JP2928506B1 - ウマ肺サーファクタントプロテインに対するモノクローナル抗体 - Google Patents

ウマ肺サーファクタントプロテインに対するモノクローナル抗体

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Abstract

【要約】 【課題】 ウマ肺サーファクタントプロテインと特異的
に反応するモノクローナル抗体及び該抗体を用いたウマ
の肺損傷の検出方法の提供。 【解決手段】 ウマ肺サーファクタントプロテインと特
異的に反応するモノクローナル抗体、該モノクローナル
抗体を産生するハイブリドーマ及び該モノクローナル抗
体を用いてウマ肺サーファクタントプロテインを検出す
ることを特徴とするウマの肺損傷の検出方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ウマ肺サーファク
タントプロテインと特異的に反応するモノクローナル抗
体及び該抗体を用いたウマの肺損傷の検出方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】より速く走ることを宿命とされた競走用
馬において、様々な呼吸器疾患はその競走能力を阻害
し、ときにその競走生命をも奪いかねない。特に肺疾患
は、体内への酸素供給を阻害することがあることから、
その病態を把握することはウマ医療において極めて重要
である。
【0003】従来は、ウマの肺の病態を把握するための
手段として、一部の施設で大型レントゲン撮影によりな
されてはいるものの主として聴診により行われていた。
最近、聴診のほかにも気管支肺胞洗浄法が臨床応用さ
れ、その細胞成分、液性成分について解析されるように
なり、肺疾患の病態が従来に比較し、より詳細に把握さ
れるようになった(Clark CK, et al., Aust. Vet. J.
(1995) 72: 249-252; Sweeny CR, et al., Am. J. Vet.
Res., (1994) 55: 1501-1504; Hobo S, et al.,Am. J.
Vet. Res. (1997) 58:531-534)。また、エックス線撮
影、CT、MRIなどヒト医療において臨床応用されている
肺疾患の検出方法も、ウマの肺の病態を把握するための
手段として検討されている。
【0004】しかしながら、気管支肺胞洗浄法はウマへ
の侵襲が比較的大きいことから、実際に当該洗浄方法を
適用することは困難である。また、エックス線撮影、C
T、MRIなども、ウマの体格がヒトと比較して大きいこ
と、及びウマが従順に検査に従わないことなどから、ウ
マに臨床応用することは困難である。従って、これらの
方法に代わり、ウマの呼吸器疾患を検出する方法の開発
が望まれる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ウマ肺サー
ファクタントプロテインと特異的に反応するモノクロー
ナル抗体及び該抗体を用いたウマの肺損傷の検出方法を
提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するため鋭意研究を行った結果、ウマ肺サーファク
タント・プロテインと特異的に反応するモノクローナル
抗体を作製し、さらに該抗体を用いてウマの肺損傷を検
出することに成功し、本発明を完成するに至った。すな
わち、本発明は、ウマ肺サーファクタントプロテインと
特異的に反応するモノクローナル抗体である。該モノク
ローナル抗体としては、受託番号がFERM P-16725、FERM
P-16726、FERM P-16727又はFERM P-16728であるハイブ
リドーマにより産生されるものが挙げられる。
【0007】さらに、本発明は、ウマ肺サーファクタン
トプロテインで免疫された抗体産生細胞とミエローマ細
胞とを融合させることにより得られる、前記モノクロー
ナル抗体を産生するハイブリドーマである。さらに、本
発明は、前記モノクローナル抗体を用いてウマ肺サーフ
ァクタントプロテインを検出することを特徴とするウマ
の肺損傷の検出方法である。以下、本発明を詳細に説明
する。
【0008】
【発明の実施の形態】ウマ肺サーファクタント・プロテ
インは、ウマの肺に特異的に存在する臓器蛋白質であ
り、脂質結合特異性を有しており、また、肺胞マクロフ
ァージ及び細菌に特異的に結合する等の特徴を有する。
そして、肺疾患、運動等により引き起こされる肺損傷に
より血液中に漏出する。
【0009】本発明はこの点に注目し、ウマ肺サーファ
クタント・プロテインに対する特異的な抗体を用いて、
血液中において当該プロテインを免疫学的に定量するこ
とによりウマの肺損傷を検出することを特徴とするもの
であり、迅速、高感度、簡便にウマの肺損傷病態を検査
することができるものである。
【0010】1.本発明のモノクローナル抗体の作製 本発明のウマ肺サーファクタントプロテインと特異的に
反応するモノクローナル抗体は、以下のようにして得る
ことができる。 (1)抗原の調製 本発明のモノクローナル抗体を作製するにあたり、免疫
源(抗原)となるためのタンパク質を調製する。抗原タ
ンパク質はウマ肺サーファクタント・プロテインと呼ば
れ、ウマ肺サーファクタント・プロテインA(ウマSP-A)
及び肺サーファクタント・プロテインD(ウマSP-D)の2
種類が存在する。
【0011】これらのタンパク質は親水性であり、還元
条件下での分子量はウマSP-Aでは32〜36kDa、ウ
マSP-Dでは42kDaである。また、両者はともに糖鎖及び
コラーゲン領域を有するものである。さらに、ウマSP-A
は抗ヒトSP-A抗体(TE10;ダコ社)、抗ラットSP-A抗体
及びホスファチジルコリンに結合する特性を有し、ウマ
SP-Dは抗ヒトSP-D抗体、抗ラットSP-D抗体及びホスファ
チジルイノシトールに結合する特性を有する。
【0012】これらのプロテインは、ウマSP-Aについて
は、低速遠心により細胞分画を除去したウマ気管支肺胞
洗浄液を超遠心し、沈渣分画をn-ブタノールにて脱脂
後、5mM CaCl2存在下でマンノースセファロース・アフ
ィニティーカラムにかけて精製することにより、また、
ウマSP-Dについては、低速遠心により細胞分画を除去し
たウマ気管支肺胞洗浄液を超遠心し、上清分画を5mM Ca
Cl2存在下でマンノースセファロース・アフィニティー
カラムにかけて精製することにより調製することができ
る(Kuroki Y, et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA.(1
988) 85:5566-5570; Persson A,et al. Biochemistry
(1988) 27:8576-8584)。
【0013】次に、得られたタンパク質を緩衝液に溶解
して抗原を調製する。なお、必要であれば、免疫を効果
的に行うためアジュバントを添加してもよい。アジュバ
ントとしては、市販のフロイント完全アジュバント、フ
ロイント不完全アジュバント等が挙げられ、これらの何
れのものを混合してもよい。
【0014】(2) 免疫及び抗体産生細胞の採取 上記のようにして得られた抗原を哺乳動物、例えばラッ
ト、マウス、ウサギなどに投与する。抗原の1回の投与
量は、動物1匹当たり50〜200μg である。免疫は、主
として静脈内、皮下、腹腔内に注入することにより行わ
れる。また、免疫の間隔は特に限定されず、数日から数
週間間隔で、好ましくは2〜4週間間隔で、2〜5回、
好ましくは3〜4回免疫を行う。そして、最終の免疫日
から2〜5日後、好ましくは3日後に、抗体産生細胞を
採集する。抗体産生細胞としては、脾臓細胞、リンパ節
細胞、末梢血細胞等が挙げられるが、脾臓細胞又は局所
リンパ節細胞が好ましい。
【0015】(3) 細胞融合 ハイブリドーマを得るため、抗体産生細胞とミエローマ
細胞との細胞融合を行う。抗体産生細胞と融合させるミ
エローマ細胞として、マウスなどの動物の一般に入手可
能な株化細胞を使用することができる。使用する細胞株
としては、薬剤選択性を有し、未融合の状態ではHAT選
択培地 (ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミンを含
む) で生存できず、抗体産生細胞と融合した状態でのみ
生存できる性質を有するものが好ましい。ミエローマ細
胞の具体例としては、P3X63-Ag.8.U1(P3U1)、P3x63Ag
8.653、P3/NSI/1-Ag4-1、Sp2/0-Ag14などのマウスミエ
ローマ細胞株が挙げられる。
【0016】次に、上記ミエローマ細胞と抗体産生細胞
とを細胞融合させる。細胞融合は、血清を含まない DME
M、RPMI-1640 培地などの動物細胞培養用培地中で、1
×109個/ml の抗体産生細胞と1×108個/ml のミエロー
マ細胞とを等容量混合し、細胞融合促進剤存在のもとで
融合反応を行う。細胞融合促進剤として、平均分子量1,
500ダルトンのポリエチレングリコール等を使用するこ
とができる。また、電気刺激 (例えばエレクトロポレー
ション) を利用した市販の細胞融合装置を用いて抗体産
生細胞とミエローマ細胞とを融合させることもできる。
【0017】(4) ハイブリドーマの選別及びクローニン
グ 細胞融合処理後の細胞から目的とするハイブリドーマを
選別する。その方法として、細胞懸濁液を例えばウシ胎
児血清含有 RPMI-1640培地などで適当に希釈後、マイク
ロタイタープレート上に2×105個/ウェル程度まき、各
ウェルに選択培地を加え、以後適当に選択培地を交換し
て培養を行う。その結果、選択培地で培養開始後、約14
日前後から生育してくる細胞をハイブリドーマとして得
ることができる。
【0018】次に、増殖してきたハイブリドーマの培養
上清中に、目的とする抗体が存在するか否かをスクリー
ニングする。ハイブリドーマのスクリーニングは、通常
の方法に従えばよく、特に限定されない。例えば、ハイ
ブリドーマとして生育したウェルに含まれる培養上清の
一部を採集し、酵素免疫測定法 (EIA; enzyme immunoas
say)、RIA (radioimmuno assay)等によって行うことが
できる。融合細胞のクローニングは、限界希釈法等によ
り行い、最終的にモノクローナル抗体産生細胞であるハ
イブリドーマを樹立する。
【0019】(5) モノクローナル抗体の採取 樹立したハイブリドーマからモノクローナル抗体を採取
する方法として、通常の細胞培養法又は腹水形成法等を
採用することができる。細胞培養法においては、ハイブ
リドーマを10%ウシ胎児血清含有 RPMI-1640培地、MEM
培地又は無血清培地等の動物細胞培養培地中で、通常の
培養条件 (例えば37℃,5% CO2濃度) で2〜10日間培
養し、その培養上清から抗体を取得する。
【0020】腹水形成法の場合は、ミエローマ細胞由来
の哺乳動物と同種系動物の腹腔内にハイブリドーマを約
1×107個投与し、ハイブリドーマを大量に増殖させ
る。そして、1〜2週間後に腹水または血清を採集す
る。上記抗体の採取方法において、抗体の精製が必要と
される場合は、硫安塩析法、イオン交換クロマトグラフ
ィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲルクロマ
トグラフィーなどの公知の方法を適宜に選択して、又は
これらを組み合わせることにより精製することができ
る。
【0021】2.ウマ肺サーファクタントプロテインの
検出 まず、ウマの頚静脈から採取した末梢血を遠心分離(3,5
00rpm, 10分,4℃)にかけて血清を採取し、これをモノ
クローナル抗体との反応に使用する。次に、サンプルを
サンプルバッファーにより5〜100倍に希釈し、サンプル
と抗体とを37℃の恒温槽にて60〜120分反応させる。検
出は、一般に行われている免疫学的手法を用いることが
でき、その手法として例えばELISA、EIA、RIAなどが挙
げられる。これらの手法により正常範囲(正常ウマの成
績の平均値±2SD)を超えれば、被検ウマは肺損傷を受け
ているものと判断できる。
【0022】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。但し、本発明はこれら実施例によりその技術
的範囲が限定されるものではない。 〔実施例1〕モノクローナル抗体の作製 (1) ウマSP-A、ウマSP-Dの分離、精製 臨床的及び血液生化学的に健康な(異常所見がない)サ
ラブレッド種軽種馬10頭(4歳;雄5頭、雌5頭)を鎮
静状態下(塩酸メデトミジン,5(μg/kg))で気管支肺
胞洗浄(生理食塩水、300ml)し、気管支肺胞洗浄液(BAL
F)を得た。BALFから公知手法(Kuroki Y, et al. Proc.
Natl. Acad. Sci. USA.(1988) 85: 5566-5570; Persso
n A,et al. Biochemistry (1988) 27:8576-8584)に準
じてウマSP-A、ウマSP-Dを分離、精製した。得られたウ
マSP-A、ウマSP-Dの分子量をSDS-ポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動(SDS-PAGE)にかけて測定した結果、還元状
態でそれぞれ32-36kDa、42kDaであった。
【0023】(2) 免疫及び細胞融合 前記のようにして調製したウマSP-A又はSP-Dを、BALB/C
マウスに1匹あたり50μg投与して初回免疫を行った。追
加免疫は、初回免疫から14日間隔で、合計3回行った。
最終免疫から3日後にマウスから脾臓を採取し、細切、
フィルトレーション及び洗浄を行って脾臓リンパ球を得
た。次に、マウスの脾臓リンパ球1×109個とミエロー
マ細胞(P3U1)1×108個とを、ポリエチレングリコー
ル(PEG1500, Boehringer Mannheim)を用いて細胞融合
し、HAT(HAT Supplement, GIBCO)添加RPMI-1640培地に
より選択培養を行った(Kohler G, Milstein C.,Nature
(1975) 256:495-497)。
【0024】(3) スクリーニング ウマSP-A、ウマSP-Dをそれぞれ固層化(50nm/well)
し、これを培養上清と反応させ、さらにペルオキシダー
ゼ標識抗マウスIgG抗体で検出することにより、ウマSP-
A、ウマSP-Dに対して抗体価を有する抗体について3回
スクリーニングを行った。その結果、SP-Aと特異的に反
応するモノクローナル抗体として抗ウマSP-Aモノクロー
ナル抗体TA08及び WA28が、また、SP-Dと特異的に反応
するモノクローナル抗体として抗ウマSP-Dモノクローナ
ル抗体TD13及びWD19が得られた。
【0025】TA08およびWA28のアイソタイプはIgM、TD1
1およびWD19のアイソタイプはIgG1であったので、それ
ぞれのアイソタイプにより精製した。精製は、市販のキ
ットを用いて行った(E-Z-SEP; Pharmacia Biotech、 A
mpure PA; Amersham LIFE SCIENCE)。得られた各モノク
ローナル抗体について、ウエスタンブロッティング及び
免疫組織染色により本発明のモノクローナル抗体の特異
性の検討を行った。
【0026】その結果、本発明のモノクローナル抗体TA
08及び WA28はウマSP-Aと特異的に反応し、モノクロー
ナル抗体TD13及びWD19はウマSP-Dと特異的に反応した
(図1)。図1は、抗ウマSP-A抗体及びSP-D抗体による
免疫染色像を示す図である。図1より、抗ウマSP-A抗体
又は抗ウマSP-D抗体により肺胞II型上皮細胞の細胞質が
染色されていることが分かる。
【0027】なお、各モノクローナル抗体(TA08、WA2
8、TD13及びWD19)を産生するハイブリドーマは、工業
技術院生命工学工業技術研究所に、平成10年3月25日付
で、TA08を産生するハイブリドーマ(TA08)についてはFE
RM P-16725、WA28を産生するハイブリドーマ(WA28)につ
いてはFERM P-16727、TD13を産生するハイブリドーマ(T
D13)についてはFERM P-16726、WD19を産生するハイブリ
ドーマ(WD19)についてはFERM P-16728としてそれぞれ寄
託されている。
【0028】〔実施例2〕ウマの肺損傷の検査 (1)ウマSP-A、ウマSP-D定量系の開発 TA08、WA28、TD13、WD19の4抗体の一部について過ヨウ
素酸法によりHRP(Peroxidase、 Boehringer Mannheim)
標識し、サンドイッチELISA法として最良の条件につい
て検討した。すなわち、ウマ気管支肺胞洗浄液から分
離、精製したウマSP-A、ウマSP-Dを用いて、マイクロプ
レート(NUNC, MaxiSorp Surface)上で、サンドイッチ
ELISA法(1次抗体、ペルオキシダーゼ標識2次抗体)
として良好な条件(再現性が高く直線性を有する組み合
わせ)について検討した。
【0029】その結果、ウマSP-Aの定量には1次抗体と
してTA08、2次抗体としてWA28の組み合わせ、ウマSP-D
の定量には1次抗体としてWD19、2次抗体としてTD13の組
み合わせによるサンドイッチELISA法が最良であった。
また、肺サーファクタントはリン脂質とタンパク質(ア
ポタンパク質)との複合体であるため、リポゾーム中の
アポタンパク質をリポゾームから可溶化することが必要
である。そこで、3種の界面活性剤(SDS, Triton X-100
及びCHAPS)の濃度等について検討した。
【0030】その結果、ウマSP-Aの定量系においてはEL
ISA用ボール(住友ベークライト、Hタイプ)を用いた3
% Triton X-100/10mM PBSの条件が最良であり、ウマSP
-Dの定量系においてはマイクロプレート(NUNC, MaxiSo
rp Surface)を用いた0.05%Triton X-100/10mM PBSの
条件が最良であった。
【0031】(2) 実験的肺炎発症馬の作製 臨床的、血液生化学的に健康なサラブレッド種軽種馬3
頭の右肺後葉前部に、グラム陽性球菌であるストレプト
コッカス・ズーエピデミクス(Streptococcuszooepidem
icus)(1×108 CFU/ml, 30ml)を気管支鏡を用いて注入
した。注入の前後において経時的に体温、心拍数及び呼
吸数を測定すると同時に、静脈血及び気管支肺胞洗浄液
を採取した。また、コントロールとして、血液生化学的
に健康なサラブレッド種軽種馬5頭の右肺後葉前部に生
理食塩水を気管支鏡を用いて注入した。静脈血からは、
本発明のモノクローナル抗体を用いて血清中ウマSP-A量
及び血清中ウマSP-D量を上記(1)の手法により測定する
とともに総有核細胞数を測定し、気管支肺胞洗浄液から
は、総有核細胞数及び総蛋白質量を測定した。
【0032】(3) 結果 実験的肺炎発症馬については、血清中SP-A量及び血清中
SP-D量は、細菌の右肺後葉前部への注入4時間後には約
2倍の上昇を示したが、体温及び血中白血球数には変化
を認めなかった(図2及び3)。図2は、肺炎発症馬に
おける血清中SP-A量及びSP-D量の経時的変化を示す。血
清中SP-A量及びSP-D量は、細菌投与後4時間において約2
倍増加し、その後も同レベルの値が継続した。また、図
3は、肺炎発症馬における体温及び血中白血球の経時的
変化を示す。体温は細菌投与後8時間において異常値(40
℃)を示し、その後も高値(39℃付近)が継続した。血
中白血球数は、細菌投与後18時間において軽度に上昇
し、その後約50時間高値が継続した。
【0033】従って、血清中SP-A量および血清中SP-D量
の増加は、細菌による肺損傷により血液中へウマSP-Aお
よびウマSP-Dが漏出したものと考えられ、その変化は体
温、血中白血球数に比較し鋭敏であった。血清中SP-A量
および血清中SP-D量の高値は、肺損傷の病態が継続して
いる期間中継続した。気管支肺胞洗浄液中の総有核細胞
数および総蛋白質量は、細菌投与後102時間において著
名に増加したことから(図4)、細菌感染馬における肺
損傷の存在が裏付けられた。なお、コントロールにおい
ては、いずれの試験項目においても異常所見は認められ
なかった。以上のことから、本発明のモノクローナル抗
体を用いてウマの血清中のウマSP-AおよびウマSP-Dを測
定することにより、ウマの肺損傷を、非侵襲的に、そし
て直接かつ客観的に測定できることが明らかとなった。
【0034】
【発明の効果】本発明により、ウマ肺サーファクタント
プロテインと特異的に反応するモノクローナル抗体及び
該抗体を用いたウマの肺損傷の検査方法が提供される。
本発明の検査方法は、ウマにおける肺損傷を伴う肺疾患
の末梢血におけるスクリーニング検査に利用できる点で
極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】免疫組織染色の結果を示す写真である(生物の
形態)。
【図2】肺炎発症馬における血清中SP-A量及び血清中SP
-D量の経時的変化を示す図である。
【図3】肺炎発症馬における体温及び白血球数の経時的
変化を示す図である。
【図4】肺炎発症馬における気管支肺胞洗浄液中総有核
細胞数及び総タンパク質量の経時的変化を示す図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12N 15/02 C12N 15/00 C (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07K 16/18 C12P 21/08 G01N 33/53 G01N 33/577 C12N 5/10 C12N 15/02 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ウマ肺サーファクタントプロテインと特
    異的に反応するモノクローナル抗体。
  2. 【請求項2】 受託番号がFERM P-16725、FERM P-1672
    6、FERM P-16727又はFERM P-16728であるハイブリドー
    マにより産生される、ウマ肺サーファクタントプロテイ
    ンに対するモノクローナル抗体。
  3. 【請求項3】 ウマ肺サーファクタントプロテインで免
    疫された抗体産生細胞とミエローマ細胞とを融合させる
    ことにより得られる、請求項1又は2記載のモノクロー
    ナル抗体を産生するハイブリドーマ。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2記載のモノクローナル抗
    体を用いてウマ肺サーファクタントプロテインを検出す
    ることを特徴とするウマの肺損傷の検出方法。
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Biochemistry,Vol.27,P.8576−8584(1988)
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