JP2016025093A - スラリー組成物およびそれを含んでなるリチウムイオン電池用セパレータ - Google Patents

スラリー組成物およびそれを含んでなるリチウムイオン電池用セパレータ Download PDF

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Abstract

【課題】コーティングによってセパレータを改質し、リチウムイオン電池用セパレータの耐熱性を改善し、セパレータの熱収縮によって引き起こされる短絡などの安全性の問題を減らし、リチウムイオン電池の信頼性を向上する方法の提供。
【解決手段】スラリー組成物は、無機微粒子、水溶性ポリマー、水不溶性有機微粒子及び水を含んでなり、170℃超の融点又はガラス転移点を有する水溶性ポリマーは分散剤として用いられ、無機微粒子表面に均一に吸着され、無機微粒子が水中に均一に且つ安定に分散された、無機微粒子の水系分散体であり、水不溶性有機微粒子はコア‐シェル構造を有し、コア層材の水不溶性ポリマーはシェル層材の存在によって水中に均一に分散され、無機微粒子の水系分散体と水不溶性有機微粒子とを均一に混合して得られるスラリー組成物を用いて製造する、リチウムイオン電池用セパレータ。
【選択図】なし

Description

本発明はリチウムイオン電池に関する。より具体的には、スラリー組成物とそのスラリー組成物を用いるリチウムイオン電池用セパレータとに関する。
リチウムイオン電池は、長寿命や高エネルギー密度などの利点を有するので広く用いられている。リチウムイオン電池は、正極、負極、セパレータ、および非水系電解質を通常は有する。セパレータはリチウムイオン電池の重要な部品であり、その役割は正極を負極から隔離し且つイオンを伝導することである。セパレータは通常は極薄の微多孔質膜であり、約10〜50μmの厚さを有する。
現行では、リチウムイオン電池の主な用途はノートブックコンピュータおよび携帯電話の市場である。世界的な新世代の3Gモバイル通信技術、インターネット、およびポータブルデジタル娯楽機器の漸次的普及に伴って、ノートブックコンピュータ、携帯電話、デジタル製品、ゲーム機器、および3C分野の他の製品に対する需要は力強い増大を引き続き維持するであろう。同時に、リチウムイオン電池の絶え間ない発展によって、その用途は現行の一般的なエレクトロニクス製品から拡大して、出力/エネルギー型システムにまで及ぶであろう。将来的には、電動工具、新エネルギー自動車、およびエネルギー貯蔵システムがリチウムイオン電池の重要な応用分野になるであろう。
大容量・高出力リチウムイオン電池の改善に伴って、セパレータの特性に対する要求は増々高くなっている。リチウムイオン電池の電気的な安定性を改善するための手法の1つは、セパレータの特性を改善することである。もしもセパレータの熱安定性が乏しいと、セパレータは電池内部の温度上昇によって損傷(デンドライトによる破れに起因する)または変形(収縮)し、それによって電極間の短絡が引き起こされる。したがって電池の過熱または発火のリスクがある。
セパレータの耐熱性を改善し、セパレータの熱収縮によって引き起こされる短絡などの安全性の問題を減らし、リチウムイオン電池の信頼性を向上させるために、微多孔質膜のクロスリンク、無機材料の添加、および耐熱性樹脂とポリエチレン樹脂とのブレンドなどの方法が当業者によって開発されて来た。
それらのなかで、特許文献1は、優れた耐熱性を有する樹脂を混練する方法を開示している。この技術では、ポリエチレン、ポリプロピレン(ポリエチレンとは異なる樹脂として)、および無機材料の添加に起因する物理的性能の低下を防ぐために、10以上の超高分子量を有する樹脂が必要とされる。しかしながら、この超高分子量を有する樹脂は加工の難度が高くなる。さらに、この方法では、用いた無機材料の抽出・除去ステップも必要とされる。したがってこの方法は複雑なプロセスであり、不利である。
この複雑なプロセスに関わる課題を解決するためには、微多孔質膜表面にコーティングを形成する方法が現在のところ一般的に用いられている。種々のスラリー組成物が、リチウムイオン電池用セパレータをコーティングしてリチウムイオン電池用セパレータの耐熱性を改善するために開発されてきた。
特許文献2および特許文献3では、セパレータは、ポリフッ化ビニリデンコポリマーを含有するスラリー組成物コーティングによって改質されている。その結果、セパレータの耐熱性およびリチウムイオン電池の熱安定性が改善される。しかしながら、ポリフッ化ビニリデンコポリマーは、非水系電解質として用いられる有機溶媒(例えば炭酸プロピレン、炭酸エチレン、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル、または炭酸メチルエチルなど)に可溶であり、または容易にゲル化してしまうので、電池の熱安定性は尚不十分である。
特許文献4は、高耐熱性樹脂を含有するスラリー組成物によるコーティングによってポリエチレン微多孔質膜を改質する方法を記載している。高耐熱性樹脂コーティングの相分離によって形成される孔径は、乾燥条件(例えば湿度および温度)や相分離の程度および均一性に応じて非常に異なって来るので、優れた品質均一性を有するセパレータを製造するという点では制約がある。さらに、電池内部の短絡などの異常が起こる場合には、温度の急上昇に起因する基体層の収縮を有効に防止することができない。このコーティングは優れた耐熱性を有するので、基体層が融解する130℃でも熱変形は起こらず、したがって基体層の収縮を部分的に防ぐことはできる。しかしながら、コーティングに含まれる樹脂の網状組織がゆるいので、その抵抗力は基体層の収縮を完全に防止するには十分でない。したがって、このスラリー組成物は、セパレータの熱安定性を改善するためのコーティング材として好適ではない。
米国特許第5,641,565号明細書 韓国特許出願公開第2007‐0080245号公報 国際公開第2005/049318号パンフレット 特開第2002‐355938号公報
本発明の目的は、リチウムイオン電池用セパレータ向けに用いられ得るスラリー組成物を提供することによって従来技術の上記欠点を克服することである。スラリー組成物でセパレータをコーティングすることによって、リチウムイオン電池用セパレータの耐熱性が改善され、セパレータの熱収縮によって引き起こされる短絡などの安全性の問題が減らされ、リチウムイオン電池の信頼性がかなり向上し得る。
本発明の上記目的は次の技術上の解決方法によって達成される。
スラリー組成物が、
0.05〜3μmの平均粒径を有する無機微粒子の10〜50質量部と、
水溶性ポリマーの0〜5質量部と、
水不溶性有機微粒子の0.01〜20質量部と、
水の35〜90質量部と、
を含んでなり、
水不溶性有機微粒子はコア‐シェル構造を有し、水不溶性有機微粒子のコアは、170℃超の融点またはガラス転移点を有する水不溶性ポリマーからなる。
上記スラリー組成物では、無機微粒子は、Al、SiO、TiO、MgO、ZrO、CeO、NiO、CaO、ZnO、Y、Si、Ti、Ti、BN、AlN、TiC、SiC、CaCO、BaTiO、BaSO、Al(SO、Al(OH)、KTiO、MgSiO、CaSiO、SiS、SiPO、およびSnTiOからなる群から選択される1つ以上、好ましくはAl、SiO、またはTiOである。無機微粒子の平均粒径は0.1〜1μm、好ましくは0.2〜0.6μmである。
上記スラリー組成物では、水溶性ポリマーは、アミノ、イミノ、カルボキシル、およびヒドロキシル基から選択される1つ以上の親水性基をその主鎖および/または分岐鎖中に含有するポリマーである。具体的には、水溶性ポリマーは、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシメチルセルロース、セルロース、グルコース、デンプン、およびデンプンナトリウム加水分解物からなる群から選択される1つ以上である。
上記スラリー組成物では、水不溶性有機微粒子のコアを構成する水不溶性ポリマーは、ポリフェニレンスルホン、ポリアミド、ポリアリールエステル、およびポリイミドからなる群から選択される1つ以上である。
上記スラリー組成物では、水不溶性有機微粒子のシェルは、アミノ、イミノ、カルボキシル、またはヒドロキシル基から選択される1つ以上の親水性基をその主鎖および/または分岐鎖中に含有するポリマーである。具体的には、ポリマーは、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシメチルセルロース、セルロース、グルコース、デンプン、およびデンプンナトリウム加水分解物からなる群から選択される1つ以上である。
上記スラリー組成物では、水不溶性有機微粒子のコアを構成する水不溶性ポリマー対水不溶性有機微粒子のシェルを構成するポリマーの質量比は、10:1〜1:100、好ましくは5:1〜1:10である。
上記スラリー組成物では、水溶性ポリマーの数平均分子量は200〜1,000,000、好ましくは500〜500,000である。水不溶性ポリマーの数平均分子量は5,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜500,000である。水不溶性有機微粒子のシェルの数平均分子量は200〜1,000,000、好ましくは500〜500,000である。
上記スラリー組成物では、水不溶性有機微粒子は棒状、球状、フレーク状、または楕円体状、好ましくは球状または楕円体状の形状である。その平均粒径は0.01〜0.5μm、好ましくは0.03〜0.45μmである。
上記スラリー組成物では、無機微粒子対水溶性ポリマーの質量比が90:10〜99.99:0.01であり、無機微粒子対水不溶性有機微粒子の質量比が60:40〜99.9:0.1である。
上記スラリー組成物は、
0.05〜3μmの平均粒径を有する無機微粒子の20〜40質量部と、
水溶性ポリマーの0.001〜5質量部と、
水不溶性有機微粒子の0.1〜5質量部と、
水の50〜85質量部と、
を含んでなる。
リチウムイオン電池用のセパレータが、
少なくとも1つのポリマー微多孔質層と、
本発明のスラリー組成物によって形成される少なくとも1つのコーティング層と、
を備える。
上記のリチウムイオン電池用セパレータでは、ポリマー微多孔質層はポリオレフィン微多孔質膜であり、ポリオレフィンはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、およびポリ塩化ビニルからなる群から選択される1つ以上である。
上記のリチウムイオン電池用セパレータでは、ポリマー微多孔質層は、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリイミドアミド、およびポリテトラフルオロエチレンからなる群から選択される1つ以上の樹脂からなる微多孔質膜である。または、ポリマー微多孔質層は、それらの樹脂の繊維を織った微多孔質膜、もしくはそれらの樹脂の繊維からなる不織布の微多孔質膜である。
上記のリチウムイオン電池用セパレータでは、ポリマー微多孔質層が、単層構造、二層構造、三層構造、または多層構造を有する。
上記のリチウムイオン電池用セパレータでは、ポリマー微多孔質層の厚さは6〜40μm、好ましくは9〜30μmである。
上記のリチウムイオン電池用セパレータでは、スラリー組成物によって形成されるコーティング層の厚さは0.5〜20μm、好ましくは1〜10μmである。
上記のリチウムイオン電池用セパレータでは、スラリー組成物がポリマー微多孔質層表面にコーティングされてコーティング層を形成し、これは電池用セパレータの厚さの5〜70%、好ましくは10〜60%の厚さを有する。
本発明は、従来技術に優る次の有利な効果を有する。
(1)本明細書に開示のスラリー組成物はリチウムイオン電池用セパレータに用いることができ、無機微粒子、水溶性ポリマー、水不溶性有機微粒子、および水を含んでなる。水溶性ポリマーは分散剤として用いられ、無機微粒子表面に均一に吸着される。その結果、無機微粒子が水中に均一且つ安定に分散されて、無機微粒子の水系分散体が得られる。水不溶性有機微粒子はコア‐シェル構造を有し、コア層材としての水不溶性ポリマーはシェル層材の存在によって水中に均一に分散され得る。無機微粒子の水系分散体と水不溶性有機微粒子とを均一に混合して本発明のスラリー組成物が得られ、これはリチウムイオン電池用セパレータ向けに用いられ得る。スラリー組成物でセパレータをコーティングすることによって、リチウムイオン電池用セパレータの耐熱性が改善され、セパレータの熱収縮によって引き起こされる短絡などの安全性の問題が減らされ、リチウムイオン電池の信頼性がかなり向上し得る。
(2)本発明によって開示されるスラリー組成物は、170℃超の融点またはガラス転移点を有する水不溶性ポリマーを含んでなる。水不溶性ポリマーは、ポリフェニレンスルホン、ポリアミド、ポリアリールエステル、およびポリイミドからなる群から選択される1つ以上であり、非水系電解質として用いられる有機溶媒(例えば、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル、および炭酸メチルエチル)に不溶であり、ゲル化しない。その結果、従来技術の電解質中で結合剤ポリマーが溶解やゲル化をしてリチウムイオン電池内部でコーティングが剥離する(無機微粒子の耐熱性を有効に発揮することが困難である)という問題を有効に防ぎ、無機微粒子の耐熱性を有効に発揮することができ、セパレータの熱安定性を改善する役割を果たし得る。
(3)本発明によって開示されるスラリー組成物は、コア‐シェル構造を有する水不溶性有機微粒子を含んでなる。シェルは、アミノ、イミノ、カルボキシル、およびヒドロキシル基から選択される1つ以上の親水性基をその主鎖および/または分岐鎖中に含有するポリマーであり、コアは水不溶性ポリマーである。水不溶性有機微粒子は、アミノ、イミノ、カルボキシル、およびヒドロキシル基から選択される1つ以上の親水性基をその主鎖および/または分岐鎖中に含有するポリマーの存在によって、水系媒体中に均一に分散され得る。本発明のスラリー組成物に含まれる水不溶性有機微粒子は、結合剤として用いられる。ポリマー微多孔質膜をコーティングによって改質する場合には、コーティングによって改質されたセパレータの脱落粉形成が、シェル層材の官能基と無機微粒子表面の水溶性ポリマーとの相互作用によって有効に防止される。コーティングに含まれる無機微粒子および水不溶性有機微粒子は堆積の過程で微多孔質構造を形成する。微粒子間の良好な粘着によって従来技術の樹脂のゆるい網状組織が防止され、その結果、基体層の収縮に対する抵抗力の不足、セパレータの熱安定性を有効に改善できないという問題が完全に阻止される。
(4)本発明のスラリー組成物は、アミノ、イミノ、カルボキシル、およびヒドロキシル基から選択される1つ以上の親水性基をその主鎖および/または分岐鎖中に含有する水溶性ポリマーを、分散剤として用いる。水溶性ポリマーは無機微粒子表面に均一に吸着されて、その結果として無機微粒子が水中に均一且つ安定に分散される。その結果、水系媒体中で無機微粒子が凝集して固まることでスラリー組成物の安定性が低下するという問題が解決される。
(5)本発明によって開示されるリチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物は水系であり、不燃性、無毒性、および無汚染性などの環境保護上の利点を有する。したがって、有機溶媒を用いる場合の大量の揮発性有機化合物(VOC)、悪臭、環境汚染、および作業者の健康被害などの問題が避けられる。
(6)本発明によって提供されるリチウムイオン電池用セパレータは、コーティングによって改質されたセパレータであり、ポリマー微多孔質層の1つ以上の層の片面または両面に本発明のスラリー組成物をコーティングすることによって形成される。無機微粒子はポリマー微多孔質層表面に均一に分布する。高温によってポリマー微多孔質層が収縮するときであっても、無機微粒子によって正極と負極との隔離が保証されるので、電池の安全性能が向上する。本発明によって開示されるリチウムイオン電池用セパレータは良好な熱安定性を有するのみならず、リチウムイオン電池用セパレータとして優れた総合的性能をも有する。なぜなら、本発明のスラリー組成物によって形成される耐熱性コーティングはポリマー微多孔質層に対する粘着性が高く、良好な表面濡れ性を有するからである。
(7)本発明では、コア‐シェル構造を有する水不溶性有機微粒子を用い、この構造中にはアミノ、イミノ、カルボキシル、およびヒドロキシル基から選択される1つ以上の親水性基をその主鎖および/または分岐鎖中に含有するポリマーが存在する。したがって、一方では、水不溶性有機微粒子はポリマーによる保護作用によって水中に均一に分散され得る。他方では、水不溶性有機微粒子と無機微粒子との粘着性が改善されるので、コーティングによって改質されたセパレータの脱落粉形成が防がれる。さらに、水不溶性有機微粒子の平均粒径は好ましくは0.01〜0.5μmであり、これは組成物の安定性をかなり改善する。もしも粒径が小さすぎるとセパレータの透過性が乏しくなってしまい、したがってリチウムイオン電池の電気的特性が悪影響を受ける。もしも粒径が大きすぎると、無機微粒子間の粘着性が減ってしまうので、コーティングによって改質されたセパレータの脱落粉形成が引き起こされる。
本発明を具体的な実施形態と併せて詳しく説明するが、本発明は必ずしもそれらに限定されるものではない。
本発明によって開示されるスラリー組成物は、無機微粒子、水溶性ポリマー、水不溶性有機微粒子、および水を含んでなる。水溶性ポリマーは分散剤として無機微粒子表面に均一に吸着され、その結果として無機微粒子が水中に均一且つ安定に分散され、無機微粒子の水系分散体が得られる。水不溶性有機微粒子はコア‐シェル構造を有し、コア層材の水不溶性ポリマーはシェル層材の存在によって水中に均一に分散され得る。本発明に開示のリチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物は、無機微粒子の水系分散体と水不溶性有機微粒子とを均一に混合することによって調製される。
無機微粒子の水系分散体、水不溶性有機微粒子、およびリチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物を、それぞれ詳しく次に説明する。
1.無機微粒子の水系分散体
本発明のスラリー組成物に無機微粒子を添加することの主な目的は、セパレータの電解質浸漬性および耐熱性を改善することである。無機微粒子は、酸化物系セラミック(例えばAl、SiO、TiO、MgO、ZrO、CeO、NiO、CaO、ZnO、Y)、窒化物系セラミック(例えばSi、Ti、Ti、BN、AlN)、ならびにTiC、SiC、CaCO、BaTiO、BaSO、Al(SO、Al(OH)、KTiO、MgSiO、CaSiO、SiS、SiPO、およびSnTiOの群に含まれる1つ以上の無機微粒子から選択される。Al、SiO、およびTiOが電気化学的安定性の点から好ましく、Alがより好ましく、α型の結晶形を有するAlが特に好ましい。
しかしながら、α‐Alに代表される無機微粒子では、結晶粒中の長距離整列した原子と乱雑な界面成分とが組み合わさっているので、微粒子は多数の界面を有しており、粒界に含まれる原子は15%〜50%を占める。したがって多くのダングリングボンドが存在すると考えられ、原子の配位が不足しており、表面エネルギーは高く、微粒子は容易に凝集して大きな集塊になり得、その用途に悪影響を及ぼす。
本発明によって解決されるべき主要な課題は、媒体中に無機微粒子を分散することである。ポリマー微多孔質膜が本発明のスラリー組成物によるコーティングによって改質される場合には、無機微粒子の不均一な分散体ではコーティングの厚さの均一性が不足してしまい、コーティングの孔径および多孔度が非一様になる。さらに、大きい集塊が存在するとデバイスの深刻な摩損が起こり得、場合によっては基体材料のポリマー微多孔質膜のかき傷も生じ得る。さらに、セラミックスラリーの安定性および再分散性も、均一なコーティングの前提である。
本発明は、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、コロイドミル、ディスパーサー、ロールミル、高速インペラーディスパーサー、ディスペンサー、ホモジナイザー、高速インパクトローラー、高速せん断装置、および超音波ディスパーサーからなる群から選択される1つ以上を用いる。その結果、大径の無機微粒子の集塊は、連続的な塑性変型および分割による小径の微粒子を生じ得る。水系媒体中では、無機微粒子間の相互作用は斥力ポテンシャルエネルギーと引力ポテンシャルエネルギーとの複合作用であり、引力ポテンシャルエネルギーは粒径に比例し、斥力ポテンシャルエネルギーは粒径の2乗に比例する。したがって、無機微粒子の引力ポテンシャルエネルギーが減少する速さは斥力ポテンシャルエネルギーが減少する速さよりもかなり小さく、無機微粒子の集塊はそれ自体が非常に強い引力効果を発揮する。したがって、元々の無機微粒子分散体を維持するのは非常に困難である。
大径の無機微粒子を分割して小径の微粒子にした後に、本発明では、アミノ、イミノ、カルボキシル、およびヒドロキシル基から選択される1つ以上の親水性基をその主鎖および/または分岐鎖中に含有するポリマーを分散剤として選択する。このポリマーは、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシメチルセルロース、セルロース、グルコース、およびデンプンまたはデンプンナトリウム加水分解物からなる群から選択される1つ以上である。このポリマーはアミノ基、イミノ基、カルボキシル基、およびヒドロキシル基などの官能基を含有しており、無機微粒子表面のカチオンと強く水素結合できるので、無機微粒子表面に容易に吸着されて無機微粒子のまわりにポリマー製の保護層を形成できる。同時に、微粒子間の斥力的相互作用が増強され、立体障害が発揮される。吸着の平衡状態が達成された場合は、無機微粒子表面の分散剤の被覆率は高くなり、配列は相対的に均一になる。2つの無機微粒子が互いに近づくと吸着層同士が重なり合い、重なり合った部分のエネルギーは増大する。その結果として無機微粒子間の斥力効果が生じ、無機微粒子間のさらなる凝集が妨げられて無機微粒子の水系分散体の安定性が改善される。
本発明における水溶性ポリマーは、25℃で100gの水中に溶解された場合に不溶性物質が0.5%(質量%)未満であるようなポリマーを意味する。
分割された小径の無機微粒子の平均粒径は0.05〜3μm、好ましくは0.1〜1μm、より好ましくは0.2〜0.6μmである。無機微粒子の平均粒径が0.05μm以下である場合には、ポリマー微多孔質膜をコーティングによって改質したときに、無機微粒子がポリマー微多孔質膜の微多孔に容易に入り込む(粒径が小さいため)。その結果としてセパレータの透過性が低下してしまうので、リチウムイオン電池の電気的特性が悪影響を受ける。無機微粒子の平均粒径が3μm以上である場合には、ポリマー微多孔質膜をコーティングによって改質したときに、薄い多孔質層をポリマー微多孔質膜表面に形成することが困難である。さらに、無機微粒子の水系分散体では、粒径が大きいので、引力作用は無機微粒子のブラウン運動よりも大きくなり、その結果として水系の無機微粒子分散体の分散性および安定性が低下する。しかしながら、無機微粒子の水系分散体の安定性および再分散性は、コーティングの均一性を保証するための必要条件である。
さらに、分割された小径の無機微粒子の平均粒径の分散係数は0.5以下、好ましくは0.3以下、より好ましくは0.1以下である。分散係数が0.5以上である場合には、無機微粒子の粒径の均一性は乏しい。粒径の非一様性はコーティングの孔径および多孔度の非一様性をもたらし、さらに、デバイスの深刻な摩損や、場合によっては基体材料のポリマー微多孔質膜のかき傷を生ずる。
この実施形態では、用語「平均粒径」および「平均粒径の分散係数」は、レーザー粒径アナライザによって測定された値を意味する。
水溶性ポリマーの数平均分子量は200〜1,000,000、好ましくは500〜500,000、より好ましくは1,000〜200,000である。分子量が200未満である場合には、水溶性ポリマーの鎖セグメントが短いので、立体障害は無機微粒子を保護するのに十分でない。分子量が1,000,000超である場合には、別々の微粒子の表面にある水溶性ポリマー鎖同士が容易に絡み合ってしまう(分子鎖が長いため)。その結果としてフロキュレーションが起こり、無機微粒子の水系分散体の安定性が低下する。
無機微粒子の水系分散体の分散性および安定性の観点から、分散剤として用いられる水溶性ポリマーの量を調節することによって無機微粒子が均一に分散され且つその水系分散体が良好な安定性および再分散性を得るという前提のもとで、水溶性ポリマーの量を最少化して無機微粒子表面の飽和吸着量に維持する。一方では、遊離の水溶性ポリマーの量を減らすことによって、遊離の水溶性ポリマーと無機微粒子表面に吸着された水溶性ポリマーとの鎖の絡み合いによってフロキュレーションが起こって分散安定性が低下するのを防ぐことができる。その一方で、ポリマー微多孔質膜をコーティングによって改質したときに、遊離の水溶性ポリマーは伸展した状態で系に存在しており、基体材料であるポリマー微多孔質膜の孔部に入り込むこと、または堆積した無機微粒子の空隙に入り込むことができる。その結果、コーティングによって改質された膜の透過性が下がり、したがってさらにリチウムイオン電池の電気的特性が影響される。
尚、無機微粒子の飽和吸着量は、無機微粒子によって吸着され得る分散剤の最大量を指す。
無機微粒子対水溶性ポリマーの質量比は90:10〜99.99:0.01、好ましくは95:5〜99.5:0.5である。無機微粒子対水溶性ポリマーの質量比が90:10未満である場合には、水溶性ポリマーの量が多く、無機微粒子の最大吸着量よりも多くなる。したがって水溶性ポリマーの一部は遊離状態となり、無機微粒子表面に吸着された水溶性ポリマーと容易に絡み合ってフロキュレーションを引き起こす。これは、無機微粒子の水系分散体の分散性および安定性、さらにはリチウムイオン電池の性能に悪影響を及ぼす。無機微粒子対水溶性ポリマーの質量比が99.99:0.01である場合には、水溶性ポリマーの量は無機微粒子の最大吸着量よりも少なく、したがって水溶性ポリマーは無機微粒子表面に均一に吸着され得ない。これは、無機微粒子の水系分散体の分散性および安定性を低下させる。
2.水不溶性有機微粒子
ポリマー微多孔質膜をコーティングによって改質したときに、ポリマー溶液が結合剤として用いられている場合には、ポリマー鎖は伸展した状態にあり、容易に基体材料のポリマー微多孔質膜の孔部に入り込み、または堆積した無機微粒子の空隙に入り込む。その結果、セパレータの透過性が低下して、リチウムイオン電池の電気的特性が影響される。コーティングの厚さまたは無機微粒子に対する結合剤の割合が大きくなるほど、ポリマー微多孔質膜の微多孔とコーティング中の堆積した無機微粒子の空隙とが閉塞される可能性が高くなる。
もしもコーティングの厚さが薄いと、温度が基体材料のシャットダウン温度を超えて上昇し続けた場合には、コーティングが正極と負極との接触を有効に防止することができず、したがって2つの電極が短絡して爆発、発火、および他の安全性の問題が生ずる。さらに、結合剤の量を減らすと無機微粒子が十分に結合できず、その結果として基体材料表面の無機微粒子が剥離および脱落する。
結合剤としてポリマー溶液を用いた場合にセラミックによって改質されたセパレータの透過性が低下するという問題を防ぐために、本発明によって開示されるスラリー組成物には、コア‐シェル構造を有する水不溶性有機微粒子を結合剤として用いる。
同時に、リチウムイオン電池内部でコーティングが剥離して無機微粒子の耐熱性を発揮するのが困難であるという問題(従来技術では電解質中における結合剤ポリマーの溶解またはゲル化に起因する)を有効に防止するために、水不溶性有機微粒子は、170℃超の融点またはガラス転移点を有する水不溶性ポリマーを含有する。この水不溶性ポリマーは、非水系電解質として用いられる有機溶媒(例えば、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル、および炭酸メチルエチルなど)に不溶であり、ゲル化し得ない。その結果として無機微粒子の耐熱性が有効に発揮され、セパレータの熱安定性が改善される。
本発明では、水不溶性ポリマーは、25℃で100gの水中に溶解された場合に可溶性物質が0.1%(質量%)未満であるようなポリマーを意味する。
通常は、170℃超の融点またはガラス転移点を有する水不溶性ポリマーは剛直な構造を有し、その結果として無機微粒子に対する粘着性は低くなる。したがって、結合剤として用いられる本発明の水不溶性有機微粒子では、アミノ、イミノ、カルボキシル、およびヒドロキシル基から選択される1つ以上の親水性基をその主鎖および/または分岐鎖中に含有するポリマーがシェルであり、170℃超の融点またはガラス転移点を有する水不溶性ポリマーがコアである。シェル層材とコア層材とは、非共有結合性相互作用(例えば水素結合、帯電、疎水性相互作用、およびファンデルワールス力)、好ましくは水素結合によって結合される。コア‐シェル構造を有する水不溶性有機微粒子は、分子の自己組織化によって形成される。一方、アミノ、イミノ、カルボキシル、およびヒドロキシル基から選択される1つ以上の親水性基をその主鎖および/または分岐鎖中に含有するポリマーが存在するので、水不溶性有機微粒子はポリマーによる保護作用によって水中に均一に分散され得る。その一方では、無機微粒子に対する水不溶性有機微粒子の粘着性が有効に改善されて、コーティングによって改質された膜の脱落粉形成を防ぐことができる。
分子の自己組織化は、ナノメートルおよびサブミクロンの新材料を得るための迅速で効率的な手段である。通常は、自己組織化は、平衡状態におけるユニット間または分子間の非共有結合性相互作用によって、安定で明確な構造を有する集塊が自然に形成するプロセスを指す。自己組織化プロセスに関与する非共有結合は、水素結合、帯電、疎水性相互作、およびファンデルワールス力であり得る。
上記水不溶性ポリマーは、ポリフェニレンスルホン、ポリアミド、ポリアリールエステル、およびポリイミドからなる群から選択される1つ以上であり、数平均分子量は5,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜500,000、より好ましくは20,000〜300,000である。水不溶性ポリマーの分子量が5,000以下である場合には、水不溶性ポリマーの耐熱性能を保証することが困難である。水不溶性ポリマーの分子量が1,000,000以上である場合には、コア‐シェル構造を有する水不溶性有機微粒子を分子の自己組織化法によって得ることが困難になる。
アミノ、イミノ、カルボキシル、およびヒドロキシル基から選択される1つ以上の官能基をその主鎖および/または分岐鎖中に含有するポリマーがシェル層材として用いられ、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシメチルセルロース、セルロース、グルコース、デンプン、およびデンプンナトリウム加水分解物からなる群から選択される1つ以上であり得る。好ましくは、本発明の上記「1.無機微粒子の水系分散体」で分散剤として用いられる水溶性ポリマーと同一である。その分子量は200〜1,000,000、好ましくは500〜500,000、より好ましくは2,000〜200,000である。シェル層材の分子量が200以下である場合には、分子セグメントがかなり短いので、上記の水不溶性ポリマーを包み込む完全なシェルを形成することは困難であり、したがって水不溶性有機微粒子は得られない。シェル層材の分子量が1,000,000超である場合には、シェルが厚くなりすぎ、したがって得られる水不溶性有機微粒子は水不溶性ポリマーの耐高温性を十分に発揮できない。
水不溶性有機微粒子に関して、水不溶性ポリマー対アミノ、イミノ、カルボキシル、およびヒドロキシル基から選択される1つ以上の親水性基をその主鎖および/または分岐鎖中に含有するポリマーの質量比は、10:1〜1:100、好ましくは5:1〜1:10、より好ましくは1:1〜1:5である。水不溶性ポリマー対アミノ、イミノ、カルボキシル、およびヒドロキシル基から選択される1つ以上の親水性基をその主鎖および/または分岐鎖中に含有するポリマーの質量比が10:1超である場合には、シェル層材の含量が少ないので、水不溶性ポリマーを包み込む完全なシェルを形成することは困難であり、したがって水中に安定に分散された水不溶性有機微粒子は得られない。水不溶性ポリマー対アミノ、イミノ、カルボキシル、およびヒドロキシル基から選択される1つ以上の親水性基をその主鎖および/または分岐鎖中に含有するポリマーの質量比が1:100未満である場合には、シェル層材の含量が多いので、シェルは厚くなりすぎ、したがって得られる水不溶性有機微粒子は水不溶性ポリマーの耐高温性を十分に発揮できない。
本発明の水不溶性有機微粒子は、棒状、球状、フレーク状、または楕円体状などの任意の形状であり得る。安定性の観点からは、球状および楕円体状が好ましく、球状がより好ましい。その平均粒径は0.01〜0.50μm、好ましくは0.03〜0.45μm、より好ましくは0.05〜0.40μmである。水不溶性有機微粒子の平均粒径が0.01μm未満である場合には、ポリマー微多孔質膜をコーティングによって改質したときに、水不溶性有機微粒子が容易にポリマー微多孔質膜の微多孔に入り込む(粒径が小さいため)。その結果としてセパレータの透過性が低下し、したがってリチウムイオン電池の電気的特性が悪影響を受ける。水不溶性有機微粒子の平均粒径が0.50μm以上である場合には、水溶性有機微粒子対無機微粒子の質量比が不変であれば、無機微粒子と結合剤の水溶性有機微粒子との接触面積はかなり減少する。その結果として無機微粒子間の粘着が減少し、コーティングによって改質された膜の脱落粉形成が生ずる。
この実施形態では、用語「平均粒径」は、レーザー粒径アナライザによって測定された値を指す。
3.リチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物
本発明によって開示されるリチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物は、媒体として水を用い、上記実施形態の「1.無機微粒子の水系分散体」および「2.水不溶性有機微粒子」を含んでなる。上記「1.無機微粒子の水系分散体」で説明したように、本発明の無機微粒子の水系分散体は、無機微粒子とその無機微粒子表面に吸着された水溶性ポリマーとを含有する。
スラリー組成物の安定性およびコーティング性能を改善するために、本発明のリチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物は、界面活性剤、粘度調整剤、および他の添加剤をさらに含み得る。添加剤は、リチウムイオン電池に悪影響を及ぼさないのであれば特に限定されない。
界面活性剤は、リチウムイオン電池に悪影響を及ぼさない任意の界面活性剤であり得、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、およびその組み合わせからなる群から選択され得る。粘度調整剤は、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリメチルアクリレート、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリカルボン酸、酸化デンプン、キチン、キトサン誘導体などから選択される1つ以上であり得る。
本発明のリチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物では、無機微粒子の含量は10〜50質量部、好ましくは20〜40質量部である。無機微粒子の含量が10質量部未満である場合には、ポリマー微多孔質膜をコーティングによって改質したときに、無機微粒子の含量が少なすぎるので、コーティングはセパレータの耐高温性を改善する機能を十分に発揮できない。無機微粒子の含量が50質量部超である場合には、無機微粒子の含量が多いのでスラリーの安定性が低下し得る。
本発明のリチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物では、水溶性ポリマーの含量は0.001〜5質量部であるが、その具体的な含量は無機微粒子の飽和吸着量によって左右される。本発明の「1.無機微粒子の水系分散体」の実施形態で説明したように、水溶性ポリマーの含量は好ましくは無機微粒子の飽和吸着量に近くなるように制限する。その結果として、無機微粒子表面に水溶性ポリマーが完全に吸着されることを保証し、リチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物に含まれる遊離の水溶性ポリマーの含量を最少化する。
本発明のリチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物では、水不溶性有機微粒子の含量は0.001〜20質量部、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部である。水不溶性有機微粒子の含量が0.001質量部未満である場合には、無機微粒子との粘着を保証することが困難であり、ポリマー微多孔質膜をコーティングによって改質したときに、コーティングの剥離または脱落粉形成が起こる。水不溶性有機微粒子の含量が20質量部超である場合には、水不溶性有機微粒子の含量が多いのでスラリーの安定性が低下し得る。
さらに、本発明は、リチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物では、無機微粒子対水不溶性有機微粒子の質量比が60:40〜99.9:0.1、好ましくは80:20〜99:1であるということも定める。無機微粒子対水不溶性有機微粒子の質量比が60:40未満である場合には、ポリマー微多孔質膜をコーティングによって改質したときに、基体層の収縮を完全に防止するにはコーティングの抵抗力が不十分である(おそらく無機微粒子の含量が少ないため)。したがって、セパレータの熱安定性を有効に改善できない。無機微粒子対水不溶性有機微粒子の質量比が99.9:0.1超である場合には、結合剤として用いられる水不溶性有機微粒子の含量が少なすぎるので、無機微粒子との粘着を保証することが困難であり、ポリマー微多孔質膜をコーティングによって改質したときに、コーティングの剥離または脱落粉形成が起こる。
本発明によって開示されるリチウムイオン電池用セパレータは、少なくとも1つのポリマー微多孔質層と、本発明のスラリー組成物によって形成される少なくとも1つのコーティングとを備える。
ポリマー微多孔質層、コーティング、およびリチウムイオン電池用セパレータを以下で順に説明する。
1.ポリマー微多孔質層
本発明によって開示されるリチウムイオン電池用セパレータでは、基体材料としてのポリマー微多孔質膜は小孔径の任意の多孔質膜であり得るが、電子伝導性は有さず、イオン伝導性、耐溶媒性、および化学的安定性は有するものである。ポリマー微多孔質膜はポリオレフィン微多孔質膜から選択でき、ポリオレフィンはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、およびポリ塩化ビニルの1つ以上である。さらに、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリイミドアミド、およびポリテトラフルオロエチレンからなる群から選択される1つ以上の樹脂からなる微多孔質膜、またはそれらの樹脂の繊維を織った微多孔質膜、またはそれらの樹脂の繊維からなる不織布の微多孔質膜でもあり得る。ポリマー微多孔質膜は、上記の微多孔質膜の任意のものからなる単層構造、二層構造、三層構造、または多層構造を有し得る。本発明によって開示されるリチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物のコーティングの利便性、セパレータの厚さの抑制とその結果としてのリチウムイオン電池内の活物質の割合の増加、およびシャットダウン特性によるリチウムイオン電池用セパレータの安全性改善を考慮すると、ポリオレフィン微多孔質膜が好ましく、単層構造を有するポリオレフィン微多孔質膜がより好ましく、単層のポリエチレンまたはポリプロピレン微多孔質膜が特に好ましい。
リチウムイオン電池の安全性および比容量の観点からは、基体材料として用いられる微多孔質ポリマー膜は6〜40μm、好ましくは9〜30μmの厚さを有する。
2.コーティング
本発明のスラリー組成物によって形成されるコーティングは、無機微粒子、水溶性ポリマー、および水不溶性有機微粒子を含有する。
ここで、無機微粒子対水溶性ポリマーの質量比は90:10〜99.99:0.01である。リチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物の安定性を考慮すると、質量比は好ましくは95:5〜99.5:0.5である。無機微粒子対水不溶性有機微粒子の質量比は、60:40〜99.9:0.1、好ましくは80:20〜99:1である。無機微粒子対水不溶性有機微粒子の質量比が60:40未満である場合には、おそらく無機微粒子の含量が少ないため、コーティングは基体層の収縮を完全には防止できず、したがってセパレータの熱安定性を有効に改善できない。無機微粒子対水不溶性有機微粒子の質量比が99.9:0.1超である場合には、結合剤として用いられる水不溶性有機微粒子の含量が少なすぎるので、無機微粒子との粘着を保証することが困難である。したがって、ポリマー微多孔質膜表面からのコーティングの剥離または脱落粉形成が起こる。
本発明によって開示されるリチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物によって形成されるコーティングの厚さは0.5〜20μm、好ましくは1〜10μmである。厚さが0.5μm未満である場合には、セパレータの熱安定性を有効に改善できない。厚さが20μm超である場合には、セパレータの透過性が低下する。さらに、厚さが大きいとリチウムイオン電池に含まれる活物質が相対的に減少してしまい、したがって電池の比容量が減少する。
3.リチウムイオン電池用セパレータ
本発明によって開示されるリチウムイオン電池用セパレータは、二層構造または三層構造を有する膜であり、コーティング法を用いてポリマー微多孔質膜の片面または両面に上記スラリー組成物をコーティングし、堆積した無機微粒子からなる微多孔質構造を有するコーティングを形成することによって得られる。ポリマー微多孔質膜は主にコーティングの支持体として用いられ、コーティングはセパレータの耐熱性を有効に改善でき、したがってリチウムイオン電池の安全性を向上できる。
リチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物をポリマー微多孔質膜表面にコーティングする方法は、所望の厚さおよび均一性のコーティングを達成できるのであれば特に限定されない。方法は、グラビアコーティング、マイクログラビアコーティング、リバースロールコーティング、トランスファーロールコーティング、ディップコーティング、バーコーティング、押出コーティング、スクリーン印刷、スプレーコーティングなどから選択できる。
本発明によって開示されるリチウムイオン電池用セパレータでは、コーティングの厚さはセパレータの5〜70%、好ましくは10〜60%、より好ましくは15〜50%である。コーティングの厚さがセパレータの厚さの5%未満である場合には、コーティングによってセパレータの耐高温性を改善することは困難である。コーティングの厚さがセパレータの厚さの70%超である場合には、セパレータの透過性が低下し、したがって最終的にはセパレータのイオン伝導性が影響される。
尚、本発明によって開示されるリチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物は、リチウムイオン電池の正極および負極をコーティングするためにも用いることができ、これもリチウムイオン電池の安全性を改善し得る。本発明によって開示されるリチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物によるコーティングによって得られる正極および負極、ならびにそれらから組み立てられるリチウムイオン電池も、本発明の範囲に属する。
本発明は、上記の説明に関連して以下の好ましい実施形態を提供する。主な技術的なパラメータおよび効果を表1にまとめ、以下で詳しく説明する。
<実施例1>
1.リチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物
(1)無機微粒子の水系分散体
1000gのAlを2500gの水に浸漬し、ボールミルを用いてさらに摩砕して小径の微粒子(平均粒径3μm)にした。次に0.1gのポリエチレングリコール(数平均分子量200)を添加し、得られた混合物を4時間撹拌してAlの水系分散体を得た。
(2)水不溶性有機微粒子
0.09gのポリアクリル酸(数平均分子量1,000,000)を0.9gのDMAc中に溶解してポリアクリル酸溶液を得た。0.91gのポリフェニレンスルホン(数平均分子量5,000)を9.1gのDMAc中に溶解してポリフェニレンスルホン溶液を得た。ポリアクリル酸溶液とポリフェニレンスルホン溶液とを均一に混合して油相を形成させた。40gの水を上記油相に撹拌しながら速やかに添加した。20minの撹拌後に、水を添加してDMAcを限外ろ過によって除去した。限外ろ過膜のポアサイズは10nmであり、圧力は0.3MPaであった。DMAcの除去の後、得られた混合物を、DMAc除去工程と同様の条件下、限外ろ過により濃縮した。固形分が10%まで濃縮されたら限外ろ過を停止して、水中に分散された有機微粒子を得た。有機微粒子は平均粒径0.4μmおよびコア‐シェル構造を有し、ポリアクリル酸がシェルであり、ポリフェニレンスルホンがコアである。
(3)リチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物
この実施形態のリチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物は、上記の無機微粒子の水系分散体と上記の水不溶性有機微粒子とを均一に混合し、水を混合物に添加してスラリー組成物の固形分を10.01%とすることによって得られた。
この実施形態では、リチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物が調製されてから、20日間放置した後に観察した。スラリー組成物は良好な分散性を保持しており、堅固な集塊を示さなかった。これは安定性が良好であるということを示唆している。
2.リチウムイオン電池用セパレータ
上記スラリー組成物を、PP/PE/PP膜(三層構造、厚さ40μm)の片面にバーコーティング法を用いてコーティングした。乾燥後に、この実施形態のリチウムイオン電池用セパレータが得られた。コーティングの厚さは2μmであり、これはセパレータの厚さの5%であった。セパレータのMDの熱収縮率は3.5%であり、TDの熱収縮率は0.2%であった(1時間の150℃でのベーキングによる)。これは、セパレータが良好な熱安定性を有するということを意味している。
<実施例2>
1.リチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物
(1)無機微粒子の水系分散体
350gのAlを500gの水中に浸漬し、ホモジナイザーを用いてさらに分割して小径の微粒子(平均粒径0.1μm)にした。次に5gのポリビニルアルコール(数平均分子量170,000)を添加し、得られた混合物を6時間撹拌してAlの水系分散体を得た。
(2)水不溶性有機微粒子
8.33gのポリビニルアルコール(数平均分子量170,000)を138.8gのDMAc中に溶解してポリビニルアルコール溶液を得た。1.67gのポリアミド(数平均分子量180,000)を16.7gのDMAc中に溶解してポリアミド溶液を得た。ポリビニルアルコール溶液とポリアミド溶液とを均一に混合して油相を形成させた。400gの水を上記油相に撹拌しながら速やかに添加した。30分間の撹拌後に、水を添加してDMAcを限外ろ過によって除去した。限外ろ過膜のポアサイズは10nmであり、圧力は0.3MPaであった。DMAcの除去の後、得られた混合物を、DMAc除去工程と同様の条件下、限外ろ過により濃縮した。固形分が10%まで濃縮されたら限外ろ過を停止して、水中に分散された有機微粒子を得た。有機微粒子は平均粒径0.3μmおよびコア‐シェル構造を有し、ポリビニルアルコールがシェルでありポリアミドがコアである。
(3)リチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物
この実施形態のリチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物は、上記の無機微粒子の水系分散体と上記の水不溶性有機微粒子とを均一に混合し、水を混合物に添加してスラリー組成物の固形分を36.50%とすることによって得られた。
この実施例では、リチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物を調製し、20日間放置した後に観察した。スラリー組成物は良好な分散性を保持しており、堅固な集塊を示さなかった。これは安定性が良好であるということを示唆している。
2.リチウムイオン電池用セパレータ
上記スラリー組成物を、単層PE膜(厚さ12μm)の片面にバーコーティング法を用いてコーティングした。乾燥後に、この実施例のリチウムイオン電池用セパレータが得られた。コーティングの厚さは2μmであり、これはセパレータの厚さの14%であった。セパレータのMDの熱収縮率は1.3%であり、TDの熱収縮率は0.7%であった(1時間の150℃でのベーキングによる)。これは、セパレータが良好な熱安定性を有するということを意味している。
<実施例3>
1.リチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物
(1)無機微粒子の水系分散体
400gのSiOを400gの水中に浸漬し、高速せん断装置を用いてさらに分割して小径の微粒子(平均粒径0.4μm)とした。次に、0.5gのポリアクリル酸(数平均分子量1,000)を添加し、得られた混合物を2時間撹拌してSiOの水系分散体を得た。
(2)水不溶性有機微粒子
8.6gのポリアクリル酸(数平均分子量2,000)を86gのDMAc中に溶解してポリアクリル酸溶液を得た。21.4gのポリイミド(数平均分子量50,000)を142.7gのDMAc中に溶解してポリイミド溶液を得た。ポリアクリル酸溶液とポリイミド溶液とを均一に混合して油相を形成させた。500gの水を上記油相に撹拌しながら速やかに添加した。60minの撹拌後に、水を添加してDMAcを限外ろ過によって除去した。限外ろ過膜のポアサイズは10nmであり、圧力は0.3MPaであった。DMAcの除去の後、得られた混合物を、DMAc除去工程と同様の条件下、限外ろ過により濃縮した。固形分が15%まで濃縮されたら限外ろ過を停止して、水中に分散された有機微粒子を得た。有機微粒子は平均粒径0.01μmおよびコア‐シェル構造を有し、ポリアクリル酸がシェルであり、ポリイミドがコアである。
(3)リチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物
この実施例のリチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物は、上記の無機微粒子の水系分散体と上記の水不溶性有機微粒子とを均一に混合し、水を混合物に添加してスラリー組成物の固形分を43.05%とすることによって得られた。
この実施例では、リチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物を調製し、20日間放置した後に観察した。スラリー組成物は良好な分散性を保持しており、堅固な集塊を示さなかった。これは安定性が良好であるということを示唆している。
2.リチウムイオン電池用セパレータ
上記スラリー組成物を、単層PP膜(厚さ16μm)の片面にリバースロールコーティング法を用いてコーティングした。乾燥後に、この実施例のリチウムイオン電池用セパレータが得られた。コーティングの厚さは10μmであり、これはセパレータの厚さの38%であった。セパレータのMDの熱収縮率は0.3%であり、TDの熱収縮率は0%であった(1時間の150℃でのベーキングによる)。これは、セパレータが良好な熱安定性を有するということを意味している。
<実施例4>
1.リチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物
(1)無機微粒子の水系分散体
280gのAlを300gの水中に浸漬し、高速せん断装置を用いてさらに分割して小径の微粒子(平均粒径0.2μm)にした。次に、0.2gのカルボキシメチルセルロースナトリウム(数平均分子量50,000)を添加し、得られた混合物を8時間撹拌してAlの水系分散体を得た。
(2)水不溶性有機微粒子
4.95gのカルボキシメチルセルロースナトリウム(数平均分子量200)を93gのDMAc中に溶解してカルボキシメチルセルロースナトリウム溶液を得た。0.05gのポリアリールエステル(数平均分子量1,000,000)を1gのDMAc中に溶解してポリアリールエステル溶液を得た。カルボキシメチルセルロースナトリウム溶液とポリアリールエステル溶液とを均一に混合して油相を形成させた。300gの水を撹拌しながら速やかに上記油相に添加した。30minの撹拌後に水を添加して、DMAcを限外ろ過によって除去した。限外ろ過膜のポアサイズは10nmであり、圧力は0.3MPaであった。DMAcの除去の後、得られた混合物を、DMAc除去工程と同様の条件下、限外ろ過により濃縮した。固形分が10%まで濃縮されたら限外ろ過を停止して、水中に分散された有機微粒子を得た。有機微粒子は平均粒径0.1μmおよびコア‐シェル構造を有し、カルボキシメチルセルロースナトリウムがシェルであり、ポリアリールエステルがコアである。
(3)リチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物
この実施例のリチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物は、上記の無機微粒子の水系分散体と上記の水不溶性有機微粒子とを均一に混合し、水を混合物に添加してスラリー組成物の固形分を28.52%とすることによって得られた。
この実施例では、リチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物を調製し、20日間放置した後に観察した。スラリー組成物は良好な分散性を保持しており、堅固な集塊を示さなかった。これは安定性が良好であるということを示唆している。
2.リチウムイオン電池用セパレータ
上記スラリー組成物を、単層PE膜(厚さ6μm)の両面にディップコーティング法によってコーティングした。乾燥後に、この実施例のリチウムイオン電池用セパレータを得た。コーティングの厚さは14μmであり、これはセパレータの厚さの70%であった。セパレータのMDの熱収縮率は0.1%であり、TDの熱収縮率は0.2%であった(1時間の150℃でのベーキングによる)。これは、セパレータが良好な熱安定性を有するということを意味する。
<実施例5>
1.リチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物
(1)無機微粒子の水系分散体
500gのSiOを300gの水中に浸漬し、高速せん断装置を用いてさらに分割して小径の微粒子(平均粒径0.05μm)にした。次に50gのポリプロピレングリコール(数平均分子量1,000,000)を添加して、得られた混合物を5時間撹拌してSiOの水系分散体を得た。
(2)水不溶性有機微粒子
70gのポリビニルアルコール(数平均分子量240,000)を1,400gのDMAc中に溶解して、ポリビニルアルコール溶液を得た。30gのポリアミド(数平均分子量270,000)を150gのDMAc中に溶解して、ポリアミド溶液を得た。ポリビニルアルコール溶液とポリアミド溶液とを均一に混合して油相を形成させた。4,000gの水を撹拌しながら速やかに上記油相に添加した。60minの撹拌後に、水を添加してDMAcを限外ろ過によって除去した。限外ろ過膜のポアサイズは10nmであり、圧力は0.3MPaであった。DMAcの除去の後、得られた混合物を、DMAc除去工程と同様の条件下、限外ろ過により濃縮した。固形分が10%まで濃縮されたら限外ろ過を停止して、水中に分散された有機微粒子を得た。有機微粒子は平均粒径0.5μmおよびコア‐シェル構造を有し、ポリビニルアルコールがシェルであり、ポリアミドがコアである。
(3)リチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物
この実施例のリチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物は、上記の無機微粒子の水系分散体と上記の水不溶性有機微粒子とを均一に混合し、水を混合物に添加してスラリー組成物の固形分を65.00%とすることによって得られた。
この実施例では、リチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物を調製し、20日間放置した後に観察した。スラリー組成物は良好な分散性を保持しており、堅固な集塊を示さなかった。これは安定性が良好であるということを示唆している。
2.リチウムイオン電池用セパレータ
上記のスラリー組成物を、単層PP膜(厚さ20μm)の片面に押出コーティング法によってコーティングした。乾燥後に、この実施例のリチウムイオン電池用セパレータを得た。コーティングの厚さは6μmであり、これはセパレータの厚さの23%であった。セパレータのMDの熱収縮率は2.1%であり、熱収縮率TDのは0%であった(1時間の150℃でのベーキングによる)。これは、セパレータが良好な熱安定性を有するということを意味する。
<実施例6>
1.リチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物
(1)無機微粒子の水系分散体
300gのAlを300gの水中に浸漬し、超音波ディスパーサーを用いてさらに分割して小径の微粒子(平均粒径0.7μm)にした。次に3gのポリビニルアルコール(数平均分子量240,000)を添加して、得られた混合物を4時間撹拌し、Alの水系分散体を得た。
(2)水不溶性有機微粒子
66.7gのポリプロピレングリコール(数平均分子量20,000)を445gのDMAc中に溶解して、ポリプロピレングリコール溶液を得た。133.3gのポリイミド(数平均分子量100,000)を1,333gのDMAc中に溶解して、ポリイミド溶液を得た。ポリプロピレングリコール溶液とポリイミド溶液とを均一に混合して油相を形成させた。3,000gの水を撹拌しながら速やかに上記油相に添加した。30minの撹拌後に、水を添加してDMAcを限外ろ過によって除去した。限外ろ過膜のポアサイズは10nmであり、圧力は0.3MPaであった。DMAcの除去の後、得られた混合物を、DMAc除去工程と同様の条件下、限外ろ過により濃縮した。固形分が15%まで濃縮されたら限外ろ過を停止して、水中に分散された有機微粒子を得た。有機微粒子は平均粒径0.4μmおよびコア‐シェル構造を有し、ポリプロピレングリコールがシェルであり、ポリイミドがコアである。
(3)リチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物
この実施例のリチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物は、上記の無機微粒子の水系分散体と上記の水不溶性有機微粒子とを均一に混合し、水を混合物に添加してスラリー組成物の固形分を50.30%とすることによって得られた。
この実施例では、リチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物を調製し、20日間放置した後に観察した。スラリー組成物は良好な分散性を保持しており、堅固な集塊を示さなかった。これは安定性が良好であるということを示唆している。
2.リチウムイオン電池用セパレータ
上記スラリー組成物を、単層PE膜(厚さ20μm)の片面にトランスファーロールコーティング法によってコーティングした。乾燥後に、この実施例のリチウムイオン電池用セパレータが得られた。コーティングの厚さは5μmであり、これはセパレータの厚さの20%であった。セパレータのMDの熱収縮率は2.3%であり、TDの熱収縮率は1.6%であった(1時間の150℃でのベーキングによる)。これは、セパレータが良好な熱安定性を有するということを意味している。
<比較例1>
1.リチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物
リチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物は実施例2と同様であったが、ただしポリビニルアルコールを含有しなかった。リチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物の固形分は、この比較例では36.00%とした。コーティング溶液の調製および4時間放置の後では、積層が観察され、堅固な集塊が生成し、再分散は困難であった。したがって組成物の安定性は低い。
2.リチウムイオン電池用セパレータ
上記のスラリー組成物を調製した後に、単層PE膜(厚さ12μm)の片面をバーコーティングによって直ちにコーティングした。乾燥後に、この実施形態のリチウムイオン電池用セパレータが得られた。コーティングの厚さは2μmであり、これはセパレータの厚さの14%であった。セパレータのMDの熱収縮率は1.6%であり、TDの熱収縮率は0.6%であった(1時間の150℃でのベーキングによる)。これは、セパレータが良好な熱安定性を有するということを意味する。
<比較例2>
1.リチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物
リチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物は実施例6のものと同様であったが、ただしコア‐シェル構造を有する有機微粒子(ポリプロピレングリコールがシェルであり、ポリイミドがコアであるもの)は含有しなかった。リチウムイオン電池用セパレータ向けのスラリー組成物の固形分は、この比較例では30.30%とした。20日間放置した後に観察した。組成物は良好な分散性を保持しており、堅固な集塊を示さなかった。これは安定性が良好であるということを示唆している。
2.リチウムイオン電池用セパレータ
上記スラリー組成物を、単層PE膜(厚さ20μm)の片面にトランスファーロールコーティング法によってコーティングした。乾燥後に、この例のリチウムイオン電池用セパレータが得られた。コーティングの厚さは5μmであり、これはセパレータの厚さの20%であった。セパレータのMDの熱収縮率は4.2%、TDの熱収縮率は3.3%であった(1時間の150℃でのベーキングによる)。これは、比較例2のセパレータの熱安定性が実施例1−6より劣るということを意味している。
Figure 2016025093
略称:
DMAc:ジメチルアセトアミド
PP:ポリプロピレン
PE:ポリエチレン
MD:機械方向、縦方向
TD:横方向
上記の説明は本発明の最良の実施形態に過ぎず、本発明の範囲はそれらに限定されない。任意の改変または代替は本発明の開示に基づいて当業者によって容易に想到され得、それらは全て本発明の範囲に属する。
発明を実施するための形態において詳しく説明しなかった内容は、当業者の公知技術である。

Claims (19)

  1. スラリー組成物であって、
    0.05〜3μmの平均粒径を有する無機微粒子の10〜50質量部と、
    水溶性ポリマーの0〜5質量部と、
    水不溶性有機微粒子の0.01〜20質量部と、
    水の35〜90質量部と、
    を含んでなり、
    前記水不溶性有機微粒子がコア‐シェル構造を有し、
    前記水不溶性有機微粒子のコアが、170℃超の融点またはガラス転移点を有する水不溶性ポリマーからなる、
    ことを特徴とするスラリー組成物。
  2. 請求項1に記載のスラリー組成物であって、
    前記無機微粒子が、Al、SiO、TiO、MgO、ZrO、CeO、NiO、CaO、ZnO、Y、Si、Ti、Ti、BN、AlN、TiC、SiC、CaCO、BaTiO、BaSO、Al(SO、Al(OH)、KTiO、MgSiO、CaSiO、SiS、SiPO、およびSnTiOからなる群から選択される1つ以上、好ましくはAl、SiO、またはTiOであり、
    前記無機微粒子の平均粒径が0.1〜1μm、好ましくは0.2〜0.6μmである、
    ことを特徴とするスラリー組成物。
  3. 請求項1に記載のスラリー組成物であって、
    前記水溶性ポリマーが、アミノ、イミノ、カルボキシル、およびヒドロキシル基から選択される1つ以上の親水性基をその主鎖および/または分岐鎖中に含有するポリマーであることを特徴とするスラリー組成物。
  4. 請求項3に記載のスラリー組成物であって、
    前記水溶性ポリマーが、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシメチルセルロース、セルロース、グルコース、デンプン、およびデンプンナトリウム加水分解物からなる群から選択される1つ以上であることを特徴とするスラリー組成物。
  5. 請求項1に記載のスラリー組成物であって、
    前記水不溶性有機微粒子のコアを構成する水不溶性ポリマーが、ポリフェニレンスルホン、ポリアミド、ポリアリールエステル、およびポリイミドからなる群から選択される1つ以上であることを特徴とするスラリー組成物。
  6. 請求項1に記載のスラリー組成物であって、
    前記水不溶性有機微粒子のシェルが、アミノ、イミノ、カルボキシル、またはヒドロキシル基から選択される1つ以上の親水性基をその主鎖および/または分岐鎖中に含有するポリマーであることを特徴とするスラリー組成物。
  7. 請求項6に記載のスラリー組成物であって、
    前記水不溶性有機微粒子のシェルが、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシメチルセルロース、セルロース、グルコース、デンプン、およびデンプンナトリウム加水分解物からなる群から選択される1つ以上であることを特徴とするスラリー組成物。
  8. 請求項1、5、6、または7に記載のスラリー組成物であって、
    前記水不溶性有機微粒子のコアを構成する水不溶性ポリマー対前記水不溶性有機微粒子のシェルを構成するポリマーの質量比が、10:1〜1:100、好ましくは5:1〜1:10であることを特徴とするスラリー組成物。
  9. 請求項1、3、4、5、6、または7に記載のスラリー組成物であって、
    前記水溶性ポリマーの数平均分子量が200〜1,000,000、好ましくは500〜500,000であり、
    前記水不溶性ポリマーの数平均分子量が5,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜500,000であり、
    前記水不溶性有機微粒子のシェルの数平均分子量が200〜1,000,000、好ましくは500〜500,000である、
    ことを特徴とするスラリー組成物。
  10. 請求項1に記載のスラリー組成物であって、
    前記水不溶性有機微粒子が、棒状、球状、フレーク状、または楕円体状、好ましくは球状または楕円体状の形状であり、
    その平均粒径が0.01〜0.5μm、好ましくは0.03〜0.45μmである、
    ことを特徴とするスラリー組成物。
  11. 請求項1に記載のスラリー組成物であって、
    前記無機微粒子対前記水溶性ポリマーの質量比が90:10〜99.99:0.01であり、前記無機微粒子対前記水不溶性有機微粒子の質量比が60:40〜99.9:0.1であることを特徴とするスラリー組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のスラリー組成物であって、
    0.05〜3μmの平均粒径を有する無機微粒子の20〜40質量部と、
    水溶性ポリマーの0.001〜5質量部と、
    水不溶性有機微粒子の0.1〜5質量部と、
    水の50〜85質量部と、
    を含んでなることを特徴とするスラリー組成物。
  13. リチウムイオン電池用セパレータであって、
    少なくとも1つのポリマー微多孔質層と、
    請求項1〜11に記載のスラリー組成物によって形成される少なくとも1つのコーティング層と、
    を備えることを特徴とするリチウムイオン電池用セパレータ。
  14. 請求項13に記載のリチウムイオン電池用セパレータであって、
    前記ポリマー微多孔質層がポリオレフィン微多孔質膜であり、
    前記ポリオレフィンが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、およびポリ塩化ビニルからなる群から選択される1つ以上である、
    ことを特徴とするリチウムイオン電池用セパレータ。
  15. 請求項13に記載のリチウムイオン電池用セパレータであって、
    前記ポリマー微多孔質層が、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリイミドアミド、およびポリテトラフルオロエチレンからなる群から選択される1つ以上の樹脂からなる微多孔質膜であり、あるいは、
    前記ポリマー微多孔質層が、前記樹脂の繊維を織った微多孔質膜、または前記樹脂の繊維からなる不織布の微多孔質膜である、
    ことを特徴とするリチウムイオン電池用セパレータ。
  16. 請求項13、14、または15に記載のリチウムイオン電池用セパレータであって、
    前記ポリマー微多孔質層が単層構造、二層構造、三層構造、または多層構造を有することを特徴とするリチウムイオン電池用セパレータ。
  17. 請求項13、14、または15に記載のリチウムイオン電池用セパレータであって、
    前記ポリマー微多孔質層の厚さが6〜40μm、好ましくは9〜30μmであることを特徴とするリチウムイオン電池用セパレータ。
  18. 請求項13、14、または15に記載のリチウムイオン電池用セパレータであって、
    前記スラリー組成物によって形成されるコーティング層の厚さが0.5〜20μm、好ましくは1〜10μmであることを特徴とするリチウムイオン電池用セパレータ。
  19. 請求項13、14、または15に記載のリチウムイオン電池用セパレータであって、
    前記スラリー組成物が前記ポリマー微多孔質層表面にコーティングされて前記コーティング層を形成し、
    前記コーティング層が前記電池用セパレータの厚さの5〜70%、好ましくは10〜60%の厚さを有する、
    ことを特徴とするリチウムイオン電池用セパレータ。
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