JP2016107842A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】走行中のノイズ性能の悪化を抑制しつつ、砂地路におけるトラクション性能を向上しうる。【解決手段】トレッド部2にタイヤ周方向にのびる複数本の縦溝3と、該縦溝3に交わる向きにのびる複数本の横溝4とを具えた空気入りタイヤ1である。縦溝3は、タイヤ軸方向の最外側に配される一対のショルダー縦溝8を含む。横溝4は、ショルダー縦溝8と交わる交差部15からタイヤ軸方向外側にのびるショルダー横溝14を含む。縦溝3は、溝長さ方向と直角な溝断面において、溝底3bと、該溝底3bから踏面2Tへのびる一対の溝壁3w、3wとを含む。各溝壁3w、3wは、トレッド部2の踏面2Tとの交点に立てたトレッド法線L1に対する角度β1が10°〜40°である。縦溝3の溝幅W1は、8mm〜12mmである。ショルダー横溝14の交差部15における溝幅W6aが2mm〜6mmである。【選択図】 図1

Description

本発明は、走行中のノイズ性能の悪化を抑制しつつ、砂地路におけるトラクション性能を向上しうる空気入りタイヤに関する。
従来、雪路におけるトラクション性能を向上させるために、トレッド端側に設けられるショルダー横溝(ラグ溝)の溝幅を大きくした空気入りタイヤが提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。このようなタイヤは、雪柱せん断力を高めてトラクション性能を向上しうる。
しかしながら、このようなタイヤは、砂地路において、大きな溝容積を有するショルダー横溝が多量の砂や土を掘り起こし、タイヤが砂地路に深く沈み込んで、トラクション性能を十分に得ることができないという問題があった。また、大きな溝容積を有するタイヤは、乾燥アスファルト路面において、走行中に大きなノイズが生じやすいという問題もあった。
一方、ショルダー横溝の溝幅を大きくすることなくトラクション性能を向上させるには、例えば、タイヤの内圧を低下させて、接地面積を増加させる方法がある。しかしながら、このような方法では、タイヤの剛性が不足して、耐久性や操縦安定性能が低下しやすいという問題があった。
特開平5−60806号公報
発明者らは、縦溝及びショルダー横溝の各溝幅や溝壁の角度に着目して鋭意研究を行なった。その結果、縦溝の溝幅を、ショルダー横溝の溝幅よりも大きくするとともに、それらの溝幅及び縦溝の溝壁の角度を所定の範囲に限定することにより、走行中のノイズ性能の悪化を抑制しつつ、砂地路におけるトラクション性能を向上しうることを究明した。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、縦溝の溝壁と踏面との交点の角度、縦溝の溝幅、及びショルダー横溝の溝幅を所定の範囲に限定することを基本として、走行中のノイズ性能の悪化を抑制しつつ、砂地路におけるトラクション性能を向上しうる空気入りタイヤを提供することを主たる目的としている。
本発明のうち請求項1記載の発明は、トレッド部にタイヤ周方向にのびる複数本の縦溝と、該縦溝に交わる向きにのびる複数本の横溝とを具えた空気入りタイヤであって、前記縦溝は、タイヤ軸方向の最外側に配される一対のショルダー縦溝を含み、前記横溝は、前記ショルダー縦溝と交わる交差部からタイヤ軸方向外側にのびるショルダー横溝を含み、前記縦溝は、溝長さ方向と直角な溝断面において、溝底と、該溝底から踏面へのびる一対の溝壁とを含み、前記各溝壁は、前記トレッド部の踏面との交点に立てたトレッド法線に対する角度が10°〜40°であり、しかも、前記縦溝の溝幅は、8mm〜12mmであるとともに、前記ショルダー横溝の前記交差部における溝幅が2mm〜6mmであることを特徴とする。
また、請求項2記載の発明は、全ての前記縦溝の溝幅の総和は、トレッド幅の10〜30%である請求項1に記載の空気入りタイヤである。
また、請求項3記載の発明は、前記縦溝は、前記溝底と前記溝壁とのコーナ部に円弧状の面取部が形成され、前記溝壁と前記面取部との交点、及び前記溝壁と前記踏面との交点の断面横方向の距離が1.5mm〜7.0mmである請求項1又は2に記載の空気入りタイヤである。
また、請求項4記載の発明は、前記ショルダー横溝は、前記交差部でのタイヤ軸方向に対する角度が20°〜40°である請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
また、請求項5記載の発明は、前記トレッド部には、前記ショルダー縦溝及び前記横溝により区分される複数のショルダーブロックが形成され、前記ショルダーブロックの踏面には、前記ショルダー縦溝から前記トレッド端側にのびるショルダーサイピングが設けられる請求項1乃至4のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
また、請求項6記載の発明は、前記ショルダー縦溝は、ジグザグ状にのび、かつその振幅が2mm〜6mmである請求項1乃至5のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
また、請求項7記載の発明は、前記ショルダー横溝には、溝底から隆起して溝深さを減じかつ前記交差部から該ショルダー横溝に沿ってのびるタイバーが設けられ、前記タイバーには、前記ショルダー横溝に沿ってのびるサイピングが形成される請求項1乃至6のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
本明細書において、タイヤの各部の寸法は、特に断りがない限り、正規リムにリム組みされかつ正規内圧が充填された正規状態において特定される値とする。
前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim"を意味する。
前記「正規内圧」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE"とするが、タイヤが乗用車用である場合には一律に180kPaとする。
本発明の空気入りタイヤは、トレッド部にタイヤ周方向にのびる複数本の縦溝と、該縦溝に交わる向きにのびる複数本の横溝とを具える。縦溝は、タイヤ軸方向の最外側に配される一対のショルダー縦溝を含み、横溝は、前記ショルダー縦溝と交わる交差部からタイヤ軸方向外側にのびるショルダー横溝を含む。
また、縦溝は、溝長さ方向と直角な溝断面において、溝底と、該溝底から踏面へのびる一対の溝壁とを含み、各溝壁は、前記トレッド部の踏面との交点に立てたトレッド法線に対する角度が10°〜40°である。また、縦溝の溝幅は8mm〜12mmに設定される。
このような空気入りタイヤは、縦溝の溝壁の角度、及び溝幅が、従来に比べて大きく設定されるので、砂や泥を円滑に取り込みうるとともに、該砂や泥と縦溝との接触面積を増加させることができ、トレッド部の接地圧を低下させることができる。従って、本発明の空気入りタイヤは、砂地路への沈みこみを抑制しつつ、トラクション性能を向上しうる。
さらに、ショルダー横溝の交差部における溝幅が2mm〜6mmに設定される。このようなショルダー横溝は、その溝容積を小さくして砂地路への沈み込みが抑制されるとともに、走行中のノイズ性能の悪化を抑制しうる。
本実施形態の空気入りタイヤのトレッド部の展開図である。 図1のA−A断面図である。 図2の部分拡大図である。 図1の部分拡大図である。 縦溝の拡大断面図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1、図2に示されるように、本実施形態の空気入りタイヤ1(以下、単に「タイヤ」ということがある)は、ドライアスファルト路面のみならず、砂地や積雪路、さらには泥濘地といった不整地を走行可能な4WD車等に好適に装着されるオールシーズン用タイヤである。
このタイヤ1は、トレッド部2にタイヤ周方向にのびる複数本の縦溝3と、該縦溝3に交わる向きにのびる複数本の横溝4とを具える。
前記縦溝3は、タイヤ赤道Cの両側をタイヤ周方向に直線状にのびる一対のクラウン縦溝7、7と、タイヤ軸方向の最外側に配される一対のショルダー縦溝8、8とからなる。これにより、トレッド部2は、クラウン縦溝7、7間をのびるクラウン陸部16、クラウン縦溝7とショルダー縦溝8との間をのびる一対のミドル陸部17、及びショルダー縦溝8とトレッド端2eとの間をのびる一対のショルダー陸部19に区分される。縦溝3は、図3に拡大して示されるように、例えば、溝深さD1が8mm〜12mm程度に設定される。このような縦溝3は、トレッド部2の踏面2Tと路面との間に介在する水膜や砂等を取り込んで、排出しうる。
本実施形態の縦溝3は、図5に拡大して示されるように、溝長さ方向と直角な溝断面において、踏面2Tと平行にのびる溝底3bと、該溝底3bから踏面2Tへ直線状にのびる一対の溝壁3w、3wとを含んで形成される。本実施形態では、溝底3bと溝壁3wとのコーナ部に、円弧状の面取部3rが形成される。このような面取部3rは、コーナ部に生じがちな歪みを分散し、クラック等の損傷を抑制しうる。
図1、図3に示されるように、前記クラウン縦溝7とショルダー縦溝8との間には、タイヤ周方向にのびる周方向細溝9が設けられる。この周方向細溝9は、例えば、溝幅W2が0.5mm〜3mm程度、溝深さD2が4mm〜8mm程度に設定される。これにより、ミドル陸部17は、周方向細溝9のタイヤ軸方向内側に配される内のミドル陸部17aと、周方向細溝9のタイヤ軸方向外側に配される外のミドル陸部17bとに区分される。このような周方向細溝9は、ミドル陸部17の陸部剛性を緩和し、耐摩耗性能を向上させるのに役立つ。
図1、図2に示されるように、前記横溝4は、一対のクラウン縦溝7、7間をのびるクラウン横溝11、クラウン縦溝7と周方向細溝9との間をのびる内のミドル横溝12、周方向細溝9とショルダー縦溝8との間をのびる外のミドル横溝13、及びショルダー縦溝8と交わる交差部15を有しかつ該交差部15からタイヤ軸方向外側にのびるショルダー横溝14を含む。
前記クラウン横溝11は、図3、図4に拡大して示されるように、タイヤ軸方向に対して25°〜50°の角度α1で傾斜してのびる。また、クラウン横溝11は、クラウン縦溝7からタイヤ赤道C近傍にのびる細溝部11aと、該細溝部11aから他方のクラウン縦溝7へ溝幅を拡大させてのびる拡幅部11bとを含む。拡径部11bは、細溝部11aよりも大きな溝深さで形成される。このようなクラウン横溝11は、細溝部11aに取り込まれる水膜や砂等を、拡幅部11bから円滑に排出しうる。このクラウン横溝11は、例えば、細溝部11aの溝幅W3aが0.5mm〜1.5mm程度、溝深さD3aが2mm〜5mm程度、拡幅部11bの溝幅W3bが1mm〜10mm程度、溝深さD3bが7mm〜11mm程度に設定されるのが好ましい。
さらに、本実施形態のクラウン横溝11は、細溝部11a及び拡幅部11bがタイヤ周方向で左右交互に入れ代わって形成される。このようなクラウン横溝11は、接地圧の高いクラウン陸部16の陸部剛性の偏りを抑制しうるので、偏摩耗を抑制しつつ、直進安定性を向上しうる。
前記内のミドル横溝12は、図4に示されるように、前記クラウン横溝11と同方向かつタイヤ軸方向に対して25°〜50°の角度α2で傾斜して直線状にのびる。このような内のミドル横溝12は、水膜や砂をクラウン縦溝7に円滑に案内しうる。この内のミドル横溝12は、例えば、溝幅W4が0.5mm〜7mm程度、溝深さD4(図3に示す)が3mm〜8mm程度に設定されるのが好ましい。
本実施形態の内のミドル横溝12は、前記溝幅W4が、周方向細溝9からクラウン縦溝7に向かって漸増する第1の内のミドル横溝12Aと、クラウン縦溝7から周方向細溝9に向かって漸増する第2の内のミドル横溝12Bとを含み、これらは、タイヤ周方向で交互に配される。このような内のミドル横溝12も、接地圧の高い内のミドル陸部17aの陸部剛性の偏りを抑制しうるので、偏摩耗を抑制しつつ、直進安定性を向上しうる。
前記外のミドル横溝13は、クラウン横溝11と同方向、かつタイヤ軸方向に対して25°〜50°の角度α3で傾斜してのび、溝幅W5が、周方向細溝9からショルダー縦溝8にかけて漸増する。このような外のミドル横溝13は、水膜や砂等をショルダー縦溝8に円滑に案内しうる。また、外のミドル横溝13は、例えば、溝幅W5が1mm〜8mm程度、溝深さD5(図3に示す)が3mm〜8mm程度に設定されるのが望ましい。
前記ショルダー横溝14は、ショルダー縦溝8からトレッド端2eを超えて連続してのびる。また、本実施形態のショルダー横溝14は、タイヤ軸方向に対する角度α4が、ショルダー縦溝8からトレッド端2eにかけて漸減してのびている。このようなショルダー横溝14は、水膜や泥等をトレッド端2e側に円滑に案内しうるとともに、タイヤ軸方向の剛性を高め、操縦安定性を向上しうる。また、ショルダー横溝14は、例えば、溝幅W6が2mm〜10mm程度、溝深さD6(図3に示す)が3mm〜12mm程度に設定されるのが望ましい。
前記クラウン陸部16は、クラウン横溝11により複数のクラウンブロック21に区分される。このクラウンブロック21は、その踏面21sが、タイヤ軸方向の幅B1よりも周方向長さC1が大きい縦長の略平行四辺形状に形成される。このようなクラウンブロック21は、タイヤ周方向剛性を高めてトラクション性能を発揮しつつ、直進安定性を向上しうる。好ましくは、前記幅B1がトレッド幅TWの、例えば5%〜12%、前記周方向長さC1がトレッド幅TWの、例えば20%〜30%に設定されるのが望ましい。なお、前記トレッド幅TWは、正規状態におけるトレッド端2e、2e間のタイヤ軸方向距離とする。
前記内のミドル陸部17aは、内のミドル横溝12により、複数の内のミドルブロック22に区分される。この内のミドルブロック22の踏面22sも、タイヤ軸方向の幅B2よりも周方向長さC2が大きい縦長の平行四辺形状に形成され、トラクション性能及び旋回性能を向上しうる。好ましくは、前記幅B2がトレッド幅TWの、例えば4%〜11%、前記周方向長さC2がトレッド幅TWの、例えば22%〜32%に設定されるのが望ましい。
また、前記内のミドルブロック22には、図4に示されるように、周方向細溝9からのびかつ該内のミドルブロック22内で終端する内のスロット26が設けられる。この内のスロット26は、該内のスロット26とタイヤ軸方向外側で隣り合う外のミドル横溝13と、傾斜方向を同一とし、周方向細溝9を介して実質的に連続するように設けられている。このような内のスロット26は、外のミドル横溝13と協働して排土性能及び排水性能を高めうる。
前記外のミドル陸部17bは、図1に示されるように、外のミドル横溝13によって複数の外のミドルブロック23に区分され、この外のミドルブロック23の踏面23sも、縦長の平行四辺形状に形成される。好ましくは、タイヤ軸方向の幅B3がトレッド幅TWの、例えば5%〜12%、周方向長さC3がトレッド幅TWの、例えば20%〜30%に設定されるのが望ましい。
また、前記外のミドルブロック23にも、図4に示されるように、周方向細溝9からのびかつ該外のミドルブロック23内で終端する外のスロット27が設けられる。この外のスロット27は、タイヤ軸方向内側で隣り合う内のミドル横溝12と、傾斜方向を同一としかつ周方向細溝9を介して実質的に連続するように設けられている。
前記ショルダー陸部19は、図1、図4に示されるように、ショルダー横溝14によって複数のショルダーブロック24に区分される。このショルダーブロック24の踏面24sは、タイヤ軸方向の幅B4よりも周方向長さC4が大きい平行四辺形状に形成され、トラクション性能及び旋回性能を向上させることができる。好ましくは、前記幅B4は、トレッド幅TWの、例えば12%〜22%程度、かつ前記周方向長さC4がトレッド幅TWの、例えば26%〜36%程度に設定されるのが望ましい。
また、前記ショルダーブロック24には、トレッド端2eからタイヤ軸方向内側へのびかつ該ショルダーブロック24内で終端するラグ溝28が設けられる。このようなラグ溝28は、ショルダーブロック24の剛性を緩和し、偏摩耗を抑制するのに役立つ。
本実施形態のタイヤ1では、図3及び図5に示されるように、縦溝3の溝幅W1が8mm〜12mm、ショルダー横溝14の交差部15における溝幅W6aが2mm〜6mmに限定されるとともに、縦溝3の各溝壁3w、3wは、トレッド部2の踏面2Tとの交点に立てたトレッド法線L1に対する角度β1が10°〜40°に限定される。
これにより、縦溝3は、溝壁3wの角度β1及び溝幅W1が、従来に比べて大きく設定されるので、砂や泥を円滑に取り込みうるとともに、該砂や泥と縦溝3との接触面積を増加させることができ、トレッド部2の接地圧を低下させることができる。従って、本発明のタイヤ1は、砂地路への沈みこみを抑制しつつ、トラクション性能を向上しうる。
さらに、ショルダー横溝14は、前記交差部15における溝幅W6aが従来に比べて小さく設定されることで、その溝容積が低下している。これにより、タイヤ1は、ショルダー横溝14が多量の砂や土が掘り起こすことによって生じる砂地路への沈み込みが抑制されるとともに、走行中のノイズ性能の悪化を抑制しうる。
縦溝3の溝壁3wの前記角度β1が10°未満であると、砂や泥との接触面積を十分に増加させることができず、砂地路におけるトラクション性能を向上できないおそれがある。逆に、前記角度β1が40°を超えると、溝壁3wが過度に緩傾斜となり、排土性能及び排水性能が低下するとともに、十分な雪柱せん断力を得ることができず、雪上性能も低下するおそれがある。このような観点より、前記角度β1は、好ましくは12°以上、さらに好ましくは14°以上が望ましく、また、35°以下、さらに好ましくは30°以下が望ましい。
同様の観点より、前記縦溝3の溝幅W1は、より好ましくは9mm以上が望ましく、また、より好ましくは11mm以下が望ましい。
また、前記ショルダー横溝14の交差部15における溝幅W6aが2mm未満であると、排土性能、排水性能及び雪上性能が低下するおそれがある。逆に、前記溝幅W6aが6mmを超えると、ショルダー縦溝8からショルダー横溝14に向かって、砂、泥、及び/又は、空気の流入が多くなり、トラクション性能及びノイズ性能が悪化するおそれがある。このような観点より、前記溝幅W6aは、より好ましくは3mm以上が望ましく、また、より好ましくは5mm以下が望ましい。
全ての前記縦溝3の溝幅W1の総和GT(即ち、2本のクラウン縦溝7の溝幅W1と、2本のショルダー縦溝8の溝幅W1の和)は、好ましくは、トレッド幅TWの10%以上、さらに好ましくは15%以上が望ましい。前記総和GTが小さくなると、縦溝3の溝容積が小さくなり、砂地路におけるトラクション性能、雪上性能、及び排水性能を十分に向上できないおそれがある。逆に、前記総和GTが大きくなると、溝容積が過度に大きくなり、ノイズ性能の悪化を招くおそれがある。このような観点より、前記総和GTは、トレッド幅TWの、好ましくは30%以下、さらに好ましくは25%以下が望ましい。
図5に示されるように、前記縦溝3は、溝壁3wと面取部3rとの交点31、及び溝壁3wと踏面2Tとの交点32のトレッド法線L1と直角方向の距離L2が、従来に比べて大きく形成されるのが好ましい。これにより、縦溝3は、踏面2Tと路面との間に介在する砂や泥との接触面積を増加させることができ、砂地路への沈みこみを抑制しつつ、トラクション性能を向上しうる。
なお、前記距離L2が過度に小さくなると、上記のような作用を期待できない。逆に、前記距離L2が大きすぎると、排土性能、排水性能及び雪上性能が低下するおそれがある。このような観点より、前記距離L2は、好ましくは1.5mm以上、さらに好ましくは2.2mm以上が望ましく、また、好ましくは7mm以下、さらに好ましくは6mm以下が望ましい。
また、図4に示されるように、前記ショルダー横溝14は、その溝幅W6が、ショルダー縦溝8からトレッド端2eにかけて漸増するのが好ましい。これにより、ショルダー横溝14は、ショルダー縦溝8に集められた砂やショルダー陸部19と路面との間の水膜や砂等を、トレッド端2e側へと円滑に案内しうる。
なお、前記ショルダー横溝14は、トレッド端2eにおける溝幅W6bが過度に小さくなると、上記のような作用を期待できない。逆に、前記溝幅W6bが過度に大きくなると、ノイズ性能の悪化を十分に抑制できないおそれがある。このような観点より、前記溝幅W6bは、好ましくは、交差部15における溝幅W6aの1.1倍以上、さらに好ましくは1.2倍以上が望ましく、また、好ましくは2.5倍以下、さらに好ましくは2.0倍以下が望ましい。
前記ショルダー横溝14は、交差部15において、タイヤ軸方向に対して傾斜するのが好ましい。このようなショルダー横溝14は、ショルダー縦溝8に沿ってタイヤ周方向に案内される砂や泥を、効果的に流入させることができる。これにより、ショルダー横溝14は、交差部15の溝幅W6aを従来よりも小さく設定していることと相まって、砂や土との接触面積が増大し、砂地路への沈み込みを抑制しつつ、トラクション性能の向上しうる。
なお、ショルダー横溝14の交差部15におけるタイヤ軸方向に対する角度α4aが小さくなると、上記のような作用を発揮させることができないおそれがある。逆に、前記角度α4aが大きくなると、砂や泥の流入による抵抗が過度に大きくなり、トラクション性能や耐偏摩耗性能が低下するおそれがある。このような観点より、前記角度α4aは、好ましくは20°以上、さらに好ましくは25°以上が望ましく、また、好ましくは40°以下、さらに好ましくは35°以下が望ましい。なお、前記角度α4aは、ショルダー横溝14の溝中心線14cと、ショルダー縦溝8のタイヤ軸方向外側の溝縁との交点において測定されるものとする。
前記ショルダーブロック24の踏面24sには、ショルダー縦溝8からトレッド端2e側にのびるショルダーサイピングS1が設けられるのが好ましい。このようなショルダーサイピングS1は、ショルダーブロック24の剛性を適度に低下させ、耐偏摩耗性能を向上させる。また、ショルダーサイピングS1には、サイプ長さ方向にジグザグ状にのびるジグザグ部を有するため、ショルダーブロック24のサイプでの大きな開きを抑制し、操縦安定性の低下を防止できる。
本実施形態のショルダーサイピングS1は、前記ショルダー横溝14に沿ってのびかつショルダー縦溝8からトレッド端2eに至ることなく終端するセミオープンタイプである。このようなショルダーサイピングS1は、ショルダーブロック24の剛性が過度に低下するのを抑制しうる。
前記外のミドルブロック23の踏面23sにも、前記ショルダー縦溝8からタイヤ赤道C側にのびる外のミドルサイピングS2が設けられるのが好ましい。このような外のミドルサイピングS2も、外のミドルブロック23の剛性を適度に低下させ、耐偏摩耗性能を向上しうる。同様に、前記内のミドルブロック22の踏面22sにも、前記クラウン縦溝7から周方向細溝9へのびる内のミドルサイピングS3が設けられるのが好ましい。
なお、各サイピングS1、S2、S3は、その厚さが例えば0.4mm〜1.2mm程度、その深さがショルダー縦溝8の溝深さD1(図3に示す)の40%〜90%程度が望ましい。
図1に示されるように、前記ショルダー縦溝8は、タイヤ周方向に屈曲する屈曲部36が複数形成されることにより、ジグザグ状にのびるのが好ましい。これにより、ショルダー縦溝8は、タイヤ周方向及びタイヤ軸方向に対するエッジ成分を形成することができ、砂地路におけるトラクション性能及び旋回性能を向上しうる。さらに、屈曲部36は、砂や泥を引っ掻いて、ショルダー縦溝8の溝内部に効率よく浸入させることができ、砂路面との接触面積を増大しうる。
前記ショルダー縦溝8において、その溝中心線8sの振幅V1は、好ましくは2mm以上、さらに好ましくは2.5mm以上が望ましく、また、好ましくは6mm以下、さらに好ましくは5.5mm以下が望ましい。前記振幅V1が小さくなると、上記のような作用を十分に発揮させることができなくなり、逆に、前記振幅V1が大きくなると、屈曲部36による砂や泥の抵抗が過大となり、トラクション性能や耐偏摩耗性能が低下するおそれがある。
また、前記ショルダー横溝14には、図3及び図4に示されるように、溝底14bから隆起して溝深さD6を減じかつ前記交差部15から該ショルダー横溝14に沿ってのびるタイバー37が設けられるのが好ましい。このようなタイバー37は、タイヤ周方向に隣り合うショルダーブロック24を交差部15側で連結して剛性を高め、耐偏摩耗性及びトラクション性を向上しうる。
なお、前記タイバー37は、ショルダー横溝14の溝底14bからの最大高さH1が小さくなると、上記のような作用を期待することができない。逆に、前記最大高さH1が大きくなると、ショルダー横溝14の溝容積が過度に低下し、排土性能、排水性能及び雪上性能が低下するおそれがある。このような観点より、前記最大高さH1は、好ましくは、ショルダー横溝14の最大溝深さD6mの10%以上、さらに好ましくは20%以上が望ましく、また、好ましくは60%以下、さらに好ましくは50%以下が望ましい。
同様の観点より、タイバー37の長さL3は、好ましくは、該ショルダー横溝14の交差部15からトレッド端2eまでの長さL4(図4に示す)の10%以上、さらに好ましくは15%以上が望ましく、また、好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下が望ましい。なお、前記長さL3、L4は、いずれもショルダー横溝14の溝中心線14cに沿って測定される。
前記タイバー37には、ショルダー横溝14に沿ってのびるサイピング38が形成されるのが好ましい。このようなサイピング38は、溝容積の低下に伴う排土性能、排水性能及び雪上性能の低下を抑制するのに役立つ。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図1に示す基本構造をなし、表1に示す縦溝及び横溝を有するタイヤが製造され、それらの性能が評価された。なお、共通仕様は以下のとおりである。
タイヤサイズ:275/65 R17
リムサイズ:17×8JJ
トレッド幅TW:200mm
縦溝:
溝深さD1:9.5mm
周方向細溝:
溝幅W2:1.2mm
溝深さD2:6.0mm
クラウン横溝:
角度α1:35°
溝幅W3a:1.0mm
溝幅W3b:1.0mm〜4.0mm
溝深さD3a:2.0mm
溝深さD3b:3.5mm
内のミドル横溝:
角度α2:35°
溝幅W4:3.0〜4.0mm
溝深さD4:5.0mm〜7.0mm
外のミドル横溝:
角度α3:35°
溝幅W5:3.0mm〜4.0mm
溝深さD5:5.0mm〜7.0mm
ショルダー横溝:
角度α4:20〜25°
溝幅W6:2.5mm〜4.5mm
溝深さD6:4.0mm〜8.5mm
溝中心線に沿った長さL4:35mm
ショルダー横溝の最大溝深さD6m:8.5mm
クラウン陸部:
幅B1:17mm
周方向長さC1:47mm
比(B1/TW):0.09
比(C1/TW):0.24
内のミドル陸部:
幅B2:15mm
周方向長さC2:47mm
比(B2/TW):0.08
比(C2/TW):0.24
外のミドル陸部:
幅B3:15〜16mm
周方向長さC3:47mm
比(B3/TW):0.08
比(C3/TW):0.24
ショルダー陸部:
幅B4:30〜32mm
周方向長さC4:60mm
比(B4/TW):0.15〜0.16
比(C4/TW):0.30
テスト方法は、次のとおりである。
<トラクション性能>
各供試タイヤを上記リムにリム組みし、内圧200kPa充填して、排気量4000ccの4WD車の全輪に装着するとともに、砂地路のテストコースを実車走行し、トラクション性能を、プロドライバーによる官能評価によって評価された。結果は、比較例1を100とする評点であり、数値が大きいほど良好である。
<雪上性能>
各供試タイヤを上記条件でリム組みして、上記車両の全輪に装着し、雪路のテストコースを実車走行したときのフィーリングを、プロドライバーによる官能により評価された。結果は比較例1を100とする評点であり、数値が大きいほど良好である。
<耐ノイズ性能>
各供試タイヤを上記条件でリム組みして、上記車両の全輪に装着し、エンジンオフ状態で走行する車両から側方に7.5m離れた位置にマイクセットしてJISO規格C−606に準じてノイズを測定した。評価は比較例1を100とする指数で表示した。数値が大きいほど良好である。
<排水性能>
各供試タイヤを上記条件でリム組みして、上記車両の全輪に装着し、半径100mのアスファルト路面上に水深5mm、長さ20mの水たまりを設けたテストコースに、速度を段階的に増加させながら進入させ、速度50km/h〜80km/hにおける前輪及び後輪の平均横加速度が測定された。結果は、比較例1の平均横加速度を100とする指数で表示している。数値が大きいほど良好である。
テストの結果を表1に示す。
Figure 2016107842
テストの結果、実施例のタイヤは、走行中のノイズ性能の悪化を抑制しつつ、砂地路におけるトラクション性能を向上しうることが確認できた。
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
3 縦溝
3b 溝底
3w 溝壁
4 横溝
8 ショルダー縦溝
14 ショルダー横溝
15 交差部

Claims (7)

  1. トレッド部にタイヤ周方向にのびる複数本の縦溝と、該縦溝に交わる向きにのびる複数本の横溝とを具えた空気入りタイヤであって、
    前記縦溝は、タイヤ軸方向の最外側に配される一対のショルダー縦溝を含み、
    前記横溝は、前記ショルダー縦溝と交わる交差部からタイヤ軸方向外側にのびるショルダー横溝を含み、
    前記縦溝は、溝長さ方向と直角な溝断面において、溝底と、該溝底から踏面へのびる一対の溝壁とを含み、
    前記各溝壁は、前記トレッド部の踏面との交点に立てたトレッド法線に対する角度が10°〜40°であり、
    しかも、前記縦溝の溝幅は、8mm〜12mmであるとともに、
    前記ショルダー横溝の前記交差部における溝幅が2mm〜6mmであることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 全ての前記縦溝の溝幅の総和は、トレッド幅の10%〜30%である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記縦溝は、前記溝底と前記溝壁とのコーナ部に円弧状の面取部が形成され、
    前記溝壁と前記面取部との交点、及び前記溝壁と前記踏面との交点の断面横方向の距離が1.5mm〜7.0mmである請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記ショルダー横溝は、前記交差部でのタイヤ軸方向に対する角度が20°〜40°である請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記トレッド部には、前記ショルダー縦溝及び前記横溝により区分される複数のショルダーブロックが形成され、
    前記ショルダーブロックの踏面には、前記ショルダー縦溝から前記トレッド端側にのびるショルダーサイピングが設けられる請求項1乃至4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記ショルダー縦溝は、ジグザグ状にのび、かつその振幅が2mm〜6mmである請求項1乃至5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記ショルダー横溝には、溝底から隆起して溝深さを減じかつ前記交差部から該ショルダー横溝に沿ってのびるタイバーが設けられ、
    前記タイバーには、前記ショルダー横溝に沿ってのびるサイピングが形成される請求項1乃至6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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