JP2960334B2 - 繊維強化ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物 - Google Patents

繊維強化ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物

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JP2960334B2 JP7140307A JP14030795A JP2960334B2 JP 2960334 B2 JP2960334 B2 JP 2960334B2 JP 7140307 A JP7140307 A JP 7140307A JP 14030795 A JP14030795 A JP 14030795A JP 2960334 B2 JP2960334 B2 JP 2960334B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、成形品の変形量が小さ
く寸法精度に優れ、かつ優れた機械的性質を有するポリ
ブチレンテレフタレート樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】熱可塑
性樹脂は、単独でも種々の成形品に用いられているが、
利用分野によってはその性質、特に機械的物性を改善す
る目的で、様々の強化剤、添加剤を配合することが行わ
れてきた。そして高い機械的強度、剛性の要求される分
野においては、そのような成形品を得るために、ガラス
繊維、カーボン繊維等を代表とする繊維状の強化材を用
いることが周知である。しかし、従来一般にガラス繊維
を含む組成物は機械的強度、剛性等は高いが、成形時或
いはアニーリング時にこれらを配合した組成物は異方性
が増大し、成形品の変形即ち「そり」が生じるという問
題がある。そしてこのような変形は、ポリブチレンテレ
フタレートの如く結晶性の高い樹脂においては、成形時
又はそれ以後の結晶化に伴う収縮性の故に特に著しい。
それ故、ポリブチレンテレフタレートの成形材料として
の適否は、その用途によっは化学的、熱的性質と共
に、曲げ強度、剛性等の機械的性質と変形との釣合を重
視して決定しなければならないが、一般に曲げ強度、剛
性等の高いものは変形も大きくなる傾向にある。この機
械的物性と変形との釣合は、寸法精度の要求される精密
成形品の場合特に重要である。しかし成形品の変形度を
低減して、なおかつ曲げ強度、剛性等の機械的性質の向
上を図ることは極めて困難であり、特に結晶性の熱可塑
性樹脂においては精密な寸法の成形品を得ることは至難
である。この点に関して本出願人は以前にガラス繊維と
板状充填剤とを併せて含有する組成物について提案(特
願昭52−37042号、特開昭53−121843号
公報)を行い、かなりの効果を得たが、一般に板状充填
剤の使用は引張強度等の低下をまねき、成形品の用途に
よっては尚不充分な場合が存在する。マトリックス樹脂
が結晶性熱可塑性樹脂の場合、さらに変形を低減させる
手法として、非晶性熱可塑性樹脂を添加併用することが
ある。しかし、一般に非晶性熱可塑性樹脂を多量に併用
することは結晶性熱可塑性樹脂の本来の特長、例えば耐
薬品性、熱変形温度等を損なうため好ましくない場合が
多い。斯かる如く、従来より公知の方法では特に結晶性
熱可塑性樹脂の場合、変形と強度その他の特性とのバラ
ンスを満足する樹脂組成物を得ることは至難であり、さ
らに広範囲の用途展開をする際の大きな障害ともなり、
更に一層の改良が切望されていた。
【0003】
【課題を解決するための手段】かかる現状に鑑み、本発
明者等は曲げ強度、剛性等の機械的性質を低下させるこ
となく、変形性を改善せしめた繊維強化熱可塑性樹脂の
開発について鋭意検討を重ねた結果、従来の如き、略円
形又はそれに近い断面形状を有する強化繊維ではなく、
扁平状の断面形状を有するガラス繊維を、粉粒状及び/
又は板状の無機充填剤と共にポリブチレンテレフタレー
ト樹脂に混合することにより、曲げ強度、剛性等の機械
的性質、耐熱性、耐薬品性等樹脂自身本来具えている特
質を低下させることなく、成形品の変形、即ち「そり,
ねじれ」を低減できることを見出し、本発明を完成する
に至った。即ち、本発明は (A) ポリブチレンテレフタレート、 (B) 断面積が2×10-5〜8×10-3mm2 で、かつ長さ方向
に直角の断面の長径(断面の最長の直線距離)と短径
(長径と直角方向の最長の直線距離)の比が1.3 〜10の
間にある、まゆ形又はその類似形である扁平な断面形状
を有するガラス繊維、全組成物に対し1〜65重量% (C) 粉粒状及び/又は板状の無機充填剤、全組成物に対
し5〜50重量%(但しB+C成分が全組成物に対し65重
量%を越えない範囲)からなる繊維強化ポリブチレンテ
レフタレート樹脂組成物に関するものである。
【0004】以下、本発明の組成物の構成成分について
詳しく説明する。本発明においてはポリブチレンテレフ
タレート樹脂(A) に特定の断面形状、即ち扁平な断面を
有するガラス繊維(B) が配合される。本発明で用いられ
るガラス繊維は断面が従来のような円形ではなく、扁平
な形状であることを特徴としている。一般に、ガラス繊
維が配合された組成物は成形時流動方向に繊維が配向す
るので、成形収縮率(樹脂成形品と金型との寸法差の百
分率)の異方性が大きくなり、変形が大となる。ところ
が意外にも繊維状物質を配合した組成物でもその強化剤
の断面形状が本発明の如く扁平の場合には、成形収縮率
の異方性が小さくなり、変形、ソリが改善されることが
判明した。本発明において使用する扁平な断面を有する
ガラス繊維(B) とは、長さ方向に直角の断面に於いて、
長径(断面の最長の直線距離)と短径(長径と直角方向
の最長の直線距離)の比が1.3 〜10、好ましくは1.5 〜
5、更に好ましくは1.5 〜4のものである。具体的な形
状としては、まゆ形又はその類似形である。扁平断面を
有するガラス繊維(B) は、比表面積が大きくなり、繊維
と樹脂との密着性が上がり、曲げ強度、剛性等も改善さ
れる。この点からも中央部に凹みを有するまゆ形は好ま
しいガラス繊維である。上記長径と短径の比が1.3 より
小さいものは変形に対する効果がなく、また比が10を越
えるものはその製造自体が困難である。又、ガラス繊維
は比重を小さくする等の目的の為には中空の繊維の使用
も可能である。次に上記ガラス繊維(B) の断面積は、大
きくなるに伴い充分な補強効果が得られなくなり、又、
あまりに過小になるとそれ自体の製造が困難になり、又
取り扱い上の問題も生じる。よって本発明におけるガラ
ス繊維の断面積は、2×10-5〜8×10-3mm2 、好ましく
は8×10-5〜8×10-3mm2 、特に好ましくは8×10-5
8×10-4mm2 である。次にガラス繊維の長さは任意であ
るが、成形品の機械的性質と変形との兼ね合いにより、
成形品の変形量を小さくする為には短い方が好ましい
が、機械的強度の面からは平均繊維長が少なくとも30μ
m 以上で長い方が好ましく、要求される性能に応じて適
宜選択される。通常は50〜1000μm が好ましい。これら
のガラス繊維(B) の使用にあたっては必要ならば収束剤
又は表面処理剤を使用することが望ましい。この例を示
せば、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、シ
ラン系化合物、チタネート系化合物等の官能性化合物で
ある。これ等の化合物はあらかじめ表面処理又は収束処
理を施して用いるか、又は材料調製の際同時に添加して
もよい。斯かる扁平断面を有する本発明のガラス繊維
(B) は、溶融ガラスを吐出するために使用するブッシン
グとして、適当な孔形状を有するノズルを用いて紡糸す
ることにより調製される。又、各種の断面形状(円形断
面を含む)を有する近接して設けられた複数のノズルか
ら溶融ガラスを紡出し、紡出された溶融ガラスを互いに
接合して単一のフィラメントとすることにより調製でき
る。本発明において用いられるガラス繊維(B) の配合量
は組成物全量中1〜65重量%であり、好ましくは5〜50
重量%である。1重量%未満では所望の効果が得られ
ず、65重量%を越えると成形加工が困難になる。また、
併用される上記官能性表面処理剤の使用量はガラス繊維
に対し0〜10重量%、好ましくは0.05〜5 重量%であ
る。
【0005】本発明の組成物は、(A) 成分と(B) 成分の
みからでも、繊維強化熱可塑性樹脂組成物として、従来
公知の円形断面を有する繊維配合樹脂組成物に比し、低
変形で、かつ優れた機械的性質を示すものであるが、更
に(C) 粉粒状及び/又は板状の無機充填剤を併用する事
により、更に一層の効果を得ることが出来、本発明はか
かる3成分を併用することに特徴を有する。ここで粉粒
状充填剤としてはシリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガ
ラス粉、硅酸カルシウム、硅酸アルミニウム、カオリ
ン、タルク、クレー、硅藻土、ウォラストナイトのごと
き硅酸塩、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナの
ごとき金属の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウ
ムのごとき金属の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウ
ムのごとき金属の硫酸塩、その他炭化硅素、窒化硅素、
窒化硼素、各種金属粉末が挙げられる。又、板状充填剤
としてはマイカ、ガラスフレーク、各種の金属箔等が挙
げられる。好ましい(C) 成分は、ガラスビーズ、ガラス
粉、ガラスフレーク、カオリン、クレー、タルク、炭酸
カルシウム、炭酸マグネシウム、マイカからなる群より
選ばれた1種又は2種以上であり、耐熱性、寸法安定
性、電気的性質等目的に応じて適宜選択して用いること
ができる。本発明において用いられる無機充填剤(C) の
配合量は組成物全量中5〜50重量%である。但し成形加
工性の面からB+C成分が全組成物に対し65重量%を越
えない範囲が望ましい。これらの充填剤の使用にあたっ
ては必要ならば前記記載の収束剤又は表面処理剤を使用
することが望ましい。
【0006】本発明の組成物には、更に公知の帯電防止
剤、着色剤、滑剤、離型剤、核剤、耐熱安定剤、紫外線
安定剤、難燃剤、界面活性剤、可塑剤、耐衝撃性改良剤
等を添加し、その使用目的に応じてその要求される性質
を付与することができる。又、本発明の目的を阻害しな
い範囲で他の非晶性熱可塑性樹脂、例えばポリカーボネ
ートを少量併用してもよい。次に本発明の組成物の調製
は、従来の強化充填剤入樹脂の調製法として一般に用い
られる方法により容易に調製される。即ち、繊維状物質
としては適当な寸法に集束切断されたチョップドストラ
ンド或いはロービンク又はフィラメント状等のものを何
れも常法通り使用出来る。又、例えば各成分を混合した
後、押出機により練込み押出して、ペレットを調製し、
しかる後成形する方法、一旦組成の異なるペレット(マ
スターバッチ)を調製し、そのペレットを所定量混合
(稀釈)して成形に供し、成形後に目的組成の成形品を
得る方法、成形機に各成分を直接仕込む方法等、何れも
使用できる。
【0007】
【実施例】以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れに限定されるものではない。尚、評価の方法は以下の
通りである。 変形量の測定 120mm 角の平板状試験片(厚さ3mm)を成形し、試験片
をフラットな定盤の上に置いて試験片の変形部のうちの
最大部(定盤と試験片との隙間が最大の所)を変形量と
して測定した。 物性測定法 引張強度:ASTM D638 に準じて測定 曲げ特性:ASTM D790 に準じて強度、曲げ弾性率を測定
した。 実施例1〜2、比較例1〜4 表1に示す如く、ポリブチレンテレフタレート、及びこ
れとポリカーボネートの混合樹脂に、まゆ形断面形状を
有する長さ3mmのチョップドガラス繊維(B) (断面の長
径/短径比約2.3 、断面積約2.5 ×10-4mm2)とガラスフ
レーク(C) を添加、混合した後、40mm一軸押出機を用い
てペレット状の組成物を調製した。次いでこのペレット
を用いて射出成形により各種試験片を作成し、前記の評
価を行った。又、比較のため、本願の要件に属さない円
形断面(直径約0.013mm)を有する長さ3mmのチョップド
ガラス繊維、更にこれとガラスフレークを併用添加した
ものについても評価を行った。結果を併せて表1に示
す。
【0008】
【表1】
【0009】
【発明の効果】以上の説明及び実施例により明らかな如
く、特定の断面形状を有するガラス繊維を配合してなる
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、成
形品の変形即ち「そり」を大巾に改善することができ、
しかも引張強度、曲げ特性等の機械的強度を損なうこと
もなく、むしろ改善されており、強度と変形のバランス
のとれた特性を有するものである。本発明の組成物は、
自動車、電気機器、一般機器等の外装部品、構造部品、
機構部品等に好適に用いられる。即ち、その具体的な使
用例を示せば、自動車のフェンダー、フェーエルリッ
ド、ルーバー、ランプハウジング、アウタードアーハン
ドル等の外装部品、オーディオ、ビデオテープレコーダ
ー、ステレオ等の構造部品(例えばシャーシー)として
有用なものである。又、コネクター、スイッチ、リレ
ー、コイルボビン、キーステム、シャーシ等の電気、電
子部品、その他カメラ、ラジオ、ファクシミリ、複写
機、コンピューター等の各種OA機器、ICケース、コ
ンデンサーケース、モーター部品等の多岐にわたる用途
においても、好ましく用いられるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 67/02 C08L 7/14

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A) ポリブチレンテレフタレート、 (B) 断面積が2×10-5〜8×10-3mm2 で、かつ長さ方向
    に直角の断面の長径(断面の最長の直線距離)と短径
    (長径と直角方向の最長の直線距離)の比が1.3 〜10の
    間にある、まゆ形又はその類似形である扁平な断面形状
    を有するガラス繊維、全組成物に対し1〜65重量% (C) 粉粒状及び/又は板状の無機充填剤、全組成物に対
    し5〜50重量%(但しB+C成分が全組成物に対し65重
    量%を越えない範囲)からなる繊維強化ポリブチレンテ
    レフタレート樹脂組成物。
  2. 【請求項2】ガラス繊維(B) が、断面積8×10-5〜8×
    10-3mm2 で、かつ上記長径と短径の比が1.5 〜5の間に
    ある、まゆ形又はその類似形である扁平な断面形状を有
    するものである請求項1記載の繊維強化ポリブチレンテ
    レフタレート樹脂組成物。
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