JP2635946B2 - 抗ガングリオシドGD1a単クローン性抗体MZを産生する細胞 - Google Patents

抗ガングリオシドGD1a単クローン性抗体MZを産生する細胞

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JP2635946B2
JP2635946B2 JP7167874A JP16787495A JP2635946B2 JP 2635946 B2 JP2635946 B2 JP 2635946B2 JP 7167874 A JP7167874 A JP 7167874A JP 16787495 A JP16787495 A JP 16787495A JP 2635946 B2 JP2635946 B2 JP 2635946B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ガングリオシドGD
1aに対する単クローン性抗体を産生する細胞に関する。
【0002】
【従来の技術】従来ガングリオシドに対する単クローン
性抗体としては、GD1aに対するものは未知である。
【0003】糖脂質は細胞の発生、分化、癌化の研究に
おいて特に注目を浴びている生体物質である。糖脂質の
中でシアル酸を含有するスフィンゴ糖脂質を総称して、
特にガングリオシドと呼び、ガングリオシドGD1a(以
下、単にGD1aという)もその1つである。
【0004】GD1aはヒト及び種々の動物において特に
神経系組織に多く存在する物質である。癌患者または自
己免疫疾患の1種である全身性エリテマトーデス(以
下、SLEという)患者の血中のガングリオシド組成が
健常人のそれとは顕著に異なることが報告されている
(Journal of Biochemistry 98巻、843頁、198
5年)。
【0005】すなわち、血中に免疫複合体の形で存在す
るガングリオシドは、健常人ではその主たるものがGM
3 であるのに対し、癌またはSLEの患者ではGM3
殆どみられず、代りにGM1 やGD1aが主たるガングリ
オシドである。したがって、血中のGD1aを正確に定量
することができれば癌またはSLEにかかっているか否
かを予想することができる。
【0006】さらにGD1aはGM1 等とともに脳神経系
の主たるガングリオシドである。そのため脳神経系に脱
髄等の器質的障害を伴う諸疾患が発現した場合には、G
1aが血液中や脳脊髄液中へ移行することが想定され
る。
【0007】そこで、それらにおけるGD1aの濃度を定
量することにより、器質的障害を伴った脳神経系諸疾患
にかかっているか否かをも予想することができる。
【0008】GD1aの定量、同定および精製のための手
段として、従来の化学的及び生化学的方法に加えて、G
1aに対する特異的な抗体を用いる免疫学的方法が用い
られるようになった。
【0009】従来、GD1aに対する抗体は、それを適当
な担体及び免疫アジュバントと共にウサギに免疫するこ
とにより得られる抗血清由来のものが使用されてきた。
【0010】それはいわゆる多クローン性抗体であり、
作られる抗体のロット、または免疫に用いられる個体に
より特異性が必ずしも一定していないので、その欠点の
ない単クローン性抗体の取得が望まれていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本願発明者らは、鋭意
研究の結果、従来技術では得られていなかったGD1a
対し極めて特異的で高い抗体価を有する抗GD1a単クロ
ーン性抗体を作製することに成功し、この発明を完成す
るに至った。
【0012】すなわち、この発明は、GD1aのみを特異
的に認識する抗GD1a単クローン性抗体を提供する。
【0013】さらにまた、この発明は、GD1aで免疫化
した動物由来の抗体産生細胞と骨髄腫細胞との融合細胞
であって、上記抗GD1a単クローン性抗体を産生するハ
イブリドーマを提供する。
【0014】また、この発明は、EBウイルスに感染し
たリンパ球に由来し、上記抗GD1a単クローン性抗体を
産生する細胞株を提供する。
【0015】さらに、この発明は、上記抗GD1a単クロ
ーン性抗体からなるガングリオシドGD1a検出または定
量用試薬を提供する。
【0016】
【発明の効果】この発明により、GD1aに対し、極めて
特異的で高い抗体価を有する抗GD1a単クローン性抗体
が提供された。この単クローン性抗体は、後の実施例に
おいて明らかになるように、GD1aに類似した糖鎖を有
する他のガングリオシドとは反応せず、GD1aに対して
極めて特異的に反応する。
【0017】したがって、この発明の抗GD1a単クロー
ン性抗体を用いてGD1aを極めて感度よく定量すること
ができる。
【0018】したがって、この発明の単クローン性抗体
を用いて血中のGD1aを感度よく定量することができる
ので、この発明の単クローン性抗体を含むこの発明の試
薬により、被検者が癌またはSLE、さらには脳神経系
の器質的障害を伴う諸疾患にかかっている蓋然性を感度
よく知ることができる。
【0019】さらにまた、この発明により、上記単クロ
ーン性抗体を産生する新規な細胞が提供された。
【0020】
【発明の具体的説明】この明細書において、糖質、脂質
の名称及び結合様式の表示等は、この分野の研究におけ
る一般名あるいは慣用名にしたがった。また用いた糖脂
質の構造は末尾の第3表に示した。
【0021】この発明の単クローン性抗体は、GD1a
みと特異的に結合し、その特異性は極めて高い。すなわ
ち、後の実施例で明らかになうように、この発明の単ク
ローン性抗体はGD1aに対する抗体価が216以上と極め
て高く、一方、GD1aの糖鎖と類似の糖鎖またはそれを
有する他の糖脂質、すなわち、GalCer,LacC
er,Gb3 ,Gb4 ,GA2 ,GA1 ,GM3 ,GM
2 ,GM1 ,GD1b,GT1b,GQ1b,Fuc−GM
1 ,nLc4 ,及びシアロシルnLc4 (ただし、Ga
lはガラクトース、Cerはセラミド、Lacはラクト
ース、Fucはフコース、nLc4 はパラグロボシドを
示す)に対しては実質的に特異的な反応を示さず、その
抗体価は22 以下である。
【0022】この発明の単クローン性抗GD1a抗体MZ
は、以下単にMZと略称するが、GD1aで免疫した哺乳
動物の抗体産生細胞と骨髄腫細胞との融合によりハイブ
リドーマを作る方法(以下、ハイブリドーマ法と呼ぶ)
または、ヒトのBリンパ球にEBウイルス(以下、EB
Vという)を感染させて形質転換を起こさせる方法(以
下、BEV形質転換法と呼ぶ)のいずれによっても作製
することができる。
【0023】すなわち、上記の方法で増殖性を与えられ
た抗体産生細胞から抗GD1a抗体を産生するクローンの
みを選別し、単クローンとした後、これにより上記特性
を有する単クローン性抗体を分離することにより製造す
ることができる。
【0024】ハイブリドーマ法について次に詳細に説明
する。この発明において、ハイブリドーマの作製は、公
知の方法、例えばNature256巻、495頁、1975
年に記載の方法またはその変法(Journal of Experiment
al Medicine 150巻、1008頁、1979年)等に
準じて行うことができる。
【0025】免疫原として用いるGD1aを調製する動物
種及び臓器は特定されないが、一般にはGD1aはそれを
多量に含有する、例えばウシのような動物の脳から調製
される。
【0026】この明細書で後に記載される実施例及び試
験例で使用されたGD1aも、特に断らない限り、ウシ脳
から公知の方法で分離、精製されたものである。
【0027】また、免疫原としては、精製GD1aに加え
て、それを表面に有する種々の細胞、さらにはGD1a
抗原決定基である糖鎖部分を含有する物質または細胞の
いずれを用いてもよい。
【0028】GD1aを免疫する哺乳動物の種類は特に限
定されないが、細胞融合に使用する骨髄腫細胞との適合
性を考慮して選択するのが望ましく、一般にはヒト、マ
ウス、ラットまたは場合によってはウサギ等が使用され
る。
【0029】GD1aの免疫にはin vivo 及びin vitroの
方法のいずれもが使用できる。in vivo の免疫の場合は
GD1aを生理食塩液、リン酸緩衝液(以下、PBSとい
う)等に適当濃度に希釈後、これを動物に静脈内、皮下
または腹腔内注射等により投与すればよい。
【0030】より具体的に述べると、例えば精製したG
1aを用いる場合には、これをPBS等で適当濃度に希
釈し、サルモネラ菌ミネソタ株、ウシ血清アルブミン
(以下、BSAと略)等の通常用いられる担体と共に、
これを動物に4〜14日毎に数回から十数回投与し、動
物1個体の総投与量が10〜300μg程度になるよう
にするのが好ましい。また、in vivo の免疫に膜成分ま
たは細胞自体を用いる場合も同様にして行われ、例えば
膜成分を用いる場合は総投与量が1〜100mg/個
体、細胞自体を用いる場合は総投与量が106 〜109
個/個体となるようにするのが好ましい。
【0031】この場合、必要に応じては適当な免疫アジ
ュバント、例えばフロイントの完全アジュバントを用い
ることができる。
【0032】このin vivo の免疫の場合、抗体産生細胞
は脾細胞、リンパ節細胞、腹腔内リンパ球、または末梢
血リンパ球のいずれであってもよいが最終免疫4日後の
脾細胞を用いるのが最も好ましい。
【0033】また、in vitroの系における免疫の場合に
は、いわゆるin vitro感作の方法を用いることができ
る。
【0034】これは脾細胞、リンパ節細胞、腹腔内リン
パ球及び末梢血リンパ球のうちから適宜選ばれたリンパ
球を免疫原であるGD1aと共に約1週間in vitroで培養
することにより、GD1aに対する抗体産生細胞を出現さ
せることを意図したものである。
【0035】この場合、GD1aが精製品であれば細胞培
養培地に溶解させるか、あるいはヒツジ赤血球、リポソ
ームまたはサルモネラ菌ミネソタ株等の適当な担体に吸
着させ、リンパ球と共に培養する。
【0036】また、GD1aを含有する細胞自体、または
その膜成分を免疫原とする場合には、培地に溶解または
懸濁させ、リンパ球と共に培養する。
【0037】また、細胞自体を用いる場合は、マイトマ
イシン処理または放射線照射等の処理を行った後に、リ
ンパ球と培養することが望ましい。
【0038】リンパ球の培養用培地はPRMI 164
0、ダルベッコーのMEM(以下、D−MEMという)
等のリンパ球培養に通常使用されるものであれば、いず
れを用いてもかまわないが、それらは使用時にウシ胎児
血清(以下、FCSという)を5〜20%の濃度に添加
することが望ましい。
【0039】また、培地には必要に応じて2−メルカプ
トエタノール(以下、2−MEという)及びポークウィ
ードマイトジェン(以下、PWMという)をそれぞれ5
×10-5M及び5〜30μg/mlの最終濃度に加えて
おくと、効率よくGD1aのinvitro感作を成立させるこ
とができる。
【0040】リンパ球の培養時の細胞濃度は、培養に用
いる器具によっても異なるが、一般には106 〜107
個/mlが好ましい。
【0041】免疫原である精製GD1a,GD1a含有細胞
及びその膜成分は、それぞれ1〜20μg/ml、1〜
100mg/ml、及び0.1〜10mg/mlの最終
濃度で使用することが好ましい。
【0042】続いて、上記のようにin vivo またはin v
itroの系での免疫により得られた抗体産生細胞と骨髄腫
細胞を融合する。
【0043】骨髄腫細胞としては、既に公知の種々の細
胞、例えばマウスにおけるNS−1、P3、P3−U
1、X45、X63.6.5.3.,SP2,ラットに
おけるY3,Ag1.2.3等を使用することができ
る。
【0044】細胞融合は公知の方法に準じて行うことが
でき、例えば融合促進剤含有倍地中で保温することによ
り行われる。
【0045】融合促進剤としては、例えばポリエチレン
グリコール(以下、PEGという)、センダイウイルス
等が使用され、さらに融合効率を高めるためにジメチル
スルホキシド等の補助剤を添加することができる。
【0046】リンパ球と骨髄腫細胞との使用比は一般の
方法と変りがなく、例えば骨髄腫細胞に対しリンパ球を
約1〜10倍程度用いればよい。
【0047】上記融合時の培地としては、細胞培養に利
用される通常の各種培地が利用でき、通常はFCS等の
血清を抜いておくことが好ましい。
【0048】融合は、上記免疫細胞と骨髄腫細胞の所定
量を上記培地内でよく混ぜ、遠心後上清を除去し、予め
37℃程度に加温したPEG溶液(PEGは例えば平均
分子量1000〜6000程度のものを使用)を、通
常、培地に約30から60w/v%の最終濃度で加えて
混合することにより行われる。
【0049】以後、適当な培地を逐次添加して遠心し、
上清を除去する操作を繰り返すことによりハイブリドー
マが形成される。
【0050】所望のハイブリドーマの分離は、上記細胞
融合の細胞を、通常のハイブリドーマ選択用培地で培養
することにより行われる。
【0051】前記した骨髄腫細胞株はヒポキサンチング
アニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPR
T)欠損株であり、したがって、HAT培地の(ヒポキ
サンチン、アミノプテリン及びチミジンを含む培地)中
では生育できない。
【0052】それ故、HAT培地中で増殖してくる細胞
を選択すればよい。該HAT培地での細胞の培養は、目
的とするハイブリドーマ以外の細胞が死滅するのに十分
な時間、通常数日から数週間行えばよい。
【0053】このようにして得られるハイブリドーマは
通常のクローニング方法、例えば限界希釈法または軟寒
天法を用いて、目的とする抗体産生株の検索及び単クロ
ーン化が行われる。
【0054】該抗体産生株の検索は、例えばELISA
法(Jpanese Journal of Experimental Medicine 51
巻、309頁、1981年)及びプラーク法、凝集反応
法、オクターロニー法、RIA法等の一般に抗体の検出
に用いられている種々の方法によって行われる。
【0055】このようにしてハイブリドーマ法により単
クローン性抗GD1a抗体産生細胞株が得られる。
【0056】次に、EBV形質転換法による単クローン
性抗GD1a抗体の作製について述べる。
【0057】本法はヒトBリンパ級EBVを感染させる
と、その各々のBリンパ球において増殖のみならず、抗
体産生が引き起こされるという原理に基づくものであ
る。
【0058】その場合、EBVは特定のBリンパ球のク
ローンのみに働いて上記の効果をもたらすのではなく、
基本的には全てのクローンに働き、それらに増殖及び抗
体産生を引き起こすのである。
【0059】それ故、本法ではヒトBリンパ球にEBV
を感染させた後、所望の抗体を産生するクローンのみを
選別し、これを用いて所望の単クローン性抗体を得るこ
とができる。
【0060】この方法によるヒトリンパ球の形質転換
は、公知の方法、例えば Nature 267巻、52頁、1
979年に記載の方法等に準じて行うことができる。
【0061】Bリンパ球を得る臓器は、それがリンパ系
臓器であれば特に限定されないが、ヒト由来の材料とい
う特殊性を考慮すると、一般には健常人の末梢血リンパ
球が用いられる。
【0062】ウイルス源としてはEBV持続産生細胞、
例えばEBV感染マーモセット白血球細胞株であるB−
95−8細胞(Proceedings of the National Academyof
Science of USA 70巻、190頁、1973年)の培
養上清等を用いることができる。
【0063】この方法では、まずBリンパ球をEBVに
感染させるのであるが、この場合、リンパ球画分からB
リンパ級のみを特に分離する必要はなく、常法にしたが
って得られるリンパ球にEBVを感染させればよい。
【0064】まず、リンパ球のペレットにウイルス液を
リンパ球1×107 個に対して10ml程度加えて混合
し、37℃、5%CO2 の条件下で1時間保温し、リン
パ球をEBVに感染させる。
【0065】このようにして得られた感染リンパ球を細
胞培養用培地に分散し、2〜5週間、37℃、5%CO
2 の条件下で培養する。
【0066】培養用培地は特に限定されず、RPM1
1640、D−MEM等の通常のリンパ球培養用のもの
であればいずれを用いてもかまわないが、それらに使用
時にFCSを10〜20%の濃度に添加することが好ま
しい。
【0067】また、その培地には0.5〜1mg/ml
の最終濃度にグルタミンを加えるとさらに効率よく細胞
を増殖させることができる。
【0068】このようにして得られる形質転換Bリンパ
球は、前記ハイブリドーマ法の場合と同様な方法で、目
的とする抗体産生株の検索及び単クローン化が行われ
る。
【0069】該抗体産生株の検索は、ハイブリドーマ法
の場合と同様、ELISA法、RIA法等の一般に抗体
の検出に用いられている種々の方法で行うことができ
る。
【0070】このようにして、EBV形質転換によって
もMZを産出する細胞株を得ることができる。
【0071】上記のこの発明のMZを産生する細胞株
は、その取得法がハイブリドーマ法またはEBV形質転
換法のいずれであっても、通常の培地で継代培養が可能
であり、また、液体窒素中で容易に長期保存が可能であ
る。
【0072】本願発明者は、MZ産生株の一例として、
後述の実施例1で得られたハイブリドーマHbMZ−1
を「MZ−1」の名称で財団法人発酵研究所(大阪市淀
川区十三本町2−17−85)に寄託している(受入番
号IFO 50134)。
【0073】上記のようにして得た特定の細胞株からこ
の発明のMZを得るには、それらの細胞株を常法にした
がって大量培養し、その培養上清から分離する方法、あ
るいはそれらの細胞株をそれと適合性のある哺乳動物に
投与し増殖させ、その血清または腹水から分離する方法
を採用することができる。
【0074】この発明のMZは、GD1aのみを特異的に
極めて高感度に認識するので、GD1aの高感度検出また
は定量試薬としての用途を有する。
【0075】上記したように、癌患者またはSLEとい
う患者の血中のガングリオシド組成が健常人のそれとは
顕著に異なることが報告されている(Journal of Bioche
mistry 98巻、843頁、1985年)。したがっ
て、この発明のMZはまた、ガン及びSLE診断試薬と
しての用途を有する。
【0076】MZからなるこの発明の定量試薬を用いた
GD1aの免疫学的同定及び定量は、一般の生体内物質の
免疫学的定量の場合と同様な方法で行うことができる。
【0077】その方法は特に限定されないが、例えば、
ラジオイミュノアッセイ(RIA)、ELISA、薄層
クロマトグラフィー(以下、TLCという)−免疫染
色、または免疫組織化学等が使用できる。
【0078】また、RIA及びELISAでは、いわゆ
る競争法またはサンドウィッチ法等が使用できるが、そ
れらに限定されるものではない。
【0079】さらに、この発明の試薬を用いたGD1a
免疫学的同定及び定量は、癌患者、SLE患者、及び脳
神経系に器質的障害を有する患者血中のGD1aのみに適
用されるものではなく、広く、ヒト及び各種実験材料の
血中、体液中、臓器中または排泄物中GD1aにも適用可
能であることは言うまでもない。
【0080】また、後述の試験例3で示されるように、
この発明のMZは、他の糖脂質に対する単クローン性抗
体と同様に、それにより認識されるエピトープはGD1a
の糖鎖構造である。
【0081】したがって、この発明の試薬は、GD1a
みならず、GD1aの糖鎖構造を有する分子の検出及び定
量にも有用である。
【0082】後述の試験例4で明らかなように、癌患者
及びSLE患者の体液中のGD1a濃度は上昇するが、そ
の変化は正常状態に比して、精々数倍から10数倍程度
である。
【0083】この程度の変化は、従来の多クローン性抗
体を用いては感度よく検出することができなかった。
【0084】また、従来の化学的分析による場合には、
ガングリオシドが大量に必要であるので、例えば、上記
Journal of Biochemistry 98巻、843頁、1985
年では患者の血液を体外回路により固定化プロテインA
カラムに通じさせ、そのカラムに免疫グロブリンGをガ
ングリオシドとの免疫複合体の形で吸着させた後、その
複合体を回収し、ガングリオシドを得ている。
【0085】しかしながら、体外回路を形成してこれに
血液を循環させるようなことは癌患者のように体力の低
下した者に対して頻繁に行うことは実際上不可能であ
る。
【0086】この発明の試薬は、感度が極めて高いの
で、患者から微量の血液を採取してGD1aの定量を行う
ことができる。したがって、この発明により癌及びSL
Eの実用的な診断が初めて可能になった。
【0087】
【実施例】
実施例1 精製したGD1a100μgとホルマリン処理サルモネラ
菌ミネソタ株(ATCC 9700)400μgを40
℃に保温した生理食塩液4mlに加え、よく攪拌し、均
一な懸濁液とした。得られた懸濁液を、マウス及びラッ
トに4日毎に1回当りGD1a10μg含有分づつ、合計
4〜15回静脈内投与した。
【0088】最終投与の4日後に脾臓を摘出し、脾細胞
3×108 個とNS−1マウス骨髄腫細胞(ATCC
TIB18)3×107 個を50%ポリエチレングリコ
ール存在下で細胞融合を行わせた。
【0089】このハイブリドーマを96ウェル平底の培
養用プラスチックプレート(ファルコン(登録商標))
に分注し、HAT培地を含む10%FCS添加D−ME
M倍地中で37℃、5%CO2 の条件下で培養した。
【0090】ハイブリドーマの増殖が認められたウェル
について、以下に記載するELISA法を用いて、培養
上清中の抗GD1a抗体の存在の有無を検索した。
【0091】ELISA法は96ウェルプラスチックプ
レート(ファルコン(登録商標)を用い、まずエチルア
ルコールに10μg/mlの濃度に溶解したGD1a
0.05mlずつを各ウェルに分注し、溶媒を自然蒸発
させ、GD1aをプレートに吸着させた。
【0092】その各ウェルに一次抗体としての被検培養
上清を反応させ、よく洗浄の後、二次抗体としてのパー
オキシダーゼで標識された抗マウス免疫グロブリン抗体
(免疫動物にマウスを用いた場合)、または抗ラット免
疫グロブリン抗体(免疫動物にラットを用いた場合)を
反応させた。
【0093】引き続き2,2’−アジノビス(3−エチ
ルベンズ−チアゾリンスルフォン酸)の2アンモニウム
塩(以下、ABTS)を基質としたパーオキシダーゼ反
応を行わせ、各ウェルの発色度を肉眼で、あるいは96
ウェルELISA用自動光度計(波長414nm)を用
いて読み取った。
【0094】培養上清中に抗GD1a抗体価が認められた
ウェルのハイブリドーマは、さらに限界希釈法でクロー
ニングを行い、単クローンとした。
【0095】このようにして得られた単クローン性のハ
イブリドーマはプラスチック培養フラスコで大量培養を
行い、所望の単クローン性抗GD1a抗体産生細胞株を得
た。これらの細胞株を免疫抑制剤のプリスタン(2,
6,10,14−テトラメチルペンタデカン、アルドリ
ッチ社製)で前処理したヌードマウスに移植し、得られ
た腹水から50%飽和硫酸アンモニウム法により抗体を
精製した。
【0096】このようにして、単クローン性抗GD1a
体を得ることができこのものをMZと命名した。
【0097】後述の試験例で抗体として用いたMZは、
マウス由来の単クローン性抗GD1a抗体であるMZ−1
及びラット由来のものでMZ−2を用いた。
【0098】また、このようなMZを産生するハイブリ
ドーマをHbMZと命名し、この実施例のマウス細胞を
用いたハイブリドーマをHbMZ−1,ラット細胞を用
いたものをHbMZ−2と付番した。
【0099】実施例2 ヒト抹梢血から、フィコールパック(ファルマシア社登
録商標)を用いて常法通りリンパ球(単核細胞)を調製
した後、培地に1×107 /mlの濃度に懸濁した。
【0100】培地は10%FCS添加RPMI 164
0培地を用い、使用時に、さらに2−ME及びPWMを
それぞれ5×10-5M、及び30μg/mlの最終濃度
に含有させて使用した。
【0101】続いて、マールブルック型培養瓶(Lancet
2巻、1279頁、1967年)の内筒に1×107
mlの濃度のリンパ球懸濁液を1ml、外筒にPWMを
含まない培地10mlをそれ加え、内筒液と外筒液の境
界に透析チューブを張った。
【0102】GD1aは内田らの方法(Journal of Bioch
emistry 87巻、1829頁、1980年)に準じて作
製した卵黄レシチン及びコレステロールから構成される
リポソームに取り込ませ、5μg/mlのGD1aの最終
濃度で培養瓶の内筒に加えた。
【0103】かくして、リンパ球をGD1aと共に37
℃、5%CO2 の条件下で6日間培養した。続いて、実
施例1に記載したもの同様な方法でマウス骨髄腫細胞N
S−1との細胞融合及びMZ産生ハイブリドーマのクロ
ーニングを行い、MZ産生株1クローンを得、これには
HbHZ−1と付番した。
【0104】なお、本実施例の場合、ELISA法にお
ける二次抗体はパーオキシダーゼ標識抗ヒト免疫グロブ
リン抗体を用いた。
【0105】実施例3 まず、EBVを持続的に産生放出しているB−95−8
細胞(ATCC CRL1612)を、グルタミンを
0.86mg/mlの最終濃度に含有し、さらに20%
FCSが添加されたRPMI 1640培地(以下、完
全培地と呼ぶ)中に3×105 /mlの濃度に懸濁し、
37×℃、5%CO2 の条件下で培養した。7日後に得
られる培養上清を以下に使用するウイルス液とした。
【0106】続いて、常法に基づき、フィコールパック
(登録商標)を用いて得られたリンパ球のペレットにウ
イルス液を、リインパ球1×107 個に対して10ml
の割合で加え、混合し、37℃、5%CO2 の条件下で
1時間保温した。
【0107】このEBV感染リンパ球を2×105 〜6
×105 /mlの濃度で完全培地に懸濁し、それを平底
の96ウェル培養用プラスチックプレート(ファルコン
(登録商標))の各ウェルに0.1mlづつ分注し、3
7℃、5%CO2 の条件下で培養を開始した。
【0108】その4日後に各ウェル当り0.1mlづつ
新鮮な完全培地を加えた。その後、3〜4日毎に培養上
清の半量を新鮮な完全培地と交換し、培養を継続した。
2〜4週間後、細胞増殖のみられたウェルの培養上清中
の抗GD1a抗体価を前記実施例1で述べたELISA法
を用いて測定した。
【0109】なお、この場合、二次抗体は、パーオキシ
ダーゼ標識抗ヒト免疫グロブリン抗体を用いた。
【0110】上清中に抗GD1a抗体価の認められたウェ
ルの細胞を24ウェル培養プレート、6ウェル培養プレ
ート、6cmプラスチックディッシュの培養上清中の抗
GD1a抗体価の認められたものについて、常法にしたが
って軟寒天法でクローニングを行い、単クローン性の抗
GD1a産生細胞株1クローンを得、これを細胞株HZ−
1と命名した。
【0111】この細胞株を大量培養して得られる培養上
清から、50%飽和硫酸アンモニウム沈澱法により本発
明のMZを得、これにMZ−3と付番した。
【0112】試験例1 実施例1で得られたMZ−1及びMZ−2の免疫グロブ
リン抗体のクラスをELISA法により決定した。すな
わち各MZにパーオキシダーゼで標識されたマウス免疫
グロブリンの各クラスに対する抗体を反応させ、続いて
ABTSを基質としてパーオキシダーゼ反応を行わせ
た。
【0113】その結果、MZ−1及びMZ−2は、いず
れもIgMのクラスに属するものと判明した。
【0114】試験例2 実施例1及び3で得られた各MZの種々の糖脂質に対す
る反応性をELISA法を用いて検討した。用いた糖脂
質はGD1aの他に、類縁構造を有するGalCer(ウ
シ脳由来)、LacCer(ウシ脳由来)、Gb3 (ヒ
ト赤血球由来)、Gb4 (ヒト赤血球由来)、GA2
(ウシ脳由来)、GA1 (ウシ脳由来)、GM3 (ウシ
脳由来)、GM2 (ウシ脳由来)、GM1 (ウシ脳由
来)、GD1b(ウシ脳由来)、GT1b(ウシ脳由来)、
GQ1b(ウシ脳由来)、Fuc−GM1 (ラット赤血球
由来)、nLc4 (ヒト赤血球由来)、及びシアロシル
nLc4 (ウシ赤血球由来)である(構造は末尾の第3
表に示す)。
【0115】各糖脂質に対する抗体価は、ELISAで
発色が肉眼で認められる最大の希釈倍数(以下2の累乗
の形で表す)で示した。
【0116】その結果は、各MZのいずれもがGD1a
対し高い抗体価を示した。すなわち、実施例1により得
られたMZではGD1aに対する抗体価は218であり、同
実施例3のもので216であった。しかしながら、その他
の糖脂質に対しては、いずれの抗体も反応しなかった
(抗体価は、全て22 以下)。
【0117】試験例3 上記各実施例で得られた各MZの糖脂質特異性をTLC
−免疫染色法を用いてさらに検討した。
【0118】本法はシリカゲルのTLCで糖脂質を分画
した後、ELISA法と同様の原理を用いて、その薄層
プレート上で免疫染色を行うものである。
【0119】この方法では、糖脂質検出の感度は非常に
高く、かつ、各糖脂質に微量混入する物質への反応を否
定できる利点がある。それ故、糖脂質に対する抗体の特
異性を検討するには、最も優れた方法の1つとして現在
この分野の研究で汎用されている。
【0120】本実施例では、東らによって報告された方
法(Journal of Biochemistry 95巻、1517頁、1
934年)に準じてTLC−酵素免疫染色を行った。
【0121】まず、GD1aを始めとする各糖脂質(由来
は試験例2の項に記載に同じ)をシリカゲルの薄層プレ
ート(マッヘライ・ナーゲル社製、ポリグラム・シル
G)にスポットした。
【0122】クロロホルム−メチルアルコール−0.2
5%塩化カリウム(50:40:10,v/v)の溶液
を溶媒として約25分間の展開を行った。展開後の各糖
脂質の位置をオルシノールにより求めた。
【0123】オルシノール反応用と並行した免疫染色用
の展開を同時に行い、以下の方法で染色した。まず、展
開後の薄層のプレートに1次抗体として実施例1及び実
施例3で作製した各MZまたは多クローン性抗GD1a
サギ抗体のいずれかを反応させた。多クローン性抗GD
1aウサギ抗体は、公知の方法でGD1aをウサギに免疫
し、追加免疫の2週間後に採血して得られた抗血清を用
いた。
【0124】続いてマウス、ヒトあるいはウサギの免疫
グロブリンに対する抗体(いずれもパーオキシダーゼ標
識)を適宜選択し、二次抗体としてプレートに反応させ
た、さらに、基質として、4−クロロ−1−ナフトール
を用いてパーオキシダーゼ反応による発色を行わせた。
【0125】その結果は第1表に示すようにこの発明の
MZは、いずれもGD1aのスポットにのみ反応した。対
照に用いた多クローン性抗GD1a抗体はGD1aのみなら
ず、GM1 及びGD1aとも反応した。
【0126】
【表1】 1)−は発色無し、+は発色有りを示す。
【0127】以上の結果から、実施例1で得られたMZ
もさらに実施例3で得られたMZのいずれもGD1aのみ
の特異的なものであることが示された。さらに、その点
において、それらの単クローン性抗GD1a抗体は、これ
までの公知の方法で作製され、使用されてきた多クロー
ン性抗GD1aウサギ抗体に対して高い有意性を示すもの
である。
【0128】また、この実施例の結果から、この発明の
単クローン性抗GD1a抗体はSAα2→3Ga1β1→
3GalNAcβ1→4[SAα2→3]Galβ1→
4Glcの糖鎖構造を認識するものと結論される。
【0129】試験例4 プロテインAを固定したポリスチレンボールをガラスの
試験管に入れ、さらにその中に癌またはSLE患者の血
清1mlを入れ、4℃で1晩放置した。ポリエチレンボ
ールを洗浄後、0.3Mグリシン−塩酸緩衝液(pH
2.8)により免疫複合体がプロテインAから解離する
と共に、免疫複合体自身もGD1aと免疫グロブリンGに
解離する。
【0130】試験管からポリスチレンボールを除去し、
試験管にクロロホルム−メチルアルコールの混液(2:
1,v/v)12mlを加えよく振盪した。遠心後、下
層のクロロホルム層の画分を取り、蒸発乾固させた、こ
れを適当量の1%BSA含有PBSに溶解し、下記のG
1a測定用の検体とした。
【0131】GD1aの測定は次に述べるELISA法を
用いた。まず、96ウェルのマイクロタイトレーション
プレート(以下、プレートという)の各ウェルに検体液
100μlを入れ、続いて、この発明のMZを結合した
ポリスチレンボールを加え、プレートを37℃で3時間
保温した。
【0132】プレートを洗浄後、さらに1%BSA及び
0.05%ツイーン20(ポリオキシエチレンソルビタ
ンモノラウレイト)含有PBSに溶解したビオチン化M
Z(ビオチン化は常法により行った)100μlを加え
室温で1時間反応させた。
【0133】さらに洗浄後、1%BSA及び0.05%
ツイーン20含有PBSに溶解したパーオキシダーゼ標
識アビジンを加え室温で1時間反応させた。
【0134】洗浄後、ABTSを基質としてパーオキシ
ダーゼ反応を行わせ、各ウェルの発色度を96ウェルE
LISA用自動光度計(波長414nm)を用いて測定
した。前記実施例2に記載の方法でGD1aをリポソーム
に封入し、それを用いた標準曲線に基づいてGD1a濃度
を求めた。
【0135】その結果は図面に示す通り、癌患者及びS
LE患者においては健常人と比較して高い値を示した。
また、その場合、GD1aの高値は癌の種類に関係なく認
められた。なお、図において、縦軸のGD1a濃度はある
濃度単位(U/ml)に補正して表されているので試料
相互間での相対的な関係を示しているものである。
【0136】このように、この発明の単クローン性抗G
1a抗体及びそれを使用した血中GD1a測定系は、癌及
びSLEの診断に極めて有用なものである。
【0137】試験例5 本試験例では、脳の脱髄等の器質的障害を伴うヒトの疾
患である多発性硬化症の動物モデルである実験的アレル
ギー性脳脊髄炎の発症過程における血中GD1aの濃度
を、本明細書の実施例1で得られた単クローン性抗GD
1a抗体を用いて測定した。
【0138】まず、1群5匹の体重180g前後の雌性
ルイス(Lewis)系ラットの両後足蹠部に、モルモ
ット脊髄とフロイントの完全アジュバント(以下、FC
Aと呼ぶ)のエマルジョンを投与した。その1〜4週間
後に採血し、血中のGD1a濃度を定量した。GD1aの定
量は実施例1で得られた単クローン性抗GD1a抗体MZ
−2を用いたELISA法(詳細は前記実施例4に記
載)により行った。
【0139】結果は第2表に示すが、表中GD1aの濃度
はある濃度単位(U/ml)に補正された値の、5匹の
平均値であるので試験区間での相対値を示すものであ
る。
【0140】本試験例の動物モデルにおいては、モルモ
ット脊髄とFCAによる惹起投与の約3週間後頃から、
ラット脳内に脱髄現象が起こることが知られている。
【0141】第2表に見られるように、血中GD1a濃度
は、モルモット脊髄とFCAの投与群において、投与の
3週間から血中にその上昇が見られた。
【0142】このように、本発明の単クローン性抗体は
脱髄等の脳神経系の器質的障害を伴う諸疾患の診断に応
用可能であることが示された。
【0143】
【表2】 1)結核菌体を含まないフロイントの不完全アジュバント。
【0144】また、本試験例4及び5ではポリスチレン
ボールに結合された「不溶化」抗体、及びビオチンで標
識された抗体としては、いずれもこの発明の単クローン
性抗体を用いたが、この場合は、1〜10ng/mlと
いう極めて低いGD1a濃度範囲で直線の標準線が得られ
た。
【0145】一方、用いた不溶化抗体及び標識抗体が、
いずれも従来より使用されてきた多クロンー性抗GD1a
ウサギ抗体の場合は、10〜100ng/mlの濃度範
囲で直線の標準線が得られた。
【0146】また、不溶化抗体としてこの発明の単クロ
ーン性抗体GD1a、標識抗体として多クローン性抗GD
1aウサギ抗体を用いた場合は5〜50ng/mlの濃度
範囲で直線の標準線が得られた。
【0147】このように、本試験例4及び5に用いた、
いわゆるサンドウィッチ法によるGD1aの測定では、単
クローン性抗体を用いることにより測定感度が上昇し
た。
【0148】また、いわゆる競争法によるGD1aの定量
においても、多クローン性抗GD1a抗体を用いた場合は
10〜100ng/mlのGD1a濃度で直線の標準線が
得られたが、この発明のMZを用いると3〜30ng/
mlの範囲で直線の標準線が得られた。
【0149】上記のように、GD1aの測定にこの発明の
単クローン性抗体を使用したところ、多クローン性抗体
使用の場合に比較して、高い測定感度の測定系が得られ
た。
【0150】それにより、従来、多クローン性抗体を用
いた測定系では、測定が不可能であった疾患状態におけ
る体液中GD1a濃度の変動を検出することが可能となっ
た。このことも、従来多クローン性抗GD1a抗体に対す
るこの発明の単クローン性抗GD1a抗体であるMZの優
れている点である。
【0151】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の単クローン性抗GD1a抗体MZ−1
を用いたELISA法により求めた各種癌患者及びSL
E患者血中のGD1a濃度の個々の値を示すものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 33/577 9282−4B C12N 15/00 C (C12P 21/08 C12R 1:91)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 GD1aで免疫した哺乳動物由来の抗体
    産生細胞と骨髄腫細胞とを融合させて形成されるハイブ
    リドーマであって、GD1aを認識し、GalCer,L
    acCer,Gb3 ,Gb4 ,GA1 ,GA2 ,GM
    1 ,GM2 ,GM3 ,GD1b,GT1b,GQ1b,Fuc
    −GM1 ,nLC4 及びシアロシルnLC4 を実質的に
    認識しない抗ガングリオシドGD1a単クローン性抗体M
    Zを産生することを特徴とするハイブリドーマHbM
    Z。
  2. 【請求項2】 抗体産生細胞がマウス脾臓細胞であるこ
    とを特徴とする特許請求の範囲第1項記載のハイブリド
    ーマHbMZ−1。
  3. 【請求項3】 抗体産生細胞がラット脾臓細胞であるこ
    とを特徴とする特許請求の範囲第1項記載のハイブリド
    ーマHbMZ−2。
  4. 【請求項4】 抗体産生細胞がヒトリンパ球であること
    を特徴とする特許請求の範囲第1項のハイブリドーマH
    bHZ−1。
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