JP2018170228A - 導体形成用組成物、並びに接合体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低温(例えば、250℃以下)で導体化が可能であり、金属接合材料として用いることが可能な導体形成用組成物を提供すること。【解決手段】銅含有粒子と、有機酸と、分散媒と、を含有し、銅含有粒子が、銅を含むコア粒子と、コア粒子の表面の少なくとも一部を被覆する有機物と、を有し、有機物が、炭素数が7以下である炭化水素基を有するアルキルアミンを含む、導体形成用組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、導体形成用組成物、並びに接合体及びその製造方法に関する。
銅は高い導電性及び熱伝導性を有するため、導体配線材料、熱伝達材料、熱交換材料、放熱材料等として広く用いられている。
近年、フォトリソグラフィに代わる銅パターンの形成方法として、金属を含むインク、ペースト等をインクジェット印刷、スクリーン印刷等により基材上に金属を含む層を形成する工程と、加熱して導電性を発現させる導体化工程とを含む、いわゆるプリンテッドエレクトロニクスが知られている。
印刷により銅パターンを形成する印刷インク又は印刷ペーストとしては、銅ナノ粒子の分散液、金属錯体の溶液又は分散液等が検討されている。しかし、銅は、室温で酸化状態が安定であることから、必ず酸化状態の銅を含む。そのため、銅が導電性及び導熱性を発現するには、酸化状態の銅を還元し、さらに銅の連続体とすることが必要である。
これを解決する方法として、特許文献1には、低温で焼結でき、良好な導電性を発現する被覆銅粒子及びその製造方法が記載されている。特許文献1に記載の銅粒子は、シュウ酸銅等の銅前駆体とヒドラジン等の還元性化合物とを混合して複合化合物を得る工程と、前記複合化合物をアルキルアミンの存在下で加熱する工程とを有する方法によって製造されるものである。特許文献1の実施例では、作製した銅粒子を含むインクをアルゴン雰囲気中、60℃/分で300℃まで加熱して30分保持することで導体化を達成している。また、特許文献2には、導電性金属粉末、有機ビヒクル等を含む導電性ペースト組成物が記載されている。有機バインダー除去を目的に、通常、250℃〜330℃、空気雰囲気、窒素雰囲気等で熱処理を施して有機ビヒクルを燃焼させた後、金属粉末が酸化されないように中性または還元雰囲気で850℃〜1300℃で焼結することが記載されている。
ところで、電子部品の端子の接合材料に用いられる銅パターンの形成工程等においては、より低温で導体化できることが望まれている。例えば、特許文献1の実施例では、300℃まで加熱して導体性が発現しており、これよりも低い温度で導電化が可能な導体形成用組成物が求められている。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、低温(例えば、250℃以下)で導体化が可能であり、金属接合材料として用いることが可能な導体形成用組成物を提供することを主な目的とする。
本発明は、下記(1)〜(3)に示す導体形成用組成物、下記(4)〜(6)に示す接合体の製造方法、及び下記(7)に示す接合体を提供する。
(1)銅含有粒子と、有機酸と、分散媒と、を含有し、銅含有粒子が、銅を含むコア粒子と、コア粒子の表面の少なくとも一部を被覆する有機物と、を有し、有機物が、炭素数が7以下である炭化水素基を有するアルキルアミンを含む、導体形成用組成物。
(2)有機酸が、カルボキシル基を2つ以上有する、(1)に記載の導体形成用組成物。
(3)有機酸が、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、及び3,3−ジメチルグルタル酸からなる群より選択される少なくとも1種である、(1)又は(2)に記載の導体形成用組成物。
(4)第一の基材、(1)〜(3)のいずれかに記載の導体形成用組成物からなる組成物層、及び第二の基材がこの順に積層されている接合前駆体を用意する工程と、接合前駆体を、不活性ガス、還元性ガス又はこれらの混合ガスのいずれかのガス雰囲気下、120〜250℃で加熱する工程と、を備える、接合体の製造方法。
(5)ガス雰囲気が、水素ガス又はギ酸ガスを含むガス雰囲気である、(4)に記載の接合体の製造方法。
(6)接合前駆体を、荷重をかけながら加熱する、(4)又は(5)に記載の接合体の製造方法。
(7)第一の基材と、第二の基材と、第一の基材と第二の基材とを接合する導体層と、を備え、導体層が、(1)〜(3)のいずれかに記載の導体形成用組成物に含有される銅含有粒子が焼結してなる焼結体を含む、接合体。
(2)有機酸が、カルボキシル基を2つ以上有する、(1)に記載の導体形成用組成物。
(3)有機酸が、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、及び3,3−ジメチルグルタル酸からなる群より選択される少なくとも1種である、(1)又は(2)に記載の導体形成用組成物。
(4)第一の基材、(1)〜(3)のいずれかに記載の導体形成用組成物からなる組成物層、及び第二の基材がこの順に積層されている接合前駆体を用意する工程と、接合前駆体を、不活性ガス、還元性ガス又はこれらの混合ガスのいずれかのガス雰囲気下、120〜250℃で加熱する工程と、を備える、接合体の製造方法。
(5)ガス雰囲気が、水素ガス又はギ酸ガスを含むガス雰囲気である、(4)に記載の接合体の製造方法。
(6)接合前駆体を、荷重をかけながら加熱する、(4)又は(5)に記載の接合体の製造方法。
(7)第一の基材と、第二の基材と、第一の基材と第二の基材とを接合する導体層と、を備え、導体層が、(1)〜(3)のいずれかに記載の導体形成用組成物に含有される銅含有粒子が焼結してなる焼結体を含む、接合体。
本発明によれば、低温(例えば、250℃以下)で導体化が可能であり、金属接合材料として用いることが可能な導体形成用組成物、並びにこれを用いた接合体及びその製造方法が提供される。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。さらに本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において「導体形成用組成物」とは、焼結させて導電性を有する物体、すなわち「導体」を形成させることが可能な組成物をいう。「導体化」とは、金属を含有する粒子を焼結させて導電性を有する物体に変化させることをいう。「導体」とは、導電性を有する物体をいう。
本明細書において「基材」とは、導体形成用組成物からなる組成物層を形成できる面を有する物体をいう。
本明細書において「工程」とは、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において「層」とは、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構成に加え、一部に形成されている形状の構成も包含される。
本明細書において銅含有粒子が「焼結」した状態には、銅含有粒子が完全に又は部分的に融け合って一体化(融着)している状態と、銅含有粒子が融合せずに接触しているのみの状態のいずれもが含まれる。
<導体形成用組成物>
本実施形態の導体形成用組成物は、銅含有粒子と、有機酸と、分散媒と、を含有する。銅含有粒子は、銅を含むコア粒子と、コア粒子の表面の少なくとも一部を被覆する有機物と、を有する。有機物は、炭化水素基の炭素数が7以下であるアルキルアミンを少なくとも含む。このような導体形成用組成物を使用することによって、低温(例えば、250℃以下)で導体化が可能となり得る。
本実施形態の導体形成用組成物は、銅含有粒子と、有機酸と、分散媒と、を含有する。銅含有粒子は、銅を含むコア粒子と、コア粒子の表面の少なくとも一部を被覆する有機物と、を有する。有機物は、炭化水素基の炭素数が7以下であるアルキルアミンを少なくとも含む。このような導体形成用組成物を使用することによって、低温(例えば、250℃以下)で導体化が可能となり得る。
(銅含有粒子)
銅含有粒子は、銅を含むコア粒子と、コア粒子の表面の少なくとも一部を被覆する有機物と、を有する。銅含有粒子としては、例えば、特開2016−037627の銅含有粒子を好適に用いることができる。
銅含有粒子は、銅を含むコア粒子と、コア粒子の表面の少なくとも一部を被覆する有機物と、を有する。銅含有粒子としては、例えば、特開2016−037627の銅含有粒子を好適に用いることができる。
特開2016−037627の銅含有粒子は、銅を含有するコア粒子と、コア粒子の表面の少なくとも一部に存在するアルキルアミンに由来する物質を含む有機物と、を有し、アルキルアミンは炭化水素基の炭素数が7以下であるアルキルアミンを含む。有機物を構成するアルキルアミンの炭化水素基の鎖長が比較的短いため、比較的低い温度(例えば、150℃以下)でも熱分解し、コア粒子同士が融着し易い。
炭化水素基の炭素数が7以下であるアルキルアミンは、例えば、1級アミン、2級アミン、アルキレンジアミン等であってよい。1級アミンとしては、エチルアミン、2−エトキシエチルアミン、プロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、ブチルアミン、4−メトキシブチルアミン、イソブチルアミン、ペンチルアミン、イソペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン等を挙げることができる。2級アミンとしては、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、エチルプロピルアミン、エチルペンチルアミン等を挙げることができる。アルキレンジアミンとしては、エチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N−ジエチル−1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、1,6−ジアミノへキサン、N,N’−ジメチル−1,6−ジアミノへキサン、1,7−ジアミノヘプタン等を挙げることができる。
コア粒子の表面の少なくとも一部を被覆する有機物は、炭化水素基の炭素数が7以下であるアルキルアミン以外の有機物を含んでいてもよい。有機物全体に対する炭化水素基の炭素数が7以下であるアルキルアミンの割合は、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。
コア粒子の表面の少なくとも一部を被覆する有機物は、その割合がコア粒子及び有機物の合計に対して0.1質量%〜20質量%であることが好ましい。有機物の割合が0.1質量%以上であると、充分な耐酸化性が得られる傾向にある。有機物の割合が20質量%以下であると、低温での導体化が達成され易くなる傾向にある。コア粒子及び有機物の合計に対する有機物の割合は0.3質量%〜10質量%であることがより好ましく、0.5質量%〜5質量%であることがさらに好ましい。
銅含有粒子の大きさは、長軸の長さの平均値が10nm〜500nmの範囲内であることが好ましい。導体化温度を低くする観点からは長軸の長さの平均値が20nm〜500nmであることがより好ましく、30nm〜500nmであることがさらに好ましい。銅含有粒子の長軸は、銅含有粒子に外接し、互いに平行である二平面の間の距離が最大となるように選ばれる二平面間の距離を意味する。銅含有粒子の長軸は、電子顕微鏡による観察等の公知の方法により、測定することができる。長軸の長さの平均値は、無作為に選択される200個の銅含有粒子について測定した長軸の長さの算術平均値を意味する。なお、電子顕微鏡像から無作為に銅含有粒子を選択する際には、粒子径が3nm未満である銅含有粒子は測定対象から除外する。
銅含有粒子の形状は特に制限されない。例えば、球状、長粒状、扁平状、繊維状等を挙げることができ、銅含有粒子の用途にあわせて選択できる。印刷用ペーストとして用いる観点からは、球状、長粒状であることが好ましい。
銅含有粒子は、少なくとも銅を含み、必要に応じてその他の物質を含んでもよい。銅以外の物質としては、金、銀、白金、錫、ニッケル等の金属又はこれらの金属元素を含む化合物、還元性化合物又は有機物等を挙げることができる。導電性に優れる導体(層)を形成する観点からは、銅含有粒子中の銅の含有率は50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。
銅含有粒子は、表面の少なくとも一部に有機物が存在しているために、空気中で保存している間も銅の酸化が抑制されており、酸化物の含有率が小さいと推測される。例えば、銅含有粒子中の酸化物の含有率は5質量%以下であってよい。銅含有粒子中の酸化物の含有率は、例えばXRDによって測定することができる。
銅含有粒子の含有量は、製造される接合体の導電性の観点から、組成物を全量基準として、30質量%〜98質量%であることが好ましく、35質量%〜95質量%であることがより好ましく、40質量%〜90質量%であることがさらに好ましい。
銅含有粒子の製造方法は特に制限されない。製造方法としては、例えば、特開2016−037626の銅含有粒子の製造方法が挙げられる。
特開2016−037626の銅含有粒子の製造方法は、銅前駆体として、炭素数が9以下である脂肪酸と銅との金属塩を使用するものである。これにより、銅前駆体としてシュウ酸銅等を用いる特許文献1に記載の方法と比較して、より沸点の低いアルキルアミンを反応媒として使用することが可能になると考えられる。その結果、得られる銅含有粒子の表面に存在する有機物がより熱分解し易いものとなり、導体化を低温で実施することがより容易になる。
(有機酸)
導体形成用組成物は、有機酸を含有する。有機酸を含有する導体形成用組成物を用いることによって、接合体を形成したときの基材間の密着性を向上させることができる。この理由は必ずしも明らかではないが、本発明者らは、有機酸が基材上の酸化物、窒化物等の不純物を除去し、導体形成用組成物の導体化によって生じる銅と、基材に含まれる金属とが金属結合によって結合するためだと考えている。
導体形成用組成物は、有機酸を含有する。有機酸を含有する導体形成用組成物を用いることによって、接合体を形成したときの基材間の密着性を向上させることができる。この理由は必ずしも明らかではないが、本発明者らは、有機酸が基材上の酸化物、窒化物等の不純物を除去し、導体形成用組成物の導体化によって生じる銅と、基材に含まれる金属とが金属結合によって結合するためだと考えている。
有機酸としては、例えば、はんだ付けのフラックス成分に用いられる有機カルボン酸等が挙げられる。有機酸は、カルボキシル基を2つ以上有する有機カルボン酸であることが好ましく、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、メチルマロン酸、ジメチルマロン酸、エチルマロン酸、プロピルマロン酸、イソプロピルマロン酸、ジプロピルマロン酸、ブチルマロン酸、イソブチルマロン酸、メチルコハク酸、2,2−ジメチルコハク酸、2,3−ジメチルコハク酸、2−メチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジメチルグルタル酸、2,4−ジメチルグルタル酸、3−エチル−3−メチルグルタル酸、2,4−ジエチルグルタル酸、2−オキソグルタル酸、3−メチルアジピン酸、2,2,6,6−テトラメチルピメリン酸、1,1−シクロプロパンジカルボン酸、1,2−シクロプロパンジカルボン酸、1,1−シクロブタンジカルボン酸、1,2−シクロブタンジカルボン酸、1,2−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,1−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、フタル酸、トリカルバリル酸、トリメリット酸、アコニット酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、メサコン酸、グルタミン酸、エチレンジアミン四酢酸、2,3−ピラジンジカルボン酸、2,3−ピリジンジカルボン酸、2,4−ピリジンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸、2,6−ピリジンジカルボン酸、3,4−ピリジンジカルボン酸、及び3,5−ピリジンジカルボン酸からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、及び3,3−ジメチルグルタル酸からなる群より選択される少なくとも1種であることがさらに好ましい。これらの有機酸は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
銅含有粒子に対する有機酸の質量比は、分散性及び保存安定性の観点から、銅含有粒子100質量部に対して0.05〜80質量部であることが好ましく、0.1〜50質量部であることがより好ましく、0.5〜30質量部であることがさらに好ましい。有機酸の質量比が80質量部以下であると、より良好な保存安定性が得られる傾向にある。また、0.05質量部以上であると、接合体の密着性がより良好となる傾向にある。
(分散媒)
分散媒は、特に制限されずに、導電インク、導電ペースト等の製造に一般に用いられる有機溶剤から用途に応じて適宜選択できる。分散媒は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。粘度調整の観点から、例えば、テルピネオール、イソボルニルシクロヘキサノール、ジヒドロテルピネオール、ジヒドロテルピネオールアセテート等を好適に用いることができる。また、上述の有機酸の分散性の観点から、有機酸と相溶性があるものを用いることがさらに好ましい。
分散媒は、特に制限されずに、導電インク、導電ペースト等の製造に一般に用いられる有機溶剤から用途に応じて適宜選択できる。分散媒は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。粘度調整の観点から、例えば、テルピネオール、イソボルニルシクロヘキサノール、ジヒドロテルピネオール、ジヒドロテルピネオールアセテート等を好適に用いることができる。また、上述の有機酸の分散性の観点から、有機酸と相溶性があるものを用いることがさらに好ましい。
銅含有粒子に対する分散媒の質量比は、銅含有粒子100質量部に対して1〜300質量部であることが好ましく、3〜200質量部であることがより好ましく、5〜150質量部であることがさらに好ましい。分散媒の質量比が300質量部以下であると、得られる導体(層)がより良好な導電性を示す傾向にある。また、1質量部以上であると、分散性がより良好なる傾向にある。
(その他の成分)
導体形成用組成物は、銅含有粒子、有機酸及び分散媒以外の成分をその他の成分として含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、シランカップリング剤等の架橋剤などが挙げられる。その他の成分の含有量は、例えば、銅含有粒子100質量部に対して、0.1〜5.0質量部であってもよい。
導体形成用組成物は、銅含有粒子、有機酸及び分散媒以外の成分をその他の成分として含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、シランカップリング剤等の架橋剤などが挙げられる。その他の成分の含有量は、例えば、銅含有粒子100質量部に対して、0.1〜5.0質量部であってもよい。
導体形成用組成物の粘度は、特に制限されずに、用途に応じて選択できる。例えば、導体形成用組成物をスクリーン印刷法に適用する場合は、粘度が0.1Pa・s〜30Pa・sであることが好ましく、1Pa・s〜30Pa・sであることがより好ましい。導体形成用組成物をスピンコート法に適用する場合は、粘度が0.3mPa・s〜1000mPa・sであることが好ましく、1mPa・s〜800mPa・sであることがより好ましい。導体形成用組成物の粘度はE型粘度計(東機産業株式会社製、製品名:VISCOMETER−TV22、適用コーンプレート型ロータ:3°×R17.65)を用いて測定される25℃における粘度を意味する。
導体形成用組成物の製造方法は、特に限定されずに、当該技術分野で通常用いられる方法を用いることができる。例えば、銅含有粒子、有機酸、及び必要に応じて含まれるその他の成分を分散媒中に分散処理することで調製することができる。分散処理は、石川式撹拌機、自転公転式撹拌機、超薄膜高速回転式分散機、ロールミル、超音波分散機、ビーズミル等のメディア分散機、ホモミキサー、シルバーソン撹拌機等のキャビテーション撹拌装置、アルテマイザー等の対向衝突法などを用いることができる。また、これらの手法を適宜組み合わせて用いてもよい。
<接合体の製造方法>
本実施形態の接合体の製造方法は、第一の基材、上述の導体形成用組成物からなる組成物層、及び第二の基材がこの順に積層されている接合前駆体を用意する工程(接合前駆体準備工程)と、接合前駆体を、不活性ガス、還元性ガス又はこれらの混合ガスのいずれかのガス雰囲気下、120〜250℃で加熱する工程(加熱工程)と、を備える。以下、接合体の製造方法の例を、図面を参照して説明する。
本実施形態の接合体の製造方法は、第一の基材、上述の導体形成用組成物からなる組成物層、及び第二の基材がこの順に積層されている接合前駆体を用意する工程(接合前駆体準備工程)と、接合前駆体を、不活性ガス、還元性ガス又はこれらの混合ガスのいずれかのガス雰囲気下、120〜250℃で加熱する工程(加熱工程)と、を備える。以下、接合体の製造方法の例を、図面を参照して説明する。
図1は、導体形成用組成物を用いた接合体の製造方法の一実施形態を説明するための模式断面図である。本実施形態の方法は、図1に示すように、第一の基材1、上述の導体形成用組成物からなる、銅含有粒子4を含む組成物層3、及び第二の基材2がこの順に積層されている接合前駆体10を用意する(図1の(a))。接合前駆体10は、例えば、第一の基材上に、上述の導体形成用組成物を用いて、銅含有粒子4を含む組成物層3を形成し、組成物層3上に第二の基材2を配置することによって、得ることができる。次に、特定のガス雰囲気内で、用意した接合前駆体10を特定の温度で加熱する(図1の(b))。このとき、例えば、方向Aから、荷重をかけながら(加圧しながら)加熱してもよい。これら工程を経ることによって、第一の基材1と、第二の基材2と、第一の基材1と第二の基材2とを接合する導体層5と、を備える接合体20が得られる(図1の(c))。導体層5は、導体形成用組成物に含有される銅含有粒子4が焼結してなる焼結体を含む。
第一の基材1は、基材中に金属を含む。金属として具体的には、金、銀、銅、白金、パラジウム、亜鉛、ニッケル、錫、コバルト、鉄、アルミニウム等の金属、これらの金属を含む合金などが挙げられる。これらの金属のうち、基材に含まれる金属は、導体形成用組成物に使用される有機酸によって、当該金属の酸化物等の不純物を除去できる金属を含むことが好ましい。基材は曲面を有していてもよい。
第一の基材1全体に対する銅含有粒子の割合は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。銅含有粒子の割合が50質量%以上であると、得られる導体(層)と、基材に含まれる金属との間で、金属結合を形成し易くなる傾向にある。
第一の基材1上に組成物層3を形成する方法は、組成物層3を基材上に任意の形状で形成することができるのであれば特に制限されない。このような方法としては、インクジェット法、スーパーインクジェット法、スクリーン印刷法、転写印刷法、オフセット印刷法、ジェットプリンティング法、ディスペンス法、ジェットディスペンス法、ニードルディスペンス法、カンマコート法、バーコート法、スリットコート法、ダイコート法、グラビアコート法、凸版印刷法、凹版印刷法、グラビア印刷法、ソフトリソグラフ法、ディップペンリソグラフ法、粒子堆積法、スプレーコート法、スピンコート法、ディップコート法、電着塗装法等が挙げられる。
組成物層3の形状及び厚みは、特に制限されずに、目的に応じて適宜選択することができる。また、組成物層3の厚みは、例えば、0.2μm〜2000μmとすることが好ましい。導電性及び接合体の接続信頼性の観点からは、1μm〜1000μmであることがより好ましい。
第二の基材2としては、第一の基材1で例示したものを用いることができる。第二の基材2は、第一の基材1と同一であってもよく、異なっていてもよい。
加熱工程では、接合前駆体を、特定の雰囲気下、特定の温度条件で加熱する。これによって、第一の基材1と、第二の基材2と、第一の基材1と第二の基材2とを接合する導体層5と、を備える接合体20が得られる。
銅含有粒子4は、コア粒子が有機物で被覆されているため、大気中で保存しても酸化が抑制されるという利点を有する。しかし、焼結させる際には導体化の妨げとなる有機物を熱分解させるために酸素を含有する雰囲気中で加熱する必要がある。その際、銅のような酸化され易い金属の場合には、雰囲気中の酸素濃度が高すぎると酸化銅が生成して導体化の妨げとなる場合がある。
特許文献1に記載の実施例ではコア粒子表面の有機物の熱分解を充分なものとするために加熱を最高温度300℃で実施している。これに対して、本実施形態の銅含有粒子4は、銅を含むコア粒子と、コア粒子の表面の少なくとも一部を被覆する有機物と、を有し、有機物が、炭素数が7以下である炭化水素基を有するアルキルアミンを含む。有機物を構成するアルキルアミンの炭化水素基の鎖長が比較的短いために、低温(例えば、250℃以下)でコア粒子表面から脱離する。そのため、銅含有粒子4が焼結してなる焼結体を含むようになり、導体化が可能となる。また、有機酸が、該銅を含有するコア粒子表面の酸化銅の生成を抑制し、かつ基材表面の不純物を除去し得る。
加熱工程におけるガス雰囲気は、窒素、アルゴン等の不活性ガス、水素、ギ酸等の還元性ガス、又はこれらの不活性ガスと還元性ガスとの混合ガスのいずれかのガス雰囲気である。ガス雰囲気は、還元性ガス雰囲気、すなわち、水素ガス又はギ酸ガスを含むガス雰囲気であることが好ましい。還元性ガスは、銅含有粒子表面の有機物の脱離を容易にし、該粒子の銅を含むコア粒子同士の焼結(融着)を促進するとともに、基材に含まれる金属と該コア粒子に含まれる銅との焼結(融着)を促進する。
加熱工程における雰囲気中の気圧条件は、特に制限されずに、大気圧条件であっても減圧条件であってもよいが、減圧条件とすることによって、低温での導体化がより促進される傾向にある。
加熱工程における温度条件は120〜250℃の範囲であり、120〜230℃の範囲であることが好ましい。温度が120℃以上であると、充分な導電性を有する導体(層)が得られる傾向にある。加熱工程における昇温条件は、一定の速度で昇温させても、不規則に変化させて昇温させてもよい。加熱工程における加熱時間は、特に制限されずに、加熱温度、加熱雰囲気、粒子の量等を考慮して選択することができる。また、加熱方法は、特に制限されずに、熱板、赤外ヒータ、パルスレーザ等を用いて加熱することができる。
加熱工程において、荷重をかけながら(加圧しながら)加熱することが好ましい。このように加熱することによって、銅を含むコア粒子同士、及びコア粒子に含まれる銅と基材に含まれる金属との焼結(融着)をさらに促進することができる。荷重は、1000MPa以下であることが好ましく、500MPa以下であることがより好ましく、300MPa以下であることがさらに好ましい。荷重が1000MPa以下であると、基材等の破壊を避けることができる。
接合体の製造方法では、必要に応じてその他の工程を備えていてもよい。その他の工程としては、加熱工程後に水又は有機溶剤に浸漬して残存成分を除去する工程、加熱工程後に光焼成で残存成分を除去する工程等を挙げることができる。
本実施形態の導体形成用組成物を用いて製造される導体(層)の体積抵抗率は、1000μΩ・cm以下であることが好ましく、500μΩ・cm以下であることがより好ましく、300μΩ・cm以下であることがさらに好ましく、200μΩ・cm以下であることが特に好ましい。導体(層)の形状は、特に制限されずに、薄膜状、バンプ状、パターン状等であってもよい。
<接合体>
本実施形態の接合体は、第一の基材と、第二の基材と、第一の基材と第二の基材とを接合する導体層と、を備える。導体層は、上述の導体形成用組成物に含有される銅含有粒子が焼結した構造を含む。接合体は、太陽電池、ディスプレイ、タッチパネル、トランジスタ、半導体パッケージ、積層セラミックコンデンサ等の電子部品に使用される接続端子、放熱膜等の部材などとして利用することができる。本実施形態の接合体は、例えば、従来はんだ接合によって製造された接合体に代えて、使用することができる。
本実施形態の接合体は、第一の基材と、第二の基材と、第一の基材と第二の基材とを接合する導体層と、を備える。導体層は、上述の導体形成用組成物に含有される銅含有粒子が焼結した構造を含む。接合体は、太陽電池、ディスプレイ、タッチパネル、トランジスタ、半導体パッケージ、積層セラミックコンデンサ等の電子部品に使用される接続端子、放熱膜等の部材などとして利用することができる。本実施形態の接合体は、例えば、従来はんだ接合によって製造された接合体に代えて、使用することができる。
接合体の接合強度の測定方法は、製造した接合体の形状によって適宜選択される。例えば、接合体を接合面に対して垂直方向に引き剥がすプル強度テスト、接合面に対して水平方法に引き剥がすシェア強度テスト、屈曲性のある薄膜を引き剥がすピール強度テスト等が挙げられる。
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[製造例1]ノナン酸銅の合成
水酸化銅(関東化学株式会社、特級)91.5g(0.94mol)に1−プロパノール(関東化学株式会社、特級)150mLを加えて撹拌し、これにノナン酸(関東化学株式会社、90%以上)370.9g(2.34mol)を加えた。得られた混合物を、セパラブルフラスコ中で90℃、30分間加熱撹拌した。得られた溶液を加熱したままろ過して未溶解物を除去した。その後放冷し、生成したノナン酸銅を吸引ろ過し、洗浄液が透明になるまでヘキサンで洗浄した。得られた粉体を50℃の防爆オーブンで3時間乾燥してノナン酸銅(II)を得た。収量は340g(収率96質量%)であった。
水酸化銅(関東化学株式会社、特級)91.5g(0.94mol)に1−プロパノール(関東化学株式会社、特級)150mLを加えて撹拌し、これにノナン酸(関東化学株式会社、90%以上)370.9g(2.34mol)を加えた。得られた混合物を、セパラブルフラスコ中で90℃、30分間加熱撹拌した。得られた溶液を加熱したままろ過して未溶解物を除去した。その後放冷し、生成したノナン酸銅を吸引ろ過し、洗浄液が透明になるまでヘキサンで洗浄した。得られた粉体を50℃の防爆オーブンで3時間乾燥してノナン酸銅(II)を得た。収量は340g(収率96質量%)であった。
[製造例2]銅含有粒子の合成
上記で得られたノナン酸銅(II)15.01g(0.040mol)及び酢酸銅(II)無水物(関東化学株式会社、特級)7.21g(0.040mol)をセパラブルフラスコに入れ、1−プロパノール22mL及びヘキシルアミン(東京化成工業株式会社)32.1g(0.32mol)を添加し、オイルバス中、80℃で加熱撹拌して溶解させた。氷浴に移し、内温が5℃になるまで冷却した後、ヒドラジン一水和物(関東化学株式会社、特級)7.72mL(0.16mol)を加えて、さらに氷浴中で撹拌した。なお、銅:ヘキシルアミンのモル比は1:4である。次いで、オイルバス中で10分間、90℃で加熱撹拌した。その際、発泡を伴う還元反応が進み、セパラブルフラスコの内壁が銅光沢を呈し、溶液が暗赤色に変化した。遠心分離を9000rpm(回転/分)で1分間実施して固体物を得た。固形物をさらにヘキサン15mLで洗浄する工程を3回繰り返し、酸残渣を除去して、銅光沢を有する銅含有粒子の粉体を含む銅ケークを得た。
上記で得られたノナン酸銅(II)15.01g(0.040mol)及び酢酸銅(II)無水物(関東化学株式会社、特級)7.21g(0.040mol)をセパラブルフラスコに入れ、1−プロパノール22mL及びヘキシルアミン(東京化成工業株式会社)32.1g(0.32mol)を添加し、オイルバス中、80℃で加熱撹拌して溶解させた。氷浴に移し、内温が5℃になるまで冷却した後、ヒドラジン一水和物(関東化学株式会社、特級)7.72mL(0.16mol)を加えて、さらに氷浴中で撹拌した。なお、銅:ヘキシルアミンのモル比は1:4である。次いで、オイルバス中で10分間、90℃で加熱撹拌した。その際、発泡を伴う還元反応が進み、セパラブルフラスコの内壁が銅光沢を呈し、溶液が暗赤色に変化した。遠心分離を9000rpm(回転/分)で1分間実施して固体物を得た。固形物をさらにヘキサン15mLで洗浄する工程を3回繰り返し、酸残渣を除去して、銅光沢を有する銅含有粒子の粉体を含む銅ケークを得た。
[実施例1〜5、比較例1、2]
上記で合成した銅ケーク、有機酸としてコハク酸(和光純薬工業株式会社)、グルタル酸(和光純薬工業株式会社)、ピメリン酸(和光純薬工業株式会社)及び3,3−ジメチルグルタル酸(和光純薬工業株式会社)、分散媒としてテルピネオール(和光純薬工業株式会社)並びにイソボルニルシクロヘキサノール(テルソルブMTPH、日本テルペン化学株式会社)を表1に示した配合質量部で混合して導体形成用組成物(ペースト)を作製した。
上記で合成した銅ケーク、有機酸としてコハク酸(和光純薬工業株式会社)、グルタル酸(和光純薬工業株式会社)、ピメリン酸(和光純薬工業株式会社)及び3,3−ジメチルグルタル酸(和光純薬工業株式会社)、分散媒としてテルピネオール(和光純薬工業株式会社)並びにイソボルニルシクロヘキサノール(テルソルブMTPH、日本テルペン化学株式会社)を表1に示した配合質量部で混合して導体形成用組成物(ペースト)を作製した。
実施例1〜5及び比較例1、2の導体形成用組成物を用いて、接合体を作製した。より詳細には、導体形成用組成物を予め、アセトンで超音波洗浄して有機物を除去した金属銅基材(第一の基材)上に、2×2mm、厚み0.1mmのステンシル版を用いてステンシル印刷して組成物層を形成した。その後、2×2mm、厚み0.25mmの銅基材(第二の基材)を、第一の基材上の組成物層を覆うように配置した。その後、加熱処理を行い、実施例1〜5及び比較例1、2の接合体を得た。加熱処理には雰囲気制御加熱圧着装置(RF−100B、アユミ工業株式会社)を使用した。加熱処理の条件は、窒素ガス雰囲気下の負圧(8.5×104Pa)で、昇温速度30℃/分で250℃まで加熱し、続いて窒素とギ酸の混合ガスを導入して9.0×104Paの混合ガスとし、250℃で60分間保持することによって行った。
(接合強度測定)
得られた接合体をダイシェア強度(MPa)により評価した。DS−100ロードセルを装着した万能型ボンドテスタ(4000シリーズ、ノードソン・アドバンスト・テクノロジー株式会社)を用い、測定スピード100μm/sec、測定高さ12μmで銅基材(第二の基材)を水平方向に押し、接合体のダイシェア強度(MPa)を測定した。表2に結果を示す。
得られた接合体をダイシェア強度(MPa)により評価した。DS−100ロードセルを装着した万能型ボンドテスタ(4000シリーズ、ノードソン・アドバンスト・テクノロジー株式会社)を用い、測定スピード100μm/sec、測定高さ12μmで銅基材(第二の基材)を水平方向に押し、接合体のダイシェア強度(MPa)を測定した。表2に結果を示す。
[実施例6]
荷重をかけながら加熱処理した以外は、実施例4の接合体の作製方法と同様にして、実施例6の接合体を得た。処理条件は、窒素ガス雰囲気下の負圧(8.5×104Pa)で、昇温速度30℃/分で250℃まで加熱し、続いて窒素とギ酸の混合ガスを導入して9.0×104Paの混合ガスとし、250℃で20分間保持した後、10MPaの荷重で第二の基材側から加圧しながら250℃で40分間保持することによって行った。
荷重をかけながら加熱処理した以外は、実施例4の接合体の作製方法と同様にして、実施例6の接合体を得た。処理条件は、窒素ガス雰囲気下の負圧(8.5×104Pa)で、昇温速度30℃/分で250℃まで加熱し、続いて窒素とギ酸の混合ガスを導入して9.0×104Paの混合ガスとし、250℃で20分間保持した後、10MPaの荷重で第二の基材側から加圧しながら250℃で40分間保持することによって行った。
[実施例7]
実施例5の導体形成用組成物を用いた以外は、実施例6の接合体の作製方法と同様にして、実施例7の接合体を得た。
実施例5の導体形成用組成物を用いた以外は、実施例6の接合体の作製方法と同様にして、実施例7の接合体を得た。
[比較例3]
比較例1の導体形成用組成物を用いた以外は、実施例6の接合体の作製方法と同様にして、比較例3の接合体を得た。
比較例1の導体形成用組成物を用いた以外は、実施例6の接合体の作製方法と同様にして、比較例3の接合体を得た。
得られた実施例6、7及び比較例3の接合体を、実施例1〜5及び比較例1、2と同様にダイシェア強度(MPa)により評価した。表3にその結果を示す。
実施例7の接合体及び比較例3の接合体の接合部を、落射照明型顕微鏡を用いて観察した。図2及び図3に、実施例7の接合体及び比較例3の接合体の断面像をそれぞれ示す。図2及び図3から分かるように、実施例7の接合体は、比較例3の接合体と比較して、基材と導体層との密着性において優れていることが判明した。
実施例7の接合体の銅基材と導体形成用組成物から形成した導体との界面を、集束イオンビーム加工観察装置(FB−2000A、株式会社日立製作所)を用いて観察した。図4に、実施例7の接合体の断面拡大像を示す。実施例7の接合体では、界面において、導体形成用組成物から形成した導体の銅と第一の基材の銅とが金属結合を形成していることが判明した。
有機酸を含有する導体形成用組成物を用いて作製した実施例1〜5の接合体のダイシェア強度は、有機酸を含有しない導体形成用組成物を用いて作製した比較例1、2の接合体のダイシェア強度と比較して5〜6倍優れていた。また、荷重をかけながら加熱処理して作製した実施例6、7の接合体のダイシェア強度は、20MPa以上であった。
以上より、本発明の導体形成用組成物が、250℃以下で導体化が可能であり、金属接合材料として用いることが可能であることが確認された。
1…第一の基材、2…第二の基材、3…組成物層、4…銅含有粒子、5…導体層、10…接合前駆体、20…接合体。
Claims (7)
- 銅含有粒子と、有機酸と、分散媒と、を含有し、
前記銅含有粒子が、銅を含むコア粒子と、前記コア粒子の表面の少なくとも一部を被覆する有機物と、を有し、
前記有機物が、炭素数が7以下である炭化水素基を有するアルキルアミンを含む、導体形成用組成物。 - 前記有機酸が、カルボキシル基を2つ以上有する、請求項1に記載の導体形成用組成物。
- 前記有機酸が、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、及び3,3−ジメチルグルタル酸からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の導体形成用組成物。
- 第一の基材、請求項1〜3のいずれか一項に記載の導体形成用組成物からなる組成物層、及び第二の基材がこの順に積層されている接合前駆体を用意する工程と、
前記接合前駆体を、不活性ガス、還元性ガス又はこれらの混合ガスのいずれかのガス雰囲気下、120〜250℃で加熱する工程と、
を備える、接合体の製造方法。 - 前記ガス雰囲気が、水素ガス又はギ酸ガスを含むガス雰囲気である、請求項4に記載の接合体の製造方法。
- 前記接合前駆体を、荷重をかけながら加熱する、請求項4又は5に記載の接合体の製造方法。
- 第一の基材と、第二の基材と、前記第一の基材と前記第二の基材とを接合する導体層と、を備え、
前記導体層が、請求項1〜3のいずれか一項に記載の導体形成用組成物に含有される銅含有粒子が焼結してなる焼結体を含む、接合体。
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