JP2007326925A - 樹脂組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱可塑性樹脂の特徴である製品設計自由度および生産性を保持しつつ、低そり性、ピン圧入強度に優れ、かつ、可視光領域(400〜700nm波長)での高反射特性を有する樹脂組成物を得る。
【解決手段】(A)ポリアミド樹脂、液晶性ポリマーおよびポリアリーレンスルフィド樹脂から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂100重量部に対し、(B)平均繊維長2μm以上の針状酸化チタンを10〜250重量部配合してなる樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、低そり性、ピン圧入強度に優れ、かつ、可視光領域(400〜700nm波長)での高反射特性を有する樹脂組成物に関するものである。
これまで樹脂化が困難とされていた分野への用途開拓も盛んに試みられ、樹脂に対する要求性能は、益々多様化すると共に厳しくなる傾向にある。
近年、電気・電子用途の軽量・高性能化が進む中、モバイルパソコン、携帯電話、PDA等に用いられるコネクタなどで小型・軽量化のため、更なる薄肉化と寸法精度が、求められるようになってきた。また、照明器具等においてもパソコン用ディスプレー、テレビ等の液晶画面のバックライト、照明用あるいは自動車用のライト、インスツルメントパネル、アクセサリー用照明器具などに消費電力が少なく、長寿命の半導体素子が使用が増加しており、この半導体素子パッケージに用いる反射板に、易加工性や軽量化の観点から、熱可塑性樹脂製反射板が使用されている。しかし、反射板には高い反射率を有することが要求されるため、反射板表面には、通常、メッキ加工が施されるが、工程が煩雑となるため、メッキ加工工程が不要で、かつ反射率が高い樹脂製反射板の開発が望まれ、これまで種々の改良方法が提案されている。
上記課題の改良方法として例えば、熱可塑性ポリエステルに針状酸化チタンを添加する方法(特許文献1参照)、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアミド樹脂およびゴム状物質の組成物にシロキサン処理した特定の針状酸化チタンを添加する方法(特許文献2参照)、熱可塑性樹脂にチタン酸カリウム含有化合物を添加する方法(特許文献3参照)が提案されている。
しかしながら、特許文献1、特許文献2および特許文献3にて提案されている材料が、ともに成形品のそり性および成形品組み立て時に必要なピン圧入強度が十分とは言えず、さらに可視光領域での反射率を向上させるために用いるフィラーの充填量を増加させた場合、成形品ソリが増大し、かえって反射率の低下を招くという問題があり、実用上満足できるものではなかった。
特開平1−103649号公報(第1〜2項、実施例) 特開平5−179135号公報(第1〜2項、実施例) 特開2003−195020号公報(第1〜2項、実施例)
本発明は、上述した従来の問題点を解消し、熱可塑性樹脂の特徴である製品設計自由度および生産性を保持しつつ、低そり性、ピン圧入強度に優れ、かつ、可視光領域(400〜700nm波長)での高反射特性を有する樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明に至った。
すなわち本発明は、
(1)(A)ポリアミド樹脂、液晶性ポリマーおよびポリアリーレンスルフィド樹脂から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂100重量部に対し、(B)平均繊維長2μm以上の針状酸化チタンを10〜250重量部配合してなる樹脂組成物、
(2)前記(B)の針状酸化チタンの平均繊維長(l)を平均繊維径(d)で除した値(l/d)が12以上であることを特徴とする上記(1)記載の樹脂組成物、
(3)前記(A)のポリアミド樹脂の融点が280℃以上であることを特徴とする上記(1)または(2)記載の樹脂組成物、
(4)さらに(C)針状酸化チタンを除く無機フィラーを(A)ポリアミド樹脂、液晶性ポリマーおよびポリアリーレンスルフィド樹脂から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂100重量部に対して5〜150重量部配合してなる上記(1)〜(3)のいずれか記載の樹脂組成物、
(5)上記(1)〜(4)のいずれか記載の樹脂組成物を成形してなる成形品、
(6)成形品が電気・電子部品である(5)記載の成形品、および
(7)電気・電子部品が筐体、リフレクタまたはコネクタである(6)記載の成形品、
である。
本発明は、低そり性、ピン圧入強度に優れ、かつ、可視光領域(4000〜700nm波長)での高反射特性に優れていることから、本特性が必要とされる電気・電子部品、特に筐体、リフレクタ、コネクタなどの用途に特に実用的に用いることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。なお本発明において「重量」とは「質量」を意味する。
本発明における熱可塑性樹脂は、(A)ポリアミド樹脂、液晶性ポリマーおよびポリアリーレンスルフィド樹脂から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂が使用できる。具体例としては、例えば、液晶性ポリマー(液晶性ポリエステル樹脂、液晶性ポリエステルアミド樹脂など)、脂肪族ポリアミド、脂肪族−芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミドなどのポリアミド樹脂、ポリアリーレンスルフィド樹脂から選ばれる1種または2種以上の混合物が挙げられる。
ポリアミド樹脂の具体例としては、例えば環状ラクタムの開環重合物、アミノカルボン酸の重縮合物、ジカルボン酸とジアミンとの重縮合物などが挙げられ、具体的にはナイロン6、ナイロン4・6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン6・12、ナイロン11、ナイロン12などの脂肪族ポリアミド、ポリ(メタキシレンアジパミド)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリノナンメチレンテレフタルアミド、ポリ(テトラメチレンイソフタルアミド)、ポリ(メチルペンタメチレンテレフタルアミド)などの脂肪族−芳香族ポリアミド、およびこれらの共重合体が挙げられ、共重合体として例えばナイロン6/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6・6/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6/ナイロン6・6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン12/ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド)、ポリ(メチルペンタメチレンテレフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)などを挙げることができる。なお、共重合の形態としてはランダム、ブロックいずれでもよいが、ランダムが好ましい。上述したポリアミド樹脂のうち機械的性質、成形性などの点からナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン12、ナイロン4・6、ポリノナンメチレンテレフタルアミド、ナイロン6/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6・6/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6/ナイロン6・6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン12/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6/ナイロン6・6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリ(メチルペンタメチレンテレフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)などのポリアミド樹脂を好ましく用いることができ、なかでも耐熱性の観点から、ナイロン4・6、あるいは、ポリノナンメチレンテレフタルアミド、ナイロン6/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6・6/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6/ナイロン6・6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン12/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6/ナイロン6・6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリ(メチルペンタメチレンテレフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)等の半芳香族ナイロンが好ましい。
特に上述したポリアミドのうち、リフローなどの処理工程ならびに実使用環境下で耐えうる耐熱性を得るため、融点(Tm)が280℃以上が好ましく、290℃以上がより好ましく、300℃以上が特に好ましい。
ここで融点(Tm)とは、示差熱量測定において、ポリマーを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)とした。
本発明に使用するポリアミド樹脂は、本発明のピン圧入特性と流動性とのバランスを得るため、25℃における硫酸溶液相対粘度(1%濃度)が、1.5〜3.5であることが好ましく、1.8〜3.0がより好ましく、2.0〜2.7がさらに好ましい。
また、液晶性ポリマーの代表例としては、異方性溶融相を形成し得る樹脂であり、エステル結合を有するものが好ましい。例えば芳香族オキシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族および/または脂肪族ジカルボニル単位、アルキレンジオキシ単位などから選ばれた構造単位からなり、かつ異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステル樹脂、あるいは、上記構造単位と芳香族イミノカルボニル単位、芳香族ジイミノ単位、芳香族イミノオキシ単位などから選ばれた構造単位からなり、かつ異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステルアミド樹脂などが挙げられ、具体的には、p−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物および/または芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸および/またはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、テレフタル酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、テレフタル酸およびイソフタル酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、ハイドロキノンから生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸およびイソフタル酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステルなど、また液晶性ポリエステルアミド樹脂としては、芳香族オキシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族および/または脂肪族ジカルボニル単位、アルキレンジオキシ単位などから選ばれた構造単位以外にさらにp−アミノフェノールから生成したp−イミノフェノキシ単位を含有した異方性溶融相を形成するポリエステルアミドである。
上述した液晶性ポリマーのうち、液晶性ポリエステル樹脂が好ましく、機械的性質、成形性などの点からp−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、ハイドロキノンから生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステルが好ましく用いられ、なかでもp−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン等の芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位、テレフタル酸およびイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位の液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位の液晶性ポリエステルが特に好ましく用いられる。
本発明に使用する液晶性ポリマーは、フィラーを高充填した場合の流動性低下を抑制するため、溶融粘度は0.5〜80Pa・sが好ましく、特に1〜50Pa・sがより好ましい。また、流動性がより優れた組成物を得ようとする場合には、溶融粘度を40Pa・s以下とすることが好ましい。
なお、この溶融粘度は融点(Tm)+10℃の条件で、ずり速度1,000(1/秒)の条件下で高化式フローテスターによって測定した値である。
ここで、融点(Tm)とは示差熱量測定において、重合を完了したポリマーを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1 )の観測後、Tm1 +20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2 )を指す。
ポリアリーレンスルフィド樹脂の代表例としては、ポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと略す場合もある)、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドケトン、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体およびそれらの混合物などが挙げられ、中でもポリフェニレンスルフィドが特に好ましく使用される。かかるポリフェニレンスルフィドは、下記構造式で示される繰り返し単位を好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む重合体であり、上記繰り返し単位が70モル%以上の場合には、耐熱性が優れる点で好ましい。
Figure 2007326925
また、かかるポリフェニレンスルフィド樹脂は、その繰り返し単位の30モル%以下を、下記の構造式を有する繰り返し単位などで構成することが可能であり、ランダム共重合体、ブロック共重合体であってもよく、それらの混合物であってもよい。
Figure 2007326925
かかるポリアリーレンスルフィド樹脂は、通常公知の方法、つまり特公昭45−3368号公報に記載される比較的分子量の小さな重合体を得る方法あるいは特公昭52−12240号公報や特開昭61−7332号公報に記載される比較的分子量の大きな重合体を得る方法などによって製造することができる。
本発明においては、上記のようにして得られたポリアリーレンスルフィド樹脂を、空気中加熱による架橋/高分子量化、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下での熱処理、有機溶媒、熱水、酸水溶液などによる洗浄、酸無水物、アミン、イソシアネート、官能基含有ジスルフィド化合物などの官能基含有化合物による活性化などの種々の処理を施した上で使用することも、もちろん可能である。
ポリアリーレンスルフィド樹脂を加熱により架橋/高分子量化する場合の具体的方法としては、空気、酸素などの酸化性ガス雰囲気下あるいは前記酸化性ガスと窒素、アルゴンなどの不活性ガスとの混合ガス雰囲気下で、加熱容器中で所定の温度において希望する溶融粘度が得られるまで加熱を行う方法を例示することができる。この場合の加熱処理温度としては、好ましくは150〜280℃、より好ましくは200〜270℃の範囲が選択して使用され、処理時間としては、好ましくは0.5〜100時間、より好ましくは2〜50時間の範囲が選択されるが、この両者をコントロールすることによって、目標とする粘度レベルを得ることができる。かかる加熱処理の装置は、通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よくしかもより均一に処理する場合は、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
ポリアリーレンスルフィド樹脂を窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で熱処理する場合の具体的方法としては、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧(好ましくは7,000Nm−2以下)下で、加熱処理温度150〜280℃、好ましくは200〜270℃、加熱時間0.5〜100時間、好ましくは2〜50時間の条件で加熱処理する方法を例示することができる。かかる加熱処理の装置は、通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よくしかもより均一に処理する場合は、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
ポリアリーレンスルフィド樹脂を有機溶媒で洗浄する場合に、洗浄に用いる有機溶媒としては、ポリアリーレンスルフィド樹脂を分解する作用などを有しないものであれば特に制限はなく使用することができる。例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホンなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、2塩化エチレン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコールなどのアルコール・フェノール系溶媒、およびベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが使用される。これらの有機溶媒のなかでも、特にN−メチルピロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミドおよびクロロホルムなどが好ましく使用される。また、これらの有機溶媒は、1種類または2種類以上の混合で使用される。
かかる有機溶媒による洗浄の具体的方法としては、有機溶媒中にポリアリーレンスルフィド樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。有機溶媒でポリアリーレンスルフィド樹脂を洗浄する際の洗浄温度については特に制限はなく、常温〜300℃程度の任意の温度が選択できる。洗浄温度が高くなるほど洗浄効率が高くなる傾向があるが、通常は常温〜150℃の洗浄温度で十分な効果が得られる。なお、有機溶媒洗浄を施されたポリアリーレンスルフィド樹脂は、残留している有機溶媒を除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。上記水洗浄の温度は50〜90℃であることが好ましく、60〜80℃であることが好ましい。
ポリアリーレンスルフィド樹脂を熱水で処理する場合の具体的方法としては、以下の方法を例示することができる。すなわち、熱水洗浄によるポリアリーレンスルフィド樹脂の好ましい化学的変性の効果を発現するために、使用する水は蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。熱水処理の操作は、通常、所定量の水に所定量のポリアリーレンスルフィド樹脂を投入し、常圧であるいは圧力容器内で加熱、撹拌することにより行われる。ポリアリーレンスルフィド樹脂と水との割合は、水の多い方がよく、好ましくは水1リットルに対し、ポリアリーレンスルフィド樹脂200g以下の浴比で使用される。
ポリアリーレンスルフィド樹脂を酸処理する場合の具体的方法としては、以下の方法を例示することができる。すなわち、酸または酸の水溶液にポリアリーレンスルフィド樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。用いられる酸としては、ポリアリーレンスルフィド樹脂を分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの脂肪族飽和モノカルボン酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸などのハロ置換脂肪族飽和カルボン酸、アクリル酸、クロトン酸などの脂肪族不飽和モノカルボン酸、安息香酸、サリチル酸などの芳香族カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸などのジカルボン酸、および硫酸、リン酸、塩酸、炭酸、珪酸などの無機酸性化合物などが用いられる。これらの酸のなかでも、特に酢酸、塩酸がより好ましく用いられる。酸処理を施されたポリアリーレンスルフィド樹脂は、残留している酸または塩などを除去するため、水で数回洗浄することが好ましい。上記水洗浄の温度は50〜90℃であることが好ましく、60〜80℃であることが好ましい。また、洗浄に用いる水は、酸処理によるポリアリーレンスルフィド樹脂の好ましい化学的変性の効果を損なわない意味で、蒸留水または脱イオン水であることが好ましい。
本発明で用いられるポリアリーレンスルフィド樹脂の溶融粘度は、流動性の向上し、かつ得られた樹脂組成物に組成ムラをなくすために300℃、剪断速度1000/秒の条件下で80Pa・s以下であることが好ましく、50Pa・s以下がより好ましく、30Pa・s以下であることが更に好ましい。溶融粘度の下限については特に制限はないが、5Pa・s以上であることが好ましい。また溶融粘度の異なる2種以上のポリアリーレンスルフィド樹脂を併用して用いてもよい。
なお、ポリアリーレンスルフィド樹脂の溶融粘度は、キャピログラフ(東洋精機(株)社製)装置を用い、ダイス長10mm、ダイス孔直径0.5〜1.0mmの条件により測定することができる。
本発明における(B)針状酸化チタンとは、従来の顔料用として多用されている粒状の酸化チタンとは異なり、針状のものであり、結晶構造がルチル型の方が、安定性の点から好ましい。
(B)針状酸化チタンの平均繊維長については、本発明の効果である高反射率と組成物製造時の針状酸化チタンの折損によるピン圧入強度に代表される強度低下抑制とのバランス化発現のため、2μm以上が必須であり、2.5μm以上が好ましく、5μmがさらに好ましい。上限については、生産性、補強効果の観点から、10μm以下である。
また、平均繊維長(l)を平均繊維径(d)で除した値(l/d)が、ピン圧入強度、低そり性などの特性を高効率に発現させるために、12以上が好ましく、12〜50の範囲がより好ましく、13〜40の範囲がさらに好ましい。
なお、平均繊維長(l)および平均繊維径(d)の測定方法は、得られた組成物から成形品を取得し、その成形品を一部切り出し、るつぼに入れて550℃×8時間電気炉で焼成する。その後、灰化した物を100mg採取し、走査型電子顕微鏡(日立製作所製S2100A)を用いて観察、10000倍で写真撮影し、ランダムに500本サンプリングし、各繊維(粒子)の最長部の長さの重量平均値を平均繊維長とした。また、最短部の重量平均値を平均繊維径として算出した。また、他フィラーとの併用、粒子状酸化チタンとの併用の場合、観察倍率を30000倍でXMAにより、フィラーの点分析および面分析により、フィラーを同定し、針状酸化チタンのみをピックアップして平均繊維長および平均繊維径を算出した。粒状酸化チタン併用の場合、形状および厚みにより、ある程度、差異判断可能であるが、加工時の破砕により判断不可能な粒子は、粒子状酸化チタンに含めて算出する。なお、本発明に使用する上記の(B)針状酸化チタンは、その表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミ系カップリング剤など)、その他の表面処理剤で処理して用いることもできる。
本発明において(A)ポリアミド樹脂、液晶性ポリマーおよびポリアリーレンスルフィド樹脂から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂に対する針状酸化チタンの配合比は、低そり性、ピン圧入強度の向上、かつ、可視光領域(400〜700nm波長)での高反射特性を得るために(A)ポリアミド樹脂、液晶性ポリマーおよびポリアリーレンスルフィド樹脂から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂100重量部に対し、(B)平均繊維長2μm以上の針状酸化チタンを10〜250重量部、好ましくは20〜200重量部、さらに好ましくは25〜150重量部である。
また、本発明において、ピン圧入強度およびその他機械特性をさらに向上させるために(C)針状酸化チタンを除く無機フィラーを添加することが可能であり、例えば、繊維状フィラーの具体例としてガラス繊維、PAN系やピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポリアミド繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ほう酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー等が挙げられ、ガラス繊維あるいは炭素繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものなら特に限定はなく、例えば長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバーなどから選択して用いることができる。また、上記フィラーはエチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆あるいは集束されていてもよい。
また、上記金属繊維の金属種の具体例としては、鉄、銅、ステンレス、アルミニウムおよび黄銅などを例示することができる。
非繊維状フィラーの具体例として、マイカ、タルク、カオリン、シリカ、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスマイクロバルーン、クレー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、ポリリン酸カルシウム、グラファイト、金属粉、金属フレーク、金属リボン、金属酸化物(アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン等)、カーボン粉末、黒鉛、カーボンフレーク、鱗片状カーボン、カーボンナノチューブなどが挙げられる。また、金属粉、金属フレーク、金属リボンの金属種の具体例としては銀、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、鉄、黄銅、クロム、錫などが例示できる。
ここで、上記金属粉、金属フレークおよび金属リボンの金属種の具体例としては、銀、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、ステンレス、鉄、黄銅、クロムおよび錫など、金属酸化物の具体例としては、SnO(アンチモンドープ)、In(アンチモンドープ)およびZnO(アルミニウムドープ)など、窒化物の具体例としては、AlN(窒化アルミニウム)、BN(窒化ホウ素)、Si(窒化珪素)などを例示することができる。
本発明において、反射板として用いる場合には、機械特性と反射率の関係から、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ガラスマイクロバルーン、金属酸化物(アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン)、タルクが好ましく用いられる。
なお、本発明に使用する上記の(C)針状酸化チタンを除く無機フィラーは、その表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミ系カップリング剤など)、その他の表面処理剤で処理して用いることもできる。
本発明における(C)成分の添加量は、本発明の低そり性、ピン圧入強度および反射特性を損なわない範囲で添加することが好ましく、具体的には(A)ポリアミド樹脂、液晶性ポリマーおよびポリアリーレンスルフィド樹脂から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂100重量部に対して5〜150重量部が好ましく、10〜100重量部がさらに好ましい。
また、本発明において(B)針状酸化チタンと(C)針状酸化チタンを除く無機フィラーを併用した場合の(A)成分に対する(B)/(C)の添加量の比率は、本発明の低そり性、ピン圧入強度、および可視光領域(400〜700nm波長)での高反射特性のバランスから、(B)/(C)=62.5/37.5〜99/1が好ましく、(B)/(C)=65/35〜95/5がより好ましい。
本発明の樹脂組成物には、さらに本発明の効果を損なわない範囲で他の成分、例えば酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの置換体等)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、離型剤及び滑剤、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニン、着色用カーボンブラック等)、染料(ニグロシン等)、結晶核剤(タルク、シリカ、カオリン、クレー等)、可塑剤(p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートのような非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、難燃剤、他の重合体を添加することができる。
本発明の樹脂組成物は、通常公知の方法で製造される。例えば、(A)成分、(B)成分中および、(C)成分などのその他の必要な添加剤を予備混合して、またはせずに押出機などに供給して十分溶融混練することにより調製される。また、(C)針状酸化チタンを除く無機フィラーを添加する場合、特に繊維状フィラーの繊維の折損を抑制するために好ましくは、(A)成分およびその他必要な添加剤を押出機の元から投入し、(B)および(C)成分をサイドフィーダーを用いて、押出機へ供給することにより調整される。
樹脂組成物を製造するに際し、例えば“ユニメルト”(R)タイプのスクリューを備えた単軸押出機、二軸、三軸押出機およびニーダタイプの混練機などを用いて180〜350℃で溶融混練して組成物とすることができる。
また、(B)針状酸化チタンおよび(C)針状酸化チタンを除く無機フィラーを多量に添加する場合、例えば添加量が(A)100重量部に対して250重量部を越える(B)成分および(C)成分を添加するフィラー高充填樹脂組成物を得る方法として、例えば、特開平8−1663号公報の如く、押出機のヘッド部分をはずして押し出し、粗粉砕、均一ブレンド化する方法、あるいは、原料を圧縮成形して錠剤化する方法が挙げられる。特に原料を圧縮成形して錠剤化する方法が、得られた組成物の品質安定性の点から好ましい。
本発明の樹脂組成物の成形方法は、通常の成形方法(射出成形、プレス成形、インジェクションプレス成形など)により、溶融成形することが可能であるが、なかでも量産性の点から射出成形、インジェクションプレス成形が好ましい。
本発明の樹脂組成物は、金属代替用途、セラミック代替用途、照明用途、高精度部品(低寸法変化)に有用であり、具体的には、各種ケース、ギヤーケース、LEDパッケージおよびLEDランプ関連部品、コネクター、リレーケース、スイッチ、バリコンケース、光ピックアップレンズホルダー、光ピックアップスライドベース、ランプリフレクター、各種端子板、変成器、プリント配線板、液晶パネル枠、パワーモジュールおよびそのハウジング、プラスチック磁石、半導体、液晶ディスプレー部品、投影機等のランプカバー、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、アクチュエーター、シャーシ等のHDD部品、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク(登録商標)・コンパクトディスク・デジタルビデオディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品などに代表される家庭、事務電気製品部品、オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品、印字ヘッドまわりおよび転写ロール等のプリンター・複写機関連部品、洗浄用治具、モーター部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディマー用ポテンショメーターベース、モーターコア封止材、インシュレーター用部材、パワーシートギアハウジング、エアコン用サーモスタットベース、エアコンパネルスィッチ基板、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ランプハウジング、点火装置ケース、空気圧センサー、ヒューズ用コネクター、車速センサーなどの自動車・車両関連部品、パソコンハウジング、携帯電話ハウジング、携帯電話基地局のアンテナケース、その他情報通信分野においてチップアンテナ、無線LAN用アンテナ、ETC(エレクトロリックトールコレクションシステム)用、衛星通信などのアンテナおよびその他の各種用途で有用に用いられ、特に小型精密化による製品設計自由度および成形時の成形品の歪みによるソリの抑制、かつ、ピン圧入強度等の強度面および表面平滑性が優れることによる高反射特性等から、特にこれら特性が要求される電気・電子部品用途、具体的には電気・電子部品のピックアップレンズホルダーに代表される小型の筐体、LEDパッケージ内に用いるリフレクタおよび照明用リフレクタ、あるいは携帯機器、記録媒体接続用等に使用される狭ピッチコネクタなどに有用である。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の骨子は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
参考例1 熱可塑性樹脂
ポリアミド樹脂;ヘキサメチレンジアミン−アジピン酸の等モル塩12重量%(360g)、ヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸を25重量%(750g)、ヘキサメチレンジアミン−テレフタル酸を62重量%(1860g)の混合水溶液(固形原料濃度60重量%)を加圧重合缶に仕込み、攪拌下に昇温し、水蒸気圧3.43MPaで3.5時間反応させた後反応混合物を重合缶下部吐出口から吐出、回収した。ここで得られたポリアミドプレポリマの硫酸溶液相対粘度(1%濃度)は1.45であった。このものを真空下220℃/10時間固相重合することにより、相対粘度2.4、312℃のポリアミドを得た。
なお、融点(Tm)は示差熱量測定において、ポリマーを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)とした。
LCP(液晶ポリマー):攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸870g(6.300モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル327g(1.890モル)、ハイドロキノン89g(0.810モル)、テレフタル酸292g(1.755モル)、イソフタル酸157g(0.945モル)および無水酢酸1367g(フェノール性水酸基合計の1.03当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、320℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を320℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に90分間反応を続け、トルクが15kgcmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この液晶性ポリエステルはp−オキシベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、4,4’−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して70モル%、4,4’−ジオキシビフェニル単位が4,4’−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して70モル%、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して65モル%からなり、Tm(液晶性ポリエステルの融点)は314℃であり、高化式フローテスターを用い、温度324℃、剪断速度1,000/sで測定した溶融粘度が15Pa・sであった。
なお、融点(Tm)は示差熱量測定において、ポリマーを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)とした。
PPS(ポリフェニレンスルフィド):調整撹拌機付きオートクレーブに硫化ナトリウム9水塩6.005kg(25モル)、酢酸ナトリウム0.11kg(1.35モル)およびN−メチル−2−ピロリドン(NMP)5kgを仕込み、窒素を通じながら徐々に205℃まで昇温し、水3.6リットルを留出した。次に反応容器を180℃に冷却後、1,4−ジクロロベンゼン3.756kg(25.55モル)ならびにNMP3.7kgを加えて、窒素下に密閉し、270℃まで昇温後、270℃で2.5時間反応した。冷却後、反応生成物を温水で5回洗浄し、次に100℃に加熱されNMP10kg中に投入して、約1時間攪拌し続けたのち、濾過し、さらに熱湯で数回洗浄した。これを90℃に加熱されたpH4の酢酸水溶液25リットル中に投入し、約1時間攪拌し続けたのち、濾過し、濾液のpHが7になるまで約90℃のイオン交換水で洗浄後、80℃で24時間減圧乾燥して、乾燥PPSを得た。キャピログラフ(東洋精機(株)社製)装置を用いて、孔直径1.0mm×長さ10mmのオリフィスを使用し、樹脂温310℃、剪断速度1000/秒の条件で測定すると、PPSの溶融粘度は30Pa・sであった。
参考例2 針状酸化チタン
B−1:FTL−300(平均繊維長5.15μm、平均繊維径0.27μm、l/d=19.1、石原産業(株)社製)
B−2:FLT−100(平均繊維長1.68μm、平均繊維径0.13μm、l/d=12.9、石原産業(株)社製)
参考例3 その他フィラー
C−1:ティスモN(チタン酸カリウム繊維、平均繊維長16μm、平均繊維長0.45μm、l/d=35.5、大塚化学(株)社製)
C−2:“タイペーク”CR−50(ルチル型酸化チタン、平均粒子径0.25μm、石原産業(株)社製)
C−3:LMS−400(タルク、平均粒径3.8、富士タルク社製)
実施例1〜3、 比較例1〜4
参考例1の熱可塑性樹脂、参考例2の針状酸化チタンおよび参考例3のその他フィラーをリボンブレンダーで表1に示す量でブレンドし、3ホールストランドダイヘッド付きPCM30(2軸押出機;池貝鉄工社製)にて表1に示す樹脂温度でスクリュー回転数150rpmで溶融混練を行い、ペレットを得た。ついで130℃の熱風乾燥機で5時間乾燥した後、後述する評価を行った。
実施例4
参考例1の熱可塑性樹脂、参考例2の針状酸化チタンをリボンブレンダーで表1に示す量でブレンドし、3ホールストランドダイヘッド付きPCM30(2軸押出機;池貝鉄工社製)にて表1に示す樹脂温度でスクリュー回転数220rpmで溶融混練を行い、ペレットを得た。ついで130℃の熱風乾燥機で5時間乾燥した後、後述する評価を行った。
実施例5、6
参考例1の熱可塑性樹脂、参考例2の針状酸化チタンををリボンブレンダーで表1に示す量でブレンドし、自動原料供給フィーダーを備えた月島機械社製ロータリー打錠機を用いて常温タブレット化により、6mm直径×3mm長の円柱状のタブレット(錠剤型樹脂組成物)(最大値6mm、最小値3mm)を得た。ついで130℃の熱風乾燥機で5時間乾燥した後、以下に示す評価を行った。
(1)繊維長および繊維径
射出成形機UH1000(80t)(日精樹脂工業社製)を用い、表1の樹脂温度、金型温度の温度条件で、70mm長×70mm幅×1mm厚(フィンゲート)の成形品を作成し、突き出しピン側を表側として反ゲート側左側隅を1cm×1cmで切り出し、るつぼに入れて550℃×8時間電気炉で焼成する。その後、灰化した物を100mg採取し、走査型電子顕微鏡(日立製作所製S2100A)を用いて観察、10000倍で写真撮影し、ランダムに500本サンプリングし、各繊維(粒子)の最長部の長さの重量平均値を平均繊維長した。また、最短部の重量平均値を平均繊維径として算出した。なお、(B)針状酸化チタンと(C)針状酸化チタンを除くその他フィラーを併用した場合には、30000倍まで倍率をあげてXMAによる点分析、面分析により、フィラー組成を同定して(B)針状酸化チタンとそれ以外を分離し、針状酸化チタンのみの平均繊維長および平均繊維径を算出した。
(2)ソリ特性
射出成形機UH1000(80t)(日精樹脂工業社製)を用い、表1の樹脂温度、金型温度の温度条件で、70mm長×70mm幅×0.5mm厚(中心部20mmフィンゲート)の成形品を作成し、四隅のうち、一個所抑えた際の最大そり量を測定した。
(3)ピン圧入特性射出成形機UH1000(80t)(日精樹脂工業社製)を用い、表1の樹脂温度、金型温度の温度条件で、)内径1.0mm、深さ10mmの円筒状の穴を持つ成形品を得た。
次に、外径1.1mm、長さ8mmのメッキ仕上げの鉄製ピンを前記の円筒状の穴に小型ハンマーを用いて長さ8mm全てを挿入し、挿入後の成形品の破損状況について20個の成形品で観察し、16個以上の成形品の円筒状の穴部分にクラックや破損が認められた成形品を×、4個未満の成形品の円筒状の穴部分にクラックや破損が認められた成形品を△、20個全ての成形品の円筒状の穴部分にクラックや破損が認められない成形品を○と判定した。
(4)光反射特性(光反射率)
射出成形機UH1000(80t)(日精樹脂工業社製)を用い、表1の樹脂温度、金型温度の温度条件で、50mm長×50mm幅×2mm厚の角形成形品(フィルムゲート)を成形し、この成形品を紫外近赤外分光光度計(UV−3150:島津製作所社製)を用いて400〜800nmまでの波長の拡散反射率を測定し、450、550、650nmの3波長の反射率を評価した。この値が大きいほど光反射特性が優れているといえる。
Figure 2007326925
表1の結果から明らかなように本発明の樹脂組成物から得られた成形品は、成形時のソリが少なく、また、組込時必要なピン圧入強度および光反射特性が均衡して優れることがわかる。このことから、これら特性が必要な電気・電子部品のピックアップレンズホルダーに代表される小型の筐体、LEDパッケージ内に用いるリフレクタおよび照明用リフレクタ、あるいは携帯機器、記録媒体接続用等に使用される狭ピッチコネクタなどに有用である。

Claims (7)

  1. (A)ポリアミド樹脂、液晶性ポリマーおよびポリアリーレンスルフィド樹脂から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂100重量部に対し、(B)平均繊維長2μm以上の針状酸化チタンを10〜250重量部配合してなる樹脂組成物。
  2. 前記(B)の針状酸化チタンの平均繊維長(l)を平均繊維径(d)で除した値(l/d)が12以上であることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 前記(A)のポリアミド樹脂の融点が280℃以上であることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂組成物。
  4. さらに(C)針状酸化チタンを除く無機フィラーを(A)ポリアミド樹脂、液晶性ポリマーおよびポリアリーレンスルフィド樹脂から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂100重量部に対して5〜150重量部配合してなる請求項1〜3のいずれか記載の樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか記載の樹脂組成物を成形してなる成形品。
  6. 成形品が電気・電子部品である請求項5記載の成形品。
  7. 電気・電子部品が筐体、リフレクタまたはコネクタである請求項6記載の成形品。
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