するワークWの周辺部は、非使用領域(ワークWにおいてパターンを投影すべき領域の外側)である場合が多いが、使用領域である場合、露光パターンがボケることになり、製品不良の原因となり得る。したがって、焦点深度の1/2以下とすることが好ましい。
2 排気系
21 ワーク用真空吸着孔
24 シート用真空吸着孔
3 収縮シート
31 枠体
4 ワークステージ
5 露光系
6 搬送系
W ワーク
Claims (8)
- 周辺部において周方向にたどった際に反り又は湾曲があって変形している板状のワークを、真空吸着孔を有するワークステージに真空吸着させて保持するワーク吸着保持方法であって、
ワークステージは、
ワーク保持面にワーク用真空吸着孔を有するステージ本体と、
ワーク保持面に設定された保持位置でワークが当接した際にワーク用真空吸着孔を真空吸引してワークを吸着する排気系とを備えており、
ワーク保持面には収縮シートが設けられており、
収縮シートは、ワーク用真空吸着孔が設けられた領域の外側において当該領域を取り囲む形状であって、保持位置においてワーク保持面にワークが当接した際にワークとステージ本体のワーク保持面との間に挟み込まれた状態で当該ワークの周辺部に沿って延びる形状であり、
収縮シートは、ワーク保持面に当接したワークが真空吸着される際に厚さ方向に収縮してワークと密着する弾性による柔軟性を有しており、当該柔軟性はワークの周辺部の変形に応じて異なる厚さに収縮してワークの変形をなぞった状態となる収縮性であり、当該変形及び異なる厚さへの収縮は、ワークの周辺部の周方向における変形及び異なる厚さへの収縮を含んでおり、
収縮シートは、ワークの厚さ方向の最大変形量を超える厚さを有しており、
収縮した収縮シートにより、ワークステージのワーク保持面と変形している状態のワークとの間の空間を埋めることでワーク用真空吸着孔を臨む空間を封止することを特徴とするワーク吸着保持方法。 - 板状のワークを保持するワークステージであって、
ワーク保持面にワーク用真空吸着孔を有するステージ本体と、
ワーク保持面に設定された保持位置でワークが当接した際にワーク用真空吸着孔を真空吸引してワークを吸着する排気系とを備えたワークステージであって、
ワーク保持面には収縮シートが設けられており、
収縮シートは、ワーク用真空吸着孔が設けられた領域の外側において当該領域を取り囲む形状であって、保持位置においてワーク保持面にワークが当接した際にワークとステージ本体のワーク保持面との間に挟み込まれた状態で当該ワークの周辺部に沿って延びる形状であり、
収縮シートは、ワーク保持面に当接したワークが真空吸着される際に厚さ方向に収縮してワークと密着する弾性による柔軟性を有しており、当該柔軟性はワークの周辺部の変形に応じて異なる厚さに収縮してワークの変形をなぞった状態となる収縮性であり、当該変形及び異なる厚さへの収縮は、ワークの周辺部の周方向における変形及び異なる厚さへの収縮を含んでおり、
収縮シートは、ワークの厚さ方向の最大変形量を超える厚さを有しており、
収縮シートは、着脱可能にワーク保持面に取り付けられており、
収縮シートは枠状の形状を有しており、ワークを保持した際に当該ワークが占める領域である保持領域の内側に収縮シートの内側の縁が位置しており、保持領域の外側に収縮シートの外側の縁が位置していることを特徴とするワークステージ。 - 前記収縮シートは、前記保持位置で前記ワーク保持面に当接した前記ワークの周辺部の全周において前記ワークと重なる形状を有していることを特徴とする請求項2記載のワークステージ。
- 前記収縮シートは、前記保持位置で前記ワーク保持面に当接した前記ワークの周辺部において一部に重ならない領域を有する形状であり、当該重ならない領域の周方向の長さは、10mm以下であることを特徴とする請求項2記載のワークステージ。
- 前記ワーク保持面に当接したワークが真空吸着される際に厚さ方向に収縮した前記収縮シートの平均の厚さは、0.5mm以下であることを特徴とする請求項2、3又は4記載のワークステージ。
- 前記ステージ本体は、前記ワーク用真空吸着孔が設けられた領域の外側において平坦面を有しており、前記収縮シートは当該平坦面に設けられていることを特徴とする請求項2乃至5いずれかに記載のワークステージ。
- 光源と、
光源からの光を所定のパターンの像として投影する光学系と、
請求項2乃至6いずれかに記載のワークステージと
を備えており、前記保持位置は、光学系による所定のパターンの像の投影位置であることを特徴とする露光装置。 - 前記ワーク保持面に当接したワークが真空吸着される際に厚さ方向に収縮した前記収縮シートの平均の厚さは、前記光学系が前記像を投影する際の焦点深度の1/2以下であることを特徴とする請求項7記載の露光装置。
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