JP2649211B2 - ガラス繊維用集束剤及び補強用ガラス繊維 - Google Patents

ガラス繊維用集束剤及び補強用ガラス繊維

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JP2649211B2
JP2649211B2 JP5201137A JP20113793A JP2649211B2 JP 2649211 B2 JP2649211 B2 JP 2649211B2 JP 5201137 A JP5201137 A JP 5201137A JP 20113793 A JP20113793 A JP 20113793A JP 2649211 B2 JP2649211 B2 JP 2649211B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アクリロニトリル−ス
チレン共重合体などの熱可塑性を有するスチレン系樹脂
に分散混入して、その樹脂を補強するガラス繊維に施さ
れる集束剤及びそれを付与した補強用ガラス繊維に関
し、詳しくは、ガラス繊維の集束性に優れ、かつ色相、
機械的強度に優れた強化熱可塑性樹脂を与えるガラス繊
維用集束剤及びそれを付与した補強用ガラス繊維に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、ガラス繊維強化スチレン系樹脂組
成物の物性を改良するために、補強用ガラス繊維と、マ
トリックス樹脂であるスチレン系樹脂との界面を改質す
るような、各種ガラス繊維用集束剤が提案されている。
例えば、特公昭57−57420 号公報には、アクリロニトリ
ルを20〜50重量%含有するアクリロニトリル−ブタジエ
ン共重合体樹脂3〜6重量%、エポキシ樹脂0.5 〜3重
量%、及びスチレン官能基を有するシラン誘導体0.2 〜
3重量%を含有するスチレン系樹脂補強用集束剤が開示
されている。また、特開平2−30645 号公報には、アク
リロニトリルを20〜60重量%含むアクリロニトリル−ス
チレン共重合体エマルジョン又はアクリロニトリル−ブ
タジエン−スチレン共重合体エマルジョン1〜10重量%
と、ウレタンエマルジョン0.5 〜7重量%とを含み、か
つアクリロニトリル−スチレン共重合体とアクリロニト
リル−ブタジエン−スチレン共重合体の合計量とウレタ
ンエマルジョンとの重量比が、50〜90:50〜10であるガ
ラス繊維集束剤が開示されている。更に、特開昭59−23
2940号公報には、アクリロニトリル−スチレン系樹脂及
びアミノシランカップリング剤を含有する、強化スチレ
ン系樹脂用のガラス繊維用サイジング剤が開示されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、アクリ
ロニトリル−スチレン共重合体樹脂(以下、AS樹脂と
略記することがある)又はアクリロニトリル−ブタジエ
ン−スチレン共重合体樹脂(以下、ABS樹脂と略記す
ることがある)の補強材として、アクリロニトリル−ス
チレン共重合体系及び/又はアクリロニトリル−ブタジ
エン−スチレン共重合体系集束剤を用いたガラス繊維を
使用すると、強度の高い繊維補強樹脂体を得ることはで
きるが、製造時の加熱によって繊維補強樹脂体が黄変し
やすくなり、色相のよい繊維補強樹脂体を得ることが難
しかった。
【0004】一方、ウレタン系又はエポキシ系集束剤を
使用して得られるガラス繊維を補強材とした場合には、
製品の色相に影響を及ぼすことはないが、充分な強度を
有する繊維補強用樹脂体が得られないという問題を有し
ていた。
【0005】したがって、本発明の目的は、AS樹脂又
はABS樹脂の補強材に用いて、機械的強度が高く、か
つ良好な色相を示す繊維補強樹脂体を与えることができ
るガラス繊維集束剤及びそれを付与した補強用ガラス繊
維を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のガラス繊維用集束剤は、アクリロニトリル
−スチレン共重合体樹脂又はアクリロニトリル−ブタジ
エン−スチレン共重合体樹脂に含有させる補強用ガラス
繊維の集束剤において、900 以上のエポキシ当量を有す
るエポキシ樹脂1〜10重量%、アクリロニトリル−スチ
レン共重合体樹脂1〜10重量%、シランカップリング剤
0.1 〜5重量%を含有することを特徴とする。
【0007】また、本発明の補強用ガラス繊維は、アク
リロニトリル−スチレン共重合体樹脂又はアクリロニト
リル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂に含有させる
補強用ガラス繊維において、上記集束剤が固形分として
0.2 〜3重量%付与されていることを特徴とする。
【0008】以下、本発明について、具体例を挙げて更
に詳細に説明する。
【0009】本発明の集束剤において、エポキシ樹脂と
しては、一分子中に少なくとも2つのグリシジル基を有
するものを用いるのが好ましく、中でも、ビスフェノー
ルとエピハロヒドリンとを反応させることによって得ら
れたものを用いるのが好ましい。なお、界面で生じる歪
みを小さくし、機械的強度を損なわないためにも、上記
エポキシ樹脂は、エポキシ当量が 900グラム/当量以上
のものを使用する。
【0010】また、集束剤の成分となるAS樹脂として
は、アクリロニトリル含量が10〜50重量%のものを用い
るのが好ましく、繊維強化樹脂体の色相に影響を及ぼさ
ないためには、アクリロニトリル含量10〜30重量%のも
のがより好ましい。なお、上記AS樹脂中には、アクリ
ロニトリル、スチレンの他に、アクリル酸、(メタ)ア
クリルアミド、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー
等を含有させることも可能である。
【0011】更に、シランカップリング剤としては、γ
−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミ
ノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、
N−β−(アミノエチル)−N’−β−(アミノエチ
ル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ア
ニリノプロピルトリメトキシシランのようなアミノシラ
ン類や、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルト
リメトキシシランのようなエポキシシラン類、ビニルト
リメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミ
ノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランの
ようなビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルト
リメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を
用いることができる。
【0012】本発明の集束剤は、それぞれ固形分とし
て、上記エポキシ樹脂を1〜10重量%、好ましくは4〜
8重量%、AS樹脂を1〜10重量%、好ましくは2〜5
重量%、シランカップリング剤を0.1 〜5重量%、好ま
しくは0.5 〜2重量%含有する。
【0013】また、本発明の集束剤中には、上記樹脂に
加え、潤滑剤を含有させることができる。潤滑剤として
は、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、木ろ
う等の植物系ワックス、みつろう、ラノリン、鯨ろう等
の動物系ワックス、モンタンワックス、石油ワックス等
の鉱物系ワックス、脂肪酸アミド、及び、脂肪酸エステ
ル系、脂肪酸エーテル系界面活性剤が好ましく用いられ
る。この潤滑剤は、過量であると、ガラス繊維とマトリ
ックス樹脂との接着を妨げることになるので、0.05〜0.
5 重量%程度の添加量とするのが好ましい。
【0014】なお、本発明の集束剤は、例えば水性媒体
中の溶液として、あるいはエマルジョンの形態で使用す
ることができる。
【0015】次に、本発明の補強用ガラス繊維は、上記
集束剤を使用して、常法により製造したストランドを、
乾燥、切断してチョップドストランドとすることにより
得ることができる。集束剤の添加量は、ガラス繊維に対
し、固形分として0.2 〜3重量%とし、好ましくは0.5
〜2重量%とする。なお、ストランドの乾燥は、切断工
程後に行ってもよく、あるいは、ストランドを乾燥した
のち、切断を行ってもよい。
【0016】補強用ガラス繊維を添加するマトリックス
樹脂としては、AS樹脂又はABS樹脂が用いられる。
補強用ガラス繊維と、マトリックス樹脂とを使用して、
繊維強化樹脂体を製造する方法に特に限定はなく、公知
の方法を使用できる。例えば、上記チョップドストラン
ドとAS樹脂又はABS樹脂とを、エクストルーダーで
混練してペレットとなし、このペレットを原料として、
インジェクション−モールディング法により繊維強化樹
脂体を得るなどの方法を用いることができる。なお、繊
維強化樹脂体中に含有させる補強用ガラス繊維の量は、
10〜40重量%程度が好ましく、20〜30重量%とするのが
より好ましい。
【0017】
【作用】本発明の集束剤は、900 以上のエポキシ当量を
有するエポキシ樹脂を含有するため、この集束剤を用い
て得られる補強用ガラス繊維を、AS樹脂又はABS樹
脂の補強材とすることにより、良好な色相を有する繊維
強化樹脂体を得ることができ、また、繊維強化樹脂体の
強度も向上する。強度が向上する原因は、よくわからな
いが、エポキシ当量の高いエポキシ樹脂が、繊維強化樹
脂体の成形時に生じる界面の歪みを減少させることによ
るものと推測される。
【0018】また、本発明の集束剤に含まれるAS樹脂
は、マトリックス樹脂であるAS樹脂又はABS樹脂と
相溶するため、強度の高い繊維強化樹脂体を得ることが
できる。
【0019】すなわち、本発明のように、900 以上のエ
ポキシ当量を有するエポキシ樹脂と、AS樹脂とを含む
集束剤を用いれば、強度が高く、かつ、色相が良好な繊
維強化樹脂体を得ることができる。
【0020】
【実施例】
実施例1 γ−アミノプロピルトリエトキシシラン1.0 重量%、エ
ポキシ樹脂(エポキシ当量1900)4.0 重量%、AS樹脂
2.0 重量%、植物系ワックス0.3 重量%、水92.7重量%
からなる集束剤を、直径13μのガラス繊維に、固形分と
して1.0 重量%添加し、1000本のガラス繊維を収束して
ストランドとし、このストランドを乾燥、切断して、長
さ3mmのチョップドストランドを得た。
【0021】比較例1 実施例1において、AS樹脂の代わりに、アクリロニト
リル−ブタジエン共重合体樹脂2.0 重量%を含有する集
束剤を使用し、同様にしてチョップドストランドを得
た。
【0022】比較例2 実施例1において、エポキシ当量1900のエポキシ樹脂の
代わりに、エポキシ当量500 のエポキシ樹脂を含有する
集束剤を使用し、同様にしてチョップドストランドを得
た。
【0023】比較例3 実施例1において、エポキシ樹脂を含有せず、AS樹脂
6.0 重量%を含有する集束剤を使用し、同様にしてチョ
ップドストランドを得た。
【0024】比較例4 実施例1において、AS樹脂を含有せず、エポキシ樹脂
6.0 重量%を含有する集束剤を使用し、同様にしてチョ
ップドストランドを得た。
【0025】試験例1 実施例1及び比較例1〜4で得られたそれぞれのチョッ
プドストランド20重量部と、AS樹脂80重量部とを、25
0 ℃で混練してペレットとなし、インジェクションモー
ルド法によって、5種類の繊維強化樹脂体の試験片を得
た。
【0026】これらの試験片について、ASTM−D638号の
方法により引張り強度を、ASTM−D790号の方法により曲
げ強度及び曲げ弾性率を、ASTM−D256号の方法によりIz
od衝撃強度を、また、JIS −Z8722 号の方法により色相
を測定した結果を、表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】表1の結果より、AS樹脂をマトリックス
樹脂とした場合において、実施例1の補強用ガラス繊維
を用いた試験片は、比較例1〜4の補強用ガラス繊維を
用いた試験片のいずれと比較しても、強度において優れ
ており、また、色相においては、比較例4を除く他の3
つの比較例よりも優れていることがわかった。
【0029】試験例2 実施例1及び比較例2〜4で得られたそれぞれのチョッ
プドストランド30重量部と、ABS樹脂70重量部とを、
250 ℃で混練してペレットとなし、インジェクションモ
ールド法によって、4種類の繊維強化樹脂体の試験片を
得た。これらの試験片について、試験例1と同様にして
強度及び色相を測定した。その結果を表2に示す。
【0030】
【表2】
【0031】表2の結果より、ABS樹脂をマトリック
ス樹脂とした場合において、実施例1の補強用ガラス繊
維を用いた試験片は、比較例2〜4の補強用ガラス繊維
を用いた試験片のいずれと比較しても、強度、色相にお
いて優れていることがわかった。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の集束剤
は、900 以上のエポキシ当量を有するエポキシ樹脂と、
AS樹脂と、シランカップリング剤とを含有するので、
この集束剤を用いて得られる補強用ガラス繊維を、AS
樹脂又はABS樹脂の補強材とすれば、強度が高く、か
つ、色相が良好な繊維強化樹脂体を得ることができる。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリロニトリル−スチレン共重合体樹
    脂又はアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合
    体樹脂に含有させる補強用ガラス繊維の集束剤におい
    て、900 以上のエポキシ当量を有するエポキシ樹脂1〜
    10重量%、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂1
    〜10重量%、シランカップリング剤0.1〜5重量%を含
    有することを特徴とするガラス繊維用集束剤。
  2. 【請求項2】 集束剤の成分となる前記アクリロニトリ
    ル−スチレン共重合体樹脂は、アクリロニトリルを10〜
    50重量%含有するものである請求項1記載のガラス繊維
    用集束剤。
  3. 【請求項3】 前記シランカップリング剤は、アミノシ
    ラン、エポキシシラン、クロルシラン、メルカプトシラ
    ン、ビニルシラン、アクリルシランである請求項1又は
    2記載のガラス繊維用集束剤。
  4. 【請求項4】 アクリロニトリル−スチレン共重合体樹
    脂又はアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合
    体樹脂に含有させる補強用ガラス繊維において、請求項
    1〜3のいずれか1つに記載の集束剤が固形分として0.
    2 〜3重量%付与されていることを特徴とする補強用ガ
    ラス繊維。
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