JPH06306275A - 自動車外板用ポリアミド系低線膨張樹脂組成物 - Google Patents

自動車外板用ポリアミド系低線膨張樹脂組成物

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JPH06306275A
JPH06306275A JP9595393A JP9595393A JPH06306275A JP H06306275 A JPH06306275 A JP H06306275A JP 9595393 A JP9595393 A JP 9595393A JP 9595393 A JP9595393 A JP 9595393A JP H06306275 A JPH06306275 A JP H06306275A
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JP
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resin composition
resin
weight
linear expansion
polyamide
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JP9595393A
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English (en)
Inventor
Noriaki Honda
典昭 本田
Goro Shimaoka
悟郎 島岡
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 表面平滑性、高剛性、低線膨張係数、寸法安
定性に優れた自動車外板に好適な樹脂組成物を提供す
る。 【構成】 ポリアミド樹脂とポリフェニレンエ−テル樹
脂が重量比35/65〜90/10である、ポリアミド
樹脂が連続相となる相溶化された組成物100重量部に
対して、熱可塑性弾性重合体0〜40重量部および平均
径2μm以下の無機充填材5〜100重量部を配合して
なる樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、寸法安定性に優れオン
ライン塗装が可能となる自動車外板用樹脂組成物に関す
るものである。さらに詳しくは、ポリアミド樹脂/ポリ
フェニレンエ−テル樹脂組成物をベ−スとする熱可塑性
樹脂組成物を特定形状を持つ無機充填材を分散させるこ
とにより、塗装後の鮮映性に優れ、しかも、剛性,耐熱
変形性,耐薬品性,寸法安定性のバランスに優れた樹脂
組成物を用いる自動車外板用樹脂組成物に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】最近、自動車業界では燃費向上の要求か
ら車体の軽量化を目的に従来鋼板で製造されていた自動
車外板部品(特に垂直部位)を中心に材質を樹脂で代替
する動きが高まってきている。この部位は、ガソリンや
オイル、更には洗浄剤などに対する耐溶剤(油)性が重
要で、又、一方では経済性等の観点からオンライン塗装
できる樹脂であることが要求されている。
【0003】ポリアミド樹脂(以下、適宜PAと略称す
る)は、機械的特性,耐溶剤性,低荷重下での耐熱性に
優れた代表的なエンジニアリングプラスチックとして用
いられているが、高荷重下での耐熱性が悪く、吸湿性が
強いための寸法安定性に劣る等の欠点を有している。こ
れに対してポリフェニレンエ−テル樹脂(以下、適宜P
PEと略称する)は、機械的性質,電気的性質,高荷重
下の耐熱性,寸法安定性等の諸特性に優れているが、溶
融加工温度が高く、かつ流動性が低いために成形加工性
に劣る欠点がある。又、酸,アルカリ等の無機系薬品に
対しては強い抵抗力を有するが、ある種の有機溶剤に対
しては溶解,膨潤等が起こり、耐溶剤性,耐油性の改善
が強く求められている。
【0004】PPEとPAの特徴を生かすために、PP
Eに酸無水物構造を有する1,2-置換オレフィン化合物
を無触媒下、熱的に反応させた変性ポリフェニレンエ−
テル樹脂(以下、変性PPEと略称する)にPAを配合
すると、広い組成範囲において靱性のある樹脂組成物が
得られることが知られている(特開昭62−13292
4号公報)。又、PPEを特定のエラストマ−の共存
下、酸無水物構造を有する1,2-置換オレフィン化合物
と溶融状態で反応させた変性PPEとPAを混合するこ
とにより、耐衝撃性が著しく改良されることも提案され
ている(特公平01−275656号公報)。こうして
得られた組成物は、耐熱性・耐油性に優れ、射出成形に
よって得られる成形品は、塗装外観に優れる。
【0005】これまで、こうした組成物技術を使用しポ
リフェニレンエ−テル樹脂とポリアミド樹脂の組成物
は、国内においては1986年に限定生産車「Be−
1」(日産自動車)のフロントフェンダ−及びエプロン
用材料として採用されて以来、国内・外のメ−カ−が一
部の限定生産車種に実用化いることが、”自動車外板用
プラスチックスの需要予測と評価”社団法人日本技術士
会予測・評価プロジェクト調査研究作業部会発行、14
9ペ−ジ(平成4年5月)に記載されている。
【0006】しかし、自動車外板用材料として一般に使
用されるためには、剛性が高く、しかも、線膨張係数を
鋼板等の金属材料に近づけることが強く要求されてお
り、5×10-5cm/cm/℃以下とすることが目標と
されている。これは、自動車外板という大型成形体にお
いては、線膨張係数が大きくなると、「スキ」と通称さ
れる車体骨格部への取付問題や外板部品同志の接する部
分の間隔を大きく設定しなければならないなどの商品設
計に関する問題が発生するためである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記の組成物は、しか
しながら、ポリアミド樹脂成分に由来する吸湿性を有
し、自動車外板などの大型の成形品を製造する場合に
は、この吸湿による寸法変化は問題となる。また、通常
のポリフェレンエ−テル樹脂とポリアミド樹脂組成物と
の組成物は、優れた表面外観を与えるが、その線膨張係
数は、8〜9×10ー5cm/cm/℃とかなり大きい。
【0008】線膨張係数を5×10ー5cm/cm/℃以
下に低減させるには、無機充填材特にガラス繊維などの
繊維状充填材等を配合し、線膨張を低下させる方向に繊
維状充填材を配向させることが有効であることが知られ
ている。しかし、従来のガラス繊維(通常、繊維径6〜
13μ、繊維長50μm〜3mm、以下、適宜GFと略
称する)を配合すると、線膨張係数は低下するものの、
表面外観が著しく低下する。表面外観の低下は、表面に
ガラス繊維による凹凸が生じるためで、結果として塗装
した場合に鮮映性が低下することになり、外板材料とし
て致命的な欠陥を生じることになる。塗装後の鮮映性は
塗装を何度も重ね塗りにすることで塗膜の厚さによって
も向上するが、自動車用外板用鋼板で使用されてきた塗
装ラインで他の部材と同時に塗装できることが経済性、
色合わせ等の面から要求されており、この重ね塗りの不
要な材料が求められている。この塗装に関する要求を達
成するためにはベ−スとなる成形体の表面平滑性度が高
いことが重要となる。
【0009】また、通常のガラス繊維を配合すると樹脂
の流動方向とその垂直方向の寸法的な異方性が大きくな
るため、成形品の反り現象が著しく大型製品の設計の際
に問題である。一方、自動車外板を用途とした樹脂組成
物は、例えば、特開平2−73855号公報、特開平2
−158663号公報などに紹介されている。しかし、
何れも自動車外板材料として要求されている低線膨張樹
脂組成物には至っていない。
【0010】自動車外板の軽量化を主目的とした樹脂化
に際して重要な特性である表面平滑性、剛性、寸法安定
性に優れ、しかも低線膨張係数となるポリアミド樹脂と
ポリフェニレンエ−テル樹脂との組成物は従来技術では
得られなかった。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点に鑑み、充填材の形状について鋭意検討した結果、特
定形状の充填材を均一に分散させることにより、現在、
自動車外板用樹脂組成物として求められていると高剛
性、高表面平滑性、低線膨張係数の三特性を高いレベル
でバランスさせることができ、しかも、その組成物は、
大型製品の設計の際に重要な寸法安定性にも優れている
ことを見いだし、本発明を完成した。
【0012】すなわち、本発明は、ポリアミド樹脂
(a)とポリフェニレンエ−テル樹脂(b)が重量比3
5/65〜90/10である、ポリアミド樹脂が連続相
である相溶化された樹脂組成物100重量部、熱可塑性
弾性重合体(c)0〜40重量部および平均径2μm以
下の無機充填材(d)5〜100重量部からなる樹脂組
成物である。
【0013】本発明で用いられるポリアミド樹脂(a)
は、主鎖に−CONH−結合を有する重合体で、一般に
ナイロンと総称される一群の中から選ばれた1種又は、
2種以上のポリアミド樹脂である。例えば、4−ナイロ
ン、6−ナイロン、6,6-ナイロン、4,6-ナイロン、
6,10-ナイロン、6,12-ナイロン、11−ナイロ
ン、6,10-ナイロン、MXD・6-ナイロンなどが挙げ
られる。しかし、これらに限定されるものではなく、た
とえば、非晶質(性)ナイロンなども使用することがで
きる。中でも、様々な供給源から商業的に入手可能でコ
スト的に有利な6−ナイロン、6,6-ナイロンが好適に
用いられる。
【0014】また、本発明で用いられるポリアミド樹脂
(a)は、粘度あるいはカルボキシ末端基、アミノ末端
基濃度などの限定なしに使用し得る。
【0015】本発明で用いられるポリフェニレンエ−テ
ル樹脂(b)は、一般式
【0016】
【化1】
【0017】(式中、 R1は炭素数1〜3の低級アルキ
ル基、R2、R3は水素原子又は炭素数1〜3の低級アル
キル基である)で表される構造単位を主鎖に持つ重合体
であって、ホモポリマ−であってもコポリマ−であって
もよい。具体的には、例えば、ポリ(2,6-ジメチル−
1,4-フェニレン)エ−テル、ポリ(2,6-ジエチル−
1,4-フェニレン)エ−テル、ポリ(2,6-ジプロピル
−1,4-フェニレン)エ−テル、ポリ(2-メチル−6-
プロピル−1,4-フェニレン)エ−テル等が挙げられる
が、これらに限定されるものではなく、フェノ−ル系化
合物の酸化カップリングによって得られる単独又は、共
重合体およびグラフト共重合体のいずれも使用すること
ができる。中でも、特にポリ(2,6-ジメチル−1,4-
フェニレン)エ−テル単独又は、2,6-ジメチルフェノ
−ル及び2,3,6−トリメチルフェノ−ルの共重合体が
好ましい。
【0018】更に、本発明では、必要に応じ耐衝撃性等
を改良する目的で熱可塑性重合体(c)を配合すること
が出来る。このような熱可塑性弾性重合体は、常温でゴ
ム弾性を示す樹脂であり、ポリフェニレンエ−テル樹
脂、ポリアミド樹脂などの耐衝撃性改良剤などとして公
知のものが使用可能である。例えば、水素添加A−B
−A型又は、水素添加A−B型ブロック共重合弾性体
(ここでは、Aはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロッ
クを、Bは共役ジエン系炭化水素化合物の重合体ブロッ
クを意味する)オレフィン系重合体、ポリエステル
系エラストマ−、ポリウレタン系エラストマ−、ポ
リアミド系エラストマ−、スチレン/ジエンブロック
共重合体、MBS、MAS、及びアクリル酸エス
テル系コア・シェルグラフト共重合体からなる群から選
ばれた1種,又は2種以上の熱可塑性重合体の使用が可
能である。しかし、これらに限定されるものではなく、
例えば、カルボン酸基、エポキシ基又は、その誘導体な
どの官能基を導入した熱可塑性弾性重合体も使用でき
る。中でも、水素添加A−B−A型又は、水素添加A−
B型ブロック共重合体の使用が好ましく、例えば、シェ
ル・ケミカル社の「KRATON−G」という商品名で
市販されている。
【0019】無機充填材(d)は、平均径が2μm以下
の無機充填材であり、平均繊維径(短軸)が2μm以下
の繊維状充填材と平均粒子径が2μm以下の板状(また
は鱗片状)等の異方性無機充填材が含まれる。繊維状充
填材は、結晶性の一般に「ウィスカ−」と呼ばれる鉱物
繊維群と、非晶性のガラス繊維がある。又、異方性無機
充填材としては、繊維状以外の異方性のある充填材で、
天然に産する鉱物群が代表的である。これらの中から選
ばれる一種又は二種以上の混合物として使用することが
出来る。中でも、特に平均径が1μm以下のものが更に
好ましい。
【0020】「ウィスカ−」と呼ばれる人造鉱物繊維群
は、具体的には、針状酸化チタン、チタン酸カリウム、
ホウ酸アルミニウムなどが例示され、通常、平均繊維径
が0.01 〜2μm、平均繊維長1〜100μmのもの
が使用される。その平均繊維径に対する平均繊維長の比
が3以上、さらに好ましくは10以上のものが望まし
い。これらの繊維状無機充填材としては、例えば、石原
産業(株)製針状酸化チタン「FTL」、大塚化学
(株)製チタン酸カリウムウィスカ−「 テイスモ」、チ
タン工業(株)製「タイブレックス」、四国化成工業
(株)製ホウ酸アルミニウムウィスカ−「アルボレック
ス」などとして入手できる。しかし、ここに例示された
繊維状無機充填材に制限されることはなく、繊維形状が
同様の範囲内で、その成分組成が樹脂組成物に著しい悪
影響を与えないものであればよい。
【0021】又、非晶性のガラス繊維としては、特に平
均繊維径が2μm以下の極細のガラス繊維である。この
ガラス繊維は、長繊維紡糸法では製造することが困難な
ものであり、通常、短繊維火炎法、すなわち、ガラス溶
融炉により溶融したガラスを多孔プレ−トから所望の均
一径のフィラメントとして引出し、高温・高速バ−ナ−
火炎中に誘導し、繊維化することにより綿状の極細ガラ
ス繊維を得る方法により製造され、その平均繊維径は、
2μm以下と極めて細かく、且、比表面積が大きく他に
類のない、ガラス繊維である。このガラス繊維用のガラ
スとしては、E−ガラスなどの無アルカリガラスが好ま
しい。これは、C−ガラスなどを使用した場合、ガラス
繊維による加水分解の促進により樹脂の劣化分解が促進
され、物性低下が生じるためである。本発明のガラス繊
維の具体例としては、日本無機(株)製のエクセルチッ
プ08200(平均径 0.8μm)が例示される。この
極細ガラス繊維は、組成物の製造に際して、抄造シ−ト
とした後、裁断して用いるのが好ましい。
【0022】抄造シ−トの製造は、ガラス繊維を通常の
長網法や円網法により抄造すればよく、また酸性抄造で
なく、中性抄造の方が好ましく、特に抄造シ−トの外観
に拘る必要がないので、抄造は容易である。抄造の際に
は、ガラス繊維が折れたりして繊維の長さが極端に細く
ならないように注意する必要がある。抄造シ−トの単位
面積当たりの重量は、押出機へ投入される前に解繊され
流動性が阻害されることなく所定量を均一に混合される
ようにする点から50〜500g/m2程度が好まし
く、抄造シ−トの厚さは0.5〜3.0mm程度が好まし
い。
【0023】製造された抄造シ−トを本発明では、一辺
1〜30mmの略角型などとして用いるのが好ましい。
大きさが1mm未満では、シ−トを構成するガラス繊維
が均一分散される前に個々のフィラメントに離散してし
まい、かえって、均一混合が不可能となる。逆に30m
mより大きいと、樹脂と混合した際大きすぎて均一に分
散されなかったり、押出機へ供給する際に分級したりす
る不都合が生じる。一辺1〜30mmの略角型の抄造ガ
ラス繊維シ−トは、通常、抄造シ−トを例えば、角切り
ペレタイザ−などを使用して裁断する方法で調製する。
この裁断の際、縦横の寸法比率は、流動性、作業性の点
から、通常、1:3〜1:1の範囲、好ましくは略1:
1とする。
【0024】また、異方性無機充填材とは、繊維状では
ないが、樹脂との配合によって剛性の向上する無機充填
材として板状、薄片状、鱗片状等の形状をもつ充填材で
ある。代表的なものとして、カオリンクレ−、マイカ、
タルク等の珪酸塩類があり、天然に産し、粉砕分級して
供給される。分級の方法としては、乾式と湿式があり、
必要とされる形状に応じて使用できる。これらの充填材
の中で特に厚み方向に対して面方向の比が高いものが好
ましい。本発明で用いる異方性無機充填材は平均粒子径
(面方向の径)が2μm以下であることが好ましい。
又、平均厚みに対する平均粒子径の比(アスペクト比)
が3以上のものが好ましい。
【0025】無機充填材(d)は、樹脂との密着性を改
良するために表面処理を施すことが好ましい。このよう
な表面処理剤としては、シラン系、チタネ−ト系、また
は、ジルコアルミネ−ト系カップリング剤があげられ
る。特にシラン系カップリング剤が好ましく、具体的に
は、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β
−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキ
シシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリエト
キシシラン、ビニル−トリス(2−メトキシエトキシ)
シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-
(アミノエチル)-γ-アミノプロピルジメトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−
クロロプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
中でも、特に、アミノシラン系カップリング剤が好まし
い。表面処理方法としては、例えば、上記の如きシラン
カップリング剤の0 .01〜1重量%の水溶液或は水分
分散液中に浸漬した後、温度140〜160℃で1〜2
時間の熱処理をする方法が例示される。
【0026】本発明における樹脂組成物において、ポリ
アミド樹脂(a)とポリフェニレンエ−テル樹脂(b)
の配合比は、ポリアミド樹脂(a)が連続相を形成する
範囲、重量比で35/65〜90/10、好ましくは4
0/60〜80/20の範囲、より好ましくは45/5
5〜70/30の範囲で用いられる。又、この熱可塑性
樹脂組成物100重量部に対して、熱可塑性弾性重合体
(c)50重量部以下、好ましくは30重量部以下、平
均径が2μm以下の無機フィラ−(d)5〜100重量
部、好ましくは10〜50重量部を配合する。
【0027】熱可塑性樹脂組成物中のポリアミド樹脂成
分が35重量%未満では、ポリアミド樹脂成分が連続相
を形成しにくくなり、耐油性が十分得れれなくなり好ま
しくない。又、90重量%をこえると、吸湿度が高くな
り寸法安定性が低下する結果となり好ましくない。熱可
塑性樹脂組成物100重量部に配合する平均径2μm以
下の無機充填材5重量部未満では、強度、剛性及び線膨
張係数の低減効果が不十分であり、逆に100重量部を
越えると、流動性、耐衝撃性が低下し、表面外観も悪化
してくる。又、熱可塑性弾性重合体(c)を配合すると
耐衝撃性は改良されるが、40部を越えると強度、剛性
および耐熱性が低下してくるので好ましくない。
【0028】ポリアミド樹脂(a)とポリフェニエレン
エ−テル樹脂(b)の樹脂組成物において、(a)成分
を連続相として(b)成分をミクロ分散させ、その分散
相構造を安定化する相構造安定化剤として、例えば、分
子内に極性基を有する構造をもつ化合物を用いるのが好
ましい。具体的には、ポリアミド樹脂の構造中に含まれ
るアミド結合、分子鎖末端に存在するカルボキシル基、
アミノ基と親和性や化合反応性を示す極性基を同一分子
内に有する構造をもつ化合物であって、かかる極性基と
しては、カルボン酸基又はその誘導体基例えばカルボン
酸塩、酸エステル、酸アミド、酸無水物、イミド、酸ア
ジド、酸ハロゲン化物や、オキサゾリン、ニトリル、エ
ポキシ基、アミノ基、水酸基又は、イソシアン酸エステ
ル基等があげられる。例えば、マレイン酸、無水マレイ
ン酸、フマ−ル酸、マレイミド、マレイン酸ヒドラジ
ド、無水マレイン酸とジアミンの反応物、無水メチルナ
ジック酸、無水ジクロロマレイン酸、マレイン酸アミ
ド、イタコン酸、無水イタコン酸や天然油脂類及びその
エポキシ化物、不飽和カルボン酸及びその誘導体、不飽
和アルコ−ル、不飽和アミンな等があげられる。なかで
も、マレイン酸又はその誘導体が望ましく、特に無水マ
レイン酸が好適に用いられる。しかし、これらに限定さ
れるものではなく、分散相構造を安定化できるものであ
ればよい。
【0029】これらの相構造安定化剤は、(a)成分と
(b)成分の合計重量に対して、0.05〜10重量
%、好ましくは、 0.1〜5重量%の範囲で添加するの
が望ましい。この添加量が 0.05重量%未満では、ポ
リフェニレンエ−テル樹脂ポリアミド樹脂との相溶性の
改良効果が小さく、安定なミクロ分散相構造が安定化出
来ないため靱性のある組成物が得難い。10重量部より
多いと、ポリフェニレンエ−テル樹脂粒子の分散径が大
きくなる等の不都合があり、更に、耐熱性の低下や外観
不良等、好ましからざる現象が生じる。
【0030】本発明の低線膨張樹脂組成物には、所望に
応じて、従来、ポリフェニレンエ−テル樹脂とポリアミ
ド樹脂との組成物に公知の種々の添加剤類が配合可能で
あり、これらとしては、安定剤、紫外線吸収剤、帯電防
止剤、離型剤、滑剤、離型剤、染料、顔料、その他の難
燃剤等があげられる。また、平均径2μm以下の粒状等
の等方性無機充填材も組成物の性能を損なわない範囲で
配合できる。更に、特に表面平滑性上の問題点を生じな
い範囲において一般の無機、及び、有機充填材も配合で
きる。加えて、必要に応じ、熱可塑性樹脂、例えば、ポ
リスチレン、ABS、ポリエステル、ポリカ−ボネ−ト
や、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン
などや、熱硬化性樹脂も適宜好適に用いることができ
る。
【0031】本発明を製造する方法に特に制限はなく、
通常の公知の方法を用いることができる。溶液状態で混
合する方法もあるが、工業的見地からみて溶融状態で混
合する方法が一般的である。溶融混練には、一般に使用
されている一軸又は、二軸の押出機、各種のニ−ダ−、
バンバリ−ミキサ−、ブラベンダ−等の混練装置を用い
ることが出来る。特に、高混練が可能で経済的に有利な
二軸押出機が好ましい。又、溶融混練する温度は使用す
る(a)成分及び(b)成分の種類、分子量、及び組成
比等によって異なるが、通常、240〜340℃、好ま
しくは260〜320℃の範囲の温度が望ましい。
【0032】本発明の熱可塑性樹脂組物の成形方法は特
に限定しない。例えば従来公知の成形方法、例えば、射
出成形法、押出成形法などによって容易に各種形状に加
工できる。この際、無機充填材を添加して成形品の線膨
張係数を小さくし、かつ塗装後の鮮映性を改良するとい
う本発明の目的からすると、充填材の配向を利用して成
形することによって、線膨張係数を効率良く低減し、こ
れらの充填材の添加量を出来るだけ少なくして鮮映性を
上げることが好ましい。繊維の配向を利用して成形する
方法として、例えばフィルムゲ−トを利用して成形する
方法があげられる。又、ガスアシスト成形、フィルムイ
ンサ−ト成形、射出プレス成形等の複合成形方法も目的
に応じて好適に用いることが出来る。
【0033】本発明の樹脂組成物を用いる自動車外板
は、自動車の外装部分を占め、人の目に触れる上部、前
後、及び両サイド部分のパネルを中心とした部材で、た
とえは、サイドドア(又は、ドアパネル)、サイドシル
ガ−ニッシュ、フロントフェンダ、エプロン、イクステ
ンション、フロントマスク、リヤフェンダ(又は、リヤ
クオ−タ−パネル、リヤアッパ−クオ−タ−パネル)、
リヤピラ−フィニッシャ−などの垂直部位外板、ル−
フ、フ−ド(又は、ボンネット、エンジンフ−ド)、ラ
ッゲ−ジ(又は、トランクリッド)、スポイラ−などの
水平部位外板などが挙げられる。特に、垂直部位外板、
及びスポイラ−用途が好ましい。しかし、これらの呼称
の部材に限定されるものではない。
【0034】参考例1 25℃、クロロホルム中で測定した固有粘度が、 0.4
5dL/gであるポリ(2,6-ジメチル−1,4-フェニ
レン)エ−テル粉末5kgに対して無水マレイン酸25
gをス−パ−ミキサ−にて3分間混合した後、二軸押出
機(池貝鉄工(株)製 PCM−30)を用いて290
℃にて溶融混練し、押出しを行なって変性PPEのペレ
ットを得た。
【0035】得られた変性PPEとPA−6(東レ
(株)製、CM1017)とを、35/45(ポリアミ
ドの割合56重量%)の割合でタンブラ−を用いて混合
し、二軸押出機を用いて280℃で溶融混練し、得られ
たストランドを水冷してペレット化した(以下、サンプ
ルAと略称する)。得られたペレットを110℃の熱風
乾燥機で6時間乾燥し、射出成形機にてシリンダ−温度
280℃、金型温度80℃でプレ−ト(厚み1/8”)
を成形した(以下、サンプルBと略称する)。
【0036】こうして得られたサンプルA及びBの厚み
方向の中央部分から0.1μm以下の超薄片を切削し、
TEM法を用いて相構造を調べた。その結果、サンプル
A及びBの何れからも、ポリアミド樹脂が連続相を形成
し、その中にPPE樹脂が分散相を形成していることが
観察された。また、射出成形の前後で相構造の変化もな
く安定した相構造が形成されていることが確認された。
【0037】
【実施例】以下に実施例等を挙げて説明する。しかし、
本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例
等における部数は特にことわらない限り重量基準であ
る。 実施例1 参考例1のようにして製造した変性PPEとPA−6
(東レ(株)製、CM1017)、更にアミノシラン処
理した短軸径0.05〜0.15μm、平均短軸径0.1
2μm、長軸の長さ4〜12μmの針状酸化チタン(石
原産業(株)製FTL−200S 以下IF−Aと略称
する)をタンブラ−で混合した後、二軸押出機を用いて
280℃で再度溶融混練し得られたストランドを水冷し
てペレット化した。
【0038】得られたペレットを120℃の熱風乾燥機
で6時間乾燥し、射出成形機にてシリンダ−温度280
℃、金型温度80℃の条件で試験片を作成し、物性試験
を行なった。結果を第1表に示した。尚、第1表中の物
性値は下記によった。 (1)曲げ弾性率 ASTM D790 に準じた。
【0039】試験片厚み 1/8” 単位 GPa (2)表面平滑性 スガ試験機(株)製写像性測定機
ICM−2Dを用いて測定した。自動車外板は、この特
性が良好なもの以外は、他の特性が優れていても使用す
ることができない。測定結果に基づき表面平滑性に優れ
像鮮映性の良好なものを○、それ以外を×として示し
た。
【0040】(3)線膨張係数 ASTM D696
に準じた。射出成形によって得たASTM D638 の
一号ダンベル片(厚み1/8”)の中央部分から長手方
向に長さ10mmのテストピ−スを切削し、5℃/mi
nの速度で昇温し、長さの変化を測定し算出した。
【0041】測定範囲23〜80℃ 単位 ×10-5 cm/cm/℃ (4)寸法変化率 円板(1/8”t×4”φ)用
い、23℃、50%RHの条件下で60日間放置した後
面方向の寸法変化を測定し、その寸法変化率を算出し
た。
【0042】単位 % (5)耐油性 ASTM D638 の一号ダンベ
ル片(厚み1/8”)を歪率0.5% で曲げた状態の最
大応力発生部分にガソリンを塗布した濾紙を張り付けた
状態で24時間放置した。その後、割れ及びクラックの
発生等を肉眼で確認し、変化のないものを○、それ以外
を×として評価した。
【0043】実施例2 PA−6、IF−Aの他に熱可塑性弾性重合体として、
水素添加A−B−A形ブロック共重合弾性体(シェル化
学(株)製クレイトンG1651、以下SEBSと略称
する)を加えて実施例1を繰り返した。結果を第1表及
び第2表に示した。
【0044】尚、第2表中の物性値は、第1表中の物性
値の中で(4)寸法変化率、(5)耐油性に代えて、以
下の物性値を加えた。 (6)寸法異方性 サイドゲ−トタイプの円板(1/
8”t×4”φ)金型を用いて射出成形した円板の流れ
方向とその垂直方向のの成形収縮率を測定し、下記のの
計算式で算出される値を寸法異方性(%)として求め
た。この値が大きくなるにつれ、成形品の反りが大きく
なり易く、製品設計が難しくなる。特に50%を越える
ものは問題も大きくなるため、50%以上のものを×、
それ未満のものを○として評価した。
【0045】
【0046】比較例1 針状酸化チタン(IF−A)を加えずに実施例2を繰り
返した。その際、PA−6成分の割合が実施例2と同様
になるような組成とした。結果を第1表に示した。
【0047】実施例3 針状酸化チタン(IF−A)に代えて、アミノシラン処
理した繊維径0.4〜1.0μm、繊維長10〜100μ
mのチタン酸カリウムウィスカ−(チタン工業(株)製
HT−300、以下IF−Bと略称する)を配合して実
施例2を繰り返した。結果を第2表に示した。
【0048】実施例4 針状酸化チタン(IF−A)に代えて、アミノシラン処
理した平均繊維径 0.8μm、繊維長5〜50mmのE
ガラス繊維(日本無機(株)製、エクセルチップ082
00AS)を抄造した重さ240g/m2、厚さ2mm
のシ−トを各切りペレタイザ−で裁断して形成した4×
4mm角チップ(以下、IF−Cと略称する)を配合し
て実施例2を繰り返した。結果を第2表に示した。
【0049】実施例5 針状酸化チタン(IF−A)に代えて、平均粒子径10
μmの白マイカ(林化成(株)製#325 以下IF−
Dと略称する)を更に湿式で粉砕分級した平均粒子径
1.5μmのマイカ(以下、IF−Eと略称する)を配
合して実施例2を繰り返した。結果を第2表に示した。
【0050】比較例2〜4 針状酸化チタン(IF−A)に代えて、アミノシラン処
理した平均繊維径4μmのフォラストナイト繊維(林化
成(株)製 CHC−74N、以下IF−Fと略称す
る)、又は、繊維径10μm、繊維長3mmのEガラス
繊維(旭ファイバ−グラス(株)製JAFT−2A、以
下IF−Gと略称する)、又は、IF−Dを配合して実
施例2を繰り返した。結果を第2表に示した。
【0051】
【発明の効果】本発明の低線膨張樹脂組成物から得られ
る成形品は、従来技術で得られる成形品に比べ、剛性に
優れ、線膨張係数が小さく、吸湿による寸法変化も大幅
に改良され、成形品の反り等の問題も少なく、しかも、
表面平滑性に優れている。従って、大型製品の設計の際
に問題となる寸法安定性、鋼板に対する軽量化効果を上
げるために重要視される剛性、及び、塗装後の鮮映性等
を高いレベルでバランスさせた自動車外板を提供するこ
とが出来る。
【0052】
【表1】 第1表 実施例と比較例 実施例1 実施例2 比較例1 構 変性PPE 35 30 50 成 PA−6 45 45 45 成 SEBS 0 5 5 分 IF−A 20 20 0 曲げ弾性率 4.5 4.2 2.2 結 表面平滑性 ○ ○ ○ 果 線膨張係数 4.0 4.4 8.3 寸法変化率 0.12 0.11 0.25 耐 油 性 ○ ○ ○ 註)構成成分は重量部を表す。
【0053】
【表2】 第2表 実施例と 実施 実施 実施 実施 比較 比較 比較 比較例 例2 例3 例4 例5 例2 例3 例4 変性PPE 30 30 30 30 30 30 30 構 PA−6 45 45 45 45 45 45 45 SEBS 5 5 5 5 5 5 5 成 IF−A 20 IF−B 20 成 −C 20 −D 20 分 −E 20 −F 20 −G 20 表面平滑性 ○ ○ ○ ○ × × × 結 曲げ弾性率 4.2 4.1 4.4 4.0 3.5 4.8 4.6 果 線膨張係数 4.4 4.5 4.2 4.9 6.5 4.2 4.8 寸法異方性 ○ ○ ○ ○ ○ × ○

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアミド樹脂(a)とポリフェニレン
    エ−テル樹脂(b)が重量比35/65〜90/10で
    ある、ポリアミド樹脂が連続相である相溶化された樹脂
    組成物100重量部、熱可塑性弾性重合体(c)0〜4
    0重量部および平均径2μm以下の無機充填材(d)5
    〜100重量部からなる樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 無機充填材(d)が、平均繊維径(短
    軸)が2μm以下の繊維状充填材および平均粒子径が2
    μm以下の異方性無機充填材からなる群から選ばれた少
    なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の樹
    脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の樹脂組成物からなる自動
    車外板部材。
JP9595393A 1993-04-22 1993-04-22 自動車外板用ポリアミド系低線膨張樹脂組成物 Pending JPH06306275A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003118379A (ja) * 2001-10-11 2003-04-23 Sumitomo Chem Co Ltd 自動車用テールゲート
US6894100B2 (en) 2000-04-26 2005-05-17 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha Electrically conductive resin composition and production process thereof
US6919394B2 (en) 2000-04-26 2005-07-19 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha Electrically conductive resin composition and production process thereof
JP2007326925A (ja) * 2006-06-07 2007-12-20 Toray Ind Inc 樹脂組成物およびそれからなる成形品

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JP2003118379A (ja) * 2001-10-11 2003-04-23 Sumitomo Chem Co Ltd 自動車用テールゲート
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