JP2017191249A - 画像形成装置 - Google Patents

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直人 河内
真也 田中
Shinya Tanaka
真也 田中
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Koichi Ishii
宏一 石井
杉浦 健治
Kenji Sugiura
健治 杉浦
敦司 永田
Atsushi Nagata
敦司 永田
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Takehide Mizutani
武英 水谷
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Keigo Nakamura
圭吾 中村
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Abstract

【課題】平滑シートに対するトナー像の二次転写不良を助長することなく、凹凸シートの表面凹部に対するトナー像の二次転写性を高める。
【解決手段】複数の層を具備する中間転写ベルト31と、シート搬送ベルト41との当接による二次転写ニップに挟み込んだ記録シートに対して中間転写ベルト31上のトナー像を二次転写するために重畳電圧からなる二次転写バイアスを用いる画像形成装置において、前記複数の層として、弾性層の他に、自らが存在しない場合に比べて複数層全体の硬度をより高くする材料からなる表面層を中間転写ベルト31に設け、二次転写バイアスとして、二次転写ニップ内でトナーを転写方向により強く静電移動させる方の転写ピーク値、及びこれとは逆の逆ピーク値を一周期内で発生させ、且つ一周期内で逆ピーク値の側の値になっている逆転写側時間を、残りの転写側時間よりも長くしたものを用いるようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は画像形成装置に関するものである。
従来、弾性層を含む複数の層を具備する像担持体とニップ形成部材との当接による転写ニップに挟み込んだ記録シートに対して像担持体上のトナー像を転写するために、重畳電圧からなる転写バイアスを電源から出力する画像形成装置が知られている。
例えば、特許文献1に記載の画像形成装置は、像担持体たる中間転写ベルトとして、ゴムなどからなる弾性層を含む複数の層からなるものを用いる。そして、周知の電子写真プロセスによって感光体の表面上に作像したトナー像を、中間転写ベルトに一次転写した後に、中間転写ベルトとこれのおもて面に当接する当接ローラとの当接による二次転写ニップに挟み込んだ記録シートに二次転写する。この二次転写の際に、中間転写ベルトの裏面に当接しながら前述の当接ローラとの間に中間転写ベルトを挟み込んで二次転写ニップを形成している裏面ローラに対し、直流電圧と交流電圧との重畳による重畳電圧からなる二次転写バイアスを印加する。かかる構成では、中間転写ベルトの弾性層を、和紙のように表面凹凸に富んだ凹凸シートの表面凹部に対してもトナーを良好に二次転写して、表面凹凸にならった画像濃度ムラの発生を抑えることができるとされている。
しかしながら、この画像形成装置では、記録シートとして、コート紙のような表面平滑性の良いものを用いた場合に、トナー像の二次転写不良による画像濃度不足を引き起こし易くなってしまうことがわかった。
上述した課題を解決するために、本発明は、少なくとも弾性層を含む複数の層を具備する像担持体と、前記像担持体の表面に当接して転写ニップを形成するニップ形成部材と、前記転写ニップに挟み込んだ記録シートに対して前記像担持体上のトナー像を転写するために交流電圧を含む転写バイアスを出力する電源とを備える画像形成装置において、前記複数の層として、前記弾性層の他に、自らが存在しない場合に比べて複数層全体の硬度をより高くする材料からなる表面層を前記像担持体に設け、前記転写バイアスとして、前記転写ニップ内でトナーを像担持体側から記録シート側に向けてより強く静電移動させる方のピーク値である転写ピーク値、及びこの転写ピーク値とは逆側のピーク値である逆ピーク値を交流成分の一周期内で発生させ、且つ一周期内にて、所定の基準値に比べて前記逆ピーク値の側の値になっている時間である逆転写側時間を、残りの時間である転写側時間よりも長くしたものを出力するように、前記電源を構成したことを特徴とするものである。
本発明によれば、表面平滑性に優れた平滑シートに対するトナー像の転写不良を助長することなく、表面凹凸に富んだ凹凸シートの表面凹部に対するトナー像の転写性を高めることができるという優れた効果がある。
実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。 同プリンタにおけるK用の画像形成ユニットを拡大して示す拡大構成図。 同プリンタにおける二次転写電源の電気回路の要部を、二次転写ニップとともに示すブロック図。 中間転写ベルトとして、実施形態に係るプリンタのものとは異なり、単層構造のものを用いた構成における二次転写ニップ及びその周囲を示す拡大構成図。 中間転写ベルトとして、実施形態に係るプリンタと同様に、多層構造のものを用いる構成における二次転写ニップ及びその周囲構成を示す拡大断面図。 本発明者らが実験用として用意した二層構造の中間転写ベルトの横断面を部分的に示す拡大断面図。 同中間転写ベルトを部分的に拡大して示す拡大平面図。 本発明者らが実験用として用意した三層構造の中間転写ベルト31の横断面を部分的に示す拡大断面図。 重畳電圧からなる二次転写バイアスの波形の一例を示すグラフ。 二次転写電源の実機から出力される重畳電圧の波形の一例を示すグラフ。 実施形態に係るプリンタの入力操作部501の電気回路を示すブロック図。
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のカラープリンタ(以下、単にプリンタという)の実施形態について説明する。
まず、実施形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。図1は、実施形態に係るプリンタを示す概略構成図である。同図において、実施形態に係るプリンタは、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)のトナー像を形成するための4つのトナー像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kを備えている。また、転写ユニット30、光書込ユニット80、定着装置90、給送カセット100、レジストローラ対101なども備えている。
4つのトナー像形成ユニット1Y,M,C,Kは、画像形成物質として、互いに異なる色のY,M,C,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。Kトナー像を形成するためのトナー像形成ユニット1Kを例にすると、これは、図2に示されるように、潜像担持体たるドラム状の感光体2K、ドラムクリーニング装置3K、除電装置、帯電装置6K、現像装置8K等を備えている。これらの装置が共通の保持体に保持されてプリンタ本体に対して一体的に脱着することで、それらを同時に交換できるようになっている。
感光体2Kは、ドラム基体の表面上に有機感光層が形成されたものであって、駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動される。帯電装置6Kは、帯電バイアスが印加される帯電ローラ7Kを感光体2Kに接触あるいは近接させながら、帯電ローラ7Kと感光体2Kとの間に放電を発生させることで、感光体2Kの表面を一様帯電せしめる。実施形態では、トナーの正規帯電極性と同じマイナス極性に一様帯電せしめる。帯電バイアスとしては、直流電圧に交流電圧を重畳したものを採用している。帯電ローラ7Kは、金属製の芯金の表面に導電性弾性材料からなる導電性弾性層が被覆されたものである。帯電ローラ等の帯電部材を感光体2Kに接触あるいは近接させる方式に代えて、帯電チャージャーによる方式を採用してもよい。
一様帯電せしめられた感光体2Kの表面は、後述する光書込ユニットから発せられるレーザー光によって光走査されてK用の静電潜像を担持する。このK用の静電潜像は、Kトナーを用いる現像装置8Kによって現像されてKトナー像になる。そして、後述する中間転写ベルト31上に一次転写される。
ドラムクリーニング装置3Kは、一次転写工程(後述する一次転写ニップ)を経た後の感光体2K表面に付着している転写残トナーを除去する。回転駆動されるクリーニングブラシローラ4K、片持ち支持された状態で自由端を感光体2Kに当接させるクリーニングブレード5Kなどを有している。回転するクリーニングブラシローラ4Kで転写残トナーを感光体2K表面から掻き取ったり、クリーニングブレードで転写残トナーを感光体2K表面から掻き落としたりする。
上記除電装置は、ドラムクリーニング装置3Kによってクリーニングされた後の感光体2Kの残留電荷を除電する。この除電により、感光体2Kの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。
現像装置8Kは、現像剤担持体たる現像ロール9Kを内包する現像部12Kと、K現像剤を撹拌搬送する現像剤搬送部13Kとを有している。そして、現像剤搬送部13Kは、第1スクリュー部材10Kを収容する第1搬送室と、第2スクリュー部材11Kを収容する第2搬送室とを有している。それらスクリュー部材は、それぞれ、軸線方向の両端部がそれぞれ軸受けによって回転自在に支持される回転軸部材と、これの周面に螺旋状に突設せしめられた螺旋羽根とを具備している。
第1スクリュー部材10Kを収容している第1搬送室と、第2スクリュー部材11Kを収容している第2搬送室とは、仕切り壁によって仕切られているが、仕切壁におけるスクリュー軸線方向の両端箇所には、それぞれ両搬送室を連通させる連通口が形成されている。第1スクリュー部材10Kは、螺旋羽根内に保持しているK現像剤を、回転駆動に伴って回転方向に撹拌しながら、図中の紙面に直交する方向の奥側から手前側に向けて搬送する。第1スクリュー部材10Kと、後述する現像ロール9Kとは互いに向かい合う姿勢で平行配設されているため、このときのK現像剤の搬送方向は、現像ロール9Kの回転軸線方向に沿った方向でもある。そして、第1スクリュー部材10Kは、現像ロール9Kの表面に対してK現像剤をその軸線方向に沿って供給していく。
第1スクリュー部材10Kの図中手前側端部付近まで搬送されたK現像剤は、仕切壁の図中手前側端部付近に設けられた連通開口を通って、第2搬送室内に進入した後、第2スクリュー部材11Kの螺旋羽根内に保持される。そして、第2スクリュー部材11Kの回転駆動に伴って、回転方向に撹拌されながら、図中手前側から奥側に向けて搬送されていく。
第2搬送室内において、ケーシングの下壁にはトナー濃度センサーが設けられており、第2搬送室内のK現像剤のKトナー濃度を検知する。Kトナー濃度センサーとしては、透磁率センサーからなるものが用いられている。Kトナーと磁性キャリアとを含有するK現像剤の透磁率は、Kトナー濃度と相関関係があるため、透磁率センサーは、Kトナー濃度を検知していることになる。
本プリンタには、Y,M,C,K用の現像装置の第2収容室内にY,M,C,Kトナーをそれぞれ個別に補給するためのY,M,C,Kトナー補給手段が設けられている。そして、プリンタの制御部は、RAMに、Y,M,C,Kトナー濃度検知センサーからの出力電圧値の目標値であるY,M,C,K用のVtrefを記憶している。Y,M,C,Kトナー濃度検知センサーからの出力電圧値と、Y,M,C,K用のVtrefとの差が所定値を超えた場合には、その差に応じた時間だけY,M,C,Kトナー補給手段を駆動する。これにより、Y,M,C,K用の現像装置における第2搬送室内にY,M,C,Kトナーが補給される。
現像部12K内に収容されている現像ロール9Kは、第1スクリュー部材10Kに対向しているとともに、ケーシングに設けられた開口を通じて、感光体2Kにも対向している。また、現像ロール9Kは、回転駆動される非磁性パイプからなる筒状の現像スリーブと、これの内部にスリーブと連れ回らないように固定されたマグネットローラとを具備している。そして、第1スクリュー部材10Kから供給されるK現像剤をマグネットローラの発する磁力によってスリーブ表面に担持しながら、スリーブの回転に伴って、感光体2Kに対向する現像領域に搬送する。
現像スリーブには、トナーと同極性であって、感光体2Kの静電潜像の電位よりも絶対値が大きく、且つ感光体2Kの一様帯電電位よりも絶対値が小さな現像バイアスが印加されている。これにより、現像スリーブと感光体2Kの静電潜像との間には、現像スリーブ上のKトナーを静電潜像に向けて静電移動させる現像ポテンシャルが作用する。また、現像スリーブと感光体2Kの地肌部との間には、現像スリーブ上のKトナーをスリーブ表面に向けて移動させる非現像ポテンシャルが作用する。それら現像ポテンシャル及び非現像ポテンシャルの作用により、現像スリーブ上のKトナーが感光体2Kの静電潜像に選択的に転移して、静電潜像をKトナー像に現像する。
図1において、Y,M,C用のトナー像形成ユニット1Y,M,Cにおいても、K用のトナー像形成ユニット1Kと同様にして、感光体2Y,M,C上にY,M,Cトナー像が形成される。トナー像形成ユニット1Y,M,C,Kの上方には、潜像書込手段たる光書込ユニット80が配設されている。この光書込ユニット80は、パーソナルコンピュータ等の外部機器から送られてくる画像情報に基づいてレーザーダイオードから発したレーザー光により、感光体2Y,M,C,Kを光走査する。この光走査により、感光体2Y,M,C,K上にY,M,C,K用の静電潜像が形成される。なお、光書込ユニット80は、光源から発したレーザー光Lを、ポリゴンモータによって回転駆動したポリゴンミラーで主走査方向に偏光せしめながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体に照射するものである。LEDアレイの複数のLEDから発したLED光によって光書込を行うものを採用してもよい。
トナー像形成ユニット1Y,M,C,Kの下方には、無端状の中間転写ベルト31を張架しながら図中反時計回り方向に無端移動せしめる転写装置としての転写ユニット30が配設されている。転写ユニット30は、像担持体たる中間転写ベルト31の他に、駆動ローラ32、二次転写裏面ローラ33、クリーニングバックアップローラ34、4つの一次転写ローラ35Y,M,C,Kなどを有している。また、ベルトクリーニング装置37、濃度センサー40なども有している。
中間転写ベルト31は、そのループ内側に配設された駆動ローラ32、二次転写裏面ローラ33、クリーニングバックアップローラ34、及び4つの一次転写ローラ35Y,M,C,Kによって張架されている。そして、駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動される駆動ローラ32の回転力により、同方向に無端移動せしめられる。
4つの一次転写ローラ35Y,M,C,Kは、無端移動せしめられる中間転写ベルト31を感光体2Y,M,C,Kとの間に挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト31のおもて面と、感光体2Y,M,C,Kとが当接するY,M,C,K用の一次転写ニップが形成されている。一次転写ローラ35Y,M,C,Kには、一次転写電源によってそれぞれ一次転写バイアスが印加されている。これにより、感光体2Y,M,C,K上のY,M,C,Kトナー像と、一次転写ローラ35Y,M,C,Kとの間に転写電界が形成される。Y用の感光体2Y表面に形成されたYトナーは、感光体2Yの回転に伴ってY用の一次転写ニップに進入する。そして、転写電界やニップ圧の作用により、感光体2Y上から中間転写ベルト31上に一次転写される。
このようにしてYトナー像が一次転写せしめられた中間転写ベルト31は、その後、M,C,K用の一次転写ニップを順次通過する。そして、感光体2M,C,K上のM,C,Kトナー像が、Yトナー像上に順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト31上には4色重ね合わせトナー像が形成される。なお、一次転写ローラ35Y,M,C,Kに代えて、転写チャージャーや転写ブラシなどを採用してもよい。
転写ユニット30の下方には、二次転写ニップ裏打ちローラ36、シート搬送ベルト(一般的には二次転写ベルトや転写部材などとも呼称される)41などを具備するシート搬送ユニット38が配設されている。無端状のシート搬送ベルト41は、そのループ内側に配設された二次転写ニップ裏打ちローラ36などの複数のローラによって張架された状態で、二次転写ニップ裏打ちローラ36の回転駆動によって図中時計回り方向に回転せしめられる。そして、二次転写ニップ裏打ちローラ36により、中間転写ベルト31の周方向における全域のうち、二次転写裏面ローラ33に対する掛け回し領域に当接して二次転写ニップを形成している。つまり、転写ユニット30の二次転写裏面ローラ33と、シート搬送ユニット38の二次転写ニップ裏打ちローラ36とは、互いの間に中間転写ベルト31及びシート搬送ベルト41を挟み込んでいる。
シート搬送ベルト41のループ内に配設された二次転写ニップ裏打ちローラ36は接地されているのに対し、中間転写ベルト31のループ内に配設された二次転写裏面ローラ33には、二次転写電源39によって二次転写バイアスが印加される。これにより、二次転写裏面ローラ33と、二次転写ニップ裏打ちローラ36との間に、マイナス極性のトナーを二次転写裏面ローラ33側から二次転写ニップ裏打ちローラ36側に向けて静電移動させる二次転写電界が形成される。なお、ニップ形成部材として、シート搬送ベルト41の代わりに、二次転写ローラを用い、これを中間転写ベルト31に直接当接させてもよい。
転写ユニット30の下方には、記録シートPを複数枚重ねた紙束の状態で収容している給送カセット100が配設されている。この給送カセット100は、紙束の一番上の記録シートPに給紙ローラ100aを当接させており、これを所定のタイミングで回転駆動させることで、その記録シートPを給送路に向けて送り出す。給送路の末端付近には、レジストローラ対101が配設されている。このレジストローラ対101は、給送カセット100から送り出された記録シートPをローラ間に挟み込むとすぐに両ローラの回転を停止させる。そして、挟み込んだ記録シートPを二次転写ニップ内で中間転写ベルト31上の4色重ね合わせトナー像に同期させ得るタイミングで回転駆動を再開して、記録シートPを二次転写ニップに向けて送り出す。二次転写ニップで記録シートPに密着せしめられた中間転写ベルト31上の4色重ね合わせトナー像は、二次転写電界やニップ圧の作用によって記録シートP上に一括二次転写されてフルカラートナー像となる。このようにして表面にフルカラートナー像が形成された記録シートPは、二次転写ニップを通過すると、中間転写ベルト31から曲率分離する。
二次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト31には、記録シートPに転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、中間転写ベルト31のおもて面に当接しているベルトクリーニング装置37によってベルト表面からクリーニングされる。中間転写ベルト31のループ内側に配設されたクリーニングバックアップローラ34は、ベルトクリーニング装置37によるベルトのクリーニングをループ内側からバックアップする。
濃度センサー40は、中間転写ベルト31のループ外側に配設されている。そして、中間転写ベルト31の周方向における全域のうち、駆動ローラ32に対する掛け回し箇所に対して、所定の間隙を介して対向している。この状態で、中間転写ベルト31上に一次転写されたトナー像が自らとの対向位置に進入した際に、そのトナー像の単位面積あたりのトナー付着量(画像濃度)を測定する。
二次転写ニップよりもシート搬送方向の下流側には、定着装置90が配設されている。この定着装置90は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ91と、これに所定の圧力で当接しながら回転する加圧ローラ92とによって定着ニップを形成している。定着装置90内に送り込まれた記録シートPは、その未定着トナー像担持面を定着ローラ91に密着させる姿勢で、定着ニップに挟まれる。そして、加熱や加圧の影響によってトナー像中のトナーが軟化さしめられて、フルカラー画像が定着せしめられる。定着装置90内から排出された記録シートPは、定着後搬送路を経由した後、機外へと排出される。
実施形態に係るプリンタは、モノクロ画像を形成する場合に、転写ユニット30におけるY,M,C用の一次転写ローラ35(Y,M,C)を支持している支持板の姿勢をソレノイド等の駆動によって変化させる。これにより、Y,M,C用の一次転写ローラ35(Y,M,C)を、感光体2(Y,M,C)から遠ざけて、中間転写ベルト31のおもて面を感光体2(Y,M,C)から離間させる。このようにして、中間転写ベルト31をブラック用の感光体2Kだけに当接させた状態で、4つのトナー像形成ユニット1(Y,M,C,K)のうち、ブラック用の画像形成ユニット1Kだけを駆動して、Kトナー像をブラック用の感光体2K上に形成する。なお、本発明は、カラー画像を形成する画像形成装置に限らず、モノクロ画像だけを形成する画像形成装置にも適用が可能である。
図3は、実施形態に係るプリンタにおける二次転写電源39の電気回路の要部を、二次転写ニップとともに示すブロック図である。二次転写電源39は、直流電源110、着脱可能に構成された交流電源140、電源制御部200などを有している。直流電源110は、中間転写ベルト31の表面上のトナーに対して二次転写ニップ内でベルト側から記録シート側に向かう静電気力を付与するための直流電圧を出力するための電源である。そして、直流出力制御部111、直流駆動部112、直流電圧用トランス113、直流出力検知部114、出力異常検知部115、電気接続部221などを具備している。
交流電源140は、二次転写ニップ内に交番電界を形成するための交流電圧を出力する電源である。そして、交流出力制御部141、交流駆動部142、交流電圧用トランス143、交流出力検知部144、除去部145、出力異常検知部146、電気接続部242と、電気接続部243などを具備している。
電源制御部200は、直流電源110及び交流電源140を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)などを有する制御装置からなる。直流出力制御部111には、電源制御部200から、直流電圧の出力の大きさを制御するDC_PWM信号が入力される。更に、直流出力検知部114によって検知された直流電圧用トランス113の出力値も入力される。そして、直流出力制御部111は、入力されたDC_PWM信号のデューティー比及び直流電圧用トランス113の出力値に基づいて、次のような制御を行う。即ち、直流電圧用トランス113の出力値をDC_PWM信号で指示された出力値にするように、直流駆動部112を介して直流電圧用トランス113の駆動を制御する。
直流駆動部112は、直流出力制御部111からの制御に従って、直流電圧用トランス113を駆動する。また、直流電圧用トランス113は、直流駆動部112によって駆動され、負極性の直流の高電圧出力を行う。なお、交流電源140が接続されていない場合には、電気接続部221と二次転写裏面ローラ33とがハーネス301によって電気的に接続されるので、直流電圧用トランス113は、ハーネス301を介して二次転写裏面ローラ33に直流電圧を出力(印加)する。一方、交流電源140が接続されている場合、電気接続部221と電気接続部242とがハーネス302によって電気的に接続されるので、直流電圧用トランス113は、ハーネス302を介して交流電源140に直流電圧を出力する。
直流出力検知部114は、直流電圧用トランス113からの直流高電圧の出力値を検知し、直流出力制御部111に出力する。また、直流出力検知部114は、検知した出力値をFB_DC信号(フィードバック信号)として電源制御部200に出力する。これは、環境や負荷によって転写性が落ちないように、電源制御部200においてDC_PWM信号のデューティーを制御させるためである。
実施形態に係るプリンタでは、二次転写電源39の本体に対して交流電源140が着脱可能であるため、交流電源140が接続されている場合と接続されていない場合とで、高電圧出力の出力経路のインピーダンスが変化する。このため、直流電源110が定電圧制御を行って直流電圧を出力した場合、交流電源140の有無に応じて出力経路中のインピーダンスが変化することにより分圧比が変化する。更に、二次転写裏面ローラ33に印加される高電圧が変化してしまうので、交流電源140の有無に応じて転写性が変化してしまう。
そこで、直流電源110が定電流制御を行って直流電圧を出力し、交流電源140の有無に応じて出力電圧を変化させるようになっている。これにより、出力経路中のインピーダンスが変化しても、二次転写裏面ローラ33に印加される高電圧を一定に保つことができ、交流電源140の有無によらず転写性を一定に保つことができる。更に、DC_PWM信号の値を変更せずに交流電源140を着脱することが可能になる。このように本プリンタでは、直流電源110を定電流制御するようになっているが、次のような構成を採用してもよい。即ち、交流電源140の着脱時にDC_PWM信号の値を変更するなどして、二次転写裏面ローラ33に印加される高電圧を一定に保つことができれば、直流電源110を定電圧制御する構成を採用してもよい。
出力異常検知部115は、直流電源110の出力ライン上に配置されており、電線の地絡等によって出力異常が発生した際には、リークなどの出力異常を示すSC信号を電源制御部200に出力する。これにより、電源制御部200による直流電源110からの高圧出力を停止するための制御を実施することが可能になる。
交流出力制御部141には、電源制御部200から、交流電圧の出力の大きさを制御するAC_PWM信号や、交流出力検知部144によって検知された交流電圧用トランス143の出力値が入力される。そして、交流出力制御部141は、入力されたAC_PWM信号のデューティー比、及び交流電圧用トランス143の出力値に基づいて、次のような制御を行う。即ち、交流電圧用トランス143の出力値がAC_PWM信号で指示された出力値となるように、交流駆動部142を介して交流電圧用トランス143の駆動を制御する。
交流駆動部142には、交流電圧の出力周波数を制御するAC_CLK信号が入力される。そして、交流駆動部142は、交流出力制御部141からの制御及びAC_CLK信号に基づいて、交流電圧用トランス143を駆動する。交流駆動部142は、AC_CLK信号に基づいて交流電圧用トランス143を駆動することで、交流電圧用トランス143によって生成される出力波形を、AC_CLK信号で指示された任意の周波数に制御することができる。
交流電圧用トランス143は、交流駆動部142によって駆動されて交流電圧を生成し、生成した交流電圧と直流電圧用トランス113から出力された直流の高電圧とを重畳して重畳電圧を生成する。交流電源140が接続されている場合、即ち、電気接続部243と二次転写裏面ローラ33とがハーネス301で電気的に接続されている場合、交流電圧用トランス143は、生成した重畳電圧を、ハーネス301を介して二次転写裏面ローラ33に印加する。なお、交流電圧用トランス143は、交流電圧を生成しない場合には、直流電圧用トランス113から出力された直流の高電圧を、ハーネス301を介して二次転写裏面ローラ33に出力(印加)する。二次転写裏面ローラ33に出力された電圧(重畳電圧又は直流電圧)は、その後、二次転写ニップ裏打ちローラ36を介して直流電源110内に帰還する。
交流出力検知部144は、交流電圧用トランス143の交流電圧の出力値を検知して交流出力制御部141に出力する。また、検出した出力値をFB_AC信号(フィードバック信号)として電源制御部200に出力する。これは、環境や負荷によって転写性を低下させないように、電源制御部200においてAC_PWM信号のデューティーを制御するためである。なお、交流電源140は、定電圧制御を行うものであるが、定電流制御を行うものを用いてもよい。また、交流電圧用トランス143(交流電源140)が生成する交流電圧の波形については、正弦波、矩形波の何れであってもよいが、実施形態に係るプリンタでは、短パルス状矩形波を採用している。交流電圧の波形を短パルス状矩形波にすることで、より画像品質の向上を図ることが可能になるからである。
次に、実施形態に係るプリンタの特徴的な構成について説明する。
実施形態に係るプリンタのように、中間転写ベルト31として、弾性層を含む複数の層を具備するものを用い、且つ二次転写バイアスとして重畳電圧からなるものを用いる構成では、凹凸シートの表面凹部に対してもトナーを良好に二次転写することができる。ところが、複数の層を具備する中間転写ベルト31を用いると、普通紙や表面コート紙のような表面平滑性に優れた記録シートPである平滑シートに対するトナー像の転写不良を引き起こし易くなることが、本発明者らの実験によって判明した。
図4は、中間転写ベルト31として、実施形態に係るプリンタのものとは異なり、単層構造のものを用いた構成における二次転写ニップ及びその周囲を示す拡大構成図である。中間転写ベルト31として図示のような単層構造のものを用いる場合には、二次転写裏面ローラ33と二次転写ニップ裏打ちローラ36との間において、二次転写電流が次のように流れる。即ち、図中矢印で示されるように、二次転写電流がニップ中心位置(ベルト移動方向の中心位置)に集中して一直線状に流れることから、ニップ入口付近やニップ出口付近では二次転写電流がそれほど流れない。二次転写電流がこのように流れることで、二次転写ニップにおいて、トナーに二次転写電流を作用させている時間が比較的短時間になる。このため、トナーに対して、二次転写電流によって正規極性とは逆極性の電荷を過剰に注入してしまうことが殆どない。
図5は、中間転写ベルト31として、実施形態に係るプリンタと同様に、多層構造のものを用いる構成における二次転写ニップ及びその周囲構成を示す拡大断面図である。多層構造の中間転写ベルト31を用いる構成では、二次転写裏面ローラ33と二次転写ニップ裏打ちローラ36との間において、二次転写電流が次のように流れる。即ち、層と層との界面で、二次転写電流がベルト周方向に広がりながら、ベルト厚み方向に流れる。これにより、二次転写電流がニップ中心位置だけでなく、ニップ入口やニップ出口の付近にまで回り込むようになることから、二次転写ニップにおいて、トナーに二次転写電流を作用させる時間が比較的長時間になる。そして、トナーに対して、二次転写電流によって正規極性とは逆極性の電荷を過剰に注入してしまい易くなることで、トナーの正規極性の帯電量を大きく低下させたり、トナーを逆帯電させてしまったりして、二次転写性を阻害してしまう。この結果、画像濃度不足を引き起こし易くなってしまうことが解った。特に、面積階調によるハーフトーン画像では、ベタ画像に比べて二次転写ニップ内でのトナーの存在比率が少なくなることから、過剰の逆電荷が注入されて画像濃度不足を引き起こし易くなる。以下、ハーフトーン画像をHT画像と記す。
本発明者らは、中間転写ベルト31として、単層構造のもの、二層構造のもの、及び三層構造のものを実験用に用意した。単層構造の中間転写ベルト31は、ポリイミドなどの経時的な伸びを引き起こし難い材料からなる基層だけを具備する無端ベルトである。また、二層構造の中間転写ベルト31は、無端状の基層と、基層のおもて面側に積層されたゴムなどの弾性に富んだ材料からなる弾性層とからなるものである。また、三層構造の中間転写ベルト31は、基層と、これのおもて面側に積層された弾性層と、これのおもて面側に積層された表面層とからなるものである。表面層の材料には、弾性層の材料よりも硬いものが用いられている。これにより、表面層は、基層の材料及び厚みと、弾性層の材料及び厚みとが二層構造と三層構造とで互いに全く同じであれば、自らが存在しない二層構造に比べて、自らが存在する三層構造の複数層全体の硬度を高くする。
図6は、本発明者らが実験用として用意した二層構造の中間転写ベルト31の横断面を部分的に示す拡大断面図である。二層構造の中間転写ベルト31は、ある程度の屈曲性を有し且つ剛性の高い材料からなる無端ベルト状の基層31aと、これのおもて面上に積層された柔軟性に優れた弾性材料からなる弾性層31bとを具備している。弾性層31bには、粒子31cが分散せしめられていて、それらの粒子cが自らの一部を弾性層31bの表面から突出させた状態で、図7に示されるように、ベルト面方向に密集して並んでいる。それら複数の粒子31cにより、複数の凹凸がベルト面に形成されている。
基層31aの材料としては、樹脂中に、電気抵抗を調整するための充填材や添加材などからなる電気抵抗調整材を分散させたものを例示することができる。その樹脂としては、難燃性の観点からすると、例えば、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、ETFE(エチレン・四フッ化エチレン共重合体)などのフッ素系樹脂や、ポリイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂等が好ましい。また、機械強度(高弾性)や耐熱性の観点からすると、特にポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂が好適である。
樹脂中に分散せしめる電気抵抗調整材としては、金属酸化物やカーボンブラック、イオン導電剤、導電性高分子材料などを例示することができる。金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素等が挙げられる。分散性を向上させるために、前記金属酸化物に予め表面処理を施したものを用いても良い。カーボンブラックとしては、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ガスブラック等が挙げられる。また、イオン導電剤としては、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩が挙げられる。アルキルサルフェート、グルセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アルコールエステル、アルキルベタイン、過塩素酸リチウム等でもよい。それらのイオン導電剤を二種類以上混合して使用してもよい。なお、本発明を適用可能な電気抵抗調整材は、これまで例示したものに限られるものではない。
基層31aの前駆体となる塗工液(硬化前の液体の樹脂中に電気抵抗調整材を分散せしめたもの)には、必要に応じて、分散助剤、補強材、潤滑材、熱伝導材、酸化防止剤などを添加してもよい。中間転写ベルト31として好適に装備されるシームレスベルトの基層31aに含有される電気抵抗調整材の添加量は、好ましくは表面抵抗で1×10〜1×1013[Ω/□]、体積抵抗で1×10〜1×1012[Ω・cm]となる量とされる。但し、機械強度の観点から、成形膜が脆く割れやすくならない範囲の量を選択して添加することが必要である。つまり、樹脂成分(ポリイミド樹脂前駆体、ポリアミドイミド樹脂前駆体など)と電気抵抗調整材との配合率を適正に調整した塗工液を用いて、電気特性(表面抵抗及び体積抵抗)と機械強度のバランスがとれたシームレスベルトを製造して用いることが好ましい。電気抵抗調整材の含有量は、カーボンブラックの場合には、塗工液中の全固形分の10〜25[wt%]がよく、更に好ましくは15〜20[wt%]である。また、金属酸化物の場合の含有量は、塗工液中の全固形分の150[wt%]がよく、更に好ましくは10〜30[wt%]である。含有量が前述した範囲よりも少ないと十分な効果が得られず、また含有量が前述した範囲よりも多いと中間転写ベルト31(シームレスベルト)の機械強度が著しく低下するので、実使用上好ましくない。
基層31aの厚みは、特に制限されるものではなく、状況に応じて適宜選択することができるが、30μm〜150μmが好ましく、40μm〜120μmがより好ましく、50μm〜80μmが特に好ましい。基層31aの厚みが、30μm未満であると、亀裂によりベルトが裂けやすくなり、150μmを超えると、曲げによってベルトが割れることがあることがある。一方、基層31aの厚みが前述した特に好ましい範囲であると、耐久性の点で有利になる。
ベルト走行安定性を高めるためには、基層31aの層厚ムラをできるだけ少なくすることが好ましい。基層31aの厚みを調整する方法は、特に制限されるものではなく、状況に応じて適宜選択することができる。例えば、接触式や渦電流式の膜厚計での計測や膜の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で測定する方法が挙げられる。
以上の基層31aについての特性は、三層構造の基層31aについても同様である。
弾性層31bを形成するための弾性材料としては、汎用の樹脂・エラストマー・ゴムなどを例示することができる。特に、柔軟性(弾性)に優れた弾性材料を用いることが好ましく、エラストマー材料やゴム材料が好適である。エラストマー材料としては、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリスチレン系、ポリアクリル系、ポリジエン系、シリコーン変性ポリカーボネート系などを例示することができる。フッ素系共重合体系等の熱可塑性エラストマーなどでもよい。また、熱硬化性の樹脂としては、ポリウレタン系、シリコーン変性エポキシ系、シリコーン変性アクリル系の樹脂等を例示することができる。また、ゴム材料としては、イソプレンゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム等を例示することができる。更には、クロロスルホン化ポリエチレン、フッ素ゴム、ウレタンゴム、ヒドリンゴム等を例示することもできる。これまで例示した材料の中から、所望の性能が得られる材料を適宜選択することが可能である。特に、表面に凹凸のある記録シート、例えばレザック紙などの表面凹凸に追従させるためには、できるだけ柔らかい材料を選択することが好ましい。また、粒子31cを分散せしめることから、熱可塑性のものよりも熱硬化性のものの方が好ましい。熱硬化性のものの方が、その硬化反応に寄与する官能基の効果により樹脂粒子との密着性に優れ確実に固定化することが可能だからである。加硫ゴムも同様の理由により好ましい材料の1つである。
弾性層31bを構成する弾性材料の中でも、耐オゾン性、柔軟性、粒子との接着性、難燃性付与、耐環境安定性などの観点から、アクリルゴムが最も好ましい。アクリルゴムは一般的に市販されているものでよく、特定の製品に限定されるものではない。しかし、アクリルゴムの各種架橋系(エポキシ基、活性塩素基、カルボキシル基)の中ではカルボキシル基架橋系のものがゴム物性(特に圧縮永久歪み)及び加工性の点で優れているので、カルボキシル基架橋系のものを選択することが好ましい。カルボキシル基架橋系のアクリルゴムに用いられる架橋剤としては、アミン化合物が好ましく、多価アミン化合物が最も好ましい。このようなアミン化合物として、具体的には脂肪族多価アミン架橋剤、芳香族多価アミン架橋剤などを例示することができる。更に、脂肪族多価アミン架橋剤としては、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカーバメイト、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミンなどを例示することができる。また、芳香族多価アミン架橋剤としては、4,4’−メチレンジアニリン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン等が挙げられる。4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、2,2’−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、4,4’−ジアミノベンズアニリド等でもよい。更には、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,3,5−ベンゼントリアミン、1,3,5−ベンゼントリアミノメチル等でもよい。
架橋剤の配合量の適正範囲は、アクリルゴム100重量部に対し、好ましくは0.05〜20重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。架橋剤の配合量が少なすぎると、架橋が十分に行われないため、架橋物の形状維持が困難になる。これに対し、含有量が多すぎると、架橋物が硬くなりすぎて、架橋ゴムとしての弾性などが損なわれる。
弾性層31bに用いるアクリルゴムには、上述した架橋剤の架橋反応を促進する狙いで、架橋促進剤を配合してもよい。架橋促進剤の種類は特に限定されるものではないが、前述した多価アミン架橋剤と組み合わせて用いることができるものであることが好ましい。このような架橋促進剤としては、グアニジン化合物、イミダゾール化合物、第四級オニウム塩、第三級ホスフィン化合物、弱酸のアルカリ金属塩などが挙げられる。グアニジン化合物としては、1,3−ジフェニルグアニジン、1,3−ジオルトトリルグアニジンなどが挙げられる。イミダゾール化合物としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールなどが挙げられる。第四級オニウム塩としては、テトラn−ブチルアンモニウムブロマイド、オクタデシルトリ―n−ブチルアンモニウムブロマイドなどが挙げられる。多価第三級アミン化合物としては、トリエチレンジアミン、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)などが挙げられる。第三級ホスフィン化合物としては、トリフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィンなどが挙げられる。弱酸のアルカリ金属塩としては、ナトリウムまたはカリウムのリン酸塩、炭酸塩などの無機弱酸塩あるいはステアリン酸塩、ラウリル酸塩などの有機弱酸塩が挙げられる。
架橋促進剤の使用量の適正範囲は、アクリルゴム100重量部あたり、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.3〜10重量部である。架橋促進剤が多すぎると、架橋時に架橋速度が早くなりすぎたり、架橋物表面ヘの架橋促進剤のブルームが生じたり、架橋物が硬くなりすぎたりする場合がある。これに対し、架橋促進剤が少なすぎると、架橋物の引張強さが著しく低下したり、熱負荷後の伸び変化または引張強さ変化が大きすぎたりする場合がある。
アクリルゴムの調製にあたっては、ロール混合、バンバリー混合、スクリュー混合、溶液混合などの適宜の混合方法を採用することが可能である。配合順序は特に限定されないが、熱で反応や分解しにくい成分を充分に混合した後、熱で反応しやすい成分あるいは分解しやすい成分として、例えば架橋剤などを、反応や分解が起こらない温度で短時間に混合すればよい。
アクリルゴムは、加熱することによって架橋物とすることができる。好ましい加熱温度は、130〜220℃であり、より好ましくは140℃〜200℃である。また、好ましい架橋時間は、30秒〜5時間である。加熱方法としては、プレス加熱、蒸気加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる方法を適宜選択すればよい。また、一度架橋した後に、架橋物の内部まで確実に架橋させるために、後架橋を行ってもよい。後架橋の時間は、加熱方法、架橋温度、形状などによって異なるが、好ましくは1〜48時間である。後架橋を行う際の加熱方法、加熱温度については、適宜選択することが可能である。選択した材料に、電気特性を調整するための電気抵抗調整剤、難燃性を得るための難燃剤、必要に応じて、酸化防止剤、補強剤、充填剤、架橋促進剤などの材料を適宜含有させてもよい。さらに、電気特性を調整するための電気抵抗調整剤として、すでに述べた各種材料を使用することができる。但し、カーボンブラックや金属酸化物などは柔軟性を損なうため、使用量を抑えることが好ましく、イオン導電剤や導電性高分子を用いることも有効である。また、それらを併用しても構わない。
ゴム100重量部に対しは、種々の過塩素酸塩やイオン性液体を0.01部〜3部添加するのが好ましい。イオン導電剤の添加量が0.01部以下であると、抵抗率を下げる効果が得られない。また、添加量が3部以上であると、ベルト表面へ導電剤がブルーム又はブリードする可能性が高くなってしまう。
電気抵抗調整材の添加量については、弾性層31bの抵抗値を、表面抵抗で1×10〜1×1013[Ω/□]、体積抵抗で1×10〜1×1012[Ω・cm]の範囲にするように調整することが好ましい。また、近年の電子写真方式の画像形成装置に求められるような、凹凸シートへの高いトナー転写性を得るために、弾性層31bの23℃50%RH環境下でのマイクロゴム硬度値をある程度低くすることが好ましい。マルテンス硬度、ビッカース硬度など、いわゆる微小硬度での計測は、測定部位のバルク方向の浅い領域、すなわち表面近傍のごく限られた領域の硬度しか測定していなのでベルト全体としての変形性能は評価できない。このため、例えば中間転写ベルト31全体としての変形性能が低い構成のものに、最表面に柔軟な材料を用いた場合、微小硬度値を低くしてしまう。このような中間転写ベルト31は変形性能が低い、すなわち凹凸シートへの追従性が悪いので、結果として近年の画像形成装置に求められる凹凸シートへの転写性能を十分に発揮することができなくなってしまう。よって、中間転写ベルト31全体の変形性能を評価することが可能なマイクロゴム硬度を測定して中間転写ベルト31の柔軟性を評価することが好ましい。
弾性層31bの層厚は、200μm〜2mmが好ましく、400μm〜1000μmがより好ましい。層厚が200μmよりも小さいと、記録シートの表面凹凸への追従性や転写圧力の低減効果を低くしてしまうので好ましくない。また、層厚が2mmよりも大きいと、弾性層31bが自重によって撓み易くなって走行性を不安定にしたり、ベルトを張架しているローラへの掛け回しでベルトに亀裂を発生させ易くなったりするので好ましくない。なお、層厚の測定方法としては、断面を走査型顕微鏡(SEM)で観察することによって測定する方法を例示することができる。
以上の弾性層31bについての特性は、三層構造の中間転写ベルト31の弾性層31bについても同様であるが、三層構造の中間転写ベルト31の弾性層31bには、粒子31cを分散させていない。
二層構造の中間転写ベルト31の弾性層31bは、三層構造の中間転写ベルトの弾性層31bとは異なり、その中に分散せしめられた複数の粒子31cによる凹凸形状を表面に有している。弾性層31bの弾性材料に分散せしめる粒子31cとしては、平均粒子径が100μm以下であり、真球状の形状をしており、有機溶剤に不溶であり、且つ3%熱分解温度が200℃以上である樹脂粒子を用いる。粒子31cの樹脂材料に特に制限はないが、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ゴムなどを例示することができる。これらの樹脂材料からなる粒子の母体表面を異種材料で表面処理してもよい。ゴムからなる球状の母体粒子の表面に硬い樹脂をコートしてもよい。また、母体粒子として、中空のものや、多孔質のものを用いてもよい。
これまで例示した樹脂材料の中でも、滑性、トナーに対しての離型性、耐磨耗性などに優れているという観点から、シリコーン樹脂粒子が最も好ましい。樹脂材料を重合法などによって球状の形状に仕上げた粒子であることが好ましく、真球に近いものほど好ましい。また、粒子31cとしては、体積平均粒径が1.0μm〜5.0μmであり、且つ単分散粒子であるものを用いることが望ましい。単分散粒子は、単一粒子径の粒子ではなく、粒度分布が極めてシャープな粒子である。具体的には、±(平均粒径×0.5μm)以下の分布幅の粒子である。粒子31cの粒径が1.0μm未満であると、粒子31cによる転写性能の促進効果が十分に得られなくなる。これに対し、粒径が5.0μmよりも大きいと、粒子間の隙間が大きくなってベルト表面粗さを大きくしてしまうことから、トナーを良好に転写できなくなったり、中間転写ベルト31のクリーニング不良を発生させ易くなったりする。更には、樹脂材料からなる粒子31cは一般に絶縁性が高いことから、粒径が大きすぎると粒子31cの電荷により、連続プリント時にこの電荷の蓄積による画像乱れを引き起こし易くなる。
粒子31cとしては、特別に合成したものを用いても良いし、市販品を用いてもよい。粒子31cを弾性層31bに直接塗布して、ならすことにより容易に均一に整列させることができる。このようにすることで、粒子31c同士のベルト厚み方向の重なり合いをほぼなくすことができる。複数の粒子31cの弾性層31bの表面方向における断面の径は、できるだけ均一であることが望ましく、具体的には、±(平均粒径×0.5μm)以下の分布幅にすることが好ましい。粒子31cの粒径が1.0μm未満であると、粒子31cによる転写性能の向上効果が十分に得られない。一方、粒径が5.0μmよりも大きいと、表面粗さが大きくなり、粒子間の隙間が大きくなるため、トナーがうまく転写できなくなったりクリーニング不良となったりする不具合が生じる。さらには、粒子31cは絶縁性が高いものが多いため、粒径が大きすぎると粒子による帯電電位の残留により、連続画像出力時にこの電位の蓄積による画像乱れが発生する。このため、粒子31cの粉末として、粒径分布の小さなものを用いることが好ましいが、特定の粒径の粒子31cだけを選択的に弾性層31b表面に塗布することを実現する方法を採用すれば、粒径分布の比較的大きな粉末を用いることも可能である。なお、粒子31cを弾性層31b表面に塗布するタイミングは特に限定されず、弾性層31bの弾性材料の架橋前、架橋後の何れであってもよい。
図8は、本発明者らが実験用として用意した三層構造の中間転写ベルト31の横断面を部分的に示す拡大断面図である。同図において、中間転写ベルト31の基層31aや弾性層31bは、二層構造のものと同様である。但し、同図に示される弾性層31bには、二層構造の場合とは異なり、粒子が分散されていない。
弾性層31bの上(ベルトループおもて面側)には、表面層31dが積層されている。この表面層31dの材料としては、弾性層31bの材料よりも硬いものが用いられている。これにより、基層31a材料及び厚みを変えず、且つ弾性層31bの材料及び厚みを変えない条件では、表面層31dを設けた方が、設けないよりも複数層全体(厚み方向)の硬度が高くなる。
中間転写ベルト31における複数層全体の硬度を表す指標としては、マイクロゴム硬度やマルテンス硬度を用いることが可能である。マイクロゴム硬度については、次のようにして測定する。即ち、高分子計器株式会社製のマイクロゴム硬度計(MD−1)を用い、所定圧での押針の押し付けによって中間転写ベルトを変形させながら、押針の押し込み深さを測定し、その結果に基づいてマイクロゴム硬度を求める。押針としては、直径=0.16[mm]のタイプAのものを用いる。測定環境については、温度=23[℃]、湿度=50[%]に設定する。
また、マルテンス硬度については、次のようにして測定する。即ち、フィッシャーインスツルメンツ社製のFisherScopeHM2000を用いて、荷重=50[mN]、押し込み時間=10[秒]、クリープ時間=10[秒]、温度=23[℃]、湿度=50[%]の条件下で測定する。
表面層31dの主材料としては、アクリル、シリコン、テフロン(登録商標)、ウレタン、ナイロンなどを用いる。それらの主材料を複数組み合わせてもよい。例えば、テフロン(登録商標)とウレタンとを組み合わせたもの、テフロン(登録商標)とウレタンとシリコンとを組み合わせたものなどを、主材料として用いてもよい。表面層31dの厚みについては、1[μm]〜1[mm]の範囲にすることが望ましく、5[μm]〜30[μm]の範囲がより好適である。
本発明者らが実験用に用意した10個の中間転写ベルト31(ベルトA〜ベルトJ)の特性を次の表1に示す。
Figure 2017191249
ベルトAは、ポリイミド製の基層31aだけからなる単層ベルトであり、その硬度は10個の中で最も高い。
ベルトB、ベルトC、ベルトD、ベルトEのそれぞれは、厚み60[μm]のポリイミド製の基層31aのおもて面側に、アクリルゴム製の弾性層31bを積層した二層構造のベルトである。それぞれのベルトの弾性層31bには、粒子31cを分散させている。ベルトB〜ベルトEは、弾性層31bの材料(アクリルゴム)が互いに同じであるが、表1に示されるように、弾性層31bの厚みが互いに異なっている。そして、厚みの違いにより、硬度(マルテンス硬度やマイクロゴム硬度)も互いに異なっている。表1に示されるように、弾性層31bの厚みが大きくなるにつれて、硬度が低くなっている(軟らかくなっている)。
ベルトF、ベルトG、ベルトHのそれぞれは、弾性層31bに粒子を分散させていない点の他はベルトDと同じ構成である二層構造のベルトのおもて面側に、ポリロタキサンを添加したアクリルゴムからなる表面層31dを積層した三層構造のベルトである。
ベルトIは、弾性層31bに粒子を分散させていない点の他はベルトDと同じ構成である二層構造のベルトのおもて面側に、シリコンの溶液(シリコンワニス)を塗布して乾燥させた表面層31aを積層した三層構造のベルトである。
ベルトJは、弾性層31bに粒子を分散させていない点の他はベルトDと同じ構成である二層構造のベルトのおもて面側に、ナイロン粒子の溶融物を塗布して乾燥させたナイロン製の表面層31aを積層した三層構造のベルトである。
ベルトF、ベルトG、ベルトH、ベルトI、ベルトJは、表面層31dを積層し、且つ弾性層31bに粒子を分散させていない点の他はベルトDと同じ構成であるが、表1に示されるように、硬度がベルトDよりも高くなっている。弾性層31bよりも硬い材料からなる表面層31dを積層していることで、硬度がベルトDよりも高くなっているのである。なお、弾性層31bに粒子を分散させた場合と、粒子を分散させない場合とでは、マイクロゴム硬度はほぼ同じ値となる。粒子の径が小さく、マイクロゴム硬度の値にほとんど影響を与えないからである。ベルトDから表面の粒子を取り除いた場合のマイクロゴム硬度は、ベルトDのマイクロゴム硬度(35.9)とほとんど変わらず、概ね両者の値の差は1未満である。なお、マルテンス硬度についても同様のことが言える。
本発明者らは、プリンタ試験機に搭載されていた中間転写ベルト31を、表1に示される10個のベルト(ベルトA〜ベルトJ)に順に交換しながら、それぞれのベルトでテスト画像をプリントする実験を行った。実験においては、実験室の環境を温度23[℃]、湿度50[%]に維持した。
まず、第一実験として、表面コート紙(PODグロスコート128)に単色(K)のテストHT画像をプリントした。このテストHT画像の単位面積あたりにおけるトナー付着量は、ベタ画像におけるトナー付着量の四分の一程度である。感光体2や中間転写ベルト31の線速であるプロセス線速については、630[mm/s]という印刷業者向けの高速に設定した。
二次転写バイアスとしては、次に示す四種類のものを採用し、10個のベルトの全てについて、四種類の二次転写バイアスのそれぞれでテストHT画像を表面コート紙にプリントした。
(1)直流電圧だけからなるもの(DC)。この直流電圧を、
(2)重畳電圧からなり(DC+AC)、且つデューティーが30[%]であるもの。
(3)重畳電圧からなり(DC+AC)、且つデューティーが60[%]であるもの。
(4)重畳電圧からなり(DC+AC)、且つデューティーが80[%]であるもの。
なお、(2)〜(4)においては、直流電源110から直流電圧を出力電流値=120[μA]にて定電流制御で出力させながら、交流電源140からピークツウピーク値Vpp=6.5[kV]の交流電圧を出力させた。
図9は、重畳電圧からなる二次転写バイアスの波形の一例を示すグラフである。重畳電圧からなる二次転写バイアスを出力する条件で、二次転写ニップ内で中間転写ベルト31上のトナー像を記録シートPに二次転写するためには、二次転写バイアスとして次のような特性のものを採用する必要がある。即ち、平均電位Vave(時間平均)がトナーをベルト表面側からシート表面側に静電移動させる極性(実施形態ではマイナス)になる二次転写バイアスである。例えば、図示の波形は、直流電圧と交流電圧との重畳により、周期的に極性を反転させているが、平均電位Vaveの極性はマイナスになっている。実施形態のように二次転写裏面ローラ33に二次転写バイアスを印加する構成では、このように、平均電位Vaveの極性がトナーの正規帯電極性と同じになる二次転写バイアスを採用する。これにより、トナーを相対的に二次転写裏面ローラ33に対して反発させてベルト表面側からシート表面側に静電移動させることが可能になる。なお、二次転写ニップ裏打ちローラ36に対して二次転写バイアスを印加する構成を採用した場合には、平均電位Vaveがトナーと逆極性になる二次転写バイアスを採用すればよい。
同図において、Tは、周期的に極性を反転させる交流電圧の一周期を示している。同図において、Vtは、重畳電圧における二つのピーク値のうち、二次転写ニップ内でトナーをベルト表面側からシート表面側に向かう転写方向により強く静電移動させる転写ピーク値である。この転写ピーク値の極性は、必ず、トナーを転写方向に静電移動させるものでなければならない。二つのピーク値のうち、もう一方は、逆ピーク値Vrである。この逆ピーク値Vrの極性は、転写ピーク値vtと同じ極性であってもよい。
同図におけるVoffは、二次転写バイアスの直流成分の値としてのオフセット電圧を示している。また、同図におけるVppは、ピークツウピーク値を示している。
同図におけるTtは、交流一周期内で、転写ピーク値Vtの側の値になっている時間としての転写側時間である。また、Trは、交流一周期内で、逆ピーク値Vrの側の値になっている逆転写側時間である。重畳電圧のデューティーは、交流一周期内で逆転写側時間Trが占める割合であり、「逆転写側時間Tr/周期T×100%」という式によって求めることができる。
図示のように、波形の立ち上がりや立ち下がりがほぼ垂直になっている綺麗な矩形波で
は、波形の立ち上がり開始点や立ち下がり開始点がはっきりする。このような波形では、逆転写側時間Trや転写側時間Ttを次のようにして求めることが可能である。即ち、波形の周期T内において、二次転写バイアスの値が基線としてのゼロの線よりもプラス極性側に向けて立ち上がり始めた時点から、ゼロの線まで立ち下がった後、ゼロの線からマイナス極性側に向けて立ち下がり始める直前までを逆転写側時間Trとする。また、ゼロの線からからマイナス極性側に向けて立ち下がり始めた時点から、ゼロの線まで立ち上がった後、更にゼロの線からプラス極性側に向けて立ち上がり始める直前までを転写側時間Ttとする。
図10は、二次転写電源39の実機から出力される重畳電圧の波形の一例を示すグラフである。この波形では、立ち上がり部や立ち下がり部が垂直になっておらず、若干の勾配を有している。このような綺麗な矩形波でない波形では、立ち上がりや立ち下がりの基線がはっきりしない。そこで、逆転写側時間Trを次のように定義するとよい。即ち、逆ピーク値Vrを転写ピーク値Vtに向けてピークツウピーク値Vppの30%の値だけシフトさせた位置を波形の基線とする。そして、値が基線よりも逆ピークVr側になる時間を逆転写側時間Trとする。より詳しくは、波形が基線から逆ピーク値Vrに向けて立ち上がり又は立ち下がり始めた時点から、基線まで立ち下がる又は立ち上がる直前までの時間を逆転写側時間Trとする。この逆転写側時間Trの周期Tおける割合をデューティーとして求めればよい。
なお、実施形態では、マイナス極性のトナーを用い、且つ二次転写バイアスを二次転写裏面ローラ33に印加する構成になっていることから、逆転写時間Trは具体的には次のようになる。即ち、図示のように、基線から逆ピーク値Vrに向けて立ち上がり始めた時点から、基線まで立ち下がった後、更に転写ピーク値Vtに向けて立ち下がり始める直前までの時間である。これに対し、マイナス極性のトナーを用い、且つ二次転写バイアスを二次転写ニップ裏打ちローラ36に印加する構成では、逆転写側時間Trは、次のようなものになる。即ち、基線から転写ピーク値Vtに向けて立ち下がり始めた時点から、基線まで立ち上がった後、更に逆ピーク値Vrに向けて立ち上がり始める直前までの時間である。
参考までに、同図に示される波形のデューティーは85[%]である。また、転写側時間Ttは、周期Tから逆転写側時間Trを差し引いた値である。
極性を反転させず、且つ立ち上がりや立ち下がりの勾配が比較的緩やかな波形からなる重畳電圧からなる二次転写バイアスの場合には、逆ピーク値Vrと転写ピーク値Vtとの中心値の位置を基線として逆転写側時間Trを特定するとよい。
本発明者らは、プリンタ試験機を用いて、様々な条件で単色のテストHT画像をプリントして、それぞれのプリントにおけるトナーの二次転写率をHT画像二次転写率として求めた。具体的には、テストHT画像を中間転写ベルト31上に二頁分一次転写し、一頁目のテストHT画像を二次転写ニップに進入させる前に、プリンタ試験機を一時停止させた。そして、一頁目のテストHT画像のKトナーを吸引機で吸引し、収拾されたKトナーの重さを全トナー重量として求めた。次に、プリンタ試験機を再駆動して、二頁目のテストHT画像を表面コート紙に二次転写した直後にプリンタ試験機を停止させた。そして、中間転写ベルト31における二頁目に対応する領域に付着している二次転写残トナーを吸引機で吸引し、収拾されたKトナーの重さを転写残重量として求めた。そして、全トナー重量から転写残重量を差し引いた値である転写重量の全トナー重量に対する割合をHT画像二次転写率[%]として求めた。当然ながら、HT画像二次転写率[%]が高くなるほど、二次転写効率が良く、画像濃度不足の度合いが低くなる。
この第一実験の結果を、次の表2に示す。
Figure 2017191249
同じベルトにおいて、二次転写バイアスの違いでHT画像二次転写率を比較すると、直流電圧だけからなる二次転写バイアスと、デューティー=30[%]の重畳電圧からなる二次転写バイアスとでは、HT画像二次転写率がほぼ一緒になる。この一方で、それらの二次転写バイアスに比べて、デューティー=60[%]の重畳電圧からなる二次転写バイアスや、デューティー=80[%]の重畳電圧からなる二次転写バイアスでは、HT画像二次転写率が飛躍的に向上している。デューティーが50[%]を超える高デューティーになると、デューティーが50[%]未満である低デューティーの場合に比べて、HT画像二次転写率が飛躍的に向上するのである。これは、高デューティーになると、二次転写ニップ内におけるトナー粒子の逆電荷の注入が抑えられるためだと考えられる。よって、二次転写バイアスとしては、高デューティーの重畳電圧からなるものを用いることが望ましい。
一方、同じ種類の二次転写バイアスにおいて、中間転写ベルト31の硬度の違いでHT画像二次転写率を比較すると、硬度が高くなるにつれて、HT画像二次転写率が高くなる傾向にあることがわかる。これは、中間転写ベルト31の硬度が低くなるにつれて(軟らかくなるにつれて)、二次転写ニップ内でベルトがトナー層の凹凸に追従して柔軟に変形してトナー層との接触面積を増加させることで、トナーに対する逆電荷の注入量を増加させるからだと考えられる。弾性層31bの厚みが600[μm]もあることで硬度が著しく低くなっているベルトEでは、2〜4[%]のHT画像二次転写率しか得られず、HT画像の著しい画像濃度不足を引き起こす結果になった。HT画像二次転写率をある程度確保するためには、中間転写ベルト31の硬度をベルトEの硬度(マルテンス硬度で0.2、マイクロゴム硬度で25)よりも大きくすることが望ましい。
なお、表2に太枠で示したように、二層構造と、三層構造とで、ベルトの硬度を同じにすれば、互いのHT画像二次転写率をほぼ同じにすることが可能である。
次に、本発明者らは、第二実験として、各種のベルトにおいて、和紙のように表面凹凸に富んだ凹凸紙(レザック66 連量215kg)に、二色重ねの青色のテストベタ画像をプリントした。実験室の環境については、温度23[℃]、湿度50[%]に維持した。プロセス線速については、第一実験と同様に、630[mm/s]とした。ベタ画像はHT画像に比べて逆電荷の注入による二次転写不良を引き起こし難いので、二次転写バイアスについては、重畳電圧ではなく、直流電圧だけからなるものを用い、出力電流値=120[μA]で定電流制御した。
凹凸紙に二次転写したテストベタ画像については、表面凹部へのトナー転移不良による凹凸濃度ムラランクを1〜5の範囲の数値で官能評価した。この官能評価は、一般的な視力の評価者が、予め設定された各種の凹凸濃度ムラランクの見本画像と、被検対象の画像とを目視観察によって比較することで、被検対象の画像の濃度ムラランクを特定するものである。凹凸濃度ムラランクの数値が高くなるほど、凹凸濃度ムラが目立ち難いことを示している。
第二実験における濃度ムラランクの結果を次の表3に示す。
Figure 2017191249
表3に示されるように、ベルトの硬度が低くなるにつれて、凹凸濃度ムラが目立ち難くなることがわかる。これは、ベルトの硬度が低くなるにつれて、中間転写ベルト31が二次転写ニップで凹凸紙の表面凹凸にならって柔軟に変形して、ベルト表面と凹凸紙の表面凹部との密着性を向上させるからである。
しかしながら、上述したように、一般的には、ベルトの硬度が低くなるにつれて、HT画像二次転写率が低くなるので、凹凸濃度ムラと、HT画像の画像濃度不足とはトレードオフの関係にある。但し、表3の太枠で示したように、ベルトの硬度が同じであれば、三層構造の方が二層構造に比べて凹凸濃度ムラランクを飛躍的に向上させることができる。更に、三層構造のベルトの硬度を二層構造のベルトの硬度よりも若干高くしても、三層構造のベルトの方が凹凸濃度ムラランクを向上させることが可能である。先に表2に示したように、同じ硬度であれば、HT画像二次転写率については二層構造と三層構造とでほぼ同じにすることが可能であるので、三層構造を採用した方が有利である。
ベルトの硬度が同じであれば、三層構造の方が二層構造に比べて凹凸濃度ムラを目立たなくできるのは、次に説明する理由によるものと考えられる。即ち、表3の太枠内に示されるように、三層構造のベルトの硬度を二層構造のベルトの硬度と同程度にするためには、三層構造のベルトにおける弾性層31bの厚みを二層構造のベルトにおける弾性層31bの厚みよりも遙かに大きくする必要がある。換言すると、同じ硬度の条件で三層構造を採用すれば、二層構造に比べて弾性層31bの厚みを遙かに大きくすることができる。ベルト表面の柔軟性は、硬度の他に、弾性層31bの厚みにも左右され、厚みが大きくなるにつれて柔軟性が向上する。これにより、三層構造の方が、凹凸紙の表面凹部とベルト表面との密着性を高めて、表面凹部へのトナー転写性を向上させたと考えられる。
以上の実験結果に鑑みて、実施形態に係るプリンタにおいては、中間転写ベルト31における複数の層として、弾性層31bの他に、基層31aと、自らが存在しない場合に比べて複数層全体の硬度をより高くする材料からなる表面層31dとを設けている。具体的には、実験で用いた三層構造のベルトからなるものを用いている。基層31aを設けることで、設けない場合に比べて、中間転写ベルト31の経時的な伸びの発生を抑えることができる。また、表面層31dを設けることで、設けない場合に比べて、凹凸紙における凹凸濃度ムラを目立たなくすることができる。これにより、HT画像の二次転写不良を助長することなく、凹凸紙の表面凹部に対するトナー転写性を高めて、凹凸濃度ムラを目立たなくすることができる。
なお、表面層31dについて、自らが存在しない場合に比べて複数層全体の硬度をより高くする材料からなるか否かを確かめる方法としては、次のような方法を採用することが可能である。即ち、まず、表面層31dを設けていない点の他は、被検対象ベルトと同じ構成の表面層無しベルトを用意し、この表面層無しベルトのマルテンス硬度やマイクロゴム硬度を測定して、測定結果を比較硬度とする。次に、被検対象ベルトのマルテンス硬度やマイクロゴム硬度を測定し、この測定結果が比較硬度よりも高い場合には、表面層31bについて前述のような材料からなるものであると判定することができる。
実施形態に係るプリンタにおいては、二次転写バイアスとして、逆転写側時間Trを転写側時間Ttよりも長くして高デューティーにした重畳電圧からなるものを出力させるように、二次転写電源39を構成している。
中間転写ベルト31の硬度については、マイクロゴム硬度を25よりも高くし、且つマルテンス硬度を0.2よりも高くしている。更には、弾性層31bの厚みを390[μm]以下にしている。弾性層31bの厚みを390[μm]よりも大きくすると、二次転写ニップ内におけるトナーに対する逆電荷の注入を急激に増加させてしまうおそれがあるからである。換言すれば、実験で逆電荷の注入を抑えることが立証されている厚み以下とすることで、逆電荷の注入を確実に抑えることができる。
図11は、実施形態に係るプリンタの入力操作部501の電気回路を示すブロック図である。この入力操作部501は、図3の電源制御部200に電気的に接続されている。図11において、入力操作部501は、平滑紙ボタン501aと、凹凸紙ボタン501bとを有している。実施形態に係るプリンタにおいては、ユーザーに対して次のような操作を行ってもらうための説明を、取り扱い説明書に記載している。即ち、給送カセット(図1の100)に対し、記録シートPとして、コート紙などの表面平滑性に優れた高平滑シートをセットした場合には、平滑紙ボタン501aを押下する。これに対し、給紙カセットに対し、記録シートPとして、和紙などの表面平滑性に劣る低平滑シートをセットした場合には、凹凸紙ボタン501bを押下する。つまり、入力操作部501は、次のような情報を取得することが可能な情報取得手段として機能している。即ち、トナー像の二次転写対象となる記録シートPについて、少なくとも、表面平滑性に優れた高平滑シートであるのか、あるいは高平滑シートよりも表面平滑性が劣る低平滑シートであるのかを把握することが可能な情報である。
制御手段としての電源制御部200は、入力操作部501による前記情報の取得結果に基づいて、高平滑シートにトナー像を二次転写するための高平滑モードと、低平滑シートにトナー像を二次転写するための低平滑モードとで転写モードを切り替える。具体的には、平滑紙ボタン501aが押下された場合には、転写モードを高平滑モードに設定する。そして、高平滑モードでは、平滑紙にHT画像を二次転写する際の少数ドットトナー塊に対する逆電荷の注入を抑えるために、高デューティーの二次転写バイアスを二次転写電源39から出力させる。
一方、凹凸紙ボタン501bが押下された場合には、電源制御部200は、転写モードを低平滑モードに設定する。そして、低平滑モードでは、凹凸シートの表面凹部内に十分量のトナーを二次転写するために、直流電圧だけからなる二次転写バイアスを二次転写電源39から出力させる。
かかる構成では、記録シートとして和紙のような凹凸紙が用いられる場合に、直流電圧だけからなる二次転写バイアスを二次転写電源39から出力することで、紙面凹部内にトナーを良好に転移させることができる。
一方、記録シートとしてコート紙のような高平滑シートが用いられる場合に、高デューティーの二次転写バイアスを二次転写電源39から出力することで、次のような作用効果を奏する。即ち、HT画像の少数ドットトナー群に対する逆電荷の注入を抑えて、平滑シートに対するハーフトーン画像の二次転写性を向上させる。これにより、HT画像の画像濃度不足の発生を抑えることができる。
なお、記録シートPの銘柄を入力することで、記録シートPの表面平滑性を把握させ、その結果に基づいて、二次転写バイアスを切り替えさせるように、電源制御部200を構成してもよい。また、反射型光学センサーによって記録シートPの表面平滑性を把握させ、その結果に基づいて、二次転写バイアスを切り替えさせるように、電源制御部200を構成してもよい。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[態様A]
態様Aは、少なくとも弾性層(例えば弾性層31b)を含む複数の層を具備する像担持体(例えば中間転写ベルト31)と、前記像担持体の表面に当接して転写ニップを形成するニップ形成部材(例えばシート搬送ベルト41)と、前記転写ニップに挟み込んだ記録シート(例えば記録シートP)に対して前記像担持体上のトナー像を転写するために交流電圧と直流電圧とを重畳した重畳電圧からなる転写バイアス(例えば二次転写バイアス)を出力する電源(例えば二次転写電源39)とを備える画像形成装置において、前記複数の層として、前記弾性層の他に、基層(例えば基層31a)と、自らが存在しない場合に比べて複数層全体の硬度をより高くする材料からなる表面層(例えば表面層31d)とを前記像担持体に設け、前記転写バイアスとして、前記転写ニップ内でトナーを像担持体側から記録シート側に向けてより強く静電移動させる方のピーク値である転写ピーク値(例えば転写ピーク値Vt)、及びこの転写ピーク値とは逆側のピーク値である逆ピーク値(例えば逆ピーク値Vr)を交流成分の一周期内で発生させ、且つ一周期内にて、所定の基準値に比べて前記逆ピーク値の側の値になっている時間である逆転写側時間(例えば逆転写側時間Tr)を、残りの時間である転写側時間(例えば転写側時間Tt)よりも長くしたものを出力するように、前記電源を構成したことを特徴とするものである。
かかる構成においては、次に説明する理由により、表面平滑性に優れた平滑シートに対するトナー像の転写不良を助長することなく、表面凹凸に富んだ凹凸シートの表面凹部に対するトナー像の転写性を高めることができる。
即ち、態様Aのように弾性層を具備する像担持体を用いる構成では、転写ニップで像担持体を凹凸シートの表面凹凸にならわせて柔軟に変形させることで、凹凸シートの表面凹部と像担持体との密着性を高める。これにより、凹凸シートの表面凹部に対するトナー像の転写性を高めることが可能である。
但し、弾性層を設けて像担持体の硬度を低くすると、それに伴って平滑シートに対するトナー像の転写不良を発生させ易くなってしまう。これは次に説明する理由による。即ち、像担持体の硬度を低くするにつれて、転写ニップで像担持体をトナー層の凸形状にならわせて柔軟に変形させ易くなることから、像担持体とトナー層との接触面積を増加させる。すると、その増加に伴って、トナー層中のトナーに対して逆電荷を注入し易くなる。この逆電荷の注入は、凹凸シートに対してトナー像を転写する場合よりも、平滑シートに対してトナー像を転写する場合の方が発生し易くなる。逆電荷の注入により、トナーの正規帯電極性の帯電量(Q/M)を低下させてしまうと、トナーの像担持体表面側から平滑シート表面側に向かう静電気力を低下させてしまうことから、トナー像の転写不良を引き起こし易くなってしまうのである。
そこで、態様Aにおいては、弾性層に加えて、表面層を像担持体に設けることで、弾性層を設けることによる像担持体の硬度低下をきたすことなく、凹凸シートの表面凹部に対するトナー像の転写性を高めることを可能にしている。具体的には、凹凸シートの表面凹部に対するトナー像の転写性を高めるための手法としては、弾性層の厚みをより大きくすることで、像担持体のシート表面凹凸に対する柔軟性をより高くする手法が有効である。ところが、弾性層の厚みを大きくすると、像担持体の硬度を低下させて、平滑シートに対するトナー像の転写不良を発生させ易くなってしまう。そこで、態様Aでは、自らが存在することで像担持体の複数増全体の硬度をより高くする表面層を像担持体に設けている。かかる構成では、弾性層の厚みをより大きくして凹凸シートの表面凹部に対するトナー像の転写性を高めても、像担持体の硬度については、表面層を設けることにより、弾性層の厚みをより大きくしない場合と同等の値に留めることが可能である。従って、像担持体の硬度低下によって平滑シートに対するトナー像の転写不良を助長してしまうことなく、弾性層の厚みをより大きくして凹凸シートの表面凹部に対するトナー像の転写性を高めることができる。
更に、態様Aにおいては、転写バイアスとして、一周期内の逆転写側時間を転写側時間よりも長くしたものを用いることで、両時間の長短を逆の関係にしたものを用いる場合に比べて、平滑シートに対するトナー像の転写不良を抑えることができる。
[態様B]
態様Bは、態様Aであって、前記逆転写側時間及び前記転写側時間のうちの一方は、電圧周期変動の波形が前記基準値の位置である基線の位置から一方のピーク値の側に向けて立ち上がり始めた時点から、前記基線の位置まで立ち下がった後、他方のピーク値に向けて立ち下がり始める直前までの時間であり、前記逆転写側時間及び前記転写側時間のうちのもう一方は、前記波形が前記基線の位置から前記他方のピーク値の側に向けて立ち下がり始めた時点から、前記基線の位置まで立ち上がった後、更に前記基線の位置から前記一方のピーク値に向けて立ち上がり始める直前までの時間であることを特徴とするものである。
[態様C]
態様Cは、態様Aであって、前記逆転写側時間は、前記逆ピーク値を、ピークツウピーク値の30%の値だけシフトさせた値を前記基準値として、前記波形が前記基準値よりも前記逆ピーク値の側にある時間であることを特徴とするものである。
[態様D]
態様Dは、態様Aであって、前記転写バイアスが交流一周期内で極性を反転させるものであり、且つ、前記逆転写側時間は、前記転写バイアスの極性が前記転写ニップで前記像担持体から記録シートへとトナーを静電移動させる極性とは逆極性になる時間であることを特徴とするものである。
[態様E]
態様Eは、態様Aであって、前記転写バイアスが交流一周期内で極性を反転させるものであり、前記基準値は、前記逆ピーク値を前記転写ピーク値に向けてピークツウピーク値の30%の値だけシフトさせた値であり、前記逆転写側時間は、前記波形が前記基準値よりも前記逆ピーク値の側の値になる時間であることを特徴とするものである。
[態様F]
態様Fは、態様Aであって、前記逆転写側時間は、前記波形が前記基準値である一周期内の二つのピーク値の中心値よりも前記逆ピーク値の側の値にある時間であることを特徴とするものである。
[態様G]
態様Gは、態様A〜態様Fの何れかであって、前記像担持体のマイクロゴム硬度が25よりも高いことを特徴とするものである。かかる構成では、像担持体の硬度が低すぎることによる平滑シートへのトナー像の著しい転写不良の発生を回避することができる。
[態様H]
態様Hは、態様A〜Gの何れかであって、前記像担持体のマルテンス硬度が0.2よりも高いことを特徴とするものである。かかる構成では、像担持体の硬度が低すぎることによる平滑シートへのトナー像の著しい転写不良の発生を回避することができる。
[態様I]
態様Iは、態様A〜Hの何れかの画像形成装置であって、前記弾性層の厚みが390[μm]よりも小さいことを特徴とするものである。かかる構成では、弾性層の厚みが大きすぎることによる平滑シートへのトナー像の著しい転写不良の発生を回避することができる。
31:中間転写ベルト(像担持体)
31a:基層
31b:弾性層
31c:粒子
31d:表面層
39:二次転写電源(電源)
41:シート搬送ベルト(ニップ形成部材)
P:記録シート
特開2014−10383号公報

Claims (9)

  1. 少なくとも弾性層を含む複数の層を具備する像担持体と、前記像担持体の表面に当接して転写ニップを形成するニップ形成部材と、前記転写ニップに挟み込んだ記録シートに対して前記像担持体上のトナー像を転写するために交流電圧を含む転写バイアスを出力する電源とを備える画像形成装置において、
    前記複数の層として、前記弾性層の他に、自らが存在しない場合に比べて複数層全体の硬度をより高くする材料からなる表面層を前記像担持体に設け、
    前記転写バイアスとして、前記転写ニップ内でトナーを像担持体側から記録シート側に向けてより強く静電移動させる方のピーク値である転写ピーク値、及びこの転写ピーク値とは逆側のピーク値である逆ピーク値を交流成分の一周期内で発生させ、且つ一周期内にて、所定の基準値に比べて前記逆ピーク値の側の値になっている時間である逆転写側時間を、残りの時間である転写側時間よりも長くしたものを出力するように、前記電源を構成したことを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1の画像形成装置であって、
    前記逆転写側時間及び前記転写側時間のうちの一方は、電圧周期変動の波形が前記基準値の位置である基線の位置から一方のピーク値の側に向けて立ち上がり始めた時点から、前記基線の位置まで立ち下がった後、他方のピーク値に向けて立ち下がり始める直前までの時間であり、前記逆転写側時間及び前記転写側時間のうちのもう一方は、前記波形が前記基線の位置から前記他方のピーク値の側に向けて立ち下がり始めた時点から、前記基線の位置まで立ち上がった後、更に前記基線の位置から前記一方のピーク値に向けて立ち上がり始める直前までの時間であることを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項1の画像形成装置であって、
    前記逆転写側時間は、前記逆ピーク値を、ピークツウピーク値の30%の値だけシフトさせた値を前記基準値として、前記波形が前記基準値よりも前記逆ピーク値の側にある時間であることを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項1の画像形成装置であって、
    前記転写バイアスが交流一周期内で極性を反転させるものであり、
    且つ、前記逆転写側時間は、前記転写バイアスの極性が前記転写ニップで前記像担持体から記録シートへとトナーを静電移動させる極性とは逆極性になる時間であることを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項1の画像形成装置であって、
    前記転写バイアスが交流一周期内で極性を反転させるものであり、
    前記基準値は、前記逆ピーク値を前記転写ピーク値に向けてピークツウピーク値の30%の値だけシフトさせた値であり、前記逆転写側時間は、前記波形が前記基準値よりも前記逆ピーク値の側の値になる時間であることを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項1の画像形成装置であって、
    前記逆転写側時間は、前記波形が前記基準値である一周期内の二つのピーク値の中心値よりも前記逆ピーク値の側の値にある時間であることを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項1乃至6の何れかの画像形成装置であって、
    前記像担持体のマイクロゴム硬度が25よりも高いことを特徴とする画像形成装置。
  8. 請求項1乃至7の何れかの画像形成装置であって、
    前記像担持体のマルテンス硬度が0.2よりも高いことを特徴とする画像形成装置。
  9. 請求項1乃至8の何れかの画像形成装置であって、
    前記弾性層の厚みが390[μm]よりも小さいことを特徴とする画像形成装置。
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