JP2015210973A - 銅ナノ粒子分散体、及び導電性基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、特許文献1の技術によれば、後述の比較例のように、銅微粒子の分散性が悪く、塗布適性が悪く、PETフィルム等の樹脂基材上に塗布する際にムラが生じるという課題があった。更に、分散性を高めようとするとアルキルアミンを大量に使用する必要があり、焼結性が悪化するという問題があった。
しかしながら、特許文献2の技術は、分散剤のみで分散性を保持しているため、焼結時に有機物が残存しやすく、金属微粒子塗工膜の焼成には高いマイクロ波出力による長時間焼成が必要となっている。実際には当該文献の実施例に記載の通りポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム上での金属微粒子塗工膜の焼成が限界であり、より安価で汎用的な低耐熱基材であるPETフィルム等に塗工して特許文献2と同条件で焼成しようすると導電性が発現する前に基材が変形し焼成できないという課題があった。PETフィルム等に塗工して焼成するには更なる焼結温度の低温化が必要であった。また、特許文献2の技術では、焼結時に有機物が残存しやすいことから、塗膜表面と内部で焼結度に傾斜が生じやすいため、焼結後に化学エッチングすることが困難であった。
本発明は、このような状況下になされたものであり、耐酸化性、分散性、塗布適性、及び低温又は短時間での焼結性に優れた銅ナノ粒子分散体、並びに、低温又は短時間での焼成により、優れた導電性を有する導電性基板を得ることができる、導電性基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、係る知見に基づいて完成したものである。
前記銅ナノ粒子を、溶剤中で、アミン価及び酸価の一方が30〜160mgKOH/g、アミン価及び酸価の他の一方が0〜160mgKOH/gである高分子分散剤により分散することにより、動的光散乱法による体積平均粒径が500nm以下である銅ナノ粒子分散体を調製する工程と、
前記銅ナノ粒子分散体を、基材上に塗布して塗膜を形成する工程と、
当該塗膜を焼成する工程とを有することを特徴とする。
なお、本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの各々を表す。
本発明に係る銅ナノ粒子分散体は、銅ナノ粒子と、カルボン酸と、アルキルアミンと、高分子分散剤と、溶剤とを含有し、前記高分子分散剤は、アミン価及び酸価の一方が30〜160mgKOH/g、アミン価及び酸価の他の一方が0〜160mgKOH/gであり、動的光散乱法による体積平均粒径が500nm以下であることを特徴とする。
銅ナノ粒子の分散性を付与するには、銅ナノ粒子表面に強く吸着する官能基を有する化合物を用いることが望ましいが、一方で、化合物の吸着が強すぎると焼成工程で当該化合物が銅ナノ粒子から脱離し難くなり、結果として導電性悪化の要因となると考えられる。その点、本発明においては、銅ナノ粒子表面に強く吸着し得る比較的低分子量のカルボン酸と、銅ナノ粒子表面に弱く吸着する比較的低分子量のアルキルアミンとの両方と、更に、塩基性及び酸性官能基の少なくとも1種を有する特定のアミン価及び酸価を有する高分子分散剤が、銅ナノ粒子に付着して、溶剤中に当該銅ナノ粒子が分散されてなる。本発明においては、特定のアミン価及び酸価を有する高分子分散剤は、塩基性及び酸性官能基の少なくとも1種を有し、銅ナノ粒子表面のカルボン酸やアルキルアミンとの酸塩基相互作用により付着しているものが存在していることが考えられる。
本発明においては、銅ナノ粒子表面に強く吸着し得るカルボン酸が、強い吸着により溶剤中でも銅ナノ粒子を取り囲んで安定して存在する。そして、アルキルアミンがカルボン酸とは異なる電荷を吸着部位に持って、更に銅ナノ粒子に付着することにより、カルボン酸とアルキルアミンという低分子量分散剤が、銅ナノ粒子に、より密に付着できると推定される。更に、高分子分散剤が特定のアミン価及び酸価を有するように選択したことから、カルボン酸とアルキルアミンの両方が付着している銅ナノ粒子に安定的に付着でき、当該高分子分散剤のポリマー鎖の立体障害により、銅ナノ粒子同士の凝集がより生じ難くなり、銅ナノ粒子の優れた分散性を達成できると推定される。後述の比較例で示したように、カルボン酸とアルキルアミンの両方が付着している銅ナノ粒子に対しては、高分子分散剤のアミン価及び酸価が低すぎても、或いは高すぎても、いずれも高分子分散剤が安定的に付着できず、むしろ分散性は悪化する。
また、本発明においては、銅ナノ粒子が特定のアミン価及び酸価を有する高分子分散剤に取り囲まれて、安定して細かい粒径で均一に分散されていることから、ポリマー鎖の成膜性によって、銅ナノ粒子分散体の塗布適性が優れ、且つ塗膜の平滑性が高くなると推定される。
また、分散体の体積平均粒径を500nm以下とすることで、塗膜中で銅ナノ粒子が均一に配置され、高密度な膜を形成できる。比較的低分子量のアルキルアミンは、銅ナノ粒子表面に弱く吸着しているため、塗膜を形成する際の乾燥時に脱離し易い。その一方で、前記高分子分散剤が残留することで銅ナノ粒子の不均一な凝集を防ぎ、乾燥時に銅ナノ粒子は、より高密度に配列すると考えられる。脱離し易いアルキルアミンと混在していることから、カルボン酸も、乾燥時や低温や短時間の焼成でも脱離し易くなっていると推定される。また、上記高分子分散剤は、上記特定のアミン価及び酸価を有することから吸着が強すぎず、また、均一に銅ナノ粒子の周囲に配置されていることから、続く焼成工程で、低温や短時間の焼成でも脱離乃至分解しやすく、高密度に配列した銅ナノ粒子が融着することにより、優れた導電性を有する金属薄膜が得られると推定される。本願のような系において分散体の体積平均粒径が500nmを超えるような場合には、銅ナノ粒子が高密度に配列できないため不均一に焼成され、また、銅ナノ粒子に安定的に付着できていない高分子分散剤が塗膜中に存在することにより低温や短時間の焼成での焼結を阻害し、優れた導電性が得られないと推定される。
また、銅ナノ粒子は、大気中で合成すると特に酸化されやすい。そのため、ナノ粒子製造時に酸化を抑制して、直ちに溶剤中に分散させて酸素に触れ難くすることにより、酸化を抑制できる。本発明において、アルキルアミンは、アミノ基がプロトンを捕捉する機能を有するため、製造時に銅ナノ粒子表面に付着することにより、製造時及び分散体中での銅原子が酸化されることを抑制していると推定される。更に、銅ナノ粒子表面に強く吸着し得るカルボン酸と共に、銅ナノ粒子を密に取り囲み、更に高分子分散剤が付着していることから、本発明においては、銅ナノ粒子の酸化を抑制する効果が高くなっていることが推定される。これらのことから、焼成時の酸化による焼結阻害も生じ難くなり、焼成後に高い導電性を有する膜を形成可能になると推定される。
以下、銅ナノ粒子分散体の各構成について順に詳細に説明する。
本発明において銅ナノ粒子は、典型的には金属状態の銅粒子であるが、銅は非常に酸化され易い金属のため、金属状態の銅ナノ粒子の表面が一部酸化されて酸化物となっている場合が含まれていてもよいものである。
なお、上記銅ナノ粒子の平均一次粒径は、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で求めることができる。具体的には、透過型電子顕微鏡写真(TEM)(例えば、日立ハイテク製 H−7650)にて粒子像を測定し、ランダムに選択した100個の一次粒子の最長部の長さの平均値を平均一次粒径とすることができる。
また、化学還元法の1種としては、錯化剤及び有機保護剤の存在下で、含銅化合物と還元剤とを溶剤中で混合して生成する方法が挙げられる。
なお、上記の方法の他、市販の銅ナノ粒子を適宜用いることができる。
本発明においては、銅ナノ粒子にカルボン酸とアルキルアミンを被覆させることから、中でも、後に詳述するように、有機保護剤としてカルボン酸とアルキルアミンとを用いて、含銅化合物と還元剤とを溶剤中で混合して銅ナノ粒子を生成する方法が好適に用いられる。
本発明において使用されるカルボン酸は、配位子として、酸素原子により銅に結合し得る化合物である。従って、銅ナノ粒子分散体において、分散に寄与している当該カルボン酸は、通常、少なくとも1つの酸素原子により銅に結合した状態で存在する。
カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、ヘキサデカン酸等の飽和脂肪族モノカルボン酸;オレイン酸、リノール酸等の等の不飽和脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸等の脂肪族ポリカルボン酸;マレイン酸等の脂肪族不飽和ポリカルボン酸;安息香酸等の芳香族モノカルボン酸;フタル酸等の芳香族ポリカルボン酸;クエン酸等のヒドロキシカルボン酸などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
中でも、炭素数が10以下のカルボン酸であることが、低温焼成性が良好になり、導電性が向上する点から好ましい。また、分散性の点から炭素数が2以上のカルボン酸が用いられる。特に、炭素数が10以下の脂肪族カルボン酸であることが、分散性、低温焼成性が良好になり、導電性が向上する点から好ましい。なお、当該脂肪族カルボン酸は、飽和、不飽和のどちらでもよい。
本発明で用いられるカルボン酸は、極性が比較的弱く、焼成時に脱離しやすい点から、分子内に一つもしくは二つのカルボキシル基を有するカルボン酸を用いることが好ましく、更に分子内に一つのカルボキシル基を有するカルボン酸を用いることが好ましい。
本発明の銅ナノ粒子分散体において、カルボン酸の含有量は、用途に応じて適宜選択されれば良いが、低温焼成性の点から、銅ナノ粒子分散体の全量に対して、0.05〜15質量%であることが好ましく、更に、0.05〜10質量%の範囲内であることがより好ましい。
本発明において使用されるアルキルアミンは、製造される銅ナノ粒子分散体に期待される特性等に応じて、公知のアルキルアミンから適宜選択して用いることができる。
アルキルアミンは、プロトンを捕捉する機能を有することにより、銅原子が酸化されることを防止していると推定される。
アルキルアミンはアルキル基の一部にアミノ基の結合した構造を有している。銅原子に対して配位結合を形成するために、使用するアルキルアミンに含まれるアミノ基の少なくとも1つが一級アミノ基であるRNH2(Rは炭化水素鎖)または二級アミノ基であるR1R2NH(R1、R2は炭化水素鎖で同じであっても異なっていてもよい)であることが望ましい。アルキル鎖は直鎖、分岐鎖、又は環状のいずれであっても良い。また、前記炭化水素鎖には酸素、珪素、窒素、硫黄、リンなどの炭素以外の原子が含有されていても良い。例えば具体的には、アルコキシ基、アルコキシシリル基、アルキルチオ基等の置換基を有するアルキルアミンであっても良く、分子内に二つのアミノ基を有していても良いものである。
本発明で用いられるアルキルアミンは、極性が比較的弱く、焼成時に脱離しやすい点から、分子内に一つもしくは二つのアミノ基を有するアルキルアミンを用いることが好ましい。
また、本発明で用いられるアルキルアミンは、焼成時に脱離しやすい点から、沸点が300℃以下であることが好ましく、更に200℃以下であることが好ましい。一方で、ナノ粒子作製時、保管時の脱離、揮発防止の点から、アルキルアミンの分子量は50以上であることが好ましい。また、沸点は23℃以上であることが好ましく、更に50℃以上であることが好ましい。
本発明の銅ナノ粒子分散体において、アルキルアミンの含有量は、用途に応じて適宜選択されれば良いが、耐酸化性、低温焼成性の点から、銅ナノ粒子分散体の全量に対して、0.05〜15質量%であることが好ましく、更に、0.05〜10質量%の範囲内であることがより好ましい。
本発明において用いられる高分子分散剤は、アミン価及び酸価の一方が30〜160mgKOH/g、アミン価及び酸価の他の一方が0〜160mgKOH/gである高分子分散剤であり、塩基性官能基及び酸性官能基の少なくとも1種を有するものである。
塩基性官能基としては一級、二級、又は三級アミノ基、ピリジン、ピリミジン、ピラジン等の含窒素ヘテロ環等をあげることができる。また、酸性官能基としては、カルボン酸基、リン酸基、スルホン酸基等が挙げられる。
なお、アミン価とは、遊離塩基、塩基の総量を示すもので、試料1gを中和するのに要する塩酸に対して当量の水酸化カリウムのmg数で表したものである。また、酸価とは、遊離酸、酸の総量を示すもので、試料1gを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数で表したものである。アミン価はJIS−K7237に準拠した方法で、酸価はJIS−K0070に準拠した方法で測定することができる。
後述の実施例及び比較例に示すように、カルボン酸とアルキルアミンの両方が付着した銅ナノ粒子に対しては、高分子分散剤のアミン価及び酸価が低すぎても、或いは高すぎても、いずれも高分子分散剤が安定的に付着できず、むしろ分散性は悪化する。特に、分散性は低いが低温焼成性に優れる炭素数が小さいカルボン酸と組み合わせる場合には、高分子分散剤のアミン価及び酸価が低すぎても、高すぎても、分散できないことが明らかにされた。
上記高分子分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体類;ポリアクリル酸等の不飽和カルボン酸の(共)重合体の(部分)アミン塩、(部分)アンモニウム塩や(部分)アルキルアミン塩類;水酸基含有ポリアクリル酸エステル等の水酸基含有不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体やそれらの変性物;ポリウレタン類;不飽和ポリアミド類;ポリシロキサン類;長鎖ポリアミノアミドリン酸塩類;ポリエチレンイミン誘導体(ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離カルボキシル基含有ポリエステルとの反応により得られるアミドやそれらの塩基);ポリアリルアミン誘導体(ポリアリルアミンと、遊離のカルボキシル基を有するポリエステル、ポリアミド又はエステルとアミドの共縮合物(ポリエステルアミド)の3種の化合物の中から選ばれる1種以上の化合物とを反応させて得られる反応生成物)等が挙げられる。
本発明の銅ナノ粒子分散体において、上記高分子分散剤の含有量は、用途に応じて適宜選択されれば良いが、分散性、塗布適性、低温焼成性の点から、銅ナノ粒子分散体の全量に対して、0.05〜25質量%であることが好ましく、更に、0.5〜15質量%の範囲内であることがより好ましい。
上記高分子分散剤の含有量が上記下限値以上であれば、銅ナノ粒子分散体の分散性及び分散安定性を優れたものとすることができる。また上記上限値以下であれば、焼成後の膜の導電性に優れている。
本発明の銅ナノ粒子分散体において、溶剤は、銅ナノ粒子分散体中の各成分とは反応せず、これらを溶解もしくは分散可能な有機溶剤であればよく、特に限定されない。銅ナノ粒子分散体に従来用いられている有機溶剤を適宜選択して用いれば良い。中でも、本発明に用いられる溶剤としては、MBA(酢酸3−メトキシブチル)、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、DMDG(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)又はこれらを混合したものが、上記高分子分散剤の溶解性や塗布適性の点から好ましい。
本発明の銅ナノ粒子分散体には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、従来銅ナノ粒子分散体に用いられている公知のその他の成分を適宜含有してもよい。
その他の成分としては、例えば、錯化剤、有機保護剤、還元剤、濡れ性向上のための界面活性剤、密着性向上のためのシランカップリング剤、消泡剤、ハジキ防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、粘度調製剤、等が挙げられる。また、本発明の効果が損なわれない限り、他の分散剤が含まれていてもよい。更に、本発明の効果が損なわれない範囲で、造膜性、印刷適性や分散性の点から、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂、オレフィン樹脂等の樹脂バインダーを添加してもよい。
本発明の銅ナノ粒子分散体は、動的光散乱法による体積平均粒径が500nm以下であるが、中でも450nm以下であることが好ましい。本発明の銅ナノ粒子分散体はこのように銅ナノ粒子の分散粒径が小さいことから、塗膜の優れた平滑性、均一性、及び、塗膜中の銅ナノ粒子の高密度配列を実現する。
銅ナノ粒子分散体中の動的光散乱法による体積平均粒径は、少なくとも溶剤を含有する分散媒体中に分散している銅ナノ粒子の分散平均粒径であって、レーザー光散乱粒度分布計により測定されるものである。レーザー光散乱粒度分布計による粒径の測定としては、銅ナノ粒子分散体に用いられている溶剤で、銅ナノ粒子分散体をレーザー光散乱粒度分布計で測定可能な濃度に適宜希釈(例えば、1000倍など)し、レーザー光散乱粒度分布計(例えば、日機装製ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150)を用いて動的光散乱法により23℃にて測定することができる。
本発明において、銅ナノ粒子分散体の製造方法は、銅ナノ粒子が良好に分散できる方法であればよく、従来公知の方法から適宜選択して用いることができる。例えば、まずカルボン酸及びアルキルアミンが付着した銅ナノ粒子を準備し、当該銅ナノ粒子を、従来公知の方法により、溶剤中で上記高分子分散剤により分散する方法が挙げられる。
カルボン酸及びアルキルアミンが付着した銅ナノ粒子を準備する方法としては、製造時に保護剤としてカルボン酸及びアルキルアミンを用いて製造された銅ナノ粒子を用いても良いし、他の保護剤を用いて製造された銅ナノ粒子の保護剤を公知の方法でカルボン酸やアルキルアミンに置換しても良い。
なお、銅を含む化合物、還元性化合物、カルボン酸、及びアルキルアミンを含む混合物、又は、カルボン酸銅、還元性化合物、及びアルキルアミンを含む混合物は、加熱する時点で当該混合物となっていれば良い。
上記銅ナノ粒子を調製する工程において、銅を含む化合物(以下、含銅化合物ということがある)は、還元性化合物との間で錯体等の複合化合物を生成可能な含銅化合物が、銅ナノ粒子の金属源として用いられる。当該含銅化合物としては、例えば、水酸化銅、シュウ酸銅、酢酸銅、プロピオン酸銅、酪酸銅、イソ酪酸銅、吉草酸銅、イソ吉草酸銅、カプロン酸銅、エナント酸銅、カプリル酸銅、ノナン酸銅、カプリン酸銅、ピバリン酸銅、マロン酸銅、コハク酸銅、マレイン酸銅、安息香酸銅、クエン酸銅、酒石酸銅、硝酸銅、亜硝酸銅、亜硫酸銅、硫酸銅、リン酸銅のような銅の有機酸塩や無機酸塩等が例示される他、アセチルアセトンが配位結合したアセチルアセトナト銅に代表される錯化合物等が挙げられる。
この際に使用される還元性化合物としては、例えば、特開2012−72418号公報に記載の還元性化合物を適宜選択して用いることができる。
中でも、ヒドラジン、ヒドラジンの水和物、ヒドロキシルアミン及びこれらの誘導体等のアミノ基を有する還元性化合物が好適に用いられる。
その他、カルボン酸銅に対して、還元作用を有する還元性化合物を混合して、銅と還元性化合物との錯体等の複合化合物を生成させる条件は、特開2012−72418号公報を参照して適宜選択することができる。
上記カルボン酸銅と還元性化合物との混合物に対する、アルキルアミンの混合比は、用途に応じて適宜選択されれば良いが、耐酸化性、低温焼成性の点から、カルボン酸銅1モルに対して、1〜10モルであることが好ましく、更に、2〜6モルの範囲内であることがより好ましい。
銅ナノ粒子を調製する際には、前記第1工程と第2工程とを、逐次的に行うことが好ましく、前記第1の工程が約30℃以下に冷却して行われ、前記第2の工程が60℃〜150℃に加熱して行われることが好ましい。
前記調製工程で得られた銅ナノ粒子を、溶剤中で前記特定の高分子分散剤により分散することにより、動的光散乱法による体積平均粒径が500nm以下である銅ナノ粒子分散体を調製する。
例えば、前記特定の高分子分散剤を前記溶剤に混合、攪拌し、高分子分散剤溶液を調製した後、当該高分子分散剤溶液に、前記調製工程で得られた銅ナノ粒子と、必要に応じて他の成分を混合し、公知の攪拌機、又は分散機等を用いて分散させることよって、銅ナノ粒子分散体を調製することができる。
本発明で得られる銅ナノ粒子分散体は、更に、めっき用のシード層や各種金属膜に応用することができ、例えば、光学装置用の鏡面や、各種装飾用途等に用いることができる。
本発明に係る第一の態様の導電性基板の製造方法は、銅ナノ粒子と、カルボン酸と、アルキルアミンと、アミン価及び酸価の一方が30〜160mgKOH/g、アミン価及び酸価の他の一方が0〜160mgKOH/gである高分子分散剤と、溶剤とを含有し、動的光散乱法による体積平均粒径が500nm以下である銅ナノ粒子分散体を、基材上に塗布して塗膜を形成する工程と、当該塗膜を焼成する工程とを有することを特徴とする。
また、本発明に係る第二の態様の導電性基板の製造方法は、銅を含む化合物、還元性化合物、カルボン酸、及びアルキルアミンを含む混合物、又は、カルボン酸銅、還元性化合物、及びアルキルアミンを含む混合物のいずれかを加熱することにより銅ナノ粒子を調製する工程と、前記銅ナノ粒子を、溶剤中でアミン価及び酸価の一方が30〜160mgKOH/g、アミン価及び酸価の他の一方が0〜160mgKOH/gである高分子分散剤により分散することにより、動的光散乱法による体積平均粒径が500nm以下である銅ナノ粒子分散体を調製する工程と、前記銅ナノ粒子分散体を、基材上に塗布して塗膜を形成する工程と、当該塗膜を焼成する工程とを有することを特徴とする。
また、図2は、本発明の製造方法により得られる導電性基板の他の一例を示す概略図である。図2に示される導電性基板101は、基材1の両面に、銅ナノ粒子分散体の塗膜が焼成されてなり、パターン状金属膜3を備えたものである。
このように、本発明の製造方法により得られる導電性基板は、基材の一方の面のみに銅ナノ粒子分散体の塗膜が焼成されてなる金属膜を備えたものであっても良いし、基材の両面に銅ナノ粒子分散体の塗膜が焼成されてなる金属膜を備えたものであっても良い。また、基材の一方の面のみに備えた金属膜、及び、基材の両面に備えた金属膜はそれぞれ、パターン状金属膜であっても、パターンを有していないベタ膜の金属膜であっても良い。更に、基材の両面に備えた金属膜は、一方の面がパターン状金属膜で、他方の面がベタ膜の金属膜であっても良い。また、基材の両面に備えた金属膜が、両面ともパターン状金属膜である場合に、当該両面のパターンは、同じであっても異なっていても良い。更に、基材の両面に備えたパターン状金属膜が、同じパターンを有する場合に、当該両面のパターンは、両面で同じ位置にあっても異なる位置にあっても良い。
以下、第一の態様と第二の態様に共通する、塗膜を形成する工程と、当該塗膜を焼成する工程の各工程について、順に説明する。
なお、本発明に係る上記導電性基板の製造方法は、本発明の効果が損なわれない限り、必要に応じて他の工程を有していてもよいものである。
(基材)
本発明に用いられる基材は、導電性基板に用いられる基材の中から、用途に応じて適宜選択すればよい。例えば、ガラス、アルミナ、シリカ、SUS箔などの無機材料を用いることができ、さらに高分子材料や、紙などを用いることもできる。前記本発明に係る導電性基板用金属微粒子分散体は、従来よりも低温で焼成しても導電性に優れた金属膜が得られることから、従来適用が困難であったソーダライムガラスや、高分子材料であっても好適に用いることができ、特に樹脂フィルムを用いることができる点で非常に有用である。
上記銅ナノ粒子分散体を上記基材上に塗布する方法は、従来公知の塗布乃至印刷方法の中から適宜選択すればよい。中でも、導電性パターンを印刷するに当たり、微細なパターニングを行うことができる点から、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、反転オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、及びインクジェット印刷が好ましい。或いは、塗布方法には全面を塗布する場合も包含される。全面塗布の場合には、当該塗膜を焼成処理して得られる銅ナノ粒子焼結膜に対して、後述するような化学エッチング法によりパターンを形成することが可能である。
本工程は、上記工程で得られた塗膜を焼成することにより、焼結膜とし、金属膜を形成する工程である。
焼成方法は、従来公知の焼成方法の中から適宜選択して用いることができる。焼成方法の具体例としては、例えば、焼成炉(オーブン)により加熱する方法の他、赤外線加熱、各種レーザーアニール、紫外線、可視光、フラッシュ光による光照射焼成、マイクロ波加熱などの方法が挙げられ、不活性ガス雰囲気下又は還元性ガス雰囲気下で行われることが好ましく、また大気雰囲気の場合には、焼成時の酸化を防ぐため、瞬間的に加熱が行われることが好ましい。
本発明の銅ナノ粒子分散体は、低温や、短時間で焼成可能なため、従来の方法よりも低温で焼成することができる。
これらの方法を用いると、基材への熱ダメージを少なくすることができると共に、焼成時の金属の酸化も抑制できる。また、短時間焼成であるため、生産性が高いというメリットもある。
マイクロ波表面波プラズマを用いた焼成は、不活性ガス雰囲気下又は還元性ガス雰囲気下で行うのが、得られる焼結膜の導電性の観点から好ましい。
特に、本発明においては、マイクロ波表面波プラズマを、還元性ガス雰囲気下で発生させることが好ましく、中でも、水素ガス雰囲気下で発生させることがより好ましい。これにより、銅ナノ粒子表面に存在する絶縁性の酸化物が還元除去され、導電性能の良好な導電パターンが形成される。
フラッシュ光焼成とは、フラッシュ光の照射により極めて短時間で焼成する方法である。ここで、本発明においてフラッシュ光とは、点灯時間が比較的短時間の光のことをいい、当該点灯時間をパルス幅という。フラッシュ光の光源は特に限定されないが、キセノン等の希ガスが封入されたフラッシュランプやレーザー等が挙げられる。中でも、紫外線から赤外線までの連続的な波長スペクトルをもつ光を照射することが好ましく、具体的には、キセノンフラッシュランプを用いることが好ましい。このような光源を用いた場合には、加熱と同時にUV照射を行ったのと同様の効果を得ることができ、極めて短時間で焼成が可能となる。また、このような光源を用いた場合には、パルス幅と照射エネルギーを制御することにより、銅ナノ粒子分散体の塗膜、及びその近傍のみを加熱することができ、基材に対する熱の影響を抑えることができる。特に、本発明で用いられる上記高分子分散剤は、上記アルキルアミン及びカルボン酸との相乗効果により、銅ナノ粒子の周囲に均一に存在することから、フラッシュ光の照射により容易に分解乃至揮発しやすく、金属膜に残存しにくいため、極短時間のフラッシュ光の照射であっても容易に焼結させることができる。そのため、本発明においてフラッシュ光焼成は好適に用いられる。
フラッシュ光焼成においてフラッシュ光の照射回数は、塗膜の組成や、膜厚、面積などに応じて適宜調整すればよく、照射回数は1回のみであってもよく、2回以上繰り返し行ってもよい。中でも、照射回数を1〜100回とすることが好ましく、1〜50回とすることが好ましい。フラッシュ光を複数回照射する場合には、フラッシュ光の照射間隔は適宜調整すればよい。中でも照射間隔を10μ秒〜2秒の範囲内で設定することが好ましく、100μ秒〜1秒の範囲内に設定することがより好ましい。
フラッシュ光を上記のように設定することにより、基材への影響を抑えるとともに、銅ナノ粒子の酸化を抑制することが可能であり、且つ、銅ナノ粒子分散体に含まれるアルキルアミン、カルボン酸、上記高分子分散剤も脱離乃至分解しやすく導電性に優れた導電性基板を得ることができる。
上記フラッシュ光焼成は、大気中、大気圧下で行うことが可能であるが、不活性ガス雰囲気下、還元性ガス雰囲気下、減圧下で行ってもよい。また、塗膜を加熱しながら、フラッシュ光焼成を行ってもよい。
また、上記金属膜の体積抵抗率は、1.0×10−4Ω・cm以下であることが好ましい。
本発明の導電性基板の製造方法により得られた導電性基板は、パターン精度が良好で、優れた導電性を有する。このような導電性基板を用いた電子部材としては、表面抵抗の低い電磁波シールド用フィルム、導電膜、フレキシブルプリント配線板などに有効に利用することができる。
(実施例1)
(1)銅ナノ粒子の合成
200ml三ッ口フラスコ中に、水酸化銅 10.0g(0.1mol、和光純薬工業製)、ノナン酸 31.5g(0.2mol、東京化成工業製、沸点254℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME) 18.5g(20ml、関東化学製)を量り取った。この混合液を撹拌しながら100℃まで加熱し、その温度を20分維持した。その後、ヘキシルアミン 40.5g(0.4mol、東京化成工業製、沸点130℃)を添加し、100℃で10分加熱、撹拌した。この混合液を、氷浴を用いて10℃まで冷却した後、氷浴中でヒドラジン一水和物 10.0g(0.2mol、関東化学製)をPGME 18.5g(20ml、関東化学製)に溶解させた溶液を添加し、10分撹拌した。その後、反応溶液を100℃まで加熱し、その温度を10分維持した。30℃まで冷却後、ヘキサン 33g(50ml、関東化学製)を添加した。遠心分離後、上澄み液を除去した。沈殿物をヘキサンで洗浄し、ノナン酸とヘキシルアミンで被覆された銅ナノ粒子を得た。
またX線回折装置にて得られた銅ナノ粒子の結晶構造を測定したところ、銅ナノ粒子の主構造はCu(Cubic)で一部Cu2O(Cubic)構造が見られ、Cu(111)に対するCu2O(111)のピーク強度は約3%であった。
上記で得られたノナン酸及びヘキシルアミンで被覆された銅ナノ粒子 3.0質量部、ソルスパース41000(日本ルーブリゾール製、酸価50mgKOH/g、アミン価0mgKOH/g、重量平均分子量3500、90%熱重量減少温度が370.4℃) 0.3質量部、PGME 4.2質量部を混合し、ペイントシェーカー(浅田鉄工製)にて予備分散として2mmジルコニアビーズで1時間、さらに本分散として0.1mmジルコニアビーズで2時間分散し、銅ナノ粒子分散体1を得た。
上記銅ナノ粒子分散体1を、厚さ100μmのPETフィルム(コスモシャイン A4100)にワイヤーバーで塗布、乾燥して、膜厚が0.5μmの塗膜とした。
その後、水素ガスを導入圧力20Paで導入しながら、マイクロ波表面波プラズマ処理装置(MSP−1500、ミクロ電子製)を用いて、マイクロ波出力450Wで300秒間焼成し、導電性基板を得た。
上記銅ナノ粒子分散体1を、厚さ100μmのPETフィルム(コスモシャイン A4100)にワイヤーバーで塗布、乾燥して、膜厚が0.5μmの塗膜とした。
その後、パルスドキセノンランプ装置(SINTERON 2000(Xenon Corporation製))を用いて、パルス幅500μ秒、印加電圧3.7kVで1回照射して、導電性基板を得た。
実施例1の(2)において、ソルスパース41000の代わりに、ソルスパース53095(日本ルーブリゾール製、酸価47mgKOH/g、アミン価0mgKOH/g、重量平均分子量3900、90%熱重量減少温度が360.7℃)を用いた以外は実施例1の(2)と同様にして、銅ナノ粒子分散体2を得た。
得られた銅ナノ粒子分散体2を用いて、実施例1の(3)と同様にして、プラズマ焼成により導電性基板を製造した。
得られた銅ナノ粒子分散体2を用いて、実施例1の(4)と同様にして、フラッシュ光焼成により導電性基板を製造した。
実施例1の(2)において、ソルスパース41000の代わりに、ソルスパース71000(日本ルーブリゾール製、酸価0mgKOH/g、アミン価77.4mgKOH/g、重量平均分子量4700、90%熱重量減少温度が405.9℃)を用いた以外は実施例1の(2)と同様にして、銅ナノ粒子分散体3を得た。
得られた銅ナノ粒子分散体3を用いて、実施例1の(3)と同様にして、プラズマ焼成により導電性基板を製造した。
得られた銅ナノ粒子分散体3を用いて、実施例1の(4)と同様にして、フラッシュ光焼成により導電性基板を製造した。
実施例1の(2)において、ソルスパース41000の代わりに、ディスパーbyk−111(ビックケミー・ジャパン製、酸価129mgKOH/g、アミン価0mgKOH/g、重量平均分子量1700、90%熱重量減少温度が320.4℃)を用いた以外は実施例1の(2)と同様にして、銅ナノ粒子分散体4を得た。
得られた銅ナノ粒子分散体4を用いて、実施例1の(3)と同様にして、プラズマ焼成により導電性基板を製造した。
得られた銅ナノ粒子分散体4を用いて、実施例1の(4)と同様にして、フラッシュ光焼成により導電性基板を製造した。
実施例1の(2)において、ソルスパース41000の代わりに、ディスパーbyk−145(ビックケミー・ジャパン製、酸価76mgKOH/g、アミン価71mgKOH/g、重量平均分子量1800、90%熱重量減少温度が378.2℃)を用いた以外は実施例1の(2)と同様にして、銅ナノ粒子分散体5を得た。
得られた銅ナノ粒子分散体5を用いて、実施例1の(3)と同様にして、プラズマ焼成により導電性基板を製造した。
得られた銅ナノ粒子分散体5を用いて、実施例1の(4)と同様にして、フラッシュ光焼成により導電性基板を製造した。
実施例1の(2)において、ソルスパース41000の代わりに、ディスパーbyk−180(ビックケミー・ジャパン製、酸価94mgKOH/g、アミン価94mgKOH/g、THF可溶分の重量平均分子量1000、90%熱重量減少温度が350.2℃)を用いた以外は実施例1の(2)と同様にして、銅ナノ粒子分散体6を得た。
得られた銅ナノ粒子分散体6を用いて、実施例1の(3)と同様にして、プラズマ焼成により導電性基板を製造した。
得られた銅ナノ粒子分散体6を用いて、実施例1の(4)と同様にして、フラッシュ光焼成により導電性基板を製造した。
(1)銅ナノ粒子の合成
実施例1において、ヘキシルアミン 40.5g(0.4mol)の代わりに、3−メトキシプロピルアミン 35.7g(0.4mol、広栄化学工業製、沸点116℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ノナン酸と3−メトキシプロピルアミンで被覆された銅ナノ粒子を得た。
またX線回折装置にて得られた銅ナノ粒子の結晶構造を測定したところ、銅ナノ粒子の主構造はCu(Cubic)で一部Cu2O(Cubic)構造が見られ、Cu(111)に対するCu2O(111)のピーク強度は約1%であった。
上記で得られたノナン酸と3−メトキシプロピルアミンで被覆された銅ナノ粒子を用いた以外は、実施例1の(2)と同様にして、銅ナノ粒子分散体7を得た。
得られた銅ナノ粒子分散体7を用いて、実施例1の(3)と同様にして、プラズマ焼成により導電性基板を製造した。
(4)フラッシュ光焼成による導電性基板の製造
得られた銅ナノ粒子分散体7を用いて、実施例1の(4)と同様にして、フラッシュ光焼成により導電性基板を製造した。
(1)銅ナノ粒子の合成
実施例1において、ヘキシルアミン 40.5g(0.4mol)の代わりに、3−エトキシプロピルアミン 41.3g(0.4mol、広栄化学工業製、沸点135℃)を用い、ヘキサン33.0g(50ml)を添加する代わりに、ヘキサン66.0g(100ml)を添加した以外は、実施例1と同様にして、ノナン酸と3−エトキシプロピルアミンで被覆された銅ナノ粒子を得た。
またX線回折装置にて得られた銅ナノ粒子の結晶構造を測定したところ、銅ナノ粒子の主構造はCu(Cubic)で一部Cu2O(Cubic)構造が見られ、Cu(111)に対するCu2O(111)のピーク強度は約5%であった。
実施例1の(2)において、銅ナノ粒子として上記で得られたノナン酸と3−エトキシプロピルアミンで被覆された銅ナノ粒子を用い、ソルスパース41000の代わりに、ソルスパース71000(日本ルーブリゾール製、酸価0mgKOH/g、アミン価77.4mgKOH/g、重量平均分子量4700、90%熱重量減少温度が405.9℃)を用いた以外は実施例1の(2)と同様にして、銅ナノ粒子分散体8を得た。
得られた銅ナノ粒子分散体8を用いて、実施例1の(3)と同様にして、プラズマ焼成により導電性基板を製造した。
(4)フラッシュ光焼成による導電性基板の製造
得られた銅ナノ粒子分散体8を用いて、実施例1の(4)と同様にして、フラッシュ光焼成により導電性基板を製造した。
(1)銅ナノ粒子の合成
実施例8において、ノナン酸 31.5g(0.2mol)の代わりに、デカン酸 34.5g(0.2mol、花王製ルナック10−98、沸点268℃)を用いた以外は、実施例8と同様にして、デカン酸と3−エトキシプロピルアミンで被覆された銅ナノ粒子を得た。
またX線回折装置にて得られた銅ナノ粒子の結晶構造を測定したところ、銅ナノ粒子の主構造はCu(Cubic)で一部Cu2O(Cubic)構造が見られ、Cu(111)に対するCu2O(111)のピーク強度は約7%であった。
上記で得られたデカン酸と3−エトキシプロピルアミンで被覆された銅ナノ粒子を用いた以外は、実施例1の(2)と同様にして、銅ナノ粒子分散体9を得た。
得られた銅ナノ粒子分散体9を用いて、実施例1の(3)と同様にして、プラズマ焼成により導電性基板を製造した。
(4)フラッシュ光焼成による導電性基板の製造
得られた銅ナノ粒子分散体9を用いて、実施例1の(4)と同様にして、フラッシュ光焼成により導電性基板を製造した。
実施例1の(2)において、銅ナノ粒子として、実施例9の(1)と同様にして得られたデカン酸と3−エトキシプロピルアミンで被覆された銅ナノ粒子を用い、ソルスパース41000の代わりに、ソルスパース71000(日本ルーブリゾール製、酸価0mgKOH/g、アミン価77.4mgKOH/g、重量平均分子量4700、90%熱重量減少温度が405.9℃)を用いた以外は実施例1の(2)と同様にして、銅ナノ粒子分散体10を得た。
得られた銅ナノ粒子分散体10を用いて、実施例1の(3)と同様にして、プラズマ焼成により導電性基板を製造した。
得られた銅ナノ粒子分散体10を用いて、実施例1の(4)と同様にして、フラッシュ光焼成により導電性基板を製造した。
実施例1の(2)において、銅ナノ粒子として、実施例9の(1)と同様にして得られたデカン酸と3−エトキシプロピルアミンで被覆された銅ナノ粒子を用い、ソルスパース41000の代わりに、ディスパーbyk−102(ビックケミー・ジャパン製、酸価101mgKOH/g、アミン価0mgKOH/g、重量平均分子量1400、90%熱重量減少温度が327.5℃)を用いた以外は実施例1の(2)と同様にして、銅ナノ粒子分散体11を得た。
得られた銅ナノ粒子分散体11を用いて、実施例1の(3)と同様にして、プラズマ焼成により導電性基板を製造した。
得られた銅ナノ粒子分散体11を用いて、実施例1の(4)と同様にして、フラッシュ光焼成により導電性基板を製造した。
実施例1の(2)において、銅ナノ粒子として、実施例9の(1)と同様にして得られたデカン酸と3−エトキシプロピルアミンで被覆された銅ナノ粒子を用い、ソルスパース41000の代わりに、ディスパーbyk−106(ビックケミー・ジャパン製、酸価132mgKOH/g、アミン価74mgKOH/g、重量平均分子量1400、90%熱重量減少温度が405.3℃)を用いた以外は実施例1の(2)と同様にして、銅ナノ粒子分散体12を得た。
得られた銅ナノ粒子分散体12を用いて、実施例1の(3)と同様にして、プラズマ焼成により導電性基板を製造した。
得られた銅ナノ粒子分散体12を用いて、実施例1の(4)と同様にして、フラッシュ光焼成により導電性基板を製造した。
実施例1の(2)において、銅ナノ粒子として、実施例9の(1)と同様にして得られたデカン酸と3−エトキシプロピルアミンで被覆された銅ナノ粒子を用い、ソルスパース41000の代わりに、ディスパーbyk−111(ビックケミー・ジャパン製、酸価129mgKOH/g、アミン価0mgKOH/g、重量平均分子量1700、90%熱重量減少温度が320.4℃)を用いた以外は実施例1の(2)と同様にして、銅ナノ粒子分散体13を得た。
得られた銅ナノ粒子分散体13を用いて、実施例1の(3)と同様にして、プラズマ焼成により導電性基板を製造した。
得られた銅ナノ粒子分散体13を用いて、実施例1の(4)と同様にして、フラッシュ光焼成により導電性基板を製造した。
(1)銅ナノ粒子の合成
実施例1において、ヘキシルアミン 40.5g(0.4mol)の代わりに、ジメチルアミノプロピルアミン 40.9g(0.4mol、広栄化学工業製、沸点135℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ノナン酸とジメチルアミノプロピルアミンで被覆された銅ナノ粒子を得た。
またX線回折装置にて得られた銅ナノ粒子の結晶構造を測定したところ、銅ナノ粒子の主構造はCu(Cubic)で一部Cu2O(Cubic)構造が見られ、Cu(111)に対するCu2O(111)のピーク強度は約1%であった。
上記で得られたノナン酸とジメチルアミノプロピルアミンで被覆された銅ナノ粒子を用い、ソルスパース41000の代わりに、ソルスパース71000(日本ルーブリゾール製、酸価0mgKOH/g、アミン価77.4mgKOH/g、重量平均分子量 4700、90%熱重量減少温度が405.9℃)を用いた以外は、実施例1の(2)と同様にして、銅ナノ粒子分散体14を得た。
得られた銅ナノ粒子分散体14を用いて、実施例1の(3)と同様にして、プラズマ焼成により導電性基板を製造した。
(4)フラッシュ光焼成による導電性基板の製造
得られた銅ナノ粒子分散体14を用いて、実施例1の(4)と同様にして、フラッシュ光焼成により導電性基板を製造した。
(1)銅ナノ粒子の合成
実施例1において、ノナン酸 31.5g(0.2mol)の代わりに、オレイン酸 28.2g(0.1mol、関東化学製、沸点360℃)を用い、ヘキシルアミン 40.5g(0.4mol)の代わりに、オクチルアミン51.7g(0.4mol、東京化成工業製、沸点176℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして、オレイン酸とオクチルアミンで被覆された銅ナノ粒子を得た。
またX線回折装置にて得られた銅ナノ粒子の結晶構造を測定したところ、銅ナノ粒子の主構造はCu(Cubic)で一部Cu2O(Cubic)構造が見られ、Cu(111)に対するCu2O(111)のピーク強度は約12%であった。
上記で得られたオレイン酸とオクチルアミンで被覆された銅ナノ粒子を用い、ソルスパース41000の代わりに、ソルスパース71000(日本ルーブリゾール製、酸価0mgKOH/g、アミン価77.4mgKOH/g、重量平均分子量4700、90%熱重量減少温度が405.9℃)を用いた以外は、実施例1の(2)と同様にして、銅ナノ粒子分散体15を得た。
得られた銅ナノ粒子分散体15を用いて、実施例1の(3)と同様にして、プラズマ焼成により導電性基板を製造した。
(4)フラッシュ光焼成による導電性基板の製造
得られた銅ナノ粒子分散体15を用いて、実施例1の(4)と同様にして、フラッシュ光焼成により導電性基板を製造した。
実施例1の(1)と同様にして得られたノナン酸とヘキシルアミンで被覆された銅ナノ粒子 3.0質量部、PGME 4.5質量部を混合し、ペイントシェーカー(浅田鉄工製)にて予備分散として2mmジルコニアビーズで1時間、さらに本分散として0.1mmジルコニアビーズで2時間分散した。しかしながら、銅ナノ粒子が凝集して分散されず、銅ナノ粒子分散体を得ることはできなかった。
実施例1の(1)と同様にして、ノナン酸とヘキシルアミンで被覆された銅ナノ粒子を得た。
当該銅ナノ粒子を、実施例1の(2)において、ソルスパース41000の代わりに、ソルスパース16000(日本ルーブリゾール製、酸価20mgKOH/g、アミン価0mgKOH/g、重量平均分子量4200、90%熱重量減少温度が405.5℃)を用いた以外は実施例1の(2)と同様にして分散した。しかし、銅ナノ粒子が凝集して分散されず、銅ナノ粒子分散体を得ることはできなかった。
実施例1の(1)と同様にして、ノナン酸とヘキシルアミンで被覆された銅ナノ粒子を得た。
当該銅ナノ粒子を、実施例1の(2)において、ソルスパース41000の代わりに、ソルスパース76500(日本ルーブリゾール製、酸価0mgKOH/g、アミン価15.2mgKOH/g、90%熱重量減少温度が600℃超過(600℃でも32%残存))を用いた以外は実施例1の(2)と同様にして分散した。しかし、銅ナノ粒子が凝集して分散されず、銅ナノ粒子分散体を得ることはできなかった。
実施例9の(1)と同様にして、デカン酸と3−エトキシプロピルアミンで被覆された銅ナノ粒子を得た。
当該銅ナノ粒子を、実施例1の(2)において、ソルスパース41000の代わりに、ディスパーbyk−130(ビックケミー・ジャパン製、酸価3mgKOH/g未満、アミン価190mgKOH/g、90%熱重量減少温度が474.8℃)を用いた以外は実施例1の(2)と同様にして分散した。しかし、銅ナノ粒子が凝集して分散されず、銅ナノ粒子分散体を得ることはできなかった。
実施例15の(1)と同様にして、オレイン酸とオクチルアミンで被覆された銅ナノ粒子を得た。
当該銅ナノ粒子を、実施例1の(2)において、ソルスパース41000の代わりに、ディスパーbyk−130(ビックケミー・ジャパン製、酸価3mgKOH/g未満、アミン価190mgKOH/g、90%熱重量減少温度が474.8℃)を用いた以外は実施例1の(2)と同様にして分散して、比較銅ナノ粒子分散体5を得た。
得られた比較銅ナノ粒子分散体5を用いて、実施例1の(3)と同様にして、プラズマ焼成により導電性基板を製造した。
得られた比較銅ナノ粒子分散体5を用いて、実施例1の(4)と同様にして、フラッシュ光焼成により導電性基板を製造した。
(1)銅ナノ粒子の合成
実施例1において、ノナン酸 31.5g(0.2mol)の代わりに、オレイン酸
28.2g(0.1mol、関東化学製、沸点360℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして、オレイン酸とヘキシルアミンで被覆された銅ナノ粒子を得た。
またX線回折装置にて得られた銅ナノ粒子の結晶構造を測定したところ、銅ナノ粒子の主構造はCu(Cubic)で一部Cu2O(Cubic)構造が見られ、Cu(111)に対するCu2O(111)のピーク強度は約17%であった。
上記で得られたオレイン酸とヘキシルアミンで被覆された銅ナノ粒子を用い、ソルスパース41000の代わりに、ソルスパース16000(日本ルーブリゾール製、酸価20mgKOH/g、アミン価0mgKOH/g、重量平均分子量4200、90%熱重量減少温度が405.5℃)を用いた以外は、実施例1の(2)と同様にして、比較銅ナノ粒子分散体6を得た。
得られた比較銅ナノ粒子分散体6を用いて、実施例1の(3)と同様にして、プラズマ焼成により導電性基板を製造した。
(4)フラッシュ光焼成による導電性基板の製造
得られた比較銅ナノ粒子分散体6を用いて、実施例1の(4)と同様にして、フラッシュ光焼成により導電性基板を製造した。
比較例6の(1)と同様にして、オレイン酸とヘキシルアミンで被覆された銅ナノ粒子を得た。
当該銅ナノ粒子を、実施例1の(2)において、ソルスパース41000の代わりに、ソルスパース76500(日本ルーブリゾール製、酸価0mgKOH/g、アミン価15.2mgKOH/g、90%熱重量減少温度が600℃超過(600℃でも32%残存))を用いた以外は実施例1の(2)と同様にして分散して、比較銅ナノ粒子分散体7を得た。
得られた比較銅ナノ粒子分散体7を用いて、実施例1の(3)と同様にして、プラズマ焼成により導電性基板を製造した。
得られた比較銅ナノ粒子分散体7を用いて、実施例1の(4)と同様にして、フラッシュ光焼成により導電性基板を製造した。
<分散性評価>
銅ナノ粒子の分散性の評価として、各実施例及び比較例で得られた銅ナノ粒子分散体中の銅ナノ粒子の分散平均粒径の測定を行った。分散平均粒径の測定には、日機装製「マイクロトラック粒度分布計UPA−EX150」を用いた。分散平均粒径の値は体積平均粒径の値を用いることとし、また12時間放置後に沈降してしまう分散体は分散不可とした。各実施例及び比較例の分散体の分散平均粒径の結果を、表1に示す。
各実施例及び比較例で得られた銅ナノ粒子分散体の塗膜を形成した後、焼成前に金属微粒子分散体の塗膜の膜質を目視で観察することにより塗布適性評価を行った。各実施例及び比較例の分散体の塗布適性評価の結果を、表1に示す。
[塗布適性評価基準]
A:はじきがなく、塗膜が均一である。
B:はじきがあり、塗膜が不均一である。
導電性基板について、導電性評価を行った。表面抵抗計(ダイアインスツルメンツ製「ロレスタGP」、PSPプローブタイプ)を用いて、各実施例及び比較例の導電性基板の金属膜に4探針を接触させ、4探針法によりシート抵抗値を測定した。評価の結果を、表1に示す。シート抵抗値が低いほど導電性に優れている。なお、本測定法によるシート抵抗値の測定上限は108Ω/□であった。表中、O.L.とは、Over Loadを表す。
実施例1〜15により、本発明に係るカルボン酸とアルキルアミンと特定のアミン価及び酸価を有する高分子分散剤と溶剤とを含有する銅ナノ粒子分散体は、分散性、及び塗布適性に優れること、更に、低温又は短時間での焼結性に優れ、表面抵抗1Ω/□以下の高い導電性が得られることが明らかにされた。中でも、炭素数10以下のカルボン酸を用いると、導電性が向上することがわかった。また、本発明に係る銅ナノ粒子分散体を用いると、このように塗布適性に優れることから、回路パターンを精度よく形成することが可能である。また、実施例1〜15で得られた銅ナノ粒子は、製造時の耐酸化性が良好であり、中でも、炭素数10以下のカルボン酸を用いると、銅ナノ粒子の製造時の耐酸化性にも優れることが分かった。
一方、カルボン酸とアルキルアミンとを含むが、高分子分散剤を含まない、比較例1の銅ナノ粒子分散体は、分散性が悪く、塗膜を形成しても、はじきがあり、不均一な塗膜しか形成できなかった。また、比較例2、3及び4の結果から、デカン酸やノナン酸など炭素数が小さいカルボン酸とアルキルアミンとを含む場合、本願で特定した値よりも小さい又は大きいアミン価又は酸価を有する高分子分散剤では、分散できないことが明らかにされた。
特許文献3の実施例に対応する比較例5は、本願で特定した値よりも大きいアミン価を有する高分子分散剤を用いても、カルボン酸として炭素数が大きいオレイン酸を被覆しているため、分散可能ではあるが、分散性が悪く、均一な塗膜を形成できなかった。また、低温又は短時間の焼成では、優れた導電性が得られないことが明らかにされた。
同様に、カルボン酸として炭素数が大きいオレイン酸を用いた場合には、本願で特定した値よりも小さいアミン価又は酸価を有する高分子分散剤でも、分散可能ではあるが、分散性が悪く、低温又は短時間の焼成では、優れた導電性が得られないことが明らかにされた。
一方、カルボン酸として炭素数が大きいオレイン酸を用いた場合でも、本願で特定したアミン価又は酸価を有する高分子分散剤では、優れた分散性が得られるため、低温又は短時間の焼成でも、表面抵抗1Ω/□以下の高い導電性が得られる(実施例15)。
実施例3と同様にして、銅ナノ粒子分散体3を得た。
得られた銅ナノ粒子分散体3を、厚さ100μmのPETフィルム(コスモシャイン A4100)にワイヤーバーで塗布、乾燥して、膜厚が0.5μmの塗膜とした。
その後、水素ガスを導入圧力20Paで導入しながら、マイクロ波表面波プラズマ処理装置(MSP−1500、ミクロ電子製)を用いて、マイクロ波出力450Wで300秒間焼成し、銅ナノ粒子分散体が焼成されてなる焼結膜(銅膜)とし、銅薄膜付PETフィルムとした。
洗浄済みガラス基板にUV硬化系インクをスピンコーターにより塗布し、気泡が入らないように、上記で得られた銅薄膜付PETフィルムを貼り付け、背面からUV照射することでガラスとフィルムを固定した。次に市販のナフトキノン系ポジ型レジストを銅薄膜付PETフィルム面上にスピンコート塗布し、100℃で3分間ホットプレート乾燥させ、乾燥膜厚を約1μmに製膜した。さらにポジ型レジスト膜面にフォトマスクをコンタクトさせ、40mJ/cm2で露光、次いでNMD−3(東京応化工業製)により20秒間パドル現像し、純水によってリンスし、レジストパターンを得た。さらに23℃のリン硝酢酸系エッチング液により、陽動させながらエッチング80秒間、その後純水によってリンスし、エッチング処理した。その後、全面を100mJ/cm2で露光、次いでNMD−3(東京応化工業製)により60秒間パドル現像し、純水によってリンスすることで3.8μmの銅配線パターンをPETフィルム上に形成することができた。
得られた銅配線パターンの断面を走査型電子顕微鏡(SEM、日立ハイテクノロジー製走査型電子顕微鏡「S−4800」)で測定し、10万倍の断面観察像を得た。基板と焼結膜の界面の凹凸ライン(長さ2μm)を抽出し、該凹凸ラインから、最大高さ(Rz、最も山の部分と最も谷の部分の差、JIS B0601(2001)の定義に従う)を求めた。凹凸ラインは面内の任意の10箇所から抽出し、それぞれの最大高さの平均値を、平均粗さとした。
なお、凹凸ラインは、SEM観察で得られた画像を白黒に変換し、白色の部分を金属焼結膜側として、金属焼結膜側に沿ったラインを抽出した。異物や、フィルム中に含有されるフィラーなど、明らかな凹凸異常がある部分は使用しなかった。
その結果、基材と金属焼結膜との界面の凹凸は12.4nmであり、前述の界面は平滑であることが確認された。
<密着性評価>
得られた銅配線パターンを粘着テープ(商品名:スコッチメンディングテープ、住友スリーエム製)で剥離試験を行った。その結果、配線に剥がれがないことが確認され、エッチング後であっても密着性が良好であることが確認された。
2 金属膜
3 パターン状金属膜
100 導電性基板
101 導電性基板
Claims (13)
- 銅ナノ粒子と、カルボン酸と、アルキルアミンと、高分子分散剤と、溶剤とを含有し、前記高分子分散剤は、アミン価及び酸価の一方が30〜160mgKOH/g、アミン価及び酸価の他の一方が0〜160mgKOH/gであり、動的光散乱法による体積平均粒径が500nm以下である銅ナノ粒子分散体を、基材上に塗布して塗膜を形成する工程と、
当該塗膜を焼成する工程とを有する、導電性基板の製造方法。 - 前記高分子分散剤は、90%熱重量減少温度が420℃以下である、請求項1に記載の導電性基板の製造方法。
- 前記カルボン酸は、炭素数が10以下である、請求項1又は2に記載の導電性基板の製造方法。
- 前記焼成する工程が、プラズマにより焼成する工程であるか、フラッシュ光の照射により焼成する工程である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の導電性基板の製造方法。
- 前記焼成する工程後に、更に、得られた焼結膜を化学エッチングする工程を有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の導電性基板の製造方法。
- 銅を含む化合物、還元性化合物、カルボン酸、及びアルキルアミンを含む混合物、又は、カルボン酸銅、還元性化合物、及びアルキルアミンを含む混合物のいずれかを加熱することにより銅ナノ粒子を調製する工程と、
前記銅ナノ粒子を、溶剤中で、アミン価及び酸価の一方が30〜160mgKOH/g、アミン価及び酸価の他の一方が0〜160mgKOH/gである高分子分散剤により分散することにより、動的光散乱法による体積平均粒径が500nm以下である銅ナノ粒子分散体を調製する工程と、
前記銅ナノ粒子分散体を、基材上に塗布して塗膜を形成する工程と、
当該塗膜を焼成する工程とを有する、導電性基板の製造方法。 - 前記高分子分散剤は、90%熱重量減少温度が420℃以下である、請求項6に記載の導電性基板の製造方法。
- 前記カルボン酸は、炭素数が10以下である、請求項6又は7に記載の導電性基板の製造方法。
- 前記焼成する工程が、プラズマにより焼成する工程であるか、フラッシュ光の照射により焼成する工程である、請求項6乃至8のいずれか一項に記載の導電性基板の製造方法。
- 前記焼成する工程後に、更に、得られた焼結膜を化学エッチングする工程を有する、請求項6乃至9のいずれか一項に記載の導電性基板の製造方法。
- 銅ナノ粒子と、カルボン酸と、アルキルアミンと、高分子分散剤と、溶剤とを含有し、前記高分子分散剤は、アミン価及び酸価の一方が30〜160mgKOH/g、アミン価及び酸価の他の一方が0〜160mgKOH/gであり、動的光散乱法による体積平均粒径が500nm以下である、銅ナノ粒子分散体。
- 前記高分子分散剤は、90%熱重量減少温度が420℃以下である、請求項11に記載の銅ナノ粒子分散体。
- 前記カルボン酸は、炭素数が10以下である、請求項11又は12に記載の銅ナノ粒子分散体。
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