JP6123214B2 - 導電性基板用金属粒子分散体、及び導電性基板の製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、特許文献1及び2の手法は、いずれも低分子量の化合物を用いて金属粒子を分散するものであり、金属粒子の分散安定性が不十分であった。
特許文献3によれば、上記特定の高分子分散剤が金属微粒子の分散性に高い効果を示し、しかも後の焼結工程で容易に揮散されると記載されている。しかしながら、後述の比較例で示されるように、特許文献3の手法では、金属微粒子分散体の保存安定性が十分でなく、一定期間保管後には金属粒子の沈降がみられることがあった。
そのため、分散性、分散安定性が高く、かつ、焼成後に高い導電性を有する膜が形成可能な分散体を得ることは非常に難しい課題であった。
本発明は、係る知見に基づいて完成したものである。
上記炭化水素基は、置換基を有していてもよい。
xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
R b は、炭化水素基、−[CH(R c )−CH(R d )−O] s −R e 、−[(CH 2 ) t −O] u −R e 、又は−O−R b’ で示される1価の基である。R b’ は、炭化水素基、−[CH(R c )−CH(R d )−O] s −R e 、又は−[(CH 2 ) t −O] u −R e で示される1価の基である。
R c 及びR d は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。R e は、水素原子、炭化水素基、−CHO、−CH 2 CHO、−CO−CH=CH 2 、−CO−C(CH 3 )=CH 2 又は−CH 2 COOR e’ で示される1価の基であり、R e’ は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。R f 、R g 、R h 、R i 、R j 及びR k は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、又は、炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基であって、R f 及びR h は、互いに結合して環構造を形成してもよい。上記環状構造を形成した場合、置換基R l を有していてもよく、R l は、水素原子、炭化水素基、又は、炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基である。
上記炭化水素基は置換基を有していてもよい。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。)
前記酸性有機リン化合物が下記一般式(VI)で表される化合物であり、前記スルホン酸化合物が下記一般式(VII)で表される化合物であることを特徴とする。
R 21 は、水素原子、炭化水素基、−CHO、−CH 2 CHO又は−CH 2 COOR 24 で示される1価の基であり、R 22 は、炭化水素基、シアノ基、−[CH(R 19 )−CH(R 20 )−O] x −R 21 、−[(CH 2 ) y −O] z −R 21 、−[CO−(CH 2 ) y −O] z −R 21 で示される1価の基である。R 23 は炭素数1〜18のアルキル基であり、R 24 は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
上記炭化水素基は、置換基を有していてもよい。
mは1〜5の整数、n及びn’は5〜200の整数を示す。xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
R b は、炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、及びアリール基より選択される炭化水素基、−[CH(R c )−CH(R d )−O] s −R e 、−[(CH 2 ) t −O] u −R e 、又は−O−R b’ で示される1価の基である。R b’ は、炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、及びアリール基より選択される炭化水素基、−[CH(R c )−CH(R d )−O] s −R e 、又は−[(CH 2 ) t −O] u −R e で示される1価の基である。
R c 及びR d は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。R e は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、及びアリール基より選択される炭化水素基、−CHO、−CH 2 CHO、又は−CH 2 COOR e’ で示される1価の基であり、R e’ は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。R f 、R g 、R h 、R i 、R j 及びR k は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アラルキル基、及びアリール基より選択される炭化水素基、又は、アルキル基、アラルキル基、及びアリール基より選択される1価の炭化水素基、並びに、アルキレン基、及びアリーレン基より選択される2価の炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基であって、R f 及びR h は、互いに結合して環構造を形成してもよい。上記環状構造を形成した場合、置換基R l を有していてもよく、R l は、水素原子、アルキル基、アラルキル基、及びアリール基より選択される炭化水素基、又は、アルキル基、アラルキル基、及びアリール基より選択される1価の炭化水素基、並びに、アルキレン基、及びアリーレン基より選択される2価の炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基である。
上記炭化水素基が、アルキル基の場合、置換基としてハロゲン原子、ニトロ基を有していてもよく、上記炭化水素基が、アリール基又はアラルキル基の場合、芳香環の置換基として、炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基、ニトロ基、ハロゲン原子を有していてもよい。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。)
本発明に係る導電性基板用金属粒子分散体、及び本発明に係る導電性基板の製造方法においては、前記金属粒子が、金、銀、銅、及びこれらの酸化物から選ばれる1種以上の金属粒子であることが、導電性の点から好ましい。
本発明に係る導電性基板の製造方法は、前記焼成処理する工程が、パルス光の照射により焼成処理する工程であることが、膜中における有機成分を分解乃至除去しやすい点から好ましい。
なお、本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルのいずれかであることを意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートのいずれかであることを意味する。
本発明に係る導電性基板用金属粒子分散体は、金属粒子と、分散剤と、溶剤とを含有し、前記分散剤が、少なくとも下記一般式(I)で表される構成単位を有し、当該構成単位が有する窒素部位の少なくとも一部と、酸性有機リン化合物、スルホン酸化合物、及びハロゲン化炭化水素よりなる群から選択される1種以上とが塩を形成した重合体であることを特徴とする。
従来、金属粒子分散体は、焼成時に有機成分が残存するのを抑制するために、比較的低分子量の分散剤が用いられてきた。しかしながら、低分子量の分散剤では、分散性や分散安定性が不十分であった。特に、金属粒子は、分散体中の各成分と比較して、比重が大きいことから、保存時に金属粒子が沈降するという問題があった。
本発明の金属粒子分散体は、分散剤として、一般式(I)で表される構成単位を有し、当該構成単位が有する窒素部位の少なくとも一部と、酸性有機リン化合物、スルホン酸化合物、及びハロゲン化炭化水素よりなる群から選択される1種以上とが塩を形成した重合体を用いて金属粒子を分散することにより、溶剤に対して不溶性となる分散剤中の塩形成部位が、金属粒子に強く吸着することで安定化するものと推定される。このように、上記特定の分散剤が、金属粒子を取り囲んで、溶剤中で安定して存在するため、金属粒子同士の凝集が生じにくく、分散性及び分散安定性に優れ、金属粒子が沈降することを抑制することができるものと推測される。
また、上記特定の分散剤を用いると、低温或いは短時間で焼成した場合であっても、膜中から有機成分が分解乃至除去されやすいため、分散剤の残存が少なく、得られた金属膜は体積抵抗率が低く優れた導電性を有するものとなる。このメカニズムは未解明ではあるが、上記特定の分散剤を用いると、従来の高分子分散剤と比べて、金属粒子の分散性が向上し、分散粒子が小さくなることにより融着しやすくなること、及び、上記特定の分散剤が、比較的低温であっても分解乃至揮発しやすいことが推定される。
更に、上記特定の分散剤は、一般式(I)で表される構成単位に含まれる窒素部位において塩を形成している酸性有機リン化合物やスルホン酸化合物が、還元性や酸化抑制効果を有しているのではないかと推定される。また、一般式(I)で表される構成単位に含まれる窒素部位自体も還元性や酸化抑制効果を有しているものと推定される。これらの相乗効果で、優れた導電性を達成できると推定される。
また、本発明の導電性基板用金属微粒子分散体は、分散安定性が高く、且つ、低粘度とすることができるため、インクジェットインク印刷を行う場合に吐出安定性に優れ、良好なパターニングが可能となる。
以下、このような本発明の導電性基板用金属粒子分散体の各成分について順に詳細に説明する。
本発明において金属粒子は、焼成後に導電性を生じる金属粒子の中から適宜選択すればよい。金属の種類としては、例えば、金、銀、銅、ニッケル、スズ、鉄、クロム、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、インジウム、亜鉛、モリブデン、マンガン、チタン、アルミニウム等が挙げられる。なお、本発明において金属粒子とは、金属状態の粒子に加えて、合金状態の粒子や、金属化合物の粒子等も含まれるものである。また、例えば、金属状態の粒子の表面が酸化されて金属酸化物となっている場合や、2種以上の金属がコアシェル構造を形成している場合等のように、1つの粒子中に、金属、合金、及び金属化合物の1種以上が含まれていてもよいものである。
金属粒子としては、中でも、高い導電性を有し、かつ微粒子を容易に維持できる点から、金、銀、銅、ニッケル及びこれらの酸化物から選ばれる1種以上を含む金属粒子であることが好ましく、金、銀、銅及びこれらの酸化物から選ばれる1種以上を含む金属粒子であることがより好ましい。
また、合金としては、例えば、銅−ニッケル合金、銀−パラジウム合金、銅-スズ合金、銀-銅合金、銅−マンガン合金等が挙げられる。
上記金属粒子は、有機保護剤によって表面が被覆されているものであってもよい。
また、化学還元法の1種としては、錯化剤及び有機保護剤の存在下で、金属酸化物と還元剤とを溶剤中で混合して生成する方法が挙げられる。
また、上記有機保護剤は、精製した金属粒子の分散安定化や、粒径制御のために用いられるものであり、具体的には、ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン等のタンパク質系;デンプン、デキストリン等の天然高分子;ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系;ポリビニルアルコール等の親水性合成高分子の他、脂肪酸、アルキルアミン等の比較的低分子量の化合物であってもよい。中でも、分散安定性の点からは、タンパク質系の有機保護剤が好ましい。
なお、上記の方法の他、市販の金属粒子を適宜用いることができる。
なお、上記金属粒子の平均一次粒径は、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で求めることができる。具体的には、個々の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、その平均をその粒子の粒径とした。次に100個以上の粒子についてそれぞれ粒子の体積(質量)を、求めた粒径の直方体と近似して求め、体積平均粒径として求めそれを平均粒径とした。なお、電子顕微鏡は透過型(TEM)、走査型(SEM)又は走査透過型(STEM)のいずれを用いても同じ結果を得ることができる。
本発明において用いられる分散剤は、少なくとも下記一般式(I)で表される構成単位を有し、当該構成単位が有する窒素部位の少なくとも一部と、酸性有機リン化合物、スルホン酸化合物、及びハロゲン化炭化水素よりなる群から選択される1種以上とが塩を形成した重合体である。
中でも、分散性の点から、一般式(I)におけるAは、直接結合、−CONH−基、又は、−COO−基を含む2価の連結基であることが好ましい。
例えば、Aが−COO−基を含む2価の連結基でQが上記一般式(I−a)で表される基である場合、一般式(I)で表される構成単位は下記式(I−2)で表される構造が挙げられる。
R5及びR6は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。
xは1〜18の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数であり、yは1〜5の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは2又は3である。zは1〜18の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数である。
上記R4としては、分散性の点から、炭素数1〜8のアルキレン基が好ましく、中でも、R4がメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基であることが更に好ましく、メチレン基及びエチレン基がより好ましい。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、アルキル基の炭素数は、1〜18が好ましく、中でも、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ビフェニルメチル基等が挙げられる。アラルキル基の炭素数は、7〜20が好ましく、更に7〜14が好ましい。
また、アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。アリール基の炭素数は、6〜24が好ましく、更に6〜12が好ましい。なお、上記好ましい炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。
ヘテロ原子を含む炭化水素基とは、上記炭化水素基中の炭素原子がヘテロ原子でおきかえられた構造を有する。炭化水素基が含んでいてもよいヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子等が挙げられる。
また、炭化水素基中の水素原子は、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子により置換されていてもよい。
上記含窒素複素環基を形成する含窒素複素環式化合物としては、具体的には、ピリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピロリジン、ピロリン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、ベンゾイミダゾール等が挙げられる。中でも、ピリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾール等のヘテロ原子として窒素原子のみを含む含窒素複素環式化合物であることが好ましく、ピリジン、イミダゾール等の芳香族性を有する含窒素複素環基であることがより好ましい。
一般式(I)で表される構成単位は、1種類からなるものであってもよく、2種以上の構成単位を含むものであってもよい。
以下、好ましい特定のブロック共重合体、及び好ましいグラフト共重合体について、順に説明する。
本発明においては、前記分散剤における前記重合体が、前記一般式(I)で表される構成単位を有するブロック部と、下記一般式(II)で表される構成単位を有するブロック部とを有し、前記一般式(I)で表される構成単位が有する窒素部位の少なくとも一部と、前記酸性有機リン化合物、スルホン酸化合物、及びハロゲン化炭化水素よりなる群から選択される1種以上とが塩を形成したブロック共重合体であることが、分散性、分散安定性に優れ、金属粒子の沈降が抑制され、かつ焼成後に有機成分が残存しにくい点から好ましい。
上記炭化水素基は、置換基を有していてもよい。
xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
上記ブロック共重合体は、一般式(I)で表される構成単位を有するブロック部を有する。一般式(I)で表される構成単位は上述の通りなので、ここでの説明は省略する。
一般式(I)で表される構成単位を有するブロック中、一般式(I)で表される構成単位は、3個以上含まれることが好ましい。中でも、分散性、及び分散安定性を向上する点から、3〜200個含むことが好ましく、3〜50個含むことがより好ましく、更に3〜30個含むことがより好ましい。
一般式(I)で表される構成単位は、金属粒子との親和性を有すればよく、1種からなるものであっても良いし、2種以上の構成単位を含んでいてもよい。
なお、上記構成単位の含有割合は、一般式(I)で表される構成単位を有するブロック共重合体を合成する際の仕込み量から算出される。
上記ブロック共重合体は、前記一般式(II)で表される構成単位を有するブロック部を有する。当該ブロック部を有することにより、溶剤親和性をより良好にし、金属粒子の分散性及び分散安定性が良好で、金属粒子の沈降を抑制することができる。
R11における炭化水素基としては、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、又はアリール基であることが好ましい。
上記炭素数1〜18のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、2−エチルヘキシル基、2−エトキシエチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ボルニル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、アダマンチル基、低級アルキル基置換アダマンチル基などを挙げることができる。
上記炭素数2〜18のアルケニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。このようなアルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、プロペニル基などを挙げることができる。アルケニル基の二重結合の位置には限定はないが、得られたポリマーの反応性の点からは、アルケニル基の末端に二重結合があることが好ましい。
また、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ビフェニルメチル基等が挙げられ、更に置換基を有していてもよい。アラルキル基の炭素数は、7〜20が好ましく、更に7〜14が好ましい。
アリール基やアラルキル基等の芳香環の置換基としては、炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基の他、アルケニル基、ニトロ基、ハロゲン原子などを挙げることができる。
なお、上記好ましい炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。
上記R11において、x、y及びzは、前記R2で説明したとおりである。
また、上記一般式(II)及び一般式(II−1)で表される構成単位中のR11は、互いに同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
なお、上記構成単位の含有割合は、一般式(II)で表される構成単位を有するブロック部を合成する際の仕込み量から算出される。
なお、本発明において、質量平均分子量Mwは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定されたポリスチレン換算値である。
本発明においては、前記分散剤における前記重合体が、前記一般式(I)で表される構成単位と、下記一般式(III)で表される構成単位とを有し、前記一般式(I)で表される構成単位に含まれる窒素部位の少なくとも一部と、酸性有機リン化合物、スルホン酸化合物、及びハロゲン化炭化水素よりなる群から選択される1種以上とが塩を形成したグラフト共重合体であることが、金属粒子の分散性及び分散安定性に優れ、沈降を抑制し、かつ焼成後に有機成分の残存が抑制された金属膜を形成できる点から好ましい。
R21は、水素原子、炭化水素基、−CHO、−CH2CHO又は−CH2COOR24で示される1価の基であり、R22は、炭化水素基、シアノ基、−[CH(R19)−CH(R20)−O]x−R21、−[(CH2)y−O]z−R21、−[CO−(CH2)y−O]z−R21で示される1価の基である。R23は炭素数1〜18のアルキル基であり、R24は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
上記炭化水素基は、置換基を有していてもよい。
mは1〜5の整数、n及びn’は5〜200の整数を示す。xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
上記グラフト共重合体は、側鎖にポリマー鎖を含む前記一般式(III)で表される構成単位を有することにより、溶剤親和性が良好になり、金属粒子の分散性及び分散安定性が良好なものとなる。
式(IV)中、R17は水素原子又はメチル基であり、R18は炭化水素基、シアノ基、−[CH(R19)−CH(R20)−O]x−R21、−[(CH2)y−O]z−R21、−[CO−(CH2)y−O]z−R21、−CO−O−R22又は−O−CO−R23で示される1価の基である。
R18における炭化水素基としては、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、又はアリール基であることが好ましい。
上記炭素数1〜18のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ボルニル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、アダマンチル基、低級アルキル基置換アダマンチル基などを挙げることができる。
上記炭素数2〜18のアルケニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。このようなアルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、プロペニル基などを挙げることができる。アルケニル基の二重結合の位置には限定はないが、得られたポリマーの反応性の点からは、アルケニル基の末端に二重結合があることが好ましい。
R18における、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ビフェニルメチル基等が挙げられる。アラルキル基の炭素数は、7〜20が好ましく、更に7〜14が好ましい。
上記R21、及びR22のうちの炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基は、前記のR18で示したとおりである。
上記R23、及びR24のうちのアルキル基は、前記のR18で示したとおりである。
上記R18、R21、R22、及びR23が、芳香環を有する基である場合、当該芳香環はさらに置換基を有していてもよい。当該置換基としては、例えば炭素数1〜5の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基の他、アルケニル基、ニトロ基、F、Cl、Br等のハロゲン原子などが挙げられる。
なお、上記好ましい炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。
上記R18及びR22おいて、x、y及びzは、前記Aで説明したとおりである。
ここで、上記R18及びR22をこのように設定する理由は、上記R18及びR22を含む構成単位が、上記溶媒に対して溶解性を有し、上記モノマーの塩基部分が形成する塩形成部位が金属粒子に対して高い吸着性を有するものであることにより、金属粒子の分散性、及び安定性を特に優れたものとすることができるからである。
当該ポリマー鎖の溶解性は、グラフト共重合体を調製する際のポリマー鎖を導入する原料が上記溶解度を有することを目安にすることができる。例えば、グラフト共重合体にポリマー鎖を導入するために、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含む重合性オリゴマーを用いた場合、当該重合性オリゴマーが上記溶解度を有すれば良い。また、エチレン性不飽和二重結合を有する基を含むモノマーにより共重合体が形成された後に、共重合体中に含まれる反応性基と反応可能な反応性基を含むポリマー鎖を用いて、ポリマー鎖を導入する場合、当該反応性基を含むポリマー鎖が上記溶解度を有すれば良い。
なお、上記構成単位の含有割合は、一般式(I)で表される構成単位を有するグラフト共重合体を合成する際の仕込み量から算出される。
例えば、側鎖にカルボキシル基を有する共重合体に、末端にグリシジル基を有するポリマー鎖を反応させたり、側鎖にイソシアネート基を有する共重合体に、末端にヒドロキシ基を有するポリマー鎖を反応させたりして、ポリマー鎖を導入することができる。
なお、上記重合においては、重合に一般的に用いられる添加剤、例えば重合開始剤、分散安定剤、連鎖移動剤などを用いてもよい。
本発明の分散剤は、上記一般式(I)で表される構成単位が有する窒素部位の少なくとも一部と、酸性有機リン化合物、スルホン酸化合物、及びハロゲン化炭化水素よりなる群から選択される1種以上(以下、変性剤と称することがある。)とが塩を形成した重合体である。
本発明においては、上記特定の変性剤を用いることにより、一般式(I)で表される構成単位が有する窒素部位を塩形成することにより、前記金属粒子との親和性が向上し、金属粒子の分散性及び分散安定性に優れたものとすることができ、沈降を抑制できる。
酸性有機リン化合物としては、中でも、下記一般式(VI)で表される有機リン酸化合物であることが好ましい。
Rc及びRdは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。Reは、水素原子、炭化水素基、−CHO、−CH2CHO、−CO−CH=CH2、−CO−C(CH3)=CH2又は−CH2COORe’で示される1価の基であり、Re’は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。Rf、Rg、Rh、Ri、Rj及びRkは、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、又は、炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基であって、Rf及びRhは、互いに結合して環構造を形成してもよい。上記環状構造を形成した場合、置換基Rlを有していてもよく、Rlは、水素原子、炭化水素基、又は、炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基である。
上記炭化水素基は置換基を有していてもよい。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。)
また、上記アリール基やアラルキル基等の芳香環の置換基としては、炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基の他、アルケニル基、ニトロ基、ハロゲン原子などを挙げることができる。
置換基Rlにおける、炭化水素基、又は、炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基は、前記Rf、Rg、Rh、Ri、Rj及びRkにおけるものと同様のものとすることができる。
スルホン酸化合物としては、中でも、下記一般式(VII)で表されるスルホン酸化合物であることが好ましい。
Rc及びRdは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。Reは、水素原子、炭化水素基、−CHO、−CH2CHO、−CO−CH=CH2、−CO−C(CH3)=CH2又は−CH2COORe’で示される1価の基であり、Re’は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。
上記炭化水素基は置換基を有していてもよい。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。)
本発明で用いられるハロゲン化炭化水素は、前記一般式(I)で表される構成単位が有する窒素部位と塩形成し得るものである。
当該ハロゲン化炭化水素としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のいずれかのハロゲン原子が、飽和又は不飽和の直鎖、分岐又は環状の炭化水素の水素原子と置換されているものが挙げられる。中でも、炭化水素の水素原子の1つがハロゲン原子に置換されたハロゲン化炭化水素であることが、金属粒子の分散性を高める点から好ましい。
また、上記ハロゲン化炭化水素としては、直鎖、分岐鎖又は環状であっても良い。また、炭素数は、1〜18であることが好ましく、更に1〜7であることが好ましい。
本発明において分散剤に用いられる、塩型ブロック共重合体の製造方法としては、少なくとも一般式(I)で表される構成単位を有し、当該構成単位が有する窒素部位の少なくとも一部と、酸性有機リン化合物とが塩を形成した重合体を製造することができる方法であればよく特に限定されない。本発明においては、例えば、一般式(I)で表される構成単位を有するモノマーと、応じて他のモノマーとを公知の重合手段を用いて重合した後、後述する溶剤中に溶解又は分散し、次いで該溶剤中に上記酸性有機リン化合物、スルホン酸化合物、及びハロゲン化炭化水素よりなる群から選択される1種以上を添加し、攪拌(必要に応じて加熱)することにより製造することができる。
上記重合手段としては、一般式(I)で表される構成単位及びその他の構成単位を所望のユニット比で重合し、所望の分子量とすることができる手段であればよく、特に限定されず、ビニル基を有する化合物の重合に一般的に用いられる方法を採用することができ、例えばアニオン重合やリビングラジカル重合等を用いることができる。本発明においては、なかでも、「J.Am.Chem.Soc.」105、5706(1983)に開示されているグループトランスファー重合(GTP)のようにリビング的に重合が進行する方法を用いることが好ましい。この方法によると、分子量、分子量分布等を所望の範囲とすることが容易であるので、該分散剤の分散性、アルカリ現像性等の特性を均一にすることができる。
本発明の金属粒子分散体おいて、溶剤は、金属粒子分散体中の各成分とは反応せず、これらを溶解もしくは分散可能な有機溶剤であればよく、特に限定されない。具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、N−プロピルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系;メトキシアルコール、エトキシアルコール、メトキシエトキシエタノール、エトキシエトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテルアルコール系;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸3−メトキシブチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなどのエステル系;アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系;メトキシエチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、メトキシブチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテート、メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエーテルアルコールアセテート系;ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性アミド系;γ−ブチロラクトンなどのラクトン系;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレンなどの不飽和炭化水素系;n−ヘプタン、n−ヘキサン、n−オクタンなどの飽和炭化水素系などの有機溶剤が挙げられる。
中でも、本発明に用いられる溶剤としては、MBA(酢酸3−メトキシブチル)、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、DMDG(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)又はこれらを混合したものが、分散剤の溶解性や塗布適性の点から好ましい。
本発明の金属粒子分散体には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、その他の成分を含有してもよい。
その他の成分としては、例えば、錯化剤、有機保護剤、還元剤、濡れ性向上のための界面活性剤、密着性向上のためのシランカップリング剤、消泡剤、ハジキ防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、粘度調製剤等が挙げられる。また、本発明の効果が損なわれない限り、他の分散剤が含まれていてもよい。
本発明において、金属粒子分散体の製造方法は、金属粒子が良好に分散できる方法であればよく、従来公知の方法から適宜選択して用いることができる。具体的には、例えば、前記分散剤を前記溶剤に混合、攪拌し、分散剤溶液を調製した後、当該分散剤溶液に、金属粒子と、必要に応じて他の成分を混合し、公知の攪拌機、又は分散機等を用いて分散させることよって、金属粒子分散体を調製することができる。
分散処理を行うための分散機としては、超音波分散機、2本ロール、3本ロール等のロールミル、アトライター、バンバリーミキサー、ペイントシェイカー、ニーダー、ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、ビーズミル等が挙げられる。
本発明に係る導電性基板の製造方法は、金属粒子と、分散剤と、溶剤とを含有し、前記分散剤が、少なくとも下記一般式(I)で表される構成単位を有し、当該構成単位が有する窒素部位の少なくとも一部と、酸性有機リン化合物、スルホン酸化合物、及びハロゲン化炭化水素よりなる群から選択される1種以上とが塩を形成した重合体である、導電性基板用金属粒子分散体を含む塗布液を、基材上に塗布して塗膜を形成する工程と、当該塗膜を焼成処理する工程とを有することを特徴とする。
以下、このような本発明の導電性基板の製造方法の各工程について、順に説明する。
本工程は、導電性基板用金属粒子分散体を含む塗布液を基材上に塗布して塗膜を形成する工程である。以下、本工程の詳細を説明する。なお、当該導電性基板用金属粒子分散体の構成成分は、上記本発明に係る導電性基板用金属粒子分散体と同様のものとすることができるのでここでの説明は省略する。
導電性基板用金属粒子分散体を含む塗布液は、上記本発明に係る導電性基板用金属粒子分散体をそのまま塗布液とすることもできるが、必要に応じて、溶剤や、その他の成分を加えて塗布液としてもよいものである。
溶剤及びその他の成分としては、例えば、上記本発明に係る導電性基板用金属粒子分散体で挙げられた溶剤や、界面活性剤、シランカップリング剤、消泡剤、ハジキ防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、粘度調整剤等を用いることができる。更に、本発明の効果が損なわれない範囲で、造膜性、印刷適性や分散性の点から、アクリル樹脂やポリエステル樹脂等の樹脂バインダーを添加してもよい。
本発明に用いられる基材は、導電性基板に用いられる基材の中から、用途に応じて適宜選択すればよい。例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、高歪点ガラス、石英ガラス等のガラス、アルミナ、シリカなどの無機材料を用いることができ、さらに高分子材料や、紙などを用いることもできる。前記本発明に係る導電性基板用金属微粒子分散体は、従来よりも低温で焼成処理しても導電性に優れた金属膜が得られることから、従来適用が困難であったソーダライムガラスや、高分子材料であっても好適に用いることができ、特に樹脂フィルムを用いることができる点で非常に有用である。
上記塗布液を上記基材上に塗布する方法は、従来公知の方法の中から適宜選択すればよい。例えば、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、反転オフセット印刷、スクリーン印刷、スプレーコート、スピンコート、コンマコート、バーコート、ナイフコート、スロットダイコート、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、ディスペンサ印刷等の方法が挙げられる。中でも、微細なパターニングを行うことができる点から、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、反転オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、及びインクジェット印刷が好ましい。特に、本発明において用いられる金属粒子分散体は、分散性に優れているため、インクジェットの吐出ノズルにつまりが生じたり、吐出曲がりが生じることがないため、インクジェット印刷にも好適に用いることができる。
本工程は、上記工程で得られた塗膜を焼成処理して、金属膜を形成する工程である。
焼成方法は、従来公知の焼成処理方法の中から適宜選択して用いることができる。焼成方法の具体例としては、例えば、焼成炉(オーブン)により加熱する方法の他、赤外線加熱、還元ガス雰囲気下での焼成、レーザーアニールによる焼成、マイクロ波加熱などの方法が挙げられる。
本発明の導電性基板用金属粒子分散体は、低温で焼成した場合や、短時間で焼成した場合であっても有機成分の残留が少ない金属膜を形成することが可能であるため、従来の方法よりも低温で焼成処理してもよい。
これらの方法を用いると、基材への熱ダメージを少なくすることができると共に、焼成時の金属の酸化も抑制できる。また、短時間焼成であるため、生産性が高いというメリットもある。
マイクロ波表面波プラズマを用いた焼成は、不活性ガス雰囲気下又は還元性ガス雰囲気下で行うのが、得られる焼結膜の導電性の観点から好ましい。
特に、本発明においては、マイクロ波表面波プラズマを、還元性ガス雰囲気下で発生させることが好ましく、中でも、水素ガス雰囲気下で発生させることがより好ましい。これにより、金属粒子表面に存在する絶縁性の酸化物が還元除去され、導電性能の良好な導電パターンが形成される。
なお、還元性気体には、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノン等の不活性ガスを混合して用いれば、プラズマが発生しやすくなるなどの効果がある。
なお、マイクロ波エネルギーは、一般に周波数が300MHz〜3000GHzの電磁波であるが、例えば、2450MHzの電磁波が用いられる。この際、マイクロ波発振装置にマグネトロンを用いた場合には、精度誤差等のために2450MHz/±50MHzの周波数範囲を持っている。
更に、マイクロ波表面波プラズマは、電子温度が低いため、基材をエッチングする能力が小さく、基材に対するダメージを小さくすることができると推察される。
パルス光焼成とは、パルス光の照射により極めて短時間で焼成する方法である。ここで、本発明においてパルス光とは、点灯時間が比較的短時間の光のことをいい、当該点灯時間をパルス幅という。パルス光の光源は特に限定されないが、キセノン等の希ガスが封入されたフラッシュランプやレーザー等が挙げられる。中でも、紫外線から赤外線までの連続的な波長スペクトルをもつ光を照射することが好ましく、具体的には、キセノンフラッシュランプを用いることが好ましい。このような光源を用いた場合には、加熱と同時にUV照射を行ったのと同様の効果を得ることができ、極めて短時間で焼成が可能となる。また、このような光源を用いた場合には、パルス幅と照射エネルギーを制御することにより、金属粒子分散体を含む塗布液の塗膜、及びその近傍のみを加熱することができ、基材に対する熱の影響を抑えることができる。
本発明において、パルス光のパルス幅は、適宜調整すればよいものであるが、1μs〜10000μsの間で設定されることが好ましく、10μs〜5000μsの範囲内とすることがより好ましい。また、パルス光の1回あたりの照射エネルギーは、0.1J/cm2〜100J/cm2が好ましく、0.5J/cm2〜50J/cm2がより好ましい。
パルス光焼成においてパルス光の照射回数は、塗膜の組成や、膜厚、面積などに応じて適宜調整すればよく、照射回数は1回のみであってもよく、2回以上繰り返し行ってもよい。中でも、照射回数を1〜100回とすることが好ましく、1〜50回とすることが好ましい。パルス光を複数回照射する場合には、パルス光の照射間隔は適宜調整すればよい。中でも照射間隔を10μ秒〜2秒の範囲内で設定することが好ましく、100μ秒〜1秒の範囲内に設定することがより好ましい。
パルス光を上記のように設定することにより、基材への影響を抑えるとともに、金属粒子の酸化を抑制することが可能であり、且つ、金属粒子分散体に含まれる分散剤も脱離乃至分解しやすく導電性に優れた導電性基板を得ることができる。
上記パルス光焼成は、大気中、大気圧下で行うことが可能であるが、不活性雰囲気下、還元雰囲気下、減圧下で行ってもよい。また、塗膜を加熱しながら、パルス光焼成を行ってもよい。
また、上記金属膜の体積抵抗率は、1.0×10−4Ω・cm以下であることが好ましい。
酸化第二銅64gと、有機保護剤としてゼラチン5.1gを650mLの純水に添加し、混合して混合液とした。15%のアンモニア水を用いて、当該混合液のpHを10に調整した後、20分かけて室温から90℃まで昇温した。昇温後、攪拌しながら錯化剤として1%のメルカプト酢酸溶液6.4gと、80%のヒドラジン一水和物75gを150mLの純水に混合した液を添加し、1時間かけて酸化第二銅と反応させて、銅粒子を得た。得られた銅粒子を走査透過型電子顕微鏡(STEM)で観察したところ、平均一次粒径は、50nmであった。
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(略称PGMEA) 100.0質量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、温度90℃に加温した。メタクリル酸メチル50.0質量部、メタクリル酸ブチル15.0質量部、メタクリル酸ベンジル15.0質量部、メタクリル酸エトキシエチル20.0質量部、2−メルカプトエタノール4.0質量部、パーブチルO(日油(株)社製)1.3質量部の混合溶液を1.5時間かけて滴下し、さらに3時間反応した。次に、窒素気流を止めて、この反応溶液を80℃に冷却し、カレンズMOI(昭和電工(株)社製)8.74質量部、ジラウリン酸ジブチルすず0.125質量部、p−メトキシフェノール0.125質量部、及びPGMEA10質量部、を加えて3時間攪拌することで、マクロモノマーMM−1の49.8質量%溶液を得た。得られたマクロモノマーMM−1を、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて、N−メチルピロリドン、0.01mol/L臭化リチウム添加/ポリスチレン標準の条件で確認したところ、質量平均分子量(Mw)3657、数平均分子量(Mn)1772、分子量分布(Mw/Mn)は2.06であった。
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、ε−カプロラクトン114.14質量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、温度180℃に昇温し、n−オクタデシルアルコール27.049質量部および、ジラウリン酸ジブチルスズ0.1質量部を添加して、7時間反応した。次に、窒素気流を止めて、この反応溶液を80℃程度に冷却し、PGMEA 114.14質量部を加えたのち、カレンズMOI 16.29質量部、p−メトキシフェノール0.1質量部、及びPGMEA10質量部、を加えて、80℃にて3時間攪拌することで、マクロモノマーMM−2の57.40%溶液を得た。得られたマクロモノマーMM−2を、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて、N−メチルピロリドン、0.01モル/L臭化リチウム添加/ポリスチレン標準の条件で確認したところ、質量平均分子量(Mw)4139、数平均分子量(Mn)2419、分子量分布(Mw/Mn)は1.71であった。
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、PGMEA85.0質量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、温度85℃に加温した。合成例2のマクロモノマーMM−1溶液66.93質量部(有効固形分33.33質量部)、ジメチルアミノエチルメタクリレート16.67質量部、n−ドデシルメルカプタン1.86質量部、PGMEA20.0質量部、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.5質量部の混合溶液を1.5時間かけて滴下し、3時間加熱攪拌したのち、AIBN0.10質量部、PGMEA10.0質量部 の混合液を10分かけて滴下し、さらに同温で1時間熟成することで、グラフト共重合体GP−1の25.3質量%溶液を得た。得られたグラフト共重合体GP−1は、GPC測定の結果、質量平均分子量(Mw)9300、数平均分子量(Mn)4462、分子量分布(Mw/Mn)は2.08であった。なおアミン価は118mgKOH/gであった。
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、PGMEA85.0質量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、温度85℃に加温した。合成例2のマクロモノマーMM−1溶液66.93質量部(有効固形分33.33質量部)、合成例3のマクロモノマーMM−2溶液29.04質量部(有効固形分16.67質量部)、n−ドデシルメルカプタン1.24質量部、PGMEA50.0質量部、AIBN0.5質量部の混合溶液を1.5時間かけて滴下し、3時間加熱攪拌したのち、AIBN0.10質量部、PGMEA10.0質量部の混合液を10分かけて滴下し、さらに同温で1時間熟成することで、グラフト共重合体GP−2の25.6質量%溶液を得た。得られたグラフト共重合体GP−2は、GPC測定の結果、質量平均分子量(Mw)15016、数平均分子量(Mn)6524、分子量分布(Mw/Mn)は2.30であった。なおアミン価は118mgKOH/gであった。
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(EMDG)142.61質量部とフェニルホスホン酸(製品名「PPA」日産化学(株)製)50.00質量部、p−メトキシフェノール0.10質量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、温度120℃まで加温した。メタクリル酸グリシジル(GMA)44.96質量部を30分かけて滴下し、2時間加熱攪拌することで、PPAの2価の酸性基の半分がGMAのエポキシ基とエステル化した有機ホスホン酸モノエステル化合物を含む有機ホスホン酸エステル化合物(PPA+GMA)の40.0質量%溶液を得た。エステル化反応の進行は酸価測定により、生成物の組成比は31P−NMR測定により確認した。酸価は190mgKOH/gであり、有機ホスホン酸モノエステル化合物が55%、有機ホスホン酸ジエステル化合物が23%、PPAが22%の組成比であった。
100mLナスフラスコ中で、PGMEA5.32質量部に、合成例4で得られたグラフト共重合体GP−1 12.16質量部(有効固形分3.08質量部)を溶解させ、更に、ライトエステルP−2M(ジメタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート)を0.52質量部(グラフト共重合体の窒素部位に対して0.30モル当量)を加え、40℃で30分攪拌することで分散剤溶液A(固形分20質量%)を調製した。このとき、グラフト共重合体のアミノ基は、ライトエステルP−2Mと酸−塩基反応により塩形成されている。
製造例1において、ライトエステルP−2Mの代わりに、表1に記載の変性剤にそれぞれ変更した以外は、製造例1と同様にして、製造例2〜11の分散剤溶液B〜Kを得た。
製造例1において、グラフト共重合体GP−1の代わりに、グラフト共重合体GP−2を用い、ライトエステルP−2Mの代わりに、臭化アリルを用いた以外は、製造例1と同様にして、製造例12の分散剤溶液Lを得た。
製造例1において、グラフト共重合体GP−1の代わりに、上記一般式(I)で表される構成単位と上記一般式(II)で表される構成単位とを有するブロック共重合体(商品名:BYK−LPN6919、ビックケミー社製、アミン価120mgKOH/g)を用い、ライトエステルP−2Mの代わりに、ホスホン酸を上記ブロック共重合体の窒素部位に対して3.3モル当量用いた以外は、製造例1と同様にして、製造例13の分散剤溶液Mを得た。
製造例13において、ホスホン酸の代わりに、表1に記載の変性剤を用いた以外は、製造例13と同様にして、製造例14〜21の分散剤溶液N〜Uを得た。
合成例3でグラフト共重合体GP−1を変性せず、PGMEAで希釈して、固形分20質量%の分散剤溶液Vを得た。
合成例1の銅粒子6.0質量部、分散剤溶液A 2.25質量部(固形分換算0.45質量部)、PGMEA 6.75質量部を混合し、ペイントシェーカー(浅田鉄工製)にて予備分散として2mmジルコニアビーズで1時間、さらに本分散として0.1mmジルコニアビーズ4時間分散し、金属粒子分散体1を得た。
参考例1において、分散剤溶液Aを分散剤溶液B〜Uに変更した以外は、実施例1と同様にして、金属粒子分散体2〜21を得た。
参考例1において、分散剤溶液Aの代わりに、ソルスパース3000(ルーブリゾール社製)を固形分換算で0.45質量部を用い、PGMEAを加えて全量を15質量部とした以外は、参考例1と同様にして、比較金属粒子分散体1を得た。
参考例1において、分散剤溶液Aの代わりに、ソルプラスD540(ルーブリゾール社製)を固形分換算で0.45質量部を用い、PGMEAを加えて全量を15質量部とした以外は、参考例1と同様にして、比較金属粒子分散体2を得た。
参考例1において、分散剤溶液Aの代わりに、hypermer KD−9(CRODA社製)を固形分換算で0.45質量部を用い、PGMEAを加えて全量を15質量部とした以外は、参考例1と同様にして、比較金属粒子分散体3を得た。
参考例1において、分散剤溶液Aを分散剤溶液Vに変更した以外は、参考例1と同様にして、比較金属粒子分散体4を得た。
<分散性評価>
金属粒子の分散性の評価として、各実施例及び比較例で得られた金属粒子分散体中の金属粒子の平均粒径の測定を行った。平均粒径の測定には、日機装製「マイクロトラック粒度分布計UPA−EX150」を用いた。結果を表2に示す。
各実施例及び比較例で得られた金属粒子分散体を、冷蔵(5℃)で1週間静置し、静置後の金属微粒子分散体中の沈降物を目視で観察した。結果を表2に示す。
沈降物がなければ分散安定性に優れているといえる。
(1)光焼成による導電性基板の作製
各実施例及び比較例で得られた金属粒子分散体を、ポリイミドフィルム(商品名:カプトン300H、東レ・デュポン株式会社製、厚さ75μm)上にワイヤーバーで塗布して、100℃で15分乾燥して、膜厚が1μmの塗膜とした。その後、パルスドキセノンランプ装置(SINTERON 2000 (Xenon Corporation製))を用いて、パルス幅500μ秒、印加電圧3.8kVで1回照射して、導電性基板とした。
各実施例及び比較例で得られた金属粒子分散体を、ポリイミドフィルム(商品名:カプトン300H、東レ・デュポン株式会社製、厚さ75μm)上にワイヤーバーで塗布して、80℃で15分乾燥して、膜厚が1μmの塗膜とした。その後、水素ガスを導入圧力20Paで導入しながら、マイクロ波表面波プラズマ処理装置(MSP−1500、ミクロ電子株式会社製)を用いて、マイクロ波出力600Wで90秒間焼成し、導電性基板を得た。
表面抵抗計((株)ダイアインスツルメンツ製「ロレスタGP」、PSPタイププローブ)を用いて、上記(1)及び(2)で得られた各実施例及び比較例の導電性基板の金属膜に4探針を接触させ、4探針法によりシート抵抗値を測定した。結果を表1に示す。シート抵抗値が低いほど導電性に優れている。なお、本測定法によるシート抵抗値の測定上限は108Ω/□であった。
表2の結果から、分散剤として、一般式(I)で表される構成単位を有し、当該構成単位が有する窒素部位の少なくとも一部と、酸性有機リン化合物、スルホン酸化合物、及びハロゲン化炭化水素よりなる群から選択される1種以上とが塩を形成した重合体を用いた、実施例2〜10及び12〜21の金属粒子分散体は、金属粒子の粒径を小さくすることができ、保管後においても沈降物が生じなかった。また、実施例2〜10及び12〜21を用いて製造された導電性基板は、光焼成、プラズマ焼成のいずれの方法を用いても、優れた導電性を有することが明らかとなった。
一般式(I)で表される構成単位を有し、当該構成単位が有する窒素部位の少なくとも一部と、酸性有機リン化合物、スルホン酸化合物、及びハロゲン化炭化水素よりなる群から選択される1種以上とが塩を形成した重合体とは異なる、市販の分散剤を用いた比較例1〜3の金属粒子分散体は、金属粒子の分散粒径が大きく、沈降物が生じやすいことが明らかとなった。比較例1〜3の金属粒子分散体は、パルス光焼成法を用いた場合には、良好な金属膜を有する導電性基板を得ることができなかった。比較例1及び2の金属粒子分散体は、プラズマ焼成法を用いた場合には、導電性を有する導電性基板を得ることができたが、実施例2〜10及び12〜21と比較して、抵抗値が大きく、更に、表面の凹凸が大きく、表面平滑性が悪かった。金属粒子の分散粒径が大きいほど、表面平滑性が悪くなるものと推測される。
一般式(I)で表される構成単位を有するが、当該構成単位が有する窒素部位が塩変性されていない重合体を用いた、比較例4の金属粒子分散体は、調製後すぐであれば、実施例と同様に、優れた導電性を有する導電性基板を製造することができた。しかしながら、比較例4の金属粒子分散体は、1週間静置すると沈降物が生じており、分散安定性が悪いことが明らかとなった。
2 金属膜
100 基板
Claims (9)
- 金属粒子と、分散剤と、溶剤とを含有し、前記分散剤が、下記一般式(I)で表される構成単位を有するブロック部と、下記一般式(II)で表される構成単位を有するブロック部とを有し、下記一般式(I)で表される構成単位が有する窒素部位の少なくとも一部と、酸性有機リン化合物、スルホン酸化合物、及びハロゲン化炭化水素よりなる群から選択される1種以上とが塩を形成したブロック共重合体である、導電性基板用金属粒子分散体。
上記炭化水素基は、置換基を有していてもよい。
xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。) - 前記分散剤において、前記酸性有機リン化合物が下記一般式(VI)で表される化合物であり、前記スルホン酸化合物が下記一般式(VII)で表される化合物であり、且つ、前記ハロゲン化炭化水素が、ハロゲン化ベンジル、ハロゲン化アリル、及びハロゲン化メチルよりなる群から選択される1種以上である、請求項1に記載の導電性基板用金属粒子分散体。
Rbは、炭化水素基、−[CH(Rc)−CH(Rd)−O]s−Re、−[(CH2)t−O]u−Re、又は−O−Rb’で示される1価の基である。Rb’は、炭化水素基、−[CH(Rc)−CH(Rd)−O]s−Re、又は−[(CH2)t−O]u−Reで示される1価の基である。
Rc及びRdは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。Reは、水素原子、炭化水素基、−CHO、−CH2CHO、−CO−CH=CH2、−CO−C(CH3)=CH2又は−CH2COORe’で示される1価の基であり、Re’は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。Rf、Rg、Rh、Ri、Rj及びRkは、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、又は、炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基であって、Rf及びRhは、互いに結合して環構造を形成してもよい。上記環状構造を形成した場合、置換基Rlを有していてもよく、Rlは、水素原子、炭化水素基、又は、炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基である。
上記炭化水素基は置換基を有していてもよい。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。) - 金属粒子と、分散剤と、溶剤とを含有し、前記分散剤が、下記一般式(I)で表される構成単位と、下記一般式(III)で表される構成単位とを有し、前記一般式(I)で表される構成単位に含まれる窒素部位の少なくとも一部と、酸性有機リン化合物、スルホン酸化合物、及びハロゲン化炭化水素よりなる群から選択される1種以上とが塩を形成したグラフト共重合体であって、
前記酸性有機リン化合物が下記一般式(VI)で表される化合物であり、前記スルホン酸化合物が下記一般式(VII)で表される化合物である、導電性基板用金属粒子分散体。
R 21 は、水素原子、炭化水素基、−CHO、−CH 2 CHO又は−CH 2 COOR 24 で示される1価の基であり、R 22 は、炭化水素基、シアノ基、−[CH(R 19 )−CH(R 20 )−O] x −R 21 、−[(CH 2 ) y −O] z −R 21 、−[CO−(CH 2 ) y −O] z −R 21 で示される1価の基である。R 23 は炭素数1〜18のアルキル基であり、R 24 は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
上記炭化水素基は、置換基を有していてもよい。
mは1〜5の整数、n及びn’は5〜200の整数を示す。xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
R b は、炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、及びアリール基より選択される炭化水素基、−[CH(R c )−CH(R d )−O] s −R e 、−[(CH 2 ) t −O] u −R e 、又は−O−R b’ で示される1価の基である。R b’ は、炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、及びアリール基より選択される炭化水素基、−[CH(R c )−CH(R d )−O] s −R e 、又は−[(CH 2 ) t −O] u −R e で示される1価の基である。
R c 及びR d は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。R e は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、及びアリール基より選択される炭化水素基、−CHO、−CH 2 CHO、又は−CH 2 COOR e’ で示される1価の基であり、R e’ は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。R f 、R g 、R h 、R i 、R j 及びR k は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アラルキル基、及びアリール基より選択される炭化水素基、又は、アルキル基、アラルキル基、及びアリール基より選択される1価の炭化水素基、並びに、アルキレン基、及びアリーレン基より選択される2価の炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基であって、R f 及びR h は、互いに結合して環構造を形成してもよい。上記環状構造を形成した場合、置換基R l を有していてもよく、R l は、水素原子、アルキル基、アラルキル基、及びアリール基より選択される炭化水素基、又は、アルキル基、アラルキル基、及びアリール基より選択される1価の炭化水素基、並びに、アルキレン基、及びアリーレン基より選択される2価の炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基である。
上記炭化水素基が、アルキル基の場合、置換基としてハロゲン原子、ニトロ基を有していてもよく、上記炭化水素基が、アリール基又はアラルキル基の場合、芳香環の置換基として、炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基、ニトロ基、ハロゲン原子を有していてもよい。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。) - 前記金属粒子が、金、銀、銅、及びこれらの酸化物から選ばれる1種以上を含む金属粒子である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の導電性基板用金属粒子分散体。
- 金属粒子と、分散剤と、溶剤とを含有し、前記分散剤が、下記一般式(I)で表される構成単位を有するブロック部と、下記一般式(II)で表される構成単位を有するブロック部とを有し、下記一般式(I)で表される構成単位が有する窒素部位の少なくとも一部と、酸性有機リン化合物、スルホン酸化合物、及びハロゲン化炭化水素よりなる群から選択される1種以上とが塩を形成したブロック共重合体である、導電性基板用金属粒子分散体を含む塗布液を、基材上に塗布して塗膜を形成する工程と、当該塗膜を焼成処理する工程とを有する、導電性基板の製造方法。
上記炭化水素基は、置換基を有していてもよい。
xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。) - 前記分散剤において、前記酸性有機リン化合物が下記一般式(VI)で表される化合物であり、前記スルホン酸化合物が下記一般式(VII)で表される化合物であり、且つ、前記ハロゲン化炭化水素が、ハロゲン化ベンジル、ハロゲン化アリル、及びハロゲン化メチルよりなる群から選択される1種以上である、請求項5に記載の導電性基板の製造方法。
Rbは、炭化水素基、−[CH(Rc)−CH(Rd)−O]s−Re、−[(CH2)t−O]u−Re、又は−O−Rb’で示される1価の基である。Rb’は、炭化水素基、−[CH(Rc)−CH(Rd)−O]s−Re、又は−[(CH2)t−O]u−Reで示される1価の基である。
Rc及びRdは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。Reは、水素原子、炭化水素基、−CHO、−CH2CHO、−CO−CH=CH2、−CO−C(CH3)=CH2又は−CH2COORe’で示される1価の基であり、Re’は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。Rf、Rg、Rh、Ri、Rj及びRkは、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、又は、炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基であって、Rf及びRhは、互いに結合して環構造を形成してもよい。上記環状構造を形成した場合、置換基Rlを有していてもよく、Rlは、水素原子、炭化水素基、又は、炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基である。
上記炭化水素基は置換基を有していてもよい。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。) - 金属粒子と、分散剤と、溶剤とを含有し、前記分散剤が、下記一般式(I)で表される構成単位と、下記一般式(III)で表される構成単位とを有し、前記一般式(I)で表される構成単位に含まれる窒素部位の少なくとも一部と、酸性有機リン化合物、スルホン酸化合物、及びハロゲン化炭化水素よりなる群から選択される1種以上とが塩を形成したグラフト共重合体であって、
前記酸性有機リン化合物が下記一般式(VI)で表される化合物であり、前記スルホン酸化合物が下記一般式(VII)で表される化合物である、導電性基板用金属粒子分散体を含む塗布液を、基材上に塗布して塗膜を形成する工程と、当該塗膜を焼成処理する工程とを有する、導電性基板の製造方法。
R 21 は、水素原子、炭化水素基、−CHO、−CH 2 CHO又は−CH 2 COOR 24 で示される1価の基であり、R 22 は、炭化水素基、シアノ基、−[CH(R 19 )−CH(R 20 )−O] x −R 21 、−[(CH 2 ) y −O] z −R 21 、−[CO−(CH 2 ) y −O] z −R 21 で示される1価の基である。R 23 は炭素数1〜18のアルキル基であり、R 24 は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
上記炭化水素基は、置換基を有していてもよい。
mは1〜5の整数、n及びn’は5〜200の整数を示す。xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
R b は、炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、及びアリール基より選択される炭化水素基、−[CH(R c )−CH(R d )−O] s −R e 、−[(CH 2 ) t −O] u −R e 、又は−O−R b’ で示される1価の基である。R b’ は、炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、及びアリール基より選択される炭化水素基、−[CH(R c )−CH(R d )−O] s −R e 、又は−[(CH 2 ) t −O] u −R e で示される1価の基である。
R c 及びR d は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。R e は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、及びアリール基より選択される炭化水素基、−CHO、−CH 2 CHO、又は−CH 2 COOR e’ で示される1価の基であり、R e’ は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。R f 、R g 、R h 、R i 、R j 及びR k は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アラルキル基、及びアリール基より選択される炭化水素基、又は、アルキル基、アラルキル基、及びアリール基より選択される1価の炭化水素基、並びに、アルキレン基、及びアリーレン基より選択される2価の炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基であって、R f 及びR h は、互いに結合して環構造を形成してもよい。上記環状構造を形成した場合、置換基R l を有していてもよく、R l は、水素原子、アルキル基、アラルキル基、及びアリール基より選択される炭化水素基、又は、アルキル基、アラルキル基、及びアリール基より選択される1価の炭化水素基、並びに、アルキレン基、及びアリーレン基より選択される2価の炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基である。
上記炭化水素基が、アルキル基の場合、置換基としてハロゲン原子、ニトロ基を有していてもよく、上記炭化水素基が、アリール基又はアラルキル基の場合、芳香環の置換基として、炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基、ニトロ基、ハロゲン原子を有していてもよい。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。) - 前記焼成処理する工程が、マイクロ波エネルギーの印加により発生する表面波プラズマにより焼成処理する工程である、請求項5乃至7のいずれか一項に記載の導電性基板の製造方法。
- 前記焼成処理する工程が、パルス光の照射により焼成処理する工程である、請求項5乃至7のいずれか一項に記載の導電性基板の製造方法。
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