JP2016538860A - プロテアーゼ開裂に対する感受性を低減した変異体α−アミラーゼ、及びその使用方法 - Google Patents

プロテアーゼ開裂に対する感受性を低減した変異体α−アミラーゼ、及びその使用方法 Download PDF

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Abstract

開示されるのは、タンパク質分解に対する感受性を低減し、その能力(perfomance)を改善する突然変異を含む変異体α−アミラーゼ酵素に関する組成物及び方法である。変異体α−アミラーゼは、α−アミラーゼ及びプロテアーゼが同じ溶液中に存在することを必要とする適用において特に有用である。

Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許出願第61/906,617号(2013年11月20日出願)に対する優先権を請求し、この出願は参照によりその全体が本明細書に援用される。
開示されるのは、タンパク質分解に対する感受性を低減し、その能力(perfomance)を改善する突然変異を含む変異体α−アミラーゼ酵素に関する組成物及び方法である。変異体α−アミラーゼは、α−アミラーゼ及びプロテアーゼが同じ溶液中に存在することが必要な適用において特に有用である。
デンプンは、アミロース(15〜30% w/w)と、アミロペクチン(70〜85%w/w)との混合物からなる。アミロースは、α−1,4結合したグルコース単位の直鎖からなっており、約60,000〜約800,000の分子量(MW)を有する。アミロペクチンは、24〜30グルコース単位毎にα−1,6分岐点を包含した、分岐状ポリマーで、MWは1億にもなる場合がある。
α−アミラーゼは、内部のα−1,4−グルコシド結合をランダムに切断することによりデンプン、グリコーゲン、及び関連したポリサッカライドを加水分解する。特にバシラス(Bacilli)由来のα−アミラーゼは、デンプン液化及び糖化、織物湯通し、紙及びパルプ工業におけるデンプン変性、醸造、焼成、食品産業用のシロップの生産、発酵プロセス用の原材料の生産、を含む様々の異なる目的で、並びに動物用飼料において消化性(digestability)を増大させるために使用されてきた。α−アミラーゼはまた、食器洗浄及び洗濯物洗浄の間にデンプン質の汚れ及び染みを除去するために使用されてきた。
一部の適用では、α−アミラーゼは、プロテアーゼを含む他の酵素と組み合わせて使用される。一部のα−アミラーゼは、プロテアーゼの存在下で比較的安定しているが、その他はタンパク質分解開裂に影響を受けやすく、プロテアーゼの存在下で急速に不活性化される。したがって、優れたデンプン加水分解活性を有する多くのα−アミラーゼは、プロテアーゼの存在下で使用することができない。
本発明の組成物及び方法は、タンパク質分解開裂に対する感受性を低減し、性能を改善した変異体α−アミラーゼ酵素、及びその使用方法に関する。以下の別個の番号付きの段落に、本発明の組成物及び方法の態様及び実施形態について要約する。
1.第1の態様では、TIMバレル構造を持つα−アミラーゼのタンパク質分解開裂に対する感受性を低減する方法であって、β−バレルの第7ストランドと第7ヘリックスを連結するループ中に存在する非カノニカルで表面が露出したアミノ酸残基を異なるアミノ酸残基に置換して変異体α−アミラーゼを生成することを含み、変異体α−アミラーゼは、親α−アミラーゼと比較して、プロテアーゼによるβ−バレルの第7ストランドと第7ヘリックスを連結するループ中の開裂に対する感受性が低減し、配列番号3が位置の番号付けに使用される、方法を提供する。
2.段落1に記載の方法の一部の実施形態では、非カノニカルで表面が露出したアミノ酸残基は、親α−アミラーゼにおける位置333に対応する位置に存在し、配列番号3が位置の番号付けに使用される。
3.一部の実施形態では、段落2に記載の方法は、親α−アミラーゼにおける位置335に対応する位置に存在するアミノ酸残基を異なるアミノ酸残基に置換することを更に含み、配列番号3が位置の番号付けに使用される。
4.先行する段落2又は3に記載の方法の一部の実施形態では、親α−アミラーゼは、位置333に対応する位置にグリシン又はグルタミン以外のアミノ酸残基を有する。
5.先行する段落2〜4のいずれかに記載の方法の一部の実施形態では、親α−アミラーゼは、位置333に対応する位置にスレオニンを有する。
6.先行する段落2〜5のいずれかに記載の方法の一部の実施形態では、位置333に対応する位置においてアミノ酸残基をグリシンに置換する。
7.先行する段落3〜6のいずれかに記載の方法の一部の実施形態では、親α−アミラーゼは、位置335に対応する位置にセリン以外のアミノ酸残基を有する。
8.先行する段落3〜7のいずれかに記載の方法の一部の実施形態では、位置335に対応する位置においてアミノ酸残基をセリンに置換する。
9.一部の実施形態では、先行する段落のいずれかに記載の方法は、親α−アミラーゼにおいて次の突然変異、(i)位置177、178、179、及び180に対応する位置における1つ若しくは2つ以上のアミノ酸残基の欠失、(ii)位置186に対応する位置に存在するアミノ酸残基の置換、又は(iii)位置472に対応する位置に存在するアミノ酸残基の置換、の1つ又は2つ以上を作製することを更に含み、結果として生じる変異体が、その親と比較して洗剤組成物において増大した洗剤安定性及び/又は増大したクリーニング性能を有し、配列番号3が位置の番号付けに使用される。
10.一部の実施形態では、先行する段落のいずれかに記載の方法は、親α−アミラーゼにおいて次の突然変異、(i)位置177及び178に対応する位置におけるアミノ酸残基の欠失、(ii)位置186に対応する位置に存在するアミノ酸残基のプロリンへの置換、(iii)位置472に対応する位置に存在するアミノ酸残基のアルギニン又はリシンへの置換、の1つ又は2つ以上を作製することを更に含み、結果として生じる変異体が、その親と比較して洗剤組成物において増大した洗剤安定性及び/又は増大したクリーニング性能を有し、配列番号3が位置の番号付けに使用される。
11.一部の実施形態では、段落1〜10のいずれかに記載の方法は、N125、F152、N205、及びG473に対応する位置で1つ又は2つ以上の突然変異を作製することを更に含み、配列番号3が位置の番号付けに使用される。
12.段落11に記載の方法の一部の実施形態では、変異体は、次からなる群から選択される突然変異の組み合わせを含む。
(i)N125Y+E186P+T333G+A335S+Q337E+G472K、
(ii)N125Y+F152W+E186P+T333G+A335S+Q337E+G472K、
(iii)N125Y+F152W+E186P+T333G+A335S+Q337E+G472R+G473R、
(iv)N125Y+F152W+E186P+N205D+T333G+A335S+Q337E+G472K、
(v)N125Y+E186P+T333G+A335S+G472K、
(vi)N125Y+F152W+E186P+T333G+A335S+G472K、
(vii)N125Y+F152W+E186P+T333G+A335S+G472R+G473R、
(viii)N125Y+F152W+E186P+N205D+T333G+A335S+G472K、
(ix)N125Y+E186P+T333G+G472K、
(x)N125Y+F152W+E186P+T333G+G472K、
(xi)N125Y+F152W+E186P+T333G+G472R+G473R、及び
(xii)N125Y+F152W+E186P+N205D+T333G+G472K。
13.先行する段落のいずれかに記載の方法の一部の実施形態では、親又は変異体α−アミラーゼは、配列番号3に対し少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。
14.別の態様では、先行する段落のいずれかに記載の方法によって調製される変異体α−アミラーゼが提供される。
15.別の態様では、親α−アミラーゼの変異体が提供され、変異体は、親α−アミラーゼにおける位置333に対応する位置に存在するアミノ酸残基の異なるアミノ酸残基への置換を含み、変異体α−アミラーゼは、親α−アミラーゼと比較して、プロテアーゼによるβ−バレルの第7ストランドと第7ヘリックスを連結するループ中の開裂に対する感受性が低減し、配列番号3が位置の番号付けに使用される。
16.一部の実施形態では、段落15に記載の変異体は、親α−アミラーゼにおける位置335に対応する位置に存在するアミノ酸残基の異なるアミノ酸残基への置換を更に含んで、開裂に対する感受性を更に低減し、配列番号3が位置の番号付けに使用される。
17.先行する段落15又は16に記載の変異体の一部の実施形態では、親α−アミラーゼは、位置333に対応する位置にグリシン又はグルタミン以外のアミノ酸残基を有する。
18.先行する段落15〜17のいずれかに記載の変異体の一部の実施形態では、親α−アミラーゼは、位置333に対応する位置にスレオニンを有する。
19.先行する段落15〜18のいずれかに記載の変異体の一部の実施形態では、変異体α−アミラーゼは、位置333に対応する位置にグリシンへの置換を有する。
20.先行する段落15〜19のいずれかに記載の変異体の一部の実施形態では、親α−アミラーゼは、位置335に対応する位置にセリン以外のアミノ酸残基を有する。
21.先行する段落16〜20のいずれかに記載の変異体の一部の実施形態では、変異体α−アミラーゼは、位置335に対応する位置にセリンへの置換を有する。
22.一部の実施形態では、先行する段落15〜21のいずれかに記載の変異体は、その親に関連して次の突然変異、(i)位置177、178、179、及び180に対応する位置における1つ又は2つ以上のアミノ酸残基の欠失、(ii)位置186に対応する位置に存在するアミノ酸残基の置換、並びに(iii)位置472に対応する位置に存在するアミノ酸残基の置換、の1つ又は2つ以上を含み、変異体が、その親と比較して洗剤組成物において増大した洗剤安定性及び/又は増大したクリーニング性能を有し、位置の番号付けは配列番号3を参照する。
23.一部の実施形態では、先行する段落15〜22のいずれかに記載の変異体は、その親に関連して次の突然変異、(i)位置177及び178に対応する位置におけるアミノ酸残基の欠失、(ii)位置186に対応する位置に存在するアミノ酸残基のプロリンへの置換、(iii)位置472に対応する位置に存在するアミノ酸残基のアルギニン又はリシンへの置換、の1つ又は2つ以上を更に含み、変異体が、その親と比較して洗剤組成物において増大した洗剤安定性及び/又は増大したクリーニング性能を有し、位置の番号付けは配列番号3を参照する。
24.一部の実施形態では、先行する段落15〜23のいずれかに記載の変異体は、N125、F152、N205、及びG473からなる群から選択される位置における突然変異を更に含む。
25.一部の実施形態では、先行する段落15〜24のいずれかに記載の変異体は、位置177、178、179、及び180に対応する位置における1つ又は2つ以上のアミノ酸残基の欠失を含み、次からなる群から選択される突然変異の組み合わせを更に含む。
(i)N125Y+E186P+T333G+A335S+Q337E+G472K、
(ii)N125Y+F152W+E186P+T333G+A335S+Q337E+G472K、
(iii)N125Y+F152W+E186P+T333G+A335S+Q337E+G472R+G473R、
(iv)N125Y+F152W+E186P+N205D+T333G+A335S+Q337E+G472K、
(v)N125Y+E186P+T333G+A335S+G472K、
(vi)N125Y+F152W+E186P+T333G+A335S+G472K、
(vii)N125Y+F152W+E186P+T333G+A335S+G472R+G473R、
(viii)N125Y+F152W+E186P+N205D+T333G+A335S+G472K、
(ix)N125Y+E186P+T333G+G472K、
(x)N125Y+F152W+E186P+T333G+G472K、
(xi)N125Y+F152W+E186P+T333G+G472R+G473R、及び
(xii)N125Y+F152W+E186P+N205D+T333G+G472K。
26.先行する段落15〜24のいずれかに記載の変異体の一部の実施形態では、親又は変異体は、配列番号3に対し少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。
27.別の態様では、段落14〜26のいずれかに記載のα−アミラーゼを含む組成物が提供される。
28.一部の実施形態では、段落27に記載の組成物は、界面活性剤を更に含む。
29.一部の実施形態では、段落27又は28に記載の組成物は、洗濯洗剤、洗濯洗剤添加剤、又は手洗い若しくは自動食器洗い洗剤である。
30.一部の実施形態では、段落27〜29のいずれかに記載の組成物は、プロテアーゼ、へミセルラーゼ、セルラーゼ、ペルオキシダーゼ、脂肪分解酵素、メタロ脂肪分解(metallolipolytic)酵素、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、ペルヒドラーゼ、クチナーゼ、ぺクチナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、マンナーゼ、ケラチナーゼ、還元酵素、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ(malanase)、β−グルカナーゼ、アラビノシターゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、メタロプロテイナーゼ、アマドリアーゼ、及びPcuAmy1以外のα−アミラーゼからなる群から選択される1つ又は2つ以上の追加の酵素、又はそれらの変異体を更に含む。
31.一部の実施形態では、段落27に記載の組成物は、デンプンを含む組成物の糖化用、液化後SSF用、若しくは事前液化なしの直接SSF用、又は発酵飲料若しくは焼成食品の生産用である。
32.一部の実施形態では、段落27又は28に記載の組成物は、織物湯通し用である。
33.別の態様では、段落14〜26のいずれかに記載のポリペプチドをコードする組み換えポリヌクレオチドが提供される。
34.一部の実施形態では、段落33に記載のポリヌクレオチドは、配列番号1のポリヌクレオチドに対し少なくとも80%の核酸配列同一性を有するか、又は配列番号1のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする。
35.別の態様では、段落33又は34に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクターが提供される。
36.別の態様では、段落35に記載の発現ベクターを含む宿主細胞が提供される。
37.別の態様では、グルコースを含む組成物の生産、液化デンプンの生産、食材若しくは飲料の生産、デンプン質の染みの洗浄、又は織物湯通しに際し、段落16〜26のいずれかに記載のα−アミラーゼの使用が提供される。
38.別の態様では、表面からデンプン質の染み又は汚れを除去する方法であって、表面を、段落16〜26のいずれかに記載の有効な量の変異体α−アミラーゼを含む組成物及び任意追加的に界面活性剤と接触させることと、α−アミラーゼがデンプン質の染み中に存在するデンプン成分を加水分解できるようにして、水溶液に溶解するより小さなデンプン由来の分子を産生することと、を含み、それによって、表面からデンプン質の染みを除去し、組成物が、任意追加的に、プロテアーゼ、へミセルラーゼ、セルラーゼ、ペルオキシダーゼ、脂肪分解酵素、メタロ脂肪分解酵素、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、ペルヒドラーゼ、クチナーゼ、ぺクチナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、マンナーゼ、ケラチナーゼ、還元酵素、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシターゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、メタロプロテイナーゼ、アマドリアーゼ、及びPcuAmy1以外のα−アミラーゼからなる群から選択される少なくとも1つの追加の酵素、又はそれらの変異体を更に含む、方法が提供される。
39.別の態様では、織物を湯通しする方法であって、糊付けされた織物を段落14〜26のいずれかに記載の有効な量の変異体α−アミラーゼと接触させることと、α−アミラーゼが織物用糊のデンプン成分を加水分解できるようにして、水溶液に溶解するより小さなデンプン由来の分子を産生することと、を含み、それによって、織物から織物用糊を除去する方法が提供される。
40.別の態様では、デンプンを含む組成物を糖化してグルコースを含む組成物を生産するための方法であって、デンプンを含む組成物を段落14〜26のいずれかに記載の有効な量の変異体α−アミラーゼと接触させることと、デンプンを含む組成物を糖化させてグルコースを含む組成物を生産することと、を含み、α−アミラーゼがデンプン溶液のグルコースへの糖化を触媒する、方法が提供される。
41.段落40に記載の方法の一部の実施形態では、デンプンを含む組成物は、液化デンプン、ゼラチン化デンプン、又は顆粒デンプンを含む。
42.別の態様では、食材又は飲料を調製する方法であって、デンプンを含む食材又は飲料を段落14〜26のいずれかに記載のα−アミラーゼと接触させることと、α−アミラーゼがデンプンを加水分解できるようにして、より小さなデンプン由来の分子を産生することと、を含み、その方法が、食材又は飲料をグルコアミラーゼ、ヘキソキナーゼ、キシラナーゼ、グルコースイソメラーゼ、キシロースイソメラーゼ、ホスファターゼ、フィターゼ、プルラナーゼ、β−アミラーゼ、変異体α−アミラーゼでないα−アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、イソアミラーゼ、酸化還元酵素、エステラーゼ、トランスフェラーゼ、ペクチナーゼ、α−グルコシダーゼ、ベータ−グルコシダーゼ、又はこれらの組み合わせと接触させることを任意追加的に更に含む、方法が提供される。
43.段落40〜42のいずれかに記載の方法の一部の実施形態では、α−アミラーゼは、宿主細胞によって発現され分泌される。
44.段落43に記載の方法の一部の実施形態では、デンプンを含む組成物は、宿主細胞に接触する。
45.段落43又は44に記載の方法の一部の実施形態では、宿主細胞はグルコアミラーゼ又は他の酵素を更に発現し、分泌する。
46.段落43〜45のいずれかに記載の方法の一部の実施形態では、宿主細胞は、組成物を発酵させ得るものである。
組成物及び方法のこれらの及び他の態様、並びにこれらの及び他の実施形態は、本説明及び図面より明らかとなるであろう。
工業用途での利用のために記載された複数のα−アミラーゼのアミノ酸配列アライメントである。アライメントは、Clustal Wをデフォルトパラメータで使用して作成した。 工業用途での利用のために記載された複数のα−アミラーゼのアミノ酸配列アライメントである。アライメントは、Clustal Wをデフォルトパラメータで使用して作成した。 工業用途での利用のために記載された複数のα−アミラーゼのアミノ酸配列アライメントである。アライメントは、Clustal Wをデフォルトパラメータで使用して作成した。 増加するGG36プロテアーゼの存在下でPcuAmy1−v1の開裂を示すSDS/PAGEゲルの画像である。ゲルの右側の文字は、(A)無傷の完全長PcuAmy1−v1、(B)PcuAmy1−v1の第1の開裂産物、(C)GG36プロテアーゼ、(D)GG36タンパク質調製物中の汚染物質、及び(E)PcuAmy1−v1の第2の開裂産物を示す。 GG36プロテアーゼと共にインキュベーションした後の、PcuAmy1及び遺伝子操作を受けたいくつかの変異体の残留α−アミラーゼ活性を示すグラフである。 GG36プロテアーゼと共にインキュベーションした後の、PcuAmy1及び遺伝子操作を受けたいくつかの変異体のタンパク質分解開裂を示すSDS/PAGEゲルの画像である。 MIFA Total洗剤中でGG36プロテアーゼと共にインキュベーションした後の、PcuAmy1−v1及び遺伝子操作を受けたいくつかの変異体の安定性を37℃で最大14日間について示すグラフである。 MIFA Total洗剤中でGG36プロテアーゼと共にインキュベーションした後の、PcuAmy1−v1及び遺伝子操作を受けたいくつかの変異体の安定性を37℃で3又は14日間について示すグラフである。 Unilever Omo洗剤中でGG36プロテアーゼと共にインキュベーションした後の、PcuAmy1−v1及び遺伝子操作を受けたいくつかの変異体の安定性を37℃で最大14日間について示すグラフである。 Unilever Omo洗剤中でGG36プロテアーゼと共にインキュベーションした後の、PcuAmy1−v1及び遺伝子操作を受けたいくつかの変異体の安定性を37℃で3又は14日間について示すグラフである。 2つの商業用測定基準と比較したPersil Universal Gel Gold洗剤中の用量依存性クリーニング性能PcuAmy1−3B及びPcuAmy1−3Lを示すグラフである。 2つの商業用測定基準と比較したPersil Universal Gel Gold洗剤中のPcuAmy1−3B及びPcuAmy1−3Lの熱的安定性を示すグラフである。 MIFA Total洗剤中でGG36プロテアーゼと共にインキュベーションした後の、PcuAmy1−v1及び遺伝子操作を受けたいくつかの変異体の安定性を37℃で3又は14日間について示すグラフである。 pH8.0の緩衝剤中のSTAINZYME(登録商標)及びACE−QKと比較したPcuAmy1変異体v1、v6、v8、及びv16の相対クリーニング性能を示すグラフである。酵素用量を、x軸上に記載する。 示された温度で緩衝剤中のSTAINZYME(登録商標)と比較したPcuAmy1変異体v1、v6、v8、及びv16の相対熱的安定性を示すグラフである。5ppmのPcuAmy1変異体及び10ppmのSTAINZYME(登録商標)を使用した。
記載されるのは、タンパク質分解開裂に対する感受性を低減した変異体α−アミラーゼ酵素に関連する組成物及び方法である。変異体α−アミラーゼの代表的な適用例は、デンプンの液化及び糖化、洗濯物及び食器洗浄中のデンプン質の染みの洗浄、織物加工中の湯通し、焼成及び醸造、並びに動物用飼料であり、特にプロテアーゼは既知であるか、又は存在が疑われる。組成物及び方法のこれらの及び他の態様は、下に詳細に記載される。
本発明の組成物及び方法の様々な態様及び実施形態を記載する前に、次の定義及び略記を記載する。
1.定義及び略記
この発明を実施するための形態に従い、以下の略記及び定義を適用する。なお、単数形「a」、「an」、及び「the」には、文脈上明らかな別段の指示がない限り、複数の指示対象が含まれることに、留意されたい。したがって、例えば「酵素」という場合には、複数のこうした酵素が含まれ、「添加量」という場合には、当業者には周知の1つ又は2つ以上の添加量及びその等価物などが含まれる。
本文書は、読みやすさのために複数の節に編成されているが、読者は、1つの節で行われた記述が他の節に適用できることを理解するであろう。この方法では、開示の異なる節で使用される項目は、限定的なものとして解釈されるべきではない。
特に定義されない限りは、本明細書で使用する技術用語及び科学用語はいずれも、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。以下の用語を下記に示す。
1.1.略語及び頭字語
以下の略語/頭字語は、別途記載のない限り、以下の意味を有する。
Figure 2016538860
Figure 2016538860
1.2.定義
用語「アミラーゼ」又は「デンプン分解酵素」は、とりわけ、デンプンの分解を触媒可能な酵素を指す。α−アミラーゼは、デンプン内のα−D−(1→4)O−グリコシド結合を切断する加水分解酵素である。一般的に、αアミラーゼ(EC 3.2.1.1;α−D−(1→4)−グルカングルカノヒドロラーゼ)は、デンプン分子内部のα−D−(1→4)O−グリコシド結合をランダムに切断して、(1〜4)−α−結合型D−グルコース単位を3つ以上含有するポリサッカライドを生成するエンド型酵素として定義される。対照的に、β−アミラーゼ(EC 3.2.1.2;α−D−(1→4)−グルカンマルトヒドロラーゼ)などのエキソ型デンプン分解酵素、及びマルトジェニックα−アミラーゼ(EC 3.2.1.133)などの一部の生成物特異的アミラーゼは、基質の非還元性末端からポリサッカライド分子を切断する。β−アミラーゼ、α−グルコシダーゼ(EC 3.2.1.20;α−D−グルコシドグルコヒドロラーゼ)、グルコアミラーゼ(EC 3.2.1.3;α−D−(1→4)−グルカングルコヒドロラーゼ)、及びマルトテトラオシダーゼ(EC 3.2.1.60)及びマルトヘキサオシダーゼ(EC3.2.1.98)などの生成物特異的アミラーゼは、特定の長さのマルト−オリゴ糖類、又は特定のマルトオリゴ糖類の富化シロップを生成し得る。
用語「プロテアーゼ」及び「プロテイナーゼ」は、タンパク質を形成するペプチド又はポリペプチド鎖内でアミノ酸を一緒に連結するペプチド結合の加水分解を指す「タンパク質分解」又は「タンパク質分解開裂」を実行する能力を有する酵素タンパク質を指す。タンパク質消化酵素としてのプロテアーゼのこの活性は、「タンパク質活性」と呼ばれる。タンパク質分解活性を測定するための多くの周知の手順が存在する(例えば、Kalisz,「Microbial Proteinases」,In:Fiechter(ed),Advances in Biochemical Engineering/Biotechnology,(1988)を参照されたい)。例えば、タンパク質分解活性は、各プロテアーゼが市販の基質を加水分解する能力を解析する、比較アッセイにより確認することができる。プロテアーゼ活性又はタンパク質分解活性の解析に有用な代表的な基質としては、限定するものではないが、ジメチルカゼイン(Sigma C−9801)、ウシコラーゲン(Sigma C−9879)、ウシエラスチン(Sigma E−1625)、及びウシケラチン(ICN Biomedical 902111)が挙げられる。これらの基質を用いる比色分析は当該技術分野において周知である(例えば、いずれも参照により本案件に組み込まれる国際公開第99/34011号及び米国特許第6,376,450号を参照されたい)。pNAアッセイ(例えば、Del Mar et al.,Anal.Biochem.99:316〜320を参照されたい)はまた、勾配溶離中に回収された画分の活性酵素濃度の決定において有用であることが分かっている。このアッセイは、酵素がスクシニル−アラニン−アラニン−プロリン−フェニルアラニン−p−ニトロアニリド(suc−AAPF−pNA)などの可溶性合成ペプチド基質を加水分解するときに、p−ニトロアニリンが放出される速度を測定するものであり、開裂がC末端アミノ酸(フェニルアラニン)とp−NAとの間で発生して、加水分解反応から黄色の生成を引き起こし、これは分光光度計で410nmと測定され、活性酵素濃度に比例する。色の変化の測定は、反応の速度の計算を可能にする加えて、280ナノメートル(nm)での吸光度測定を使用して、総タンパク質濃度を定量することができる。活性酵素/総タンパク質比は、参照基準を使用するとき、酵素の純度を与える。
用語「セリンプロテアーゼ」は、酵素セリンが酵素活性部位で求核アミノ酸として働くタンパク質中のペプチド結合を切断する酵素を指す。セリンプロテアーゼは、その構造に基づき、キモトリプシン様(トリプシン様)又はスブチリシン様の2つに大別される。最も一般的に用いられる洗濯洗剤及び食器洗浄洗剤は、セリンプロテアーゼ、特にスブチリシンである。
用語「TIMバレル」は、ペプチドバックボーンに沿って交替する8つのα−へリックス及び8つの平行β−ストランドを含む3次元のポリペプチド構造を指す。
ポリペプチド内のアミノ酸残基に関して、用語「表面が露出した」は、ポリペプチドが無傷で適切に折り畳まれているとき、即ち、変性又は細分化されていないとき、ポリペプチドの外部表面上の残基を指す。α−アミラーゼの場合において、その構造はTIMバレルと呼ばれる。
ポリペプチド内のアミノ酸残基に関して、用語「非カノニカル」は、Clustal Wをデフォルトパラメータで使用して、類似の分子のアミノ酸配列アライメントに基づいた所定の位置では通常発見されない残基を指す。一部の場合において、特定の残基は、類似の分子10個中1個、20個中1個、30個中1個、50個中1個、又は更には100個中1個のみの所定の位置で発見される。
本明細書で使用するとき、「酵素単位」は、特定条件のアッセイ下で、時間あたりに生成される生成物量を指す。例えば、「グルコアミラーゼ活性単位」(GAU)は、60℃、pH4.2において、可溶性デンプン基質(4% DS)から1時間当たりに1gのグルコースが生産される酵素の量として定義されている。「可溶性デンプン単位」(SSU)は、50℃、pH4.5において、可溶性デンプン基質(4% DS)から1分当たりに1mgのグルコースが生産される酵素の量である。DSは「乾燥固形分」を指す。
用語「デンプン」とは、アミロース及びアミロペクチンで構成され、化学式(C10を有し、ここでXが任意の数字であり得る、植物の複合多糖炭水化物からなる材料を指す。この用語には、穀類、穀物、草、塊茎及び根などの植物性材料が含まれ、より具体的には、小麦、大麦、トウモロコシ、ライ麦、米、ソルガム、糠、キャッサバ、キビ、ミロ、ジャガイモ、サツマイモ、及びタピオカから得られる材料などが含まれる。用語「デンプン」は、粒状デンプンを含む。用語「粒状デンプン」は、未加工の、即ち、加熱調理されていないデンプン、例えば、糊化を受けていないデンプンを指す。
ポリペプチドに関し、「野生型」、「親」、又は「参照」なる用語は、1つ又は2つ以上のアミノ酸位置において人工的な置換、挿入、又は欠失を有さない、天然型ポリペプチドを指す。同様に、ポリヌクレオチドに関し、「野生型」、「親」、又は「参照」なる用語は、人工的なヌクレオシドの変化を有さない、天然型ポリヌクレオチドを指す。しかしながら、野生型、親又は参照ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは天然型ポリヌクレオチドに限定されず、野生型、親又は参照ポリペプチドをコードするあらゆるポリヌクレオチドが含まれる。
野生型ポリペプチドの参照には、成熟型のポリペプチドが包含されると解釈される。「成熟」ポリペプチド又はその変異体は、例えば、ポリペプチドの発現中又は発現後に未熟型のポリペプチドから切断されるようなシグナル配列がないものである。
ポリペプチドに関しての用語「変異体」は、1つ又は2つ以上の人工的なアミノ酸の置換、挿入、又は欠失を含むという点において、特定の野生型、親、又は参照ポリペプチドと異なるポリペプチドを指す。野生型、親、又は参照ポリペプチド若しくはポリヌクレオチドの同一性は、文脈から明らかとなろう。突然変異は、例えば、XNXなど標準名称法によって示され、ここでXは開始アミノ酸残基であり、Nはアミノ酸位置番号であり、Xは最終アミノ酸残基である。欠失は、「del」又はΔ、その後に続く1つ又は2つ以上のアミノ酸位置番号で表現される。単一のα−アミラーゼポリペプチドにおける突然変異の組み合わせは、「組み合わせ変異体」の場合のように、区別せずに、個々の突然変異をダッシュ(−)で分離することによって、個々の突然変異をプラス記号(+)で分離することによって、個々の突然変異をスラッシュ(/)で分離することによって、又は適切なテキストの前後関係によって、示すことができる。
本発明のα−アミラーゼの場合では、「活性」とは、本明細書で記載するように測定することができる、α−アミラーゼ活性を指す。
用語「組み換え」は、ある対象の細胞、核酸、タンパク質又はベクターに対する言及において使用される場合、その対象が天然の状態から改変されていることを示す。したがって、例えば、組み換え細胞は、天然(非組み換え)型の細胞では見られない遺伝子を発現し、又は本来見られるものとは異なるレベルで、若しくは異なる条件下で天然遺伝子を発現する。組み換え核酸は、1つ又は2つ以上のヌクレオチドが天然の配列とは異なっており、及び/又は異種配列と操作可能に連結されており、例えば、発現ベクターにおいて異種プロモーターと操作可能に連結されている。組み換えタンパク質は、1つ又は2つ以上のアミノ酸によって天然配列とは異なっていてもよく、かつ/又は異種配列に融合していてもよい。アミラーゼをコードする核酸を含むベクターは組み換えベクターである。
用語「回収された」、「単離された」及び「分離された」は、自然界で見られるように元来結合している、少なくとも1つの別の物質若しくは構成要素から取り除かれた、化合物、タンパク質(ポリペプチド)、細胞、核酸、アミノ酸、又はその他の特定の物質若しくは構成要素を指す。その「単離された」ポリペプチドとしては、限定するものではないが、異種宿主細胞で発現された分泌ポリペプチドを含有する培養ブロスが挙げられる。
用語「精製」は、物質(例えば、単離されたポリペプチド又はポリヌクレオチド)が、比較的純粋な状態であること、例えば、少なくとも約90%純粋、少なくとも約95%純粋、少なくとも約98%純粋、又は更には少なくとも約99%純粋であることを指す。
用語「富化」は、物質(例えば、単離されたポリペプチド又はポリヌクレオチド)が、約50%純粋、少なくとも約60%純粋、少なくとも約70%純粋、又は更には少なくとも約70%純粋であることを指す。
酵素に関連して、用語「熱安定」及び「熱安定性」は、高温に曝露された後も活性を保有する酵素の能力を指す。アミラーゼ酵素などの酵素の熱安定性は、定義された条件下で酵素活性の半分が失われる分数、時間数又は日数で与えられる半減期(t1/2)により測定される。半減期は、高温への暴露(即ち、負荷)後に残存α−アミラーゼ活性を測定することによって計算することもできる。
酵素に関連して、「pH範囲」は、酵素が触媒活性を示すpH値の範囲を指す。
酵素に関連し、用語「pH安定」及び「pH安定性」は、所定の期間(例えば、15分、30分、1時間)、幅広いpH範囲にわたって活性を保持する酵素の能力に関する。
用語「アミノ酸配列」は、用語「ポリペプチド」、「タンパク質」、及び「ペプチド」に関して同義のものであり、互換的に使用される。かかるアミノ酸配列が活性を呈するとき、「酵素」と称される場合がある。アミノ酸残基には従来の1文字又は3文字コードが用いられ、アミノ酸配列は、標準的なアミノ末端からカルボキシ末端に向かう方向(即ち、N→C)で示される。
用語「核酸」は、DNA、RNA、ヘテロ2本鎖、及びポリペプチドをコードすることが可能な合成分子を包含する。核酸は1本鎖又は2本鎖であってよく、化学修飾されてもよい。用語「核酸」及び「ポリヌクレオチド」は、互換可能に用いられる。遺伝子コードは縮重するため、特定のアミノ酸をコードするのに複数のコドンが用いられ場合があり、本発明の組成物及び方法には、特定のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列が含まれる。別途記載のない限り、核酸配列は、5’から3’に向かう方向で示される。
「ハイブリダイゼーション」は、ブロットハイブリダイゼーション法及びPCR法の際に起こるような、核酸の1本鎖が相補鎖とともに2本鎖(即ち、塩基対)を形成するプロセスを指す。ストリンジェントハイブリダイゼーション条件は、次の条件下でのハイブリダイゼーションによって例示される:65℃及び0.1XSSC(ここで、1XSSC=0.15M NaCl、0.015M Naクエン酸塩、pH7.0)。ハイブリダイズさせた2本鎖核酸は、融解温度(T)によって特徴付けられ、融解温度では、ハイブリダイズさせた核酸の一方と、相補鎖との対が崩壊する。2本鎖内のミスマッチのヌクレオチドは、Tを低下させる。
「合成」分子は、生物により生成されるというよりは、生体外での化学的又は酵素的合成により生成される。
細胞について使用される用語「形質転換される」、「安定形質転換される」、及び「トランスジェニックの」は、その細胞が、その細胞のゲノムに組み込まれるか、又は複数世代を通して維持されるエピソームとして保有される、天然でない(例えば、異種の)核酸配列を包含することを意味する。
細胞へ核酸配列を挿入するという文脈における用語「導入された」は、当該技術分野において既知の、「トランスフェクション」、「形質転換」、又は「形質導入」を意味する。
「宿主株」又は「宿主細胞」は、所望のポリペプチド(例えば、アミラーゼ)をコードするポリヌクレオチドを含む、発現ベクター、ファージ、ウイルス、又はその他のDNAコンストラクトが導入されている生物である。例示的な宿主株としては、所望のポリペプチドの発現、及び/又は糖類の発酵が可能な微生物細胞(例えば、細菌、糸状菌、及び酵母菌など)である。用語「宿主細胞」は、細胞から生成されるプロトプラストを含む。
ポリヌクレオチド又はタンパク質に関する用語「異種」は、宿主細胞中に天然に存在しないポリヌクレオチド又はタンパク質のことをいう。
ポリヌクレオチド又はタンパク質に関する用語「内因性」は、宿主細胞中に天然に存在するポリヌクレオチド又はタンパク質のことをいう。
用語「発現」は、ポリペプチドが核酸配列に基づいて産生されるプロセスを指す。プロセスは、転写及び翻訳の両方を包含する。
「選択マーカー」又は「選択可能マーカー」は、遺伝子を保有する宿主細胞の選択を容易にするために、宿主内で発現可能な遺伝子を指す。選択可能マーカーの例としては、抗菌剤(例えば、ハイグロマイシン、ブレオマイシン、又はクロラムフェニコール)、及び/又は代謝優位性(宿主細胞に対する栄養上の優位性など)を付与する遺伝子が挙げられるが、これらに限定されない。
「ベクター」は、核酸を1つ以上の細胞型に導入するよう設計されたポリヌクレオチド配列を指す。ベクターとしては、クローニングベクター、発現ベクター、シャトルベクター、プラスミド、ファージ粒子、カセットなどが挙げられる。
「発現ベクター」は、所望のポリペプチドをコードするDNA配列を含むDNAコンストラクトを指し、そのコーディング配列は、好適な宿主において、そのDNAの発現に影響を与えることが可能である好適なコントロール配列に、操作可能に連結されるこのようなコントロール配列には、転写に影響を与えるプロモーター、転写を制御するための任意選択的なオペレーター配列、mRNAの好適なリボソーム結合部位をコードしている配列、エンハンサー、並びに転写及び翻訳の終結を制御する配列が含まれてよい。
用語「操作可能に連結される」とは、特定の構成要素が、意図された方法で機能することを可能にする関係(並置を含むが、これに限定されない)にあることを意味する。例えば、コーディング配列の発現が制御配列の制御下になるよう、制御配列は、操作可能にコーディング配列に連結される。
「シグナル配列」は、タンパク質のN末端部分に付着しているアミノ酸の配列であり、これが細胞外へのタンパク質の分泌を促進させる。成熟型の細胞外タンパク質は、分泌プロセス中に切断されるシグナル配列を欠く。
「生物活性」は、配列が、酵素活性などの特定の生物活性を有することを指す。
用語「比活性」は、特定条件下で単位時間当たりに酵素又は酵素調製液によって生成物に変換され得る基質のモル数を指す。比活性は、一般に単位(U)/mg(タンパク質)として表される。
本明細書で使用される場合、「水の硬度」は、水中に存在するミネラル(例えば、カルシウム及びマグネシウム)の単位である。
本明細書で使用される場合、「有効な量のアミラーゼ」、又は類似の表現は、特定の用途において可視の、ないしは別の方法で測定可能な量のデンプン加水分解を生成するのに十分な量のアミラーゼを指す。デンプン加水分解は、例えば、布地又は食器類の視認できる洗浄など、デンプンスラリー又はマッシュなどの粘度の軽減につながり得る。
「布片」は、染みが付けられた布地などの材料片である。この材料は、例えば、綿、ポリエステル、又は天然繊維と合成繊維との混合物から製造された布地であってよい。更に、布片は、濾紙若しくはニトロセルロースなどの紙であってもよく、又はセラミック、金属、若しくはガラスなどの硬質材料であってもよい。アミラーゼに対しては、染みは、デンプン系であるが、血液、牛乳、インク、草、紅茶、ワイン、ホウレンソウ、肉汁、チョコレート、卵、チーズ、泥、染料、油、又はこれらの化合物の混合物を含み得る。
「小布片」は、一穴パンチ装置により切りだされた、若しくは特別製造された96穴パンチ装置により切りだされた布片部分であり、この多穴パンチのパターンは標準的な96ウェルマイクロタイタープレートに合うものであり、又はその部分は別の方法で布片から取り出される。布片は、織物、紙、金属、又はその他の好適な材料であり得る。小布片は、24、48、又は96ウェルマイクロタイタープレートのウェルに配置する前又は後のいずれかで付着させた染みを有し得る。小布片は、材料の小片に染みを付着させることによって作製することもできる。例えば、小布片は、染みを付着させた、直径1.6cm又は0.6cm(5/8”又は0.25”)の布地片であり得る。特別製造されるパンチは、96枚の布片を96ウェルプレートの全てのウェルに同時に供給するような方式で設計される。この装置は、単純に同じ96ウェルプレートに複数回仕込みを行うことにより、ウェルごとに複数の布片を供給することが可能である。多穴パンチ装置は、任意のフォーマットのプレート、限定するものではないが24ウェル、48ウェル、及び96ウェルプレートなどに布片を同時に供給するためのものを着想することができる。別の着想され得る方法では、汚れ試験プラットフォームは、金属、プラスチック、ガラス、セラミックから作製された、又は汚れ物質により被覆されている別の好適な材料から作製された、ビーズであり得る。次に、1つ又は2つ以上の被覆ビーズを、好適な緩衝剤及び酵素を含有させた96、48、若しくは24ウェルプレート、又はより大きいフォーマットのウェルに配置する。
「アミラーゼを含む培養された細胞材料」又は類似の用語は、成分としてアミラーゼを含む細胞可溶化物又は上清(培地を含む)を指す。細胞材料は、アミラーゼを産生させる目的で培養により増殖させた異種宿主由来のものであってよい。
「パーセント配列同一性」とは、デフォルトのパラメータでCLUSTAL Wアルゴリズムを使用して整列させたときに、特定の配列が、指定した参照配列のものと同一のアミノ酸残基を少なくともある一定の割合で有することを意味する。Thompson et al.(1994)Nucleic Acids Res.22:4673〜4680を参照されたい。CLUSTAL Wアルゴリズムのデフォルトパラメータは、次の通りである。
Figure 2016538860
欠失は、参照配列と比較して非同一性である残基として計数される。いずれかの末端に生じた欠失が包含される。例えば、C末端から5個のアミノ酸残基の欠失がある500個のアミノ酸残基ポリペプチドの変異体は、親ポリペプチドに対して99%のパーセント配列同一性(495/500同一残基×100)を有することになる。このような変異体は、用語「親に対し少なくとも99%の配列同一性を有する変異体」により包含される。
「融合」ポリペプチド配列は、連結、即ち、2つの対象のポリペプチド配列間のペプチド結合により操作可能に連結される。
用語「糸状菌」は、糸状形態の全てエウミコチニア(Eumycotina)亜門、特にチャワンタケ亜門(Pezizomycotina)種を指す。
用語「重合度」(DP)は、既定の糖中の無水−グルコピラノース単位の数を指す。DP1の例は、単糖類のグルコース及びフルクトースである。DP2の例は、二糖類のマルトース及びスクロースである。用語「DE」、又は「デキストロース当量」とは、シロップ中における、総炭水化物の分率としての、還元糖、即ち、D−グルコースの割合として定義される。
用語「乾燥固形分含量」(ds)は、乾燥重量パーセント基準での、スラリーの全固形分を指す。用語「スラリー」は、不溶性の固形分を含有する水性混合物を指す。
句「同時糖化発酵(SSF)」は、エタノール生成微生物などの微生物と、アミラーゼなどの少なくとも1種の酵素が同一のプロセス工程中に存在する、生化学物質の産生プロセスを指す。SSFは、同じ反応容器中で、デンプン基質(粒状、液化、又は可溶化)の、糖(グルコースなど)への加水分解と、糖の、アルコール、又はその他の生化学物質若しくは生体材料への発酵を同時期に包含する。
「エタノール生成微生物」は、糖又はオリゴ糖をエタノールへと変換する能力を有する微生物を指す。
用語「発酵飲料」は、微生物発酵、例えば、細菌及び/又は真菌発酵などの発酵プロセスを含む方法により生産される、任意の飲料を指す。「ビール」とは、そのような発酵飲料の一例であり、用語「ビール」は、デンプン含有植物材料の発酵/醸造によって生産される、任意の発酵麦汁を含むことが意図されている。多くの場合、ビールは、麦芽若しくは添加剤、又は麦芽及び添加剤の任意の組み合わせのみから産生される。
用語「麦芽」とは、大麦麦芽又は小麦麦芽などの任意の発芽済み穀物粒を指す。
用語「添加剤」は、大麦又は小麦麦芽などの麦芽ではない任意のデンプン及び/又は糖含有植物材料を指す。添加剤の例としては、一般的なコーングリッツ、精製コーングリッツ、醸造用粉砕酵母、米、ソルガム、精製コーンデンプン、大麦、大麦デンプン、脱穀された大麦、小麦、小麦デンプン、炒って加熱処理された穀物、穀物フレーク、ライ麦、オーツ麦、ジャガイモ、タピオカ、キャッサバ及びシロップ(コーンシロップ、サトウキビシロップ、反転型糖シロップ、大麦及び/又は小麦シロップ、並びに同様物)が挙げられる。
用語「マッシュ」は、任意のデンプン及び/又は糖含有植物材料、例えば、製粉用穀物(例えば、破砕大麦麦芽、破砕大麦、及び/若しくはその他の添加剤、又はこれらの組み合わせを含む)などの水性スラリーを指し、このスラリーは、水と混合した後に、麦汁及び粕に分離される。
用語「麦汁」は、マッシュ中の製粉用穀物の抽出後に放出される未発酵の液体を指す。
「ヨウ素陽性デンプン」又は「IPS」は、(1)液化及び糖化後に加水分解されていないアミロース、又は(2)老化したデンプンポリマーを指す。糖化されたデンプン、又は糖類液に対して、ヨウ素を用いた試験を行うと、高DPnのアミロース、又は老化したデンプンポリマーは、ヨウ素と結びつき、特徴的な青色を生み出す。それ故、糖類液は、「ヨウ素陽性糖類」、又は「青色糖類(「blue saccharide」若しくは「blue sac」)と表現される。
用語「老化デンプン」又は「デンプンの老化」は、デンプンペースト又はゲルに経時的に自然に生じる変化を指す。
用語「約」とは、言及されている値の±15%を指す。
2.プロテアーゼに対する感受性を低減した変異体α−アミラーゼ
本発明の組成物及び方法の一態様は、由来となる親α−アミラーゼと比較してタンパク質分解開裂に対する感受性を低減した変異体α−アミラーゼ酵素に関連する。理論に制限されるものではないが、特定のα−アミラーゼは、タンパク質分解開裂の影響を受けやすい表面が露出したループにアミノ酸配列を含有すると考えられている。そのような配列は、例えば、特定条件下で活性を調整するためにプロテアーゼの存在下でα−アミラーゼを不安定にするように進化している場合がある。あるいは、そのような配列は、親α−アミラーゼが通常プロテアーゼが存在する環境に曝されなかったために進化した場合もあり、その場合はプロテアーゼに対する耐性を促進する選択圧が存在しなかった。そのような配列の存在の理由に関わらず、工業用途において優れたデンプン加水分解活性及び性能を呈する一部のα−アミラーゼが、プロテアーゼに対する感受性のためだけに商業的に有用でないことが観察されてきた。本発明の組成物及び方法は、そのようなα−アミラーゼをプロテアーゼが存在することが既知又は期待される用途で使用できるようにする。
添付の実施例で詳細に記述するように、パエニバチルス・カードラノリティカス(Paenibacillus curdlanolyticus)(PcuAmy1)由来のα−アミラーゼは、洗浄アッセイにおける商業用測定基準を上回る高レベルのデンプン加水分解活性及び遺伝子操作を受けた変異体を有することが示された。しかしながら、親α−アミラーゼ及びその初期の変異体は、高度にプロテアーゼの影響を受けやすく、ほぼ間違いなくサブチリシンプロテアーゼなどのプロテアーゼを含む、高品質の洗濯及び食器洗浄洗剤で使用される場合のように、プロテアーゼと組み合わせて使用するには適さないことがわかった。バチルス・レンチス(Bacillus lentis)の存在下でのスブチリシン(GG36、DuPont Industrial Biosciences(Palo Alto,CA,USA))のインキュベーション後に、反応生成物の質量分析は、残基Q334とL336との間で発生するPcuAmy1の加水分解と一致した。
図1A〜1Cは、商業的用途で使用するための前述したいくつかのα−アミラーゼのClustal W(デフォルトパラメータ)によるアミノ酸配列アライメントを示し、バチルス種(Bacillus sp.)707(配列番号54)、バチルス種(Bacillus sp.)AA560(配列番号55)、バチルス種(Bacillus sp.)7−7(配列番号56)、バチルス種(Bacillus sp.)SP722(配列番号57)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus liecheniformis)[LAT(配列番号48);BLA(配列番号49)]、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquifaciens)(BAA;配列番号50)、サイトファーガ種(Cytophaga sp.)(配列番号51)、バチルス種(Bacillus sp.)DSM90(配列番号52)、バチルス種(Bacillus sp.)SG−1(配列番号53)、バチルス種(Bacillus sp.)TS−23(配列番号:58)、バチルス・ステロサーモフィラス(Bacillus sterothermophilus)(BSG;配列番号59)並びにPcuAmy1(配列番号3)由来のα−アミラーゼを含む。LAT及びBLAは、両方ともB.リケニフォルミス(B. liecheniformis)α−アミラーゼであるが、わずかな位置のアミノ酸配列において異なる。図1A〜1Cを通して使用されるアミノ酸番号は、特に明記しない限りPcuAmy1(配列番号3)を基準にする。残基333、335、337、338、及び251は、PcuAmy1ではボールド体である。
位置322と355との間の一級アミノのアミノ酸配列は、これらの配列がβ−バレルの第7ストランド、第7へリックス、及び分子のTIMバレル構造内のこれらの構造を連結するループの部分を形成しながら、α−アミラーゼ中に高度に保存される。残基333及び335は、前述のループの表面が露出した部分にある。位置333における残基は、通常グリシンであるが、時としてグルタミン酸である。位置337における残基は、通常セリン又はアラニンである。P.カードラノリティカス(P. curdlanolyticus)α−アミラーゼでは、これらの位置を占める残基は、それぞれスレオニン及びアラニンである。位置333におけるスレオニンの存在は、α−アミラーゼ内では特に珍しい。
添付の実施例で記述するように、P.カードラノリティカス(P. curdlanolyticus)α−アミラーゼの位置333に存在するスレオニンの標準的なグリシンへの置換は、α−アミラーゼのタンパク質分解開裂に対する感受性を劇的に低減した。位置333における置換が明らかに最も重要であったものの、位置335に存在するアラニンの更なる置換は、α−アミラーゼのタンパク質分解開裂に対する感受性を更に低減した。P.カードラノリティカス(P. curdlanolyticus)α−アミラーゼのタンパク質分解開裂に対する感受性を低減する能力は、このα−アミラーゼの変異体をプロテアーゼの存在が既知又は期待される商業的用途で使用できるようにする。
プロテアーゼ感受性を低減する原因である突然変異は特定のα−アミラーゼを使用して識別されたが、本発明の突然変異及び方法をβ−バレルの第7ストランドとTIMバレル構造における第7へリックスを連結するループ中に非カノニカルで表面が露出した残基を含む、他のプロテアーゼの影響を受けやすいa−アミラーゼに適用することができる。そのようなα−アミラーゼは、図1A〜1Cに示すように、アミノ酸配列アライメントによって識別することができる。β−バレルの第7ストランドと第7へリックスを連結するループの正確な開始及び終了は、異なるα−アミラーゼではわずかに変化する場合があるが、プロテアーゼの影響を受けやすいα−アミラーゼを一般に使用される工業用α−アミラーゼ(バチルス・リケニフォルミス(Bacillus liecheniformis)、ステロサーモフィラス(sterothermophilus)、及びアミロリケファシエンス(amyloliquifaciens)由来のものなど)の構造に基づいてモデリングすることによって正確に特定することができ、それらの構造は、Structural Bioinformatics(RCSB)のProtein Data Bank(PDB)により利用可能である。ループ中の表面が露出した残基は、同じ方法で識別することができる。
記載された発見から見て、本発明の組成物及び方法の態様は、親α−α−アミラーゼのβ−バレルの第7ストランドとTIMバレル構造内の第7へリックスを連結するループ中の非カノニカルで表面が露出した残基を異なるアミノ酸残基と置換して、変異体α−アミラーゼを産生することによって、α−アミラーゼのタンパク質分解開裂に対する感受性を低減するための方法であり、変異体α−アミラーゼは、親α−アミラーゼと比較して、プロテアーゼによるβ−バレルの第7ストランドと第7へリックスを連結するループ中の開裂に対する感受性が低減した。一部の実施形態では、親α−アミラーゼは、位置333に対応する位置にグリシン又はグルタミン以外のアミノ酸残基を有する。特定の実施形態では、親α−アミラーゼは、位置333に対応する位置にスレオニンを有する。一部の実施形態では、位置333に対応する位置におけるアミノ酸残基をグリシン又はグルタミン酸に置換する。
一部の実施形態では、この方法は、親α−アミラーゼにおける位置335に対応する位置に存在するアミノ酸残基を異なるアミノ酸残基に置換することを更に含む。一部の実施形態では、親α−アミラーゼは、位置335に対応する位置にセリン以外のアミノ酸残基を有する。一部の実施形態では、置換はセリンへの置換である。
一部の実施形態では、α−アミラーゼが影響を受けやすいプロテアーゼは、セリンプロテアーゼである。特定の実施形態では、プロテアーゼは、スブチリシン様セリンプロテアーゼであり、洗濯及び食器洗浄組成物での使用のために記述された無数の変異体のいずれかを含み、改善された冷水クリーニング性能を有する変異体を含む。
本発明の組成物及び方法の別の態様は、前述の方法によって産生される変異体α−アミラーゼである。そのような変異体は、β−バレルの第7ストランドとTIMバレル構造における第7へリックスを連結するループ中の表面が露出した残基に非カノニカルなアミノ酸残基を有することにより、タンパク質分解開裂の影響を受けやすい任意のCAZyファミリー13のα−アミラーゼに基づいてもよい。一部の実施形態では、変異体α−アミラーゼは、P.カードラノリティカス(P. curdlanolyticus)α−アミラーゼ(配列番号3)に対し一定程度のアミノ酸配列同一性、例えば、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は更には少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する。一部の実施形態では、本発明のα−アミラーゼは、P.カードラノリティカス(P. curdlanolyticus)α−アミラーゼに対し一定程度のアミノ酸配列同一性、例えば、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は更には少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する親アミラーゼに由来する。
一部の実施形態では、変異体α−アミラーゼは、親α−アミラーゼに対する1つ又は複数のアミノ酸残基の保存的置換を含む。代表的な保存的アミノ酸置換を表1に列挙する。一部の保存的突然変異は、遺伝子操作(manpulation)によって生産することができる一方、その他は合成アミノ酸をポリペプチドに導入することその他の方法によって生産される。
Figure 2016538860
一部の実施形態では、本発明のα−アミラーゼは、親α−アミラーゼのアミノ酸配列に対する1つ又は数個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、又は付加を含む。代表的な欠失、置換、及び挿入は、CAZyファミリー13のα−アミラーゼで作られたものと対応する。一部の実施形態では、本発明のα−アミラーゼは、親α−アミラーゼのアミノ酸配列に対する1つ又は数個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、又は付加による親α−アミラーゼのアミノ酸配列に由来する。いずれの場合も、表現「1つ又は数個のアミノ酸残基」は、10以下、即ち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸残基を指す。
一部の実施形態では、変異体は、それらの性能又は安定性を更に改善する突然変異を含む。例えば、熱的安定性、洗剤安定性、酸化安定度、デンプン加水分解活性、低温性能、発現、溶解度などである。代表的な突然変異は、他のCAZyファミリー13のα−アミラーゼのために記述されたものである。一部の実施形態では、突然変異は、位置177、178、179、及び180に対応する位置における1つ又は2つ以上のアミノ酸残基の欠失である。特定の実施形態では、突然変異は、位置177及び178、又は179及び180における残基の対での欠失である。一部の実施形態では、突然変異は、位置186に対応する位置に存在するアミノ酸残基の異なるアミノ酸残基との置換である。特定の実施形態では、突然変異は、E186Pと同じである。一部の実施形態では、突然変異は、位置472に対応する位置に存在するアミノ酸残基の異なるアミノ酸残基との置換である。特定の実施形態では、突然変異は、G472K又はG472Rである。一部の実施形態では、性能の突然変異は、位置N125、F152、N205、及びG473の1つ又は2つ以上にある。
代表的な突然変異の組み合わせを以下に示す。
N125Y+E186P+T333G+A335S+Q337E+G472K、
N125Y+F152W+E186P+T333G+A335S+Q337E+G472K、
N125Y+F152W+E186P+T333G+A335S+Q337E+G472R+G473R、
N125Y+F152W+E186P+N205D+T333G+A335S+Q337E+G472K、
N125Y+E186P+T333G+A335S+G472K、
N125Y+F152W+E186P+T333G+A335S+G472K、
N125Y+F152W+E186P+T333G+A335S+G472R+G473R、
N125Y+F152W+E186P+N205D+T333G+A335S+G472K、
N125Y+E186P+T333G+G472K、
N125Y+F152W+E186P+T333G+G472K、
N125Y+F152W+E186P+T333G+G472R+G473R、及び
N125Y+F152W+E186P+N205D+T333G+G472K。
これらの突然変異の組み合わせを、前述の欠失と組み合わせることができる。
本発明の変異体α−アミラーゼは、「前駆体」、「未熟型」、若しくは「完全長」(この場合、シグナル配列を含む)、又は「成熟型」(この場合、シグナル配列を欠く)であってよい。ポリペプチドの成熟型は、一般に最も有用である。別途記載のない限り、本明細書で用いるアミノ酸残基の番号は、対応するアミラーゼポリペプチドの成熟型を指す。本発明のアミラーゼポリペプチドは、得られるポリペプチドがアミラーゼ活性を保持している限りは、切断してN又はC末端を除去してもよい。
本発明のアミラーゼは、第1のアミラーゼポリペプチドの少なくとも一部、及び第2のアミラーゼポリペプチドの少なくとも一部を含むという点において(そのようなキメラアミラーゼは、ドメイン交換アミラーゼとして最近「再発見」された)、「キメラ」又は「ハイブリッド」ポリペプチドであってもよい。本発明のアミラーゼは、異種シグナル配列、追跡又は精製を可能にするエピトープなどを更に含んでもよい。代表的な異種シグナル配列は、B.リケニフォルミス(B. licheniformis)アミラーゼ(LAT)、B.ズブチリス(B. subtilis)(AmyE又はAprE)、及びストレプトマイセス(Streptomyces)CelA由来である。
別の態様では、α−アミラーゼポリペプチドをコードする核酸が提供される。一部の実施形態では、核酸は、配列番号1のようなPcuAmy1α−アミラーゼをコードする核酸に相補的な核酸とストリンジェント又は非常にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする。
核酸は、「完全長」(「fl」又は「FL」)アミラーゼ(シグナル配列を含む)、アミラーゼの成熟型のみ(シグナル配列を欠く)、又はアミラーゼの短縮型(成熟型のN又はC末端を欠く)をコードしてもよい。核酸は、活性アミラーゼ酵素をコードするのに十分な長さであることが好ましい。いずれの場合も、核酸は、本明細書で記述されたものに対応する(correspoinding)突然変異を含むα−アミラーゼをコードし、対応する親α−アミラーゼと比較してプロテアーゼに対する感受性を低減した。
α−アミラーゼをコードする核酸は、宿主細胞内でα−アミラーゼを発現するのに好適なベクター内の様々なプロモーター及びレギュレーターに操作可能に連結することができる。代表的なプロモーターは、B.リケニフォルミス(B. licheniformis)アミラーゼ(LAT)、B.ズブチリス(B. subtilis)(AmyE又はAprE)、及びストレプトマイセス(Streptomyces)CelA由来である。そのような核酸はまた、他のコーディング配列、例えば、キメラポリペプチドをコードするコーディング配列に連結することができる。
3.α−アミラーゼの生産
本発明のα−アミラーゼを、例えば、分泌又は細胞内の発現によって宿主細胞内で生産することができる。α−アミラーゼを含む培養された細胞材料(例えば、全細胞ブロス)は、α−アミラーゼの細胞培地への分泌を経て得ることができる。任意追加的に、最終α−アミラーゼの所望の純度に応じて、α−アミラーゼを宿主細胞から単離するか又は更には細胞ブロスから単離することができる。α−アミラーゼをコードする遺伝子は、当業者に周知の手法によりクローン化し、発現させることができる。好適な宿主細胞は、細菌由来の真菌(酵母及び糸状菌を含む)、及び植物細胞(藻類を含む)を含む。特に有用な宿主細胞としては、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、又はトリコデルマレーシ(Trichoderma reesei)が挙げられる。他の宿主細胞としては、例えば、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)、又はB.リケニフォルミス(B. licheniformis)、並びにストレプトマイセス(Streptomyces)などの細菌細胞が挙げられる。
宿主細胞は、同種、又は異種グルコアミラーゼ、即ち、宿主細胞と同一の種のものではないグルコアミラーゼ、又は1種若しくは2種以上のその他の酵素をコードする核酸を更に発現し得る。グルコアミラーゼは、変異体グルコアミラーゼ、例えば、米国特許第8,058,033号(Danisco US Inc.)に開示されるものなどのグルコアミラーゼ変異体などであり得る。加えて、宿主は1種又は2種以上のアクセサリー酵素、タンパク質、ペプチドを発現し得る。これらは、液化、糖化、発酵、SSFなどのプロセスに利益をもたらす場合がある。更に、宿主細胞は、様々な原材料の消化に使用される酵素に加えて生化学物質を生産し得る。このような宿主細胞は、酵素を加える必要性を低減又は排除するため、発酵又は同時糖化発酵プロセスに有用であり得る。
3.1.ベクター
α−アミラーゼをコードする核酸を含むDNAコンストラクトを構築して、宿主細胞で発現させることができる。遺伝子暗号において周知の縮重により、同一のアミノ酸配列をコードする異なるポリヌクレオチドを常軌の手法により設計及び作成することができる。特定の宿主細胞のためコドンの使用を最適化することも、当業界では周知である。α−アミラーゼをコードする核酸をベクターに組み込むことができる。以降に記載のものなどの周知の形質転換法を使用し、ベクターを宿主細胞に移入させることができる。
ベクターは、宿主細胞へ形質転換され、宿主細胞内で複製される任意のベクターであってよい。例えば、α−アミラーゼをコードする核酸を含むベクターを形質転換させ、ベクターを増殖及び増幅する手法により細菌宿主細胞において複製させることができる。コードする核酸が、機能性のアミラーゼとして発現され得るよう、ベクターを発現宿主に形質転換することもできる。発現宿主として機能する宿主細胞としては、例えば、糸状菌類が挙げられる。Fungal Genetics Stock Center(FGSC)のCatalogue of Strainsには、真菌宿主細胞での発現に好適なベクターが列挙されている。www.fgsc.net(最終更新2007年1月17日)にて、FGSC,Catalogue of Strains,University of Missouriを参照されたい。代表的なベクターは、細菌宿主で複製され得る、プロモーターをもたないCre発現ベクターであるpJG153である。Harrison et al.(2011)Applied Environ.Microbiol.77:3916〜22を参照されたい。pJG153は、アミラーゼ変異体をコードする核酸を含み、発現するよう常規の手法により改変することができる。
α−アミラーゼをコードする核酸は、宿主細胞における転写を可能にする好適なプロモーターに操作可能に連結され得る。プロモーターは、選択された宿主細胞中で転写活性を示す任意のDNA配列であってよく、宿主細胞にとって同種又は異種のいずれかであるタンパク質をコードしている遺伝子に由来し得る。α−アミラーゼをコードするDNA配列の転写を、特に細菌宿主において、方向付けるための代表的なプロモーターは、大腸菌(E. coli)のラクトースオペロンのプロモーター、ストレプトマイセス・コエリコラ(Streptomyces coelicolor)アガラーゼ遺伝子dagA又はcelAプロモーター、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)α−アミラーゼ遺伝子(amyL)のプロモーター、バチルス・ステロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)マルトース生成アミラーゼ遺伝子(amyM)のプロモーター、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)α−アミラーゼ(amyQ)のプロモーター、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)xylA及びxylB遺伝子のプロモーターなどである。真菌宿主における転写に関して、有用なプロモーターの例は、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)TAKAアミラーゼ、リゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)アスパラギン酸プロテイナーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)中性α−アミラーゼ、A.ニガー(A. niger)酸安定性α−アミラーゼ、A.ニガー(A. niger)グルコアミラーゼ、リゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)リパーゼ、A.オリゼ(A. oryzae)アルカリ性プロテアーゼ、A.オリゼ(A. oryzae)トリオースリン酸イソメラーゼ、又はA.ニデュランス(A. nidulans)アセタミダーゼをコードする遺伝子に由来するものである。アミラーゼをコードする遺伝子が、大腸菌(E. coli)などの細菌種で発現されるとき、好適なプロモーターは、例えば、T7プロモーター及びファージλプロモーターを含むバクテリオファージプロモーターから選択され得る。酵母種の発現に好適なプロモーターの例としては、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)のGal1及びGal10プロモーター及びピキア・パストリス(Pichia pastoris)AOX1又はAOX2プロモーターが挙げられるがこれらに限定されない。cbh1は、内因性の、トリコデルマ・リーゼイ(T. reesei)由来の誘導型プロモーターである。Liu et al.(2008)「Improved heterologous gene expression in Trichoderma reesei by cellobiohydrolase I gene(cbh1)promoter optimization」、Acta Biochim.Biophys.Sin(Shanghai)40(2):158〜65を参照されたい。
コード配列は操作可能にシグナル配列に連結され得る。シグナル配列をコードするDNAは、発現されるアミラーゼ遺伝子と天然に関連付けられるDNA配列であるか、又は異なる属若しくは種由来であってもよい。DNAコンストラクト又はベクターを含むシグナル配列及びプロモーター配列は、真菌宿主細胞に導入することができ、同種に由来するものであってもよい。例えば、シグナル配列は、cbh1プロモーターに操作可能に連結されたcbh1シグナル配列である。
発現ベクターは、好適な転写ターミネーター配列、及び真核生物においては、α−アミラーゼをコードしているDNA配列に操作可能に連結されるポリアデニル化配列も含み得る。終端及びポリアデニル化配列は、プロモーターと同種から好適に由来し得る。
ベクターには、宿主細胞におけるベクターの複製を可能にするDNA配列を更に含有させることもできる。このような配列の例としては、プラスミドpUC19、pACYC177、pUB110、pE194、pAMB1及びpIJ702の複製起点がある。
ベクターには、選択マーカーを含んでもよく、選択マーカーには、例えば、B.ズブチリス(B. subtilis)若しくはB.リケニフォルミス(B. licheniformis)由来のdal遺伝子などの、その遺伝子の産物が単離した宿主細胞において欠損を補う遺伝子、又は例えば、アンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコール、若しくはテトラサイクリン耐性などの抗生物質耐性を与える遺伝子などがある。更に、ベクターは、amdS、argB、niaD、及びxxsCなどのアスペルギルス(Aspergillus)選択マーカーであって、ヒグロマイシン耐性を生じさせるマーカーを含んでもよく、又は当該技術分野で既知であるような、同時形質転換によって、選択を行ってもよい。例えば、国際公開第91/17243号を参照されたい。
例えば、特定の細菌又は真菌を宿主細胞として使用して、後の濃縮又は精製のために多量のアミラーゼを生産するときなど、いくつかの点においては、細胞内発現が有利な場合がある。アミラーゼの培養培地への細胞外分泌を使用して、単離アミラーゼを含む培養された細胞材料を作製することができる。
発現ベクターは、典型的には、例えば、選択された宿主生物におけるベクターの自律増殖を可能にする因子、及び選択目的の、表現形により検出可能な1つ又は2つ以上のマーカーなどの、クローニングベクター成分を含む。発現ベクターは、通常、プロモーター、オペレーター、リボソーム結合部位、翻訳開始シグナル及び場合により、リプレッサ遺伝子又は1つ又は2つ以上の活性化遺伝子などの調節ヌクレオチド配列を含む。加えて、発現ベクターには、アミラーゼに、宿主細胞の細胞小器官(ペルオキシソームなどの)、又は特定の宿主細胞区画を標的とさせ得るアミノ酸配列をコードする配列を含ませることができる。このような標的配列としては、配列、SKLが挙げられるがこれらに限定されない。コントロール配列の指示下での発現に関し、アミラーゼの核酸配列は、発現に関連して適切な方法でコントロール配列に操作可能に連結される。
アミラーゼをコードするDNAコンストラクト、プロモーター、ターミネーター及び他の因子をそれぞれ連結させ、並びに複製に必要な情報を含有する好適なベクターにそれらを挿入するのに使用される手法は当業者に周知である(例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd ed.,Cold Spring Harbor,1989,and 3rd ed.,2001を参照されたい)。
3.2.宿主細胞の形質転換及び培養
DNAコンストラクト又は発現ベクターのいずれかを含む単離細胞は、アミラーゼの組み換え産生において、宿主細胞として有利に使用される。細胞は、宿主染色体にDNAコンストラクト(1つ又は2つ以上のコピー)を都合よく組み込むことにより、酵素をコードするDNAコンストラクトで形質転換することができる。DNA配列がより安定的に細胞に維持される傾向があることから、この組み込みは一般的に有利なものと考えられる。DNAコンストラクトの宿主染色体への組み込みは、例えば、同種又は異種組み換え法によるものなどの従来法により実施することができる。あるいは、細胞は、異なる種類の宿主細胞に関連して上記される通りに発現ベクターにより形質転換させることができる。
好適な細菌宿主生物の例は、グラム陽性バクテリア種であり、例えば、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・レンタス(Bacillus lentus)、バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)、ゲオバチルス(Geobacillus)(以前はバチルス(Bacillus))ステロサーモフィラス(stearothermophilus)、バチルス・アルカロフィラス(Bacillus alkalophilus)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・ラウタス(Bacillus lautus)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、及びバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)が挙げられるバチルス科(Bacillaceae)、ストレプトマイセス・ムリナス(Streptomyces murinus)などのストレプトマイセス(Streptomyces)種、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)などのラクトコッカス種(Lactococcus sp.)を含む乳酸菌種、ラクトバシラス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)を含むラクトバシラス種(Lactobacillus sp.)、リューコノストック種(Leuconostoc sp.)、ペディオコッカス種(Pediococcus sp.)、並びにストレプ卜コッカス種(Streptococcus sp.)である。あるいは、大腸菌(E. coli)を含むエンテロバクテリアセエ(Enterobacteriaceae)に属する、又はシュードモナダセエ(Pseudomonadaceae)に属するグラム陰性細菌種が宿主生物として選択され得る。
好適な酵母宿主生物は、生物工学的に関連のある酵母種、例えば、限定するものではないが、ピキア種(Pichia sp.)、ハンゼヌラ種(Hansenula sp.)、若しくはクリベロミセス(Kluyveromyces)、ヤロウイア(Yarrowinia)などの酵母種、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)種若しくはサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)などのサッカロミセス(Saccharomyces)種、又は例えば、S.ポンベ(S. pombe)種などのシゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)に属する種から選択され得る。メチロトローフ酵母種であるピキア・パストリス(Pichia pastoris)株を、宿主生物として用いてもよい。あるいは、宿主生物はハンゼヌラ(Hansenula)種であり得る。糸状真菌のなかでも好適な宿主生物としては、アスペルギルス(Aspergillus)種、例えば、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・チュービゲネシス(Aspergillus tubigensis)、アワモリコウジカビ(Aspergillus awamori)、又はアスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)が挙げられる。あるいは、フザリウム(Fusarium)種、例えば、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、又はリゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)などのリゾムコール(Rhizomucor)種の菌株を、宿主生物として使用することができる。他の好適な株としては、サーモミセス(Thermomyces)及びムコール(Mucor)種が挙げられる。加えて、トリコデルマ種(Trichoderma sp.)を宿主として使用することができる。アスペルギルス(Aspergillus)宿主細胞の形質転換に好適な手順としては、例えば、欧州特許第238023号に記載のものが挙げられる。真菌宿主細胞によって発現されるアミラーゼをグリコシル化することができる、即ち、グリコシル部分を含有するようになる。グリコシル化パターンは、野生型アミラーゼに存在するものと同一であっても異なってもよい。グリコシル化のタイプ及び/又は程度は、酵素的及び/又は生化学的特性に変化を与え得る。
形質転換された発現ベクターによって、遺伝子欠損が治癒し得る場合は、発現宿主から遺伝子を欠失させることが有利である。既知の方法を使用して、不活性化された遺伝子を1つ又は2つ以上有する真菌宿主細胞を得ることができる。遺伝子の不活性化は、完全な若しくは部分的な欠失により、挿入による不活性化により、又は、ある遺伝子を、その遺伝子の意図する目的に対して機能しないようにして、機能性タンパク質の発現を阻害する、任意の他の手段によって、達成することができる。クローニングされているトリコデルマ種(Trichoderma sp.)、又はその他の糸状真菌宿主に由来する任意の遺伝子、例えば、cbh1、cbh2、egl1、及びegl2遺伝子を欠失させることができる。遺伝子の欠失は、不活性化されることが所望される遺伝子の一形態を、当該技術分野において既知の方法により、プラスミドに挿入することで達成することができる。
DNAコンストラクト又はベクターの宿主細胞への導入としては、形質転換、エレクトロポレーション、核マイクロインジェクション、形質導入、例えば、リポフェクション媒介及びDEAEデキストリン媒介トランスフェクションなどのトランスフェクション、リン酸カルシウムDNA沈殿とのインキュベーション、DNAをコーティングしたマイクロプロジェクタイルによる高速ボンバードメント、並びに原形質融合などの手法が挙げられる。一般的な形質転換法が当該技術分野において既知である。例えば、上記Sambrook et al.(2001)を参照されたい。トリコデルマ(Trichoderma)における異種タンパク質の発現が、例えば、米国特許第6,022,725号に記載される。アスペルギルス(Aspergillus)株の形質転換に関しても、また、Cao et al.(2000)Science 9:991〜1001が参照される。遺伝的に安定な形質転換体をベクター系で構築することで、アミラーゼをコードする核酸を宿主細胞染色体に安定的に組み込むことができる。次に、形質転換体を選択し、既知の手法により精製する。
形質転換のためのトリコデルマ種(Trichoderma sp.)の調製は、例えば、糸状菌からのプロトプラスト調製を包含し得る。Campbell et al.(1989)Curr.Genet.16:53〜56を参照されたい。菌糸は、出芽させた栄養胞子から得ることができる。細胞壁を消化する酵素により菌糸を処理することで、プロトプラストが得られる。懸濁培地に浸透圧安定剤を存在させることでプロトプラストを保護する。これらの安定剤としては、ソルビトール、マンニトール、塩化カリウム、硫酸マグネシウム及び同様物が挙げられる。通常、これらの安定剤の濃度は、0.8M〜1.2Mで変更され、例えば、1.2Mソルビトール溶液が懸濁培地で使用され得る。
宿主トリコデルマ種(Trichoderma sp.)株へのDNA取り込みはカルシウムイオン濃度に依存する。一般的に、約10〜50mMCaClが取り込み用溶液に使用される。更に好適な化合物としては、TE緩衝液(10mM Tris(pH7.4);1mM EDTA)又は10mM MOPS(pH6.0)及びポリエチレングリコールなどの緩衝系が挙げられる。ポリエチレングリコールは細胞膜を融合させ、培地の内容物をトリコデルマ種(Trichoderma sp.)株の細胞質へ送達するものと考えられる。この融合により、高頻度で、宿主の染色体に組み込まれたプラスミドDNAの複数のコピーが残される。
通常、トリコデルマ種(Trichoderma sp.)の形質転換には、プロトプラスト、又は、典型的には密度10〜10/mL、特に2×10/mLで透過処理のなされた細胞が使用される。適切な溶液(例えば、1.2Mソルビトール及び50mM CaCl)に入れた容量100μLのこれらのプロトプラスト又は細胞を所望のDNAと混合することができる。概して、高濃度のPEGが取り込み用溶液に加えられる。0.1〜1体積の25%のPEG4000をプロトプラスト懸濁液に添加することができる。しかしながら、プロトプラスト懸濁液に対し、約0.25体積で加えることが有用である。ジメチルスルホキシド、ヘパリン、スペルミジン、塩化カリウム、及び同様物などの添加剤を取り込み用溶液に加えて、形質転換を促進させることもできる。同様の手順が他の真菌宿主細胞についても利用可能である。例えば、米国特許第6,022,725号を参照されたい。
3.3.発現
アミラーゼの生産方法は、酵素の生成を促す条件下で上述したような宿主細胞を培養すること、並びに、細胞及び/又は培養培地から酵素を回収することとを含んでよい。
細胞を培養するために用いられる培地は、対象とする宿主を成長させ、アミラーゼを発現させるのに適当な、任意の通常培地であってもよい。好適な培地及び培地成分は、業者から入手可能であり、又は公開された処方(例えば、American Type Culture Collectionのカタログに記載のものなど)に従って調製してもよい。
宿主細胞から分泌される酵素は、全ブロス試料にて使用することができる。本発明の方法では、組み換え微生物の、使用済み全発酵ブロス(spent whole fermentation broth)の調製は、α−アミラーゼの発現をもたらす、当該技術分野で既知の任意の培養法を使用して達成することができる。したがって、発酵には、アミラーゼの発現又は単離を可能とする好適な培地中及び条件下で行われる、フラスコ振盪培養法、実験用又は工業用発酵槽での小規模又は大規模発酵(連続発酵、回分発酵、流加発酵、又は固体発酵など)が含まれるものと理解され得る。本明細書では、用語「使用済み全発酵ブロス」は、培養培地、細胞外タンパク質(例えば、酵素など)、及び細胞バイオマスなどの発酵物質の未分離内容物として定義される。また、用語「使用済み全発酵ブロス」は、当該技術分野で周知の方法を使用して、溶解させた、又は透過処理された細胞のバイオマスを包摂することが理解される。
宿主細胞から分泌される酵素は、周知の手順により、培養培地から簡便に回収されてよく、周知の手順としては、遠心分離又は濾過による培地からの細胞の分離、及び硫酸アンモニウムのような塩を用いた培地のタンパク質成分の沈殿に続いて、クロマトグラフィー法(イオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィーなど)を使用することによって分離することなどが挙げられる。
ベクターにおいて、アミラーゼをコードするポリヌクレオチドは、宿主細胞によるコード配列の発現をもたらし得るよう、コントロール配列に操作可能に連結させることができ、即ち、ベクターは発現ベクターである。コントロール配列を、例えば更なる転写調節因子の追加によって改変して、コントロール配列によって指示される転写のレベルを、転写調節物質に対してより敏感になるようにしてもよい。コントロール配列は、特に、プロモーターを含み得る。
宿主細胞は、アミラーゼの発現を可能にする好適な条件下で培養され得る。酵素の発現は、持続的に産生される常時発現型、あるいは発現を開始するための刺激を必要とする誘導型であり得る。誘導発現の場合、タンパク質生産は、必要とされたときに、例えば、培養培地に誘導物質、例えば、デキサメタゾン又はIPTG又はソホロースを加えることにより開始することができる。ポリペプチドは、TnT(商標)(Promega)ウサギ網状赤血球系などの生体外無細胞系で、組み換えにより発現させることもできる。
発現宿主は、好気的条件下で、宿主に適切な培地において培養することもできる。宿主の要求並びに所望のα−アミラーゼの生産に応じ、宿主に適切な温度下、例えば約25℃〜約75℃(例えば、30℃〜45℃)で生じる生産に関し、振盪、又は撹拌及び通気の併用を実施することができる。培養は、約12〜約100時間以上(及び、この間にある任意の時間値(例えば、24〜72時間))で行うことができる。典型的には、培養ブロスは、同様にアミラーゼの産生に関連する宿主に必要とされる培養条件に応じ、pH約4.0〜約8.0である。
3.4.アミラーゼ活性の確認
宿主細胞においてアミラーゼの発現を評価するため、アッセイでは、発現タンパク質、対応するmRNA、又はα−アミラーゼ活性を測定することができる。例えば、好適なアッセイとしては、適切に標識されたハイブリダイゼーションプローブを使用するノーザンブロット、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応、及びインサイチューハイブリダイゼーションが挙げられる。好適なアッセイとしては、例えば、培養培地中のグルコースなどの還元糖を直接測定するアッセイによる、試料中アミラーゼ活性の測定も挙げられる。例えば、グルコース濃度は、グルコース試薬キットNo.15−UV(Sigma Chemical Co.)又はTechnicon Autoanalyzerなどの器具を用いて測定することができる。α−アミラーゼ活性はまた、後述のPAHBAH又はABTSアッセイなどの任意の既知の方法によって測定することもできる。
3.5.α−アミラーゼを富化及び精製する方法
発酵、分離、及び濃縮法は、当該技術分野において周知であり、濃縮α−α−アミラーゼポリペプチド含有溶液を調製するために、従来法を使用することができる。
発酵の後、発酵ブロスが得られ、アミラーゼ溶液を得るために、微生物細胞、及び残余発酵原料を含む様々な懸濁された固形分が、従来の分離手法によって取り除かれる。濾過、濃縮、精密濾過、回転真空ドラム濾過、限外濾過、遠心後限外濾過、抽出、又はクロマトグラフィーなどが一般的に使用される。
回収率を最適化するために、α−アミラーゼポリペプチド含有溶液を濃縮することが望ましい。未濃縮の溶液の使用には、富化又は精製酵素沈殿物を回収するためのインキュベート時間を延長させる必要がある。
酵素含有溶液は、従来の濃縮手法を使用して、所望の酵素濃度が得られるまで、濃縮される。酵素含有溶液の濃縮は、本願で記載の任意の手法により実施され得る。富化及び精製法の例としては、回転真空濾過及び/又は限外濾過が挙げられるがこれらに限定されない。
酵素溶液は、濃縮α−アミラーゼポリペプチド含有溶液の酵素活性が所望のレベルになるまで濃縮して濃縮酵素溶液とする。
濃縮は、例えば、金属ハロゲン化物沈殿剤などの沈殿剤を使用して実施してもよい。金属ハロゲン化物沈殿剤としては、アルカリ金属塩化物、アルカリ金属臭化物、及びこれらの金属ハロゲン化物のうちの2種又はそれ以上の配合物が挙げられるがこれらに限定されない。金属ハロゲン化物の例としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、及びこれらの金属ハロゲン化物のうちの2種又はそれ以上の配合物が挙げられる。金属ハロゲン化物沈殿剤、塩化ナトリウムは、保存剤としても使用できる。
金属ハロゲン化物沈殿剤は、アミラーゼを沈殿させるのに有効な量で使用される。酵素の沈澱をもたらすのに少なくとも有効な量及び最適な量の金属ハロゲン化物の選択、並びにインキュベーション時間、pH、温度及び酵素濃度を含む回収率を最大にするための沈澱条件は、当業者には常規の試験後に容易に明らかとなろう。
概ね、少なくとも約5% w/v(重量/体積)〜約25% w/vの金属ハロゲン化物が、濃縮酵素溶液に添加されるが、通常は少なくとも8% w/vである。概ね、約25% w/v以下の金属ハロゲン化物が、濃縮酵素溶液に添加されるが、通常は約20% w/v以下である。金属ハロゲン化物沈殿剤の最適濃度は、特に、具体的なα−アミラーゼポリペプチドの性質、並びにその濃縮酵素溶液中濃度によって異なる。
酵素を沈殿させる別の代替法は、有機化合物を使用するものである。有機化合物沈殿剤の例としては、4−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸のアルカリ金属塩、4−ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル、及びこれらの有機化合物のうちの2種又はそれ以上の配合物が挙げられる。金属ハロゲン化物沈殿剤を加える前に、同時に又はそれに続いて、有機化合物沈殿剤を加えることができ、並びに両方の沈殿剤、有機化合物及び金属ハロゲン化物は連続的に又は同時に加えてもよい。
一般的に、有機性の沈殿剤は、4−ヒドロキシ安息香酸のアルカリ金属塩(ナトリウム塩又はカリウム塩など)、及び4−ヒドロキシ安息香酸の直鎖又は分岐鎖アルキルエステル(ここで、アルキル基は、1〜12個の炭素原子を包含する)、及びこれらの有機化合物のうちの2種又はそれ以上の配合物からなる群から選択される。有機化合物沈殿剤は、例えば、4−ヒドロキシ安息香酸の直鎖又は分岐鎖アルキルエステル(ここで、アルキル基は、炭素原子を1〜10個含有する)、及びこれらの有機化合物のうちの2種又はそれ以上の配合物であってよい。有機化合物の例は、4−ヒドロキシ安息香酸の直鎖アルキルエステル(ここで、アルキル基は1〜6個の炭素原子を包含する)、及びこれらの有機化合物のうちの2種又はそれ以上の配合物である。4−ヒドロキシ安息香酸のメチルエステル、4−ヒドロキシ安息香酸のプロピルエステル、4−ヒドロキシ安息香酸のブチルエステル、4−ヒドロキシ安息香酸のエチルエステル、及びこれらの有機化合物のうちの2種又はそれ以上の配合物を使用することもできる。また、追加の有機化合物としては、共にアミラーゼ保存剤である、4−ヒドロキシ安息香酸メチルエステル(メチルパラベンと命名されている)、4−ヒドロキシ安息香酸プロピルエステル(プロピルパラベンと命名されている)も挙げられるが、これらに限定されない。更なる記載に関しては、例えば、米国特許第5,281,526号を参照されたい。
有機化合物沈殿剤の添加は、pH、温度、α−アミラーゼ濃度、沈殿剤濃度、及びインキュベーション時間に関する沈殿条件に、高い柔軟性という利点を与える。
有機化合物沈殿剤は、金属ハロゲン化物沈殿剤を用いることによる酵素の沈澱を向上させるのに有効な量で使用する。少なくとも有機化合物沈殿剤の有効な量及び最適な量の選択、並びにインキュベーション時間、pH、温度及び酵素濃度を含む回収率を最大にするための沈澱条件は、当業者には、常規の試験後に本願の見地から容易に明らかとなろう。
概ね、少なくとも約0.01% w/vの有機化合物沈殿剤が、濃縮酵素溶液に添加されるが、通常は少なくとも約0.02% w/vである。概ね、約0.3% w/v以下の有機化合物沈殿剤が、濃縮酵素溶液に添加されるが、通常は約0.2% w/v以下である。
金属ハロゲン化物沈殿剤及び有機化合物沈殿剤を含有する濃縮ポリペプチド溶液は、富化又は精製する酵素に応じ、必要とされるpHに調整することができる。概ね、このpHは、アミラーゼの等電点に近いレベルに調整される。pHは、等電点(pI)より約2.5pH単位低い値から等電点より約2.5pH単位高い値までの範囲内のpHに調整することができる。
富化又は精製した酵素沈殿物を得るために必要なインキュベーション時間は、具体的な酵素の性質、酵素の濃度、並びに具体的な沈殿剤(複数種類可)及びその(それらの)濃度に依存する。一般的に、酵素を沈殿させるのに有効な時間は、約1〜約30時間であり、通常、約25時間を超過することはない、有機化合物沈殿剤の存在下では、インキュベーション時間はいっそう短縮され、約10時間未満となり、多くの場合では約6時間になる。
概ね、インキュベーション中の温度は、約4℃〜約50℃である。通常、方法は、約10℃〜約45℃の温度(例えば、約20℃〜約40℃)で実施される。沈殿を生じさせるのに最適な温度は、溶液条件、及び使用する酵素又は沈殿剤(複数種類可)に従い変化する。
富化又は精製酵素沈殿物の最終的な回収率、及び実施するプロセスの効率は、酵素を含む溶液を撹拌すること、加える金属ハロゲン化物、及び加える有機化合物により向上される。撹拌工程は、金属ハロゲン化物及び有機化合物の加える間、及び続くインキュベーション時間の間の両方に行う。好適な撹拌方法としては、機械的な撹拌若しくは振盪、激しいエアレーション、又は任意の同様の手法が挙げられる。
インキュベーション期間後、富化又は精製酵素を、次に、解離させた顔料及びその他の不純物から分離し、従来の分離法、例えば濾過、遠心分離、精密濾過、回転真空濾過、限外濾過、加圧濾過、クロス式膜精密濾過、クロスフロー式膜精密濾過、又は同様の方法などにより回収する。酵素沈殿物の更なる富化又は精製は、沈殿物を水で洗浄することにより得ることができる。例えば、富化又は精製酵素沈殿物を、金属ハロゲン化物沈殿剤を含有する水、又は金属ハロゲン化物及び有機化合物沈殿剤を含有する水で洗浄する。
発酵中、α−アミラーゼポリペプチドは培養ブロス中に蓄積される。所望のα−アミラーゼの単離、富化、又は精製の際、培養ブロスを遠心分離又は濾過して細胞を除去し、得られる無細胞液を酵素富化又は精製に使用する。一実施形態では、無細胞ブロスに飽和度約70%の硫酸アンモニウムを使用して塩析を施し、次に70%の飽和沈殿画分を緩衝剤中に溶解し、Sephadex G−100カラムなどのカラムに適用し、酵素活性画分を溶出して回収する。更なる富化又は精製に関しては、イオン交換クロマトグラフィーなどの従来の手順が使用されてもよい。
富化又は精製酵素は、洗濯及び洗浄用途に有用である。例えば、それらの酵素は洗濯洗剤及び染み抜き剤に使用することができる。それらの酵素は、液体(溶液、スラリー)、又は固体(顆粒、粉末)のどちらかである最終製品へと製造することができる。
富化又は精製のより具体的な例は、Sumitani et al.(2000)「New type of starch−binding domain:the direct repeat motif in the C−terminal region of Bacillus sp.195 α−amylase contributes to starch binding and raw starch degrading」、Biochem.J.350:477〜484に記載されており、簡単に本明細書で要約される。4リットルのStreptomyces lividans TK24培養液の上清から得られた酵素を、飽和度80%の(NH4)2SO4を用いて処理した。10,000×g(20分かつ4℃)での遠心分離によって沈殿物を回収し、5mMのCaCl2を含有する20mM Tris/HCl緩衝液(pH 7.0)に再溶解させた。溶解させた沈殿物を次に同じ緩衝液に対して透析した。透析した試料を、次に予め20mM Tris/HCl緩衝液、(pH7.0)、5mM CaCl2により平衡化したSephacryl S−200カラムに適用し、同じ緩衝液により線流速7mL/hrで溶出した。カラムからの画分を回収し、酵素アッセイ及びSDS−PAGEをもとに判定されるものとして活性について評価した。タンパク質は更に次の通りに精製した。Toyopearl HW55カラム(Tosoh Bioscience(Montgomeryville,PA);カタログ番号19812)を、5mM CaCl2及び1.5M(NH4)2SO4を含有する20mM Tris/HCl緩衝液(pH7.0)により平衡化した。5mM CaCl2を含有する20mM Tris/HCL緩衝液、pH7.0中、1.5〜0M(NH4)2SO4の直線勾配により酵素を溶出した。活性画分を回収し、酵素を、飽和度80%の(NH4)2SO4を用いて沈殿させた。沈殿物を上記の通りに回収し、再溶解し、透析した。透析した試料を、次に5mM CaCl2を含有する20mM Tris/HCl緩衝液(pH7.0)により予め平衡化したMono Q HR5/5カラム(Amersham Pharmacia;カタログ番号17−5167−01)に流速60mL/時で適用した。活性画分を回収し、1.5Mの(NH4)2SO4溶液に添加した。活性酵素画分を、Toyopearl HW55カラムに対し前述同様に再度クロマトグラフィー処理をし、SDS−PAGEにより判断される通り均質な酵素を得た。この方法及びその変形例の全般的な記載については、Sumitani et al.(2000)Biochem.J.350:477〜484を参照されたい。
生産規模での回収のため、α−アミラーゼポリペプチドは、一般的に、上記の通りに、ポリマーによる凝集を介し細胞を除去することにより富化又は部分的に精製することができる。あるいは、酵素は、精密濾過による富化又は精製後に、入手可能な膜及び装置を使用して限外濾過により濃縮することができる。しかしながら、ある種の用途に関しては、酵素を富化又は精製する必要はなく、全ブロス培養物を溶解し、更なる処理はせずに使用することができる。次に、酵素を、例えば顆粒へと加工することができる。
4.組成物及びα−アミラーゼの使用
本発明のα−アミラーゼは、様々な工業的用途で有用である。例えば、α−アミラーゼは、デンプン変換プロセス、特に液化したデンプンの糖化プロセスで有用である。所望の最終製品は、酵素によるデンプン基質の変換により生産され得る任意の生成物であってよい。例えば、所望の製品は、グルコース及びマルトースが豊富なシロップであってもよく、このシロップはHFCSの調製などの他のプロセスで使用することができるか、又は複数の他の有用な製品、例えば、アスコルビン酸中間生成物(例えば、グルコン酸;2−ケト−L−グロン酸;5−ケト−グルコン酸;及び2,5−ジケトグルコン酸);1,3−プロパンジオール;芳香族性アミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、及びトリプトファン);有機酸(例えば、乳酸、ピルビン酸、コハク酸塩、イソクエン酸、及びオキサロ酢酸);アミノ酸(例えば、セリン及びグリシン);抗生物質;抗菌剤;酵素;ビタミン;及びホルモンなどに変換することができる。
デンプンの変換プロセスは、燃料用アルコール、又は飲むためのアルコール(即ち、飲用アルコール)を生産するように設計された発酵プロセスに先立って、又はそれと同時に行われるプロセスであってもよい。当業者は、これらの最終産物の生産に使用することのできる多様な発酵条件に見当がつくであろう。α−アミラーゼはまた、組成物及び食品の調理方法に有用である。これらの様々な、α−アミラーゼの使用について、以下により詳細に説明する。
4.1.デンプン基質の調製
一般的な当業者は、本開示のプロセスで使用するデンプン基質の調製に使用し得る、利用可能な方法をよく理解している。例えば、有用なデンプン基質は、塊茎類、根類、茎類、豆類、穀物又は全粒から得ることができる。より具体的には、粒状デンプンは、トウモロコシ、トウモロコシの穂軸、小麦、大麦、ライ麦、ライ小麦、ミロ、サゴ、キビ、キャッサバ、タピオカ、ソルガム、米、エンドウ豆、豆、バナナ、又はジャガイモから得ることができる。トウモロコシはデンプンを約60〜68%含有し、大麦はデンプンを約55〜65%含有し、キビはデンプンを約75〜80%含有し、小麦はデンプンを約60〜65%含有し、白米はデンプンを70〜72%含有する。具体的には、想到されるデンプン基質は、トウモロコシデンプン及び小麦デンプンである。穀類由来のデンプンは摩砕されていても、未精製でもよく、穀粒、糠、及び/又は穂軸といったトウモロコシ固形分を含む。デンプンは、高精製した生デンプン、又はデンプン精製プロセスで得られる原材料であってよい。様々なデンプンもまた市販されている。例えば、トウモロコシデンプンは、Cerestar、Sigma、及びKatayama Chemical Industry Co.(Japan)より入手可能であり、小麦デンプンは、Sigmaより入手可能であり、サツマイモデンプンは、Wako Pure Chemical Industry Co.(Japan)より入手可能であり、じゃがいもデンプンは、Nakaari Chemical Pharmaceutical Co.(Japan)より入手可能である。
デンプン基質は、粉砕した全粒から得た粗デンプンであってよく、この粗デンプンは、非デンプン画分(例えば、胚芽の残分及び繊維など)を含有している。粉砕には、湿式又は乾式粉砕又は摩砕のいずれかが含まれ得る。湿式粉砕法では、全粒を水又は希酸に浸して、穀類をその各構成部分(例えば、デンプン、タンパク質、胚芽、油、穀粒繊維)に分離する。湿式粉砕法は胚芽とあらびき粉(即ち、デンプン顆粒とタンパク質)を効率的に分離し、シロップの生産に特に好適である。乾式の粉砕法又は摩砕法では、全穀粒を挽いて細かい粉末にし、大抵は、穀類をその構成部分に分画せずに加工する。場合によっては、穀粒から油を回収する。それ故、乾式摩砕された穀類は、デンプンに加えて、大量の非デンプン炭水化物化合物を含むことになる。デンプン基質の乾式摩砕は、エタノール及び他の生化学物質の生産に使用することができる。加工するデンプンは、高精製のデンプン品質のものであってよく、例えば、純度が少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は少なくとも99.5%であってもよい。
4.2.デンプンの糊化及び液化
本明細書で使用するとき、用語「液化」又は「液化する」は、デンプンが、より低い粘性の、かつより短鎖のデキストリンに変換されるプロセスを意味する。概ね、このプロセスには、α−アミラーゼの添加と同時の、又はそれに先立つ、デンプンの糊化が含まれるが、任意選択で、追加の液化誘導性の酵素が添加されてもよい。いくつかの実施形態では、上記に述べたようにして調製したデンプン基質を、水とともにスラリー化する。このデンプンスラリーは、乾燥固形分の重量パーセントとして、約10〜55%、約20〜45%、約30〜45%、約30〜40%、又は約30〜35%のデンプンを含有してよい。α−アミラーゼ(EC 3.2.1.1)を、例えば定量ポンプを使用してスラリーに添加してもよい。この用途で典型的に使用されるα−アミラーゼは、熱的に安定な細菌由来のα−アミラーゼであり、例えば、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)α−アミラーゼである。通常、α−アミラーゼは、例えば、デンプンの乾燥物1kg当たり約1500単位で供給される。α−アミラーゼの安定性及び活性を最適化するため、スラリーのpHは、典型的には約pH5.5〜6.5に調整され、約1mMのカルシウム(約40ppmの遊離カルシウムイオン)もまた添加することができる。ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)変異体、又はその他のα−アミラーゼは、異なる条件を必要とする場合がある。液化後のスラリー中に残存する細菌由来のα−アミラーゼは、続く反応工程にてpHを下げることを含む、多くの方法を介して、又は酵素がカルシウムに依存する場合には、スラリーからカルシウムを取り除くことにより、不活性化できる。
デンプンのスラリーに加えてα−アミラーゼを、ジェットクッカーを通じて連続的に排出してもよく、ジェットクッカーは105℃まで蒸気加熱される。糊化は、これらの条件下で迅速に発生し、著しいずり応力と相まって酵素活性がデンプン基質の加水分解を開始する。ジェットクッカー中滞留時間は短時間である。部分的に糊化したデンプンを、105〜110℃に維持された一連の保持管に注入し、5〜8分間保持することで、糊化プロセスを完了させることができる(「一次液化」)。必要なDEへの加水分解は、約1〜2時間にわたって85〜95℃以上の温度にされた、保持タンク内にて完了する(「二次液化」)。逆混合を防ぐために、これらのタンクはバッフルを有してもよい。本明細書で使用するとき、用語「二次液化時間(分)」とは、二次液化の開始からデキストロース当量(DE)が測定される時間までに経過した時間を指す。その後、このスラリーを室温まで冷却する。この冷却工程は、30〜180分であってよく、例えば90分〜120分である。典型的には液化デンプンは、約10〜50%、約10〜45%、約15〜40%、約20〜40%、約25〜40%、又は約25〜35%の乾燥固形分含量(w/w)を有するスラリーの形態である。
α−アミラーゼによる液化は、低いpHで有利に行うことができ、pHを約pH5.5〜6.5に調整することを不要にする。α−アミラーゼは、2〜7のpH範囲、例えば、pH3.0〜7.5、pH4.0〜6.0、又はpH4.5〜5.8で液化に使用することができる。α−アミラーゼは、約85℃〜95℃の温度範囲、例えば、85℃、90℃、又は95℃で液化活性を維持することができる。例えば、液化は、25%DSトウモロコシデンプンの溶液にアミラーゼ800μgを用いて、10分間にpH5.8及び85℃で、又は例えばpH4.5及び95℃で行うことができる、液化活性は、当該技術分野で既知の、多数の粘度アッセイのうちの任意のものを使用して調査することができる。
本発明のα−アミラーゼを使用した特定の実施形態では、デンプン液化(liquifaction)は、高純度グルコースシロップ、HFCS、マルトデキストリンなどの生産を目的として、90〜115℃の温度範囲で実行される。
4.3.糖化
液化デンプンは、所望により他の酵素(複数種類可)の存在下で、α−アミラーゼを使用することにより、より低DP(例えば、DP1+DP2)の糖類に富むシロップへと糖化することができる。糖化産物の正確な組成は、使用される酵素の組み合わせ、並びに加工される粒状デンプンの種類に依存する。有利には、提供されたα−アミラーゼを使用して得ることができるシロップは、糖化されたデンプン中の全オリゴ糖での重量パーセントにして、30%を超えるDP2(例えば、45%〜65%又は55%〜65%)を含有してもよい。糖化デンプン中の(DP1+DP2)の重量%は、約70%、例えば、75%〜85%又は80%〜85%を超過し得る。本発明のアミラーゼはまた、シロップ製品中において、グルコースを比較的高い収率(例えば、DP1>20%)で生産する。
液化は、一般的に、連続的なプロセスとして実施されるのに対し、糖化は、多くの場合バッチプロセスとして実施される。糖化は、典型的には、約60〜65℃の温度及び約4.0〜4.5のpH、例えば、pH4.3で最も効果的であり、液化デンプンの冷却及びpH調整が必要とされる。糖化は、例えば、約40℃、約50℃、又は約55℃〜約60℃又は約65℃の温度で実施することができる。糖化は、通常撹拌タンク内で行われ、このタンクは満たす又は空にするのに数時間かかる場合がある。酵素は、典型的には、タンクが充填されるにともない乾燥固形分に対し一定比で加えられ、あるいは充填段階の開始時に、単回添加物として加えられる。シロップを作製するための糖化反応は、典型的には、約24〜72時間、例えば、24〜48時間実施する。最大又は所望のDEが得られたとき、例えば85℃で5分間加熱して反応を停止させる。酵素的逆反応によって、かつ/又は熱力学的平衡への接近によって、蓄積されたグルコースが、イソマルトース及び/又は他の逆生産物へと、再重合するため、更なるインキュベーションは、DEの低下をもたらし、最終的には、約90DEとなるであろう。アミラーゼを使用すると、糖化は、約30℃〜約75℃の温度範囲、例えば、45℃〜75℃、又は47℃〜74℃で最適に行われる。糖化は、約pH3〜約pH7のpH範囲、例えば、pH3.0〜pH7.5、pH3.5〜pH5.5、pH3.5、pH3.8、又はpH4.5にわたって行われてもよい。
アミラーゼは、組成物の形態でスラリーに添加されてもよい。アミラーゼを、約0.6〜10ppm ds、例えば、2ppm dsの量で粒状デンプン基質のスラリーに加えることができる。アミラーゼは、全ブロス、清澄化、富化、部分精製、又は精製酵素として加えることができる。アミラーゼの比活性は、例えば、PAHBAHアッセイにより測定すると、酵素約300U/mgであり得る。アミラーゼを全ブロス生成物として添加することもできる。
アミラーゼは、単離された酵素溶液としてスラリーに添加されてもよい。例えば、アミラーゼは、アミラーゼを発現する宿主細胞によって生産された培養細胞物質の形態で添加することができる。また、アミラーゼは、酵素が、持続的に反応へと供給されるように、発酵又はSSFプロセスの間に、宿主細胞から反応培地へと分泌されてもよい。また、アミラーゼを生産及び分泌する宿主細胞は、グルコアミラーゼなどの更なる酵素を発現してもよい。例えば、米国特許第5,422,267号は、アルコール飲料の生産用の酵母におけるグルコアミラーゼの使用を開示している。例えば、宿主細胞(例えば、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)又はアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger))は、糖化の間に、アミラーゼ及びグルコアミラーゼ(例えば、HgGA、TrGA、又はTrGA変異体)を共発現するように、遺伝子操作されていてもよい。宿主細胞は、内在性のグルコアミラーゼ、及び/又は他の酵素類、タンパク質類、又は他の物質を発現しないように、遺伝的に改変されていてもよい。宿主細胞は、広域スペクトルの各種糖分解性酵素を発現するよう遺伝子操作され得る。例えば、組み換え酵母菌宿主細胞は、グルコアミラーゼ、アルファ−グルコシダーゼ(ペントース糖を利用する酵素)、α−アミラーゼ、プルラナーゼ(pullulanse)、イソアミラーゼ、及び/又はイソプルラナーゼをコードする核酸を含んでもよい。例えば、国際公開第2011/153516(A2)を参照されたい。
4.4.異性体
アミラーゼを用いた処理により生産された可溶性デンプン加水分解物は、高フルクトースのトウモロコシシロップ(HFCS)などの、高フルクトースデンプン系シロップ(HFSS)へと変換できる。この変換は、グルコースイソメラーゼ、特に固体担体に固定化されたグルコースイソメラーゼを使用して達成することができる。pHを、約6.0〜約8.0、例えば、pH7.5(イソメラーゼに依存)に上昇させ、及びCa2+をイオン交換により除去する。好適なイソメラーゼとして、SWEETZYME(登録商標)、IT(Novozymes A/S);G−ZYME(登録商標)IMGI、及びG−ZYME(登録商標)G993、KETOMAX(登録商標)、G−ZYME(登録商標)G993、G−ZYME(登録商標)G993液、及びGENSWEET(登録商標)IGIが挙げられる。異性化の後、この混合物は、典型的には、約40〜45%(例えば、42%)のフルクトースを含有する。
4.5.発酵
可溶性デンプン加水分解物、具体的にはグルコースに富むシロップは、典型的には、アルコール生産酵母に関しては約32℃(例えば30℃〜35℃)の温度で、発酵生物とデンプン加水分解物を接触させることによって、発酵させることができる。発酵の温度及びpHは、発酵生物に依存することになる。EOF生産物としては、クエン酸、乳酸、コハク酸、グルタミン酸ナトリウム、グルコン酸、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カルシウム、グルコン酸カリウム、イタコン酸及び他のカルボン酸類、グルコノデルタラクトン、エリソルビン酸ナトリウム、リジン及び他のアミノ酸類、オメガ3脂肪酸、ブタノール、イソプレン、1,3−プロパンジオール、並びに他の生体材料などの代謝産物が挙げられる。
エタノール生成微生物としては、アルコール脱水素酵素及びピルビン酸脱炭酸酵素を発現する、酵母(サッカロマイセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)など)、及び細菌(例えば、ザイモモナス・Zモビリス(ymomonas moblis))が挙げられる。エタノール生成微生物は、キシロース還元酵素及びキシリトール脱水素酵素を発現することができ、これらはキシロースをキシルロースに変換する。エタノール生成微生物の改良株、例えば、更に高温に耐性を示し得る改良株は、当該技術分野において既知であり、使用することができる。Liu et al.(2011)Sheng Wu Gong Cheng Xue Bao 27:1049〜56を参照されたい。酵母の商業的供給源としては、ETHANOL RED(登録商標)(登録商標)(LeSaffre)、THERMOSACC(登録商標)(登録商標)(Lallemand)、RED STAR(登録商標)(登録商標)(Red Star)、FERMIOL(登録商標)(登録商標)(DSM Specialties)、及びSUPERSTART(登録商標)(登録商標)(Alltech)が挙げられる。発酵により、クエン酸及び乳酸などのその他の代謝産物を生産する微生物も当該技術分野において既知である。例えば、Papagianni(2007)Biotechnol.Adv.25:244〜63、John et al.(2009)Biotechnol.Adv.27:145〜52を参照されたい。
糖化及び発酵プロセスは、SSFプロセスとして実行されてもよい。発酵は、例えば、後のエタノールの富化、精製及び回収を含んでもよい。発酵の間、ブロス又は「ビール」のエタノール含有量は、約8〜18% v/v(例えば、14〜15% v/v)に達する場合がある。ブロスを蒸留して、富化された、例えば、純度96%のエタノール溶液を生産してもよい。更に、発酵により生成されるCOは、CO気体洗浄装置により回収し、圧縮し、及び他の用途のために、例えば、炭酸飲料、又はドライアイスの生産用に販売することもできる。発酵プロセス由来の固体廃棄物は、タンパク質に富んだ製品、例えば、家畜用飼料として使用することもできる。
上記の通り、SSFを通して持続的にアミラーゼを発現し、分泌する真菌細胞により、SSFプロセスを実施することができる。アミラーゼを発現する真菌細胞は、発酵微生物、例えば、エタノール生成微生物であってもよい。それ故、エタノール生産は、十分なアミラーゼを発現する真菌細胞を使用して行うことができるため、外因的に添加しなければならない酵素が少ないか、又は不要である。真菌宿主細胞は、適切に遺伝子操作を受けた真菌株由来であり得る。アミラーゼに加えてその他の酵素を発現し、分泌する真菌宿主細胞も使用できる。このような細胞は、グルコアミラーゼ、及び/又はプルラナーゼ、フィターゼ、アルファ−グルコシダーゼ、イソアミラーゼ、ベータ−アミラーゼセルラーゼ、キシラナーゼ、他のヘミセルラーゼ類、プロテアーゼ、ベータ−グルコシダーゼ、ペクチナーゼ、エステラーゼ、酸化還元酵素類、トランスフェラーゼ、又は他の酵素を発現してもよい。
このプロセスの変化形が、「フェドバッチ発酵」システムであり、このシステムでは、発酵の進行に伴い基質が徐々に加えられる。フェドバッチシステムは、異化産物抑制によって細胞の代謝が阻害される恐れがあり、培地中の基質の量が限定されていることが望ましい場合に有用である。フェドバッチシステムにおける実際の基質濃度は、pH、溶存酸素、及びCOなどの排出ガスの分圧などの測定可能な因子の変化に基づいて推定される。バッチ発酵及びフェドバッチ発酵は一般的なものであり、当該技術分野では周知のものである。
連続発酵は、規定の発酵培地をバイオリアクターに連続的に加え、等量の調整培地を処理加工用に同時に取り出す開放システムである。連続発酵では一般的に培養物は一定の高密度に維持され、細胞は主として対数期増殖する。連続発酵により、細胞増殖、及び/又は生産物濃度の調節が可能となる。例えば、炭素源又は窒素源などの律速栄養素が固定速度に維持され、他のすべてのパラメータは適度に調節される。増殖が定常状態に維持されるため、抜き出される培地に起因する細胞損失は、発酵における細胞の増殖速度に対して釣り合わされるべきである。連続発酵プロセスを最適化し、生成物の形成速度を最大化する方法は、工業微生物学の技術分野において周知である。
4.6.α−アミラーゼを含む組成物
α−アミラーゼは、グルコアミラーゼ(EC 3.2.1.3)(例えば、トリコデルマ(Trichoderma)グルコアミラーゼ又はその変異体)と組み合わせることもできる。グルコアミラーゼの例は、優れた比活性及び熱安定性を保有するトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)グルコアミラーゼ(TrGA)及びその変異体である。米国特許出願公開第2006/0094080号、同第2007/0004018号、及び同第2007/0015266号(Danisco US Inc.)を参照されたい。TrGAの好適な変異体としては、グルコアミラーゼ活性と、野生型TrGAに対して、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の配列同一性とを有するものが挙げられる。α−アミラーゼは、TrGAにより触媒された糖化プロセスで生産されるグルコースの収率を有利に増加させる。
あるいは、グルコアミラーゼは、植物(藻類を含む)、菌類、又は細菌に由来する別のグルコアミラーゼであってもよい。例えば、グルコアミラーゼは、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)G1又はG2グルコアミラーゼ又はその変異体(例えば、Boel et al.(1984)EMBO J.3:1097〜1102、国際公開第92/00381号、国際公開第00/04136号(Novo Nordisk A/S))、及びアワモリコウジカビ(A. awamori)グルコアミラーゼ(例えば、国際公開第84/02921号(Cetus Corp.))であってもよい。その他の想到されるアスペルギルス(Aspergillus)グルコアミラーゼとしては、向上した熱安定性を有する変異体、例えば、G137A及びG139A(Chen et al.(1996)Prot.Eng.9:499〜505)、D257E及びD293E/Q(Chen et al.(1995)Prot.Eng.8:575〜582)、N182(Chen et al.(1994)Biochem.J.301:275〜281)、A246C(Fierobe et al.(1996)Biochemistry,35:8698〜8704)など、並びに位置A435及びS436にPro残基を有する変異体(Li et al.(1997)Protein Eng.10:1199〜1204)が挙げられる。その他の想到されるグルコアミラーゼとしては、タラロミセス(Talaromyces)グルコアミラーゼ、特にT.エマーソニイ(T. emersonii)(例えば、国際公開第99/28448号(Novo Nordisk A/S)、T.レイセタヌ(T. leycettanus)(例えば、米国再発行特許第32,153号(CPC International,Inc.))、T.デュポンチ(T. duponti)、又はT.サーモフィル(T. thermophilus)(例えば、米国特許第4,587,215号)由来のものが挙げられる。想到される細菌グルコアミラーゼとしては、クロストリジウム(Clostridium)属、特に、C.サーモアミロリチカム(C. thermoamylolyticum)(例えば、欧州特許第135,138号(CPC International,Inc.)、及びC.サーモヒドロスルフリカム(C. thermohydrosulfuricum)(例えば、国際公開第86/01831号(Michigan Biotechnology Institute))由来のグルコアミラーゼが挙げられる。好適なグルコアミラーゼとしては、国際公開第00/04136号(Novo Nordisk A/S)において配列番号2で示されるグルコアミラーゼなどのアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)由来のグルコアミラーゼが挙げられる。また好適であるのは、AMG 200L、AMG 300 L、SAN(商標)SUPER及びAMG(商標)E(Novozymes)、OPTIDEX(登録商標)300及びOPTIDEX L−400(Danisco US Inc.)、AMIGASE(商標)及びAMIGASE(商標)PLUS(DSM)、G−ZYME(登録商標)G900(Enzyme Bio−Systems)、並びにG−ZYME(登録商標)G990 ZR(低プロテアーゼ含量のA.ニガー(A. niger)グルコアミラーゼ)などの市販のグルコアミラーゼである。更にその他の好適なグルコアミラーゼとしては、アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)グルコアミラーゼ、タラロミセス(Talaromyces)グルコアミラーゼ、チエラビア(Thielavia)グルコアミラーゼ、ホウロクタケ(Trametes)グルコアミラーゼ、サーモミセス(Thermomyces)グルコアミラーゼ、アテリア(Athelia)グルコアミラーゼ、又はフミコーラ(Humicola)グルコアミラーゼ(例えば、HgGA)が挙げられる。グルコアミラーゼ類は、典型的には、約0.1〜2グルコアミラーゼ単位(GAU)/g dsの量で添加され、例えば、約0.16GAU/g ds、0.23GAU/g ds、又は0.33GAU/g dsである。
アミラーゼと共に使用することができる、他の好適な酵素類としては、フィターゼ、プロテアーゼ、プルラナーゼ、β−アミラーゼ、イソアミラーゼ、異なるα−アミラーゼ、アルファ−グルコシダーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、他のヘミセルラーゼ類、ベータ−グルコシダーゼ、トランスフェラーゼ、ペクチナーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、エステラーゼ、酸化還元酵素類、又はこれらの組み合わせなどが挙げられる。例えば、イソアミラーゼ(EC 3.2.1.68)などの脱分枝酵素を、当業者には周知の有効量で添加してもよい。また、プルラナーゼ(EC 3.2.1.41)、例えば、PROMOZYME(登録商標)も好適である。典型的には、プルラナーゼは、100U/kg dsで添加する。更に好適な酵素類としては、真菌性プロテアーゼ、細菌性プロテアーゼなどのプロテアーゼ類が挙げられる。真菌プロテアーゼとしては、A.ニガー(A. niger)、アワモリコウジカビ(A. awamori)、A.オリゼ(A. oryzae)などのアスペルギルス(Aspergillus)、ムコール(Mucor)(例えば、M.ミエヘイ(M. miehei))、クモノスカビ(Rhizopus)、及びトリコデルマ(Trichoderma)から得られるものが含まれる。
β−アミラーゼ(EC 3.2.1.2)は、エキソ型マルトース生成アミラーゼであり、1,4−α−グルコシド結合の、アミロペクチン及び関連グルコースポリマー類への加水分解を触媒することによって、マルトースを放出する。β−アミラーゼは、様々な植物及び微生物から単離されてきた。Fogarty et al.(1979)in Progress in Industrial Microbiology,Vol.15,pp.112〜115を参照されたい。これらのβアミラーゼは、40℃〜65℃の範囲の最適温度、及び約4.5〜約7.0の範囲の最適pHを有する。想到されるβ−アミラーゼとしては、大麦由来のβ−アミラーゼであるSPEZYME(登録商標)BBA 1500、SPEZYME(登録商標)DBA、OPTIMALT(商標)ME、OPTIMALT(商標)BBA(Danisco US Inc.)、及びNOVOZYM(商標)WBA(Novozymes A/S)が挙げられるがこれらに限定されない。
本発明のアミラーゼを含む組成物は、水性製剤又は非水性製剤、顆粒、粉末、ゲル、スラリー、パステルなどであってもよく、これらは更に本明細書に列挙された追加の酵素のうち任意の1種又は2種以上を、緩衝剤、塩、保存剤、水、助溶剤、界面活性剤などと共に含んでもよい。このような組成物は、内因性酵素又はスラリー、水浴、洗濯機、食品又は飲料製品など、例えば内因性植物(藻類を含む)酵素、前の処理工程からの残留酵素などの中に既に存在する他の成分と組み合わせて機能し得る。
5.焼成及び食品調製のための組成物及び方法
本発明は、また、アミラーゼを含む「食品組成物」(食品製品、動物飼料、及び/又は、食品/飼料添加物などが挙げられるが、これらに限定されない)、及びα−アミラーゼを、1種類又は2種類以上の食品材料と混合することを含む、そのような食品組成物の調製方法、又は、その使用にも関する。
更に、本発明は、食品組成物が、本発明のポリペプチドの添加の後に焼成される、食品組成物の調製でのアミラーゼの使用に関する。本明細書で使用するとき、用語「焼成組成物」は、焼成食品の提供プロセスで調製される任意の組成物及び/又は添加剤を意味し、焼成用穀粉、練り粉、焼成添加剤、及び/又は焼成製品が挙げられるがこれらに限定されない。食品組成物又は添加剤は、液体又は固体であり得る。
本明細書で使用するとき、用語「穀粉」は、粉砕又は摩砕された穀物を意味する。また、用語「穀粉」は、摩砕又は押し潰されたサゴ又は塊茎の製品を意味する場合もある。一部の実施形態では、穀粉は、粉砕又はすり潰された穀草又は植物材料に加えて成分も含有してよい。追加成分の例は、限定する意図はないが、膨張剤である。穀物粒としては、小麦、オート麦、ライ麦及び大麦が挙げられる。塊茎製品としては、タピオカ粉、キャッサバ粉及び粉末カスタードが挙げられる。また、用語「穀粉」には、摩砕したトウモロコシ粉、トウモロコシの挽き割り粉、米粉、全麦粉、膨脹剤入り穀粉、タピオカ粉、キャッサバ粉、摩砕した米、栄養強化花及び粉末カスタードも含まれる。
焼成用及び食品生産用の穀粉の商用又は家庭での使用では、穀粉において適当なレベルのα−アミラーゼ活性を維持することが重要である。活性レベルが高過ぎると、粘着性になり及び/又は締りがなくなり、したがって商品にならない恐れがある。α−アミラーゼ活性が不十分な穀粉では、適切に酵母を機能させるのに十分な糖が含有されず、乾燥した、ぼろぼろと砕けやすいパン類又は焼成製品となる恐れがある。したがって、アミラーゼを、単独で又は別のα−アミラーゼ(複数種類可)と組み合わせて、穀粉に添加して、穀粉中の内因性α−アミラーゼ活性のレベルを増加させることができる。
アミラーゼを単独で又は他のアミラーゼとの組み合わせで更に添加して、老化、即ち、焼成製品の身の部分が硬くなるのを防止又は遅延させることができる。老化防止アミラーゼの量は、典型的には、穀粉1kg当たり酵素タンパク質0.01〜10mgの範囲(例えば、0.5mg/kg ds)である。アミラーゼと組み合わせて使用できる追加の老化防止アミラーゼとしては、エンド型アミラーゼ、例えば、バチルス(Bacillus)由来の細菌エンド型アミラーゼが挙げられる。追加のアミラーゼは、例えば、バチルス(Bacillus)由来のその他のマルトース生成α−アミラーゼ(EC3.2.1.133)であってもよい。NOVAMYL(登録商標)は、B.ステアロサーモフィルス(B. stearothermophilus)株NCIB 11837由来の代表的なマルトース生成α−アミラーゼであり、Christophersen et al.(1997)Starch 50:39〜45に記載されている。老化防止エンド型アミラーゼの他の例としては、B.リケニフォルミス(B. licheniformis)又はB.アミロリケファシエンス(B. amyloliquefaciens)などのバチルス(Bacillus)由来の細菌α−アミラーゼが挙げられる。老化防止アミラーゼは、β−アミラーゼなどの、エキソ型アミラーゼでもよく、例えば、β−アミラーゼは、大豆などの植物原料由来、又は、バチルス(Bacillus)などの細菌原料由来でもよい。
アミラーゼを含む焼成組成物は、ホスホリパーゼ又はホスホリパーゼ活性を有する酵素を更に含むことができる。ホスホリパーゼ活性を有する酵素は、リパーゼ単位(LU)で測定できる活性を有する。ホスホリパーゼは、リン脂質から脂肪酸を除去してリゾリン脂質を生成するA又はA活性を有し得る。ホスホリパーゼは、リパーゼ活性、即ち、トリグリセリド基質に対する活性を有しても有さなくてもよい。ホスホリパーゼは、典型的には、30〜90℃の範囲内で、例えば、30〜70℃で最適な温度を有する。追加のホスホリパーゼは、動物起源のもの、例えば、膵臓(例えば、ウシ又はブタの膵臓)由来、ヘビ毒又はハチ毒であり得る。あるいは、ホスホリパーゼは微生物起源(例えば、糸状菌、酵母又は細菌由来)であってもよい。
ホスホリパーゼは、焼成後の初期(特に最初の24時間)の間のパンの柔らかさを向上させる量で添加される。ホスホリパーゼの量は、典型的には、穀粉1kg当たり酵素タンパク質0.01〜10mgの範囲(例えば、0.1〜5mg/kg)である。すなわち、ホスホリパーゼ活性は、一般的に、穀粉20〜1000LU/kgの範囲であり、ここでリパーゼ単位は、アラビアゴムを乳化剤とし、トリブチリンを基質とし、30℃、pH7.0にて1分当たり1μmolの酪酸を放出させるのに必要とされる酵素量として定義される。
練り粉組成物は、一般的に、小麦全粒粉又は小麦粉及び/又はその他の種類のミール、穀粉又はデンプン(トウモロコシ粉、トウモロコシデンプン、ライ麦ミール、ライ麦粉、オート麦粉、オートミール、大豆粉、ソルガムミール、ソルガム粉、ジャガイモミール、ジャガイモ粉、又はジャガイモデンプン)を含む。練り粉は、新鮮、凍結、又は半焼成のものであってよい。練り粉は、発酵させた練り粉、又は発酵させる練り粉であってよい。練り粉は、化学的な発酵剤(例えば、重炭酸ナトリウム)を加えること、あるいは酵母を加えること(即ち、練り粉を発酵させることにより)などの、多様な方法により発酵させることができる。練り粉は、サッカロマイセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)(パン菓子用酵母)、例えば、S.セレヴィシエ(S. cerevisiae)の市販株の培養など、好適な酵母培養物を加え、発酵させることもできる。
練り粉はまた、他の従来の練り粉成分、例えば、タンパク質(粉ミルク、グルテン、及び大豆など)、卵(例えば、全卵、卵黄、又は卵白)、オキシダント(アスコルビン酸、臭素酸カリウム、ヨウ素酸カリウム、アゾジカルボンアミド(ADA)又は過硫酸アンモニウムなど)、アミノ酸(L−システインなど)、糖、又は塩(塩化ナトリウム、酢酸カルシウム、硫酸ナトリウム、又は硫酸カルシウムなど)を含んでもよい。練り粉には、更に脂肪、例えば、トリグリセリド(粒状脂肪又はショートニングなど)を含ませることもできる。練り粉には、更に乳化剤、すなわちモノ又はジグリセリド、モノ又はジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル、脂肪酸の糖エステル、脂肪酸のポリグリセロールエステル、モノグリセリドの乳酸エステル、モノグリセリドの酢酸エステル、ステアリン酸ポリオキシエチレン、又はリゾレシチンなどを含ませることもできる。特に、練り粉は乳化剤を加えずに作製することができる。
練り粉生成物は、揚げ焼き、揚げ、ロースト、焼成、蒸し上げ、及び茹で上げされた練り粉、すなわち蒸し上げパン及び餅類などの、任意の加工のなされた練り粉生成物であってよい。一実施形態では、食品はベーカリー製品である。典型的なベーカリー(焼成)製品としては、ローフ類、ロール類、丸パン類、ベーグル類、ピザ生地などのパン類、ペストリー、プレッツェル類、トルティーヤ類、ケーキ類、クッキー類、ビスケット類、クラッカー類などが挙げられる。
任意選択で、老化防止アミラーゼ及びホスホリパーゼとともに、追加の酵素を使用してもよい。追加の酵素は、第2のアミラーゼ、例えばアミログルコシダーゼ、β−アミラーゼ、シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼであってもよく、又は追加の酵素は、ペプチダーゼ(特にエキソペプチダーゼ)、トランスグルタミナーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、プロテアーゼ、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ(例えば、国際公開第95/00636号に開示されるタンパク質ジスルフィドイソメラーゼ)、例えば、グリコシルトランスフェラーゼ、分岐酵素(1,4−α−グルカン分岐酵素)、4−α−グルカノトランスフェラーゼ(デキストリングリコシルトランスフェラーゼ)、若しくは酸化還元酵素、(例えば、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、グルコース酸化酵素、アマドリアーゼ、メタロプロテアーゼ、ピラノース酸化酵素、リポオキシゲナーゼ、L−アミノ酸酸化酵素、又はカルボヒドレートオキシダーゼ)であってよい。追加の酵素(複数種類可)は、哺乳類及び植物を含む任意の起源のもの、特に、微生物(細菌、酵母菌又は真菌)起源のものであってよく、当該技術分野で従来から使用されている技術により得られるものでもよい。
典型的には、キシラナーゼは、微生物起源のものであり、例えば、細菌、又はアスペルギルス(Aspergillus)株などの真菌に由来する。キシラナーゼとしては、例えば、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)から製造された市販のキシラナーゼ製剤であるPENTOPAN(登録商標)及びNOVOZYM 384(登録商標)が挙げられる。アミログルコシダーゼは、A.ニガー(A. niger)アミログルコシダーゼ(AMG(登録商標)など)であってよい。他の有用なアミラーゼ製品としては、GRINDAMYL(登録商標)A 1000又はA 5000(Grindsted Products(Denmark))及びAMYLASE H(商標)又はAMYLASE P(商標)(DSM)が挙げられる。グルコース酸化酵素は、真菌グルコース酸化酵素、特に、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)グルコース酸化酵素(GLUZYME(登録商標)など)であってよい。代表的なプロテアーゼはNEUTRASE(登録商標)である。
このプロセスは、練り粉から調製される任意の種類の焼成製品に使用することができ、柔らかい、又はサクサクした特性のもののどちらにも、白いタイプ、色の薄いタイプ又は濃いタイプのいずれにも、使用することができる。例は、パン、特に、典型的には、ローフ類又はロール類の形態の精白パン、全粒粉パン又はライ麦パンであり、即ち、フレンチバゲット式のパン、ピタパン、トルティーヤ類、ケーキ類、パンケーキ類、ビスケット類、クッキー類、パイ生地、クリスピーパン、蒸しパン、及びピザなどであるがこれらに限定されない。
アミラーゼは、老化防止アミラーゼ、ホスホリパーゼ、及び/又はリン脂質と共に穀粉を含むプレミックスで使用されてもよい。プレミックスには、その他の練り粉を改良する及び/又はパンを改良する添加剤、例えば、上記の酵素を含む任意の添加剤を含有させることができる。アミラーゼは、焼成用添加物として使用される、老化防止アミラーゼと、ホスホリパーゼとを含む酵素調製物の成分となり得る。
酵素調製物は、任意選択で、顆粒又は凝集粉末の形態である。調製物は、粒子の95%(重量%)超が25〜500μmの範囲内にある狭い粒径分布を有してよい。顆粒及び凝集粉末は、従来の方法により、例えば、アミラーゼを流動層造粒機内で担体に噴霧することにより調製することもできる。担体は、好適な粒径を有する粒子コアからなってよい。担体は、可溶性又は不溶性の、例えば塩(NaCl又は硫酸ナトリウムなど)、糖(スクロース又はラクトース)、糖アルコール(ソルビトールなど)、デンプン、米、コーングリッツ、又は大豆であってよい。
被覆粒子、即ち、α−アミラーゼ粒子はアミラーゼを含むことができる。被覆α−アミラーゼ粒子を調製するために、酵素を、すべてのα−アミラーゼ粒子を懸濁させるのに十分な量の食品グレードの脂質と接触させる。本明細書で使用するとき食品グレードの脂質は、水には不溶性であるものの炭化水素又はジエチルエーテルなどの無極性有機溶媒には可溶性である任意の天然の有機化合物である。好適な食品グレードの脂質としては、飽和又は不飽和である脂肪又は油のいずれかの形態のトリグリセリドが挙げられるがこれらに限定されない。飽和トリグリセリドを作る脂肪酸、及びそれらの組み合わせの例としては、(乳脂肪由来の)酪酸、(動物脂肪及び植物脂肪由来の)パルミチン酸、及び/又は(動物脂肪及び植物脂肪由来の)ステアリン酸が挙げられるが、これらに限定されない。不飽和トリグリセリドを作る脂肪酸、及びそれらの組み合わせの例としては、(動物脂肪及び植物脂肪由来の)パルミトレイン酸、(動物脂肪及び植物脂肪由来の)オレイン酸、(植物油由来の)リノール酸、及び/又は(アマニ油由来の)リノレン酸が挙げられるが、これらに限定されない。その他の好適な食品グレードの脂質としては、上記のトリグリセリド、リン脂質、及び糖脂質に由来するモノグリセリド及びジグリセリドが挙げられるがこれらに限定されない。
食品グレードの脂質、特に液体形態のものを、脂質材料が、少なくとも大部分、例えば、100%のα−アミラーゼ粒子の表面の少なくとも一部分を覆うような様式で、粉末形態のαアミラーゼ粒子と接触させる。したがって、各α−アミラーゼ粒子はそれぞれ脂質に被覆される。例えば、全て又は実質的に全てのα−アミラーゼ粒子には、脂質の薄く連続的な被覆フィルムが備わっている。このことは、最初にある量の脂質を容器に入れてから、脂質が完全に各α−アミラーゼ粒子の表面を湿潤させるようにα−アミラーゼ粒子をスラリー化させることにより達成することができる。短時間撹拌した後、相当量の脂質を表面上に保持する被覆α−アミラーゼ粒子を回収する。このようにしてα−アミラーゼ粒子に塗布されるコーティングの厚みは、使用する脂質の種類を選択することにより、及び所望される場合には、より厚みのあるフィルムが形成されるよう操作を繰り返すことにより調節することができる。
充填された送達ビヒクルの貯蔵、取り扱い、組み込みは、パッケージドミックスによって達成できる。パッケージドミックスには、被覆α−アミラーゼを含ませることができる。しかしながら、パッケージドミックスには、製造元又は焼成者により必要とされる通りの追加の原材料を更に含有させることができる。被覆α−アミラーゼを練り粉に組み込んだ後、焼成者は、製品のための通常の生産プロセスを続ける。
α−アミラーゼ粒子の被覆による利点は2つある。第1に、食品グレードの脂質は、熱に不安定な酵素の焼成プロセス中に、これらの酵素を熱分解から保護する。結果的に、発酵及び焼成段階でαアミラーゼは安定化されかつ保護される一方、最終焼成製品において保護コーティングから放出され、ポリグルカン中のグルコシド結合を加水分解する。また、この充填済送達ビヒクルは、焼成製品へと、活性酵素の持続的な放出をももたらす。つまり、焼成プロセスの後、活性α−アミラーゼは、老化メカニズムを相殺することでその速度を減じる速度で、保護コーティングから連続的に放出される。
一般的に、α−アミラーゼ粒子に塗布される脂質量は、脂質の性質、α−アミラーゼ粒子への塗布方法、処理する練り粉混合物の性質、及び包含される練り粉混合操作の厳格さに応じ、α−アミラーゼの総重量の数%から重量の数倍へと変更することができる。
充填済送達ビヒクル(即ち、脂質被覆酵素)は、焼成製品の貯蔵寿命を延長するための有効量にて、焼成製品を調製するために使用される材料へと添加される。ベーカリー製品製造者は、所望の老化防止効果を達成するために必要とされる、上述したように調製した被覆α−アミラーゼの量を計算する。必要な被覆α−アミラーゼの量は、被覆された酵素の濃度、及び指定された穀粉に対するα−アミラーゼの比率に基づいて計算される。すでに説明されたように、広範囲の濃度で有効であることが判明してはいるものの、老化防止における観測可能な改善とα−アミラーゼ濃度とは線形的に対応せず、ある最小濃度を超えると、α−アミラーゼ濃度を大きく増やしても、更なる改善はほとんど見られなくなる。具体的なベーカリー製品で実際に使用されるαアミラーゼ濃度は、ベーカリー製品製造者の不注意による測定誤差に対して、ベーカリー製品製造者にある程度の保険を提供するのに必要な最低濃度よりも十分に高いものであり得る。酵素濃度の下限は、ベーカリー製品製造者が達成しようとする最小の老化防止効果により決定される。
焼成製品を調製する方法は、a)実質的にα−アミラーゼ粒子の全てが被覆された、脂質被覆α−アミラーゼ粒子を調製すること、b)穀粉を含有する練り粉を混合することと、c)混合が完了する前に脂質被覆α−アミラーゼを練り粉に添加し、脂質コーティングがα−アミラーゼから除去される前に混合を終了すること、d)練り粉を発酵させることと、e)練り粉を焼成して、焼成製品を提供することと、を含んでよく、α−アミラーゼは、混合、発酵、及び焼成段階中には不活性であり、かつ焼成製品において活性である。
被覆α−アミラーゼは、混合サイクル中、例えば、混合サイクルの終了付近で練り粉に加えることができる。練り粉全体にわたって被覆α−アミラーゼの十分な分布を可能にする、混合段階のある時点で、被覆α−アミラーゼを添加する。ただし、混合段階は、保護コーティングがα−アミラーゼ粒子(複数可)から剥離されるようになる前に終了する。練り粉の種類及び体積、並びに混合機の動作及び速度に応じ、1〜6分以上が被覆α−アミラーゼの練り粉への混合に必要とされるものの、2〜4分が平均である。それ故、いくつかの変数によって正確な手順が決定され得る。第1に、被覆α−アミラーゼの量は、被覆α−アミラーゼを練り粉ミックス中に行き渡らせるのに十分な合計量を有する必要がある。被覆α−アミラーゼ調製物が高濃度である場合は、この被覆α−アミラーゼが練り粉へ添加される前に、プレミックスに追加の油を添加することが必要な場合がある。レシピと生産プロセスには、特定の改変が必要な場合がある。しかしながら、パン練り粉処方に指定された油の25%を練り粉に入れずにおき、混合サイクルの終了付近で添加した時に、濃縮被覆α−アミラーゼに対する担体として使用する場合には、一般に良好な結果が達成できる。パン、又はその他の焼成製品、特に低脂肪含量を有する、例えば、フランスパンでは、練り粉に被覆α−アミラーゼを適切に混合するには、乾燥穀粉の重量のおよそ1%の被覆α−アミラーゼ混合物で十分である。好適な割合の範囲は広く、処方、最終製品、個々のベーカリー製品製造者の生産方法による要件に依存する。第2に被覆α−アミラーゼ懸濁物は、練り粉に完全に混合されるだけの十分な時間で、ミックスに添加されるべきであるが、過剰な機械的作用により被覆α−アミラーゼ粒子から保護脂質コーティングが剥がれるほどの時間であってはならない。
本発明の更なる態様では、食品組成物は、アミラーゼを含む、油、肉、ラード、組成物である。この文脈で、用語「油、肉、ラード、組成物」は、それぞれ、油、肉、又はラードに基づく、それらから製造された、及び/又はそれらを含有する任意の組成物を意味する。本発明の別の態様は、本発明のポリペプチドを油/肉/ラード組成物、及び/又は添加成分と混合することを含む、油若しくは肉若しくはラード組成物、及び/又はアミラーゼを含む添加物の調製方法に関する。
本発明の更なる態様では、食品組成物は、アミラーゼ及びその変異体を含む、動物飼料組成物、動物飼料添加物、及び/又はペットフードである。更に、本発明は、1種類又は2種類以上の動物飼料材料、及び/又は動物飼料添加物成分、及び/又はペットフード材料に、アミラーゼ及びその変異体を混合することを含む、このような動物飼料組成物、動物飼料添加組成物、及び/又はペットフード材料の調製方法に関する。更に、本発明は、動物飼料組成物、及び/又は動物飼料添加組成物、及び/又はペットフードの調製における、アミラーゼの使用に関する。
用語「動物」は、全ての非反芻及び反芻動物を含む。特定の実施形態では、動物は、馬及び単胃動物などの非反芻動物である。単胃動物の例としては、ブタ類(pig及びswine)(子ブタ、育成ブタ、雌ブタなど)、家禽(七面鳥、アヒル、ニワトリ、ブロイラー雛鳥、卵を産むニワトリなど)、魚(サケ、マス、テラピア、ナマズ、及びコイなど)、及び甲殻類(小エビ及びエビなど)が挙げられるが、これらに限定されない。更なる実施形態では、動物は反芻動物であり、畜牛、幼若牛、ヤギ、羊、キリン、バイソン、ヘラジカ、エルク、ヤク、水牛、シカ、ラクダ、アルパカ、リャマ、レイヨウ、エダツノレイヨウ、及びニルガイが挙げられるがこれらに限定されない。
本文脈において、用語「ペットフード」は家庭用動物(犬、猫、アレチネズミ、ハムスター、チンチラ、ファンシーラット、モルモット、鳥類のペット(カナリア、インコ、及びオウムなど)、爬虫類のペット(カメ、トカゲ、及びヘビなど)、及び水生ペット(熱帯魚及びカエルなど)などが挙げられるがこれらに限定されない)の食物を意味すると理解されることを意図している。
用語「動物飼料組成物」、「家畜飼料」、及び「飼料」は、互換的に使用され、a)小穀物(例えば、小麦、大麦、ライ麦、オート麦、及びそれらの組み合わせ)及び/又は大穀物(トウモロコシ又はソルガムなど)などの穀物、b)コーングルテンミール、穀粒蒸留粕(DDGS)(特トウモロコシ蒸留粕(cDDGS)、小麦ふすま、小麦ミドリング粉、小麦ショート、米糠、もみ殻、オート麦外皮、パーム核、及び柑橘パルプなどの穀物由来の副産物、c)大豆、ヒマワリ、落花生、ハウチワマメ、エンドウ豆、ソラマメ、綿、キャノーラ、魚粉、乾燥血漿タンパク、肉骨粉飼料、ジャガイモタンパク質、乳清、コプラ、ゴマなどの原料から得られるタンパク質、d)植物性及び動物性原料から得られる油及び脂肪、e)ミネラル及びビタミン、を含む群から選択される1種類又は2種類以上の飼料材料を含んでもよい。
6.織物湯通し組成物及び使用
アミラーゼを使用した、布地を処理する(例えば、織物を湯通しする)組成物及び方法もまた想到される。布地の処理方法は、当該技術分野において周知である(例えば、米国特許第6,077,316号を参照されたい)。例えば、布地の感触及び外観は、その布地を溶液中でアミラーゼと接触させることを含む方法により改善することができる。布地は、圧力下で溶液により処理することができる。
アミラーゼは、織物の製織の間に若しくはその後に、又は湯通し段階、又は1つ若しくは2つ以上の追加の布地加工工程の間に、適用することができる。糸は、織物の製織の間に、相当程度の機械的歪みに晒される。機械式織機での製織に先立ち、経糸の引張強度を増加させ、かつ切れることを防ぐために、大抵、経糸は、糊付け用デンプン又はデンプン誘導体でコーティングされる。アミラーゼは、これらの糊付け用デンプン又はデンプン誘導体を取り除くために、製織の間又はその後に適用することができる。製織後、同種の、かつ耐洗浄的な効果を確保するために、布地を更に加工する前に、アミラーゼを使用して、糊付け用コーティングを取り除くことができる。
アミラーゼを、単独で、又はその他の湯通し用化学試薬及び/又は湯通し用酵素とともに、(例えば、水性組成物で)洗剤添加剤として使用して、綿含有布地などを湯通しすることができる。また、アミラーゼは、インディゴ染色デニム布地及び衣類のストーンウォッシュ加工したような見た目を作り出すための組成物及び方法において使用することもできる。衣服の製造に関しては、この布地を衣服又は衣類へと裁断及縫製し、その後に仕上げを行うこともできる。特にデニムジーンズの製造に関しては、異なる酵素による仕上げ方法が開発されている。デニム衣類の仕上げは、通常、酵素による湯通し工程により開始され、この間、衣類はデンプン分解酵素による作用を受け、布地には柔軟性がもたらされ、木綿は以降の酵素による仕上げ工程による作用を受けやすくなる。アミラーゼは、デニム衣類の仕上げ方法(例えば、「バイオストーン加工」)、酵素による湯通し、及び布地に対する柔軟性の付与、及び/又は最終加工をする方法に使用することができる。
7.洗浄組成物
本発明の組成物及び方法の一態様は、アミラーゼを構成成分として含有する洗浄組成物である。アミラーゼポリペプチドは、手洗い、洗濯物洗浄、食器洗浄、及び他の硬質表面の洗浄のための洗剤組成物の成分として使用することができる。
7.1.概略
好ましくは、アミラーゼは、洗剤中のアミラーゼに従来から使用されている濃度で、又はそれに近い濃度で、洗剤に組み込まれる。例えば、アミラーゼポリペプチドは、(酵素タンパク質純分として計算して)洗浄/食器洗浄液1リットル当たり、0.00001〜1mgのアミラーゼに相当する量で添加されてもよい。次に例示する通り、配合例を本明細書において提供する。
アミラーゼポリペプチドは、唯一の酵素として、又は他のデンプン分解酵素などの他の酵素と共に、洗剤組成物の成分であってよい。そのため、無発塵顆粒、安定化した液体、又は保護酵素の形態で洗剤組成物に含有させることもできる。無発塵顆粒は、例えば、米国特許第4,106,991号及び同第4,661,452号に開示されているように生産されてもよいし、任意選択で、当該技術分野において既知の方法により、コーティングされてもよい。ワキシーコーティング材料の例は、1,000〜20,000の平均モル重量を有するポリ(エチレンオキシド)製品(ポリエチレングリコール、PEG);16〜50個のエチレンオキシド単位を有するエトキシ化ノニルフェノール;アルコールが12〜20個の炭素原子を含み、15〜80個のエチレンオキシド単位が存在するエトキシ化脂肪族アルコール;脂肪族アルコール;脂肪酸;並びに脂肪酸のモノ−及びジ−及びトリグリセリドである。流動層技術による適用に好適なフィルム形成コーティング材料の例は、例えば、英国特許第1483591号において与えられる。液体酵素調製物は、例えば、確立された方法に従い、ポリオール(プロピレングリコールなど)、糖又は糖アルコール、乳酸又はホウ酸を添加することにより、安定化させてもよい。他の酵素安定剤が、当該技術分野で既知である。保護酵素は、例えば、欧州特許第238216号に開示される方法に従って調製することができる。ポリオールは、長きにわたりタンパク質安定剤として、並びにタンパク質溶解度を改良するとして認識されてきた。
洗剤組成物は、例えば、粉末、顆粒、ペースト、又は液体などの任意の有用な形態であってよい。液体洗剤は、水性であってもよく、典型的には、最大約70%の水と0〜約30%の有機溶媒を含有してよい。また、液体洗剤は、水を約30%のみ含有する、コンパクトなゲルタイプ形態であってもよい。
洗剤組成物は、1種類又は2種類以上の界面活性剤を含み、各界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、カチオン性、又は双性イオン性であってもよい。洗剤には、通常0%〜約50%のアニオン性界面活性剤、例えば、線状アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS);α−オレフィンスルホン酸塩(AOS);アルキル硫酸塩(脂肪酸アルコール硫酸塩)(AS);アルコールエトキシ硫酸塩(AEOS又はAES);第ニ級アルカンスルホン酸塩(SAS);α−スルホ脂肪酸メチルエステル;アルキル−若しくはアルケニルコハク酸;又は石鹸などを含有させる。組成物には、0%〜約40%の非イオン性界面活性剤、例えば、アルコールエトキシレート(AEO又はAE)、カルボキシル化アルコールエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、アルキルポリグリコシド、アルキルジメチルアミンオキシド、エトキシル化脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸モノエタノールアミド、又はポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミド(例えば、国際公開第92/06154号に記載のものなど)を含有させることもできる。
洗剤組成物には、追加して、1つ又は2つ以上のその他の酵素、例えば、任意の組み合わせでプロテアーゼ、その他のデンプン分解酵素、クチナーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、ペクチン酸リアーゼ、ペルヒドロラーゼ、キシラナーゼ、ペルオキシダーゼ、及び/又はラッカーゼなどを含ませることもできる。
洗剤には、約1〜約65%の洗剤結合剤、又は錯化剤、例えば、ゼオライト、二リン酸塩、三リン酸塩、ホスホン酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、ニトロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTMPA)、アルキル−又はアルケニルコハク酸、可溶性ケイ酸塩又は層状ケイ酸塩(例えば、HoechstのSKS−6)を含有させてもよい。洗剤は無ビルダー系であってよく、即ち、洗剤ビルダーを本質的に不含有である。酵素は、酵素の安定性に適合性のある任意の組成物に使用することができる。酵素は、一般的に、既知の形態の封入により、例えば、造粒又はヒドロゲル中への隔離により、有害な成分から保護することができる。酵素、及び具体的にはデンプン結合ドメインを有する又は有さないアミラーゼを、洗濯及び食器洗い用途、表面クリーナー、並びにデンプン又はバイオマスからのエタノール生産用組成物を含む、多様な組成物に使用することができる。
洗剤は、1種類又は2種類以上のポリマーを含んでいてもよい。例としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリカルボキシラート、例えば、ポリアクリレート、マレイン酸/アクリル酸コポリマー類、及びラウリルメタクリレート/アクリル酸コポリマー類が挙げられる。
洗剤は、過ホウ酸塩又は過炭酸塩などのH源を含み得る漂白系を含有してもよく、この漂白系は、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)又はノナノイルオキシベンゼンスルホン酸塩(NOBS)などの過酸を形成する漂白活性剤と組み合わされてもよい。あるいは、漂白系は、ペルオキシ酸(例えば、アミド、イミド、又はスルホン型ペルオキシ酸)を含むものであってもよい。漂白系は、酵素系漂白系、例えば、国際公開第2005/056783号に記載されるものなどのペルヒドロラーゼであってもよい。
洗剤組成物の酵素は、従来の安定剤、例えば、プロピレングリコール又はグリセロールのようなポリオール;糖又は糖アルコール;乳酸;ホウ酸、又はホウ酸誘導体(例えば、芳香族ホウ酸エステル)を使用して安定化させてもよく、この組成物は、例えば、国際公開第92/19709号及び同第92/19708号に記載の通りに配合することができる。
洗剤には、他の従来の洗剤成分、例えば、クレイを含む布地コンディショナ、起泡促進剤、抑泡剤、防食剤、汚れ懸濁化剤、汚れ再付着防止剤、染料、殺菌剤、変色防止剤、光学的光沢剤、又は香料を含有させてもよい。
pH(使用濃度の水溶液で測定)は通常中性又はアルカリ性であり、例えば、pH約7.0〜約11.0である。
本発明のα−アミラーゼを含むための洗剤組成物の具体的な形態を以下に記載する。
7.2.重質液体(HDL)洗濯洗剤組成物
HDL洗濯洗剤組成物例には、アニオン性洗浄界面活性剤(線状又は分岐状又はランダム鎖、置換又は非置換アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアルコキシ化硫酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルホスホン酸塩、アルキルカルボン酸塩、及び/又はこれらの混合物からなる群から選択される)、及び場合により非イオン性界面活性剤(線状又は分岐状又はランダム鎖、置換又は非置換アルキルアルコキシ化アルコール、例えば、C〜C18アルキルエトキシ化アルコール及び/又はC〜C12アルキルフェノールアルコキシレートからなる群から選択される)を含有する洗浄界面活性剤(10%〜40% wt/wt)が含まれ、非イオン性洗浄界面活性剤に対するアニオン性洗浄界面活性剤(6.0〜9の親水性指数(HIc)を有する)の重量比は1:1超である。好適な洗浄性界面活性剤としてはまた、カチオン性洗浄性界面活性剤(アルキルピリジニウム化合物、アルキル四級アンモニウム化合物、アルキル四級ホスホニウム化合物、アルキル三級スルホニウム化合物、及び/又はこれらの混合物の群から選択される);双性イオン性及び/又は両性の洗浄性界面活性剤(アルカノールアミンスルホベタインの群から選択される);両性界面活性剤;半極性非イオン性界面活性剤及びこれらの混合物が挙げられる。
組成物には、任意追加的に、両親媒性アルコキシル化グリース洗浄ポリマー(0.05wt%〜10wt%の範囲内のアルコキシル化ポリアルキレンイミンのような分岐状親水性及び疎水性の特性を有するアルコキシル化ポリマーの群から選択される)及び/又はランダムグラフトポリマー(典型的には次を含む。不飽和C〜Cカルボン酸、エーテル、アルコール、アルデヒド、ケテン、エステル、糖単位、アルコキシ単位、無水マレイン酸、飽和ポリアルコール(グリセロールなど)、及びこれらの混合物からなる群から選択されるモノマーを含む親水性主鎖;並びに、C〜C25アルキル基、ポリプロピレン、ポリブチレン、飽和C〜Cモノカルボン酸のビニルエステル、アクリル酸又はメタクリル酸のC〜Cアルキルエステル、及びこれらの混合物からなる群から選択される疎水性側鎖)からなる界面活性増進ポリマーを含んでもよい。
組成物には、汚れ放出ポリマー(アニオン性末端保護ポリエステル、例えば、SRP1、ランダム又はブロック構成で、糖、ジカルボン酸、ポリオール及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのモノマー単位を含むポリマー、ランダム又はブロック構成のエチレンテレフタラート系ポリマー及びそれらのコポリマー、例えば、Repel−o−tex SF、SF−2及びSRP6、Texcare SRA100、SRA300、SRN100、SRN170、SRN240、SRN300及びSRN325、Marloquest SLを含む)、再付着防止ポリマー(分子量500〜100,000Daの範囲の、アクリル酸、マイレン酸(若しくはマレイン酸無水物)、フマル酸、イタコン酸、アコニット酸、メサコン酸、シトラコン酸、メチレンマロン酸、及びこれらの任意の混合物から選択される少なくとも1種のモノマーを含むポリマー、ビニルピロリドンホモポリマー、及び/又はポリエチレングリコールなどのカルボキシラートポリマーを0.1wt%〜10wt%含む)、セルロースポリマー(アルキルセルロース、アルキルアルコキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、アルキルカルボキシアルキルセルロース、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルカルボキシメチルセルロース、及びこれらの混合物など、から選択されるものを含む)、並びに高分子カルボキシラート(マレアート/アクリレートランダムコポリマー又はポリアクリレートホモポリマーなど)などの追加のポリマーを含有させることもできる。
組成物には、飽和又は不飽和脂肪酸、好ましくは飽和又は不飽和C12〜C24脂肪酸(0wt%〜10wt%)、付着助剤(例としては、多糖類、好ましくは、セルロースポリマー、ポリジアリールジメチルアンモニウムハロゲン化物(DADMAC)、及びランダム又はブロック構成の、DAD MACとビニルピロリドン、アクリルアミド、イミダゾール、イミダゾリニウムハロゲン化物、及びこれらの混合物とのコポリマー、カチオン性グアーガム、カチオン性セルロース、例えば、カチオン性ヒドロキシエチルセルロース、カチオン性デンプン、カチオン性ポリアシルアミド、及びこれらの混合物など、を更に含有させることもできる。
組成物には、更に移染防止剤、例えば、マンガンフタロシアニン、ペルオキシダーゼ、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN−オキシドポリマー、N−ビニルピロリドン及びN−ビニルイミダゾールのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドン及びポリビニルイミダゾール、及び/又はこれらの混合物、キレート剤、例えば、エチレン−ジアミン−四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMP)、ヒドロキシ−エタンジホスホン酸(HEDP)、エチレンジアミンN,N’−二コハク酸(EDDS)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、プロピレンジアミン四酢酸(PDTA)、2−ヒドロキシピリジン−N−オキシド(HPNO)、又はメチルグリシン二酢酸(MGDA)、グルタミン酸N,N二酢酸(N,N−ジカルボキシメチルグルタミン酸テトラナトリム塩(GLDA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、4,5−ジヒドロキシ−m−ベンゼンジスルホン酸、クエン酸及びそれらの塩、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)、N−ヒドロキシエチルイミノジ酢酸(HEIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、エチレンジアミンテトラプロピオン酸(EDTP)、及びこれらの誘導体、を含ませることもできる。
組成物は、好ましくは、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、コリンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ/オキシダーゼ、ペクタートリアーゼ、マンナナーゼ、クチナーゼ、ラッカーゼ、ホスホリパーゼ、リゾホスホリパーゼ、アシルトランスフェラーゼ、ペルヒドロラーゼ、アリールエステラーゼ、及びそれらの任意の混合物から選択される酵素(概して、約0.01wt%の活性酵素〜0.03wt%の活性酵素)を含んだ。組成物には酵素安定剤(例としては、プロピレングリコール若しくはグリセロールなどのポリオール類、糖若しくは糖アルコール、乳酸、可逆性プロテアーゼ阻害剤、ホウ酸、又は芳香族ホウ酸エステルなどのホウ酸誘導体、又は4−ホルミルフェニルボロン酸などのフェニルボロン酸誘導体が挙げられる)を含んでもよい。
組成物は、任意選択で、シリコーン又は脂肪酸系抑泡剤;色調(heuing)染料、カルシウム及びマグネシウムカチオン、視覚信号成分、消泡剤(0.001wt%〜約4.0wt%)、並びに/又は構造剤/増粘剤(0.01wt%〜5wt%、ジグリセリド及びトリグリセリド、エチレングリコールジステアラート、微結晶性セルロース、セルロース系材料、マイクロファイバーセルロース、バイオポリマー、キサンタンガム、ジェランガム、並びにそれらの混合物からなる群から選択されるもの)を含む。
前記組成物は、任意の液体状(例えば、液体状若しくはゲル状、又はこれらの任意の組み合わせなど)であってよい。組成物は、例えば、パウチなどの任意の単位投入形態であってよい。
7.3.重質乾燥/固体(HDD)洗濯洗剤組成物
例示的なHDD洗濯洗剤組成物は、アニオン性洗浄性界面活性剤(例えば、線状又は分岐状又はランダム鎖、置換又は非置換アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアルコキシ化硫酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルホスホン酸塩、アルキルカルボン酸塩、及び/又はこれらの混合物からなる群から選択される)、非イオン性界面活性剤(例えば、線状又は分岐状又はランダム鎖、置換又は非置換C〜C18アルキルエトキシラート、及び/又はC〜C12アルキルフェノールアルコキシレート)、カチオン性洗浄性界面活性剤(例えば、アルキルピリジニウム化合物、アルキル四級アンモニウム化合物、アルキル四級ホスホニウム化合物、アルキル三級スルホニウム化合物、及びこれらの混合物)、双性イオン性及び/又は両性の洗浄性界面活性剤(例えば、アルカノールアミンスルホベタイン)、両性界面活性剤、半極性非イオン性界面活性剤及びこれらの混合物を含有する洗浄性界面活性剤;リン酸塩フリーのビルダー(例えば、ゼオライトビルダー例は、0wt%〜10wt%未満の範囲内にゼオライトA、ゼオライトX、ゼオライトP及びゼオライトMAPを含む)、リン酸塩ビルダー(例えば、0wt%〜10wt%未満の範囲内のトリポリリン酸ナトリウム)、クエン酸、クエン酸塩及びニトリロ三酢酸、ケイ酸塩(例えば、0wt%〜10wt%未満の範囲内のケイ酸ナトリウム若しくはケイ酸カリウム又はメタケイ酸ナトリウム、又は層状ケイ酸塩(SKS−6))を含むビルダー;炭酸塩(例えば、0wt%〜80wt%未満の範囲内の炭酸ナトリウム及び/又は炭酸水素ナトリウム);並びに光漂泊剤(例えば、スルホン化亜鉛フタロシアニン、スルホン化アルミニウムフタロシアニン、キサンテン誘導体色素、及びこれらの混合物)疎水性若しくは親水性漂白活性剤(例えば、ドデカノイルオキシベンゼンスルホネート、デカノイルオキシベンゼンスルホネート、デカノイルオキシ安息香酸又はその塩、3,5,5−トリメチル(trimethy)ヘキサノイルオキシベンゼンスルホネート、テトラアセチルエチレンジアミン−TAED、ノナノイルオキシベンゼンスルホネート−NOBS、ニトリルクワット(nitrile quats)、及びこれらの混合物)、過酸化水素源(例えば、その無機過水和物塩例としては、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過硫酸塩、過リン酸塩、又は過ケイ酸塩のモノ又はテトラヒドレートナトリウム塩が挙げられる)、予備形成親水性及び/若しくは疎水性過酸(例えば、過カルボン酸及び塩、過炭酸及び塩、過イミド酸及び塩、ペルオキシ一硫酸及び塩、並びにこれらの混合物)、並びに/又は漂白触媒(例えば、イミン漂白促進剤(例として、イミニウムカチオン及びポリイオンが挙げられる)、イミニウム双性イオン、変性アミン、変性アミンオキシド、N−スルホニルイミン、N−ホスホニルイミン、N−アシルイミン、チアジアゾール二酸化物、ペルフルオロイミン、環状糖ケトン、及びこれらの混合物、並びに含金属漂白触媒(例えば、亜鉛又はアルミニウムなどの補助金属のカチオン、及びエチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸(メチレンホスホン酸)などの金属イオン封鎖剤と共に、銅、鉄、チタン、ルテニウム、タングステン、モリブデン、又はマンガンカチオン、及びこれらの水溶性塩)を含む漂白剤、を含む。
組成物は、好ましくは酵素、例えば、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、コリンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ/オキシダーゼ、ペクチン酸リアーゼ、マンナナーゼ、クチナーゼ、ラッカーゼ、ホスホリパーゼ,リゾホスホリパーゼ、アシル基転移酵素、ペルヒドロラーゼ、アリールエステラーゼ、及びこれらの任意の混合物を含む。
組成物には、任意追加的に、香料マイクロカプセル剤、デンプン封入香料調合物、色相剤、布地一体性及びカチオン性ポリマーを含む追加のポリマー、染料固定原材料、布地柔軟剤、光沢剤(例えば、C.I.蛍光光沢剤)、凝集剤、キレート化剤、アルコキシル化ポリアミン、布地付着助剤、及び/又はシクロデキストリンを含む追加の洗剤成分を含有させることもできる。
7.4.自動食器洗い(ADW)洗剤組成物
例示的なADW洗剤組成物は、0〜10重量%の量で存在するエトキシ化非イオン性界面活性剤、アルコールアルコキシル化界面活性剤、エポキシ末端処理ポリ(オキシアルキル化)アルコール、又はアミンオキシド界面活性剤を含む非イオン性界面活性剤;リン酸塩ビルダー(例えば、一リン酸塩、二リン酸塩、三リン酸塩、その他のオリゴマーリン酸塩、トリポリリン酸ナトリウム−STPP)及びリン酸塩フリーのビルダー(例えば、メチルグリシン二酢酸(MGDA)並びにこれらの塩及び誘導体、グルタミンN,N二酢酸(GLDA)並びにこれらの塩及び誘導体、イミノジコハク酸(IDS)並びにこれらの塩及び誘導体、カルボキシメチルイヌリン並びにこれらの塩及び誘導体、ニトリロ三酢酸(NTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、B−アラニン二酢酸(B−ADA)及びこれらの塩、ポリカルボン酸のホモポリマー及びコポリマー並びにこれらの部分的に又は完全に中和された塩、単量体ポリカルボン酸及びヒドロキシカルボン酸並びにこれらの塩を0.5重量%〜50重量%の範囲で含むアミノ酸系化合物を5〜60%の範囲で含むビルダー;寸法安定性をもたらすための約0.1重量%〜約50重量%の範囲のスルホン化/カルボキシル化ポリマー;約0.1重量%〜約10重量%の範囲の乾燥助剤(例えば、ポリエステル、特にアニオン性ポリエステル、任意追加的に3〜6個の官能基を有する更なるモノマー(官能基は、典型的には重縮合、ポリカーボネート−、ポリウレタン−及び/若しくはポリ尿素−ポリオルガノシロキサン化合物又はこれらの、特に反応性環状炭酸及び尿素タイプの前駆化合物、の助けとなる酸、アルコール、又はエステル官能基));約1重量%〜約20重量%の範囲のケイ酸塩(ケイ酸ナトリウム若しくはケイ酸カリウム(例えば二ケイ酸ナトリウム)、メタケイ酸ナトリウム、及び結晶性フィロケイ酸塩を含む);無機漂白剤(例えば、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過硫酸塩、及び過ケイ酸塩等の過水和物塩)及び有機漂白剤(例えば、ジアシル及びテトラアシルペルオキシドを含む有機ペルオキシ酸、特にジペルオキシドデカン二酸、ジペルオキシテトラデカン二酸、及びジペルオキシヘキサデカン二酸);漂白活性剤(即ち、約0.1重量%〜約10重量%の範囲の有機過酸前駆体);漂白触媒(例えば、マンガントリアザシクロノナン及び関連する錯体、Co、Cu、Mn、及びFeビスピリジルアミン及び関連する錯体、並びにペンタミジンアセテートコバルト(III)及び関連する錯体);約0.1重量%〜5重量%の範囲の金属ケア剤(例えば、ベンゾトリアゾール(benzatriazoles)、金属塩及び錯体、並びに/又はケイ酸塩);自動食器洗浄洗剤組成物1グラム当たり活性酵素約0.01〜5.0mgの範囲内の酵素(例えば、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、リンオキシダーゼ、ぺルオキシダーゼ/オキシダーゼ、ペクチン酸リアーゼ、マンナナーゼ、クチナーゼ、ラッカーゼ、ホスホリパーゼ、リゾホスホリパーゼ、アシル基転移酵素、ペルヒドロラーゼ、アリールエステラーゼ、及びこれらの混合物);及び酵素安定剤成分(例えば、オリゴ糖、ポリサッカライド、及び無機二価金属塩)を含む。
7.5.追加の洗剤組成物
本発明のアミラーゼを添加し得る、例示的な更なる洗剤処方を以下の番号を付した段落に記載する。
1)線状アルキルベンゼンスルホン酸塩(酸として計算)を約7%〜約12%含有する少なくとも600g/Lの嵩密度を有する顆粒として処方された洗剤組成物;アルコールエトキシ硫酸塩(例えば、C12〜18アルコール、1〜2エチレンオキシド(EO))又はアルキル硫酸塩(例えば、C16〜18)約1%〜約4%;アルコールエトキシレート(例えば、C14〜15アルコール、7EO)約5%〜約9%;炭酸ナトリウム(例えば、NaCO)約14%〜約20%;可溶性ケイ酸塩(例えば、NaO、2SiO)約2〜約6%;ゼオライト(例えば、NaA1SiO)約15%〜約22%;硫酸ナトリウム(例えば、NaSO)0%〜約6%;クエン酸ナトリウム/クエン酸(例えば、CNa/C)約0%〜約15%;過ホウ酸ナトリウム(例えば、NaBOO)約11%〜約18%;TAED約2%〜約6%;カルボキシメチルセルロース(CMC)及び0%〜約2%;ポリマー(例えば、マレイン酸/アクリル酸、コポリマー、PVP、PEG)0〜3%;酵素(酵素純分として計算)0.0001〜0.1%タンパク質;及び微量成分(例えば、抑泡剤、香料、蛍光増白剤、光漂白剤)0〜5%。
2)線状アルキルベンゼンスルホン酸塩(酸として計算)を約6%〜約11%含有する少なくとも600g/Lの嵩密度を有する顆粒として処方された洗剤組成物;アルコールエトキシ硫酸塩(例えば、C12〜18アルコール、1〜2EO)又はアルキル硫酸塩(例えば、C16〜18)約1%〜約3%;アルコールエトキシレート(例えば、C14〜15アルコール、7EO)約5%〜約9%;炭酸ナトリウム(例えば、NaCO)約15%〜約21%;可溶性ケイ酸塩(例えば、NaO、2SiO)約1%〜約4%;ゼオライト(例えば、NaA1SiO)約24%〜約34%;硫酸ナトリウム(例えば、NaSO)約4%〜約10%;クエン酸ナトリウム/クエン酸(例えば、CNa/C)0%〜約15%;カルボキシメチルセルロース(CMC)0%〜約2%;ポリマー(例えば、マレイン酸/アクリル酸コポリマー、PVP、PEG)1〜6%;酵素(酵素タンパク質純分として計算)0.0001〜0.1%;微量成分(例えば、抑泡剤、香料)0〜5%。
3)線状アルキルベンゼンスルホン酸塩(酸として計算)を約5%〜約9%含有する少なくとも600g/Lの嵩密度を有する顆粒として処方された洗剤組成物;アルコールエトキシレート(例えば、C12〜15アルコール、7EO)約7%〜約14%;脂肪酸として石鹸(例えば、C16〜22脂肪酸)約1%〜約3%;炭酸ナトリウム(NaCOとして)約10%〜約17%;可溶性ケイ酸塩(例えば、NaO、2SiO)約3%〜約9%;ゼオライト(NaA1SiOとして)約23%〜約33%;硫酸ナトリウム(例えば、NaSO)0%〜約4%;過ホウ酸ナトリウム(例えば、NaBOO)約8%〜約16%;TAED約2%〜約8%;ホスホン酸塩(例えば、EDTMPA)0%〜約1%;カルボキシメチルセルロース(CMC)0%〜約2%;ポリマー(例えば、マレイン酸/アクリル酸コポリマー、PVP、PEG)0〜3%;酵素(酵素タンパク質純分として計算)0.0001〜0.1%;微量成分(例えば、抑泡剤、香料、蛍光増白剤)0〜5%。
4)線状アルキルベンゼンスルホン酸塩(酸として計算)を約8%〜約12%含有する少なくとも600g/Lの嵩密度を有する顆粒として処方された洗剤組成物;アルコールエトキシレート(例えば、C12〜15アルコール、7EO)約10%〜約25%;炭酸ナトリウム(NaCOとして)約14%〜約22%;可溶性ケイ酸塩(例えば、NaO、2SiO)約1%〜約5%;ゼオライト(例えば、NaA1SiO)約25%〜約35%;硫酸ナトリウム(例えば、NaSO)0%〜約10%;カルボキシメチルセルロース(CMC)0%〜約2%;ポリマー(例えば、マレイン酸/アクリル酸コポリマー、PVP、PEG)1〜3%;酵素(酵素タンパク質純分として計算)0.0001〜0.1%;及び微量成分(例えば、抑泡剤、香料)0〜5%。
5)線状アルキルベンゼンスルホン酸塩(酸として計算)を約15%〜約21%含有する水性液体洗剤組成物;アルコールエトキシレート(例えば、C12〜15アルコール、7EO又はC12〜15アルコール、5EO)約12%〜約18%;脂肪酸として石鹸(例えば、オレイン酸)約3%〜約13%;アルケニルコハク酸(C12〜14)0%〜約13%;アミノエタノール約8%〜約18%;クエン酸約2%〜約8%;ホスホン酸塩0%〜約3%;ポリマー(例えば、PVP、PEG)0%〜約3%;ホウ酸塩(例えば、B)0%〜約2%;エタノール0%〜約3%;プロピレングリコール約8%〜約14%;酵素(酵素タンパク質純分として計算)0.0001〜0.1%;及び微量成分(例えば、分散剤、抑泡剤、香料、蛍光増白剤)0〜5%。
6)線状アルキルベンゼンスルホン酸塩(酸として計算)を約15%〜約21%含有する水性構造液体洗剤組成物;アルコールエトキシレート(例えば、C12〜15アルコール、7EO、又はC12〜15アルコール、5EO)3〜9%;脂肪酸として石鹸(例えば、オレイン酸)約3%〜約10%;ゼオライト(NaA1SiOとして)約14%〜約22%;クエン酸カリウム約9%〜約18%;ホウ酸塩(例えば、B)0%〜約2%;カルボキシメチルセルロース(CMC)0%〜約2%;ポリマー(例えば、PEG、PVP)0%〜約3%;アンカーリングポリマー、例えば、ラウリルメタクリレート/アクリル酸コポリマーなど;モル比25:1、MW3800)0%〜約3%;グリセロール0%〜約5%;酵素(酵素タンパク質純分として計算)0.0001〜0.1%;及び微量成分(例えば、分散剤、抑泡剤、香料、蛍光増白剤)0〜5%。
7)脂肪酸アルコール硫酸塩を約5%〜約10%含有する少なくとも600g/Lの嵩密度を有する顆粒として処方された洗剤組成物;エトキシ化脂肪酸モノエタノールアミド約3%〜約9%;脂肪酸として石鹸0〜3%;炭酸ナトリウム(例えば、NaCO)約5%〜約10%;可溶性ケイ酸塩(例えば、NaO、2SiO)約1%〜約4%;ゼオライト(例えば、NaA1SiO)約20%〜約40%;硫酸ナトリウム(例えば、NaSO)約2%〜約8%;過ホウ酸ナトリウム(例えば、NaBOO)約12%〜約18%;TAED約2%〜約7%;ポリマー(例えば、マレイン酸/アクリル酸コポリマー、PEG)約1%〜約5%;酵素(酵素タンパク質純分として計算)0.0001〜0.1%;及び微量成分(例えば、蛍光増白剤、抑泡剤、香料)0〜5%。
8)線状アルキルベンゼンスルホン酸塩(酸として計算)を約8%〜約14%含有する顆粒として処方された洗剤組成物;エトキシ化脂肪酸モノエタノールアミド約5%〜約11%;脂肪酸として石鹸0%〜約3%;炭酸ナトリウム(例えば、NaCO)約4%〜約10%;可溶性ケイ酸塩(NaO、2SiO)約1%〜約4%;ゼオライト(例えば、NaA1SiO)約30%〜約50%;硫酸ナトリウム(例えば、NaSO)約3%〜約11%;クエン酸ナトリウム(例えば、CNa)約5%〜約12%;ポリマー(例えば、PVP、マレイン酸/アクリル酸コポリマー、PEG)約1%〜約5%;酵素(酵素タンパク質純分として計算)0.0001〜0.1%;及び微量成分(例えば、抑泡剤、香料)0〜5%。
9)線状アルキルベンゼンスルホン酸塩(酸として計算)を約6%〜約12%含有する顆粒として処方された洗剤組成物;非イオン性界面活性剤約1%〜約4%;脂肪酸として石鹸約2%〜約6%;炭酸ナトリウム(例えば、NaCO)約14%〜約22%;ゼオライト(例えば、NaA1SiO)約18%〜約32%;硫酸ナトリウム(例えば、NaSO)約5%〜約20%;クエン酸ナトリウム(例えば、CNa)約3%〜約8%;過ホウ酸ナトリウム(例えば、NaBOO)約4%〜約9%;漂白活性剤(例えば、NOBS又はTAED)約1%〜約5%;カルボキシメチルセルロース(CMC)0%〜約2%;ポリマー(例えば、ポリカルボキシレート又はPEG)約1%〜約5%;酵素(酵素タンパク質純分として計算)0.0001〜0.1%;及び微量成分(例えば、蛍光増白剤、香料)0〜5%。
10)線状アルキルベンゼンスルホン酸塩(酸として計算)を約15%〜約23%含有する水性液体洗剤組成物;アルコールエトキシ硫酸塩(例えば、C12〜15アルコール、2〜3EO)約8%〜約15%;アルコールエトキシレート(例えば、C12〜15アルコール、7EO又はC12〜15アルコール、5EO)約3%〜約9%;脂肪酸として石鹸(例えば、ラウリン酸)0%〜約3%;アミノエタノール約1%〜約5%;クエン酸ナトリウム約5%〜約10%;ヒドロトロープ(例えば、トルエンスルホン酸ナトリウム(sodium toluensulfonate))約2%〜約6%;ホウ酸塩(例えば、B)0%〜約2%;カルボキシメチルセルロース0%〜約1%;エタノール約1%〜約3%;プロピレングリコール約2%〜約5%;酵素(酵素タンパク質純分として計算)0.0001〜0.1%;及び微量成分(例えば、ポリマー、分散剤、香料、蛍光増白剤)0〜5%。
11)線状アルキルベンゼンスルホン酸塩(酸として計算)を約20%〜約32%含有する水性液体洗剤組成物;アルコールエトキシレート(例えば、C12〜15アルコール、7EO、又はC12〜15アルコール、5EO)6〜12%;アミノエタノール約2%〜約6%;クエン酸約8%〜約14%;ホウ酸塩(例えば、B)約1%〜約3%;ポリマー(例えば、マレイン酸/アクリル酸コポリマー、例えば、ラウリルメタクリレート/アクリル酸コポリマーなどのアンカーリングポリマー)0%〜約3%;グリセロール約3%〜約8%;酵素(酵素タンパク質純分として計算)0.0001〜0.1%;及び微量成分(例えば、ヒドロトロープ、分散剤、香料、蛍光増白剤)0〜5%。
12)アニオン性界面活性剤(線状アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸メチルエステル、アルカンスルホン酸塩、石鹸)を約25%〜約40%含有する少なくとも600g/Lの嵩密度を有する顆粒として処方された洗剤組成物;非イオン性界面活性剤(例えば、アルコールエトキシレート)約1%〜約10%;炭酸ナトリウム(例えば、NaCO)約8%〜約25%;可溶性ケイ酸塩(例えば、NaO、2SiO)約5%〜約15%;硫酸ナトリウム(例えば、NaSO)0%〜約5%;ゼオライト(NaA1SiO)約15%〜約28%;過ホウ酸ナトリウム(例えば、NaBO・4HO)0%〜約20%;漂白活性剤(TAED又はNOBS)約0%〜約5%;酵素(酵素タンパク質純分として計算)0.0001〜0.1%;微量成分(例えば、香料、蛍光増白剤)0〜3%。
13)上記組成物1)〜12)に記載の通りの洗剤組成物であって、線状アルキルベンゼンスルホン酸塩の全て又は一部が(C12〜C18)アルキル硫酸塩により置き換えられている組成物。
14)(C12〜C18)アルキル硫酸塩を約9%〜約15%含有する少なくとも600g/Lの嵩密度を有する顆粒として処方された洗剤組成物;アルコールエトキシレート約3%〜約6%;ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミド約1%〜約5%;ゼオライト(例えば、NaA1SiO)約10%〜約20%;層状二ケイ酸塩(例えば、Hoechst製のSK56)約10%〜約20%;炭酸ナトリウム(例えば、NaCO)約3%〜約12%;可溶性ケイ酸塩(例えば、NaO、2SiO)0%〜約6%;クエン酸ナトリウム約5%〜約8%;過炭酸ナトリウム約13%〜約22%;TAED約3%〜約8%;ポリマー(例えば、ポリカルボキシレート及びPVP)0%〜約5%;酵素(酵素タンパク質純分として計算)0.0001〜0.1%;及び微量成分(例えば、蛍光増白剤、光漂白剤、香料、抑泡剤)0〜5%。
15)(C12〜C18)アルキル硫酸塩を約4%〜約8%含有する少なくとも600g/Lの嵩密度を有する顆粒として処方された洗剤組成物;アルコールエトキシレート約11%〜約15%;石鹸約1%〜約4%;ゼオライトMAP又はゼオライトA約35%〜約45%;炭酸ナトリウム(NaCOとして)約2%〜約8%;可溶性ケイ酸塩(例えば、NaO、2SiO)0%〜約4%;過炭酸ナトリウム約13%〜約22%;TAED1〜8%;カルボキシメチルセルロース(CMC)0%〜約3%;ポリマー(例えば、ポリカルボキシレート及びPVP)0%〜約3%;酵素(酵素タンパク質純分として計算)0.0001〜0.1%;及び微量成分(例えば、蛍光増白剤、ホスホン酸塩、香料)0〜3%。
16)追加の成分として、又は、既に示された漂白剤系の代替としてのいずれかとして、安定化された又はカプセル化された過酸を含有する、上記1)〜15)で記載した、洗剤処方。
17)上記1)、3)、7)、9)、及び12)に記載される通りの洗剤組成物であって、過ホウ酸塩が過炭酸塩により置き換えられている、組成物。
18)上記1)、3)、7)、9)、12)、14)、及び15)に記載される通りの洗剤組成物であって、マンガン触媒を更に含有する、組成物。マンガン触媒は、例えば、「Efficient manganese catalysts for low−temperature bleaching」、Nature 369:637〜639(1994)に記載された化合物のうちの1種類である。
19)例えば、線状アルコキシル化一級アルコールなどの液体非イオン性界面活性剤、ビルダー系(例えば、リン酸)、酵素(複数種類可)、及びアルカリを含む非水性洗剤液体として処方された洗剤組成物。洗剤には、アニオン性界面活性剤及び/又は漂白系を含ませることもできる。
上記の通り、本発明のアミラーゼポリペプチドは、従来洗剤において採用されていた濃度で組み込むことができる。本発明では、洗剤組成物中に、酵素が、(酵素タンパク質純分として計算して)洗浄液1リットル当たり、0.00001〜1.0mgのアミラーゼポリペプチドに相当する量で添加され得ることが想定されている。
また、洗剤組成物は、例えば、解膠剤物質、充填材、泡抑制剤、防食剤、汚れ懸濁化剤、金属イオン封鎖剤、再付着防止剤、脱水剤、染料、殺菌剤、蛍光剤、増粘剤、及び香料などの、他の従来の洗剤成分を含有してもよい。
洗剤化合物は、汚れの付着した布地の前処理に好適な洗濯添加組成物、及びすすぎ時添加用の布地柔軟剤組成物を含む、手洗い(手作業)用若しくは機械洗い(自動)用の洗濯用洗剤組成物として処方されてもよく、又は一般家庭用の硬質表面の洗浄操作に使用する洗浄組成物として処方されてもよく、又は手作業による若しくは自動での食器洗浄操作用に処方されてもよい。
本明細書に記載した、任意の洗浄用組成物は、任意の数の追加の酵素を含んでもよい。一般的には、酵素(複数種類可)は選択された洗剤と適合する必要があり(例えば、至適pHに関して、その他の酵素及び非酵素成分と適合するなど)、並びに酵素(複数種類可)は有効な量で存在する必要がある。次の酵素が例として提供される。
プロテアーゼ:好適なプロテアーゼとしては、動物、野菜又は微生物起源のものが挙げられる。化学修飾した突然変異体又はタンパク質を遺伝子操作した突然変異体、並びに自然界で生成されたタンパク質が含まれる。プロテアーゼは、セリンプロテアーゼ又はメタロプロテアーゼ、アルカリ性微生物プロテアーゼ、トリプシン様プロテアーゼ、又はキモトリプシン様プロテアーゼであってよい。アルカリプロテアーゼの例としては、スブチリシン、特に、バチルス(Bacillus)に由来するもの、例えば、スブチリシンNovo、スブチリシンCarlsberg、スブチリシン309、スブチリシン147、及びスブチリシン168(例えば、国際公開第89/06279号を参照されたい)がある。トリプシン様プロテアーゼの例としては、トリプシン(例えば、ブタ又はウシ起源のもの)、及びフザリウム(Fusarium)プロテアーゼ(例えば、国際公開第89/06270号及び同第94/25583号を参照されたい)がある。また、有用なプロテアーゼの例としては、国際公開第92/19729号、同第98/20115号、同第98/20116号及び同第98/34946号に記載の変異体も挙げられるが、これらに限定されない。市販のプロテアーゼ酵素としては、ALCALASE(登録商標)、SAVINASE(登録商標)、PRIMASE(商標)、DURALASE(商標)、ESPERASE(登録商標)、KANNASE(商標)、及びBLAZE(商標)(Novo Nordisk A/S and Novozymes A/S);MAXATASE(登録商標)、MAXACAL(商標)、MAXAPEM(商標)、PROPERASE(登録商標)、PURAFECT(登録商標)、PURAFECT OXP(商標)、FN2(商標)、及びFN3(商標)(Danisco US Inc.)が挙げられるがこれらに限定されない。その他のプロテアーゼ例としては、バチルス・アミロリキファシエンス(Bacillus amyloliquifaciens)由来のNprE、及びセルロモナス種(Cellulomonas sp.)株69B4由来のASPが挙げられる。
リパーゼ:好適なリパーゼとしては、細菌又は真菌由来のものが挙げられる。化学修飾した突然変異体、タンパク質分解的に修飾した突然変異体又はタンパク質を遺伝子操作した突然変異体が含まれる。有用なリパーゼの例としては、フミコーラ(Humicola)(別名サーモミセス(Thermomyces))由来のリパーゼ、例えば、H.ラヌギノサ(H. lanuginosa)(T.ラヌギノサ(T. lanuginosus))由来(例えば、欧州特許第258068号及び同第305216号を参照されたい)、H.インソレンス(H. insolens)由来(例えば、国際公開第96/13580号を参照されたい)など;シュードモナス(Pseudomonas)リパーゼ(例えば、P.アルカリゲネス(P. alcaligenes)又はP.シュードアルカリゲネス(P. pseudoalcaligenes)由来、例えば、欧州特許第218272号を参照されたい)、P.セパシア(P. cepacia)(例えば、欧州特許第331376号を参照されたい)、P.スタットゼリ(P. stutzeri)(例えば、英国特許第1,372,034号を参照されたい)、P.フルオレセンス(P. fluorescens)、シュードモナス種(Pseudomonas sp.)株SD 705(例えば、国際公開第95/06720号及び同第96/27002号を参照されたい)、P.ウィスコンシネンシス(P. wisconsinensis)(例えば、国際公開第96/12012号を参照されたい);バチルス(Bacillus)リパーゼ(例えば、B.ズブチリス(B. subtilis)由来、例えば、Dartois et al.Biochemica et Biophysica Acta,1131:253〜360(1993)を参照されたい)、B.ステアロサーモフィルス(B. stearothermophilus)(例えば、特開昭64/744992号を参照されたい)、又はB.プミルス(B. pumilus)(例えば,国際公開第91/16422号を参照されたい)が挙げられるがこれらに限定されない。処方物での使用が想定されている追加のリパーゼ変異体としては、例えば、国際公開第92/05249号、同第94/01541号、同第95/35381号、同第96/00292号、同第95/30744号、同第94/25578号、同第95/14783号、同第95/22615号、同第97/04079号、同第97/07202号、欧州特許第407225号、及び同第260105号に記載されているものが挙げられる。いくつかの市販のリパーゼ酵素としては、LIPOLASE(登録商標)及びLIPOLASE ULTRA(商標)(Novo Nordisk A/S及びNovozymes A/S)が挙げられる。
ポリエステラーゼ:好適なポリエステラーゼは、例えば、国際公開第01/34899号、同第01/14629号、及び米国特許第6933140号に記載されているものなどの組成物に含まれ得る。
アミラーゼ:組成物は、非生産増強性のアミラーゼなどの他のアミラーゼと組み合わせることもできる。これらのアミラーゼは、STAINZYME(登録商標)、NATALASE(登録商標)、Duramyl(登録商標)、Termamyl(登録商標)、Fungamyl(登録商標)、及びBAN(商標)(Novo Nordisk A/S及びNovozymes A/S);Rapidase(登録商標)、POWERASE(登録商標)、及びPurastar(登録商標)(Danisco US Inc.社製)などの市販のアミラーゼが挙げられるが、これらに限定されない。
セルラーゼ:セルラーゼを組成物に加えることができる。好適なセルラーゼとしては、細菌又は真菌起源のものが挙げられる。化学修飾した突然変異体又はタンパク質を遺伝子操作した突然変異体が含まれる。好適なセルラーゼとしては、バチルス(Bacillus)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、フミコーラ(Humicola)属、フザリウム(Fusarium)属、チエラビア(Thielavia)属、アクレモニウム(Acremonium)属由来のセルラーゼ、例えば、米国特許第4,435,307号、同第5,648,263号、同第5,691,178号、同第5,776,757号、及び国際公開第89/09259号などに開示される、フミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)、ミセリオフトラ・テルモフィラ(Myceliophthora thermophila)及びフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)から産生される真菌セルラーゼが挙げられる。使用が想定されている代表的なセルラーゼは、織物に対し有益な色彩ケア効果を有するものである。このようなセルラーゼの例としては、例えば、欧州特許第0495257号、同第0531372号、国際公開第96/11262号、同第96/29397号、及び同第98/08940号に記載されたセルラーゼが挙げられる。その他の例は、セルラーゼ変異体であり、例えば、国際公開第94/07998号、同第98/12307号、同第95/24471号、国際出願PCT/DK98/00299号、欧州特許第531315号、米国特許第5,457,046号、同第5,686,593号、及び同第5,763,254号に記載のものなどである。市販のセルラーゼとしては、CELLUZYME(登録商標)及びCAREZYME(登録商標)(Novo Nordisk A/S及びNovozymes A/S);CLAZINASE(登録商標)及びPURADAX HA(登録商標)(Danisco US Inc.);並びにKAC−500(B)(商標)(Kao Corporation)が挙げられる。
ペルオキシダーゼ/オキシダーゼ:組成物において使用が想定されている好適なペルオキシダーゼ/オキシダーゼには、植物、細菌又は真菌起源のものが含まれる。化学修飾した突然変異体又はタンパク質を遺伝子操作した突然変異体が含まれる。有用なペルオキシダーゼの例としては、国際公開第93/24618号、同第95/10602号、及び同第98/15257号に記載される、コプリナス(Coprinus)由来、例えば、コプリナス・シネレウス(C. cinereus)由来のペルオキシダーゼ、及びその変異体が挙げられる。市販のペルオキシダーゼとしては、例えば、GUARDZYME(商標)(Novo Nordisk A/S及びNovozymes A/S)が挙げられる。
洗剤組成物には、2,6−β−D−フルクタン加水分解酵素を含ませてもよく、これは、本発明の家庭用及び/又は工業用織物/洗濯物上に存在するバイオフィルムの除去/洗浄に有効である。
洗剤酵素(複数種類可)は、1種類又は2種類以上の酵素を含有する別個の添加剤を加えることにより、又はこれらの酵素のすべてを含む組み合わせた添加剤を加えることにより、洗剤組成物に含有させることもできる。洗剤添加剤、即ち、別個の添加剤又は組み合わせた添加剤は、例えば、顆粒剤、液体、及びスラリーなどとして処方することができる。代表的な洗剤添加剤の処方物としては、顆粒、特に無発塵顆粒、液体、特に安定化された液体又はスラリーが挙げられるがこれらに限定されない。
無発塵顆粒は、例えば、米国特許第4,106,991号及び同第4,661,452号に開示されているように生産されてもよいし、任意選択で、当該技術分野において既知の方法により、コーティングされてもよい。ワキシーコーティング材料の例は、1,000〜20,000の平均モル重量を有するポリ(エチレンオキシド)製品(例えば、ポリエチレングリコール、PEG);16〜50個のエチレンオキシド単位を有するエトキシ化ノニルフェノール;アルコールが12〜20個の炭素原子を含み、15〜80個のエチレンオキシド単位が存在するエトキシ化脂肪族アルコール;脂肪族アルコール;脂肪酸;並びに脂肪酸のモノ−及びジ−及びトリグリセリドである。流動層技術による適用に好適なフィルム形成コーティング材料の例は、例えば、英国特許第1483591号において与えられる。液体酵素調製物は、例えば、確立された方法に従い、ポリオール(プロピレングリコールなど)、糖又は糖アルコール、乳酸又はホウ酸を添加することにより、安定化させてもよい。保護酵素は、欧州特許第238216号に開示される方法に従って調製することができる。
洗剤組成物は、任意の便利な形態であってよく、例えば、バー、錠剤、粉末、顆粒剤、ペースト、又は液体であってよい。液体洗剤は、水性であってもよく、典型的には、最大約70%の水と0〜約30%の有機溶媒を含有してもよい。約30%以下の水を含有するコンパクト洗剤ジェルも想到される。洗剤組成物には、所望により1種類又は2種類以上の界面活性剤を含ませることができ、界面活性剤は、半極性などの非イオン性及び/又はアニオン性及び/又はカチオン性及び/又は双極性であってよい。界面活性剤は、約0.1重量%〜約60%重量%の広範な範囲で存在することができる。
含有させる際、洗剤には、典型的には、約1%〜約40%でアニオン性界面活性剤、例えば、線状アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩(脂肪酸アルコール硫酸塩)、アルコールエトキシ硫酸塩、第ニ級アルカンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸メチルエステル、アルキル又はアルケニルコハク酸、又は石鹸などを含有させる。
含有させる際、洗剤には、通常、約0.2%〜約40%で非イオン性界面活性剤、例えば、アルコールエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、アルキルポリグリコシド、アルキルジメチルアミンオキシド、エトキシ化脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸モノエタノールアミド、ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミド、又はグルコサミンのN−アシル−N−アルキル誘導体(「グルカミド」)を含有させる。
洗剤には、0〜約65%洗剤ビルダー、又は錯化剤、例えば、ゼオライト、二リン酸塩、三リン酸塩、ホスホン酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、ニトロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸、アルキル−又はアルケニルコハク酸、可溶性ケイ酸塩又は層状ケイ酸塩(例えば、HoechstのSKS−6)を含有させてもよい。
洗剤は、1種類又は2種類以上のポリマーを含んでいてもよい。ポリマー例としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(ビニルピリジン−N−オキシド)、ポリ(ビニルイミダゾール)、ポリカルボキシレート、例えば、ポリアクリレート、マレイン酸/アクリル酸コポリマー類)、及びラウリルメタクリレート/アクリル酸コポリマー類が挙げられる。
洗剤組成物の酵素(複数種類可)は、従来の安定化剤、例えば、ポリオール(例えば、プロピレングリコール又はグリセロール)、糖又は糖アルコール、乳酸、ホウ酸、又はホウ酸誘導体(例えば、芳香族ホウ酸エステル)、又はフェニルボロン酸誘導体(例えば、4−ホルミルフェニルボロン酸)を使用し安定化することもできる。組成物は、国際公開第92/19709号、及び同第92/19708号に記載されているように処方されてもよい。
洗剤組成物には、特に酵素変異体を、洗浄液1L当たり酵素タンパク質約0.01〜約100mgに相当する量で加えることができるものと想到される(例えば、洗浄液1L当たり約0.05〜約5.0mgの酵素タンパク質、又は洗浄液1L当たり0.1〜約1.0mgの酵素タンパク質)。
更に、本発明のアミラーゼを添加し得る、例示的な更なる洗剤処方が、例えば、国際公開第2010065455号、同第2011072099号、同第2011130222号、同第2011140364号、同第2011156297号、同第2011156298号、同第2011130076号、同第2011133381号、同第2011156297号、同第2011156298号、欧州特許第1794295(B1)号、米国特許第20110195481号、同第20110212876号、同第20110257063号、国際公開第2010039958号、同第2011072117号、同第2011098531号、同第2011100410号、同第2011130076号、同第2011133381号、同第2011140316号、米国特許第20070215184号、同第20070251545号、同第20090075857号、同第20090137444号、同第20090143271号、同第20100011513号、同第20100093588号、同第20110201536号、同第20110232004号、同第20110237482号、同第20110312868号、同第20120003326号、同第20120004155号、国際公開第2011131585号、欧州特許第707628(B1)号、米国特許第5719115号、欧州特許第736084(B1)号、米国特許第5783545号、欧州特許第767830(B1)号、米国特許第5972668号、欧州特許第746599(B1)号、米国特許第5798328号、欧州特許第662117(B1)号、米国特許第5898025号、同第6380140号、欧州特許第898613(B1)号、米国特許第3975280号、米国特許第6191092号、同第6329333号、同第6530386号、欧州特許第1307547(B1)号、米国特許第7153818号、欧州特許第1421169(B1)号、米国特許第6979669号、欧州特許第1529101(B1)号、米国特許第7375070号、欧州特許第1385943(B1)号、米国特許第7888104号、欧州特許第1414977(B1)号、米国特許第5855625号、欧州特許第1921147(B1)号、同第1921148(B1)号、同第701605(B1)号、同第1633469(B1)号、同第1633470(B1)号、同第1794293(B1)号、同第171007(B1)号、米国特許第4692260号、同第7569226号、欧州特許第1165737(B1)号、米国特許第6391838号、同第6060441号、同第2009017074号、同第7320887号、欧州特許第1737952(B1)号、米国特許第7691618号、同第20070256251号、同第20050261156号、同第20050261158号、同第20100234267号、同第20110136720号、同第20110201536号、同第7811076号、同第5929017号、同第5156773号、欧州特許第2343310(A1)号、国際公開第2011083114号、欧州特許第214761(B1)号、米国特許第4876024号、欧州特許第675944(B1)号、米国特許第5763383号、欧州特許第517761(B1)号、米国特許第6624129号、欧州特許第1054956(B1)号、米国特許第6939702号、同第6964944号、欧州特許第832174(B1)号、米国特許第20060205628号、同第20070179076号、同第20080023031号、同第20110015110号、同第20110028372号、同第4973417号、同第5447649号、同第5840677号、同第5965503号、同第5972873号、同第5998344号、同第6071356号、国際公開第9009428号、欧州特許第1661978(A1)号、同第1698689(A1)号、同第1726636(A1)号、同第1867707(A1)号、同第1876226(A1)号、同第1876227(A1)号、同第0205208(A2)号、同第0206390(A2)号、同第0271152号、同第0271154号、同第0341999号、同第0346136号、同第2135934号、米国特許第20120208734号、国際公開第2011127102号、同第2012142087号、同第2012145062号、欧州特許第1790713(B1)号、米国特許第8066818(B2)号、同第8163686(B2)号、同第8283300(B2)号、同第8354366(B2)号、同第20120125374号、同第3929678号、及び同第5898025号に記載されている。
7.6.洗剤組成物中のアミラーゼ活性を評価する方法
布片及び微小布片アッセイを含む、数多くのα−アミラーゼ洗浄アッセイが当該技術分野において既知である。添付の実施例は、このようなアッセイをほんのわずかに記載する。
本組成物及び方法、並びにそれらの利点を更に例示するために、後述の具体的な実施例が、これらの実施例が限定的なものではなく例示的なものであるとの理解の下に提供される。
8.醸造組成物
本発明のα−アミラーゼは、醸造(即ち、発酵麦芽飲料の製造)のプロセスにおいて使用される醸造用組成物の成分であってもよい。非発酵性炭水化物は、最終的なビールにおいて溶解した固形物の大半を占める。この残留物は、麦芽のアミラーゼが、デンプンのアルファ−1,6−結合を加水分解できないために、残留する。非発酵性炭水化物は、ビール0.35L(12オンス)当たり、約50カロリーとなる。アミラーゼは、グルコアミラーゼ、並びに任意選択で、プルラナーゼ、及び/又はイソアミラーゼと組み合わされて、デンプンをデキストリン及び発酵性の糖へと変換することを助け、最終的なビール中の残余非発酵性炭水化物を減らす。
これらの飲料の製造に使用される主要な原材料は、水、ホップ、及び麦芽である。加えて、一般的なコーングリッツ、精製コーングリッツ、醸造者により粉砕された酵母、米、ソルガム、精製コーンデンプン、大麦、大麦デンプン、脱穀された大麦、小麦、小麦デンプン、炒って加熱処理された穀草、穀草フレーク、ライ麦、オーツ麦、ジャガイモ、タピオカ、及びシロップ、例えばトウモロコシシロップ、サトウキビシロップ、反転型糖シロップ、大麦及び/又は小麦シロップ、及び同様物、などの添加剤をデンプン源として使用することもできる。
多くの理由から、選ばれた種類の大麦から主に生産される麦芽が、ビールの全体的な特徴及び品質に最も大きな影響を及ぼす。第1に、麦芽は、ビールの主要な香味剤である。第2に、麦芽は発酵性糖の大部分を提供する。第3に、麦芽は、ビールのコクと泡の特性に寄与するタンパク質を提供する。第4に、麦芽はマッシュ中に必要な酵素活性を提供する。また、ホップは、風味などのビール品質に大きく寄与する。具体的には、ホップ(又はホップ成分)は、ビールに所望の苦味物質を加える。加えて、ホップはタンパク質沈殿剤として作用し、防腐剤となり、泡の形成及び安定化を補助する。
穀物、例えば、大麦、オーツ麦、小麦、並びに植物成分、例えば、トウモロコシ、ホップ、及び米も、工業用及び家庭用醸造の両方の醸造に使用される。醸造に使用される成分は、麦芽生成されていなくてもよく、あるいは麦芽生成されていてよく、即ち、部分的に発芽させ、結果として、α−アミラーゼを含む酵素濃度を上昇させることもできる。醸造の成功のためには、発酵のための適切な糖濃度を確保するために、適切なレベルのα−アミラーゼ酵素活性が必要である。したがって、アミラーゼを単独で、又は他のα−アミラーゼ(複数種類可)と組み合わせて、醸造に使用される成分に添加してよい。
本明細書で使用するとき、用語「ストック」とは、砕いた又は潰した穀類及び植物成分を意味する。例えば、ビールの生産に使用される大麦は、発酵用マッシュの生産に適切な稠度を得るため、粗く磨砕し又は破砕した穀粒である。本明細書で使用するとき、用語「ストック」は、破砕又は粗く摩砕された形態の、前述の任意の種類の植物又は穀物を含む。本明細書に記載する方法を使用して、穀粉及びストックの両方におけるα−アミラーゼ活性レベルを測定することができる。
ビールの製造プロセスは当該技術分野において周知である。例えば、Wolfgang Kunze(2004)「Technology Brewing and Malting」、Research and Teaching Institute of Brewing,Berlin(VLB),3rd editionを参照されたい。端的には、このプロセスには、(a)マッシュを調製する工程と、(b)マッシュを濾過して麦汁を調製する工程と、(c)麦汁を発酵させてビールなどの発酵飲料を得る工程と、が含まれる。典型的には、粉砕又は破砕麦芽を水と混合し、温度調節下で一定時間保持し、麦芽中に存在する酵素に、麦芽中に存在するデンプンを発酵性糖類に変換させる。その後、マッシュをマッシュフィルターへ移し、そこで液体分と、穀類残留物とを分離する。この甘みのある液体は「麦汁」と呼ばれ、残された穀類残留物は「ビール粕」と呼ばれる。マッシュは、典型的には抽出され、抽出は、残留可溶性抽出物をビール粕から回収する目的で水をマッシュに加えることを包含する。それから、麦汁の殺菌、並びに色、風味、及び香りの形成の補助を行うために、麦汁を激しく沸騰させる。沸騰中のどこかの時点でホップを加える。この麦汁を冷却し、発酵槽へ移す。
その後、麦汁を、発酵槽内で酵母菌と接触させる。発酵槽を冷却することで、発酵を止めることができる。酵母菌は、凝結させて、取り除く。最後に、ビールは、冷却されてある期間にわたって保存され、この期間の間に、ビールは清澄化され、その風味が増し、かつビールの外観、風味、及び貯蔵寿命を損なうおそれのある物質の全てが沈殿する。通常、ビールは、約2%〜約10% v/vのアルコールを含有するが、よりアルコール含有量の高い(例えば、18% v/v)ビールを得ることもできる。充填前、ビールには炭酸ガスを加え、所望により、濾過及び低温殺菌する。
アミラーゼを含む醸造用組成物を、グルコアミラーゼ及び任意選択で、プルラナーゼ、及び/又はイソアミラーゼと組み合わせて、上記工程(a)のマッシュに、即ち、マッシュ調製の間に添加してもよい。代替的に、又は追加的に、醸造組成物を上記工程(b)のマッシュに、即ち、マッシュの濾過の間に添加してもよい。代替的に、又は追加的に、前記醸造用組成物を、上記工程(c)の麦汁に、即ち麦汁の発酵の間に添加してもよい。
ビールなどの発酵飲料は、上記方法のうちの1つによって生産することができる。発酵飲料は、フルモルトビール、「ビール純粋令」に従って醸造されたビール、エール、IPA、ラガー、ビター、発泡酒(第二のビール)、第三のビール、ドライビール、ニアビール、ライトビール、低アルコールビール、低カロリービール、ポーター、ボックビール、スタウト、麦芽酒、ノンアルコールビール、ノンアルコール麦芽酒などのビールであってよいが、果物風味の麦芽飲料(例えば、レモン、オレンジ、ライムなどの柑橘風味、又はベリー風味の麦芽飲料など)、酒風味の麦芽飲料(例えば、ウォッカ、ラム酒、又はテキーラ風味の麦芽飲料など)、及びコーヒー風味の麦芽飲料(カフェイン風味の麦芽飲料など)などのシリアル飲料又は麦芽飲料などであってもよい。
9.ヨウ素陽性デンプンの減少
α−アミラーゼは、液化、及び/又は糖化方法において使用されたとき、ヨウ素陽性デンプン(IPS)を低減させることができる。IPSの発生源の1つは、加水分解を逃れたアミロース由来、及び/又は老化デンプンポリマー由来である。デンプン分子には、互いに結合して、結晶度を増加させようとする傾向があるため、デンプンの老化は、エージングの際のデンプンペースト、又はゲルにおいて、自然発生的に起こる。低濃度の溶液は、デンプン分子がより大きな一体物へと進行的に結合することに起因して、次第に濁るようになる。自然発生的な沈殿が起こり、沈殿したデンプンは、デンプン本来の、冷水に不可溶な状態へと戻る。より高濃度のペーストは、冷却の際、ゲルへと凝固し、このゲルは、エージングの際には、デンプン分子の結合が増すことに起因して、着実に固化していく。このことは、隣接するデンプン分子のヒドロキシ基間に水素結合を形成する強い傾向があるために起こる。J.A.Radley,ed.,Starch and its Derivatives 194〜201(Chapman and Hall,London(1968))を参照されたい。
糖液中にIPSが存在すると、最終生成物の品質に悪影響が生じ、後続加工で重要な問題となる。IPSは濾過系に詰まり又は減速させ、精製に使用される炭素カラムを塞ぐ。IPSが十分に高い濃度に達すると、IPSは、炭素カラムを通じて漏れ出し、生産効率を損なう場合がある。加えて、IPSは、貯蔵の際に、最終製品の品質としては容認できない、濁った最終製品をもたらす。IPSの量は、糖化槽を隔離し、内容物を戻し混合することにより減少させることができる。それでも尚、IPSは、とりわけ炭素カラム及び濾過系に蓄積する。α−アミラーゼの使用は、IPSの量を減少させることにより、プロセス全体の能率を改善することが期待される。
本明細書に引用される参考文献は全て、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。本組成物及び方法、並びにそれらの利点を更に例示するために、後述の具体的な実施例が、これらの実施例が限定的なものではなく例示的なものであるとの理解の下に提供される。
(実施例1)
PcuAmy1のクローニング及び発現
PcuAmy1(NCBI受託番号:ZP_07385374.1)は、細菌株パエニバチルス・カードラノリティカス(Paenibacillus curdlanolyticus)由来のα−アミラーゼである。発現プラスミドを作製し、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)中でのその発現を評価した。発現コンストラクトを、GeneRay Biotech Co.,Ltd(Shanghai,China)によって合成した。この発現コンストラクトは、aprEプロモーター、B.ズブチリス(B. subtilis)中で標的タンパク質分泌を指示するために用いられるaprEシグナル配列、ペプチドAla−Gly−Lysをコードして標的タンパク質の分泌を促進するAGK−proAprEという名前のオリゴヌクレオチド、及びPcuAmy1の最適化配列(配列番号1)を含有する。合成コンストラクトをXhoI及びEcoRIで消化し、同じ制限酵素で消化されたp2JMベースのベクターに連結して発現プラスミドp2JM706を得た。このライゲーション混合物を使用して、ケミカルコンピテント大腸菌(E. coli)TOP10セル(Invitrogen Corp.)をメーカーのプロトコルに従って形質転換した。この形質転換細胞を、アンピシリン50ppmを加えたLuria寒天プレート上に蒔いて、37℃°で一晩インキュベートした。3個の形質転換体をプレートから採取して、アンピシリン50ppmを加えたLuriaブロス5mLに接種した。培養物を37℃°で一晩増殖させた。プラスミドを抽出し、PcuAmy1遺伝子の配列をDNA塩基配列決定法.により確認した。
p2JM706プラスミドを次にB.ズブチリス(B. subtilis)細胞(degUHy32,ΔscoC)に形質転換し、形質転換細胞をクロラムフェニコール5ppm及びデンプン1%を加えたLuria寒天プレートに広げた。プレート上で最も大きな透明のハロがあるコロニーを選択して、Grants II培地を入れた250mL振盪フラスコ内で発酵させた。
プラスミドp2JM706におけるPcuAmy1遺伝子のコドン最適化ヌクレオチド配列を、配列番号1に示す。
GCCGACAACGGCACAATCATGCAGTATTTCGAGTGGTACCTGCCGAACGACGGAGCGCACTGGAACAGACTTAATAACGACGCACAAAACCTGAAAAATGTGGGCATCACGGCAGTGTGGATTCCTCCGGCATACAAGGGCGGCAGCTCAGCAGATGTTGGCTACGGAGTTTACGATACATACGACCTGGGCGAGTTCAATCAGAAAGGCACGGTCAGAACAAAGTACGGAACGAAGAGCGAACTGATTTCAGCGGTCAACAATCTTCACGCAAAGGGCATTGCGGTTTACGGCGACGTGGTCCTGAACCATAGAATGAATGCGGATGCAACGGAGCTTGTGGATGCGGTTGAGGTGGATCCGAACAACAGAAACGTCGAGACGACAAGCACGTATCAGATCCAGGCATGGACGCAATACGATTTCCCGGGCAGAGGCAACACGTACAGCAGCTTTAAATGGAGATGGTATCACTTCGACGGCGTCGACTGGGACCAGAGCAGAGGCCTGAACAGAATCTATAAGCTGAGAGGCGATGGCAAGGATTGGGACTGGGAGGTCGACAGCGAGTACGGCAACTACGATTACCTGATGGGAGCGGACCTGGACTTCAACCACCCGGATGTGGTTAACGAAACAAAGACATGGGGCAAATGGTTTGTGAACACGGTGAACCTGGATGGCGTCAGACTGGACGCGGTTAAGCACATCAAGTTCGACTTCATGAGAGACTGGGTGAACAACGTGAGAAGCACGACGGGCAAGAACCTTTTCGCAGTTGGCGAGTATTGGCACTACGACGTGAACAAACTGAACAGCTACATCACGAAGACGAATGGCACGATGAGCCTGTTCGACGTGCCGCTGCACTTTAGATTTTATGATGCAAGCAACGGCGGAGGCGGCTACGACATGAGAAACCTGCTGAATAACACGCTGATGAGCAGCAACCCGATGAAGGCGGTTACATTCGTTGAGAACCATGACACACAACCGACGCAGGCCCTGCAATCAACGGTCCAAAGCTGGTTTAAGCCGCTTGCGTATGCTACAATCCTGACGAGAGAGCAAGGCTACCCGTGCGTTTTCTACGGCGACTATTATGGAACAAGCGACGGCAAAATTAGCAGCTACAAGCCGATCATGGATAAGCTTCTTAACGCGAGAAAGGTGTACGCCTACGGCACGCAGAGAGATTACTTCGATCATCCGGACATCGTTGGCTGGACAAGAGAAGGCGATGCAGCACATGCTGGCTCAGGACTGGCAACGCTTATCACAGATGGCCCTGGCGGAAGCAAGTGGATGTATGTTGGAACGTCAAAGGCAGGCCAGGTCTGGACGGATAAAACAGGAAACAGAAGCGGAACGGTGACGATTGATGCCAATGGCTGGGGAAACTTTTGGGTTAATGGCGGATCAGTTAGCGTTTGGGCAAAATAA
PcuAmy1前駆体ポリペプチドのアミノ酸配列を配列番号2に示す。シグナルペプチドをイタリック体かつボールド体で示す。
Figure 2016538860
PcuAmy1の成熟型のアミノ酸配列を配列番号3に示す。
ADNGTIMQYFEWYLPNDGAHWNRLNNDAQNLKNVGITAVWIPPAYKGGSSADVGYGVYDTYDLGEFNQKGTVRTKYGTKSELISAVNNLHAKGIAVYGDVVLNHRMNADATELVDAVEVDPNNRNVETTSTYQIQAWTQYDFPGRGNTYSSFKWRWYHFDGVDWDQSRGLNRIYKLRGDGKDWDWEVDSEYGNYDYLMGADLDFNHPDVVNETKTWGKWFVNTVNLDGVRLDAVKHIKFDFMRDWVNNVRSTTGKNLFAVGEYWHYDVNKLNSYITKTNGTMSLFDVPLHFRFYDASNGGGGYDMRNLLNNTLMSSNPMKAVTFVENHDTQPTQALQSTVQSWFKPLAYATILTREQGYPCVFYGDYYGTSDGKISSYKPIMDKLLNARKVYAYGTQRDYFDHPDIVGWTREGDAAHAGSGLATLITDGPGGSKWMYVGTSKAGQVWTDKTGNRSGTVTIDANGWGNFWVNGGSVSVWAK
(実施例2)
PcuAmy1の変異体PcuAmy1−v1のクローニング及び発現
Arg−177及びGly−178の欠失を有するPcuAmy1変異体(PcuAmy1−v1)(即ち、del(R177,G178)、ΔR177−ΔG178、又はΔRG;Suzuki,Y.et al.(1989)J.Biol.Chem.264:18933〜38))を発現プラスミド内で構築して、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)中の発現を評価した。4個のプライマーを配列番号1に基づき、遺伝子操作を受けた制限部位及び重複区域を用いて設計した。まず、Arg−177及びGly−178の前の前側部分断片並びにArg−177及びGly−178の後側部分配列をPCRによって別々に得た。次にオーバーラップエクステンションPCRを、これらの2つの断片を組み合わせて実行し、完全長PcuAmy1−v1遺伝因子を得た。
オーバーラップエクステンションPCR生成物を、BssHII及びXhoIで消化し、同じ制限酵素で消化されたp2JMベクターに連結して発現プラスミドp2JM754を得た。このライゲーション混合物を使用して、大腸菌(E. coli)TOP10ケミカルコンピテントセル(Invitrogen Corp.)をメーカーのプロトコルに従って形質転換した。この形質転換細胞を、アンピシリン50ppmを加えたLuria寒天プレート上に蒔いて、37℃°で一晩インキュベートした。3個の形質転換体をプレートから採取して、アンピシリン50ppmを加えたLuriaブロス5mLに接種した。培養物を37℃°で一晩増殖させ、抽出されたプラスミドDNA及びPcuAmy1−v1遺伝子の正しい配列をDNA塩基配列決定法によって確認した。
p2JM754プラスミドを次にB.ズブチリス(B. Subtilis)細胞に形質転換し、形質転換細胞をクロラムフェニコール5ppm及びデンプン1%を加えたLuria寒天プレートに広げた。プレート上で最も大きな透明のハロがあるコロニーを選択して、Grants II培地を入れた250mL振盪フラスコ内で発酵させた。
プラスミドp2JM754のPcuAmy1−v1遺伝子のヌクレオチド配列を配列番号4に示す。
GCCGACAACGGCACAATCATGCAGTATTTCGAGTGGTACCTGCCGAACGACGGAGCGCACTGGAACAGACTTAATAACGACGCACAAAACCTGAAAAATGTGGGCATCACGGCAGTGTGGATTCCTCCGGCATACAAGGGCGGCAGCTCAGCAGATGTTGGCTACGGAGTTTACGATACATACGACCTGGGCGAGTTCAATCAGAAAGGCACGGTCAGAACAAAGTACGGAACGAAGAGCGAACTGATTTCAGCGGTCAACAATCTTCACGCAAAGGGCATTGCGGTTTACGGCGACGTGGTCCTGAACCATAGAATGAATGCGGATGCAACGGAGCTTGTGGATGCGGTTGAGGTGGATCCGAACAACAGAAACGTCGAGACGACAAGCACGTATCAGATCCAGGCATGGACGCAATACGATTTCCCGGGCAGAGGCAACACGTACAGCAGCTTTAAATGGAGATGGTATCACTTCGACGGCGTCGACTGGGACCAGAGCAGAGGCCTGAACAGAATCTATAAGCTGGATGGCAAGGATTGGGACTGGGAGGTCGACAGCGAGTACGGCAACTACGATTACCTGATGGGAGCGGACCTGGACTTCAACCACCCGGATGTGGTTAACGAAACAAAGACATGGGGCAAATGGTTTGTGAACACGGTGAACCTGGATGGCGTCAGACTGGACGCGGTTAAGCACATCAAGTTCGACTTCATGAGAGACTGGGTGAACAACGTGAGAAGCACGACGGGCAAGAACCTTTTCGCAGTTGGCGAGTATTGGCACTACGACGTGAACAAACTGAACAGCTACATCACGAAGACGAATGGCACGATGAGCCTGTTCGACGTGCCGCTGCACTTTAGATTTTATGATGCAAGCAACGGCGGAGGCGGCTACGACATGAGAAACCTGCTGAATAACACGCTGATGAGCAGCAACCCGATGAAGGCGGTTACATTCGTTGAGAACCATGACACACAACCGACGCAGGCCCTGCAATCAACGGTCCAAAGCTGGTTTAAGCCGCTTGCGTATGCTACAATCCTGACGAGAGAGCAAGGCTACCCGTGCGTTTTCTACGGCGACTATTATGGAACAAGCGACGGCAAAATTAGCAGCTACAAGCCGATCATGGATAAGCTTCTTAACGCGAGAAAGGTGTACGCCTACGGCACGCAGAGAGATTACTTCGATCATCCGGACATCGTTGGCTGGACAAGAGAAGGCGATGCAGCACATGCTGGCTCAGGACTGGCAACGCTTATCACAGATGGCCCTGGCGGAAGCAAGTGGATGTATGTTGGAACGTCAAAGGCAGGCCAGGTCTGGACGGATAAAACAGGAAACAGAAGCGGAACGGTGACGATTGATGCCAATGGCTGGGGAAACTTTTGGGTTAATGGCGGATCAGTTAGCGTTTGGGCAAAATAA
PcuAmy1−v1の成熟型のアミノ酸配列を配列番号5に示す。
ADNGTIMQYFEWYLPNDGAHWNRLNNDAQNLKNVGITAVWIPPAYKGGSSADVGYGVYDTYDLGEFNQKGTVRTKYGTKSELISAVNNLHAKGIAVYGDVVLNHRMNADATELVDAVEVDPNNRNVETTSTYQIQAWTQYDFPGRGNTYSSFKWRWYHFDGVDWDQSRGLNRIYKLDGKDWDWEVDSEYGNYDYLMGADLDFNHPDVVNETKTWGKWFVNTVNLDGVRLDAVKHIKFDFMRDWVNNVRSTTGKNLFAVGEYWHYDVNKLNSYITKTNGTMSLFDVPLHFRFYDASNGGGGYDMRNLLNNTLMSSNPMKAVTFVENHDTQPTQALQSTVQSWFKPLAYATILTREQGYPCVFYGDYYGTSDGKISSYKPIMDKLLNARKVYAYGTQRDYFDHPDIVGWTREGDAAHAGSGLATLITDGPGGSKWMYVGTSKAGQVWTDKTGNRSGTVTIDANGWGNFWVNGGSVSVWAK
(実施例3)
PcuAmy1及び変異体のタンパク質分解開裂
野生型PcuAmy1アミラーゼ又はPcuAmy−v1変異体のスブチリシンプロテアーゼによるインキュベーションは、反応生成物がSDS/PAGE電気泳動を受けるときに観察されるようにタンパク質の開裂につながる。図2は、増加するGG36プロテアーゼ(ゲルの上に示されるように0〜40μg)の存在下での20μgのPcuAmy1−v1の開裂を示すSDS/PAGEゲルの画像である。ゲルの右側の文字は、(A)無傷の完全長PcuAmy1−v1、(B)PcuAmy1−v1の第1の開裂産物、(C)GG36プロテアーゼ、(D)GG36タンパク質調製物中の汚染物質、及び(E)PcuAmy1−v1の第2の開裂産物を示す。PcuAmy−v1アミラーゼのスブチリシンプロテアーゼによるインキュベーション後に観察された主な分解産物は、約38及び16kDaの分子量(それぞれB及びE)を有する。タンパク質分解量は、使用されるプロテアーゼの濃度に依存する。これは、一般的に用いられるスブチリシンプロテアーゼを含有する酵素洗剤処方に含めるための最適以下のPcuAmy1アミラーゼを生成する。
PcuAmy−v1タンパク質の試料をGG36プロテアーゼ(バチルス・レンチス(Bacillus lentis)スブチリシン)を用いてインキュベートし、反応生成物を質量分析によって分析した。この結果は、残基Q334とL336との間で発生する加水分解と一致した(図示せず)。
(実施例4)
タンパク質分解開裂に対するPcuAmy1変異体の耐性
この実施例では、PcuAmy1−v3を発現するバチルス・ズブチリス株(Bacillus subtilis strains)のコンストラクション及び更なる変異体3A〜3Lを記載する。PcuAmy1−v3は、突然変異E186P、G472K並びに欠失R177及びG178を有するPcuAmy1の変異体である。置換E186P並びにR177及びG178における欠失は、PcuAmy1の洗剤安定性を向上させる。置換G472Kは、クリーニング性能を改善する。これらの突然変異はいずれもプロテアーゼ感度に何ら影響を及ぼさない(データは示さず)。したがって、プロテアーゼ安定性における他の突然変異の影響を調査するために作製された変異体にこれらの突然変異を含めても、結果に干渉しない。
PcuAmy1−v3の発現に関しては、pHP024T02−PcuAmy1−v1プラスミドDNA(上述)においてプライマーPSV_FW(配列番号6)及びPSV3_RV(配列番号7)によるPCRを実行した。
プライマーPSV_FW(配列番号6):acccccctcgaggcttttcttttggaagaaaatatagggaaaatggtacttgttaaaaattcggaatatttatacaatatcatatgacagaatagtcttttaagtaagtctactctgaatttttttaaaaggagagggtaaagaatgaaacaacaaaaacggctttacgcccgattgctgacgctgttatttgcgctcatcttcttgctgcctcattctgcagcttcagcagccgacaacggcacaatcatgc
プライマーPSV3_RV(配列番号7):CTCGATGCGGCCGCAGCTGTTTTATCCTTTACCTTGTCTCCAAGCTTAAAATAAAAAAACGGATTTCCTTCAGGAAATCCGTCCTCTGTTAACTTATTTTGCCCAAACGCTAACTGATCCTTTATTAACCCAAAAGTTTCCCCAGCC
供給元(Invitrogen,Life Technologies)により提供されたプロトコルに従ってPlatinum Taq DNA Polymerase High Fidelityを用いて、PCRを実行した。PCR断片を精製し、ベクターpICatHに連結されたXhoI−NotIで消化し、米国特許第7968691号に記載のようにB.ズブチリス(B. subtilis)細胞に形質転換した。B.ズブチリス(B. subtilis)形質転換体を、心臓浸出液寒天(Difco)及びネオマイシン硫酸塩10mg/L及びクロラムフェニコール5mg/Lを含有する寒天プレート上で選択した。デンプン加水分解活性を持つ1つの形質転換体を選択し、アミラーゼ遺伝子をDNA塩基配列決定法(BaseClear,The Netherlands)によって配列確認した。このB.ズブチリス(B. subtilis)クローンは、プラスミドpICatH−PcuAmy1−v3を含有し、PcuAmy1−v3アミラーゼを発現する。PcuAmy1−v3遺伝因子(PcuAmy1−v3の成熟型をコードする)のDNA配列を、配列番号8に示す。PcuAmy1−v3のタンパク質配列を、配列番号9に示す。
PcuAmy1−v3をコードする核酸配列(配列番号8):GCCGACAACGGCACAATCATGCAGTATTTCGAGTGGTACCTGCCGAACGACGGAGCGCACTGGAACAGACTTAATAACGACGCACAAAACCTGAAAAATGTGGGCATCACGGCAGTGTGGATTCCTCCGGCATACAAGGGCGGCAGCTCAGCAGATGTTGGCTACGGAGTTTACGATACATACGACCTGGGCGAGTTCAATCAGAAAGGCACGGTCAGAACAAAGTACGGAACGAAGAGCGAACTGATTTCAGCGGTCAACAATCTTCACGCAAAGGGCATTGCGGTTTACGGCGACGTGGTCCTGAACCATAGAATGAATGCGGATGCAACGGAGCTTGTGGATGCGGTTGAGGTGGATCCGAACAACAGAAACGTCGAGACGACAAGCACGTATCAGATCCAGGCATGGACGCAATACGATTTCCCGGGCAGAGGCAACACGTACAGCAGCTTTAAATGGAGATGGTATCACTTCGACGGCGTCGACTGGGACCAGAGCAGAGGCCTGAACAGAATCTATAAGCTGGATGGCAAGGATTGGGACTGGCCGGTCGACAGCGAGTACGGCAACTACGATTACCTGATGGGAGCGGACCTGGACTTCAACCACCCGGATGTGGTTAACGAAACAAAGACATGGGGCAAATGGTTTGTGAACACGGTGAACCTGGATGGCGTCAGACTGGACGCGGTTAAGCACATCAAGTTCGACTTCATGAGAGACTGGGTGAACAACGTGAGAAGCACGACGGGCAAGAACCTTTTCGCAGTTGGCGAGTATTGGCACTACGACGTGAACAAACTGAACAGCTACATCACGAAGACGAATGGCACGATGAGCCTGTTCGACGTGCCGCTGCACTTTAGATTTTATGATGCAAGCAACGGCGGAGGCGGCTACGACATGAGAAACCTGCTGAATAACACGCTGATGAGCAGCAACCCGATGAAGGCGGTTACATTCGTTGAGAACCATGACACACAACCGACGCAGGCCCTGCAATCAACGGTCCAAAGCTGGTTTAAGCCGCTTGCGTATGCTACAATCCTGACGAGAGAGCAAGGCTACCCGTGCGTTTTCTACGGCGACTATTATGGAACAAGCGACGGCAAAATTAGCAGCTACAAGCCGATCATGGATAAACTGCTTAACGCGAGAAAGGTGTACGCCTACGGCACGCAGAGAGATTACTTCGATCATCCGGACATCGTTGGCTGGACAAGAGAAGGCGATGCAGCACATGCTGGCTCAGGACTGGCAACGCTTATCACAGATGGCCCTGGCGGAAGCAAGTGGATGTATGTTGGAACGTCAAAGGCAGGCCAGGTCTGGACGGATAAAACAGGAAACAGAAGCGGAACGGTGACGATTGATGCCAATGGCTGGGGAAACTTTTGGGTTAATAAAGGATCAGTTAGCGTTTGGGCAAAATAA
PcuAmy1−v3の成熟型(配列番号9):adngtimqyfewylpndgahwnrlnndaqnlknvgitavwippaykggssadvgygvydtydlgefnqkgtvrtkygtkselisavnnlhakgiavygdvvlnhrmnadatelvdavevdpnnrnvettstyqiqawtqydfpgrgntyssfkwrwyhfdgvdwdqsrglnriykldgkdwdwpvdseygnydylmgadldfnhpdvvnetktwgkwfvntvnldgvrldavkhikfdfmrdwvnnvrsttgknlfavgeywhydvnklnsyitktngtmslfdvplhfrfydasnggggydmrnllnntlmssnpmkavtfvenhdtqptqalqstvqswfkplayatiltreqgypcvfygdyygtsdgkissykpimdkllnarkvyaygtqrdyfdhpdivgwtregdaahagsglatlitdgpggskwmyvgtskagqvwtdktgnrsgtvtidangwgnfwvnkgsvsvwak
PcuAmy1プロテアーゼ感度の理由を特定するために、PcuAmy1のアミノ酸配列を、PURASTAR(登録商標)ST(B.リケニフォルミス(B. licheniformis)アミラーゼ、つまりAmyL)、SPEZYME(登録商標)XTRA(ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)アミラーゼ、つまりAmyS)、ACE−QK(WO2010/115021)及びSTAINZYME(登録商標)(Novozymes)などのプロテアーゼ−耐性を示す他のCAZyファミリーGH−13アミラーゼのアミノ酸配列と比較した。配列で観察された違いに基づき、PcuAmy1変異体PcuAmy1−v3A〜PcuAmy1−v3L(即ち、3A〜3L)を設計し、プロテアーゼ耐性について試験を行った。各変異体に存在する突然変異を表2に列挙する。それらを、上述のPcuAmy1−v3(配列番号9)に導入した。
Figure 2016538860
PcuAmy1−v3変異体3A〜3L(即ち、PcuAmy1−v3A〜PcuAmy1−v3L)を生成するために、表3に示すプライマーでプラスミドpICatH−PcuAmy1−v3を用いて融合PCRを実行した。上述のようにTaq DNA Polymerase High FidelityによりPCRを実行した。第1PCRでは、プライマーPSTI_FW及びプライマー3A_RV〜3L_RVのうちの1つを使用した(3A〜3Lに対する12個のそれぞれ別個の反応)。第2PCRでは、プライマーECORV_RV及びプライマー3A_FW〜3L_FWのうちの1つを使用した(また、3A〜3Lに対する12個の別個の反応)。第1及び第2のPCRによって得られたPCR断片を、プライマーPSTI_FW及びECORV_RVを使用して第3のPCRに融合した(3A〜3Lに対して12個の反応)。12個のPCR融合生成物を精製し、PstI及びEcoRVで消化し、ベクターpHPLT(Solingen et al.(2001)Extremophiles 5:333〜341、米国特許出願公開第20100021587号)に個々に連結し、バチルス・ズブチリスBacillus subtilis)に形質転換した。形質転換体を、心臓浸出液寒天及びネオマイシン硫酸塩10mg/L及びstarch azure(Sigma)を含有する寒天プレート上で選択した。それぞれの変異体について、1つのハロ陽性クローンを選択し、アミラーゼ遺伝子の配列を確認した。pHPLT−アミラーゼ発現プラスミドを有するB.ズブチリス(B. subtilis)形質転換体の選択的増殖を、MBD培地(MOPSベースの規定された培地)、CaClを5mM及びネオマイシン10mg/Lを含有する振盪フラスコで実施した。MBD培地を、NHCl、FeSO、及びCaClがベース培地から省略され、3mMのKHPOが使用され、ベース培地に尿素60mM、グルコース75g/L、及びソイトン1%が加えられた点を除き、本質的に当該技術分野において周知であるように作製した(Neidhardt et al.(1974)J.Bacteriol.,119:736〜747を参照されたい)。微量栄養素を、1リットル中に400mgのFeSO7HO、100mgのMnSO.HO、100mgのZnSO7HO、50mgのCuCl2HO、100mgのCoCl6HO、100mgのNaMoO2HO、100mgのNa10HO、10mLの1M CaCl、及び10mLの0.5Mクエン酸ナトリウムを含有する100Xの保存溶液として作製した。増殖は、12個の変異体(3A〜3L)全てについてデンプン加水分解活性を有する分泌アミラーゼの産生につながった。
Figure 2016538860
PcuAmy1−v3変異体3A〜3Lのアミノ酸配列を配列番号36〜47として下に示す。
成熟PcuAmy1−v3Aのアミノ酸配列(配列番号36):
ADNGTIMQYFEWYLPNDGAHWNRLNNDAQNLKNVGITAVWIPPAYKGGSSADVGYGVYDTYDLGEFNQKGTVRTKYGTKSELISAVNNLHAKGIAVYGDVVLNHRMNADATELVDAVEVDPNNRNVETTSTYQIQAWTQYDFPGRGNTYSSFKWRWYHFDGVDWDQSRGLNRIYKLDGKDWDWPVDSEYGNYDYLMGADLDFNHPDVVNETKTWGKWFVNTVNLDGVRLDAVKHIKFDFMRDWVNNVRSTTGKNLFAVGEYWHYDVNKLNSYITKTNGTMSLFDVPLHFRFYDASNGGGGYDMRNLLNNTLMSSNPMKAVTFVENHDTQPGQALQSTVQSWFKPLAYATILTREQGYPCVFYGDYYGTSDGKISSYKPIMDKLLNARKVYAYGTQRDYFDHPDIVGWTREGDAAHAGSGLATLITDGPGGSKWMYVGTSKAGQVWTDKTGNRSGTVTIDANGWGNFWVNKGSVSVWAK
成熟PcuAmy1−v3Bのアミノ酸配列(配列番号37):
ADNGTIMQYFEWYLPNDGAHWNRLNNDAQNLKNVGITAVWIPPAYKGGSSADVGYGVYDTYDLGEFNQKGTVRTKYGTKSELISAVNNLHAKGIAVYGDVVLNHRMNADATELVDAVEVDPNNRNVETTSTYQIQAWTQYDFPGRGNTYSSFKWRWYHFDGVDWDQSRGLNRIYKLDGKDWDWPVDSEYGNYDYLMGADLDFNHPDVVNETKTWGKWFVNTVNLDGVRLDAVKHIKFDFMRDWVNNVRSTTGKNLFAVGEYWHYDVNKLNSYITKTNGTMSLFDVPLHFRFYDASNGGGGYDMRNLLNNTLMSSNPMKAVTFVENHDTQPGQSLESTVQSWFKPLAYATILTREQGYPCVFYGDYYGTSDGKISSYKPIMDKLLNARKVYAYGTQRDYFDHPDIVGWTREGDAAHAGSGLATLITDGPGGSKWMYVGTSKAGQVWTDKTGNRSGTVTIDANGWGNFWVNKGSVSVWAK
成熟PcuAmy1−v3Cのアミノ酸配列(配列番号38):
ADNGTIMQYFEWYLPNDGAHWNRLNNDAQNLKNVGITAVWIPPAYKGGSSADVGYGVYDTYDLGEFNQKGTVRTKYGTKSELISAVNNLHAKGIAVYGDVVLNHRMNADATELVDAVEVDPNNRNVETTSTYQIQAWTQYDFPGRGNTYSSFKWRWYHFDGVDWDQSRGLNRIYKLDGKDWDWPVDSEYGNYDYLMGADLDFNHPDVVNETKTWGKWFVNTVNLDGVRLDAVKHIKFDFMRDWVNNVRSTTGKNLFAVGEYWHYDVNKLNSYITKTNGTMSLFDVPLHFRFYDASNGGGGYDMRNLLNNTLMSSNPMKAVTFVENHDTQPGQSLESTVQPWFKPLAYAFILTREQGYPCVFYGDYYGTSDGKISSYKPIMDKLLNARKVYAYGTQRDYFDHPDIVGWTREGDAAHAGSGLATLITDGPGGSKWMYVGTSKAGQVWTDKTGNRSGTVTIDANGWGNFWVNKGSVSVWAK
成熟PcuAmy1−v3Dのアミノ酸配列(配列番号39):
ADNGTIMQYFEWYLPNDGAHWNRLNNDAQNLKNVGITAVWIPPAYKGGSSADVGYGVYDTYDLGEFNQKGTVRTKYGTKSELISAVNNLHAKGIAVYGDVVLNHRMNADATELVDAVEVDPNNRNVETTSTYQIQAWTQYDFPGRGNTYSSFKWRWYHFDGVDWDQSRGLNRIYKLDGKDWDWPVDSEYGNYDYLMGADLDFNHPDVVNETKTWGKWFVNTVNLDGVRLDAVKHIKFDFMRDWVNNVRSTTGKNLFAVGEYWHYDVNKLNSYITKTNGTMSLFDVPLHFRFYDASNGGGGYDMRNLLNNTLMSSNPMKAVTFVENHDTQPGQSLESTVQPWFKPLAYATILTREQGYPCVFYGDYYGTSDGKISSYKPIMDKLLNARKVYAYGTQRDYFDHPDIVGWTREGDAAHAGSGLATLITDGPGGSKWMYVGTSKAGQVWTDKTGNRSGTVTIDANGWGNFWVNKGSVSVWAK
成熟PcuAmy1−v3Eのアミノ酸配列(配列番号40):
ADNGTIMQYFEWYLPNDGAHWNRLNNDAQNLKNVGITAVWIPPAYKGGSSADVGYGVYDTYDLGEFNQKGTVRTKYGTKSELISAVNNLHAKGIAVYGDVVLNHRMNADATELVDAVEVDPNNRNVETTSTYQIQAWTQYDFPGRGNTYSSFKWRWYHFDGVDWDQSRGLNRIYKLDGKDWDWPVDSEYGNYDYLMGADLDFNHPDVVNETKTWGKWFVNTVNLDGVRLDAVKHIKFDFMRDWVNNVRSTTGKNLFAVGEYWHYDVNKLNSYITKTNGTMSLFDVPLHFRFYDASNGGGGYDMRNLLNNTLMSSNPMKAVTFVENHDTQPTQALQSTVQSWFKPLAYAFILTREQGYPCVFYGDYYGTSDGKISSYKPIMDKLLNARKVYAYGTQRDYFDHPDIVGWTREGDAAHAGSGLATLITDGPGGSKWMYVGTSKAGQVWTDKTGNRSGTVTIDANGWGNFWVNKGSVSVWAK
成熟PcuAmy1−v3Fのアミノ酸配列(配列番号41):
ADNGTIMQYFEWYLPNDGAHWNRLNNDAQNLKNVGITAVWIPPAYKGGSSADVGYGVYDTYDLGEFNQKGTVRTKYGTKSELISAVNNLHAKGIAVYGDVVLNHRMNADATELVDAVEVDPNNRNVETTSTYQIQAWTQYDFPGRGNTYSSFKWRWYHFDGVDWDQSRGLNRIYKLDGKDWDWPVDSEYGNYDYLMGADLDFNHPDVVNETKTWGKWFVNTVNLDGVRLDAVKHIKFDFMRDWVNNVRSTTGKNLFAVGEYWHYDVNKLNSYITKTNGTMSLFDVPLHFRFYDASNGGGGYDMRNLLNNTLMSSNPMKAVTFVENHDTQPTQSLQSTVQSWFKPLAYATILTREQGYPCVFYGDYYGTSDGKISSYKPIMDKLLNARKVYAYGTQRDYFDHPDIVGWTREGDAAHAGSGLATLITDGPGGSKWMYVGTSKAGQVWTDKTGNRSGTVTIDANGWGNFWVNKGSVSVWAK
成熟PcuAmy1−v3Gのアミノ酸配列(配列番号42):
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成熟PcuAmy1−v3Hのアミノ酸配列(配列番号43):
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成熟PcuAmy1−v3Iのアミノ酸配列(配列番号44):
ADNGTIMQYFEWYLPNDGAHWNRLNNDAQNLKNVGITAVWIPPAYKGGSSADVGYGVYDTYDLGEFNQKGTVRTKYGTKSELISAVNNLHAKGIAVYGDVVLNHRMNADATELVDAVEVDPNNRNVETTSTYQIQAWTQYDFPGRGNTYSSFKWRWYHFDGVDWDQSRGLNRIYKLDGKDWDWPVDSEYGNYDYLMGADLDFNHPDVVNETKTWGKWFVNTVNLDGVRLDAVKHIKFDFMRDWVNNVRSTTGKNLFAVGEYWHYDVNKLNSYITKTNGTMSLFDVPLHFRFYDASNGGGGYDMRNLLNNTLMSSNPTKAVTFVENHDTQPTQALQSTVQSWFKPLAYATILTREQGYPCVFYGDYYGTSDGKISSYKPIMDKLLNARKVYAYGTQRDYFDHPDIVGWTREGDAAHAGSGLATLITDGPGGSKWMYVGTSKAGQVWTDKTGNRSGTVTIDANGWGNFWVNKGSVSVWAK
成熟PcuAmy1−v3Jのアミノ酸配列(配列番号45):
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成熟PcuAmy1−v3Kのアミノ酸配列(配列番号46):
ADNGTIMQYFEWYLPNDGAHWNRLNNDAQNLKNVGITAVWIPPAYKGGSSADVGYGVYDTYDLGEFNQKGTVRTKYGTKSELISAVNNLHAKGIAVYGDVVLNHRMNADATELVDAVEVDPNNRNVETTSTYQIQAWTQYDFPGRGNTYSSFKWRWYHFDGVDWDQSRGLNRIYKLDGKDWDWPVDSEYGNYDYLMGADLDFNHPDVVNETKTWGKWFVNTVNLDGVRLDAVKHIKFDFMRDWVNNVRSTTGKNLFAVGEYWHYDVNKLNSYITKTNGTMSLFDVPLHFRFYDASNGGGGYDMRNLLNNTLMSSNPMKAVTFVENHDTQPGQSLQSWVEPWFKPLAYATILTREQGYPCVFYGDYYGTSDGKISSYKPIMDKLLNARKVYAYGTQRDYFDHPDIVGWTREGDAAHAGSGLATLITDGPGGSKWMYVGTSKAGQVWTDKTGNRSGTVTIDANGWGNFWVNKGSVSVWAK
成熟PcuAmy1−v3Lのアミノ酸配列(配列番号47):
ADNGTIMQYFEWYLPNDGAHWNRLNNDAQNLKNVGITAVWIPPAYKGGSSADVGYGVYDTYDLGEFNQKGTVRTKYGTKSELISAVNNLHAKGIAVYGDVVLNHRMNADATELVDAVEVDPNNRNVETTSTYQIQAWTQYDFPGRGNTYSSFKWRWYHFDGVDWDQSRGLNRIYKLDGKDWDWPVDSEYGNYDYLMGADLDFNHPDVVNETKTWGKWFVNTVNLDGVRLDAVKHIKFDFMRDWVNNVRSTTGKNLFAVGEYWHYDVNKLNSYITKTNGTMSLFDVPLHFRFYDASNGGGGYDMRNLLNNTLMSSNPMKAVTFVENHDTQPGQSLESTVQTWFKPLAYATILTREQGYPCVFYGDYYGTSDGKISSYKPIMDKLLNARKVYAYGTQRDYFDHPDIVGWTREGDAAHAGSGLATLITDGPGGSKWMYVGTSKAGQVWTDKTGNRSGTVTIDANGWGNFWVNKGSVSVWAK
12個のPcuAmy1変異体が上述のようにB.ズブチリス(B. subtilis)中で発現した。各PcuAmy1変異体の培養ブロスから濾過した上清40μLを100μgのGG36プロテアーゼを使用して室温で6時間インキュベートし、その後、Megazyme Ceralpha基質アッセイ(Megazyme International Ireland,Co.(Wicklow,Ireland))を使用して残存するアミラーゼ活性を分析した。プロテアーゼのインキュベーション後の残留活性を、緩衝剤のみでインキュベーションした後の各試料のアミラーゼ活性と比較した。結果を図3に示す。試料のサブセットはまた、タンパク質スタンダード、SeeBlue(登録商標)Plus2(Invitrogen)を用いてSDS−PAGE(図4)によって分析した。市販のアミラーゼを比較用に含めた。
PcuAmy1変異体3A、3B、3C、3D、及び3Lは、GG36プロテアーゼと共にインキュベーションした後、それらの酵素活性を>80%に維持した。PcuAmy1変異体3J及び3Kは、GG36プロテアーゼと共にインキュベーションした後、それらの酵素活性を>75%に維持した。PcuAmy1変異体3E、3F、3G、3H、及び3Iは、野生型酵素と比較して安定性の明らかな増大を示さなかった。3B、3C、3D、及び3Lのインキュベーションの試料をSDS/PAGEによって分析したところ、GG36プロテアーゼと共にインキュベートした場合は、分解産物において著しい減少を示し、残留アミラーゼ活性の増加はタンパク質分解開裂の減少のためであったことを確認した。
小スケールの試験のこれらの結果は、位置T333における突然変異の導入が、PcuAmy1のタンパク質分解開裂を有意に減少させ、A335、Q337、及びS342における追加の突然変異は、タンパク質分解開裂を更に減少させることを示す。T351Fの突然変異でなく、T351Wの突然変異もまたPcuAmy1のタンパク質分解開裂を減少させるようである。
(実施例5)
個々の及び組み合わせた突然変異の影響の更なる分類
実施例4に記載の小スケールの試験の結果は、位置T333における突然変異がPcuAmy1のタンパク質分解開裂を著しく減少させること、及びA335、Q337、及びS342における突然変異から更なる効果が得られることを示唆している。T351Wの突然変異もまた、PcuAmy1のタンパク質分解開裂を減少させる。プロテアーゼ耐性に対するこれらの突然変異の関連条件をより良好に特性化するために、以下の追加の変異体を実施例4に記載されたものと類似の方法で作製した。
PcuAmy1−v10:Δ R177−ΔG178−E186P−T333G−Q337E−G472K
PcuAmy1−v11:Δ R177−ΔG178−E186P−T333G−A335S−G472K
PcuAmy1−v12:Δ R177−ΔG178−E186P−A335S−Q337E−G472K
PcuAmy1−v13:Δ R177−ΔG178−E186P−T333G−A335S−Q337E−T351W−G472K
変異体PcuAmy1−v10,PcuAmy1−v11、及びPcuAmy1−v12は、位置T333、A335、及びQ337における突然変異の対での組み合わせを含む。PcuAmy1−v3〜v13は、全ての前述の位置における突然変異を含み、追加の突然変異T351Wを含む。これらの変異体を、実施例4からの以下の変異体と大スケールの洗剤安定性アッセイで比較した。
PcuAmy1−v3B:ΔR177−ΔG178−E186P−T333G−A335S−Q337E−G472K
PcuAmy1−v3L:ΔR177−ΔG178−E186P−T333G−A335S−Q337E−S342T−G472K。
市販の洗剤、Total Color(MIFA Ag Frenkendorf(Switzerland))及びOmo(Unilever(London,UK))を95℃にて3時間で熱失活させ、存在する酵素活性を除去した。熱失活した洗剤の酵素活性を、プロテアーゼ及びアミラーゼ活性をそれぞれ測定するためのSuc−AAPF−pNAアッセイ及びCeralphaアッセイを使用して測定した。安定性試料を調製するために、2% w/wプロテアーゼ(PURAFECT(登録商標)Prime 4000L,Danisco US Inc.)及び0.5%w/wアミラーゼを各洗剤試料に添加し、混合した。試料を、COインキュベータ(Sanyo)に37℃で14日間貯蔵した。アリコートを様々な時点で各反応試料から採取し、50mMのMOPS(pH7.15)緩衝剤で1%のBSAを添加して希釈し、アルファ−アミラーゼ活性を、Ceralpha基質(Megazyme,Inc)を使用して測定した。各試料の活性を、標準校正を用いるArena 20XT Photometric Analyzer(Thermo Scientific)を使用して判定した。各時点での残存する活性を、時間0で測定された合計活性のパーセント(%)として報告した。
MIFA Total(Mifa Ag Frenkendorf(Switzerland))及びUnilever OMO(Unilever(London,UK))で実施された洗剤安定性アッセイの結果を図5〜8に示す。図5及び7は、FNAプロテアーゼを加えたMIFA Total及びUnilever OMO中のPcuAmy1変異体の残留活性をそれぞれ経時的に示す。図6及び8は、3〜14日の時点のデータを要約している。T333突然変異を含むPcuAmy1変異体、即ち、3B、3L、v10、v13、及び比較的軽度についてのV11では、最も安定していた。T333突然変異を含まなかった変異体、即ち、V1及びv12は、最も安定性が低かった。v10及びv11によって証明されるように、Q337Eでの突然変異の存在は、更に安定性を向上させる。
(実施例6)
PcuAmy1変異体のクリーニング性能
精製されたPcuAmy1−v3B及びPcuAmy1−v3Lのクリーニング性能をマイクロスウォッチ洗浄アッセイで分析した。デンプンの境界を示す指示染料を含む綿布片上のCFT CS−28米デンプン(Center for Testmaterials,BV(Vlaardingen,Netherlands))を、ディスク形成用に直径5.5mmで抜き打ち形成した。2枚のディスクを3つの平底ノンバインディング96ウェルアッセイプレートの各ウェル内に定置した。
酵素並びに2種類の市販のアミラーゼ製品:PURASTAR(登録商標)ST(バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)由来のα−アミラーゼ;DuPont Industrial Biosciences,Palo Alto(California,USA))、及びSTAINZYME(登録商標)(Novozymes(Copenhagen,Denmark))を、希釈緩衝剤(50mM MOPS、pH7.2、0.005% Tween)で0.5mg/mLに希釈し、次にマイクロタイタープレート内で2ppmに更に希釈した。これらの試料200μLを3枚の布片プレートのそれぞれの第1の列に移した。100μLのHEPES緩衝剤(2mMのCaCl及び0.005%のTween−80を含む25mMのHEPES、pH8.0)を次に布片プレートの隣の5列の各ウェルに加え、連続希釈を行って最終の酵素濃度2、1、0.5、0.25、及び0.125ppmになるようにし、並びに各ウェルに200μLを含む空白(緩衝剤のみ)ウェルの列が得られた。プレートを1150rpmで15分間撹拌しながら25℃でインキュベートした。洗浄液を未使用のマイクロタイタープレートに移し、酵素性能を洗浄液中に放出された色の量によって判断した。色の放出を分光光度法で488nmにて定量化し、3回の読み取り値はブランクを差し引き平均化した。
結果を図9に示す。PcuAmy1−v3B及びPcuAmy1−v3Lの両方が優れたクリーニング性能を実証した。
(実施例7)
液体洗剤中のPcuAmy1変異体の熱安定性
市販の洗剤Persil Universal Gel Gold(Henkel(Dusseldorf,Germany))を95℃にて3時間で熱失活させ、存在する酵素活性を除去した。不活性化に続き、熱失活された洗剤中の酵素活性を、Suc−AAPF−pNA基質に基づいた、かつCeralphaアッセイ(Megazyme(Wicklow,Ireland))を使用して測定し、任意のプロテアーゼ及びアミラーゼ活性をそれぞれ消滅させるようにした。洗剤の10%溶液を次に水で作製した。
100μLのそれぞれの酵素保存液(0.5mg/mL)を400μLの10%洗剤溶液に添加した。試験された酵素は、Purastar、Stainzyme(登録商標)、PcuAmy1−v3B及びPcuAmy−v3Lであった。50μLの酵素保存溶液をPCR管に加え、60、70、80、又は90℃のいずれかで15分間インキュベートした。インキュベーションに先立ち、10μLを取り出し、実験の間を通して「ストレスのない」試料として働くように室温でインキュベートした。インキュベーション後、各試料の更なる1:10の希釈を希釈緩衝剤で行った。試料を次にマイクロタイタープレートに3回移し、ストレスのない試料、及びストレス下の試料全てでCeralphaアッセイを使用してα−アミラーゼ活性を測定した。残留活性は、ストレスのないアミラーゼの活性と温熱ストレス後の各アミラーゼの活性を分けることによって計算した。
結果を図10に示す。PcuAmy1−v3B及びPcuAmy−v3Lは、STAINZYME(登録商標)と比較して同様の熱安定性、及びPURASTAR(登録商標)より著しく良好な安定性を実証した。
(実施例8)
改善された性能を有する組み合わせPcuAmy1変異体
タンパク質分解開裂に対するPcuAmy1変異体を生成したので、性能を強化する突然変異の効果を検討した。突然変異の組み合わせは、位置N125、F152、E186、N205、G472、及びG473において、位置R177及びG178における欠失と組み合わせで作製された(番号付けには配列番号3を使用)。試験された変異体を表4に示す。
Figure 2016538860
成熟PcuAmy1−v1Aポリペプチドのアミノ酸配列を、配列番号60として下に示す。
ADNGTIMQYFEWYLPNDGAHWNRLNNDAQNLKNVGITAVWIPPAYKGGSSADVGYGVYDTYDLGEFNQKGTVRTKYGTKSELISAVNNLHAKGIAVYGDVVLNHRMNADATELVDAVEVDPNNRYVETTSTYQIQAWTQYDFPGRGNTYSSFKWRWYHFDGVDWDQSRGLNRIYKLDGKDWDWPVDSEYGNYDYLMGADLDFNHPDVVNETKTWGKWFVNTVNLDGVRLDAVKHIKFDFMRDWVNNVRSTTGKNLFAVGEYWHYDVNKLNSYITKTNGTMSLFDVPLHFRFYDASNGGGGYDMRNLLNNTLMSSNPMKAVTFVENHDTQPGQSLESTVQSWFKPLAYATILTREQGYPCVFYGDYYGTSDGKISSYKPIMDKLLNARKVYAYGTQRDYFDHPDIVGWTREGDAAHAGSGLATLITDGPGGSKWMYVGTSKAGQVWTDKTGNRSGTVTIDANGWGNFWVNKGSVSVWAK
成熟PcuAmy1−v6ポリペプチドのアミノ酸配列を、配列番号61として下に示す。
ADNGTIMQYFEWYLPNDGAHWNRLNNDAQNLKNVGITAVWIPPAYKGGSSADVGYGVYDTYDLGEFNQKGTVRTKYGTKSELISAVNNLHAKGIAVYGDVVLNHRMNADATELVDAVEVDPNNRYVETTSTYQIQAWTQYDFPGRGNTYSSWKWRWYHFDGVDWDQSRGLNRIYKLDGKDWDWPVDSEYGNYDYLMGADLDFNHPDVVNETKTWGKWFVNTVNLDGVRLDAVKHIKFDFMRDWVNNVRSTTGKNLFAVGEYWHYDVNKLNSYITKTNGTMSLFDVPLHFRFYDASNGGGGYDMRNLLNNTLMSSNPMKAVTFVENHDTQPGQSLESTVQSWFKPLAYATILTREQGYPCVFYGDYYGTSDGKISSYKPIMDKLLNARKVYAYGTQRDYFDHPDIVGWTREGDAAHAGSGLATLITDGPGGSKWMYVGTSKAGQVWTDKTGNRSGTVTIDANGWGNFWVNKGSVSVWAK
成熟PcuAmy1−v8ポリペプチドのアミノ酸配列を、配列番号62として下に示す。
ADNGTIMQYFEWYLPNDGAHWNRLNNDAQNLKNVGITAVWIPPAYKGGSSADVGYGVYDTYDLGEFNQKGTVRTKYGTKSELISAVNNLHAKGIAVYGDVVLNHRMNADATELVDAVEVDPNNRYVETTSTYQIQAWTQYDFPGRGNTYSSWKWRWYHFDGVDWDQSRGLNRIYKLDGKDWDWPVDSEYGNYDYLMGADLDFNHPDVVNETKTWGKWFVNTVNLDGVRLDAVKHIKFDFMRDWVNNVRSTTGKNLFAVGEYWHYDVNKLNSYITKTNGTMSLFDVPLHFRFYDASNGGGGYDMRNLLNNTLMSSNPMKAVTFVENHDTQPGQSLESTVQSWFKPLAYATILTREQGYPCVFYGDYYGTSDGKISSYKPIMDKLLNARKVYAYGTQRDYFDHPDIVGWTREGDAAHAGSGLATLITDGPGGSKWMYVGTSKAGQVWTDKTGNRSGTVTIDANGWGNFWVNRRSVSVWAK
成熟PcuAmy1−v16ポリペプチドのアミノ酸配列を、配列番号63として下に示す。
ADNGTIMQYFEWYLPNDGAHWNRLNNDAQNLKNVGITAVWIPPAYKGGSSADVGYGVYDTYDLGEFNQKGTVRTKYGTKSELISAVNNLHAKGIAVYGDVVLNHRMNADATELVDAVEVDPNNRYVETTSTYQIQAWTQYDFPGRGNTYSSWKWRWYHFDGVDWDQSRGLNRIYKLDGKDWDWPVDSEYGNYDYLMGADLDFDHPDVVNETKTWGKWFVNTVNLDGVRLDAVKHIKFDFMRDWVNNVRSTTGKNLFAVGEYWHYDVNKLNSYITKTNGTMSLFDVPLHFRFYDASNGGGGYDMRNLLNNTLMSSNPMKAVTFVENHDTQPGQSLESTVQSWFKPLAYATILTREQGYPCVFYGDYYGTSDGKISSYKPIMDKLLNARKVYAYGTQRDYFDHPDIVGWTREGDAAHAGSGLATLITDGPGGSKWMYVGTSKAGQVWTDKTGNRSGTVTIDANGWGNFWVNKGSVSVWAK
STAINZYME(登録商標)及びACE−QKと比較して、PcuAmy1−v1、PcuAmy1−v6、及びPcuAmy1−v16のクリーニング性能を、実施例6で実施されたマイクロスウォッチアッセイを使用して測定した。結果を図12に示す。低用量では、PcuAmy1−v6及びPcuAmy1−v16は、PcuAmy1−v1及びSTAINZYME(登録商標)を上回った(例えば、0.1ppmの酵素以下)。
STAINZYME(登録商標)と比較して、PcuAmy1−v1、PcuAmy1−v6、及びPcuAmy1−v16の熱安定性を、実施例7に記載のアッセイを一部のわずかな変更と共に使用して測定した。結果を図13に示す。PcuAmy1−v1、PcuAmy1−v6、及びPcuAmy1v16は、同じ洗剤及び酵素用量を使用するその他の試験分子より熱安定であるため、アッセイをより高い温度で実行した(75〜95℃)。
上記の組成物及び方法は、理解を明瞭にする目的で例示及び実施例により幾分詳細に記載されてきたが、特定の変更及び修正がなされ得ることは当業者には明白であろう。したがって、本説明は、添付の特許請求の範囲により詳述される本発明の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。
本明細書に引用されたすべての公刊物、特許及び特許出願は、これによって、あたかも各個々の公刊物、特許又は特許出願が具体的に及び個々に参照によりそのように組み込まれることが示されているように、あらゆる目的のためにこれらの全体が参照により組み込まれる。

Claims (46)

  1. TIMバレル構造を有するα−アミラーゼのタンパク質分解開裂に対する感受性を低減する方法であって、β−バレルの第7ストランドと第7ヘリックスを連結するループ中に存在する非カノニカルで表面が露出したアミノ酸残基を異なるアミノ酸残基に置換して変異体α−アミラーゼを生成することを含み、前記変異体α−アミラーゼは、親α−アミラーゼと比較して、プロテアーゼによる前記β−バレルの前記第7ストランドと前記第7ヘリックスを連結する前記ループ中の開裂に対する感受性が低減し、配列番号3が位置の番号付けに使用される、方法。
  2. 前記非カノニカルで表面が露出したアミノ酸残基が、前記親α−アミラーゼにおける位置333に対応する位置に存在し、配列番号3が位置の番号付けに使用される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記親α−アミラーゼにおける位置335に対応する位置に存在する前記アミノ酸残基を異なるアミノ酸残基に置換することを更に含み、配列番号3が位置の番号付けに使用される、請求項2に記載の方法。
  4. 前記親α−アミラーゼが、位置333に対応する前記位置にグリシン又はグルタミン以外のアミノ酸残基を有する、請求項2又は3に記載の方法。
  5. 前記親α−アミラーゼが、位置333に対応する前記位置にスレオニンを有する、請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 位置333に対応する前記位置において前記アミノ酸残基をグリシンに置換する、請求項2〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記親α−アミラーゼが、位置335に対応する前記位置にセリン以外のアミノ酸残基を有する、請求項3〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 位置335に対応する前記位置において前記アミノ酸残基をセリンに置換する、請求項3〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記親α−アミラーゼにおいて、
    (i)位置177、178、179、及び180に対応する位置における1つ若しくは2つ以上のアミノ酸残基の欠失、
    (ii)位置186に対応する位置に存在するアミノ酸残基の置換、又は
    (iii)位置472に対応する位置に存在するアミノ酸残基の置換、の突然変異のうち、1つ又は2つ以上を作製することを更に含み、
    前記結果として生じる変異体が、前記親と比較して洗剤組成物において増大した洗剤安定性及び/又は増大したクリーニング性能を有し、配列番号3が位置の番号付けに使用される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記親α−アミラーゼにおいて、
    (i)位置177、及び178に対応する位置における前記アミノ酸残基の欠失、
    (ii)位置186に対応する位置に存在するアミノ酸残基のプロリンへの置換、又は
    (iii)位置472に対応する位置に存在するアミノ酸残基のアルギニン若しくはリシンへの置換、の突然変異のうち、1つ又は2つ以上を作製することを更に含み、
    前記結果として生じる変異体が、前記親と比較して洗剤組成物において増大した洗剤安定性及び/又は増大したクリーニング性能を有し、配列番号3が位置の番号付けに使用される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. N125、F152、N205、及びG473に対応する位置で1つ又は2つ以上の突然変異を作製することを更に含み、配列番号3が位置の番号付けに使用される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記変異体が、
    (i)N125Y+E186P+T333G+A335S+Q337E+G472K、
    (ii)N125Y+F152W+E186P+T333G+A335S+Q337E+G472K、
    (iii)N125Y+F152W+E186P+T333G+A335S+Q337E+G472R+G473R、
    (iv)N125Y+F152W+E186P+N205D+T333G+A335S+Q337E+G472K、
    (v)N125Y+E186P+T333G+A335S+G472K、
    (vi)N125Y+F152W+E186P+T333G+A335S+G472K、
    (vii)N125Y+F152W+E186P+T333G+A335S+G472R+G473R、
    (viii)N125Y+F152W+E186P+N205D+T333G+A335S+G472K、
    (ix)N125Y+E186P+T333G+G472K、
    (x)N125Y+F152W+E186P+T333G+G472K、
    (xi)N125Y+F152W+E186P+T333G+G472R+G473R、及び
    (xii)N125Y+F152W+E186P+N205D+T333G+G472Kからなる群から選択される突然変異の組み合わせを含む、請求項11に記載の方法。
  13. 前記親又は前記変異体α−アミラーゼが、配列番号3に対し少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法によって調製される変異体α−アミラーゼ。
  15. 親α−アミラーゼの変異体であって、前記変異体は、前記親α−アミラーゼにおける位置333に対応する位置に存在するアミノ酸残基の異なるアミノ酸残基への置換を含み、前記変異体α−アミラーゼは、前記親α−アミラーゼと比較して、プロテアーゼによる前記β−バレルの前記第7ストランドと前記第7ヘリックスを連結するループ中の開裂に対する感受性が低減し、配列番号3が位置の番号付けに使用される、変異体。
  16. 開裂に対する前記感受性を更に低減するため、前記親α−アミラーゼにおける位置335に対応する位置に存在する前記アミノ酸残基の異なるアミノ酸残基への置換を更に含み、配列番号3が位置の番号付けに使用される、請求項15に記載の変異体。
  17. 前記親α−アミラーゼが、位置333に対応する前記位置にグリシン又はグルタミン以外のアミノ酸残基を有する、請求項15又は16に記載の変異体。
  18. 前記親α−アミラーゼが、位置333に対応する前記位置にスレオニンを有する、請求項15〜17のいずれか一項に記載の変異体。
  19. 前記変異体α−アミラーゼが、位置333に対応する前記位置にグリシンへの置換を有する、請求項15〜18のいずれか一項に記載の変異体。
  20. 前記親α−アミラーゼが、位置335に対応する前記位置にセリン以外のアミノ酸残基を有する、請求項15〜19のいずれか一項に記載の変異体。
  21. 前記変異体α−アミラーゼが、位置335に対応する前記位置にセリンへの置換を有する、請求項16〜20のいずれか一項に記載の変異体。
  22. 前記親に関連して、
    (i)位置177、178、179、及び180に対応する位置における1つ又は2つ以上のアミノ酸残基の欠失、
    (ii)位置186に対応する位置に存在するアミノ酸残基の置換、
    (iii)位置472に対応する位置に存在するアミノ酸残基の置換、の突然変異のうち、1つ又は2つ以上を更に含み、
    前記変異体が、前記親と比較して洗剤組成物において増大した洗剤安定性及び/又は増大したクリーニング性能を有し、位置の番号付けは配列番号3を参照する、請求項15〜21のいずれか一項に記載の変異体。
  23. 前記親に関連して、
    (i)位置177、及び178に対応する位置におけるアミノ酸残基の欠失、
    (ii)位置186に対応する位置に存在するアミノ酸残基のプロリンへの置換、
    (iii)位置472に対応する位置に存在する前記アミノ酸残基のアルギニン又はリシンへの置換、の突然変異のうち、1つ又は2つ以上を更に含み、
    前記変異体が、前記親と比較して洗剤組成物において増大した洗剤安定性及び/又は増大したクリーニング性能を有し、前記位置の番号付けは配列番号3を参照する、請求項15〜22のいずれか一項に記載の変異体。
  24. N125、F152、N205、及びG473からなる群から選択される位置における突然変異を更に含む、請求項15〜23のいずれか一項に記載の変異体。
  25. 位置177、178、179、及び180に対応する位置における1つ又は2つ以上のアミノ酸残基の欠失を含み、
    (i)N125Y+E186P+T333G+A335S+Q337E+G472K、
    (ii)N125Y+F152W+E186P+T333G+A335S+Q337E+G472K、
    (iii)N125Y+F152W+E186P+T333G+A335S+Q337E+G472R+G473R、
    (iv)N125Y+F152W+E186P+N205D+T333G+A335S+Q337E+G472K、
    (v)N125Y+E186P+T333G+A335S+G472K、
    (vi)N125Y+F152W+E186P+T333G+A335S+G472K、
    (vii)N125Y+F152W+E186P+T333G+A335S+G472R+G473R、
    (viii)N125Y+F152W+E186P+N205D+T333G+A335S+G472K、
    (ix)N125Y+E186P+T333G+G472K、
    (x)N125Y+F152W+E186P+T333G+G472K、
    (xi)N125Y+F152W+E186P+T333G+G472R+G473R、及び
    (xii)N125Y+F152W+E186P+N205D+T333G+G472Kからなる群から選択される突然変異の組み合わせを更に含む、請求項15〜24のいずれかに記載の変異体。
  26. 前記親又は前記変異体が、配列番号3に対し少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、請求項15〜24のいずれか一項に記載の変異体。
  27. 請求項14〜26のいずれか一項に記載のα−アミラーゼを含む組成物。
  28. 界面活性剤を更に含む、請求項27に記載の組成物。
  29. 前記組成物が、洗濯洗剤、洗濯洗剤添加剤、又は手洗い用若しくは自動食器洗い洗剤である、請求項27又は28に記載の組成物。
  30. プロテアーゼ、へミセルラーゼ、セルラーゼ、ペルオキシダーゼ、脂肪分解酵素、メタロ脂肪分解酵素、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、ペルヒドラーゼ、クチナーゼ、ぺクチナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、マンナーゼ、ケラチナーゼ、還元酵素、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシターゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、メタロプロテイナーゼ、アマドリアーゼ、及びPcuAmy1以外のα−アミラーゼからなる群から選択される1つ又は2つ以上の追加の酵素、又はそれらの変異体を更に含む、請求項27〜29のいずれか一項に記載の組成物。
  31. 前記組成物が、デンプンを含む組成物の糖化用、液化後SSF用、若しくは事前液化なしの直接SSF用、又は発酵飲料若しくは焼成食品の生産用である、請求項27に記載の組成物。
  32. 前記組成物が織物湯通し用である、請求項27又は28に記載の組成物。
  33. 請求項14〜26のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードする組み換えポリヌクレオチド。
  34. 配列番号1の前記ポリヌクレオチドに対し少なくとも80%の核酸配列同一性を有するか、又は配列番号1の前記ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、請求項33に記載のポリヌクレオチド。
  35. 請求項33又は34に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
  36. 請求項35に記載の前記発現ベクターを含む、宿主細胞。
  37. グルコースを含む組成物の生産、液化デンプンの生産、食材若しくは飲料の生産、デンプン質の染みの洗浄、又は織物湯通しにおける、請求項16〜26のいずれか一項に記載のα−アミラーゼの用法。
  38. 表面からデンプン質の染み又は汚れを除去する方法であって、
    前記表面を、請求項16〜26のいずれか一項に記載の有効な量の前記変異体α−アミラーゼを含む組成物及び任意追加的に界面活性剤と接触させることと、
    前記α−アミラーゼが前記デンプン質の染み中に存在するデンプン成分を加水分解できるようにして、水溶液に溶解するより小さなデンプン由来の分子を産生することと、を含み、
    それによって、前記表面から前記デンプン質の染みを除去し、
    前記組成物が、任意追加的に、プロテアーゼ、へミセルラーゼ、セルラーゼ、ペルオキシダーゼ、脂肪分解酵素、メタロ脂肪分解酵素、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、ペルヒドラーゼ、クチナーゼ、ぺクチナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、マンナーゼ、ケラチナーゼ、還元酵素、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシターゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、メタロプロテイナーゼ、アマドリアーゼ、及びPcuAmy1以外のα−アミラーゼからなる群から選択される少なくとも1つの追加の酵素、又はそれらの変異体を更に含む、方法。
  39. 織物を湯通しする方法であって、
    糊付けされた織物を請求項14〜26のいずれか一項に記載の有効な量の変異体α−アミラーゼと接触させることと、
    前記α−アミラーゼが前記織物用糊のデンプン成分を加水分解できるようにして、水溶液に溶解するより小さなデンプン由来の分子を産生することと、を含み、
    それによって、前記織物から前記織物用糊を除去する、方法。
  40. デンプンを含む組成物を糖化して、グルコースを含む組成物を生産するための方法であって、
    前記デンプンを含む組成物を請求項14〜26のいずれか一項に記載の有効な量の変異体α−アミラーゼと接触させることと、
    前記デンプンを含む組成物を糖化させて前記グルコースを含む組成物を生産することと、を含み、
    前記α−アミラーゼが前記デンプン溶液のグルコースへの前記糖化を触媒する、方法。
  41. 前記デンプンを含む組成物が、液化デンプン、糊化デンプン、又は粒状デンプンを含む、請求項40に記載の方法。
  42. 食材又は飲料を調製する方法であって、
    デンプンを含む食材又は飲料を請求項14〜26のいずれか一項に記載のα−アミラーゼと接触させることと、
    前記α−アミラーゼが前記デンプンを加水分解できるようにして、より小さなデンプン由来の分子を産生することと、を含み、
    前記方法が、前記食材又は飲料をグルコアミラーゼ、ヘキソキナーゼ、キシラナーゼ、グルコースイソメラーゼ、キシロースイソメラーゼ、ホスファターゼ、フィターゼ、プルラナーゼ、β−アミラーゼ、前記変異体α−アミラーゼでないα−アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、イソアミラーゼ、酸化還元酵素、エステラーゼ、トランスフェラーゼ、ペクチナーゼ、α−グルコシダーゼ、ベータ−グルコシダーゼ、又はこれらの組み合わせと接触させることを任意追加的に更に含む、方法。
  43. 前記α−アミラーゼが宿主細胞により発現され、分泌される、請求項40〜42のいずれか一項に記載の方法。
  44. 前記デンプンを含む組成物を前記宿主細胞と接触させる、請求項43に記載の方法。
  45. 前記宿主細胞が、更にグルコアミラーゼ又は他の酵素を発現し、分泌する、請求項43又は44に記載の方法。
  46. 前記宿主細胞が、前記組成物を発酵させ得るものである、請求項43〜45のいずれか一項に記載の方法。
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