JP2005201768A - 歯周疾患の検出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】被検者の負担が少なく、簡便、かつ、正確に、歯周疾患を検出する手段を提供すること。
【解決手段】唾液に対して、抗ヒトヘモグロビン抗体を結合させたラテックス粒子を接触させ、当該ラテックス粒子の凝集の程度により、当該唾液中のヘモグロビン濃度を決定し、さらに、当該決定値を指標として歯周疾患を検出する方法において、唾液中のヘモグロビン濃度が0〜1μg/ml未満を歯周疾患陰性、および、同1μg/ml以上を歯周疾患陽性、として検出する歯周疾患の検出方法を提供することにより、上記の課題を解決し得ることを見いだした。
【選択図】 なし
【解決手段】唾液に対して、抗ヒトヘモグロビン抗体を結合させたラテックス粒子を接触させ、当該ラテックス粒子の凝集の程度により、当該唾液中のヘモグロビン濃度を決定し、さらに、当該決定値を指標として歯周疾患を検出する方法において、唾液中のヘモグロビン濃度が0〜1μg/ml未満を歯周疾患陰性、および、同1μg/ml以上を歯周疾患陽性、として検出する歯周疾患の検出方法を提供することにより、上記の課題を解決し得ることを見いだした。
【選択図】 なし
Description
本発明は、特定疾患の検出方法、さらに具体的には、歯肉炎、歯周病等の、歯周疾患の検出方法に関する発明である。
歯周疾患は、歯を支えているまわりの組織である、歯肉や歯槽骨等の病気であり、虫歯と異なり、ほとんど痛みがなく、気づかないうちに進行することが多い。しかしながら、放置すると、症状は進行し、やがて歯が抜けることとなる。
特に、近年の日本においては、食生活の欧米化が進み、比較的柔らかな食品を好む傾向や、精神的ストレスの増加等により、歯周疾患が起きる度合いが高まっている。
歯周疾患の対策としては、正しい歯磨きや、定期検診によるプラークコントロール、食生活の改善等の予防行為が挙げられるが、現実的には、進行しつつある歯周疾患をいかに的確に発見し、その症状に適した治療を行うか、というところが非常に重要なポイントとなっている。
歯周疾患の診断法としては、例えば、レントゲン検査、プラーク付着検査、ポケット測定検査等が挙げられるが、特に、歯肉にのみ炎症が生じている、初期の歯肉炎の段階での発見は、担当した歯科医師の技量に依るところが大きいことは否定できない。
安井利一:口腔衛生学雑誌33(3)120-121(1983) 神山 義信:日本歯周病学会誌25(2)356-361(1983) 赤坂守人他:小児歯科学雑誌23(1)103-110(1985) 佐野祥平:口腔衛生学雑誌40(3)305-318(1990) 安井利一他:日本歯科評論587,189-197(1991)
安井利一:口腔衛生学雑誌33(3)120-121(1983) 神山 義信:日本歯周病学会誌25(2)356-361(1983) 赤坂守人他:小児歯科学雑誌23(1)103-110(1985) 佐野祥平:口腔衛生学雑誌40(3)305-318(1990) 安井利一他:日本歯科評論587,189-197(1991)
歯周疾患は、歯肉炎の段階であれば、正しい歯磨きや、歯石の除去により改善することが知られている。仮に、この初期段階の歯周疾患を、簡便、かつ、正確に検出し得る手段が提供されれば、歯周炎等の深刻な歯周疾患に罹患する危険性を低下させることが可能なはずである。
よって、本発明が解決すべき課題は、このような、被検者の負担が少なく、簡便、かつ、正確に、歯周疾患を検出する手段を提供することにあるが、特に、唾液検査の中でも、歯周疾患時の出血現象に直接的に関連する、唾液中のヘモグロビン量を指標とする有効な歯周疾患の検出手段を提供することにある。
上記の先行文献に記載または示唆されているように、歯周組織の状態と唾液中での血液成分の関連性は、すでに報告されている。これまでに、歯周疾患のスクリーニング法として、唾液中の潜血濃度を判定する試験紙が用いられている。しかしながら、このような試験紙では、多くの唾液検体を一度に処理することは困難で、さらに、目視による比色判定によるので、多くの唾液献体の潜血濃度を正確に把握することも困難である。また、このような比色判定において、歯周疾患との関連における明確なカットオフ値が見いだされているわけでもない。
本発明者は、この課題の解決に向けて検討を行った結果、抗ヒトヘモグロビン抗体を結合したラテックス粒子を用いた免疫比濁法を用いることにより、汎用の自動分析機で、一度に多くの唾液検体の潜血濃度を正確に把握することが可能であることを見いだした。さらに、この潜血濃度と、歯周疾患との間の正確なカットオフ値をも見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、唾液に対して、抗ヒトヘモグロビン抗体を結合させたラテックス粒子を接触させ、当該ラテックス粒子の凝集の程度により、当該唾液中のヘモグロビン濃度を決定し(以下、この決定方法を、Hb濃度決定方法ともいう)、さらに、当該決定値を指標として歯周疾患を検出する方法において、唾液中のヘモグロビン濃度が0〜1μg/ml未満を歯周疾患陰性、および、同1μg/ml以上を歯周疾患陽性、として検出する、歯周疾患の検出方法(以下、本検出方法ともいう)を提供し、さらに、本検出方法を行うためのキット(以下、本キットともいう)を提供する発明である。
Hb濃度決定方法
上記のHb濃度決定方法は、いわゆるラテックス凝集免疫比濁法によるヘモグロビン濃度の決定法であり、凝集反応に用いるラテックス粒子と、これに結合させる抗ヒトヘモグロビン抗体が必要である。
上記のHb濃度決定方法は、いわゆるラテックス凝集免疫比濁法によるヘモグロビン濃度の決定法であり、凝集反応に用いるラテックス粒子と、これに結合させる抗ヒトヘモグロビン抗体が必要である。
1)ラテックス粒子
ラテックス粒子は、ラテックス凝集免疫比濁法に用いられるラテックス粒子を用いることができる。ラテックスの種類としては、天然ゴム(NR)ラテックス、スチレンブタジエンゴム(SBR)ラテックス、ブタジエンゴム(BR)ラテックス、ニトリルゴム(NBR)ラテックス、クロロプレンゴム(CR)ラテックス、イソプレンゴム(IR)ラテックス、解重合(DPL)ラテックス、ポリウレタン系ラテックス、メチルメタクリレート-ブタジエンゴム(MBR)ラテックス、2-ビニルピリジン-スチレン-ブタジエンゴム(VP)ラテックス等を挙げることができる。
ラテックス粒子は、ラテックス凝集免疫比濁法に用いられるラテックス粒子を用いることができる。ラテックスの種類としては、天然ゴム(NR)ラテックス、スチレンブタジエンゴム(SBR)ラテックス、ブタジエンゴム(BR)ラテックス、ニトリルゴム(NBR)ラテックス、クロロプレンゴム(CR)ラテックス、イソプレンゴム(IR)ラテックス、解重合(DPL)ラテックス、ポリウレタン系ラテックス、メチルメタクリレート-ブタジエンゴム(MBR)ラテックス、2-ビニルピリジン-スチレン-ブタジエンゴム(VP)ラテックス等を挙げることができる。
ラテックスの粒子経についても、概ね0.1〜0.3μm程度の一般的な粒子経のものを用いることが可能である。
2)抗ヒトヘモグロビン抗体
抗ヒトヘモグロビン抗体は、常法により、ヒト赤血球から抽出・精製したヒトヘモグロビンを免疫抗原として得られる抗体(モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体)である。
抗ヒトヘモグロビン抗体は、常法により、ヒト赤血球から抽出・精製したヒトヘモグロビンを免疫抗原として得られる抗体(モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体)である。
ポリクローナル抗体は、上記ヒトヘモグロビンを免疫抗原として免疫した動物に由来する免疫血清から製造することができる。
一方、モノクローナル抗体は、上記のポリクローナル抗体の場合と同様の方法で、免疫した動物の免疫細胞と動物の骨髄腫細胞とのハイブリドーマを作出し、これによりヒトヘモグロビンを認識する抗体を産生するクローンを選択し、このクローンを培養することにより製造することができる。
また、免疫される動物も特に限定されるものではなく、マウス,ラット等を広く用いることができるが、モノクローナル抗体を製造する場合には、細胞融合に用いる骨髄腫細胞との適合性を考慮して選択することが望ましい。
免疫は一般的方法により、例えば上記免疫抗原を免疫の対象とする動物に静脈内,皮内,皮下,腹腔内注射等で投与することにより行うことができる。
より具体的には、上記免疫抗原を所望により通常のアジュバントと併用して、免疫の対象とする動物に2〜14日毎に上記手段により数回投与し、ポリクローナル抗体製造のための免疫血清又はモノクローナル抗体製造のための免疫細胞、例えば免疫後の脾臓細胞を得ることができる。
モノクローナル抗体を製造する場合、この免疫細胞と細胞融合する他方の親細胞としての骨髄腫細胞としては、既に公知のもの、例えばSP2/0−Ag14,P3−NS1−1−Ag4−1,MPC11−45,6.TG1.7(以上、マウス由来);210.RCY.Ag1.2.3(ラット由来);SKO−007,GM15006TG−A12(以上、ヒト由来)等を用いることができる。
上記免疫細胞とこの骨髄腫細胞との細胞融合は、通常公知の方法、例えばケーラーとミルシュタインの方法(Kohler,G. and Milstein,C.,Nature,256,495(1975))等に準じて行うことができる。
より具体的には、この細胞融合は、通常公知の融合促進剤、例えばポリエチレングリコール(PEG),センダイウイルス(HVJ)等の存在下において、融合効率を向上させるためにジメチルスルホキシド等の補助剤を必要に応じて添加した通常の培養培地中で行い、ハイブリドーマを調製する。
所望のハイブリドーマの分離は、通常の選別用培地、例えばHAT(ヒポキサンチン,アミノプテリン及びチミジン)培地で培養することにより行うことができる。すなわち、この選別用培地において目的とするハイブリドーマ以外の細胞が死滅するのに十分な時間をかけて培養することによりハイブリドーマの分離を行うことができる。このようにして得られるハイブリドーマは、通常の限界希釈法により目的とするモノクローナル抗体の検索及び単一クローン化に供することができる。
目的とするモノクローナル抗体産生株の検索は、例えばELISA法,プラーク法,スポット法,凝集反応法,オクタロニー法,RIA法等の一般的な検索法に従い行うことができる。
このようにして得られるヒトヘモグロビンを認識する所望のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、通常の培地で継代培養することが可能であり、さらに液体窒素中で長時間保存することもできる。
このハイブリドーマからの所望のモノクローナル抗体の採取は、このハイブリドーマを常法に従って培養して、その培養上清として得る方法や、ハイブリドーマをこのハイブリドーマに適合性が認められる動物に投与して増殖させ、その腹水として得る方法等を用いることができる。
また、上述のようにして得られるポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体は、更に塩析,ゲル濾過法,アフィニティクロマトグラフィー等の通常の手段により精製することができる。
このようにして得られるポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体は、ヒトヘモグロビンに特異反応性を有する抗体である。なお、本発明において用いる抗体としては、モノクローナル抗体が好適である。
3)ラテックス粒子と抗ヒトヘモグロビン抗体の結合は、ラテックス粒子と抗ヒトヘモグロビン抗体を、液相中で接触させることにより行うことができる。一般的には、ラテックスを、適切な緩衝液、例えば、2-morpholinoethanesulfonic acid(MES)等のラテックス粒子を分散させるのに適した緩衝液で、1質量%程度の分散浮遊液として、抗ヒトヘモグロビン抗体を、当該浮遊液100mlに対し0.5mg程度を混合することにより、目的とする抗ヒトヘモグロビン抗体が結合したラテックス粒子を得ることができる。
このようにして得られる抗ヒトヘモグロビン抗体が結合したラテックス粒子は、通常、当該粒子を、上述したMES等の緩衝液中に懸濁した懸濁液として用いることが好適である。
また、検体として用いるヒト唾液は、そのまま用いることも可能であるが、リン酸緩衝液等の適切な緩衝液を含む希釈液で、10〜100倍程度に希釈して、検体として用いることが、取り扱い上好適である。
このようにして調製され得る検体と、抗ヒトヘモグロビン抗体が結合したラテックス粒子を液相中で接触させることにより、検体中にヒトヘモグロビンが存在する場合には、ヒトヘモグロビンとラテックス粒子に結合した抗ヒトヘモグロビン抗体が、抗原抗体反応により結合して、ラテックス粒子が凝集反応を起こし、反応溶液の濁度が上昇する。この濁度を、吸光度として計測することにより、検体中のヒトヘモグロビン量を定量することができる。
上記のHb濃度決定方法は、一般的な自動分析装置やラテックス凝集装置に対して、広く適用可能であり、従来の試験紙を用いた方法等と比べて、著しく多量の検体を簡便に処理することが可能である。
本検出方法
上記のHb濃度決定方法においても、適切な歯周疾患の診断のカットオフ値を見いだすことは、唾液中のヘモグロビンの安定性に問題があり困難であるが、今般、本発明者は、かかるカットオフ値を見いだした。
上記のHb濃度決定方法においても、適切な歯周疾患の診断のカットオフ値を見いだすことは、唾液中のヘモグロビンの安定性に問題があり困難であるが、今般、本発明者は、かかるカットオフ値を見いだした。
すなわち、本発明者は、上記のHb濃度決定方法において、唾液中のヘモグロビン濃度が0〜1μg/ml未満を歯周疾患陰性、および、同1μg/ml以上を歯周疾患陽性、として見いだし、さらに詳細には、唾液中のヘモグロビン濃度が0〜1μg/ml未満を歯周疾患陰性、同1〜20μg/ml未満を歯肉炎、および、同20μg/ml以上を歯周病、として見いだした。
なお、ここで歯周疾患陰性とは、検体提供者において歯周疾患が認められないことを意味するものとする。また、歯周疾患陽性とは、検体提供者において、少なくとも歯周疾患(歯肉炎または歯周病)が認められる可能性を否定することができない状態であり、実技的には、他の診断方法による詳細な検討が好ましい、あるいは、同検討が必要な状態を意味するものとする。
さらに、歯周疾患陽性の中でも、本検出方法におけるカットオフ値として、唾液中のヘモグロビン濃度が1〜20μg/ml未満で表される「歯肉炎または歯周病が疑われる状態」とは、歯肉炎(歯肉にのみ炎症が生じたもので、歯根膜や歯槽骨までは冒されていない状態の歯周疾患)、または、歯周病である可能性も否定できない状態であり、実技的には、他の診断方法による詳細な検討を行うことが好ましい状態を意味するものとする。また、歯周病とは、歯槽骨が溶けはじめている状態以上に進行した歯周疾患であり、本検出方法による唾液中のヘモグロビン濃度のカットオフ値が20μg/ml以上であることは、検体提供者が歯周病であることがほぼ確定的であることを意味するものとする。ほぼ確定的とは、例えば、口腔内に傷があって、そこから出血しているような場合以外は、歯周疾患であることが確定的であることを意味するものとする。
なお、臨床上は、歯肉炎と歯周病の区別を、歯茎に形成されるポケットの程度(大きさと数)により判断することが多い。
本検出方法を行うためのキットである本キットは、抗ヒトヘモグロビン抗体を結合させたラテックス粒子を含有する溶液、および、希釈用の緩衝液、を要素として含む、歯周疾患の検出用キットである。また、この本キットには、唾液中のヘモグロビンを維持するための保存液を要素として含むことが、唾液中のヘモグロビンが経時的に分解されやすいことを考慮すると好適である。
抗ヒトヘモグロビン抗体を結合させたラテックス粒子を含有する溶液としては、上述した、抗ヒトヘモグロビン抗体を結合させたラテックス粒子を均一に分散させることが可能な、MES等の緩衝液中に懸濁した懸濁液を例示することが可能である。また、希釈用の緩衝液としては、同じく、ラテックス粒子を均一に分散することが可能なMES等を好適なものとして挙げることができる。
また、上記保存液としては、例えば、トランスフェリン、フェリチン、フェロシアン化化合物(フェロシアン化ナトリウム、フェロシアン化カリウム等)等のヘモグロビンの保存用成分を含有した、上記のMESやリン酸緩衝液等を例示することができる。これらのヘモグロビン保存成分は、1種を選択して保存液中に含有させることも可能であり、2種以上を組み合わせて含有させることも可能である。
上記の保存液中のトランスフェリン及び/又はフェリチンの含有量は、10μg/ml以上が好適であり、フェロシアン化ナトリウム、フェロシアン化カリウム等のフェロシアン化化合物は0.5〜100mMが好適である。
上記の成分を含有する保存液で唾液を希釈することにより、唾液中に潜血がある場合に当該潜血により存在するヒトヘモグロビンの経時的な分解を著しく抑制することが可能である。
このような保存液を要素として含む本キットは、まず、採取した唾液を保存液で希釈し、当該一次希釈物を、用時に希釈用の緩衝液で適宜希釈を行い、当該二次希釈物を唾液検体として抗ヒトヘモグロビン抗体を結合させたラテックス粒子と接触させる。次いで、抗ヒトヘモグロビン抗体と唾液検体中のヒトヘモグロビンの抗原抗体反応に基づくラテックス粒子の凝集による濁度の変化を指標として、唾液中のヘモグロビン量を定量し、当該定量値を上述したカットオフ値に当てはめて、唾液検体提供者の歯周疾患についての判定を行うことができる。
用いた試験系
134名(男女)の被験者から、紙コップに唾液を採取し、3.9mlのリン酸緩衝液(pH7.4)を溶媒とする保存液(10μg/ml)が入った容器に、各々の唾液0.1mlずつを入れて、この希釈した唾液を検体とした。
134名(男女)の被験者から、紙コップに唾液を採取し、3.9mlのリン酸緩衝液(pH7.4)を溶媒とする保存液(10μg/ml)が入った容器に、各々の唾液0.1mlずつを入れて、この希釈した唾液を検体とした。
検体20μlに、緩衝液(50mM MES)200μlを加えて、37℃で3〜8分放置した後、上述の方法により調製した、抗ヒトヘモグロビンマウスモノクローナル抗体を、常法により結合させたラテックス溶液(セキスイ社製)0.2%を、100μl添加した。37℃下で、上記抗体結合ラテックス溶液添加後の吸光度(OD:700nm)を、生理食塩水をブランクとして測定した(0〜9分間)。また、標準溶液として、ヒトヘモグロビンの専用溶解液を用いて、検量線を作成した。
本実施例の検量系の感度は、生理食塩水を試料として操作した場合の、上記抗体結合ラテックス溶液添加後の濁度変化量は、0.0023/min.以下であり、既知濃度の標準溶液を試料検体として試験した場合のヘモグロビン0.2μg/mlあたりの吸光度変化量は、0.008〜0.050/min.であった。
また、上記134名の被験者に対して、実際に歯科検診を行って、歯周疾患の有無と程度について、診断を行った。この診断基準を、被験者の歯茎に4mm以上のポケットがあった場合を「歯周病」、被験者の歯茎にポケットが認められるが、4mm未満のポケットであった場合を「歯肉炎」、被験者の歯茎に炎症が認められない場合を「健常」として、当該診断を行った。
カットオフ値の評価
上記の歯科診断の結果と、個々の被験者の唾液内のヘモグロビンの定量値の相関を検討すると、「健常」と評価された被験者16名の唾液中のヘモグロビン量のうち、16名は、0〜1μg/ml未満の範囲に入り、信頼度95%以上で、上記の「健常」と判定するカットオフ値と一致した。
上記の歯科診断の結果と、個々の被験者の唾液内のヘモグロビンの定量値の相関を検討すると、「健常」と評価された被験者16名の唾液中のヘモグロビン量のうち、16名は、0〜1μg/ml未満の範囲に入り、信頼度95%以上で、上記の「健常」と判定するカットオフ値と一致した。
また、「歯肉炎」と評価された被験者24名の唾液中のヘモグロビン量のうち、21名は、1〜20μg/ml未満の範囲に入り、残り3名は20μg/ml以上であった。
さらに、「歯周病」と評価された被験者13名の唾液中のヘモグロビン量のうち、11名は、20μg/ml以上であり、残り2名は1〜20μg/ml未満の範囲であった。
以上のように上記カットオフ値は、唾液中のヘモグロビン量をラテックス凝集免疫比濁法により定量して、歯周疾患についての判定を行うために、非常に有用であることが明らかになった。
Claims (7)
- 唾液に対して、抗ヒトヘモグロビン抗体を結合させたラテックス粒子を接触させ、当該ラテックス粒子の凝集の程度により、当該唾液中のヘモグロビン濃度を決定し、さらに、当該決定値を指標として歯周疾患を検出する方法において、唾液中のヘモグロビン濃度が0〜1μg/ml未満を歯周疾患陰性、および、同1μg/ml以上を歯周疾患陽性、として検出する、歯周疾患の検出方法。
- 唾液中のヘモグロビン濃度が0〜1μg/ml未満を歯周疾患陰性、同1〜20μg/ml未満を歯肉炎または歯周病が疑われる状態、および、同20μg/ml以上を歯周病、として検出する、請求項1記載の歯周疾患の検出方法。
- 抗ヒトヘモグロビン抗体が、抗ヒトヘモグロビンマウスモノクローナル抗体である、請求項1または2記載の歯周疾患の検出方法。
- ラテックス粒子の凝集の程度の測定が、吸光度の測定により行われる、請求項1〜3のいずれかの請求項記載の歯周疾患の検出方法。
- 抗ヒトヘモグロビン抗体を結合させたラテックス粒子を含有する溶液、および、当該ラテックス粒子の分散用緩衝液、を要素として含む、請求項1〜4の歯周疾患の検出方法を行うためのキット。
- さらに、唾液中のヘモグロビンを維持するための保存液を要素として含む、請求項5記載のキット。
- トランスフェリン、フェリチン、フェロシアン化ナトリウム及びフェロシアン化カリウムからなる群から選ばれる1種以上を含有する、唾液中のヘモグロビンの保存用液。
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