JP2016218152A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
る異常画像を防止する。
【解決手段】本発明に係る画像形成装置は、トナー像Tが担持される像担持体31と、像担持体と対向配置された転写部材404と、像担持体と転写部材とが接触する転写部Nでトナー像を記録材P転写するために転写バイアスを出力する転写バイアス出力手段39を備え、転写部に供給される転写バイアスは、少なくとも像担持体上のトナー像を記録材へ転写する際に、トナー像を像担持体側から記録材側に転写させる転写方向のバイアスと、転写方向と逆方向のバイアスとが交互に切り替わって周期変動し、転写バイアスの1周期中に占める逆方向へのバイアスが印加される時間が50%よりも大きい重畳バイアスであり、像担持体の線速に応じて、重畳バイアスにおける直流電圧を変更するように転写バイアス出力手段が制御されることを特徴としている。
【選択図】図1
Description
そこで、像担持体の線速を遅くする場合、交流電圧と直流電圧とを重畳した転写バイアスにおける交流電圧は変更しないで、直流電圧を下げるようにした構成が、例えば特許文献1に開示されている。
本発明は、転写バイアスが高Dutyの場合でも転写部でのトナーの過充電による異常画像を防止することを、その目的とする。
プリンタ100の基本的な構成について説明する。図1は、本実施形態に係るプリンタ100を示す概略構成図である。図1において、プリンタ100は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー像を形成するための四つの画像形成ユニット1(Y、M、C、K)を備える。プリンタ100は、転写装置としての転写ユニット30、記録材Pを収納するカセット60、定着装置90、制御部300を備えている。
四つの画像形成ユニット1(Y、M、C、K)は、粉体であり現像剤として、互いに異なる色のY、M、C、Kのトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。つまり、四つの画像形成ユニット1(Y、M、C、K)は、画像形成装置本体としてのプリンタ本体100Aに対して着脱自在に設けられていて、交換可能とされている。
画像形成ユニット1は、像担持体たるドラム状の感光体2、ドラムクリーニング装置3、除電装置、帯電装置6、現像装置8等を備えている。画像形成ユニット1は、これら複数の装置が共通の保持体に保持されてプリンタ本体100Aに対して一体的に脱着可能なプロセスカートリッジユニットを構成していて、ユニット単位で交換可能とされている。
転写ユニット30は、ベルト状の像担持体であり中間転写体でもある中間転写ベルト31の他に、複数の回転支持部材としての駆動ローラ32、二次転写裏面ローラ33、クリーニングバックアップローラ34と、四つの一次転写ローラ35(Y、M、C、K)と、押し下げ部材としての転写前ローラ37とを備えている。転写ユニット30は、プリンタ本体100Aに対してユニットごと着脱自在(交換可能)とされている。
基層310は、ある程度の屈曲性を有し且つ剛性の高い材料からなる無端ベルト状の部材である。弾性層311は、基層310のおもて面上に積層された柔軟性に優れた弾性材料から構成されている。
するように調整することが好ましい。また、近年の電子写真方式の画像形成装置に求められるような、凹凸シートへの高いトナー転写性を得るために、弾性層311の23℃50%RH環境下でのマイクロゴム硬度値を35以下にするように柔軟性を調整することが好ましい。マルテンス硬度、ビッカース硬度など、いわゆる微小硬度での計測は、測定部位のバルク方向の浅い領域、すなわち表面近傍のごく限られた領域の硬度しか測定していなのでベルト全体としての変形性能は評価できない。このため、例えば中間転写ベルト31全体としての変形性能が低い構成のものに、最表面に柔軟な材料を用いた場合、微小硬度値を低くしてしまう。このような中間転写ベルト31は変形性能が低い、すなわち凹凸シートへの追従性が悪いので、結果として近年の画像形成装置に求められる凹凸シートへの転写性能を十分に発揮することができなくなってしまう。よって、中間転写ベルト31全体の変形性能を評価することが可能なマイクロゴム硬度を測定して中間転写ベルト31の柔軟性を評価することが好ましい。
この実施形態では二次転写裏面ローラ33に転写バイアス出力手段としての電源39により二次転写バイアスが印加される。これにより、二次転写裏面ローラ33と二次転写ベルト404との間に、マイナス極性のトナーを二次転写裏面ローラ33側から二次転写ベルト404側に向けて静電移動させる二次転写電界が形成される。
二次転写ユニット41は、支持ユニット40に着脱可能に支持されていて、ユニット単位で交換可能とされている。二次転写ユニット41は、二次転写裏面ローラ33と中間転写ベルト31を介して対向配置された回転体であり転写部材でもある二次転写ローラ36を備えている。二次転写ユニット41は、3つの回転体としてローラ401、402、403と、二次転写ローラ36及びローラ401、402、403に巻き掛けられた二次転写ベルト404とを備えている。つまり、二次転写ユニット41は、転写部材が無端状のベルト部材で構成された二次転写ベルト404を備え、複数の回転体となる二次転写ローラ36及びローラ401、402、403で二次転写ベルト404を巻き掛けて回転移動可能に支持して搬送するベルトユニットである。なお、二次転写ローラ36はニップ形成ローラともいう。
二次転写ベルト404としては、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの樹脂材質のベルト部材を選択して用いることができる。二次転写ベルト404としては、これら材質ではなく、弾性材質のベルト部材を用いても良い。本実施形態では、厚みが80μmのポリイミド樹脂製のベルト(PIベルト)を用いている。
二次転写ユニット41は、濃度検出手段としてのパターン検出センサ407がローラ402と対向する二次転写ベルト404の外側に配置されている。パターン検出センサ407は画像濃度調整に用いているものである。
本実施形態では、二次転写裏面ローラ33に、二次転写に用いるバイアス(二次転写バイアス)を電源39から印加するように構成しているが、二次転写ローラ36にバイアスを電源39から印加するようにしてもよい。二次転写ローラ36にバイアス(二次転写バイアス)を印加する場合には、トナーとは逆極性の二次転写バイアスを印加し、二次転写裏面ローラ33にバイアスを印加する場合には、トナーと同極性のバイアスを印加する。
つまり転写部に供給される電圧は、少なくとも像担持体上のトナー像を記録材Pへ転写する際に、トナー像を像担持体側から記録材側に転写させる転写方向の電圧と、転写方向の電圧と逆極性の戻し方向の電圧とが交互に切り替わるものであり、電圧の1周期中に占める戻し方向の電圧が印加される時間を50%よりも大きくなるように電源39から出力される二次転写バイアスである。二次転写バイアスについては、後段で詳細に説明する。
このような構成において、プリンタ100のプロセス線速である、感光体2Y、2M、2C、2K及び中間転写ベルト31の移動速度である線速E1、E2は、同一の線速で移動するように構成されている。また、これら線速E1、E2は、所定速度となる標準速度Eaに対して増減可能とされている。例えば、標準画質のプリント物を得る場合、プリンタ100には標準速度Eaが設定され、速度優先画質のプリント物を得る場合には標準速度Eaよりも早い線速+E1、+E2が設定され、標準画質よりも画質が高いプリント物を得る場合、標準速度Eaよりも遅い線速−E1、−E2が設定される。
二次転写バイアスとしては、二次転写裏面ローラ33ではなく、二次転写ローラ36に電源39から印加供給するようにしてもよい。二次転写ローラ36にバイアス(二次転写バイアスを印加する場合には、トナーとは逆極性の二次転写バイアスを印加し、二次転写裏面ローラ33にバイアスを印加する場合には、トナーと同極性のバイアスを印加する。
一方、図4(b)に示すように、二次転写ローラ36を記録材搬送方向bの上流側にオフセットすると、記録材Pは二次転写ニップNより先に中間転写ベルト31に密着する。このため、二次転写バイアスが印加されて高電界となっている二次転写裏面ローラ33の領域(二次転写ニップN)に到達する時点では空隙Sは小さくなっており、放電を防ぐことができる。
図5(b)は、二次転写裏面ローラ33と二次転写ローラ36を介して二次転写ベルト404とを一定圧で圧接させた状態で、矢印Zで示す記録材搬送方向の上流側へオフセットしたものである。
二次転写裏面ローラ33と二次転写ローラ36の中心間距離が同じであり、両ローラ及び二次転写ベルト404の潰れ方が同じだと仮定した場合、ニップ自体は幾何学的に決まる。図5(a)、図5(b)に示すように、二次転写裏面ローラ33と二次転写ローラ36の2つのローラの間に挟まれている本ニップn1の領域の長さL1は共通である。オフセット方向Zにオフセットしている図5(b)の場合には、中間転写ベルト31が二次転写ベルト404を介して二次転写ローラ36の外周面36aにのみ巻き付いている長さL2のプレニップn2が存在する。
なお、ここでは転写部材として二次転写ベルト404を用いているが、転写部材として二次転写ローラ36を単独で用いるローラ転写方式の場合は、中間転写ベルト31が二次転写ローラ36の外周面36aにのみ直接巻き付いている長さL2がプレニップn2となる。このため、図5(a)に示すようにオフセット無しの場合、二次転写ニップNの幅Lは本ニップn1の領域の長さL1となり、図5(b)に示すオフセット在りの場合、二次転写ニップNの幅Lは、本ニップn1の領域の長さL1+プレニップn2の長さL2となる。
なお、図6では、オフセットさせることでできる記録材Pと中間転写ベルト31とのニップ前での接触距離をプレニップ量と呼んでいる。オフセットさせることでプレニップは形成されるので、二次転写ローラ36の位置以外を固定すると、オフセット量とプレニップ量は一対一で対応する。すなわち、中間転写ベルト31のニップ前の軌跡やローラ径、硬度などを変えるとそれによってもプレニップ量は変わるので、ここを固定すると一対一で対応することになる。
ここで、本実験におけるプレニップ量について図7を用いて説明する。
図7は、二次転写裏面ローラ33、二次転写ローラ36、弾性ベルトで構成された中間転写ベルト31及び転写前ローラ37を抜き出した図である。このとき、二次転写裏面ローラ33と二次転写ローラ36の中心を結んだ破線と、二次転写ローラ36の中心から中間転写ベルト31への垂線とのなす角度をα[deg]としている。このときプレニップ量は、2π×(二次転写ローラ36の半径)×α/360°と定義する。すなわち、中間転写ベルト31のうち、二次転写ローラ36の外周面36aに対して巻きついている部分をプレニップと定義している。そのため、プレニップ量は、前述のように、二次転写ローラ36の径や中間転写ベルト31の軌跡などによって変化する。しかし、これら変動要素を固定して考えると、二次転写ローラ36のオフセット量で決まる。図6のプレニップ量と放電との関係は、このようにしてオフセット量を変化させてプレニップ量を変えている。
図6によると、二次転写電流が高いほど二次転写電圧は高くなるため、放電に対して厳しい。そのため、より幅広い電流域で(高電流で)放電が出ないほど余裕がある。また、本実施形態では転写性の観点から設定電流(目標電流A1)として―120[μA]を用いているため、少なくともこの設定において放電が出ないことが必須である。この観点から見た場合、弾性ベルトではプレニップ量として4mm以上が必須であり、PIベルトでは2mm以上が必須である。
なお、この実験結果(の数値)は、本実施形態の構成においてのものであり、一般的にベルト膜厚やローラ径・硬度・プロセス線速など様々な要因により余裕は変わるので、必要なプレニップ量は画像形成装置毎に異なる。また、同じ構成であれば、中間転写ベルト31としてPIベルトを用いる場合の方が、弾性ベルトを用いる場合に比べて放電への余裕度が大きくなる。なお、二次転写裏面ローラ33と二次転写ローラ36とに挟まれている図5で説明した本ニップn1の量(記録材搬送方向bへの幅)は一般に2mm〜5mm程度に設定されることが多い。
図7に示す構成において、二次転写裏面ローラ33と二次転写ローラ36の直径は同一として、二次転写ローラ36の硬度は70HS(JIS A)、二次転写裏面ローラ33はゴム硬度AskerC50°としている。これは二次転写ローラ36が固い方が、弾性の中間転写ベルト31のゴム性を活かし易いためであるが、硬度の組み合わせ、大小関係は前述の数値・関係に限らず、様々なものを用いてよい。
また、二次転写裏面ローラ33と二次転写ローラ36の直径の関係も異なる数値であっても、大小どちらの組み合わせでも本発明の効果は得られる。
本実施形態では、図7に示すように、二次転写ローラ36を記録材搬送方向bの上流側にオフセットさせることで、記録材Pを二次転写ニップNより手前側で中間転写ベルト31に密着させて運ぶため、ニップ前の中間転写ベルト31と記録材Pとの空隙S(図4(b))をなくすことで放電を防止している。また、電界分布から本実施形態の効果を説明すると、転写電界の分布としては二次転写ニップNが最も強い電界が働いており、徐々に手前側(搬送方向上流側)が弱くなっている。記録材Pが電界分布の強いところで中間転写ベルト31と接触すると、その過程で中間転写ベルト31と記録材Pとの間に空隙Sがあると、空隙で放電が起こる。そのため、電界の弱いニップ上流側(ニップ手前側)で中間転写ベルト31と記録材Pとを接触させることで放電を防ぐことが可能となる。
なお、本実施形態において、電源39から出力される二次転写バイアスは、定電流制御を用いている。これは、中間転写ベルト31と記録材Pの抵抗によらず、二次転写ニップNに対して一定の転写電圧(転写電界)を得られるようにするためである。
図8に示すプレニップ量の特定方法1では、
図8(a)に示すように、本ニップ幅を特定する。この本ニップ幅を特定するには、ニッタ株式会社製の面圧分布測定システムI-SCAN(商品名)にて圧がかかっている部分を推定する。具体的には、ここでは厚分布Aと圧分布Bとに示すような異なるハッチングパターンで示す圧分布が得られるので、予め決めた閾値以上の圧を本ニップ幅と定義する。
次に図8(b)に示すように、本ニップ+プレニップ幅を測定する。この測定には、中間転写ベルト31にある程度の幅(例えば10mm程度)のトナーを付着する。トナーを付着する領域は二次転写ニップNよりも十分広い領域とする。
次に図8(c)に示すように、この状態で中間転写ベルト31に対して二次転写部材の当接と離間の動作を何度も繰り返す。本実施形態では、二次転写ユニット41の当接離間動作を行うとともに、必要に応じて二次転写ユニット41を引き出して清掃した上で、再度当接と離間を繰り返す。二次転写ベルト404を用いずに転写部材としての二次転写ローラ36を用いる場合には、二次転写ローラ36を当接離間動作させる。このような動作を行うと、中間転写ベルト31のトナーが薄くなった領域ができ、この領域が二次転写部材と中間転写ベルト31の接触領域(ニップ+プレニップ)となる。
図8(d)では、接触領域(本ニップ幅+プレニップ幅)の幅を計測し、この幅から本ニップ幅を引くことで、プレニップ幅(プレニップ量)がわかる。
図9(a)に示すように、 二次転写ローラ36、二次転写裏面ローラ33、中間転写ベルト31を上流側で張っている転写前ローラ37の3つの軸中心G1、G2、G3の座標を特定する。次に二次転写ローラ36と二次転写裏面ローラ33の外径と硬度を測定するとともに、転写前ローラ37の外径を測定する。
図9(b)に示すように、図9(a)で測定した測定結果より硬度の小さい側のみが潰れていると仮定して、3本のローラ位置をスケッチする。スケッチした結果から、二次転写ローラ36のみに巻きついている部分をプレニップn2とする。このような2つの特定方法を用いてプレニップn2を特定することができる。
なお、プレニップはローラ同士に挟まれていない領域で二次転写ローラ36の外周面36aや二次転写ベルト404の外周面にベルト状の像担持体(中間転写ベルト31)が巻き付いている範囲であり、この範囲の長さ(量)としては、概ね2〜5mmである。また、ローラ同士に挟まれた範囲であるニップ量(本ニップ量)は概ね2〜5mmである。
上述したように、プレニップn2を作ることで放電を防ぐことはできるが、このとき図5(b)に示すように、プレニップn2を増やすことで二次転写ニップNの総量としては増える。このため、転写電流が記録材Pの表面を伝ってから、アースされている二次転写ローラ36側へ流れやすくなる。これにより、トナーが過充電されて二次転写時に転写性の低下要因(転写不良)となる場合がある。
また、多層構造のベルト状の像担持体としての構成された中間転写ベルト31の場合も、二次転写電流の回り込みにより、二次転写電流を阻害してしまうことで、二次転写時の転写性の低下要因となってしまう。
そこで、本実施形態では、電源39から二次転写裏面ローラ33に印加される二次転写バイアスとして、直流成分である直流電圧に交流成分である交流電圧を重畳した重畳バイアスを用いるとともに、高dutyの波形となるように電源39から二次転写バイアスを出力するように構成している。本実施形態において高dutyとは、50%よりも大きい状態を指す。
この高dutyの波形では、図12(a)を参照すると、交流電圧の一周期のうち、中間転写ベルト31(像担持体)側から記録材P側へトナー像を移動させる転写方向へのピーク電圧Vtの持続時間Aを50%未満とし、ピーク電圧Vtよりも弱い電圧もしくはピーク電圧Vtと逆極への電圧のピーク電圧(Vr)(転写方向に対して逆方向のピーク電圧Vrという)の持続時間Cを50%よりも大きくしている。前者である記録材P側へトナー像を移動させる転写方向のピーク電圧Vtによりトナーを記録材Pへ転写させる機能を確保しつつ、ピーク電圧Vtよりも弱い電圧もしくは極性が逆のピーク電圧Vrをピーク電圧Vtよりも長い時間持続させることで、トナー像が二次転写ニップNを通過する際にトナーに対して過充電することを防止することができる。
さらに、本実施形態では、各感光体及び中間転写ベルト31の線速E1、E2を変更する際に、二次転写バイアス(重畳バイアス)中の交流電圧は変更せずに直流電圧のみ変更するようにしている。具体的には、線速E1、E2が基準速度Eaよりも低下して遅い線速−E1、−E2となる場合、交流電圧は変更せずに直流電圧を、基準速度Eaの時よりも低下するように変更する。すなわち、各感光体及び中間転写ベルト31の線速E1、E2に応じて、二次転写バイアス(重畳バイアス)における直流電圧を変更するようにしている。具体的には、転写バイアス出力手段たる電源39を制御して、各感光体及び中間転写ベルト31の線速E1、E2が遅いほど直流電圧の絶対値を小さくするようにしている。
例えば、交流成分のみを小さくすると、トナーと同極性側の電荷も相対的に低減するので、過転写が生じて二次転写時の転写性が低下して転写不良となる。
しかし、本実施形態では、線速E1、E2を低下させて遅い線速−E1、−E2にした際に、交流成分である交流電圧は変更せずに直流成分である直流電圧のみ低下させることで、帯電しているトナーの極性と逆極性側の電荷がトナーに供給されることが抑制される。すなわち、トナーと同極性の電荷がトナーに供給されることで、トナーの極性と逆極性の電荷がトナーから低減されて過充電を抑制することができ、結果、転写バイアスが高Dutyの場合でも二次転写ニッブNでのトナーの過充電による異常画像を防止することができ、転写性を向上することができる。
図13に示すように、制御部300は、演算手段たるCPU(Central Processing Unit)301、不揮発性メモリたるROM(Read Only Memory)302、一時記憶手段たるRAM(Random Access Memory)303を有している。プリンタ全体の制御を司る制御部300には、様々な構成機器やセンサ類が通信可能に信号線を介して接続されているが、図13においては、本プリンタの特徴的な構成に関連する構成機器だけを示している。なお、図13においては、各形態で用いる構成やセンサ類を併記しており、各形態の制御部300として機能するものとして説明する。
オペレーションパネル408は、表示部、操作部などを備えたもので、各種情報の入力操作や設定操作がユーザやサービススタッフ等の作業者によって行われるものである。ここで操作内容や設定内容は、制御部300に入力されるとともに、制御部300から送信された内容が表示可能とされている。
1次転写用の電源81(Y、M、C、K)は、1次転写ローラ35Y、35M、35C、35Kに印加するための1次転写バイアスを出力するものである。
電源39は、二次転写裏面ローラ33に印加するための二次転写バイアスを出力する。この電源39は、制御部300によってその出力が制御される。なお、ここでは、電源39の出力制御にプリンタ全体の動作を制御する制御部300を用いているが、制御部の形態としては、プリンタ全体の動作の制御部とは個別に、電源39の出力制御用の制御部300を設けた形態であっても良い。
本実施形態において、プリンタ100は、作像条件を調整するための画像調整モードを有している。プリンタ100は、画像調整モードにより作像条件を調整する場合、現像バイアスや帯電バイアスを変化させて濃度調整用パターンとなるテストパッチをトナーで作像する。プリンタ100は、そのテストパッチを二次転写ベルト404上に転写して、パターン検出センサ407で濃度を検出し、この検出値に基づいて作像条件の調整を行うように構成されている。この処理は、制御部300によって行われる。本実施形態では、二次転写ベルト404上でテストパッチを検出しているが、中間転写ベルト31上で検出するようにしても良い。
制御部300は、画像調整モードが始動すると、各感光体上にテストパッチを形成するように、書込みユニットの駆動部304と画像形成ユニットの駆動部305を駆動する。制御部300は、テストパッチ(トナー像)を中間転写ベルト31上に転写するように、一次転写用の電源81(Y、M、C、K)と中間転写ユニットの駆動部306を駆動する。制御部300は、中間転写ベルト31上に転写されたテストパッチを二次転写ベルト404上に転写すべく、電源39と二次転写ユニットの駆動部307を駆動する。
直流電源110は、中間転写ベルト31のおもて面31a上のトナーに対して二次転写ニップN内でベルト側から記録材Pに向かう静電気力を付与するための直流電圧を出力するための電源である。直流電源110は、直流出力制御部111、直流駆動部112、直流電圧用トランス113、直流出力検知部114、出力異常検知部115、電気接続部221を備えている。
交流電源140は、二次転写ニップN内に交流電界を形成するための交流電圧を出力するための電源である。交流電源140は、交流出力制御部141、交流駆動部142、交流電圧用トランス143、交流出力検知部144、出力異常検知部145、電気接続部242と電気接続部243を備えている。
出力異常検知部115は、直流電源110の出力ライン上に配置されており、電線の地絡等によって出力異常が発生した際には、リークなどの出力異常を示すSC信号を制御部300に出力する。これにより、制御部300による直流電源110からの高圧出力を停止するための制御を実施することが可能になる。
交流駆動部142には、交流電圧の出力周波数を制御するAC_CLK信号が入力される。交流駆動部142は、交流出力制御部141からの制御及びAC_CLK信号に基づいて、交流電圧用トランス143を駆動する。交流駆動部142は、AC_CLK信号に基づいて交流電圧用トランス143を駆動することで、交流電圧用トランス143によって生成される出力波形を、AC_CLK信号で指示された任意の周波数に制御することができる。
交流出力検知部144は、交流電圧用トランス143の交流電圧の出力値を検知して交流出力制御部141に出力する。また、検出した出力値をFB_AC信号(フィードバック信号)として制御部300に出力する。これは、環境や負荷によって転写性を低下させないように、制御部300においてAC_PWM信号のデューティを制御するためである。なお、交流電源140は、定電圧制御を行うものであるが、定電流制御を行うものを用いてもよい。また、交流電圧用トランス143(交流電源140)が生成する交流電圧の波形については、正弦波、矩形波の何れであってもよいが、本プリンタ100では、短パルス状矩形波を採用している。交流電圧の波形を短パルス状矩形波にすることで、より画像品質の向上を図ることが可能になるからである。
図12(a)、図12(b)は、電源39から出力される二次転写バイアスの波形の一例である。トナー像を記録材Pに転写させるには、ある一定の大きさの電圧を二次転写ニップNに印加供給する必要がある。しかし、電圧を印加し続けると、ここまでに説明したように、トナーが過充電を起こし、転写不良が生じてしまう。
図12(a)は、二次転写に必要な大きさの電圧を印加するが、Dutyを50%よりも大きく設定することで印加時間を短くし、トナーの過充電を防ぐことで、ハーフトーン出力画像が転写する理想波形である。図12(a)中の記号は、Vr:正の電圧のピーク値(逆極性電圧のピーク値/戻し方向の電圧のピーク値)、Vt:負の電圧のピーク値(転写方向の電圧のピーク値)、Voff:(Vr+Vt)/2、Vpp:Vr−Vt、Vave:Vr×Duty/100+Vt×(1-Duty)/100、A:Vtの持続時間、B:電圧波形1周期の時間、Duty:(B−A)/B×100(%)、C:Vrの持続時間をそれぞれ示す。すなわち、Dutyとは、大まかにいうと、交流電圧の波形1周期中の時間Bに対するVtの持続時間(印加時間)AとVrの持続時間(印加時間)Cの比率であるともにいえ、B−AあるいはA<Cが50%よりよりも大きく(高い)ものを高Dutyと呼ぶ。
図12のVoffとは直流電圧(直流成分)であって、二次転写バイアスの転写方向の電圧のピーク値Vtと、戻し方向の電圧のピーク値Vrと、の中心値である。
つまり、二次転写バイアスがトナーの帯電極性とは逆のプラス極性におけるピーク値Vrとになっているときには、中間転写ベルト31側から記録材P側へのトナーの静電移動が抑制される。二次転写バイアスがトナーの帯電極性と同じマイナス極性におけるピーク値Vtになっているときには、中間転写ベルト31側から記録材P側へのトナーの静電移動が促進される。
このような二次転写バイアスを採用すると、交流電圧1周期B内において、トナーに対してその帯電極性とは逆のプラス極性の電荷を注入する可能性のある時間を短くすることになる。そのため、二次転写ニップN内での電荷注入によるトナー帯電量の低下を抑えることが可能になる。これにより、トナー帯電量の低下に起因する二次転写性の低下による画像濃度不足の発生を抑えることができる。
図15(a)〜図15(c)は、図12(b)の波形を模式的に記載したものであり、この図を使ってDutyをより説明する。
二次転写バイアス中の交流成分である交流バイアスは、転写方向に向かうバイアスと、転写方向と逆方向に向かうバイアスである。本実施形態において、転写方向とは、マイナス極性に向かう事であり、逆方向とは+極性に向かうことである。このうち、転写方向のバイアスと逆方向のバイアスとは、極性切替基線Jとなる0Vを境にして互いに逆極性のバイアスである。1周期中に占める逆方向へのバイアスが印加される時間とは、図15(a)に示すようにバイアスが0Vよりも逆極性であるプラス極性側である符号P1とP2で示す間の時間Caとすることができる。
1周期中に占める逆方向へのバイアスが印加される時間とは、図15(b)に示すように、バイアスが逆方向のピーク電圧Vrに達した時を示す符号P3から転写方向のピーク電圧Vtに向かって立ち下がり始める時を示す符号P4までの範囲の時間である。図15(b)では、P3とP4で示す間の時間Cbとすることができる。
また、1周期中に占める逆方向へのバイアスが印加される時間とは、図15(c)に示すように、逆方向のピーク電圧Vrから転写方向のピーク電圧Vtに向けて30%の値だけシフトさせた位置を基線J1とする。このときの、この基線J1よりも逆方向側となる時間であり、符号P5と符号P6で示す間の時間Ccとすることができる。
実験1
実験条件
環境:27℃/80%、記録材:Mohawk Color Copy Gloss 270gsm(457mm×305mm)
プロセス線速:630mm/s
出力画像:Bkハーフトーン
二次転写ニップの幅:4mm
記録材には、コート紙の転写時に限らず、普通紙や再生紙の転写時に実施形態で説明した二次転写バイアスを用いても良い。
図16(a)〜図16(e)は、図12(a)の波形の条件で、Dutyを10%から90%までの間で変更した時の出力波形の画像である。これらの波形でハーフトーン画像を出力し、図17に示すように、官能評価のランク付けを行った。ランクは次のようにして評価した。評価ランクは1〜5までの5段階とし、ランクが高い程、高評価とした。
図16(a)〜図16(e)におけるDutyは、図15(b)における(Cb/B)×100(%)で定義する。すなわち、二次転写バイアスの1周期においてバイアスが逆方向のピーク電圧Vrに達した時を示す符号P3から転写方向のピーク電圧Vtに向かって立ち下がり始める時を示す符号P4までの時間Cbの、1周期の長さBに対する割合である。なお、Dutyは、図15(a)における(Ca/B)×100(%)、または、図15(c)における(Cc/B)×100(%)で定義してもよい。
すなわち、十分なハーフトーンの濃度を得られている場合をランク5と評価した。ランク5に比べてやや薄いが、問題のない濃さが得られている場合を、ランク4として評価した。ランク4に比べてさらに薄く、ユーザに提供する画質としては問題となる場合をランク3として評価した。ランク3に比べてさらに薄い場合をランク2とし、全体的に白っぽい場合やそれよりも薄い場合をランク1として評価した。ユーザに提供できる画質の許容レベルとしては、ランク4以上である。
図17の実験1の評価結果によると、Dutyが90%と70%ではランク5であり、50%でランク3、30%と10%でランク1であった。
また、波形において、VrとVtで極性を反転させると、過充電をより確実に防げる。その理由は、記録材Pが帯電している場合でも、0Vをまたぐことで充電を防ぐ向きに電界をつくるからである。
以上のように、本実施形態では、二次転写ニップNの幅が広くなるように、二次転写ローラ36を記録材搬送方向bの上流側にオフセットしていても、二次転写バイアスとして高Dutyの重畳バイアスを使用することで、プレ放電と転写不良の両方を防止して、良好な画像を提供することができる。高Dutyとは、少なくとも50%よりも大きく、より好ましくは70%以上となる。
この実験は、線速を変更した際に、二次転写バイアス(重畳バイアス)の直流電圧(直流成分)と交流電圧(交流電圧)を変更した際の画像の評価を行ったものである。図18は、その評価結果を示す。図18では、線速E1、E2を標準線速Eaの80%にした遅い線速−E1、−E2としている。
実験条件
環境:27℃/80%、記録材:Mohawk Color Copy Gloss 270gsm(457mm×305mm)
プロセス線速:630mm/s(これが100%の線速(標準線速Ea))
出力画像:シアン(ブルー)のベタ画像とシアン(ブルー)のハーフトーン
二次転写ニップの幅:4mm
環境:27℃/80%RH、記録材:Mohawk Color Copy Gloss 270gsm(457mm×305mm)
実験2では、図12bに記す波形の二次転写バイアスを用いている。
二次転写バイアスの出力が、Vt:−4.8kV、Vr:1.2kV、Voff(DC成分):−1.8kVの場合が、図18のDC成分100%の値となる。
Vave:0.08kV、Vpp(AC成分):6.0kVが、図18中のAC成分100%の値となる。
Vtピークの持続時間A:0.10ms、波形の周期B:0.66msで、この波形のDutyは85%である。
バイアス条件
条件1では、AC成分(交流電圧)とDC成分(直流電圧)を標準線速Ea時と同じ値とした。
条件2では、AC成分(交流電圧)は標準線速Ea時と同じ値とし、DC成分(直流電圧)は線速倍した値とした。
条件3では、AC成分(交流電圧)は線速倍した値、DC成分(直流電圧)は標準線速Ea時と同じ値とした
条件4では、AC成分(交流電圧)DC成分が線速倍した値とした
◎: 十分な濃度を得られている。
〇: ◎に比べてやや薄いが、問題のない濃度が得られている。
△: 〇に比べてさらに薄いが、ユーザに提供する画質として許容される。
×: △に比べてさらに薄く、ユーザに提供する画質として許容されない。
評価結果
条件1では、過転写によりハーフトーンの転写性が悪い。
条件2では、ベタとハーフトーンの両方の転写性が良い。
条件3では、過転写によりハーフトーンの転写性が悪い。
条件4では、転写バイアス不足でベタの転写性が悪い。
以上の結果より、プロセス線速を変更した際、AC成分(交流電圧)は標準線速Ea時と同じ値、DC成分(直流電圧)は線速倍した値が最適値であるといえる。
実験3
次に下記の条件5で、プロセス線速を80%にした際のバイアス設定とその画像評価の実験を行った。
バイアス条件
条件5では、二次転写バイアスのAC成分:100%、二次転写バイアスのDC成分:70%とし、これ以外の条件及び画像の官能評価のランク付けは、実験2と同様である。
評価結果
画像評価 ベタ(ブルー):△、ハーフトーン(ブルー): ◎
変形例1では、プロセス線速を、標準線速Eaよりも遅くした線速−E1、−E2とした場合、記録材Pの各部位が二次転写ニップNを通過する時間(ニップ時間)が長くなる分だけ、トナーへの充電時間が長くなり、過充電すなわち過転写になる。
条件5では、標準線速EaのDC成分(直流電圧)に対する線速が遅い場合DC成分(直流電圧)の割合は(70%)を、実験2で記載した、標準線速Eaに対する遅い線速の割合(80%)よりも小さくした。
なお、線速が遅い場合DC成分(直流電圧)の大きさは、例えばプリンタ100に設けられた図13に記載したオペレーションパネル408等によって作業者が変更可能な構成としてもよい。
オペレーションパネル408(設定手段)によって設定された「線速が遅い場合のDC成分の大きさ」は、ROM302に記憶することが好ましい。制御部300は、ROM302に記憶された「線速が遅い場合のDC成分の大きさ」に基づき、電源39の出力する二次転写バイアスのDC成分(直流電圧)が上記大きさになるように、電源39を制御する。
一方、ベタ等の濃度の濃い画像を出力する場合、「線速が遅い場合のDC成分の大きさ」を大きめに設定する(例えば80%)。
「線速が遅い場合のDC成分の大きさ」を変更可能とすることで、低速でプリントするとき、出力対象の画像濃度に応じた最適なバイアスで画像を転写することができる。
つまり、プリンタ100は、画像濃度に応じて重畳バイアスにおける直流電圧を変更可能とされていて、画像濃度が薄くなるに従い、重畳バイアスにおける直流電圧を低下するように制御部300によって電源39の出力を制御可能とされている。
上記の実施例(条件2)や変形例1(条件5)ではAC成分(交流分圧)をプロセス線速によらず固定(100%)としたが、線速に応じてDC成分(直流電圧)とAC成分(交流分圧)の大きさをともに可変としてもよい。
この場合、電源39が出力する重畳バイアスの波形は少なくとも以下のような関係を満たせばよい。
条件:遅い線速−E1、−E2(80%など)のときのVrの値は、標準線速Ea(100%)のときのVrの値よりも、転写方向とは逆方向に寄っている。転写方向とは、正規帯電したトナーを中間転写ベルトから用紙へ移動させる方向である。
例えば、図12bの例で標準線速Ea(100%)のときのVrが+1.2kVであるとき、遅い線速−E1、−E2(80%など)のときのVrの値を+1.2kVよりも大きくする。
線速が遅い場合は、標準線速Eaの場合よりもニップ時間が長くなるが、Vrを転写方向とは逆方向に寄った値とすることで、標準線速Eaの場合よりも、トナーに注入された電荷を多めに抜くことができる。これによって、線速が遅い場合のトナーの過充電、過転写をより確実に防止できる。
交流成分(AC成分)の大きさは、上記の条件を満たす範囲であれば、プロセス線速に応じて変更してもよい。例えば、プロセス線速が100%のときのAC成分の大きさ(すなわちピークツウピーク電圧Vppの大きさ)を100%としたとき、プロセス線速が80%のときのAC成分の大きさを90%や95%などに設定してもよい。
本実施形態は、記録材Pとして凹凸紙の転写性を確保するために中間転写ベルト31として弾性ベルトを用いている。各色のトナーは、中間転写ベルト31に重ね合わせられる一次転写工程の後に、二次転写ニップNにおいて記録材Pに一括転写する二次転写工程を行なう。この中間転写ベルト31は、例えば、図3(a)に示すように、内側の層(にポリイミドやポリアミドイミドの50μm〜100μm程度の基層310を有しており、その上にアクリルゴムなどを用いた弾性層311を積層され、さらに表層に離形性を付与するためのコーティングによりコート層312などが施されている。弾性層311は100μm〜1mm程度のものが一般的である。この中間転写ベルト31のゴム性に応じて、二次転写では必要な圧を付与することで凹凸を有する記録材Pに対して、凹部にもトナーを良好に転写することができる。中間転写ベルト31には、ポリイミド樹脂製のベルト(PIベルト)を用いている。
しかし、何れにしても転写するために必要な転写圧をかけることで、記録材Pは中間転写ベルト31に対して高い密着性を持ち、二次転写ニップNを出ても記録材Pが中間転写ベルト31から分離されずに分離不良を起こすことがある。これは、二次転写ローラ36を用いたようなローラ方式において顕著である。そのため、実施形態1のように二次転写ベルト方式の二次転写ユニット41と組み合わせることで、高い分離性と記録材Pへの転写性を両立させることができるので好ましい。
従って、本実施形態のように、弾性ベルトからなる中間転写ベルト31を用いる場合、プレニップはPIベルトを用いる場合よりも広くする必要がある。このため、本実施形態では、実施形態1−4の構成で設定しているプレニップの長さよりも長い、5.2mmとした。この長さとは、記録材搬送方向bに対するものである。
このように、弾性ベルトを中間転写ベルト31に用いる場合、プレニップが大きくなるので、二次転写ニップNの長さも大きくなり、トナーに対して過充電しやすくなる。このため、弾性ベルトを中間転写ベルト31に用いる場合に、二次転写バイアスとしては高Duty(50%よりも大きい)の重畳バイアスを用いることで、PIベルトを中間転写ベルト31に用いる場合よりも、高い分離性と記録材Pへの転写性を確保しながら、トナーの過充電による異常画像の発生を防止できるので好ましい。
しかし、二次転写効率が高める反面、規則的に並ぶ絶縁性の粒子313の粒子間において、集中的に二次転写電流を流すことで、トナーに対して逆極性の電荷が注入し易くなり、過充電となってしまうことがある。このため、二次転写効率を高める狙いで粒子313を分散させているにもかかわらず、却って二次転写効率を悪くしてしまうことになり兼ねない。
このような粒子313を備えた弾性ベルトを中間転写ベルト31として用いる場合でも、高デューティ(50%よりも大きい)の二次転写バイアスを採用することで、粒子313による二次転写効率の向上効果を確実に得ることが可能になる。さらに、Dutyが50%よりも大きい重畳バイアスを印加する状態で、プロセス線速が基準速度Eaよりも低下する場合、交流電圧は変更せずに直流電圧を低下させた二次転写バイアスを電源39から出力することで、過転写を防止できる。
また、粒子313として、トナーの正規帯電極性と同極性の帯電性能を有するものを用いてもよい。本プリンタでは、負帯電性のシリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール)などである。
すなわち、中間転写ベルト31上のトナー像を記録材Pへ転写する際に、トナー像を中間転写ベルト31側から記録材P側に転写させる転写方向の電圧と、転写方向の電圧と逆方向である戻し方向の電圧とが交互に電圧切り替わって周期変動する二次転写バイアスを出力する波形は、転写方向の電圧をVr、戻し方向の電圧をVtとしたとき、両者が0Vよりも戻し方向側の極性において、転写方向側と戻し方向側に出力が切り替わる波形であっても良い。
また、標準線速Eaでは、例えば図20に示す極性が交互に切り替わらない転写バイアスを用いるとともに、標準線速Eaよりも遅い線速−E1、−E2では、図12、図15、図16に示すような極性が交互に切り替わる転写バイアスを用いてもよい。
上記各実施形態では、画像形成装置として、転写部(二次転写ニップN)で記録材Pを水平方向に搬送するものを用いて説明したが、転写部で記録材Pを上方、下方、斜め上方向あるいは斜め下方向などへ搬送する構成の画像形成装置に本発明は適用することもできる。
例えば、画像形成装置としては、プリンタではなく、複写機、ファクシミリ単体、あるいは、複写機、プリンタ、ファクシミリ、スキャナのうちの少なくとも2つの機能を備えた複合機であってもよい。
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
31a 像担持体の表面
33 対向部材、発泡性のローラ
36 転写部材、中間転写体、二次転写ローラ
39 転写バイアス出力手段
36a、404a 転写部材の外周面
100 画像形成装置
300 制御部
310、311、312 複数の層
311 弾性層
401〜403、36 複数の回転体
404 転写部材、中間転写体、二次転写ベルト
b 記録材搬送方向
B 転写バイアスの1周期
C、Ca、Cb、Cc 逆方向へのバイアスが印加される時間
Ea 像担持体の線速(所定速度)
J 極性切替基線
J1 基線
N 転写部
P 記録材
T トナー像
Vt 転写方向のバイアス
Vr 記転写方向と逆方向のバイアス
Claims (16)
- トナー像が担持される像担持体と、
前記像担持体と対向配置された転写部材と、
前記像担持体と前記転写部材とが接触する転写部で前記トナー像を記録材へ転写するために転写バイアスを出力する転写バイアス出力手段とを備え、
前記転写部に供給される転写バイアスは、少なくとも前記像担持体上のトナー像を前記記録材へ転写する際に、前記トナー像を前記像担持体側から記録材側に転写させる転写方向のバイアスと、前記転写方向と逆方向のバイアスとが交互に切り替わって周期変動し、1周期中に占める前記逆方向へのバイアスが印加される時間が50%よりも大きい重畳バイアスであり、
前記像担持体の線速に応じて、前記重畳バイアスにおける直流電圧を変更するように前記転写バイアス出力手段が制御される画像形成装置。 - 前記像担持体の線速を変更する際に、前記重畳バイアスにおける交流電圧は変更せずに前記直流電圧のみ変更する請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記像担持体の所定速度が遅いほど、前記直流電圧の絶対値を小さくする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
- 前記所定速度時の直流成分に対する線速が遅い場合の直流成分の割合を、前記所定速度に対する遅い線速の割合よりも小さくした請求項3に記載の画像形成装置。
- 前記像担持体は、複数の層が積層されたベルト状の中間転写体である請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像形成装置。
- 前記像担持体は、弾性層を有するベルト状の中間転写体である請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像形成装置。
- 前記像担持体は、ポリイミド樹脂製のベルト状の中間転写体である請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像形成装置。
- 前記転写部において前記像担持体を介して前記転写部材に対向する対向部材を備え、
前記対向部材は、発泡性のローラである請求項1乃至7の何れか1項に記載の画像形成装置。 - 前記転写部材は、複数の回転体に巻き掛けられて回転移動可能に支持されて、前記像担持体に接触する二次転写ベルトである請求項1乃至8の何れか1項に記載の画像形成装置。
- 前記二次転写ベルトは、ポリイミド樹脂製である請求項9に記載の画像形成装置。
- 前記トナー像の画像濃度に応じて前記重畳バイアスにおける前記直流電圧を変更する請求項1乃至10の何れか1項に記載の画像形成装置。
- 前記画像濃度が薄くなるに従い、前記重畳バイアスにおける前記直流電圧の絶対値を小さくする請求項11に記載の画像形成装置。
- 前記転写部よりも上流側又は下流側の少なくとも一方において、前記像担持体の表面が前記転写部材の外周面に沿うように配置されている請求項1乃至12の何れか1項に記載の画像形成装置。
- 前記転写方向のバイアスと前記逆方向のバイアスとは、極性切替基線を境にして互いに逆極性のバイアスであって、
前記1周期中に占める前記逆方向へのバイアスが印加される時間は、前記転写バイアスが逆極性である時間である請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記1周期中に占める前記逆方向へのバイアスが印加される時間は、前記転写バイアスが逆方向のピーク電圧に達した時から転写方向のピーク電圧に向かって立ち下がり始めるまでの範囲の時間である請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記転写方向のバイアスと前記逆方向のバイアスとは、極性切替基線を境にして互いに逆極性のバイアスであって、
前記1周期中に占める前記逆方向へのバイアスが印加される時間は、逆方向でのピーク電圧から前記転写方向へのピーク電圧に向けて30%の値だけシフトさせた位置を基線としたとき、前記基線よりも前記逆方向側となる時間である請求項1に記載の画像形成装置。
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