JP2016088955A - 透明abs樹脂組成物 - Google Patents

透明abs樹脂組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2016088955A
JP2016088955A JP2014221230A JP2014221230A JP2016088955A JP 2016088955 A JP2016088955 A JP 2016088955A JP 2014221230 A JP2014221230 A JP 2014221230A JP 2014221230 A JP2014221230 A JP 2014221230A JP 2016088955 A JP2016088955 A JP 2016088955A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
abs resin
glass filler
resin composition
transparent abs
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014221230A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6528190B2 (ja
JP2016088955A5 (ja
Inventor
剛範 野口
Takenori Noguchi
剛範 野口
圭二 関根
Keiji Sekine
圭二 関根
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Fiber Glass Co Ltd
Original Assignee
Asahi Fiber Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority to JP2014221230A priority Critical patent/JP6528190B2/ja
Application filed by Asahi Fiber Glass Co Ltd filed Critical Asahi Fiber Glass Co Ltd
Priority to US15/523,015 priority patent/US10774200B2/en
Priority to EP15855629.0A priority patent/EP3214129B1/en
Priority to PCT/JP2015/080779 priority patent/WO2016068303A1/ja
Priority to CN201580058960.6A priority patent/CN107109027A/zh
Priority to KR1020177011156A priority patent/KR20170076677A/ko
Publication of JP2016088955A publication Critical patent/JP2016088955A/ja
Publication of JP2016088955A5 publication Critical patent/JP2016088955A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6528190B2 publication Critical patent/JP6528190B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08KUse of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
    • C08K7/00Use of ingredients characterised by shape
    • C08K7/02Fibres or whiskers
    • C08K7/04Fibres or whiskers inorganic
    • C08K7/14Glass
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C3/00Glass compositions
    • C03C3/04Glass compositions containing silica
    • C03C3/076Glass compositions containing silica with 40% to 90% silica, by weight
    • C03C3/089Glass compositions containing silica with 40% to 90% silica, by weight containing boron
    • C03C3/091Glass compositions containing silica with 40% to 90% silica, by weight containing boron containing aluminium
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C13/00Fibre or filament compositions
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C25/00Surface treatment of fibres or filaments made from glass, minerals or slags
    • C03C25/10Coating
    • C03C25/24Coatings containing organic materials
    • C03C25/26Macromolecular compounds or prepolymers
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08KUse of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
    • C08K3/00Use of inorganic substances as compounding ingredients
    • C08K3/40Glass
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08KUse of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
    • C08K9/00Use of pretreated ingredients
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L55/00Compositions of homopolymers or copolymers, obtained by polymerisation reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds, not provided for in groups C08L23/00 - C08L53/00
    • C08L55/02ABS [Acrylonitrile-Butadiene-Styrene] polymers

Abstract

【課題】優れた機械的強度を保持しつつ、透明性及び濁度の低下のない成形品を製造することができる、ガラスフィラー配合透明ABS樹脂組成物を提供する。【解決手段】透明ABS樹脂組成物であって、該透明ABS樹脂組成物の総質量に対して、70〜98質量%の透明ABS樹脂と、2〜30質量%のガラスフィラーとを含有し、該ガラスフィラーが、該ガラスフィラーの総質量に対して二酸化ケイ素(SiO2)を55〜60質量%、酸化アルミニウム(Al2O3)を10〜15質量%、酸化カルシウム(CaO)を18〜22質量%、酸化ホウ素(B2O3)を2〜8質量%、酸化マグネシウム(MgO)を0.01〜1質量%、及び酸化ナトリウム(Na2O)又は酸化カリウム(K2O)を0.01〜1質量%含有し、該ガラスフィラーにおける、二酸化ケイ素に対する酸化カルシウムの質量比(CaO/SiO2)が0.36〜0.40である、透明ABS樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、透明ABS樹脂組成物、より詳しくは、優れた機械的強度と透明性とを兼ね備えたABS樹脂組成物に関する。
ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂)は、非晶性の熱可塑性樹脂である。加工性等に優れるABS樹脂は、産業用品から家庭用品まで広範囲に用いられているが、用途によっては強度や熱変形温度が充分でない場合がある。
そこで、強度や熱変形温度を向上させるために、ガラス繊維をABS樹脂へ配合する技術が存在する(特許文献1〜2)。
また、ガラス繊維を配合したABS樹脂の強度や色相をより改善するために、ガラス繊維を表面処理する技術が存在する(特許文献3)。
また、ABS樹脂は、アクリロニトリル-スチレン共重合樹脂の重合時に、ブタジエン系ゴムを混合させた不透明な材料であるが、ブタジエン系ゴムの平均重量粒子径を小さくすることで、透明ABS樹脂を製造する技術が存在する(特許文献4)。
特開平7−216188号公報 特開2012−224762号公報 特許第2649211号明細書 特公平3-67088号公報
透明ABS樹脂へのガラス繊維の配合効果について本発明者が検討したところ、ガラス繊維の配合によって成形品の特定種類の機械的強度は向上するが、一方で透明性及び濁度が損なわれることを見いだした。
上記の課題を解決するために本発明者は鋭意研究を行った結果、特定の組成を有するガラスフィラーを特定量で透明ABS樹脂へ配合すると、優れた機械的強度を保持しつつ、透明性及び濁度の低下のないガラスフィラー配合透明ABS樹脂成形品を製造できることを見いだした。かかる知見に基づき、本発明者は本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、下記に関するものである。

1.透明ABS樹脂組成物であって、
該透明ABS樹脂組成物の総質量に対して、70〜98質量%の透明ABS樹脂と、2〜30質量%のガラスフィラーとを含有し、
該ガラスフィラーが、該ガラスフィラーの総質量に対して
二酸化ケイ素(SiO2)を55〜60質量%、
酸化アルミニウム(Al23)を10〜15質量%、
酸化カルシウム(CaO)を18〜22質量%、
酸化ホウ素(B23)を2〜8質量%、
酸化マグネシウム(MgO)を0.01〜1質量%、及び
酸化ナトリウム(Na2O)又は酸化カリウム(K2O)を0.01〜1質量%含有し、
該ガラスフィラーにおける、二酸化ケイ素に対する酸化カルシウムの質量比(CaO/SiO2)が0.36〜0.40である、
透明ABS樹脂組成物。

2.ガラスフィラーが、酸化ナトリウム(Na2O)を含む、前記1に記載の透明ABS樹脂組成物。

3.ガラスフィラーにおける、二酸化ケイ素に対する酸化カルシウムの質量比(CaO/SiO2)が0.36〜0.38である、前記1又は2に記載の透明ABS樹脂組成物。

4.ガラスフィラーが、集束剤で表面処理されたガラス繊維である、前記1〜3のいずれかに記載の透明ABS樹脂組成物。

5.透明ABS樹脂が、メチルメタクリレートを含む、前記1〜4のいずれかに記載の透明ABS樹脂組成物。

6.前記1〜5のいずれかに記載のABS樹脂組成物を成形してなる、成形品。

7.射出成形品である、前記6に記載の成形品。
後述の実施例で示されるように、本発明の透明ABS樹脂組成物は、優れた機械的強度を保持しつつ、透明性及び濁度の低下のないガラスフィラー配合透明ABS樹脂成形品を提供することができる。したがって、本発明は、審美性に優れた成形品を提供することができる。
本発明の透明ABS樹脂組成物は、必須成分として、透明ABS樹脂とガラスフィラーとを含む。以下、各成分について詳述する。
透明ABS樹脂
透明ABS樹脂は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂である。
透明ABS樹脂は、透明なアクリロニトリル-スチレン共重合樹脂(AS樹脂)の重合時にブタジエン-スチレン共重合体のようなブタジエン系ゴムを混合させて、ブタジエン系ゴムを分散もしくは共重合させた樹脂であり、重合時に混合するブタジエン系ゴムの重量平均粒子径を小さく、好ましくは、150μm以下にすることにより、光線透過率を向上させたものである。
本発明で用いる透明ABS樹脂は、厚さ2mmの成形品としたときの可視光に対する全光線透過率が、85%以上、好ましくは90%以上である。透明ABS樹脂の全光線透過率が90%以上であると、後述するガラスフィラーと組み合わせて用いたときに、従来技術のガラス繊維を使用したとき起こる透明性及び濁度の低下を抑制することができる。
全光線透過率はJIS−K7361に準じて測定することができる。
また、透明ABS樹脂の屈折率は、好ましくは1.530〜1.555、より好ましくは1.535〜1.550である。
透明ABS樹脂の屈折率が1.530〜1.555であると、後述するガラスフィラーと組み合わせて用いたときに両者の屈折率の差が小さくなり、従来技術のガラス繊維を使用したとき起こる透明性及び濁度の低下をより抑制することができる。
透明ABS樹脂の屈折率はJIS K7142に従い測定することができる。
透明ABS樹脂のMFRは、温度220℃、荷重98Nで、好ましくは30g/10分〜45g/10分である。MFRは、JIS K7210で規定される測定法で測定することができる。
透明ABS樹脂の組成について、ABS樹脂におけるアクリロニトリル(A):ブタジエン(B):スチレン(S)の配合比(質量基準)は、使用用途に応じて適宜設定することができるが、好ましくはA:B:S(質量基準)=5〜20%:10〜30%:40〜70%であり、より好ましくは5〜15%:10〜20%:45〜65%である。A:B:S(質量基準)が5〜20%:10〜30%:40〜70%であると、透明ABS樹脂の黄色の着色を抑制し、透明性をより向上させ、透明ABS樹脂としての審美性を向上させると同時に、衝撃強度を保持できる。
また、本発明で用いる透明ABS樹脂の平均重量分子量は、好ましくは50,000〜150,000、より好ましくは50,000〜100,000である。平均重量分子量が50,000〜150,000であると、成形品としての成形性及び耐久性をより良好に保持することができる。
透明ABS樹脂の平均重量分子量は、JIS K7252に準拠して測定することができる。
透明ABS樹脂は、(1)アクリロニトリル−スチレン樹脂とポリブタジエンとを物理的に混合して得られるポリマーブレンドであってもよく、(2)ポリブタジエンにスチレン及びアクリロニトリルをグラフトしたものであってもよく、(3)アクリロニトリル、ブタジエン及びスチレンを構成する3種のモノマーを乳化重合して得られるものであってもよい。
なお、本発明で使用する透明ABS樹脂では、アクリロニトリル、ブタジエン及びスチレン以外の、不飽和エチレン結合を有するモノマーを含んでもよい。そのようなモノマーとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレートや、メチルメタクリレート等が挙げられ、特に透明性及び、耐熱性のひとつの指標であるガラス転移温度の点から、メチルメタクリレート(M)が好ましい。
好ましい配合比は、M:A:B:S(質量基準)=20〜40%:5〜10%:10〜20%:40〜60%である。
本発明では、1種類の透明ABS樹脂を単独で用いてもよく、複数種類の透明ABS樹脂を組み合わせて用いてもよい。
透明ABS樹脂は公知物質であり、市場において容易に入手することができるか、又は、調製可能である。
本発明のABS樹脂組成物における透明ABS樹脂の含量は、ABS樹脂組成物の総質量に対して70〜98質量%、好ましくは80〜95質量%である。透明ABS樹脂の含量が70〜98質量%であると、高い全光線透過率を有する成形物を得ることができる。
ガラスフィラー
本発明で用いるガラスフィラーは、ガラスフィラーの総質量に対して
二酸化ケイ素(SiO2)を55〜60質量%、
酸化アルミニウム(Al23)を10〜15質量%、
酸化カルシウム(CaO)を18〜22質量%、
酸化ホウ素(B23)を2〜8質量%、
酸化マグネシウム(MgO)を0.01〜1質量%、及び
酸化ナトリウム(Na2O)又は酸化カリウム(K2O)を0.01〜1質量%含有し、かつ、
該ガラスフィラーにおける、二酸化ケイ素に対する酸化カルシウムの質量比(CaO/SiO2)が0.36〜0.40である。
上記の組成を有するガラスフィラーを、前述のABS樹脂と組み合わせて用いると、両者の屈折率の差が小さくなり、従来技術のガラス繊維を使用したとき起こる透明性及び濁度の低下を抑制することができる。
二酸化ケイ素(SiO2)の含量は、ガラスフィラーの総質量に対して55〜60質量%、好ましくは56〜58質量%である。SiO2の含量が55質量%以上であると、ガラスフィラーの良好な強度を得ることができる。SiO2の含量が60質量%以下であると、ガラスフィラー製造時に良好な溶解性を得ることができる。
酸化アルミニウム(Al23)の含量は、ガラスフィラーの総質量に対して10〜15質量%、好ましくは12〜15質量%である。Al23の含量が10質量%以上であると、ガラスフィラーの良好な化学的耐久性(耐水性等)を得ることができる。Al23の含量が15質量%以下であると、ガラスフィラー製造時の良好な溶解性や良好なガラス均一性を得ることができる。
酸化カルシウム(CaO)の含量は、ガラスフィラーの総質量に対して18〜22質量%、好ましくは19〜21質量%である。CaOの含量が18質量%以上であると、ガラスフィラー製造時の良好な溶解性を得ることができる。CaOの含量が22質量%以下であると、ガラスの結晶化を抑制し、良好な透明性を得ることができる。
酸化ホウ素(B23)の含量は、ガラスフィラーの総質量に対して2〜8質量%、好ましくは4〜7質量%である。B23の含量が2質量%以上であると、ガラスの熔融粘度を下げ、繊維化が容易になる。B23の含量が8質量%以下であると、ガラスフィラーの良好な強度を得ることができる。
酸化マグネシウム(MgO)の含量は、ガラスフィラーの総質量に対して0.01〜1質量%、好ましくは0.1〜0.5質量%である。MgOの含量が0.01質量%以上であると、上記のCaOのCaの一部をMgに置き換えて、ガラスフィラーの耐久性(引っ張り強度等)を向上させることができる。MgOの含有量が1質量%以下であると、ガラスフィラー製造時の良好な溶解性を得ることができる。
酸化ナトリウム(Na2O)又は酸化カリウム(K2O)の含量は、ガラスフィラーの総質量に対して0.01〜1質量%、好ましくは0.5〜1質量%である。Na2O又はK2Oの含量が0.01質量%以上であると、ガラスの熔融粘度を下げ、繊維化が容易になる。Na2O又はK2Oの含有量が1質量%以下であると、ガラスの耐水性を低下させることがない。
ガラスフィラーにおける、二酸化ケイ素に対する酸化カルシウムの質量比(CaO/SiO2)は、0.36〜0.40、好ましくは0.36〜0.38、より好ましくは0.36〜0.37である。CaO/SiO2が0.36〜0.40であると、ガラスフィラー製造時の良好な溶解性を損なうことなく、ガラスフィラーの屈折率を制御して透明性及び濁度の低下を抑制することができる。
上記の組成を有するガラスフィラーの屈折率は1.543〜1.552、好ましくは1.545〜1.552、より好ましくは1.545〜1.550である。
ガラスフィラーの屈折率が1.543〜1.552であると、前述のABS樹脂と組み合わせて用いたときに両者の屈折率の差が小さくなり、従来技術のガラス繊維を使用したとき起こる透明性及び濁度の低下を抑制することができる。
ガラスフィラーの屈折率はJIS K7142のB法による浸液法によって測定することができる。
上記のガラス成分以外に、ガラスフィラーの紡糸性や耐水性等に悪影響を及ぼさない範囲で、以下の任意成分をガラスフィラーへ含有させてもよい。例えば、ガラスの屈折率を上げる成分として、ランタン(La)、Y(イットリウム)、ガドリニウム(Gd)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)又はタングステン(W)等の元素を含む酸化物を含有させてもよい。また、ガラスの黄色を消色する成分として、コバルト(Co)、銅(Cu)又はネオジウム(Nd)等の元素を含む酸化物を含有させてもよい。
本発明で用いるガラスフィラーでは、不純物としてのFe23含量(酸化物基準)が、ガラスフィラーの総質量に対して0.1質量%未満であることが好ましい。Fe23の含量が0.1質量%未満であるとガラスフィラーの着色を抑えることができる。
ガラスフィラーの形状は、ABS樹脂と配合可能なものであれば特に制限されないが、好ましくはガラス繊維、ガラスパウダー、ガラスフレーク、ミルドファイバー及びガラスビーズである。
本発明では、1種類の形状のガラスフィラーを単独で用いてもよく、複数種類の形状のガラスフィラーを組み合わせて用いてもよい。
ガラス繊維は、従来公知のガラス長繊維の紡糸方法を用いて製造することができる。例えば、溶融炉でガラス原料を連続的にガラス化してフォアハースに導き、フォアハースの底部にブッシングを取り付けて紡糸するダイレクトメルト(DM)法や、溶融したガラスをマーブル、カレット又は棒状に加工してから再溶融して紡糸する再溶融法等が挙げられる。
ガラス繊維の平均径は特に限定されないが、3〜25μmのものが好ましく用いられる。3μm以上であると、ガラス繊維と樹脂との接触面積の増大による乱反射を抑制し、成形品の透明性を良好なものとすることができる。25μm以下であると、ガラス繊維の強度を良好なものとし、結果として成形品の強度を良好なものとすることができる。
ガラス繊維の繊維長は特に限定されないが、1.5〜6mmのものが好ましく用いられる。繊維長が1.5〜6mmであると、透明ABS樹脂とのコンパウンド及び成形後の成形品中でも高いアスペクト比を保持でき、成形品の機械的強度をより向上させることができる。
ガラスパウダーは、従来公知の製造方法を用いて得ることができる。例えば、溶融炉でガラス原料を溶融し、この融液を水中に投入して水砕したり、冷却ロールでシート状に成形して得られたシートを粉砕したりすることにより、所望の粒径を有するパウダーにすることができる。ガラスパウダーの粒径は特に限定されないが、1〜100μmのものが好ましく用いられる。
ガラスフレークは、従来公知の製造方法を用いて得ることができる。例えば、溶融炉でガラス原料を溶融し、この融液をチューブ状に引き出し、ガラスの膜厚を一定にした後、ロールで粉砕することにより特定の膜厚のフリットを得て、そのフリットを粉砕して所望のアスペクト比を有するフレークにすることができる。ガラスフレークの厚み及びアスペクト比は特に限定されないが、厚みは0.1〜10μm、アスペクト比は5〜150のものが好ましく用いられる。
ミルドファイバーは、従来公知の製造方法を用いて得ることができる。例えば、ガラス繊維のストランドをハンマーミルやボールミルで粉砕することにより、ミルドファイバーにすることができる。ミルドファイバーの繊維径及びアスペクト比は特に限定されないが、繊維径は3〜25μm、アスペクト比は2〜150のものが好ましく用いられる。
ガラスビーズは、従来公知の製造方法を用いて得ることができる。例えば、溶融炉でガラス原料を溶融し、この融液をバーナーで噴霧して、所望の粒径を有するガラスビーズにすることができる。ガラスビーズの粒径は特に限定されないが、5〜300μmのものが好ましく用いられる。
ガラスフィラーとしてガラス繊維を用いる場合、ガラス繊維を集束剤で表面処理することが好ましい。集束剤で表面処理すると、ガラス繊維の機械的強度を向上させ、結果としてABS樹脂成形品の耐衝撃性を向上させることができる。
集束剤としては、ガラス繊維へ適用可能なものを特に制限なく使用することができるが、特許第2649211号明細書(特許文献3)に記載のガラス繊維用集束剤は、ガラス繊維の機械的強度及び色相の向上効果に優れているので好ましい。かかる好ましいガラス繊維用集束剤の具体例としては、900以上のエポキシ当量を有するエポキシ樹脂を1〜10重量%、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂を1〜10重量%、及び、シランカップリング剤を0.1〜5重量%を含有するガラス繊維用集束剤が挙げられる。
本発明のABS樹脂組成物におけるガラスフィラーの含量は、ABS樹脂組成物の総質量に対して2〜20質量%、好ましくは2〜15質量%、より好ましくは5〜10質量%である。ガラスフィラーの含量が2〜20質量%であると、成形品の透明性を保持しながら、成形時の寸法安定性や、特定種類の強度を向上させることができる。
本発明のABS樹脂組成物には、本発明の所定の効果を損なわない範囲で、周知の添加剤を任意成分として配合することができる。例えば、流動改質剤と配合すると、成形流動性を向上させることができる。
本発明のABS樹脂組成物は、メルトフローレート(MFR)で表される流動性が、温度220℃、荷重98Nにて、好ましくは10g/10分〜30g/10分、より好ましくは15g/10分間〜25g/10分間である。上記のMFR範囲であると、優れた成形流動性を得ることができる。MFRは、JIS K7210で規定される測定法で測定することができる。
本発明のABS樹脂組成物の製造は、ABS樹脂組成物の製法として従来公知の方法を特に制限なく用いて実施することができる。好ましい製造方法としては、例えば、押出機で溶融混練する方法が挙げられる。
製造条件は適宜設定可能であり特に制限されないが、溶融の温度条件が210〜240℃の範囲であると、ガラスフィラーと透明ABS樹脂の混練が十分となり、ガラスフィラーと透明ABS樹脂との界面での接着をより高く発現させることができるので好ましい。
本発明のABS樹脂組成物には、ABS樹脂成形品の成形法として従来公知の方法を特に制限なく適用することで成形品とすることができる。成形法としては、例えば、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法や、カレンダー成形法等が挙げられる。
成形条件は適宜設定可能であり特に限定されないが、成形時の溶融の温度条件が200〜230℃の範囲であると、成形時に十分に流動することができ、所定の寸法精度の成形物を得ることができるので好ましい。
本発明のABS樹脂組成物を成形してなる成形品(以下、本発明の成形品ともいう)の厚さに特に制限はなく、成形品の使用目的に応じて適宜設定することができるが、好ましくは1〜10mm、より好ましくは1mm〜5mmである。成形品の厚さが1〜10mmであると、反りが生じにくく、機械強度に優れ、かつ、透明性に優れた成形品を得ることができる。
本発明の成形品の透明性について、厚さ2mmの成形品としたときの本発明の成形品の可視光に対する全光線透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。可視光に対する全光線透過率が80%以上であると、高い透明性を要求される用途へ好適に使用することができる。可視光に対する全光線透過率はJIS−K7361に準じて測定することができる。
本発明の成形品の濁度(ヘイズ)について、厚さ2mmの成形品としたときの本発明の成形品のヘイズが30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。ヘイズが30%以下であると、高い透明性を要求される用途へ好適に使用することができる。ヘイズはJIS−K7105に準じて測定することができる。
本発明の成形品の耐衝撃性について、前述のガラス繊維用集束剤で表面処理したガラス繊維をガラスフィラーとして用いて得た成形品の衝撃強度は、V無シャルピー衝撃試験で測定したときに、好ましくは20〜30KJ/m2、V付シャルピー衝撃試験で測定したときに、好ましくは9〜10KJ/m2である。衝撃強度(V無シャルピー衝撃強度)が20〜30KJ/m2であると、高い強度を要求される用途へ好適に使用することができる。いずれの衝撃強度もJIS K7111に準じて測定することができる。
また、本発明の成形品の曲げ弾性率は、好ましくは2〜6GPaである。曲げ弾性率が2〜6GPaであると、高い強度を要求される用途へ好適に使用することができる。曲げ弾性率はJIS K7171に準じて測定することができる。
また、本発明の成形品の曲げ強度は、好ましくは70〜150MPaである。曲げ強度が70〜150MPaであると、高い強度を要求される用途へ好適に使用することができる。曲げ強度はJIS K7171に準じて測定することができる。
本発明の成形品は、従来公知のABS樹脂成形品と同様の用途(例えば、雑貨品(玩具等)、一般機器(事務機器等)、電気器具(テレビ等)、車両部品(自動車のインストルメントパネル等))に特に制限なく用いることができる。好適には、衝撃を受けやすく、意匠性を必要がある部位、例えば携帯電話や、スマートフォン、タブレット型コンピュータ等の筐体等に適用することができる。
次に、実施例により本発明の効果を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1では、ガラスフィラーとして用いるガラス繊維をダイレクトメルト(DM)法にて製造した。
はじめに、無機混合物を用いてガラスを製造した。使用した無機混合物は、無機混合物の総質量に対して、
二酸化ケイ素(SiO2)を57質量%、
酸化アルミニウム(Al23)を14.5質量%、
酸化カルシウム(CaO)を21質量%、
酸化ホウ素(B23)を5質量%、
酸化マグネシウム(MgO)を0.5質量%、及び
酸化ナトリウム(Na2O)を1.0質量%含有し、かつ、
該無機混合物における、二酸化ケイ素に対する酸化カルシウムの質量比(CaO/SiO2)が0.368でであった。
具体的には、無機混合物を、容積が0.2m3の溶解炉中、1550℃で溶融・混合させてガラスを得た。このガラスを、底面に穴径1.4mm、穴数30を有する白金製ブッシングを備えた、容積300cm3の溶解炉中、1550℃で再溶解させて、ブッシングの穴から750m/分の速度で溶融したガラスを空気中に引き下ろして、繊維径15μmのガラス繊維を成形させた。このガラス繊維を引き下ろしてロール状に巻き取るまでの過程で、水の噴霧による冷却、及びロールコーターによる表面処理剤の塗布及びガラス繊維の集束を行った。表面処理剤としては、エポキシ樹脂エマルションとアクリロニトリル共重合体のエマルションを質量比2:1で混合したものを使用した。この表面処理剤は、特許第2649211号明細書(特許文献3)に記載のガラス繊維用集束剤であり、900以上のエポキシ当量を有するエポキシ樹脂を6重量%、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂を3重量%、及び、シランカップリング剤を0.2重量%(残りは水)含有していた。ロール状に巻き取ったガラス繊維束を引き出して、3mm長にカットした後、110℃で乾燥を施し、繊維長3mm及び平均径13μmのカラス繊維(ガラスフィラー)を得た。
実施例1で得られたガラスフィラーは、該ガラスフィラーの総質量に対して、
二酸化ケイ素(SiO2)を57質量%、
酸化アルミニウム(Al23)を14.5質量%、
酸化カルシウム(CaO)を21質量%、
酸化ホウ素(B23)を5質量%、
酸化マグネシウム(MgO)を0.5質量%、及び
酸化ナトリウム(Na2O)を1.0質量%含有し、かつ、
該ガラスフィラーにおける、二酸化ケイ素に対する酸化カルシウムの質量比(CaO/SiO2)が0.368でであった。
なお、実施例1で得られたガラスフィラーは不純物としてのFe23を含んでいなかった。
(実施例2)
実施例1において、表面処理剤を水に変更した以外は同様の製法にて、繊維長3mm及び平均径13μmのガラス繊維(ガラスフィラー)を得た。なお、水はガラスフィラー製造時の冷却剤として用いたものであるので、実施例2のガラスフィラーは、集束剤で表面処理されていないガラスフィラーに該当する。
実施例2で得られたガラスフィラーは、該ガラスフィラーの総質量に対して、
二酸化ケイ素(SiO2)を57質量%、
酸化アルミニウム(Al23)を14.5質量%、
酸化カルシウム(CaO)を21質量%、
酸化ホウ素(B23)を5質量%、
酸化マグネシウム(MgO)を0.5質量%、及び
酸化ナトリウム(Na2O)を1.0質量%含有し、かつ、
該ガラスフィラーにおける、二酸化ケイ素に対する酸化カルシウムの質量比(CaO/SiO2)が0.368であった。
なお、実施例2で得られたガラスフィラーは不純物としてのFe23を含んでいなかった。
(比較例1)
実施例1において、無機混合物の組成比を、二酸化ケイ素(SiO2)を55質量%、酸化アルミニウム(Al23)を14質量%、酸化カルシウム(CaO)を23質量%、酸化ホウ素(B23)を6質量%、酸化マグネシウム(MgO)を0.3質量%、及び酸化ナトリウム(Na2O)を0.6質量%、酸化チタン(TiO2)を0.1質量%に変更した以外は、同様の製法にて、繊維長3mmのガラス繊維(ガラスフィラー)を得た。
比較例1で得られたガラスフィラーは、該ガラスフィラーの総質量に対して、
二酸化ケイ素(SiO2)を55質量%、
酸化アルミニウム(Al23)を14質量%、
酸化カルシウム(CaO)を23質量%、
酸化ホウ素(B23)を6質量%、
酸化マグネシウム(MgO)を0.3質量%、及び
酸化ナトリウム(Na2O)を0.6質量%含有し、かつ、
該ガラスフィラーにおける、二酸化ケイ素に対する酸化カルシウムの質量比(CaO/SiO2)が0.418であった。
(比較例2)
比較例1において、表面処理剤を水に変更した以外は同様の製法にて、繊維長3mmのガラス繊維(ガラスフィラー)を得た。
比較例2で得られたガラスフィラーは、該ガラスフィラーの総質量に対して、
二酸化ケイ素(SiO2)を55質量%、
酸化アルミニウム(Al23)を14質量%、
酸化カルシウム(CaO)を23質量%、
酸化ホウ素(B23)を6質量%、
酸化マグネシウム(MgO)を0.3質量%、及び
酸化ナトリウム(Na2O)を0.6質量%含有し、かつ、
該ガラスフィラーにおける、二酸化ケイ素に対する酸化カルシウムの質量比(CaO/SiO2)が0.418であった。
(評価例1)
実施例1〜2及び比較例2で得たガラス繊維を、JIS K7142のB法による浸液法により、屈折率を測定した。その結果を表1に示す。

表1
Figure 2016088955
(実施例3)
実施例3では、実施例1で得たガラスフィラー(ガラス繊維)と透明ABS樹脂とを用いて透明ABS樹脂組成物を製造した。
樹脂組成物の製造に用いた透明ABS樹脂は、透明なアクリロニトリル-スチレン共重合樹脂(AS樹脂)の重合時にブタジエン系ゴム(重量平均粒子径:0.12μm)を混合し、ブタジエン系ゴムを分散させて得た樹脂であった。
透明ABS樹脂は、メチルメタクリレート(M)30質量%、アクリロニトリル(A)5質量%、ブタジエン(B)15質量%、スチレン(S)50質量%(M:A:B:S(質量基準)=30%:5%:15%:50%)からなり、各成分の配合比は、M:A:B:S(質量基準)=30%:5%:15%:50%であった。
透明ABS樹脂の平均重量分子量(JIS K7252)は80,000であった。
透明ABS樹脂のMFR(JIS K7210)は、温度220℃、荷重98Nで34.0g/10分であった。
透明ABS樹脂を厚さ2mmの成形品としたときの全光線透過率(JIS−K7361)は91%であった。
透明ABS樹脂の屈折率(JIS K7142)は1.547であった。
実施例1のガラスフィラーと、上記の透明ABS樹脂とを、質量比でガラスフィラー:透明ABS樹脂=10:90となるように混合して、押出機にて、230℃で溶融混練して押出して、透明ABS樹脂組成物を得た。透明ABS樹脂組成物における透明ABS樹脂の含量は、該樹脂組成物の総質量に対して90質量%であった。透明ABS樹脂組成物におけるガラスフィラーの含量は、該樹脂組成物の総質量に対して10質量%であった。
(実施例4)
ガラスフィラーと透明ABS樹脂との混合比をガラスフィラー:透明ABS樹脂=20:80(質量基準)に変更した以外は、実施例3と同様の方法で、透明ABS樹脂組成物を得た。透明ABS樹脂組成物における透明ABS樹脂の含量は、該樹脂組成物の総質量に対して80質量%であった。透明ABS樹脂組成物におけるガラスフィラーの含量は、該樹脂組成物の総質量に対して20質量%であった。
(実施例5)
ガラスフィラーを実施例2で得られたガラスフィラーに変更した以外は、実施例3と同様の方法で、透明ABS樹脂組成物を得た。透明ABS樹脂組成物における透明ABS樹脂の含量は、該樹脂組成物の総質量に対して90質量%であった。透明ABS樹脂組成物におけるガラスフィラーの含量は、該樹脂組成物の総質量に対して10質量%であった。
(比較例3)
ガラスフィラーを比較例1で得られたガラスフィラーに変更した以外は、実施例3と同様の方法で、ABS樹脂組成物を得た。ABS樹脂組成物における透明ABS樹脂の含量は、該樹脂組成物の総質量に対して90質量%であった。ABS樹脂組成物におけるガラスフィラーの含量は、該樹脂組成物の総質量に対して10質量%であった。
(比較例4)
ガラスフィラーを比較例1で得られたガラスフィラーに変更した以外は、実施例4と同様の方法で、ABS樹脂組成物を得た。ABS樹脂組成物における透明ABS樹脂の含量は、該樹脂組成物の総質量に対して80質量%であった。ABS樹脂組成物におけるガラスフィラーの含量は、該樹脂組成物の総質量に対して20質量%であった。
(比較例5)
ガラスフィラーを比較例2で得られたガラスフィラーに変更した以外は、実施例3と同様の方法で、ABS樹脂組成物を得た。ABS樹脂組成物における透明ABS樹脂の含量は、該樹脂組成物の総質量に対して90質量%であった。ABS樹脂組成物におけるガラスフィラーの含量は、該樹脂組成物の総質量に対して10質量%であった。
(評価例2)
実施例3〜5及び比較例3〜5のABS樹脂組成物を用いて、220℃にて射出成形機にて、厚さ2mmの50mm×90mmのプレートを成形した。この成形したプレートについて、JIS K7361に準じて全光線透過率を測定し、更に、JIS K7105に準じてヘイズ(濁度)を測定した。また、参照として、ガラス繊維不含のABS樹脂のプレートも成形し、同様の測定を行った。その結果を表2に示す
表2
Figure 2016088955
(評価例3)
実施例3〜5及び比較例3〜5のABS樹脂組成物を用いて、温度220℃、荷重98NでのMFR測定(JIS K7210)及び220℃にて射出成形機にて、曲げ試験片(厚さ4mm、幅10mm、長さ170mm)及びシャルピー衝撃強度試験片(厚さ10mm、幅4mm、長さ80mm)を成形した。これらの成形した試験片について、曲げ弾性率(JIS K7171)、曲げ強度(JIS K7171)、及びV無シャルピー衝撃強度(JIS K7111)を測定した。その結果を表3に示す。
表3
Figure 2016088955

表3及び表4は、実施例のABS樹脂組成物から得られた成形品が、透明性及び濁度を低下させることなく、優れた機械的強度を保持していたことを示している。
本発明の透明ABS樹脂組成物は、種々の産業分野で利用することが可能である。

Claims (7)

  1. 透明ABS樹脂組成物であって、
    該透明ABS樹脂組成物の総質量に対して、70〜98質量%の透明ABS樹脂と、2〜30質量%のガラスフィラーとを含有し、
    該ガラスフィラーが、該ガラスフィラーの総質量に対して
    二酸化ケイ素(SiO2)を55〜60質量%、
    酸化アルミニウム(Al23)を10〜15質量%、
    酸化カルシウム(CaO)を18〜22質量%、
    酸化ホウ素(B23)を2〜8質量%、
    酸化マグネシウム(MgO)を0.01〜1質量%、及び
    酸化ナトリウム(Na2O)又は酸化カリウム(K2O)を0.01〜1質量%含有し、
    該ガラスフィラーにおける、二酸化ケイ素に対する酸化カルシウムの質量比(CaO/SiO2)が0.36〜0.40である、
    透明ABS樹脂組成物。
  2. ガラスフィラーが、酸化ナトリウム(Na2O)を含む、請求項1に記載の透明ABS樹脂組成物。
  3. ガラスフィラーにおける、二酸化ケイ素に対する酸化カルシウムの質量比(CaO/SiO2)が0.36〜0.38である、請求項1又は2に記載の透明ABS樹脂組成物。
  4. ガラスフィラーが、集束剤で表面処理されたガラス繊維である、請求項1〜3のいずれかに記載の透明ABS樹脂組成物。
  5. 透明ABS樹脂が、メチルメタクリレートを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の透明ABS樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のABS樹脂組成物を成形してなる、成形品。
  7. 射出成形品である、請求項6に記載の成形品。
JP2014221230A 2014-10-30 2014-10-30 透明abs樹脂組成物 Active JP6528190B2 (ja)

Priority Applications (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014221230A JP6528190B2 (ja) 2014-10-30 2014-10-30 透明abs樹脂組成物
EP15855629.0A EP3214129B1 (en) 2014-10-30 2015-10-30 Transparent abs resin composition
PCT/JP2015/080779 WO2016068303A1 (ja) 2014-10-30 2015-10-30 透明abs樹脂組成物
CN201580058960.6A CN107109027A (zh) 2014-10-30 2015-10-30 透明abs树脂组合物
US15/523,015 US10774200B2 (en) 2014-10-30 2015-10-30 Transparent ABS resin composition
KR1020177011156A KR20170076677A (ko) 2014-10-30 2015-10-30 투명 abs 수지 조성물

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014221230A JP6528190B2 (ja) 2014-10-30 2014-10-30 透明abs樹脂組成物

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2016088955A true JP2016088955A (ja) 2016-05-23
JP2016088955A5 JP2016088955A5 (ja) 2017-12-07
JP6528190B2 JP6528190B2 (ja) 2019-06-12

Family

ID=55857636

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014221230A Active JP6528190B2 (ja) 2014-10-30 2014-10-30 透明abs樹脂組成物

Country Status (6)

Country Link
US (1) US10774200B2 (ja)
EP (1) EP3214129B1 (ja)
JP (1) JP6528190B2 (ja)
KR (1) KR20170076677A (ja)
CN (1) CN107109027A (ja)
WO (1) WO2016068303A1 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102172092B1 (ko) * 2017-09-19 2020-10-30 주식회사 엘지화학 열가소성 수지 조성물, 이의 제조방법 및 성형품
US11530309B2 (en) 2017-09-29 2022-12-20 Sekisui Chemical Co., Ltd. Foamed resin molded article
CN109679272A (zh) * 2018-12-27 2019-04-26 宁波邦盛汽车零部件有限公司 一种强度大的空调出风口总成
CN113614157B (zh) * 2019-03-22 2024-01-09 积水化学工业株式会社 管接头以及配管结构
CN114730127B (zh) * 2019-11-18 2023-05-12 东丽株式会社 感光性树脂组合物、感光性树脂片、中空结构体、固化物、中空结构体的制造方法、电子部件、及弹性波滤波器
CN114806067A (zh) * 2022-03-31 2022-07-29 金发科技股份有限公司 一种高透光率abs复合材料及其制备方法和应用

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04106158A (ja) * 1990-08-27 1992-04-08 Asahi Shiyueebell Kk 樹脂組成物
JPH0770392A (ja) * 1993-09-03 1995-03-14 Daicel Chem Ind Ltd 強化スチレン系樹脂組成物
WO1999001393A1 (fr) * 1997-07-04 1999-01-14 Nitto Boseki Co., Ltd. Composition de verre pour fibres
JP2006160553A (ja) * 2004-12-06 2006-06-22 Toto Ltd ガラス繊維及びそれを用いたガラス繊維強化アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体樹脂成形体
JP2007077334A (ja) * 2005-09-15 2007-03-29 Fujitsu Ltd 樹脂筐体
JP2008045040A (ja) * 2006-08-17 2008-02-28 Asahi Kasei Chemicals Corp 低線膨張押出シート
JP2012116695A (ja) * 2010-11-30 2012-06-21 Asahi Kasei E-Materials Corp 球状ガラスフィラー及びそれを用いた透明基板

Family Cites Families (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE3324909A1 (de) * 1983-07-09 1985-01-17 Bayer Ag, 5090 Leverkusen Geschlichtete glasfasern und ihre verwendung in abs-kunststoffen
DE3603375A1 (de) * 1986-02-05 1987-08-06 Basf Ag Thermoplastische formmasse auf basis von abs
JPH0791086B2 (ja) * 1989-04-26 1995-10-04 日東紡績株式会社 熱硬化性樹脂成形品用ガラス粉末
JPH0726632B2 (ja) 1989-08-07 1995-03-29 三菱電機株式会社 横置形密閉回転圧縮機
JP2649211B2 (ja) 1993-07-21 1997-09-03 旭ファイバーグラス株式会社 ガラス繊維用集束剤及び補強用ガラス繊維
JPH07156279A (ja) * 1993-12-09 1995-06-20 Asahi Chem Ind Co Ltd 透明なガラス繊維強化樹脂の成形法
JPH07216188A (ja) 1994-01-31 1995-08-15 Matsushita Electric Works Ltd Abs樹脂組成物
JP3757438B2 (ja) * 1995-08-01 2006-03-22 日本板硝子株式会社 抗菌性金属含有ガラス微小体および抗菌性を有する樹脂組成物
JP4777622B2 (ja) 2004-07-09 2011-09-21 旭ファイバーグラス株式会社 ポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた成形品
US8753464B2 (en) * 2004-09-17 2014-06-17 The Curators Of The University Of Missouri Transparent composites and laminates and methods for making
JP5013798B2 (ja) * 2005-11-11 2012-08-29 旭ファイバーグラス株式会社 ポリカーボネート樹脂用ガラスフィラー及びポリカーボネート樹脂組成物
KR100834423B1 (ko) * 2006-11-10 2008-06-09 제일모직주식회사 조성이 균일하고 분자량 분포가 좁은 열가소성 수지 및 그열가소성 수지의 제조방법
US8232349B2 (en) * 2007-11-09 2012-07-31 Cheil Industries Inc. Transparent thermoplastic resin and method for preparing the same
JP2012051773A (ja) * 2010-09-02 2012-03-15 Nippon Electric Glass Co Ltd 樹脂複合体基板用ガラス
WO2012117840A1 (ja) * 2011-02-28 2012-09-07 東レ株式会社 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品
JP2012224762A (ja) 2011-04-20 2012-11-15 Toray Coatex Co Ltd 繊維強化abs系樹脂成型体及びその製造方法
EP2706092B1 (de) * 2012-08-28 2014-12-24 Ems-Patent Ag Polyamidformmasse und deren Verwendung

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04106158A (ja) * 1990-08-27 1992-04-08 Asahi Shiyueebell Kk 樹脂組成物
JPH0770392A (ja) * 1993-09-03 1995-03-14 Daicel Chem Ind Ltd 強化スチレン系樹脂組成物
WO1999001393A1 (fr) * 1997-07-04 1999-01-14 Nitto Boseki Co., Ltd. Composition de verre pour fibres
JP2006160553A (ja) * 2004-12-06 2006-06-22 Toto Ltd ガラス繊維及びそれを用いたガラス繊維強化アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体樹脂成形体
JP2007077334A (ja) * 2005-09-15 2007-03-29 Fujitsu Ltd 樹脂筐体
JP2008045040A (ja) * 2006-08-17 2008-02-28 Asahi Kasei Chemicals Corp 低線膨張押出シート
JP2012116695A (ja) * 2010-11-30 2012-06-21 Asahi Kasei E-Materials Corp 球状ガラスフィラー及びそれを用いた透明基板

Also Published As

Publication number Publication date
KR20170076677A (ko) 2017-07-04
CN107109027A (zh) 2017-08-29
JP6528190B2 (ja) 2019-06-12
WO2016068303A1 (ja) 2016-05-06
US20170335088A1 (en) 2017-11-23
EP3214129A1 (en) 2017-09-06
EP3214129A4 (en) 2018-07-25
EP3214129B1 (en) 2019-08-07
US10774200B2 (en) 2020-09-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6528190B2 (ja) 透明abs樹脂組成物
CN109679205B (zh) 一种高强度抗翘曲的聚烯烃复合材料及其制备方法
CN103059543B (zh) 一种汽车内饰件用抗冲击改性聚碳酸酯塑料及其制备方法
CN103435950A (zh) Pmma/abs复合材料、其制备方法和应用
CN103601976A (zh) 一种泳池扶梯踏板用的玻纤增强聚丙烯材料及其制备方法
JPWO2008156091A1 (ja) ガラス組成物
EP3636406B1 (de) Schlagzähmodifizierte polyamid-formmassen
JP2006312706A (ja) 環状ポリオレフィン樹脂組成物及び成形品
US10597510B2 (en) Flaky glass granules and resin composition using the same
CN106397961A (zh) 一种抗菌超透明eva膜及其制备方法
CN106084446A (zh) 一种增强pp/abs合金材料及其制备方法
EP2254948A1 (en) Polycarbonate compositions, methods of manufacture thereof and articles comprising the same
JP2019521068A (ja) 高耐熱ガラス繊維、及びその製造方法
KR101662250B1 (ko) 펄 색감의 열가소성 수지 조성물 및 그 성형품
KR20200037281A (ko) 개선된 잔류 광택도를 갖는 스티렌 코폴리머 조성물
CN104672878A (zh) 聚碳酸酯树脂/聚苯乙烯树脂合金材料及制备方法
CN113831642A (zh) 玄武岩纤维在免喷涂聚丙烯材料中的应用及其组合物、组合物的制备方法
CN104861614A (zh) 无卤阻燃抗静电增强改性的pc与pet组合物
WO2018193893A1 (ja) ポリオレフィン樹脂組成物及びポリオレフィン樹脂組成物成形体
EP3632860A1 (en) Glass flakes and resin composition
CN117024910B (zh) 具有高流动性和透明性的peek改性材料及其制备方法
JP5476027B2 (ja) As樹脂組成物
CN115572472B (zh) 一种耐高倍数防晒霜的免喷涂聚碳酸酯材料及其制备方法
US11203546B2 (en) Glass flakes and resin composition
JP6678001B2 (ja) ポリカーボネート樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171026

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171026

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181031

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181225

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190417

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190423

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6528190

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250