JP2015529333A - Ft−icr−ms/msを使用した、歯肉炎および歯周炎のバイオマーカーのための唾液プロテオームの分析 - Google Patents
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Abstract
Description
歯周疾患は、成人が歯を失う主な原因である。したがって、個体が歯周炎を発現したか否かの確率を同定するための診断試験が開発されてきた。口腔液に基づくポイントオブケース(oral−fluid−based point−of−case)(POC)診断が、医学の種々の診断試験に広く使用され、より最近では、口腔疾患の決定に適合されている(Tabak,2007,Ann N Y Acad Sci1098:7−14)。POC診断のための口腔液の使用は、口腔がん(Li et al.,2004,Clin Cancer Res 10:8442−8450;Zimmerman et al.,2008,Oral Oncol.44(5):425−9)またはHIV感染(Delaney et al.,2006,Aids 20:1655−1660)の検出に効果的であることが示された。
例示的な態様において、歯周疾患の状態を診断するための方法が、本明細書において実証される。前記方法には、歯肉溝滲出液(GCF)サンプルおよび唾液サンプルの少なくとも一方を提供すること、歯周炎の特定の状態を同定するための1セットのタンパク質バイオマーカーを選択すること、ならびに歯周疾患の状態を診断するための、前記選択されたセットのタンパク質バイオマーカーの発現レベルを決定すること、が含まれる。
前記方法の別の側面において、前記セットのタンパク質バイオマーカーを、歯周的健康状態と疾患状態とを区別するために選択する。
前記方法のいくつかの側面において、前記セットのタンパク質バイオマーカーには、ヘモグロビン鎖アルファおよびベータ、炭酸脱水酵素1(国際タンパク質目録または「IPI」 #IPI00980674)、ならびにプラスチン1からなる群から選択される、少なくとも1種のタンパク質が含まれる。
前記方法の、なお別の側面において、前記セットのタンパク質バイオマーカーには、アルファ−1−酸性糖タンパク質1および2、マトリクスメタロプロテイナーゼ−9、ペプチジル−プロリルcis−transイソメラーゼA、ならびにハプトグロビン関連タンパク質(IPI00431645.1)からなる群から選択される、少なくとも1種のタンパク質が含まれる。
前記方法の側面において、前記セットのタンパク質バイオマーカーには、アルファ−N−アセチルガラクトサミニダーゼが含まれる。
前記方法の、なお別の側面において、前記セットのタンパク質バイオマーカーには、2種または3種以上のバイオマーカーが含まれる。
前記方法の別の側面において、前記方法は、さらに、前記少なくとも1種の口腔液サンプルのプロテオームを分析することによりタンパク質プロファイルを生じさせること、および前記タンパク質プロファイルをクラスタリングして1セットのタンパク質バイオマーカーを決定すること、を含む。
前記キットの別の側面において、前記キットは、歯肉炎または軽度の歯周炎を診断し、前記セットのタンパク質バイオマーカーには、さらに、唾液データクラスター1B、1D、1A4、および1A5からの、少なくとも1種のタンパク質バイオマーカーが含まれる。
図面の簡単な説明
前記開示された方法およびキットにより可能となる、これらのおよび他の側面、特徴および利点は、添付の図面を参照して、前記方法およびキットの態様の以下の記載から明らかとなり、説明される。
当業者が前記開示された方法およびキットを実施することができるために、本願の前記方法およびキットのいくつかの態様を、添付の図面を参照して、以下でより詳細に説明する。しかしながら、前記方法およびキットを、多くの異なる形態で具体化してもよく、本明細書に記載される前記態様に限定されるものとみなしてはならない。むしろ、これらの態様を提供することにより、この開示が徹底され、完全にされ、当業者には本開示の方法およびキットの範囲を完全に伝達するであろう。前記態様は、開示された方法およびキットの範囲を限定するものではない。前記態様は、添付の特許請求の範囲により限定されるのみである。さらに、前記添付の図面において例示される前記特定の態様の詳細な説明において使用される専門用語は、前記開示された方法またはキットを限定することを意図するものでない。
S110において、前記選択されたセットのタンパク質バイオマーカー中の前記タンパク質の発現レベルを決定して、前記口腔疾患の状態を診断する。
前記方法のさらなる側面において、歯肉炎または軽度の歯周炎を同定するために、ならびにそれらを重度の歯周炎状態と区別するために、1種または2種以上のタンパク質バイオマーカーを、NADPHオキシダーゼおよびアルファ−N−アセチルガラクトサミニダーゼから選択する。
例1
歯肉溝滲出液(GCF)および唾液のプロテオームを分析して、例えば、歯肉炎、軽度の歯周炎、および重度の歯周炎などの異なる口腔疾患の状態のバイオマーカーを同定した。GCFおよび唾液サンプルを、何人かの患者の口腔から非侵襲的に採取した。フーリエ変換−タンデム質量スペクトル計(FT MS/MS)に連結された、液体クロマトグラフィー法を使用して、前記サンプル内からタンパク質バイオマーカーを分離して、前記タンパク質バイオマーカーを同定した。
1.歯周病について健康的かおよび疾患的かを区別すること
2.歯肉炎および歯周炎を区別すること
3.軽度および重度の歯周炎を区別すること
ができる、新規なタンパク質バイオマーカーを、歯肉溝滲出液(GCF)および誘導唾液の非推定プロテオーム分析により見出した。
ボランティアは、標準ろ紙片(Periopapers(登録商標))上で非侵襲的に、前記歯肉(歯茎)縁から採取されたGCFの6個のサンプルを提供することを求められた。彼らはまた、滅菌マーブル(sterile marble)を彼らの口腔内を5分間回転させて、体積測定用段階的滅菌ガラス採取バイル(a graduated sterile glass collection vile)中に吐き出すことより、誘導唾液サンプルを提供することを求められた。
GCFサンプル
GCFサンプルを、ボランティア毎に6本の歯の近心面頬面(mesio−buccal)サイトから、従来のとおりに(as is convention)30秒間、Perotron 8000(登録商標)で体積を読み、Periopaper片上に採取した(Chapple et al 1999)。これらを1.5mL スクリュートップクライオチューブ中の、400μLの100mM 炭酸アンモニウム緩衝液中に置いた。前記GCFサンプルを、直ちに−80℃まで凍結した。分析に先立って、GCFを氷上で解凍した。前記チューブを30秒間ボルテックスして、溶液を清潔なスナップトップエッペンドルフチューブ中に除去した。200μLの炭酸アンモニウム(100mM)を、前記片に添加した。これらを、30秒間、再度ボルテックスして、13,000RPMで5分間、再度遠心分離した。溶液を除去して、前のものに添加した。群内の各サンプルから、150μLを合わせて、群毎に、単一の「プールされた(pooled)」サンプルを得た。個別の患者サンプルを戻して(held back)、いったん好ましいバイオマーカーパネルが解明されたところで、患者特有レベルでの研究後の再評価が可能となるようにした。したがって、6×1.5mL「母集団」サンプルが、表3に示すとおり、MSによるプロテオーム分析に利用可能であった。
唾液の分泌を、滅菌マーブルを使用して誘導し、15mLファルコンチューブ中に5分間採取した。チューブを、−80℃で凍結させた。分析に先立って、前記唾液を4℃で解凍した。追加のファルコンチューブを、解凍前に秤量して、透明の(clarified)唾液を移動した。いったん解凍されたところで、前記唾液を、1.5mL スナップトップエッペンドルフチューブ中に等分して、13,000RPMで5分間、遠心分離した。上澄みを、前記予め秤量されたチューブ中に移動した。前記破片ペレット(debris pellet)をまた、今後の分析のために保持した。唾液の重量および体積の両方を記録した。群毎に、10μLの各唾液サンプルを、GCFサンプルと同様のやり方で合わせた。しかしながら、GCFとは異なり、唾液は、無歯患者群(群5)から利用可能であったため、合計7×105μLの「母集団」の唾液サンプルとなった。GCFについては、前記個別の患者サンプルを戻して、今後の「患者レベル」分析が可能となるようにした。前記プールされた唾液サンプルを、13,000RPMで5分間、遠心分離して、100μLを保持した。これは、最終サンプル中に、破片が移動されないことを保証するものであった。炭酸アンモニウム(100μL、200mM)を、各サンプルに添加した。
ジチオトレイトール(dithiothrietol)を、GCFおよび唾液サンプルの両方に添加し(20μL、50mM)、これらを、60℃で45分間振とうしながらインキュベートして、あらゆるジスルフィド結合を還元した。前記サンプルを、ヨードアセトアミド(100μL、22mM)の添加および暗所での25分間室温でのインキュベートの前に室温に戻した。ヨードアセトアミドは、システイン残基上の遊離チオール基をアルキル化する。ジチオトレイトール(2.8μL、50mM)を添加して、残留する、あらゆるヨードアセトアミドをクエンチした。1μgのLys−C(リシン残基のC末端でタンパク質を切断するもの)を、各サンプル(1:100 酵素:タンパク質)に添加して、37℃で振とうしながら4時間インキュベートした。2μgのトリプシン(リシンおよびアルギニン残基のC末端でタンパク質を切断するもの)を添加し、一晩37℃で、消化を継続した。
各画分を、三連で、LC−MS/MSにより分析した。ペプチドを移動相A(0.1% ギ酸)中で、150mm Acclaim PepMap100 C18カラム上に負荷した。ペプチドを、350nl/分の流速で、3.2%から44%の移動相B(アセトニトリル+0.1% ギ酸)の線形勾配により、分離した。3.2%の移動相Bにおいて再平衡化する前に、前記カラムを、次いで90%の移動相Bで洗浄した。前記カラムオーブンを、35℃まで加熱した。前記LCシステムを、Advion Triversa Nanomate(Advion,Ithaca,NY)に連結し、これは、1.7kVのスプレー電圧で前記ペプチドを注入した。ペプチドを、前記LTQ−Orbitrap Velos ETD(Thermo Fischer Scientific,Bremen,ドイツ国)中に、直接注入した。前記質量分析計に、フルFT−MSスキャン(m/z 380〜1600)を行い、続いて、3種の最も存在量のあるイオンの解離衝突誘起解離(CID)MS/MSスキャンを行い、これに続いて同一の3種のイオンの高エネルギー衝突解離(HID)を行った。前記CIDスペクトルを使用して、前記ペプチドを同定し、前記HCDスペクトルを使用してそれらを定量した。
前記データを、Proteome Discoverer(V1.2,Thermo Fisher Scientific)を使用して分析した。データを技術的反復(technical repeat)として分析した。MascotおよびSEQUESTアルゴリズムを使用して、使用した同一の設定で前記データを探索した。前記データベースは、Socranskyにより記載されたとおりの、口腔細菌が補充された前記IPIヒトデータベースであった。このデータベースを、リバースバージョン(reverse version)で連結して、過誤率(false discovery rate)を提供した。前記データを、以下の設定で探索した:セミトリプシンを、最大で2個の切断部欠如を有する前記酵素として選択し、前記前駆体イオンについて5ppmの質量精度であり、フラグメントイオン質量許容差を0.5Daに設定した(semi−trypsin was selected as the enzyme with a maximum of 2 missed cleavages,5 ppm mass accuracy for the precursor ion,fragment ion mass tolerance was set to 0.5 Da)。システインのカルボキシアミドメチル化ならびにN−末端およびリシン残渣へのiTRAQ添加を、静的修正として設定した。セリン、トレオニンおよびチロシンのホスホリル化を、メチオニンの酸化およびチロシンへのiTRAQ添加と同様に、可変修正(variable modification)として設定した。
全てのGCFサンプルの前記分析から、270種のタンパク質が、2つまたは3つ以上のペプチドで同定された。これは、264種のヒトタンパク質および6種の細菌タンパク質を含むものであった。前記同定されたタンパク質を、添付の追加の表1において、関連する定量値に沿って示す。全てのタンパク質を、健康な対照群に対する比で示す(ラベル113−健康)。このデータを、続いて、採取されたGCF体積に正規化して、またlog変換して(底2)、陽性または陰性生存量値を得た。
見出されたタンパク質を、前記PolySNAP 3ソフトウェアを使用してクラスタリングした。PolySNAP 3は、各一次元タンパク質プロファイルを、他の全てと比較し、ピアソンパラメータのおよびスピアマン非パラメータの相関係数の加重平均を使用して、類似スコアを生じさせる。前記プロファイルを、主成分分析、ガンマ統計法、および計量多次元尺度法(MMDS)を含む統計法の組み合わせを使用してクラスタリングした。前記データを、次いで、系統樹、PCAプロット、およびMMDSプロットで視覚化した。この分析において、群平均リンク階層的クラスタリング法および完全リンク階層的クラスタリング法を使用して、前記データをグループ化した。全ての場合において、使用したクラスターの数を、自動的にPolySNAP 3により設定した。
前記群平均クラスタリングから、3回のクラスタリングを行った。最大数のタンパク質を有する前記群を、各点において再クラスタリングした。
図4を参照すると、第1回の分析により、6個のクラスターが提供された。クラスター1は、前記タンパク質の大部分(243種のタンパク質)を含み、クラスター2は、19種のタンパク質を含み、クラスター3、5および6は、それぞれ1種のみのタンパク質を含み、クラスター4は、5種のタンパク質を含むものであった。
前記タンパク質、同定された、関心のあるクラスターである、クラスター3、4および5を、添付の追加の表2に示す。
図5を参照すると、図4のクラスター1からの前記243種のタンパク質を再クラスタリングし、合計4つの群を得た。群1Aは、前記タンパク質の主要部(233種)を含み、群1Bおよび1Cは、それぞれ2種のタンパク質を含み、群1Dは、6種のタンパク質を含むものであった。群1Dは、歯周炎で増加する前に、健康および歯肉炎間でほとんど変化を示さない。軽度の歯周炎および処置された軽度の歯周炎間で相対的存在量が下落して、前記処置された重度の歯周炎でベースラインへ戻っている。群1Cで同定された前記2種のタンパク質は、前記処置されたサンプル中で前記ベースラインに向かって戻る前に、歯肉炎まで減少して2つの歯周炎群まで大きく減少して、疾患に従うと思われる(appear to follow)。かかるタンパク質は、処置が成功したか否かの結果測定として分析したものと想定され得る。
関心のあるクラスター中で同定された前記タンパク質である、クラスター1Cおよび1Dを、添付の追加の表3に示す。
図6を参照すると、図5のクラスター1Aからの前記233種のタンパク質を再度クラスタリングし、4つのクラスターを得たが、存在量の変化は、ここでは、対数スケールで2より小さい(4倍の増加/減少)。最大クラスター(1A1)は、なお171種のタンパク質を含み、クラスター1A2は、50種のタンパク質を含み、1A3は、10種のタンパク質を含み、1A4は、2種のタンパク質を含むものであった。再び、この分析において、潜在的に関心のある群があるように思われる。
関心のある各クラスター中で同定された前記タンパク質である、クラスター1A3および1A4を、添付の追加の表4に示す。
図7を参照すると、図6のクラスター1A1からの前記171種のタンパク質について、最終回のクラスタリングが行われた。これにより、図6に示す4つの群が得られた。この分析から、関心があると思われるクラスターはない。
複数回のクラスタリング分析により、GCF中に、歯周炎の異なる疾患状態を区別し得る、いくつかの群があることが示唆される。
全ての唾液サンプルを、GCFサンプルと同様に分析した。314種のタンパク質が、2つまたは3つ以上のペプチドで同定され、これは、307種のヒトタンパク質および7種の細菌タンパク質を含むものであった。1種のタンパク質を、1種のサンプル群(無歯)においてのみ同定した。前記同定されたタンパク質を、添付の追加の表5において、関連する定量値に沿って示す。
第1回のクラスタリング
前記クラスタリング分析について、前記無歯サンプルは含まれなかった。PolySNAP 3を使用してクラスタリング分析を行った。図8を参照すると、第1回のクラスタリングにより、5個のクラスターを得た。最大クラスター(1)は、297種のタンパク質を含む一方で、クラスター2および5は、それぞれ1種のタンパク質を含むものであった。クラスター3は、11種のタンパク質を含み、クラスター4は、3種のタンパク質を含むものであった。前記GCFデータセットと同様に、疾患で下方制御されて処置後にベースラインに戻らない、タンパク質の群がある。クラスター2は、重度の歯周炎を、より軽度の状態と区別すると思われる。
関心のある前記クラスターにおいて同定された前記タンパク質である、クラスター2を、添付の追加の表6に示す。
図9を参照して、図8からのクラスター1を、再クラスタリングして、さらに4つのクラスター群を得た。最大の群は、166種のタンパク質を含むものであった(クラスター1A)。クラスター1Bおよび1Dは、それぞれ14種および1種のタンパク質を含むものであった。これらの2つの群は、歯肉炎/軽度の歯周炎および重度の歯周炎を区別し得る。しかしながら、両方の場合において、重度の歯周炎への前記シグナルは健康レベルに近いが、処置後に、軽度および重度の歯周炎の両方についてタンパク質存在量の増加が起こる。クラスター1Cは、116種のタンパク質を含むものであった。この群において、健康および歯肉炎間ではほとんど変化を示さず、その後、重度の歯周炎への大幅な増加の前に、軽度の歯周炎への増加がある。これらの値は、前記処置されたサンプルにおいて減少するが、前記歯肉炎の群より、なお高いレベルである。
関心のある各クラスターにおいて同定された前記タンパク質である、クラスター1Bおよび1Cを、添付の追加の表7に示す。
図10を参照すると、図9からのクラスター1Aを、再クラスタリングした。クラスター1Aにより、5つの群が得られ、最大クラスター(1A1)は、150種のタンパク質を含むものであった。ここでは、いかなる顕著なクラスターがあるとも思われない。クラスター1A4により、3種のタンパク質が提供され、クラスター1A5により、1種のタンパク質が提供された。クラスター1A4および1A5における前記タンパク質バイオマーカーは全て、軽度の歯周炎におけるものよりは大きく、重度の歯周炎におけるものよりは小さい、健康および歯肉炎間でタンパク質存在量の増加または減少を示す。
クラスター1A4および1A5において同定された前記タンパク質を、添付の追加の表8に示す。
図12を参照すると、図10からのクラスター1A1を再クラスタリングした。5つのクラスターが観測され、重度の歯周炎についての存在量の増加を示すタンパク質の群(クラスター1A1b)が観測されたが、その他の群には観測されなかった。このクラスター中で同定された、5種のタンパク質があった。クラスター1A1bにおいて同定された前記タンパク質を、添付の追加の表10に示す。
前記2個のデータセットにおいて観測された前記タンパク質を比較して、唾液およびGCFサンプルの両方において見出されたタンパク質バイオマーカーを同定した。図13を参照すると、95種のタンパク質が、前記GCFおよび唾液中で同定され、図13のベン図の重複領域により表される。これは、前記GCFデータセットで同定されたタンパク質の総数のおよそ3分の1である。
前記GCFおよび唾液データセットに、The Database for Annotation,Visualization and Integrated Discovery(DAVID)を使用した、遺伝子オントロジー分析は、前記唾液データセットにおける最も顕著に強化された生物学的プロセスは、防御応答であり、GCFデータセットにおいては、細胞骨格形成であったことを示す。上位20個のプロセスを、添付の追加の表12に示す。前記20個のうちの7個は、防御応答、刺激に対する応答、および解糖を含め、GCFおよび唾液の両方において強化される。
例示的な態様において、歯周疾患の状態を診断するための方法が、本明細書において実証される。前記方法には、歯肉溝滲出液(GCF)サンプルおよび唾液サンプルを提供すること、前記GCFサンプルのプロテオームを分析することにより第1タンパク質プロファイルを生じさせること、前記唾液サンプルのプロテオームを分析することにより第2タンパク質プロファイルを生じさせること、前記第1タンパク質プロファイルおよび前記第2タンパク質プロファイル間の重複領域を決定すること、歯周炎の特定の状態を同定するための1セットのタンパク質バイオマーカーを選択すること、ならびに歯周疾患の状態を診断するための、前記選択されたセットのタンパク質バイオマーカーの発現レベルを決定すること、が含まれ、ここで、前記歯周炎の状態を区別するための前記セットのタンパク質バイオマーカーを選択することには、歯周炎の異なる段階の間の前記重複領域内でのタンパク質の存在量(abundance)の変化を計算すること、および歯周炎の単一状態の間に、低発現するまたは高発現する(under or over expressed)、それらのタンパク質を選択すること、が含まれる。
前記キットの別の側面において、前記キットは、歯肉炎または軽度の歯周炎を診断し、前記セットのタンパク質バイオマーカーには、さらに、コイルドコイルドメイン含有タンパク質86、チモーゲン微小体タンパク質16ホモログB、NADPHオキシダーゼ活性化剤1のアイソフォーム2、唾液酸性プロリンリッチホスホタンパク質1/2、下垂体腫瘍形質転換遺伝子タンパク質、Rab−3Aについてのグアニンヌクレオチド交換ファクターのアイソフォーム2、AngRem52、アルファ−N−アセチルガラクトサミニダーゼ、Bardet−Biedl症候群10タンパク質、cDNA FLJ57374、16kDa タンパク質、チチン アイソフォーム N2−B、未同定タンパク質 TP_0451 OS=梅毒トレポネーマ (株 Nichols) GN=TP_0451 PE=4 SV=1−[Y451_TREPA]、cDNA FLJ55140、グルタミン酸デカルボキシラーゼ2、国際タンパク質目録または「IPI」 #IPI01021118.1を有するタンパク質、ホスホキャリアータンパク質HPr OS=ストレプトコッカス サリバリウス GN=ptsH PE=1 SV=2−[PTHP_STRSL]、および唾液プロリンリッチタンパク質2から選択される、少なくとも1種のタンパク質バイオマーカーが含まれる。
Claims (16)
- 歯周疾患の状態を診断するための方法であって、以下:
歯肉溝滲出液(GCF)サンプルおよび唾液サンプルの少なくとも一方を提供すること;
歯周炎の特定の状態を同定するための1セットのタンパク質バイオマーカーを選択すること;および
歯周疾患の前記状態を診断するための、前記選択されたセットのタンパク質バイオマーカーの発現レベルを決定すること、
を含む、方法。 - 前記セットのタンパク質バイオマーカーを、歯肉炎の状態と歯周炎の状態とを区別するために選択する、請求項1に記載の方法。
- 前記セットのタンパク質バイオマーカーを、歯周的健康状態と疾患状態とを区別するために選択する、請求項1に記載の方法。
- 前記セットのタンパク質バイオマーカーを、軽度の歯周炎の状態と重度の歯周炎の状態とを区別するために選択する、請求項1に記載の方法。
- 前記セットのタンパク質バイオマーカーに、ヘモグロビン鎖アルファおよびベータ、炭酸脱水酵素1(国際タンパク質目録または「IPI」 #IPI00980674)、ならびにプラスチン1からなる群から選択される、少なくとも1種のタンパク質が含まれる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記セットのタンパク質バイオマーカーに、S100−P、トランスアルドラーゼ、S100−A8(カルグラニュリン−A)、ミオシン−9、ヘモグロビンアルファおよびヘモグロビンベータからなる群から選択される、少なくとも1種のタンパク質が含まれる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記セットのタンパク質バイオマーカーに、アルファ−1−酸性糖タンパク質1および2、マトリクスメタロプロテイナーゼ−9、ペプチジル−プロリルcis−transイソメラーゼA、ならびにハプトグロビン関連タンパク質(IPI00431645.1)からなる群から選択される、少なくとも1種のタンパク質が含まれる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記セットのタンパク質バイオマーカーに、NADPHオキシダーゼおよびアルファ−N−アセチルガラクトサミニダーゼからなる群から選択される、少なくとも1種のタンパク質が含まれる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記セットのタンパク質バイオマーカーに、アルファ−N−アセチルガラクトサミニダーゼが含まれる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記セットのタンパク質バイオマーカーに、タンパク質 S100−A11(IPI00013895.1)、タンパク質 IPI00037070.3、カタラーゼ(IPI00465436.4)、コリントランスポーター様タンパク質2誘導体(IPI00903245.1)、およびチチンのアイソフォーム N2−B(IPI00985334.2)からなる群から選択される、少なくとも1種のタンパク質が含まれる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記セットのタンパク質バイオマーカーに、2種または3種以上のバイオマーカーが含まれる、請求項5〜8および10のいずれか一項に記載の方法。
- 歯肉炎および歯周炎を区別するために選択された、1セットのタンパク質バイオマーカーを含む、歯周疾患の状態を診断するためのキット。
- 前記セットのタンパク質バイオマーカーに、ヘモグロビン鎖アルファおよびベータ、炭酸脱水酵素1(国際タンパク質目録または「IPI」 #IPI00980674)、ならびにプラスチン1からなる群から選択される、少なくとも1種のタンパク質が含まれる、請求項12に記載のキット。
- 前記キットが、歯肉炎または軽度の歯周炎を診断し、前記セットのタンパク質バイオマーカーに、さらに、唾液データクラスター1B、1D、1A4、および1A5からの、少なくとも1種のタンパク質バイオマーカーが含まれる、請求項12に記載のキット。
- 以下:
前記GCFサンプルおよび唾液サンプルの両方を提供すること;
GCFサンプルおよび唾液サンプルのプロテオームを分析することにより第1および第2タンパク質プロファイルを生じさせること;
前記第1および第2タンパク質プロファイル間の重複領域を決定すること、
をさらに含み、
ここで、歯周炎の特定の状態を区別するために、前記セットのタンパク質バイオマーカーを選択することに、歯周炎の異なる段階の間の前記重複領域内でのタンパク質の存在量の変化を計算すること、および歯周炎の単一状態の間に、低発現するまたは高発現する、それらのタンパク質を選択すること、を含む、
請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。 - さらに、以下:
前記少なくとも1種の口腔液サンプルのプロテオームを分析することによりタンパク質プロファイルを生じさせること;および
前記タンパク質プロファイルをクラスタリングして1セットのタンパク質バイオマーカーを決定すること、
を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
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