JP2016221985A - 車両用トノカバー装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】多様な車両荷室のレイアウトを実現可能な車両用トノカバー装置を提供する。【解決手段】トノカバー装置30は、可撓性を有するトノカバー31と、トノカバー31を引き出し可能に巻き取るトノカバー用巻き取り軸34と、可撓性を有するネット部材36と、ネット部材36を引き出し可能に巻き取るネット部材用巻き取り軸39と、トノカバー用巻き取り軸34とシート状部材用巻き取り軸39とを収容するケース40と、を備え、トノカバー31は、ケース40においてネット部材36より車両上側から引き出される。【選択図】図6

Description

本発明は、車両用トノカバー装置に関する。
従来、車両用トノカバー装置として、下記特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1には、2つのトノカバーを、互に180度の角度差で互に反対方向に引き出すことの出来るカバー巻回装置が開示されている。
特開平8−183393号公報
近年、ユーザーの使用目的に応じて、荷室を多様なレイアウトに変更して、使用することについてのニーズが高まっている。しかしながら、特許文献1に開示の車両用トノカバー装置では、各トノカバーの引出し方向はそれぞれ一方向とされており、トノカバーを様々な姿勢で配することにより荷室の多様なレイアウトを実現することができない。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、荷室の多様なレイアウトを実現可能な車両用トノカバー装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の車両用トノカバー装置は、可撓性を有するトノカバーと、前記トノカバーを引き出し可能に巻き取るトノカバー用巻き取り軸と、可撓性を有するシート状部材と、前記シート状部材を引き出し可能に巻き取るシート状部材用巻き取り軸と、前記トノカバー用巻き取り軸と前記シート状部材用巻き取り軸とを収容するケースと、を備え、前記トノカバーは、前記ケースにおいて前記シート状部材より車両上側から引き出されることに特徴を有する。
本発明の車両用トノカバー装置によれば、トノカバーがケースにおいてシート状部材より車両上側から引き出されるから、トノカバーで荷室を覆う際に、トノカバーと荷室内において様々な姿勢で配されたシート状部材とが干渉し難い。また、シート状部材を車両後方に向けて引き出した場合には、シート状部材のシート面に載置した荷物をトノカバーで覆い隠すような荷室のレイアウトを実現することができる。このため、その使用目的に応じて、荷室の多様なレイアウトを実現することが可能となる。
上記構成において、前記トノカバー用巻き取り軸は、前記シート状部材用巻き取り軸より車両上側に配されていてもよい。このような構成によれば、トノカバーがケースにおいてシート状部材より車両上側から引き出される構成を、好適に、実現することができる。
上記構成において、前記トノカバー用巻き取り軸は、前記トノカバーを車両後方に向けて引き出す際に前記トノカバーが前記トノカバー用巻き取り軸の車両上側から引き出される態様で、前記トノカバーを巻き取る構成とされ、前記シート状部材用巻き取り軸は、前記シート状部材を車両後方に向けて引き出す際に前記シート状部材が前記シート状部材用巻き取り軸の車両下側から引き出される態様で、前記シート状部材を巻き取る構成とされていてもよい。このような構成によれば、トノカバーを車両後方に向けて引き出すタイプのトノカバー装置において、トノカバーがケースにおいてシート状部材より車両上側から引き出される構成を、好適に、実現することができる。
上記構成において、前記ケースは、車両下方及び車両後方に向けて開口して、前記シート状部材が引き出されるシート状部材用開口部を有していてもよい。このような構成によれば、シート状部材用開口部が車両下方及び車両後方に向けて開口するから、シート状部材を車両下方から車両後方にかけて様々な方向に引き出して、荷室のレイアウトを適宜変更することができる。
上記構成において、前記シート状部材は、そのシート面が車両前後方向に沿って延在する横型配置と、そのシート面が車両前後方向に対して交わる方向に沿って延在する縦型配置と、に変更可能とされていてもよい。このような構成によれば、シート状部材の横型配置の場合には、そのシート面に荷物を載置する態様でシート状部材を用いることができるとともに、シート状部材の縦型配置の場合には、荷室をシート状部材で仕切るような態様でシート状部材を用いることができ、荷室の多様なレイアウトを実現することが可能となる。
上記構成において、前記シート状部材は、前記トノカバーより撓み易いネット状の部材で構成されていてもよい。このような構成によれば、シート状部材を車両後方に向けて引き出した場合において、シート状部材の上面に載置した荷物をトノカバーで覆い隠す際に、シート状部材が撓むことにより、好適に、シート状部材とトノカバーとの間に収容空間を形成することができる。また、シート状部材を様々な姿勢で張設し易く、好適に、荷室の多様なレイアウトを実現することが可能となる。
本発明によれば、荷室の多様なレイアウトを実現可能な車両用トノカバー装置を提供することができる。
本発明の実施形態1に係るトノカバー装置が設置された荷室を車両後方かつ上方から視た斜視図 トノカバー装置におけるネット部材の横型配置を表す説明図 トノカバー装置におけるネット部材の縦型配置を表す説明図 トノカバー装置におけるネット部材の前側横型配置を表す説明図 デッキサイドトリムを示す平面図 トノカバー装置を示す断面図(図1のVI−VI線で切断した図に対応) 本発明の実施形態2に係るトノカバー装置を示す断面図 本発明の実施形態3に係るトノカバー装置を示す断面図
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図6を用いて説明する。なお、図5及び図6に示した、矢印FR及びRRの方向をそれぞれ車両前方(車両進行方向)及び車両後方とし、矢印UP及びDWの方向をそれぞれ車両上方及び車両下方として説明する。
車両10は、図1に示すように、後部に荷室11が設けられている。荷室11は、車両10の後部開口12からアクセス可能とされている。この荷室11は、その上面14Aが荷物載置面とされるデッキボード14と、デッキボード14の車幅方向両側に配され、側壁を構成するデッキサイドトリム20,20と、デッキボード14の車両前方に配され、前壁を構成する後部座席16のシートバック16Aと、で囲まれた収容空間S1を有している。
荷室11には、図1に示すように、トノカバー装置(車両用トノカバー装置)30が設けられている。また、荷室11は、デッキボード14の下方に、いわゆるラゲージアンダースペースと呼ばれる収容空間S2を有している(図5参照)。そして、この収容空間S2には、トノカバー装置30を収納可能なトノカバー装置収納部18が設けられている。
トノカバー装置(車両用トノカバー装置)30は、図2及び図3に示すように、トノカバー31と、トノカバー用巻き取り軸34と、ネット部材(シート状部材)36と、ネット部材用巻き取り軸(シート状部材用巻き取り軸)39と、ケース40と、を備えている。トノカバー装置30は、トノカバー31で荷室11の収容空間S1を被覆可能とされるとともに、ネット部材36で収容空間S1を区画可能な構成とされている。なお、トノカバー装置30は、デッキサイドトリム20に対して着脱可能に設けられており、トノカバー装置30をデッキサイトトリム20から外して収容空間S2(トノカバー装置収納部18)に収納することで、収容空間S1を仕切りのない大空間として用いることも可能となっている。続いて、デッキサイドトリム20と、トノカバー装置30の各構成について順次に説明する。
デッキサイドトリム20は、図1に示すように、車両上下方向及び車両前後方向に沿って延在する板状をなし、その車幅方向内側を向く板面が荷室11内に臨む構成とされている。一対のデッキサイドトリム20,20は、左右対称に構成されており、以下の説明においては、車両10の進行方向右側に位置するデッキサイドトリム20について説明するとともに、車両10の進行方向左側に位置するデッキサイドトリム20についての説明を省略する。
デッキサイドトリム20には、図5に示すように、その車両前側かつ下側に、ホイールハウスに倣う形で荷室11内に膨出するホイールハウス部21が設けられている。このホイールハウス部21には、その膨出形状(ホイールハウス部21の上面から後面)に倣う形で固定バンド22が設置されている。この固定バンド22は、ホイールハウス部21の上面と後面にそれぞれ設けられた固定バンド被係止部21Aや、後述するネット部材被係止部25に係止可能な固定バンド係止部22Aを有しており、固定バンド係止部22Aを所望の位置に係止して、荷物を適宜固定することが可能な構成とされている。
デッキサイドトリム20には、図5に示すように、ホイールハウス部21の上方に、トノカバー装置30のケース40が係止されるケース被係止部23が設けられている。ケース被係止部23は、荷室11のうち、車両前後方向における中央部のやや前よりの位置、すなわち、荷室11を3:7〜4:6程度に分ける位置に設定されている。また、デッキサイドトリム20には、ケース被係止部23の車両後方に、トノカバー31(操作部32)が係止されるトノカバー被係止部24が設けられている。ケース被係止部23及びトノカバー被係止部24は、デッキサイドトリム20の荷室11内に臨む板面にそれぞれ凹設されている。
デッキサイドトリム20には、図5に示すように、ネット部材36(フック37)が係止される複数のネット部材被係止部25が設けられている。本実施形態では、複数のネット部材被係止部25は、トノカバー被係止部24に近接して、その下側に設けられた第1ネット部材被係止部25Aと、ケース被係止部23の車両下方において、収容空間S1の下端(デッキボード14の上面14A付近)に設けられた第2ネット部材被係止部25Bと、第2ネット部材被係止部25の車両後方において、収容空間S1の後端(後部開口12の開口縁)に設けられた第3ネット部材被係止部25Cと、第2ネット部材被係止部25の車両前方において、収容空間S1の前端に設けられた第4ネット部材被係止部25Dと、を含んでいる。以下の説明において、これらを互いに区別する場合には第1〜第4ネット部材被係止部25A〜25Dと呼び、これらを総称する場合にはネット部材被係止部25と呼ぶ。
ネット部材被係止部25は、図5に示すように、デッキサイドトリム20対して固定された固定部と、固定部に対して取り付けられたD環状の掛止部とで構成されている。掛止部は、その直線状に延びる部分を回動軸として、固定部に対して回動可能に取り付けられている。
トノカバー31は、図2から図4に示すように、可撓性を有するシート状の部材(第1のシート状部材)からなる。トノカバー31は、平面視矩形状をなし、合成樹脂製のレザーシート等の遮光性を有する部材とされ、そのシート面31Cが車両前後方向に沿って延在する姿勢で荷室11を覆って、荷室11に収容された荷物を隠す役目を果たす。トノカバー31は、車両前後方向における一端部31Aがトノカバー用巻き取り軸34に固定されている。一方、トノカバー31の他端部31Bには、長尺板状の操作部32が設けられている。操作部32は、トノカバー31を展開または収納する際に操作する部分とされ、トノカバー31を展開した状態においては、トノカバー被係止部24に係止されてトノカバー31を展開支持するフレームとして機能する。一方、操作部32は、トノカバー31がケース40に収納された状態(トノカバー用巻き取り部34に巻き取られた状態)では、ケース40の外面(トノカバー用開口部41Aの開口縁)に係止されており、ケース40の外部からこれを把持して、トノカバー31を引き出すことが可能な構成とされる。
トノカバー用巻き取り軸34は、図6に示すように、トノカバー31を引き出し可能に巻き取ることが可能な構成とされている。具体的には、トノカバー用巻き取り軸34は、車幅方向に沿って延びる円柱状をなし、車幅方向を回動軸(軸心)として回動自在に構成されている。トノカバー用巻き取り軸34には、ばねなどからなる回転巻き取り機構が付設されており、トノカバー31に巻き取り方向(図6における反時計回りの方向)への付勢力を作用させる構成となっている。なお、図6においては、トノカバー用巻き取り軸34に巻き取られた状態、つまり、ケース40に収納された状態のトノカバー31の外形を2点破線にて示している。
ネット部材(シート状部材)36は、図2から図4に示すように、可撓性を有するシート状の部材(第2のシート状部材)からなる。ネット部材36は、トノカバー31より撓み易いネット状の部材で構成されている。ネット部材36は、平面視矩形状をなし、車両前後方向における寸法が、ケース40から第1ネット部材被係止部25A,25Aまで寸法に対して余長を有する構成、つまり、トノカバー31より大きい構成とされている(図2参照)。また、ネット部材36は、車幅方向における寸法がホイールハウス部21との干渉を避けるために、トノカバー31より小さい構成とされている(図1参照)。このような構成により、ネット部材36は、荷室11内において様々な姿勢で配されて、荷室11の多様なレイアウトを実現可能な構成とされる。なお、ネット部材36の配置を変更した荷室11の各レイアウトについては、後に説明する。
ネット部材36は、図1及び図6に示すように、車両前後方向における一端部36Aがネット部材用巻き取り軸39に固定されている。一方、ネット部材36の他端部36Bには、その車幅方向における両側に一対のフック(ネット部材係止部)37,37がそれぞれ設けられている。フック37は、ネット部材36の他端部36B側の角部に、ゴム等の伸縮性を有する部材を介して取り付けられている。一対のフック37,37は、車幅方向両側に配された一対のネット部材被係止部25,25にそれぞれ引っ掛けられて、ネット部材36の他端部36Bを車両前後方向においてネット部材被係止部25,25の位置に固定する構成とされている。一方、フック37は、ネット部材36がケース40に収納された状態(ネット部材用巻き取り軸39に巻き取られた状態)では、ケース40の外側に延出しており、ケース40の外部からこれを把持して、ネット部材36を引き出すことが可能とされる。
ネット部材用巻き取り軸(シート状部材用巻き取り軸)39は、図6に示すように、ネット部材36を引き出し可能に巻き取ることが可能な構成とされている。具体的には、ネット部材用巻き取り軸39は、車幅方向に沿って延びる円柱状をなし、車幅方向を回動軸(軸心)として回動自在に構成されている。ネット部材用巻き取り軸39には、ばねなどからなる回転巻き取り機構が付設されており、ネット部材36に巻き取り方向(図6における時計回りの方向)への付勢力を作用させる構成となっている。なお、図6においては、ネット部材用巻き取り軸39に巻き取られた状態、つまり、ケース40に収納された状態のネット部材36の外形を2点破線にて示している。このケース40に収納された状態のネット部材36の外形は、ケース40に収納された状態のトノカバー31の外形より大きいものとされる。
ケース40は、図6に示すように、トノカバー用巻き取り軸34とネット部材用巻き取り軸39とを収容する構成とされている。ケース40は、トノカバー31とネット部材36とを一体化して、一括して取り扱うことを可能とする機能を有する。本実施形態では、ケース40は、トノカバー用巻き取り軸34を収容するアルミ製のトノカバーケース41と、ネット部材用巻き取り軸39を収容するアルミ製のネット部材ケース42と、トノカバーケース41とネット部材ケース42を内部に収容して、トノカバー装置30の外観(意匠)を構成する合成樹脂製の外観部材43と、で構成されている。
ケース40は、図1に示すように、その外形(外観部材43)が断面視矩形状の角筒状とされ、その筒軸を車幅方向に一致させて荷室11に設置される。具体的には、ケース40は、トノカバー用巻き取り軸34が収容される部分の両端部41Bが、車幅方向両側に付勢された状態で伸縮自在とされており、両端部41Bがデッキサイドトリム20のケース被係止部23に嵌合することで、デッキサイドトリム20に対して着脱自在に係止される。ケース40の上面40Aは、展開されたトノカバー31のシート面31Cと略面一状をなし、トノカバー31とともに荷室11を覆う構成とされている。
ケース40は、図6に示すように、荷室11に設置された状態において、車両後方に向けて開口して、トノカバー31が引き出されるトノカバー用開口部41Aと、車両下方及び車両後方に向けて開口して、ネット部材36が引き出されるネット部材用開口部(シート状部材用開口部)42Aとを有する。本実施形態では、外観部材43に形成された開口部43Aの開口内において、トノカバーケース41に形成されたトノカバー用開口部41Aと、ネット部材ケース42に形成されたネット部材用開口部42Aとが並行して延びる構成とされている。つまり、外観部材43には、その車両後側に位置する後端面と、車両下側に位置する下端面の双方を切り欠く形で開口部43Aが形成されている。そして、トノカバーケース41には、その車両後側に位置する後端面を切り欠く形でトノカバー用開口部41Aが形成されるとともに、ネット部材ケース42には、その車両後側に位置する後端面と、車両下側に位置する下端面の双方を切り欠く形でネット部材用開口部42Aが形成されている。
続いて、トノカバー31とネット部材36、及びトノカバー用巻き取り軸34とネット部材用巻き取り軸39との相互関係について、図6を用いて説明する。
ケース40内において、車両後側にトノカバー用巻き取り軸34が配されるとともに、車両前側にネット部材用巻き取り軸39が配されている。そして、トノカバー用巻き取り軸34は、ネット部材用巻き取り軸39より車両上側に配されている。また、トノカバー用巻き取り軸34は、トノカバー31を車両後方に向けて引き出す際にトノカバーがトノカバー用巻き取り軸34の車両上側から引き出される態様で、トノカバー31を巻き取る構成とされ、ネット部材用巻き取り軸39は、ネット部材36を車両後方に向けて引き出す際にネット部材36がネット部材用巻き取り軸39の車両下側から引き出される態様で、ネット部材36を巻き取る構成とされている。つまり、ネット部材用巻き取り軸39は、その巻き取り方向が、トノカバー用巻き取り軸34の巻き取り方向に対して反対方向となっている。そして、トノカバー31は、ケース40においてネット部材36より車両上側から引き出される構成となっている。
続いて、ネット部材36の配置を変更した荷室11の各レイアウトについて、図2から図4を用いて説明する。
ネット部材36は、そのシート面36Cが車両前後方向に沿って延在する横型配置(図2参照)と、そのシート面36Cが車両前後方向に対して交わる方向に沿って延在する縦型配置(図3参照)と、に変更可能とされている。さらに、ネット部材36は、他端部36Bをシートバック16Aに係止させた前側横型配置(図4参照)にも変更可能とされている。
図2に示すネット部材36の横型配置では、ネット部材36を車両後方に向けて引き出して、一対のフック37,37を車幅方向両側に配された一対の第1ネット部材被係止部25A,25Aに係止する。このネット部材36のシート面36Cに荷物Pが載置されると、その重さにより、ネット部材36に対してネット部材用巻き取り軸39から巻き取り方向に作用する力とは反対方向に力が作用して、ネット部材36が撓んだ状態となる。このネット部材36の横型配置では、荷室11の収容空間S1においてデットスペースとなりがちな上方の空間をネット部材36で区画して、新たな収容空間S3として使用することができる。ネット部材36の横型配置において、トノカバー31はネット部材36と干渉することなく車両後方に引き出すことができる。そして、ネット部材36に荷物を載置した状態でトノカバー31を張設すると、収容空間S3がトノカバー31の直下に位置することとなる。この収容空間S3は、荷物Pを外部からの視線から好適に隠すことが可能な、セキュリティー性に優れた空間であると言える。
図3に示すネット部材36の縦型配置では、ネット部材36を車両下方に向けて引き出して、一対のフック37,37を車幅方向両側に配された一対の第2ネット部材被係止部25B,25Bに係止する。このネット部材36の縦型配置では、荷室11の収容空間S1を、前側部分と後側部分との二つの収容空間に仕切って用いることが可能となる。また、他のネット部材36の縦型配置として、一対のフック37,37を車幅方向両側に配された一対の第3ネット部材被係止部25C,25Cに係止した場合には、例えば、デッキボード14の上面14Aに載置された荷物をネット部材36で覆うことができ、荷物が後部開口12側に荷崩れすることを抑制することができる。さらに、他のネット部材36の縦型配置として、一対のフック37,37を車幅方向両側に配された一対の第4ネット部材被係止部25D,25Dに係止した場合には、ネット部材36で乗員が乗車する車室と荷室11と仕切ることが可能となる。上記したいずれのネット部材36の縦型配置においても、トノカバー31はネット部材36と干渉することなく引き出すことができる。
図4に示すネット部材36の前側横型配置では、ネット部材36を車両下方に向けて引き出すとともに、車両前方に引き回して、一対のフック37,37をシートバック16Aの後面に設けられたシートバック側ネット部材被係止部16Bに係止する。このネット部材36の前側横型配置では、荷室11のうちトノカバー31で覆われない車両前側の部分をネット部材36で覆うことができる。そして、ネット部材36のシート面36Cに荷物Pを載置することで、車室内からアクセスし易い状態で荷物Pを収容することが可能となる。ネット部材36の前側横型配置において、トノカバー31はネット部材36と干渉することなく車両後方に引き出すことができる。
続いて、本実施形態におけるトノカバー装置30の作用・効果について説明する。
本実施形態のトノカバー装置30によれば、トノカバー31がケース40においてネット部材36より車両上側から引き出されるから、トノカバー31で荷室11を覆う際に、トノカバー31と荷室11内において様々な姿勢で配されたネット部材36とが干渉し難い。また、ネット部材36を車両後方に向けて引き出した場合には、ネット部材36のシート面36Cに載置した荷物をトノカバー31で覆い隠すような荷室11のレイアウトを実現することができる。このため、使用目的に応じて、荷室11の多様なレイアウトを実現することが可能となる。
また、本実施形態では、トノカバー用巻き取り軸34は、ネット部材用巻き取り軸39より車両上側に配されている。このため、トノカバー31がケース40においてネット部材36より車両上側から引き出される構成を、好適に、実現することができる。さらに、本実施形態では、ネット部材用巻き取り軸39は、トノカバー用巻き取り軸34に対して車両前側から重なるようにして配されている。このため、トノカバー用巻き取り軸34とネット部材用巻き取り軸39とが、車両前後方向に重ならず、トノカバー用巻き取り軸34の下端がネット部材用巻き取り軸39の上端より上方に位置するようにして配される構成に比べて、トノカバー装置30の車両上下方向の幅寸法を小さくすることができる。この結果、車両上下方向の深さが限られた収容空間S2(トノカバー装置収納部18)に、トノカバー装置30を収納し易い構成を実現することができる。
また、本実施形態では、トノカバー用巻き取り軸34は、トノカバー31を車両後方に向けて引き出す際にトノカバー31がトノカバー用巻き取り軸34の車両上側から引き出される態様で、トノカバー31を巻き取る構成とされ、ネット部材用巻き取り軸39は、ネット部材36を車両後方に向けて引き出す際にネット部材36がネット部材用巻き取り軸39の車両下側から引き出される態様で、ネット部材36を巻き取る構成とされる。このため、トノカバー31を車両後方に向けて引き出すタイプのトノカバー装置30において、トノカバー31がケース40においてネット部材36より車両上側から引き出される構成を、好適に、実現することができる。
また、本実施形態では、ネット部材用開口部42Aが車両下方及び車両後方に向けて開口するから、ネット部材36を車両下方から車両後方にかけて様々な方向に引き出して、荷室11のレイアウトを適宜変更することができる。例えば、仮にネット部材用開口部が車両下方に向けて開口せず、車両後方に向けてのみ開口するような構成では、ネット部材を車両下方に引き出す際に、ケースがネット部材に干渉して、その引き出しを阻害する虞がある。一方、本実施形態では、ネット部材36を車両下方に引き出す際においても、ネット部材36を車両後方に引き出す際においても、ケース40がネット部材36に干渉する事態を抑制することができ、好適に、ネット部材36の横型配置と縦型配置を実現することができる。
また、本実施形態では、ネット部材36は、そのシート面36Cが車両前後方向に沿って延在する横型配置と、そのシート面36Cが車両前後方向に対して交わる方向に沿って延在する縦型配置と、に変更可能とされている。このため、ネット部材36の横型配置の場合には、そのシート面36Cに荷物Pを載置する態様でネット部材36を用いることができるとともに、ネット部材36の縦型配置の場合には、荷室11をネット部材36で仕切るような態様でネット部材36を用いることができ、荷室11の多様なレイアウトを実現することが可能となる。
また、本実施形態では、ネット部材36は、トノカバー31より撓み易い構成とされている。このため、ネット部材36を車両後方に向けて引き出した場合において、ネット部材36のシート面36Cに載置した荷物Pをトノカバー31で覆い隠す際に、ネット部材36が撓むことにより、好適に、ネット部材36とトノカバー31との間に収容空間S3を形成することができる。また、ネット部材36を様々な姿勢で張設し易く、好適に、荷室11の多様なレイアウトを実現することが可能となる。
<実施形態2>
本発明の実施形態2を図7によって説明する。この実施形態2では、ローラ45が設けられたケース140を備えたトノカバー装置130について例示する。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
ケース140には、ネット部材用開口部42Aの開口縁のうち車両下側に位置する部分に、ネット部材36の引き出し方向及び巻き取り方向に沿って回動するローラ45が設けられている。ローラ45は、車幅方向に沿って点在する形で複数設けられている。各ローラ45は、ネット部材36の引き出し及び巻き戻しに伴って、そのシート面36C上で回転して、ネット部材36とケース140との摩擦抵抗を低減する機能を有する。
本実施形態によれば、ネット部材36を車両下方や車両前方に向けて引き出して、ネット部材36がケース140と干渉する場合であっても、ネット部材36を引き出し易い構成を実現することができる。このため、ネット部材36を様々な姿勢で張設し易く、好適に、荷室11の多様なレイアウトを実現することが可能となる。
<実施形態3>
本発明の実施形態3を図8によって説明する。この実施形態3では、ケース240を備えたトノカバー装置230について例示する。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
ケース240は、トノカバー用巻き取り軸34とネット部材用巻き取り軸39とを個別に収容するケース(実施形態1におけるトノカバーケース41及びネット部材ケース42)を備えず、一体的に形成された単一のケース内にトノカバー用巻き取り軸34とネット部材用巻き取り軸39とを収容する構成とされている。そして、ケース240は、互いに連通した形で形成されたトノカバー用開口部41Aとネット部材用開口部42Aとを有している。つまり、ケース240には、その車両後側に位置する後端面と、車両下側に位置する下端面の双方を切る欠く形で開口部43Aが形成されており、その開口における車両上側の部分がトノカバー用開口部41Aとされるとともに、車両下側かつ前側の部分がネット部材用開口部42Aとされている。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、シート状部材がネット部材であるものを例示したが、シート状部材はネット状以外の形状をなすシート状の部材で構成されていてもよい。
(2)上記実施形態以外にも、シート状部材の使用態様は適宜設定可能である。例えば、本発明は、シート状部材をトノカバーとして用いることを排除するものではない。
(3)トノカバーがケースにおいてネット部材より車両上側から引き出されるものである限りにおいて、上記実施形態以外にも、トノカバー用巻き取り軸とネット部材用巻き取り軸の配置や、これらの巻き取り方向は適宜変更可能である。例えば、ネット部材用巻き取り軸が、トノカバー用巻き取り軸に対して車両後側から重なるようにして配されていてもよい。
(4)上記実施形態以外にも、トノカバー及びシート状部材の配設態様は適宜変更可能である。例えば、シート状部材を車両下方に引き出すとともに、車両上方に引き回して、フックを車両の天井に係止して用いてもよい。
(5)上記実施形態では、ネット部材を係止するネット部材係止部の構成としてフックを例示したが、ネット部材係止部の構成は、これに限られない。また、上記実施形態では、ネット部材のフックと固定バンドの固定バンド係止部が、共通のネット部材被係止部に係止されるものを例示したが、ネット部材係止部はネット部材専用のネット部材被係止部に係止されるものであってもよい。
(6)上記実施形態では、トノカバー装置が荷室の中央部よりやや前方に設置されるものを例示したが、トノカバー装置の配設位置はこれに限られない。例えば、トノカバー装置は、荷室の前端部に設置されてもよい。
(7)上記実施形態以外にも、トノカバー、トノカバー用巻き取り軸、ネット部材、ネット部材用巻き取り軸、ケースの各形状、配置は適宜変更可能である。
30,130,230…トノカバー装置(車両用トノカバー装置)、31…トノカバー、34…トノカバー用巻き取り軸、36…ネット部材(シート状部材)、39…ネット部材用巻き取り軸(シート状部材用巻き取り軸)、40,140,240…ケース、42A…ネット部材用開口部(シート状部材用開口部)

Claims (6)

  1. 可撓性を有するトノカバーと、
    前記トノカバーを引き出し可能に巻き取るトノカバー用巻き取り軸と、
    可撓性を有するシート状部材と、
    前記シート状部材を引き出し可能に巻き取るシート状部材用巻き取り軸と、
    前記トノカバー用巻き取り軸と前記シート状部材用巻き取り軸とを収容するケースと、を備え、
    前記トノカバーは、前記ケースにおいて前記シート状部材より車両上側から引き出されることを特徴とする車両用トノカバー装置。
  2. 前記トノカバー用巻き取り軸は、前記シート状部材用巻き取り軸より車両上側に配されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用トノカバー装置。
  3. 前記トノカバー用巻き取り軸は、前記トノカバーを車両後方に向けて引き出す際に前記トノカバーが前記トノカバー用巻き取り軸の車両上側から引き出される態様で、前記トノカバーを巻き取る構成とされ、
    前記シート状部材用巻き取り軸は、前記シート状部材を車両後方に向けて引き出す際に前記シート状部材が前記シート状部材用巻き取り軸の車両下側から引き出される態様で、前記シート状部材を巻き取る構成とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用トノカバー装置。
  4. 前記ケースは、車両下方及び車両後方に向けて開口して、前記シート状部材が引き出されるシート状部材用開口部を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両用トノカバー装置。
  5. 前記シート状部材は、そのシート面が車両前後方向に沿って延在する横型配置と、そのシート面が車両前後方向に対して交わる方向に沿って延在する縦型配置と、に変更可能とされていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車両用トノカバー装置。
  6. 前記シート状部材は、前記トノカバーより撓み易いネット状の部材で構成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車両用トノカバー装置。
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