JP2016110013A - 画像形成装置 - Google Patents

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Takehide Mizutani
武英 水谷
石井 宏一
Koichi Ishii
宏一 石井
杉浦 健治
Kenji Sugiura
健治 杉浦
芳賀 浩吉
Kokichi Haga
浩吉 芳賀
成一 小暮
Seiichi Kogure
成一 小暮
純平 藤田
Junpei Fujita
純平 藤田
和田 雄二
Yuji Wada
雄二 和田
一樹 與五澤
Kazuki Yogosawa
一樹 與五澤
竜也 大杉
Tatsuya Osugi
竜也 大杉
俊隆 山口
Toshitaka Yamaguchi
俊隆 山口
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Naohiro Kumagai
直洋 熊谷
真也 田中
Shinya Tanaka
真也 田中
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Abstract

【課題】記録シートの後端部の画像に異常画像が発生するのを抑制できる画像形成装置を提供する。【解決手段】像担持体31と、像担持体にトナー像を形成するトナー像形成手段1と、像担持体の表面に当接して転写ニップを形成するニップ形成部材41と、転写ニップでトナー像を記録シートへ転写するために少なくとも交流成分を含む転写バイアスを出力する電源39と、電源を制御する制御手段200と、転写ニップへ進入した記録シートの転写ニップよりも後端側の部分を反らせるように記録シートの姿勢を規制しつつ記録シートを転写ニップへガイドする記録シートガイド手段50とを備えた画像形成装置において、記録シートの後端領域における交流成分のピーク間電圧を、記録シートの後端領域より先端側の先端側領域における交流成分のピーク間電圧よりも小さくするように、電源を制御手段が制御する。【選択図】図1

Description

本発明は画像形成装置に関するものである。
従来、像担持体とニップ形成部材との当接による転写ニップに転写電流を流すために、少なくとも交流成分を含む転写バイアスを出力する転写電源を備える画像形成装置が知られている。
特許文献1に記載の画像形成装置は、感光体の表面上に作像したトナー像を、中間転写ベルトに一次転写した後に、中間転写ベルトとこれのおもて面に当接する二次転写ローラとの当接による二次転写ニップに挟み込んだ記録シートに二次転写する。この二次転写を静電転写方式で実現するために、中間転写ベルトの裏面に当接しながら前述の二次転写ローラとの間に中間転写ベルトを挟み込んで二次転写ニップを形成する二次転写対向ローラに対して二次転写バイアスを印加している。二次転写バイアスとしては、二次転写性を向上させる狙いで、直流成分と交流成分との重畳による重畳バイアスからなるものを採用している。
また、特許文献1には、転写ニップよりも記録シート搬送方向上流側に、記録シートを転写ニップへガイドする記録シートガイド部材が配置された画像形成装置が開示されている。
前記記録シートガイド部材によって、記録シートの転写ニップよりも後端側の部分を反らせるように記録シートの姿勢を規制しつつ記録シートをガイドすることで、安定な姿勢で記録シートを転写ニップに案内することができると考えられる。しかしながら、記録シートガイド部材が設けられ、少なくとも交流成分を含む二次転写バイアスを用いて、中間転写ベルトから記録シートにトナー像を転写する画像形成装置では、記録シートの後端部の画像に横白スジと呼ばれる異常画像が発生するおそれがあった。
上記課題を解決するために、本発明は、像担持体と、前記像担持体にトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記像担持体の表面に当接して転写ニップを形成するニップ形成部材と、前記転写ニップで前記トナー像を記録シートへ転写するために少なくとも交流成分を含む転写バイアスを出力する電源と、前記電源を制御する制御手段と、前記転写ニップへ進入した記録シートの該転写ニップよりも後端側の部分を反らせるように記録シートの姿勢を規制しつつ記録シートを該転写ニップへガイドする記録シートガイド手段とを備えた画像形成装置において、前記記録シートの後端領域における前記交流成分のピーク間電圧を、前記記録シートの前記後端領域より先端側の先端側領域における前記交流成分のピーク間電圧よりも小さくするように、前記電源を前記制御手段が制御することを特徴とする。
以上、本発明によれば、記録シートの後端部の画像に異常画像が発生するのを抑制できるという優れた効果がある。
規制解除時以後における二次転写バイアスの交流成分のピークツウピーク値Vppを規制解除時前よりも小さくなるように、二次転写バイアスの後端補正を行った場合の波形図。 実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。 同プリンタにおけるK用の画像形成ユニットを拡大して示す拡大構成図。 同プリンタの中間転写ベルトの横断面を部分的に示す拡大断面図。 同中間転写ベルトを部分的に拡大して示す拡大平面図。 同プリンタにおける二次転写電源の電気回路の要部を、二次転写対向ローラや二次転写ローラなどともに示すブロック図。 中間転写ベルトとして、同プリンタのものとは異なり、単層構造のものを用いた構成における二次転写ニップ及びその周囲を示す拡大構成図。 実施形態に係るプリンタにおける二次転写ニップ及びその周囲構成を示す拡大断面図。 同二次転写電源から出力される二次転写バイスの波形を示すグラフ。 試作機の二次転写電源から実際に出力させたDuty=85%の二次転写バイアスの波形を示すグラフ。 試作機の二次転写電源から実際に出力させたDuty=90%の二次転写バイアスの波形を示すグラフ。 試作機の二次転写電源から実際に出力させたDuty=70%の二次転写バイアスの波形を示すグラフ。 試作機の二次転写電源から実際に出力させたDuty=50%の二次転写バイアスの波形を示すグラフ。 試作機の二次転写電源から実際に出力させたDuty=30%の二次転写バイアスの波形を示すグラフ。 試作機の二次転写電源から実際に出力させたDuty=10%の二次転写バイアスの波形を示すグラフ。 Dutyの定義を説明するためのグラフ。 二次転写率と二次転写電流との関係を示すグラフ。 トナー帯電量Q/M[μC/g]と、転写方式との関係を示すグラフ。 記録シートの後端部が上側入口ガイドで規制された状態での二次転写ニップ及びその周辺の拡大図。 記録シートの後端部が上側入口ガイドを抜けた状態での二次転写ニップ及びその周辺の拡大図。 記録シートの後端抜け画像を示す模式図。 記録シート案内部材の構成の一例を示した図。 (a)後端補正において交流成分のピークツウピーク値Vppだけを変更した場合の二次転写バイアスの波形図、(b)後端補正において交流成分のピークツウピーク値Vppだけではなく直流成分も変更した場合の二次転写バイアスの波形図。 規制解除時前の後端補正開始前画像部と規制解除時以後の後端補正部とで、二次転写バイアスの交流成分のピークツウピーク値Vppと直流成分とを切り換えるときのタイミングチャートの一例を示した図。 規制解除時前の後端補正開始前画像部と規制解除時以後の後端補正部とで、二次転写バイアスの交流成分のピークツウピーク値Vppと直流成分とを切り換えるときのタイミングチャートの他例を示した図。 規制解除時前の後端補正開始前画像部と規制解除時以後の後端補正部とで、二次転写バイアスの交流成分のピークツウピーク値Vppと直流成分とを切り換えるときのタイミングチャートのさらに他例を示した図。 記録シート後端で交流成分をOFFしたときの電圧波形をモニタした結果を示す図。
[実施形態1]
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のカラープリンタ(以下、単にプリンタという)の第一の実施形態について説明する。
まず、実施形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。図2は、実施形態に係るプリンタを示す概略構成図である。同図において、実施形態に係るプリンタは、イエロー(Y),マゼンダ(M),シアン(C),ブラック(K)のトナー像を形成するための4つのトナー像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kを備えている。また、転写ユニット30、光書込ユニット80、定着装置90、給送カセット100、レジストローラ対101なども備えている。
4つのトナー像形成ユニット1Y,M,C,Kは、画像形成物質として、互いに異なる色のY,M,C,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。Kトナー像を形成するためのトナー像形成ユニット1Kを例にすると、これは、図3に示されるように、潜像担持体たるドラム状の感光体2K、ドラムクリーニング装置3K、除電装置、帯電装置6K、現像装置8K等を備えている。これらの装置が共通の保持体に保持されてプリンタ本体に対して一体的に脱着することで、それらを同時に交換できるようになっている。
感光体2Kは、ドラム基体の表面上に有機感光層が形成されたものであって、駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動される。帯電装置6Kは、帯電バイアスが印加される帯電ローラ7Kを感光体2Kに接触あるいは近接させながら、帯電ローラ7Kと感光体2Kとの間に放電を発生させることで、感光体2Kの表面を一様帯電せしめる。実施形態では、トナーの正規帯電極性と同じマイナス極性に一様帯電せしめる。帯電バイアスとしては、直流電圧に交流電圧を重畳したものを採用している。帯電ローラ7Kは、金属製の芯金の表面に導電性弾性材料からなる導電性弾性層が被覆されたものである。帯電ローラ等の帯電部材を感光体2Kに接触あるいは近接させる方式に代えて、帯電チャージャーによる方式を採用してもよい。
一様帯電せしめられた感光体2Kの表面は、後述する光書込ユニットから発せられるレーザー光によって光走査されてK用の静電潜像を担持する。このK用の静電潜像は、Kトナーを用いる現像装置8Kによって現像されてKトナー像になる。そして、後述する中間転写ベルト31上に一次転写される。
ドラムクリーニング装置3Kは、一次転写工程(後述する一次転写ニップ)を経た後の感光体2K表面に付着している転写残トナーを除去する。回転駆動されるクリーニングブラシローラ4K、片持ち支持された状態で自由端を感光体2Kに当接させるクリーニングブレード5Kなどを有している。回転するクリーニングブラシローラ4Kで転写残トナーを感光体2K表面から掻き取ったり、クリーニングブレードで転写残トナーを感光体2K表面から掻き落としたりする。
上記除電装置は、ドラムクリーニング装置3Kによってクリーニングされた後の感光体2Kの残留電荷を除電する。この除電により、感光体2Kの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。
現像装置8Kは、現像剤担持体たる現像ロール9Kを内包する現像部12Kと、K現像剤を撹拌搬送する現像剤搬送部13Kとを有している。そして、現像剤搬送部13Kは、第1スクリュー部材10Kを収容する第1搬送室と、第2スクリュー部材11Kを収容する第2搬送室とを有している。それらスクリュー部材は、それぞれ、軸線方向の両端部がそれぞれ軸受けによって回転自在に支持される回転軸部材と、これの周面に螺旋状に突設せしめられた螺旋羽根とを具備している。
第1スクリュー部材10Kを収容している第1搬送室と、第2スクリュー部材11Kを収容している第2搬送室とは、仕切り壁によって仕切られているが、仕切壁におけるスクリュー軸線方向の両端箇所には、それぞれ両搬送室を連通させる連通口が形成されている。第1スクリュー部材10Kは、螺旋羽根内に保持しているK現像剤を、回転駆動に伴って回転方向に撹拌しながら、図中の紙面に直交する方向の奥側から手前側に向けて搬送する。第1スクリュー部材10Kと、後述する現像ロール9Kとは互いに向かい合う姿勢で平行配設されているため、このときのK現像剤の搬送方向は、現像ロール9Kの回転軸線方向に沿った方向でもある。そして、第1スクリュー部材10Kは、現像ロール9Kの表面に対してK現像剤をその軸線方向に沿って供給していく。
第1スクリュー部材10Kの図中手前側端部付近まで搬送されたK現像剤は、仕切壁の図中手前側端部付近に設けられた連通開口を通って、第2搬送室内に進入した後、第2スクリュー部材11Kの螺旋羽根内に保持される。そして、第2スクリュー部材11Kの回転駆動に伴って、回転方向に撹拌されながら、図中手前側から奥側に向けて搬送されていく。
第2搬送室内において、ケーシングの下壁にはトナー濃度センサが設けられており、第2搬送室内のK現像剤のKトナー濃度を検知する。Kトナー濃度センサとしては、透磁率センサからなるものが用いられている。Kトナーと磁性キャリアとを含有するK現像剤の透磁率は、Kトナー濃度と相関関係があるため、透磁率センサは、Kトナー濃度を検知していることになる。
本プリンタには、Y,M,C,K用の現像装置の第2収容室内にY,M,C,Kトナーをそれぞれ個別に補給するためのY,M,C,Kトナー補給手段が設けられている。そして、プリンタの制御部は、RAMに、Y,M,C,Kトナー濃度検知センサからの出力電圧値の目標値であるY,M,C,K用のVtrefを記憶している。Y,M,C,Kトナー濃度検知センサからの出力電圧値と、Y,M,C,K用のVtrefとの差が所定値を超えた場合には、その差に応じた時間だけY,M,C,Kトナー補給手段を駆動する。これにより、Y,M,C,K用の現像装置における第2搬送室内にY,M,C,Kトナーが補給される。
現像部12K内に収容されている現像ロール9Kは、第1スクリュー部材10Kに対向しているとともに、ケーシングに設けられた開口を通じて、感光体2Kにも対向している。また、現像ロール9Kは、回転駆動される非磁性パイプからなる筒状の現像スリーブと、これの内部にスリーブと連れ回らないように固定されたマグネットローラとを具備している。そして、第1スクリュー部材10Kから供給されるK現像剤をマグネットローラの発する磁力によってスリーブ表面に担持しながら、スリーブの回転に伴って、感光体2Kに対向する現像領域に搬送する。
現像スリーブには、トナーと同極性であって、感光体2Kの静電潜像の電位よりも絶対値が大きく、且つ感光体2Kの一様帯電電位よりも絶対値が小さな現像バイアスが印加されている。これにより、現像スリーブと感光体2Kの静電潜像との間には、現像スリーブ上のKトナーを静電潜像に向けて静電移動させる現像ポテンシャルが作用する。また、現像スリーブと感光体2Kの地肌部との間には、現像スリーブ上のKトナーをスリーブ表面に向けて移動させる非現像ポテンシャルが作用する。それら現像ポテンシャル及び非現像ポテンシャルの作用により、現像スリーブ上のKトナーが感光体2Kの静電潜像に選択的に転移して、静電潜像をKトナー像に現像する。
図2において、Y,M,C用のトナー像形成ユニット1Y,M,Cにおいても、K用のトナー像形成ユニット1Kと同様にして、感光体2Y,M,C上にY,M,Cトナー像が形成される。トナー像形成ユニット1Y,M,C,Kの上方には、潜像書込手段たる光書込ユニット80が配設されている。この光書込ユニット80は、パーソナルコンピュータ等の外部機器から送られてくる画像情報に基づいてレーザーダイオードから発したレーザー光により、感光体2Y,M,C,Kを光走査する。この光走査により、感光体2Y,M,C,K上にY,M,C,K用の静電潜像が形成される。なお、光書込ユニット80は、光源から発したレーザー光Lを、ポリゴンモータによって回転駆動したポリゴンミラーで主走査方向に偏光せしめながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体に照射するものである。LEDアレイの複数のLEDから発したLED光によって光書込を行うものを採用してもよい。
トナー像形成ユニット1Y,M,C,Kの下方には、無端状の中間転写ベルト31を張架しながら図中反時計回り方向に無端移動せしめる転写装置としての転写ユニット30が配設されている。転写ユニット30は、像担持体たる中間転写ベルト31の他に、駆動ローラ32、二次転写対向ローラ33、クリーニングバックアップローラ34、4つの一次転写ローラ35Y,M,C,Kなどを有している。また、ベルトクリーニング装置37、濃度センサ40なども有している。
中間転写ベルト31は、そのループ内側に配設された駆動ローラ32、二次転写対向ローラ33、クリーニングバックアップローラ34、及び4つの一次転写ローラ35Y,M,C,Kによって張架されている。そして、駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動される駆動ローラ32の回転力により、同方向に無端移動せしめられる。
4つの一次転写ローラ35Y,M,C,Kは、無端移動せしめられる中間転写ベルト31を感光体2Y,M,C,Kとの間に挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト31のおもて面と、感光体2Y,M,C,Kとが当接するY,M,C,K用の一次転写ニップが形成されている。一次転写ローラ35Y,M,C,Kには、一次転写電源によってそれぞれ一次転写バイアスが印加されている。これにより、感光体2Y,M,C,K上のY,M,C,Kトナー像と、一次転写ローラ35Y,M,C,Kとの間に転写電界が形成される。Y用の感光体2Y表面に形成されたYトナーは、感光体2Yの回転に伴ってY用の一次転写ニップに進入する。そして、転写電界やニップ圧の作用により、感光体2Y上から中間転写ベルト31上に一次転写される。このようにしてYトナー像が一次転写せしめられた中間転写ベルト31は、その後、M,C,K用の一次転写ニップを順次通過する。そして、感光体2M,C,K上のM,C,Kトナー像が、Yトナー像上に順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト31上には4色重ね合わせトナー像が形成される。なお、一次転写ローラ35Y,M,C,Kに代えて、転写チャージャーや転写ブラシなどを採用してもよい。
転写ユニット30の下方には、二次転写ローラ36、二次転写ベルト41などを具備するシート搬送ユニット38が配設されている。無端状の二次転写ベルト41は、そのループ内側に配設された二次転写ローラ36などの複数のローラによって張架された状態で、二次転写ローラ36の回転駆動によって図中時計回り方向に回転せしめられる。そして、二次転写ローラ36により、中間転写ベルト31の周方向における全域のうち、二次転写対向ローラ33に対する掛け回し領域に当接して二次転写ニップを形成している。つまり、転写ユニット30の二次転写対向ローラ33と、シート搬送ユニット38の二次転写ローラ36とは、互いの間に中間転写ベルト31及び二次転写ベルト41を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト31のおもて面と、ニップ形成部材たる二次転写ベルト41のおもて面とが当接する二次転写ニップが形成されている。二次転写ベルト41のループ内に配設された二次転写ローラ36は接地されているのに対し、中間転写ベルト31のループ内に配設された二次転写対向ローラ33には、二次転写電源39によって二次転写バイアスが印加される。これにより、二次転写対向ローラ33と、二次転写ローラ36との間に、マイナス極性のトナーを二次転写対向ローラ33側から二次転写ローラ36側に向けて静電移動させる二次転写電界が形成される。なお、ニップ形成部材として、二次転写ベルト41の代わりに、二次転写ローラを用い、これを中間転写ベルト31に直接当接させてもよい。
転写ユニット30の下方には、記録シートPを複数枚重ねた紙束の状態で収容している給送カセット100が配設されている。この給送カセット100は、紙束の一番上の記録シートPに給紙ローラ100aを当接させており、これを所定のタイミングで回転駆動させることで、その記録シートPを給送路に向けて送り出す。給送路の末端付近には、レジストローラ対101が配設されている。このレジストローラ対101は、給送カセット100から送り出された記録シートPをローラ間に挟み込むとすぐに両ローラの回転を停止させる。そして、挟み込んだ記録シートPを二次転写ニップ内で中間転写ベルト31上の4色重ね合わせトナー像に同期させ得るタイミングで回転駆動を再開して、記録シートPを二次転写ニップに向けて送り出す。二次転写ニップで記録シートPに密着せしめられた中間転写ベルト31上の4色重ね合わせトナー像は、二次転写電界やニップ圧の作用によって記録シートP上に一括二次転写されてフルカラートナー像となる。このようにして表面にフルカラートナー像が形成された記録シートPは、二次転写ニップを通過すると、中間転写ベルト31から曲率分離する。更に、二次転写ベルト41を掛け回している分離ローラ42の曲率によって二次転写ベルト41から曲率分離する。
なお、ニップ形成部材たる二次転写ベルト41を中間転写ベルト31に当接させて二次転写ニップを形成する構成に代えて、次のような構成を採用してもよい。即ち、ニップ形成部材たるニップ形成ローラを中間転写ベルト31に当接させて二次転写ニップを形成する構成である。
二次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト31には、記録シートPに転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、中間転写ベルト31のおもて面に当接しているベルトクリーニング装置37によってベルト表面からクリーニングされる。中間転写ベルト31のループ内側に配設されたクリーニングバックアップローラ34は、ベルトクリーニング装置37によるベルトのクリーニングをループ内側からバックアップする。
濃度センサ40は、中間転写ベルト31のループ外側に配設されている。そして、中間転写ベルト31の周方向における全域のうち、駆動ローラ32に対する掛け回し箇所に対して、所定の間隙を介して対向している。この状態で、中間転写ベルト31上に一次転写されたトナー像が自らとの対向位置に進入した際に、そのトナー像の単位面積あたりのトナー付着量(画像濃度)を測定する。
二次転写ニップよりもシート搬送方向の下流側には、定着装置90が配設されている。この定着装置90は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ91と、これに所定の圧力で当接しながら回転する加圧ローラ92とによって定着ニップを形成している。定着装置90内に送り込まれた記録シートPは、その未定着トナー像担持面を定着ローラ91に密着させる姿勢で、定着ニップに挟まれる。そして、加熱や加圧の影響によってトナー像中のトナーが軟化さしめられて、フルカラー画像が定着せしめられる。定着装置90内から排出された記録シートPは、定着後搬送路を経由した後、機外へと排出される。
実施形態に係るプリンタは、モノクロ画像を形成する場合に、転写ユニット30におけるY,M,C用の一次転写ローラ35Y,M,Cを支持している支持板の姿勢をソレノイド等の駆動によって変化させる。これにより、Y,M,C用の一次転写ローラ35Y,M,Cを、感光体2Y,M,Cから遠ざけて、中間転写ベルト31のおもて面を感光体2Y,M,Cから離間させる。このようにして、中間転写ベルト31をブラック用の感光体2Kだけに当接させた状態で、4つのトナー像形成ユニット1Y,M,C,Kのうち、ブラック用のトナー像形成ユニット1Kだけを駆動して、Kトナー像をブラック用の感光体2K上に形成する。なお、本発明は、カラー画像を形成する画像形成装置に限らず、モノクロ画像だけを形成する画像形成装置にも適用が可能である。
図4は、中間転写ベルト31の横断面を部分的に示す拡大断面図である。中間転写ベルト31は、ある程度の屈曲性を有し且つ剛性の高い材料からなる無端ベルト状の基層31aと、これのおもて面上に積層された柔軟性に優れた弾性材料からなる弾性層31bとを具備している。弾性層31bには、粒子31cが分散せしめられていて、それらの粒子31cが自らの一部を弾性層31bの表面から突出させた状態で、図5に示されるように、ベルト面方向に密集して並んでいる。それら複数の粒子31cにより、複数の凹凸がベルト面に形成されている。
基層31aの材料としては、樹脂中に、電気抵抗を調整するための充填材や添加材などからなる電気抵抗調整材を分散させたものを例示することができる。その樹脂としては、難燃性の観点からすると、例えば、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、ETFE(エチレン・四フッ化エチレン共重合体)などのフッ素系樹脂や、ポリイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂等が好ましい。また、機械強度(高弾性)や耐熱性の観点からすると、特にポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂が好適である。
樹脂中に分散せしめる電気抵抗調整材としては、金属酸化物やカーボンブラック、イオン導電剤、導電性高分子材料などを例示することができる。金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素等が挙げられる。分散性を向上させるために、前記金属酸化物に予め表面処理を施したものを用いても良い。カーボンブラックとしては、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ガスブラック等が挙げられる。また、イオン導電剤としては、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩が挙げられる。アルキルサルフェート、グルセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アルコールエステル、アルキルベタイン、過塩素酸リチウム等でもよい。それらのイオン導電剤を二種類以上混合して使用してもよい。なお、本発明を適用可能な電気抵抗調整材は、これまで例示したものに限られるものではない。
基層31aの前駆体となる塗工液(硬化前の液体の樹脂中に電気抵抗調整材を分散せしめたもの)には、必要に応じて、分散助剤、補強材、潤滑材、熱伝導材、酸化防止剤などを添加してもよい。中間転写ベルト31の基層31aに含有される電気抵抗調整材の添加量は、好ましくは表面抵抗で1×10〜1×1013[Ω/□]、体積抵抗で1×10〜1×1012[Ω・cm]となる量とされる。但し、機械強度の観点から、成形膜が脆く割れやすくならない範囲の量を選択して添加することが必要である。つまり、樹脂成分(ポリイミド樹脂前駆体、ポリアミドイミド樹脂前駆体など)と電気抵抗調整材との配合率を適正に調整した塗工液を用いて、電気特性(表面抵抗及び体積抵抗)と機械強度のバランスがとれたシームレスベルトを製造して用いることが好ましい。電気抵抗調整材の含有量は、カーボンブラックの場合には、塗工液中の全固形分の10〜25[wt%]がよく、更に好ましくは15〜20[wt%]である。また、金属酸化物の場合の含有量は、塗工液中の全固形分の150[wt%]がよく、更に好ましくは10〜30[wt%]である。含有量が前述した範囲よりも少ないと十分な効果が得られず、また含有量が前述した範囲よりも多いと中間転写ベルト31(シームレスベルト)の機械強度が著しく低下するので、実使用上好ましくない。
基層31aの厚みは、特に制限されるものではなく、状況に応じて適宜選択することができるが、30[μm]〜150[μm]が好ましく、40[μm]〜120[μm]がより好ましく、50[μm]〜80[μm]が特に好ましい。基層31aの厚みが、30[μm]未満であると、亀裂によりベルトが裂けやすくなり、150[μm]を超えると、曲げによってベルトが割れることがあることがある。一方、基層31aの厚みが前述した特に好ましい範囲であると、耐久性の点で有利になる。
ベルト走行安定性を高めるためには、基層31aの層厚ムラをできるだけ少なくすることが好ましい。基層31aの厚みを調整する方法は、特に制限されるものではなく、状況に応じて適宜選択することができる。例えば、接触式や渦電流式の膜厚計での計測や膜の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で測定する方法が挙げられる。
中間転写ベルト31の弾性層31bは、上述したように、分散せしめられた複数の粒子31cによる凹凸形状を表面に有している。弾性層31bを形成するための弾性材料としては、汎用の樹脂・エラストマー・ゴムなどを例示することができる。特に、柔軟性(弾性)に優れた弾性材料を用いることが好ましく、エラストマー材料やゴム材料が好適である。エラストマー材料としては、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリスチレン系、ポリアクリル系、ポリジエン系、シリコーン変性ポリカーボネート系などを例示することができる。フッ素系共重合体系等の熱可塑性エラストマーなどでもよい。また、熱硬化性の樹脂としては、ポリウレタン系、シリコーン変性エポキシ系、シリコーン変性アクリル系の樹脂等を例示することができる。また、ゴム材料としては、イソプレンゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム等を例示することができる。更には、クロロスルホン化ポリエチレン、フッ素ゴム、ウレタンゴム、ヒドリンゴム等を例示することもできる。これまで例示した材料の中から、所望の性能が得られる材料を適宜選択することが可能である。特に、表面に凹凸のある記録シート、例えばレザック紙などの表面凹凸に追従させるためには、できるだけ柔らかい材料を選択することが好ましい。また、粒子31cを分散せしめることから、熱可塑性のものよりも熱硬化性のものの方が好ましい。熱硬化性のものの方が、その硬化反応に寄与する官能基の効果により樹脂粒子との密着性に優れ確実に固定化することが可能だからである。加硫ゴムも同様の理由により好ましい材料の1つである。
弾性層31bを構成する弾性材料の中でも、耐オゾン性、柔軟性、粒子との接着性、難燃性付与、耐環境安定性などの観点から、アクリルゴムが最も好ましい。アクリルゴムは一般的に市販されているものでよく、特定の製品に限定されるものではない。しかし、アクリルゴムの各種架橋系(エポキシ基、活性塩素基、カルボキシル基)の中ではカルボキシル基架橋系のものがゴム物性(特に圧縮永久歪み)及び加工性の点で優れているので、カルボキシル基架橋系のものを選択することが好ましい。カルボキシル基架橋系のアクリルゴムに用いられる架橋剤としては、アミン化合物が好ましく、多価アミン化合物が最も好ましい。このようなアミン化合物として、具体的には脂肪族多価アミン架橋剤、芳香族多価アミン架橋剤などを例示することができる。更に、脂肪族多価アミン架橋剤としては、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカーバメイト、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミンなどを例示することができる。また、芳香族多価アミン架橋剤としては、4,4’−メチレンジアニリン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン等が挙げられる。4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、2,2’−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、4,4’−ジアミノベンズアニリド等でもよい。更には、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,3,5−ベンゼントリアミン、1,3,5−ベンゼントリアミノメチル等でもよい。
架橋剤の配合量の適正範囲は、アクリルゴム100重量部に対し、好ましくは0.05〜20重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。架橋剤の配合量が少なすぎると、架橋が十分に行われないため、架橋物の形状維持が困難になる。これに対し、含有量が多すぎると、架橋物が硬くなりすぎて、架橋ゴムとしての弾性などが損なわれる。
弾性層31bに用いるアクリルゴムには、上述した架橋剤の架橋反応を促進する狙いで、架橋促進剤を配合してもよい。架橋促進剤の種類は特に限定されるものではないが、前述した多価アミン架橋剤と組み合わせて用いることができるものであることが好ましい。このような架橋促進剤としては、グアニジン化合物、イミダゾール化合物、第四級オニウム塩、第三級ホスフィン化合物、弱酸のアルカリ金属塩などが挙げられる。グアニジン化合物としては、1,3−ジフェニルグアニジン、1,3−ジオルトトリルグアニジンなどが挙げられる。イミダゾール化合物としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールなどが挙げられる。第四級オニウム塩としては、テトラn−ブチルアンモニウムブロマイド、オクタデシルトリ―n−ブチルアンモニウムブロマイドなどが挙げられる。多価第三級アミン化合物としては、トリエチレンジアミン、1,8−ジアザ‐ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)などが挙げられる。第三級ホスフィン化合物としては、トリフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィンなどが挙げられる。弱酸のアルカリ金属塩としては、ナトリウムまたはカリウムのリン酸塩、炭酸塩などの無機弱酸塩あるいはステアリン酸塩、ラウリル酸塩などの有機弱酸塩が挙げられる。
架橋促進剤の使用量の適正範囲は、アクリルゴム100重量部あたり、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.3〜10重量部である。架橋促進剤が多すぎると、架橋時に架橋速度が早くなりすぎたり、架橋物表面ヘの架橋促進剤のブルームが生じたり、架橋物が硬くなりすぎたりする場合がある。これに対し、架橋促進剤が少なすぎると、架橋物の引張強さが著しく低下したり、熱負荷後の伸び変化または引張強さ変化が大きすぎたりする場合がある。
アクリルゴムの調製にあたっては、ロール混合、バンバリー混合、スクリュー混合、溶液混合などの適宜の混合方法を採用することが可能である。配合順序は特に限定されないが、熱で反応や分解しにくい成分を充分に混合した後、熱で反応しやすい成分あるいは分解しやすい成分として、例えば架橋剤などを、反応や分解が起こらない温度で短時間に混合すればよい。
アクリルゴムは、加熱することによって架橋物とすることができる。好ましい加熱温度は、130[℃]〜220[℃]であり、より好ましくは140[℃]〜200[℃]である。また、好ましい架橋時間は、30秒〜5時間である。加熱方法としては、プレス加熱、蒸気加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる方法を適宜選択すればよい。また、一度架橋した後に、架橋物の内部まで確実に架橋させるために、後架橋を行ってもよい。後架橋の時間は、加熱方法、架橋温度、形状などによって異なるが、好ましくは1〜48時間である。後架橋を行う際の加熱方法、加熱温度については、適宜選択することが可能である。選択した材料に、電気特性を調整するための電気抵抗調整剤、難燃性を得るための難燃剤、必要に応じて、酸化防止剤、補強剤、充填剤、架橋促進剤などの材料を適宜含有させてもよい。さらに、電気特性を調整するための電気抵抗調整剤として、すでに述べた各種材料を使用することができる。但し、カーボンブラックや金属酸化物などは柔軟性を損なうため、使用量を抑えることが好ましく、イオン導電剤や導電性高分子を用いることも有効である。また、それらを併用しても構わない。
ゴム100重量部に対しは、種々の過塩素酸塩やイオン性液体を0.01部〜3部添加するのが好ましい。イオン導電剤の添加量が0.01部以下であると、抵抗率を下げる効果が得られない。また、添加量が3部以上であると、ベルト表面へ導電剤がブルーム又はブリードする可能性が高くなってしまう。
電気抵抗調整材の添加量については、弾性層31bの抵抗値を、表面抵抗で1×10〜1×1013[Ω/□]、体積抵抗で1×10〜1×1012[Ω・cm]の範囲にするように調整することが好ましい。また、近年の電子写真方式の画像形成装置に求められるような、凹凸シートへの高いトナー転写性を得るために、弾性層31bの23℃50%RH環境下でのマイクロゴム硬度値を35以下にするように柔軟性を調整することが好ましい。マルテンス硬度、ビッカース硬度など、いわゆる微小硬度での計測は、測定部位のバルク方向の浅い領域、すなわち表面近傍のごく限られた領域の硬度しか測定していなのでベルト全体としての変形性能は評価できない。このため、例えば中間転写ベルト31全体としての変形性能が低い構成のものに、最表面に柔軟な材料を用いた場合、微小硬度値を低くしてしまう。このような中間転写ベルト31は変形性能が低い、すなわち凹凸シートへの追従性が悪いので、結果として近年の画像形成装置に求められる凹凸シートへの転写性能を十分に発揮することができなくなってしまう。よって、中間転写ベルト31全体の変形性能を評価することが可能なマイクロゴム硬度を測定して中間転写ベルト31の柔軟性を評価することが好ましい。
弾性層31bの層厚は、200[μm]〜2[mm]が好ましく、400[μm]〜1000[μm]がより好ましい。層厚が200[μm]よりも小さいと、記録シートの表面凹凸への追従性や転写圧力の低減効果を低くしてしまうので好ましくない。また、層厚が2[mm]よりも大きいと、弾性層31bが自重によって撓み易くなって走行性を不安定にしたり、ベルトを張架しているローラへの掛け回しでベルトに亀裂を発生させ易くなったりするので好ましくない。なお、層厚の測定方法としては、断面を走査型顕微鏡(SEM)で観察することによって測定する方法を例示することができる。
弾性層31bの弾性材料に分散せしめる粒子31cとしては、平均粒子径が100[μm]以下であり、真球状の形状をしており、有機溶剤に不溶であり、且つ、3[%]熱分解温度が200[℃]以上である樹脂粒子を用いる。粒子31cの樹脂材料に特に制限はないが、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ゴムなどを例示することができる。これらの樹脂材料からなる粒子の母体表面を異種材料で表面処理してもよい。ゴムからなる球状の母体粒子の表面に硬い樹脂をコートしてもよい。また、母体粒子として、中空のものや、多孔質のものを用いてもよい。
これまで例示した樹脂材料の中でも、滑性、トナーに対しての離型性、耐磨耗性などに優れているという観点から、シリコーン樹脂粒子が最も好ましい。樹脂材料を重合法などによって球状の形状に仕上げた粒子であることが好ましく、真球に近いものほど好ましい。また、粒子31cとしては、体積平均粒径が1.0[μm]〜5.0[μm]であり、且つ単分散粒子であるものを用いることが望ましい。単分散粒子は、単一粒子径の粒子ではなく、粒度分布が極めてシャープな粒子である。具体的には、±(平均粒径×0.5[μm])以下の分布幅の粒子である。粒子31cの粒径が1.0[μm]未満であると、粒子31cによる転写性能の促進効果が十分に得られなくなる。これに対し、粒径が5.0[μm]よりも大きいと、粒子間の隙間が大きくなってベルト表面粗さを大きくしてしまうことから、トナーを良好に転写できなくなったり、中間転写ベルト31のクリーニング不良を発生させ易くなったりする。更には、樹脂材料からなる粒子31cは一般に絶縁性が高いことから、粒径が大きすぎると粒子31cの電荷により、連続プリント時にこの電荷の蓄積による画像乱れを引き起こし易くなる。
粒子31cとしては、特別に合成したものを用いても良いし、市販品を用いてもよい。粒子31cを弾性層31bに直接塗布して、ならすことにより容易に均一に整列させることができる。このようにすることで、粒子31c同士のベルト厚み方向の重なり合いをほぼなくすことができる。複数の粒子31cの弾性層31bの表面方向における断面の径は、できるだけ均一であることが望ましく、具体的には、±(平均粒径×0.5[μm])以下の分布幅にすることが好ましい。このため、粒子31cの粉末として、粒径分布の小さなものを用いることが好ましいが、特定の粒径の粒子31cだけを選択的に弾性層31b表面に塗布することを実現する方法を採用すれば、粒径分布の比較的大きな粉末を用いることも可能である。なお、粒子31cを弾性層31b表面に塗布するタイミングは特に限定されず、弾性層31bの弾性材料の架橋前、架橋後の何れであってもよい。
粒子31cが分散せしめられた弾性層31bの表面方向において、粒子31cが存在している部分と、弾性層31bの表面が露出している部分との投影面積比については、粒子31cが存在している部分の投影面積率を60[%]以上にすることが望ましい。60[%]に満たない場合には、トナーと弾性層31bの無垢の表面とを直接接触させる機会を増加させて良好なトナー転写性が得られなくなったり、ベルト表面からのトナークリーニング性を低下させたり、ベルト表面の耐フィルミング性を低下させたりする。なお、中間転写ベルト31として、弾性層31bに粒子31cを分散させていないものを用いることも可能である。
図6は、二次転写電源の電気回路の要部を、二次転写対向ローラ33や二次転写ローラ36などともに示すブロック図である。二次転写電源39は、直流電源110、着脱可能に構成された交流電源140、電源制御部200などを有している。直流電源110は、中間転写ベルト31の表面上のトナーに対して二次転写ニップ内でベルト側から記録シート側に向かう静電気力を付与するための直流電圧を出力するための電源である。そして、直流出力制御部111、直流駆動部112、直流電圧用トランス113、直流出力検知部114、出力異常検知部115、電気接続部221などを具備している。
交流電源140は、二次転写ニップ内に交番電界を形成するための交流電圧を出力する電源である。そして、交流出力制御部141、交流駆動部142、交流電圧用トランス143、交流出力検知部144、除去部145、出力異常検知部146、電気接続部242と、電気接続部243などを具備している。
電源制御部200は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)などを有する制御装置からなる。この電源制御部200は、直流電源110及び交流電源140を制御するものである。直流出力制御部111には、電源制御部200から、直流電圧の出力の大きさを制御するDC_PWM信号が入力される。更に、直流出力検知部114によって検知された直流電圧用トランス113の出力値も入力される。そして、直流出力制御部111は、入力されたDC_PWM信号のDuty比及び直流電圧用トランス113の出力値に基づいて、次のような制御を行う。即ち、直流電圧用トランス113の出力値をDC_PWM信号で指示された出力値にするように、直流駆動部112を介して直流電圧用トランス113の駆動を制御する。
直流駆動部112は、直流出力制御部111からの制御に従って、直流電圧用トランス113を駆動する。また、直流電圧用トランス113は、直流駆動部112によって駆動され、負極性の直流の高電圧出力を行う。なお、交流電源140が接続されていない場合には、電気接続部221と二次転写対向ローラ33とがハーネス301によって電気的に接続されるので、直流電圧用トランス113は、ハーネス301を介して二次転写対向ローラ33に直流電圧を出力(印加)する。一方、交流電源140が接続されている場合、電気接続部221と電気接続部242とがハーネス302によって電気的に接続されるので、直流電圧用トランス113は、ハーネス302を介して交流電源140に直流電圧を出力する。
直流出力検知部114は、直流電圧用トランス113からの直流高電圧の出力値を検知し、直流出力制御部111に出力する。また、直流出力検知部114は、検知した出力値をFB_DC信号(フィードバック信号)として電源制御部200に出力する。これは、環境や負荷によって転写性が落ちないように、電源制御部200においてDC_PWM信号のDutyを制御させるためである。本プリンタでは、二次転写電源39の本体に対して交流電源140が着脱可能であるため、交流電源140が接続されている場合と接続されていない場合とで、高電圧出力の出力経路のインピーダンスが変化する。このため、直流電源110が定電圧制御を行って直流電圧を出力した場合、交流電源140の有無に応じて出力経路中のインピーダンスが変化することにより分圧比が変化する。更に、二次転写対向ローラ33に印加される高電圧が変化してしまうので、交流電源140の有無に応じて転写性が変化してしまう。
そこで、本プリンタでは、直流電源110が定電流制御を行って直流電圧を出力し、交流電源140の有無に応じて出力電圧を変化させるようになっている。これにより、出力経路中のインピーダンスが変化しても、二次転写対向ローラ33に印加される高電圧を一定に保つことができ、交流電源140の有無によらず転写性を一定に保つことができる。更に、DC_PWM信号の値を変更せずに交流電源140を着脱することが可能になる。このように本プリンタでは、直流電源110を定電流制御するようになっているが、次のような構成を採用してもよい。即ち、交流電源140の着脱時にDC_PWM信号の値を変更するなどして、二次転写対向ローラ33に印加される高電圧を一定に保つことができれば、直流電源110を定電圧制御する構成を採用してもよい。
出力異常検知部115は、直流電源110の出力ライン上に配置されており、電線の地絡等によって出力異常が発生した際には、リークなどの出力異常を示すSC信号を電源制御部200に出力する。これにより、電源制御部200による直流電源110からの高圧出力を停止するための制御を実施することが可能になる。
交流出力制御部141には、電源制御部200から、交流電圧の出力の大きさを制御するAC_PWM信号や、交流出力検知部144によって検知された交流電圧用トランス143の出力値が入力される。そして、交流出力制御部141は、入力されたAC_PWM信号のDuty比、及び交流電圧用トランス143の出力値に基づいて、次のような制御を行う。即ち、交流電圧用トランス143の出力値がAC_PWM信号で指示された出力値となるように、交流駆動部142を介して交流電圧用トランス143の駆動を制御する。
交流駆動部142には、交流電圧の出力周波数を制御するAC_CLK信号が入力される。そして、交流駆動部142は、交流出力制御部141からの制御及びAC_CLK信号に基づいて、交流電圧用トランス143を駆動する。交流駆動部142は、AC_CLK信号に基づいて交流電圧用トランス143を駆動することで、交流電圧用トランス143によって生成される出力波形を、AC_CLK信号で指示された任意の周波数に制御することができる。
交流電圧用トランス143は、交流駆動部142によって駆動されて交流電圧を生成し、生成した交流電圧と直流電圧用トランス113から出力された直流の高電圧とを重畳して重畳電圧を生成する。交流電源140が接続されている場合、即ち、電気接続部243と二次転写対向ローラ33とがハーネス301で電気的に接続されている場合、交流電圧用トランス143は、生成した重畳電圧を、ハーネス301を介して二次転写対向ローラ33に印加する。なお、交流電圧用トランス143は、交流電圧を生成しない場合には、直流電圧用トランス113から出力された直流の高電圧を、ハーネス301を介して二次転写対向ローラ33に出力(印加)する。二次転写対向ローラ33に出力された電圧(重畳電圧又は直流電圧)は、その後、二次転写ローラ36を介して直流電源110内に帰還する。
交流出力検知部144は、交流電圧用トランス143の交流電圧の出力値を検知して交流出力制御部141に出力する。また、検出した出力値をFB_AC信号(フィードバック信号)として電源制御部200に出力する。これは、環境や負荷によって転写性を低下させないように、電源制御部200においてAC_PWM信号のDutyを制御するためである。なお、交流電源140は、定電圧制御を行うものであるが、定電流制御を行うものを用いてもよい。また、交流電圧用トランス143(交流電源140)が生成する交流電圧の波形については、正弦波、矩形波の何れであってもよいが、本プリンタでは、短パルス状矩形波を採用している。交流電圧の波形を短パルス状矩形波にすることで、より画像品質の向上を図ることが可能になるからである。
図7は、中間転写ベルト31として、本プリンタのものとは異なり、単層構造のものを用いた構成における二次転写ニップ及びその周囲を示す拡大構成図である。中間転写ベルト31として図示のような単層構造のものを用いた場合には、二次転写対向ローラ33と二次転写ローラ36との間において、二次転写電流が次のように流れる。即ち、図中矢印で示されるように、二次転写電流がニップ中心位置(ベルト移動方向の中心位置)に集中して一直線状に流れることから、ニップ入口付近やニップ出口付近では二次転写電流がそれほど流れない。二次転写電流がこのように流れることで、二次転写ニップにおいて、トナーに二次転写電流を作用させている時間は比較的短時間になる。このため、トナーに対して、二次転写電流によって正規極性とは逆極性の電荷を過剰に注入してしまうことは殆どなく、過充電を起こしにくい。
図8は、実施形態に係るプリンタにおける二次転写ニップ及びその周囲構成を示す拡大断面図である。実施形態に係るプリンタにおいては、既に述べたように、中間転写ベルト31として、多層構造のものを用いている。かかる構成では、二次転写対向ローラ33と二次転写ローラ36との間において、二次転写電流が次のように流れる。即ち、基層31aと弾性層31bとの界面で、二次転写電流がベルト周方向に広がりながら、ベルト厚み方向に流れる。これにより、二次転写電流がニップ中心位置だけでなく、ニップ入口やニップ出口の付近にまで回り込むようになることから、二次転写ニップにおいて、トナーに二次転写電流を作用させる時間が長時間になる。そして、トナーに対して、二次転写電流によって正規極性とは逆極性の電荷を過剰に注入してしまい易くなることで、過充電を起こしトナーが逆帯電して転写不良が生じてしまう。この結果、画像濃度不足を引き起こし易くなってしまうことが解った。なお、本プリンタで用いられているような二層構造のベルトに限らず、三層以上の多層構造のベルトにおいても、同様の二次転写電流の回り込みにより、過充電を起こすことでトナーが逆帯電し転写不良が生じてしまうことも解った。
図9は、実施形態に係るプリンタの二次転写電源39から出力される二次転写バイスの波形を示すグラフである。本プリンタのように、二次転写対向ローラ33に対して二次転写バイアスを印加する構成において、二次転写ニップで中間転写ベルト31上のトナー像を記録シートPに二次転写するためには、二次転写バイアスとして次のような特性のものを採用する必要がある。即ち、時間平均の極性がトナーの帯電極性と同極性になるバイアスである。具体的には、図示のように、二次転写バイアスは、直流電圧と交流電圧との重畳により、周期的に極性を反転させる交番電圧からなるものであるが、時間平均では、極性がトナーと同じマイナス極性になるバイアスになっている。このように、時間平均の極性がマイナス極性になる二次転写バイアスを採用することで、トナーを相対的に二次転写対向ローラ33に対して反発させてベルト側から記録シートP側に静電移動させることが可能になる。
なお、二次転写ローラ36に対して二次転写バイアスを印加する構成を採用した場合には、時間平均がトナーと逆極性になる二次転写バイアスを採用すればよい。かかる二次転写バイアスにより、トナーを相対的に二次転写ローラ36に向けて静電的に引き寄せることで、ベルト側から記録シートP側に移動させることが可能になるからである。
図9において、「T」は、周期的に極性を反転させる二次転写バイアスの一周期を示している。「Vr」は、交流成分の正極性ピーク値であり、ここではトナーの帯電極性とは逆のプラス極性側のピーク値を示している。二次転写バイアスが正極性ピーク値Vrになっているときには、ベルト側から記録シートP側へのトナーの静電移動が阻害される。「Vt」は、交流成分の負極性ピーク値であり、ここではトナーの帯電極性と同じマイナス極性のピーク値を示している。二次転写バイアスが負極性ピーク値Vtになっているときには、ベルト側から記録シートP側へのトナーの静電移動が促進される。「Voff」は、二次転写バイアスの直流成分の値としてのオフセット電圧を示しており、これは、「(Vr+Vt)/2」の解と同じ値である。「Vpp」は、ピークツウピーク値を示している。
二次転写バイスは、周期T内におけるDutyが50[%]を超える波形になっている。Dutyは、波形における第1時間及び第2時間のうち、二次転写ニップで中間転写ベルト31側から記録シートP側へのトナーの静電移動を阻害する方の時間としての阻害時間を基準にした時間比である。本プリンタの場合、波形の周期T内において、二次転写バイアスの値が基線としてのゼロの線よりもプラス極性側に向けて立ち上がり始めた時点から、ゼロの線まで立ち下がった後、ゼロの線からマイナス極性側に向けて立ち下がり始める直前までが第1時間である。また、ゼロの線からからマイナス極性側に向けて立ち下がり始めた時点から、ゼロの線まで立ち上がった後、更にゼロの線からプラス極性側に向けて立ち上がり始める直前までが第2時間である。そして、それら第1時間と第2時間とのうち、第1時間において、ベルト側から記録シートP側へのトナーの静電移動を阻害することになるので、第1時間が阻害時間に相当する。よって、第1時間(プラス極性になっている時間)を基準にした周期Tにおける時間比がDutyである。第2時間をAで表すと、本プリンタにおける二次転写バイアスのDutyは、「(T−A)/T×100(%)」という式によって求められる。
図9における「Vave」は、二次転写バイアスの平均電位を示しており、「Vr×Duty/100+Vt×(1−Duty)/100」の解と同じ値である。また、Aは、第2時間(本例では周期Tから阻害時間を減じた時間)を示している。また、Tは、二次転写バイアスの交流成分の周期を示している。
図示のように、二次転写バイアスにおいて、プラス極性になっている時間は周期Tの半分よりも大きくなっている、即ち、Dutyが50[%]を超えている。このような二次転写バイアスを採用すると、周期T内において、トナーに対してその帯電極性とは逆のプラス極性の電荷を注入する可能性のある時間を短くすることから、二次転写ニップ内での電荷注入によるトナー帯電量Q/Mの低下を抑えることが可能になる。これにより、トナー帯電量Q/Mの低下に起因する二次転写性の低下による画像濃度不足の発生を抑えることができる。なお、Dutyが50[%]を超えていても、次のようにすることで、トナー像の二次転写が可能になる。即ち、0[V]を基準にしたプラス側のグラフ箇所の面積を、マイナス側のグラフ箇所の面積よりも小さくすることで、平均電位をマイナス極性にして、トナーを相対的にベルト側から記録シートP側に静電移動させることが可能になる。
図10は、本発明者らが実際の試作機の二次転写電源39から出力させた二次転写バイアスの波形を示すグラフである。図10において、負極性ピーク値Vtは−4.8[kV]である。また、正極性ピーク値Vrは1.2[kV]である。また、オフセット電圧Voffは−1.8[kV]である。また、平均電位Vaveは0.08[kV]である。また、ピークツウピーク値Vppは、6.0[kV]である。また、第2時間Aは、0.10[ms]である。また、周期Tは0.66[ms]である。また、Dutyは、85[%]である。
本発明者らは、且つ次のような条件のもとで、二次転写バイアスのDutyを様々に変化させながら、それぞれのDutyでテスト画像を印字してみた。
・環境:27[℃]/80[%]
・記録シートPの種類:用紙:Mohawk Color Copy Gloss 270[gsm](457[mm]×305[mm])・・・いわゆるコート紙
・プロセス線速:630[mm/s]
・テスト画像:ブラックハーフトーン画像
・二次転写ニップ幅(ベルト移動方向の長さ):4[mm]
・負極性ピーク値Vt:−4.8[kV]
・正極性ピーク値Vr:1.2[kV]
・オフセット電位Voff:−1.8[kV]
・平均電位Vave:0.08[kV]
・ピークツウピーク値Vpp:6.0[kV]
・第2時間A:0.10[ms]
・周期T:0.66[ms]
・Duty:90[%]、70[%]、50[%]、30[%]、10[%]
図11は、Dutyを90[%]に設定した二次転写バイアスの実際の出力波形を示すグラフである。また、図12は、Dutyを70[%]に設定した二次転写バイアスの実際の出力波形を示すグラフである。また、図13は、Dutyを50[%]に設定した二次転写バイアスの実際の出力波形を示すグラフである。また、図14は、Dutyを30[%]に設定した二次転写バイアスの実際の出力波形を示すグラフである。また、図15は、Dutyを10[%]に設定した二次転写バイアスの実際の出力波形を示すグラフである。
この実験の結果を次の表1に示す。
表1におけるランクは、テスト画像の画像濃度の再現性を評価した結果である。十分なハーフトーンの濃度が得られている状態をランク5と評価した。また、ランク5に比べてやや薄いが、問題のない濃さが得られている状態をランク4として評価した。また、ランク4に比べてさらに薄く、ユーザーに提供する画質としては問題となる状態をランク3として評価した。また、ランク3に比べてさらに薄い状態をランク2として評価した。また、全体的に白っぽい場合やそれよりも薄い状態をランク1として評価した。ユーザーに提供できる画質の許容レベルは、ランク4以上である。
Dutyを10[%]や30[%]に設定した条件では、周期T内において、トナーに対して逆極性の電荷を注入するおそれのある時間を比較的長くするとから、トナー像が過充電され転写性が悪くなった。このため、表1に示されるように、ランク1という著しい画像濃度不足を認める結果になった。
一方、Dutyを70[%]や90[%]に設定した条件では、周期T内において、トナーに対して逆極性の電荷を注入するおそれのある時間を比較的短くすることから、トナー像の過充電を抑えられ転写性が良くなった。このため、表1に示されるように、ランク5という適正画像濃度を認める結果になった。
なお、図示のように、二次転写バイアスとして、波形のVrとVtとで極性を反転させる、すなわち、周期T内で極性を交互に反転させるものを採用すると、トナーへの逆電荷の注入による過充電をより確実に抑えることが可能になる。その理由は、記録シートPが帯電している場合であっても、0[V]をまたぐことで、逆電荷の注入による充電を抑える極性の電界を相対的に二次転写ニップ内で作用させることができるからである。
記録シートPとして、前述したコート紙の代わりに、普通紙を用いて、同様の実験を行った。主要な実験条件は次の通りである。
・環境:27[℃]/80[%]
・記録シートPの種類:普通紙
・プロセス線速:630[mm/s]
・テスト画像:ブラックハーフトーン画像
・二次転写ニップ幅(ベルト移動方向の長さ):4[mm]
・負極性ピーク値Vt:−4.8[kV]
・正極性ピーク値Vr:1.2[kV]
・オフセット電位Voff:−1.8[kV]
・平均電位Vave:0.08[kV]
・ピークツウピーク値Vpp:6.0[kV]
・第2時間A:0.10[ms]
・周期T:0.66[ms]
・Duty:90[%]、70[%]、50[%]、30[%]、10[%]
その結果、Dutyと転写性のランクとの関係は、コート紙の場合と同様に、表1のようになった。
なお、通常、重畳バイアスからなる二次転写バイアスの波形は、図9〜図15に示されるように、綺麗な矩形波にはならない。綺麗な矩形波であれば、波形の立ち上がり部から立ち下がり部までの時間を一周期内におけるトナー転写阻害時間として容易に特定することが可能である。しかし、綺麗な矩形波でない場合には、そのような特定ができない。すなわち、一方のピーク値(例えば負極性ピーク値Vt)から他方のピーク値(例えば正極性ピーク値Vr)への立ち上がりや、他方のピーク値から一方のピーク値への立ち下がりに時間を要する(ゼロでない)場合には、前述のような特定ができない。
そこで、綺麗な矩形波でない場合には、本発明を適用するにあたって、Dutyを次のように定義するとよい。すなわち、二次転写バイアスの周期変動の波形で、ピークツウピークにおける一方のピーク値と他方のピーク値とのうち、二次転写ニップで中間転写ベルト側から記録シート側へのトナーの静電移動をより阻害する方を阻害ピーク値として定義する。本実施形態ではプラス側のピーク値が阻害ピーク値である。阻害ピーク値を他方のピーク値に向けてピークツウピーク値の30[%]の値だけシフトさせた位置を波形の基線とする。また、波形が帰省よりも阻害ピーク値側となる時間を阻害時間A’として定義する。より詳しくは、波形が基線から阻害ピーク値に向けて立ち上がり又は立ち下がり始めた時点から、基線まで立ち下がる又は立ち上がる直前までの時間を阻害時間A’として定義する。そして、阻害時間A’の周期Tにおける割合をDutyとすればよい。
具体的には、図16における「(阻害時間A’/周期T)×100[%]」の解をDutyとして求めればよい。なお、本実施形態では、マイナス極性のトナーを用い、且つ二次転写バイアスを二次転写対向ローラ33に印加する構成になっていることから、正極性ピーク値Vrが阻害ピーク値になる。そして、阻害時間A’は、基線から正極性ピーク値Vrに向けて立ち上がり始めた時点から、基線まで立ち下がった後、更に負極性ピーク値Vtに向けて立ち下がり始める直前までの時間になる。これに対し、マイナス極性のトナーを用い、且つ二次転写バイアスを二次転写ローラ36に印加する構成では、二次転写バイアスとして、0[V]の位置を基準にして図16の波形を反転させた波形のものを採用することになる。この場合、負極性ピーク値Vtが阻害ピーク値になる。そして、阻害時間A’は、基線から負極性ピーク値Vtに向けて立ち下がり始めた時点から、基線まで立ち上がった後、更に正極性ピーク値Vrに向けて立ち上がり始める直前までの時間になる。
図17は、二次転写率と二次転写電流との関係を示すグラフである。二次転写率は、二次転写ニップに進入する前の中間転写ベルト31上のトナー像におけるトナー付着量(単位面積あたり)に対する転写トナー量の割合を示すものである。また、転写トナー量は、二次転写ニップを通過した後の記録シートP上に二次転写されたトナー像におけるトナー付着量(単位面積あたり)である。
図示のように、二次転写率と二次転写電流との関係を示すグラフは正規分布のような放物線状の曲線形状になる。これは、二次転写電流が少なすぎても、多すぎても良好な二次転写性が得られず、最大の二次転写性を得るためにはそれに適した二次転写電流値が存在することを意味している。図示のように、単位面積あたりのトナー付着量が比較的少なくなるハーフトーン像では、トナー付着量が比較的多くなるベタ像に比べて、二次転写電流の適正値が低くなる。一般的なユーザーにおいては、ハーフトーン像よりもベタ像の出力頻度が高くなる。そこで、ベタ像に合わせて二次転写電流値を設定すると、ハーフトーン像の出力時には過転写となり最大の二次転写性が得られなくなる。これは、トナー付着量の少ないハーフトーン像では、二次転写電流量が過剰になってトナーに対して逆極性の電荷を注入するようになることから、トナー帯電量Q/Mの不足やトナーの逆帯電による二次転写不良が起こるからである。以上のことから、特にハーフトーン像において、画像濃度不足が生じ易くなる。そこで、本実施形態では、二次転写バイアスとして、50[%]を超えるDutyの重畳バイアスからなるものを用いる転写方式である高Duty重畳バイアス転写を用い、ベタ像とハーフトーン像との転写性を両立させる。
図18は、トナー帯電量Q/M[μC/g]と、転写方式との関係を示すグラフである。図18における直流バイアス転写は、二次転写バイアスとして、マイナス極性の直流電圧だけからなるものを用いる転写方式である。そのDutyは0[%]である。また、高Duty重畳バイアス転写は、実施形態に係るプリンタと同様に、二次転写バイアスとして、50[%]を超えるDutyの重畳バイアスからなるものを用いる転写方式である。そのDutyは85[%]である。
図示のように、Duty=0[%]の二次転写バイアスを採用している直流バイアス転写では、二次転写後のトナーがプラス極性に逆帯電している。これは、二次転写ニップ内で比較的長期間に渡ってトナーのベルト側からシート側への静電移動を促す極性の電流をトナーに作用させたことで、トナーに逆極性の電荷を多量に注入してしまい過充電されプラス極性に逆帯電されたからである。これに対し、図示のように、高Duty重畳バイアス転写では、二次転写後のトナーの極性を正規のマイナス極性に維持している。これは、Dutyを85[%]に設定して前述の時間をより短くしたことで、トナーへの逆極性の電荷注入量を低減し過充電が抑えられたからである。転写バイアスはマイナス極性のバイアスを印加するので、トナーがプラス極性に逆帯電している直流バイアス転写に比べ、トナーがマイナス極性に帯電している高Duty重畳バイアス転写の方が、転写性が良くなる。このように、高いDutyの二次転写バイアスを採用することで、トナーへの逆電荷の注入による二次転写不良の発生を抑え得ることを確認することができた。
中間転写ベルト31として、本プリンタのように、最上層(弾性層31b)の素材に粒子31cを分散せしめたものを用いと、二次転写ニップ内におけるベルト表面とトナーとの接触面積を低減する。これにより、ベルト表面からのトナー離型性を向上させて、二次転写効率を高めることができる。しかしながら、規則的に並ぶ絶縁性の粒子31cの粒子間において、集中的に二次転写電流を流すことで、トナーに対して逆極性の電荷を注入し易くなる。このため、二次転写効率を高める狙いで粒子31cを分散させているにもかかわらず、却って二次転写効率を悪くしてしまうことになり兼ねない。例えば、従来のような交流バイアス(Duty50[以下]や直流バイアス定電流)を用いると、ハーフトーン画像について転写不良が起きる。その原因は、粒子31cの粒子間から二次転写電流がもれてトナーが過充電されたためである。そこで、ベルト表面に粒子31cを分散させた場合に、高Dutyの二次転写バイアスを採用することで、粒子31cによる二次転写効率の向上効果を確実に得ることが可能になる。これにより、離型性の向上と転写不良の抑制とを両立させることができる。
粒子31cとしては、トナーの正規帯電極性とは逆極性の帯電性能を有するものを用いることができる。本プリンタでは、正帯電性のメラミン樹脂からなる粒子などである。かかる構成では、粒子31cの電荷により、マイナス要素の大きい転写バイアスと打ち消しあい、粒子間で二次転写電流が集中する現象の発生を抑えて、トナーへの逆電荷の注入量をより低減することができる。これと高Dutyの二次転写バイアスを組み合わせることで、より確実にトナー過充電による画像不良を抑制することができる。
また、粒子31cとして、トナーの正規帯電極性と同極性の帯電性能を有するものを用いてもよい。本プリンタでは、負帯電性のシリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール)などである。この場合にも、高Dutyの二次転写バイアスを組み合わせることで、転写不良を抑制することができる。
中間転写ベルト31として、最上層としてウレタンやテフロン(登録商標)などからなる表面層を設けたものを用いてもよい。また、ポリイミドやポリアミドイミドなどの樹脂からなる層を複数積層したものを用いてもよい。何れのベルトを用いる場合であっても、高Dutyの二次転写バイアスを採用することで、転写不良を抑えて画像濃度不足の発生を抑制することができる。
図19は、記録シートPの後端部が上側入口ガイド50で規制された状態での二次転写ニップ及びその周辺の拡大図である。図20は、記録シートPの後端部が上側入口ガイド50を抜けた状態での二次転写ニップ及びその周辺の拡大図である。
ここで、紙厚や材質等が異なる多種多様な記録シートPを安定して二次転写ニップへ案内させるため、図19に示すように二次転写ニップの記録シート搬送方向上流側には、上側入口ガイド50や下側入口ガイド54などの記録シート案内部材が配置されている。記録シートPは上側入口ガイド50や下側入口ガイド54に案内されて二次転写ニップへ進入する。二次転写ニップに先端が進入した記録シートPは、その後端側では上側入口ガイド50によって規制を受けており、二次転写ニップよりも記録シート後端側部分が反った姿勢をとる。そのため、図20に示すように、記録シートPの後端部が上側入口ガイド50を抜けて記録シート後端側の姿勢規制が解除される時には、反っていた記録シートPの復元力により記録シート後端側が跳ね上がる場合がある。
記録シート後端側が跳ね上がると、二次転写ニップの記録シート搬送方向上流側において中間転写ベルト31と記録シートPとの距離が急激に変化し、放電が発生する。このような放電が発生すると、二次転写ニップあるいは二次転写ニップの中間転写ベルト回転方向上流側に存在するトナー画像部分(特定トナー画像部分)に対応する画像部分に、図21に示すような横白スジと呼ばれる画像白抜けの異常画像(後端白抜け)が生じる。特に、厚紙等のようにコシの強い記録シートPである場合には、記録シート後端側が跳ね上がる勢いが強いため、放電が発生しやすく、後端白抜けが生じやすい。なお、このような後端白抜けが生じるのは、発生した放電の衝撃で当該トナー画像部分が乱されることが原因であると推察される。また、放電によって当該トナー画像部分を構成するトナーの帯電極性が反転して逆帯電トナーになり、当該トナー画像部分を構成する多くのトナーが中間転写ベルト31から記録シートPへ転写できなくなることも原因であると推察される。
このような後端白抜けを抑制する方法としては、まず、二次転写ニップよりも記録シート後端側部分の反りが小さくなるように、記録シート案内部材などを含む記録シートガイド手段の構成を最適化する方法が挙げられる。しかしながら、反りを小さくすることと、多種多様な記録シートPに対する安定した搬送品質を確保することとの間にはトレードオフの関係がある。そのため、安定した搬送品質を確保しつつ後端白抜けを抑制できるように記録シートガイド手段の構成を最適化することは困難である。
また、このような後端白抜けを抑制する方法としては、記録シート後端の姿勢規制が解除される規制解除時以後の二次転写バイアスを規制解除時前よりも小さくする方法(後端補正をかける方法)が考えられる。具体的には、前記規制解除時以後における二次転写バイアスの交流成分のピーク間電圧を規制解除時前よりも小さくすることで、その分、二次転写ニップの記録シート搬送方向上流側における中間転写ベルト31と記録シートPとの間の電位差を小さくできる。これにより、記録シートPの後端部が二次転写ニップを抜ける際の放電に対する余裕度を高め、前記放電の発生を抑制することができる。よって、前記規制解除時以後に発生し得る放電を抑え、前記放電に起因して記録シート後端部の画像に横白スジと呼ばれる異常画像(画像白抜け)が発生するのを抑制することができる。
また、規制解除時以後の二次転写バイアスの直流成分の絶対値を、前記放電が発生しない程度に規制解除時前よりも大きくする。この際、少なくとも規制解除時前における二次転写バイアスの交流成分の中間転写ベルト31側から記録シートP側へトナー像を移動させるピーク電圧よりも、規制解除時以後の二次転写バイアスの直流成分の絶対値を小さくする。これにより、前記放電の発生を抑えつつ、前記ピーク間電圧を小さくしても中間転写ベルト31から記録シートPにトナー像を転写するための二次転写バイアスを確保することが可能となり、二次転写バイアス不足による転写不良が生ずるのを抑制することができる。
ここで、記録シート案内部材の構成として、例えば次のものが挙げられる。
(1)金属製の取付部に可撓性の樹脂製のフィルム材を取り付け、このフィルム材で記録シートPをガイドする構成。
(2)金属板で記録シートPをガイドする構成。
(3)金属製の取付部に可撓性の複数のフィルム材を取り付け、これら複数のフィルム材で記録シートPをガイドする構成。
(4)複数の金属板でシートをガイドする構成。
記録シート案内部材の構成の一例として、上記(3)に示した構成の記録シート案内部材について図22を用いて説明する。上側入口ガイド50は、金属製の取付部53と、この取付部53に取り付けられた第一ガイド部材51と第二ガイド部材52とを備えている。第一ガイド部材51と第二ガイド部材52とは、樹脂製のフィルム材で形成されている。図22に示すように、第一ガイド部材51及び第二ガイド部材52は、中間転写ベルト31のおもて面に近接離間する方向(以下、「近接離間方向」と記す」)Eに、所定間隔D1を空けて対向配置されている。つまり、取付部53は、近接離間方向に厚さDを有し、取付部53の上面53aに第一ガイド部材51を取り付け、取付部53の下面53bに第二ガイド部材52を取り付けることで、取付部53の厚さD相当、離間した状態で互いに対向するように、取付部53に設けられている。また、所定間隔D1とは、第一ガイド部材51と第二ガイド部材52との互いの対向面となる第一ガイド部材51の裏面51aと第二ガイド部材52の上面52aとの間隔である。
この形態ように複数のガイド部材を備える場合、記録シート搬送方向Bにおいて最も下流側に設けられたがイド部材(図22では第一ガイド部材51)による記録シートPの姿勢の規制が解除される規制解除時を基準として、二次転写バイアスを制御する。
[実施例1]
図1は、規制解除時以後における二次転写バイアスの交流成分のピークツウピーク値Vppを規制解除時前よりも小さく、具体的にはVpp=0[V]となるように、二次転写バイアスの後端補正を行った場合の波形図である。上側入口ガイド50による記録シートPの姿勢の規制が解除される規制解除時以後における二次転写バイアスの後端補正で、二次転写バイアスの交流成分のピークツウピーク値Vpp(ピーク間電圧)を規制解除時前よりも小さくする。これにより、二次転写ニップの記録シート搬送方向上流側における中間転写ベルト31と記録シートPとの間の電位差を小さくでき、記録シートPの後端部が二次転写ニップを抜ける際の放電に対する余裕度を高め、前記放電の発生を抑制することができる。よって、規制解除時以後に発生し得る放電を抑え、前記放電に起因して記録シート後端部の画像に異常画像が発生するのを抑制することができる。
[実施例2]
図23(a)は、後端補正において交流成分のピークツウピーク値Vppだけを変更した場合の二次転写バイアスの波形図である。図23(b)は、後端補正において交流成分のピークツウピーク値Vppだけではなく直流成分も変更した場合の二次転写バイアスの波形図である。表2は、図23(a)における規制解除時前における二次転写バイアスの設置値と、規制解除時以後における二次転写バイアスの目標値とを示したものである。表3は、図23(b)における規制解除時前における二次転写バイアスの設置値と、規制解除時以後における二次転写バイアスの目標値との一例を示したものである。なお、表2及び表3において、後端補正係数とは次のように定義されるものである。すなわち、規制解除時前における二次転写バイアスの直流成分や交流成分の大きさを100[%]としたとき、それに対する規制解除時以後の後端補正における二次転写バイアスの直流成分や交流成分の大きさの割合を表すものである。
表2及び表3に示すように、規制解除時前における二次転写バイアスの設定値は、交流成分のピークツウピーク値Vppが6.4[kV]であり直流成分の値が−2.5[kV](電流値−114[μA])である。そして、図23(a)に示す後端補正での二次転写バイアスの目標値は、交流成分のピークツウピーク値Vppでは後端補正係数が0[%]であるため0[V]となる。また、直流成分の値では後端補正係数が100[%]であるため−2.5[kV](電流値−114[μA])となる。一方、図23(b)に示す後端補正での二次転写バイアスの目標値は、交流成分のピークツウピーク値Vppでは後端補正係数が0[%]であるため0[V]となる。また、直流成分の値では後端補正係数が250[%]であるため−6.25[kV](電流値−285[μA])となる。
後端補正部では、図23(a)のように直流成分の後端補正係数が100[%]であると、二次転写バイアスの平均値が狙いより小さい時間T1が長い。ところ、図23(b)のように直流成分の後端補正係数を250[%]にすると、二次転写バイアスの平均値が狙いより小さい時間T2が短くなり、二次転写バイアス不足による異常画像が出ない。また、図23(b)のように直流成分の後端補正係数を250[%]としても、規制解除時前の画像部で交流成分が印加されているときの負極性ピーク値Vtよりも電圧値は小さい。そのため、制解除時以後に発生し得る前述したような放電が抑えられ、前記放電に起因して記録シート後端部の画像に異常画像(横白スジ)も発生しない。
[実施例3]
表4に、規制解除時前における二次転写バイアスの設置値と、規制解除時以後における二次転写バイアスの目標値との他例を示す。
表4に示すように、規制解除時前での二次転写バイアスの設定値は実施例1と同じで、交流成分のピークツウピーク値Vppが6.4[kV]であり直流成分の値が−2.5[kV](電流値−114[μA])である。そして、後端補正での二次転写バイアスの目標値は、交流成分のピークツウピーク値Vppでは後端補正係数が40[%]であるため2.56[kV]となる。また、直流成分の値では後端補正係数が150[%]であるため−3.75[kV](電流値−171[μA])となる。
本実施例では、規制解除時以後における、二次転写バイアスの交流成分のピークツウピーク値Vppを0[V]にしないが規制解除時前よりも小さくするとともに、二次転写バイアスの直流成分の絶対値を規制解除前よりも大きくする。これにより、後端補正での二次転写バイアスの負極性ピーク値Vtが5.03[kV]となり、規制解除時前の二次転写バイアスの負極性ピーク値Vt5.7[kV]よりも電圧値は小さくなる。よって、制解除時以後に発生し得る前述したような放電が抑えられ、前記放電に起因して記録シート後端部の画像に端異常画像(横白スジ)も発生しない。また、規制解除時以後の後端補正での二次転写バイアスの直流成分の絶対値を、前記放電が発生しない程度に規制解除時前よりも大きくする。このことで、ピークツウピーク値Vppを小さくしても中間転写ベルト31から記録シートPにトナー像を転写するための二次転写バイアスを確保することが可能となり、二次転写バイアス不足による異常画像が発生するのを抑制することができる。
[実施例4]
図24は、規制解除時前の後端補正開始前画像部と規制解除時以後の後端補正部とで、二次転写バイアスの交流成分のピークツウピーク値Vppと直流成分とを切り換えるときのタイミングチャートの一例を示したものである。なお、本実施例においても、規制解除時前での二次転写バイアスの設定値は実施例1と同じである。本実施例においては、後端補正開始時にピークツウピーク値Vppの目標値を0[V]に切り換えるとき、ピークツウピーク値Vppが0[V]になるまでの時間だけ、直流成分の目標値を後端補正係数250[%]である−6.25[kV]にする。なお、ここではピークツウピーク値Vppが0[V]になるまでの時間を35[ms]とする。
ここで、交流成分のピークツウピーク値VppをOFF(Vpp=0[V])に切り換えても、すぐさまピークツウピーク値Vppは0[V]にはならず徐々に小さくなりながら0[V]になる。そして、このようにピークツウピーク値Vppが徐々に小さくなっている期間T3では、中間転写ベルト31側から記録シートP側にトナーを静電移動させる側のピーク電圧が徐々に小さくなる。その結果、中間転写ベルト31側から記録シートP側にトナーを転移させる力が弱くなる。また、前記期間T3では、中間転写ベルト31側から記録シートP側にトナーを静電移動させる側のピーク電圧と、記録シートP側から中間転写ベルト31側にトナーを静電移動させる側のピーク電圧とが交互に切り替わる。そのため、前記期間T3では、中間転写ベルト31側から記録シートP側にトナーを転移させる力が弱くなるのに加えて、その転移させる力が作用する時間も短いことから転写不良が生じ得る。特に、高Dutyの二次転写バイアスを用いたときには、前記転移させる力が作用する時間がより短くなるので前記転写不良が顕著となる。
そのため、後端補正部において、交流成分のピークツウピーク値Vppを0[V]に切り換えたときに、ピークツウピーク値Vppが徐々に小さくなっている期間T3のときにだけ、直流成分の絶対値を大きくする。なお、前記期間T3はピークツウピーク値VppをOFFした瞬間から35[ms]の間の期間である。このときの直流成分の大きさは、後端補正開始前における中間転写ベルト31側から記録シートP側にトナーを静電移動させる側のピーク電圧の絶対値よりも小さくし、前述した放電が発生しない程度の大きさにする。これにより、前記放電を抑えつつ、中間転写ベルト31側から記録シートP側にトナーを転移させる力が弱くなり過ぎないようにし前記転写不良の発生を抑えられるような、より最適な二次転写バイアスの補正を行うことができる。
一方で、後端補正部において、二次転写バイアスの交流成分のピークツウピーク値Vppが0[V]になると、二次転写バイアスの直流成分の電圧が中間転写ベルト31側から記録シートP側にトナーを静電移動させる電圧となる。そして、直流成分の絶対値の大きさが、後端補正開始前の中間転写ベルト31側から記録シートP側にトナーを静電移動させる側のピーク電圧の絶対値より小さくても、連続的に出力されるため中間転写ベルト31側から記録シートP側にトナーが転移され続ける。このため、中間転写ベルト31側から記録シートP側にトナーを転移させる力が弱くなっても、その転移させる力が作用する時間が長いため前記転写不良が生じるのを抑制することができる。
[実施例5]
図25は、規制解除時前の後端補正開始前画像部と規制解除時以後の後端補正部とで、二次転写バイアスの交流成分のピークツウピーク値Vppと直流成分とを切り換えるときのタイミングチャートの他例を示したものである。
本実施例においては、図25に示すように、後端補正部で直流成分の絶対値を大きくした後、直流成分の大きさを後端補正係数250[%]から100[%]に戻すときに、直流成分の大きさをスロープ状に緩やかに戻して切り換える。直流成分の大きさを急に切り換えると異常画像が発生するおそれがあるので、直流成分の大きさをスロープ状に緩やかに切り換えることで、より最適な補正を行うことができる。
[実施例6]
図26は、規制解除時前の後端補正開始前画像部と規制解除時以後の後端補正部とで、二次転写バイアスの交流成分のピークツウピーク値Vppと直流成分とを切り換えるときのタイミングチャートのさらに他例を示したものである。
本実施例においては、図26に示すように、図25に示したような後端補正部で直流成分の大きさを後端補正係数250[%]から100[%]に戻すときに、直流成分の大きさをスロープ状に緩やかに切り換える。さらに、後端補正開始時に直流成分の大きさを後端補正係数100[%]から250[%]に切り換えるときにも、直流成分の大きさをスロープ状に緩やかに切り換える。ここでは、後端補正開始時に直流成分の大きさを切り換え始めてから35[ms]後に、後端補正係数250[%]に相当する直流成分の値となるようにする。後端補正開始時においても、直流成分の大きさを急に切り替えると異常画像が発生するおそれがある。そのため、上述したような後端補正によるピークツウピーク値Vppの切り換え波形の変化に合わせて直流成分の大きさを緩やかに切り替えることで、より最適な補正を行う。
[実施形態2]
次に、本発明を画像形成装置であるプリンタに適用した第二の実施形態について説明する。なお、本実施形態に係るプリンタの基本的な構成及び動作については、実施形態1に記載した画像形成装置と略同様なので説明は省略する。
本実施形態においては、少なくとも交流成分を含む二次転写バイアスとして、高Dutyの波形をもちいる。この波形では、一周期のうち、中間転写ベルト31側から記録シートP側へトナー像を移動させるピーク電圧の持続時間を50[%]未満とし、このピーク電圧よりも弱い電圧もしくは極性が逆極性の電圧の持続時間を50[%]より大きくする。前者の電圧によりトナーを記録シートPへ転写させる機能を確保しつつ、後者の電圧を前者の電圧よりも長い時間持続させることで、トナーが二次転写ニップを通過する際にトナーが過充電することを抑制できるメリットがある。一方で、高Duty波形の交流成分を印加する場合、記録シートPが二次転写ニップを抜ける際に放電が発生しやすく、記録シート後端部の画像に異常画像が発生する。
図27は、記録シート後端で交流成分をOFFしたときの電圧波形をモニタした結果を示す図である。記録シート後端から先端側に30[mm]の位置から二次転写バイアスの交流成分をOFF(ピークツウピーク値Vpp=0[V])する。このことで、記録シートPの後端部が二次転写ニップを抜ける際には、二次転写バイアスの直流成分のみが二次転写ニップに印加されている状態となる。これにより、二次転写バイアスの交流成分をOFFした分、二次転写ニップの記録シート搬送方向上流側における中間転写ベルト31と記録シートPとの間の電位差を小さくできる。よって、記録シート後端部が上側入口ガイド50を抜けた際に生じ得る放電に対する余裕度が高められ、記録シート後端部が上側入口ガイド50を抜けたときに放電が発生せず、その放電に起因して記録シート後端部での異常画像が生じるのを抑制できる。また、二次転写バイアスの交流成分をOFFしても直流成分は印加されているため、二次転写バイアスの交流成分をOFFしても転写バイアス不足により転写不良が生じるのを抑制することができる。
さらには、二次転写バイアスの交流成分は、記録シート後端が二次転写ニップを抜けた直後(記録シート間開始)から再びONするように設定している。そうすることで電源立ち上がりの時間が記録シート間に相当するため、次の記録シートPの先端では二次転写バイアスの交流成分も通常の二次転写バイアスの大きさまで完全に立ち上がっており、記録シート先端での転写不良も発生することはない。
[実施形態3]
次に、本発明を画像形成装置であるプリンタに適用した第三の実施形態について説明する。なお、本実施形態に係るプリンタの基本的な構成及び動作については、実施形態1に記載した画像形成装置と略同様なので説明は省略する。
本実施形態においては、上側入口ガイド50による記録シートPの姿勢の規制が解除される規制解除時よりも所定時間前のタイミングで、二次転写バイアスの交流成分のピーク間電圧を、そのタイミング前よりも小さくする。このようなタイミングで、二次転写バイアスを制御する理由は、次の通りである。すなわち、二次転写バイアスの電源が、所望の電圧に切り替わるまで時間遅れがあり、例えば最大で100[ms]程度の遅延が生じることがある。また、上側入口ガイド50による記録シートPの姿勢の規制が解除されるタイミングは、記録シート搬送速度のばらつきなどにより、狙ったタイミングよりも早まる可能性がある。また、図に示したような上側入口ガイド50が「板金+複数枚のマイラ」の構成の場合、紙種により記録シートPの後端部が、ばたつきだす時間が異なるためである。
本実施形態では、上側入口ガイド50の先端から二次転写ニップ入口までの距離は15[mm]である。これに対し、二次転写バイアスの交流成分のピーク間電圧を小さくするタイミングは、記録シート後端から30[mm]手前の記録シート部位が、二次転写ニップ入口に入るタイミングとする。言い換えれば、記録シート後端が上側入口ガイド50から離れるタイミングよりも15[mm]前のタイミングで前記ピーク間電圧を小さくする。
[実施形態4]
次に、本発明を画像形成装置であるプリンタに適用した第四の実施形態について説明する。なお、本実施形態に係るプリンタの基本的な構成及び動作については、実施形態1に記載した画像形成装置と略同様なので説明は省略する。
本実施形態においては、上側入口ガイド50による記録シートPの姿勢の規制が解除される規制解除時よりも所定時間後のタイミングで、二次転写バイアスの交流成分のピーク間電圧を、そのタイミング前よりも小さくする。このようなタイミングで、二次転写バイアスを制御する理由は、次の通りである。すなわち、記録シートPの紙種よっては(特に薄紙では)、記録シート後端が上側入口ガイド50を抜けた瞬間ではなく、抜けてから所定時間後、二次転写ニップに記録シート後端部が突入するときに、記録シートPの後端部がばたつく場合がある。薄紙だと、紙の剛度(コシ)がないので、二次転写バイアスの静電吸着力の影響を受ける。このため、記録シートPの後端部が、ばたつく前から二次転写バイアスの後端補正を行うと、記録シートPの後端より上流側の画像が薄くなるなどの異常が発生する。この場合、記録シートPの後端部が二次転写ニップに突入する直前のタイミングで、二次転写バイアスの交流成分のピーク間電圧を小さくすると良い。
本実施形態では、上側入口ガイド50の先端から二次転写ニップ入口までの距離は15[mm]である。これに対し、二次転写バイアスの交流成分のピーク間電圧を小さくするタイミングは、記録シート後端から10[mm]手前の記録シート部位が、二次転写ニップ入口に入るタイミングとする。言い換えれば、記憶シート後端が上側入口ガイド50から離れてから5[mm]後のタイミングで前記ピーク間電圧を小さくする。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
中間転写ベルト31などの像担持体と、前記像担持体にトナー像を形成するトナー像形成ユニット1などのトナー像形成手段と、前記像担持体の表面に当接して転写ニップを形成する二次転写ベルト41などのニップ形成部材と、前記転写ニップで前記トナー像を記録シートへ転写するために少なくとも交流成分を含む転写バイアスを出力する二次転写電源39などの電源と、前記電源を制御する電源制御部200などの制御手段と、前記転写ニップへ進入した記録シートの転写ニップよりも後端側の部分を反らせるように記録シートの姿勢を規制しつつ記録シートを転写ニップへガイドする上側入口ガイド50などの記録シートガイド手段とを備えた画像形成装置において、前記記録シートの後端領域における前記交流成分のピーク間電圧を、前記記録シートの前記後端領域より先端側の先端側領域における前記交流成分のピーク間電圧よりも小さくするように、前記電源を前記制御手段が制御する。
記録シートガイド部材が設けられ、少なくとも交流成分を含む転写バイアスを用いて、像担持体から記録シートにトナー像を転写する構成で、記録シート後端部の画像に横白スジが発生する原因について本願発明者らが鋭意検討を行った結果、次のことがわかった。すなわち、記録シートガイド部材に案内されて転写ニップに先端が進入した記録シートは、その後端側では記録シートガイド部材によって規制を受けており、転写ニップよりも記録シート後端側部分が反った姿勢をとる。そのため、記録シートの後端部が記録シートガイド部材を抜けて記録シート後端側の姿勢規制が解除されるときには、反っていた記録シートの復元力により記録シート後端側が跳ね上がる場合がある。記録シート後端側が跳ね上がると、転写ニップの記録シート搬送方向上流側において像担持体と記録シートとの距離が急激に変化し、像担持体と記録シートとの電位差が大きくなり過ぎることで放電が発生する。このような放電が発生すると、転写ニップあるいは転写ニップよりも上流側に存在するトナー画像部分に対応する記録シート後端部の画像部分に、横白スジと呼ばれる異常画像が発生する。
(態様A)においては、記録シートの後端領域における転写バイアスの交流成分のピーク間電圧を前記先端側領域よりも小さくすることで、その分、転写ニップの記録シート搬送方向上流側における像担持体と記録シートとの間の電位差を小さくできる。これにより、記録シートの後端部が記録シートガイド手段を抜けたときに生じ得る放電に対する余裕度を高めて、前記放電が発生するのを抑制することができる。よって、前記放電に起因して記録シート後端部の画像に横白スジと呼ばれる異常画像が発生するのを抑制することができる。
(態様B)
(態様A)において、前記後端領域における前記転写バイアスの交流成分のピーク間電圧を0[V]にするように、前記電源を前記制御手段で制御する。これよれば、上記実施形態について説明したように、記録シートの後端部が転写ニップを抜ける際の放電が発生せず、記録シートの後端部での前記放電による異常画像が発生するのを抑制することができる。
(態様C)
(態様A)または(態様B)において、前記二次転写バイアスは直流成分と交流成分とを重畳した重畳バイアスであり、前記後端領域における前記転写バイアスの直流成分の絶対値を、前記先端側領域における前記転写バイアスの直流成分の絶対値よりも大きくするように、前記電源を前記制御手段が制御する。これによれば、上記実施形態について説明したように、前記後端領域の転写バイアスの直流成分の絶対値を、前記放電が発生しない程度に前記先端側領域よりも大きくすることで、前記ピーク間電圧を小さくしても適切な転写バイアスを確保することが可能となる。
(態様D)
(態様C)において、前記後端領域における前記転写バイアスの直流成分の絶対値が、前記先端側領域における前記像担持体上のトナー像を記録シートへ転写させる側のピーク電圧の絶対値よりも小さい。これによれば、上記実施形態について説明したように、前記放電が発生するのを抑制することができる。
(態様E)
(態様A)乃至(態様D)のいずれかにおいて、前記先端側領域から前記後端領域で前記転写バイアスを切り換えるタイミングは、前記記録シートガイド手段による前記記録シートの姿勢の規制が解除される規制解除時のタイミングである。これによれば、上記実施形態について説明したように、前記規制解除時のタイミング以後に発生し得る前記放電に起因して記録シート後端部の画像に横白スジと呼ばれる異常画像が発生するのを抑制することができる。
(態様F)
(態様A)乃至(態様D)のいずれかにおいて、前記先端側領域から前記後端領域で前記転写バイアスを切り換えるタイミングは、前記記録シートガイド手段による前記記録シートの姿勢の規制が解除される規制解除時のタイミングよりも所定時間前のタイミングである。これによれば、上記実施形態について説明したように、前記放電に起因して記録シート後端部の画像に横白スジと呼ばれる異常画像が発生するのを抑制することができる。
(態様G)
(態様A)乃至(態様D)のいずれかにおいて、前記先端側領域から前記後端領域で前記転写バイアスを切り換えるタイミングは、前記記録シートガイド手段による前記記録シートの姿勢の規制が解除される規制解除時のタイミングよりも所定時間後のタイミングである。これによれば、上記実施形態について説明したように、前記放電に起因して記録シート後端部の画像に横白スジと呼ばれる異常画像が発生するのを抑制することができる。
(態様H)
(態様A)乃至(態様G)のいずれかにおいて、前記像担持体上のトナー像を記録シートへ転写させる側のピーク電圧の持続時間をAとし、前記転写バイアスの交流成分の1周期の時間をTとしたとき、前記制御部は前記トナー像の記録シートへの転写時にDuty=(T−A)/T×100[%]が50[%]より大きなバイアスを出力するように、前記電源を前記制御手段で制御する。これによれば、上記実施形態について説明したように、50[%」よりも大きい前記Dutyの転写バイアスを用いることで、交流電圧の重畳によって周期的に電位を変化させる転写バイアスの一周期内において、次のような時間配分を実現する。即ち、転写ニップでトナーに対して逆極性の電荷を注入するおそれのある時間を、注入のおそれのない時間よりも短くする。これにより、転写ニップでトナーに逆電荷を注入してしまうことによるトナー帯電量の低下を抑えることで、コート紙のような表面平滑シートに対してもトナー像を良好に転写して画像濃度不足の発生を抑えることができる。
(態様I)
(態様A)乃至(態様H)のいずれかにおいて、前記像担持体は複数層を具備する多層構造のベルト部材であり、前記複数層は、基層と、該基層の上に形成された弾性層とを含む。これによれば、上記実施形態について説明したように、表面凹凸シートに対するトナー像の転写性を更に向上させることができる。
(態様J)
(態様I)において、前記弾性層の表面に複数の粒子を分散させた。これによれば、上記実施形態について説明したように、像担持体表面からのトナー離型性を高めて転写効率を向上させることができる。
(態様K)
(態様J)において、前記粒子として、トナーの正規帯電極性とは逆極性の帯電性能を有するものを用いた。これによれば、上記実施形態について説明したように、トナーへの逆電荷の注入量をより低減することができる。
(態様L)
(態様J)において、前記粒子として、トナーの正規帯電極性と同極性の帯電性能を有するものを用いた。これによれば、上記実施形態について説明したように、転写不良を抑制することができる。
(態様M)
(態様I)乃至(態様L)のいずれかにおいて、前記複数層は前記弾性層の上に形成された被覆層を含む。これによれば、上記実施形態について説明したように、前記被覆層として、トナー離型性に優れた材料からなるものを用いることで、転写効率をさらに高めることができる。
(態様N)
(態様A)乃至(態様H)のいずれかにおいて、前記像担持体は複数層を具備する多層構造のベルト部材であり、前記複数層は複数の樹脂層を含む。これによれば、上記実施形態について説明したように、転写ニップ内において、樹脂層の間の界面で像担持体の周方向に電流が流れ、トナーが過充電されて転写不良になるのを抑制することができる。
(態様O)
(態様A)乃至(態様N)のいずれかにおいて、前記転写バイアスの交流成分の極性が所定の周期で交互に切り替わるように、前記電源を前記制御手段で制御する。これによれば、上記実施形態について説明したように、よりトナーが過充電されるのを抑制することができる。
1 トナー像形成ユニット
2 感光体
3 ドラムクリーニング装置
4 クリーニングブラシローラ
5 クリーニングブレード
6 帯電装置
7 帯電ローラ
8 現像装置
9 現像ロール
10 スクリュー部材
11 スクリュー部材
12 現像部
13 現像剤搬送部
30 転写ユニット
31 中間転写ベルト
31a 基層
31b 弾性層
31c 粒子
32 駆動ローラ
33 二次転写対向ローラ
34 クリーニングバックアップローラ
35 一次転写ローラ
36 二次転写ローラ
37 ベルトクリーニング装置
38 シート搬送ユニット
39 二次転写電源
39 電源
40 濃度センサ
41 二次転写ベルト
42 分離ローラ
50 上側入口ガイド
51 第一ガイド部材
51a 裏面
52 第二ガイド部材
52a 上面
53 取付部
53a 上面
53b 下面
54 下側入口ガイド
80 光書込ユニット
90 定着装置
91 定着ローラ
92 加圧ローラ
100 給送カセット
100a 給紙ローラ
101 レジストローラ対
110 直流電源
111 直流出力制御部
112 直流駆動部
113 直流電圧用トランス
114 直流出力検知部
115 出力異常検知部
140 交流電源
141 交流出力制御部
142 交流駆動部
143 交流電圧用トランス
144 交流出力検知部
145 除去部
146 出力異常検知部
200 電源制御部
221 電気接続部
242 電気接続部
243 電気接続部
301 ハーネス
302 ハーネス
特開2013−231936号公報

Claims (15)

  1. 像担持体と、
    前記像担持体にトナー像を形成するトナー像形成手段と、
    前記像担持体の表面に当接して転写ニップを形成するニップ形成部材と、
    前記転写ニップで前記トナー像を記録シートへ転写するために少なくとも交流成分を含む転写バイアスを出力する電源と、
    前記電源を制御する制御手段と、
    前記転写ニップへ進入した記録シートの該転写ニップよりも後端側の部分を反らせるように記録シートの姿勢を規制しつつ記録シートを該転写ニップへガイドする記録シートガイド手段とを備えた画像形成装置において、
    前記記録シートの後端領域における前記交流成分のピーク間電圧を、前記記録シートの前記後端領域より先端側の先端側領域における前記交流成分のピーク間電圧よりも小さくするように、前記電源を前記制御手段が制御することを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1に記載の画像形成装置において、
    前記後端領域における前記転写バイアスの交流成分のピーク間電圧を0[V]にするように、前記電源を前記制御手段で制御することを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項1または2に記載の画像形成装置において、
    前記転写バイアスは直流成分と交流成分とを重畳した重畳バイアスであり、
    前記後端領域における前記転写バイアスの直流成分の絶対値を、前記先端側領域における前記転写バイアスの直流成分の絶対値よりも大きくするように、前記電源を前記制御手段が制御することを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項3に記載の画像形成装置において、
    前記後端領域における前記該転写バイアスの直流成分の絶対値が、前記先端側領域における前記像担持体上のトナー像を記録シートへ転写させる側のピーク電圧の絶対値よりも小さいことを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項1、2、3または4に記載の画像形成装置において、
    前記先端側領域から前記後端領域で前記転写バイアスを切り換えるタイミングは、前記記録シートガイド手段による前記記録シートの姿勢の規制が解除される規制解除時のタイミングであることを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項1、2、3または4に記載の画像形成装置において、
    前記先端側領域から前記後端領域で前記転写バイアスを切り換えるタイミングは、前記記録シートガイド手段による前記記録シートの姿勢の規制が解除される規制解除時のタイミングよりも所定時間前のタイミングであることを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項1、2、3または4に記載の画像形成装置において、
    前記先端側領域から前記後端領域で前記転写バイアスを切り換えるタイミングは、前記記録シートガイド手段による前記記録シートの姿勢の規制が解除される規制解除時のタイミングよりも所定時間後のタイミングであることを特徴とする画像形成装置。
  8. 請求項1、2、3、4、5、6または7に記載の画像形成装置において、
    前記像担持体上のトナー像を記録シートへ転写させる側のピーク電圧の持続時間をAとし、前記転写バイアスの交流成分の1周期の時間をTとしたとき、前記制御部は前記トナー像の記録シートへの転写時にDuty=(T−A)/T×100[%]が50[%]より大きなバイアスを出力するように、前記電源を前記制御手段で制御することを特徴とする画像形成装置。
  9. 請求項1、2、3、4、5、6、7または8に記載の画像形成装置において、
    前記像担持体は複数層を具備する多層構造のベルト部材であり、
    前記複数層は、基層と、該基層の上に形成された弾性層とを含むことを特徴とする画像形成装置。
  10. 請求項9に記載の画像形成装置において、
    前記弾性層の表面に複数の粒子を分散させたことを特徴とする画像形成装置。
  11. 請求項10に記載の画像形成装置において、
    前記粒子として、トナーの正規帯電極性とは逆極性の帯電性能を有するものを用いたことを特徴とする画像形成装置。
  12. 請求項10に記載の画像形成装置において、
    前記粒子として、トナーの正規帯電極性と同極性の帯電性能を有するものを用いたことを特徴とする画像形成装置。
  13. 請求項9、10、11または12に記載の画像形成装置において、
    前記複数層は前記弾性層の上に形成された被覆層を含むことを特徴とする画像形成装置。
  14. 請求項1、2、3、4、5、6、7または8に記載の画像形成装置において、
    前記像担持体は複数層を具備する多層構造のベルト部材であり、
    前記複数層は複数の樹脂層を含むことを特徴とする画像形成装置。
  15. 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14に記載の画像形成装置において、
    前記転写バイアスの交流成分の極性が所定の周期で交互に切り替わるように、前記電源を前記制御手段で制御することを特徴とする画像形成装置。
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