JPH06207044A - 有機重合体組成物 - Google Patents

有機重合体組成物

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JPH06207044A
JPH06207044A JP1939493A JP1939493A JPH06207044A JP H06207044 A JPH06207044 A JP H06207044A JP 1939493 A JP1939493 A JP 1939493A JP 1939493 A JP1939493 A JP 1939493A JP H06207044 A JPH06207044 A JP H06207044A
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JP
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mica
whiskers
organic polymer
polymer composition
weld strength
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JP1939493A
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Ei Shimizu
映 清水
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 雲母及びウイスカー、更に必要に応じてシラ
ンカップリング剤を含有する有機重合体組成物であり、
組成物における雲母とウイスカーの合計含有量が組成物
の全重量の70重量%以下であり、雲母とウイスカーの
合計重量に対する雲母の割合が10〜90重量%である
のが好ましい。 【効果】 優れた弾性率、熱変形温度、絶縁破壊電圧、
寸法精度、耐クリープ性、耐候性、ガスバリアー性等の
特性と共に、優れた機械的強度、特にウエルド強度を有
しており、自動車部品、電気・電子部品、機械部品、機
械部品などの種々の用途に有効に使用することができ、
ウエルド部の位置や形状などに関する特別の金型設計上
の工夫が不要である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は改良された特性を有する
有機重合体組成物に関する。詳細には、本発明は、雲母
粉末の配合によってもたらされる優れた弾性率、熱変形
温度、絶縁破壊電圧、寸法精度、耐クリープ性、耐候
性、ガスバリアー性などの特性を備え、しかも機械的強
度、特にウエルド部分の強度の大きな成形品を製造する
ことのできる有機重合体組成物に関するものであり、本
発明の有機重合体組成物からは自動車部品、電気・電子
部品、機械部品、日用品などの種々の広範な用途の成形
品を円滑に製造することができる。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等の有機重
合体中に雲母を配合することは既に知られており、雲母
含有有機重合体組成物は、その優れた弾性率、熱変形温
度、絶縁破壊電圧、成形品の寸法精度、耐クリープ性、
耐候性、ガスバリアー性等の特性を活かして多くの分野
で使用されている。
【0003】しかしながら、雲母を配合した有機重合体
組成物は、例えば射出成形などにより成形した際に、
(溶融)重合体組成物の合流・接合部(いわゆるウエル
ド部分)の強度が低いという欠点を有している。一般に
成形品の実用的強度は、最も強度の低いウエルド部分の
強度(以下「ウエルド強度」という)により左右される
ことが多く、ウエルド強度が低いと成形品の用途や使用
態様等が限定され、種々の用途に有効に使用できないと
いう問題がある。しかも、成形品におけるウエルド部の
発生が著しいと、その絶縁破壊電圧やガスバリアー性が
低下し、しかも外観が不良になるなどの欠点を生ずる。
【0004】雲母を配合した有機重合体組成物による上
記したような欠点を改良することを目的として、ウエル
ド部を成形品の応力が比較的加わらない位置や外観上目
立たない位置にもってくるように金型の設計を工夫する
ことが従来から色々試みられている。しかしその場合に
は、金型の形状や構造が複雑になり金型の作製に手間お
よび経費がかかるようになり、しかも金型内への重合体
の導入が円滑に行われにくくなるため、金型の設計工夫
には限度がある。かかる点から、雲母の配合による上記
した種々の優れた特性をそのまま保有し、しかも機械的
強度、特にウエルド強度の大きい成形品を提供できる重
合体素材の開発が求められてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、雲母
を含有する有機重合体組成物による上記した優れた弾性
率、熱変形温度、絶縁破壊電圧、寸法精度、耐クリープ
性、耐候性、ガスバリアー性などの特性、そのうちでも
特に高い弾性率、熱変形温度および寸法精度をそのまま
備えていて、しかも高い機械的強度、特に高いウエルド
強度を有する成形品にすることのできる有機重合体組成
物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】そして、本発明者が検討
を重ねた結果、有機重合体中に雲母と共にウイスカーを
配合すると、上記の目的を達成できることを見出して本
発明を完成した。すなわち、本発明は、雲母およびウイ
スカーを含有する有機重合体組成物である。
【0007】本発明の有機重合体組成物は雲母およびウ
イスカーを必須成分として含有するが、雲母の種類につ
いては特に制限がなく、例えば白雲母(マスコバイ
ト)、金雲母(フロゴパイト)、絹雲母(セリサイ
ト)、黒雲母、ソーダ雲母、合成雲母等を使用すること
ができ、これらの雲母は1種類のみを使用しても2種以
上を併用してもよい。雲母は通常粉末の形態で有機重合
体中に配合する。雲母粉末としては、平均粒径が60μ
m以下でアスペクト比が10以上のものを使用するのが
好ましく、平均粒径が30μm以下で、アスペクト比が
15以上のものを使用するのがより好ましい。
【0008】有機重合体組成物中に雲母を含有させるこ
とによって成形品のウエルド強度が一般に低下すること
は上記したとおりであるが、雲母粉末の平均粒径を60
μm以下にしておくことによって成形品のウエルド強度
の絶対値が著しく小さくなるのを防ぐことができ、その
結果ウイスカーの配合によるウエルド強度の増強作用を
一層効果的に発揮させることができる。雲母の平均粒径
の下限値については特に制限はないが、10μm以上の
ものを用いるのが取扱い性や経済性などの点から望まし
い。
【0009】また、雲母のアスペクト比を10以上にし
ておくことによって、雲母を配合した重合体組成物から
得られる成形品に高い弾性率、熱変形温度、抗反り性な
どの優れた特性を付与することができる。そして、その
場合のアスペクト比の上限値は特に制限はない。
【0010】ここで、上記した雲母の平均粒径とは、雲
母粉末を各種の目開きのマイクロシーブまたは篩で分級
し、その結果をRosin-Rammlar線図にプロットし、測定
に供した雲母粉末の全重量の50重量%が通過するマイ
クロシーブまたは篩の目開きL50に相当する値をいう。
すなわち雲母の平均粒径()(μm)は、下記の数式
1(マイクロシーブによる場合)または数式2(篩によ
る場合)で定義される値をいう。ただし、ここで雲母粉
末の粒度が小さい場合(一般に45μm未満の場合)は
マイクロシーブによって分級されて下記の数式1により
平均粒径()が求められ、粒度が大きい場合(一般に
45μm以上の場合)は篩によって分級されて下記の数
式2により平均粒径()が求められる。
【0011】
【数1】 (μm)=L50 (マイクロシーブによる場合)
【0012】
【数2】(μm)=21/250 (篩による場合)
【0013】また、上記した雲母のアスペクト比
(α1)とは、上記で求めた平均粒径()と、以下の方
法により測定される雲母粉末の重量平均フレーク厚さ
(d)(μm)から、下記の数式3を用いて算出された値
をいう。
【0014】
【数3】α1/d
【0015】上記の数式3における雲母の重量平均フレ
ーク厚さd(μm)は、C.E.Capesらの報告による水面
単粒子膜法[C.E.Capes and R.C.Coleman., Ind. Eng. C
hem.Fundam., 12, 124(1973)]により測定されるフレー
クの水面での占有面積(S)(cm2)を用いて、下記
の数式4より算出される値である。
【0016】
【数4】d(μm)=[W/{ρ(1−ε)・S}]×104 式中、W=測定に供した雲母の重量(g) ρ=雲母の比重 (1−ε)=雲母が水面上で最密充填状態をとった時の占
有率(通常0.9)
【0017】また、本発明の有機重合体組成物における
もう一方の必須成分であるウイスカー(whisker)は、
針状結晶の1種であって通常ひげ状結晶と称されてお
り、ウイスカーには無機化合物ウイスカー、金属ウイス
カーなどがある。本発明はいずれのウイスカーも使用で
き、具体的には例えば硼酸アルミニウムウイスカー、硫
酸カルシウムウイスカー、サファイアウイスカー、チタ
ン酸カリウムウイスカー等の無機化合物ウイスカー;鉄
ウイスカー等の金属ウイスカーを挙げることができる。
そのうちでも特に硼酸アルミニウムウイスカー、硫酸カ
ルシウムウイスカー、チタン酸カリウムウイスカーが好
ましい。
【0018】ウイスカーとしては、光学顕微鏡または走
査型電子顕微鏡により、500個以上のウイスカーを検
体として用いて個々のウイスカーの長さL2(μm)と
直径d2(μm)を測定し、下記の数式5から求めたア
スペクト比(α2)の平均値が5以上のものを用いる
と、成形品における機械的強度、特にウエルド強度の向
上効果が大きく好ましい。
【0019】
【数5】α2=L2/d2
【0020】また、ウイスカーの長さは特に限定されな
いが、ウエルド強度の増強効果および取扱い性等の点か
ら、長さが100μm以下のウイスカーを用いるのが好
ましい。
【0021】本発明の有機重合体組成物における雲母お
よびウイスカーの含有割合は、雲母の含有量(重量)を
Aとし、ウイスカーの含有量(重量)をBとした場合
に、有機重合体組成物の全重量に基づいて雲母とウイス
カーの合計含有量(A+B)が70重量%以下であり、且
つAの割合が下記の数式6を満足する範囲になるように
するのが望ましい。
【0022】
【数6】 10(%)≦{A/(A+B)}×100≦90(%)
【0023】雲母とウイスカーの合計含有量(A+B)
が有機重合体組成物の全重量に基づいて70重量%を超
えると、雲母およびウイスカーの含有量が多くなり過ぎ
て、重合体組成物の粘度が極めて高くなりその取扱い性
が劣るようになると共に成形性が低下し、しかも得られ
る成形品が脆くなる傾向がある。雲母とウイスカーの合
計含有量(A+B)を有機重合体組成物の全重量に基づ
いて10〜60重量%の範囲にするのが、有機重合体組
成物の取扱い性、成形性、得られる成形品の弾性率、熱
変形温度、絶縁破壊電圧、成形品の寸法精度、耐クリー
プ性、耐候性、ガスバリアー性などの特性、および機械
的強度(特にウエルド強度)の点から特に好ましい。
【0024】また、雲母の含有量が上記の数式6の範囲
から外れて{A/(A+B)}×100が10%未満になる
と、弾性率、熱変形温度、強度、抗反り性等における改
良効果が不満足のものとなり易く、一方90%を超える
と成形品におけるウエルド強度が不充分になり易い。
{A/(A+B)}×100が15〜80%の範囲であるの
が、特に好ましい。
【0025】ところで、一般に複数の無機材料などを配
合した有機重合体組成物においては、該有機重合体組成
物の物性は、各々の配合材料を単独で含有させた有機重
合体組成物の物性の中間の値となり且つ物性の絶対値は
配合材料の含有割合に比例する(いわゆる加成性が成立
つ)とされているが、実際はそのような理論値を下まわ
るのが普通である。それに対して、雲母とウイスカーを
含有する本発明の有機重合体組成物においては、後記す
る実施例(特に図1および図2)からも明らかなよう
に、有機重合体組成物およびそれから得られる成形品の
物性が理論的に予測される値を上まっており、上記した
従来の常識からは全く考えられない予想外の優れた効果
が本発明によってもたらされるのである。
【0026】更に、本発明において、雲母およびウイス
カーと共に、シランカップリング剤を併用すると、ウエ
ルド強度、弾性率、熱変形温度、引張強度、曲げ強さな
どの点で一層優れた効果を奏することができる。その場
合に、雲母およびウイスカーの一方または両方をシラン
カップリング剤で予め表面処理する形態にしてシランカ
ップリング剤を用いても、または雲母やウイスカーとは
別に有機重合体中にシランカップリング剤を直接添加し
てもよい。シランカップリング剤としては、既知のシラ
ンカップリング剤のいずれもが使用でき特に制限はな
く、特にアミノ基、二重結合、エポキシ基等を有するシ
ランカップリング剤が好ましい。具体例としては、γ−
アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキ
シプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルトリメトキシシラン等が好ましく用いられる。シラ
ンカップリング剤の使用量は特に制限されないが、一般
に雲母とウイスカーの合計重量に基づいて0.1〜3重
量%の範囲で用いるのが好ましい。
【0027】そして、本発明の有機重合体組成物を構成
するベース重合体としては、熱可塑性樹脂、熱硬化樹
脂、エラストマー等の種々の重合体を用いることがで
き、例えばポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミ
ド、アクリル系重合体、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂、
エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコー
ル、ポリウレタン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不
飽和ポリエステル樹脂、イソプレン系ゴムなどの種々の
有機重合体を挙げることができる。有機重合体は1種類
のみを使用しても2種以上を併用してもよい。
【0028】そのうちでも、本発明は、ポリエチレン、
ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよび
その他のポリエステル樹脂、ポリアミド等の結晶性熱可
塑性樹脂を用いる重合体組成物に特に適しており、その
場合には、上記した種々の優れた特性と共に、結晶性熱
可塑性樹脂において問題となることの多い成形品の反り
の発生を大幅に低減させることができる。
【0029】本発明の有機重合体組成物は、更に必要に
応じ所望の特性を付与するために、従来公知の添加物、
例えば各種の表面処理を施したまたは施してないガラス
繊維やその他の無機フィラー、滑剤、核剤、離型剤、安
定剤、可塑剤、着色剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難
燃剤などを必要に応じて適宜含有していてもよい。
【0030】本発明の有機重合体組成物は、既知の方法
および装置を用いて調製することができ、例えば単軸押
出機、二軸押出機、ニーダー、二軸ロール等を用いて上
記した成分を混合・混練することにより製造することが
できる。混練に際しては、雲母およびウイスカーの形状
や寸法の破壊が著しく生じないような、装置、方法およ
び条件を選択することが必要である。
【0031】本発明の有機重合体組成物は、使用する有
機重合体の種類等に応じて、射出成形、押出成形、圧縮
成形、ブロー成形、トランスファー成形、押出ブロー成
形、射出ブロー成形、カレンダー成形、流延成形などの
任意の成形法によって成形することができ、それによっ
て自動車部品、電気・電子部品、機械部品、構造部品、
日用品、パイプ、シート、フイルム、異形押出品などの
任意の形状および用途を有する成形品を製造することが
できる。
【0032】
【実施例】以下に本発明を実施例などにより具体的に説
明するが、本発明はそれにより限定されない。以下の実
施例において、曲げ弾性率およびウエルド強度の測定は
各々次のようにして行った。
【0033】曲げ弾性率の測定:各有機重合体組成物を
シリンダー温度230℃のインラインスクリュー型射出
成形機に供給して、JIS K7203の曲げ弾性率測
定用試験片を作製し、この試験片を用いてJIS K7
203に準拠して曲げ弾性率を測定した。
【0034】ウエルド強度の測定:各有機重合体組成物
を用いてシリンダー温度230℃のインラインスクリュ
ー型射出成形機を使用して、JIS K7113の引張
り強さ測定用1号試験片を作製し、この試験片を用いて
JIS K7113に準拠してウエルド強度を測定し
た。
【0035】《実施例 1》試験例a〜f :カルボキシル変性ポリプロピレン[メル
トフローレイト(MFR)=15g/10分](以後
「変性PP」という)、白雲母粉末(平均粒径=20μ
m;アスペクト比=35)、硼酸アルミニウムウイスカ
ー(四国化成社製「アルボレックスファイバー」;平均
粒径=60μm;アスペクト比=30)およびγ−アミ
ノプロピルトリエトキシシラン(日本ユニカー社製「A
−1100」)を下記の表1に示した割合で原料として
用いて230℃で溶融混練・押出して、ペレットを各々
製造した。各々のペレットを用いて、上記した方法によ
り試験片を作製して、その曲げ弾性率およびウエルド強
度を測定した。その結果を下記の表1に示す。
【0036】試験例g〜h:白雲母粉末として平均粒径
が20μmでアスペクト比が35のものを下記の表1に
示した割合で配合し、且つ硼酸アルミニウムウイスカー
およびシランを表1に示した割合で配合した他は上記の
試験例a〜fと同様にしてペレットの製造および試験片
の作製を行って、その曲げ弾性率およびウエルド強度を
測定した。その結果を表1に示す。
【0037】試験例i〜j:白雲母粉末として下記の表
1に示す平均粒径およびアスペクト比を有するものを下
記の表1に示した割合で配合し、硼酸アルミニウムウイ
スカーを表1に示す割合で配合し、且つメタクリロキシ
プロピルトリメトキシシラン[チッソ社製「S−71
0」]を表1に示す割合で配合して、上記の試験例a〜
fと同様にしてペレットの製造および試験片の作製を行
って、その曲げ弾性率およびウエルド強度を測定した。
その結果を表1に示す。
【0038】また、この実施例1の結果(表1の結果)
をグラフにプロットしたところ図1に示すとおりであっ
た。
【0039】
【表1】
【0040】上記表1および図1の結果から、変性PP
中に雲母と共に硼酸アルミニウムウイスカーを含有させ
ている試験例b〜eおよび試験例jの組成物から得られ
た成形品は、変性PP中に硼酸アルミニウムウイスカー
を含有せずに雲母を配合している試験例aの組成物から
得られた成形品に比べて、成形品のウエルド強度が向上
していること、そして硼酸アルミニウムウイスカーを単
独で配合した場合(試験例f)にはウエルド強度は向上
するものの曲げ弾性率が劣ることがわかる。また、その
際に、雲母とウイスカーの合計配合量は重合体組成物の
70重量%以下であることが望ましいこと、また雲母と
ウイスカーの合計量に対する雲母の割合{A/(A+
B}×100を10〜90%の範囲にすると曲げ弾性率
およびウエルド強度の両方の特性をバランス良く備えた
成形品が得られること、更には雲母の平均粒径が60μ
m以下であるのが望ましいことがわかる。
【0041】特に図1においては、試験例cの組成物と
試験例dの組成物から得られる成形品の曲げ弾性率およ
びウエルド強度は、理論的には試験例aの組成物(雲母
単独配合)および試験例fの組成物(ウイスカー単独配
合)から得られる成形品の値を結ぶ直線Iの上に乗って
プロットされるものと予想されるのに対して、本発明の
組成物である上記試験例cの組成物と試験例dの組成物
では直線Iよりも上方に位置する高い位置にあり、理論
値(直線I)よりも優れた効果が本発明よって奏される
ことがわかる。
【0042】《実施例 2》試験例a〜f :ウイスカーとして、硼酸アルミニウムウ
イスカーの代わりに硫酸カルシウムウイスカー(大日精
化工業社製「フランクリンファイバー・A−30」;平
均粒径=60μm;アスペクト比=30)を使用した以
外は実施例1の試験例a〜fと同様にして、変性PP、
白雲母粉末、硼酸アルミニウムウイスカーおよびγ−ア
ミノプロピルトリエトキシシランを下記の表2に示した
割合で原料として用いて230℃で溶融混練・押出し
て、ペレットを各々製造した。各々のペレットを用い
て、上記した方法により試験片を作製して、その曲げ弾
性率およびウエルド強度を測定した。その結果を下記の
表2に示す。
【0043】試験例g〜h:白雲母粉末として平均粒径
が20μmでアスペクト比が35のものを下記の表2に
示した割合で配合し、且つ硫酸カルシウムウイスカーお
よびシランを表2に示した割合で配合した他は上記の試
験例a〜fと同様にしてペレットの製造および試験片の
作製を行って、その曲げ弾性率およびウエルド強度を測
定した。その結果を表2に示す。
【0044】試験例i〜j:白雲母粉末として下記の表
2に示す平均粒径およびアスペクト比を有するものを下
記の表2に示した割合で配合し、硫酸カルシウムウイス
カーを表2に示す割合で配合し、且つメタクリロキシプ
ロピルトリメトキシシランを表2に示す割合で配合し
て、上記の試験例a〜fと同様にしてペレットの製造お
よび試験片の作製を行って、その曲げ弾性率およびウエ
ルド強度を測定した。その結果を表2に示す。また、表
2の結果をグラフにプロットしたところ図2に示すとお
りであった。
【0045】
【表2】
【0046】上記の表2および図2の結果から、変性P
P中に雲母と硫酸カルシウムウムウイスカーの両方を配
合している試験例b〜eおよび試験例jの組成物から得
られた成形品は、変性PP中に雲母を単独で配合してい
る組成物(試験例a)から得られた成形品に比べて成形
品のウエルド強度が向上していること、そして硫酸カル
シウムウイスカーを単独で配合した場合(試験例f)に
はウエルド強度は向上するが曲げ弾性率が低くなること
がわかる。また、その際に、雲母と硫酸カルシウムウイ
スカーの合計配合量が重合体組成物の70重量%以下で
あることが望ましく、且つ雲母と硫酸カルシウムウイス
カーの合計量に対する雲母の割合{A/(A+B}×1
00が10〜90%の範囲であるのが曲げ弾性率および
ウエルド強度の両方の特性をバランス良く備えるために
望ましいこと、更には雲母の平均粒径が60μm以下で
あるのが望ましいことはわかり、これは実施例1の場合
と同様である。
【0047】更に図2も、図1と同様に、雲母と硫酸カ
ルシウムウイスカーの両方を含有する本発明の組成物
(試験例cおよび試験例d)から得られる成形品は、雲
母を単独で配合した試験例aの組成物および硫酸カルシ
ウムウイスカーを単独で配合した試験例fの組成物から
得られる成形品の物性を結ぶ理論直線IIよりも上方に位
置しており、理論値よりも優れた特性を備えていること
を示している。
【0048】《実施例 3》ベース樹脂として変性PP
の代わりにポリブチレンテレフタレート(極限粘度=
1.1)(以後「PBT」という)を使用し、実施例1
の試験例a〜fで用いたのと同じ白雲母粉末、硼酸アル
ミニウムウイスカーおよびγ−アミノプロピルトリエト
キシシランを用いて、それらを下記の表3に示す割合で
配合してペレットを製造し、次いで上記した方法により
試験片を作製して、その曲げ弾性率およびウエルド強度
を測定した。その結果を下記の表3に示す。
【0049】《実施例 4》ベース樹脂として変性PP
の代わりに射出成形用の高流動グレードのナイロン6を
使用し、実施例1の試験例a〜fで用いたのと同じ白雲
母粉末および硼酸アルミニウムウイスカーを用い、シラ
ンを使用せずに、ナイロン6、雲母およびウイスカーを
下記の表2に示す割合で配合してペレットを製造し、次
いでそのペレットを用いて上記した方法により試験片を
作製して、その曲げ弾性率およびウエルド強度を測定し
た。その結果を下記の表3に示す。
【0050】
【表3】
【0051】上記表3の結果から、PBTまたはナイロ
ン中に雲母と共に硼酸アルミニウムウイスカーを含有す
る組成物から得られる成形品は、雲母または硼酸アルミ
ニウムウイスカーを単独で含有する組成物から得られる
成形品に比べて、成形品の曲げ弾性率およびウエルド強
度がバランスよく改良されていることがわかる。
【0052】《実施例 5》ウイスカーとして、硫酸カ
ルシウムウイスカーを使用した以外は実施例3と同様に
して試験片を作製して、その曲げ弾性率およびウエルド
強度を測定した。その結果を下記の表4に示す。
【0053】《実施例 6》ウイスカーとして、硫酸カ
ルシウムウイスカーを使用した以外は実施例4と同様に
して試験片を作製して、その曲げ弾性率およびウエルド
強度を測定した。その結果を下記の表4に示す。
【0054】
【表4】
【0055】上記表4の結果から、PBTまたはナイロ
ン中に雲母と共に硫酸カルシウムウイスカーを配合した
組成物から得られる成形品は、雲母または硫酸カルシウ
ムウイスカーを単独で配合した組成物から得られいる成
形品に比べて、成形品の曲げ弾性率およびウエルド強度
がバランスよく改良され、良好な物性を備えていること
がわかる。
【0056】
【発明の効果】本発明の有機重合体組成物は、雲母と共
にウイスカーを含有していることによって、雲母粉末の
配合によってもたらされる優れた弾性率、熱変形温度、
絶縁破壊電圧、成形品の寸法精度、耐クリープ性、耐候
性、ガスバリアー性などの特性と共に、優れた機械的強
度、特に優れたウエルド強度を有しており、自動車部
品、電気・電子部品、機械部品、構造部品、日用品など
の種々の用途に有効に使用することができる。本発明の
有機重合体組成物を使用した場合には、ウエルド部の位
置や形状などに関する金型設計上の特別の工夫が不要で
あり、通常どおりに設計された金型などを使用して、ウ
エルド強度、外観、ガス不透過性などの特性に優れた成
形品を簡単に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の各有機重合体組成物から得られる試
験片の曲げ弾性率とウエルド強度との関係をプロットし
たグラフである。
【図2】実施例2の各有機重合体組成物から得られる試
験片の曲げ弾性率とウエルド強度との関係をプロットし
たグラフである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 雲母およびウイスカーを含有する有機重
    合体組成物。
  2. 【請求項2】 有機重合体組成物の全重量に基づいて雲
    母とウイスカーの合計含有量が70重量%以下であり、
    且つ雲母とウイスカーの合計重量に対する雲母の割合が
    10〜90重量%である請求項1の有機重合体組成物。
  3. 【請求項3】 平均粒径が60μm以下で且つアスペク
    ト比が10以上の雲母を用いる請求項1または2の有機
    重合体組成物。
  4. 【請求項4】 シランカップリング剤を更に併用する請
    求項1〜3のいずれか1項の有機重合体組成物。
  5. 【請求項5】 有機重合体が結晶性熱可塑性樹脂である
    請求項1〜4のいずれか1項の有機重合体組成物。
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